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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】FinFET構造を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L29/78 301P
H01L29/78 301Y
H01L21/28 301S
H01L21/285 C
H01L29/50 M
H01L21/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563923
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022025363
(87)【国際公開番号】W WO2022225940
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/179,092
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】メッツ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】新実 寛明
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB18
4M104BB25
4M104BB37
4M104CC01
4M104CC05
4M104DD03
4M104DD04
4M104DD08
4M104DD17
4M104DD23
4M104DD45
4M104DD46
4M104EE05
4M104EE09
4M104EE17
4M104GG08
4M104HH15
4M104HH16
5F140AA10
5F140BA01
5F140BB05
5F140BF05
5F140BF07
5F140BG04
5F140BG14
5F140BH06
5F140BJ08
5F140BJ25
5F140BK18
5F140BK31
5F140CC08
5F140CE07
(57)【要約】
FET半導体構造の製造方法が、少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを備える基板を提供することを含み、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、少なくとも1つのFETのダミーゲートに隣接して形成される。少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトとダミーゲートとの間のゲートスペーサの垂直側壁に対して、C54構造を有するTiSi膜が、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト上に直接、且つ少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを完全に覆うように、選択的に堆積される。ダミーゲートは置換金属ゲートに置換される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FET半導体構造を製造する方法であって、
少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを有する基板を提供するステップであって、前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、前記少なくとも1つのFETのダミーゲートに隣接して形成される、ステップと、
前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトと前記ダミーゲートとの間のゲートスペーサの垂直側壁に対して、前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト上に直接且つ前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを完全に覆うように、C54構造を有するTiSi膜を選択的に堆積するステップと、
前記ダミーゲートを置換金属ゲートで置換するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記TiSi膜を選択的に堆積するステップは、前記ダミーゲートを前記置換金属ゲートで置換するステップの前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TiSi膜を選択的に堆積するステップは、チタン含有前駆体ガスおよびシリコン含有前駆体ガスを含むプロセスガスに前記基板を曝すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チタン含有前駆体ガスは、TiClを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコン含有前駆体ガスは、SiH、SiHCl、SiHCl、およびSiClのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスガスは、TiClおよびSiHを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスガスは、Hガスを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
約1mTorrと約50mTorrの間にガス圧力を維持するステップと、
約700℃と約800℃の間に基板温度を維持するステップと、
を更に有する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記TiSi膜を堆積するステップの後に、前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト、前記ダミーゲート、前記ゲートスペーサ、および前記TiSi膜の上に、エッチストップ層を堆積するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチストップ層の上に誘電体を堆積するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記TiSi膜を選択的に堆積するステップの前に、クリーニングプロセスを使用して、前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトをクリーニングするステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記クリーニングプロセスは、約100mTorrと約700mTorrの間のガス圧力、約600℃と約800℃の間の基板温度で、約10秒と約60秒の間の期間にわたって、前記ソース/ドレインコンタクトを熱H2ガスに曝すステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クリーニングプロセスは、約1Torrと約3Torrの間のガス圧力、約35℃と約100℃の間の基板温度で、約10秒と約60秒の間の期間にわたって、前記ソース/ドレインコンタクトを熱NH3およびHFガスに曝すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記クリーニングプロセスは、約1Torrと約3Torrの間のガス圧力、約20℃と約100℃の間の基板温度で、約10秒と約60秒の間の期間にわたって、前記ソース/ドレインコンタクトを熱NF3およびH2ガスに曝すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記選択的に堆積するステップと前記置換するステップの間で、アニールステップは実施されない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記選択的に堆積するステップと前記置換するステップとの間に実施されるアニールステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
電界効果トランジスタ(FET)半導体デバイスであって、
少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを含む基板であって、前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、前記少なくとも1つのFETのゲートに隣接して形成され、前記基板の上部からラインオブサイトである上側部分および前記基板の底部からラインオブサイトである下側部分を有する、基板と、
前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトの上部および底部の両方を共形に覆う、C54構造を有するTiSi膜と、
を有する、FET半導体デバイス。
【請求項18】
前記ソース/ドレインコンタクトは、エピタキシャルSiを含む、請求項17に記載のFET半導体デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトと前記ゲートとの間にゲートスペーサを更に有する、請求項17に記載のFET半導体デバイス。
【請求項20】
前記ゲートスペーサは、SiNを含む、請求項19に記載のFET半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は2021年4月23日に出願された米国仮特許出願第63/179,092号明細書の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全般的には半導体の分野に関し、より詳細にはFET半導体デバイスの製作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体技術の進歩は、製造製作技術の連続的な改善に依存する。半導体技術の革新は、Fin電界効果トランジスタ(FinFET)デバイスおよび積層構造(例えば、3D NANDデバイス)などの新しいタイプの構造の導入をもたらした。従来のFinFETプロセスフローでは、ソース/ドレイン損傷、ソース/ドレイン上に形成されるエッチストップ層残留物、および金属ゲートを形成するためのサーマルバジェット限界が、ソース/ドレイン上の低品質コンタクト、およびデバイスの電気的性能の制御されない変動をもたらす場合があることを、発明者らは認識した。加えて、5nmおよびその先のノードにおける攻撃的なデバイススケーリングでは、コンタクト領域が益々減少することに起因して、従来のインテグレーション方式を使用する低コンタクト抵抗要件がデバイス性能要件を満たすことができないことを、発明者らは認識した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、半導体デバイスおよび半導体デバイスの製造方法に関する。
【0005】
態様(1)は、FET半導体構造の製造方法を提供し、方法は、少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを含む基板を提供することを含み、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、少なくとも1つのFETのダミーゲートに隣接して形成される。少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトとダミーゲートとの間のゲートスペーサの垂直側壁に対して、C54構造を有するTiSi2膜が、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト上に直接且つ少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを完全に覆うように、選択的に堆積される。次いで、ダミーゲートは置換金属ゲートに置換される。
【0006】
態様(2)は、TiSi2膜を選択的に堆積することが、ダミーゲートを置換金属ゲートで置換することの前に実施される、態様(1)に記載の方法を含む。
【0007】
態様(3)は、TiSi2膜を選択的に堆積することが、基板をチタン含有前駆体ガスおよびシリコン含有前駆体ガスを含むプロセスガスに曝すことを含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0008】
態様(4)は、チタン含有前駆体ガスがTiCl4を含む、態様(3)に記載の方法を含む。
【0009】
態様(5)は、シリコン含有前駆体ガスが、SiH4、SiH2Cl2、SiHCl3、およびSiCl4のうちの少なくとも1つを含む、態様(3)に記載の方法を含む。
【0010】
態様(6)は、プロセスガスが、TiCl4およびSiH4を含む、態様(3)に記載の方法を含む。
【0011】
態様(7)は、プロセスガスが、H2ガスを更に含む、態様(3)に記載の方法を含む。
【0012】
態様(8)は、ガス圧力を、約1mTorr~約50mTorrまたは約5mTorr~約20mTorrに維持し、基板温度を、約700℃~約800℃に維持することを更に含む、態様(3)に記載の方法を含む。
【0013】
態様(9)は、TiSi2膜を堆積した後に、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト、ダミーゲート、ゲートスペーサ、およびTiSi2膜の上にエッチストップ層を堆積することを更に含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0014】
態様(10)は、エッチストップ層の上に誘電体を堆積することを更に含む、態様(9)の方法を含む。
【0015】
態様(11)は、TiSi2膜を選択的に堆積することの前にクリーニングプロセスを使用して少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトをクリーニングすることを更に含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0016】
態様(12)は、クリーニングプロセスが、約100mTorr~約700mTorrのガス圧力で、約600℃~約800℃の基板温度で、約10秒~約60秒の期間にわたって、ソース/ドレインコンタクトを熱H2ガスに曝すことを含む、態様(11)に記載の方法を含む。
【0017】
態様(13)は、クリーニングプロセスが、約1Torr~約3Torrのガス圧力で、約35℃~約100℃の基板温度で、約10秒~約60秒の期間にわたって、ソース/ドレインコンタクトを熱NH3およびHFガスに曝すことを含む、態様(11)に記載の方法を含む。
【0018】
態様(14)は、クリーニングプロセスが、約1Torr~約3Torrのガス圧力で、約20℃~約100℃の基板温度で、約10秒~約60秒の期間にわたって、ソース/ドレインコンタクトを熱NF3およびH2ガスに曝すことを含む、態様(11)に記載の方法を含む。
【0019】
態様(15)は、選択的に堆積する工程と置換する工程との間にアニール工程が実施されない、態様(1)に記載の方法を含む。
【0020】
態様(16)は、選択的に堆積する工程と置換する工程との間に実施されるアニール工程を更に含む、態様(1)に記載の方法を含む。
【0021】
態様(17)は、少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを含む基板であって、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、少なくとも1つのFETのゲートに隣接して形成され、基板の上からラインオブサイトである上側部分および基板の底からラインオブサイトである下側部分を含む、基板、を含むFET半導体デバイスを含む。C54構造を有するTiSi2膜が、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトの上部および底部の両方をコンフォーマルに覆う。
【0022】
態様(18)は、ソース/ドレインコンタクトがエピタキシャルSiを含む、態様(17)に記載のFETを含む。
【0023】
態様(19)は、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトとゲートとの間にゲートスペーサを更に含む、態様(17)に記載のFETを含む。
【0024】
態様(20)は、ゲートスペーサがSiNを含む、態様(19)に記載のFETを含む。
【0025】
この「発明の概要」セクションは、本開示または特許請求の範囲の開示の全ての実施形態および/または段階的に新規な態様を指定するものではないことに留意されたい。むしろ、「発明の概要」は、様々な実施形態と、これに対応する、従来技術に対する新規点とについての、予備的説明を提供するに過ぎない。本開示および実施形態の追加の詳細および/または予想される観点については、読者は、以下で更に議論される、本開示の「発明を実施するための形態」セクションおよび対応する図面を参照されたい。
【0026】
本開示の態様は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読むことで最もよく理解される。業界の標準的な慣行に従い、様々な特徴が縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法が、議論を明確にするために拡大または縮小されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】FinFET製造のための従来方法を、本開示の例示的実施形態によるFinFET製造方法と比較したものを示す。
図2】本開示の例示的実施形態によるFinFET構造の概略図を示す。
図3A-3J】FinFETを製造する従来方法の様々なプロセス工程を示す。
図4A-4H】本開示の例示的実施形態による、FinFETを製造する新規な方法の様々なプロセス工程を示す。
図5A-5B】従来のFinFET構造を、本開示の例示的実施形態によるFinFET構造と比較したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の開示は、提供される主題の様々な特徴を実現するための多数の様々な実施形態または実施例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素および配置の具体例を以下に記述する。当然のことながら、これらは単なる例に過ぎず、限定することを意図するものではない。例えば、以下に続く説明における第2の特徴の上方または上での第1の特徴の形成は、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触して形成される実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触し得ないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成され得る実施形態を含んでもよい。加えて、本開示は、様々な実施例において参照番号および/または文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、簡潔さおよび明瞭さを目的としており、それ自体が、議論する様々な実施形態および/または構成間の関係について言及するものではない。更に、本明細書では、説明を簡単にするために、「上部」、「下部」、「下」、「下方」、「より下」、「上方」、「より上」などの空間的に相対的な用語を使用して、図に示すような1つの要素または特徴の、別の要素または特徴に対する関係を説明する場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の向き(90度回転された、または他の向き)であってよく、本明細書で用いる空間的に相対的な記述子も同様に適宜解釈されてもよい。
【0029】
本発明は、FET半導体構造を回路支持基板上に製作するための様々な例示的プロセスの観点で説明されることになる。これら製造プロセスは、回路支持基板に、プレーナFET半導体デバイス、FinFET半導体デバイス、または両方のタイプの半導体デバイスを製作するために使用され得る。
【0030】
図1は、従来のゲートファーストFinFET製造プロセス300用のプロセスフローを、本発明の一実施形態によるFinFET製造方法400と比較したものを示す。従来のFinFET製造は、工程3A~3Jで表され、工程3G~3Iにおいてソース/ドレインコンタクト上にチタンシリサイド(TiSi)膜を形成する前に、工程3Dにおける置換金属ゲート(RMG)の形成を含む。TiSi膜の形成は、工程3Gにおけるソース/ドレインコンタクトのエピタキシャルSi上へのTi金属の非選択的な物理蒸着法(PVD)と、それに続く、工程3HにおけるTi金属上へのTiNライナの堆積と、その後の、工程3Iにおけるアニールの実施によりTi金属がソース/ドレインコンタクトにおけるSiと反応して低抵抗チタンシリサイド(すなわち、C54構造を有するTiSi)が形成されることにより実現される。Ti金属PVDは、ラインオブサイト堆積方法であり、したがって、Ti金属堆積は、ソース/ドレインコンタクト上へのラップアラウンド堆積には使用することができない。従来のFinFETに関連する追加の詳細が、対応して番号を付けた図3A図3Jを参照して論じられる。
【0031】
従来のFinFET製造方法には、残留したコンタクトエッチストップ層(CESL)SiN、反応性イオンエッチング(RIE)後の損傷を受けたエピタキシャルSi、金属コンタクト領域の減少、および(WF)材料のサーマルバジェットに起因した、熱アニールによるTiSiの部分的形成などの、TiSi形成の低品質につながり得る複数の潜在的に厄介な課題がある。
【0032】
対照的に、本開示の実施形態は、図1の例示的プロセス工程4A~4Hで示すように、ソース/ドレインコンタクト上にチタンシリサイド膜が形成された後にRMGが形成されるFinFET製造方法を提供する。これらの工程に関連する追加の詳細が、対応して番号を付けた図4A図4Hを参照して論じられる。チタンシリサイドは、C54構造を有する完全に形成されたTiSi膜として堆積でき、それにより、その後のアニールは任意になる。チタンシリサイドは、例えば、チタン含有前駆体ガスおよびシリコン含有前駆体ガスを含むプロセスガスに基板を曝すことにより、ソース/ドレインコンタクト上に選択的に堆積され得る。例えば、プロセスガスは、SiHおよびTiClを含むことができる。
【0033】
本開示の実施形態は、従来の方法と比較して大幅に改善された界面品質を伴って、一工程の、ソース/ドレインコンタクト上へのラップアラウンドTiSi膜形成を提供する。TiSi膜は、低い電気抵抗で完全に形成され、ソース/ドレインコンタクトからのSi拡散に依存していない。本方法は、エピタキシャルSiソース/ドレインコンタクトへの損傷を排除し、ソース/ドレインコンタクト上に形成されるエッチストップ層残留物の形成を排除し、ソース/ドレインコンタクト抵抗を減らす、新規な統合されたプロセスフローを可能にする。
【0034】
図2は、FinFETを概略的に示す。FinFETは、フィン201、フィン201上のエピタキシャルSiソース/ドレイン(S/D)コンタクト203、フィン201上のゲート誘電体205、およびゲート誘電体205上の金属ゲート207を含む。フィン断面A-A’が、エピタキシャルSiソース/ドレイン203およびフィン201を横断するように示され、ゲート断面B-B’が、フィン201の長さに沿って示される。FinFETを横切るフィン断面図およびゲート断面図が、図3A図3Jおよび図4A図4Hに示され、本明細書において後述される。
【0035】
図3A図3Jは、ゲートファーストプロセスによりFinFETを形成する従来の方法を概略的に示す。図3A図3Jの各々が、図2のB-B’のようなゲート断面図である上図、および図2のA-A’のようなフィン断面図である下図を含む。図2のFinFETとは異なり、図3A図3Jのゲート断面図は3つの隣接するゲートを示し、フィン断面図は2つの隣接するS/Dコンタクトを示す。図3Aは、S/Dコンタクト301、ゲートスペーサ303、ダミーゲート305、コンタクト孔306、およびフィン307を示す。例えば、S/Dコンタクト301はエピタキシャルSiを含むことができ、フィン307はSiを含むことができ、ゲートスペーサ303はSiNを含むことができ、および/またはダミーゲート305はポリSiを含むことができる。図3A図3Jのフィン断面図は、S/Dコンタクト301が、互いに物理的に接続されて2つのフィンデバイスに対して共通のS/Dを形成することを示す一方で、S/Dコンタクト301は、互いに分離されて、対応する単一のフィンデバイスに関連付けられてもよい。
【0036】
図3Bは、コンフォーマルなエッチストップ層(ESL)309の堆積後のFinFETを示す。図示するように、ESL 309は、上述したような共通S/DへのS/Dコンタクト301の物理的接続に起因して堆積ガスに曝されない中間領域を除いて、S/Dコンタクト301の下向きの面上に堆積される。単一のS/Dコンタクト、または互いに物理的に分離された隣接するS/Dコンタクトを含む実施形態では、ESL 309は、ESLを堆積するためのガス環境に曝される全ての下向きの面上に堆積される。一実施例では、ESL 309はSiNを含むことができる。
【0037】
図3Cは、ESL 309上への誘電体311層のブランケット堆積後のFinFETを示し、これによりコンタクト孔306は充填される。
【0038】
図3Dは、平坦化し、ダミーゲート305を置換金属ゲート(RMG)313で置換した後のFinFETを示す。
【0039】
図3Eは、コンタクト孔306内のESL 309を露出させる異方性酸化物エッチング後のFinFETを示す。
【0040】
図3Fは、コンタクト孔306内のS/Dコンタクト301を露出させる異方性窒化物エッチング後のFinFETを示す。
【0041】
図3Gは、Ti金属315を、側壁ではなくS/Dコンタクト301上にだけに堆積するPVDによる、コンタクト孔306内へのTi金属315の堆積後のFinFETを示す。
【0042】
図3Hは、コンタクト孔306内へのTiN層317のコンフォーマルな堆積後のFinFETを示す。
【0043】
図3Iは、Ti金属315とエピタキシャルSi S/Dコンタクト301のSiとの反応によりTiSi層319を形成するアニール後のFinFETを示す。
【0044】
図3Jは、コンタクト孔306を金属321で充填した後のFinFETを示す。
【0045】
図4A図4Hは、本開示の一実施形態によるゲートラストプロセスによるFinFETを形成する方法を概略的に示す。図4A図4Hの各々が、図2のB-B’のようなゲート断面図である上図、および図2のA-A’のようなフィン断面図である下図を含む。図2のFinFETとは異なり、図4A図4Jのゲート断面図は3つの隣接するゲートを示し、フィン断面図は2つの隣接するS/Dコンタクトを示す。図4Aは、S/Dコンタクト401、ゲートスペーサ403、ダミーゲート405、コンタクト孔406、およびフィン407を示す。例えば、S/Dコンタクト401はエピタキシャルSiを含むことができ、フィン407はSiを含むことができ、ゲートスペーサ403はSiNを含むことができ、および/またはダミーゲート405はポリSiを含むことができる。図4A図4Hのフィン断面図は、S/Dコンタクト401が、互いに物理的に接続されて2つのフィンデバイスに対して共通のS/Dを形成することを示す一方で、S/Dコンタクト401は、互いに分離されて、対応する単一のフィンデバイスに関連付けられてもよい。
【0046】
エピタキシャルSi S/Dコンタクト401の表面は、クリーニングプロセスを用いて、いかなるSiOも除去されるようにクリーニングされてもよい。SiOとSiNゲートスペーサ403との間で良好な選択性を提供するクリーニングプロセスが使用されてもよい。クリーニングプロセスは、その後の、エピタキシャルSi上へのTiSi膜の良好な堆積を促進する。一実施例では、クリーニングプロセスは、約600mTorr~約700mTorrのガス圧力での熱Hガスへの曝露、約700℃~約800℃の基板温度、および約10秒~約30秒間の期間を含み得る。別の実施例では、クリーニングプロセスは、約100mTorr~約700mTorrのガス圧力での熱Hガスへの曝露、約600℃~約800℃の基板温度、および約10秒~約60秒間の期間を含み得る。別の実施例では、クリーニングプロセスは、約1Torr~約3Torrのガス圧力での熱NHおよびHFガスへの曝露、約35℃~約100℃の基板温度、および約10秒~約30秒間の期間、または代わりに約10秒~約60秒間の期間を含み得る。更に別の実施例では、クリーニングプロセスは、約1Torr~約3Torrのガス圧力での熱NFおよびHガスへの曝露、約20℃~約100℃の基板温度、および約10秒~約30秒間の期間、または代わりに約10秒~約60秒間の期間を含み得る。
【0047】
図4Bは、S/Dコンタクト401とダミーゲート405との間のゲートスペーサ403の垂直側壁に対して、C54構造を有するTiSi膜409をS/Dコンタクト401の上に直接且つS/Dコンタクト401を完全に覆うように、選択的に堆積した後のFinFETを示す。重要なことに、TiS膜419は、C54構造を有する完全に形成されたTiSi膜419として堆積でき、それにより、その後のアニールは任意になる。TiSi膜419は、基板の上からはラインオブサイトではない下面を含むS/Dコンタクト401の周りを包み込む。選択的堆積は、基板を、チタン含有前駆体ガスおよびシリコン含有前駆体ガスを含むプロセスガスに曝すことを含むことができる。例えば、チタン含有前駆体ガスは、TiClを含むことができる。例えば、シリコン含有前駆体ガスは、SiH、SiHCl、SiHCl、またはSiClを含むことができる。一実施例では、プロセスガスは、SiHおよびTiClを含むことができる。プロセスガスは、Hガスを更に含んでもよい。ガス圧力は、例えば、約1mTorr~約50mTorr、または約5mTorr~約20mTorrであり得る。基板温度は、例えば、約700℃~約800℃であり得る。
【0048】
図4Cは、コンフォーマルなエッチストップ層(ESL)409の堆積後のFinFETを示す。図示するように、ESL 409は、上述したような共通S/DへのS/Dコンタクト401の物理的接続に起因して堆積ガスに曝されない中間領域を除いて、S/Dコンタクト401の下向きの面上に堆積される。単一のS/Dコンタクト、または互いに物理的に分離された隣接するS/Dコンタクトを含む実施形態では、ESL 409は、ESLを堆積するためのガス環境に曝される全ての下向きの面上に堆積される。一実施例では、ESL 409はSiNを含むことができる。
【0049】
図4Dは、コンタクト孔406を充填する誘電体411層のブランケット堆積後のFinFETを示す。
【0050】
図4Eは、ダミーゲート405を置換金属ゲート(RMG)413で置換した後のFinFETを示す。一実施例では、置換は、化学機械平坦化(CMP)を使用して構造をESL 409まで平坦化することと、ダミーゲート405を露出させるパターン形成されたマスクを形成することと、プラズマエッチングプロセスによりダミーゲート405(例えば、ポリSi)を除去することにより凹状のフィーチャを形成することと、凹状のフィーチャ内にコンフォーマルな高k誘電体層(図示せず)を堆積することと、凹状のフィーチャをタングステン(W)金属で部分的に充填することと、凹状のフィーチャの残りの部分をSiNで充填することと、により実施されてもよい。
【0051】
図4Fは、コンタクト孔406内のESL 409を露出させる異方性エッチング後のFinFETを示す。
【0052】
図4Gは、コンタクト孔406内のS/Dコンタクト401上のTiSi膜419を露出させる異方性エッチング後のFinFETを示す。
【0053】
図4Hは、コンタクト孔406を金属415で充填した後のFinFETを示す。図から分かるように、TiSi膜409が堆積された後、ダミーゲート405はRMG 414で置換されるので、FinFETは、S/Dコンタクト401の(フィン407に接触する周辺部の部分を除く)全ての周辺部の周りにTiSi膜409が堆積されている。S/Dコンタクト401上へのTiSi膜409のこの直接形成により、界面品質が改善し、増加した接触領域によりコンタクト抵抗が低減され、TiSi膜409の高い熱安定性に起因してサーマルバジェットの懸念が緩和され得る。
【0054】
したがって、本明細書で論じられるデバイスおよびその変型形態はシステムと見なすことができることが理解できる。一実施形態では、FET半導体デバイスは、少なくとも1つのFETの少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを含む基板であって、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトは、少なくとも1つのFETのゲートに隣接して形成されている、基板と、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトとゲートとの間のゲートスペーサの垂直側壁に対して、少なくとも1つのソース/ドレインコンタクト上に直接存在し且つ少なくとも1つのソース/ドレインコンタクトを完全に覆うC54構造を有するTiSi2膜と、を備える。このようなシステムの一実施例が図4Hに示される。
【0055】
図5Aは、従来のFinFET製造方法から生じる構造の概略図である。図示するように、構造は、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス後に、残っているコンタクトエッチストップ層(CESL)SiN 387、および損傷を受けたエピタキシャルSi 381を含む。TiSi層385は、(WF)材料の低いサーマルバジェットに起因して部分的にだけ形成されている。更に、TiSiは、減少した金属コンタクト領域383を有する。図5Bは、本明細書で開示される実施形態によるFinFET製造方法から生じる構造の概略図であり、図4A図4Hで論じたように、RMGは、ソース/ドレインコンタクト上にチタンシリサイド膜を形成した後に形成される。図示するように、TiSi膜419は、基板の上部からラインオブサイトではない下部419’も併せて、完全に形成されている。これは、低い電気抵抗を可能にし、ソース/ドレインコンタクトからのSi拡散に依存していない。更に、開示された方法は、エピタキシャルSiソース/ドレインコンタクトへの損傷を排除し、ソース/ドレインコンタクト上に形成されるエッチストップ層残留物の形成を排除し、ソース/ドレインコンタクト抵抗を減らす。
【0056】
前述の説明では、処理システムの特定の形状、並びにそこで使用される様々な構成要素およびプロセスの説明など、具体的な詳細について記載してきた。しかしながら、本発明の技術がこれらの具体的な詳細事項とは異なる他の実施形態で実施されてよいこと、およびそのような詳細事項は説明目的であって本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で開示される実施形態について、添付の図面を参照して説明してきた。同様に、説明目的のため、完全な理解が得られるように、具体的な個数、材料、および構成について記述してきた。それにもかかわらず、そのような具体的な詳細なしで実施形態が実施されてもよい。実質的に同じ機能構造を有する構成要素は類似の参照符号で表記されており、したがっていかなる冗長な記述も省略されている場合がある。
【0057】
様々な実施形態の理解を促進するために、様々な技術を複数の個別の動作として説明してきた。説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものと解釈すべきではない。実際、これらの動作は提示された順序で実施される必要がない。説明した動作は、説明した実施形態と異なる順序で実施されてもよい。追加の実施形態において、様々な追加の操作が実施されてもよく、および/または説明された操作が省略されてもよい。
【0058】
本明細書で使用される「基板」または「ウェハー」は、本発明に従って処理される対象物を総称して指す。基板は、デバイス、特に半導体デバイスまたは他の電子デバイスの、任意の材料部分または構造を含んでもよく、例えば、半導体ウェハーなどのベース基板構造、レチクル、またはベース基板構造上の層若しくはベース基板構造に重なる層、例えば薄膜であってもよい。したがって、基板は、パターン形成されているか否かに依らず、いかなる特定のベース構造、下地層または被覆層にも限定されず、むしろ、任意のそのような層またはベース構造、並びに層および/またはベース構造の任意の組合せを含むことが企図されている。説明は、特定の種類の基板を参照し得るが、これは、例示のみを目的とするものである。
【0059】
当業者はまた、上記で説明した技術の動作に対して多くの変更がなされても、依然として本発明の同じ目的を達成できることを理解するであろう。そのような変形形態は、本開示の範囲に包含されることが意図される。したがって、本発明の実施形態の上述の説明は、限定することを意図したものではない。むしろ、本発明の実施形態に対するいかなる限定も以下の特許請求の範囲に提示される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
【国際調査報告】