(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】半導体工程用粘着組成物、これを含む半導体工程用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240412BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240412BHJP
C09J 4/04 20060101ALI20240412BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240412BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240412BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20240412BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240412BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/68 N
C09J4/04
C09J201/00
C09J11/06
C09J133/14
C09J7/38
H01L21/304 622J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564201
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 KR2022011220
(87)【国際公開番号】W WO2023146043
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0011247
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ホ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004DB01
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(57)【要約】
本発明は、ウエハキャリアのデボンディング工程中にも、ウエハに対する付着信頼性に優れた半導体工程用フィルムを実現できる半導体工程用粘着組成物、これを含む半導体工程用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性バインダー樹脂;光開始剤;およびレーザ吸収剤;を含み、
前記レーザ吸収剤は、250nm~350nmの波長のうち1つの波長値を有するレーザを吸収し、
前記光開始剤は、前記レーザと異なる波長を有する光によって活性化される半導体工程用粘着組成物。
【請求項2】
前記レーザ吸収剤は、300nm~320nmの波長のうち1つの波長値を有するエキシマレーザを吸収するものである、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項3】
前記レーザ吸収剤は、
トリアジン系化合物およびシアノアクリレート系化合物の少なくとも1つを含むものである、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項4】
前記光開始剤と前記レーザ吸収剤との重量比は、1:0.3~1:1.5である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項5】
前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記レーザ吸収剤の含有量は、0.5重量部以上3重量部以下である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項6】
前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記光開始剤の含有量は、1重量部以上5重量部以下である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項7】
前記粘着性バインダー樹脂は、
炭素数1~10のアルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体;および極性基含有(メタ)アクリレート系単量体;を含む単量体混合物の重合体と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物との反応生成物である(メタ)アクリル系共重合体を含むものである、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項8】
前記単量体混合物100重量部を基準として、前記炭素数1~10のアルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、60重量部以上85重量部以下である、請求項7に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項9】
前記単量体混合物100重量部に対して、前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、15重量部以上40重量部以下である、請求項7に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項10】
前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物の含有量は、前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体100mol%に対して、65mol%以上90mol%以下である、請求項7に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項11】
硬化剤をさらに含み、
前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記硬化剤の含有量は、0.5重量部以上1.5重量部以下である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項12】
310nmの波長値を有する光に対する光透過度が10%以下である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項13】
下記数式1を満足する、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物:
[数1]
0≦(T2-T1)/T1≦0.4 (数式1)
上記数式1中、
T1は、半導体工程用粘着組成物の310nmの波長値を有する光に対する初期光透過度(%)であり、
T2は、半導体工程用粘着組成物を240℃で10分間熱処理した後、310nmの波長値を有する光に対する光透過度(%)である。
【請求項14】
光硬化時に硬化度が50%以上である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項15】
光硬化後に粘着力が30gf/in以下である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項16】
下記数式2を満足する、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物:
[数2]
0.5≦(A1-A2)/A1≦0.99 (数式2)
上記数式2中、
A1は、半導体工程用粘着組成物の初期粘着力(gf/in)であり、
A2は、半導体工程用粘着組成物の光硬化後の粘着力(gf/in)である。
【請求項17】
光硬化前に粘着力が20gf/in以上である、請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物。
【請求項18】
基材と、
請求項1に記載の半導体工程用粘着組成物を含む粘着層と、を含む半導体工程用フィルム。
【請求項19】
離型フィルムを含み、
前記基材、粘着層、および離型フィルムは、この順に積層されるものである、請求項18に記載の半導体工程用フィルム。
【請求項20】
ウエハおよび前記ウエハの一面上に備えられたキャリアを含むウエハ積層体を用意するステップと、
請求項18に記載の半導体工程用フィルムの粘着層を前記ウエハの他面上に付着するステップと、
レーザを前記ウエハ積層体に照射して、前記ウエハの一面上から前記キャリアを剥離するステップと、
前記ウエハを加工するステップと、
前記粘着層に光を照射して硬化させた後、前記ウエハの他面から前記半導体工程用フィルムを剥離するステップと、を含む半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2022年1月26日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0011247号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
本発明は、半導体工程用粘着組成物、これを含む半導体工程用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体チップの製造工程は、ウエハに微細なパターンを形成する工程と、最終装置の規格に合うようにウエハを研磨してパッケージング(packaging)する工程とを含む。
【0003】
最近、半導体パッケージ技術の高性能化に伴って半導体の集積度が高くなり、ウエハ(wafer)の厚さが超薄型化されているので、工程中にウエハの円滑なハンドリングのためにキャリアを臨時にウエハに付着して用い、ウエハのハンドリング後にはキャリアを剥離するデボンディング工程を行う。
キャリアのデボンディング工程は、熱処理方法、レーザ照射方法を用いている。特に、エキシマレーザ(Excimer Laser)を用いてキャリアをデボンディングする工程は、選択的な領域で非常に速い加工が可能というメリットがある。
【0004】
ただし、エキシマレーザの出力が高く、大部分の半導体工程用フィルムの基材であるPETフィルム、PENフィルム、POフィルムなどは、エキシマレーザによって変形または損傷する問題がある。このため、キャリアのデボンディング工程中、半導体工程用フィルムの基材がエキシマレーザによって損傷を受け、これによって、半導体工程用フィルムが破断したり、粘着層で浮き上がったりする現象などが発生して、ウエハの付着信頼性が減少してウエハ加工工程に問題が発生しうる。
【0005】
このため、エキシマレーザを用いたキャリアのデボンディング工程中にも、ウエハに対する付着信頼性に優れた半導体工程用フィルムを開発できる技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ウエハキャリアのデボンディング工程中にも、ウエハに対する付着信頼性に優れた半導体工程用フィルムを実現できる半導体工程用粘着組成物、これを含む半導体工程用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージの製造方法を提供する。
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、粘着性バインダー樹脂;光開始剤;およびレーザ吸収剤;を含み、前記レーザ吸収剤は、250nm~350nmの波長のうち1つの波長値を有するレーザを吸収し、前記光開始剤は、前記レーザと異なる波長を有する光によって活性化される半導体工程用粘着組成物を提供する。
また、本発明の一実施態様は、基材と、前記半導体工程用粘着組成物を含む粘着層と、を含む半導体工程用フィルムを提供する。
【0008】
さらに、本発明の一実施態様は、ウエハおよび前記ウエハの一面上に備えられたキャリアを含むウエハ積層体を用意するステップと、前記半導体工程用フィルムの粘着層を前記ウエハの他面上に付着するステップと、レーザを前記ウエハ積層体に照射して、前記ウエハの一面上から前記キャリアを剥離するステップと、前記ウエハを加工するステップと、前記粘着層に光を照射して硬化させた後、前記ウエハの他面から前記半導体工程用フィルムを剥離するステップと、を含む半導体パッケージの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施態様に係る半導体工程用粘着組成物は、レーザを効果的に吸収し、光照射後に効果的に粘着力が低下可能な粘着層を容易に実現することができる。
本発明の一実施態様に係る半導体工程用フィルムは、ウエハキャリアのデボンディング工程時に照射されるレーザを効果的に吸収し、光照射後に効果的に粘着力が低下してウエハから容易に剥離できる。
【0010】
本発明の一実施態様に係る半導体パッケージの製造方法は、ウエハの加工後にエキシマレーザを用いてキャリアを容易に剥離することができ、光照射により半導体工程用フィルムを効果的に剥離可能で、半導体パッケージの製造効率を効果的に向上させることができる。
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施態様に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
本願明細書全体において、単位「重量部」は、各成分間の重量の比率を意味することができる。
本願明細書全体において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを通称する意味で使われる。
本願明細書全体において、「第1」および「第2」のように序数を含む用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われ、前記序数によって限定されない。例えば、発明の権利範囲内で第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0013】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本発明の一実施態様は、粘着性バインダー樹脂;光開始剤;およびレーザ吸収剤;を含み、前記レーザ吸収剤は、250nm~350nmの波長のうち1つの波長値を有するレーザを吸収し、前記光開始剤は、前記レーザと異なる波長を有する光によって活性化される半導体工程用粘着組成物を提供する。
【0014】
本発明の一実施態様に係る半導体工程用粘着組成物は、レーザを効果的に吸収し、光照射後に効果的に粘着力が低下可能な粘着層を容易に実現することができる。
【0015】
具体的には、前記半導体工程用組成物は、後述する半導体パッケージの製造方法において、半導体キャリアのデボンディング(剥離)のために照射されるエキシマレーザを効果的に吸収することができる。これにより、前記エキシマレーザが後述する半導体工程用フィルムの基材に到達するのを効果的に防止することができる。これによって、前記半導体工程用基材がエキシマレーザによって損傷したり変形したりするのを防止して、前記半導体工程用フィルムのウエハに対する付着信頼性をより向上させることができる。また、前記半導体工程用組成物は、前記レーザと異なる波長を有する光の照射により硬化して効果的に粘着力が減少できる。ウエハキャリアのデボンディング後、前記半導体工程用フィルムに光を照射して、前記半導体工程用組成物を含む粘着層の粘着力が効果的に減少できる。これにより、前記半導体工程用フィルムは、前記ウエハから効果的にデボンディングできる。
【0016】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザ吸収剤が吸収するレーザの波長範囲は、250nm~350nm、270nm~330nm、290nm~310nm、または300nm~320nmであってもよい。前記レーザは、前述した波長範囲のうち1つの波長値を有するものであってもよい。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザ吸収剤は、300nm~320nmの波長のうち1つの波長値を有するエキシマレーザを吸収することができる。具体的には、前記レーザ吸収剤は、エキシマレーザを吸収することができ、前記レーザ吸収剤が吸収するエキシマレーザの波長範囲は、305nm~315nm、300nm~320nm、または310nm~320nmであってもよい。前述した波長範囲を有するエキシマレーザは、後述する半導体パッケージの製造方法において、ウエハからキャリアのデボンディング工程を効果的に行うことができる。これによって、前記半導体工程用粘着組成物に含まれた前記レーザ吸収剤は、前述した波長範囲を有するエキシマレーザを効果的に吸収することができる。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザ吸収剤は、トリアジン系化合物およびシアノアクリレート系化合物の少なくとも1つを含むことができる。すなわち、前記レーザ吸収剤は、トリアジン系化合物を含むレーザ吸収剤およびシアノアクリレート系化合物を含むレーザ吸収剤の少なくとも1つを含むことができる。前述した化合物を含む前記レーザ吸収剤は、前述した波長範囲を有するエキシマレーザを効果的に吸収することができる。また、前記レーザ吸収剤を含む前記半導体工程用粘着組成物は、高温(例えば、240℃)で熱処理時にも光透過率が大きく変化せず、半導体パッケージ製造工程に適用することが容易であり得る。
【0019】
一方、ベンゾエート(benzoate)系化合物、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)系化合物、またはオキサニリド(Oxanilide)系化合物を含むレーザ吸収剤を使用する場合、前記エキシマレーザを効果的に吸収しにくく、高温で熱処理時に光透過率が大きく変化して、半導体パッケージ製造工程に適用しにくいことがある。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザ吸収剤に含まれる前記トリアジン系化合物は、2-(4,6-ジフェニル―1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(ADK STAB LA46、ADEKA製造)、2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン誘導体(Tinuvin1600、BASF製造)、2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb S、BASF製造)、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(TINUVIN460、BASF製造)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主にC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(TINUVIN400、BASF製造)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルとの反応生成物(TINUVIN405、BASF製造)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(TINUVIN1577、BASF製造)、および2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(TINUVIN479、BASF社製造)の少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
また、前記レーザ吸収剤に含まれる前記シアノアクリレート系化合物は、1,3-ビス-((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)2,2-ビス-(((2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)-プロパン(Uvinul3030、BASF製造)、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アルコキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、およびアルキニル-2-シアノアクリレートの少なくとも1つを含むことができる。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記レーザ吸収剤の含有量は、0.5重量部以上3重量部以下であってもよい。具体的には、前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記レーザ吸収剤の含有量は、0.7重量部以上2.7重量部以下、0.9重量部以上2.3重量部以下、1重量部以上2重量部以下、0.5重量部以上1.5重量部以下、または1重量部以上2.5重量部以下であってもよい。前記半導体工程用粘着組成物に含まれた前記レーザ吸収剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、エキシマレーザを効果的に吸収することができ、高温熱処理時にも光透過率が大きく変化せず、半導体パッケージ製造工程に適用することが容易であり得る。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、光開始剤を含むことができる。前記光開始剤として当業界にて使用される光開始剤を制限なく採用して使用可能である。具体的には、前記光開始剤は、ベンゾフェノン系光開始剤、アセトフェノン系光開始剤、ケタール系光開始剤、およびチオキサントン系光開始剤の少なくとも1つを含むことができる。前記光開始剤として、Irgacure#819(IGM Resins社)、Omnirad907(IGM Resins社)、HP-8(ミウォンスペシャルティ社)、Irgacure#651(BASF社)、Irgacure#184(BASF社)、Irgacure#1173(BASF社)およびCP-4(Irgacure#184)の少なくとも1つを使用することができるが、前記光開始剤の種類を限定するものではない。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記光開始剤の含有量は、1重量部以上5重量部以下であってもよい。具体的には、前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記光開始剤の含有量は、1.3重量部以上4.5重量部以下、1.5重量部以上4重量部以下、1.7重量部以上3.5重量部以下、2重量部以上3重量部以下、1重量部以上3重量部以下、または2重量部以上4重量部以下であってもよい。前記半導体工程用粘着組成物に含まれた前記光開始剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記レーザ吸収剤がエキシマレーザを吸収することを妨げることなく、光硬化時に粘着力が効果的に減少できる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、前記光開始剤と前記レーザ吸収剤との重量比は、1:0.3~1:1.5であってもよい。具体的には、前記光開始剤と前記レーザ吸収剤との重量比は、1:0.5~1:1.5、1:0.5~1:1.3、1:0.5~1:1、または1:0.3~1:1であってもよい。前記半導体工程用粘着組成物に含まれた前記光開始剤と前記レーザ吸収剤との重量比が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、エキシマレーザを効果的に吸収すると同時に、光硬化後に粘着力が効果的に減少できる。また、前記半導体工程用粘着組成物は、高温で熱処理時にも光透過率が大きく変化せず、半導体パッケージ製造工程に適用することが容易であり得る。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性バインダー樹脂は、炭素数1~10のアルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体;および極性基含有(メタ)アクリレート系単量体;を含む単量体混合物の重合体と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物との反応生成物である(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。
【0027】
前記粘着性バインダー樹脂が前記(メタ)アクリル系共重合体を含むことにより、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化前に優れた粘着物性を実現することができる。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、およびイソデシル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。第1(メタ)アクリレート系単量体として前述した範囲の炭素数を有するアルキル基を含む(メタ)アクリレート化合物を使用する場合、前記粘着層の物性が低下することを抑制することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記単量体混合物100重量部を基準として、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、60重量部以上85重量部以下、65重量部以上82.5重量部以下、70重量部以上80重量部以下、または72.5重量部以上78重量部以下であってもよい。前記アルキル基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、粘着力に優れ、前記半導体工程用基材で要求される物性を有することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、極性基含有(メタ)アクリレート系単量体は、極性基としてヒドロキシ基を含むことができる。前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことができる。ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート系単量体を使用することにより、前記(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度および重量平均分子量を調節して、前記半導体工程用基材で要求される物性を実現することができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記単量体混合物100重量部に対して、前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量は、15重量部以上40重量部以下、17.5重量部以上35重量部以下、20重量部以上30重量部以下、または20重量部以上25重量部以下であってもよい。前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、粘着力に優れ、前記(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度および重量平均分子量が適切な範囲に調節されて、前記半導体工程用基材で要求される物性を実現することができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記単量体混合物の重合体と(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物との反応生成物であってもよい。具体的には、前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記重合体と前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物との付加反応により形成される。この時、前記付加反応は、付加重合反応(addition polymerization reaction)を意味することができ、前記付加反応によって前記重合体の末端に存在するヒドロキシ基と前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物のイソシアネート基とが反応して、前記(メタ)アクリル系共重合体の側鎖にウレタン結合が形成される。前記(メタ)アクリル系共重合体の側鎖にウレタン結合が形成されることにより、前記半導体工程用粘着組成物を含む粘着層の剪断強度などの機械的物性を向上させることができ、前記半導体工程用基材で要求される物性を実現することができる。
【0033】
また、前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物が導入されることにより、前記半導体工程用粘着組成物は、エキシマレーザを吸収する物性と光硬化後に粘着力が低下する物性をより容易に実現することができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物は、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(Methacryloyloxyethyl isocyanate、MOI)およびアクリロイルオキシエチルイソシアネート(acryloyloxyethyl isocyanate、AOI)の少なくとも1つを含むことができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物の含有量は、前記極性基含有(メタ)アクリレート系単量体100mol%に対して、65mol%以上90mol%以下であってもよい。具体的には、前記重合体の製造時に使用された極性基含有(メタ)アクリレート系単量体100mol%に対して、65mol%以上90mol%以下、70mol%以上90mol%以下、75mol%以上90mol%以下、80mol%以上90mol%以下、または85mol%以上90mol%以下であってもよい。前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用組成物は、機械的物性が向上でき、前記半導体工程用基材で要求される物性を実現することができる。また、前記(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート系化合物の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、エキシマレーザを吸収する物性と光硬化後に粘着力が低下する物性をより容易に実現することができ、高温(例えば、240℃)で熱処理時にも光透過率が大きく変化せず、半導体パッケージ製造工程に適用することが容易であり得る。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、硬化剤をさらに含むことができる。この時、前記硬化剤は、熱硬化剤であってもよいし、熱硬化剤として当業界にて使用されるものを制限なく使用可能である。例えば、前記硬化剤としてイソシアネート系硬化剤を使用することができるが、前記硬化剤の種類を限定するものではない。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性バインダー樹脂100重量部に対して、前記硬化剤の含有量は、0.5重量部以上1.5重量部以下であってもよい。前記硬化剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体工程用粘着組成物は、100℃以上150℃以下の温度で熱処理時に、効果的に粘着層を形成することができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、310nmの波長値を有する光に対する光透過度が10%以下であってもよい。具体的には、前記半導体工程用粘着組成物は、310nmの波長値を有する光に対する光透過度が9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.3%以下であってもよい。また、前記半導体工程用粘着組成物は、310nmの波長値を有する光に対する光透過度が0.1%以上、0.3%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、または3%以上であってもよい。310nmの波長値を有する光に対する光透過度が前述した範囲を満足する前記半導体工程用粘着組成物は、エキシマレーザを効果的に吸収することができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、下記数式1を満足することができる。
[数1]
0≦(T2-T1)/T1≦0.4 (数式1)
上記数式1中、T1は、半導体工程用粘着組成物の310nmの波長値を有する光に対する初期光透過度(%)であり、T2は、半導体工程用粘着組成物を240℃で10分間熱処理した後、310nmの波長値を有する光に対する光透過度(%)である。具体的には、上記数式1の(T2-T1)/T1値は、0以上0.35以下、0以上0.3以下、0以上0.25以下、0以上0.2以下、0以上0.15以下、または0以上0.1以下であってもよい。上記数式1を満足する前記半導体工程用組成物は、エキシマレーザを効果的に吸収することができ、高温(例えば、240℃)で熱処理時にも光透過率が大きく変化せず、半導体パッケージ製造工程に適用することが容易であり得る。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化時に硬化度が50%以上であってもよい。具体的には、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化時に硬化度が60%以上、または70%以上であってもよく、90%以下、または80%以下であってもよい。光硬化後に硬化度が前述した範囲を満足する前記半導体工程用粘着組成物は、光の照射により効果的に硬化して粘着性がより容易に低下できる。前記半導体工程用粘着組成物の光硬化後の硬化度は、後述のように、FT-IRを用いて、光照射前と光照射後のC=C(炭素間二重結合)ピーク面積により計算することができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化前に粘着力が20gf/in以上であってもよい。具体的には、前記半導体工程用粘着組成物の光硬化物を含む粘着層のウエハに対する粘着力は、20gf/in以上、40gf/in以上、60gf/in以上、70gf/in以上、または80gf/in以上であってもよい。また、前記半導体工程用粘着組成物の光硬化物を含む粘着層のウエハに対する粘着力は、200gf/in以下、180gf/in以下、160gf/in以下、140gf/in以下、または120gf/in以下であってもよい。光硬化前に粘着力が前述した範囲を満足する前記半導体工程用粘着組成物を含む粘着層を含む半導体工程用フィルムは、半導体工程中にウエハをよく固定することができ、半導体チップが飛ぶチップフライング(Chip flying)現象および半導体チップの端が欠けるチッピング(Chipping)現象の発生を防止することができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化後に粘着力が30gf/in以下であってもよい。具体的には、前記半導体工程用粘着組成物の光硬化物を含む粘着層のウエハに対する粘着力は、30gf/in以下、20gf/in以下、10gf/in以下、7.5gf/in以下、5gf/in以下、または3.5gf/in以下であってもよい。また、前記半導体工程用粘着組成物は、光硬化後に粘着力が2gf/in以上、2.5gf/in以上、3gf/in以上、または4gf/in以上であってもよい。光硬化後に粘着力が前述した範囲を満足する前記半導体工程用粘着組成物は、後述する半導体パッケージの製造方法で使用される半導体工程用フィルムが要求される物性を容易に実現することができる。
【0043】
前記半導体工程用粘着組成物の光硬化後の粘着力を測定するために、半導体工程用粘着組成物に対して200nm~400nmの波長範囲を有するUVを2,000mJ~4,000mJの条件で照射することができる。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用粘着組成物は、下記数式2を満足することができる。
[数2]
0.5≦(A1-A2)/A1≦0.99 (数式2)
上記数式2中、A1は、半導体工程用粘着組成物の初期粘着力(gf/in)であり、A2は、半導体工程用粘着組成物の光硬化後の粘着力(gf/in)である。具体的には、上記数式2の(A1-A2)/A1値は、0.5以上0.99以下、0.6以上0.99以下、0.7以上0.99以下、0.8以上0.99以下、0.9以上0.99以下、または0.95以上0.99以下であってもよい。上記数式2を満足する前記半導体工程用組成物は、光硬化前に比べて光硬化後に粘着力が効果的に低下して、後述する半導体パッケージの製造方法で使用される半導体工程用フィルムが要求される物性を容易に実現することができる。
【0045】
本発明の一実施態様は、基材と、前記半導体工程用粘着組成物を含む粘着層と、を含む半導体工程用フィルムを提供する。
本発明の一実施態様に係る半導体工程用フィルムは、ウエハキャリアのデボンディング工程時に照射されるレーザを効果的に吸収し、光照射後に効果的に粘着力が低下してウエハから容易に剥離できる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体工程用フィルムは、離型フィルムを含み、前記基材、粘着層、および離型フィルムがこの順に積層されるものであってもよい。前記離型フィルムは、前記半導体工程用フィルムの粘着層を保護する役割を果たすことができる。前記離型フィルムは、前記粘着層をウエハの表面に付着する前に剥がれる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、前述した実施態様に係る半導体工程用粘着組成物を含むことができる。具体的には、前記粘着層は、前記半導体工程用粘着組成物の熱硬化物(または乾燥物)を含むことができる。すなわち、液状の半導体工程用粘着組成物を前記基材上に塗布した後、100℃以上150℃以下の温度で3分~10分間熱処理して、フィルム状の粘着層を形成することができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層の厚さは、25μm以上であってもよい。具体的には、前記粘着層の厚さは、25μm以上50μm以下、27μm以上48μm以下、30μm以上45μm以下、30μm以上42μm以下、30μm以上40μm以下、または25μm以上35μm以下であってもよい。前記粘着層の厚さが前述した範囲内の場合、前記半導体工程用フィルムは、半導体ウエハに安定的に粘着可能であり、ウエハの加工工程中に優れた付着信頼性を実現することができる。
本発明の一実施態様によれば、前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、PEN((polyethylenemaphthatlate)フィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムであってもよいが、前記基材の種類を限定するものではない。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記基材の厚さは、10μm以上100μm以下であってもよい。具体的には、前記基材の厚さは、20μm以上80μm以下、40μm以上60μm以下、10μm以上70μm以下、15μm以上65μm以下、25μm以上62.5μm以下、30μm以上57μm以下、35μm以上55μm以下、45μm以上50μm以下、40μm以上100μm以下、42.5μm以上75μm以下、45μm以上72.5μm以下、または50μm以上65μm以下であってもよい。前記基材の厚さが前述した範囲内の場合、機械的物性に優れた前記半導体工程用フィルムを実現することができる。
【0050】
本発明の一実施態様は、ウエハおよび前記ウエハの一面上に備えられたキャリアを含むウエハ積層体を用意するステップと、前記半導体工程用フィルムの粘着層を前記ウエハの他面上に付着するステップと、レーザを前記ウエハ積層体に照射して、前記ウエハの一面上から前記キャリアを剥離するステップと、前記ウエハを加工するステップと、前記粘着層に光を照射して硬化させた後、前記ウエハの他面から前記半導体工程用フィルムを剥離するステップと、を含む半導体パッケージの製造方法を提供する。
【0051】
本発明の一実施態様に係る半導体パッケージの製造方法は、ウエハの加工後にエキシマレーザを用いてキャリアを容易に剥離することができ、光照射により半導体工程用フィルムを効果的に剥離可能で、半導体パッケージの製造効率を効果的に向上させることができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記ウエハは、先加工されていないシリコンウエハ自体であるか、または先加工されたウエハであってもよい。例えば、前記先加工されたウエハは、ウエハの表面に機能性コーティングが備えられるか、配線、バンプ(bump)などが形成されているデバイスウエハ(device wafer)であってもよい。ただし、前記ウエハの種類を限定するものではなく、当業界にて用いられるウエハを制限なく適用可能である。
【0053】
図1は、本発明の一実施態様に係る半導体パッケージの製造方法を概略的に示す図である。
図1の(a)を参照すれば、ウエハWの一面上にキャリア10を備えて、ウエハ積層体を用意することができる。この時、前記キャリアは、ウエハキャリアであってもよいし、当業界にてウエハキャリアとして用いられるものを制限なく使用可能である。例えば、前記キャリアとして、ガラス、シリコン、シリコンナイトライド、または石英などを使用することができる。
【0054】
図1の(b)を参照すれば、前述した実施態様に係る半導体工程用フィルムの粘着層22がウエハWの他面上に付着するようにラミネーションすることができる。以後、キャリア10から半導体工程用フィルムの基材21に向かう方向へ、レーザLを照射することができる。この時、前記レーザは、前述したエキシマレーザであってもよい。一方、前述のように、前記半導体工程用粘着組成物を含む粘着層は、レーザ吸収剤を含むことにより、前記レーザを吸収して、前記レーザが前記基材に到達するのを効果的に防止することができる。これにより、前記キャリアのデボンディング(剥離)工程で前記基材が変形したり損傷したりすることを効果的に抑制して、前記半導体工程用フィルムのウエハに対する優れた付着信頼性を効果的に維持させることができる。
【0055】
図1の(c)を参照すれば、レーザLを照射した後、ウエハWの一面上からキャリア10を剥離(デボンディング)させることができる。以後、当業界にて一般的に用いられる方法により、半導体ウエハを加工することができる。半導体ウエハの加工が完了した後、前記基材から前記ウエハに向かう方向へ、光を照射することができる。この時、前記光は、200nm~400nmの波長範囲を有する紫外線(UV)であって、2,000mJ~4,000mJの条件で照射される。前記光の照射により、前記粘着層は光硬化して粘着力が大幅に減少できる。
【0056】
図1の(d)を参照すれば、粘着力が減少した粘着層22をウエハWの他面から剥離(デボンディング)して、加工が完了した半導体ウエハを得ることができる。
【0057】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。
実施例1
粘着性バインダー樹脂の製造
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた反応器に、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)76.35g、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)23.65gからなる単量体の混合物を投入した。次に、前記単量体混合物100gを基準として、溶剤のエチルアセテート(EAc)200gを投入し、前記反応器内に酸素を除去するために窒素を注入しながら、30℃で30分以上十分に混合した。以後、温度を65℃に上昇維持し、反応開始剤のV-60(Azobisisbutylonitrile)0.1gを分割投入し、反応を開始させた後、6時間重合して1次反応物(重合体)を製造した。
【0059】
前記1次反応物に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)26.88g(1次反応物中のHEAに対して85モル%)および触媒(DBTDL:dibutyl tin dilaurate)を0.27g配合し、40℃で24時間反応させて、1次反応物中の重合体側鎖に紫外線硬化基を導入して光重合性側鎖を有する(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)を製造した。この時、製造された(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)の重量平均分子量は約700,000g/molであった。
【0060】
半導体工程用粘着組成物の製造
光開始剤としてIrgacure819(IGM Resins社)を用意し、レーザ吸収剤としてトリアジン系化合物である2-(4,6-ジフェニル―1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(LA46、ADEKA製造)を用意し、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤のAK-75を用意した。
以後、前記製造された(メタ)アクリレート系共重合体100重量部に対して、光開始剤2重量部、レーザ吸収剤1重量部、硬化剤0.95重量部を混合して、半導体工程用粘着組成物を製造した。
【0061】
半導体工程用フィルムの製造
前記製造された半導体工程用粘着組成物がコーティングに適当な粘度(約1,000cp)となるように溶剤のメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、撹拌機を用いて15分間混合した。常温で半導体工程用粘着組成物を放置して混合中に発生した気泡を除去し、アプリケータを用いて離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)上に塗布した後、マティスオーブン(mathis oven)を用いて110℃で4分間乾燥して、約30μmの厚さの粘着層を形成した。以後、基材として一面上にコロナ処理された厚さ50μmのPENフィルム(Q65H、Toyob社)のコロナ処理面に粘着層をラミネーションし、40℃で3日間熟成して、半導体工程用フィルムを製造した。
【0062】
実施例2
前記実施例1で製造された(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)を用意した。以後、レーザ吸収剤としてトリアジン系化合物であるTinuvin1600(BASF製造)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0063】
実施例3
前記実施例1で製造された(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)を用意した。以後、レーザ吸収剤としてシアノアクリレート系化合物であるUvinul3030(BASF製造)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0064】
実施例4
前記実施例3において、粘着性バインダー樹脂100重量部に対してレーザ吸収剤の含有量を2重量部に調節したことを除き、前記実施例3と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0065】
実施例5
前記実施例3において、光開始剤としてOmnirad907(IGM Resins社)を用い、基材として厚さ50μmのPETフィルム(TOR50、SKC社)を用いたことを除き、前記実施例3と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0066】
【表1】
前記表1中、A1はIrgacure819、A2はOmnirad907を示し、B1はLA46、B2はTinuvin1600、B3はUvinul3030を示し、C1はPENフィルム、C2はPETフィルムを示す。また、前記表1中、光開始剤とレーザ吸収剤の含有量は、(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)100重量部に対するもの(重量部)である。
【0067】
比較例1
前記実施例1において、半導体工程用粘着組成物の製造時にレーザ吸収剤を用いないことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0068】
比較例2
レーザ吸収剤としてベンゾエート(benzoate)系化合物であるSONGSORB UV-1(ソンウォン産業社)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0069】
比較例3
レーザ吸収剤としてベンゾトリアゾール(benzotriazole)系化合物であるSONGSORB CS928(ソンウォン産業社)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0070】
比較例4
レーザ吸収剤としてオキサニリド(Oxanilide)系化合物であるSONGSORB CS312(ソンウォン産業社)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0071】
【表2】
前記表2中、A1はIrgacure819を示し、B4はSONGSORB UV-1、B5はSONGSORB CS928、B6はUvinul3030、B6はSONGSORB CS312を示し、C1はPENフィルムを示す。また、前記表2中、光開始剤とレーザ吸収剤の含有量は、(メタ)アクリレート系共重合体(粘着性バインダー樹脂)100重量部に対するもの(重量部)である。
【0072】
前記実施例1において、半導体工程用粘着組成物の製造時にレーザ吸収剤を用いないことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体工程用粘着組成物および半導体工程用フィルムを製造した。
【0073】
実験例
光透過度の測定
前記実施例1~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層自体に対する光透過度を下記のように測定した。
実施例1で製造された半導体工程用粘着組成物を用いて製造された粘着層を単独でLCD Bare glass(0.5mmの厚さ)に貼り合わせて、50mm×50mmサイズのサンプルを作製した。以後、Shimadzu-UV2500を用いて、200nm~800nmの波長帯での光透過度を測定した後、310nmでの光透過度数値を確認した。
【0074】
一方、前記製造されたサンプルをオーブンに入れて、240℃で10分間保管した後、Shimadzu-UV2500を用いて、200nm~800nmの波長帯での光透過度を測定した後、310nmでの光透過度数値を確認した。
また、実施例2~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層に対しても、同様の方法により光透過度を測定した。
熱処理前の光透過度と熱処理後の光透過度、上記数式1により計算された光透過度の変化率を下記表3に示した。
【0075】
硬化度の測定
前記実施例1~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層に対する硬化度を下記のように測定した。
【0076】
実施例1で製造された半導体工程用粘着組成物を用いて製造された粘着層が備えられた半導体工程用フィルムを用意した。以後、半導体工程用フィルムの基材から粘着層に向かう方向へ、3,000mJのUV(約350nm~400nm)を照射した後、IRのピーク変化を計算する方式で硬化度を測定した。
【0077】
具体的には、FT-IR ATRモードで測定し、UV照射前とUV照射後の814nmのC=Cピーク面積を確認し、下記数式3により硬化度(%)を計算した。
[数3]
硬化度(%)=(1-((UV照射後の814nmのC=Cピーク面積)/(UV照射前の814nmのC=Cピーク面積)))X100 (数式3)
【0078】
また、実施例2~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層に対しても、同様の方法により硬化度を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0079】
粘着力の測定
前記実施例1~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層のウエハに対する粘着力を下記のように測定した。
【0080】
実施例1で製造された半導体工程用粘着組成物を用いて製造された粘着層が備えられた半導体工程用フィルムを用意した。以後、半導体工程用フィルムを1inch×25cmのサイズに切断した後、粘着層をウエハに貼り合わせ、常温で1日間放置した。以後、TA(texture analyze)を用いて、速度0.3mpm、剥離角度180°で半導体工程用フィルムをウエハから剥離して剥離力(粘着力)を測定した。
【0081】
一方、前記用意された別のサンプルに対して、半導体工程用フィルムの基材から粘着層に向かう方向へ、3,000mJのUV(約350nm~400nm)を照射した。以後、前記と同様の方法により剥離力(粘着力)を測定した。
【0082】
また、実施例2~実施例5、比較例1~比較例4で製造された粘着層に対しても、同様の方法により剥離力(粘着力)を測定した。
【0083】
UV照射前の剥離力(粘着力)、UV照射後の剥離力(粘着力)、上記数式2により計算された剥離力(粘着力)の変化率を下記表3に示した。
【0084】
外観評価
前記実施例1~実施例5、比較例1~比較例4で製造された半導体工程用フィルムに対して、エキシマレーザを照射した後に外観評価を進行させた。
実施例1で製造された半導体工程用粘着組成物を用いて製造された粘着層が備えられた半導体工程用フィルムを用意した。以後、半導体工程用フィルムの粘着層から基材に向かう方向へ、308nmの波長値を有するエキシマレーザを照射した。以後、半導体工程用フィルムの基材と粘着層との界面に気泡、ヒューム発生、浮き上がりなどがあれば「X」と評価し、なければ「O」と評価した。
【0085】
また、実施例2~実施例5、比較例1~比較例4で製造された半導体工程用フィルムに対しても、外観評価を進行させ、その結果を下記表3に示した。
【0086】
【0087】
前記表3を参照すれば、本発明の実施例1~実施例5で製造された半導体工程用粘着組成物を用いることにより、310nmでの初期光透過度が低いながらも、熱処理後に光透過度の変化率が低く、UV硬化前には優れた粘着力を有しながらも、UV硬化後に粘着力が効果的に減少する粘着層を提供できることが分かる。また、実施例1~実施例5で製造された半導体工程用粘着組成物を用いて製造された粘着層が備えられた半導体工程用フィルムの場合、エキシマレーザ照射後の外観評価結果が優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0088】
W:ウエハ
10:キャリア
21:基材
22:粘着層
L:レーザ
【国際調査報告】