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特表2024-515275リサイクルガスモードを使用する、気相中でのアミンの製造の連続方法
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  • 特表-リサイクルガスモードを使用する、気相中でのアミンの製造の連続方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】リサイクルガスモードを使用する、気相中でのアミンの製造の連続方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/02 20060101AFI20240401BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20240401BHJP
   C07C 215/08 20060101ALI20240401BHJP
   C07D 295/13 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C07C213/02
C07B61/00 300
C07C215/08
C07D295/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562672
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2022058403
(87)【国際公開番号】W WO2022218705
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168407.1
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21209625.9
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】パストレ,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】メルダー,ヨハン-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クルック,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,クリスティン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC52
4H006AD18
4H006BA05
4H006BA09
4H006BA10
4H006BA21
4H006BA30
4H006BB60
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC13
4H006BC18
4H006BC32
4H006BD33
4H006BE14
4H006BE20
4H006BN10
4H006BU32
4H039CA71
4H039CD30
4H039CH20
(57)【要約】
アミンの連続製造の方法であって、リサイクルガスモードを使用して、気相中で水素及び不均一系水素化触媒の存在下において第一級又は第二級アルコールをアンモニアと反応させることを含み、圧力分離器内の温度は、20℃より高い、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミンの連続製造の方法であって、リサイクルガスモードを使用して、気相中で水素及び不均一系水素化触媒の存在下において第一級又は第二級アルコールをアンモニアと反応させることを含み、圧力分離器内の温度は、20℃より高い、方法。
【請求項2】
前記圧力分離器内の前記温度は、21℃より高く、好ましくは25℃より高く、特に好ましくは30℃より高く、なおより好ましくは30~70℃又は30~60℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧力分離器は、反応圧力に近い圧力で運転される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧力分離器内の前記圧力は、前記反応圧力より0.01~10バール(例えば、0.1~10バール)、好ましくは0.01~5バール、特に好ましくは0.5~3バール低い、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リサイクルガス流は、(運転圧力において)40~1500m、好ましくは100~700m/[触媒m(床容積)・h]の範囲の流量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
新鮮なアンモニアは、前記アルコールのモル量の0.90~100、好ましくは1~30、特に好ましくは1.5~10又はさらに2~8倍のモル量で添加される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応は、1~300バール、好ましくは10~50バール、特に好ましくは10~30バール又はさらに15~30バールの範囲の絶対圧力で実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応は、80~300℃、好ましくは100~250℃、特に好ましくは150~240℃又はさらに170~230℃の範囲の温度で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
液空間速度は、触媒1リットル(床容積)及び1時間あたり0.1~2.0kg、好ましくは0.1~1.0kg、特に好ましくは0.2~0.6kgのアルコールの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記不均一系水素化触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
20~85重量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)及び/又は二酸化ケイ素(SiO2);
1~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記不均一系水素化触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO);
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記不均一系水素化触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al);
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記不均一系水素化触媒の前記触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、5~28重量%、好ましくは6~20重量%、特に好ましくは7~15重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
- それぞれの環状アミンであって、前記方法は、ジオール、好ましくは2~6つの炭素原子を有する脂肪族一級ジオール、特に好ましくはジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール又は1,6-ヘキサンジオールをアンモニアと反応させることを含む、それぞれの環状アミン、
- 1-メトキシ-2-プロピルアミンであって、前記方法は、1-メトキシ-2-プロパノールをアンモニアと反応させることを含む、1-メトキシ-2-プロピルアミン、及び
- モノ-、ジ-及びトリヘキシルアミンであって、前記方法は、ヘキサン-1-オールをアンモニアと反応させることを含む、モノ-、ジ-及びトリヘキシルアミン
の製造ための、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1,4-ブタンジオールをアンモニアと反応させることを含む、ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンの同時製造のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミンの連続製造の方法であって、リサイクルガスモードを使用して、気相中で水素及び不均一系水素化触媒の存在下において第一級又は第二級アルコールをアンモニアと反応させることを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この方法の生成物は、特に、燃料添加剤(米国特許出願公開第A-3,275,554号明細書;独国特許出願公開第A-2125039号明細書及び独国特許出願公開第A-3611230号明細書)、界面活性剤、薬剤及び作物保護剤、エポキシ樹脂用硬化剤、ポリウレタン用触媒、第四級アンモニウム化合物の調製用中間体、可塑剤、腐食防止剤、合成樹脂、イオン交換体、繊維助剤、染料、加硫促進剤並びに/又は乳化剤の製造における中間体として使用される。
【0003】
国際公開第2010/031719A1号パンフレットは、気相中でのアミンの調製方法に関する。実験項では、ガスリサイクルモードを使用する様々なアミンの製造が教示されている。実施例によれば、反応器の生産物は、10℃まで冷却され、圧力分離器に供給される(22頁29行目)。
【0004】
独国特許出願公開第102004023529A1号明細書(BASF)は、CuO、NiO及びAlを含む不均一系触媒を用いた気相中でのアミンの調製方法に関する。
【0005】
欧州特許出願公開第70397A1号明細書(BASF)は、環状アミンの製造方法に関する。実施例によれば、反応混合物は、20℃まで冷却され、圧力分離器に供給される(6頁32行目~34行目)。
【0006】
独国特許出願公開第19957672A1号明細書(BASF)は、ピロリジンの製造に関するものであり、副生成物としてのビス(ピロリジノ)ブタンの生成及びピロリジンからのその分離について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、対応する第一級アルコールからアミンを製造する既存の方法を改良し、従来技術の1つ又は複数の欠点を改善することであった。その意図は、高転化率、空時収率を含む高収率及び選択性で実施される方法を見出すことであった。
【0008】
技術的課題は、高純度で分離及び単離するための効率的な手段を含む、高転化率、空時収率を含む高収率及び選択性でピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンを同時製造する方法を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、上記の技術的課題は、アミンの連続製造の方法であって、リサイクルガスモードを使用して、気相中で水素及び不均一系水素化触媒の存在下において第一級又は第二級アルコールをアンモニアと反応させることを含み、圧力分離器内の温度は、20℃より高い、方法によって解決することができる。
【0010】
圧力分離器内の温度が所望のアミン反応生成物の選択性に大きい影響を及ぼすことは、驚くべきことであった。当技術分野では、圧力分離器内の温度をそれぞれ10℃又は20℃とすることが教示されている(国際公開第2010/031719A1号パンフレット、22頁29行目及び欧州特許出願公開第70397A1号明細書、6頁32行目~34行目を参照されたい)ことを考慮すると、圧力分離器内の温度が20℃より高いことにより、アミン選択性の上昇が導かれることは、驚くべきことであった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による方法の典型的なセットアップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、圧力分離器内の温度は、21℃より高いか又はさらに25℃より高い。アミン選択性に関して最良の結果は、30℃より高い圧力分離器内の温度を実現することによって得ることができる。好ましくは、圧力分離器内の温度は、30~70℃、さらに好ましくは30~60℃の範囲である。
【0013】
本方法は、反応器又は複数の反応器中で実施される。明示的に別段の定めがない限り、「反応器」という用語は、「複数の反応器」も含む。リサイクルガスモードは、反応器で得られた反応混合物を圧力分離器に供給し、そこで反応混合物をガス流と液体反応生成物流(「生成物流」ともいう)とに分離し、ガス流を反応器にリサイクルすることによって実現される。このようなガス流は、主に水素及びアンモニアからなる(有意な量の生成アミンがそこに見出されることはない)。通常、このようなガス流の一部は、排出される。そうしないと、新鮮な水素及び新鮮なアンモニアが反応に連続的に供給されるため、処理されるガス量が絶えず増加することになる。リサイクルされるガス流の一部は、「リサイクルガス」又は「リサイクルガス流」とも呼ばれる。リサイクルガス流は、通常、40~1500m、好ましくは100~700m(運転圧力時)/[触媒m(床容積)]・hの範囲の流量を有することができる。
【0014】
通常、圧力分離器内の温度は、反応器から出る反応混合物を冷却することによって実現される。
【0015】
圧力分離器は、通常、以下にさらに規定される反応圧力に近い圧力で運転される。通常、圧力分離器内の圧力は、反応圧力より0.01~10バール(例えば、0.1~10バール)、好ましくは0.01~5バール、特に好ましくは0.5~3バール低い。
【0016】
圧力分離器で得られた生成物の流れを、反応圧力より低い圧力で運転される低圧分離器に供給することができる。典型的な圧力は、1~10バールの範囲内である。低圧分離器では、それぞれのアミノ化反応に応じた残りの量の水素及びアンモニア並びに他の低沸点物質が分離される。得られた液体流は、それぞれの生成アミンを含み、さらに分離することができる。
【0017】
圧力分離器で得られた生成物流を蒸留カラムに供給することも可能であり、そこで、それぞれのアミノ化反応に応じた残りの量の水素及びアンモニア並びに他の低沸点物質を分離することができる。好ましくは、アンモニアは、新鮮なアンモニアとして反応にリサイクルされる。得られた液体流は、それぞれの生成アミンを含み、さらに分離することができる。ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンの同時製造について、以下でさらに詳述する。
【0018】
反応は、気相中で行われる。そのために、蒸発器を使用することができ、この蒸発器では、それぞれのアルコールは、通常、リサイクルガス流であるガス流中で蒸発される。新鮮な水素及びアンモニアを蒸発器に直接供給することもできる。さらに、新鮮な水素及び/又はアンモニアをリサイクルガス流又は反応器中に直接供給することも可能である。本発明による方法の典型的なセットアップを図1に示す。
【0019】
本発明の方法は、連続的に実施され、触媒は、好ましくは、反応器内に固定床として設置される。固定触媒床への流入は、上方からでも又は下方からでも可能である。ガス流の温度、圧力及び量は、比較的高沸点の反応生成物も気相に残るように設定される。
【0020】
好ましくは、反応は、チューブ反応器、特にチューブ束反応器又はシングルストリームプラントで実施される。シングルストリームプラントの場合、反応が実施されるチューブ反応器は、好ましくは、直列に接続された複数の(例えば、2つ又は3つの)個々のチューブ反応器から構成される。任意のこのような反応器において反応が実施される場合、本明細書において規定される任意の反応圧力又はそれぞれの範囲は、反応器入口における反応圧力を意味する。上記のように、圧力分離器内の圧力は、反応圧力より通常0.01~10バール(例えば、0.1~10バール)、好ましくは0.01~5バール、特に好ましくは0.5~3バール低い。したがって、任意のそれぞれの圧力低下は、反応器の長さにわたって生じる圧力低下を含む。圧力のさらなる低下は、圧力分離器に入る前に反応器を出る反応混合物の冷却の結果として生じる可能性もある。
【0021】
新鮮なアンモニアは、例えば、アルコールの0.90~100倍、好ましくは1~30倍、特に好ましくは1.5~10倍、さらに2~8倍のモル量で添加される。これらの範囲は、反応に添加される新鮮なアルコールのモル量を意味し、リサイクルガス流に含まれる可能性のあるアルコールの任意の痕跡量は、無視されることを理解されたい。疑義を避けるために、アルコール官能基のモル量ではなく、アルコール分子全体のモル量に言及している。反応器内のアンモニアの全体量は、新鮮なアンモニアの量及び新鮮なアンモニアと見なされないリサイクルガス流に含まれるアンモニアの量から生じるため、新鮮なアンモニアの量を超えることに留意されたい。新鮮なアンモニアは、例えば、アンモニアカラムで生成物流から分離され、圧力分離器を出てリサイクルされる任意のアンモニアでもあり得る。
【0022】
新鮮な水素は、通常、NL=標準リットル=容積をSTPに換算して、(触媒の容積L及び時間)あたり100~1000NL、好ましくは150~550NLの量で添加される。STPは、温度及び圧力の標準条件を意味する。
【0023】
反応は、1~300バール、好ましくは10~50バール、特に好ましくは10~30バール、さらに好ましくは15~30バールの範囲の絶対圧力で行うことができる。
【0024】
反応は、80~300℃、好ましくは100~250℃、特に好ましくは150~240℃、さらに170~230℃の範囲の温度で実施することができる。反応は、断熱的、等温的又は準等温的(すなわち等周温的)に実施することができるが、それぞれの場合において反応器内の温度は前文によるそれぞれの範囲内にあることが条件である。好ましくは、反応は、等周温的温度プロファイルで実施され、反応温度は、±15K、特に好ましくは±10Kの範囲内に制御される。
【0025】
これらの温度変動は、出発原料が触媒床に入る時点と、反応混合物が触媒床から出る時点とのそれぞれの触媒床における一般的な温度に基づいている。
【0026】
複数の触媒床を並列又は直列に接続することも可能である。
【0027】
複数の触媒床が直列に接続されている場合、本発明による等温又は等周温運転モードにおける所定の温度変動は、出発物質が最初の触媒床に入り、反応混合物が最後の触媒床から出る時点における触媒床内のそれぞれの温度に適用される。
【0028】
好ましい実施形態において、上記の通り、好ましくは、チューブ反応器である反応器の温度は、例えば、油、塩溶融物又は熱を伝達することができる他の液体であり得る熱伝達媒体の流れによって外部から制御される。
【0029】
液相での合成と比較して且つ気相での非等温合成又は等周温合成と比較して、本発明による反応条件は、特に反応温度が高い場合(例えば、200~300℃)、特に良好な収率及び暴走反応に関する高い安全性という利点を有する。
【0030】
等温又は等周温気相運転モードは、合成中の暴走反応の可能性を大幅に低減する。反応器内に存在し、暴走反応に利用可能な物質の質量は、液相方法に存在する質量のごく一部に過ぎない。
【0031】
アルコールの転化率は、好ましくは、80~100%、より好ましくは99~100%、さらに99.5~100%の範囲である。転化率は、反応で消費されるアルコールのモル量を意味する。
【0032】
液空間速度は、触媒1リットル(床容積)及び1時間あたり好ましくは0.1~2.0kg、好ましくは0.1~1.0kg、特に好ましくは0.2~0.6kgのアルコールの範囲である。
【0033】
反応中に生成する水は、一般に、転化率、反応速度、選択性及び触媒の運転寿命に悪影響を及ぼさないため、有利には、後者のワークアップ中のみ例えば蒸留によって反応生成物から除去される。
【0034】
反応は、不均一系水素化触媒の存在下で行われる。好ましくは、水素による還元前のこのような触媒の触媒活性組成物は、銅の酸素含有化合物を含む。より好ましくは、水素による還元前のこのような触媒の触媒活性組成物は、銅の酸素含有化合物と、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及び/又は二酸化ケイ素である別の酸化物質とを含む。好ましくは、酸化物質は、酸化アルミニウム及び/又は酸化ジルコニウム、さらに好ましくは酸化アルミニウムである。
【0035】
疑義を避けるために、「及び/又は」とは、それぞれの酸化物質が、列挙された酸化物のいずれか又は列挙された酸化物の2種若しくは該当する場合にはそれを超えるものの混合物であることを意味する。
【0036】
好ましい実施形態において、不均一系水素化処理触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
20~85重量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO);
1~70重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%、特に0~15重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む。
【0037】
本明細書では、「及び/又は」とは、それぞれの触媒がそれぞれの酸化物のいずれか及びそれらのいずれかの混合物を含み得ることを意味する。
【0038】
このような好ましい実施形態における触媒活性組成物は、0~50重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、Crとして計算されるクロムの酸素含有化合物、ZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、BaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物をさらに含み得る。
【0039】
本発明の方法において、触媒は、好ましくは、触媒活性組成物及び任意選択的に触媒が成形体として使用される場合には成形助剤(例えば、グラファイト又はステアリン酸)から完全になる触媒の形態で使用され、すなわちさらなる触媒活性付随物質を含まない。
【0040】
本明細書では、二酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)及び二酸化ケイ素(SiO)などの酸化物質は、触媒活性組成物の一部と見なされる。
【0041】
本発明による触媒は、例えば、ニッケルの酸素含有化合物を含有することができるか、又は本質的にそれを含まないことが可能である。疑義を避けるために、これは、以下に規定されるより好ましい、特に好ましい及び非常に特に好ましい実施形態にも適用される。
【0042】
NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物が存在する場合、その量は、例えば、5~28重量%、好ましくは6~20重量%、特に好ましくは7~15重量%であり得る。
【0043】
ニッケルの酸素含有化合物を本質的に含まない触媒を使用することも可能である。その場合、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物の量は、通常、5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満(例えば、0.1重量%未満)である。このような触媒の例は、独国特許出願公開第102004023529A1号明細書の段落[0101]及び[0102]に記載されている。
【0044】
触媒を使用するには、粉砕して粉末にする触媒活性組成物を反応容器に導入するか、又は触媒活性組成物を、粉砕、成形助剤との混合、成形及び熱処理後、成形された触媒体として、例えばペレット、球体、リング、押出物(例えば、押出ロッド)として反応器に設置する。
【0045】
触媒の成分の濃度の数値(重量%)は、特に断りのない限り、それぞれの場合に関して、最終熱処理後及び水素による還元前の仕上げられた触媒の触媒活性組成物に基づくものである。
【0046】
その最後の熱処理後及びそれが水素によって還元される前の触媒の触媒活性組成物は、触媒活性成分及び触媒担体材料の合計として定義される。上記の好ましい実施形態において、触媒活性組成物は、本質的に、以下の成分:二酸化チタン(TiO)、及び/又は酸化アルミニウム(Al)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO)、及び/又は二酸化ケイ素(SiO)、及び銅の酸素含有化合物、及び任意選択的にマグネシウムの酸素含有化合物、及び/又はクロムの酸素含有化合物、及び/又は亜鉛の酸素含有化合物、及び/又はバリウムの酸素含有化合物、及び/又はカルシウムの酸素含有化合物、及び任意選択的にニッケルの酸素含有化合物からなり、NiOとして計算されるこれらのニッケルの酸素含有化合物の量は、30重量%以下である。
【0047】
Al、ZrO、TiO、SiO、CuO、MgO、Cr、ZnO、BaO、CaO及びNiOとして計算される触媒活性組成物の上記成分の合計は、通常、70~100重量%、好ましくは80~100重量%、特に好ましくは90~100重量%、非常に特に好ましくは100重量%である。
【0048】
本発明の方法で使用される触媒の触媒活性組成物は、周期表のI A~VI A族、及びI B~VII B族、及びVIII族から選択される1種若しくは複数の元素(酸化状態0)又はそれらの無機若しくは有機化合物をさらに含むことができる。
【0049】
このような元素及びその化合物の例は、Co及びCoO、Re及び酸化レニウム、Mn及びMnO、Mo及び酸化モリブデン、W及び酸化タングステン、Ta及び酸化タンタル、Nb及び酸化ニオブ又はシュウ酸ニオブ、V及び酸化バナジウム、ピロリン酸バナジルなどの遷移金属;Ce及びCeO又はPr及びPr2O3などのランタノイド;Na2Oなどのアルカリ金属酸化物;アルカリ金属炭酸塩;SrOなどのアルカリ土類金属酸化物;MgCO、CaCO及びBaCOなどのアルカリ土類金属炭酸塩;酸化ホウ素(B)である。
【0050】
より好ましい実施形態において、本発明の方法で使用される触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO);
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%、特に0~15重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む。
【0051】
特に好ましい実施形態において、本発明の方法で使用される触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al)及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO);
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、特に好ましくは0~20重量%、特に0~15重量%の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
を含む。
【0052】
このような特に好ましい実施形態において、二酸化チタン(TiO)及び二酸化ケイ素(SiO)の存在は、排除されない。触媒が二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO2)も含む場合、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)の総量は、好ましくは、それぞれ25~80重量%又は30~75重量%である。
【0053】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法で使用される触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al);
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
0~30重量%、好ましくは0~25重量%、例えば0~20重量%、特に0~15重量%の、NiOとしてニッケルの酸素含有化合物
を含む。
【0054】
このような非常に特に好ましい実施形態において、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び二酸化ケイ素(SiO)の存在は、排除されない。触媒が二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)も含む場合、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)の総量は、好ましくは、それぞれ25~80重量%又は30~75重量%である。
【0055】
上記のような、より好ましい、特に好ましい及び非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される触媒の触媒活性組成物は、0~30重量%、好ましくは0~20重量%の、MgOとして計算されるマグネシウムの酸素含有化合物、及び/又はCrとして計算されるクロムの酸素含有化合物、及び/又はZnOとして計算される亜鉛の酸素含有化合物、及び/又はBaOとして計算されるバリウムの酸素含有化合物、及び/又はCaOとして計算されるカルシウムの酸素含有化合物をさらに含み得る。
【0056】
銅の酸素含有化合物は、特に酸化銅(I)及び酸化銅(II)、好ましくは酸化銅(II)である。
【0057】
非常に好ましい実施形態において、触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al);及び
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物
から本質的になる。
【0058】
別の非常に好ましい実施形態において、触媒の触媒活性組成物は、その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に、
25~80重量%、好ましくは30~75重量%の酸化アルミニウム(Al)、
2~65重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは20~60重量%の、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物;及び
30重量%未満、好ましくは5~28重量%、より好ましくは6~20重量%未満、さらに好ましくは7~15重量%未満の、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物
から本質的になる。
【0059】
「から本質的になる」とは、触媒の触媒活性組成物が95重量%より多く、好ましくは99重量%より多くの酸化アルミニウム、銅の酸素含有化合物及び必要に応じてニッケルの酸素含有化合物からなることを意味する。
【0060】
本発明の方法で使用される触媒は、種々の方法で調製することができる。このような方法については、本明細書に参照により組み込まれる独国特許出願公開第102004023529A1号明細書、特に段落[0046]~[0063]を参照されたい。
【0061】
本発明による方法は、それぞれの環状アミンの製造に特に適切であり、その方法は、ジオールとアンモニアとの反応からなる。
【0062】
好適なジオールは、2~6つ、好ましくは4~6つの炭素原子を有する第一級脂肪族ジオールである。本明細書では、「脂肪族」という用語は、芳香環系を含まず、環状ではない官能化又は非官能化有機残基を意味するものとする。これは、任意のヘテロ原子、例えば酸素を含む任意の官能基を有することができる。
【0063】
好ましい脂肪族ジオールは、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される。1,4-ブタンジオールが特に好ましい。
【0064】
このようなジオールとアンモニアとの反応では、それぞれの反応条件次第でさらに貴重な生成物が生じ得る。
【0065】
本発明による方法は、メトキシ-2-プロピルアミンの製造にも特に適しており、その方法は、1-メトキシ-2-プロパノールをアンモニアと反応させることを含む。
【0066】
さらに、本発明による方法は、モノ-、ジ-及びトリヘキシルアミンの製造にも特に適しており、その方法は、ヘキサン-1-オールをアンモニアと反応させることを含む。
【0067】
本発明による方法は、ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンの同時製造により特に適しており、その方法は、1,4-ブタンジオールをアンモニアと反応させることを含む。
【0068】
いかなる理論にも拘束されることを望むことなく又はいかなる種類でも本発明の範囲を限定することなく、ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンの同時製造は、以下の反応スキームを介して生じると考えられる。
【化1】
【0069】
ピロリジンとビス(ピロリジノ)ブタンとの比率は、反応条件及び方法セットアップ次第で変動可能である。本発明による温度範囲内で圧力分離器を運転することにより、経済的により好ましいピロリジンの収率が向上する。
【0070】
ピロリジンをリサイクルする代わりに又はリサイクルするとともに、新鮮なピロリジンをアンモニア及びアルコールと一緒に反応器に供給することも可能である。
【0071】
ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタンの同時製造の場合、圧力分離器から得られる生成物流は、特に、ピロリジン、ビス(ピロリジノ)ブタン、4-ヒドロキシブチルピロリジン、4-アミノブチルピロリジン、ビス(ピロリジニル)ブタンの沸点よりも高い沸点を有する高沸点物質、アンモニア及び水を含有する。好ましくは、このような生成物流は、例えば、蒸留によってさらに分離される。このようにして生成物流から除去されたピロリジンを、ビス(ピロリジノ)ブタン生成の増加をもたらす反応にリサイクルすることは原則的に可能である。いかなる理論にも拘束されることを望むことなく又はいかなる種類でも本発明の範囲を限定することなく、このようなリサイクルは、上記反応スキームからわかるように、反応器中のピロリジン濃度を増加させ、それによりビス(ピロリジノ)ブタンへの反応を有利にすると考えられる。
【0072】
図1は、特に好ましい実施形態を表す。ライン(1)を介してアルコール及びライン(2)を介してリサイクルガスが蒸発器(4)に供給される。圧力を所望の反応圧力まで上昇させるために、リサイクルガスを圧縮機(11)に通過させる。新鮮な水素及びアンモニアは、ライン(3a)及び(3a’)を介して蒸発器(4)中に直接供給することができるか、又はライン(3b)及び(3b’)を介してリサイクルガス中に供給することができる。それらは、ライン(3c)及び(3c’)を介して、圧縮機(11)を通過する前にリサイクルガス中に供給することもできる。これは、水素及びアンモニアの両方の流れがリサイクルガスよりも高い圧力を有するため、圧縮機に必要なエネルギー量を削減できる点で有利である。水素及びアンモニアは、ライン(3d)及び(3d’)を介して反応器中に直接供給することもできる。理論的には、水素(すなわち(3a)~(3d))及びアンモニア(すなわち(3a’)~(3d’))を添加するこのような方法のいずれかの組み合わせも可能である。蒸発器(4)ではアルコールが蒸発され、得られたガス流は、ライン(5)を介して反応器(6)中に供給される。反応混合物を熱交換器(8)に通過させ、任意選択的にライン(7)を介してクライオスタット(図1に図示せず)に通過させ、そこで冷却され、圧力分離器(9)中に供給され、そこで水素及びアンモニアから本質的になるガス流が取り出される。ライン(10)を介して前記ガス流の一部が排出される。残りは、ライン(2)を介して蒸発器(4)にリサイクルガスとしてリサイクルされる。
【0073】
さらに、ライン(12)を介して粗反応生成物を圧力分離器(9)から低圧分離器(13)中に供給し、そこでさらに脱気することも可能である。得られたガス流は、水素、アンモニア及びそれぞれの低沸点物質から本質的になり、ライン(15)を介して排出される。粗反応生成物、特に貴重な生成アミン及び高沸点物質は、ライン(14)を介して低圧分離器(13)から取り出される。前記粗アミン生成物をさらに精製することができる。
【0074】
ライン(12)を介して、粗反応生成物を圧力分離器(9)から蒸留カラム(図1に図示されず)に供給することも可能であり、ここで、水素、アンモニア及びそれぞれの低沸点物質が除去される。好ましくは、アンモニアは、新鮮なアンモニアとして反応にリサイクルされる。
【0075】
通常、実験室規模では低圧セパレーターが使用され、工業規模ではそれぞれの蒸留カラムが使用される。
【0076】
以下の実施例は、本発明の説明する目的のために役立つのみであり、したがっていかなる種類でも本発明を限定するものではない。
【実施例
【0077】
触媒:
以下の実施例は、(その最後の熱処理後及び水素によるその還元前に)45重量%のCuO及び10重量%のNiO、100%までの残りがガンマ-Alである組成を有する銅/ニッケル触媒を使用して実行された。
【0078】
触媒は、独国特許出願公開第A-2445303号明細書の実施例1に従って調製した。反応開始前に触媒を還元した(下記を参照されたい)。
【0079】
実施例1~4
気相炉反応器中で連続的に実験を実行した。その中では、内径4.8cmの長さ2.1mの油加熱二重壁管内を反応物が下方から上方に流動し、40mlのセラミック球(2.5~3.5mm)、1リットルの触媒及び1.5リットルの不活性物質(セラミック球、2.5~3.5mm)が下方から上方に充填された。反応器を20バールで運転した。ペレット状の成形触媒体は、5×5mm(すなわち直径5mm及び高さ5mm)のサイズで使用された。反応器への設置後、全ての触媒を以下の方法に従って大気圧で活性化した:20NL/HのN2及び400NL/HのN2を用いて180℃(オイル循環反応器)で12時間、20NL/Hの40H2及び400NL/HのN2を用いて200℃で12時間、6時間かけてN2を200NL/HのH2で置換、200NL/HのH2を用いて240℃で6時間。(NL=標準リットル=STPに換算した容積)。新鮮な水素、循環ガス、加圧ガス及び出発原料の供給流は、3つのコイル式熱交換器を含むシステムにより、所望の反応器温度まで加熱された。第3の熱交換器は、反応器直前の温度センサーによって制御した。二重壁反応器のオイル加熱も同様に所望の反応器温度に設定された。さらに2つのコイル式熱交換器により、反応器の生産物は、まず河川の水によって冷却され、次にクライオスタットを使用して圧力分離器の所望の温度(25~49℃)まで加熱され、圧力分離器に供給された。圧力分離器は、反応圧力(20バール)より約2.5バール低い圧力で運転された。そこで液相と気相との分離が生じた。液相は、45℃に維持された低圧分離器中で減圧され、そこから放出されたガスは、オフガスを介して排出され、液体は、生産物ドラムに送られた。圧力分離器からの気相は、循環ガス圧縮機を介して決められた量のみ再循環され、再び出発原料のキャリアガスとして作用した。圧力調整器により、余剰ガスは、焼却のためにマッフル炉に送られた。生成物の転化率及び選択率は、ガスクロマトグラフィー分析によって決定され、補正GC面積%で報告されている。
【0080】
上記のセットアップは、図1で説明したセットアップに対応する。
【0081】
実施例1~4の反応条件は、以下の通りである。
反応器入口温度:199℃
反応器出口温度:209℃
蒸発器温度:220℃
反応圧力:20バール
液空間速度:0.5kg BDO/(L(Cat.)・h)
モル比(新鮮なNH:BDO):3:1
水素流量:150NL/[触媒L(床容積)]・h]
リサイクルガス流量:7Nm/[触媒L(床容積))]・h]
転化BDO:100%
(Nm=標準立方メートル=STPに換算した容積)
【0082】
結果を以下の表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
結果の考察
表1に示された結果によると、ピロリジン選択性の増加は、圧力分離器の温度を上げることによって達成できる。25~35℃の温度範囲でプラトーに達する。さらに、アミン生成物(特に貴重な生成物ピロリジン及びビス(ピロリジノ)ブタン)に対する全体的な選択性が増加する。さらに、不要な副生成物THFの量は、常に減少する。
図1
【国際調査報告】