(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ラミネート真空断熱グレージング組立体を製造するための新規なラミネーション法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20240405BHJP
C03B 27/012 20060101ALI20240405BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20240405BHJP
B32B 17/00 20060101ALI20240405BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20240405BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C03C27/06 101E
C03B27/012
B32B7/12
B32B17/00
E06B3/677
E06B3/663 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564107
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022060369
(87)【国際公開番号】W WO2022223586
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507090421
【氏名又は名称】エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr. Suite 400, Alpharetta, GA 30022, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】カルリール, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】レイブロス, ペリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンフィル, ジュリアン
【テーマコード(参考)】
2E016
4F100
4G015
4G061
【Fターム(参考)】
2E016BA02
2E016BA08
2E016BA09
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA01
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK01B
4F100AK02B
4F100AK23B
4F100AK51B
4F100AK68B
4F100AK70B
4F100AR00A
4F100BA05
4F100EJ59C
4F100JJ02C
4G015CA02
4G015CB01
4G061AA20
4G061AA26
4G061AA27
4G061AA28
4G061BA01
4G061CB16
4G061CB18
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD21
4G061CD23
4G061DA23
4G061DA29
4G061DA30
4G061DA38
(57)【要約】
別個に製造された少なくとも1つの真空断熱グレージング(2)、少なくとも1つの中間ユニットポリマー(3)、及び少なくとも1つの機能ユニット(4)を有するラミネート真空断熱グレージング組立体(1)をISO12543-4:2011に合格させるための製造方法は、少なくとも、1)(2)と(3)と(4)とを積層し、それにより予備組立体を生成させるステップと、ただし(4)は5.5~15バールの処理圧で処理される、2)真空リング又はバッグ内に予備組立体を挿入するステップと、3)少なくとも、a.真空リング又はバッグ内をマイナス0.1~マイナス1バールの真空に排気し、b.予備組立体を50~200℃に加熱し、c.予備組立体を4.5バール以下の過圧下で加圧することにより予備組立体を処理して(1)を生成させるステップと、4)排気3)a)、加熱3)b)、及び過圧3)c)を解放するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温試験の規格ISO12543-4:2011に合格するラミネート真空断熱グレージング組立体(1)の製造方法であって、少なくとも、
1)真空断熱グレージング(2)と、中間ユニットポリマー(3)と、機能ユニット(4)とを積層し、それにより、予備組立体を生成させるステップと、ただし前記機能ユニットは、5.5バール~15.0バール(5.5バール≧PP≧15.0バール)、好ましくは7.5バール~14.0バール(7.5バール≧PP≧14.0バール)、更に好ましくは10.0バール~14.0バール(10.0バール≧PP≧14.0バール)の処理圧力(PP)において処理されている、
2)真空リング又は真空バッグ内に、好ましくは真空バッグ内に、前記予備組立体を挿入するステップと、
3)少なくとも、
a.前記真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するサブステップ、
b.前記予備組立体を50℃~200℃、好ましくは75℃~175℃、更に好ましくは90℃~150℃の範囲の温度に加熱するサブステップ、
c.前記予備組立体を4.5バール以下の過圧(OP)(OP≦4.5バール)下において加圧するサブステップ、
により、前記予備組立体を処理してラミネートVIG組立体を生成させるステップと、
4)前記排気3)a)、前記加熱3)b)、及び前記過圧3)c)を解放するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記機能ユニットは、少なくとも2枚のシートを含み、好ましくは、前記シートの少なくとも1枚は、ガラスシートであり、更に好ましくは、前記少なくとも2枚のシートは、ガラスシートである、請求項1に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項3】
前記サブステップ3)c)の過圧は、4.0バール以下(OP≦4.0バール)であり、好ましくは3.0バール以下(OP≦3.0バール)であり、好ましくは2.0バール以下(OP≦2.0バール)であり、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)であり、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)であり、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)であり、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)、請求項1又は2に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項4】
前記処理ステップ3)のサブステップは、前記排気サブステップ3)a)、前記加熱サブステップ3)b)、及び前記加圧サブステップ3)c)の処理順序で実現され、好ましくは前記加熱サブステップ3)b)及び前記加圧サブステップ3)c)は、同時に開始される、請求項1~3のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項5】
前記処理ステップ3)の排気サブステップ3)a)は、周辺温度において5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分の期間にわたって行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項6】
前記解放するステップ4)は、好ましくは、前記VIGラミネート組立体の温度が50℃~60℃、更に好ましくは周辺温度に到達したときに、まず前記加熱を解放し、次いで、前記排気を解放することにより、好ましくは前記排気及び加圧を一緒に解放することにより、実現される、請求項1~5のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(4)の加熱解放ステップは、好ましくは130℃~30℃の温度範囲において、1~10℃/分、好ましくは2~9℃/分、好ましくは3~8℃/分、好ましくは4~7℃/分、更に好ましくは5~6℃/分の割合で実行される、請求項1~6のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項8】
前記ラミネート真空断熱グレージング組立体は、L
lam≦[L
int(SF-1)]+[L
use×SF]という負荷式を満たしており、
-L
lamは、前記真空断熱グレージングへのラミネーションによってもたらされるすべての応力であるラミネーション負荷であり、
-L
intは、それ自体が前記真空断熱グレージングの設計に固有のすべての応力である本質的負荷であり、
-SFは、セキュリティファクタであり、
-L
useは、前記真空断熱グレージングの使用条件によってもたらされるすべての応力である使用負荷である、請求項1~7のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項9】
中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロポリオレフィンポリマー(COP)、オートクレーブフリーポリビニルブチラール(オートクレーブフリーPVB)、ポリウレタン(PU)、及び/又はイオノマーからなる群から選択され、好ましくは、エチレンビニルアセテート(EVA)及び/又はオートクレーブフリーポリビニルブチラール(オートクレーブフリーPVB)から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項10】
前記中間ユニットポリマーは、オートクレーブフリーポリビニルブチラールであり、前記処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、好ましくは20分~180分の範囲の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは115℃~150℃、好ましくは135℃~145℃の範囲であり、更に好ましくは140℃である、請求項1~9のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項11】
前記中間ユニットポリマーは、ポリウレタンであり、前記処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、好ましくは20分~180分の範囲の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは110℃~120℃の範囲である、請求項1~9のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項12】
前記加圧サブステップ3)c)は、2.0バール~4.5バール(2.0バール≦OP≦4.5バール)、好ましくは2.0バール~4.0バール(2.0バール≦OP≦4.0バール)、更に好ましくは3.0バールの過圧(OP)下において実行される、請求項11に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項13】
前記中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート及び/又はシクロポリオレフィンポリマーであり、好ましくはエチレンビニルアセテートであり、前記処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、90℃~150℃、好ましくは110℃~145℃の範囲である、請求項1~9のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項14】
前記処理ステップ(3)は、前記サブステップb)の前に、好ましくは10分~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって、75℃~95℃の範囲の中間温度に加熱する更なるサブステップb*)を含む、請求項13に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項15】
前記処理ステップ(3)のサブステップは、
a)5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分の期間にわたって室温において排気するサブステップ、
b*)好ましくは10分~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって、75℃~95℃の範囲の中間温度に加熱するサブステップ、
b)45分~300分の期間にわたって、110℃~145℃、好ましくは130℃~140℃の範囲の温度に加熱するサブステップ、
c)2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)の過圧(OP)下において、更に好ましくは0バールの過圧なし(OP=0バール)下において、加圧するサブステップ、
の処理順序で実現され、
好ましくは、前記サブステップb)及びサブステップc)は、同時に行われる、請求項13又は14に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項16】
前記中間ユニットポリマーは、イオノマーであり、前記処理ステップ(3)の加熱サブステップb)は、好ましくは45分~75分の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは130℃~135℃の温度下において実行される、請求項1~9のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項17】
前記機能ユニットは、ポリビニルブチラールポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも2枚のガラスシートを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項18】
前記機能ユニットは、少なくとも1つのポリビニルブチラールポリマー中間層及び少なくとも1つのポリウレタンポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも1枚の構造的プラスチックシート、好ましくはポリカーボネートシート、並びに、少なくとも1枚のガラスシートを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項19】
前記ポリビニルブチラールポリマー中間層は、音響ポリビニルブチラールポリマー中間層であり、及び/又は、複数の前記シートは、それぞれ異なる厚さを有する、請求項17又は18に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項20】
前記機能ユニットは、膨張材料、好ましくは水酸化アルカリ金属シリケートによって分離された少なくとも2枚のガラスシートを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項21】
前記機能ユニットは、周辺スペーサを更に含み、それにより、前記2枚のガラスシートの間に前記膨張材料を含むための空間を生成しており、前記処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、120℃以下、好ましくは110℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下の温度下において実現される、請求項20に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項22】
前記真空断熱グレージングは、第1及び第2ガラスペインを含み、前記真空断熱グレージングの第1及び/又は第2ガラスペインの少なくとも1つ及び/又は前記機能ユニットの複数のシートの少なくとも1つは、熱強化ガラス、熱強靭化安全ガラス、又は化学強化ガラスである、請求項1~21のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【請求項23】
前記真空断熱グレージングは、第1ガラスペイン及び第2ガラスペイン、並びに、前記第1ガラスペインと前記第2ガラスペインとの間の距離を維持するために前記第1ガラスペインと前記第2ガラスペインの間に配置された一組の離散スペーサを有し、離散スペーサは、金属材料、石英ガラス、セラミック材料、及び/又は樹脂、好ましくは樹脂、更に好ましくはポリイミド樹脂から製造されている、請求項1~22のいずれか1項に記載のラミネート真空断熱グレージング組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響、安全、セキュリティ、防火性、及び/又は装飾などの付加的性能を提供するラミネート真空断熱グレージング組立体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空断熱グレージングは、相対的に高い断熱に対する市場のニーズに応えている。これらは、通常、真空が生成されて大気圧下においてガラスペインの間の直接的接触を防止するように離散スペーサが配置されている内部空間によって分離された少なくとも2枚のガラスペインから構成されている。断熱性能に加えて、ガラス市場は、安全性、セキュリティ、音響、防火性、装飾などのような更なる利益を真空断熱グレージングに追加することを求めている。
【0003】
このような付加的利益は、通常、ラミネーション法により、真空断熱グレージングに対してもたらされている。ほぼすべてのラミネーション法は、受け入れ可能な品質のラミネートガラスを製造するために、10気圧超の圧力及び最大で150℃の温度における加圧されたオートクレーブ仕上げ処理を必要としている。実際に、ラミネーションの際には、通常、中間層を軟化させ、中間層がガラス基材の表面に追従して基材間隔が不均等であり得るエリア内に中間層を流すことを支援するために、温度を最大で150℃まで上昇させている。中間層が追従したら、中間層の移動可能なポリマー鎖がガラスとの間において接着を生成している。また、上昇した温度は、ガラス/中間層インターフェイスから中間層内への残留空気及び/又は湿気ポケットの拡散を加速させている。圧力は、ガラスラミネートの製造において2つの重要な役割を演じているものと考えられる。第1に、圧力は、中間層のフローを促進している。第2に、圧力は、システム内において捕獲された水及び空気の結合蒸気圧力によって生成されることになる気泡の形成を抑圧している。プリプレス(即ち、接合されていないガラス及び中間層の層状の組立体)内において捕獲されている水及び空気は、プリプレス組立体が約100℃超の仕上げ温度まで大気圧において加熱された際に気泡として膨張する傾向を有する。気泡形成を抑圧するために、通常、プリプレス内において捕獲された空気及び水が加熱された際に生成される膨張力に対抗するように、圧倒的な圧力によって伴われた熱がオートクレーブ容器内の組立体に対して印加されている。そして、最後に、時間がラミネーションにおいて重要な役割を演じている。温度及び圧力がラミネーションを加速させ得る一方で、良好な品質のラミネートガラスを製造するためには、特定の臨界時間が常に経過しなければならない。
【0004】
但し、高圧及び/又は高温要件に起因して、このような従来のラミネーション法は、真空断熱グレージングに対して使用することができない。具体的には、加圧された処理ステップは、真空断熱グレージングの本質的な特性に適合してはおらず、真空断熱グレージングの2枚のガラスペインの間において配置された離散スペーサは、必要とされる圧力に抵抗することができず、及び/又は、微細な亀裂がこれらの離散スペーサの周りにおいてガラスペイン上において出現し、真空断熱グレージングの機械的強度及びその熱性能を格段に劣化させる可能性がある。
【0005】
従って、真空断熱グレージングに対して付加的ガラスシートをラミネートするために、大気圧における又は非常に低い圧力下におけるラミネーションが使用されている。例えば、国際公開第2020203550号パンフレットは、中間フィルムを介して真空断熱グレージングに透明プレートをラミネートする方法を開示している。真空断熱グレージングは、第1ガラスパネルと、第2ガラスパネルと、第1及び第2ガラスパネルの間において配置された真空空間と、樹脂から製造された複数のスペーサと、を有する。真空断熱グレージング及び透明プレートを1つにラミネートするための処理圧力は、複数のスペーサの圧縮強度よりも小さい。
【0006】
但し、このような低い圧力要件は、真空断熱グレージングに付加され得る更なる利益の選択肢の柔軟性を格段に低減している。機能ユニットによってもたらされる付加的利益の大部分は、実際には、真空断熱グレージングの機械的抵抗力に起因して真空断熱グレージング上において直接的に処理される高温及び/又は高圧を必要としている。
【0007】
従って、当業者は、真空断熱グレージングの機械的及び機能的な特性を劣化させることなしに真空断熱グレージングの利益を機能ユニットの性能と組み合わせることを許容する付加的な優れた利益を真空断熱グレージングにもたらすための新規のラミネーション法を追及している。従って、ラミネーション法に対して抵抗し、更なる利益が機能ユニットを介して真空断熱ユニットに追加されるように、真空断熱ユニットは、
(1)離散スペーサの機械的抵抗力、ガラスペインの厚さ、大気圧などのような真空断熱グレージング設計自体に固有のすべての応力である本質的負荷(Lint)、
(2)真空断熱グレージングに対するラミネーション法によってもたらされるすべての応力であるラミネーション負荷(Llam)、及び、
(3)内側及び外側環境の間の温度差、風、などのような真空断熱グレージングの使用の条件によって生成されるすべての応力である使用付加(Luse)、
という負荷に対して抵抗するように設計されることを要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、製造方法を費用効率に優れたもの及び単純なものとして維持しつつ、真空断熱グレージング及び機能ユニットの両方のものの機械的及び機能的な特性を劣化させることなしに機能ユニットの性能を真空断熱グレージングの利益に対して追加することを許容する新規な製造方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高温試験の規格ISO12543-4:2011に合格するラミネート真空断熱グレージング組立体(1)の製造方法に関する。この方法は、少なくとも、
1)真空断熱グレージング(2)と、中間ユニットポリマー(3)と、機能ユニット(4)とを積層し、それにより、予備組立体を生成させるステップと、ただし前記機能ユニットは、5.5バール~15.0バール(5.5バール≧PP≧15.0バール)、好ましくは7.5バール~14.0バール(7.5バール≧PP≧14.0バール)、更に好ましくは10.0バール~14.0バール(10.0バール≧PP≧14.0バール)の処理圧力(PP)において処理されている、
2)真空リング又は真空バッグ内に、好ましくは真空バッグ内に、前記予備組立体を挿入するステップと、
3)少なくとも、
a.前記真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するサブステップ、
b.前記予備組立体を50℃~200℃、好ましくは75℃~175℃、更に好ましくは90℃~150℃の範囲の温度に加熱するサブステップ、
c.前記予備組立体を4.5バール以下の過圧(OP)(OP≦4.5バール)下において加圧するサブステップ、
により、前記予備組立体を処理してラミネートVIG組立体を生成させるステップと、
4)前記排気3)a)、前記加熱3)b)、及び前記過圧3)c)を解放するステップと、
を含む。
【0010】
好適な一実施形態において、機能ユニットは、少なくとも2枚のシートを含み、好ましくは、シートの少なくとも1つは、ガラスシートであり、更に好ましくは、少なくとも2枚のシートは、ガラスシートである。
【0011】
好適な一実施形態において、サブステップ3)c)の過圧は、4.0バール以下であり(OP≦4.0バール)、好ましくは3.0バール以下であり(OP≦3.0バール)、好ましくは2.0バール以下であり(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下であり(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下であり(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下であり(OP≦0.5バール)、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)。
【0012】
好適な一実施形態において、処理ステップ3)のサブステップは、排気サブステップ3)a)、加熱サブステップ3)b)、及び加圧サブステップ3)c)の順序で実現され、好ましくは、加熱サブステップ3)b)及び加圧サブステップ3)c)は、同時に開始される。
【0013】
好適な一実施形態において、処理ステップ3)の排気サブステップ3)a)は、5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分の期間にわたって周辺温度において行われる。
【0014】
好適な一実施形態において、解放ステップ4)は、好ましくは、VIGラミネート組立体の温度が50℃~60℃、更に好ましくは周辺温度に到達したときに、まず加熱を解放し、次いで、排気を解放することにより、好ましくは排気及び加圧を一緒に解放することにより、実現される。
【0015】
好適な一実施形態において、ステップ(4)内の加熱解放ステップは、好ましくは130℃~30℃の温度において、1~10℃/分、好ましくは2~9℃/分、好ましくは3~8℃/分、好ましくは4~7℃/分、更に好ましくは5~6℃/分の割合で実行される。これは、中間ユニットポリマーがエチレンビニルアセテート及び/又はイオノマーであるときに、好ましくはエチレンビニルアセテートであるときに、特に好適である。
【0016】
好適な一実施形態において、ラミネート真空断熱グレージング組立体は、Llam≦[Lint(SF-1)]+[Luse×SF]という負荷式を満たしており、ここで、
-Llamは、真空断熱グレージングに対するラミネーション法によってもたらされるすべての応力であるラミネーション負荷であり、
-Lintは、それ自体が真空断熱グレージング設計に固有であるすべての応力である本質的負荷であり、
-SFは、セキュリティ係数であり、
-Luseは、真空断熱グレージングの使用条件によって生成されるすべての応力である使用負荷である。
【0017】
好適な一実施形態において、中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロポリオレフィンポリマー(COP)、オートクレーブフリーポリビニルブチラール(オートクレーブフリーPVB)、ポリウレタン(PU)、及び/又はイオノマーからなる群から選択され、好ましくは、エチレンビニルアセテート(EVA)及び/又はオートクレーブフリーポリビニルブチラール(オートクレーブフリーPVB)から選択されている。
【0018】
中間ユニットポリマーがオートクレーブフリーポリビニルブチラールである好適な一実施形態においては、処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、好ましくは20~180分の範囲の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは115℃~150℃、好ましくは135℃~145℃の範囲であり、更に好ましくは140℃である。
【0019】
中間ユニットがポリウレタンである好適な一実施形態においては、処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、20~180分の範囲の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは110℃~120℃の範囲である。好適な一実施形態において、加圧サブステップ3)c)は、2.0バール~4.5バール(2.0バール≦OP≦4.5バール)、好ましくは2.0バール~4.0バール(2.0バール≦OP≦4.0バール)、更に好ましくは3.0バールの過圧(OP)下において実行される。
【0020】
中間ユニットポリマーがエチレンビニルアセテート及び/又はシクロポリオレフィンポリマーである、好ましくはエチレンビニルアセテートである、好適な一実施形態においては、処理ステップ3)の加熱サブステップb)の温度は、90℃~150℃、好ましくは110℃~145℃の範囲である。
【0021】
中間ユニットポリマーがエチレンビニルアセテートである好適な一実施形態においては、処理ステップ(3)は、サブステップb)の前に、好ましくは10~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって75℃~95℃の範囲の中間温度に加熱する更なるサブステップb*)を含む。
【0022】
中間ユニットポリマーがエチレンビニルアセテートである好適な一実施形態においては、処理ステップ(3)のサブステップは、
a)5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分の期間にわたって室温において排気するサブステップ、
b*)好ましくは10~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって、75℃~95℃の範囲の中間温度に加熱するサブステップ、
b)45分~300分の期間にわたって、110℃~145℃、好ましくは130℃~140℃の範囲の温度に加熱するサブステップ、
c)2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)の過圧(OP)下において、更に好ましくは0バール(OP=0バール)の過圧なし下において、加圧するサブステップ、
の処理順序で実現され、
この場合に、好ましくは、サブステップb)及びサブステップc)は、同時に行われる。
【0023】
中間ユニットポリマーがイオノマーである好適な一実施形態においては、処理ステップ(3)の加熱サブステップb)は、好ましくは45分~75分の期間にわたって、好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは130℃~135℃の温度下において実行される。
【0024】
好適な一実施形態において、機能ユニットは、ポリビニルブチラールポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも2枚のガラスシートを含む。
【0025】
好適な一実施形態において、機能ユニットは、少なくとも1つのポリビニルブチラールポリマー中間層及び少なくとも1つのポリウレタンポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも1枚の構造的プラスチックシート、好ましくはポリカーボネートシート及び少なくとも1枚のガラスシートを含む。
【0026】
好適な一実施形態において、ポリビニルブチラールポリマー中間層は、音響ポリビニルブチラールポリマー中間層であり、及び/又は、複数のシートは、それぞれ異なる厚さを有する。
【0027】
好適な一実施形態において、機能ユニットは、膨張材料、好ましくは水酸化アルカリ金属シリケートによって分離された少なくとも2枚のガラスシートを含む。好適な一実施形態において、機能ユニットは、周辺スペーサを更に含み、それにより、2枚のガラスシートの間に膨張材料を有するための空間を生成しており、この場合に、処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、120℃以下、好ましくは110℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下の温度下において実現される。
【0028】
好適な一実施形態において、真空断熱グレージングの第1及び第2ガラスペインの少なくとも1つ及び/又は機能ユニットのシートの少なくとも1つは、熱強化ガラス、熱強靭化安全ガラス、又は化学強化ガラスである。
【0029】
好適な一実施形態において、真空断熱グレージングの離散スペーサは、金属材料、石英ガラス、セラミック材料、及び/又は樹脂、好ましくは、樹脂、更に好ましくはポリイミド樹脂から製造されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態によるラミネート真空断熱組立体の断面図を示しており、この場合に、真空断熱グレージングは、2枚のシートを有する機能ユニットに対して中間ユニットポリマーによってラミネートされている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、以下において「VIG」と呼称されている真空断熱グレージング及び機能ユニットという少なくとも2つの別個のユニットを有する以下において「ラミネートVIG組立体」と呼称されている「ラミネート真空断熱グレージング組立体」の製造方法に関する。VIG及び機能ユニットは、中間ユニットポリマーと1つに積層される前に、本発明の製造方法においてラミネートVIG組立体を形成するためのラミネート予備組立体として別個に製造されている。
【0032】
当業者は、本明細書において使用されている「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(the)」という用語は、少なくとも「1つ」を意味しており、そうではない旨が明示的に示されていない限り、「1つのみ」に限定されてはならないことを十分に理解している。
【0033】
方法
本発明の目的は、真空断熱グレージングユニット又は機能ユニットの機能的又は機械的な特性を劣化させることなしに真空断熱グレージングの優れた断熱性、厚さ、及び重量特性を機能ユニットによってもたらされる安全、セキュリティ、音響、防火性、装飾などの特性のようないくつかのその他の機能と組み合わせたラミネート真空断熱グレージング組立体を製造するということにある。
【0034】
本発明の更なる目的は、VIG、機能ユニット、及び/又はラミネートVIG組立体全体の過剰設計を回避しつつ、このような優れた性能を得ることにあり、その理由は、過剰設計は、不必要な複雑さ、費用をもたらすと共に、ラミネートVIG組立体の熱性能、光透明性、重量、厚さ、加工可能性、及び輸送、などを劣化させ得るからである。
【0035】
高温及び/又は高圧条件が適用されている一般的なラミネーション法は、いくつかの例において、真空断熱グレージングの機械的特性及び/又は熱性能を劣化させることが見出されている。驚いたことに、真空断熱グレージング及び機能ユニットが別個に製造され、次いで、穏やかな過圧条件下において1つにラミネートされている本発明の方法は、真空断熱グレージングの完全性を維持することと、本発明の方法によらなければ真空断熱グレージングにもたらされ得ない優れた機能的特性をラミネートVIG組立体にもたらすことと、を可能にすることが見出されている。
【0036】
従って、本発明は、ラミネートVIG組立体が、様々な負荷、即ち、本質的負荷、使用負荷、及びラミネーション負荷、を支持するために設計及び処理されることを要する方式を対象としている。ラミネートVIG組立体及びその製造方法は、
(1)ラミネートVIG組立体が、Design load≧(Lint+Luse)×SFのように特定の設計セキュリティ係数によっていずれもが補足された本質的負荷(Lint)及び使用負荷(Luse)に抵抗するように、しかも、
(2)ラミネートVIG組立体が、同様に、Design Load≧Lint+Llamのように結合された本質的及びラミネーション負荷に抵抗するように、
設計されることを要することが見出されている。従って、ラミネーション負荷は、Llam≦[Lint(SF-1)]+[Luse×SF]という式を満たしている。
【0037】
当業者には、上述の式に従ってラミネーション法によってもたらされる負荷(Llam)に抵抗するために、従って、真空断熱グレージングの機能的又は機械的な特性の損傷を回避するために、異なるルートが提供されている。
(1)1つの潜在的ルートは、使用負荷を増大させるというものとなろう。但し、ラミネートVIG組立体が相対的に大きな使用負荷に抵抗するように設計される場合には、それは、不必要に過剰設計されることとなろう。
(2)別の潜在的ルートは、VIGのガラスペインの厚さを増大させることにより、セキュリティ係数を増大させるというものとなろう。この場合にも、ラミネートVIG組立体は、不必要に過剰設計されることになり、これは、VIGの厚さ及び軽量という有利な特性を劣化させることになろう。
(3)別の技術的方式は、本質的負荷の低減及びlam負荷の低減を許容するために、離散スペーサの数を増大させるというものとなろう。但し、このようなルートは、VIGの熱性能を大幅に低減することになり、不必要に過剰設計されることになろう。
このような過剰設計は、回避することを要し、その理由は、これらが不必要な複雑さ、費用をもたらすと共に、ラミネートVIG組立体の熱性能、光透明性、重量、厚さ、加工可能性、及び輸送、などを劣化させ得るからである。
(4)最後に、従って、最後の潜在的なルートは、ラミネーション負荷が低減された製造方法、即ち、相対的に低い圧力及び/又は低い温度における製造方法、を設計するというものである。但し、このような製造方法は、実際に高い圧力及び/又は高い温度状態の生成を必要としているすべての機能ユニットの活用を許容することにはならないであろう。
【0038】
上述のように、真空断熱グレージングの過剰設計は、経済的に実現可能な選択肢ではない。相対的に低い圧力におけるラミネーションは、実際に高圧及び/又は高温条件を必要としている機能ユニットを排除することになろう。このような機能ユニットは、通常、5.5バール~15.0バールの処理圧力(PP)において処理されている。従って、VIGの優れた熱特性のみならず追加された機能ユニットの機能的特性を組み合わせて維持する製造方法を開発するニーズが依然として存在している。機能ユニット及びVIGが別個のステップにおいて製造され、次いで、穏やかな過圧の下において1つにラミネートされている本発明の新規な製造方法は、VIGコンポーネントの過剰設計及び/又は熱性能の低減を回避しつつ、VIGに対する付加的技術性能における最大の柔軟性を提供することが見出されている。実際に、本発明は、低圧におけるラミネーション法を介した、VIGに対する高圧において処理された機能的ユニットの追加を許容している。
【0039】
更には、ラミネートVIG組立体用の新規な製造方法は、単一の産業機器内において単一段階において実行することが可能であり、従って、容易であり、単純であり、効率的であり、費用効果に優れている。
【0040】
ラミネートVIG組立体は、少なくとも1つのVIGと、少なくとも1つの機能ユニットとを有することができる。通常、ラミネートVIG組立体は、1つのVIGと、1つの機能ユニットとを有する。但し、いくつかの実施形態において、ラミネートVIG組立体は、VIGの同一の面に、又はVIGの両方の面に、追加された複数の機能ユニットを有することができる。また、ラミネートVIG組立体が、1つ又は複数の機能ユニットと共に、複数のVIGを有する実施形態も想定され得るであろう。本明細書には、1つ又は複数のVIG及び1つ又は複数の機能ユニットのすべての組合せが包含されている。
【0041】
本発明の好適な一実施形態において、ラミネートVIG組立体は、1つのVIGと、1つの機能ユニットとを有する。
【0042】
ラミネート組立体、即ち、VIG及び機能ユニット、のみならず、VIGのペイン及び機能ユニットのシートは、長手方向軸X及び垂直方向軸Zによって定義された平面Pに沿って延在している。これらの要素のそれぞれは、平面Pに垂直の方向において計測される厚さを有し、平面Pに沿って延在する表面を有する。
【0043】
本発明は、VIG(2)及び機能ユニット(4)を有するラミネートVIG組立体(1)を製造する方法に関し、この場合に、VIG及び機能ユニットは、別個のステップにおいて製造されている。本発明のラミネートVIG組立体を形成するために機能ユニット及びVIGをラミネートするために本発明の方法において使用されるべき適切な中間ユニットポリマーは、穏やかな過圧においてラミネーションによって適切な機械的接着を提供する能力を有するポリマーである。
【0044】
積層の際に、中間ユニットポリマーは、VIG及び/又は機能ユニットの表面上に堆積させることが可能であり、真空断熱グレージングと機能ユニットの間に配置され、それにより、予備組立体を生成している。
【0045】
ラミネーションによる適切な機械的接着は、結果的に得られるラミネートVIG組立体が、2011年10月付けのNBN EN ISO 12543という規格の耐久性セクションである「Glass in building-Laminated glass and laminated safety glass-Part 4:Test methods for durability(ISO12543-4:2011)」の高温試験(ベイク試験とも呼称される)に合格することを意味している。
【0046】
過圧は、大気圧超の更なる圧力を意味している。穏やかな過圧は、4.5バール以下(OP≦4.5バール)、好ましくは4.0バール以下(OP≦4.0バール)、好ましくは3.0バール以下(OP≦3.0バール)、好ましくは2.0バール以下(OP≦2.0バール)の、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1バール以下(OP≦1バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)過圧を意味している。
【0047】
従って、本発明の方法において使用されるべき適切な中間ユニットポリマーは、結果的に得られるラミネートVIG組立体が、4.5バール以下(OP≦4.5バール)、好ましくは4.0バール以下(OP≦4.0バール)、好ましくは3.0バール以下(OP≦3.0バール)、好ましくは2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1バール以下(OP≦1バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)過圧において高温試験ISO12543-4:2011に合格するように、機能ユニットとVIGの間に適切な機械的接着を提供するものである。
【0048】
好適な一実施形態において、本発明の方法において使用されるべき適切な中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、オートクレーブフリーポリビニルブチラール(以下においては、オートクレーブフリーPVBと呼称される)、ポリウレタン(PU)、SentryGlas(商標)のようなイオノマー、及びこれらの組合せからなる群から選択されている。
【0049】
本発明は、高温試験の規格ISO12543-4:2011に合格するラミネート真空断熱グレージング組立体(1)の製造方法に関し、これは、少なくとも、
1)真空断熱グレージング(2)と、中間ユニットポリマー(3)と、機能ユニット(4)とを積層し、それにより、予備組立体を生成させるステップと、ただし前記機能ユニットは、5.5バール~15.0バール(5.5バール≧PP≧15.0バール)、好ましくは7.5バール~14.0バール(7.5バール≧PP≧14.0バール)、更に好ましくは10.0バール~14.0バール(10.0バール≧PP≧14.0バール)の処理圧力(PP)において処理されている、
2)真空リング又は真空バッグ内に、好ましくは真空バッグ内に、前記予備組立体を挿入するステップと、
3)少なくとも、
a.前記真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するサブステップ、
b.前記予備組立体を50℃~200℃、好ましくは75℃~175℃、更に好ましくは90℃~150℃の範囲の温度に加熱するサブステップ、
c.前記予備組立体を4.5バール以下の過圧(OP)(OP≦4.5バール)下において加圧するサブステップ、
により、前記予備組立体を処理してラミネートVIG組立体を生成させるステップと、
4)前記排気3)a)、前記加熱3)b)、及び前記過圧3)c)を解放するステップと、
を含む。
【0050】
本明細書における機能ユニットは、優れた利益を提供するために高圧において、即ち、5.5バール~15.0バール(5.5バール≧PP≧15.0バール)、好ましくは7.5バール~14.0バール(7.5バール≧PP≧14.0バール)、更に好ましくは10.0バール~14.0バール(10.0バール≧PP≧14.0バール)の処理圧力(PP)において処理されている。機能ユニットは、好ましくは少なくとも2枚のシートを有し、好ましくはシートの少なくとも1つは、ガラスシートであり、更に好ましくは、少なくとも2枚のシートは、ガラスシートである。
【0051】
本発明の方法の好適な一実施形態において、処理ステップ3)のサブステップb)の過圧は、4.0バール以下(OP≦4.0バール)、好ましくは3.0バール以下(OP≦3.0バール)、好ましくは2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)であり、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)。
【0052】
当業者は、本発明の方法が0バールに等しい過圧において実行された際には、これは、更なる過圧を伴うことなしに、即ち、大気圧において実行され、過圧の解放が必要とされてはいないことを十分に理解している。
【0053】
当業者は、特に過圧が使用されていない(OP=0バール)本発明の方法においては、予備組立体を真空に晒すという同一の目的を実現するために、真空チャンバなどの任意のその他の真空装置を真空バッグ又は真空リングの代わりに使用し得ることを十分に理解している。真空バッグが使用される際には、脱気現象を増大させるように、ブリーザフレームによって予備組立体を取り囲むことが好ましい。
【0054】
好ましくは、本発明の方法は、機械的抵抗力の劣化を回避するために、及びラミネートVIG組立体の完全性を維持するために、過圧がカレンダロール、ニップローラー、又は任意のその他のローラーを介して実現されないように、圧力ローラー又はカレンダ(シングル又はダブル)のシステムを有することにならない。
【0055】
処理ステップ3)のサブステップが排気a)である状態において、加熱b)及び加圧c)は、任意の順序で行われることができる。但し、本発明の好適な一実施形態において、処理ステップ3)のサブステップは、排気サブステップ3)a)、加熱サブステップ3)b)、及び加圧サブステップ3)c)の処理順序で実現され、好ましくは、加熱サブステップ3)b)及び加圧サブステップ3)c)は、同時に開始される。このような好適な実施形態は、低温における空気の排気を改善することが見出される。圧力の増大は、排気を支援することになり、加熱は、組立体のエッジ封止が構造への空気の戻りを防止するようにすることになる。
【0056】
本発明の好適な一実施形態において、処理ステップ3)の排気サブステップa)は、加熱サブステップ3)b)が開始される前に、5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分にわたって、周辺温度において開始される。このような好適な実施形態は、中間ユニットポリマーとVIG及び/又は機能ユニットの間において捕捉された滑らかな空気排気を許容することが見出されている。
【0057】
本発明の更なる好適な一実施形態において、本発明の方法の解放ステップ4)は、まず加熱を解放し、次いで排気を解放する、好ましくは排気及び加圧を一緒に解放する、ことにより、実現されている。これは、好ましくはVIGラミネート組立体の温度が、50℃~60℃に到達したとき、更に好ましくは周辺温度に到達したときに実行される。実際に、真空下における冷却は、有利であり、その理由は、その結果、ラミネートVIG組立体内におけるエアポケット及び曇りの形成が低減されるからである。
【0058】
本発明の更なる好適な一実施形態において、方法のステップ(4)の加熱解放サブステップは、特に130℃~30℃の温度範囲において、1~10℃/分、好ましくは2~9℃/分、好ましくは3~8℃/分、好ましくは4~7℃/分、更に好ましくは5~6℃/分の減少を実現するように実行される。実際に、これは、ラミネートVIGユニットを形成するために使用されている中間ユニットポリマーがEVA、COP、及び/又はイオノマーである実施形態において特に好適である。本発明の方法の冷却ステップは、好ましくは、ヘイズの出現を回避するために高速で実行されることになる。熱交換機を伴う又は伴わないファンなどによる冷却ガスのフローを利用した対流冷却又は伝導冷却を使用することができる。
【0059】
通常、本発明の方法は、必要とされる際に特定の温度及び低湿気レベルを尊重するために、のみならず、汚染を回避するために、クリーンルーム内において実現されている。
【0060】
好適な一実施形態において、本発明の方法において使用されるべき適切な中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、オートクレーブフリーポリビニルブチラール(以下においては、オートクレーブフリーPVBと呼称される)、ポリウレタン(PU)、及び/又はSentryGlas(商標)のようなイオノマーからなる群から選択されている。
【0061】
オートクレーブフリーPVBを伴う方法
ラミネートVIG組立体を形成するために使用される中間ユニットポリマーがオートクレーブフリーPVBである本発明の方法においては、オートクレーブフリーPVBを特定の相対湿度及び温度条件に事前コンディショニングするという初期ステップが好ましくは追加されている。これは、特にラミネーションサイクルの後にラミネートVIG組立体の良好な品質を得るために、特にラミネートVIG組立体のエッジにおける気泡形成を回避するために、好ましい。このようなオートクレーブフリーPVBは、通常、例えば、20%未満、好ましくは15%未満、更に好ましくは10%未満の湿気含有量と、15℃~30℃、好ましくは18℃~25℃の温度とを示すように、保存及び処理のための特定の湿度条件を必要としている。従って、中間ユニットポリマーがオートクレーブフリーPVBであるこの実施形態においては、本発明の方法は、好ましくは、10%以上の相対湿度及び25℃において、少なくとも10時間、好ましくは少なくとも12時間にわたって、オートクレーブフリーPVBを事前コンディショニングする初期ステップを有する。
【0062】
この実施形態において、本発明の方法の処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、好ましくは、90℃~150℃、好ましくは115℃~150℃、好ましくは135℃~145℃、更に好ましくは140℃の温度において予備組立体を加熱することになる。これは、好ましくは、20~180分の範囲の期間にわたって、好ましくは60分にわたって実現される。
【0063】
従って、本発明の好適な一実施形態において、本発明の方法の処理ステップ(3)のサブステップa)及びb)は、
a.5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分の範囲の期間にわたって、室温において、真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するステップ、
b.好ましくは20~180分の範囲の期間にわたって、好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは115℃~150℃、好ましくは135℃~145℃、更に好ましくは140℃の温度において加熱するステップ、
という処理順序で実現される。
【0064】
更なる好適な一実施形態において、加圧サブステップ3)c)は、2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)、の過圧(OP)下において、更に好ましくは0バールの過圧なし(OP=0バール)下において、実行される。
【0065】
好ましくは、処理ステップ3)の加熱サブステップb)及び加圧サブステップc)は、同時に開始される。
【0066】
これらの好適な特徴のすべては、中間ユニットポリマーがオートクレーブフリーPVBである本発明の更に好適な方法として組み合わせられている。
【0067】
PUを有する方法
ラミネートVIG組立体を形成するために使用される中間ユニットポリマーがポリウレタン(PU)である本発明の方法においては、本発明の方法の処理ステップ3)の加熱ステップb)は、好ましくは、90℃~150℃、好ましくは110℃~120℃、の温度において予備組立体を加熱することになる。これは、好ましくは、20~180分の範囲の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、実現される。
【0068】
従って、本発明のこのような好適な実施形態において、本発明の方法の処理ステップ(3)のサブステップa)及びb)は、
a.5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分、の範囲の期間にわたって、室温において、真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するステップ、
b.好ましくは20~180分の範囲の期間にわたって、好ましくは60分にわたって、90℃~150℃、好ましくは110℃~120℃の温度において加熱するステップ、
の処理順序で実現される。
【0069】
更なる好適な一実施形態において、加圧サブステップ3)c)は、2.0バール~4.5バール(2.0バール≦OP≦4.5バール)、好ましくは2.0バール~4.0バール(2.0バール≦OP≦4.0バール)、更に好ましくは約3.0バールである過圧(OP)下において実行される。
【0070】
好ましくは、処理ステップ3)の加熱サブステップb)及び加圧サブステップc)は、同時に開始される。
【0071】
これらの好適な特徴のすべては、中間ユニットポリマーがポリウレタン(PU)である本発明の更に好適な方法において組み合わせられている。
【0072】
EVA及び/又はCOPを有する方法
本発明の方法において、ラミネートVIGを形成するための好適な中間ユニットポリマーは、EVA及び/又はCOPから選択され、更に好ましくは、EVAである。
【0073】
ラミネートVIG組立体を形成するために使用される中間ユニットポリマーがEVA及び/又はCOPである本発明の方法においては、真空及び温度プロファイルの品質に対して特定の配慮を施すことを要する。温度範囲及びその持続時間は、合計厚さ、ガラスの熱慣性、ガラスの容積、などのようなラミネートVIG組立体のパラメータに応じて、当業者により、容易に適合される。
【0074】
従って、ラミネートVIGユニットを形成するために使用される中間ユニットポリマーがEVA及び/又はCOPである好適な一実施形態においては、本発明の方法の処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、好ましくは、EVAポリマー又はシクロオレフィンポリマーの得られた最適な粘度に起因して、EVA又はCOP中間ユニットポリマーとVIG及び機能ユニットのガラス表面の間の閉じ込められた空気の排除を提供するために、好ましくは10~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって、75℃~95℃の温度下における加熱により、EVA中間ユニットポリマーを事前接合する初期ステップを有することになる。
【0075】
ラミネートVIGユニットを形成するために使用される中間ユニットポリマーがEVA及び/又はCOPである実施形態においては、本発明の方法の処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、好ましくは、90℃~150℃の温度下において、更に好ましくは110℃~145℃の温度下において、実行されることになる。これらの温度範囲は、中間ユニットポリマーの最適な架橋を許容し、最適な接着及び耐久性を許容している。
【0076】
ラミネートVIGユニットを形成するために使用される中間ユニットポリマーがEVA及び/又はCOPである実施形態において、処理ステップ(3)のサブステップは、
a)5分~40分、好ましくは10分~30分、更に好ましくは20分~30分、の期間にわたって、室温において、真空リング又は真空バッグ内を、マイナス0.1バール~マイナス1バール、好ましくはマイナス0.5バール~マイナス1バールの真空に排気するステップ、
b*)好ましくは10~60分、更に好ましくは15分~40分の期間にわたって、75℃~95℃の範囲の中間温度に加熱するステップ、
b)45分~300分の期間にわたって、110℃~145℃、好ましくは130℃~140℃の範囲の温度に加熱するステップ、
の処理順序で実現される。
【0077】
更なる好適な一実施形態において、加圧サブステップ3)c)は、2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)の過圧(OP)下において、更に好ましくは0バールの過圧なし(OP=0バール)下において、実行される。
【0078】
好ましくは、処理ステップ3)の加熱サブステップb)及び加圧サブステップc)は、同時に開始される。
【0079】
これらの好適な特徴のすべては、中間ユニットポリマーがEVA及び/又はCOPである、好ましくはEVAである、本発明の更に好適な方法において組み合わせられる。
【0080】
イオノマーを有する方法
ラミネートVIG組立体を形成するために使用される中間ユニットポリマーがイオノマーである本発明の方法においては、供給者によって推奨される湿度及び温度条件、通常は15%以下の相対湿度、におけるこのようなイオノマーの保存に対して特別な配慮を払うことを要する。
【0081】
中間ユニットポリマーがイオノマーである本発明の方法は、好ましくは、脱ガスステップ及びエッジ事前封止ステップを必要としている。実際に、中間ユニットポリマーとの間のVIG及び機能ユニットインターフェイスにおいて配置された空気が排気され、次いで、本発明の方法の処理ステップにおける空気貫通を回避するためにエッジが事前封止されることが好ましい。このような初期脱ガスステップは、圧力ローラー又はカレンダ(シングル又はダブル)のシステムにより、又は真空法により、実現することができる。本明細書においては、真空法は、機械的抵抗力の劣化を回避するために、及びラミネートVIG組立体の完全性を維持するために、好適である。
【0082】
この実施形態において、処理ステップ(3)の加熱サブステップb)は、好ましくは45~75分の期間にわたって、更に好ましくは60分にわたって、好ましくは90℃~150℃、更に好ましくは130℃~135℃の温度下において実行される。
【0083】
中間ユニットポリマー
好適な一実施形態において、本発明の処理において使用されるべき適切な中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、オートクレーブフリーポリビニルブチラール(以下においては、オートクレーブフリーPVBと呼称される)、ポリウレタン(PU)、SentryGlas(商標)のようなイオノマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される。更に好適な一実施形態において、中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)及び/又はオートクレーブフリーPVBからなる群から選択される。
【0084】
中間ユニットポリマーの厚さは、ラミネートVIG組立体が、4.5バール以下の過圧においてISO12543-4:2011の高温試験に合格する限り、及びラミネートVIG組立体の透明性が維持されている限り、特に制限されないが、例えば、0.25mm~5mm、好ましくは0.3mm~4mm、好ましくは0.3~3mm、更に好ましくは0.3mm~2mmであってよい。
【0085】
好ましくは、本発明の方法において使用される場合には、中間ユニットポリマーは、オートクレーブフリーPVBである。当業者には十分に理解されるように、オートクレーブフリーPVBは、穏やかな過圧、即ち、4.5バール以下(OP≦4.5バール)、好ましくは4.0バール以下(OP≦4.0バール)、好ましくは3.0バール以下(OP≦3.0バール)、好ましくは2.0バール以下(OP≦2.0バール)、好ましくは1.5バール以下(OP≦1.5バール)、好ましくは1.0バール以下(OP≦1.0バール)、好ましくは0.5バール以下(OP≦0.5バール)、或いは、更に好ましくは0バールに等しい(OP=0バール)過圧においてさえもラミネーション法において有効であるPVBである。
【0086】
適切なオートクレーブフリーPVBは、0.35重量%未満の低い水含有量、120~150℃、好ましくは135℃、の動作範囲温度を有し、ラミネーション法がオートクレーブ仕上げ処理を伴うことなしに実現されることを可能にする、Eastmanによる国際公開第2003/057478号パンフレットの段落[0020]~[0026]において記述されているPVB中間層である。このようなオートクレーブ-オートクレーブフリーPVBシートは、Eastmanから「Saflex@」中間層として市販されている。その他の適切なオートクレーブフリーPVBは、Kurarayから市販されており、「Trosifol(登録商標)」PVBフィルムは、オートクレーブフリー処理のために推奨され、特にTrosifol(登録商標)HRが適切である。
【0087】
更には、適切な中間ユニットポリマーとしてオートクレーブフリーPVBを使用することにより、穏やかな過圧において必要とされているラミネーション特性が提供される一方で、透明性においても優れており、安全性及びセキュリティ性能のために改善された強度も得られることが見出されている。
【0088】
好ましくは、本発明の方法において使用される場合に、中間ユニットポリマーは、ポリウレタン(PU)である。適切な市販のPUは、HuntsmanによるKrystalflex(登録商標)TPUフィルム(PE399又はPE900)であり、これは、ガラス、ポリカーボネート、アクリル、CABラミネーション用途用の及び航空宇宙、輸送、セキュリティ、及び建築市場用として推奨される高性能脂肪族ポリエーテルフィルムである。これは、低温度衝撃抵抗力、ガラス、ポリカーボネート(PC)、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)への優れた接着、湿気抵抗力、PMMAに適合した低ラミネーション温度を提供しており、二倍の曲率を有する複雑な表面の場合にも、ラミネーションが可能である。
【0089】
好ましくは、本発明の方法において使用される場合に、中間ユニットポリマーは、エチレンビニルアセテートである。EVAが好ましく、その理由は、これは、透明性及び柔軟性において優れているのみならず、改善された散乱抵抗力をも提供しているからである。更には、これは、相対的に低いプロセス温度においても使用することができる。
【0090】
適切な市販のEVAは、以下のとおりである。
-GLAASTという供給者からのEVAに基づいたラミネーションフィルムは、「ガラスラミネーション」のために特に設計されており、この場合に、DAYLIGHT EV200シリーズは、エージングにおける非常に高い性能、高い静的負荷能力、接着、フロー及び衝撃抵抗力、透明性、高光透過、及び例外的なUVカット特性を特徴としている。
-本発明の方法において使用される別の適切なEVAは、Satinalという供給者からのSTRATO(登録商標)PLUS EVAである。これは、同時に低温ラミネーションの場合にも最高レベルの透明性を保証する歪も気泡の問題も伴わないそのハイレベルな透明性及びUV保護に起因した、完全に自然で中性的な見た目のガラスを提供している。
-また、HORNOS Pujolという供給者によるEvalam Visualも好適である。
【0091】
好ましくは、本発明の方法において使用される場合に、中間ユニットポリマーは、シクロオレフィンポリマーである。COPは、十分に非晶質であり、しかも高度に透明な熱可塑性樹脂である。市販のCOPは、Zeonx(登録商標)という名称の下に供給者であるZeonによって販売されている。これらは、高い透明度及び小さな光学複屈折、小さなヘイズ、極めて小さな水吸収及び湿気浸透、大きな熱抵抗力、大きな機械的剛性、傑出した寸法安定性、良好な衝撃抵抗力、及び良好な成形可能性、高いフロー能力、小さな成形収縮を提供している。
【0092】
好ましくは、本発明の方法において使用される場合に、中間ユニットポリマーは、イオノマーである。イオノマーは、可塑剤を含んでおらず、イオノプラスト化学に基づいている。イオノマーは、固有の化学に起因した温度の範囲において構造的性能を提供している。イオノマーは、その優れた機械的特性、高い強度、強力な安定性、湿気抵抗力に起因して好ましい。イオノマーラミネートガラスは、無色、透明、及び紫外線防止型である。
【0093】
適切な市販のイオノマーは、SentryGlas(登録商標)イオノマーである。これは、従来の中間層よりも、最大で100倍の剛性を有し、しかも最大で5倍強力であり、相対的に薄いラミネートが規定されている風負荷又は構造的要件を充足することを支援している。剛性のSentryGlas(登録商標)によって製造されたラミネートガラスは、高応力負荷に耐えることができる。
【0094】
機能ユニット
機能ユニットは、ラミネートVIG組立体の製造法とは別個のプロセスにおいて処理されている。これは、5.5バール~15.0バール(5.5バール≧PP≧15.0バール)、好ましくは7.5バール~14.0バール(7.5バール≧PP≧14.0バール)、更に好ましくは10.0バール~14.0バール(10.0バール≧PP≧14.0バール)の処理圧力(PP)において処理されている。
【0095】
後述するように、本発明のラミネートVIG組立体の機能ユニット(4)は、通常、少なくとも1つのシート及び機能層(43)、好ましくは機能層(43)によって分離された少なくとも2枚のシート(41、42)を有する。好適な一実施形態において、シートの少なくとも1つは、ガラスシートであり、更に好ましくは、少なくとも2枚のシートは、ガラスシートである。機能層は、通常、ポリマー中間層及び/又は膨張材料である。従って、このような機能ユニットは、安全性、セキュリティ、音響中間層、太陽光制御、及び/又は防火性、などのような機能的利益を提供している。
【0096】
実際に高圧ラミネーション法下において製造された機能ユニットは、VIGに対して直接的にラミネートすることができないことが見出されており、その理由は、VIGは、その物理的完全性及び機能を保持するためにそのような高い圧力において更に処理することができないからである。従って、本発明の方法は、さもなければ低圧ラミネーション法によっては得ることができないVIGの高断熱特性に加えて非常に効率的な機能的利益を提供するラミネートVIG組立体を設計することを許容している。実際に、本発明は、高圧において処理された機能ユニットを低圧におけるラミネーション法を介してVIGに追加することを許容している。これに加えて、穏やかな過圧におけるこのような方法は、機能ユニットの性能及び特性を維持していることも見出されている。
【0097】
本発明のラミネートVIG組立体において予想されている性能に応じて、異なる機能を提供するために、異なる機能ユニットをVIGにラミネートすることができる。例えば、ボート用途の場合には、防火性と防爆性を組み合わせることが非常に望ましく、或いは、都市窓の場合には、音響及び安全性能を組み合わせることが非常に望ましい。従って、同一の又は異なる機能ユニットのいくつかをVIGの一方又は両方の面にラミネートすることができる。
【0098】
機能ユニットは、当技術分野において既知の方法の任意のものに従って調製することができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、機能ユニットは、安全及び/又はセキュリティ機能ユニットである。安全及びセキュリティガラスの主な機能は、開口部を通じた貫通を許容することなしに、物体からの打撃によって生成されるものなどのエネルギーを吸収し、閉じ込められたエリア内の物体又は人物に対する損傷又は負傷を極小化するというものである。従って、安全及び/又はセキュリティラミネートユニットは、偶発的衝撃に起因した負傷からの保護、スルーガラスの落下からの保護、並びに、侵入及び破壊行為からの保護を提供している。
【0100】
予想されている性能に応じて、安全及び/又はセキュリティ機能ユニットは、それぞれがポリマー中間層によって分離された2枚以上のガラスシートを有することができる。通常、当業者は、0.2mm、好ましくは0.5mm、好ましくは1mm、更に好ましくは3mmから、12mm、好ましくは6mmまでの範囲のガラスシートの厚さを有し、0.2mm、好ましくは0.35mm、から5mm、好ましくは2.5mmまでの範囲のポリマー中間層の厚さを有する、2~8枚、好ましくは2~4枚の範囲の数のガラスシートを有する安全及び/又はセキュリティ機能ユニットを設計することになる。
【0101】
このような機能ユニット内において使用されるべき通常のポリマー中間層は、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタル、シクロオレフィンポリマー(COP)、イオノマー、及び/又は紫外線によって活性化される接着剤、並びに、ガラスラミネート製造の技術分野において既知のその他のものからなる群から選択された材料を有する。好ましくは、ポリマー中間層は、ポリビニルブチラールである。補強された遮音は、特定のPVBなどの特定の音響性能を有するポリマー中間層によって提供することができる。
【0102】
EN356という規格は、投げられた物体に抵抗するラミネートガラスペインの能力を表す試験に基づいて8つの性能レベルを定義しており、レベルP1A~P5Aは、破壊行為及び窃盗の試みを含む衝撃からの保護に相当し、レベルP6B~P8Bは、窃盗の試みからの補強された保護に相当している。通常、外側環境からの衝撃の場合に、セキュリティ機能ユニットは、0.76mmの厚さのポリビニルブチラールのポリマー中間層によってそれぞれが接合された3mmの2枚のガラスシートを有するラミネートユニットに起因してP1Aセキュリティレベルを有する。通常のP2Aレベルは、0.76mmの厚さのポリビニルブチラール中間層及びそれぞれ4mmの2枚のガラスシートを有するセキュリティ機能ユニットによって得られることになる。ポリビニルブチラール中間層の厚さは、P4Aの場合には1.52mmの厚さに、P5Aレベルの場合には2.28に、増大させることができる。EN356規格のレベルP6B~P8Bに合格するには、セキュリティ機能ユニットは、通常、8mm超の厚さのガラスペインを有する。
【0103】
その他の実施形態において、本発明の方法において使用されるべきセキュリティ機能ユニットは、0.76mmのPVBによってラミネートされた、それぞれ4mm、又はそれぞれ6mmの、又は場合によってはそれぞれ8mmの、2枚のガラスシートを有することができる。このようなユニットは、本発明の方法を通じて4mm及び/又は6mmの厚さの通常は2枚のガラスペインを有するVIGにラミネートすることができる。
【0104】
本発明の一実施形態において、機能ユニットは、音響機能ユニットである。方法が音響ラミネートVIG組立体を製造するために使用されている本発明の実施形態においては、VIG及び/又は音響機能ユニットは、異なる厚さのガラスペイン/ガラスシートから製造されることが好ましい。実際に、非対称な構成は、ガラスの自発的な振動をもたらすことになる共振周波数を意味するガラスの臨界可聴周波数の周りの音波侵入の遮断を支援している。
【0105】
また、通常の音響機能ユニットは、例えば、EastmanからのSaflex(登録商標)音響PVB中間層又はKurarayからのTrosifol(登録商標)音響PVB層などの特定のポリビニルブチラールコンポーネントなどの特定の音響性能を有するポリマー中間層によって分離された2枚以上のガラスシートを有することができよう。
【0106】
通常、音響機能ユニットは、好ましくは0.2mm、好ましくは0.5mm、1mm、3mm、4mmから12mm、8mm、6mmまでの範囲の異なる厚さのガラスシートである2枚のガラスシートを有する。ポリマー中間層の厚さは、0.2mm、好ましくは0.35mmから5mm、好ましくは3mmまでの範囲である。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用されるべき音響機能ユニットは、0.76mmの音響PVBによってそれぞれがラミネートされた、それぞれ4mm、又はそれぞれの6mm、又は場合によっては8mmの、好ましくは異なる厚さの、2枚のガラスシートを有することができる。このようなユニットは、本発明の方法を通じて、4mm及び/又は6mmの通常の厚さの、好ましくは4mm及び6mmの異なる厚さの、2枚のガラスペインを有するVIGにラミネートすることができる。
【0108】
本発明の別の実施形態においては、機能ユニットは、防弾又は防爆ユニットである。EN356という規格に相当する窃盗の試み及び場合によってはそれぞれEN1063及びEN13541という規格に相当する火器及び爆発などからの補強されたセキュリティ保護を実現するために、機能ガラスユニットは、従来、いくつかのPVB及び/又はポリウレタンポリマー中間層と共に組み立てられた、しばしば異なる厚さの、潜在的に構造的プラスチックシートと組み合わせられたいくつかのガラスシートを有するように設計されている。
【0109】
このような防弾及び防爆機能ユニットは、通常、2~10枚のシート、好ましくは2~7枚のシートと、少なくともポリマー中間層の対応する層と、を有する。好ましくは、シートは、ガラスシート、又は構造的プラスチックシート、好ましくはポリカーボネートシート、である。このような用途において使用されるべき通常のポリマー中間層は、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタル、シクロオレフィンポリマー(COP)、イオノマー、及び/又は紫外線によって活性化される接着剤、及びガラスラミネートの製造の技術分野において既知のその他のものからなる群から選択された材料を有する。好ましくは、ポリマー中間層は、ポリウレタン及び/又はポリビニルブチラールである。補強された遮音は、特定のPVBなどの特定の音響性能を有するポリマー中間層によって提供することができる。これらのポリマー中間層用の通常の厚さは、0.2mm、好ましくは0.3mm、更に好ましくは0.75mmから4.5mm、好ましくは3.0mm、更に好ましくは1.75mmまでである。
【0110】
一実施形態において、機能ユニットは、少なくとも1枚の構造的プラスチックシート、好ましくはポリカーボネートシート、更に好ましくは最大で2.0mmの厚さを有するポリカーボネートと、少なくとも1枚のポリビニルブチラールポリマー中間層及び少なくとも1枚のポリウレタンポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも1枚のガラスシートとを有する。好ましくは、ポリマー中間層は、少なくとも0.76mmの厚さを有する。
【0111】
本発明の一実施形態において、機能ユニットは、特別な太陽光制御機能ユニットである。機能ユニットは、通常はガラスシート上において提供される既存の被覆層によってはもたらされ得ない太陽光の利益を提供することができる。特別な太陽光機能中間層ポリマーは、UV放射からの保護を提供することが可能であり、或いは、植物用途のための太陽光放射の完全な自然スペクトルを許容することが可能であり、或いは、太陽から赤外(IR)光波長を吸収することができる。
【0112】
太陽光機能ユニットは、通常、太陽光機能中間層ポリマーによって分離された少なくとも2枚のガラスシートを有する。通常、太陽光機能ユニットは、2~8枚の、好ましくは2~4枚の、ガラスシートを有することになり、この場合に、ガラスシートの厚さは、0.2mm、好ましくは0.5mm、好ましくは1mm、更に好ましくは3mmから12mm、好ましくは6mmまでの範囲であり、太陽光中間層ポリマーの厚さは、0.2mm、好ましくは0.35mmから5mm、好ましくは2.5mmまでの範囲である。
【0113】
適切な太陽光機能中間層ポリマーは、例えば、PVB及びIRカットPVB(インジウムすず酸化物(ITO)の粒子又はセシウムタングステン酸化物(ceWox)粒子がポリビニルブチレートの層内において分散している)の層内において含まれたXIRフォイル(ポリビニルブチレートの層の間においてラミネートされたPET上の金属性被覆)である。市販の太陽光機能中間層ポリマーは、供給者であるEastmanからのSaflex(登録商標)太陽光範囲中間層、PVB及びガラスの2つの層の間においてXIR「heat rejecting」フィルムをカプセル化したSouthwallのXIR(登録商標)ラミネート製品、及び供給者であるSekisuiからのS-LEC(商標)Sound and Solar Filmである。
【0114】
好ましくは、本発明の方法によって製造されるラミネートVIG組立体は、安全/セキュリティ、音響、防弾/防爆、及び/又は特別な太陽光制御、好ましくは、安全/セキュリティ及び音響といういくつかの機能を組み合わせることになる。従って、好適な一実施形態において、機能ユニットは、ポリビニルブチラールポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも2枚のガラスシートを有する。好ましくは、別の好適な実施形態において、機能ユニットは、少なくとも1つのポリビニルブチラールポリマー中間層及び少なくとも1つのポリウレタンポリマー中間層によってラミネートされた少なくとも1枚のポリカーボネートシート及び少なくとも1枚のガラスシートを有する。好ましくは、ポリビニルブチラールポリマー中間層は、音響ポリビニルブチラールポリマー中間層であり、及び/又は、シートは、異なる厚さを有する。
【0115】
本発明の一実施形態において、機能ユニットは、防火性機能ユニットである。防火性機能ユニットは、通常、膨張材料の層によって分離されたガラスの少なくとも2枚のシートを有する。防火性グレージングの重量及び厚さは、ガラスシートの数及び膨張材料の層を定義する必要とされている防火性性能レベルに応じて、大きなものになり得る。膨張材料の層は、最もしばしば、水酸化アルカリ金属シリケートから構成されている。この代わりに、有機及び/又は無機ヒドロゲルが使用されてもよい。熱の影響下においては、膨張材料は、熱の影響下においてフラグメント化された際にもガラス壁を定位置において維持する放射に対して不透明な発泡体を形成することにより、膨張している。
【0116】
防火性機能ユニットの製造における水酸化アルカリ金属シリケートの使用は、主には、2つの別個のモードに従って実行されている。第1モードは、「乾燥プロセス」と呼称されており、その理由は、このような防火性機能ユニットが、通常、第1の乾燥段階と、これに後続する通常は約110℃の温度及び11~13バールの圧力におけるオートクレーブ段階とを有する2つの段階において処理されているからである。
【0117】
第1モードにおいては、ガラスペイン上においてこれらのシリケートの溶液を適用することにより、そして固体層が得られる時点までそれなりに長い乾燥ステップを実行することにより、膨張材料の層が得られている。望ましい防火性性能を有する製品を得るために、いくつかの組立体層/ガラスペインを積層することができる。形成された膨張材料の最後の層は、通常、最終的なガラスシートによってカバーされている。
【0118】
このような第1モードにおいて、防火性機能ユニットは、好ましくは2~9枚のガラスシート、更に好ましくは3~5枚のガラスシートを有する。このようなガラスシートは、好ましくは、3mm~8mmの厚さであり、膨張材料の層は、好ましくは、1~8mm、好ましくは1~5mm、更に好ましくは1mm~4mmの厚さである。
【0119】
好適な一実施形態において、防火性機能ユニットは、3枚のガラスシートと、膨張材料の2つの層と、を有する。通常、このような防火性ユニットは、3mmの第1ガラスシート+1.5~2mmの膨張材料+8mmの第2ガラスシート+1.5~2mmの膨張材料+3mmの第3ガラスシートを有することになる。通常、このような防火性ユニットは、0.76mmのEVAなどの中間ユニットポリマーを介してそれぞれ6mmの2枚のガラスペインを有するVIGなどのVIGにラミネートすることができる。
【0120】
別の好適な実施形態において、防火性機能ユニットは、5枚のガラスシートと、膨張材料の4つの層と、を有する。通常、このような防火性ユニットは、3mmの第1ガラスシート+1.5~2mmの膨張材料+3mmの第2ガラスシート+1.5~2mmの膨張材料+8mmの第3ガラスシート及び再度1.5~2mmの膨張材料によって分離された3mmの2枚のガラスシートを有することになる。通常、このような防火性ユニットは、0.76mmのEVAなどの中間ユニットポリマーを介してそれぞれ6mmの2枚のガラスペインを有するVIGなどのVIGにラミネートすることができる。
【0121】
別の好適な実施形態において、防火性ユニットは、1.5~2mmの膨張材料の層によって分離されたそれぞれ3mmの2枚のガラスペインである2枚のガラスシート及び膨張材料の1つの層を有する。通常、このような防火性ユニットは、0.76mmのEVAなどの中間ユニットポリマーを介してそれぞれ6mmの2枚のガラスペインを有するVIGなどのVIGにラミネートすることができる。
【0122】
改善された音響特性を目的として、異なる厚さのガラスペイン及びガラスシートを使用することが想定され得るであろう。
【0123】
第2モードは、「キャストインプレース法」と呼称されており、その理由は、このような防火性機能ユニットは、通常、周辺スペーサを有するダブルグレージングが最大で20バールの圧力において生成され、膨張材料が注がれる空間が生成されている通常は周辺温度における第1組立段階と、これに後続する通常は約70~90℃の温度及び大気圧における膨張材料の細網化の段階とという2つの段階において処理されているからである。
【0124】
防火性機能ユニットのこのような第2モードにおいては、シリケート溶液は、シリケート溶液のゲル化を促進するために、「硬化剤」、「架橋剤」として適格である製品の追加により、又は別の方法により、改質されている。これらは、シリケート溶液へのその追加の後に、シリケート溶液が、休止状態において残された際に、乾燥ステップの実行の必要性を伴うことなしに相対的に短い時間において膨張層として自発的に硬化するように、慎重に選択されている。これらの製品の場合には、ゲルの形成の前に、溶液及びその最終的な添加剤が2枚のガラスペインの間の空洞内において注がれている。ガラスペインは、その周囲において、互いから一定の距離において自身を維持する2枚のガラスペインと共に溶液が注がれる漏洩防止空洞を定義するスペーサにより、結合されている。
【0125】
このような第2モードにおいては、防火性機能ユニットは、好ましくは2~4枚のガラスシートを有する。このようなガラスシートは、好ましくは、3mm~6mmの厚さであり、膨張材料の層は、好ましくは3~30mmの厚さである。
【0126】
このような第2モードの好適な一実施形態において、防火性機能ユニットは、2枚のガラスシートと、膨張材料の1つの層とを有する。通常、このような防火性ユニットは、6mmの好ましくは強化された第1ガラスシート+4~6mmの膨張材料+6mmの好ましくは強化された第2ガラスシートを有することになる。通常、このような防火性ユニットは、0.76mmのEVAなどの中間ポリマーを介してそれぞれ6mmの2枚のガラスペインを有するVIGなどのVIGにラミネートすることができる。
【0127】
機能ユニットが、防火性機能ユニットの第2モードである、即ち、膨張材料を有する空間を生成するために周辺スペーサによって分離された少なくとも2枚のガラスシートを有する本発明の方法においては、処理ステップ3)の加熱サブステップb)は、好ましくは120℃以下、好ましくは110℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下の温度下において実現される。
【0128】
その他の機能ユニット
高い温度及び/又は圧力における更なる処理に耐えられないかなりデリケートな技術であって、本発明の方法によって同様に製造され得るかなりデリケートな技術を含むいくつかのその他の付加的利益を機能ユニットに付与することができる。
【0129】
それらは、エレクトロクロミック、サーモクロミック、フォトクロミック、又は光起電性要素を有する機能ユニットペインであり、これらも、本発明と互換性を有する。本発明において使用されるべきその他の適切な電子機能ユニットは、極めて効率的な透明な導電性層を介してパワー供給されるLED(発光ダイオード)-モノクローム又はRGB(赤色、緑色、青色)-である。更なる電子機能ユニットは、ディスプレイ、電磁信号を送受信し得るアンテナシステム、接触機能、などを有することができる。その他のものは、通常はPVBフレーム内への紙、織物、石様のフィルムの装飾的インサートを有する装飾的機能ユニットである。
【0130】
VIG
本発明の方法によって製造されるラミネートVIG組立体(1)の真空断熱グレージング(2)は、通常、
-第1ガラスペイン(21)及び第2ガラスペイン(21)と、
-第1ガラスペインと第2ガラスペインの間の距離を維持するために第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に配置された一組の離散スペーサ(23)と、
-その境界線にわたって第1及び第2ガラスペインの間の距離を封止する密封接合封止(24)と、
-第1及び第2ガラスペイン及び離散スペーサの組によって規定され、密封接合封止によって閉鎖され、0.1ミリバール未満の圧力の絶対真空が存在している内部容積Vと、
を有する。
【0131】
一般に、高性能な断熱(U<1.2W/m2K、好ましくはU<0.8W/m2Kである熱貫流率U)を実現するために、グレージングユニットの内側の圧力は、通常、0.1ミリバール以下であり、一般に、2枚のガラスペインの少なくとも1つは、低E被覆によってカバーされている。
【0132】
ガラスペインユニットの製造の方法
VIGを組み立てるための異なる方法が存在している。オーバーラップし得る3つのメインステップを有する例示用の組立方法が欧州特許出願公開第EP2851351A1号明細書において記述されている。第1に、第1ガラスペインが水平方向において配置され、ガラスフリットが堆積され、ピラーが配置され、第2ペインが上部において配設され、第1加熱期間(最大で450℃)が、その外側エッジにおいて両方のガラスペインの密封封止を許容し、その間に空間を残している。第2ステップは、0.1ミリバール以下の残留圧力への内側ガスのポンピングである。ガラスユニットの内部空間内の真空の形成との関係において、内部空間を外側に接続する中空ガラスチューブが、一般にはガラスシートの1つのものの主面上において提供されている。従って、ガラスチューブの外側端部に接続されたポンプを利用して存在しているガスを内部空間内にポンピングすることにより、真空が内部空間内において生成される。例えば、欧州特許出願公開第EP1506945A1号明細書は、このようなガラスチューブの使用について記述しており、このガラスチューブは、ガラスシートの1つのものの主面内において提供されたスルーホール内において定位置において溶接されている。この第2ステップにおいては、温度が、ある程度減少しており、ガラスペインが、最大で、オートクレーブフリー空間を定義するピラーに到達するほどに近接している。2枚のガラスペインの間の最終的な空間は、2mm以下である。第3ステップは、最大で465℃への第2加熱期間を有しており、ピラーがガラスペインに接着することを可能にしており、また、密封封止を完了させている。この技法は、ガラスシートの1つのものの表面上において可視突出部が形成されていないことから、ガラスペインの美的外観を劣化させている。
【0133】
また、接合ステップ[0011]~[0025]、挿入ステップ[0026]~[0027]、減圧ステップ[0028]~[0043]、及び封止ステップ[0044]~[005]のみならず、後述されているこのようなステップの変更を有する国際公開第2019/230220号パンフレットにおいて記述されている製造方法も好適である。プロセスの温度は、約300℃以下であり、熱強化及び熱強靭化ガラスペインを有する真空断熱グレージングの処理を許容している。
【0134】
スペーサ
離散スペーサ(「ピラー」とも呼称される)は、第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に配置され、その間の距離を維持し、10mm~100mm(10mm≦λ≦100mm)のピッチλを有するアレイを形成している。ピッチは、離散スペーサの間のインターバルを意味している。好適な一実施形態において、ピッチは、20mm~80mm(20mm≦λ≦80mm)、更に好ましくは20mm~50mm(20mm≦λ≦50mm)である。本発明におけるアレイは、通常、正三角形、正方形、又は六角形方式に基づいた、好ましくは正方形方式に基づいた、規則的なアレイである。離散スペーサは、円筒形、球形、糸状、砂時計、C字形状、十字形、プリズム形状、などのような異なる形状を有することができる。小さなピラー、即ち、5mm2以下、好ましくは3mm2以下、更に好ましくは1mm2以下のその外周によって定義された全体としてガラスペインに対する接触表面を有するピラー、を使用することが好ましい。これらの値は、美的でありつつ、良好な機械的抵抗力を提供することができる。
【0135】
通常の離散スペーサは、VIGのプロセスを生成する圧力及び高温に耐え得る強度を有する材料であって、ガラスペインが製造された後にガスを放出しない材料から製造されている。このような材料は、好ましくは、金属材料、石英ガラス、又はセラミック材料、特に鉄、タングステン、ニッケル、クローム、チタニウム、モリブデン、炭素鋼、クローム鋼、ニッケル鋼、ステンレス鋼、ニッケル-クローム鋼、マンガン鋼、クローム-マンガン鋼、クローム-モリブデン鋼、ケイ素鋼、ニクロム、ジュラルミン、又はこれらに類似したものなどの金属材料、などの硬質材料である。別のこのような材料は、コランダム、アルミナ、ムライト、マグネシア、イットリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、又はこれらに類似したものなどのセラミック材料である。但し、このような材料が相対的に大きな機械的抵抗力を提供する場合には、これらは、熱伝導性においてかなり乏しい性能を提供している。従って、本発明のラミネートVIG組立体のVIG要素用の好ましい離散スペーサは、好ましくはポリイミド樹脂から製造された樹脂などの相対的に低い伝導性プロファイルの材料から製造されている。この場合において、スペーサの熱伝導性を抑圧することが可能であり、熱は、第1及び第2ガラスシートとの接触状態にある離散スペーサを介して伝達されることがない。
【0136】
密封接合封止
VIGの内部容積は、前記内部空間の周りのガラスペインの周囲において配置されたこのような密封接合封止によって閉鎖されている。密封接合封止は、雰囲気中に存在する空気又は任意のその他のガスに対する不透過性を有する。様々な密封接合封止技術が存在している。(最も広く使用されている)封止の第1のタイプは、融点が、グレージングユニットのガラスペインのガラスのものよりも低いはんだガラスに基づいた封止である。これは、通常は、500℃未満、好ましくは450℃未満、更に好ましくは400℃未満である。例は、ビスマスに基づいたガラスフリット、鉛に基づいたガラスフリット、及びバナジウムに基づいたガラスフリット、及びこれらの混合物などの低融点ガラスフリットである。封止の第2タイプは、例えば、ソフトなすず合金はんだなどのはんだ付け可能な材料の層によって少なくとも部分的にカバーされたタイアンダー層によってグレージングユニットの周囲にはんだ付けされた小さな厚さ(<500μm)の金属ストリップなどの金属封止を有する。
【0137】
内部容積
第1及び第2ガラスペイン及び離散スペーサの組によって定義され且つVIG内の密封接合封止によって閉鎖された内部容積V内には、0.1ミリバール未満の、好ましくは0.01ミリバール未満の絶対圧力の真空が生成されている。真空断熱グレージングユニット内において所与の真空レベルを持続時間にわたって維持するためには、ゲッタを使用することができる。一般に、このようなゲッタは、ジルコニウム、バナジウム、鉄、コバルト、アルミニウム、などの合金から構成され、(厚さが数ミクロンの)薄い層の形態において、或いは、ガラスペインの間に配置されたブロックの形態において、堆積されている。
【0138】
ペイン及びシート
VIGのペイン及び機能ユニットの1枚又は複数枚のシートは、ガラス、金属シート、又は低減された重量を目的としたポリカーボネートシートなどの構造的プラスチックシートのうちにおいて選択することが可能であり、好ましくは、フロートクリア、エクストラクリア、又は着色ガラスのうちにおいて選択されている。ガラスペインは、任意選択により、安全性を目的としてエッジを研磨することができる。好ましくは、本発明によるVIGのペイン及び機能ユニットのシートは、ガラス、通常はソーダライムシリカガラス、アルミノシリケートガラス、又はボロシリケートガラスから製造されており、望ましくは、ソーダライムシリカガラスである。テスクチャが付与された、構造化された、印刷された、ガラスが適している。音響性能を目的として、VIGのガラスペイン及び機能中間ユニットのシートは、異なる厚さを有することが好ましい。また、更には、ガラスペインが外部及び内部環境の間の温度差に晒されている使用の際にVIG内の誘発された熱応力に対する抵抗力を改善するために、Luseを低減するために、VIGのガラスペインが異なる厚さを有することも好ましい。
【0139】
通常、ガラスペイン/シートは、アニーリングされたガラスペイン/シートである。但し、相対的に高い機械的性能を有するラミネートVIG組立体を提供するために、及び/又は、VIG及び/又は機能ユニットの安全性を更に改善するために、ラミネートVIG組立体の1枚又は複数枚のガラスペイン及び/又は機能ユニットの1枚又は複数枚のガラスシート用に、プリストレスガラスを使用することが想定され得る。プリストレスガラスは、本明細書においては、熱強化ガラス、熱強靭化安全ガラス、又は化学強化ガラスを意味している。
【0140】
熱強化ガラスは、一方のガラス表面を圧縮下におき、他方のガラス表面を張力下において配置する制御された加熱及び冷却の方法を使用して熱処理されている。この熱処理方法は、アニーリングされたガラスよりも大きな、但し、熱強靭化安全ガラスよりも小さな、折り曲げ強度をガラスに供給している。
【0141】
熱強靭化安全ガラスは、1つのガラス表面を圧縮下において且つ他方のガラス表面を張力下において配置する制御された加熱及び冷却の方法を使用して熱処理されている。このような応力は、ガラスが、衝撃の際に、ギザギザの破片として散乱する代わりに、小さな粒状粒子として破壊されるようにしている。粒状粒子は、乗員を負傷させる又は物体を損傷する可能性が相対的に低い。
【0142】
ガラス物品の化学的強化は、例えば、アルカリカリウムイオンなどの相対的に大きなイオンによるガラスの表面層内の相対的に小さなアルカリナトリウムイオンの置換を伴う熱誘発型のイオン交換である。相対的に大きなイオンがナトリウムイオンによって以前に占有されていた小さなサイト内に「楔」状に差し込まれるのに伴って、増大した表面圧縮応力がガラス内において発生している。このような化学的処理は、一般に、温度及び時間の正確な制御を伴って、ガラスを相対的に大きなイオンの1つ又は複数の溶融塩を収容したイオン交換溶融槽内において浸漬することにより、実行されている。また、例えば、Asahi Glass Co.からのDragonTrail(登録商標)という製品群からのもの又はCorning Inc.からのGorilla(登録商標)という製品群からのものなどのアルミノシリケートタイプのガラス組成も、化学的強化のために非常に効率的であることが知られている。
【0143】
好ましくは、ガラスペイン/シート用の組成は、ガラスの合計重量との関係において表現された重量百分率において以下の成分を有する(比較例A)。更に好ましくは、ガラス組成(比較例B)は、ガラスの合計重量との関係において表現された重量百分率において以下の成分を有する組成のベースガラスマトリックスを有するソーダライムシリケートタイプガラスである。
【0144】
その他の好適なガラスは、ガラスの合計重量との関係において表現された重量百分率において以下の成分を有する。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態においては、低放射フィルム、太陽光制御フィルム(熱線反射フィルム)、反射防止フィルム、曇り止めフィルムなどのフィルム、好ましくは熱線反射フィルム又は低放射フィルムを機能ブロック内のガラスシート上の最終的にはVIGのガラスペインの少なくとも1つ上において提供することができる。
【0146】
図1は、本発明の方法によって中間ユニットポリマー(3)を介してラミネートされたVIG(2)及び機能ユニット(4)を有するラミネートVIG組立体(1)を示している。VIG(2)は、第1ガラスペイン(21)及び第2ガラスペイン(21)、並びに、その間の距離を維持する第1及び第2ガラスペインの間において位置決めされた個別のスペーサの組(23)を有する。これは、その境界線にわたって第1及び第2ガラスペインの間の距離を封止し、従って内部容積Vを定義する密封接合封止(24)によって閉鎖されており、その内部には、0.1ミリバール未満の圧力の絶対真空が存在している。低放射フィルム又は熱線反射フィルム(5)が、VIGの第2ガラスペインの内側面ペイン上において提供されている。機能ユニット(4)は、中間層ポリマー(43)によって第2ガラスシート(42)にラミネートされた第1ガラスシート(41)を有する。
【0147】
当業者は、本発明が決して上述の好適な実施形態に限定されるものはないことを理解している。逆に、多くの変更及び変形が添付請求項の範囲内において可能である。更には、本発明は、本明細書において記述され且つ請求項において記載されている特徴及び好適な特徴のすべての可能な組合せにも関することに留意されたい。
【0148】
以下の例は、例示を目的として提供されており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0149】
例1:音響ラミネートVIG組立体
2枚の標準的なソーダライムシリカガラスシート(それぞれ8mmの厚さ)及び1つの音響ポリビニルブチラール(0.76mmの厚さ)を有する音響機能ユニットを140℃の温度及び12バールの圧力においてニップローラー及びオートクレーブ技術を有する標準的なラミネーション法によって製造した。
【0150】
VIGは、ガラスフリットによって封止された2枚の標準的なソーダライムシリカガラスペイン(それぞれ6mmの厚さ)、20mmのピッチを有する樹脂材料のピラーを有する。このようなVIG(U)の熱性能は、0.7W/m2Kである。
【0151】
オートクレーブ内において、
1)VIGと、(機能ユニットの表面上において堆積された)0.76mmの中間ユニットポリマーEVAと、及び機能ユニットとを積層することにより、予備組立体を調製するステップと、
2)予備組立体を真空バッグ内に挿入するステップと、
3)予備組立体を処理してラミネートVIG組立体を生成させるステップ、
・30分にわたって周辺温度において-1バールの真空に排気するサブステップ、
・継続された真空下において30分にわたって85~90℃の中間温度において加熱するサブステップ、
・継続された真空下において105分にわたって130℃の温度において加熱するサブステップ、
・0.2バールの過圧(OP=0.2バール)
4)ラミネートVIG組立体が35分以内に周辺温度に到達するように、真空及び加熱を解放するステップ及び周辺温度において過圧を解放するステップと
によって音響ラミネートVIG組立体を製造した。
【0152】
本発明の方法を介して製造された音響ラミネートVIG組立体は、ISO12543-4:2011という規格の高温試験に合格しており、VIGの物理的な完全性を維持する優れた特性、特にピラーの、圧縮されたピラーの、周りの微細亀裂の兆候なし、優れた熱性能の維持、優れた音響特性、並びに、非常に限られた厚さにおけるこれらの実現を実証している。
【0153】
具体的には、以下の表Iは、本発明の方法によって得られた音響ラミネートVIG組立体が、VIGのみの音響性能よりも良好な、場合によっては音響機能ユニット及びVIGの同一の2つのユニットを有するダブルグレージングよりも良好な、優れた音響特性を提供することを示している。
【0154】
ISO 10140-2:2010:Acoustics-Laboratory measurement of sound insulation of building elements-Part 2:Measurement of airborne sound insulationによれば、Rw(C;Ctr)であり、この場合に、Rwは、重み付けされたサウンド低減インデックスを表し、C及びCtrは、補正ファクタであり、即ち、Cは、中間周波数範囲用であり、Ctrは、低周波数範囲用である。1だけRwを増大させることは、ノイズレベルにおける約1dbの低減に相当している。
【0155】
例2:セキュリティラミネートVIG組立体
それぞれが0.38mmの厚さのPVBの6つの層によってラミネートされたそれぞれ4mmの厚さを有する2枚の標準ソーダライムシリカガラスシートを有するセキュリティ機能ユニットを140℃の温度及び12バールの圧力においてニップローラー及びオートクレーブ技術を有する標準ラミネーション法によって製造した。
【0156】
VIGは、ガラスフリットによって封止された2枚の標準ソーダライムシリカガラスペイン(それぞれ4mmの厚さ)、20mmのピッチを有する樹脂材料のピラーを有する。このようなVIG(U)の熱性能は、0.7W/m2Kである。
【0157】
過圧なし下において、オーブン内において、
1)VIGと、(機能ユニットの表面上において堆積された)0.76mmの中間ユニットポリマーEVAと、機能ユニットとを積層することにより、予備組立体を調製するステップと、
2)予備組立体を真空バッグ内に挿入するステップと、
3)予備組立体を処理してラミネート真空断熱グレージング組立体を生成させるステップと、
・30分にわたって周辺温度において-1バールの真空に排気するサブステップ、
・継続された真空下において30分にわたって85~90℃の中間温度において加熱するサブステップ、
・継続された真空下において80分にわたって130度の温度において加熱するサブステップ、
・過圧なし(OP=0バール)
4)ラミネートVIG組立体が30分以内に周辺温度に到達するように、真空及び加熱を解放するステップと、
によってセキュリティラミネートVIG組立体を製造した。
【0158】
本発明の方法を介して製造されたセキュリティラミネートVIG組立体は、ISO12543-4:2011という規格の高温試験に合格しており、VIGの物理的な完全性を維持する優れた特性、特にピラーの、圧縮されたピラーの、周りの微細亀裂の兆候なし、優れた熱性能の維持、及び優れたセキュリティ特性を実証している。
【0159】
具体的には、以下の表IIは、本発明の方法によって得られたラミネートVIG組立体が優れたセキュリティ特性を提供することを示している。それぞれ4mmの2枚のガラスシートから製造されたVIGは、EN356という規格による機械的性能を示してはいない。セキュリティ機能ユニットにラミネートされた際に、本発明の方法によって製造されたラミネートVIGは、Ref.No.EN 356:1999 Eというセキュリティ規格におけるP5A分類を実証している。
【国際調査報告】