(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】改善された高圧プラズマ処理のための装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/40 20060101AFI20240412BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240412BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
C23C14/40
H05H1/46 M
H01L21/31 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568305
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022027854
(87)【国際公開番号】W WO2022235920
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, ウィリアム アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラフォレット, コリー ユージン
(72)【発明者】
【氏名】サヴァンダイヤ, キランクマール ニーラサンドラ
【テーマコード(参考)】
2G084
4K029
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA04
2G084CC05
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084FF06
4K029CA05
4K029DC27
4K029DC35
4K029DC39
4K029DC45
5F045AA19
5F045AC11
5F045AC16
5F045EH16
5F045EM05
(57)【要約】
高圧プラズマ処理のための装置の実施形態が、本明細書で提供される。幾つかの実施形態では、装置が、プラズマ処理チャンバ内に基板支持体(静電チャックなど)用の絶縁体板及び接地ブラケットを含む。幾つかの実施形態では、高圧プラズマ処理のための装置が、静電チャック、静電チャックから間隔空けて配置された接地リターンブラケット、及び静電チャックと接地リターンブラケットとの間に配置された誘電体板を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧プラズマ処理のための装置であって、
静電チャック、
前記静電チャックから間隔を空けて配置された接地リターンブラケット、及び
前記静電チャックと前記接地リターンブラケットとの間に配置された誘電体板を備える、装置。
【請求項2】
前記誘電体板は、前記静電チャックを前記接地リターンブラケットから少なくとも10mm分離する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、
ベース、及び
前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁を更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
中空支持シャフトを更に備え、前記ベースは、前記中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中空支持シャフトに結合された中央開口部を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された中央開口部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合されている、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記接地リターンブラケットは、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記径方向に延在する外側フランジは、実質的に平面的であり、前記凹んだ中央部分は、前記静電チャックを支持する中空支持シャフトが貫通して延在し得る中央開口部を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記接地リターンブラケットに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体板は、前記静電チャックの外径よりも大きい外径を有し、前記接地リターンブラケットは、前記誘電体板の前記外径を越えて径方向に延在し、前記複数の接地ループは、前記誘電体板の径方向外側で前記接地リターンブラケットに結合されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記接地リターンブラケット内の複数の対応する開口部を通して、前記誘電体板を前記接地リターンブラケットに固定するためのファスナを受容するために、前記誘電体板を通る複数の貫通孔を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体板、前記接地リターンブラケット、及び前記静電チャックを貫通して配置された整列した開口部であって、前記静電チャックの支持面に対して基板を上げ下げするために、前記開口部を通るリフトピンの移動を容易にするように配置された開口部を更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングであって、前記ハウジングは、中央開口部を有するベースと前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁とを更に備え、前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された中央開口部を含む、ハウジング、
中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中央開口部の周りで前記ベースに結合された前記中空支持シャフトであって、前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合され、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有し、前記凹んだ中央部分は、前記中空支持シャフトが通って延在する中央開口部を有する、前記中空支持シャフト、及び
前記接地リターンブラケットの前記径方向に延在する外側フランジに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項15】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングであって、前記ハウジングは、中央開口部を有するベースと前記誘電体板の中央開口部内で前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁とを備え、前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された前記中央開口部を含む、ハウジング、
中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中央開口部の周りで前記ベースに結合された前記中空支持シャフトであって、前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合され、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有し、前記凹んだ中央部分は、前記中空支持シャフトが通って延在する中央開口部を有する、前記中空支持シャフト、
前記誘電体板、前記接地リターンブラケット、及び前記静電チャックを貫通して配置された整列した開口部であって、前記静電チャックの支持面に対して基板を上げ下げするために、前記開口部を通るリフトピンの移動を容易にするように配置された開口部、及び
前記接地リターンブラケットの前記径方向に延在する外側フランジに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
高圧プラズマ処理のためのプロセスチャンバであって、
内部に内部空間を有するチャンバ本体、及び
前記内部空間内に配置された請求項1から7のいずれか一項に記載の基板支持体を備える、プロセスチャンバ。
【請求項17】
前記基板支持体に対向して前記内部空間内に配置されたターゲットを更に備える、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項18】
VHFバンド内のRF電力を前記プロセスチャンバに提供するために、前記プロセスチャンバに結合されたVHF RF源を更に備える、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項19】
前記接地リターンブラケットに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項16から18のいずれか一項に記載のプロセスチャンバ。
【請求項20】
前記誘電体板は、前記静電チャックの外径よりも大きい外径を有し、前記接地リターンブラケットは、前記誘電体板の前記外径を越えて径方向に延在し、前記複数の接地ループは、前記誘電体板の径方向外側で前記接地リターンブラケットに結合されている、請求項19に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、基板処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] プラズマプロセスチャンバは、典型的には、基板を支持するための基板支持体、及び基板支持体に対向して配置されたターゲットを含む。ターゲットは、処理中に基板の上にスパッタリングするための材料源を提供する。RF電力が、プラズマプロセスチャンバに供給されて、ターゲットと基板支持体との間に配置された処理空間内にプラズマを生成する。プラズマプロセスの中には、基板上の所望の膜堆積特性や位置(例えば、基板上に配置されたフィーチャ内の良好な下面カバレージのため)を可能にするために、高圧を必要とするものがあった。しかし、本発明者らは、このようなより高い圧力のプラズマプロセス中に、アーク放電やプラズマリークが生じ得ることを観察している。
【0003】
[0003] したがって、本発明者らは、高圧プラズマ処理のための改善された装置を提供した。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 高圧プラズマ処理のための装置の実施形態が、本明細書で提供される。幾つかの実施形態では、装置が、プラズマ処理チャンバ内に基板支持体(静電チャックなど)用の絶縁体板及び接地ブラケットを含む。幾つかの実施形態では、プラズマ処理チャンバが、物理的気相堆積チャンバであり得る。幾つかの実施形態では、開示される絶縁体板及び接地ブラケット構成が、超高周波(VHF)バンド内のRF電力を使用してプラズマを提供しながら、最大約480mTorrまでの圧力で最大約6kWまでのプラズマ出力を可能にする。開示される装置の複数の実施形態は、従来の基板支持体の設計と比較して、アーク放電及び/又はプラズマリークが低減され又は全く発生せずに、安定したプラズマ生成を可能にする。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態では、高圧プラズマ処理のための装置が、静電チャック、静電チャックから間隔を空けて配置された接地リターンブラケット、及び静電チャックと接地リターンブラケットとの間に配置された誘電体板を含む。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、高圧プラズマ処理のためのプロセスチャンバが、内部に内部空間を有するチャンバ本体、及び内部空間内に配置された基板支持体を含む。基板支持体は、静電チャック、静電チャックから間隔を空けて配置された接地リターンブラケット、及び静電チャックと接地リターンブラケットとの間に配置された誘電体板を含み得る。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバが、基板支持体に対向して内部空間内に配置されたターゲットを更に含む。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバが、VHFバンド内のRF電力をプロセスチャンバに提供するために、プロセスチャンバに結合されたVHF RF源を更に含む。
【0007】
[0007] 本開示の他の及び更なる実施形態が、以下で説明される。
【0008】
[0008] 上記で簡潔に要約され、以下でより詳細に説明される本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解することができる。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容し得ることから、付随する図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009] 本開示の少なくとも幾つかの実施形態による、改善された高圧プラズマ処理のために構成されたプロセスチャンバの概略側面図を示す。
【
図2】[0010] 本開示の少なくとも幾つかの実施形態による、改善された高圧プラズマ処理のために構成されたプロセスチャンバの概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0011] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりではなく、分かりやすくするために簡略化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、その他の実施形態に有益に組み込まれてよい。
【0011】
[0012] 高圧プラズマ処理のための装置の実施形態が、本明細書で提供される。幾つかの実施形態では、装置が、プラズマ処理チャンバ内に基板支持体(静電チャックなど)用の絶縁体板及び接地ブラケットを含む。幾つかの実施形態では、プラズマ処理チャンバが、物理的気相堆積チャンバであり得る。幾つかの実施形態では、開示される絶縁体板及び接地ブラケット構成が、超高周波(VHF)バンド内(例えば、約30から約300MHz、又は幾つかの実施形態では約100~200MHz)のRF電力を使用してプラズマを提供しながら、最大約480mTorrまでの圧力で最大約6kWまで又は最大約9kWまでのプラズマ出力を可能にする。開示される装置の複数の実施形態は、従来の基板支持体の設計と比較して、アーク放電及び/又はプラズマリークが低減され又は全く発生せずに、安定したプラズマ生成を可能にする。複数の実施形態では、絶縁体板及び接地ブラケットの設計が、有利なことに、静電チャックへのRFホット信号とRFリターンとの間の距離を長くすることによってRF経路間のキャパシタンスを増加させて、より高いチャンバ圧力とVHF電力とで動作している間に、浮遊プラズマを低減させ及び/又は除去する。開示される装置用に適した用途の一例は、フィーチャ内のタングステン堆積であり、これは、チャネルのオーバーハングを最小限に抑えて良好な下面カバレージを得るために高圧プラズマを必要とする。本発明者らは、従来のRF接地リターンブラケットを用いて必要とされる圧力でそのようなプロセスを行ったときに、アーク放電と不安定なプラズマとを観察している。
【0012】
[0013]
図1は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態による、高圧プラズマ処理のために構成されたプロセスチャンバ100(例えば、プラズマ処理チャンバ)の概略側面図を示している。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100が、物理的気相堆積チャンバである。しかし、異なるプロセスのために構成された他の種類の処理チャンバも、本明細書で説明される複数の実施形態で使用され得るか、又は使用されるように改修され得る。
【0013】
[0014] プロセスチャンバ100は、基板処理中に内部空間120内の大気圧以下の圧力を維持するように適切に適合された減圧チャンバである。プロセスチャンバ100は、内部空間120の上側半分内に位置付けられた処理空間119を囲む、リッドアセンブリ104によってカバーされたチャンバ本体106を含む。チャンバ本体106及びリッドアセンブリ104は、アルミニウムなどの金属で作製されてよい。チャンバ本体106は、アース端子115との結合を介して接地されてよい。
【0014】
[0015] 基板支持体124が、例えば、半導体ウエハなどの基板122(又は静電的に保持されてよいような他のそのような基板)を支持及び保持するために、内部空間120内に配置される。基板支持体124は、概して、ペデスタル136上に配置された静電チャック150と、ペデスタル136及び静電チャック150を支持するための中空支持シャフト112とを備えてよい。静電チャック150は、内部に配置された1以上の電極154を有する誘電体板を備える。ペデスタル136は、概して、ステンレス鋼などの金属で作製されている。ペデスタル136は、プロセスチャンバに供給されるRF用のRFリターン経路を提供するための接地リターンブラケット129を含み得る。接地リターンブラケット129は、有利なことに、静電チャック150の背面から離れるように、及び1以上の電極154から離れるように配置される。これは、有利なことにアーク放電を最小限に抑える。誘電体板128は、接地リターンブラケット129と静電チャック150との間に配置されて、この領域内でのプラズマの発光を防止する。誘電体板128は、接地リターンブラケット129をプロセス空洞及び静電チャック150から絶縁する。
【0015】
[0016] 幾つかの実施形態では、誘電体板128が、接地リターンブラケット129と静電チャック150とのいずれか又は両方に直接結合され得るか、又は接するように配置され得る。誘電体板128は、単一の構成要素であり得るか、又は複数の構成要素から作製され得る。複数の構成要素は、本明細書で開示されるように、接地リターンブラケット129と静電チャック150との間に誘電体間隙を提供する。幾つかの実施形態では、誘電体板128が、静電チャック150の外径よりも大きい外径を有する。
【0016】
[0017] 例えば、幾つかの実施形態では、1以上の電極154と接地リターンブラケット129との間の距離が、RF結合を防止するように選択され、チャンバ内の条件(例えば、RF電力やチャンバ圧力など)に依存することになる。RF結合が所与のチャンバ圧力やバイアス電力などに対して生じ得る、幾つかの閾値距離が存在することになる。幾つかの実施形態では、閾値距離が、数mmのオーダーである。幾つかの実施形態では、静電チャック150を接地リターンブラケット129から分離するために、誘電体板128を一桁厚くすることができる(例えば、少なくとも10mm、少なくとも20mm、若しくは少なくとも30mm、又は幾つかの実施形態では約30mm)。誘電体板128(及びしたがって静電チャック150と接地リターンブラケット129との間の分離)のより大きい厚さは、有利なことに、典型的なPVDプロセスよりもはるかに高い圧力/電力範囲で(例えば、約350mTorr若しくは約480mTorr又はそれより上、最大6kWまで又は最大約9kWまでのRF電力で、及び約30から約300MHz、又は幾つかの実施形態では約100~200MHzのRF周波数で)動作しているときでさえ、強化されたアーク放電及び/又は浮遊プラズマ保護を促進する。
【0017】
[0018] 中空支持シャフト112は、例えば、裏側ガス、プロセスガス、流体、冷却剤、電力などを、静電チャック150に提供するための導管を提供する。幾つかの実施形態では、中空支持シャフト112が、上側の処理位置(
図1で示されているような)と下側の移送位置(図示せず)との間での静電チャック150の垂直移動を提供する、アクチュエータ又はモータなどのリフト機構113に結合されている。ベローズアセンブリ110が、中空支持シャフト112の周りに配置され、静電チャック150とプロセスチャンバ100の下面126との間に結合されて、プロセスチャンバ100内からの減圧の損失を防止しながら、静電チャック150の垂直運動を可能にする可撓性密封を提供する。ベローズアセンブリ110はまた、チャンバ減圧の損失を防止する助けとなるように、下面126に接触するOリング165又は他の適切な密封要素に接触する下側ベローズフランジ164も含む。
【0018】
[0019] 中空支持シャフト112は、チャック電力供給源140及びRF源(例えば、RF電力供給源174及びRFバイアス電力供給源117)を静電チャック150に結合するための導管を提供する。幾つかの実施形態では、RF電力供給源174及びRFバイアス電力供給源117が、それぞれのRFマッチネットワーク(RFマッチネットワーク116だけが図示されている)を介して、静電チャック150に結合されている。幾つかの実施形態では、基板支持体124が、ACバイアス電力又はDCバイアス電力を代替的に含んでよい。
【0019】
[0020] 基板リフト130が、シャフト111に接続されたプラットフォーム108上に取り付けられたリフトピン109を含み得る。シャフト111は、基板リフト130を上げ下げするための第2のリフト機構132に結合されている。それによって、基板122は、静電チャック150上に置かれてよく又は静電チャック150から取り外されてよい。プラットフォーム108は、フープリフトの形態を採ってよい。静電チャック150は、リフトピン109を受容するための貫通孔を含んでよい。ベローズアセンブリ131が、可撓性密封を提供するために、基板リフト130と下面126との間に結合されている。可撓性密封は、基板リフト130の垂直運動中にチャンバの減圧を維持する。
【0020】
[0021] 処理中にカソードとして作用するターゲット138が、基板支持体124に対向して処理空間119内に配置され、それらの間のプロセス空間を少なくとも部分的に画定する。ターゲット138は、ターゲット138の表面に面する処理空間によって画定されたカソード面を含む。基板支持体124は、ターゲット138のスパッタリング面と実質的に平行な平面を有する支持面を有する。ターゲット138は、DC電源190及び/又はRF電力供給源174の一方又は両方に接続されている。DC電源190は、チャンバ内に配置され処理空間119を取り囲むプロセスシールド105に対してターゲット138にバイアス電圧を印加し得る。
【0021】
[0022] ターゲット138は、概して、バッキング板144に取り付けられたスパッタリング板142を含むが、モノリシックターゲットも使用され得る(例えば、バッキング板なしのスパッタリング板)。スパッタリング板142は、基板122の上にスパッタリングされる材料を含む。バッキング板144は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅‐クロム、又は銅‐亜鉛などの、金属から作製されている。バッキング板144は、ターゲット138内で生成された熱を放散するのに十分高い熱伝導率を有する材料から作製され得る。熱は、スパッタリング板142及びバッキング板144内で生じる渦電流から生成され、生成されたプラズマからスパッタリング板142の上へのエネルギーイオンの衝突からも生成される。
【0022】
[0023] 幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100が、ターゲット138のスパッタリングを改善するために、ターゲット138の周りに磁場を形作るための磁場生成器156を含む。容量生成プラズマは、磁場生成器156によって増強されてよい。磁場生成器156では、例えば、複数の磁石151(例えば、永久磁石又は電磁コイル)が、プロセスチャンバ100内に磁場を提供してよい。磁場は、基板122の平面に垂直な回転軸を有する回転磁場を有する。プロセスチャンバ100は、更に又は代替的に、次のような磁場生成器156を備えてよい。すなわち、磁場生成器156は、ターゲット材料のスパッタリングを改善するために、処理空間119内のイオン密度を高めるために、ターゲット138の近傍に磁場を生成する。複数の磁石151が、リッドアセンブリ104内の空洞153内に配置されてよい。ターゲット138を冷却するために、水などの冷却剤が、空洞153内に配置されたり、空洞153を通って循環したりしてよい。
【0023】
[0024] プロセスチャンバ100は、様々な構成要素とイオン化プロセス材料との間の望ましくない反応を防止するために、そのような構成要素に外接するプロセスキット102を含む。プロセスキット102は、処理空間119を少なくとも部分的に画定するために、基板支持体124とターゲット138とを取り囲むプロセスシールド105を含む。例えば、プロセスシールド105は、処理空間119の外側境界を画定してよい。プロセスシールド105は、プロセスシールド105の表面に面する処理空間によって画定されたアノード面を含む。幾つかの実施形態では、プロセスシールド105が、アルミニウムなどの金属で作製されている。プロセスシールド105は、プロセスシールドを適所に支持するために、チャンバ本体106上に載置された外側フランジを含み得る。ターゲット138とプロセスシールド105との間に接地経路を提供しないように、プロセスシールド105とターゲット138との間で、プロセスシールド105の外側フランジの上に絶縁体リング114が配置され得る。
【0024】
[0025] 幾つかの実施形態では、プロセスキット102が、静電チャック150の外側縁部上に載置された堆積リング170を含む。幾つかの実施形態では、プロセスキット102が、プロセスシールド105上に配置されたカバーリング180を含み、それらの間に曲がりくねったガス流路を形成する。幾つかの実施形態では、処理位置において、カバーリング180の径方向内側部分が、堆積リング170上に載置されて、それらの間のプラズマリークを低減させ又は防止する。
【0025】
[0026] 幾つかの実施形態では、基板支持体124が処理位置にあるときに、ターゲット138と基板支持体124との間の距離158が、約60.0mmから約160.0mmであるが、他の間隔を使用することもできる。
【0026】
[0027] 幾つかの実施形態では、複数の接地ループ172が、プロセスシールド105とペデスタル136との間に配置されている。例えば、接地ループ172は、接地リターンブラケット129に結合され得る。接地ループ172は、概して、導電性材料のループを含んでよく、又は代替的に、導電性ストラップやバネ部材などを含んでよい。それらは、基板支持体124が処理位置にあるときに、プロセスシールド105をペデスタル136に(例えば、接地リターンブラケット129に)電気的に結合するように構成されている。幾つかの実施形態では、複数の接地ループ172が、接地リターンブラケット129の外側縁部などに沿って、ペデスタル136の外側リップに結合される。それによって、処理位置では、接地ループ172がプロセスシールド105に接触して、プロセスシールド105とペデスタル136(又は接地リターンブラケット129)とを電気的に結合する。幾つかの実施形態では、移送位置において、接地ループ172が、プロセスシールド105から間隔を空けて配置される。
【0027】
[0028] プロセスチャンバ100は、減圧システム184に結合され、流体連通している。減圧システム184は、プロセスチャンバ100を排気するために使用されるゲートバルブ又はスロットルバルブ(図示せず)及び減圧ポンプ(図示せず)を含む。プロセスチャンバ100の内側の圧力は、スロットルバルブ及び/又は減圧ポンプを調整することによって調節されてよい。プロセスチャンバ100はまた、プロセスガス供給源118にも結合され、流体連通している。プロセスガス供給源118は、内部に配置された基板122を処理するために、プロセスチャンバ100に1種以上のプロセスガスを供給してよい。スリットバルブ148が、チャンバ本体106に結合されてよく、チャンバ本体106の側壁内の開口部と整列してよく、チャンバ本体106の内外への基板122の移送を容易にする。
【0028】
[0029] 使用時に、DC電源190は、ターゲット138とDC電源190に接続された他のチャンバ構成要素とに電力を供給し、RF電力供給源174と組み合わせて、スパッタリングガス(例えば、プロセスガス供給源118からの)にエネルギー供給して、スパッタリングガスのプラズマを生成する。生成されたプラズマは、ターゲット138のスパッタリング面上に当たり、衝突して、ターゲット138からの材料を基板122の上にスパッタリングする。幾つかの実施形態では、RF電力供給源174によって供給されるRFエネルギーが、VHFバンド内(例えば、約30から約300MHzまで)の周波数範囲であってよい。幾つかの実施形態では、VHFバンドの外側のものを含む複数の周波数におけるRFエネルギーを提供するために、複数の(すなわち、2以上の)RF電源が設けられてよい。更なるRF電源(例えば、RFバイアス電力供給源117)を使用して、プラズマから基板122に向けてイオンを引き付けるために、基板支持体124にバイアス電圧を供給することもできる。
【0029】
[0030]
図2は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態による、高圧プラズマ処理のために構成されたプロセスチャンバ200(例えば、プラズマ処理チャンバ)の概略側面図を示している。プロセスチャンバ200は、以下に述べられることを除いて、
図1で説明されたプロセスチャンバ100と同様である。
【0030】
[0031] プロセスチャンバ200はまた、例えば、半導体ウエハなどの基板122(又は静電的に保持されてよい他のそのような基板)を支持及び保持するために、内部空間120内に配置された基板支持体124も含む。基板支持体124はまた、ペデスタル136上に配置された静電チャック150と、ペデスタル136及び静電チャック150を支持するための中空支持シャフト112とを含み得る。静電チャック150は、内部に配置された1以上の電極を有する誘電体板を備える。ペデスタル136は、プロセスチャンバに供給されるRF用のRFリターン経路を提供するための接地リターンブラケット129を含み得るか、又はそれに結合され得る。接地リターンブラケット129は、有利なことに、静電チャック150の背面から離れるように配置される。これは、有利なことにアーク放電を最小限に抑える。
【0031】
[0032] 幾つかの実施形態では、接地リターンブラケット129は、概して、椀状であり、凹んだ中央部分202と径方向に延在する外側フランジ204とを有する。幾つかの実施形態では、径方向に延在する外側フランジが、実質的に平面的(例えば、水平)である。凹んだ中央部分は更に、中央開口部206を含み得る。中央開口部206を通って、中空支持シャフト112及びベローズアセンブリ110が延在し得る。
【0032】
[0033] ペデスタル136のハウジング208は、基板支持体124の他の構成要素を配置又は経路指定するために、静電チャック150の下方に配置された内側空間210を少なくとも部分的に囲む。ハウジングは、中空支持シャフト112に結合された中央開口部を有するベース212と、ベース212から静電チャック150の裏側に延在する側壁214とを含む。接地リターンブラケット129は、例えば、ベース212の周りで、ハウジング208に接触し得るか、又はそれに結合され得る。ベローズアセンブリ110は、中空支持シャフト112の周りでベース212の下部に結合され得る。
【0033】
[0034] 接地ループ172は、接地リターンブラケット129(例えば、径方向に延在する外側フランジ204)上に配置されてよく、又はそれに結合されてよい。例えば、接地ループ172は、板216及びボルト218によって、径方向に延在する外側フランジ204の外周に沿ってボルト留めされ得るか、又は他の方法で締結され得る。例えば、幾つかの実施形態では、誘電体板128が、静電チャック150の外径よりも大きい外径を有し、接地リターンブラケット129(例えば、径方向に延在する外側フランジ204)が、誘電体板128の外径を越えて径方向に延在し、接地ループ172が、誘電体板128の径方向外側で接地リターンブラケット129(例えば、径方向に延在する外側フランジ204)上に配置されるか、又はそれに結合される。
【0034】
[0035] 誘電体板128は、接地リターンブラケット129と静電チャック150との間に配置されて、この領域内でのプラズマの発光を防止する。誘電体板128は、接地リターンブラケット129をプロセス空洞及び静電チャック150から絶縁する。幾つかの実施形態では、誘電体板128が環状であり、又はさもなければ、ペデスタル136のハウジング208(例えば、ハウジング208の側壁214)の周りに適合するようにサイズ決定された中央開口部を含む。中央開口部と同じ方向(例えば、垂直方向)に、誘電体板を通して複数の貫通孔が設けられ得る。これは、接地リターンブラケット129内の対応する開口部を通して、誘電体板128を接地リターンブラケット129に固定するために、ボルトなどのファスナ222を受容するためである。
【0035】
[0036] 整列した開口部224、226、228が、誘電体板128、接地リターンブラケット129、及び静電チャック150を通して、それぞれ形成され得る。これは、(例えば、上述されたように)静電チャック150の支持面に対して基板を上げ下げするために、そこを通るリフトピンの移動を容易にするためである。
【0036】
[0037] 上記は本開示の複数の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を考案してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧プラズマ処理のための装置であって、
静電チャック、
前記静電チャックから間隔を空けて配置された接地リターンブラケット、及び
前記静電チャックと前記接地リターンブラケットとの間に配置された誘電体板を備える、装置。
【請求項2】
前記誘電体板は、前記静電チャックを前記接地リターンブラケットから少なくとも10mm分離する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、
ベース、及び
前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁を更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
中空支持シャフトを更に備え、前記ベースは、前記中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中空支持シャフトに結合された中央開口部を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された中央開口部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合されている、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記接地リターンブラケットは、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記径方向に延在する外側フランジは、実質的に平面的であり、前記凹んだ中央部分は、前記静電チャックを支持する中空支持シャフトが貫通して延在し得る中央開口部を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記接地リターンブラケットに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体板は、前記静電チャックの外径よりも大きい外径を有し、前記接地リターンブラケットは、前記誘電体板の前記外径を越えて径方向に延在し、前記複数の接地ループは、前記誘電体板の径方向外側で前記接地リターンブラケットに結合されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記接地リターンブラケット内の複数の対応する開口部を通して、前記誘電体板を前記接地リターンブラケットに固定するためのファスナを受容するために、前記誘電体板を通る複数の貫通孔を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体板、前記接地リターンブラケット、及び前記静電チャックを貫通して配置された整列した開口部であって、前記静電チャックの支持面に対して基板を上げ下げするために、前記開口部を通るリフトピンの移動を容易にするように配置された開口部を更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングであって、前記ハウジングは、中央開口部を有するベースと前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁とを更に備え、前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された中央開口部を含む、ハウジング、
中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中央開口部の周りで前記ベースに結合された前記中空支持シャフトであって、前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合され、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有し、前記凹んだ中央部分は、前記中空支持シャフトが通って延在する中央開口部を有する、前記中空支持シャフト、及び
前記接地リターンブラケットの前記径方向に延在する外側フランジに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項15】
前記静電チャックの真下に配置された内側空間を少なくとも部分的に囲むハウジングであって、前記ハウジングは、中央開口部を有するベースと前記誘電体板の中央開口部内で前記ベースから前記静電チャックの裏側に延在する側壁とを備え、前記誘電体板は、環状であるか、又はさもなければ前記ハウジングの周りに適合するようにサイズ決定された前記中央開口部を含む、ハウジング、
中空支持シャフトの内部が前記内側空間に結合されるように、前記中央開口部の周りで前記ベースに結合された前記中空支持シャフトであって、前記接地リターンブラケットは、前記ハウジングに結合され、概して椀状であり、凹んだ中央部分と径方向に延在する外側フランジとを有し、前記凹んだ中央部分は、前記中空支持シャフトが通って延在する中央開口部を有する、前記中空支持シャフト、
前記誘電体板、前記接地リターンブラケット、及び前記静電チャックを貫通して配置された整列した開口部であって、前記静電チャックの支持面に対して基板を上げ下げするために、前記開口部を通るリフトピンの移動を容易にするように配置された開口部、及び
前記接地リターンブラケットの前記径方向に延在する外側フランジに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
高圧プラズマ処理のためのプロセスチャンバであって、
内部に内部空間を有するチャンバ本体、及び
前記内部空間内に配置された請求項1から7のいずれか一項に記載の
装置を備える、プロセスチャンバ。
【請求項17】
前記
装置に対向して前記内部空間内に配置されたターゲットを更に備える、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項18】
VHFバンド内のRF電力を前記プロセスチャンバに提供するために、前記プロセスチャンバに結合されたVHF RF源を更に備える、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項19】
前記接地リターンブラケットに結合された複数の接地ループを更に備える、請求項16に記載のプロセスチャンバ。
【請求項20】
前記誘電体板は、前記静電チャックの外径よりも大きい外径を有し、前記接地リターンブラケットは、前記誘電体板の前記外径を越えて径方向に延在し、前記複数の接地ループは、前記誘電体板の径方向外側で前記接地リターンブラケットに結合されている、請求項19に記載のプロセスチャンバ。
【国際調査報告】