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特表2024-515487温度調節システム、リソグラフィ装置及びオブジェクトを温度調節するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】温度調節システム、リソグラフィ装置及びオブジェクトを温度調節するための方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 502
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559995
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022057476
(87)【国際公開番号】W WO2022223220
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21169681.0
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21178831.0
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21209310.8
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ メーレンドンク,レムコ
(72)【発明者】
【氏名】ディレックス,ダニエル,ヨゼフ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ナキボグル,ギュネス
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターソン,ニコラス,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クルークキスト,ヨースト,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ペケルデル,スフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ネット,アントニウス,ヨハヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス,ヨハネス,ヘンドリカス,ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】オウデス,ヤープ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ゲラルドス,アーノルドス,ヘンドリカス,フランシスカス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン リプジグ,ジェロエン,ペトラス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン サントフォールト,ヨハネス,フランシスカス,マルティヌス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA10
2H197AA12
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197DB19
2H197GA01
2H197GA21
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
2H197JA09
(57)【要約】
本発明は、オブジェクトの温度を調節するために調節液を使用する温度調節システムを提供し、温度調節システムは、調節導管、戻り導管、供給チャンバ及び排出チャンバを含み、供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、調節導管を通るフローを生み出すために配置される。また、リソグラフィ装置、及びオブジェクトを温度調節するための方法についても説明する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの温度を調節するために調節液を使用する温度調節システムであって、
前記オブジェクトを通じて又は前記オブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
前記戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び前記調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
前記調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び前記戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含み、
前記供給チャンバの第1の圧力及び前記排出チャンバの第2の圧力が、大気圧より低い圧力レベルで保持され、
前記供給チャンバアウトレットと前記排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、前記調節導管を通るフローを生み出すために配置される、温度調節システム。
【請求項2】
前記戻り導管が、前記排出チャンバから前記供給チャンバに調節液をポンピングするように構成されたポンプを含む、請求項1に記載の温度調節システムであって、前記ポンプによって生じる流動励起振動の前記調節導管への伝播を減衰させるために配置される、温度調節システム。
【請求項3】
前記ポンプが配置される前記戻り導管の少なくとも一部から前記調節導管を液体分離するために配置される、請求項2に記載の温度調節システムであって、
前記戻り導管の前記一部が、前記供給チャンバインレットと前記供給チャンバアウトレットとの間の第1の気体容積を提供することによって及び/又は前記排出チャンバインレットと前記排出チャンバアウトレットとの間の第2の気体容積を提供することによって、前記調節導管から液体分離される、並びに/或いは、
前記供給チャンバが、第1の液面を有し、前記供給チャンバインレットが、前記第1の液面より上方に配置され、前記供給チャンバアウトレットが、前記第1の液面より下方に配置される、及び/又は、
前記排出チャンバが、第2の液面を有し、前記排出チャンバインレットが、前記第1の液面より上方に配置され、前記排出チャンバアウトレットが、前記第2の液面より下方に配置される、温度調節システム。
【請求項4】
前記供給チャンバアウトレットと前記排出チャンバインレットとの間で一定の静水圧差を維持するために、前記供給チャンバの第1の液面を前記排出チャンバインレットの上方に一定の高さで維持するために配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の温度調節システムであって、
前記供給チャンバが、前記第1の液面を制御するためのオーバーフローラインを含む、及び/又は、
前記第1の液面が、垂直方向に移動可能な且つ前記供給チャンバの調節液内まで部分的に延びるボディによって制御される、温度調節システム。
【請求項5】
前記供給チャンバ及び前記排出チャンバの気体圧力レベルを制御するための気体圧力コントローラを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項6】
前記供給チャンバの第1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラと、前記排出チャンバの第2の気体圧力レベルを制御するための第2の気体圧力コントローラとを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項7】
前記戻り導管が、前記ポンプの下流に位置する第1の弁と、前記ポンプの上流に位置する第2の弁とを含み、前記調節導管が、前記第1の弁及び前記第2の弁を閉鎖することによって前記戻り導管の前記一部から液体分離することができる、請求項2~6の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項8】
前記供給チャンバが、第1の接続弁を含む第1の接続導管を介して互いに接続される主要供給チャンバ及び補助供給チャンバを含み、前記排出チャンバが、第2の接続弁を含む第2の接続導管を介して互いに接続される主要排出チャンバ及び補助排出チャンバを含む、請求項7に記載の温度調節システム。
【請求項9】
前記主要供給チャンバが、前記第1の弁及び/又は前記第1の接続弁並びに前記第2の弁を閉鎖することによって前記戻り導管の前記一部から液体分離することができ、前記主要排出チャンバが、前記第2の弁及び/又は前記第2の接続弁を閉鎖することによって前記戻り導管の前記一部から液体分離することができる、請求項7に記載の温度調節システム。
【請求項10】
前記供給チャンバの第1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラと、前記排出チャンバの第2の気体圧力レベルを制御するための第2の気体圧力コントローラとを含む、請求項7~9の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項11】
前記供給チャンバインレット及び/又は前記排出チャンバインレットがそれぞれ、前記供給チャンバ及び排出チャンバへのフロー速度を低減するためのインレットフロー減衰デバイスを含む、請求項1~10の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項12】
調節液の前記フローにおけるフロー障害を低減するため、前記調節導管、前記供給チャンバ及び/又は前記排出チャンバに、発泡材料、多孔質材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料が少なくとも部分的に充填されるか、又は、複数の実質的に並列するチャネルが充填される、請求項1~11の何れか一項に記載の温度調節システム。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の温度調節システムを含むリソグラフィ装置であって、オブジェクトが、前記リソグラフィ装置の一部である、リソグラフィ装置。
【請求項14】
温度調節システムにおいて調節液を使用してオブジェクトを温度調節するための方法であって、前記温度調節システムが、
前記オブジェクトを通じて又は前記オブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
前記戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び前記調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
前記調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び前記戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含み、前記方法が、
前記供給チャンバアウトレットと前記排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、前記調節導管を通るフローを生み出すことと、
前記供給チャンバの第1の圧力及び前記排出チャンバの第2の圧力を大気圧より低い圧力レベルで維持することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記排出チャンバから前記戻り導管を通じて前記供給チャンバに調節液を同時にポンピングすることを含む、請求項14に記載の方法であって、
前記温度調節システムが、ポンプによって生じる流動励起振動の前記調節導管への伝播を減衰させるために配置され、
前記戻り導管が、前記ポンプの下流に位置する第1の弁と、前記ポンプの上流に位置する第2の弁とを含み、前記方法が、前記第1の弁及び前記第2の弁を閉鎖することによって前記戻り導管の一部から前記調節導管を液体分離することを含み、
前記供給チャンバが、第1の接続弁を含む第1の接続導管を介して互いに接続される主要供給チャンバ及び補助供給サブチャンバを含み、前記排出チャンバが、第2の接続弁を含む第2の接続導管を介して互いに接続される主要排出チャンバ及び補助排出チャンバを含み、前記方法が、
前記供給チャンバから前記排出チャンバへのフローを生み出すために前記供給チャンバアウトレットと前記排出チャンバインレットとの間に静圧差を適用しながら、前記第1の弁及び前記第2の弁を閉鎖することによって、前記戻り導管の前記一部から前記調節導管を液体分離し、前記第1の接続弁及び前記第2の接続弁を開放することと、
前記主要供給チャンバから前記主要排出チャンバへのフローを生み出すために前記供給チャンバアウトレットと前記排出チャンバインレットとの間に静圧差を適用しながら、前記第1の接続弁及び前記第2の接続弁を閉鎖することによって、前記戻り導管の前記一部から前記調節導管を液体分離し、前記第1の弁及び前記第2の弁を開放し、前記ポンプによって前記補助排出チャンバから前記補助供給チャンバに調節液をポンピングすることと
を交互に行うことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年4月21日に出願された欧州特許出願第21169681.0号、2021年6月10日に出願された欧州特許出願第21178831.0号及び2021年11月19日に出願された欧州特許出願第21209310.8号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は、温度調節システム、リソグラフィ装置及びオブジェクトを温度調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターンを基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板にパターンを投影するため、リソグラフィ装置は、電磁放射を使用することができる。この放射の波長により、基板上に形成することができるフィーチャの最小サイズが決定される。4~20nmの範囲内(例えば6.7nm又は13.5nm)の波長を有する極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば、193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するために使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィプロセスにおけるフォーカス及びオーバーレイに対する需要が高まると共に、リソグラフィのクリティカルオブジェクトの安定性がますます重要になっている。これらのクリティカルオブジェクトは、例えば、リソグラフィ装置の投影システムのミラー素子を含む。オブジェクトの安定性は、オブジェクトの位置(オブジェクトの振動など)及び温度影響(オブジェクト(クリティカルオブジェクト)の熱応力に起因する変形など)への対処に関連する。
【0006】
[0006] ミラー素子は、投影システムにおいて、パターン形成された放射ビームを反射するために使用される。この反射は、ミラー素子における放射ビームの実質的な熱負荷をもたらす。この熱負荷により、ミラー素子の変形を招く内部熱応力が生じ得る。リソグラフィ装置の公知の実施形態では、ミラー素子などのオブジェクトの温度を調節して熱応力を制御するための予熱システムが使用される。これらの予熱システムは、必ずしもミラー素子の温度制御を十分に提供するとは限らない。
【0007】
[0007] その代替として、リソグラフィ装置において1つ又は複数のオブジェクトの温度を制御するため、調節液による温度調節が使用される。そのような温度調節には、温度を調節すべきオブジェクトを通って伸びるか又はオブジェクトに沿って伸びる少なくとも1つの調節導管(通常は、調節導管網)が含まれる。温度調節システムは、比較的大量の調節液を既定の温度で保持するタンクと、少なくとも1つの調節導管を通じて調節液をポンピングするためのポンプとを含む。
【0008】
[0008] 温度調節システムの欠点は、ポンプのポンピングアクションにより、調節液を通じて伝播される圧力変動が生まれることである。これらの圧力変動により、調節すべきオブジェクトにおいて振動が発生し得る。オブジェクトにおけるこれらの流動励起振動(例えば、投影システムのミラー素子の振動)は、リソグラフィ装置のフォーカス及び/又はオーバーレイ性能に対して悪影響を及ぼし得る。さらなる欠点は、調節液の圧力がミラー素子の表面形状の変形に影響を与えることであり、それにより、リソグラフィ装置のフォーカス及び/又はオーバーレイ性能に対してさらなる悪影響が及び得る。液体における圧力変動を生み出す別の原因は、流体部品が取り付けられる機械部品の振動及び/又は床の振動によって生じる液体系の一部の加速である。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の目的は、調節液のフローにおける圧力変動によって生じるオブジェクト内の流動励起振動を実質的に低減することができる、オブジェクトを熱的に調節するための熱調節システム、具体的には、調節液を使用する熱調節システムを提供することである。本発明のさらなる目的は、リソグラフィ装置において使用するためのそのような熱調節システム及び温度調節システムにおいて調節液を使用してオブジェクトを温度調節するための方法を提供することである。
【0010】
[00010] 本発明の態様によれば、オブジェクトの温度を調節するために調節液を使用する温度調節システムであって、
オブジェクトを通じて又はオブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含み、
供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、調節導管を通るフローを生み出すために配置される温度調節システムが提供される。
【0011】
[00011] 本発明の以前の態様の実施形態では、供給チャンバの第1の圧力及び排出チャンバの第2の圧力は、大気圧より低い圧力レベルで保持される。
【0012】
[00012] 本発明の態様によれば、オブジェクトの温度を調節するために調節液を使用する温度調節システムを含むリソグラフィ装置であって、オブジェクトが、リソグラフィ装置の一部である、リソグラフィ装置が提供される。
【0013】
[00013] 本発明の態様によれば、温度調節システムにおいて調節液を使用してオブジェクトを温度調節するための方法であって、温度調節システムが、
オブジェクトを通じて又はオブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含む、方法であり、
供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、調節導管を通るフローを生み出すこと
を含む、方法が提供される。
【0014】
[00014] ここでは、添付の概略図面を参照して、単なる例として、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】温度調節システムを含むリソグラフィ装置の概略図を描写する。
図2】温度調節システムを含むリソグラフィ装置の概略図を描写する。
図3】本発明による温度調節システムの第1の実施形態を概略的に描写する。
図4】本発明による温度調節システムの第2の実施形態を概略的に描写する。
図5】本発明による温度調節システムの第3の実施形態を概略的に描写する。
図6】本発明による温度調節システムの第4の実施形態を概略的に描写する。
図7】排出チャンバの例示的な実施形態を概略的に描写する。
図8】排出チャンバの代替の例示的な実施形態を概略的に描写する。
図9】供給チャンバの例示的な実施形態を概略的に描写する。
図10】多孔質チャネルの例示的な実施形態を概略的に描写する。
図11A】多孔質チャネルの生産方法の実施形態を概略的に描写する。
図11B】多孔質チャネルの生産方法の実施形態を概略的に描写する。
図11C】多孔質チャネルの生産方法の実施形態を概略的に描写する。
図12】オーバーフローラインにおける気液分離器の第1の実施形態を有する、図4の温度調節システムの実施形態を描写する。
図13図12の気液分離器をさらに詳細に描写する。
図14】オーバーフローラインにおける気液分離器の第2の実施形態を有する、図3の温度調節システムの実施形態を描写する。
図15図14の気液分離器をさらに詳細に描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[00015] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され、そのような電磁放射には、紫外線放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する極端紫外線放射)が含まれる。
【0017】
本文で採用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに相当するパターン形成された断面を入射放射ビームに与えるために使用することができる一般的なパターニングデバイスを指すものとして広義に解釈することができる。本文では、「ライトバルブ」という用語も使用される場合がある。古典的なマスク(透過型又は反射型のマスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスクなど)以外にも、他のそのようなパターニングデバイスの例として、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイが含まれる。
【0018】
[00016] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に描写する。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0019】
[00017] 動作中、照明システムILは、放射源SOから、例えば、ビームデリバリシステムBDを介して、放射ビームを受け取る。照明システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のための様々なタイプの光学コンポーネントを含み得、例えば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネント或いはそれらの任意の組合せなどが含まれる。イルミネータILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAの面においてその断面における所望の空間強度分布及び角度強度分布を有するように、放射ビームBを調節するために使用することができる。
【0020】
[00018] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈すべきであり、そのような投影システムには、使用されている露光放射に適した及び/又は他の要因(液浸液の使用若しくは真空の使用など)に適した、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム或いはそれらの任意の組合せが含まれる。本明細書における「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なすことができる。
【0021】
[00019] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分が、比較的高い屈折率を有する液体(例えば、水)で覆われるタイプのものであり得、これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6952253号に示されている。
【0022】
[00020] リソグラフィ装置LAは、2つ以上の基板支持部WTを有するタイプのもの(「デュアルステージ」とも呼ばれる)でもよい。そのような「複数ステージ」の機械では、基板支持部WTを並行して使用することができる、及び/又は、ある基板支持部WT上に位置する基板Wが、その基板Wにパターンを露光するために使用されている間に、他の基板支持部WT上に位置する別の基板Wに対して、その別の基板Wの後続の露光準備のステップを行うことができる。
【0023】
[00021] 基板支持部WTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するために配置される。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するために配置することができる。測定ステージは、複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の一部(例えば、投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部)をクリーニングするために配置することができる。測定ステージは、基板支持部WTが投影システムPSから離れると、投影システムPSの真下に移動し得る。
【0024】
[00022] 動作中、放射ビームBは、マスク支持部MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断すると、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムPMSの支援により、基板支持部WTは、例えば、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメント位置に異なるターゲット部分Cが位置決めされるように、正確に移動することができる。同様に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするため、第1のポジショナPMや、場合によっては別の位置センサ(図1では明示的に描写せず)を使用することができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。基板アライメントマークP1、P2は、示されるように、専用ターゲット部分を占有しているが、ターゲット部分間の空間にも位置し得る。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に位置する場合は、スクライブレーンアライメントマークとして知られている。
【0025】
[00023] 図2は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを含むリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを発生させ、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを含む。
【0026】
[00024] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。それに加えて、照明システムILは、視野ファセットミラーデバイス10及び瞳孔ファセットミラーデバイス11を含み得る。視野ファセットミラーデバイス10及び瞳孔ファセットミラーデバイス11は共に、所望の断面形状及び所望の強度分布をEUV放射ビームBに提供する。照明システムILは、視野ファセットミラーデバイス10及び瞳孔ファセットミラーデバイス11に加えて又はその代わりに、他のミラー又はデバイスを含み得る。
【0027】
[00025] このように調節した後、EUV放射ビームBは、パターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン形成されたEUV放射ビームB’が発生する。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成される。その目的のため、投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’を基板テーブルWTによって保持される基板Wに投影するように構成された多数のミラー13、14を含み得る。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、従って、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さなフィーチャを有する画像を形成することができる。例えば、4又は8の縮小係数を適用することができる。図2では、投影システムPSは、2つのミラー素子13、14しか有さないように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば、6つ又は8つのミラー)を含むことができる。
【0028】
[00026] 基板Wは、以前に形成されたパターンを含み得る。これが当てはまる場合、リソグラフィ装置LAは、パターン形成されたEUV放射ビームB’によって形成された画像を基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0029】
[00027] 放射源SO、照明システムIL及び/又は投影システムPSでは、相対真空(すなわち、大気圧をはるかに下回る圧力での少量の気体(例えば、水素))を提供することができる。
【0030】
[00028] 放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)又はEUV放射を発生させることができる他の任意の放射源であり得る。
【0031】
[00029] 図2のリソグラフィ装置LAの投影システムPSは、パターン形成された放射ビームを反射してパターン形成された放射ビームを投影経路に沿って導くためのミラー素子14を含む。このパターン形成された放射ビームの反射により、ミラー素子MEにおける実質的な熱負荷が誘発される。この熱負荷により、ミラー素子ME内の熱応力及びこれらの熱応力の影響としての変形が生じ得る。ミラー素子MEの変形は、リソグラフィ装置のフォーカス及びオーバーレイ性能に対して実質的な悪影響を及ぼし得るため、回避すべきものである。
【0032】
[00030] ミラー素子14における熱応力を防ぐため又は少なくとも制御するため、ミラー素子14の温度を調節するための熱調節システムTCSが提供される。熱調節システムTCSは、調節液(例えば、水)を導くために配置された調節導管CCを含む。多数の管を有し得る調節導管CCは、調節流体とミラー素子14との間の熱交換を容易にするために、ミラー素子14に沿って伸びる及び/又はミラー素子14を通って伸びる。熱調節システムTCSは、ミラー素子14を冷却するため及び/又は加熱する(予熱する)ために使用することができる。
【0033】
[00031] 図3は、ミラー素子ME(例えば、図2に示されるミラー素子14)の温度調節のための温度調節システムTCSの第1の実施形態をより詳細に示す。温度調節システムTCSは、供給チャンバSC及び排出チャンバDCを含む。供給チャンバSCでは、調節液は、最高で第1の液面LL1まで保持される。供給チャンバSCの第1の液面LL1は、第1の液面LL1を上回って保持されるであろう液体を排出チャンバDCに排出するためのオーバーフローラインOFLを使用して、一定の高さで保持される。言い換えれば、過剰な液体は、オーバーフローラインOFLに入り、排出チャンバDCに排出される。排出チャンバDCでは、調節液は、最高で第2の液面LL2まで保持される。
【0034】
[00032] 図3~6では、1つのミラー素子MEのみ示されている。他の実施形態では、温度調節システムTCSは、同じ供給/排出チャンバから又は別個のチャンバと並行して多数のミラー素子MEを温度調節するように構成される。
【0035】
[00033] ミラー素子MEに向かう調節導管CCに沿って、ミラー素子MEの方に流れる調節液の温度を制御するために、熱コンディショナTC(例えば、制御加熱素子)が提供される。熱コンディショナは、例えば、調節液の温度を一定に維持するために配置された温度センサ及び加熱素子を含む。また、熱コンディショナTCは、冷却素子(制御冷却素子)も含み得る。代替の実施形態では、熱コンディショナTCは、供給チャンバSCの調節液の温度を制御するために、少なくとも部分的に供給チャンバSC内に又は供給チャンバSCに隣接して配置することができる。他の代替の実施形態では、熱コンディショナTCは、液体から熱を除去するために、ポンプPUと供給チャンバSCとの間の戻り導管RCなど、他の適切な場所に配置することができる。
【0036】
[00034] 供給チャンバSCは、供給チャンバインレットSCI及び供給チャンバアウトレットSCOを含む。供給チャンバインレットSCIは、第1の液面LL1より上方に配置され、供給チャンバアウトレットSCOは、第1の液面LL1より下方に配置される。それに相応して、排出チャンバDCは、排出チャンバインレットDCI及び排出チャンバアウトレットDCOを含み、排出チャンバインレットDCIは、第2の液面LL2より上方に配置され、排出チャンバアウトレットDCOは、第2の液面LL2より下方に配置される。排出チャンバインレットDCIを第2の液面LL2より上方に配置することにより、有利には、第2の液面LL2による調節回路CC内の調節液圧力への影響を排除することができる。従って、より安定した圧力により、有利には、FIVの伝達が低減される。
【0037】
[00035] 供給チャンバアウトレットSCOは、調節導管CCの調節導管インレットCCIに接続され、排出チャンバインレットDCIは、調節導管CCの調節導管アウトレットCCOに接続される。従って、調節液は、供給チャンバSCから調節導管CCを通って排出チャンバDCに流れ得る。第1の液面LL1は第1の高さで保持され、排出チャンバインレットDCIは第2の高さ(第2の高さは第1の高さより低い)で配置されるため、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDCIとの間には、一定の静水圧差がある。これにより、調節導管CCにおいて低い圧力変動を有する連続フローが生まれる。これらの圧力変動はリソグラフィプロセスのフォーカス及び/又はオーバーレイに悪影響を及ぼし得るミラー素子MEの流動励起振動を引き起こし得るため、これらの流圧変動は望ましくない。連続フローは安定した圧力差によって駆動されるため、本発明は、ミラー素子MEにおける流動励起振動を非常に小さくすることができ、有利には、リソグラフィ装置LAのオーバーレイ性能を向上させることができる。
【0038】
[00036] 供給チャンバSCと排出チャンバDCは、それらの間に高低差があるように配置される又は置かれるため、両チャンバSC、DCと調節導管CCとの間には一定の静水圧フローが提供され、それにより、両チャンバ間の差が生じる。これにより、有利には、ミラー素子MEに伝達されるFIVが低減する。ミラー素子MEにFIVが伝達されないことで、放射ビームとミラー素子MEの相互作用に起因する歪み又は像誤差が排除される。一実施形態では、温度調節システムTCSは、供給チャンバSCと排出チャンバDCを互いに異なる高さで配置し得るか、又は、供給チャンバSCと排出チャンバDCと間に高低差があり得る。これにより、圧力上昇、より具体的には、静水圧上昇が生まれる。好ましくは、供給チャンバSCは、床に対して、供給チャンバSCより高い高さにある。
【0039】
[00037] 戻り導管RCは、排出チャンバDCから供給チャンバSCに調節液を戻すために提供される。排出チャンバアウトレットDCOは、戻り導管RCの戻り導管インレットRCIに接続され、供給チャンバインレットSCIは、戻り導管RCの調節導管アウトレットCCOに接続される。戻り導管RCでは、排出チャンバDCから供給チャンバSCに調節液をポンピングするポンプPUが提供される。供給チャンバの第1の液面LL1が一定に維持されることを保証するため、オーバーフローラインOFLを通る液体フローが常に存在するように、戻り導管RCを通ってポンプPUによってポンピングされる液体の流量は、調節導管CCを通る液体の流量より常に大きくなければならない。LL1とDCIとの間の特定の垂直距離を所与として、フローを制御するため、供給チャンバSCとミラー素子MEとの間に第1のフロー抵抗を提供すること、及び/又は、ミラー素子MEと排出チャンバDCとの間に第2のフロー抵抗を提供することができる。
【0040】
[00038] 熱調節システムTSCは、戻り導管RCを通ってポンプPUによってポンピングされる液体の流量を制御するための流量制御デバイスを含み得、制御デバイスは、調節導管CCを通る液体の流量より大きい、ポンプPUによってポンピングされる液体の流量を維持するために配置される。この流量制御デバイスは、例えば、調節導管内及び/又はオーバーフローラインOFL内の調節液の流量を測定するフローセンサのセンサ信号に基づいて、或いは、供給チャンバSCの第1の液面LL1の高さを測定する液面センサのセンサ信号に基づいて、ポンプを作動することができる。
【0041】
[00039] ポンプのポンピングアクションは、戻り導管RCに存在する調節液における圧力変動を引き起こし得る。これらの圧力変動が調節導管CCの調節液に伝播されないようにするため、供給チャンバSC及び排出チャンバDCにおいて比較的大きな気体容積を提供することによって、圧力変動を少なくとも部分的に減衰させる。実質的な減衰効果を持たせるため、供給チャンバSCの第1の気体容積GV1及び排出チャンバの第2の気体容積GV2の各々は、少なくとも0.5リットル(例えば、少なくとも10リットル)の容積を有する。
【0042】
[00040] 機械部品の振動及び/又は床の振動によって生じる液体系の一部の加速に起因する圧力変動を防ぐため、減衰デバイス又は手段を提供することができる。減衰デバイス又は手段は、例えば、温度コンディショナTCとミラー素子との間又はミラー素子と排出チャンバDCとの間に位置し得る。減衰デバイスは、ヘルムホルツ共鳴器タイプ若しくはベローズタイプのダンパ又は他のタイプのダンパ或いはそれらの組合せであり得る。
【0043】
[00041] 液体回路は、プライミングした調節液で回路を満たすため、回路の排液を行うため、回路のリークテストを行うため(すなわち、回路内の漏れをテストするため)並びに回路をフラッシュする及びプライミングするために、多くの接続部を有し得る。
【0044】
[00042] 図3の実施形態では、調節導管CCは、戻り導管から液体分離される。これは、調節導管CCと戻り導管RC又はポンプが位置する戻り導管RCの少なくとも一部分との間に連続液体容積が存在しないことを意味する。これは、戻り導管RCの流動励起振動が調節導管CCに伝播されないようにする上で、さらなる有益な効果をもたらす。この液体分離は、供給チャンバSCの第1の液面LL1の上方に存在する第1の気体容積GV1及び排出チャンバDCの第2の液面LL2の上方に存在する第2の気体容積GV2によって生まれる。
【0045】
[00043] 供給チャンバインレットSCI及び排出チャンバインレットDCIはそれぞれ、第1の液面LL1及び第2の液面LL2より上方に配置されるため、調節導管CCと戻り導管RCとの間に連続液体容積は存在しない。ポンプPUによって生じ、戻り導管RCに存在する調節液中を伝播するいかなる圧力変動も、供給チャンバSC及び排出チャンバDCの第1及び/又は第2の気体容積によって主に吸収され、従って、実質的には、調節導管CC内の調節液には到達しない。供給チャンバSC及び排出チャンバDCとの接続部の機械的剛性は低く、その結果、例えば、機械的振動により、供給導管SC及び/又は調節導管CCにおける圧力変動が生じることはない。これらの接続部は、例えば、戻り導管RC、オーバーフローラインOFL、調節導管インレットCCI及び調節導管アウトレットCCOの接続部を含む。
【0046】
[00044] 調節導管のフローは、ポンプPU及び他の部品/コンポーネントによるいかなる圧力変動も生じることなく、供給チャンバアウトレットSCOの圧力と排出チャンバインレットDCIの圧力との間の一定の静水圧差によって駆動されるため、調節導管を通る調節液のフローは、非常に小さな流動励起振動を有する。供給チャンバインレットSCI及び/又は排出チャンバインレットDCIがそれぞれ、第1の液面LL1及び第2の液面LL2より上方に配置されないこともあり得る。そのような実施形態では、図6の実施形態に関して説明されるように、1つ又は複数の弁を提供することによって、調節導管CCに達する前に、戻り導管RCに存在する流動励起振動を阻止することも、発泡材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料などの減衰材料又は減衰デバイスを提供して、調節液を通じる圧力変動の伝播を減衰させることもできる。そのような実施形態では、比較的大きな容積の第1の気体容積GV1及び第2の気体容積GV2もまた、流動励起振動を減衰させる効果を有する。図3の温度調節システムTCSは、クローズドシステムである。これは、環境との直接的な流体連通がないことを意味する。供給チャンバSCの第1の気体容積GV1の圧力及び排出チャンバDCの第2の気体容積GV2の圧力は、気体圧力コントローラGPCによって制御される。第1の容積GV1の圧力と第2の気体容積GV2の圧力は同じである。従って、調節導管CCを通るフローは、第1の液面LL1と排出チャンバインレットDCIの高さとの間の高低差によって生じる、供給チャンバアウトレットSCOの圧力と排出チャンバインレットDCIの圧力との間の一定の静水圧差によってのみ駆動される。さらなる実施形態では、調節導管CCの圧力を測定するために、圧力センサPSEを提供することができる。測定された圧力は、気体圧力コントローラGPCへの入力として使用することができる。
【0047】
[00045] 気体圧力コントローラGPCは、第1の気体容積GV1及び第2の気体容積GV2において、大気圧より低い一定の圧力を維持するために使用される。一実施形態では、供給チャンバSC内の第1の圧力及び排出チャンバDC内の第2の圧力は、大気圧より低い圧力で保持される。第1の気体容積GV1及び第2の気体容積GV2の圧力は、例えば、0.5バールを下回る(例えば、0.1バール~0.3バールの範囲の)絶対圧力レベルに設定される。有利には、大気圧より低い熱調節システムは、ミラー素子MEの表面の変形を低減する。それに加えて、大気圧より低い圧力スローで流れる調節流体により、ミラー素子MEは、有利には、ミラー素子動的リンクの剛性を低下し、これを受けて、振動の動的分離が実現する。
【0048】
[00046] 一実施形態では、熱調節システムTCSは、少なくとも1つのチャンバ(すなわち、供給チャンバのみ、排出チャンバのみ又はその両方)の気体圧力レベルを制御するように構成された気体圧力コントローラを含む。上述した通り、供給チャンバの第1の圧力及び排出チャンバの第2の圧力は、大気圧より低い圧力レベルで保持される。
【0049】
[00047] 図4は、熱調節システムTCSの第2の実施形態を示す。この実施形態は、供給チャンバSC及び排出チャンバDCの気体圧力を制御する方法において、図3の実施形態とは異なる。図3の実施形態は、第1の気体容積GV1及び第2の気体容積GV2において大気圧より低い一定の圧力を維持するために、1つの気体圧力コントローラGPCを含むが、図4の実施形態は、供給チャンバSCの第1の気体容積GV1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラGPC1と、排出チャンバSCの第2の気体容積GV2の気体圧力を制御するための第2の気体圧力コントローラGPC2とを含む。さらなる実施形態では、調節導管CCの圧力を測定するために、圧力センサPSEを提供することができる。測定された圧力は、第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2への入力として使用することができる。
【0050】
[00048] 2つの別個の気体圧力コントローラGPC1、GPC2の利点は、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDCIとの間の静圧差が、第1の液面LL1と排出チャンバインレットDCIの高さとの間の高低差のみではなく、第1の気体容積GV1の圧力と第2の気体容積GV2の圧力との間の圧力差によっても決定されるということである。第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2によって提供される気体圧力は正確に且つ能動的に制御できるため、このセットアップにより、供給チャンバSC及び排出チャンバDCの垂直方向における相対的な配置に対して、さらなる柔軟性が提供される。図3の実施形態では、調節導管CCを通るフローは、図3の実施形態で示されるような高低差によって生じる静水圧差によってのみ駆動されるため、供給チャンバSCと排出チャンバDCとの間には、必要な高低差が存在する。図4の実施形態では、気体圧力コントローラGPC1、GPC2によって提供される圧力差によって、調節導管CCを通るフローの制御に対するさらなる可能性が提供されるため、高低差の要件は、それほど厳しくない。
【0051】
[00049] 図4の実施形態では、排出チャンバインレットDCIは、第1の液面LL1より下方に配置される。この実施形態では、第1の気体容積GV1の比較的大きな容積により、戻り状態RCから調節導管CCに来る流動励起振動の伝播が低減される。それに加えて、供給チャンバインレットSCIは、調節液を通じる圧力変動の伝播を減衰させるために、メッシュ/発泡材を含む。調節液は、メッシュ中を流れ、供給チャンバSC及び排出チャンバDCのそれぞれに流入する際に振動を低減する/減衰させる。そのような排出チャンバDC及び供給チャンバSCの実施形態の例は、図7~9に示されている。
【0052】
[00050] 図4の実施形態では、調節導管CCを通るフローは、調節導管CCを通じて低い圧力変動を有するフローをもたらす静圧差に基づく。これにより、有利には、安定した圧力差によってフローが駆動されることを理由に、極端に小さな流動励起振動を有するフローが可能になる。また、第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2は、第1の気体容積GV1及び第2の気体容積GV2において大気圧より低い圧力を維持するためにも使用される。それと共に、調節流体のフローによるミラー素子MEにおける流動励起振動の存在がさらに低減され得る。
【0053】
[00051] 図5は、熱調節システムTCSの第3の実施形態を示す。この実施形態は、第1の液面LL1を制御する方法において、図3の実施形態とは異なる。この実施形態では、供給チャンバSC内の液体に部分的に浸されたピストンボディと、ピストンボディが液体に浸される深さを能動的に適応させるためにピストンボディを垂直方向に移動するように構成されたリニアアクチュエータとを含む可動ピストンMPIが提供される。
【0054】
[00052] 供給チャンバSC内の液体の第1の液面LL1を測定するため、液面センサLSEが提供される。液面センサLSEによって測定されるような第1の液面LL1に基づいて、第1の液面LL1を制御するようにピストンボディの位置を適応させることができる。このように、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDCIとの間の一定の静水圧差を維持して、調節導管CCを通る一定のフローを駆動することができる。
【0055】
[00053] それに加えて又はその代替として、調節導管CCの圧力を測定するために、圧力センサPSEを提供することができ、圧力センサPSEの場所(すなわち、調節導管CCの圧力が測定される場所)において一定の圧力を維持するために、可動ピストンMPIが能動的に制御される。
【0056】
[00054] 第1の液面LL1の測定された高さに基づく第1の液面LL1及び/又は調節導管CCの測定場所における圧力のこの能動的制御を使用することにより、熱調節システムTCSの圧力上昇における変動をより正確に処置することができる。例えば、調節液の流入の一時的な不足は、ピストンMPIを下方に移動すること延いては所望の第1の液面LL1を維持することによってバランスを保つことができる。これは、調節導管CCの所望の圧力レベルからの偏差及び調節導管CCにおける流量の変動を引き起こす、ポンプPUのポンプフロー変動による第1の液面LL1のレベル変動を防ぐ。
【0057】
[00055] 図3の実施形態と同様に、調節導管CCは、供給チャンバSCの第1の気体容積GV1及び排出チャンバDCの第2の気体容積GV2によって、戻り導管RCから液体分離される。供給チャンバインレットSCI及び排出チャンバインレットDCIはそれぞれ、第1の液面LL1及び第2の液面LL2より上方に配置されるため、調節導管CCと戻り導管RCとの間には、ポンプPUのポンピングアクションによって生じる圧力変動を伝播し得る連続液体容積は存在しない。その代替として又はそれに加えて、圧力変動を減衰させる構造物/材料を提供することができる。
【0058】
[00056] 図6は、熱調節システムTCSの第4の実施形態を示す。この実施形態では、供給チャンバSCは、第1の接続弁CVA1を含む第1の接続導管を介して互いに接続される主要供給チャンバMSC及び補助供給チャンバASCを含む。排出チャンバDCは、第2の接続弁CVA2を含む第2の接続導管を介して互いに接続される主要排出チャンバMDC及び補助排出チャンバADCを含む。さらに、戻り導管RCは、ポンプPUの下流に位置する第1の弁VA1と、ポンプPUの上流に位置する第2の弁VA2とを含む。第1及び第2の接続弁CVA1、CVA2並びに第1及び第2の弁VA1、VA2の各々は、閉鎖位置及び開放位置に配置することができる。
【0059】
[00057] また、熱調節システムTCSは、主要供給チャンバMSC及び補助供給チャンバASCの気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラGPC1や、主要排出チャンバMDC及び補助排出チャンバADCの気体圧力を制御するための第2の気体圧力コントローラGPC2も含む。第1の圧力弁PV1及び第2の圧力弁PV2はそれぞれ、補助供給チャンバASC及び補助排出チャンバADCの圧力制御を開放及び/又は閉鎖するために提供される。
【0060】
[00058] 主要供給チャンバMSC及び主要排出チャンバMDCの液面は、時間と共に変化し得る。図示されていない特定の実施形態では、主要供給チャンバMSCの液面を測定するために、主要供給チャンバMSCに第1の液面センサLLSSを提供することができる。それに相応して、主要排出チャンバMDCの液面を測定するために、主要排出チャンバMDCに第2の液面センサLLSDを提供することができる。第1の液面センサLLSS及び第2の液面センサLLSDによって測定されるような液面はそれぞれ、第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2への入力として使用し、主要供給チャンバMSC及び主要排出チャンバMDCの実際の液面に応じて圧力レベルを調整することができる。
【0061】
[00059] 図6の構成は、2つの(主要な)動作モードを可能にする。第1のモードでは、第1の弁VA1及び第2の弁VA2は閉鎖され、第1の接続弁CVA1及び第2の接続弁CVA2並びに第1の圧力弁PV1及び第2の圧力弁PV2は開放される。
【0062】
[00060] この第1のモードでは、主要供給チャンバMSC及び補助供給チャンバは、単一の供給チャンバSCの働きをし、主要排出チャンバMDC及び補助排出チャンバADCは、単一の排出チャンバDCの働きをする。第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2を使用して供給チャンバSC及び排出チャンバDCの圧力をそれぞれ制御することにより、調節導管CCを通じて低い圧力変動を有する一定のフローが生まれるように、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDCIとの間の静圧差を正確に制御することができる。
【0063】
[00061] この制御は、例えば、調節導管CCにおいて圧力センサPSEによって測定されるような測定された圧力レベルを使用することによって、さらに改善することができる。この第1の動作モードでは、戻り導管RCは、閉鎖した第1の弁VA1及び閉鎖した第2の弁VA2によって、調節導管から少なくとも部分的に液体分離される。調節液は、供給チャンバSCから排出チャンバDCに流れるが、第1の弁VA1及び第2の弁VA2は閉鎖されているため、調節液は、排出チャンバDCから供給チャンバSCに戻ることはできない。
【0064】
[00062] 第2の動作モードでは、第1の弁VA1及び第2の弁VA2は開放され、第1の接続弁CVA1及び第2の接続弁CVA2並びに第1の圧力弁PV1及び第2の圧力弁PV2は閉鎖される。この第2のモードでは、主要供給チャンバMSCのみが供給チャンバSCの働きをし、主要排出チャンバMDCのみが排出チャンバDCの働きをする。第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2を使用して主要供給チャンバSC及び主要排出チャンバMDCの圧力をそれぞれ制御することにより、ミラー素子における流動励起振動を防ぐために、調節導管CCを通じて低い圧力変動を有する一定のフローが生まれるように、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDCIとの間の静圧差を正確に制御することができる。
【0065】
[00063] 第2の動作モードでは、補助排出チャンバADCからの調節液は、補助供給チャンバASCに補充するために、戻り導管RCを通じて、ポンプPUによって、補助供給チャンバASCにポンピングすることができる。この第2の動作モードでは、主要供給チャンバMSCは、閉鎖した第1の接続弁CVA1によって、ポンプPUが配置される戻り導管RCの一部から液体分離され、主要排出チャンバMDCは、閉鎖した第2の接続弁CVA2によって、ポンプPUが位置する戻り導管RCの一部から液体分離される。このように、第2の動作モードでは、調節導管CCが戻り導管RCから液体分離されると同時に、調節液が補助供給チャンバASCにポンピングされる。
【0066】
[00064] 第1の動作モードと第2の動作モードを交互に行うことにより、供給チャンバアウトレットSCOと排出チャンバインレットDSIとの間の静圧差に基づいて一定のフローを生み出すことができると同時に、ポンプが位置する戻り導管RCの少なくとも一部が調節導管CCから液体分離される。これは、例えば、ポンプPUのポンピングアクションの結果としての調節液の圧力変動によって生じるミラー素子MEの流動励起振動が実質的に低減されるという利点を有する。
【0067】
[00065] 上記で説明される熱調節システムTCSの実施形態では、供給チャンバSC及び排出チャンバDCにおける調節液の流入及び流出が、特に調節導管CCにおいて、調節液を通じて伝播し得る圧力変動を生み出さないことが有益である。
【0068】
[00066] 例えば、供給チャンバアウトレットSCOの場所では、調節液は、流れが加速するように、供給チャンバSCの大きな容積から調節導管CCの小さな直径の管に入る。備えがなければ、フローは、調節導管インレットCCIで分離する傾向があり、それにより、ミラー素子MEにおける流動励起振動が生じ得る。これを防ぐため、例えば、フローストレートナを有する湾曲したインレットを置かれている供給チャンバアウトレットSCOに置くことができる。
【0069】
[00067] 供給チャンバ及び/又は排出チャンバに水が流入する場所では、調節液は、それぞれの液面の上方からそれぞれのチャンバに流入し得る。圧力変動の影響を低減する/防ぐため、調節液のフローを分断して調節液がチャンバの調節流体の容積にスムーズに入れるようにする特定の構造物又は材料を提供することによって、チャンバへの調節液の流入の制御を生み出すことができる。例えば、調節液は、上部からチャンバに入り、有孔管の内側に配置されたワイヤメッシュに落下し得る。ワイヤメッシュは、水柱を分断し、有孔管は、それぞれのチャンバの調節流体の容積へのスムーズな調節流体の流入を可能にする。
【0070】
[00068] 図7は、排出チャンバDCの例示的な実施形態をさらに詳細に示す。圧力レベル制御の観点から、排出チャンバインレットDCIを通って排出チャンバDCに入る調節液は、第2の液面LL2から切り離して、第2の液面LL2の変化が圧力レベル変化をもたらし、それにより、調節導管CCに戻るフロー及び圧力レベルの変化が生じないようにすることが望ましい。排出チャンバインレットDCIを通って流れる調節液と排出チャンバDCに既に存在する調節液との切り離しは、排出チャンバインレットDCIを排出チャンバDCの上部壁に置くことによって実現される。第2の液面LL2に落下する調節液によって生じる圧力変動をさらに低減する/防ぐため、有孔管PFTの内側にワイヤメッシュWMが提供される。ワイヤメッシュWMは、排出チャンバインレットDCIを通って落下する調節液柱を分断し、有孔管PTは、調節液が排出チャンバの調節液の容積にスムーズに入ることを確認する。ワイヤメッシュWMは、インレットフロー減衰デバイスの例であり得る。
【0071】
[00069] 代替の実施形態では、調節液を低速でチャンバに流入することができる段又は階段状の形状(すなわち、幅広い階段)及び調節液が液面に接する前の小さな段差を適用することができる。階段又は階段状の形状は、インレットフロー減衰デバイスの例であり得る。
【0072】
[00070] 別の代替の実施形態は、水をチャンバに流すための水インレットとして、スリット又は小さなスリットを提供する。このスリットは、平面スリット又は円形スリットの形態を取り得る。さらなる別の実施形態では、図8に示されるように、チャンバの内壁は、チャンバへの調節液の流入をスムーズにするために、有孔プレートの裏側において、ワイヤメッシュ材料WMMでコーティングすることができる。スリット又は小さなスリットは、インレットフロー減衰デバイスの例であり得る。
【0073】
[00071] また、調節流体が液面の下方からチャンバに入る実施形態では、調節流体における圧力変動を減衰させるために、多孔質材料、発泡材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料などの減衰材料を提供することができる。これらの実施形態並びに図7及び8の実施形態において説明されるワイヤメッシュWMは、供給チャンバSCにも適用可能であり得る。従って、供給チャンバSCは、上記で説明されるワイヤメッシュWM、減衰材料、階段及び/又はスリットを含み得る。それらの要素はすべて、インレットフロー減衰デバイスの例であり得る。
【0074】
[00072] 図9は、供給チャンバSCの例示的な実施形態を示す。供給チャンバインレットDCIは、供給チャンバにおける圧力変動を防ぐために、液体が供給チャンバSCに入る前に、液体速度を0m/s近くに低減するために、ワイヤメッシュ及び有孔インレットWMPIと位置合わせされる。オーバーフローラインOFLは、第1の液面LL1を一定の高さに維持するために、第1の液面LL1まで延びるオーバーフロー管OFTを含む。第1の液面LL1を一定の高さに維持する(すなわち、0.2mm未満の範囲内で安定させる)ため、オーバーフロー管OFTに疎水性を持たせ、流体の表面張力によるメニスカス(第1の液面LL1の所望の高さに悪影響を及ぼす)の形成を防ぐ。水位変動に関連する第1の液面LL1より上方に位置する気体容積は、水位変動に起因する圧力変動の減衰における重要なパラメータである。従って、供給チャンバの気体の容積は、少なくとも0.5リットル(例えば、少なくとも10リットル)である。
【0075】
[00073] より一般に、調節液回路における流動励起振動を引き起こし得るフロー経路における不連続性(例えば、湾曲部、狭窄部又はマニホールドなど)が存在する温度調節システムの調節液回路の場所において、適切な材料を提供することが望ましい場合がある。これらの材料は、例えば、発泡材料、多孔質材料、メッシュ材料、有孔材料及び大きな減衰特性を有する(他の)材料(例えば、PUR)を含み得る。また、調節液のフローにおけるフロー障害を低減するために、複数の実質的に並列するチャネルを提供することもできる。
【0076】
[00074] 主要な動作原理は、慣性力に対する粘性力の優位性の増大と組み合わせて、フローを均一にすることに基づく。多孔質材料、発泡材料又は同様の材料により、導管のフローは、局所的に遮断され、より大きな流動構造/乱流渦は、より小さな構造/渦に分断され、その結果、より均一なフロー分布が得られる。さらに、多孔質材料又は同様の材料における高いせん断応力により、局所的な粘性力が増大し、高圧力損失が分散される。また、多孔質材料又は同様の材料を使用可能にすることにより、有効レイノルズ数が低減し、それは、慣性力に対する粘性力の優位性の増大にさらに貢献する。その結果、より均一なフロー分布及び慣性力に対する粘性力の優位性の局所的な増大によってフローの湾曲と関連付けられる圧力勾配のバランスが取れることにより、フロー運動量の方向転換が緩和される。その結果、フローは、フロー経路における不連続性を伴うチャネルを通じて、よりスムーズに導かれ、フロー分離及び誘発される流動励起振動が低減されるという効果につながる。
【0077】
[00075] 特定の実施形態では、金属発泡材料が適用されることもあり得る。そのような金属発泡材は、粉末冶金プロセス技法、冶金溶融プロセス技法など、金属発泡構造を生成するための焼結、付加製造又は他の公知の技法によって生成することができる。
【0078】
[00076] 複数の並列チャネルは、例えば、多くの小さなレーザカットチャネルを有する金属部品、部品にパックされたファイバ/マイクロファイバ/ナノファイバ管の束によって又は付加製造によって形成することができる。
【0079】
[00077] 図10は、部分充填チャネルを形成するための要素が提供された管の第1の例示的な実施形態を示す。この実施形態は、熱膨張差を回避するために焼結ULEビーズBEAが充填された超低膨張ガラス(ULE)シリンダCYLを含む。上面には、調節液の流入用の複数のインレット開口部INOが提供される。製造の間、犠牲材料をビーズBEAと混ぜ合わせ、溶媒又は加熱によって除去して、空隙の割合を増やすことができる。シリンダの主な材料選択は、ミラーに導入され得る応力を防ぐために材料の熱膨張を最小にするためのULEである。そのような応力が許容される場合は、代替の材料を考慮することができる。それに加えて又はその代替として、ファイバ、マイクロファイバ、ナノファイバ、ファイババンドル又は多角形形状など、シリンダに浸透させるための他のコロイド粒子形状を考慮することもできる。シリンダCYLの一端には、シリンダCYLを通じて液体のフローを導くために、ULEのランプを提供することができる。図9に示される構造物は、例えば、熱調節システムのマニホールドとして使用することができる。
【0080】
[00078] 図11A~11Cは、反転した、よりオープンな構造を作成するための代替のプロセスを示す。図11Aには、テンプレートが除去可能要素REM(例えば、溶媒又は加熱によって除去できるもの)で作成されたものが示されている。図11Bには、除去可能要素によって占有されていない空間に永久材料PEMを浸透させたものが示されている。最終的なステップでは、除去可能要素は除去される。これにより、図11Cに示される多孔質構造が生じる。
【0081】
[00079] 適切な減衰材料を作成するための他の技法を適用することもできる。例えば、減衰を提供するため、柔軟な粘弾性ホースを適用することができる。
【0082】
[00080] このように、リソグラフィ装置の投影システムのミラー素子の熱調節のための熱調節システムが開示される。熱調節システムは、調節流体のフローによって生じるオブジェクトの流動励起振動を低減すべきである、リソグラフィ装置又は他のデバイスの他のオブジェクトの温度調節のために適用することもできる。
【0083】
[00081] 図3~5の実施形態では、ミラー素子MEを通って伸びるか又はミラー素子MEに沿って伸びる調節導管CCにおける圧力安定性条件を満たすため、供給チャンバSCの液面LL1を正確なレベル(例えば、0.2mmの高さの範囲内)に制御する必要がある。重力による圧力上昇Δp=ρgΔhに基づいて、0.2mmの第1の液面LL1の変動は、2Paの圧力変動をもたらす。
【0084】
[00082] 図3及び4の実施形態では、オーバーフローラインOFLは、供給チャンバSCの安定した第1の液面LL1を維持し、それと共に、ミラー素子MEへの供給圧力を所望の圧力範囲内で安定した状態に維持するために使用される。
【0085】
[00083] しかし、オーバーフローチャネルOFLでは、供給チャンバSCの第1の液面LL1より上方に存在する気体が液体によってオーバーフローラインOFLに引き込まれ、排出チャンバDCに向かう液体と混ざり合う場合があるため、二相流が発生し得る。そのような気体と液体の混合物は、供給チャンバSC及び排出チャンバDCに伝播される圧力変動を引き起こし得る。これらの圧力変動は、ミラー素子MEの変位及びミラー素子MEの変形をもたらし得、オーバーレイエラー、フェージング及びフレアにつながるため、望ましくない。
【0086】
[00084] その上、図4の実施形態では、第1の第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2を使用した第1の気体容積GV1の圧力及び第2の気体容積GV2の圧力のそれぞれの別々の制御によって、供給チャンバSCと排出チャンバDCとの間のさらなる圧力差が生まれ得る。このさらなる圧力差は、供給チャンバSCから排出チャンバDCへの気体フローも誘発し得る。また、この気体フローにより、圧力変動につながる二相流が生まれ、その結果、それに関連するオーバーレイエラー、フェージング及びフレアの悪影響が生じ得る。また、オーバーフローラインOFLを通るフローにおける気体の存在は、供給チャンバSCと排出チャンバDCとの間の設定圧力差にも影響を与え得る。従って、オーバーフローラインOFLを通るフローにおける気体が実質的に低減されることが望ましい。
【0087】
[00085] 図12は、供給チャンバSCと排出チャンバDCとの間の気体圧力差に起因するオーバーフローラインOFLを通る気体フローを防ぐために、気液分離器GLSがオーバーフローラインOFLに提供される、図4の熱調節システムを示す。気液分離器GLSは、液体トラップ(すなわち、逆サイホン)によって形成され、図13にさらに詳細に示される。
【0088】
[00086] 気液分離器GLSは、オーバーフローラインOFLの一部である。液体は、OFL-I側から気液分離器GLSに入り、OFL-O側から気液分離器GLSを出る。気液分離器GLSでは、二相流としてオーバーフローラインを通ってさらに流れる代わりに、気体がOFL-I側の気液分離器GLSのインレットに戻れるようにするための液体トラップを形成するために、フロー方向において上向きに伸びる少なくとも1つのチャネル部分URCが提供される。上向きに伸びるチャネル部分URCには、多孔質材料POMが配置される。多孔質材料POMは、液体フローの流入及びスロッシングに起因するフローの圧力変動を防ぐか又は低減するための減衰を提供することができる。多孔質材料POMは、例えば、ボール、メッシュ及び/又は有孔要素を含む。
【0089】
[00087] 気液分離器GLSは、液体フローに混入した気体がオーバーフローラインOFLに沿って排出チャンバDCに向かってさらに流れるのを少なくとも部分的に阻止するために配置される。オーバーフローラインOFLに流れ込んだ液体フローに混入した気体は、液体フローから切り離され、オーバーフローラインOFLを通って供給チャンバSCに戻り得る。それと共に、オーバーフローラインOFLの二相流は、気液分離器GLSにおいて、効果的に停止するか又は少なくとも実質的に低減する。
【0090】
[00088] 図4の実施形態において生まれ得るさらなる圧力差により、上向きに伸びるチャネル部分URCの液面は、供給チャンバから来るチャネル部分(左側のチャネル)の液面より高い。上向きに伸びるチャネル部分URCの高さは、このさらなる圧力差に対応するように選択される。
【0091】
[00089] 気液分離器GLSは、少なくとも垂直方向において、供給チャンバSCに比較的近くなるように配置される。例えば、第1の液面LL1と排出チャンバの排出チャンバインレットDCIとの間の高低差がHである際、気液分離器GLSは、垂直方向において、供給チャンバSCから最大で0.2H(例えば、最大で0.1H)の距離のところに配置することができる。その事例では、二相流が起こる(すなわち、供給チャンバSCと気液分離器GLSとの間の)オーバーフローラインOFLの長さは比較的短い。供給チャンバSCと気液分離器との間の距離は、例えば、1m未満であり得る。
【0092】
[00090] OFL-I側の気液分離器インレット及びOFL-O側の気液分離器アウトレットは、圧力変動を引き起こす可能性があることを理由に、水と気体の相互作用が膜形成/崩壊プロセスを引き起こさないか又は少なくとも低減するように設計される。例えば、湿潤性の高い材料及び/又はコーティングをインレットOFL-I及びアウトレットOFL-Oに配置することができる。例えば、金属材料をインレットOFL-I及びアウトレットOFL-Oに提供することができる。その上、インレット/アウトレットのジオメトリは、気液分離器への水のスムーズな流入を可能にするために、十分に大きな直径を有する円錐形又は漏斗のような設計を可能にすることによって最適化することができる。
【0093】
[00091] 気液分離器GLSは、例えば、ステンレス鋼などの金属、又は、ポリウレタンなどのプラスチック材料など、任意の適切な材料から作ることができる。
【0094】
[00092] 図14は、オーバーフローラインOFLに流れ込んだ液体に混入した気体を分離するための気液分離器GLSの代替の実施形態が提供される、図3の実施形態を示す。図14の気液分離器GLSは、図15にさらに詳細に示されている。
【0095】
[00093] 図15で描写されるように、気液分離器GLSは、密閉された箱状に形成され、気液分離器GLS内の下方開口部を定義する第1のプレートPLA1と、気液分離器GLS内の上方開口部を定義する第2のプレートPLA2とが提供され、液体トラップ構造物が形成される。液体トラップ構造物の液体の液面LLは、第2のプレートPLA2の上端と同じ高さにある。
【0096】
[00094] 気液分離器GLSのインレットOFL-Iの近くには、液体フローから切り離された気体がオーバーフローラインOFLとは別のチャネルを通って供給チャンバSCに戻れるようにするための気体戻りチャネルGRCが提供される。そのような別個の気体戻りチャネルGRCにより、オーバーフローラインにおける気体の存在によって生じる圧力変動の発生をさらに低減することができる。気体戻りチャネルGRCを効果的に使用するため、気液分離器GLSは、気体戻りチャネルGRCに直接つながる気体容積GVを有し、その結果、液体から切り離された気体が気体容積GVを介して気体戻りチャネルGRCに入ることができるように設計される。
【0097】
[00095] 供給キャンバSCの気体戻りチャネルGRCインレットの位置は、慎重に選択しなければならない。それは、以下の条件を満たさなければならない。すなわち、気体によって気泡が発生し、その気泡が表面で弾け、振動又は音響障害が発生するのを防ぐために、液面LL1より上方に位置しなければならない。それに加えて、振動又は音響障害を防ぐため、気体戻りチャネルGRCから来る気体は、供給チャンバインレットSCIから来るリターンフローと干渉してはならない。また、圧力変動を減衰させるため、気体戻りチャネルGRCは、第1の気体容積GV1と流体連通していなければならない。図14の実施形態では、供給キャンバSCの気体戻りチャネルGRCインレットは、それらの条件が満たされるように、供給チャンバインレットSCIより下方に位置している。他の実施形態では、気体戻りチャネルGRCインレットが供給チャンバインレットSCIより上方に又は供給チャンバSCの上面に位置し、その上で、それらの条件を満たすことができる場合もある。
【0098】
[00096] 流入及びスロッシングによる圧力変動を防ぐため、液体フローに減衰が生じるように、多孔質材料POMが気液分離器GLSに配置される。多孔質材料POMは、例えば、ボール、メッシュ及び/又は有孔要素を含む。多孔質材料は、例えば、液体トラップ構造物に存在する液体における圧力変動を減衰させるために、液体トラップ構造物において少なくとも液面LLまで存在する。望ましい場合、例えば、製造方法により、さらなる多孔質材料を気液分離器GLSに提供することができる。例えば、箱を閉じる前に、箱の上側から、箱の底部全面にわたって、箱内の多孔質材料の所望のレベルに達するまで、多孔質材料を導入することができる。
【0099】
[00097] 図12及び13の実施形態に相応して、気液分離器GLSは、液体フローに混入した気体がオーバーフローラインOFLに沿って排出チャンバDCに向かってさらに流れるのを少なくとも部分的に阻止するために配置される。オーバーフローラインOFLに流れ込んだ液体フローに混入した気体は、液体フローから切り離され、気体容積GVに向かって上向きに移動し、そこから、気体は、気体戻りチャネルを通って供給チャンバSCに戻る。
【0100】
[00098] 図12及び13の実施形態に関して説明されるように、気液分離器GLSは、少なくとも垂直方向において、供給チャンバSCに比較的近くなるように配置することが有利であり得る。
【0101】
[00099] 気液分離器GLSは、例えば、ステンレス鋼などの金属、又は、ポリウレタンなどのプラスチック材料など、任意の適切な材料から作ることができる。
【0102】
[000100] 図15の気液分離器GLSは、図4の熱調節システムの実施形態と組み合わせることもできる。その事例では、第1の第1の気体圧力コントローラGPC1及び第2の気体圧力コントローラGPC2を使用した第1の気体容積GV1の圧力及び第2の気体容積GV2の圧力のそれぞれの別々の制御によって、供給チャンバSCと排出チャンバDCとの間のさらなる圧力差が生まれ得る。そのようなさらなる圧力差に対応するため、第1のプレートPLA1の下端と第2のプレートPLA2の上端との間の垂直方向の高さHDは、相応に選択しなければならない。実際には、この長さは、少なくとも30cm(例えば、少なくとも50cm)であり得る。
【0103】
[000101] 図13の気液分離器GLSは、図3の熱調節システムの実施形態と組み合わせることもできる。
【0104】
[000102] この文書では、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及しているが、本明細書で説明されるリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることを理解すべきである。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
【0105】
[000103] この文書では、リソグラフィ装置の文脈における本発明の実施形態について具体的に言及しているが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、或いは、ウェーハ(若しくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)などのオブジェクトの測定又は処理を行う任意の装置の一部を形成し得る。これらの装置は、一般に、リソグラフィツールと呼ぶことができる。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用し得る。
【0106】
[000104] 上記では、光学リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及しているが、本発明は、文脈において認められる限り、光学リソグラフィに限定されず、他の用途(例えば、インプリントリソグラフィ)において使用できることが理解されよう。
【0107】
[000105] 上記では、本発明の特定の実施形態について説明してきたが、本発明は、説明した以外の方法で実施できることが理解されよう。上記の説明は、制限ではなく、例示を目的とする。従って、当業者であれば、以下に記載される条項の範囲から逸脱しない範囲で、説明される本発明を変更できることが明らかであろう。
1.オブジェクトの温度を調節するために調節液を使用する温度調節システムであって、
オブジェクトを通じて又はオブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含み、
供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、調節導管を通るフローを生み出すために配置される温度調節システム。
2.戻り導管が、排出チャンバから供給チャンバに調節液をポンピングするように構成されたポンプを含む、条項1に記載の温度調節システムであって、ポンプによって生じる流動励起振動の調節導管への伝播を減衰させるために配置される温度調節システム。
3.供給チャンバが第1の気体容積を含み、排出チャンバが第2の気体容積を含み、第1の気体容積及び第2の気体容積が、少なくとも1つの0.5リットルの容積を有する、条項1又は2に記載の温度調節システム。
4.供給チャンバの第1の圧力及び排出チャンバの第2の圧力が、大気圧より低い圧力レベルで保持される、条項2又は3に記載の温度調節システム。
5.ポンプが配置される戻り導管の少なくとも一部から調節導管を液体分離するために配置される、条項2~4の何れか一項に記載の温度調節システム。
6.戻り導管の一部が、供給チャンバインレットと供給チャンバアウトレットとの間の第1の気体容積を提供することによって及び/又は排出チャンバインレットと排出チャンバアウトレットとの間の第2の気体容積を提供することによって、調節導管から液体分離される、条項5に記載の温度調節システム。
7.供給チャンバが、第1の液面を有し、供給チャンバインレットが、第1の液面より上方に配置され、供給チャンバアウトレットが、第1の液面より下方に配置される、及び/又は、
排出チャンバが、第2の液面を有し、排出チャンバインレットが、第1の液面より上方に配置され、排出チャンバアウトレットが、第2の液面より下方に配置される、条項5又は6に記載の温度調節システム。
8.供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間で一定の静水圧差を維持するために、供給チャンバの第1の液面を排出チャンバインレットの上方に一定の高さで維持するために配置される、先行する条項の何れか一項に記載の温度調節システム。
9.供給チャンバが、第1の液面を制御するためのオーバーフローラインを含む、条項8に記載の温度調節システム。
10.オーバーフローラインが、オーバーフローラインに流れ込んだ液体に混入した気体を液体から切り離すための気液分離器を含む、条項9に記載の温度調節システム。
11.気液分離器が、液体トラップ構造物を含む、条項10に記載の温度調節システム。
12.気液分離器が、気液分離器から供給チャンバに気体が戻れるようにするための、気液分離器及び供給チャンバに接続された気体戻り導管を含む、条項10又は11に記載の温度調節システム。
13.多孔質材料が、チャネルを通るフローを減衰させるために、気液分離器のフローチャネルに提供される、条項10~12の何れか一項に記載の温度調節システム。
14.気液分離器と供給チャンバとの間の垂直距離が、第1の液面と排出チャンバインレットとの間の垂直距離の20%未満である、条項10~13の何れか一項に記載の温度調節システム。
15.第1の液面が、垂直方向に移動可能な且つ供給チャンバの調節液内まで部分的に延びるボディによって制御される、条項8に記載の温度調節システム。
16.供給チャンバ及び排出チャンバの気体圧力レベルを制御するための気体圧力コントローラを含む、条項1~15の何れか一項に記載の温度調節システム。
17.供給チャンバの第1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラと、排出チャンバの第2の気体圧力レベルを制御するための第2の気体圧力コントローラとを含む、条項1~15の何れか一項に記載の温度調節システム。
18.戻り導管が、ポンプの下流に位置する第1の弁と、ポンプの上流に位置する第2の弁とを含み、調節導管が、第1の弁及び第2の弁を閉鎖することによって戻り導管の一部から液体分離することができる、条項2~17の何れか一項に記載の温度調節システム。
19.供給チャンバが、第1の接続弁を含む第1の接続導管を介して互いに接続される主要供給チャンバ及び補助供給チャンバを含み、排出チャンバが、第2の接続弁を含む第2の接続導管を介して互いに接続される主要排出チャンバ及び補助排出チャンバを含む、条項18に記載の温度調節システム。
20.主要供給チャンバが、第1の弁及び/又は第1の接続弁並びに第2の弁を閉鎖することによって戻り導管の一部から液体分離することができ、主要排出チャンバが、第2の弁及び/又は第2の接続弁を閉鎖することによって戻り導管の一部から液体分離することができる、条項18に記載の温度調節システム。
21.供給チャンバの第1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラと、排出チャンバの第2の気体圧力レベルを制御するための第2の気体圧力コントローラとを含む、条項18~20の何れか一項に記載の温度調節システム。
22.供給チャンバインレット及び/又は排出チャンバインレットがそれぞれ、供給チャンバ及び排出チャンバへのフロー速度を低減するためのインレットフロー減衰デバイスを含む、先行する条項の何れか一項に記載の温度調節システム。
23.調節液のフローにおけるフロー障害を低減するため、調節導管、供給チャンバ及び/又は排出チャンバに、発泡材料、多孔質材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料が少なくとも部分的に充填されるか、又は、複数の実質的に並列するチャネルが充填される、先行する条項の何れか一項に記載の温度調節システム。
24.発泡材料、多孔質材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料或いは複数の実質的に並列するチャネルが、湾曲部、狭窄部及びマニホールドなどのフロー不連続性が存在する場所に又はその近くに提供される、条項23に記載の温度調節システム。
25.発泡材料、多孔質材料、メッシュ材料及び/又は有孔材料或いは複数の実質的に並列するチャネルが、供給チャンバの流入エリアに提供される及び/又は排出チャンバの流入エリアに提供される、条項23又は24に記載の温度調節システム。
26.機械部品の振動及び/又は床の振動によって生じる液体系の一部の加速に起因する圧力変動を低減するための減衰デバイスを含む、先行する条項の何れか一項に記載の温度調節システム。
27.先行する条項の何れか一項に記載の温度調節システムを含むリソグラフィ装置であって、オブジェクトが、リソグラフィ装置の一部である、リソグラフィ装置。
28.オブジェクトが、投影システムのミラー素子である、条項27に記載のリソグラフィ装置。
29.温度調節システムにおいて調節液を使用してオブジェクトを温度調節するための方法であって、温度調節システムが、
オブジェクトを通じて又はオブジェクトに沿って調節液を導くための調節導管であって、調節導管インレット及び調節導管アウトレットを含む調節導管と、
戻り導管インレット及び戻り導管アウトレットを有する戻り導管と、
戻り導管アウトレットに接続された供給チャンバインレット及び調節導管インレットに接続された供給チャンバアウトレットを有する供給チャンバと、
調節導管アウトレットに接続された排出チャンバインレット及び戻り導管インレットに接続された排出チャンバアウトレットを有する排出チャンバと
を含む、方法であり、
供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を設けて、調節導管を通るフローを生み出すことと、
供給チャンバの第1の圧力及び排出チャンバの第2の圧力を大気圧より低い圧力レベルで維持することと
を含む、方法。
30.供給チャンバが第1の気体容積を含み、排出チャンバが第2の気体容積を含み、第1の気体容積及び第2の気体容積が、少なくとも0.5リットルの容積を有する、条項29に記載の方法。
31.排出チャンバから戻り導管を通じて供給チャンバに調節液を同時にポンピングすること
を含む、条項29又は30に記載の方法であって、
温度調節システムが、ポンプによって生じる流動励起振動の調節導管への伝播を減衰させるために配置される、方法。
32.供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間で一定の静水圧差を維持するために、供給チャンバの第1の液面を排出チャンバインレットの上方に一定の高さで維持するステップを含む、条項29~31の何れか一項に記載の方法。
33.供給チャンバの第1の液面を排出チャンバインレットの上方に一定の高さで維持するステップが、供給チャンバにおいてオーバーフローラインを使用することを含む、条項32に記載の方法。
34.オーバーフローラインに流れ込んだ液体に混入した気体を液体から切り離すための気液分離器を使用してオーバーフローラインの液体フローを減衰させることを含む、条項33に記載の方法。
35.温度調節システムが、供給チャンバ及び排出チャンバの気体圧力レベルを制御するための気体圧力コントローラを含む、条項29~34の何れか一項に記載の方法であって、供給チャンバ及び排出チャンバの気体圧力レベルを大気圧より低いレベルで制御することを含む、方法。
36.温度調節システムが、供給チャンバの第1の気体圧力を制御するための第1の気体圧力コントローラと、排出チャンバの第2の気体圧力レベルを制御するための第2の気体圧力コントローラとを含む、条項29~35の何れか一項に記載の方法であって、供給チャンバアウトレットと排出チャンバとの間に静圧差が生まれるように第1の気体圧力及び第2の気体圧力を制御することを含む、方法。
37.戻り導管が、ポンプの下流に位置する第1の弁と、ポンプの上流に位置する第2の弁とを含む、条項29~36の何れか一項に記載の方法であって、第1の弁及び第2の弁を閉鎖することによって戻り導管の一部から調節導管を液体分離することを含む、方法。
38.供給チャンバが、第1の接続弁を含む第1の接続導管を介して互いに接続される主要供給チャンバ及び補助供給サブチャンバを含み、排出チャンバが、第2の接続弁を含む第2の接続導管を介して互いに接続される主要排出チャンバ及び補助排出チャンバを含む、条項37に記載の方法であって、
供給チャンバから排出チャンバへのフローを生み出すために供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を適用しながら、第1の弁及び第2の弁を閉鎖することによって、戻り導管の一部から調節導管を液体分離し、第1の接続弁及び第2の接続弁を開放することと、
主要供給チャンバから主要排出チャンバへのフローを生み出すために供給チャンバアウトレットと排出チャンバインレットとの間に静圧差を適用しながら、第1の接続弁及び第2の接続弁を閉鎖することによって、戻り導管の一部から調節導管を液体分離し、第1の弁及び第2の弁を開放し、ポンプによって補助排出チャンバから補助供給チャンバに調節液をポンピングすることと
を交互に行うことを含む、方法。
図1
図2
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図11A
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【国際調査報告】