(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】組換え抗原提示細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/24 20060101AFI20240403BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240403BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20240403BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240403BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240403BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240403BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20240403BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20240403BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20240403BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240403BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240403BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240403BHJP
【FI】
C12N15/24
C12N5/0783 ZNA
C12N5/0784
C12N5/10
C12N15/62 Z
C07K14/54
C07K14/705
C07K16/00
C12N15/12
C12N15/13
C07K19/00
C12N5/0781
C12N5/078
C07K14/725
C07K16/28
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566023
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2022053925
(87)【国際公開番号】W WO2022229884
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ソバナ、ナンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ボトゥン、アリシャ
(72)【発明者】
【氏名】ベネザー、ギル
(72)【発明者】
【氏名】バドゥカール、シュルティ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、ラビ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、フイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ワンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ソニ、マンシ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ラン
(72)【発明者】
【氏名】シ、シ
(72)【発明者】
【氏名】イェ、ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、メンヤオ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、マノイ
(72)【発明者】
【氏名】中村 鑑斗
(72)【発明者】
【氏名】マイ、ドアン
(72)【発明者】
【氏名】ウン、メイ ローザ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA94X
4B065AA99
4B065AB06
4B065BA02
4B065BD39
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA05
4C087DA32
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA22
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、組換え抗原提示細胞、及び免疫細胞のex vivoでの培養及び拡大におけるその使用方法を提供する。いくつかの態様において、本明細書で開示する組換え抗原提示細胞の共培養を通じて拡大された免疫細胞は、対象の疾患または状態の治療(例えば、がんの治療)のために対象に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む、組換え抗原提示細胞(RAPC)。
【請求項2】
(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項1に記載のRAPC。
【請求項3】
(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項1または2に記載のRAPC。
【請求項4】
(i)IL-21及び(ii)OX40Lを発現する、請求項1~3のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項5】
(iii)4-1BBLを発現する、請求項1~4のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項6】
(iv)IL-15を発現する、請求項1~5のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項7】
前記IL-21が膜結合IL-21である、請求項1~6のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項8】
前記膜結合IL-21が、ヒトIL-21ポリペプチドと免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である、請求項7に記載のRAPC。
【請求項9】
前記膜結合IL-21が、(i)前記ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)前記免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む、請求項7または8に記載のRAPC。
【請求項10】
前記IL-15が膜結合IL-15である、請求項6~9のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項11】
前記膜結合IL-15が、ヒトIL-15ポリペプチドと免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である、請求項10に記載のRAPC。
【請求項12】
前記膜結合IL-15が、(i)前記ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)前記免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む、請求項10または11に記載のRAPC。
【請求項13】
前記Fc領域がIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域である、請求項8~12のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項14】
前記Fc領域がIgG4 Fc領域である、請求項8~13のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項15】
前記ヒンジ領域が免疫グロブリンヒンジ領域または修飾免疫グロブリンヒンジ領域を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項16】
前記ヒンジ領域がIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはCD8ヒンジ領域を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項17】
前記膜貫通ドメインがCD4またはCD8膜貫通ドメインを含む、請求項12~16のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項18】
樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、またはIL-21、IL-15、OX-40L、及び4-1BBLのうちの1つ以上が付着した固体支持体を含む、請求項12~17のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項19】
前記固体支持体が、ビーズ、球状もしくは非球状のナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せから選択される、請求項18に記載のRAPC。
【請求項20】
K562細胞である、請求項1~19のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項21】
遺伝子修飾K562細胞である、請求項1~20のいずれか1項に記載のRAPC。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載のRAPCを含む、RAPCの集団。
【請求項23】
第1のRAPC及び第2のRAPCを含むRAPCの集団であって、
(a)前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCが、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子及びOX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含む、または
(b)前記第1のRAPCが、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含み、前記第2のRAPCが、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を発現する、前記RAPCの集団。
【請求項24】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、またはその両方が、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項23に記載のRAPCの集団。
【請求項25】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、またはその両方が、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む、請求項23または21に記載のRAPCの集団。
【請求項26】
第3のRAPCをさらに含む、請求項23~25のいずれか1項に記載のRAPCの集団。
【請求項27】
前記第3のRAPCが、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項26に記載のRAPCの集団。
【請求項28】
前記第3のRAPCが、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項26または27に記載のRAPCの集団。
【請求項29】
第4のRAPCをさらに含む、請求項23~28のいずれか1項に記載のRAPCの集団。
【請求項30】
前記第4のRAPCが、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む、請求項29に記載のRAPCの集団。
【請求項31】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、前記第3のRAPC、前記第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せが、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項29または30に記載のRAPCの集団。
【請求項32】
前記固体支持体が、ビーズ、球状もしくは非球状のナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項31に記載のRAPCの集団。
【請求項33】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、前記第3のRAPC、前記第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せがK562細胞である、請求項29~32のいずれか1項に記載のRAPCの集団。
【請求項34】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、前記第3のRAPC、前記第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せが遺伝子修飾K562細胞である、請求項29~33のいずれか1項に記載のRAPCの集団。
【請求項35】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、前記免疫細胞の集団を、請求項1~21のいずれか1項に記載のRAPCまたは請求項22~34のいずれか1項に記載のRAPCの集団に接触させることを含む、前記方法。
【請求項36】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、前記免疫細胞の集団をRAPCに接触させることを含み、前記RAPCがIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現する、前記方法。
【請求項37】
前記免疫細胞が、αβT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、パンγδT細胞、Vδ1 γδT細胞、Vδ2 γδT細胞、Vδ3 γδT細胞、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記免疫細胞が、ナイーブT細胞、幹細胞メモリーT細胞(Tscm)、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(Tem)、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫細胞の集団が1つ以上の遺伝子修飾免疫細胞を含む、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記免疫細胞の集団が前記RAPCに接触される前に、前記免疫細胞の集団が遺伝子修飾される、請求項35~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫細胞の集団が前記RAPCに接触された後に、前記免疫細胞の集団が遺伝子修飾される、請求項35~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫細胞の集団が、誘導多能性幹細胞(iPSC)由来の1つ以上の免疫細胞を含む、請求項35~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記遺伝子修飾免疫細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)、操作遺伝子T細胞受容体(TCR)、またはこれらの組合せを含む、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記CARまたは前記TCRが、腫瘍細胞上に存在する1つ以上の抗原に結合可能である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記CARまたは前記TCRが、CD19、CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異性抗原、黒色腫関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、黒色腫抗原(MAGE)、T細胞により認識される黒色腫抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される抗原に結合可能である、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×10
7~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
10~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
7~少なくとも約1×10
10、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
10、または少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
10個の免疫細胞になるまで、前記免疫細胞の集団が拡大される、請求項35~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×10
7、少なくとも約5×10
7、少なくとも約1×10
8、少なくとも約5×10
8、少なくとも約1×10
9、少なくとも約2×10
9、少なくとも約3×10
9、少なくとも約4×10
9、少なくとも約5×10
9、少なくとも約6×10
9、少なくとも約7×10
9、少なくとも約8×10
9、少なくとも約9×10
9、少なくとも約1×10
10、少なくとも約2×10
10、少なくとも約3×10
10、少なくとも約4×10
10、少なくとも約5×10
10、少なくとも約6×10
10、少なくとも約7×10
10、少なくとも約8×10
10、少なくとも約9×10
10、少なくとも約1×10
11、少なくとも約2×10
11、少なくとも約3×10
11、少なくとも約4×10
11、少なくとも約5×10
11、少なくとも約6×10
11、少なくとも約7×10
11、少なくとも約8×10
11、少なくとも約9×10
11、または少なくとも約1×10
12個の免疫細胞になるまで、前記免疫細胞の集団が拡大される、請求項35~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫細胞の集団がドナー対象から単離される、請求項35~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ドナー対象がヒトである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ドナー対象ががんに罹患している、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
拡大された免疫細胞の集団を精製することをさらに含む、請求項35~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記拡大された免疫細胞の集団が、アルファ/ベータT細胞、ガンマ/デルタT細胞、NK細胞、またはこれらの組合せの集団を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記拡大された免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することをさらに含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
疾患または状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(i)免疫細胞の集団を、請求項1~21のいずれか1項に記載のRAPCまたは請求項22~34のいずれか1項に記載のRAPCの集団に接触させることにより、前記免疫細胞の集団をex vivoで拡大することと、(ii)拡大された免疫細胞の集団を精製することと、(iii)前記拡大された免疫細胞の集団を前記対象に投与することとを含む、方法。
【請求項55】
前記対象ががんに罹患している、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記がんが、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚もしくは眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性もしくは急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓もしくは尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導性癌(アスベストにより誘導されたものを含む)、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項50または55に記載の方法。
【請求項57】
前記がんがリンパ腫または白血病を含む、請求項50、55、及び56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、前記免疫細胞の集団をインターロイキン-21(IL-21)及びOX40Lに接触させることを含む、前記方法。
【請求項59】
前記免疫細胞の集団を組換え抗原提示細胞(RAPC)に接触させることをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、T細胞の集団をRAPC、IL-21及びOX40Lに接触させることを含む、前記方法。
【請求項61】
前記免疫細胞の集団を4-1BBリガンド(4-1BBL)に接触させることをさらに含む、請求項58~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記免疫細胞の集団をインターロイキン-15(IL-15)に接触させることをさらに含む、請求項58~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記RAPCがIL-21、OX40L、4-1BBL、IL-15、またはこれらの任意の組合せを発現する、請求項59~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記RAPCがIL-21を発現する、請求項59~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記RAPCがOX40Lを発現する、請求項59~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記RAPCが4-1BBLを発現する、請求項59~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記RAPCがIL-15を発現する、請求項59~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記RAPCがIL-21及びOX40Lを発現し、前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地が4-1BBL及びIL-15を含む、請求項59~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記RAPCがIL-21、OX40L、及び4-1BBLを発現し、前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地がIL-15を含む、請求項59~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記RAPCがIL-21、OX40L、及びIL-15を発現し、前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地が4-1BBLを含む、請求項59~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記RAPCが、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項59~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記固体支持体が、ビーズ、球状もしくは非球状のナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記RAPCが遺伝子修飾K562細胞である、請求項59~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、T細胞の集団をIL-21及び第1のRAPCに接触させることを含み、前記第1のRAPCがOX40Lを発現する、前記方法。
【請求項75】
前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地がIL-21を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記IL-21がビーズに会合する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記IL-21が第2のRAPCによって発現される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCが異なる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCが同じである、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記免疫細胞の集団をOX40Lに接触させることをさらに含む、請求項74~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地がOX40Lを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記OX40Lがビーズに会合する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記OX40Lが第3のRAPCによって発現される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記第3のRAPCが前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCとは異なる、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第3のRAPCが前記第1のRAPCと同じであり、前記第3のRAPCが前記第2のRAPCと同じであるか、または前記第3のRAPCが前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCと同じである、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記免疫細胞の集団をIL-15に接触させることをさらに含む、請求項74~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記免疫細胞の集団が培地中で培養され、前記培地がIL-15を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記IL-15がビーズと会合する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記IL-15が第4のRAPCによって発現される、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記第4のAPCが前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、及び前記第3のRAPCとは異なる、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記第4のRAPCが前記第1のRAPCと同じであり、前記第4のRAPCが前記第2のRAPCと同じであるか、前記第4のRAPCが前記第3のRAPCと同じであるか、前記第4のRAPCが前記第1のRAPC及び前記第2のRAPCと同じであるか、前記第4のRAPCが前記第2のRAPC及び前記第3のRAPCと同じであるか、前記第4のRAPCが前記第1のRAPC及び前記第3のRAPCと同じであるか、または前記第4のRAPCが前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、及び前記第3のRAPCと同じである、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、T細胞の集団をRAPCに接触させることを含み、前記RAPCがIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現する、前記方法。
【請求項93】
前記第1のRAPC、前記第2のRAPC、前記第3のRAPC、または前記第4のRAPCのうちの1つ以上が、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項74~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記固体支持体が、ビーズ、球状もしくは非球状のナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記RAPCが遺伝子修飾K562細胞である、請求項74~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記IL-21が、ヒトIL-21ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である、請求項58~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記IL-21が、(i)前記ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)前記免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記IL-15が、ヒトIL-15ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である、請求項63~73及び86~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記IL-15が、(i)前記ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)前記免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記Fc領域がIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域である、請求項96~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記Fc領域がIgG4 Fc領域である、請求項96~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記ヒンジ領域が免疫グロブリンヒンジ領域または修飾免疫グロブリンヒンジ領域を含む、請求項97~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記ヒンジ領域がIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはCD8ヒンジ領域を含む、請求項97~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記膜貫通ドメインがCD4またはCD8膜貫通ドメインを含む、請求項97~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記T細胞の集団中のT細胞の総数が、少なくとも約1×10
7~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
12、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
10~少なくとも約1×10
11、少なくとも約1×10
7~少なくとも約1×10
10、少なくとも約1×10
8~少なくとも約1×10
10、または少なくとも約1×10
9~少なくとも約1×10
10個のT細胞になるまで、前記免疫細胞の集団が拡大される、請求項58~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記T細胞の集団中のT細胞の総数が、少なくとも約1×10
7、少なくとも約5×10
7、少なくとも約1×10
8、少なくとも約5×10
8、少なくとも約1×10
9、少なくとも約2×10
9、少なくとも約3×10
9、少なくとも約4×10
9、少なくとも約5×10
9、少なくとも約6×10
9、少なくとも約7×10
9、少なくとも約8×10
9、少なくとも約9×10
9、少なくとも約1×10
10、少なくとも約2×10
10、少なくとも約3×10
10、少なくとも約4×10
10、少なくとも約5×10
10、少なくとも約6×10
10、少なくとも約7×10
10、少なくとも約8×10
10、少なくとも約9×10
10、少なくとも約1×10
11、少なくとも約2×10
11、少なくとも約3×10
11、少なくとも約4×10
11、少なくとも約5×10
11、少なくとも約6×10
11、少なくとも約7×10
11、少なくとも約8×10
11、少なくとも約9×10
11、または少なくとも約1×10
12個のT細胞になるまで、前記免疫細胞の集団が拡大される、請求項58~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記免疫細胞の集団がドナー対象から得られる、請求項58~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記ドナー対象がヒトである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ドナー対象ががんに罹患している、請求項107または108に記載の方法。
【請求項110】
前記免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することをさらに含む、請求項58~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記免疫細胞が、αβT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、パンγδT細胞、Vδ1 γδT細胞、Vδ2 γδT細胞、Vδ3 γδT細胞、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項58~110のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月27日出願の米国仮出願第63/180,530号の優先権の利益を主張し、当該仮出願は参照により全体として本明細書に援用される。
【0002】
EFS-Web経由で電子提出した配列表の参照
本出願で電子提出した配列表(名称:3817_085PC01_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:11,031バイト、作成日:2022年4月26日)の内容は、参照により全体として本明細書に援用される。
【0003】
本開示は、免疫細胞のex vivoでの培養及び拡大における抗原提示細胞及びその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
細胞ベースの免疫療法は急速に発展中の研究分野であり、がんを含む様々な疾患の新規かつ改善された治療方法の開発を目的とする。免疫療法のための免疫細胞を単離し拡大するには、細胞の生存、拡大、及び最終的な有効性を改善するために様々な因子を用いて細胞を補充する必要がある。抗原提示細胞は、ex vivoで培養した免疫細胞にこれらの因子を送達するためのビヒクルとしてしばしば使用される。しかし、対象から単離された免疫細胞の集団は、アルファ/ベータT細胞、ガンマ/デルタT細胞、NK細胞、及びB細胞を含む様々な細胞種からなる。ある特定の免疫細胞(例えば、ガンマ/デルタT細胞及びNK細胞)は、免疫細胞の総集団のごく一部に相当するため、細胞ベースの免疫療法に適した細胞数に達することは困難である。
【0005】
そのため、当技術分野では、免疫細胞の集団を拡大する方法、詳細には、細胞集団全体のごく一部に相当する細胞、例えば、NK細胞及びガンマ/デルタT細胞を拡大する方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、部分的には、細胞ベースの免疫療法に適した免疫細胞、詳細には、全細胞集団のごく一部に相当する免疫細胞の単離及び/または拡大に有用な組換え抗原提示細胞を提供する。本開示のいくつかの態様は、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む組換え抗原提示細胞(RAPC)を対象とする。いくつかの態様において、RAPCは、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む。いくつかの態様において、RAPCは、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21及び(ii)OX40Lを発現する。いくつかの態様において、RAPCは、(iii)4-1BBLを発現する。いくつかの態様において、RAPCは、(iv)IL-15を発現する。
【0007】
いくつかの態様において、IL-21は、ヒトIL-21ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-21は、(i)ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-15は、ヒトIL-15ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-15は、(i)ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、Fc領域はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はIgG4 Fc領域である。いくつかの態様において、ヒンジ領域は免疫グロブリンヒンジ領域または修飾免疫グロブリンヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはCD8ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD4またはCD8膜貫通ドメインを含む。
【0008】
いくつかの態様において、RAPCは、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)を含む。いくつかの態様において、RAPCはK562細胞である。いくつかの態様において、RAPCは遺伝子修飾K562細胞である。
【0009】
本開示のいくつかの態様は、本明細書で開示するRAPCを含むRAPCの集団を対象とする。
【0010】
本開示のいくつかの態様は、第1のRAPC及び第2のRAPCを含むRAPCの集団を対象とし、(a)第1のRAPC及び第2のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む、または(b)第1のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含み、第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を発現する。いくつかの態様において、第1のRAPC、第2のRAPC、またはその両方は、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む。いくつかの態様において、第1のRAPC、第2のRAPC、またはその両方は、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子をさらに含む。いくつかの態様において、RAPCの集団は第3のRAPCをさらに含む。いくつかの態様において、第3のRAPCは、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、第3のRAPCは、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCの集団は第4のRAPCをさらに含む。いくつかの態様において、第4のRAPCは、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0011】
いくつかの態様において、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せは、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)を含む。いくつかの態様において、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せは、K562細胞である。いくつかの態様において、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せは、遺伝子修飾K562細胞である。
【0012】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団を、本明細書で開示するRAPCまたは本明細書で開示するRAPCの集団に接触させることを含む方法を対象とする。
【0013】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をRAPCに接触させることを含み、RAPCがIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現する、方法を対象とする。
【0014】
いくつかの態様において、免疫細胞は、αβT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、パンγδT細胞、Vδ1 γδT細胞、Vδ2 γδT細胞、Vδ3 γδT細胞、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、T細胞は、ナイーブT細胞、幹細胞メモリーT細胞(Tscm)、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(Tem)、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0015】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は1つ以上の遺伝子修飾免疫細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子修飾免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)、修飾T細胞受容体(TCR)、またはこれらの組合せを含む。いくつかの態様において、CARまたはTCRは、腫瘍細胞上に存在する1つ以上の抗原に結合可能である。いくつかの態様において、CARまたはTCRは、CD19、CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異性抗原、黒色腫関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、黒色腫抗原(MAGE)、T細胞により認識される黒色腫抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される抗原に結合可能である。
【0016】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×1010~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1010、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1010、または少なくとも約1×109~少なくとも約1×1010個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約2×109、少なくとも約3×109、少なくとも約4×109、少なくとも約5×109、少なくとも約6×109、少なくとも約7×109、少なくとも約8×109、少なくとも約9×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約2×1010、少なくとも約3×1010、少なくとも約4×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約6×1010、少なくとも約7×1010、少なくとも約8×1010、少なくとも約9×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約2×1011、少なくとも約3×1011、少なくとも約4×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約6×1011、少なくとも約7×1011、少なくとも約8×1011、少なくとも約9×1011、または少なくとも約1×1012個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。
【0017】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団はドナー対象から得られる。いくつかの態様において、ドナー対象はヒトである。いくつかの態様において、ドナー対象はがんに罹患している。
【0018】
いくつかの態様において、この方法は、例えば、ポジティブ選択もしくはネガティブ選択、または後で細胞療法に使用することができる実質的に純粋な拡大された免疫細胞集団を得るための任意の他の好適な手段を使用することにより、拡大された免疫細胞集団を精製することをさらに含む。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞の集団は、アルファ/ベータT細胞、ガンマ/デルタT細胞、NK細胞、またはこれらの組合せの集団を含む。
【0019】
いくつかの態様において、この方法は、拡大された免疫細胞集団を、それを必要とする対象に投与することをさらに含む。
【0020】
本開示のいくつかの態様は、疾患または状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、(i)免疫細胞の集団を、本明細書で開示するRAPCまたは本明細書で開示するRAPCの集団に接触させることにより、免疫細胞の集団をex vivoで拡大することと、(ii)拡大された免疫細胞の集団を精製することと、(iii)精製された免疫細胞の集団を対象に投与することとを含む方法を対象とする。
【0021】
いくつかの態様において、対象はがんに罹患している。いくつかの態様において、がんは、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性もしくは急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓もしくは尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導性癌(アスベストにより誘導されたものを含む)、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、がんはリンパ腫または白血病を含む。
【0022】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をインターロイキン-21(IL-21)及びOX40Lに接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団を、本明細書で開示する抗原提示細胞(APC)に接触させることをさらに含む。本開示のいくつかの態様は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をAPC、IL-21、及びOX40Lに接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団を4-1BBリガンド(4-1BBL)に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団をインターロイキン-15(IL-15)に接触させることをさらに含む。
【0023】
いくつかの態様において、APCはIL-21、OX40L、4-1BBL、IL-15、またはこれらの任意の組合せを発現する。いくつかの態様において、APCはIL-21を発現する。いくつかの態様において、APCはOX40Lを発現する。いくつかの態様において、APCは4-1BBLを発現する。いくつかの態様において、APCはIL-15を発現する。いくつかの態様において、APCはIL-21及びOX40Lを発現し、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地は4-1BBL及びIL-15を含む。いくつかの態様において、APCはIL-21、OX40L、及び4-1BBLを発現し、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地はIL-15を含む。いくつかの態様において、APCはIL-21、OX40L、及びIL-15を発現し、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地は4-1BBLを含む。
【0024】
いくつかの態様において、APCは組換えAPC(RAPC)を含む。いくつかの態様において、RAPCは、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)を含む。
【0025】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をIL-21及び第1のAPCに接触させることを含み、第1のAPCがOX40Lを発現する方法を対象とする。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地はIL-21を含む。いくつかの態様において、IL-21は固体支持体(例えば、ビーズ)と会合する。いくつかの態様において、IL-21は第2のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のAPCは異なる。いくつかの態様において、第1のAPC及び第2のAPCは同じである。
【0026】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団をOX40Lに接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地はOX40Lを含む。いくつかの態様において、OX40Lは固体支持体(例えば、ビーズ)と会合する。いくつかの態様において、OX40Lは第3のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第3のAPCは第1のAPC及び第2のAPCとは異なる。いくつかの態様において、第3のAPCは第1のAPCと同じであり、第3のAPCは第2のAPCと同じであるか、または第3のAPCは第1のAPC及び第2のAPCと同じである。
【0027】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団をIL-15に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は培地中で培養され、培地はIL-15を含む。いくつかの態様において、IL-15は固体支持体(例えば、ビーズ)と会合する。いくつかの態様において、IL-15は第4のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第4のAPCは第1のAPC、第2のAPC、及び第3のAPCとは異なる。いくつかの態様において、第4のAPCは第1のAPCと同じであり、第4のAPCは第2のAPCと同じであるか、第4のAPCは第3のAPCと同じであるか、第4のAPCは第1のAPC及び第2のAPCと同じであるか、第4のAPCは第2のAPC及び第3のAPCと同じであるか、第4のAPCは第1のAPC及び第3のAPCと同じであるか、または第4のAPCは第1のAPC、第2のAPC、及び第3のAPCと同じである。いくつかの態様において、第1のAPC、第2のAPC、第3のAPC、または第4のAPCのうちの1つ以上は、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)を含む。
【0028】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をAPCに接触させることを含み、APCがIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現する、方法を対象とする。いくつかの態様において、APCはRAPCである。いくつかの態様において、RAPCは、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)を含む。
【0029】
いくつかの態様において、IL-21は、ヒトIL-21ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-21は、(i)ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-15は、ヒトIL-15ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-15は、(i)ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、Fc領域はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はIgG4 Fc領域である。いくつかの態様において、ヒンジ領域は免疫グロブリンヒンジ領域または修飾免疫グロブリンヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはCD8ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD4またはCD8膜貫通ドメインを含む。
【0030】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×1010~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1010、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1010、または少なくとも約1×109~少なくとも約1×1010個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約2×109、少なくとも約3×109、少なくとも約4×109、少なくとも約5×109、少なくとも約6×109、少なくとも約7×109、少なくとも約8×109、少なくとも約9×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約2×1010、少なくとも約3×1010、少なくとも約4×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約6×1010、少なくとも約7×1010、少なくとも約8×1010、少なくとも約9×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約2×1011、少なくとも約3×1011、少なくとも約4×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約6×1011、少なくとも約7×1011、少なくとも約8×1011、少なくとも約9×1011、または少なくとも約1×1012個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。
【0031】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団はドナー対象から得られる。いくつかの態様において、ドナー対象はヒトである。いくつかの態様において、ドナー対象はがんに罹患している。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】A~Dは、4-1BBL(A)、OX40L(B)、IL-15-CD8融合タンパク質(C)、及びIL-21-CD8融合タンパク質(D)をコードする導入遺伝子を含むレンチウイルスを作成するためのコンストラクト設計の概略図である。Eは、組換えAPCを作成するためのプロセスのフローチャート記載である。
【
図2】A~Bは、RAPC2及びRAPC4が臍帯血(CB)及び末梢血(PB)由来NK細胞の細胞拡大、表現型、ならびにNalm6及びRaji腫瘍細胞に対する細胞傷害性に及ぼす共インキュベートの効果を示す棒グラフである。臍帯血または白血球アフェレーシスからの免疫磁性ビーズ分離によってNK細胞をネガティブ選択し、IL-2(Prometheus)の存在下、10%のFBS(Corning)を含むRPMI(Gibco)中で、マイトマイシンCで前処理したRAPC2細胞またはRAPC4細胞と共インキュベートした。細胞培養物は、IL-2を補充した半分の体積の培地を2日ごとに交換することでリフレッシュした。細胞をG-Rex 6Mウェルプレート(Wilson Wolf)で4週間培養した。細胞の成長及び生存率を、毎回の活性化ラウンド中にNC-200(ChemoMetec)によりモニターした。Aは、フローサイトメトリーにより分析した培養28日目におけるNK細胞の細胞表面表現型(CD3-CD56+)の比較を示している。Bは、Nalm6またはRaji腫瘍細胞と24時間共インキュベートしたCB-NK細胞またはPB-NK細胞について、複数のE:T比(5:1から開始して0.15:1まで)における死滅標的細胞のパーセンテージの合計を示している。
【
図3】RAPC2及びRAPC4フィーダー細胞との共インキュベートによる、臍帯血(CB)及び末梢血(PB)由来のガンマ/デルタT(gdT)細胞の細胞傷害性を示している。gdT細胞は、臍帯血または白血球アフェレーシス採取からの免疫磁気ビーズを介してポジティブ選択した。IL-2(Peprotech)及びIL-21(Peprotech)の存在下、10%FBS(Corning)を含むRPMI(Gibco)中で、細胞を、マイトマイシンCで前処理したRAPC2またはRAPC4フィーダー細胞と共インキュベートした。細胞培養物は、IL-2及びIL-21を補充した半分の体積の培地を2日ごとに交換することでリフレッシュした。細胞をG-Rex 6Mウェルプレート(Wilson Wolf)で4週間培養した。細胞の成長及び生存率を、7日ごとの活性化ラウンド中にNC-200(ChemoMetec)によりモニターした。RAPC4により拡大したCB-gdTは、固有の細胞溶解能を複数の腫瘍細胞株に対し示した。CB-gdT細胞を、異なるE:T比(10:1から開始して0.3:1まで)で腫瘍細胞と24時間共インキュベートした。
【
図4】RAPC1及びRAPC4フィーダー細胞株がヒトNK細胞の細胞拡大に及ぼす効果をグラフで表現したものである。RAPC1及びRAPC4細胞をX線照射(100Gy)し、その直後に15%のFBS(Gibco)を含むIMDM(Gibco)中でNK細胞と共インキュベートした。RAPC1共培養物にIL-2、IL-7、及びIL-15を補充し、RAPC4共培養物にIL-2及びIL-7を補充した。フィーダー細胞を2:1(フィーダー:NK)の比率で加えて3日間活性化し、次にG-Rex 24ウェルプレートで4日間拡大し、5日目にサイトカインを補充した60%培地交換を行った。7日ごとに活性化を繰り返した。細胞の成長及び生存率を、7日ごとの活性化ラウンド中にNC-200(ChemoMetec)によりモニターした。
【
図5】RAPC4と7日間及び11日間共培養した後のNK細胞表面マーカー発現を示す棒グラフである。RAPC4細胞をX線照射(100Gy)し、その直後にIL-2及びIL-7を補充した15%のFBS(Gibco)を含むIMDM(Gibco)中でNK細胞と共インキュベートした。フィーダー細胞を2:1(フィーダー:NK)の比率で加えて3日間活性化し、次に培養物をG-Rex 24ウェルプレートに移して4日間拡大し、5日目にサイトカインを補充した60%培地交換を行った。培養から7日後及び11日後にNK細胞を採取し、フローサイトメトリーによりCD3、CD56、CD30、CD16、CD94、NKG2D、及びNKp46の表面発現を分析した。値は、それぞれのマーカーにおいて陽性に染色した全生細胞のパーセンテージを表す。
【
図6】A~Eは、RAPC4活性化NK細胞の拡大及び腫瘍細胞殺傷を示す折れ線グラフである。RAPC4細胞をX線照射(100Gy)し、その直後にNK細胞と2:1の比率で共インキュベートした。照射したRAPC4で活性化されたNK細胞を、次に7つの異なるCARレンチウイルスベクターで形質導入するか、または非形質導入(UTD)のまま放置して、形質導入後の拡大を調べた。第2ラウンドの活性化の6日目に、NK細胞を採取し、4つの腫瘍細胞株(Capan2(A)、GSU(B)、HCT116(C)、及びRAJI(E)(ATCC))、ならびに1つの正常内皮細胞株対照(HUVEC;D)と3:1、1:1、0.3:1、及び0.1:1のE:T比でインキュベートした。共インキュベートの24時間後に、Cell Titer Gloアッセイ(Promega)を用いて細胞溶解パーセントを評価した。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示のいくつかの態様は、組換え抗原提示細胞(RAPC)を対象とする。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。
【0034】
本開示の他の態様は、ex vivoで免疫細胞の集団を拡大する方法であって、免疫細胞の集団を、本明細書で開示するRAPCまたはその集団に接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、免疫細胞は、αβT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、パンγδT細胞、Vδ1 γδT細胞、Vδ2 γδT細胞、Vδ3 γδT細胞、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は1つ以上の遺伝子修飾免疫細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子修飾免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)、修飾T細胞受容体(TCR)、またはこれらの組合せを含む。
【0035】
本開示をより詳細に説明する前に理解されたいのは、本開示が、記載されている特定の組成物またはプロセスステップに限定されないことである。本開示を読めば当業者には明らかであろうように、本明細書で説明及び例示がなされている個々の態様は別々の要素及び特徴を有し、これらは、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から分離することもそれらと組み合わせることも容易にできる。任意の示された方法は、示された事象の順に実行することも、他の任意の論理的に可能な順に実行することもできる。
【0036】
本明細書に示す見出しは本開示の様々な態様の限定ではなく、これは本明細書全体を参照することにより規定され得る。また、本明細書で使用する用語は、特定の態様を説明するためのものに過ぎず、こうした用語が限定的であるようには意図されていないことも理解されたい。
【0037】
I.用語
本開示をより容易に理解するため、ある特定の用語を最初に定義する。本出願で使用する場合、以下の用語の各々は、本明細書で明示的に規定されている場合を除き、以下に記載の意味を有するものとする。追加の定義は、本出願全体に記載されている。
【0038】
本明細書で記載のように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、記載範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合はその端数(例えば、ある整数の10分の1及び100分の1)を含むものと理解されたい。
【0039】
本開示全体において、「a」または「an」という用語は、1つ以上の実体を指し、例えば、「(1つの)キメラポリペプチド」は、1つ以上のキメラポリペプチドを表すものと理解される。そのため、「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。
【0040】
さらに、本明細書で使用する場合、「及び/または」は、他方を伴うまたは伴わない2つの指定された特徴または構成成分を具体的に開示するものとして解釈するものとする。したがって、「及び/または」という用語は、「A及び/またはB」のような表現で使用される場合、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、ならびに「B」(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用される場合、以下の態様の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。さらに、「または」は、リスト内の構成要素のオープンなリストを意味するように使用される。例えば、「XはAまたはBを含む」とは、XはAを含む、XはBを含む、XはA及びBを含む、またはXはAまたはB及び他の任意の構成要素を含むことを意味する。
【0041】
「約」または「本質的に~からなる」という用語は、当業者による判定において特定の値または組成物に関し許容される誤差範囲内にある値または組成を指し、これは部分的には、値または組成の測定または判定方法、すなわち、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」または「本質的に~からなる」は、当技術分野における慣行に従って1標準偏差以内または1標準偏差超を意味し得る。代替的に、「約」または「本質的に~からなる」は最大10%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関しては、この用語は最大1桁分または最大5倍の値を意味することがある。本出願及び特許請求の範囲に特定の値または組成が示されている場合、別段の明記がない限り、「約」または「本質的に~からなる」の意味は、その特定の値または組成について許容される誤差範囲内であると想定するものとする。
【0042】
「活性化免疫細胞」、「活性化T細胞」、及び「活性化NK細胞」という用語は、とりわけ、細胞分裂を経ている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を指す。
【0043】
「抗原」とは、免疫応答を誘発する、またはTCRに結合可能な任意の分子(例えば、ペプチド)を指す。免疫応答は、抗体産生、特定の免疫適格細胞の活性化、またはこれらの組合せを伴う。当業者であれば、実質的に全てのタンパク質またはペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを容易に理解するであろう。抗原は、内在的に発現する(すなわちゲノムDNAによって発現する)こともあれば、組換えにより発現することもある。抗原及び/またはエピトープは、がん細胞などのある特定の組織に特異的なこともあれば、広く発現することもある。さらに、より大きな分子のフラグメントが抗原として作用することもある。いくつかの態様において、抗原は腫瘍抗原である。
【0044】
本明細書で使用する場合、「抗原提示細胞」または「APC」とは、1つ以上の抗原を発現する細胞または細胞様抗原提示表面を指す。いくつかの態様において、抗原はAPCの表面に提示される。APCの非限定的な例としては、樹状細胞、操作クローン細胞株、天然由来のがん細胞株、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。細胞様抗原提示表面の非限定的な例としては、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体(例えば、限定されるものではないが、ビーズ、球状もしくは非球状ナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せを含む)が挙げられる。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はK562細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はK562細胞であり、これは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はK562細胞であり、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は721.221細胞である。例えば、Yang et al.,Mol.Ther.:Methods & Clinical Development 18:428(2020)を参照。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は721.221細胞であり、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうち1つ以上を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現するように修飾された721.221細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞である。例えば、Min et al.,Cellular & Molecular Immunology 19:296-98(2022)を参照。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞であり、これは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞であり、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現するように修飾されている。
【0045】
本明細書で使用する場合、「抗腫瘍効果」とは、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移の数の減少、全生存期間もしくは無増悪生存期間の延長、余命の延長、または腫瘍に関連する様々な生理学的症状の改善として現れ得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果は、腫瘍の発生を防止(例えば、ワクチン)を指すこともある。
【0046】
本明細書で使用する場合、「およそ」という用語は、関心対象となる1つ以上の値に適用される場合、記述された参照値と同等の値を意味する。ある特定の態様において、「およそ」という用語は、別段の明記がない限り、または文脈から明らかでない限り、記載された基準値のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)に10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下に入る値の範囲(このような数字が可能な値の100%を超える場合を除く)を指す。
【0047】
「自己由来」という用語は、後に再導入される個体と同じ個体に由来する任意の物質(例えば、免疫細胞)を指す。例えば、自己由来T細胞療法は、同じ対象から単離されたT細胞を対象に投与することを含む。「同種異系」という用語は、ある個体に由来する任意の物質であって、今度は同じ種の別の個体に導入される任意の物質を指す。例えば、同種異系T細胞移植は、対象以外のドナーから得られるT細胞を対象に投与することを含む。
【0048】
「がん」とは、体内における異常な細胞の制御不能な成長を特徴とする、様々な疾患の広範な群を指す。制御されていない細胞の分裂及び成長によって悪性腫瘍が形成され、悪性腫瘍は隣接組織に侵入し、さらにリンパ系または血流を介し身体の離れた部位に転移する恐れもある。「がん」または「がん組織」には腫瘍も含まれ得る。本発明の方法によって治療することができるがんの例としては、限定されるものではないが、リンパ腫、白血病、及び他の白血球悪性腫瘍を含む免疫系のがんが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、例えば、がんに由来する腫瘍の腫瘍サイズを低減するために使用することができ、がんは、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、乳癌、前立腺癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)もしくは小細胞肺癌(SCLC))、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性もしくは急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓もしくは尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導性癌(アスベストにより誘導されたものを含む)、またはこれらの任意の組合せを含む。特定のがんは、化学療法または放射線療法に応答性である場合も、難治性である場合もある。難治性がんとは、外科的介入が適用できないがんを指し、このようながんは、化学療法または放射線療法に最初から応答しないか、または経時的に応答しなくなる。
【0049】
態様が「~を含む」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」及び/または「本質的に~からなる」という用語で説明されている別の形で類似する態様も提供されるものと理解されたい。
【0050】
「共刺激リガンド」とは、本明細書でこの用語を使用する場合、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)上の同族共刺激分子に特異的に結合することにより、TCR/CD3複合体がペプチドとともに装填されたMHC分子に結合することによってもたらされる一次シグナルに加えて、T細胞応答(限定されるものではないが、増殖、活性化、分化などを含む)を媒介するシグナルをもたらす、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を含む。共刺激リガンドとしては、限定されるものではないが、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンパトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、トールリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、及びB7-H3に特異的に結合するリガンドを挙げることができる。また、共刺激リガンドは、とりわけ、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)上に存在する共刺激分子に特異的に結合する抗体(例えば、限定されるものではないが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83)に特異的に結合するリガンドも包含する。いくつかの実施形態において、共刺激分子は、IL-21(例えば、膜結合IL-21)、4-1BBL、OX40L、及びIL-15(例えば、膜結合IL-15)のうちの1つ以上、またはこれらの任意の組合せを含む。特定の実施形態において、本明細書に記載のRAPCは、膜結合IL-21、膜結合IL-15、OX40L、及び4-1BBLの各々を含む。
【0051】
「共刺激分子」とは、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、免疫細胞による共刺激応答(例えば、限定されるものではないが、増殖)を媒介する、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)上にある同族の結合パートナーを指す。共刺激分子としては、限定されるものではないが、MHCクラスI分子、BTLA、及びTollリガンド受容体が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用する場合、「サイトカイン」とは、特異的抗原との接触に応答して細胞により放出される非抗体タンパク質を指し、サイトカインは第2の細胞と相互作用して第2の細胞における応答を媒介する。サイトカインは、細胞が内在的に発現する場合もあれば、培養中の細胞に加える場合もあれば、対象に投与する場合もあれば、これらの任意の組合せの場合もある。サイトカインは、免疫細胞(マクロファージ、B細胞、T細胞、及びマスト細胞を含む)から放出されて免疫応答を伝播する。サイトカインは、レシピエント細胞において様々な応答を誘導することができる。サイトカインとしては、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症性サイトカイン、エフェクター、及び急性期タンパク質を挙げることができる。例えば、恒常性サイトカイン(インターロイキン(IL)7及びIL-15を含む)は免疫細胞の生存及び増殖を促進し、炎症性サイトカインは炎症応答を促進し得る。恒常性サイトカインの例としては、限定されるものではないが、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、IL-21、及びインターフェロン(IFN)ガンマが挙げられる。炎症性サイトカインの例としては、限定されるものではないが、IL-la、IL-lb、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞成長因子(FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(sVCAM-1)、血管内皮成長因子(VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、及び胎盤成長因子(PLGF)が挙げられる。エフェクターの例としては、限定されるものではないが、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(sFasL)、及びパーフォリンが挙げられる。急性期タンパク質の例としては、限定されるものではないが、C反応性タンパク質(CRP)及び血清アミロイドA(SAA)が挙げられる。
【0053】
「ケモカイン」は、細胞の走化性、すなわち方向性運動を媒介するサイトカインのタイプである。ケモカインの例としては、限定されるものではないが、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(MDCまたはCCL22)、単球走化性タンパク質1(MCP-1またはCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症性タンパク質la(MIP-la、MIP-la)、MIP-Ib(MIP-lb)、ガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)、ならびに胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC及びCCL17)が挙げられる。
【0054】
サイトカインの他の例としては、限定されるものではないが、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド(CCL)1、CCL5、単球特異的ケモカイン3(MCP3もしくはCCL7)、単球走化性タンパク質2(MCP-2もしくはCCL8)、CCL13、IL-1、IL-3、IL-9、IL-11、IL-12、IL-14、IL-17、IL-20、IL-21、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、CD154、リンパ毒素(LT)ベータ、4-IBBリガンド(4-1BBL)、増殖誘導リガンド(APRIL)、CD70、CD153、CD178、グルココルチコイド誘導性TNFR関連リガンド(GITRL)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、OX40L、TNF及びApoL関連白血球発現リガンド1(TALL-1)、またはTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)が挙げられる。
【0055】
「操作自己由来細胞療法」という用語は、「eACT(商標)」と略されることがあり、また養子細胞移植としても知られており、患者自身の免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を採取し、次に遺伝子的に改変して、1つ以上の特定の腫瘍細胞または悪性腫瘍の細胞表面に発現する1つ以上の抗原を認識し標的とするプロセスである。免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現するように操作することができる。CAR陽性(+)免疫細胞、例えば、T細胞または免疫細胞は、共刺激ドメイン及び活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に結合した特定の腫瘍抗原に特異的な細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)を発現するように操作される。共刺激ドメインは、例えばCD28に由来し得、活性化ドメインは、例えばCD3-ゼータに由来し得る(
図1)。ある特定の実施形態において、CARは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の共刺激ドメインを有するように設計されている。CAR scFvは、例えばCD19を標的とするように設計することができ、これは、全ての正常なB細胞及びB細胞悪性腫瘍(限定されるものではないが、NHL、CLL、及び非T細胞ALLを含む)を含むB細胞系列内の細胞によって発現する膜貫通タンパク質である。例示的なCAR-T細胞療法及びコンストラクトは、米国特許公開第2013/0287748号、同第2014/0227237号、同第2014/0099309号、及び同第2014/0050708号に記載されており、これらは参照により全体として本明細書に援用される。
【0056】
「免疫応答」とは、当技術分野で理解されている通りであり、概して、外来の媒介物または異常なもの(例えば、がん性細胞)に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、このような媒介物及びこれらによって引き起こされる疾患から生物を保護する。免疫応答は、免疫系の1つ以上の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞、または好中球)と、これらの細胞または肝臓により産生される可溶性の巨大分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)との作用によって媒介され、この作用は、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性細胞もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合には正常なヒト細胞もしくは組織の選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/または脊椎動物の体内からの排除をもたらす。免疫反応としては、例えば、T細胞(例えば、エフェクターT細胞、Th細胞、CD4+細胞、CD8+T細胞、もしくはTreg細胞)の活性化もしくは阻害、または免疫系の任意の他の細胞(例えば、NK細胞)の活性化もしくは阻害が挙げられる。
【0057】
「免疫調節剤」または「免疫制御剤」とは、例えば、免疫応答の調節、制御、または修飾に関与し得るシグナル伝達経路の構成要素を標的とする薬剤を指す。免疫応答を「調節する」、「制御する」、または「修飾する」とは、免疫系の細胞またはこのような細胞の活性(例えば、Th1細胞などのエフェクターT細胞)における任意の改変を指す。このような調節には、免疫系の刺激または抑制が含まれ、これは、様々な種類の細胞タイプの数の増減、これらの細胞の活性の増減、または免疫系内で生じ得る任意の他の変化によって現れる。阻害性及び刺激性両方の免疫調節剤が特定されており、その一部は腫瘍微小環境で機能が強化され得る。いくつかの実施形態において、免疫調節剤は免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の表面にある分子を標的とする。「免疫調節標的」または「免疫制御標的」とは、物質、薬剤、部分、化合物、または分子の結合を標的とし、それらの結合によって活性が改変される分子(例えば、細胞表面分子)のことである。免疫調節標的としては、例えば、細胞の表面にある受容体(「免疫調節受容体」)及び受容体リガンド(「免疫調節リガンド」)が含まれる。
【0058】
「免疫療法」とは、免疫系または免疫応答を誘導、強化、抑制、または他の方法による修飾を含む方法により、疾患に罹患している、またはかかったり患ったり再発したりするリスクがある対象を治療することを指す。
【0059】
「免疫刺激療法」または「免疫刺激性療法」とは、例えばがんの治療のために、対象における免疫応答を増加させる(誘導または強化する)療法を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、ペプチドで「装填される」とは、MHC分子の文脈における抗原の提示を指す。本明細書で使用する場合、「装填される」とは、抗体がCD32及び/またはCD64などの細胞上のFc結合受容体に結合することも意味する。
【0061】
本明細書で使用する場合、「リンパ球」という用語はナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、またはB細胞を含む。NK細胞は、先天免疫系の主要な構成要素に相当する細胞傷害性(細胞毒性)リンパ球の1つのタイプである。NK細胞は、標的細胞におけるアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導することにより、腫瘍及びウイルスに感染した細胞を拒絶する。NK細胞は、標的細胞の殺滅に活性化を必要としないため、「ナチュラルキラー」と称されるようになった。T細胞は、細胞媒介性免疫において主要な役割を担う。T細胞の表面に発現するT細胞受容体(TCR)は、T細胞を他のリンパ球タイプから識別する。胸腺は、免疫系の特殊な器官であり、主にT細胞成熟に関与する。T細胞には6つのタイプがあり、すなわち、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞);細胞傷害性T細胞(別名TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞、またはキラーT細胞);メモリーT細胞((i)幹メモリーTSCM細胞は、ナイーブ細胞と同様、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+、及びIL-7Ra+であるが、大量のCD95、IL-2R.p、CXCR3、及びLFA-1を発現し、メモリー細胞に特徴的な多くの機能的属性を示す);(ii)セントラルメモリーTCM細胞はL-セレクチン及びCCR7を発現し、IL-2を分泌するが、IFNyもIL-4も分泌しない;(iii)ただし、エフェクターメモリーTEM細胞はL-セレクチンもCCR7も発現しないが、IFNy及びIL-4のようなエフェクターサイトカインを産生する);制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、またはCD4+CD25+制御性T細胞);ナチュラルキラーT細胞(NKT);ならびにガンマデルタT細胞である。
【0062】
B細胞は、(抗体の関与を伴って)液性免疫の主要な役割を担う。B細胞は抗体及び抗原を作製し、抗原提示細胞(APC)の役割を担い、抗原の相互作用による活性化の後、メモリーB細胞となる。哺乳類の場合、未熟B細胞は、その名称が由来するところの骨髄で形成される。
【0063】
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される担体」には、当業者に知られているであろうように、あらゆる水性溶媒(例えば、水、アルコール/水溶液、食塩水、非経口ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなど))、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル))、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、体液及び栄養補充液、このような材料及びこれらの組合せが含まれる。医薬組成物中の様々な構成要素のpH及び正確な濃度は、周知されたパラメーターに従って調整される。
【0064】
「内在性免疫応答の増強」とは、対象における既存の免疫応答の有効性または効力を増加させることを意味する。この有効性及び効力の増加は、例えば、内在性の宿主免疫応答を抑制する機序を克服することにより、または内在性の宿主免疫応答を強化する機序を刺激することにより、達成することができる。
【0065】
本明細書で使用する場合、「組換え」細胞(例えば、組換え抗原提示細胞(または「RAPC」))という用語は、細胞内に天然には存在しない核酸を含む細胞(例えば、抗原提示細胞)を指すことが意図されており、これは、組換え発現ベクターが導入された細胞であり得る。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の後代も指すように意図されていることを理解されたい。変異または環境的影響のいずれかにより、ある特定の修飾が後代に生じることがあるものの、このような後代も依然として、本明細書で使用する「組換え体」という用語の範囲に含まれる。いくつかの態様において、RAPCは、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体、またはこれらの任意の組合せである。固体支持体の非限定的な例としては、ビーズ、球状もしくは非球状のナノ粒子支持体、カーボンナノチューブ支持体、磁性粒子支持体、糸状ポリマー支持体、二次元支持体、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。RAPCが、ビーズベースの人工抗原提示細胞、人工脂質小胞もしくは他の脂質二重層含有系、エクソソーム、固体支持体、またはこれらの任意の組合せを含む場合、RAPCは、RAPCの表面に会合する1つ以上の組換えタンパク質(例えば、本明細書で開示するIL-21、IL-15、4-1BBL、及び/またはOX40Lのうちの1つ以上)を含み得る。
【0066】
本明細書で使用する場合、「刺激性リガンド」とは、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上に存在すると、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)上の同族の結合パートナー(本明細書では「刺激性分子」と称する)に特異的に結合し、それにより、免疫細胞による一次応答(限定されるものではないが、活性化、免疫応答の開始、増殖などを含む)を媒介することができるリガンドを意味する。刺激性リガンドは当技術分野で周知されており、とりわけ、ペプチドで装填されたMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD2抗体を包含する。
【0067】
「刺激分子」とは、本明細書でこの用語を使用する場合、抗原提示細胞(例えば、とりわけ本発明のaAPC)上に存在する同族刺激リガンドに特異的に結合する、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)上にある分子を意味する。
【0068】
本明細書で使用する場合、「対象」及び「患者」という用語は互換的に使用され、ヒトまたは非ヒト(例えば、霊長類、哺乳類、及び脊椎動物)のいずれかを指す。特定の態様において、対象はヒトである。
【0069】
本明細書で使用する場合、「T細胞受容体」(TCR)という用語は、標的抗原と特異的に相互作用可能なヘテロマー細胞表面受容体を指す。本明細書で使用する場合、「TCR」には、限定されるものではないが、天然に存在するTCR及び天然に存在しないTCR、完全長TCR及びその抗原結合部分、キメラTCR、TCR融合コンストラクト、ならびに合成TCRが含まれる。ヒトの場合、TCRはT細胞の表面に発現し、T細胞の認識及び抗原提示細胞の標的化に関与する。抗原提示細胞(APC)は、主要組織適合複合体(MHC;本明細書ではHLA分子、例えばHLAクラス1分子との複合体とも称される)と複合体化した外来タンパク質(抗原)のフラグメントを提示する。TCRは、抗原-HLA複合体を認識しそれに結合し、CD3(T細胞により発現する)を動員してTCRを活性化する。活性化されたTCRは、下流のシグナル伝達及び免疫応答(抗原提示細胞の破壊を含む)を開始する。
【0070】
概して、TCRは2つの鎖、すなわち(i)アルファ-ベータT細胞の場合はアルファ鎖及びベータ鎖、(ii)ガンマ-デルタT細胞の場合はガンマ鎖及びデルタ鎖を含むことができ、これらはジスルフィド結合により相互接続している。各鎖は、可変ドメイン(アルファ鎖可変ドメイン、ベータ鎖可変ドメイン、ガンマ鎖可変ドメイン、及びデルタ鎖可変ドメイン)と、定常領域(アルファ鎖定常領域、ベータ鎖定常領域、ガンマ鎖定常領域、及びデルタ鎖定常領域)とを含む。可変ドメインは細胞膜の遠位に位置し、可変ドメインは抗原と相互作用する。定常領域は細胞膜の近位に位置する。TCRはさらに、膜貫通領域及び短い細胞質尾部を含むことができる。本明細書で使用する場合、「定常領域」という用語は、従来の「定常領域」に加えて、存在する場合は膜貫通領域及び細胞質尾部を包含する。
【0071】
可変ドメインは、相補性決定領域(CDR)と称される超可変領域にさらに細分することができ、この領域の間にはフレームワーク領域(FR)と称されるより保存的な領域が散在する。各アルファ鎖可変ドメイン及びベータ鎖可変ドメインは、3つのCDR及び4つのFR、すなわちFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各可変ドメインは、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。各鎖の3つのCDR全てが抗原結合に関与するが、CDR3が主要な抗原結合領域であると考えられている。CDR1も抗原と相互作用するが、CD2は主にELLA複合体を認識すると考えられている。
【0072】
明示的な記載がない場合、そして文脈による別段の指示がない限り、「TCR」という用語は、本明細書で開示する任意のTCRの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分も含み、一価及び二価のフラグメントまたは部分及び一本鎖TCRも含む。「TCR」という用語は、T細胞の表面に結合する天然に存在するTCRに限定されない。本明細書で使用する場合、「TCR」という用語はさらに、T細胞以外の細胞(例えば、本明細書に記載のように、CD3を天然に発現する、もしくは発現するように修飾された細胞)の表面に発現する本明細書に記載のTCR、または細胞膜から遊離している本明細書に記載のTCR(例えば、単離TCRまたは可溶性TCR)を指す。
【0073】
「TCRフラグメント」、「抗原結合分子」、または「TCRの部分」とは、TCR全体より少ない任意の部分を指す。抗原結合分子は抗原相補性決定領域(CDR)を含むことができる。
【0074】
本明細書で使用する場合、「治療上の利益」または「治療上有効な」という用語は、この状態の医学的治療に関して対象の健康を促進または強化する任意のものを指す。これには、限定されるものではないが、疾患の徴候または症状の頻度または重症度の低減が含まれる。
【0075】
本明細書で使用する場合、疾患または状態についての「治療すること」または「治療」という用語は、疾患の徴候または症状の緩和を図るべくプロトコル(これは、患者に1つ以上の療法を投与することを含み得る)を実行することを指す。いくつかの態様において、治療は、疾患進行の速度を減少させ、疾患状態を改善もしくは軽減し、及び/または寛解もしくは予後の向上を促進する。緩和は、疾患または状態の徴候または症状が現れる前にも、それらが現れた後にも生じ得る。したがって、いくつかの態様において、「治療すること」または「治療」は、疾患または望ましくない状態の「予防すること」または「予防」を含む。ただし、「治療すること」または「治療」は、全ての徴候及び/または症状の完全な緩和を必要とせず、また治癒を必要とせず、患者にわずかな効果をもたらすに過ぎないプロトコルを明確に含む。
【0076】
本明細書で使用する場合、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ「μg」及び「μΜ」と互換的に使用される。
【0077】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用する多くの用語についての全般的辞書を当業者に提供する。
【0078】
単位、接頭語、及び記号は、国際単位系(SI)で承認された形態で示される。数値範囲は、その範囲を規定する数字を含む。本明細書で記載のように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、記載範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合はその端数(例えば、ある整数の10分の1及び100分の1)を含むものと理解されたい。
【0079】
本明細書で使用する略語は、本開示全体で定義されている。本開示の様々な態様については、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0080】
本明細書に記載の様々な態様について、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0081】
II.本開示の組成物
本開示のいくつかの態様は、組換え抗原提示細胞(RAPC)を対象とする。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。
【0082】
本開示のいくつかの態様は、第1のRAPC及び第2のRAPCを含むRAPCの集団を対象とする。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。
【0083】
いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含み、(b)第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0084】
いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0085】
いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0086】
いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、(i)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、(i)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、(i)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。
【0087】
いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、(a)第1のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含み、(b)第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0088】
いくつかの態様において、RAPCの集団は第3のRAPCを含み、第3のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子、または(v)(i)~(iv)の任意の組合せを含む。いくつかの態様において、RAPCの集団は第4のRAPCを含み、第4のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子、または(v)(i)~(iv)の任意の組合せを含む。いくつかの態様において、RAPCの集団は、第1のRAPCと、第2のRAPCと、第3のRAPCと、第4のRAPCとを含み、(a)第1のRAPCは、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含み、(b)第2のRAPCは、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を発現し、(c)第3のRAPCは、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含み、(d)第4のRAPCは、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含む。
【0089】
いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のRAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。
【0090】
いくつかの態様において、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子は細胞に対し異種である。いくつかの態様において、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子は細胞に対し異種である。いくつかの態様において、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子は細胞に対し異種である。いくつかの態様において、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子は細胞に対し異種である。
【0091】
いくつかの態様において、RAPCはIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21及びOX40Lを発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21、OX40L、及び4-1BBLを発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21、OX40L、及びIL-15を発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現する。
【0092】
いくつかの態様において、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上がRAPCの表面に発現する。いくつかの態様において、IL-21及びOX40LがRAPCの表面に発現する。いくつかの態様において、IL-21、OX40L、及び4-1BBLがRAPCの表面に発現する。いくつかの態様において、IL-21、OX40L、及びIL-15がRAPCの表面に発現する。いくつかの態様において、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15がRAPCの表面に発現する。
【0093】
II.A.組換え抗原提示細胞
本開示のある特定の態様は、組換え抗原提示細胞(RAPC)を対象とする。任意の抗原提示細胞(APC)を、本明細書で開示する組成物及び方法に使用することができる。いくつかの態様において、APCは細胞、例えば哺乳類細胞、例えばヒト細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は腫瘍細胞である。いくつかの態様において、細胞は腫瘍細胞に由来する。いくつかの態様において、細胞はK562細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子修飾K562細胞である。K562細胞株は、慢性骨髄性白血病(CML)に罹患したヒト患者から得られる骨髄試料に由来する安定した細胞株である。K562細胞は浮遊状態で培養され、リンパ芽細胞の形態を有する。
【0094】
ある特定の態様において、RAPCはK562細胞を含み、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子とを含むK562細胞を含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含むK562細胞を含む。いくつかの態様において、RAPCは、(i)IL-21をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子と、(iii)4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子と、(iv)IL-15をコードする1つ以上の核酸分子とを含むK562細胞を含む。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書で開示するRAPCの集団は、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、及び第4のRAPCを含み、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せはK562細胞である。いくつかの態様において、本明細書で開示するRAPCの集団は、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、及び第4のRAPCを含み、第1のRAPC、第2のRAPC、第3のRAPC、第4のRAPC、またはこれらの任意の組合せは修飾K562細胞である。
【0096】
いくつかの態様において、APCは免疫細胞、例えば哺乳類免疫細胞、例えばヒト免疫細胞を含む。抗原を提示可能な任意の免疫細胞を、本明細書で開示する組成物及び方法に使用することができる。いくつかの態様において、免疫細胞は樹状細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は操作クローン細胞である。
【0097】
いくつかの態様において、APCは、1つ以上の抗原を発現する細胞様抗原提示表面である。いくつかの態様において、APCはビーズベースの人工抗原提示細胞を含む。いくつかの態様において、APCは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を表面に含むラテックスビーズを含む。いくつかの態様において、APCは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を表面に含むポリスチレンビーズを含む。いくつかの態様において、APCは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を表面に含む金属ビーズを含む。
【0098】
いくつかの態様において、APCは人工脂質小胞または他の脂質二重層含有系を含む。いくつかの態様において、APCはエンドソームを含む。いくつかの態様において、APCはエクソソームを含む。いくつかの態様において、APCはマイクロベシクルを含む。いくつかの態様において、APCはナノベシクルを含む。いくつかの態様において、APCはリポソームを含む。いくつかの態様において、APCは固体支持体を含む。いくつかの態様において、APCはビーズを含む。いくつかの態様において、APCは球状または非球状のナノ粒子支持体を含む。いくつかの態様において、APCはカーボンナノチューブ支持体を含む。いくつかの態様において、APCは磁性粒子支持体を含む。いくつかの態様において、APCは糸状ポリマー支持体を含む。いくつかの態様において、APCは二次元支持体を含む。
【0099】
本明細書で開示するRAPCは、任意の方法を用いて作成することができる。いくつかの態様において、RAPCは、本明細書で開示する核酸分子(例えば、IL-21、IL-15、4-1BBL、及び/またはOX40Lをコードする核酸分子)のうちの1つ以上を含むようにAPCを遺伝子操作することによって作成される。いくつかの態様において、K562細胞はレンチウイルス形質導入によって操作され、例えば、IL-21(例えば、本明細書で開示するIL-21-FcまたはIL-21-CD8融合コンストラクト)、IL-15(例えば、本明細書で開示するIL-15-FcまたはIL-15-CD8融合コンストラクト)、4-1BBL、及び/またはOX40Lをコードする核酸分子を含むレンチウイルスベクターを用いて行われる。
【0100】
いくつかの態様において、APCは照射される。APCを照射することで、照射したAPC上で培養した免疫細胞の特性が改善する(APCにおけるCD70の発現の増加を含む)ことが示されており、これが免疫細胞の活性化及び/または拡大を促進すると考えられている。例えば、Huang et al.,J.Immunother.34(4):327(2011)(参照により全体として本明細書に援用される)を参照。いくつかの態様において、照射されたAPC(例えば、RAPC)の存在下で培養された免疫細胞は、照射されていないAPC(例えば、RAPC)の存在下で培養された免疫細胞よりも、増殖の増大及び/またはIFNg産生の増加が得られる。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)は、成長または分裂が不可能になるように照射される。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)は、少なくとも約10Gy、少なくとも約20Gy、少なくとも約30Gy、少なくとも約40Gy、少なくとも約50Gy、少なくとも約60Gy、少なくとも約70Gy、少なくとも約80Gy、少なくとも約90Gy、少なくとも約100Gy、少なくとも約125Gy、少なくとも約150Gy、少なくとも約175Gy、または少なくとも約200Gy照射される。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)は約100Gyで照射される。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)をマイトマイシンCに接触させる。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)を少なくとも約25μg/mLのマイトマイシンCに接触させる。
【0101】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は721.221細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は721.221細胞であり、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうち1つ以上を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞は、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現するように修飾された721.221細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞であり、これは、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15のうちの1つ以上を発現するように修飾されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗原提示細胞はHut78細胞であり、IL-21、OX40L、4-1BBL、及びIL-15を発現するように修飾されている。
【0102】
II.B.IL-21
本開示のいくつかの態様は、IL-21をコードする1つ以上の核酸分子を含むRAPCを対象とする。本明細書で使用する場合、IL-21とは、インターロイキン-21、その機能的フラグメント、その機能的バリアント、あるいはIL-21またはその機能的フラグメントもしくは機能的バリアントを含む融合ポリペプチドを指す。いくつかの態様において、IL-21は、野生型IL-21の少なくとも1つの機能を有する任意のポリペプチドである。いくつかの態様において、IL-21は哺乳類IL-21を含む。いくつかの態様において、IL-21はヒトIL-21(UniProtKB:Q9HBE4)を含む。
【0103】
ヒトIL-21は免疫制御活性を有するサイトカインであり、これは自然免疫と適応免疫との間の移行を促進すると考えられている。IL-21はB細胞においてIgG1及びIgG3の産生を誘導し、T濾胞ヘルパー(Tfh)細胞の生成及び維持、ならびに胚中心の形成に関与する。IL-21は、IL-6と一緒にTfh細胞の初期生成を制御し、急性ウイルス感染に対する有効な抗体応答にとって不可欠である。また、IL-21は、IL-15との相乗作用においてナチュラルキラー(NK)細胞の増殖及び成熟でも役割を担っており、活性化刺激に応答して成熟B細胞及びT細胞の増殖を制御することができる。IL-21は、IL-15及びIL-18との相乗作用において、T細胞及びNK細胞におけるインターフェロンガンマ産生を刺激する。またIL-21は、T細胞媒介性免疫応答中に樹状細胞(DC)の活性化及び成熟を阻害することもできる。カノニカルな配列を表1Aに示す。
【0104】
【0105】
いくつかの態様において、IL-21をコードする核酸分子は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対し少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、IL-21活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、IL-21をコードする核酸分子は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
【0106】
いくつかの態様において、IL-21をコードする核酸分子は、配列番号5に記載の核酸配列に対し少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、この核酸分子は、IL-21活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、IL-21をコードする核酸分子は配列番号5に記載の核酸配列を含む。
【0107】
いくつかの態様において、IL-21は融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-21は、ヒトIL-21ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-21は、(i)ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)免疫グロブリンのFc領域と、(iii)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-21は、(i)ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-21は、(i)ヒトIL-21ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインと、(v)シグナル伝達ペプチドとを含む。
【0108】
任意のFc領域を、本明細書で開示するIL-21融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、Fc領域はIgG Fc領域、IgA Fc領域、またはIgD Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はIgG1 Fc領域、IgG2 Fc領域、及びIgG3 Fc領域、IgG4 Fc領域、またはこれらの組合せである。いくつかの態様において、IL-21融合タンパク質はIgG1 Fc領域を含む。いくつかの態様において、IL-21融合タンパク質はIgG4 Fc領域を含む。
【0109】
任意のヒンジ領域を、本明細書で開示するIL-21融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、ヒンジ領域はFcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG Fcヒンジ領域、IgA Fcヒンジ領域、またはIgD Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG1 Fcヒンジ領域、IgG2 Fcヒンジ領域、及びIgG3 Fcヒンジ領域、IgG4ヒンジFc領域、またはこれらの組合せを含む。いくつかの態様において、IL-21融合タンパク質はIgG1 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、IL-21融合タンパク質はIgG4 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、IL-21融合タンパク質は修飾IgG4 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はCD8ヒンジ領域を含む。
【0110】
任意の膜貫通ドメインを、本明細書に開示するIL-21融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD4膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD8膜貫通ドメインを含む。
【0111】
任意のシグナル伝達ペプチドを、本明細書で開示するIL-21融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはGMSCFシグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはGMSCFRシグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはCD8シグナル伝達ペプチドを含む。
【0112】
いくつかの態様において、IL-21は、(i)CD8シグナル伝達ペプチドと、(ii)ヒトIL-21ポリペプチドと、(iii)CD8ヒンジ領域と、(iii)CD8膜貫通ドメインとを含む。
【0113】
II.C.IL-15
本開示のいくつかの態様は、IL-15をコードする1つ以上の核酸分子を含むRAPCを対象とする。本明細書で使用する場合、IL-15とは、インターロイキン-15、その機能的フラグメント、その機能的バリアント、あるいはIL-15またはその機能的フラグメントもしくは機能的バリアントを含む融合ポリペプチドを指す。いくつかの態様において、IL-15は、野生型IL-15の少なくとも1つの機能を有する任意のポリペプチドである。いくつかの態様において、IL-15は哺乳類IL-15を含む。いくつかの態様において、IL-15はヒトIL-15(UniProtKB:P40933)を含む。
【0114】
ヒトIL-15は、Tリンパ球の増殖を刺激するサイトカインである。IL-15による刺激は、IL-15と、IL-2受容体の構成要素(IL-2RB及びおそらくはIL-2RGを含むがIL-2RAは含まない)との相互作用を必要とする。好中球においては、IL-15は、おそらくはIL-15受容体(IL-15RA、IL-2RB、及びIL-2RGのサブユニットから構成される)を通じたシグナル伝達によって食作用を刺激し、その結果キナーゼSYKが活性化される。カノニカルな配列を表1Bに示す。
【0115】
【0116】
いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸分子は、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対し少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、IL-15活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸分子は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
【0117】
いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸分子は、配列番号6に記載の核酸配列に対し少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、この核酸分子は、IL-15活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸分子は配列番号6に記載の核酸配列を含む。
【0118】
いくつかの態様において、IL-15は融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-15は、ヒトIL-15ポリペプチドと、免疫グロブリンのFc領域とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、IL-15は、(i)ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)免疫グロブリンのFc領域と、(iii)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-15は、(i)ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、IL-15は、(i)ヒトIL-15ポリペプチドと、(ii)ヒンジ領域と、(iii)免疫グロブリンのFc領域と、(iv)膜貫通ドメインと、(v)シグナル伝達ペプチドとを含む。
【0119】
任意のFc領域を、本明細書で開示するIL-15融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、Fc領域はIgG Fc領域、IgA Fc領域、またはIgD Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はIgG1 Fc領域、IgG2 Fc領域、及びIgG3 Fc領域、IgG4 Fc領域、またはこれらの組合せである。いくつかの態様において、IL-15融合タンパク質はIgG1 Fc領域を含む。いくつかの態様において、IL-15融合タンパク質はIgG4 Fc領域を含む。
【0120】
任意のヒンジ領域を、本明細書で開示するIL-15融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、ヒンジ領域はFcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG Fcヒンジ領域、IgA Fcヒンジ領域、またはIgD Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はIgG1 Fcヒンジ領域、IgG2 Fcヒンジ領域、及びIgG3 Fcヒンジ領域、IgG4ヒンジFc領域、またはこれらの組合せを含む。いくつかの態様において、IL-15融合タンパク質はIgG1 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、IL-15融合タンパク質はIgG4 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、IL-15融合タンパク質は修飾IgG4 Fcヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、ヒンジ領域はCD8ヒンジ領域を含む。
【0121】
任意の膜貫通ドメインを、本明細書に開示するIL-15融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD4膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインはCD8膜貫通ドメインを含む。
【0122】
任意のシグナル伝達ペプチドを、本明細書で開示するIL-15融合ポリペプチドに使用することができる。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはGMSCFシグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはGMSCFRシグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの態様において、シグナル伝達ペプチドはCD8シグナル伝達ペプチドを含む。
【0123】
いくつかの態様において、IL-15は、(i)CD8シグナル伝達ペプチドと、(ii)ヒトIL-15ポリペプチドと、(iii)CD8ヒンジ領域と、(iii)CD8膜貫通ドメインとを含む。
【0124】
II.D.4-1BBL
本開示のいくつかの態様は、4-1BBLをコードする1つ以上の核酸分子を含むRAPCを対象とする。4-1BBLは、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー9(またはTNFSF9)としても知られている。本明細書で使用する場合、4-1BBLとは、全長4-1BBL、その機能的フラグメント、その機能的バリアント、あるいは4-1BBLまたはその機能的フラグメントもしくは機能的バリアントを含む融合ポリペプチドを指す。いくつかの態様において、4-1BBLは、野生型4-1BBLの少なくとも1つの機能を有する任意のポリペプチドである。いくつかの態様において、4-1BBLは哺乳類4-1BBLを含む。いくつかの態様において、4-1BBLはヒト4-1BBL(UniProtKB:P41273)を含む。
【0125】
ヒト4-1BBは、TNFRSF9(4-1BBL)受容体に結合するリガンドである。この相互作用は、活性化末梢血T細胞の増殖を誘導する。4-1BBLはさらに、活性化誘導性細胞死(AICD)及びT細胞とB細胞/マクロファージ間の同族間相互作用でも役割を果たしている。カノニカルな配列を表1Cに示す。
【0126】
【0127】
いくつかの態様において、4-1BBLをコードする核酸分子は、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対し少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、4-1BBL活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、4-1BBLをコードする核酸分子は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
【0128】
いくつかの態様において、4-1BBLをコードする核酸分子は、配列番号7に記載の核酸配列に対し少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、この核酸分子は、4-1BBL活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、4-1BBLをコードする核酸分子は配列番号7に記載の核酸配列を含む。
【0129】
II.E.OX40L
本開示のいくつかの態様は、OX40Lをコードする1つ以上の核酸分子を含むRAPCを対象とする。OX40Lは腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー4(TNFSF4)としても知られている。本明細書で使用する場合、OX40Lとは、全長OX40L、その機能的フラグメント、その機能的バリアント、あるいはOX40Lまたはその機能的フラグメントもしくは機能的バリアントを含む融合ポリペプチドを指す。いくつかの態様において、OX40Lは、野生型OX40Lの少なくとも1つの機能を有する任意のポリペプチドである。いくつかの態様において、OX40Lは哺乳類OX40Lを含む。いくつかの態様において、OX40LはヒトOX40L(UniProtKB:P23510)を含む。
【0130】
ヒトOX40は、TNFRSF4(OX40L)受容体に結合するリガンドである。OX40Lは、T細胞増殖及びサイトカイン産生を共刺激する。カノニカルな配列を表1Dに示す。
【0131】
【0132】
いくつかの態様において、OX40Lをコードする核酸分子は、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対し少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、OX-40L活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、OX40Lをコードする核酸分子は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
【0133】
いくつかの態様において、OX40Lをコードする核酸分子は、配列番号8に記載の核酸配列に対し少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、この核酸分子は、OX40L活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、OX40Lをコードする核酸分子は配列番号8に記載の核酸配列を含む。
【0134】
II.F.その他の核酸分子
いくつかの態様において、RAPCは1つ以上のさらなる核酸分子を含み、この1つ以上のさらなる核酸分子はIL-2をコードする。いくつかの態様において、RAPCはIL-2をさらに発現する。
【0135】
いくつかの態様において、RAPCは1つ以上の共刺激分子を発現する。いくつかの態様において、共刺激分子はCD86、B7.1、またはそのフラグメントもしくはバリアントを含む。いくつかの態様において、RAPCは、CD86をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはCD86をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCはB7.1をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはB7.1をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCは、(i)CD86をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)B7.1をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCはCD86及びB7.1を発現する。
【0136】
いくつかの態様において、RAPCは1つ以上のSLAMファミリー抗原を発現する。いくつかの態様において、SLAMファミリー抗原は、CD2、CD48、CD58(LFA-3)、CD244(2B4)、CD229(Ly9)、CD319(CS1(CD2サブセット1);CRACC(CD2様受容体活性化細胞傷害性細胞))、及びCD352(NTB-A(NK-T-B抗原))から選択される。いくつかの態様において、RAPCは、CD48をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはCD48をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCは、CS1(CD319)をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはCS1(CD319)をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCはCD48及びCS1(CD319)をさらに発現する。
【0137】
いくつかの態様において、RAPCは、接着ポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、接着ポリペプチドはICAM-1(CD54)、LFA-3、またはそのフラグメントもしくはバリアントを含む。いくつかの態様において、RAPCは、ICAM-1(CD54)をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはICAM-1(CD54)をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCは、LFA-3(CD58)をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの態様において、RAPCはLFA-3(CD58)をさらに発現する。いくつかの態様において、RAPCは、(i)ICAM-1(CD54)をコードする1つ以上の核酸分子と、(ii)LFA-3(CD58)をコードする1つ以上の核酸分子とを含む。いくつかの態様において、RAPCはICAM-1(CD54)及びLFA-3(CD58)を発現する。
【0138】
いくつかの態様において、RAPCは内在性HLAクラスI分子を発現しない。いくつかの態様において、RAPCは内在性HLAクラスII分子を発現しない。いくつかの態様において、RAPCは内在性MHC CD1d分子を発現しない。いくつかの態様において、RAPCは内在性HLAクラスI、II、及び/またはCD1d分子を発現しない。
【0139】
III.本開示の方法
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団をex vivoで拡大する方法を対象とする。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団を本明細書で開示するRAPCに接触させることを含む。いくつかの態様において、RAPCはIL-21(例えば、本明細書で開示するIL-21-FcまたはIL-21-CD8融合コンストラクト)及びOX40Lを発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)、OX40L、及びIL-15(例えば、本明細書で開示するIL-15-FcまたはIL-15-CD8融合コンストラクト)を発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)、OX40L、及び4-1BBLを発現する。いくつかの態様において、RAPCはIL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)、OX40L、IL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)、及び4-1BBLを発現する。
【0140】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及びOX40Lを発現するRAPC、ならびに(ii)IL-15に接触させることを含み、RAPCはIL-15を発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及びOX40Lを発現するRAPC、ならびに(ii)4-1BBLに接触させることを含み、RAPCは4-1BBLを発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及びOX40Lを発現するRAPC、(ii)IL-15、ならびに(iii)4-1BBLに接触させることを含み、RAPCはIL-15または4-1BBLを発現しない。
【0141】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21及びIL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)を発現するRAPC、ならびに(ii)OX40Lに接触させることを含み、RAPCはOX40Lを発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21及びIL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)を発現するRAPC、ならびに(ii)4-1BBLに接触させることを含み、RAPCは4-1BBLを発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21及びIL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)を発現するRAPC、(ii)OX40L、ならびに(iii)4-1BBLに接触させることを含み、RAPCはOX40Lまたは4-1BBLを発現しない。
【0142】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBLを発現するRAPC、ならびに(ii)IL-15に接触させることを含み、RAPCはIL-15を発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBLを発現するRAPC、ならびに(ii)OX40Lに接触させることを含み、RAPCはOC-40Lを発現しない。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBLを発現するRAPC、(ii)IL-15、ならびに(iii)OX40Lに接触させることを含み、RAPCはIL-15またはOX40Lを発現しない。
【0143】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をIL-21(例えば、可溶性IL-21、IL-21-Fc、またはIL-21-CD8)及びOX40Lに接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞の集団をAPC(例えば、本明細書で開示するRAPC)に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団を4-1BBLに接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をIL-15(例えば、可溶性IL-15、IL-15-Fc、またはIL-15-CD8)に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)は、IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)、OX40L、及び4-1BBLを発現し、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団は、IL-15(例えば、可溶性IL-15、IL-15-Fc、またはIL-15-CD8)を含む培地中で培養される。いくつかの態様において、APC(例えば、RAPC)は、IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)、OX40L、及びIL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)を発現し、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団は、4-1BBLを含む培地中で培養される。
【0144】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をex vivoで拡大する方法であって、免疫細胞の集団をIL-21(例えば、IL-21、IL-21-Fc、またはIL-21-CD8)及び第1のAPCに接触させることを含み、第1のAPCがOX40Lを発現する方法を対象とする。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団は培地中で培養され、培地はIL-21(例えば、可溶性IL-21)を含む。いくつかの態様において、IL-21はビーズに会合する。いくつかの態様において、IL-21(例えば、可溶性IL-21、IL-21-Fc、及び/またはIL-21-CD8)は第2のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第1のRAPC及び第2のAPCは異なる。いくつかの態様において、第1のAPC及び第2のAPCは同じである。
【0145】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をOX40Lに接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団は培地中で培養され、培地はOX40Lを含む。いくつかの態様において、OX40Lはビーズに会合する。いくつかの態様において、OX40Lは第3のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第3のAPCは第1のAPC及び第2のAPCとは異なる。いくつかの態様において、第3のAPCは第1のAPCと同じであり、第3のAPCは第2のAPCと同じであるか、または第3のAPCは第1のAPC及び第2のAPCと同じである。
【0146】
いくつかの態様において、この方法は、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団をIL-15(例えば、可溶性IL-15、IL-15-Fc、またはIL-15-CD8)に接触させることをさらに含む。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団は培地中で培養され、培地はIL-15(例えば、可溶性IL-15)を含む。いくつかの態様において、IL-15はビーズに会合する。いくつかの態様において、IL-15は第4のAPCによって発現される。いくつかの態様において、第4のAPCは第1のAPC、第2のAPC、及び第3のAPCとは異なる。いくつかの態様において、第4のAPCは第1のAPCと同じであり、第4のAPCは第2のAPCと同じであるか、第4のAPCは第3のAPCと同じであるか、第4のAPCは第1のAPC及び第2のAPCと同じであるか、第4のAPCは第2のAPC及び第3のAPCと同じであるか、第4のAPCは第1のAPC及び第3のAPCと同じであるか、または第4のAPCは第1のAPC、第2のAPC、及び第3のAPCと同じである。
【0147】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、免疫細胞をRAPCに接触させた後に拡大する。いくつかの態様において、免疫細胞の集団を(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBL、ならびに(ii)IL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)及び/またはOX40Lを発現するRAPCに接触させると、(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBL、ならびに(ii)IL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)及び/またはOX40Lを発現するRAPCに接触させない場合、またはこれらを発現しないAPCに接触させた場合の免疫細胞集団の拡大と比較して、免疫細胞集団の拡大の増大がもたらされる。いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1012、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×109~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×1010~少なくとも約1×1011、少なくとも約1×107~少なくとも約1×1010、少なくとも約1×108~少なくとも約1×1010、または少なくとも約1×109~少なくとも約1×1010個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。いくつかの態様において、免疫細胞の集団中の免疫細胞の総数が、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約2×109、少なくとも約3×109、少なくとも約4×109、少なくとも約5×109、少なくとも約6×109、少なくとも約7×109、少なくとも約8×109、少なくとも約9×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約2×1010、少なくとも約3×1010、少なくとも約4×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約6×1010、少なくとも約7×1010、少なくとも約8×1010、少なくとも約9×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約2×1011、少なくとも約3×1011、少なくとも約4×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約6×1011、少なくとも約7×1011、少なくとも約8×1011、少なくとも約9×1011、または少なくとも約1×1012個の免疫細胞になるまで、免疫細胞の集団が拡大される。
【0148】
いくつかの態様において、この方法は、拡大された免疫細胞の集団を精製することをさらに含む。いくつかの態様において、拡大後の免疫細胞の精製集団が凍結保存される。免疫細胞を凍結保存する任意の方法を、本明細書で開示する方法に使用することができる。いくつかの態様において、免疫細胞は、DMSO(例えば、5-10%のDMSO)を含む溶液(例えば、培地)中で凍結保存される。いくつかの態様において、免疫細胞は解凍され、それを必要とする対象に投与される。
【0149】
III.A.免疫細胞
本明細書で開示する方法は、任意の免疫細胞の集団の培養(例えば、拡大)に使用することができる。そのため、本開示のいくつかの態様は、ex vivoで免疫細胞の集団を拡大する方法であって、免疫細胞の集団を、本明細書で開示するRAPCに接触させることを含む方法を対象とする。本明細書で開示する方法に従って任意の免疫細胞を培養することができる。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、αβT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、パンγδT細胞、Vδ1 γδT細胞、Vδ2 γδT細胞、Vδ3 γδT細胞、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞は、ナイーブT細胞、幹細胞メモリーT細胞(Tscm)、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(Tem)、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0150】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、ドナー対象から得られる1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、ドナーのヒト対象から得られる1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、ドナー対象は疾患または状態に罹患している。いくつかの態様において、ドナー対象はがんに罹患している。いくつかの態様において、ドナー対象は、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性もしくは急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓もしくは尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導性癌(アスベストにより誘導されたものを含む)、及びこれらの任意の組合せから選択されるがんに罹患している。ある特定の態様において、がんはリンパ腫を含む。ある特定の態様において、がんは白血病を含む。
【0151】
いくつかの態様において、免疫細胞は、対象から得られる臍帯血から単離される。いくつかの態様において、免疫細胞は、対象から得られる末梢血から単離される。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の臍帯血から得られる1つ以上のガンマ/デルタT細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の臍帯血から得られる1つ以上のNK細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の臍帯血から得られる1つ以上のガンマ/デルタT細胞及び1つ以上のNK細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の末梢血から得られる1つ以上のガンマ/デルタT細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の末梢血から得られる1つ以上のNK細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、対象の末梢血から得られる1つ以上のガンマ/デルタT細胞及び1つ以上のNK細胞を含む。
【0152】
いくつかの態様において、免疫細胞は、対象から得られる腫瘍試料から単離される。腫瘍生検は、しばしば免疫細胞の集団(腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及び/または腫瘍関連マクロファージ(TAM)を含む)を含む。任意の方法を腫瘍試料からTIL及び/またはTAMを得るため使用することができ、このような方法には、例えば、米国特許第10,166,257号(参照により全体として本明細書に援用される)に開示されている方法が含まれる。
【0153】
いくつかの態様において、ドナー対象は健康なドナーである。ある特定の態様において、ドナー対象はがんに罹患していない。
【0154】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は1つ以上のT細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、1つ以上のアルファ/ベータT細胞、ガンマ/デルタT細胞、NK細胞、またはこれらの組合せを含む。
【0155】
いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、幹細胞に由来する1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、誘導多能性幹細胞(iPSC)由来の1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、造血幹細胞に由来する1つ以上の免疫細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞の集団は、胚性幹細胞に由来する1つ以上の免疫細胞を含む。
【0156】
いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、免疫細胞集団中の免疫細胞の数を拡大する。いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、少なくとも共培養の約8日目までに、免疫細胞の集団中の免疫細胞の数を少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、または少なくとも約15倍拡大する。いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、少なくとも共培養の約15日目までに、免疫細胞の集団中の免疫細胞の数を少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍少なくとも約125倍、少なくとも約150倍、少なくとも約175倍、少なくとも約200倍、少なくとも約225倍、少なくとも約250倍、少なくとも約275倍、少なくとも約300倍、または少なくとも約325倍拡大する。いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、少なくとも共培養の約23日目までに、免疫細胞の集団中の免疫細胞の数を少なくとも約200倍、少なくとも約225倍、少なくとも約250倍、少なくとも約275倍、少なくとも約300倍、少なくとも約325倍、少なくとも約350倍、少なくとも約375倍、少なくとも約400倍、少なくとも約450倍、少なくとも約500倍、少なくとも約550倍、少なくとも約600倍、少なくとも約650倍、少なくとも約700倍、少なくとも約750倍、少なくとも約800倍、少なくとも約850倍、少なくとも約900倍、少なくとも約950倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約1050倍、少なくとも約1100倍、または少なくとも約1150倍拡大する。いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、少なくとも共培養の約27日目までに、免疫細胞の集団中の免疫細胞の数を少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約1500倍、少なくとも約2000倍、少なくとも約2500倍、少なくとも約3000倍、少なくとも約3500倍、少なくとも約4000倍、少なくとも約4500倍、少なくとも約5000倍、少なくとも約5500倍、少なくとも約6000倍、少なくとも約6500倍、または少なくとも約7000倍拡大する。
【0157】
いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、対象から得られる免疫細胞の混合集団中のガンマ/デルタT細胞の数を拡大する。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞の集団におけるガンマ/デルタT細胞のパーセントは、拡大された免疫細胞の集団の総集団の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。いくつかの態様において、本明細書で開示する方法は、対象から得られる免疫細胞の混合集団中のNK細胞の数を拡大する。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞の集団におけるNK細胞のパーセントは、拡大された免疫細胞の集団の総集団の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。
【0158】
いくつかの態様において、本明細書で開示する方法に従って拡大された細胞は、増加したパーセンテージのNK細胞表面表現型を有する免疫細胞を含む細胞集団をもたらす。いくつかの態様において、NK細胞表面表現型は、CD56、CD16、CD30、CD94、及びNKG2Dのうちの1つ以上の発現を含む。いくつかの態様において、NK細胞表面表現型は、拡大されたNK細胞によるCD3-及びCD56+発現を含む。いくつかの態様において、(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBL、ならびに(ii)IL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)及び/またはOX40Lを発現する1つ以上のRAPCと共インキュベートした後のNK細胞表現型(例えば、CD3-CD56+)を有する拡大された細胞のパーセンテージは、(i)IL-21(例えば、IL-21-FcまたはIL-21-CD8)及び4-1BBL、ならびに(ii)IL-15(例えば、IL-15-FcまたはIL-15-CD8)及び/またはOX40Lを発現しないAPCと共インキュベートした後のNK細胞表現型を有する拡大された細胞のパーセンテージよりも高い。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約50%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約60%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約70%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約75%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約80%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のNK細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約85%である。
【0159】
いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約50%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約60%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約70%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3-CD56+)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約75%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約80%である。いくつかの態様において、共インキュベートした後のガンマ/デルタT細胞表面表現型(例えば、CD3+CD56-)を発現する拡大された細胞の合計パーセントは、少なくとも約85%である。
【0160】
いくつかの態様において、免疫細胞は遺伝子修飾されている。いくつかの態様において、免疫細胞は、(例えば、初代免疫細胞の場合に)本明細書に記載のRAPCを用いて拡大する前に、(例えば、CARを導入するために)遺伝子修飾される。他の態様において、免疫細胞は、(例えば、iPSC由来免疫細胞の場合に)本明細書に記載のRAPCを用いて拡大した後に、(例えば、CARを導入するために)遺伝子修飾される。そのため、本開示のいくつかの態様は、遺伝子修飾免疫細胞の集団を拡大する方法であって、免疫細胞を遺伝子修飾することと、遺伝子修飾免疫細胞を本明細書で開示するRAPCに接触させて、それにより細胞を拡大することとを含む方法を対象とする。本開示の他の態様は、免疫細胞の集団を拡大する方法であって、(i)免疫細胞の集団を本明細書で開示するRAPCに接触させて、拡大された免疫細胞の集団を生成することと、(ii)拡大された免疫細胞の集団の1つ以上の細胞を遺伝子修飾することとを含む方法を対象とする。
【0161】
任意の遺伝子修飾の手段を、本明細書で開示する組成物及び方法に使用することができる。いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、拡大された免疫細胞(例えば、拡大されたガンマ/デルタT細胞及び/または拡大NK細胞)は、キメラ抗原受容体を含むように遺伝子修飾される。キメラ抗原受容体、すなわちCARは、特定の抗原を標的とする能力を宿主細胞(例えば、免疫細胞)に付与することができる異種の組換え受容体である。CARには、限定されるものではないが、人工T細胞受容体、Tボディ、一本鎖免疫受容体、キメラT細胞受容体、キメラ免疫受容体、またはこれらの任意の組合せが含まれる。いくつかの態様において、CARは、細胞内活性化ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞外ドメインとを含み、細胞外ドメインは抗原結合ドメインを含む。
【0162】
いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは抗体または抗体の抗原結合部分を含む。いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインはscFv、Fab、Fab’、Fv、F(ab’)2、dAb、またはこれらの任意のフラグメントもしくは組合せを含む。いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは、腫瘍細胞上の1つ以上の抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは、CD19、CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異性抗原、黒色腫関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、黒色腫抗原(MAGE)、T細胞により認識される黒色腫抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、及びこれらの任意の組合せから選択される1つ以上の抗原に特異的に結合する。
【0163】
いくつかの態様において、CARは膜貫通ドメインを含む。任意の膜貫通ドメインを、本明細書で開示する方法及び組成物に使用することができる。いくつかの態様において、CARは、免疫細胞上の共受容体である膜貫通分子に由来する膜貫通ドメインまたは免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーの膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、CD28、CD8アルファ、CD4、またはCD19の膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインを含む。
【0164】
いくつかの態様において、CARは1つ以上の共刺激シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、OX-40、41BB、CD27、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、Igアルファ(CD79a)、Fcガンマ受容体、FcR、CD137、DAP10、またはこれらの任意の組合せのシグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、CARは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0165】
いくつかの態様において、CARはヒンジ領域をさらに含む。いくつかの態様において、CARは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM、CD28、CD8アルファ、またはこれらの任意の組合せのヒンジ領域に由来するヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、CARはIgG4ヒンジ領域を含む。
【0166】
いくつかの態様において、免疫細胞、例えば、拡大された免疫細胞(例えば、拡大されたガンマ/デルタT細胞及び/または拡大NK細胞)は、異種のT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子修飾される。いくつかの態様において、異種TCRは、腫瘍細胞上に存在する1つ以上の抗原に結合可能である。いくつかの態様において、異種TCRは、CD19、CD20、ROR1、CD22、がん胎児性抗原、アルファフェトプロテイン、CA-125、5T4、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、前立腺特異性抗原、黒色腫関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gpl20、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、GD2、CD123、CD33、CD138、CD23、CD30、CD56、c-Met、メソテリン、GD3、HERV-K、IL-llRアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、HER2-HER3の組合せ、HER1-HER2の組合せ、NY-ESO-1、滑膜肉腫Xブレイクポイント2(SSX2)、黒色腫抗原(MAGE)、T細胞により認識される黒色腫抗原1(MART-1)、gp100、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される抗原に結合可能である。
【0167】
いくつかの態様において、拡大された免疫細胞は、細胞培養から採取(例えば、単離及び/または精製)される。拡大された免疫細胞は、任意の方法を用いて採取することができる。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞は、(限定されるものではないが、抗体の使用を含む)ポジティブまたはネガティブ選択によって採取される。いくつかの態様において、拡大されたT細胞は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD14、CD16、CD19、及び/またはCD25を対象とする抗体を用いて採取される。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞は、細胞選別(例えば、フローサイトメトリー)を用いて採取される。いくつかの態様において、拡大された免疫細胞は、照射されたRAPCとともに採取される。
【0168】
III.B.治療方法
本開示のいくつかの態様は、疾患または状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、免疫細胞の集団を、本明細書で開示するRAPCまたはRAPCの集団に接触させることにより、免疫細胞の集団をex vivoで拡大することと、拡大された免疫細胞の集団を対象に投与することとを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、この方法は、拡大された細胞集団を、対象に細胞を投与する前に単離することをさらに含む。いくつかの態様において、拡大された細胞集団は、本明細書で開示するように、対象に投与する前に凍結保存される。
【0169】
いくつかの態様において、疾患または状態はがんを含む。いくつかの態様において、がんは、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性もしくは急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓もしくは尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、環境誘導性癌(アスベストにより誘導されたものを含む)、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、がんはリンパ腫を含む。いくつかの態様において、がんは白血病を含む。
【0170】
いくつかの態様において、この方法は、対象に免疫細胞の集団を投与する前に前治療することをさらに含む。いくつかの態様において、対象は、免疫細胞の集団の投与前に、化学療法が投与される。いくつかの態様において、対象は、免疫細胞の集団の投与前に、免疫枯渇化学療法が投与される。いくつかの態様において、免疫枯渇化学療法はシクロホスファミド、フルダラビン、またはその両方を含む。
【0171】
いくつかの態様において、この方法は、(i)拡大された細胞の集団及び(ii)サイトカインを対象に投与することを含む。いくつかの態様において、サイトカインはIL-2、そのアナログ、そのバリアント、またはそのフラグメントを含む。
【0172】
本開示の実施は、別段の指示がない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来的技法を用い、このような技法は当業者の技能範囲内である。このような技法は、文献内で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al.,ed.(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY);D.N.Glover ed.,(1985)DNA Cloning,Volumes I and II;Gait,ed.(1984)Oligonucleotide Synthesis;Mullis et al.米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins,eds.(1984)Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins,eds.(1984)Transcription And Translation;Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986);Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Miller and Calos eds.(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155;Mayer and Walker,eds.(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London);Weir and Blackwell,eds.,(1986)Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986));Crooke,Antisense drug Technology:Principles,Strategies and Applications,2nd Ed.CRC Press(2007);及びAusubel et al.(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照。
【0173】
上記で引用された全ての参考文献、及び本明細書で引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0174】
以下の実施例は、限定としてではなく、例として提供するものである。
【実施例】
【0175】
実施例1.組換え抗原提示細胞の作成
K562細胞(ATCC)を、10%のFBS(Hyclone)を含むRPMI(Gibco)で培養した。ヒト4-1BBリガンド(4-1BBL)、OX40リガンド(OX40L)、膜結合IL-15(mIL-15)、及び膜結合IL-21(mIL-21)配列を新規に合成し、EF1Aプロモーターを有するレンチウイルスプラスミドにクローニングしてLentiOneレンチウイルスベクター(GegTech)にパッケージングした(
図1A~1D)。4-1BBLをK562細胞に形質導入することによってRAPC1を作成し、4-1BBL及びmIL-15をK562細胞に形質導入することによってRAPC2を作成し、4-1BBL及びmIL-21をK562細胞に形質導入することによってRAPC3を作成し、4-1BBL、mIL-15、mIL-21、及びOX40LをK562細胞に形質導入することによってRAPC4を作成した。次に、MACS磁気ビーズベースの細胞選別をメーカーの推奨に従って用いて、APC結合体化抗体及び抗APCマイクロビーズで標識することにより、細胞を精製した(
図1E)。4つ全ての株に対し、抗4-1BBL抗体を用いて4-1BBL発現細胞を選択した。回復培養を行った後、続いてRAPC2及びRAPC4に対し、抗IL-15抗体を用いてIL-15発現細胞を選択し、RAPC3及びRAPC4に対し、抗IL-21抗体を用いてIL-21発現細胞を選択した。最後に、RAPC4に対し、抗OX40L抗体を用いてOX40L発現細胞を選択した。各連続ラウンドの選択の後、RAPC細胞を培養下で回復させた。最初に、RAPCを15μg/mLのマイトマイシンCで4時間処理し、2回洗浄してから、末梢血(PB)由来及び臍帯血(CB)由来のガンマデルタT(gdT)細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞と共インキュベートした。代替的に、いくつかの実験では、RAPCを、NK細胞と共インキュベートする前にXRAD-iR160(Precision)で100GyのX線照射を行い、25Gy/サイクルを4サイクル投与した。
【0176】
末梢血及び臍帯血由来のgdT細胞及びNK細胞の分離及び拡大
【0177】
凍結末梢血(PB)または臍帯血(CB)(STEMCELL Technologies)からの免疫磁性ビーズ分離を介してガンマデルタ(gd)T細胞をポジティブ選択し、NK細胞をネガティブ選択した。選択したgdT細胞及びNK細胞を、10%のFBS(Corning)を含むRPMI(Gibco)中で、マイトマイシンCで前処理したRAPC2またはRAPC4フィーダー細胞と共インキュベートした。gdT培養物にIL-2(Peprotech、100IU/mL)及びIL-21(Peprotech、30ng/mL)を補充し、NK培養物にIL-2(Peprotech、100IU/mL)を補充した。細胞培養物は、IL-2及び/またはIL-21を補充した半分の体積の培地を2日ごとに交換することでリフレッシュした。細胞をG-Rex 6Mウェルプレート(Wilson Wolf社)で4週間培養し、共インキュベートによるフィーダー細胞の活性化を7日ごとに繰り返した。
【0178】
追加実験におけるNK細胞の拡大
【0179】
NK細胞を、照射したRAPC1またはRAPC4フィーダーと2:1の比率(RAPC:NK)で、15%FBS(Gibco)を含むIMDM(Gibco)中で共インキュベートすることにより活性化した。RAPC1フィーダー用の培養基にIL-2(Peprotech、10ng/ml)、IL-7(Peprotech、10ng/ml)、及びIL-15(Peprotech、10ng/ml)を補充し、RAPC4共インキュベート用の培養基にIL-2(10ng/ml)及びIL-7(10ng/ml)を補充した。細胞を3日間培養した、次いでG-Rex24ウェルプレートでさらに4日間拡大し、培養の5日目に60%の培地交換を行った。この活性化及び拡大のサイクルを3回繰り返し、最大で合計4ラウンドの活性化を行った。
【0180】
フローサイトメトリー
【0181】
マイトマイシンC処理RAPCで活性化したCB由来及びPB由来のNK細胞を抗CD3及び抗CD56で染色し、FACS Canto(BD)にかけた。追加実験のNK細胞を、抗CD3、抗CD56、抗CD16、抗CD30、抗CD94、抗NKG2D、または抗NKp46で染色し、フローサイトメトリーにより分析して、全てのマーカーの細胞表面発現を決定した。
【0182】
in vitro細胞毒性アッセイ
【0183】
RAPCで活性化したCB由来及びPB由来のgdT細胞及びNK細胞を、Capan2(膵臓腺癌細胞)、GSU(胃癌細胞)、HCT116(大腸癌細胞)、HT55(大腸癌細胞)、K562(慢性骨髄性白血病細胞)、Mia Paca2(膵臓癌細胞)、Nalm6(急性リンパ芽球性白血病細胞)、OvCar3(卵巣腺癌細胞)、Raji(バーキットリンパ腫細胞)、またはHT29VEC(大腸癌細胞)(ATCC)と10:1、3:1、1:1、または0.3:1のエフェクター:標的比で24時間共インキュベートした。殺滅パーセントを、フローサイトメトリーベースのアッセイによって各細胞株ごとに定量した。追加のNK細胞実験では、RAPC4による第2ラウンドの活性化の6日目にNK細胞を採取し、エフェクター:標的比を3:1、1:1、0.3:1、または0.1:1にしてCapan2、GSU、HCT116、Raji、またはHUVEC細胞(ATCC)と24時間共インキュベートした。殺滅パーセントをCell Titer Gloアッセイ(Promega)により定量した。
【0184】
実施例2.RAPCと共インキュベートした免疫細胞は特性が改善した
上述のアプローチを用いて、K562細胞をレンチウイルスベクターで形質導入し、41BBL、OX40L、mIL-15、及び/またはmIL-21について順次精製して、首尾よくRAPC株のRAPC1、RAPC2、RAPC3、及びRAPC4を作成した(
図1A~1E)。PB由来またはCB由来のNK細胞をマイトマイシンC処理RAPC2またはRAPC4細胞と共インキュベートした結果、連続4ラウンドの活性化及び拡大から細胞が100倍超に拡大した(表2)。RAPC4と共インキュベートしたCB由来NK細胞は、試験した全ての細胞の中で累積拡大が最も高く、6830倍であった。全体の細胞拡大がより高いことに加えて、RAPC4と共インキュベートしたCB由来及びPB由来のNK細胞はいずれも、RAPC2細胞と共インキュベートした細胞よりも、NK細胞表面表現型(CD3-CD56+)を有する細胞のパーセンテージが高く(
図2A)、24時間後のNalm6及びRajiに対する平均細胞殺滅有効性も高かった(
図2B)。
【0185】
【0186】
PB由来またはCB由来のgdT細胞をマイトマイシンC処理RAPC2またはRAPC4細胞と共インキュベートした結果、連続4ラウンドの活性化及び拡大から細胞が1,000倍以上に拡大し、4ラウンドの活性化及び拡大を通じて拡大が継続した(表3)。マイトマイシンC処理RAPC4で活性化したCB由来のgdT細胞は、固有の細胞溶解活性を複数の細胞株に対し示した(
図3)。
【0187】
【0188】
追加実験では、NK細胞をRAPC1細胞及びRAPC4細胞と共インキュベートし、25Gyの照射を4サイクル投与して合計100Gyの被曝線量において照射した。これらの培養条件下では、2:1のRAPC4:NK細胞比で共インキュベートしたNK細胞は、連続4ラウンドの活性化及び拡大で15,000倍超に拡大し、RAPC1フィーダー細胞とともに共インキュベートしたNK細胞により達成された拡大率よりも高かった(
図4)。照射したRAPC4細胞との共インキュベートによって活性化されたNK細胞において細胞表面マーカーを評価した。活性化から7日後及び11日後に評価したところ、この集団はCD3及びNKp46の発現は低く、NK細胞マーカーCD56、CD16、CD30、CD94、及びNKG2Dの発現は高かった(
図5)。次に、RAPC4フィーダーで活性化したNK細胞を7つの異なるCARレンチウイルスベクターで形質導入した。細胞拡大は、形質導入細胞と非形質導入細胞(UTD)との間でほぼ同じであった(表4)。さらに、照射したRAPC4と共インキュベートしたNK細胞は、含まれたCARに応じて、Capan2細胞(
図6A)、GSU細胞(
図6B)、及びHCT116細胞(
図6C)を含む複数のがん細胞株のCAR媒介性殺滅を示した。
【0189】
【0190】
RAPCフィーダー細胞は、複数の供給源から単離したgdT細胞及びNK細胞の両方を活性化し、そのロバストな拡大を支持した。RAPCは、細胞増殖の遮断のためのマイトマイシンC処理またはX線照射を使用した後に、複数の培養条件下で使用したときに有効であった。gdT細胞及びNK細胞の両方が、予想された細胞表面表現型を示し、細胞殺滅アッセイにおいて有効であった。
【0191】
特許請求の範囲の解釈には、発明の概要及び要約のセクションではなく、発明を実施するための形態セクションを使用するように意図されていることを理解されたい。発明の概要及び要約のセクションは、本発明者(複数可)が企図する本開示の1つ以上の、ただし全てではない例示的な実施形態を記載している可能性があり、したがって、いかなる形においても本開示及び添付の特許請求の範囲を限定するようには意図されていない。
【0192】
上記の具体的な実施形態についての説明は、本開示の全般的な性質を十分に明らかにするものであるため、他者は、当技術分野の技量内の知識を適用することにより、過度な実験を伴わずに、本開示の全般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な実施形態を様々な用途のために容易に変更及び/または適合させることができる。そのため、このような適合及び変更は、本明細書に提示する教示及び指針に基づき、本開示の実施形態の等価物の意味及び範囲内にあることが意図されている。本明細書の語法または用語法は、教示及び指導に鑑み、当業者により理解されるべきものであるように、本明細書での語法または用語法は、説明目的であり、かつ制限する目的ではないことを理解されたい。
【0193】
本開示の幅及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【0194】
本出願全体で引用されている全ての引用文献(参考文献、米国または外国の特許または特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容は、あらゆる目的において、そこに引用されている文献と同じように、それらの全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に明示的に援用される。任意の矛盾が生じた場合は、本明細書で文字通り開示する内容が優先される。
【0195】
様々な具体的な態様を例示し説明してきたが、上記の明細書は限定的なものではない。本発明(複数可)の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更が行われ得ることが理解されよう。本明細書を検討することで、当業者には多くの変形形態が明らかになるであろう。
【配列表】
【国際調査報告】