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特表2024-517057粉砕による廃棄建設材料からの骨材取出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】粉砕による廃棄建設材料からの骨材取出し方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 18/167 20230101AFI20240412BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20240412BHJP
   B02C 17/00 20060101ALI20240412BHJP
   B02C 1/02 20060101ALI20240412BHJP
   B02C 15/00 20060101ALI20240412BHJP
   B02C 23/06 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C04B18/167
C04B28/02
B02C17/00 D
B02C1/02
B02C15/00
B02C23/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557377
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022062121
(87)【国際公開番号】W WO2022238225
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173122.9
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】ベルント アルント エーベルハルト
(72)【発明者】
【氏名】デニーゼ ムトス-ケルン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス フルンツ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ペガド
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ユイルラント
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ギャルッチ
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
4G112
【Fターム(参考)】
4D063AA08
4D063EE12
4D063FF02
4D063FF35
4D063GA10
4D067EE41
4G112PA30
(57)【要約】
本発明は、ボールミル又は圧縮グラインダーで粉砕することによる廃棄建設材料からの骨材取出し方法に関する。本発明の方法は、廃棄建設材料のリサイクリング、とりわけコンクリート又はモルタルのリサイクリングに有用である。本発明はまた、粉砕により廃棄建設材料から得られるクリーン化骨材及び新しい建設材料の製造におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄建設材料の粉砕工程を含む、廃棄建設材料からの骨材取出し方法であって、前記粉砕を半自生ミル又は圧縮グラインダーで行うことを特徴とする、廃棄建設材料からの骨材取出し方法。
【請求項2】
前記粉砕をボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行い、かつ前記ミルの充填度が、それぞれ前記ミルの容量を基準にして、60%以下、好ましく50%以下、より好ましくは40%以下、さらにより好ましくは33%以下、とりわけ25%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉砕をボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行い、かつ粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比が、0.2~3、好ましくは0.2~1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉砕をボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行い、かつ前記粉砕媒体が、ボール、ロッド、ペブル、又は鋼ピース、酸化ジルコニウムピース、酸化アルミニウムピース、セラミックピース、天然石ピース、コンクリートピース、若しくはモルタルピース、好ましくはコンクリートピース若しくはモルタルピースから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粉砕をボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行い、かつ前記粉砕媒体が、取り出される前記骨材の最大粒子サイズよりも大きな最小サイズを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記廃棄建設材料の粉砕前及び/又は粉砕時に粉砕助剤を添加することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粉砕助剤が、ポリカルボキシレートエーテル、アルカノールアミン、糖、糖酸、水素化糖、超吸収性ポリマー、グリコール、グリセリン、ギ酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粉砕助剤を、それぞれ前記廃棄建設材料の合計乾燥重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%、とりわけ0.08~1重量%の量で添加することを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記廃棄建設材料の炭酸化工程を追加的に含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記廃棄建設材料の炭酸化を、前記廃棄建設材料の粉砕時に行うことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で得られる骨材。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で得られる骨材の吸水率と、同一の未使用の骨材の吸水率との差が、前記同一の未使用の骨材の吸水率の300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下、とりわけ100%以下であることを特徴とする、請求項11に記載の骨材。
【請求項13】
建設材料、とりわけモルタル又はコンクリートの製造における、請求項11又は12に記載の骨材の使用。
【請求項14】
少なくともバインダーと請求項11又は12に記載の骨材とを含む建設材料、好ましくはコンクリート又はモルタルであって、請求項11又は12に記載の前記骨材が、骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%を構成することを特徴とする、建設材料。
【請求項15】
建設材料、とりわけモルタル又はコンクリートの水需要を低減する方法であって、未使用の骨材を請求項11又は12に記載の骨材によって置き換える工程を含む、方法。
【請求項16】
一定強度を保ちつつ、建設材料中のバインダーの含有量、とりわけモルタル又はコンクリート中のセメントの含有量を低減する方法であって、未使用の骨材を請求項11又は12に記載の骨材によって置き換える工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項11又は12に記載の骨材による未使用の骨材の置換えレベルが、骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕による廃棄建設材料からの骨材取出し方法に関する。本発明の方法は、廃棄建設材料のリサイクリング、とりわけコンクリート又はモルタルのリサイクリングに有用である。本発明はまた、粉砕により廃棄建設材料から得られるクリーン化骨材及び新しい建設材料の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、多量の廃棄建設材料、たとえば、硬化コンクリート、モルタル、プラスターなどは、埋立て処分され、マイナー量は、建設産業のローテク用途で部分的に再使用される。
【0003】
現在の規範では、廃棄建設材料、たとえば、解体からのコンクリートは、破砕されて粗い画分のみが再使用されるにすぎず、より小さなものは、フレッシュ及び硬化コンクリートの性質を損なう作用があるため廃棄される。したがって、現在の規範は、不完全なダウンサイクリングにすぎないとみなすことが可能である。
【0004】
しかしながら、廃棄建設材料は、通常、有意量の有用成分、たとえば、骨材又はバインダー成分を含み、それらは原理的には完全にリサイクルされて新しい建設作業に再使用することが可能である。そのうえ、ある特定の地域及び国では、廃棄物の処分は、新しい法律に起因してますます経費がかかり困難になってきている。そのため、廃棄建設材料のリサイクリングは重要な課題である。
【0005】
廃棄建設材料のリサイクリング時、かかる廃棄建設材料に含有される骨材をかかる骨材に接着している又はそれに混合されているいずれかのセメント系又は他の材料からクリーン化することの重要性は高い。骨材の非常に良好なクリーニング又は言い換えると骨材からのいずれかの接着しているセメント系又はバインダー材料の除去は、新しい建設材料、たとえば、フレッシュ(未使用の)コンクリート又はモルタルを作製する際にかかる骨材の再使用を有意に改善しうる。特定的には、かかる骨材が十分にクリーン化された場合、未使用の骨材を廃棄建設材料からのリサイクル骨材で完全に置き換えることができるはずである。
【0006】
廃棄建設材料とりわけ混合建設廃棄物の最新技術によるリサイクリングは、典型的には、ソーティングたとえば手動ソーティング又は光検出及びブローアウトによる自動分離のいくつかのステップを必要とする。かかるソーティングは、追加の時間を要し、多くの場合非効率的である。
【0007】
日本特許第3199622号公報には、粉砕及びシーブして骨材に接着しているいずれの硬化セメントも除去することによりコンクリートから骨材を再生する方法が開示されている。
【0008】
国際公開第2014/154741号パンフレットさらには国際公開第2014/040852号パンフレットには、建設廃棄物のリサイクリングプロセスが開示されている。その際、建設廃棄物は、炭酸化及び破砕されてクリーン化骨材さらにまた鉱物質粉末を生成し、これらは、たとえば、コンクリートやモルタルなどのセメント系材料の配合に再使用可能である。また、炭酸化された材料を骨材から急速に除去しクリーン骨材を効率的に得るうえで炭酸化時の建設廃棄物の破砕又は崩壊が重要であることが国際公開第2014/154741号パンフレット(p.11、l.1~23)に記載されている。
【0009】
しかしながら、廃棄建設材料の最新技術によるリサイクリングプロセスから得ることのできる骨材は、典型的には十分にクリーンではない。このことは、かかる骨材が有意量のセメント系材料又は他のバインダーを依然として担持していることを意味する。たとえば、コンクリート又はモルタルの製造では、十分にクリーンでないかかる骨材の使用は、最終製品の性質を損なうおそれがある。このことは、骨材に接着しているバインダーがセメント系ではなくたとえば石膏である場合、さらに一層問題になるおそれがある。とりわけ、収縮傾向及び亀裂傾向、並びにクリープ性は、多くの場合、かかる不完全クリーン化骨材を使用したときの設計値よりも低い。そのため、混合建設廃棄物のリサイクリングにより骨材を取り出すことには、とりわけ問題がある。したがって、コンクリート組成物中の骨材を廃棄建設材料からのリサイクル骨材で100%置き換えることは、現在では許されない。
【0010】
そのため、廃棄建設材料をリサイクルする際の骨材のクリーニングの重要性は最も高い。クリーン化骨材を得るために及びリサイクリングプロセスの全体効率をさらに改善するために、廃棄建設材料のリサイクリング時のプロセスを改善するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、廃棄建設材料からの改善された骨材取出し方法を提供することである。とりわけ、本発明の目的は、廃棄建設材料をリサイクルしてクリーン化骨材を生成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、本発明の目的は、請求項1に記載の方法により達成された。
【0013】
したがって、本発明は、廃棄建設材料の粉砕工程を含む、廃棄建設材料からの骨材取出し方法であって、この粉砕を半自生ミル又は圧縮グラインダーで行うことを特徴とする、廃棄建設材料からの骨材取出し方法に関する。
【0014】
廃棄建設材料は、本発明の方法によりクリーン化骨材及び粉末状材料に分離される。本発明の方法に二酸化炭素の存在下で粉砕することが関与すれば、有利でありうる。
【0015】
本発明の方法は、驚くべきことに、廃棄建設材料のリサイクリング時に骨材のより効率的なクリーニングをもたらす。とりわけ、本発明の方法により得られる骨材は、最新技術によるプロセスにより得られる骨材と比較して、より少量のバインダーとりわけセメント系材料を担持する。そのほか、本発明に係る方法により得られる骨材のシーブライン及び粒子形状が最適化される。これにより、未使用の建設材料の製造で、とりわけコンクリート又はモルタルで、かかる骨材の最適使用が可能になる。また、本発明のリサイクル骨材による元の骨材の置換えレベルは、非常に高くなりうる。最終的に、廃棄建設材料のリサイクリングプロセスの全体効率は、本発明の方法により改善され、このことは、粉砕工程でのより高い比粉末摩耗/時間単位から明らかである。
【0016】
本発明のさらなる態様は、独立請求項の主題である。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の態様では、本発明は、廃棄建設材料の粉砕工程を含む、廃棄建設材料からの骨材取出し方法に関し、この方法は、粉砕を半自生ミル又は圧縮グラインダーで行うことを特徴とする。
【0018】
本発明との関連範囲内では、廃棄建設材料という用語は、骨材を含む且つその元の目的が意図されないいずれかの建設材料を意味する。廃棄建設材料は、とりわけ、余剰材料、オフスペック材料、戻り材料、又は解体廃棄物である。とりわけ、廃棄建設材料は解体廃棄物である。本発明との関連範囲内での廃棄建設材料は、骨材及び少なくとも1種のバインダーを含有するが、それ以外はその組成に制限はない。とりわけ、廃棄建設材料は、異なる無機又は有機バインダーに基づきうる。好ましい実施形態によれば、廃棄建設材料は、少なくとも1種の骨材及び少なくとも1種の鉱物質水硬性バインダーを含む。鉱物質水硬性バインダーは、たとえば、セメント、石膏、石灰、クレー、潜在水硬性バインダー、ポゾラン、及びジオポリマーである。
【0019】
セメントは、特定的には、セメント、とりわけ、規格EN197-1に記載のポルトランドセメント及びスラグセメント、規格EN14647に記載のアルミン酸カルシウムセメント、及び/又はスルホアルミン酸カルシウムセメントである。「石膏」という用語は、各種形態のCaSO、特定的にはCaSO無水石膏、CaSOα及びβ半水和物、並びにCaSO二水和物を包含することを意味する。「石灰」という用語は、規格EN459-1:2015に記載の天然水硬性石灰、配合石灰、水硬性石灰、及び気硬性石灰を包含することを意味する。クレーは、いずれかの膨潤性クレー又は非膨潤性クレーでありうる。とりわけ、本発明との関連範囲内での「クレー」は、焼成クレー材料、好ましくは煉瓦であることを意味する。ポゾラン及び潜在水硬性材料は、好ましくは、仮焼クレーとりわけメタカオリン、スラグ、キルンダスト、マイクロシリカ、フライアッシュ、ゼオライト、籾殻アッシュ、焼成オイルシェール、並びに天然ポゾランたとえば軽石及びトラスからなる群から選択される。ジオポリマーは、アルモシリカ質ポリマーである。ジオポリマーの一特定例は、水ガラスで活性化された炉スラグである。
【0020】
実施形態によれば、廃棄建設材料は、セメント系材料、たとえば、コンクリート及びモルタル、気泡コンクリート、石膏系材料、たとえば、スクリード、プラスター、及びスタッコ、砂石灰石、多孔性充填用材料、たとえば、発泡ガラス、バーミキュライト、軽石、及びパーライト、又はクレー系材料、たとえば、煉瓦からなる群から選択される廃棄材料である。廃棄建設材料は、異なる材料のミックスであることが可能である。たとえば、廃棄建設材料は、コンクリート又はモルタル、コンクリートと石膏系材料との混合物、コンクリートとプラスターとの混合物、煉瓦とモルタルとの混合物、煉瓦とモルタルとプラスターとの混合物などでありうるとともに、金属繊維とりわけ鋼繊維、ポリマー繊維、及び/又はガラスもまた、廃棄建設材料に含有されうる。しかしながら、廃棄建設材料は、金属又は木材の大きなピースを含有しないことが好ましい。
【0021】
また、本発明の方法により廃棄建設材料から鋼繊維及び/又はポリマー繊維を分離することも可能である。そのため、本発明との関連範囲内では、鋼繊維及び/又はポリマー繊維は、骨材であるとみなされうる。
【0022】
とりわけ好ましい実施形態によれば、廃棄建設材料は、廃棄コンクリート、とりわけ、解体からの廃棄コンクリートである。
【0023】
廃棄建設材料は、本発明の方法に付される前に前処理可能である。前処理は、とりわけ、廃棄建設材料の破砕及び/又は材料に応じたソーティングである。破砕を実施する場合、破砕材料のサイズは、最も大きな骨材の粒子サイズよりも大きいことが好ましい。
【0024】
本発明との関連範囲内での骨材は、鉱物質水硬性バインダーの水和反応に非反応性のいずれかの材料である。典型的骨材は、たとえば、岩石、砕石、グラベル、スラグ、砂、とりわけ、石英砂、川砂、及び/又は製造砂、鋳物砂、ガラス、膨張ガラス、中空ガラスビーズ、ガラスセラミック、火山岩、軽石、パーライト、バーミキュライト、採石場廃棄物、生、焼成、及び溶融土又はクレー、磁器、電気溶融又は焼結研磨材、焼成用サポート、シリカキセロゲル、サーモプラスチック、熱硬化性プラスチック、エラストマー、ゴム、テキスタイル繊維、ガラス又は炭素繊維で補強されたプラスチック材料、掘削スラッジの処理からの充填材、下水スラッジ、スラリー紙廃棄物、紙焼却灰、家庭廃棄物焼却灰、並びに/或いは細骨材、たとえば、粉砕石灰石、粉砕ドロマイト、及び/又は粉砕酸化アルミニウムである。
【0025】
とりわけ好ましい実施形態によれば、骨材は、グラベル及び砂からなる群から選択される。
【0026】
骨材は、規格EN12620:2013に準拠することがとくに好ましい。
【0027】
骨材は、各種粒子サイズ及び粒子形状を有しうる。典型的には、本発明の骨材は、粒子サイズ分布又はシーブラインにより特徴付けられる。粒子サイズ分布は、規格EN933-1に記載のシーブ分析により決定可能である。骨材の粒子サイズ分布は、規格EN12620:2013に準拠することが好ましい。粒子形状は、フレーク性、フロー係数、形状指数、真球度、又は真円度により表されうる。フレーク性は、規格EN933-3に準拠して決定可能である。形状指数は、規格EN933-4に準拠して決定可能である。フロー係数は、規格EN933-6に準拠して決定可能である。真球度又は真円度は、Blottらによる論文(S.J.Blott,K.Pye,Particle shape:a review and new methods of characterization in Sedimentology(2008)55,31-63.)に説明されるように決定可能である。本発明の方法で得られる骨材は、本発明全体を通して「クリーン化骨材」ともいわれる。
【0028】
本発明の方法で得られる粉末状材料は、特定的には、カルサイト、アモルファスシリカ、アモルファス水酸化アルミニウム、及びアルミン酸塩を含む。それは、たとえば、バインダー組成物では充填材として及び/又はサプリメントセメント系材料(SCM)として並びに/或いはセメント製造では原材料として使用可能である。粉末状材料の元素酸化物組成に依存して、それは異なる目的に使用されうる。たとえば、元素酸化物組成が水硬性鉱物質バインダーの1つに類似する場合、粉末状材料は、コンクリート又はモルタルに対する充填材又はSCMとして使用可能である。たとえば、追加の硫酸カルシウムを含有する場合、粉末状材料は、鉱物質バインダーの硫酸化に使用可能である。粉末状材料は、ナノメートル~数マイクロメートルの範囲内の粒子サイズを有する。典型的には、粉末状材料の粒子サイズは、規格EN933-1に記載のシーブ分析により決定される0~0.250mm又は0~0.125mmの範囲内である。これは、クリーン化骨材からの粉末状材料の分離を促進する。
【0029】
本発明の方法は、アトリションミルで実用可能である。とりわけ好適なアトリションミルは、半自生ミル及び圧縮グラインダーである。
【0030】
本発明との関連範囲内での圧縮グラインダーは、粉砕される材料床に圧縮力を及ぼすことが可能なタイプのグラインダーである。好ましくは、圧縮力は、回転シリンダー又はローター-ステーターにより及ぼされる。圧縮グラインダーは、たとえば、クラッシャー又はローラーミルでありうる。実施形態によれば、圧縮グラインダーは、垂直ローラーミル、水平ローラーミル、又は制御可能アジャスタブル圧縮機能付きジョークラッシャー(jar crusher)である。
【0031】
実施形態によれば、廃棄建設材料床に及ぼされる圧縮力は、あらかじめ定義された値にアジャスト可能である。そのほか好ましくは、滞留時間は、処理される材料の直接アジャストメント又は循環を介してアジャスト可能である。
【0032】
半自生ミルの例は、ボールミル又はアジテーションミルである。実施形態によれば、本発明の方法では、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで行われる。
【0033】
好ましくは、廃棄建設材料及び骨材のタイプに依存して、本発明の方法の粉砕パラメーターは、前記骨材を破壊することなく骨材の効率的クリーニングを確保するようにアジャストされる。
【0034】
とりわけ好ましい実施形態によれば、本発明の方法では、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行われ、この場合、ミルの充填度は、いずれの場合もミルの容量を基準にして、60%以下、好ましく50%以下、より好ましくは40%以下、さらにより好ましくは33%以下、とりわけ25%以下である。
【0035】
骨材のクリーニングは、ボールミル又はアジテーションミルの充填度がより低いとき、より効率的であることが判明した。しかしながら、充填度が低すぎると、プロセス全体の効率は減少される。好ましくは、充填度は、いずれの場合もミルの合計容量を基準にして、5%以上、より好ましくは10%以上である。一般に、粉砕媒体の密度を増加させるとき、充填度を増加させなければならない。
【0036】
さらなる実施形態によれば、本発明の方法では、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行われ、粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比は、0.2~3、好ましくは0.2~1の範囲内である。骨材のクリーニングは、粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比が3超、好ましくは2超、より好ましくは1超であるとき、それほど効率的でないことが判明した。一般に、粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比は、より高い密度の粉砕媒体を使用するときには、より高くすべきであり、より低い密度の粉砕媒体を使用するときには、より低くすべきである。
【0037】
実施形態によれば、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行われ、粉砕媒体に対する廃棄建設材料の体積比は1以下である。
【0038】
さらなる実施形態によれば、本発明の方法では、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行われ、粉砕媒体は、ボール、ロッド、ペブル、又は鋼ピース、酸化ジルコニウムピース、酸化アルミニウムピース、セラミックピース、天然石ピース、コンクリートピース、若しくはモルタルピース、好ましくはコンクリートピース若しくはモルタルピースから選択される。
【0039】
実施形態によれば、粉砕媒体は、本発明の方法で取り出される骨材の目標最大粒子サイズよりもわずかに大きな直径を有する。鋼ピースを粉砕媒体として使用する場合、これらは、チェーン又はチェーンセグメントの形態をとりうるとともに、各チェーンセグメントは、骨材の目標最大粒子サイズよりもわずかに大きな内径を有する。これは、鋼の粉砕媒体の完結後、最小限のかかる粉砕媒体残渣がミル出口を介して搬出されるという利点を有する。というのは、出口は、典型的には、取り出される骨材の定義された最大粒子サイズよりも大きな材料を堰き止めるシーブを有するからである。
【0040】
粉砕媒体として養生コンクリートピース又はモルタルピースを使用することは、とりわけ好ましい。好ましくは、養生コンクリートピース又はモルタルピースは、本発明の方法で処理されるものと同一の廃棄建設材料であり、廃棄建設材料の前破砕から得られるより大きなピースである。粉砕媒体として使用される養生コンクリートピース又はモルタルピースは、好ましくは10~40cm、より好ましくは10~30cm、とりわけ15~30cmの直径を有する。ピースは、レギュラー形状又はイレギュラー形状でありうる。粉砕媒体として使用されるコンクリート又はモルタルの密度は、2.2~2.5g/cmでありうる。より高い密度(たとえば、2.7又は3.0)もまた可能である。粉砕媒体として使用されるコンクリート又はモルタルは、高硬度を有することもまた好ましい。廃棄建設材料を粉砕する際の粉砕媒体としてのコンクリート又はモルタルの使用は、有害不純物が粉砕時に導入されないという利点を有する。粉砕媒体として使用される鋼の場合、摩耗に起因して、粉砕後に鋼ピースが骨材と混合され追加の分離工程のニーズをもたらす可能性がある。このことは、粉砕媒体としてコンクリート又はモルタルを使用する場合には当てはまらない。なぜなら、摩耗したとしてもさらなる骨材及び粉末状材料が放出されるにすぎないからである。
【0041】
さらなる実施形態によれば、本発明の方法では、粉砕は、ボールミル又はアジテーションミルで、好ましくはボールミルで行われ、粉砕媒体は、取り出される骨材の最大粒子サイズよりも大きな最小サイズを有する。取り出される骨材の最大粒子サイズよりも粉砕媒体が小さい場合、粉砕媒体のサイズよりも大きなサイズを有する骨材粒子は、破壊されることが判明した。たとえば、0~32mmの粒子サイズを有する骨材の取出し方法では、5cm超、とりわけ10cm、20cm、又は40cmの平均直径を有するコンクリートピースを使用することが可能である。
【0042】
ミルでの廃棄建設材料の滞留時間は、バッチプロセスで粉砕を行う場合には粉砕時間により、半連続プロセスではアジテーションサイクルにより、又は連続プロセスで粉砕を行う場合には材料インプットフローにより制御される。滞留時間は、たとえば、連続プロセスでは粉砕ゾーンの出口の部分ブロッキングにより、又は半連続若しくはバッチプロセスでは粉砕ゾーンの出口の一時ブロッケージにより制御可能である。滞留時間は、プロセス全体の効率さらには骨材のクリーニング効率を最適化するように制御可能である。滞留時間はまた、本発明の方法で得られる骨材の粒子サイズ分布を最適化するように制御可能である。
【0043】
また、粉砕効率を最適化するために半自生ミルとりわけボールミルの回転速度を制御することも可能である。
【0044】
実施形態によれば、粉砕を半自生ミルで行い且つ高密度の粉砕媒体を使用する場合、ミルの充填度は、いずれの場合もミルの合計容量を基準にして、60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、且つ10%以上、好ましくは15%以上であり、粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比は、0.2~3、好ましくは0.5~2であり、且つ滞留時間は、15~45minである。本発明との関連範囲内での高密度は、>6g/ml、好ましくは>7g/mlの密度である。高密度の粉砕媒体の一例は、鋼ボールである。
【0045】
実施形態によれば、粉砕を半自生ミルで行い且つ低密度の粉砕媒体を使用する場合、ミルの充填度は、いずれの場合もミルの合計容量を基準にして、40%以下、より好ましくは30%以下、且つ5%以上であり、且つ粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比は、0.2~3、好ましくは0.5~2である。本発明との関連範囲内での低密度は、2~6g/ml、好ましくは2~5g/mlの密度であり、且つ滞留時間は、10~60minである。低密度の粉砕媒体の一例は、以上に記載のコンクリートピース又はモルタルピースである。低密度の粉砕媒体の他の一例は、セラミックボールである。
【0046】
本発明の方法で粉砕助剤を添加することが可能であり、また、ある特定の場合にはそうすることが好ましい。したがって、本発明はまた、廃棄建設材料の粉砕前及び/又は粉砕時に粉砕助剤を添加することを特徴とする、以上に記載の方法に関する。
【0047】
粉砕助剤は当業者に公知である。それは、たとえば、セメントクリンカーの粉砕に典型的に使用される粉砕助剤から選択されうる。
【0048】
実施形態によれば、粉砕助剤は、ポリカルボキシレートエーテル、アルカノールアミン、糖、糖酸、水素化糖、超吸収性ポリマー、グリコール、グリセロール、ギ酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
好適なアルカノールアミンは、好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)、エタノールジイソプロパノールアミン(EDIPA)、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N-メチルジイソプロパノールアミン(MDIPA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)、及びテトラヒドロキシイソ-プロピルエチレンジアミン(THIPD)、さらにはこれらのアルカノールアミンの2種以上の混合物からなる群から選択される。これらのアルカノールアミンの塩を使用することも可能である。
【0050】
好適なグリコールの例は、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、特定的には6エチレン単位以上を有するものたとえばPEG200、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールである。2種以上の異なるグリコールの混合物さらには少なくとも1種のグリコールとグリセリンとの混合物を使用する可能性もある。
【0051】
一実施形態では、グリセロールは、再生可能原材料から製造可能ないわゆるバイオグリセリンである。
【0052】
本発明のとくに好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリカルボキシレートエーテル(PCE)が粉砕助剤として使用される。それゆえ、これらの実施形態では、粉砕助剤は、少なくとも1種のPCEを含むか又はそれから本質的になる。
【0053】
本発明のPCEは、
(i)一般構造(I):
【化1】
の繰返し単位Aと、
(ii)一般構造(II):
【化2】
の繰返し単位(B)と、
を含み、
式中、
各Ruは、独立して、水素又はメチル基を表し、
各Rvは、独立して、水素又はCOOMを表し、ここで、Mは、独立して、H、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり、
m=0、1、2、又は3、
p=0又は1、
各R1は、独立して、-(CH-[YO]-R4であり、ここで、Yは、C~Cアルキレンであり、且つR4は、H、C1~C20アルキル、-シクロヘキシル、-アルキルアリール、又は-N(-R-[(CH-POM]3-jであり、
z=0、1、2、3、又は4、好ましくは0、
n=2~350、好ましくは30~200、とくに好ましくは35~200、とりわけ40~110、
j=0、1、又は2、
は、水素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
且つMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムイオンを表し、
ただし、PCE中の繰返し単位A及びBは、10:90~90:10の範囲内のA:Bのモル比を有する。
【0054】
さらなる好ましい実施形態では、z=0。さらなる好ましい実施形態では、z=4。
【0055】
とくに好ましい実施形態では、PCEは、一般構造(I)の繰返し単位Aさらには一般構造(II)の繰返し単位Bを含み、A対Bのモル比は、20:80~80:20、より好ましくは30:70~80:20、特定的には35:65~75:25の範囲内である。
【0056】
PCEは、好ましくは1,000~1,000,000、より好ましくは1,500~500,000、最も好ましくは2,000~100,000、特定的には3,000~75,000又は3,000~50,000g/molの範囲内の平均モル質量Mwを有する。モル質量Mwは、本件では、標準としてポリエチレングリコール(PEG)を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定される。この技術は、それ自体当業者に公知である。
【0057】
本発明に係るPCEは、ランダム又は非ランダムコポリマーでありうる。非統計的コポリマーは、特定的には、交互コポリマー又はブロック若しくはグラジエントコポリマー或いはそれらの混合物である。
【0058】
実施形態によれば、粉砕用添加剤として1つのタイプのPCEが単独で、任意にPCEでない少なくとも1種のさらなる粉砕用添加剤との混合物で使用される。さらなる実施形態によれば、粉砕用添加剤として2つ以上のタイプのPCEが使用され、任意にPCEでない少なくとも1種のさらなる粉砕用添加剤との混合物で使用される。
【0059】
本発明の意味での「糖」は、アルデヒド基を有する炭水化物である。とくに好ましい実施形態では、糖は、単糖又は二糖の群に属する。糖の例としては、限定されるものではないが、グリセルアルデヒド、トレオース、エリトロース、キシロース、リキソース、リボース、アラビノース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フルクトース、ソルボース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、イソマルトース、パラチノース、マンノビオース、ラフィノース、及びキシロビオースが挙げられる。糖はまた、たとえば、ビナス、モラスの形態で使用可能である。
【0060】
本発明との関連での「糖酸」は、カルボキシル基を有する単糖である。それは、アルドン酸、ウルソン酸、ウロン酸、又はアルダル酸のクラスのいずれかに属しうる。好ましくは、それはアルドン酸である。本発明との関連で有用な糖酸の例としては、限定されるものではないが、グリセリン酸、キシロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、酒石酸、ムシン酸(mucilic acid)、及びサッカリン酸が挙げられる。糖酸は、遊離酸の形態で又は塩として存在しうる。実施形態によれば、糖酸の塩は、元素周期表の第Ia、IIa、Ib、IIb、IVb、VIIIb族の金属との塩でありうる。糖酸の好ましい塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、コバルト、銅、又は亜鉛の塩である。とりわけ好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属との塩である。
【0061】
水素化糖は、とりわけ水素化デンプン加水分解物又は水素化グルコースシロップである。水素化糖は、オリゴ糖及び多糖の部分加水分解を行ってから続いて水素化することにより生産される。その結果は糖アルコールの混合物である。
【0062】
「超吸収性ポリマー」という用語は、多量の水を吸収可能なポリマーを意味する。超吸収性ポリマーが水に接触したとき、水分子は、ポリマーネットワークのキャビティー中に拡散し、ポリマー鎖に水和する。そのため、ポリマーは、膨潤してポリマーゲルを形成するか又は徐々に溶解することが可能である。この工程は可逆であり、したがって、超吸収性ポリマーは、水を除去することによりその固形状態に再生することが可能である。吸水性は、膨潤した超吸収性ポリマーの重量とその乾燥状態での重量との比を意味する膨潤比により表される。膨潤比は、超吸収性ポリマーの分岐度、存在しうるいずれかの架橋、超吸収性ポリマーネットワークを形成するモノマーの化学構造、外的因子、たとえば、pH、溶液のイオン濃度、及び温度の影響を受ける。水と相互作用するその能力が理由で、超吸収性ポリマーはまた、ヒドロゲルとも呼ばれる。
【0063】
本発明との関連で有用な超吸収性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、天然ポリマーたとえばデンプン、セルロースたとえばセルロースエーテル、キトサン若しくはコラーゲン、アルギネート、合成ポリマー、たとえば、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、若しくはポリ(エチレンオキシド)、又はイオン性合成ポリマー、たとえば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール(PVA)、若しくはポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0064】
本発明との関連でとくに好適な超吸収性ポリマーは、イオン性超吸収性ポリマー、特定的には、線状構造又は架橋構造のどちらかでありうるアクリル酸で修飾されたポリアクリルアミドに基づくものである。
【0065】
粉砕助剤は、廃棄建設材料の合計乾燥重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%、とりわけ0.08~1重量%の合計量で添加されうる。
【0066】
本発明の方法は、廃棄建設材料の炭酸化の工程を追加的に含みうる。
【0067】
「炭酸化」という用語は、本発明との関連では、鉱物質バインダー、特定的には硬化鉱物質バインダーと、COと、の反応に用いられる。たとえば、CEM I型の硬化セメントは、周囲空気からのCOとの反応により炭酸化する。特定的には、炭酸カルシウムが形成される。鉱物質バインダー、特定的には硬化鉱物質バインダーのプログレッシブ炭酸化は、pH値の低下により測定可能である。
【0068】
特定的には、本明細書で用いられる「炭酸化」は、化学化合物中への二酸化炭素の組込み又は二酸化炭素と親材料との化学反応を意味する。そのため、「炭酸化」は、具体的には、出発材料と二酸化炭素との反応を意味する。養生鉱物質バインダー、たとえば、モルタル又はコンクリートの炭酸化は、ある程度自然に起こる。しかしながら、「炭酸化」という用語は、自然プロセスと比較して炭酸化が意図的に増強又は加速されるプロセスを意味するものとして用いられる。これは、過剰二酸化炭素を提供することにより達成可能である。
【0069】
たとえば、カルシウム、ケイ酸塩、及びアルミニウム水和物から本質的になる水硬性セメントの形態の硬化鉱物質バインダーは、二酸化炭素と反応して対応する炭酸塩を形成することが可能である。
【0070】
基本的には、硬化鉱物質バインダー又はバインダーマトリックスのマイクロ構造は、炭酸化の速度及びセメント系材料の露出表面からそのコアまでの炭酸化フロントの経路を決定する。
【0071】
廃棄鉱物質建設材料を炭酸化することにより、骨材のクリーニングはかなりより効率的になることが判明した。この理由は、炭酸化鉱物質バインダーが骨材の表面からより容易に除去されることにある。炭酸化の進行は、たとえば、本発明に係る方法でCO分圧を測定することにより決定可能である。CO分圧が減少する場合、炭酸化が起こる。CO分圧がさらに減少しない場合、実質的に完全な炭酸化を仮定可能である。代替的に、炭酸化の進行は、たとえば、pHを測定することにより決定可能である。pHが減少する場合、炭酸化が起こっている。pHがさらに低下しない場合、本質的に完全な炭酸化を仮定可能である。通常、このことが当てはまるのは、7~10、好ましくは7~9のpHのときである。
【0072】
粉砕工程前及び/又は粉砕工程時に廃棄建設材料を炭酸化することが可能である。しかしながら、炭酸化は、粉砕工程時に起こることが好ましい。この理由は、粉砕時に炭酸化材料が骨材からより容易に除去されてフレッシュな未炭酸化表面を放出し、これがひいては炭酸化されてより容易に除去されることにある。そのため、骨材のクリーニングは、とくに効率的に達成される。
【0073】
実施形態によれば、廃棄建設材料の炭酸化は、前記廃棄建設材料の粉砕時に行われる。
【0074】
とりわけ、炭酸化は、大気中に存在する濃度以上のCOレベルで行われる。とりわけ、二酸化炭素は、粉砕時にプロセス空気と一緒に導入される。標準大気中に存在する濃度超の、且つ半自生ミル又は圧縮グラインダーで廃棄建設材料の所望の滞留時間内で廃棄建設材料中のすべての炭酸化可能材料を完全に炭酸化するのに十分なレベルに、プロセス空気中のCOレベルをアジャストすることがとりわけ好ましい。
【0075】
炭酸化時、廃棄建設材料の炭酸化を可能にするために、廃棄建設材料及び/又はプロセス空気に最小限の湿分が必要とされる。実施形態によれば、粉砕ゾーンのプロセス空気の湿度は、0%~100%、好ましくは30%~90%の相対湿度である。得られる粉末状材料のアグロメレーションを回避するために、粉砕ゾーンの相対湿度を制限することが好ましい。プロセス空気の湿度は、廃棄建設材料の湿度にアジャスト可能である。実施形態によれば、プロセス空気は、廃棄建設材料が湿潤状態にあるとき、より低い相対湿度を有する。かかる場合には、望ましくないアグロメレーションを回避するために、プロセス空気は、廃棄建設材料の乾燥に使用可能である。しかしながら、より高い湿度でさらには水浴中で本発明の方法を実行することもまた可能であり、たとえば、この場合、廃棄建設材料は、スラリー又はペーストの形態で半自生ミル又は圧縮グラインダーに導入される。好ましくは、本発明の方法は、0℃超、より好ましくは20℃超の温度で実行される。100℃以下、好ましくは80℃以下の温度で本発明の方法を実行することがさらに好ましい。
【0076】
粉砕時に微粉及び/又は粉末状材料を粉砕ゾーンから除去することが好ましい。これにより粉砕効率が増加するであろう。除去は、好ましくは連続的に、たとえば、空気を粉砕ゾーンに通してブローすることにより行われる。
【0077】
本発明の方法は、クリーン化骨材及び粉末状材料の分離工程を追加的に含みうる。実施形態によれば、分離は、少なくともあらかじめ定義されたカットオフ粒子サイズの粒子サイズを有するリサイクルクリーン化骨材を取り出すために、及び/又はあらかじめ定義されたカットオフ粒子サイズ未満の粒子サイズを有する粉末状材料を取り出すために、あらかじめ定義されたカットオフ粒子サイズで行われる。さらなる実施形態によれば、クリーン化骨材を異なる粒子サイズの画分に分離することもまた可能である。
【0078】
実施形態によれば、異なる粒子サイズの画分は、0.063~4mm、4~8mm、及び6~16mmの画分である。異なる粒子サイズの他の画分は、0.063~4mm、4~16mm、及び16~32mmである。異なる粒子サイズのそのほか他の画分は、0~2mm、2~8mm、8~16mm、又は8~32mmである。異なる粒子サイズのそのほか他の画分は、0~4mm、4~8mm、8~16mm、16~32mmである。異なる粒子サイズのそのほか他の画分は、0.063~0.125mm、0.125~0.25mm、及び0.25~0.355mmである。異なる粒子サイズのそのほか他の画分は、0.08~0.16mm、0.16~0.50mm、0.50~1.0mm、1.0~1.60mm、及び1.60~2.0mmである。異なる粒子サイズのそのほか他の画分は、63~300μm、100~600μm、500~1200μm、900~1500μmである。
【0079】
粒子サイズ画分を略記することが可能であり、たとえば、4~8mmの粒子サイズ画分はまた、「4/8」と略記される。
【0080】
実施形態によれば、分離は、濾過、シービング、沈降、密度分離、風篩、たとえば、サイクロン及び/又は遠心分離により行われる。
【0081】
本発明の方法は、バッチプロセス又は連続プロセスで行うことが可能である。
【0082】
第2の態様では、本発明は、以上に記載の方法で得られる骨材に関する。得られる骨材は、少量の接着性材料を有するか又は接着性材料を有しておらず、とりわけ少量の接着性バインダーを有するか又は接着性バインダーを有していない。接着性バインダーとりわけ鉱物質バインダーの量又は骨材のクリーニング度は、規格EN1097-6に準拠してその吸水測定により決定可能である。接着性鉱物質バインダーは、骨材の吸水率を増加させるであろう。そのため、骨材のクリーニングは、吸水率が同一の未使用の骨材の吸水率に近いか又はそれと同一である場合、十分であるとみなすことが可能である。本発明との関連範囲内では、「同一の未使用の骨材」という用語は、建設材料で骨材として決して使用されてないそれぞれの骨材を常に意味する。たとえば、未使用の骨材は、コンクリート又はモルタルで決して使用されてない砂採取場又は河川からの砂である。好ましい実施形態によれば、クリーン化骨材の吸水率と、未使用の骨材の吸水率との差は、同一の未使用の骨材の吸水率の300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは、150%以下、とりわけ100%以下である。
【0083】
とりわけ、クリーン化骨材の吸水率と、未使用の骨材の吸水率との差は、同一の未使用の骨材の吸水率の300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下、とりわけ100%以下であり、この場合、骨材は、4~8mm、8~16mm、及び/又は16~32mmの粒子サイズを有する画分に属する。
【0084】
本発明の方法により得られる骨材の特定利点は、それがとくにクリーン且つ丸形であることである。粒子の真円度は、たとえば、Blottらによる論文(S.J.Blott,K.Pye,Particle shape:a review and new methods of characterization in Sedimentology(2008)55,31-63.)に説明される真球度又は真円度により記述可能である。Blottによる論文に記載のようにCoxによる方法に従って測定される真円度は、とりわけ好適である。本発明の方法により取り出される骨材は、0.70超、好ましくは0.73超、より好ましくは0.76超のCoxの方法により測定される真円度を有する。
【0085】
とりわけ、本発明の骨材は、原材料、たとえば、岩石又は廃棄建設材料の単なる破砕から取り出される骨材と比較してより丸形である。これは、粉砕時に骨材のエッジに及ぼす摩擦に基づく。本発明の骨材はまた、天然に存在する骨材たとえば砂と比較してより丸形である。
【0086】
真円度を測定する他の一方法は、規格EN933-4:2008に準拠した粒子形状-形状指数の決定である。
【0087】
本発明の方法により得られる骨材の他の一特定利点は、それが非常に定常的な粒子サイズ分布を有することである。これはつまり、粒子サイズ分布曲線(所与のサイズの粒子の量vs粒子サイズのプロットである)が、非常に小さな粒子サイズから非常に大きな粒子サイズまで定常的に増加することを意味する。とりわけ好ましいことに、粒子サイズ分布曲線に1つの変曲点のみが存在する。
【0088】
かかる骨材はまた、クリーン化骨材ともいわれうる。
【0089】
本発明の骨材の粉末度は、その粒子サイズに依存する。そのため、所与の粒子サイズ画分は、所与の粉末度を有するであろう。骨材の粉末度は、たとえば、規格EN196-6:2010に記載のブレーン法により測定される。実施形態によれば、本発明に係る骨材のブレーン粉末度は、1000cm/g以上である。たとえば、粒子サイズ画分0/4の本発明の骨材のブレーン粉末度は、1000cm/g以上である。
【0090】
以上に記載の実施形態はいずれも、適用可能な場合、本発明のこの態様にも関するものと理解されるべきである。
【0091】
第3の態様では、本発明は、建設材料とりわけモルタル又はコンクリートの製造における、以上に記載の方法で得られる骨材の使用に関する。
【0092】
以上に記載の方法で得られる骨材は、「クリーン化骨材」とも呼ばれ、典型的には、他の骨材と比較してより低い吸水率を有する。より低い吸水率は、より少ない水の使用で典型的には養生材料のより高い強度をもたらすので、建設材料の製造に望ましい。また、本発明のクリーン化骨材を使用したとき、所望の加工性に必要とされる混合用水を低減可能であるので、建設材料中のバインダーとりわけセメントの量を低減しても依然として所望の強度を得ることも可能であろう。骨材の吸水率は、規格EN1097-6:2013-09に準拠して測定可能である。
【0093】
本発明との関連範囲内での建設材料は、骨材及び少なくとも1種のバインダーを含有するが、それ以外はその組成に制限はない。とりわけ、建設材料は、異なる無機又は有機バインダーに基づきうる。好ましい実施形態によれば、建設材料は、少なくとも1種の骨材及び少なくとも1種の鉱物質水硬性バインダーを含む。鉱物質水硬性バインダーは、たとえば、セメント、石膏、石灰、クレー、潜在水硬性バインダー、ポゾラン、及びジオポリマーである。かかるバインダーは、以上に記載の通りである。
【0094】
本発明との関連範囲内での建設材料はまた、微細充填材並びに/又は可塑剤、高性能減水剤、収縮低減剤、空気エントレーナー、脱気剤、安定剤、粘度調整剤、減水剤、促進剤、遅延剤、耐水剤、強度増強用添加剤、繊維、発泡剤、脱泡剤、再分散性ポリマー粉末、クロメート還元剤、顔料、及び鋼パッシベート剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を任意に含有する。
【0095】
以上に記載の実施形態はいずれも、適用可能な場合、本発明のこの態様にも関するものと理解されるべきである。
【0096】
第4の態様では、本発明は、以上に記載の方法で得られる骨材が、骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%を構成することを特徴とする、少なくともバインダー及び以上に記載の方法で得られる骨材を含む建設材料、好ましくはコンクリート又はモルタルに関する。
【0097】
本発明の典型的建設材料は、(いずれの場合も建設材料の合計重量を基準にして)
(a)10~75重量%、好ましくは15~60重量%のバインダー、好ましくは鉱物質水硬性バインダー、とりわけセメント、石膏、石灰、クレー、潜在水硬性バインダー、ポゾラン、ジオポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択されるバインダー、
(b)15~90重量%、好ましくは25~75重量%の骨材、
(c)任意に0.1~10重量%の少なくとも1種の添加剤、及び
(d)任意に水、
を含むか又はそれからなり、
骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%は、本発明の方法で得られる骨材であることを特徴とする。
【0098】
以上に記載の実施形態はいずれも、適用可能な場合、本発明のこの態様にも関するものと理解されるべきである。
【0099】
第5の態様では、本発明は、建設材料とりわけモルタル又はコンクリートの水需要を低減する方法に関し、前記方法は、未使用の骨材を以上に記載の方法で得られる骨材により置き換える工程を含む。
【0100】
水需要の低減は、規格EN12350-5:2019-09に準拠して測定されるスランプフローの増加及び/又は規格EN12350-9:2010-12に準拠して測定されるファンネルフロー時間の低減として測定可能である。
【0101】
したがって、建設材料とりわけモルタル又はコンクリートの水需要を低減する方法は、建設材料とりわけモルタル又はコンクリートのスランプフローの増加方法及び/又はファンネルフロー時間の低減方法と同一である。
【0102】
実施形態によれば、建設材料とりわけモルタル又はコンクリートの水需要を低減する方法の以上に記載の方法で得られる骨材による未使用の骨材の置換えレベルは、骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%である。
【0103】
以上に記載の実施形態はいずれも、適用可能な場合、本発明のこの態様にも関するものと理解されるべきである。
【0104】
第6の態様では、本発明は、一定強度を保ちつつ、建設材料中のバインダーの含有量、とりわけモルタル又はコンクリート中のセメントの含有量を低減する方法に関し、前記方法は、未使用の骨材を本発明の方法で得られる骨材により置き換える工程を含む。
【0105】
バインダーは、規格EN197-1に記載のポルトランドセメント及びスラグセメント、規格EN14647に記載のアルミン酸カルシウムセメント、及び/又はスルホアルミン酸カルシウムセメントから選択されるセメントであることがとりわけ好ましい。
【0106】
とりわけ、一定強度を保ちつつ、建設材料中のバインダーの含有量、とりわけモルタル又はコンクリート中のセメントの含有量を低減する方法では、かかる強度は、建設材料の完全硬化後に測定される圧縮強度、とりわけ、硬化の28d後の圧縮強度に関する。
【0107】
実施形態によれば、一定強度を保ちつつ、建設材料中のバインダーの含有量、とりわけモルタル又はコンクリート中のセメントの含有量を低減する方法の以上に記載の方法で得られる骨材による未使用の骨材の置換えレベルは、骨材の合計重量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、とりわけ少なくとも99重量%である。
【0108】
以上に記載の実施形態はいずれも、適用可能な場合、本発明のこの態様にも関するものと理解されるべきである。
【0109】
実施例を介して本発明をさらに説明する。実施例は、本発明をいずれかの特定実施形態に限定することを意図したものではない。
【実施例
【0110】
下記表1は、使用した化学品の概観を示す。
【0111】
【表1】
【0112】
トライアル1-骨材取出し
使用した廃棄建設材料は、解体からの前破砕コンクリートであった(主骨材砂及びグラベル0~32mmを有する)。
【0113】
60cmの直径及び50cmの長さのボールミルを使用した。
【0114】
ミリング操作のために、以下の表に示されるように粉砕媒体と一緒に廃棄建設材料をミルに導入した。中スピードで粉砕を30min行った。20℃及び75%のプロセス空気の相対湿度で粉砕を行った。
【0115】
存在する場合には、廃棄建設材料を基準にして0.125重量%の合計量で追加の粉砕助剤を投入した。使用する場合には、プロセス空気(プロセス空気中6%CO)でミルにCOを導入することにより炭酸化を行った。
【0116】
規格EN933-1に記載のように骨材のシーブラインを決定した。
【0117】
下記表2は、行われた実施例の概観を示す。
【0118】
【表2】
【0119】
下記表3は、得られた結果の概観を示す。
【0120】
【表3】
【0121】
本発明の方法により取り出された骨材の真円度は、以上で引用したBlottによる論文に記載のCoxの方法に従って測定したとき、0.73~0.80であった。前破砕から取り出されて本発明による方法で処理されていない骨材の真円度は0.68であった。同一タイプであるが建設材料の作製に決して使用されていない骨材の真円度は0.8であった。
【0122】
実施例1~3の比較は、粉砕媒体としての鋼ボールの使用がとりわけ高いクリーニング効率及び比粉末摩耗をもたらすことを示す。しかしながら、粉砕媒体として鋼ボールを使用したときに得られる骨材の摩耗した鋼による汚染のリスクが存在する。そのほか、サイズ<0.063mmを有するより多量の小さな粒子を生じた。セラミックボールの使用もまた、満足な結果をもたらす。非常に小さな粒子の量は、鋼ボールによる粉砕と比較して有意に少なくより定常的な粒子サイズ分布であったことから、このことは有益である。驚くべきことに、粉砕媒体としてのコンクリートピースの使用は、セラミックボールの使用に匹敵する非常に満足すべき結果をもたらした(実施例2及び3を参照されたい)。しかしながら、粉砕媒体として使用されるコンクリートピースの場合、得られる骨材の望ましくない汚染のリスクは存在しない。
【0123】
実施例3~5の比較は、充填度の増加がより低クリーニング効率さらにまたより低い比粉末摩耗をもたらすことを示す。より低いクリーニング効率及びより低い比粉末摩耗は望ましくない。それにもかかわらず、ミルでのより高い充填度は、同一滞留時間でより高い材料スループットをもたらすので、改善されたプロセス全体の効率をもたらす。そのため、クリーニング効率と材料スループットと間の妥協点を可能にするように充填度を選ばなければならない。得られる骨材は、充填度がより高いときにより粗くなる傾向がある。
【0124】
実施例4、7、及び8の比較は、ミルでの粉砕媒体に対する廃棄建設材料の質量比の増加がクリーニング効率及び比粉末摩耗を低減することを示す。低減されたクリーニング効率及び低減された比粉末摩耗は望ましくない。それにもかかわらず、廃棄建設材料:粉砕媒体の質量比があまりにも低い場合、材料スループットひいてはプロセス全体の効率は低くなりすぎるおそれがある。クリーニング効率と材料スループットと間の妥協点を可能にするようにこの質量比を選ばなければならない。得られる骨材は、この質量比を増加させたときにより粗くなる傾向がある。
【0125】
実施例9は、炭酸化が比粉末摩耗の増加をもたらすことを示す(実施例5と比較されたい)。また、得られる骨材は、炭酸化を用いて粉砕を行ったときにより微細になる傾向がある。
【0126】
最後に、実施例10~14は、粉砕助剤の添加により骨材取出し方法を改善可能であることを示す。このことは、たとえば、実施例10~14の比粉末摩耗が実施例5又は9と比較してより高いことから分かる。
【0127】
下記表4は吸水率の結果を示す。吸水率は、規格EN1097-6:2013-09に準拠して測定された。
【0128】
参照として使用したグラベルは、入手したまま使用した未使用の破砕グラベルであった。
【0129】
【表4】
【0130】
表3の結果に対する考察と類似の観測を行うことが可能である。とりわけ、本発明の方法により取り出される骨材は、未処理廃棄建設材料と比較して、かなり低い吸水率を有することが表4の結果から分かる。骨材のより低い吸水率は有益である。なぜなら、より少ない混合用水を用いてひいてはより高い強度で、セメント系材料とりわけコンクリート又はモルタルを配合できるようになるからである。また、少なくとも粒子サイズ群4/8、8/16、及び16/32では、クリーン化骨材は、同一粒子サイズ群の未使用のグラベルの吸水率に類似した吸水率を有することも分かる。粒子サイズ群0.063/4では、観測される差はより大きく、これは、この粒子サイズ群でバインダーから生じる微粉砕鉱物質粉末の存在によるものであろう。
【0131】
トライアル2-モルタルでの試験
本発明の方法で取り出された骨材をモルタル配合物で試験した。乾燥モルタルは、以下の表5に示される量でCEM II/B-LL及び骨材から構成された。使用した骨材は、以下の表5に示されるように、砂、未処理廃棄建設材料、又は本発明の方法で取り出された骨材のどれかであった。乾燥モルタルは、0.4の水:バインダー比を実現するように水と混合された。混合は、Hobartミキサーで3min行われた。バインダー含有量を基準にして1重量%の量で混合用水と一緒に市販のポリカルボキシレート高性能減水剤(Sika Schweiz AGから入手可能なSikaViscoCrete 3088)を添加した。
【0132】
使用したすべて骨材を水で飽和した。使用したいずれの骨材の粒度曲線も、以下の通りであった。
【0133】
【表5-1】
【0134】
かかる粗い粒度のブレーン粉末度は、測定しても意味のある結果を得ることができない。
【0135】
下記表5は、実現された実施例及び測定された結果の概観を示す。スランプフローは、規格EN12350-5:2019-09に準拠して測定された。ファンネルフロー時間は、規格EN12350-9:2010-12に準拠して測定された。
【0136】
【表5-2】
【0137】
本発明の方法により取り出された骨材をモルタル配合物で使用したとき、このモルタル配合物は、同一モルタルと比較して増加されたスランプフロー及び低減されたファンネルフロー時間を有するが、未処理砂又は未処理廃棄建設材料を使用したとき、そうならないことが以上の表5から分かる。このことが当てはまるのは、それぞれの骨材の粒度曲線が同一のときである。増加されたスランプフロー及び/又は低減されたファンネルフロー時間は、より低い水需要の指標となる。本発明の方法により取り出された骨材を有する配合物中の混合用水の量を低減して、この配合物をたとえば標準砂を用いた配合物と同一のレオロジーに適応させることが可能である。低減量の混合用水が望ましいのは、これにより養生配合物の強度増加がもたらされるからである。同様に、本発明の方法により取り出された骨材を用いた配合物でセメント及び水の量を低減して、たとえば標準砂を用いた配合物と同一のレオロジー及び強度を達成することが可能である。これにより、元の砂の置換えレベルを高くすることが可能であり、且つ/又はセメントの節約を実現すること可能である。
【0138】
トライアル3-モルタルでの試験
本発明の方法で得られた骨材の試験を次のように行った。750gセメント(CEM I 42.5N)、141g石灰石充填材(Netstal AG製のNekafill 15)、及び2999g骨材(それぞれ、砂、コンクリート解体廃棄物、及び/又は本発明に係る骨材)をHobartミキサーにより乾燥状態で1分間混合した。添加した骨材は、以下の表6に示されるタイプものであった。使用した骨材の質量比もまた、以下の表6に与えられる。次いで、0.46の水対セメント比を実現するように水を添加した。混合用水は、セメントを基準にして0.6重量%の量でPCE-1を含有した。次いで、混合を3分間連続して行った。スランプフローは、以下の表6に示される時間後、規格EN12350-5:2019-09に準拠して測定された。使用したすべて骨材を水で飽和した。
【0139】
使用したいずれの骨材の粒度曲線も、以下の通りであった。
【0140】
【表6-1】
【0141】
【表6-2】
【0142】
本発明の方法で得られた骨材による30重量%の未使用の骨材の置換えレベルで、スランプフローの有意な変化は観測されないことが、以上の表6の結果から分かる(実施例3-1及び3-3を参照されたい)。そのため、なんらさらなる対策を講じることなく、かかるレベルでの置換えが可能である。それとは反対に、同一粒度の未処理廃棄建設材料を使用した場合、30重量%の未使用の骨材をかかる未処理廃棄建設材料により置き換えると、スランプフローの有意な損失が観測される(実施例3-1及び3-2を参照されたい)。
【0143】
本発明の方法で得られた骨材による50%の未使用の骨材の置換えレベルで、観測されたスランプフローの変化は、典型的な用途では許容可能である(実施例3-1及び3-5を参照されたい)。同一粒度の未処理廃棄建設材料を使用したとき、有意により低いスランプフローを生じる(実施例3-1~3-4を参照されたい)。
【国際調査報告】