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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】二相型化粧料組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20240329BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240329BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240329BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/03
A61K8/39
A61Q1/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565865
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022058147
(87)【国際公開番号】W WO2022228806
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/090607
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ティン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA121
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC021
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC081
4C083AC091
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC421
4C083AC532
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC812
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD352
4C083AD392
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD01
4C083DD05
4C083DD31
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在する二相型化粧料組成物に関する。本発明はまた、美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を適用するための方法及び美容有効成分の送達系としての二相型化粧料組成物の使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物、好ましくは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC10~C20炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC10~C20炭化水素鎖の混合物、より好ましくは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC12~C18炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC12~C18炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくはオキシエチレン基であり、nは、2~30、好ましくは10~30、より好ましくは15~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルを含む二相型化粧料組成物であって、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在し、好ましくは、前記脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、前記二相型化粧料組成物の総重量を基準として、0.001~1.0重量%、好ましくは0.005~0.2重量%、より好ましくは0.01~0.15重量%、更に好ましくは0.03~0.1重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物。
【請求項2】
前記脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、セテアレス-2~セテアレス-30などの一連のセテアレス、好ましくはセテアレス-10、セテアレス-20又はセテアレス-30、より好ましくはセテアレス-20又はセテアレス-30;セテス-2~セテス-30などの一連のセテス、好ましくはセテス-10、セテス-20又はセテス-30、より好ましくはセテス-20又はセテス-30;ステアレス-2~ステアレス-30などの一連のステアレス、好ましくはステアレス-10、ステアレス-20又はステアレス-30、より好ましくはステアレス-20又はステアレス-30;及びラウレス-2~ラウレス-30などの一連のラウレス、好ましくはラウレス-10、ラウレス-20又はラウレス-30、より好ましくはラウレス-20又はラウレス-30からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル;PPG-10セチルエーテル、PPG-28セチルエーテル、PPG-30セチルエーテル及びPPG-11ステアリルエーテルからなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシプロピレンエーテル;並びにPPG-4セテアレス-12、PPG-4セテアレス-20、PPG-10セテアレス-20、PPG-4セテス-1、PPG-4セテス-5、PPG-4セテス-10、PPG-4デセス-4、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-1、PPG-8セテス-2、PPG-8セテス-5、PPG-8セテス-10、PPG-8セテス-20及びPPG-9ステアレス-3からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンエーテルを含む、請求項1に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項3】
前記エマルション相中に油成分を更に含み、前記油成分は、炭化水素及び炭化水素誘導体、グリセリド、エーテル、エステル、炭酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、植物油、動物油、シリコーン油、鉱油(パラフィン油)及びこれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項4】
前記脂肪アルコールは、6~22個、好ましくは10~20個、より好ましくは12~18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の分岐又は非分岐アルコール、例えば、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールと2-ヘキシルデカノールとの混合物などのゲルべアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、より好ましくは、セテアリルアルコールからなる群から選択される、請求項3に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項5】
前記油成分は、1~20重量%、好ましくは2~18重量%、より好ましくは3~16重量%、更に好ましくは3~12重量%の量で存在する、請求項3又は4に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項6】
前記脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は、1:10~10:1、好ましくは1:8~5:1、より好ましくは1:5~1:1である、請求項4に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤は、サルフェート型アニオン性界面活性剤、アミノ酸型アニオン性界面活性剤、スルホサクシネート型アニオン性界面活性剤並びにスルホン化脂肪酸型及び/又は二塩型アニオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項9】
前記サルフェート型アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウロイル硫酸カリウム、セテアリル硫酸アンモニウム、セテアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸カリウム及びこれらの組合せ、好ましくは、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、セテアリル硫酸アンモニウム、セテアリル硫酸ナトリウム及びセテアリル硫酸カリウム、より好ましくは、ラウレス硫酸ナトリウム及びセテアリル硫酸ナトリウムを含む、請求項8に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項10】
前記アミノ酸型アニオン性界面活性剤は、アシルグルタミン酸塩、アシルタウリン塩、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルサルコシン塩及びアシルアスパラギン酸塩を含む、請求項8に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項11】
前記スルホサクシネート型アニオン性界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、スルホコハク酸ウンデシレナミドMEA二ナトリウム及びPEG-5ラウリルクエン酸スルホコハク酸二ナトリウム、好ましくは、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム及びスルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、より好ましくは、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウムを含む、請求項8に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項12】
前記スルホン化脂肪酸型及び/又は二塩型アニオン性界面活性剤は、式(1):
CH(SO)COOM (1)
(式中、Rは、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のC~C16炭化水素鎖であり、M及びMは、独立に、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム又はアルカノールアミンである)の化合物である、請求項8に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項13】
前記アニオン性界面活性剤は、前記二相型化粧料組成物の総重量を基準として、0.001~5重量%、好ましくは0.005~1重量%、より好ましくは0.006~0.5重量%、最も好ましくは0.01~0.1重量%の量で存在する、請求項7~12のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項14】
前記両性界面活性剤は、アシルアンホ酢酸ナトリウム、アシルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、アルキルアンホジ酢酸二ナトリウム、アシルアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、アシルアンホジ酢酸二ナトリウム、アシルアンホプロピオン酸ナトリウム及びN-ヤシ脂肪酸アミドエチルN-ヒドロキシエチルグリシンナトリウム塩;N-アルキルアミノ酸、例えば、アミノプロピルアルキルグルタミド、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミドジプロピオン酸ナトリウム及びラウロアンホジ酢酸二ナトリウム;アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホ酢酸塩又は-プロピオン酸塩、アルキルアンホジ酢酸塩又はジプロピオン酸塩、好ましくは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はココアンホプロピオン酸ナトリウム、より好ましくは、コカミドプロピルベタインを含む、請求項7~13のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項15】
前記両性界面活性剤は、0.001~5重量%、好ましくは0.005~1重量%、より好ましくは0.006~0.5重量%、最も好ましくは0.01~0.1重量%の量で存在する、請求項7~14のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の美容有効成分を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載二相型化粧料組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物を調製するための方法であって、前記二相型化粧料組成物の構成成分を混合することを含む、方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物の、美容有効成分の送達系としての使用。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の二相型化粧料組成物を適用するための方法であって、前記組成物を振盪することによって巨視的に均質な混合物を形成することと、前記混合物を皮膚に適用することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在する二相型化粧料組成物に関する。本発明はまた、美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を適用するための方法及び美容有効成分の送達系としての二相型化粧料組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二相型化粧料組成物、すなわち、静置時には互いに区別可能な2つの不混和な相を含み、組成物を振ると、一方の相が他方の相中に、一般には微細な小滴又は微小滴(microdroplet)の形態で分散して、巨視的に均質な混合物を形成することができる組成物は公知である。通常、これらの組成物は、2つの分離した相として水性相及び油性相を含む。
【0003】
皮膚に油を適用すると、はっきりと感じられる柔軟性、見た目のツヤ及び保護効果が得られるが、その一方で、不快なベタツキや重い感触などの問題があるため、化粧料としては十分に満足できるものではない。
【0004】
したがって、皮膚に、非常に柔軟でみずみずしい感触を与えながら、水性成分及び油性成分を同時に送達することができ、洗浄効果のみならず、皮膚を保湿し滑らかにするスキンケア効果も提供することができる二相型化粧料組成物が必要とされている。このことに加えて、組成物が消費者を惹きつける独自の魅力ある外観を更に有する場合は有利である。このような組成物は、油性構成成分の量を減らしつつ、各相の構成成分を、それぞれ利点を保持したまま送達することが必要である。更に、この種の化粧料組成物において、皮膚に意図しない有害な作用を及び生物蓄積の問題を生じさせる可能性のある界面活性剤の含有量を低減させることも必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在する二相型化粧料組成物を提供することにある。この組成物を振ると、2つの相は混ざり合って一時的に均一なエマルションを形成し、次いでこれを皮膚に適用すると、非常に柔軟でみずみずしい感触が得られる。8時間以内、好ましくは6時間以内である沈降期間を経て、2つの相のはっきりとした境界面が戻ることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のC~C22炭化水素鎖であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルを含む二相型化粧料組成物であって、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物によって達成することができる。
【0007】
更に本発明の目的は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、nは、2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、少なくとも1種の油成分とを含む二相型化粧料組成物であって、油成分は、炭化水素及び炭化水素誘導体、グリセリド、エーテル、エステル、炭酸エステル(carbonate)、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、植物油、動物油、シリコーン油、鉱油(パラフィン油)及びこれらの組合せを含み、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物により達成することができる。
【0008】
更に本発明の目的は、式R-O-(R’)H(Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪アルコールとを含む二相型化粧料組成物であって、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物により達成することができる。
【0009】
更に本発明の目的は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとを含む二相型化粧料組成物であって、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は1:10~10:1である、二相型化粧料組成物により達成することができる。
【0010】
更に本発明の目的は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基及びこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む二相型化粧料組成物であって、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物により達成することができる。
【0011】
更に本発明の目的は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基及びこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む二相型化粧料組成物であって、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は1:10~10:1であり、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物により達成することができる。
【0012】
したがって、第1の態様において、本発明は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルを含む二相型化粧料組成物であって、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在し、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物を提供する。
【0013】
幾つかの実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとを含み、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は1:10~10:1である。
【0014】
他の実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%の量で存在する。
【0015】
他の好ましい実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在し、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は1:10~10:1であり、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%の量で存在する。
【0016】
第2の態様において、本発明は、本発明による二相型化粧料組成物を調製するための方法であって、二相型化粧料組成物の構成成分を混合することを含む、方法を提供する。
【0017】
第3の態様において、本発明は、組成物中に安定して存在する美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を提供する。
【0018】
第4の態様において、本発明は、本発明による二相型化粧料組成物の、美容有効成分の送達系としての使用を提供する。
【0019】
第5の態様において、本発明は、本発明による美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を適用するための方法であって、組成物を振盪することによって巨視的に均質な混合物を形成することと、混合物を皮膚に適用することと、を含む方法を提供する。
【0020】
本発明による二相型化粧料組成物は、2つの分離した相をエマルション相及び実質的に透明な又は透明な水性相として含み、静置時にはエマルション相が水性相の上に浮かび、2つの相のはっきりとした境界面が形成されることが見出された。本発明による二相型化粧料組成物を振盪すると、2つの相が混ざり合って一時的に均一なエマルションが形成され、8時間以内、好ましくは6時間以内である沈降期間を経て、2つの相のはっきりとした境界面が戻ることになる。本発明による二相型化粧料組成物は、皮膚に非常に柔軟でみずみずしい感触を与えながら、水性成分及び油性成分を同時に送達することができる。本発明の二相型化粧料組成物は、油性の構成成分の量を減らしつつ、各相の構成成分を、それぞれの利点を保持したまま送達することができる。本発明による二相型化粧料組成物は、皮膚に意図しない有害な作用及び生物蓄積の問題を生じさせる可能性のある界面活性剤の含有量が低減されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】エマルション相及び透明な水性相を含む静置時の本発明の実施例1の二相型化粧料組成物の写真を示すものであり、エマルション相は静置時には透明な水性相の上に浮いており、2つの相の境界面がはっきりと形成されている。
図2】静置時の比較例1の組成物の写真を示すものであり、水と油の相分離が起こり、水性相に綿状沈殿が出現している。
図3】静置時の比較例2の組成物の写真を示すものであり、エマルション相及び透明な水性相を含む二相型化粧料組成物を形成することなく水と油が分離している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者が一般に理解する意味と同義である。
【0023】
用語の定義に使用される場合、「1つの(“a”、“an”)」、「その(“the”)」という表現は、その用語の複数形及び単数形の両方を包含する。
【0024】
別段の指定がない限り、百分率、部及び比は全て組成物全体の重量による。記載されている構成成分に関するこの種の重量は全て、別段の指定がない限り、具体的に述べた原料の量(ingredient level)を基準としており、したがって、市販の材料に含まれる可能性がある担体又は副生成物は含まれない。
【0025】
第1の態様において、本発明は、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくはオキシエチレン基であり、nは2~30である)の脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルを含む二相型化粧料組成物であって、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在し、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する、二相型化粧料組成物を提供する。
【0026】
脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル
本発明に関連する脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、式R-O-(R’)H(式中、Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC~C22炭化水素鎖の混合物、好ましくは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC10~C20炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC10~C20炭化水素鎖の混合物、より好ましくは、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC12~C18炭化水素鎖又は飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐のC12~C18炭化水素鎖の混合物であり、R’は、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基並びにこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくはオキシエチレン基であり、nは、2~30、好ましくは10~30、より好ましくは15~30である)で表される。
【0027】
脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルの非限定的な例としては、セテアレス-2~セテアレス-30などの一連のセテアレス、好ましくはセテアレス-10、セテアレス-20又はセテアレス-30、より好ましくはセテアレス-20又はセテアレス-30;セテス-2~セテス-30などの一連のセテス、好ましくはセテス-10、セテス-20又はセテス-30、より好ましくはセテス-20又はセテス-30;ステアレス-2~ステアレス-30などの一連のステアレス、好ましくはステアレス-10、ステアレス-20又はステアレス-30、より好ましくはステアレス-20又はステアレス-30;及びラウレス-2~ラウレス-30などの一連のラウレス、好ましくはラウレス-10、ラウレス-20又はラウレス-30、より好ましくはラウレス-20又はラウレス-30からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル;PPG-10セチルエーテル、PPG-28セチルエーテル、PPG-30セチルエーテル及びPPG-11ステアリルエーテルからなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシプロピレンエーテル;並びにPPG-4セテアレス-12、PPG-4セテアレス-20、PPG-10セテアレス-20、PPG-4セテス-1、PPG-4セテス-5、PPG-4セテス-10、PPG-4デセス-4、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-1、PPG-8セテス-2、PPG-8セテス-5、PPG-8セテス-10、PPG-8セテス-20及びPPG-9ステアレス-3からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンエーテルが挙げられる。
【0028】
好ましい実施形態において、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルとしては、セテアレス-2~セテアレス-30などの一連のセテアレス、好ましくはセテアレス-10、セテアレス-20又はセテアレス-30、より好ましくはセテアレス-20又はセテアレス-30;セテス-2~セテス-30などの一連のセテス、好ましくはセテス-10、セテス-20又はセテス-30、より好ましくはセテス-20又はセテス-30;ステアレス-2~ステアレス-30などの一連のステアレス、好ましくはステアレス-10、ステアレス-20又はステアレス-30、より好ましくはステアレス-20又はステアレス-30;及びラウレス-2~ラウレス-30などの一連のラウレス、好ましくはラウレス-10、ラウレス-20又はラウレス-30、より好ましくはラウレス-20又はラウレス-30からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。
【0029】
より好ましい実施形態において、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルとしては、セテアレス-2~セテアレス-30などの一連のセテアレス、好ましくはセテアレス-10、セテアレス-20又はセテアレス-30、より好ましくはセテアレス-20又はセテアレス-30(例えば、Eumulgin(登録商標)B2(BASFから市販)及びEumulgin(登録商標)B3(BASFから市販))からなる群から選択される脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。
【0030】
脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として、0.001~1.0重量%、例えば、0.005~0.2重量%、好ましくは、0.01~0.15重量%、より好ましくは、0.03~0.1重量%の量で存在することができる。
【0031】
油成分
本発明による二相型化粧料組成物は、エマルション相中に油成分を含む。油成分は、炭化水素及び炭化水素誘導体、グリセリド、エーテル、エステル、炭酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、植物油、動物油、シリコーン油、鉱油(パラフィン油)及びこれらの組合せを含むことができる。
【0032】
本発明による二相型化粧料組成物の油成分は、有利には、レシチン並びに脂肪酸トリグリセリド、すなわち、8~24個、特に12~18個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルからなる群から選択される。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、有利には、合成、半合成及び天然の油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、ナタネ油、アーモンド油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、コムギ胚芽油、ブドウ種子油、サフラワー油、月見草油、マカデミアナッツ油及び同種のものなどからなる群から選択することができる。更なる極性油成分は、3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸と、3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのエステルからなる群から、並びに芳香族カルボン酸と3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのエステルからなる群から選択することができる。その場合、この種のエステル油は、有利には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、炭酸ジカプリリル(例えばCetiol(登録商標)CC(BASFから市販))及びココグリセリル(Myritol(登録商標)331)、ジ(カプリル/カプリン酸)BG及びアジピン酸ジブチルに加えて、この種のエステルの合成、半合成及び天然の混合物、例えば、ホホバ油からなる群から選択することができる。
【0033】
更に、1種又は複数種の油成分は、有利には、C10~C18アルカン、好ましくはウンデカン若しくはトリデカン又はこれらの組合せなどの分岐及び非分岐炭化水素(例えばCetiol(登録商標)Ultimate(BASFから市販))、ジカプリリルエーテルなどのジアルキルエーテル(例えばCetiol(登録商標)OE(BASFから市販))からなる群から選択することができる。
【0034】
好ましくは、1種又は複数種の油成分は、有利には、12~20個の炭素原子、好ましくは14~18個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸又はステアリン酸、好ましくはパルミチン酸(例えばEDENOR(登録商標)C16-98MY BD(Emeryから市販))からなる群から選択することができる。
【0035】
有利には、油成分はまた、環状若しくは直鎖シリコーン油を含有することもでき、又は完全にこの種の油からなるものであってもよいが、この1種又は複数種のシリコーン油とは別に、追加の油相構成成分も含有させて使用することが好ましい。
【0036】
低分子量シリコーン又はシリコーン油は、概して、次に示す一般式で定義され:
【化1】
より分子量の高いシリコーン又はシリコーン油は、概して、次に示す一般式で定義される:
【化2】
(式中、ケイ素原子は、同一又は異なるアルキル基及び/又はアリール基で置換されていてもよく、本明細書においては、これらをR~R基の一般表記(general term)で表す)。しかしながら、異なる基の数の最大値は必ずしも4個に制限されない。本明細書においては、mは、2~200000の値を想定することができる。
【0037】
本発明により有利に使用される環状シリコーンは、概して、次に示す一般式で定義される:
【化3】
(式中、ケイ素原子は、同一又は異なるアルキル基及び/又はアリール基で置換されていてもよく、本明細書においては、これらをR~R基の一般表記で表す)。しかしながら、異なる基の数の最大値は必ずしも4に制限されない。本明細書においては、nは、3/2~20の値を想定することができる。分数であるnの値は、環内に奇数個のシロキシル基が存在する可能性を考慮したものである。
【0038】
シリコーン油として、有利には、フェニルトリメチコンが選択される。他のシリコーン油、例えば、ジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、フェニルジメチコン、シクロメチコン(例えばデカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタシロキサンシクロヘキサシロキサン)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、セチルジメチコン、ベヘノキシジメチコンも、本発明に関連する範囲内で有利に使用される。シクロメチコン及びイソノナン酸イソトリデシルの混合物に加えて、シクロメチコン及びイソステアリン酸2-エチルヘキシルの混合物も有利である。
【0039】
しかしながら、上に述べた化合物と類似の構造を有し、その有機側鎖が誘導体化されている、例えば、ポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化されているシリコーン油を選択することも有利である。そのようなものとして、例えば、ポリシロキサンポリアルキル-ポリエーテルコポリマー、例えば、セチルジメチコンコポリオールなどが挙げられる。
【0040】
化粧料に適合する好適な油成分は、Karl-Heinz Schrader,Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[Fundamentals and Formulations of Cosmetics],2nd edition,Verlag Huethig,Heidelberg,pp.319-355に記載されており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0041】
好ましい実施形態において、油成分は、3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸と3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのエステルからなる群から、並びに芳香族カルボン酸と3~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのエステルからなる群から、好ましくは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、炭酸ジカプリリル(例えばCetiol(登録商標)CC(BASFから市販))及びココグリセリル(Myritol(登録商標)331)、ジ(カプリル/カプリン酸)BG及びアジピン酸ジブチル並びにこの種のエステルの合成、半合成及び天然混合物、例えば、ホホバ油などからなる群から;並びにC10~C18アルカンなどの分岐及び非分岐炭化水素、好ましくはウンデカン若しくはトリデカン又はこれらの組合せ(例えばCetiol(登録商標)Ultimate(BASFから市販))、ジカプリリルエーテルなどのジアルキルエーテル(例えばCetiol(登録商標)OE(BASFから市販))、12~20個の炭素原子、好ましくは14~18個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸ミリスチン酸又はステアリン酸、好ましくはパルミチン酸(例えばEDENOR(登録商標)C16-98MY BD(Emeryから市販))からなる群から選択される。
【0042】
油成分は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として、1~20重量%、好ましくは2~18重量%、より好ましくは3~16重量%、更に好ましくは3~12重量%の量で存在することができる。
【0043】
より好ましい実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールを含む。
【0044】
本明細書において二相型化粧料組成物に使用するために適した脂肪アルコールは、6~22個、好ましくは10~20個、より好ましくは12~18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の分岐又は非分岐アルコール、例えば、2-ブチルオクタノール(例えば、lsofol(登録商標)12として市販(Condea))、2-ヘキシルデカノール(例えば、lsofol(登録商標)16として市販(Condea))、2-ブチルオクタノール及び2-ヘキシルデカノールの混合物(例えば、lsofol(登録商標)14として市販(Condea))などのゲルベアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール(例えばLanette(登録商標)O(BASFから市販))、オレイルアルコール、オクチルドデカノール(例えば、Eutanol(登録商標)G(BASFから市販))など、好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール(例えばLanette(登録商標)O(BASFから市販))、オレイルアルコール、オクチルドデカノール(例えば、Eutanol(登録商標)G(BASFから市販))、より好ましくはセテアリルアルコールからなる群から選択される。
【0045】
脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル対脂肪アルコールの重量比は、1:10~10:1、好ましくは1:8~5:1、より好ましくは1:5~1:1である。
【0046】
アニオン性界面活性剤
他の実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む。
【0047】
他の好ましい実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルと、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールと、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、好ましくは、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテルは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1.0重量%の量で存在する。
【0048】
本発明の組成物は、化粧料組成物に慣用されている任意のアニオン性界面活性剤を含むことができる。好ましいアニオン性界面活性剤としては、サルフェート型アニオン性界面活性剤、アミノ酸型アニオン性界面活性剤、スルホサクシネート型アニオン性界面活性剤並びにスルホン化脂肪酸型及び/又は二塩型(disalt)アニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
好適なサルフェート型アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム(lauric monoglyceride sodium sulfate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウロイル硫酸カリウム、セテアリル硫酸アンモニウム、セテアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸カリウム及びこれらの組合せ、好ましくは、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、セテアリル硫酸アンモニウム、セテアリル硫酸ナトリウム及びセテアリル硫酸カリウム、より好ましくは、ラウレス硫酸ナトリウム及びセテアリル硫酸ナトリウム(例えば、Lanette(登録商標)E Granules(BASFから市販)、Texapon(登録商標)NSOUP(BASFから市販)、Texapon(登録商標)OC-P(BASFから市販)、Texapon(登録商標)OC-N(BASFから市販)、Texapon(登録商標)N 703(BASFから市販)、Texapon(登録商標)N 701(BASFから市販)、Texapon(登録商標)N 70(BASFから市販)及びTexapon(登録商標)N 28 S(BASFから市販))が挙げられる。
【0050】
好適なアミノ酸型アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アシルグルタミン酸塩、アシルタウリン塩、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルサルコシン塩及びアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。塩の例としては、ナトリウム塩(Na)やカリウム塩(K)などのアルカリ金属塩;カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)塩などのアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン塩(TEA);アンモニウム塩;などが挙げられる。より好ましいものは、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩及びアンモニウム塩、特にナトリウム塩である。
【0051】
好ましくは、アシルグルタミン酸塩としては、ココイルグルタミン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩、ステアロイルグルタミン酸塩、硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸塩、オリーブ油脂肪酸アシルグルタミン酸塩及びオクタノイルグルタミン酸塩、例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム及びミリストイルグルタミン酸カリウム、より好ましくは、ココイルグルタミン酸ナトリウム及びステアロイルグルタミン酸ナトリウム(例えば、Plantapon(登録商標)Amino SCG-L(BASFから市販)、Plantapon(登録商標)Amino SLG-P(INCI:ラウロイルグルタミン酸Na(Sodium Lauroyl Glutamate)、BASFから市販)、Plantapon(登録商標)ACG LC(BASFから市販)、Plantapon(登録商標)ACG HC(BASFから市販)、Plantapon(登録商標)ACG 35(BASFから市販)、Plantapon(登録商標)ACG 50(BASFから市販)、Eumulgin(登録商標)SG(BASFから市販)、Hostapon(登録商標)KCG(Clariantから市販)及びHostapon(登録商標)KCG(Clariantから市販))が挙げられる。
【0052】
好ましくは、アシルタウリン塩としては、ココイルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウリン酸タウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ステアロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、パルミトイルメチルタウリン塩、オレオイルメチルタウリン塩、ヘキサノルメチルタウリン塩及びラウロイルメチルβ-アラニンタウリン塩が挙げられる。特に好ましいものは、例えば、ココイルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウリン酸タウリン塩、ラウロイルタウリン塩及びラウロイルメチルタウリン塩である。更に特に好ましいものは、例えば、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ラウロイルタウリンカリウム、ラウロイルタウリンナトリウム及びラウロイルメチルタウリンナトリウムであり、より好ましくは、メチルココイルタウリンナトリウム(例えば、NEOSCOAP CDT-30(CR)、NEOSCOAPCDT-30-SF(CR)、NEOSCOAP CDT-30-SF、NEOSCOAP CN-30(CR)及びNEOSCOAP CN-30-SF(Toho Chemical Industryから市販))である。
【0053】
好ましくは、アシルグリシン塩としては、ココイルグリシン塩、パルミトイルグリシン塩、オクタノイルグリシン塩及びウンデシレノイルグリシン塩が挙げられる。更に好ましいものは、例えば、ココイルグリシン塩である。特に好ましいものは、例えば、ココイルグリシンカリウム(Plantapon(登録商標)Amino KG-L及びPlantapon(登録商標)Amino KG-P、BASFから市販)及びココイルグリシンナトリウムであり、ココイルグリシンナトリウムがより好ましい。
【0054】
好ましくは、アシルアラニン塩としては、ココイルアラニン塩、ココイルメチルアラニン塩、ラウロイルメチルアラニン塩及びミリストイルメチルアラニン塩が挙げられる。更に好ましいものは、例えば、ココイルアラニン塩、ココイルメチルアラニン塩及びラウロイルメチルアラニン塩である。特に好ましいものは、例えば、ココイルアラニンナトリウム、ココイルアラニンTEA、ココイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム及びラウロイルメチルアラニンTEAであり、ココイルアラニンナトリウムがより好ましい。
【0055】
好ましくは、アシルサルコシン塩としては、ココイルサルコシン塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリストイルサルコシン塩、パルミトイルサルコシン塩及びオレオイルサルコシン塩が挙げられる。特に好ましいものは、例えば、ココイルサルコシン塩及びラウロイルサルコシン塩である。更に特に好ましいものは、例えば、ココイルサルコシンカリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンTEA、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム及びラウロイルサルコシンTEAであり、より好ましくはココイルサルコシンナトリウムである。
【0056】
好ましくは、アシルアスパラギン酸塩としては、パルミトイルアスパラギン酸塩、ミリストイルアスパラギン酸塩、ラウリルアスパラギン酸塩及びラウロイルアスパラギン酸塩が挙げられる。更に好ましいものは、例えば、ラウリルアスパラギン酸塩及びラウロイルアスパラギン塩である。特に好ましいものは、ラウリルアスパラギン酸カリウム、ラウリルアスパラギンナトリウム、ラウリルアスパラギン酸TEA及びラウロイルアスパラギン酸ナトリウムであり、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムがより好ましい。
【0057】
好適なスルホサクシネート型アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、スルホコハク酸ウンデシレナミドMEA二ナトリウム及びPEG-5ラウリルクエン酸スルホコハク酸二ナトリウム、好ましくは、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム及びスルホコハク酸セテアリル二ナトリウム、より好ましくはスルホコハク酸セテアリル二ナトリウム(例えば、Eumulgin(登録商標)Prisma(BASFから市販))が挙げられる。
【0058】
好適なスルホン化脂肪酸及び/又は二塩型アニオン性界面活性剤の非限定的な例は、式(1):
CH(SO)COOM (1)
(式中、Rは、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のC~C16炭化水素鎖であり、M及びMは、独立に、H、Li、Na、K、Ca/2、Mg/2、アンモニウム又はアルカノールアミンである)の化合物である。
【0059】
好ましくは、Rは、飽和直鎖C~C16炭化水素鎖であり、好ましくは飽和直鎖C10~C14炭化水素鎖である。
【0060】
より好ましくは、M及びMはNaである。
【0061】
最も好ましくは、スルホン化脂肪酸及び/又は二塩型アニオン性界面活性剤は、2-スルホラウリン酸二ナトリウム(例えばTexapon(登録商標)SFA(BASFから市販))である。
【0062】
アニオン性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%、好ましくは0.005~1重量%、更に好ましくは0.006~0.5重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%、最も好ましくは0.04~0.1重量%の量で存在することができる。
【0063】
両性界面活性剤
好適な両性界面活性剤の非限定的な例としては、アシルアンホ酢酸ナトリウム、アシルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、アルキルアンホジ酢酸二ナトリウム、アシルアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、アシルアンホジ酢酸二ナトリウム、アシルアンホプロピオン酸ナトリウム及びN-ヤシ脂肪酸アミドエチルN-ヒドロキシエチルグリシンナトリウム塩が挙げられる。
【0064】
更に有利な両性界面活性剤は、N-アルキルアミノ酸、例えば、アミノプロピルアルキルグルタミド、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミドジプロピオン酸ナトリウム及びラウロアンホジ酢酸二ナトリウムである。
【0065】
両性界面活性剤としてはまた、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホ酢酸塩又は-プロピオン酸塩、アルキルアンホジ酢酸塩又はジプロピオン酸塩、好ましくは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はココアンホプロピオン酸ナトリウム、より好ましくは、コカミドプロピルベタイン(例えば、Dehyton(登録商標)PK 45(BASFから市販)、Dehyton(登録商標)KE-AS(BASFから市販)、Dehyton(登録商標)K/I5(BASFから市販)、Dehyton(登録商標)DC-AS、Dehyton(登録商標)ML、TEGO(登録商標)Betain P 50 C(Evonikから市販)、TEGO(登録商標)Betain F 50(Evonikから市販)及びGenagen(登録商標)CAB 818(Clariantから市販))も適している。
【0066】
両性界面活性剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~5重量%、好ましくは0.005~1重量%、更に好ましくは0.006~0.5重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%、最も好ましくは0.04~0.1重量%の量で存在することができる。
【0067】
他の好ましい実施形態において、本発明による二相型化粧料組成物は、以下に示す他の成分を更に含む。
【0068】
ヒューメクタント
本発明による二相型化粧料組成物に好適なヒューメクタントは、炭素原子数の少ないエトキシル化又は非エトキシル化モノアルコール、ジオール又はポリオール又はこれらのエーテル(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2-ジプロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルグリコール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び類似の生成物)である。この目的に関し検討されるポリオールは、好ましくは、2~15個の炭素原子及び少なくとも2つのヒドロキシ基を有するものである。ポリオールはまた、更なる官能基、特にアミノ基を含んでいてもよく、及び/又は窒素で修飾されていてもよい。典型的な例を以下に示す:グリセロール、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールに加えて、平均分子量が100~1000ダルトンであるポリエチレングリコール(例えばPluracare(登録商標)E400(BASFから市販));固有の(intrinsic)縮合度が1.5~10である工業用(technical)オリゴグリセロール混合物、例えば、ジグリセロール含有量が40~50重量%である工業用ジグリセロール;メチロール化合物、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールなど;低級アルキルグルコシド、特に、アルキル基中に1~8個の炭素原子を有するもの、例えば、メチル及びブチルグルコシド;5~12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトール又はマンニトール;5~12個の炭素原子を有する糖、例えば、グルコース又はサッカロース;アミノ糖、例えば、グルカミン;ジアルコールアミン、例えば、ジエタノールアミン又は2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0069】
ヒューメクタントは、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.01~30重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは1~5重量%の量で存在することができる。
【0070】
キレート剤
本発明による二相型化粧料組成物に好適なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二カリウム塩、EDTA二ナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、EDTA二アンモニウム塩、EDTAカルシウム二ナトリウム、TEA-EDTA、EDTA三カリウム塩、EDTA三ナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、HEDTA三ナトリウム塩及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。一実施形態において、キレート剤は、EDTA二ナトリウム塩(例えばEdeta(登録商標)BD(BASFから市販))を含む。
【0071】
キレート剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.001~1重量%、好ましくは0.01~1.0重量%、より好ましくは0.05~0.5重量%の量で存在することができる。
【0072】
増粘剤
本発明による二相型化粧料組成物に好適な増粘剤は、多糖類、好ましくは、キサンタンガム(例えば、Rheocare(登録商標)XGN(BASFから市販))、グアーガム、寒天、アルギン酸塩又はタイロース、セルロース誘導体、例えば、アルキルがC~C-アルキルであるヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシエチルセルロース、好ましくは、Herkules IncorporatedのNatrosol(商標)商標を有するもの、特に好ましくは、Natrosol(商標)250(CAS-Nr.9004-62-0)、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシカルボキシメチルセルロース、デンプン、好ましくは商標名National 465、Purity W又はstarch B990に加えて、比較的高分子量のポリエチレングリコールの脂肪酸モノ-及びジエステル、脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸である。
【0073】
増粘剤としてはまた、ポリアクリレート、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、例えば、Tinovis(登録商標)CD及びRheocare(登録商標)TTA(BASFから市販)、Carbopol(登録商標)(Lubrizolから市販)、Ultrez(登録商標)(Lubrizolから市販)、Luvigel(登録商標)EM(BASFから市販)、Cosmedia(登録商標)SP(BASFから市販)、Tinovis(登録商標)GTCUP(BASFから市販)、Capigel(登録商標)98(Seppicから市販)、Synthalene(登録商標)(Sigmaから市販)、Rohm and HaasからのAculyn(登録商標)グレード、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレートとステアリル基を有するエトキシル化メタクリル酸とのコポリマー(20エチレンオキシド(EO)単位))並びにAculyn(登録商標)28(アクリレートとベヘニル基を有するエトキシル化メタクリル酸とのコポリマー(25EO単位))も好適である。
【0074】
増粘剤としては更に、例えば、アエロジルグレードのもの(親水性シリカ)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン、エトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸とポリオール、例えば、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンなどとのエステル、同族体分布の狭い脂肪アルコールエトキシレート又はアルキルオリゴグルコシドに加えて、電解質、例えば、塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムも好適である。
【0075】
増粘剤は、その種類に応じて、当該技術分野において慣用されている量で存在させることができる。当業者は本発明に適切な増粘剤及び量を選択することができるであろう。
【0076】
本発明に関連して、増粘剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.01~3重量%、好ましくは0.02~2.0重量%、より好ましくは0.04~1.5重量%の量で存在することができる。
【0077】
防腐剤
本発明による二相型化粧料組成物は、有利には、1種又は複数種の防腐剤を含むことができる。
【0078】
本発明に関連して有利な防腐剤は、例えば、ホルムアルデヒド供与体(例えば、DMDMヒダントイン、例えば、Glydant(登録商標)の商品名で市販されているもの(Lonzaから市販))、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピル(例えば、Glycacil-L(登録商標)、Glycacil-S(登録商標)(Lonzaから市販)、Dekaben(登録商標)LMB(Jan Dekkerから市販))、パラベン(p-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル及び/又はブチルパラベンなど)、デヒドロ酢酸(Euxyl(登録商標)K702(Schuelke&Mayrから市販)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸又はこれらの組合せである。いわゆる防腐助剤、例えば、オクトキシグリセロール、ツルマメなども有利に使用される。
【0079】
化粧料に慣用されている防腐剤又は防腐助剤、例えば、ジブロモジシアノブタン(2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロジニトリル)、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸3-ヨード-2-プロピニル、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、イミダゾリジニル尿素、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-クロロアセタミド、ベンジルアルコール、サリチル酸及びサリチル酸塩(salicylate)も同じく有利である。
【0080】
防腐剤は、二相型化粧料組成物の総重量を基準として0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1重量%の量で存在させることができる。
【0081】
香油(perfume oil)
適切であれば、本発明による二相型化粧料組成物は香油を含むことができる。香油としては、例えば、天然及び合成香料の混合物を挙げることができる。天然香料は、花の抽出物(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎及び葉の抽出物、(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実の抽出物(アニス、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ジュニパー)、果皮の抽出物(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根の抽出物(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、木香、アヤメ、ショウブ)、木の抽出物(マツ、ビャクダン、グアヤクウッド、セダーウッド、ローズウッド)、薬草及び草の抽出物(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉及び小枝の抽出物(トウヒ、モミ、マツ、モンタナマツ)、樹脂及びバルサムの抽出物(ガルバヌム、エレミ、安息香、没薬、乳香、オポポナックス)である。動物性原料、例えば、シベット及びカストリウムなども好適である。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素型の生成物である。エステル型の香料化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、メチルフェニルグリシンエチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8~18個のC原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルゲオナールが挙げられ、ケトンとしては、例えば、イオノン、cc-イソメチルイオン(isomethylion)及びメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが挙げられ、炭化水素としては、主としてテルペン及びバルサムが挙げられる。しかしながら、一緒になって心地よい香調(scent note)を作り出す異なる香料の混合物を使用することが好ましい。揮発性がより低い精油は、大部分が香気成分として使用されており、例えば、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ハッカ油、桂葉油、ライムブロッサム油、セイヨウネズ果実油、ベチベル油、ニュウコウジュ油、フェルラガルバニフルア樹脂油、ラブダナム油及びラバンデュラヒブリダ油は香油としても適しいる。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、Boisambrene(登録商標)Forte、アンブロキサン、インドール、ヘディオン、サンデライス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アミルグリコール酸アリル、シクロバータル、ラバンジン油、オニサルビア油、β-ダマスコン、ゼラニウムバーボン、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix(登録商標)Coeur、iso E-Super(登録商標)、Fixolide(登録商標)NP、エベリニル、イラルダイン・ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキサイド、ロミラ、イロチル及びfloramatを単独で又は混合物として使用することが好ましい。
【0082】
香油は、二相型化粧料組成物中に従来量で存在させることができる。
【0083】
言うまでもなく、本発明の二相型化粧料組成物は、化粧品的又は皮膚科学的に許容されることが必要である、すなわち、含まれる媒体が無毒且つ生理学的に許容されることが必要であり、皮膚に適用可能であることが必要である。本発明の目的に関する「化粧品的に許容される」という表現は、心地よい外観、匂い、感触及び/又は味を有する組成物を意味する。
【0084】
第2の態様において、本発明は、本発明による二相型化粧料組成物を調製するための方法であって、二相型化粧料組成物の構成成分を混合することを含む方法を提供する。
【0085】
本発明による二相型化粧料組成物は、脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル及び界面活性剤(使用する場合)を除く、油性相及び水性相の構成成分の予備混合物を予め定められた比で合一し、次いで脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル及び界面活性剤(使用する場合)を加えて二相型組成物を形成することにより調製される。別法として、二相型化粧料組成物の構成成分を、各原料の適切な相への分離を促すために撹拌しながら、一緒に又は順番に加える。
【0086】
第3の態様において、本発明は、組成物中に安定して存在する美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を提供する。
【0087】
有効成分
本発明による二相型化粧料組成物は、様々な溶解度を有する有効成分を均質に混合できることが見出された。
【0088】
本発明によれば、特に、本発明による二相型化粧料組成物が、自然老化及び/又は外因性老化の症状の治療及び予防に役立つものである場合、並びにこれに加えて、紫外放射が皮膚に与える有害な影響を治療及び予防するためのものである場合、有効成分は、有利には、NO合成酵素阻害剤からなる群から選択することができる。好ましいNO合成酵素阻害剤は、ニトロアルギニンである。
【0089】
更に、有効成分は、有利には、カテキン及びカテキンの胆汁酸エステル並びにカテキン又はカテキンの胆汁酸エステルを含む植物又は植物の一部、例えば、ツバキ(Theaceae)科植物、特にチャノキ(カメリア・シネンシス(Camellia sinensis))種(緑茶)の葉の水性又は有機抽出物からなる群から選択される。これらの成分の代表的なもの(例えば、ポリフェノール類又はカテキン類、カフェイン、ビタミン類、糖、ミネラル類、アミノ酸、脂質)は特に有利である。
【0090】
カテキン類とは、水素化されたフラボン類又はアントシアニジン類と見なされる化合物の一群であり、これらは「カテキン類」の誘導体(カテコール、3,3’,4’,5,7-フラバンペンタオール、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)クロマン-3,5,7-トリオール)である。エピカテキン((2R,3R)-3,3’,4’,5,7-フラバンペンタオール)も本発明に関連する範囲内で有利な有効成分である。
【0091】
カテキン類を含有する植物抽出物、特に、緑茶抽出物、例えば、ツバキ属の植物種(Camellia spec.species)、非常に具体的には、チャの品種であるカメリア・シネニス(Camellia sinenis)、アッサムチャ(カメリア・アッサミカ(C.assamica))、カメリア・タリエンシス(C.taliensis)及びカメリア・イナワジエンシス(C.inawadiensis)並びにこれらと、例えば、ヤブツバキ(Camellia japonica)との交配種の葉の抽出物なども有利である。
【0092】
有効成分としては、(-)カテキン、(+)-カテキン、(-)-没食子酸カテキン、(-)-没食子酸ガロカテキン、(+)-エピカテキン、(-)-エピカテキン、(-)-没食子酸エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-没食子酸エピガロカテキンからなる群から選択されるポリフェノール類及びカテキン類も好ましい。
【0093】
フラボン及びその誘導体(「フラボン類」と総称されることも多い)も本発明に関連する範囲内で有利な有効成分である。
【0094】
更なる好ましい有効成分は、セリコシド、ピリドキソール、ビタミンK、ビオチン及び香気物質(aroma substance)、ビサボロール(ビサボロールrac.(BASFから市販))、トコフェロール(Covi-ox(登録商標)T-50 C(BASFから市販))、パルミチン酸レチノール(Vitamin A-Palmitate Care(BASFから市販))、レチノール(Retinol 50 C(BASFから市販))、チョウセンゴミシ果実エキス(Sqisandryl(登録商標)LS 9905(BASFから市販))である。
【0095】
更に、親水性有効成分、特に、以下に示す群:
乳酸又はサリチル酸などのα-ヒドロキシ酸及びその塩、例えば、乳酸Na、乳酸Ca、乳酸TEAなど、尿素、アラントイン、セリン、ソルビトール、乳タンパク、パンテノール、キトサン、グリセリン及びグリセリルグルコシド(例えば、Hydagen(登録商標)Aquaporin(BASFから市販))又はこれらの組合せ
からなる群から選択される有効成分も非常に有利となり得る。
【0096】
言うまでもなく、本発明による二相型化粧料組成物に使用することができる指定した有効成分の一覧及び有効成分の組合せは限定を意図するものではない。有効成分は、個々に又は任意の相互の組合せで使用することができる。
【0097】
この有効成分は、本発明の二相型組成物中に、その種類に応じて、当該技術分野において慣用されている量で存在させることができる。当業者は、本発明に適切な有効成分及び量を選択することができるであろう。
【0098】
本発明による二相型化粧料組成物に使用することができる指定された有効成分及び更なる有効成分は、独国特許出願公開第10318526A1号明細書の12~17頁に記載されており、現時点における当該明細書全体を参照により援用する。
【0099】
追加の有益成分
本発明の組成物は、手入れされる基材、例えば、皮膚に好ましい及び/又は有益な効果をもたらすことができる1種又は複数種の有益成分を更に含むことができる。当業者は、化粧料組成物配合の技術分野の一般知識及びそれらに関連する膨大な文献に従い、適用目的に適切なこの種の任意選択的な成分を選択することができる。
【0100】
一実施形態において、本発明の組成物は、1種又は複数種の有益成分、例えば、エモリエント剤、モイスチャライザー、コンディショナー、スキンコンディショナー、例えば、ビタミン類又はこれらの誘導体、例えば、チアミン、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、コリン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンB12、ピリドキシンなどのビタミンB複合体、イノシトール、カルニチン、ビタミンA、C、D、E、K及びこれらの誘導体、例えば、ビタミンAパルミチン酸エステル並びにプロビタミン、例えば、パンテノール(プロビタミンB5)、トリ酢酸パンテニル並びにこれらの混合物;酸化防止剤;遊離基捕捉剤;天然又は合成の研磨剤;染料;染毛剤;漂白剤;毛髪脱色剤;UV吸収剤、例えば、ベンゾフェノン、ボルネロン、PABA(パラアミノ安息香酸)、ブチルPABA、シンナミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、メトキシケイ皮酸カリウム;抗UV剤(anti-UV agent)、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ヒドロキシプロピルアミノ安息香酸エチル、アントラニル酸メンチル、アミノ安息香酸、シノキサート、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、アミノ安息香酸グリセリル、二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、ジメチルPABAオクチル(padimate O)、赤色ワセリン(red petrolatum);抗微生物剤;抗細菌剤、例えば、バシトラシン、エリスロマイシン、トリクロサン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、塩化ベンゼトニウム、フェノール、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロカルバン(TCC)、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、ジンクピリチオン、硫化セレン;抗真菌剤;メラニン産生制御剤(melanin regulator);タンニング促進剤(tanning accelerator);色素沈着抑制剤、例えばレチノイド、例えば、レチノール、コウジ酸及びその誘導体、例えばジパルミチン酸コジクなど、ヒドロキノン及びその誘導体、例えば、アルブチン、トランセキサミック酸(transexamic acid)、ビタミン類、例えば、ナイアシン、ビタミンC及びその誘導体、アゼライン酸、プラセーティア(placertia)、カンゾウ、カミツレ及び緑茶などの抽出物(この中ではレチノール、コウジ酸及びヒドロキノンが好ましい);美白剤、例えば、ヒドロキノン、カテコール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体;皮膚着色剤、例えば、ジヒドロキシアセトン;脂質制御剤;減量剤;抗ニキビ剤;抗脂漏剤;抗老化剤;抗シワ剤;角質溶解剤;抗炎症剤;抗ニキビ剤、例えば、トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、レチノール、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、抗生物質、例えば、テトラサイクリン及びその異性体、エリスロマイシン、抗炎症剤、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ヘトプロフェン(hetprofen)、植物抽出物、例えば、ハンノキ(alnus)属植物、ウサギギク(arnica)属植物、カワラヨモギ(アルテミシア・カピラリス(artemisia capillaris))、ウスバサイシン(asiasarum)属植物の根、キンセンカ(calendula)属植物、カミツレ、ニジウム(nidium)、コンフリー、ウイキョウ、ゴバイシ(galla rhois)、サンザシ、ドクダミ(houttuynia)属植物、オトギリソウ(hypericum)属植物、ナツメ、キーウィ、カンゾウ、モクレン(magnolia)属植物、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン(philodendron)属植物、サルビア(salvia)属植物、クマザサ(ササ・アルボマルギナタ(sasa albomarginata))、イミダゾール、例えば、ケトコナゾール及びエルビオール(elubiol);清涼剤(refreshing agent);瘢痕形成剤(cicatrizing agent);血管保護剤;フケ(抗フケ剤)、脂漏性皮膚炎又は乾癬を抑制するための剤、例えば、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム及びジルコニウムなどの重金属から形成されるジンクピリチオンのようなピリチオン塩、シェールオイル及びその誘導体、例えばスルホン化シェールオイル、硫化セレン、硫黄、サリチル酸、コールタール、ポビドンヨード、イミダゾール、例えば、ケトコナゾール、ジクロロフェニルイミダゾロジオキサラン(dichlorophenyl imidazolodioxalan)、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、クリンバゾール、チオコナゾール、スルコナゾール、ブトコナゾール、フルコナゾール、亜硝酸ミコナゾール(miconazolenitrite)並びにこれらの可能性のある立体異性体及び誘導体、例えば、アントラリン、ピロクトンオラミン(オクトピロックス(Octopirox))、硫化セレン、シクロピロクスオラミン、抗乾癬剤、例えば、ビタミンD類似体、例えば、カルシポトリオール、カルシトリオール及びタカレイトロール(tacaleitrol)、ビタミンA類似体、例えば、ビタミンAパルミチン酸エステルなどのビタミンAのエステル、レチノイド、レチノール及びレチノイン酸、コルチコステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、クロベタゾン、酪酸エステル、プロピオン酸クロベタゾール;制汗剤又は防臭剤、例えば、クロロヒドロキシアルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート;免疫調節剤;養毛剤(nourishing agent);脱毛剤、例えば、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸ストロンチウム;抗脱毛剤;パーマネントウェーブ処理用還元剤;反射剤(reflectant)、例えば、マイカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、ジオレイン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール、シリカ、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウム;精油並びに香料を更に含む。
【0101】
本発明の組成物のpHは、従来法により、例えば4.0~7.0、好ましくは4.5~6.5、より好ましくは5.0~6.0に調整することができる。
【0102】
第4の態様において、本発明は、美容有効成分の送達系としての本発明による二相型化粧料組成物の使用を提供する。
【0103】
本発明による二相型化粧料組成物において、油性相及び水性相の少なくとも一方は、皮膚上で美容活性を示す有効成分を含む。
【0104】
この有効成分に関しては、好適な有効成分に加えてそれらの組成物中の量も、本明細書において上に述べたものと同じであることを理解すべきである。
【0105】
第5の態様において、本発明は、本発明による美容有効成分を含む二相型化粧料組成物を適用するための方法であって、組成物を振盪することによって巨視的に均質な混合物を形成することと、混合物を皮膚に適用することと、を含む、方法を提供する。
【0106】
本発明による二相型化粧料組成物は、皮膚に非常に柔軟でみずみずしい感触を与えながら、水性成分及び油性成分を同時に送達することができることが見出された。本発明の二相型化粧料組成物は、油性の構成成分の量を減らしつつ、各相の構成成分を、それぞれの利点を保持したまま送達することができる。本発明による二相型化粧料組成物は、皮膚に意図しない有害な作用及び生物蓄積の問題を生じさせる可能性のある界面活性剤の含有量が低減されている。
【実施例
【0107】
以下に示す実施例によって本発明の態様をより十分に説明するが、これらは本発明の特定の態様を説明するために記載するものであって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0108】
実施例においては以下に示す材料及び評価方法を使用した。
【0109】
材料:
表1に示す材料を使用した。
【0110】
【表1】
【0111】
二相型化粧料組成物の調製:
二相型化粧料組成物を以下に示すように調製する。材料の重量百分率を以下の表に示す。
1.油性相の構成成分を水性相の構成成分に75~80℃の温度で撹拌しながら加えた後、数分間均質化することにより均一な溶液を形成する。
2.均質化後、ゆっくりと撹拌しながら室温まで冷却し、油性相及び水性相の構成成分以外の構成成分を溶液に加えて均一になるまで撹拌する。
【0112】
相分離評価方法:
二相型化粧料組成物の水性相の透明性は目視で確かめることができる。
【0113】
表2~5及び図1~3に結果を示す。表2~5において、相Aは水性相の構成成分を含み、相Bは油性相の構成成分を含み、相Cは脂肪アルコールポリオキシアルキレンエーテル及び界面活性剤を含み、相Dは有効成分を含む。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
表2~5及び図1~3から分かるように、本発明の実施例1~14においては、2つの分離した相がエマルション相及び透明な水性相として存在し、静置時はエマルション相が透明な水性相の上に浮いており、2つの相のはっきりとした境界面が形成される。一方、比較例1~3においては、水性相に綿状沈殿が現れるか又はエマルション相及び透明な水性相を含む二相型化粧料組成物を形成することなく水及び油が分離する。
【0119】
本開示の実施形態及び実施例を上に記載したが、当業者は、これらは例示のみを目的とするものであって、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。本開示の保護範囲は添付の特許請求の範囲に定義されている。当業者は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変形、均等な置換又は改良を施すことができるが、これらの変形、均等な置換又は改良も本開示の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】