(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】廃プラスチックの再生工程
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20240408BHJP
C08J 11/08 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
C08J11/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519549
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2022008789
(87)【国際公開番号】W WO2022270871
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080482
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ギョンシク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ジェ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ギョンホ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ファン・チュ
(72)【発明者】
【氏名】ダンビ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・チェ
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA23
4F401AB04
4F401BA13
4F401BB12
4F401CA54
4F401CA56
4F401EA12
4F401EA22
4F401EA48
4F401EA55
4F401EA58
4F401EA59
4F401EA63
4F401EA66
4F401EA80
4F401EA90
(57)【要約】
本発明は、廃プラスチックの再生工程およびこれを含む再生プラスチックの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを有機溶媒に溶解させて第1溶液を製造するステップ;
前記第1溶液に吸着剤を添加するステップ;
前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を60重量部以上添加してプラスチックを再結晶するステップ;および
再結晶されたプラスチックを回収するステップ
を含む、廃プラスチックの再生工程。
【請求項2】
前記第1溶液を製造するステップ後に、溶解が完了した第1溶液を濾過するステップをさらに含む、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項3】
前記第1溶液に吸着剤を添加するステップ後に、前記吸着剤を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項4】
前記再結晶されたプラスチックは、ポリカーボネートである、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項5】
前記有機溶媒は、環状エーテル系溶媒、直鎖状もしくは環状カーボネート系溶媒、または一つ以上のハロゲンを含む炭素数1~8の炭化水素溶媒である、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項6】
前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、アルコール、ケトン、エーテル、シクロアルカン、エステル、カルボン酸、およびニトリル基からなる群より選択される一つ以上を含む炭化水素化合物である、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項7】
前記吸着剤は、活性炭;塩酸、硫酸、またはリン酸で前処理した活性炭;酸性白土;珪藻土;ゼオライト;シリカゲル;アルミナ;マグネシウムシリケート(MgO
3Si)またはイオン交換樹脂であるか、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項8】
前記吸着剤は、活性炭、酸性白土、およびマグネシウムシリケート(MgO
3Si)を含む、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項9】
前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で添加される、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項10】
前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を0.5重量部~3重量部含み、酸性白土を0.5重量部~4重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO
3Si)を0.5重量部~2重量部含む、請求項8に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項11】
前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記廃プラスチックは10重量部~20重量部で含まれ、前記有機溶媒は80重量部~90重量部で含まれる、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項12】
前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、80重量部~90重量部で含まれる、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項13】
前記吸着剤を除去するステップは、最大直径が0.45μm以上1μm以下の網目構造を含むフィルターを用いて、前記吸着剤を除去する、請求項3に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項14】
前記第1溶液の総重量に対する廃プラスチックの重量パーセントは20wt%以下であり、前記第1溶液の総重量に対する再結晶されたプラスチックの重量パーセントは20wt%以下である、請求項1に記載の廃プラスチックの再生工程。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の廃プラスチックの再生工程を含む、再生プラスチックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックの再生工程に関し、より具体的には、再結晶および吸着精製を用いた廃プラスチックの化学的再生工程に関する。
【0002】
本出願は、2021年06月22日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0080482号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、加工しやすく、物理的および化学的性質変化が容易であるため、現代社会で広く用いられている。使用後に廃棄される廃プラスチックを処理するために埋め立てまたは焼却する方法が多く用いられているが、プラスチックは、自然分解が難しいため、埋め立ての場合は、水質および土壌汚染の環境問題を引き起こし、焼却の場合は、大気汚染の環境問題を引き起こし得る。
【0004】
このような環境問題を解決するために廃プラスチックを加工および精製するか変形して再生するための多くの研究が行われており、一部の再生方法は実際に活用されている。しかし、それにより再生されたプラスチックは、単価が高く、プラスチックの純度も大幅に向上できないという短所があるため、活用度が高くならなかった。また、再生されたプラスチックの場合、多様な色を有する廃プラスチックが混合されて加工および精製されるため、目的とする物理的および化学的性質を特定し難く、色の実現が難しいという短所がある。
【0005】
したがって、再生されたプラスチックの純度を大幅に高めながらも、目的とする色を実現することができる廃プラスチックの再生工程に関する研究が持続的に必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の廃プラスチックの再生工程の問題を解決するためのものであり、化学的精製法を用いて再生されたプラスチックの純度を大幅に高めることができる廃プラスチックの再生工程を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、廃プラスチックを有機溶媒に溶解させて第1溶液を製造するステップ;
前記第1溶液に吸着剤を添加するステップ;
前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を60重量部以上添加してプラスチックを再結晶するステップ;および
再結晶されたプラスチックを回収するステップを含む、廃プラスチックの再生工程を提供する。
【0008】
本発明の他の一実施形態は、前記廃プラスチックの再生工程を含む、再生プラスチックの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の廃プラスチックの再生工程は、再結晶および吸着剤を用いた化学的精製法を用いて再生されたプラスチックの純度を大幅に高めることができる。また、無色の再生されたプラスチックを得ることができる。
【0010】
また、本発明の廃プラスチックの再生工程によれば、有機溶媒を投入する回数を1回にし、既存の2回投入することよりも工程が短縮される効果を有することができる。
【0011】
なお、本発明の廃プラスチックの再生工程によれば、投入される吸着剤の種類を多様化し含量を調節して最適な吸着条件を設定することができることで、既存のポリカーボネート固有の性質を維持しながらも、廃プラスチックが有する不純物を効果的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態についてより詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施形態は、廃プラスチックを有機溶媒に溶解させて第1溶液を製造するステップ;
前記第1溶液に吸着剤を添加するステップ;
前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を60重量部以上添加してプラスチックを再結晶するステップ;および
再結晶されたプラスチックを回収するステップを含む、廃プラスチックの再生工程を提供する。
【0014】
本発明は、機械的プラスチック再生法のように廃プラスチックの物理的変化による再活用ではなく、廃プラスチックの化学反応を用いた化学的廃プラスチック再生法である。
【0015】
具体的に、本発明は、吸着剤を用いた吸着精製方法およびプラスチックの再結晶を適用することで、従来の化学的プラスチック再生法よりもプラスチックの純度が高く、無色の再生されたプラスチックを得ることができることを利点とする。前記無色の再生されたプラスチックとは、顔料または染料を含まない再生されたプラスチックを意味する。より具体的に、「無色」の再生されたプラスチックは、後述する分光測色計の測定値により具体的に説明することにする。
【0016】
より具体的に、本発明による廃プラスチックの再生工程は、前記第1溶液に吸着剤を添加して吸着精製過程を一次的に行い、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を前記第1溶液の総重量100重量部を基準として60重量部以上添加してプラスチックを再結晶するステップを経ることで、純度が非常に向上したプラスチックを得ることができる。
【0017】
この際、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を前記第1溶液の総重量100重量部を基準として前述した範囲で含む場合、前記廃プラスチックから酸化防止剤または熱安定剤などの添加物を効果的に除去することができ、高い収率で再結晶されたプラスチックを得ることができ、60重量部未満で含む場合、再結晶が不可能であるか、または低い収率とともに、再結晶されたプラスチックに不純物が大量に含有され得る。
【0018】
さらに、本発明による廃プラスチックの再生工程は、吸着ステップにおける吸着剤の種類を多様化し各種類別の割合を調節して最適な吸着条件を設定することで、既存のポリカーボネート固有の性質を維持しながらも、廃プラスチックが有する不純物もしくはその他の安定剤および色素などを除去して純粋なポリカーボネートを再生させることができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記プラスチックとは、可塑性を有し、加熱により軟化し、任意の形状に成形可能な有機高分子物質を総称する。
【0020】
前記プラスチックは、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)であってもよいが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記廃プラスチックは、プラスチックの使用後に発生する廃棄物を意味し、前記廃棄物は、工業用、商業用、または家庭用廃棄物であってもよく、これらの例のみに限定されるものではない。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記廃プラスチックは、廃ポリカーボネートであってもよい。
【0023】
本明細書において、前記廃プラスチックの再生工程により再生されたプラスチックは、「再生プラスチック」または「再生されたプラスチック」と称する。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記廃ポリカーボネートの重量平均分子量は40,000g/mol~60,000g/molであってもよい。前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。具体的に、前記重量平均分子量は、THF-GPCの機器を用いて、PLgel Mixed B×2のカラム、テトラヒドロフラン(THF)の溶媒、1.0mL/minの流速、40℃の温度で測定することができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記廃ポリカーボネートの多分散指数(PDI)は1.7~3であってもよい。具体的に、前記廃ポリカーボネートの多分散指数は1.8~3であってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記廃ポリカーボネートのメルトフローレート(MFR、Melt Flow Rate)は6~30であってもよい。具体的に、前記廃ポリカーボネートのメルトフローレート(MFR、Melt Flow Rate)は10~28であってもよい。
【0027】
前記メルトフローレートは、ASTM D1238-94A/ISO 1133法に準じて、Toyoseki MFRの機器を用いて、300℃で1.2kgの重りを用いて測定した。
【0028】
本発明の廃ポリカーボネートが前述した重量平均分子量、多分散指数、およびメルトフローレートのうち少なくとも一つを満たす場合、本発明による廃プラスチックの再生工程に好適に採用可能な廃プラスチックである。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記再結晶されたプラスチックは、ポリカーボネートである。
【0030】
前記ポリカーボネートは、カーボネート結合、すなわち、炭酸エステル結合を主鎖に含む重合体を意味する。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、環状エーテル系溶媒、直鎖状もしくは環状カーボネート系溶媒、または一つ以上のハロゲンを含む炭素数1~8の炭化水素溶媒である。
【0032】
本明細書の一実施形態において、前記環状エーテル系溶媒は、テトラヒドロフランであってもよい。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記直鎖状カーボネート系溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、またはメチルプロピルカーボネート(MPC)であってもよいが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記環状カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート(BC)、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート、またはフルオロエチレンカーボネートであってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、前記環状カーボネート系溶媒は、プロピレンカーボネートであってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記一つ以上のハロゲンを含む炭素数1~8の炭化水素溶媒は、塩化メチレンまたは塩化エチレンであってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、メチレンカーボネート、および塩化エチレンからなる群より選択される一つ以上であることが好ましい。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、プロピレンカーボネートである。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、メチレンカーボネートである。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、塩化エチレンである。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記有機溶媒は、塩化メチレンである。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記廃プラスチックは10重量部~20重量部で含まれ、前記有機溶媒は80重量部~90重量部で含まれる。
【0043】
具体的に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記廃プラスチックは13重量部~20重量部で含まれ、前記有機溶媒は83重量部~90重量部で含まれる。
【0044】
より具体的に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記廃プラスチックは14重量部~16重量部で含まれ、前記有機溶媒は84重量部~86重量部で含まれる。
【0045】
前記廃プラスチックおよび前記有機溶媒が前述した範囲で前記第1溶液に含まれる場合、前記廃プラスチックの析出が発生せず、前記第1溶液が好適に製造されることができる。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記廃プラスチックを有機溶媒に溶解させて第1溶液を製造するステップは、前記廃プラスチックを有機溶媒に1時間~3時間溶解させる。
【0047】
具体的に、前記廃プラスチックを1時間30分~2時間30分間、好ましくは、有機溶媒に2時間溶解させる。
【0048】
このように前記廃プラスチックを有機溶媒に1時間~3時間溶解させる場合、前記廃プラスチックが前記有機溶媒の表面で膨らんで溶け出ず、有機溶媒によく溶解され、前記第1溶液が好適に製造されることができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記廃プラスチックを有機溶媒に溶解させて第1溶液を製造するステップは、常温で行われてもよい。具体的に、15℃~25℃の温度で行われてもよい。このように15℃~25℃の温度で廃プラスチックを有機溶媒に溶解させる場合、前記有機溶媒の気化程度が低いため、溶液の濃度を大幅に変化させることなく目的とする第1溶液を製造することができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液を製造するステップ後に、溶解が完了した第1溶液を濾過するステップをさらに含む。
【0051】
前記溶解が完了した第1溶液を濾過するステップは、最大直径が0.45μm以上1μm以下の網目構造を含むフィルターを用いて、第1溶液に含まれた不溶性添加剤および廃プラスチックが多様な目的に使用される際に伴うその他の不溶性不純物およびその他の高分子などを濾過する。
【0052】
前記フィルターは、前述した範囲の最大直径を満たし、前記有機溶媒に溶解されない範囲で制限なく採用されてもよい。例えば、前記フィルターは、最大直径が0.45μmのSTERLITECHのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。
【0053】
前記フィルターが前述した範囲の最大直径を満たす場合、溶解が完了した第1溶液中の不溶性添加剤および廃プラスチックが多様な目的に使用される際に伴うその他の不溶性不純物およびその他の高分子などを効果的に濾過することができる。
【0054】
本発明においては、前記溶解が完了した第1溶液を濾過するステップ後に、後述のように吸着剤を添加する。
【0055】
前述した濾過するステップを経た第1溶液には添加物が残留し得るため、吸着剤を用いて吸着精製過程を行うことで、廃プラスチックを高純度のプラスチックに再生させることができる。
【0056】
前記添加物とは、プラスチック製造時に添加される高分子化合物以外の有・無機染料または顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、帯電防止剤、衝撃補強剤、可塑剤、または滑剤などを意味し、これらに限定されず、当該技術分野で用いられるプラスチック製造のための添加剤をすべて意味し得る。
【0057】
前記酸化防止剤は、例えば、Irgafos酸化防止剤であってもよく、前記熱安定剤は、例えば、Tinuvin熱安定剤であってもよい。
【0058】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に吸着剤を添加するステップは、前記第1溶液に吸着剤を添加して1~3時間撹拌するステップであってもよい。具体的には1時間30分~2時間30分間、好ましくは2時間撹拌する。
【0059】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に吸着剤を添加して1~3時間撹拌するステップは、常温で行われてもよい。具体的に、15℃~25℃の温度で行われてもよい。このように15℃~25℃の温度で前記溶液を撹拌する場合、前記有機溶媒の気化程度が低いため、溶液の濃度を大幅に変化させない。
【0060】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に吸着剤を添加するステップ後に、吸着剤を除去するステップをさらに含む。
【0061】
前記吸着剤を除去するステップは、最大直径が0.45μm以上1μm以下の網目構造を含むフィルターを用いて、吸着剤を除去する。
【0062】
前記フィルターは、前述した範囲の最大直径を満たし、前記有機溶媒に溶解されない範囲で制限なく採用されてもよい。例えば、前記フィルターは、最大直径が0.45μmのSTERLITECHのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。
【0063】
前記フィルターが前述した範囲の最大直径を満たす場合、効果的に前記吸着剤を除去することができる。
【0064】
前記網目構造とは、フィルターを形成する骨格構造を意味する。
【0065】
前記網目構造の形状は、特に制限されず、前記最大直径を満たすのであれば制限なく採用されてもよい。
【0066】
前記最大直径とは、前記網目構造それぞれをなす図形の中心を通過する直線で図形の周縁上の2点を繋ぐ線分のうち最も長い線分を意味する。前記図形の中心は、重心を意味し得る。
【0067】
前記吸着剤を除去するステップを行うことで、前記第1溶液に含まれた廃プラスチックに残留する添加物を一次的に除去することができ、これにより、再生されるプラスチックの純度をさらに高めることができる。
【0068】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;塩酸、硫酸、またはリン酸を前処理した活性炭;酸性白土;珪藻土;ゼオライト;シリカゲル;アルミナ;マグネシウムシリケート(MgO3Si)またはイオン交換樹脂であるか、またはこれらの組み合わせである。
【0069】
前記吸着剤が酸溶液で前処理された吸着剤である場合、極性に改質されて添加物を吸着させることができ、前記吸着剤がヒドロキシ基(-OH)、カルボキシ基(-COOH)などの置換基を含む場合にも添加物の極性を帯びる置換基を吸着させることができる。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭であってもよい。前記活性炭は、DUKSAN Science社製のActivated charcoal powder(Cas no.7440-44-0)であってもよいが、これに限定されない。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記活性炭は、塩酸、硫酸、またはリン酸で前処理した活性炭であってもよい。
【0072】
前記前処理とは、前記塩酸、硫酸、またはリン酸が含まれた酸溶液に活性炭を接触させた後、蒸留水で洗浄して活性炭の表面を改質することを意味する。前記酸溶液に活性炭を接触させる方法は、酸溶液に活性炭を浸漬するか、または酸溶液を活性炭に流すことができる。具体的に、塩酸、硫酸、またはリン酸で前処理した活性炭は、シグマアルドリッチ(Sigma-aldrich)社から入手した塩酸を前処理したC4386、または硫酸およびリン酸で前処理したC5510であってもよい。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記活性炭は、粒度の大きさが100mesh以下である。具体的に、前記活性炭は、粒度の大きさが4mesh以上100mesh以下であってもよい。より具体的に、前記活性炭は、粒度の大きさが4mesh以上12mesh以下、12mesh以上20mesh以下、または20mesh以上40mesh以下であってもよい。前記活性炭が前述した粒度の大きさを満たす場合、添加物を効果的に吸着させることができる。前記粒度の大きさが100mesh以下の活性炭は、シグマアルドリッチ(Sigma-aldrich)社または大井化金(株)から入手したものであってもよい。
【0074】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であってもよい。前記酸性白土は、DUKSAN社製のCas no.68333-91-5であってもよいが、これに限定されない。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、珪藻土であってもよい。前記珪藻土は、シグマアルドリッチ(Sigma-aldrich)社製のCelite(登録商標)545 Cas no.68855-54-9であってもよいが、これに限定されない。
【0076】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、ゼオライトであってもよい。前記ゼオライトは、Zeolyst社製のCBV 5524G Cas no.1318-02-1であってもよいが、これに限定されない。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、シリカゲルであってもよい。前記シリカゲルは、Merck社製のsilica gel 60 Cas no.7631-86-9であってもよいが、これに限定されない。
【0078】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであってもよい。前記アルミナは、Baker社製のAluminium oxide、basic powder Cas no.1344-28-1であってもよいが、これに限定されない。
【0079】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si、Florisil)であってもよい。前記マグネシウムシリケートは、シグマアルドリッチ(Sigma-aldrich)社製のFlorisil(登録商標) Cas no.1343-88-0であってもよいが、これに限定されない。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、イオン交換樹脂であってもよい。前記イオン交換樹脂は、シグマアルドリッチ社製のAmberlite IRC120H、Cas no.39389-20-3であってもよいが、これに限定されない。
【0081】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;塩酸、硫酸、またはリン酸を前処理した活性炭;酸性白土;珪藻土;ゼオライト;シリカゲル;アルミナ;マグネシウムシリケート(MgO3Si)、およびイオン交換樹脂からなる群より選択される2以上の組み合わせであってもよい。
【0082】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;酸性白土;シリカゲル;アルミナ、およびマグネシウムシリケート(MgO3Si)からなる群より選択される2以上の組み合わせであってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;酸性白土;シリカゲル;アルミナ、およびマグネシウムシリケート(MgO3Si)からなる群より選択される3以上の組み合わせであってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;酸性白土、およびマグネシウムシリケート(MgO3Si)を含んでもよい。
【0085】
前記吸着剤に2種以上の材料が含まれる場合、各材料を物理的に混合して用いてもよい。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭;酸性白土、およびマグネシウムシリケート(MgO3Si)からなってもよい。
【0087】
前記吸着剤が活性炭、酸性白土、およびマグネシウムシリケート(MgO3Si)を含む場合、活性炭および酸性白土により、フィルタリングを終えた第1溶液に溶解されたプラスチックを除いた不純物を吸着により除去することができ、マグネシウムシリケート(MgO3Si)により、プラスチックの酸化された部分に対して選択的に除去することができる。
【0088】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0089】
具体的に、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上7重量部で含まれてもよい。
【0090】
より具体的に、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0091】
前記吸着剤が前述した範囲で前記第1溶液に含まれる場合、前記第1溶液に残留する添加物を効果的に除去することができるとともに、工程性も維持することができる。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0093】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0094】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、活性炭であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0097】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0099】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、酸性白土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上3重量部以下で含まれてもよい。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、珪藻土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、珪藻土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0103】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、珪藻土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、珪藻土であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、ゼオライトであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、ゼオライトであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、ゼオライトであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0108】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、ゼオライトであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、シリカゲルであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0110】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、シリカゲルであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0111】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、シリカゲルであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0112】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、シリカゲルであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0113】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0115】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0116】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0117】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、アルミナであり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、2重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si)であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0119】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si)であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0120】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si)であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si)であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0122】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、マグネシウムシリケート(MgO3Si)であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上2重量部以下で含まれてもよい。
【0123】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、イオン交換樹脂であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上8重量部以下で含まれてもよい。
【0124】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、イオン交換樹脂であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、0.5重量部以上6重量部以下で含まれてもよい。
【0125】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、イオン交換樹脂であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上5重量部以下で含まれてもよい。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、イオン交換樹脂であり、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、1重量部以上4重量部以下で含まれてもよい。
【0127】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を0.5重量部~3重量部含み、酸性白土を0.5重量部~4重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を0.5重量部~2重量部含んでもよい。
【0128】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を1重量部~3重量部含み、酸性白土を1重量部~4重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を0.5重量部~1重量部含んでもよい。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を1重量部~2重量部含み、酸性白土を1重量部~3重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を0.5重量部~1重量部含んでもよい。
【0130】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を2重量部含み、酸性白土を3重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を1重量部含んでもよい。
【0131】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を1.5重量部含み、酸性白土を2重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を0.5重量部含んでもよい。
【0132】
本発明の一実施形態において、前記吸着剤は、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、前記活性炭を1重量部含み、酸性白土を1重量部含み、マグネシウムシリケート(MgO3Si)を0.5重量部含んでもよい。
【0133】
前記吸着剤を除去するステップ後、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物が添加されることで、第1溶液に含まれた添加物を二次的に除去し、ポリカーボネートが固体化する。
【0134】
すなわち、前述した吸着剤により添加物が一次的に除去され、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を添加して添加物を二次的に除去することで、廃プラスチックを高純度のプラスチックに再生させることができる。
【0135】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を60重量部~100重量部添加してもよい。
【0136】
前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を100重量部超過で含む場合、60重量部~100重量部含むものと類似した収率を期待することができるが、その効果が微々たるものであり、多量の溶媒使用による経済性および工程性に不利に作用し得る。
【0137】
すなわち、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14である化合物の添加量の範囲を60重量部~100重量部で添加することは、経済性を考慮した際に優れた効果を示す最適な添加条件で行われることである。
【0138】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を70重量部~90重量部添加してもよい。
【0139】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を80重量部~90重量部添加してもよい。
【0140】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を83重量部~87重量部添加してもよい。
【0141】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液に、前記第1溶液の総重量100重量部を基準として、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を85重量部添加してもよい。
【0142】
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、アルコール、ケトン、エーテル、シクロアルカン、エステル、カルボン酸、およびニトリル基からなる群より選択される一つ以上を含む炭化水素化合物である。
【0143】
前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータは、前記ポリカーボネートの物質中の結合程度を考慮し、具体的には、無極性分散結合(Dispersion force)、永久双極子による極性結合(Dipole-dipole force)、水素結合(Hydrogen bonding force)から計算することができる。
【0144】
具体的に、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、アルコール、ケトン、エーテル、シクロアルカン、エステル、カルボン酸、およびニトリル基からなる群より選択される一つ以上を含む炭素数1~10の炭化水素化合物である。
【0145】
より具体的に、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、アルコール、ケトン、エステル、およびニトリル基からなる群より選択される一つ以上を含む炭素数1~5の炭化水素化合物である。
【0146】
好ましくは、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物は、エタノール、アセトン、エチルアセテート、またはアセトニトリルである。
【0147】
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物はエタノールである。
【0148】
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物はアセトンである。
【0149】
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物はエチルアセテートである。
【0150】
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物はアセトニトリルである。
【0151】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液の総重量に対する廃プラスチックの重量パーセントは20wt%以下であり、前記第1溶液の総重量に対する再結晶されたプラスチックの重量パーセントは20wt%以下である。
【0152】
本発明の一実施形態において、前記第1溶液の総重量に対する廃プラスチックの重量パーセントは15wt%以下であり、前記第1溶液の総重量に対する再結晶されたプラスチックの重量パーセントは15wt%以下である。
【0153】
前記第1溶液の総重量に対する廃プラスチックの重量パーセントは1wt%以上であってもよい。
【0154】
前記第1溶液のパーセント濃度が前述した範囲を満たす場合、前記廃プラスチックまたは再結晶されたプラスチックが溶媒に十分に溶解されて飽和状態を好適に維持することができる。
【0155】
前述した第1溶液に前記ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を添加するステップ後、再結晶されたポリカーボネートを回収するステップが行われる。
【0156】
本発明の一実施形態において、再結晶されたポリカーボネートを回収するステップは、前記再結晶されたポリカーボネートからパウダー(powder)または顆粒(granule)タイプにプラスチックを析出させるステップ;および析出されたものを加工して再生されたプラスチックを得るステップをさらに含んでもよい。前記析出および加工の方法は、特に制限されず、当該技術分野で適用される方法が適宜採用されてもよい。
【0157】
本発明の廃プラスチックの再生工程を用いて再生されたプラスチックは、有・無機染料または顔料の添加物を含んでおらず、無色である。
【0158】
本明細書の一実施形態において、純粋溶媒状態のジクロロメタンを分光測色計で測定されたdL、da、db、y値を基準とし、前記廃プラスチックの再生工程により再生されたプラスチックを溶媒ジクロロメタンに5wt%で溶かした溶液の分光測色計で測定されたdL、da、db、y値は、下記関係式を満たす。
【0159】
【0160】
前記分光測色計は、X-rite Ci7600 Color Spectrophotometerであってもよい。
【0161】
具体的に、前記関係式は、純粋溶媒状態のジクロロメタンを分光測色計で測定されたdL、da、db値を基準値(0)に設定した後、前記再生されたプラスチックの分光測色計で測定されたdL、da、db値との差を意味する。前記関係式中、yは、黄色度指数(yellow index)を意味する。
【0162】
前記純粋溶媒状態のジクロロメタンとは、溶質を全く含まないジクロロメタンを意味する。
【0163】
本明細書において、前記分光測色計で測定されたdL、da、db、y値が前記関係式を満たす場合、特定の色を示さない無色を意味し得る。
【0164】
本明細書の他の一実施形態は、前記廃プラスチックの再生工程を含む、再生プラスチックの製造方法を提供する。
【0165】
前記再生プラスチックの製造方法は、前記廃プラスチックの再生工程の他に、再生プラスチックを製造するために必要な他の工程がさらに採用されてもよく、これは、当該技術分野で周知の工程が採用されてもよい。
【実施例】
【0166】
以下、実施例により本発明をより詳細に例示する。本発明がこれらの実施例により制限されるものではなく、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形されてもよく、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0167】
実施例1~30
常温で、廃ポリカーボネート15重量部を下記表1の有機溶媒85重量部に入れて2時間溶解させ、第1溶液100重量部を製造した。前記廃ポリカーボネートとしては、重量平均分子量が40,000g/mol~60,000g/mol、多分散指数(PDI)が1.8~3、メルトフローレート(MFR)が10~28であるものを用いた。
【0168】
溶解が完了した第1溶液を、最大直径が0.45μmの網目構造を含むSTERLITECHのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを用いて濾過した後、吸着剤として下記表1の活性炭を添加し、2時間撹拌した。
【0169】
撹拌を完了し、最大直径が0.45μmの網目構造を含むSTERLITECHのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを用いて吸着剤を除去した後、下記表1のポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を添加し、その後、再結晶されたポリカーボネートを回収した。
【0170】
比較例1~6
ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物および吸着剤を下記表1による重量部で添加したことを除いては、前述した実施例と同様に行った。
【0171】
【0172】
前記表1において、適用された吸着剤は、具体的には次のとおりである。
【0173】
-活性炭:DUKSAN Science社製のActivated charcoal powder(Cas no.7440-44-0)
-酸性白土:DUKSAN社製のCas no.68333-91-5
-マグネシウムシリケート:シグマアルドリッチ(Sigma-aldrich)社製のFlorisil(登録商標) Cas no.1343-88-0
-シリカゲル:Merck社製のsilica gel 60 Cas no.7631-86-9
-アルミナ:Baker社製のAluminium oxide、basic powder Cas no.1344-28-1
【0174】
実験例
再結晶されたプラスチックをパウダー(powder)タイプにプラスチックを析出させた後、それを押出機を用いてペレットに加工し、再生されたプラスチックを得た。
【0175】
再生されたプラスチックの色を下記のような条件で測定し、下記表2に記載した。
【0176】
-再生されたプラスチックの分光測色計による測定:X-rite Ci7600 Color Spectrophotometerを用いて、先ず、純粋溶媒状態のジクロロメタンを測定用キュベットに入れて測定されたdL、da、db、y値を基準値(0)に設定した後、再生されたプラスチックを溶媒ジクロロメタンに5wt%で溶かした溶液を測定用キュベットに入れて測定されたdL、da、db値との差を表記する。
【0177】
【0178】
前記表2によれば、本発明の実施形態による実施例1~30の場合、再生されたプラスチックが、前記表2の分光測色計による測定結果値が関係式を満たすことで、無色であることを確認し、有・無機染料または顔料などの添加物が含まれることなく除去されることを確認することができた。
【0179】
また、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を、110重量部、120重量部を用いた実施例27~28の場合、分光測色計による測定結果が前記関係式を満たすが、60重量部~100重量部を用いた場合に比べて効果の差が微々たるものであることを確認することができた。
【0180】
なお、吸着剤を添加しない比較例1の場合、dL、db値が関係式を満たさず、無色ではないため、再生されたプラスチックに添加物または不純物が含まれていることを確認した。
【0181】
また、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を、10重量部、20重量部、30重量部を用いた比較例2~4の場合、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物の添加される量が少な過ぎるため、ポリカーボネートの再結晶が円滑でなく、固体を得ることができなかった。
【0182】
なお、ポリカーボネートに対するハンセン溶解度パラメータ(HSP:Hansen Solubility Parameter)が5~14の化合物を、40重量部、50重量部を用いた比較例5~6の場合、dL値が関係式を満たさず、無色ではなく、固体の収率が比較例1と比べて半分程度であるため、工程に適しておらず、再生されたプラスチックに添加物または不純物が含まれていることを確認した。
【0183】
これにより、本発明による廃プラスチックの再生工程を適用する場合、純度に優れた、再生されたプラスチックを得ることができることを確認した。
【国際調査報告】