(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ハイブリッドライブラリラッチアレイ
(51)【国際特許分類】
G11C 11/412 20060101AFI20240412BHJP
G11C 11/418 20060101ALI20240412BHJP
H03K 19/173 20060101ALI20240412BHJP
H03K 3/356 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G11C11/412
G11C11/418 120
H03K19/173 170
H03K3/356 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565476
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022027791
(87)【国際公開番号】W WO2022235879
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジェイ. ウー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ジェイ. シュレイバー
【テーマコード(参考)】
5B015
5J042
5J300
【Fターム(参考)】
5B015KA09
5B015NN01
5B015PP01
5B015PP08
5J042CA20
5J042DA01
5J300QA05
5J300SB02
5J300TB08
(57)【要約】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)は、高速SRAMビットセル及び高速マルチプレクサ回路を含み、これらは、ハイブリッド標準セルアーキテクチャの高速セルの第1の行内に形成されている。低速SRAMビットセル及び低速マルチプレクサ回路は、低速セルの第2の行内に形成されている。低速マルチプレクサ回路は、高速SRAMビットセルに列出力を提供し、高速マルチプレクサ回路は、低速SRAMビットセルに列出力を提供する。したがって、1つのSRAM列は、高速ビットセルと、低速マルチプレクサ段と、を有し、一方、隣接するSRAM列は、低速ビットセルと、高速マルチプレクサ段と、を有し、それによって、SRAMを読み出す場合の性能バランスの改善を提供する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であって、
第1の複数のビットセル及び第1の複数のマルチプレクサ回路と、
第2の複数のビットセル及び第2の複数のマルチプレクサ回路と、を備え、
前記第1の複数のビットセルは、前記第2の複数のマルチプレクサ回路のうち第1のマルチプレクサ回路に結合されており、
前記第2の複数のビットセルは、前記第1の複数のマルチプレクサ回路のうち第2のマルチプレクサ回路に結合されており、
前記第1の複数のビットセル及び前記第1の複数のマルチプレクサ回路は、第1の性能レベルを有し、前記第2の複数のビットセル及び前記第2の複数のマルチプレクサ回路は、前記第1の性能レベルよりも低い第2の性能レベルを有する、
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)。
【請求項2】
前記SRAMは、前記第1の性能レベルを有する第1のセルと、前記第2の性能レベルを有する第2のセルと、を交互に並べた行(ロウ)を含む、
請求項1のSRAM。
【請求項3】
前記第1の性能レベルを有する第3の複数のビットセルと、
前記第2の性能レベルを有する第4の複数のビットセルと、を備え、
前記第3の複数のビットセルは、前記第2の複数のマルチプレクサ回路のうち第3のマルチプレクサ回路に結合されており、
前記第4の複数のビットセルは、前記第1の複数のマルチプレクサ回路のうち第4のマルチプレクサ回路に結合されている、
請求項1又は2のSRAM。
【請求項4】
前記第1のマルチプレクサ回路及び前記第3のマルチプレクサ回路は、前記第2の複数のマルチプレクサ回路のうち第5のマルチプレクサ回路に結合されており、
前記第2のマルチプレクサ回路及び前記第4のマルチプレクサ回路は、前記第1の複数のマルチプレクサ回路のうち第6のマルチプレクサ回路に結合されている、
請求項3のSRAM。
【請求項5】
前記第1の性能レベルは、少なくとも部分的に、トランジスタフィンガ当たりのフィンの第1の数に従って決定され、前記第2の性能レベルは、少なくとも部分的に、トランジスタフィンガ当たりのフィンの第2の数に従って決定され、前記フィンの第1の数は、前記フィンの第2の数よりも大きい、
請求項1又は2のSRAM。
【請求項6】
前記フィンの第1の数は2であり、前記フィンの第2の数は1である、
請求項5のSRAM。
【請求項7】
前記第1の複数のビットセルは、前記SRAMの第1の列(カラム)の少なくとも一部を形成しており、前記第2の複数のビットセルは、前記SRAMの第2の列の少なくとも別の部分を形成している、
請求項1又は2のSRAM。
【請求項8】
前記第1の列及び前記第2の列は、前記SRAM内で隣接している、
請求項7のSRAM。
【請求項9】
前記第1の複数のビットセル及び前記第2の複数のビットセルの各々は、ラッチビットセルである、
請求項7のSRAM。
【請求項10】
前記第1の複数のビットセル及び前記第2の複数のビットセルの各々は、書き込みマスクされたビットセルである、
請求項7のSRAM。
【請求項11】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)を動作させるための方法であって、
第1の性能レベルを有する第1の複数のビットセルからの第1のビットセル出力を、第2の性能レベルを有する第1のマルチプレクサに供給することであって、前記第2の性能レベルは前記第1の性能レベルよりも低い、ことと、
前記第1のビットセル出力のうち何れかを、前記第1のマルチプレクサからの第1のマルチプレクサ出力信号として供給することと、
前記第2の性能レベルを有する第2の複数のビットセルからの第2のビットセル出力を、前記第1の性能レベルを有する第2のマルチプレクサに供給することと、
前記第2のビットセル出力のうち何れかを、第2のマルチプレクサ出力信号として供給することと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記第1の性能レベルを有する第3の複数のビットセルからの第3のビットセル出力を、前記第2の性能レベルを有し、第3のマルチプレクサ出力信号を供給する第3のマルチプレクサに供給することと、
前記第2の性能レベルを有する第4の複数のビットセルからの第4のビットセル出力を、前記第1の性能レベルを有し、第4のマルチプレクサ出力信号を供給する第4のマルチプレクサに供給することと、を含む、
請求項11の方法。
【請求項13】
前記第1のマルチプレクサ出力信号及び前記第3のマルチプレクサ出力信号を、前記第2の性能レベルを有し、第5のマルチプレクサ出力信号を供給する第5のマルチプレクサ回路に供給することと、
前記第2のマルチプレクサ出力信号及び前記第4のマルチプレクサ出力信号を、前記第1の性能レベルを有し、第6のマルチプレクサ出力信号を供給する第6のマルチプレクサ回路に供給することと、
前記第5のマルチプレクサ出力信号を、第1のSRAM列(カラム)からの読み出しデータビットとして供給することと、
前記第6のマルチプレクサ出力信号を、前記第1のSRAM列に隣接する第2のSRAM列からの別の読み出しデータビットとして供給することと、を含む、
請求項12の方法。
【請求項14】
前記第1の性能レベルは、少なくとも部分的に、トランジスタフィンガ当たりのフィンの第1の数に従って決定され、前記第2の性能レベルは、少なくとも部分的に、トランジスタフィンガ当たりのフィンの第2の数に従って判定され、前記フィンの第1の数は、前記フィンの第2の数よりも大きい、
請求項11~13の何れかの方法。
【請求項15】
前記フィンの第1の数は2であり、前記フィンの第2の数は1である、
請求項14の方法。
【請求項16】
第1の書き込みマスクされたビットセルからの前記第1のビットセル出力と、第2の書き込みマスクされたビットセルからの前記第2のビットセル出力と、を供給することを含む、
請求項11~13の何れかの方法。
【請求項17】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であって、
第1の性能レベルを有する第1のセルの第1の行(ロウ)内に形成された、第1の複数のSRAMビットセル及び第1のマルチプレクサ回路と、
前記第1の性能レベルよりも低い第2の性能レベルを有する第2のセルの第2の行内に形成された、第2の複数のSRAMビットセル及び第2のマルチプレクサ回路と、を備え、
前記第2のマルチプレクサ回路は、前記第1の複数のビットセルの各々の第1の出力を受信するように結合されており、前記各々の第1の出力のうち何れかを第2のマルチプレクサ出力信号として選択し、
前記第1のマルチプレクサ回路は、前記第2の複数のSRAMビットセルの各々の第2の出力を受信するように結合されており、前記各々の第2の出力のうち何れかを第1のマルチプレクサ出力信号として選択する、
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)。
【請求項18】
前記第1の複数のSRAMビットセル及び前記第2の複数のSRAMビットセルは、隣接するSRAM列(カラム)にある、
請求項17のSRAM。
【請求項19】
前記第1の性能レベルを有する前記第1の行内の第3の複数のビットセルと、
前記第2の性能レベルを有する前記第2の行内の第4の複数のビットセルと、を備え、
前記第3の複数のビットセルは、前記第2の行内の第3のマルチプレクサ回路に結合されており、前記第4の複数のビットセルは、前記第1の行内の第4のマルチプレクサ回路に結合されている、
請求項17又は18のSRAM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、SRAM及びSRAMビットセルに関する。SRAMは、従来、6T又は8Tビットセルを使用する。SRAMは、典型的に多数のビットセルを含むので、SRAMビットセル面積利用の効率を確実にすることは、利用されるシリコン面積に関してSRAMのコストを低減するために重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(本発明の実施形態の開示)
したがって、一実施形態では、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)は、第1の複数のビットセルと、第1の複数のマルチプレクサ回路と、を含む。SRAMは、第2の複数のビットセルと、第2の複数のマルチプレクサ回路と、を更に含む。第1の複数のビットセルは、第2の複数のマルチプレクサ回路の第1のマルチプレクサ回路に結合されており、第2の複数のビットセルは、第1の複数のマルチプレクサ回路の第2のマルチプレクサ回路に結合されている。第1の複数のビットセル及び第1の複数のマルチプレクサ回路は、第1の性能レベルを有し、第2の複数のビットセル及び第2の複数のマルチプレクサ回路は、第1の性能レベルよりも低い第2の性能レベルを有する。
【0003】
別の実施形態では、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)を動作させるための方法は、第1の複数のビットセルからの第1のビットセル出力を、第1のマルチプレクサに供給することを含み、第1の複数のビットセルは、第1の性能レベルを有し、第1のマルチプレクサは、第1の性能レベルよりも低い第2の性能レベルを有する。第1のマルチプレクサは、第1のビットセル出力のうち何れかを、第1のマルチプレクサからの第1のマルチプレクサ出力信号として供給する。本方法は、第2の性能レベルを有する第2の複数のビットセルからの第2のビットセル出力を、第1の性能レベルを有する第2のマルチプレクサに供給することを更に含む。第2のマルチプレクサは、第2のビットセル出力のうち何れかを、第2のマルチプレクサ出力信号として供給する。
【0004】
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)は、第1の複数のSRAMビットセルと、第1の性能レベルを有するセルの第1の行(row)内の標準セルから形成される第1のマルチプレクサ回路と、を含む。第2の複数のSRAMビットセル及び第2のマルチプレクサ回路は、第1の性能レベルよりも低い第2の性能レベルを有する第2のセルの第2の行内に形成される。第2のマルチプレクサ回路は、第1の複数のビットセルのそれぞれの第1の出力を受信し、それぞれの第1の出力のうち何れかを、第2のマルチプレクサ出力信号として選択する。第1のマルチプレクサ回路は、第2の複数のSRAMビットセルのそれぞれの第2の出力を受信し、それぞれの第2の出力のうち何れかを、第1のマルチプレクサ出力信号として選択する。
【0005】
本発明は、添付の図面を参照することによってより良好に理解され、その数々の目的、特徴及び利点が当業者に明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による、ラッチビットセルの一実施形態を示す図である。
【
図2】ラッチビットセルの例示的なレイアウトを示す図である。
【
図3】ラッチビットセルの読み出し部分及び書き込み部分において、異なる閾値電圧がどのように使用され得るかを示す図である。
【
図4】32個のラッチビットセルの列(column)を示す図である。
【
図5】各々が64行のラッチビットセルを有する2つの列の高レベルブロック図である。
【
図6】書き込みマスクされたラッチビットセルの一実施形態を示す図である。
【
図7】書き込みマスクされたラッチビットセルのレイアウトを示す図である。
【
図8】書き込みマスクされたラッチビットセルの別の実施形態を示す図である。
【
図9】WRZERO又はWRONEXパルスを発生させるためのパルス発生器の一実施形態を示す図である。
【
図10】
図8の書き込みマスクされたラッチビットセルのレイアウトを示す図である。
【
図11】
図1のラッチビットセルによって形成される列の一実施形態を示す図である。
【
図12A】トランジスタフィンガ当たり2つのフィンを有する従来的な標準セルアーキテクチャを示す図である。
【
図12B】トランジスタフィンガ当たり2つのフィンとトランジスタフィンガ当たり1つのフィンとの交互セルを有するハイブリッド標準セルアーキテクチャを示す図である。
【
図12C】トランジスタフィンガ当たり1つのフィン及びトランジスタフィンガ当たり2つのフィンを有するfinfetの高レベルブロック図である。
【
図13】ハイブリッド標準セルライブラリを利用するラッチビットセルアレイの実施形態を示す図である。
【
図14】
図13の実施形態よりもバランスのとれた性能を提供するハイブリッド標準セルライブラリを利用するラッチビットセルアレイの実施形態を示す図である。
【
図15】ラッチビットセルアレイの一実施形態の高レベルブロック図である。
【
図16】マスクされた書き込みビットセルを使用するラッチビットセルアレイの一実施形態の高レベルブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
異なる図面における同じ符号の使用は、類似又は同一のアイテムを示す。
【0008】
8トランジスタ(eight transistor、8T)スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)アレイは、より新しい技術ノードにおいて面積に関して十分にスケーリングしていない。しかしながら、標準セル設計規則で構築された回路は、より新しい技術ノードにおいて相対的に良好にスケーリングし続ける。標準セル設計規則でSRAMアレイを構築することにより、より多くのトランジスタが存在する場合であっても、より小さい面積を使用することが可能になる。
図1は、個別の読み出しポートと、書き込みポートと、を有する、ラッチビットセル100として実装されたSRAMビットセルを示している。ラッチビットセル100は、8T SRAMビットセルの8個のトランジスタと比較してビット当たり12個のトランジスタを使用するが、標準セル設計規則の使用に起因して、特定の製造技術においては依然として使用する面積がより少ないことに留意されたい。ラッチタイプのビットセルと古典的な6T/8T SRAMビットセルとの間の有意な違いは、ラッチビットセルは、書き込み中にフィードバックを無効化することである。対照的に、6T/8Tビットセルでは、パスゲート(pass gate)は、書き込みを実行するためにプルアップに抵抗する必要がある。ラッチビットセルは、書き込み中にそのような競合を有しない。
【0009】
標準セル設計規則を使用して実装される
図1の手法は、カスタムSRAMマクロの使用に必要なオーバーヘッドがなくなり、それによって、面積が低減することを意味する。例えば、標準セルレイアウト規則の使用により、標準セルロジックへの0接続ポリピッチ(connected poly pitch、CPP)(トランジスタ間の水平方向の距離)の隣接が可能になる。SRAMに対するより従来的な手法は、リソグラフィ目的のために必要とされる境界セル及びエッジセルを有する。標準セル設計規則が良好にスケーリングされるので、ラッチビットセル100及び標準セル設計規則に基づいてSRAMセルを実装することにより、SRAM設計が、将来の標準アーキテクチャと同様に面積においてスケーリングすることを可能にする。
【0010】
図1に示すラッチビットセルは、より多くのセルにわたってラッチに通常存在するローカル逆変換器を償却する。
図1に示すラッチビットセルは、書き込みビット線(write bit line、WBL)と、書き込みワード線(WWL)と、アクティブロー(low)書き込みワード線(WWLX)と、読み出しワード線(RWL)と、アクティブロー(low)読み出しワード線(RWLX)と、を含む、ラッチへの入力に従来使用されていたであろうローカルな逆変換器を除去する。より従来的なラッチアレイでは、CMOS組み合わせ段がラッチ間で使用される。ラッチビットセル100は、RBL101に対するトライステート出力を使用する。ラッチビットセルによるトライステートドライバの使用により、いくつかのセル、例えば、16個のセルの出力(読み出しビット線)が、出力データの任意の追加の組み合わせ段(NOR/NAND化等)を回避するためにトライステート出力ドライバを使用して一緒に組み合わされることを可能にする。
【0011】
図2は、水平方向における7個のトランジスタを示す、ラッチビットセル100のスティックレイアウトを示している。ボックスは、トランジスタのソース/ドレイン接続を示す。トランジスタのゲート領域は、
図1のトランジスタと同一のラベルを有する垂直線として示されている。長い垂直線201は、例えばトランジスタPFBO及びNFBO並びにトランジスタPINV及びNINVによる共有ゲート接続を示す。ボックス内に空白がある場合、
図1では名前が付けられていないノードがあるが、識別されていないソース/ドレイン接続及びゲート接続を
図1で容易に見ることができる。レイアウトは、ダミーセル(DUM)トランジスタを含む。ダミーは、形成されているが接続されていないトランジスタである。ダミートランジスタの使用は、他のトランジスタ間の分離を提供するための効率的な方法を提供する。また、ダミートランジスタの使用は、閾値電圧(Vt)に関して使用されるトランジスタのタイプを変更する能力における利点を提供する。実施形態において、ラッチの書き込み部分(トランジスタPPG、NPG、PINV、NINV、NFB1、NFB0、PFB0、PFB1)は、高性能を必要としないが、ラッチの読み出し部分(トランジスタPRP1、PRP0、NRP0、NRP1)は、高性能を必要とする。トランジスタ名の最初の文字は、トランジスタのタイプ(N又はP)を指し、残りの文字は、その機能(PGはパスゲート、INVは逆変換器、FBはフィードバック、RPは読み出しポート)を指すことに留意されたい。
【0012】
図3を参照すると、トランジスタPRP0、PRP1、NRP0、NRP1を含むラッチビットセル100の読み出し部分301が、(超低Vt(ulvt)等の)より低いVtトランジスタを使用して実装されることを可能にし、それによって、必要とされる高性能を提供し、一方で、
図3のダミートランジスタの左側のラッチビットセル100の書き込み部分303は、(低Vt(lvt)トランジスタ等の)より高い閾値電圧トランジスタで実装される。Vtがより高いトランジスタは、より低い性能を提供するが、漏れもより少なくなり、Vtがより低いトランジスタは、性能に必要とされる場合にのみ利用される。したがって、このレイアウトオプションにより、異なる性能要件を有する読み出しポートと書き込みポートとで異なる閾値電圧が利用されることを可能にし、それによって、ビットセルの一部分のみに対する性能要件を満たすために全てのデバイスに対してより低いVtデバイスを使用しなければならないことと比較して、漏れ電流が低減されるのを可能にする。読み出しポート及び書き込みポート内のトランジスタは、近隣のセル間で拡散を共有し、可能であれば、最適化されていない設計に対してxtor(トランジスタ)負荷を半分に削減する。
【0013】
再び
図1を参照して、ラッチビットセル100の動作を説明する。書き込みビット線WBL102上のセルに書き込まれるデータ(本明細書では書き込みデータ(write data、WD)とも称される)は、トランジスタNPG及びPPGから形成されるパスゲート103に供給される。ゲート又はそれらのトランジスタは、それぞれ、書き込みワード線(WWL)及び書き込みワード線X(WWLX)に結合されており、ここで、「X」は、信号がアクティブローであることを表す。WWL及びWWLXがアサートされる場合、WBL上のデータは、データ「D」として、トランジスタPINV及びNINVによって形成される逆変換器104に渡される。トランジスタNFB1及びPFB1は、WWL及びWWLXがアサートされる場合にオフになる。ビットラッチセル100のフィードバック部分におけるNFB0及びPFB0のゲートは、逆変換器からの出力D_X(「D」の逆変換値)を受信する。また、ラッチの読み出し部分106内のPRP1及びNRP1のゲートもD_Xを受信する。WWL及びWWLXがデアサートされる場合、パスゲート103が遮断され、トランジスタNFB1及びPFB1がオンになり、これによりD_XがトランジスタNFB0又はPFB0のうち何れかをオンにしてフィードバック信号として「D」を供給することが可能になる。トランジスタNFB1、NFB0、PFB0、PFB1は、キーパ回路108として機能し、トランジスタPINVとNINVとによって形成される逆変換器とともに、WWL及びWWLXがデアサートされた場合にノードD上のデータが維持されることを確実にする。このようにして、Dの値は、ラッチビットセル100の書き込み部分に維持され、ラッチが読み出される場合に利用可能である。ラッチビットセル100において、PMOSトランジスタPINV、PFB1、PRP1は、それらのソースにおいて電源電圧(VDD)に結合される。NMOSトランジスタNINV、NFB1、NRP1は、それらのソースにおいて第2の電源電圧(接地)に結合される。
【0014】
ラッチビットセルを読み出すために、読み出しワード線(RWL)及びRWLXがアサートされ、それぞれNRP0及びPRP0をオンにする。「X」は、アクティブロー信号を示すことに留意されたい。RWL及びRWLXのアサーションにより、D_Xの値が、本明細書では読み出しデータ(read data、RD)とも称される出力信号読み出しビット線(read bit line、RBL)101の値を判定することが可能になる。RWL及びRWLXがデアサートされる場合、RBLは、ハイインピーダンスに設定され、他のSRAMセルが読み出されるように選択された場合に、他のSRAMセルがRBLを駆動することを可能にする。
【0015】
図4は、32個のラッチビットセルのグループが、ラッチビットセルの2つのグループ(ビット<31:16>及びビット<15:0>)に形成される実施形態を示している。ラッチビットセルの各グループは、マルチプレクサ401にビットを供給し、マルチプレクサ401は、ビット<31:16>又はビット<15:0>の何れかからビットを選択し、選択されたビットをrdData403上に供給する。
図4の実施形態では、ラッチビットセルの読み出し側の3ステートドライバにより、16ビット(一度に1つだけアクティブ)がマルチプレクサ401に供給される同じRBLを駆動することが可能になる。したがって、複数のラッチビットセルが同時にRBLを駆動しないことを確実にするために、各グループ[31:16]及び[15:0]において一度に1つのRWL/RWLXのみがオンになるが、これにより高電流状況を引き起こす可能性がある。また、RWL/RWLX信号のうち何れかがアクティブであり、ビットセルのうち何れかがRBL上に高論理レベル又は低論理レベルを駆動することを確実にすることも重要である。デアサートされている全てのRWL/RWLX対は、RBL上に浮動ノードをもたらし、これは、VDDとVSSとの間の中間の信号を受信する下流CMOSゲートにおいて高電流引き込みを引き起こす可能性がある。
【0016】
図5は、64行及び2列のビットセルを有する実施形態のブロック図を示し、マルチプレクサ501は、64行及び2列から1ビットを選択する。説明を容易にするために
図5には示されていないが、
図5に示される実施形態は、書き込み列マルチプレクサ機能も必要とする。これを達成する1つの方法は、WWL/WWLX対を偶数物理列に供給し、別のWWL/WWLX対を奇数物理列に供給することである。このようにして、1つおきのセルに書き込むことができる。書き込みマルチプレクサ機能を達成する別の方法は、本明細書で更に説明するように、書き込みマスクを使用することである。
【0017】
書き込み動作中、特定のワード線に対するワード線がアサートされる場合、ワード線内の全てのビットは、状態を変化させることができる。ワード線内の全てのビットの状態を変化させるのではなく、ワード線の選択されたセルのみに書き込むことが有利であり、これは、書き込み動作をより効率的にするのに役立つ。したがって、
図6に示される別の実施形態では、ラッチビットセル600は書き込みマスクを含む。書き込みマスクは、書き込み1X(WRONEX)信号(ここで、「X」は、信号がアクティブローであることを表す)と、書き込み0(WRZERO)信号と、を利用する。書き込みマスク回路は、トランジスタPWD601及びNWD603で形成されており、ここで、WDは、書き込みデータを表す。WRONEXがアサートされる(アクティブローになる)と、書き込みデータ(WD)ノードは、トランジスタPWDを介してハイにプルされ、WRZEROがアサートされる場合、WDノードは、トランジスタNWDを介してローにプルされる。書き込みマスクにより、全てのセルの状態を変化させることなく、セルの行に対する書き込みワード線がアサートされ得る。例えば、ワード線をアサートし、且つ、書き込みマスクを使用して、対象のセルのみが書き込まれることを確実にすることによって、ワード線上の1バイト又は数ビットのみを変化させることができる。WDの値を判定するために使用されるトランジスタPWD及びNWDに加えて、書き込みマスクされたラッチビットセル600は、キーパ回路605において使用されるトランジスタNFB2及びPFB2を含む。これらのトランジスタを使用して、WWL及びWWLXがアサートされた場合でもラッチビットセルが状態を維持するように、キーパ回路のフィードバック機能が動作し続けることを保証する。WWLXがアサートされた場合、NFB1がオフになり、WWLがアサートされた場合、PFB1がオフになる。トランジスタNFB2及びPFB2は、ビットがラッチビットセルの書き込みを事実上阻止する書き込みマスクを有する場合、キーパ回路が、WWL及びWWLXがアサートされた場合にNFB0とPFB0との間のノードからの正しい値で「D」を駆動し続けることを確実にする。WRONEX及びWRZEROがデアサートされる場合、WDが浮動することに留意されたい。PWD及びNWDトランジスタをビットセル自体に組み込むことによって、中間ノードWD上の静電容量は、WWL/WWLXがアサートされる場合のセル安定性問題を回避するのに十分に低く保たれる。キーパスタック(keeper stack、KSTK)ノードPKSTK602及びNKSTK604は、
図6においてラベル付けされている。
【0018】
図7は、
図6に示される書き込みマスクされたラッチビットセル600のレイアウトのスティック図である。
図6の解決策は、
図2に示されるレイアウトと比較して、4つのトランジスタによってセルのサイズを増加させ、余分なダミーセルを含むことに留意されたい。したがって、書き込みマスクされたラッチビットセル600(
図6)は、
図1に示されるラッチビットセル100についての
図2のレイアウト(7CPP)と比較して、3CPPから10CPPの増加を示す。
【0019】
図8は、
図6の書き込みマスクされたラッチビットセル600と比較して、書き込みマスクされたラッチビットセル800のより効率的な実施形態を示している。書き込みマスクされたラッチビットセル600内のキーパスタックノードに結合された余分なトランジスタNFB2及びPFB2は、書き込みマスクされたラッチビットセル800内のNFB1及びPFB1を置き換えることに留意されたい。書き込みマスクされたラッチビットセル800は、WWL及びWWLXがアサートされた場合(
図1及び
図6を参照のこと)に、NFB1及びPFB1をオフにすることによってキーパ回路805を無効化せず、代わりに、書き込みマスクされたラッチビットセル800は、WRONEX又はWRZEROがアサートされたことに応じて、単にキーパを無効化する。これにより、ラッチビットセル800がマスクされている場合に、ラッチビットセル800が状態を保持することを確実にする。WWL及びWWLXは、書き込みマスクされたラッチビットセル800内のパスゲートトランジスタPPG及びNPGのみに結合されることに留意されたい。WRONEXがアサートされる(アクティブローになる)場合、トランジスタNFB2がオフになり、WRZEROがアサートされる場合、トランジスタPFB2はオフになる。WWLX及びWWLがアサートされると仮定すると、WRONEXがアサートされる場合、ノードWDはハイになり、ノードDはハイになり、WRZEROがアサートされる(アクティブローになる)場合、ノードWDはローになり、ノードDはローになる。それぞれのマスクライン(WRONEX及びWRZERO)がデアサートされる場合、NFB2及びPFB2の両方がオンになり、キーパ回路は、トランジスタPINVとNINVとによって形成される逆変換器によって提供されるD_Xの値に従ってノードDの値を維持する。D_Xは、トランジスタNFB0をオンにしてノードDについて低い値を維持するか、又は、PFB0をオンにしてノードDについて高い値を維持する。書き込みマスク回路は、トランジスタPWD801及びNWD803によって形成され、これは
図6に示される実施形態と同様である。トランジスタPRP1、PRP0、NRP0、NRP1によって形成される、書き込みマスクされたラッチビットセル800の読み出し側は、それぞれ
図1及び
図6に示される先のラッチビットセルの実施形態100及び600と同一である。
【0020】
WRONEX又はWRZEROの何れかがアサートされる場合にはいつでも、WRONEX及びWRZEROに結合された列内の全てのビットセルのキーパ回路が無効化される。これは、WRONEXをアサートすることによってNFB2がオフになることで、D_XがNFB0及びNFB2を介してVSSにプルされることが防止され、WRZEROをアサートすることによってPFB2がオフになることで、D_XがPFB0及びPBF2を介してBDDにプルされることが防止されるからである。したがって、ノードDは、WRONEX又はWRZEROのアサーションに応じて浮動する。WRONEX又はWRZEROのアサーションが十分に長い場合、WRONEX又はWRZEROのアサーションによって無効化されるNFB1又はPFB1に起因してキーパ回路の少なくとも一部がオフになるので、列に沿ったセルは状態を変化させることができる。したがって、WRONEX及びWRZEROは、パルス書き込みとしてアサートされるべきである。ひいては、これらの信号は、自己タイミングパルスとして、いくつかの逆変換器遅延の長さ、例えば50psでアサートされるべきである。パルスは、例えば9個の逆変換器を使用して発生させることができる。逆変換器の数は、使用される技術に依存する。
図9は、WRZERO用のパルス回路901及びWRONEX用のパルス回路903の実施形態を示している。
図9に示されるパルス回路の各々において、奇数個の逆変換器が使用されていることに留意されたい。
図9において、論理ゲートへの入力(書き込み0及び書き込み1)は、アクティブハイであると仮定される。WRONEX及びWRZEROに好適なパルス幅を提供する多くの他のパルス発生器回路が当業者に知られている。パルスは、1つのセルを書き込むのに十分な長さとすべきであるが、列に沿った他のセルが、パルス中にノードDが浮動するために状態を失わないように十分に短くあるべきであり、したがって、
図6に示される書き込みマスクされたラッチビットセルと比較して、追加の書き込みマスク能力に対する面積ペナルティは相対的に小さい。
【0021】
図10は、
図8の回路のレイアウトの一例を示している。ラッチビットセル800に必要なダミートランジスタは1つのみであることに留意されたい。
図10に示されるラッチビットセル800のレイアウトは、
図2に示されるベースラインラッチビットセル100に対して1つの余分なCPPのみを有する。
【0022】
図11は、
図1に示されたラッチのラッチアレイ列を示し、単一の標準セル行に形成されている。「単一の標準セル行」という用語は、集積回路の物理的行を指し、SRAMの論理的行を指すものではないことに留意されたい。非ハイブリッド標準セルライブラリ規則を用いた標準設計では、全てのデバイスは、通常、同じ数のフィンを有する。従来的な標準セルアーキテクチャでは、デバイスの全ての行が同じ高さを有する。finfetの世界では、これは概して、フィンガ当たりのフィンの数が同一であることも意味する。
図12Aは、フィンガ当たり2つのフィンを有する、PFET及びNFETの従来的な標準セルアーキテクチャを示している。各標準セルは、行において均一であり、P及びNトランジスタを有している。
【0023】
ハイブリッド標準セルアーキテクチャは、高性能標準セル及び高密度(であるが性能はより低い)標準セルの交互の行を利用する。例えばこれは、一実施形態では、高性能セルの場合はトランジスタフィンガ当たり2つのフィン、より低性能セルはトランジスタフィンガ当たり1つのフィンを有することを意味する。
図12Bに示されるように、それは、より高いセル及びより低いセルの交互の行と、より短い行と、をもたらす。ハイブリッド標準セルアーキテクチャの利点は、より小さい面積及び低減された電力であるが、より短いセル高さは、より大きい2フィンセルと比較して、性能の減少をもたらす。
図12Cは、例示的なトランジスタフィンガデバイス1201当たり1つのフィン、及び、トランジスタフィンガデバイス1203当たり2つのフィンを示している。
【0024】
図13は、従来的な標準セルライブラリからハイブリッド標準セルライブラリ手法に移行して、標準セルラッチアレイを構築することの結果として、隣接するビット間の性能がアンバランスになる可能性があることを示している。例えば、列1301内のビットセルは、例えば、フィンガ当たり2つのフィンを有する「高速」標準セルから形成される。論理SRAM列1301は、図示した実施形態では、ハイブリッド行アーキテクチャの物理高速行内にある。列1303内のビットセルは、例えばフィンガ当たり1つのフィンを有する「低速」セルである。したがって、列1301内のビットセルのうち何れかからRddata[1]1302を読み出すことは、列1302からRddata[0]1304を読み出すことよりも速く行われる。したがって、隣接するビットは、異なるタイミング(一方が速く、他方が遅い)で読み出されるが、これは望ましくない。
【0025】
高速セルと低速セルとの間でよりバランスのとれた性能を提供するために、
図14に示される実施形態は、1つの列からのビットセルのグループ、例えば、列1401(高速物理行)又は1403(低速物理行)内のビットセルを使用するが、他の行からのマルチプレクサ回路を使用する。例えば、低速マルチプレクサ1407は、32個の高速ビットセルから1ビットを選択する。32個の高速ビットセルは、高速ビットセル1404(ビット<15:0>のうち1つのみが示されている)及び高速ビットセル1406(ビット<31:16>のうち1つのみが示されているである。高速マルチプレクサ1415は、32個の低速ビットセルから1ビットを選択する。32個の低速ビットセルは、低速ビットセル1409(ビット<15:0>)のうち1つのみが示されている)及び低速ビットセル1411(ビット<31:16>のうち1つのみが示されている)である。同様に、高速ビットセル1421及び1423は、低速マルチプレクサ1425を使用し、低速ビットセル1427及び1429は、高速マルチプレクサ1431を使用する。高速マルチプレクサ1435によって供給される読み出しデータ(Rddata[1])は、高速マルチプレクサ(2フィン)を有するが、低速ビットセル(1フィン)を有し、読み出しデータ(Rddata[0])は、低速マルチプレクサ(1フィン)を有するが、高速ビットセル(2フィン)を有する。したがって、1つの論理SRAM列は高速ビットセルと、低速マルチプレクサ段と、を有し、一方、隣接するSRAM論理列は低速ビットセルと、高速マルチプレクサ段と、を有する。これは、1つおきのビットが有意に異なるタイミング、すなわち高速と低速とを有するアレイと比較して、改善された性能バランスを提供する。
【0026】
図15は、ビットセルのアレイのより上位レベルのブロック図を示している。
図14は、列1401及び1403内のビットセルとして利用されている
図1のラッチビットセルを示す一方、他の実施形態では、他のビットセルを使用することができる。
図16は、
図6のマスクされた書き込みラッチビットセル600又は
図8のマスクされた書き込みラッチビットセル800が利用される実施形態を示している。
図16は、マスク信号WRONEX及びWRZERO信号がビットセルに分配されていることを示す。
【0027】
以上、ビットセル及びマルチプレキシング段がよりバランスのとれた読み出しタイミングを提供するために交互になる、高性能標準セル及び高密度標準セルの交互の行を有するハイブリッドセル標準セルアーキテクチャが説明されている。本明細書に記載された本発明の説明は、例示的なものであり、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に開示される実施形態の変形及び修正は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される説明に基づいて行われ得る。
【国際調査報告】