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特表2024-516576誘電材料を研磨するためのCMP組成物
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  • 特表-誘電材料を研磨するためのCMP組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】誘電材料を研磨するためのCMP組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240409BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562852
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022024372
(87)【国際公開番号】W WO2022221248
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/232,947
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラジョパディ, アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】シン, ラジブ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】デー, サニー
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA28
5F057BB16
5F057DA03
5F057EA07
5F057EA09
5F057EA11
5F057EA22
5F057EA23
5F057EA27
5F057EA29
5F057EA33
(57)【要約】
ガラスおよび他の誘電材料に対するCMP研磨に有用な、改良されたスラリー組成物が提供される。一態様では、本発明の組成物は、水と、シリカ研削材と、カチオン性界面活性剤と、セリア研削材とで構成される。本組成物は、セリア単独を利用した場合に典型的に観察されるスクラッチ傷の数を制限しながら、高い除去速度を達成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.水と、
b.シリカ研削材と、
c.カチオン性界面活性剤と、
d.セリア研削材と
を含む組成物。
【請求項2】
シリカ研削材が、コロイド状金属酸化物で少なくとも部分的にコーティングされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コロイド状金属酸化物のコーティングが、シリカを造核剤および過化合物で処理することによって得られるコーティングである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
金属酸化物が酸化マンガンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
造核剤が、式
(式中、Rは、水素、または1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択され、Rは、1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択される)を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
造核剤が、2-(ビス-2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸およびN-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシンから選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
過化合物が、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム、ペルオキソクロム酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、および過レニウム酸カリウム、またはそれらの混合物から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
カチオン性界面活性剤がC~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
カチオン性界面活性剤がC12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択される1つまたは複数の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
誘電材料を含む表面を備えた基板を化学機械研磨するための方法であって、
A.基板を、
a.水、
b.シリカ研削材、
c.カチオン性界面活性剤、および
d.セリア研削材
を含む組成物と接触させること、
B.組成物を基板に対して移動させること、ならびに
C.基板を研削して誘電体表面の一部を除去することにより、研磨された誘電体表面を得ること
を含む方法。
【請求項13】
シリカ研削材が、コロイド状金属酸化物で少なくとも部分的にコーティングされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
金属酸化物が酸化マンガンである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
カチオン性界面活性剤がC12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
誘電体表面が、ガラス、オルトケイ酸テトラエチル、フッ素化シリカガラス、炭素ドープシリコンガラス、ガラスセラミックス、ケイ酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭素ドープ酸化ケイ素から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
誘電体表面がガラスである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の成分a.、b.、c.、およびd.から選択される成分を1つまたは複数の容器に含む、キット。
【請求項20】
b.がシリカであり、c.が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択されるカチオン性界面活性剤である、請求項19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガラスおよび他の誘電体表面を研磨するための、改良された組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子デバイスのウエハは、集積回路を形成するのに使用される。マイクロ電子デバイスのウエハはシリコンなどの基板を備え、この基板に、絶縁性、導電性、または半導電性を有する様々な材料を堆積させるための領域がパターニングされる。
【0003】
ガラスや他の誘電材料などの材料は、マイクロ電子デバイスの他に、コンピュータ、スマートフォン、および他の電子デバイス用の光透過スクリーンとして使用されている。
【0004】
正確なパターニングを達成するには、基板に層を形成する際に使用される余分な材料を除去しなければならない。さらに、機能的で信頼性の高い回路を製造するには、多くの場合、平坦または平面状のマイクロ電子ウエハ表面を調製してから後続の処理を行うことが重要である。ゆえに、マイクロ電子デバイスのウエハの特定表面を平坦化かつ/または研磨する必要がある。加えて、光学デバイスの場合、光伝送のために表面を平滑化するか、または表面下の損傷を取り除くことが必要な場合もある。
【0005】
化学機械研磨または平坦化(「CMP」)は、マイクロ電子デバイスのウエハの表面から材料が除去され、研削などの物理的プロセスを酸化やキレート化などの化学的プロセスと組み合わせることによって表面が平坦化かつ研磨される、プロセスである。CMPは、その最も基本的な形態において、マイクロ電子デバイスのウエハの表面をバフ研磨することで除去、平坦化、および研磨のプロセスを達成する研磨パッドに、スラリー、例えば研削材と活性化学物質(active chemistry)の溶液を塗布することを含む。典型的には、迅速で均一な除去を達成するために、除去または研磨のプロセスを、純粋に物理的または純粋に化学的な作用で構成するのは望ましくなく、むしろこの両作用の相乗的な組合せで構成するのが望ましい。集積回路の製造では、CMPスラリーはまた、後のフォトリソグラフィー、パターニング、エッチング、および薄膜処理のために非常に平坦な表面を生成できるように、金属と他の材料の複合層を含む膜を優先的に除去することが可能でなければならない。従来のCMP操作では、基板キャリアまたは研磨ヘッドがキャリアアセンブリに取り付けられて、CMP装置内で研磨パッドと接触して配置される。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力を基板に与えて、基板を研磨パッドに押し付ける。パッドは基板に対して移動される。
【0006】
ガラス、シリカ、およびシリカと窒化ケイ素との構造体などの誘電材料を研磨する際に使用される、業界標準の研削材は、セリア(CeO)である。セリアは、概して、被研磨対象である表面に対して高い反応性を呈するので、比較的高い除去速度をもたらす。しかしセリアは、許容できない深いスクラッチ傷が全体的に生じると、最終的な表面領域の欠陥性が高くなることから、これらの基板に対する表面仕上げが不十分となる傾向がある。したがって、ガラスなどの誘電材料の研磨に使用するための、改良された研削材およびこのような研削材を含有するスラリーが必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
要約すると、本発明は、誘電材料に対するCMP研磨に有用な、改良されたスラリー組成物を提供する。一実施形態では、誘電材料はガラスである。一態様では、本発明の組成物は、水と、造核剤、続いて過化合物での処理によって得られるコーティングにより任意選択で修飾されるシリカ研削材と、カチオン性界面活性剤とで構成される。かかる組成物は、従来のセリアスラリー組成物に添加されることで本発明の組成物を形成する、性能向上添加剤として有用である。このため、本発明は、セリアスラリー単独を利用した場合に典型的に観察される欠陥性の水準を制限しながら高い除去速度を達成する、スラリー組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】セリア単独、シリカ単独、および本発明の組成物を比較した、ガラス表面のミクロン毎分単位での除去速度を示す図である
図2】実施例に明記される、セリア単独、シリカ単独(すなわち、非修飾コロイダルシリカ)、およびセリア+添加剤2を比較した、TEOS表面のミクロン毎分単位での除去速度を示す図である。
図3】標準のセリアスラリーで研磨されたガラス表面を示す、表面仕上げの比較の図である(Ra(平均粗さ):0.81nm)。
図4】本発明の組成物で研磨されたガラス表面を示す、表面仕上げの比較の図である(Ra:0.54nm)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上で別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または(or)」という用語は、概して、文脈上で別段の明確な指示がない限り、「および/または(and/or)」を含めた意味で利用される。
【0010】
「約(about)」という用語は、概して、列挙された値と等価である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考慮される数の範囲を指す。多くの例で、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含む場合もある。
【0011】
端点を用いて表現される数値範囲は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0012】
本発明の組成物は、ガラスなどの誘電材料用のCMP研磨組成物(すなわち、スラリー)として有用である。かかる材料のさらなる例として、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、フッ化シリカガラス、炭素ドープシリコンガラス、ガラスセラミックス、ケイ酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸化ケイ素(SiOC)が挙げられる。これらの基板材料は、多結晶または非晶質であってもよく、1つより多くの相を有することができる。基板材料は、エピタキシャル層の形態とするか、またはバルク基板単結晶(bulk substrate single crystal)を含むことができる。
【0013】
したがって、本発明は第1の態様では、
a.水と、
b.シリカ研削材と、
c.カチオン性界面活性剤と、
d.セリア研削材と
を含む組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物では、「シリカ」という用語は、数例を挙げると、扶桑化学工業株式会社、Ecolab、およびNouryonから入手可能な、平均粒径が約20nm~約150nmである市販のコロイダルシリカから選択される非修飾シリカを指す。本開示では、「平均径」は、粒径分布の、体積または重量分布に基づく平均値を指す。コロイダルシリカ粒子は、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムなどのケイ酸系前駆体から作製された粒子として定義される。コロイダルシリカは、中性pH条件下で負電荷を付与する結合ヒドロキシルイオンを有すると知られている。シリカ粒子の濃度は、組成物(すなわち、スラリー)の総重量に基づき、0.000001重量パーセントから50重量パーセントまで、または約0.05重量パーセントから約20重量パーセントまで変動し得る。
【0015】
第2の態様の組成物に使用されるセリア粒子、すなわちCeOは、典型的にCMP操作で使用されるサイズおよびサイズ分布であり、概して約1nm~約100ミクロンのサイズ(すなわち、直径)を有する。セリア粒子の濃度は、組成物の総重量に基づき0.000001重量パーセントから50重量パーセントまで、または組成物(すなわち、スラリー)の総重量に基づき約0.05重量パーセントから約10重量パーセントまで変動し得る。一実施形態では、マイクロエレクトロニクスの用途に使用されるセリアの平均粒径は、約10nm~約250nmである。別の実施形態では、光学デバイスの研磨を必要とする用途では、平均粒径は約250nm~約10μmである。セリア研削材はCMPの分野で周知であり、数例を挙げると、Nyacol Nano Technologies,Inc.、Cabot、およびFerroから市販されている。好適なセリア研削材の例として、とりわけ、湿式セリア、焼成セリア、および金属ドープセリアが挙げられる。本組成物は、サイズ、組成、調製方法、粒径分布、または他の機械的もしくは物理的特性に基づき、一種類のセリア研削材粒子または複数の異なる種類の研削材粒子を含むことができる。セリア研削材粒子は、種々の異なるプロセスによって作製することができる。例えば、セリア研削材粒子は、コロイド状セリア粒子を含む、沈降セリア粒子または縮重合セリア粒子とすることができる。
【0016】
特定の実施形態では、本発明の組成物の成分b.は、修飾シリカ研削材で構成される。さらなる実施形態では、成分b.は、シリカ研削材と修飾シリカ研削材との混合物を含む。
【0017】
修飾シリカ研削材の材料は、1つまたは複数のコロイド状金属酸化物の膜またはコーティングを有する。かかるコーティングは、シリカ粒子の表面領域の少なくとも一部を覆う。一実施形態では、修飾シリカ研削材の材料は、先ずシリカ粒子を造核剤で処理することによって調製することができる。一実施形態では、造核剤は、シリカの表面において造核剤として機能すると考えられる置換グリシン化合物から選択される。特定の実施形態では、置換グリシン化合物は、式
(式中、Rは、水素、または1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択され、Rは、1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択される)を有する。
【0018】
他の実施形態では、置換グリシン化合物は、一般にはビシンとして知られる2-(ビス-2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸、および一般にはトリシンとして知られるN-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシンから選択される。
【0019】
次に、シリカ生成物は過化合物で処理される。過化合物の種類の典型例には、ペルマンガネート、ペルオキシド、ペルクロレート、およびペルスルフェートの化合物が挙げられる。過化合物の1つの特定の種類は、ペルマンガネートのアルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、もしくはバリウム)、または過化合物とペルマンガネートである一成分との混合物である。このような場合、コロイド状金属酸化物のコーティングまたは膜は、酸化マンガンを含むことになる。任意選択で、過マンガン酸水素(hydrogen permanganate)も使用できる。ペルマンガネートは、ペルマンガネート(VII)イオンであるMnO-4を含有する化学化合物の総称である。ペルマンガネートのマンガンは+7の酸化状態にあるため、ペルマンガネートイオンは強力な酸化剤である。ペルスルフェート(時に、ペルオキシスルフェートまたはペルオキソジスルフェートとしても知られる)という用語は、アニオンSO 2-またはS 2-を含有する、イオンまたは化合物を指す。
【0020】
特定の過塩基化合物(per-based compound)(酸化剤)の例として、過マンガン酸カリウム(KMnO)、過マンガン酸ナトリウム(NaMnO)、ペルオキソホウ酸カリウム(KBO)、ペルオキソクロム酸カリウム(KCrO)、ペルオキソ二硫酸カリウム(K)、過レニウム酸カリウム(KReO)が挙げられる。これらのペルマンガネート中のマンガンの酸化状態は+7であり、これはマンガンの最高の酸化状態である。過化合物の混合物も使用できる。一実施形態では、過化合物は過マンガン酸カリウムである。過化合物の濃度は、特定の実施形態では約0.1mMから約5mMまで変動し得る。
【0021】
したがって、別の実施形態では、コロイド状金属酸化物のコーティングは、シリカを造核剤および過化合物で処理することによって得られるコーティングである。
【0022】
次いで、得られた修飾シリカ材料を他の所望の成分と組み合わせて、カチオン性界面活性剤と混合する。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、2つの液体間の、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる有機化合物、典型的には、疎水性基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)の「尾部」)と親水性基とを含有する有機両親媒性化合物を指す。本明細書に記載の界面活性剤は、個別に、または混合状態で使用することができる。概して、本発明の組成物に使用される界面活性剤の濃度は、利用される界面活性剤の種類、特定の研削材粒子の表面、および研磨される基板材料に左右される。
【0023】
カチオン性界面活性剤は、少なくとも1つの正に帯電された部分を有する、本質的に表面活性の分子である。一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、C~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される。「C~C18」という修飾語は、界面活性剤中の炭素原子の数を指し、脂肪族部分および芳香族部分を含み得る。別の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、C12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される。
【0024】
例示的なカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドとしても知られる)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウムハライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウムブロミド、セチルピリジニウムクロライドモノハイドレート、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライドベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロライド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、およびオキシフェノニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド、ならびにジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロライドが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される。
【0025】
本発明の特定の実施形態では、組成物は、カチオン性界面活性剤に加えて、アニオン性および非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの追加の界面活性剤をさらに含む。
【0026】
アニオン性または非イオン性界面活性剤は、存在する場合、特定の実施形態では、組成物の総重量と比較して、重量(wt)で約0.0001%~約5%、またはwtで約0.001%~約2%である。
【0027】
アニオン性界面活性剤は、概して、負に帯電された親水性極性基を特徴とする界面活性剤である。例示的なアニオン系界面活性剤として、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン-アクリル酸共重合体、アクリル酸-マレイン酸共重合体、アクリル酸-エチレン共重合体、アクリル酸-アクリルアミド共重合体、およびアクリル酸-ポリアクリルアミド共重合体が挙げられる。かかるアニオン性界面活性剤の重量平均分子量は、1,000~30,000であり得る。他の実施形態では、アニオン性界面活性剤の重量平均分子量は、約1,000~約25,000、または約1,500~約25,000、または約1,500~約20,000である。
【0028】
アニオン性界面活性剤の他の例としては、カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などが挙げられる。さらなる例として、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート(DOSS)、ペルフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、リグノスルホネート、およびステアリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0029】
例示的な非イオン性界面活性剤として、PolyFox PF-159(OMNOVA Solutions)、ポリエチレングリコール)(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、Pluronic F-127(BASF)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリソルベートポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(商標)80)(Croda Americas)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(商標)20))、ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロック共重合体(例えば、Pluronic L31、Plutonic 31R1、Pluronic 25R2、およびPluronic 25R4)、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、任意選択で、調整剤、分散剤、および酸や塩基などのpH修飾剤といった、1つまたは複数の追加の成分を含有してもよい。
【0031】
スラリーは、pH安定剤をさらに含むことができる。有機および無機両方のpH安定剤を使用することができる。無機pH安定剤の例として、ホスフェート、フタレート、ビカーボネート、シリケートが挙げられる。有機pH安定剤の例として、アミン、グリシン、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の組成物のpHは、約3~約13となる。別の実施形態では、組成物のpHは、約9~約11となる。
【0032】
スラリー組成物は、殺真菌剤をさらに含むことができる。殺真菌剤の例として、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、およびアルキルベンジルジメチルアンモニウムヒ-ドロキシド、3,5-ジ-メチルテトラヒドロ1,3,5,2H-チアジアジン-2チオン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、亜塩素酸ナトリウム、および次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。
【0033】
研磨プロセスは、約15℃~約100℃の温度で行うことができる。より高い温度では、ガラスおよび他の誘電材料の研磨速度が上昇すると予想される。一実施形態では、温度範囲は約25℃~約65℃である。より高い温度に達する方法の1つは、スラリーを予熱してからCMP装置に供給することである。
【0034】
研磨パッドとしては、概して、あらゆる種類のポリマー系研磨パッドを使用することができる。研磨パッドの例は、ポリウレタンパッドおよびスエードパッドに基づく。パッドの厚さは、0.1mmから25mmまで変動し得る。スエードパッドの硬度は、アスカーC硬度5からアスカー硬度95まで変動し得る。スエードパッドの圧縮率は、0.1%~40%とすることができる。微孔質スエードパッドの孔径は2ミクロンから100ミクロンまで変動し得、一実施形態で孔径は20~60ミクロンの範囲にある。微孔質パッド層は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)または厚さ30ミクロン~25mmsの発泡体もしくは不織布材料の、バッキングパッド層を有することができる。
【0035】
微孔質パッドの他、ポリウレタンパッドも使用することができる。ポリウレタン系パッドの例として、Cabot MicroelectronicsのD-100パッド、Dow Electronics MaterialsのICおよびSubaシリーズが挙げられる。かかるパッドの硬度は、ショアD値5~99の範囲である。かかるパッドの多孔度は、0.1%から40%まで変動し得る。全体として、他のあらゆる種類のポリマー材料をスラリーとともに使用できることに留意されたい。多孔質パッドの使用の他、金属パッド(鋳鉄、銅、スズなど)、花崗岩、または樹脂表面もパッドとして使用することができる。
【0036】
化学機械研磨に好適な装置が市販されている。本発明の方法は、概して、スラリー組成物を混合すること、上述の成分を含めること、被研磨対象である誘電体基板を、回転パッドを有するCMP装置に配置すること、およびその後に本発明のスラリー組成物を用いて化学機械研磨を行うことを含む。この研磨方法では、誘電体基板表面の少なくとも一部が除去または研削され、それによって好適に研磨された誘電体基板が得られる。
【0037】
したがって、別の態様では、本発明は、誘電材料を含む表面を備えた基板を化学機械研磨するための方法であって、
a.基板を本発明の組成物と接触させること、
b.組成物を基板に対して移動させること、および
c.基板を研削して誘電体表面の一部を除去することにより、研磨された誘電体表面を得ること
を含む方法を提供する。
【0038】
本発明の組成物は、それぞれの成分を単純に添加して、均一な状態になるまで混合することによって容易に製剤化される。本組成物は、使用時点または使用前に混合される、単一パッケージ製剤またはマルチパート製剤(multi-part formulations)として容易に配合されてもよい。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数比で、すなわち、より希釈されているか、またはより濃縮されているかで広く変動する場合があり、本明細書に記載される組成物は、本開示と一致する成分のあらゆる組合せを様々にかつ代替的に含むか、その組合せからなるか、またはその組合せから本質的になる可能性があることが認識されるであろう。
【0039】
したがって、別の態様では、本発明は、使用時点で組み合わせるために上述のa.、b.、c.、およびd.から選択される成分を1つまたは複数の容器に含む、キットを提供する。
【実施例
【0040】
実施例1
プラテン速度150RPMで加えられたダウンフォースに応じて12インチのBuehler研磨機を用いて、光学ガラスウエハを研磨した。ガラス基板の研磨にはDuPont Suba800パッドを選択した。降下圧力を2~6psiの間で変動させた。研磨媒体の流量を30ml/分で一定に維持し、研磨時間を5分に固定した。研磨媒体は、2つの研削材としてセリアおよび官能化コロイダルシリカ粒子(すなわち、本明細書で言及される「修飾シリカ」)からなる、ハイブリッド粒子の一実施形態を包含していた。セリア粒子のサイズは1.5ミクロンであった。セリア粒子の濃度を1wt%で一定に維持した。官能化シリカ粒子の濃度は0.05wt%から3.5wt%まで変動した。IR温度計を用いて、研磨プロセス中にパッド上での温度上昇を測定した。除去速度をpH9および4.5で判定し、これを使用して各スラリー組成物の性能を判定した。水酸化カリウムと硝酸との水溶液を用いて、研磨媒体のpHを調整した。
【0041】
セリア研削材との混合によりハイブリッド粒子を製剤化する前に、コロイド状シリカ粒子を官能化した。コロイド状シリカを官能化するために、シリカ粒子を過マンガン酸カリウムで処理した。過マンガン酸カリウムの濃度を3.8mMに維持した。造核剤としてビシンを使用し、後にシリカ粒子上にコーティングされるコロイド状二酸化マンガン粒子の形成を促進させた。セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)をカチオン性界面活性剤として使用した。CTABの濃度をスラリー全体中で2mMに維持した。第二級アルキルスルホネート(SAS)をレオロジー修飾剤として使用した。SASの濃度をスラリーの0.2wt%に維持した。試験目的のために2つの添加剤を調製し、以降、これらを添加剤1(SASを含まない官能化シリカ)および添加剤2(SASを含む官能化シリカ)と呼ぶ。
【0042】
性能測定基準には、(a)除去速度、(b)表面仕上げ、(c)スクラッチ傷プロファイル/深さ、(d)添加剤の安定性(試験管内の添加剤の沈降に基づき経時的に判定)を含めた。除去速度は、研磨プロセス中のガラスウエハの重量減少に基づき判定した。グラム単位の重量損失をμm/時間の単位の除去速度に変換するための係数を算出した。この係数では、ガラスウエハの表面領域および材料密度が考慮される。原子間力顕微鏡を用いて研磨後のガラス表面を走査することで、研磨ごとに生じる表面粗さとスクラッチ傷深さを判定した。分析には50μm×50μmの走査サイズを選択した。
【0043】
表1は、降下圧力に応じた、セリア粒子単独(対照)、ならびに2つの異なるシリカ粒子を用いて調製されたハイブリッド粒子における除去速度のデータを表す。本データにより、研磨はプレストニアン挙動(Prestonian behavior)に従うことが裏付けられる。
【0044】
表2は、添加剤の体積%に応じた、同じスラリー組成物のセットにおける除去速度のデータを表す。添加剤の体積%が高いほど、除去速度が高くなる。
【0045】
図1は、研磨後のガラスウエハの表面粗さプロファイルを示す。セリア単独を用いる研磨では、表面粗さがより高くなり、それととともにスクラッチ傷プロファイルがより深くなる。ハイブリッド粒子で研磨されたガラス表面はより低いRa値を呈し、スクラッチ傷はより浅く、数が少ない。
【0046】
表1:ダウンフォースに応じた、セリア単独およびハイブリッド粒子におけるpH11での除去速度のデータ。シリカ添加剤を10体積%に維持した。
【0047】
表2:6psiでの官能化シリカ添加剤の体積パーセントに応じた、ハイブリッド粒子スラリーにおけるpH11での除去速度のデータ
【0048】
実施例2
本実施例では、様々な粒径のセリア研削材を用いて複数の研磨スラリーを調製し、実施例1に明記されるのと同じプロトコールを用いてガラス基板の除去速度に対する効果を試験した。粒径を1.5ミクロンから5ミクロンまで変動させた。すべてのセリア粒子は、様々な供給元から供給された。スラリーはそれぞれ同じ割合の添加剤1を有しており、この割合はスラリーの総体積の10vol%であった。表3は、pH11で6psiの降下圧力を印加することによって得られた除去速度を表す。セリア研削材の粒径が大きくなると除去速度が低下することを観察した。
【0049】
表3:セリア粒径に応じた、6psi、pH11での除去速度のデータ
【0050】
実施例3
本実施例では、様々な濃度のセリア粒子を用いて複数の研磨スラリーを調製し、実施例1に明記される研磨条件のとおりに除去速度に対する効果を試験した。セリア濃度を0.1wt%から1.5wt%まで変動させた。スラリーはそれぞれ同じ割合の添加剤1を有しており、この割合は総スラリー体積の10vol%であった。表4は、セリア研削材単独ならびに2つの添加剤の存在下での、ガラス基板の除去速度のデータを示す。
【0051】
表4:重量パーセント単位のセリア濃度に応じた、6psiおよびpH11での除去速度のデータ
【0052】
実施例4
本実施例では、種々の基板上での研磨スラリーの選択性を検討するべく、光学ガラス基板に対して堆積された様々な膜の除去速度を比較した。研磨速度の選択性は、種々のCMP用途において重要なパラメータとすることができる。TEOS膜およびSiN膜の除去速度を、光学ガラスの除去速度と比較した。TEOS膜とSiN膜の両方は、PECVDによってシリコン基板に堆積されており、DK Nanotechnologyから入手した。被試験対象のスラリーの存在下で研磨を行うために、サイズ1.5インチ×1.5インチの正方形試料を切断した。研磨速度の選択性を、4psiの降下圧力を印加して試験した。表5は、被試験対象の基板すべての、μ/時間単位での除去速度を示す。提示されたデータから、添加剤の存在下でのTEOS研磨の選択性は常に影響を受けなかったが、窒化ケイ素の選択性はTEOSまたは光学ガラスと比較して4:1まで改善したことを確認した。
【0053】
表5:種々の基板における4psiでの除去速度のデータ
【0054】
態様
第1の態様では、本発明は、
a.水と、
b.シリカ研削材と、
c.カチオン性界面活性剤と、
d.セリア研削材と
を含む組成物を提供する。
【0055】
第2の態様では、本発明は、シリカ研削材がコロイド状金属酸化物で少なくとも部分的にコーティングされる、第1の態様の組成物を提供する。
【0056】
第3の態様では、本発明は、コロイド状金属酸化物のコーティングが、シリカを造核剤および過化合物で処理することによって得られるコーティングである、第2の態様の組成物を提供する。
【0057】
第4の態様では、本発明は、金属酸化物が酸化マンガンである、第2、第3、または第4の態様の組成物を提供する。
【0058】
第5の態様では、本発明は、造核剤が、式
(式中、Rは、水素、または1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択され、Rは、1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択される)を有する、
第3の態様の組成物を提供する。
【0059】
第6の態様では、本発明は、造核剤が2-(ビス-2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸およびN-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシンから選択される、第3~第5の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0060】
第7の態様では、本発明は、過化合物が、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム、ペルオキソクロム酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、および過レニウム酸カリウム、またはそれらの混合物から選択される、第2~第6の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0061】
第8の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤がC~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、第1~第7の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0062】
第9の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤がC12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、第1~第8の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0063】
第10の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、第1~第9の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0064】
第11の態様では、本発明は、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択される1つまたは複数の界面活性剤をさらに含む、第1~第10の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0065】
第12の態様では、本発明は、誘電材料を含む表面を備えた基板を化学機械研磨するための方法であって、
A.基板を、
a.水、
b.シリカ研削材、
c.カチオン性界面活性剤、および
d.セリア研削材
を含む組成物と接触させること、
B.組成物を基板に対して移動させること、ならびに
C.基板を研削して誘電体表面の一部を除去することにより、研磨された誘電体表面を得ること
を含む方法を提供する。
【0066】
第13の態様では、本発明は、シリカ研削材がコロイド状金属酸化物で少なくとも部分的にコーティングされる、第12の態様の方法を提供する。
【0067】
第14の態様では、本発明は、金属酸化物が酸化マンガンである、第13の態様の方法を提供する。
【0068】
第15の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤がC12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、第12~第14の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0069】
第16の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、第12~第15の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0070】
第17の態様では、本発明は、コロイド状金属酸化物のコーティングが、シリカを造核剤および過化合物で処理することによって得られるコーティングである、第13~第16の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0071】
第18の態様では、本発明は、造核剤が、式
(式中、Rは、水素、または1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択され、Rは、1個もしくは2個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキルから選択される)を有する、第17の態様の方法を提供する。
【0072】
第19の態様では、本発明は、造核剤が2-(ビス-2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸およびN-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシンから選択される、第12、第17、または第18の態様の方法を提供する。
【0073】
第20の態様では、本発明は、過化合物が、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム、ペルオキソクロム酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、および過レニウム酸カリウム、またはそれらの混合物から選択される、第17~第19の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0074】
第21の態様では、本発明は、金属酸化物が酸化マンガンである、第13~第20の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0075】
第22の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤がC12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される、第12~第21の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0076】
第23の態様では、本発明は、カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、第12~第22の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0077】
第24の態様では、本発明は、誘電体表面が、ガラス、オルトケイ酸テトラエチル、フッ素化シリカガラス、炭素ドープシリコンガラス、ガラスセラミックス、ケイ酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および炭素ドープ酸化ケイ素から選択される、第12~第23の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0078】
第25の態様では、本発明は、誘電体表面がガラスである、第12~第24の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0079】
第26の態様では、本発明は、第1の態様および第7~第11の態様のうちいずれか1つの成分a.、b.、c.、およびd.から選択される成分を1つまたは複数の容器に含む、キットを提供する。
【0080】
第27の態様では、本発明は、成分b.がシリカであり、成分c.が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、第26の態様のキットを提供する。
【0081】
第28の態様では、本発明は、成分b.が、酸化マグネシウムで少なくとも部分的にコーティングされたシリカ研削材であり、成分c.が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、およびベンザルコニウムクロライドから選択される、第26の態様のキットを提供する。
【0082】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態が記述されてきたが、当業者であれば、さらに他の実施形態が添付の特許請求の範囲内で作製かつ使用され得ることを容易に認識するであろう。本明細書によって網羅される本開示の多数の利点は、前述の記載に明記されている。しかし、本開示は多くの点で例示的なものにすぎないことが理解されるであろう。当然ながら本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定められる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】