(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-19
(54)【発明の名称】接着剤組成物、これを含む接着フィルム、これを含む偏光フィルム、および偏光フィルムを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240412BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240412BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240412BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240412BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20240412BHJP
【FI】
G02B5/30
C09J4/02
C09J163/00
C09J11/06
C09J7/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568722
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 KR2023000888
(87)【国際公開番号】W WO2023146207
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0010599
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユンキョン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ユジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ア・ソク
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ソ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ヨン・チェ
【テーマコード(参考)】
2H149
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AA19
2H149AB02
2H149AB16
2H149BA02
2H149CA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FA12X
2H149FA66
2H149FA68
2H149FD25
2H149FD30
2H149FD33
2H149FD47
4J004AA10
4J004AA13
4J004AB07
4J004FA04
4J040EC001
4J040FA132
4J040KA13
4J040KA15
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA02
4J040NA17
(57)【要約】
本出願は、接着剤組成物、これを含む接着フィルム、これを含む偏光フィルム、および偏光フィルムを含むディスプレイ装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマー;
脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマー、および芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含む、二官能陽イオン系重合性モノマー;
多官能ラジカル重合性モノマー;
陽イオン系光開始剤;および
光増感剤;
を含む、偏光板用接着剤組成物。
【請求項2】
前記単官能陽イオン系重合性モノマーは、炭素数8~20の単官能エポキシモノマー;または炭素数5~15の単官能オキセタンモノマー;を含む、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項3】
前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基の少なくとも1つが脂環式エポキシ基である第1エポキシモノマーであり、
前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基は非脂環式エポキシ基である第2エポキシモノマーである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記多官能ラジカル重合性モノマーは、官能基を2つ含むアクリレート;および官能基を3つ以上含むアクリレートからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記単官能陽イオン系重合性モノマーは20重量部以上;前記二官能陽イオン系重合性モノマーは40重量部以上;および前記多官能ラジカル重合性モノマーが10重量部以上である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記二官能陽イオン系重合性モノマー100重量部を基準として、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、30重量部以上60重量部以下;前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、40重量部以上70重量部以下である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物、またはこの硬化物を含む、接着フィルム。
【請求項8】
前記接着フィルムの一面または両面に異形フィルムをさらに含む、請求項7に記載の接着フィルム。
【請求項9】
前記接着フィルムの厚さは、0.1μm以上300μm以下である、請求項7に記載の接着フィルム。
【請求項10】
偏光子;
前記偏光子の両面に備えられた第1接着剤層および第2接着剤層;
前記第1接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第1透明保護フィルム;および
前記第2接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第2透明保護フィルム;
を含む偏光フィルムであって、
前記第1接着剤層および前記第2接着剤層は、請求項7による接着フィルムである、偏光フィルム。
【請求項11】
前記第1接着剤層の前記第1透明保護フィルムと接する面;および前記第2接着剤層の前記第2透明保護フィルムと接する面の接着力が120gf/inch以上である、請求項10に記載の偏光フィルム。
【請求項12】
前記第1接着剤層および第2接着剤層は同一である、請求項10に記載の偏光フィルム。
【請求項13】
請求項10に記載の偏光フィルムを含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年01月25日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0010599号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
本出願は、接着剤組成物、これを含む接着フィルム、これを含む偏光フィルム、および偏光フィルムを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学技術の発展を足掛かりに、従来のブラウン管を代替するプラズマディスプレイパネル(plasma display panel、PDP)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diodes、OLED)など様々な方式を利用したディスプレイ装置が提案、市販されている。最近、このようなディスプレイ装置に要求される特性が一層高度化していく傾向であり、これによって、ディスプレイ装置に適用される光学フィルム、偏光フィルムのような周辺部品に対する要求特性も高度化していく傾向である。
【0003】
液晶表示装置は、消費電力が少なく、低電圧で動作し、軽量で、かつ薄型などの特徴を活かして、TV、携帯電話、カーナビゲーション、携帯ゲーム機、その他携帯用端末機などの各種表示用デバイスに利用されている。これらの液晶表示装置として、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、OCB(OpticalCompensated Bend)モードなどが挙げられる。これらの液晶表示装置は、一般に、バックライト、2つの電極の間に挟まれた液晶分子を含む液晶セル、および液晶セルの両面にそれぞれに設けられた2つの偏光板で構成されており、電圧の印加時、液晶分子の光学的屈折率の変化によって透過光を制御し、画像を表示することができる。また、これらのモードにおいて、液晶セルに電圧を印加しない場合(電圧未印加時)に、光が透過しない形態になるように、2つの偏光フィルム光吸収軸が互いに90゜になるように配置されている。このような電圧未印加時には黒で表示し、電圧印加時には白で表示される液晶表示装置は、ノーマリーブラックタイプと称している。
【0004】
最近、偏光板市場では、不良を最小化し、製品の生産性を高めるための努力が行われている。従来には、偏光板の保護基材として、透湿基材(WVRT>200g/m2・day)であるTAC(Triacetyl cellulos)を用いて、水系接着剤で偏光板を製造して来たが、現在は、PETやアクリル系、またはCOPフィルムのような非透湿基材(WVRT<200g/m2・day)も主に用いられている。さらに、偏光板の基材が多様化されながら、難付着性基材も用いられている。
【0005】
従来の透湿性保護基材または非透湿性保護基材を単独で用いる時には、保護基材の種類によって一種類の接着剤で偏光板の上/下保護基材の付着が可能であったが、最近のように、透湿基材のみ単独で用いるのではない、透湿基材および非透湿基材を同時に用いたり、難付着性基材を用いたりするなど一つの接着剤のみを用いるには水系接着剤として十分な接着力を具現しにくいという問題が発生している。
【0006】
すなわち、透湿性保護基材に良好な接着性を有する接着剤組成物は、非透湿基材に接着が不利であり、また、非透湿性保護基材に良好な接着性を有する接着剤組成物は、透湿基材での接着が不利であるためである、また、難付着性基材も開発されていて、現在、基材の特徴が多様に適用されるにつれて、接着剤も基材によって異なるしかなく、接着剤の接着マージンを改善して、透湿基材、非透湿基材および難付着性基材にも全部適用できる接着剤に対する研究が必要である。
【0007】
現在、このような問題を解決するために、偏光板に適用される接着剤を上面および下面に別途に透湿および非透湿基材に合わせて用いることが普遍化されている。しかしながら、接着剤を透湿基材用および非透湿基材用として別途に用いると、接着力がよくなるという長所はあるが、製品群によって接着剤を毎回取り替える必要があり、接着剤の交換による費用の増加および製品の生産性が低下されるという問題が発生している。
【0008】
偏光フィルムに適用される接着剤を一回交換すると、一般に、約3~6時間の浮動が発生し、湿/乾式変更によるPath変更、接着剤の排出/充填、メッシュ・ロールの交換、配管の掃除/洗浄などの追加時間が発生する。
【0009】
そこで、現在適用されている製品群に合わせて偏光板に付着される保護基材の種類(透湿基材、非透湿基材、難付着性基材)に関係なく用いることができる偏光板に適用される接着剤層の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本国登録特許公報第6536022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願は、接着剤組成物、これを含む接着フィルム、これを含む偏光フィルム、および偏光フィルムを含むディスプレイ装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書の一実施態様は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマー;脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーおよび芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含む二官能陽イオン系重合性モノマー;多官能ラジカル重合性モノマー;陽イオン系光開始剤;および光増感剤を含む、偏光板用接着剤組成物を提供する。
また他の一実施態様において、本出願に係る接着剤組成物またはこの硬化物を含む、接着フィルムを提供する。
【0013】
また他の一実施態様において、偏光子;前記偏光子の両面に備えられた第1接着剤層および第2接着剤層;前記第1接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第1透明保護フィルム;および前記第2接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第2透明保護フィルム;を含む偏光フィルムであって、前記第1接着剤層および前記第2接着剤層は、本出願に係る接着フィルムである、偏光フィルムを提供する。
最後に、本出願に係る偏光フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施態様による接着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマー;脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーおよび芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含む二官能陽イオン系重合性モノマー;多官能ラジカル重合性モノマー;陽イオン系光開始剤;および光増感剤;を有することを特徴とする。
【0015】
前記のように、本出願に係る接着剤組成物は、5つの組成を必ず含むもので、接着の対象となる透湿または非透湿基材に関係なく、優れた接着力を発揮するという特徴を有する。特に、特定の組成を含むことにより、透湿または非透湿基材に加えて、難付着性基材との接着力も優れており、追後の偏光板の生産において、保護基材の種類にかかわらず本出願に係る接着剤組成物を用いることができて、収率および生産性の向上に有利な特徴を有する。
【0016】
さらに、本出願に係る接着剤組成物を含む接着剤層は、表面エネルギーを低下させて、工程中に気泡を誘発しないながら、偏光板または基材に塗れ性(Wetting性)が優れて、これを含む偏光フィルムの見掛け品質が優れるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本明細書の一実施態様による偏光フィルムの積層構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を説明する前に、まず、いくつかの用語を定義する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
本明細書において、「p~q」は「p以上、q以下」の範囲を意味する。
本明細書において、アクリレートは、アクリレートと(メタ)アクリレートを全部含むことを意味する。
【0019】
本明細書において、重合体がある単量体を単量体単位として含むとは、その単量体が重合反応に参加し、重合体中で繰り返し単位として含まれることを意味する。本明細書において、重合体が単量体を含むという場合、これは、重合体が単量体を単量体単位として含むということと同様に解釈される。
本明細書において、「重合体」とは、「単独重合体」と明示しない限り、共重合体を含む広義の意味で用いられたものと理解する。
本明細書において、「単量体単位」とは、当該化合物が重合されて、重合体中に結合された状態を意味する。
【0020】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、分子量測定用として市販されている多様な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)により測定されたポリスチレン換算分子量である。本明細書において、分子量とは、特に記載しない限り、重量平均分子量を意味する。
【0021】
以下、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように、図面を参照して詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現可能であり、以下の説明に限定されるものではない。
【0022】
本出願の一実施態様は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマー;脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーおよび芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含む二官能陽イオン系重合性モノマー;多官能ラジカル重合性モノマー;陽イオン系光開始剤;および光増感剤を含む、偏光板用接着剤組成物を提供する。
【0023】
本出願に係る接着剤組成物は、前記の5つの組成を必ず含むもので、接着の対象となる透湿または非透湿基材に関係なく、優れた接着力を発揮するという特徴を有する。特に、特定の組成を含むことにより、透湿または非透湿基材に加えて、難付着性基材との接着力も優れており、追後の偏光板の生産において、保護基材の種類にかかわらず本出願に係る接着剤組成物を用いることができて、収率および生産性の向上に有利な特徴を有する。
【0024】
以下本出願に含まれる接着剤組成物のそれぞれの特徴を記載する。
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマーを含む。
前記陽イオン系重合性モノマーが単官能であるということは、官能基を一つ含むことを意味してもよく、この際、官能基とはモノマーにおいて特定の役割を果たす官能基を意味してもよい。
【0025】
本出願の一実施態様において、前記ガラス転移温度(Tg)0℃以下である単官能陽イオン系重合性モノマーは、官能基として、エポキシ基、またはオキセタン基を含んでもよい。
【0026】
また他の一実施態様において、前記接着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下であってもよく、-100℃以上、好ましくは-80℃以上、より好ましくは-50℃以上の範囲を満たしてもよい。
【0027】
本明細書で、ガラス転移温度は、時差走査型熱量計(DSC、Mettler会社)を用いて、約10mgの試料を専用パン(pan)に密封し、一定の昇温環境で加熱するとき、相変異が発生することに伴う物質の吸熱および発熱量を温度によって描いて測定した値である。
【0028】
具体的には、ガラス転移温度は、文献、カタログなどに記載された公称値または下記一般式(1)(Fox式)に基づいて計算された値である。
[一般式(1)]
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
前記一般式(1)において、Tgは、重合体Aのガラス転移温度(単位:K)、Tgi(i=1、2、・・・n)は、単量体iが単独重合体を形成した時のガラス転移温度(単位:K)、Wi(i=1、2、・・・n)は、単量体iの全体単量体成分における質量分率を示す。
【0029】
前記一般式(1)は、重合体Aが単量体1、単量体2、・・・、単量体nのn種類の単量体成分を含む場合の計算式を意味する。
【0030】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記単官能陽イオン系重合性モノマーは、20重量部以上、好ましくは、23重量部以上であってもよく、40重量部以下、好ましくは、30重量部以下であってもよい。
【0031】
前記接着剤組成物は、前記ガラス転移温度範囲および含量を満たす単官能陽イオン系重合性モノマーを含んで、一般的に適用される透湿基材に対する接着力が優れており、さらに、難付着基材に対する接着力も確保されることができるという特徴を有するようになる。
【0032】
本出願の一実施態様において、前記単官能陽イオン系重合性モノマーは、炭素数8~20の単官能エポキシモノマー;または炭素数5~15の単官能オキセタンモノマー;を含む、偏光板用接着剤組成物を提供する。
【0033】
本出願の一実施態様において、前記単官能陽イオン系重合性モノマーは、炭素数8~20の単官能エポキシモノマーからなってもよい。
本出願の一実施態様において、前記炭素数8~20の単官能エポキシモノマーは、下記式1で表されてもよい。
【0034】
【0035】
前記式1において、
mは、6以上15以下の整数である。
本出願の一実施態様において、mは、6以上15以下の整数、好ましくは、8以上13以下の整数であり、より好ましくは、10以上13以下の整数であってもよい。
【0036】
本出願の一実施態様において、前記炭素数5~15の単官能オキセタンモノマーは、下記式2で表されてもよい。
【0037】
【0038】
前記式2において、
Ar1およびAr2は、置換または非置換のC1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル基であってもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、Ar1およびAr2は、置換または非置換のC1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル基であってもよい。
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、置換または非置換のC1~C40の直鎖または分岐鎖のアルキル基であってもよい。
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、置換または非置換のC1~C20の直鎖のアルキル基であってもよい。
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、C1~C20の直鎖のアルキル基であってもよい。
また他の一実施態様において、Ar1およびAr2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはオクチル基であってもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なってもよい。
【0041】
本明細書において、「置換または非置換」とは、重水素;ハロゲン;シアノ基;C1~C60の直鎖または分岐鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示された置換基の中で選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換または非置換されたことを意味する。
【0042】
前記R、R’およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;アルキル基;アリール基;またはヘテロアリール基であってもよい。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物は、脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーおよび芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含む2官能陽イオン系重合性モノマーを含んでもよい。
【0044】
本出願の接着剤組成物は、前記のように、2官能陽イオン系重合性モノマーを含むもので、特に脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーおよび芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを必ず含む。前記のように、2官能陽イオン系重合性モノマーが前記の組成を満たして、接着剤組成物の硬化速度が優れ、また、難付着性基材に対する接着力を確保することができるという特徴を有する。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基の少なくとも一つが脂環式エポキシ基である第1エポキシモノマーであり、前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基は、非脂環式エポキシ基である第2エポキシモノマーであってもよい。
【0046】
本出願の一実施態様において、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基の少なくとも一つが脂環式エポキシ基である第1エポキシモノマーである。
【0047】
また他の一実施態様において、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記2つのエポキシ基が脂環式エポキシ基である第1エポキシモノマーである。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、脂環式環を含み、前記脂環式環は、脂環式エポキシ基を含んでもよい。
【0049】
本出願の一実施態様において、前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記エポキシ基は、非脂環式エポキシ基である第2エポキシモノマーである。
【0050】
また他の一実施態様において、前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、分子内に2以上のエポキシ基を有し、前記2つのエポキシ基は非脂環式エポキシ基である第2エポキシモノマーである。
【0051】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記2官能陽イオン系重合性モノマーは、40重量部以上、好ましくは、45重量部以上であってもよく、65重量部以下、より好ましくは、60重量部以下を満たしてもよい。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記2官能陽イオン系重合性モノマー100重量部を基準として、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、30重量部以上60重量部以下;および前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、40重量部以上70重量部以下である、接着剤組成物を提供する。
【0053】
また他の一実施態様において、前記2官能陽イオン系重合性モノマー100重量部を基準として、前記脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーは、30重量部以上60重量部以下;好ましくは、35重量部以上60重量部以下、より好ましくは、55重量部以上60重量部以下であってもよい。
【0054】
また他の一実施態様において、前記2官能陽イオン系重合性モノマー100重量部を基準として、前記芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーは、40重量部以上70重量部以下;好ましくは、40重量部以上65重量部以下、より好ましくは、40重量部以上55重量部以下であってもよい。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物が前記の組成および含有量を満す2官能陽イオン系重合性モノマーを含んで、接着剤組成物の硬化速度が優れており、また難付着性基材に対する接着力を確保することができるという特徴を有するようになる。
本出願の一実施態様において、前記多官能ラジカル重合性モノマーは、アクリレートモノマー;またはメタクリレートモノマーを含んでもよい。
この際、官能基としては、(メタ)アクリレート基を含んでもよい。
【0056】
本出願の一実施態様において、多官能ラジカル重合性モノマーは、官能基を2つ含むアクリレート;および官能基を3つ以上含むアクリレートからなる群より選択される1以上を含む、接着剤組成物を提供する。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記多官能ラジカル重合重合性モノマーは、分子内に官能基を2つ以上有するアクリレートを意味し、前記官能基は、アクリレート基であってもよい。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記多官能ラジカル重合性モノマーの官能基数は、2つ以上10個以下、好ましくは、2つ以上6つ以下、より好ましくは、2つ以上5つ以下であってもよい。
【0059】
前記多官能ラジカル重合性モノマーが官能基を2つ有する場合、2官能アクリレートに、3つを有する場合、3官能アクリレートに、それぞれ異なるように表現されてもよい。
【0060】
本出願の一実施態様において、2官能アクリレートの代表例として、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ハロゲン置換アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート類、水素化ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、ジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0061】
本出願の一実施態様において、2官能アクリレートのより具体的な例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-{2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ}フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-{2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ}シクロへキシル]プロパン、水素化ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3-ジオキサン-2,5-ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート]、ヒドロキシピバリンアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化物〔化学名:2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレートなどがある。
【0062】
本出願の一実施態様において、3官能以上の多官能アクリルレイトの代表的な例示は、3価以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートである。その具体例として、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどがある。
【0063】
一方、アクリレートオリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどがある。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記多官能アクリレートは、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(HYDROXYPIVALIC ACID NEOPENTYLGLYCOL DIACRYLATE);またはトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Tris(2-hydroxy ethyl)isocyanurate triacrylate)であってもよい。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記多官能ラジカル重合性モノマーは、1種用いられてもよい。
本出願の一実施態様において、前記多官能ラジカル重合性モノマーは、2種用いられてもよい。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記多官能ラジカル重合性モノマーは、10重量部以上、好ましくは、13重量部以上を含んでもよく、30重量部以下、好ましくは、25重量部以下を含んでもよい。
【0067】
前記のように、接着剤組成物に前記の多官能陽イオン系重合性モノマーが前記の組成および前記の含有量範囲で含まれることによって、偏光板の両面に透湿基材または非透湿基材が積層されても接着力の低下が発生せず、優れた接着力を表すことができるという特徴を有するようになり、さらに、透湿追後接着剤組成物において、基材の塗れ性が優れるという特徴を有するようになる。
【0068】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記単官能陽イオン系重合性モノマーは、20重量部以上;前記二官能陽イオン系重合性モノマーは、40重量部以上;および、前記多官能ラジカル重合性モノマーは、10重量部以上である、接着剤組成物を提供する。
【0069】
本出願の一実施態様において、接着剤組成物は、陽イオン系光開始剤;および光増感剤を含んでもよい。
【0070】
本出願において、陽イオン系光開始剤は、紫外線の照射により各組成の重合を開始できるものであればよく、従来の公知のものを用いてもよい。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記陽イオン光開始剤は、紫外線のような活性エネルギー線の照射によって陽イオン種やルイス酸を作り出す化合物として、エポキシ基のような陽イオン重合性基に作用して陽イオン重合反応を開始させる化合物を意味する。
【0072】
前記陽イオン系光開始剤は、活性エネルギー線により酸(H+)を発生させる化合物を意味するもので、具体的には、例えばヨードニウム塩(Iodonium salt)またはスルホニウム塩(Sulfonium salt)を含む陽イオン系光開始剤であってもよい。
【0073】
より具体的には、前記ヨードニウム塩が含まれた陽イオン系光開始剤は、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0074】
本出願の一実施態様において、前記陽イオン系光開始剤は、重合性を促進して硬化速度を向上させるためのもので、前記光開始剤としては、当該技術分野において一般的に用いられる陽イオン系開始剤が制限なしに用いられてもよい。
【0075】
また、本出願の一実施態様において、前記光増感剤を配合することにより、ラジカル重合の反応性が向上され、接着剤層の機械的強度や接着性を向上させることができる。光増感剤は、380nmよりも長い波長に極大吸収を有する化合物であればよく、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫黄物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、アントラセン系化合物、光還元性色素などが挙げられる。
【0076】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記光開始剤は0.1重量部以上5重量部以下を含み、前記光増感剤は0.1重量部以上5重量部以下を含む、接着剤組成物を提供する。
【0077】
また他の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、前記光開始剤を0.1重量部以上5重量部以下、好ましくは、1重量部以上4重量部以下、より好ましくは、1.5重量部以上3.5重量部以下を含んでもよい。
【0078】
また他の一実施態様において、前記接着剤組成物100重量部を基準として、光増感剤を0.1重量部以上5重量部以下、好ましくは、1重量部以上3重量部以下、より好ましくは、1.5重量部以上2.5重量部以下を含んでもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記接着剤組成物は、溶媒、分散剤、熱開始剤、架橋剤、および粘着付与剤からなる群より選択された少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記架橋剤は、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2~14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2-トリスアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸、プロピレン基の数が2~14のプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの酸性変形物とジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物(商品名、日本東亜合成株式会社のTO-2348、TO-2349)などの多価アルコールを、α、β-不飽和カルボン酸でエステル化して得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などのグリシジル基を含有する化合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られる化合物;β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物などの水酸基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物と多価カルボン酸とのエステル化合物、またはポリイソシアネートとの付加物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;および9,9’-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンからなる群より選択される1種以上を含んでもよく、これらに限定されず、当技術分野で知られている一般的なものを用いてもよい。
また、前記分散剤、熱開始剤は、当業界に知られているものを用いてもよい。
【0081】
前記溶媒としては、トルエン(Toluene)が用いられてもよいが、特定物質を溶解させることができれば、これに限定されず、これによる一般的な有機溶媒が用いられてもよい。
【0082】
本出願の一実施態様において、本出願に係る接着剤組成物またはこの硬化物を含む、接着フィルムを提供する。
前記接着フィルムは、製造の際、基材フィルム上に積層されてもよい。
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムは、本出願の一実施態様による接着剤組成物をそのまま含んでもよい。
【0083】
本出願の一実施態様において、前記接着シートは、本出願の一実施態様による接着剤組成物の硬化物を含んでもよい。
【0084】
本出願の一実施態様において、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(PC、Polycarbonate)、ポリイミド(PI、polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PEN、polyethylene naphthalate)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(polyether ether ketone)、ポリアリレート(PAR、polyarylate)、ポリシクロオレフィン(PCO、polycylicolefin)、ポリノルボルネン(polynorbornene)、ポリエーテルスルホン(PES、polyethersulphone)およびシクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)からなる群より選択されてもよい。
【0085】
また他の一実施態様において、前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)であってもよい。
【0086】
本出願の一実施態様において、前記基材フィルムの厚さは、10μm以上200μm以下、好ましくは、15μm以上100μm以下、より好ましくは、20μm以上75μm以下であってもよい。
【0087】
また、前記基材フィルムは、透明であることが好ましい。ここでいう基材フィルムが透明であるという意味は、可視光(400~700nm)の光透過率が80%以上であることを示す。
【0088】
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムの一面または両面に異形フィルムをさらに含む接着フィルムを提供する。
【0089】
前記離型フィルムは、疎水性フィルムを用いてもよく、厚さが非常に薄い接着フィルムを保護するための層として、接着フィルムの一面に付着する透明層をいい、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れたフィルムを用いてもよい。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)のようなアセテート系、ポリエステル系、ポリエーテルスルホン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、シクロオレフィン系、ポリウレタン系、およびアクリル系樹脂フィルムなどを用いてもよいが、市販のシリコン処理離型フィルムであれば、これに限定されない。
【0090】
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムの厚さは、0.1μm以上300μm以下の接着フィルムを提供する。
また他の一実施態様において、前記接着フィルムの厚さは、3μm以上100μm以下、好ましくは、5m以上80μm以下、より好ましくは、10μm以上50μm以下であってもよい。
【0091】
接着フィルムの厚さが前記範囲を有する場合、誤付着された時にリワーク(Rework)特性に優れ、特に、接着フィルムを除去する際において、異物が残らないという特性を有する。
【0092】
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムは、表面エネルギーが35mN/m以下であってもよい。
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムは、表面水接触角が70゜以上であってもよい。
【0093】
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムは、表面エネルギーが35mN/m以下、表面エネルギーが30N/m以下、表面エネルギーが25mN/m以下であってもよく、表面エネルギーが5mN/m以上の範囲を満たしてもよい。
本出願の一実施態様において、前記接着フィルムは、表面水接触角が70゜以上、表面水接触角が100゜以上、表面水接触角が110゜以上であってもよく、表面水接触角が180゜以下の範囲を満たしてもよい。
【0094】
本出願の一実施態様による接着フィルムは、前記表面水接触角および表面エネルギーを満すもので、UV硬化接着剤組成物が特定の組成および含量の単官能および多官能アクリレートを含むことによって、前記範囲を満たして、基材との塗れ性が優れるという特徴を有するようになる。
【0095】
本出願の一実施態様において、偏光子;前記偏光子の両面に備えられた第1接着剤層および第2接着剤層;前記第1接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第1透明保護フィルム;および前記第2接着剤層の前記偏光子と接する面の反対面に備えられた第2透明保護フィルム;を含む偏光フィルムであって、前記第1接着剤層および前記第2接着剤層は、本出願に係る接着フィルムである、偏光フィルムを提供する。
【0096】
この際、前記偏光子は、特に制限されず、当該技術分野でよく知られている偏光子、例えば、ヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムが用いられる。
【0097】
偏光子は、多方向に振動しながら、入射する光から一方向に振動する光のみ抽出することができる特性を示す。このような特性は、ヨウ素を吸収したPVA(poly vinyl alcohol)を強い張力で延伸して達成することができる。例えば、より具体的には、PVAフィルムを水溶液に浸して膨潤(swelling)させる膨潤するステップ、前記膨潤されたPVAフィルムに偏光性を付与する二色性物質で染色するステップ、前記染色されたPVAフィルムを延伸(stretch)して、前記二色性染料物質を延伸方向に平行に配列させる延伸ステップ、および前記延伸ステップを経たPVAフィルムの色を補正する補色ステップを経て偏光子を形成することができる。しかしながら、本発明の偏光板がこれに制限されるものではない。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記第1接着剤層の前記第1透明保護フィルムと接する面;および前記第2接着剤層の前記第2透明保護フィルムと接する面の接着力が120gf/inch以上である、偏光フィルムを提供する。
【0099】
また他の一実施態様において、前記第1接着剤層の前記第1透明保護フィルムと接する面;および前記第2接着剤層の前記第2透明保護フィルムと接する面の接着力が120gf/inch以上、好ましくは、150gf/inch以上であり、2,000gf/inch以下の範囲を満たしてもよいが、その上限の範囲は制限されない。
【0100】
すなわち、本出願に係る接着剤組成物を含む第1接着剤層および第2接着剤層は、第1透明保護基材および第2透明保護基材と前記のような接着力を満すもので、透明保護基材の種類に関係なく一定範囲以上の接着力を満して、本出願の接着フィルムを様々な種類の透明保護基材を有する偏光フィルムに用いることができるという特徴を有する。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記第1透明保護フィルムおよび前記第2透明保護フィルムは、透湿度が150g/m2/24h以下の透明保護フィルム;透湿度が150g/m2/24h以上の透明保護フィルム;または難付着性透明保護フィルム;を含んでもよい。
【0102】
本出願の一実施態様において、透湿度が150g/m2/24h以下の透明保護フィルムは、前記透湿度範囲を満たすものであれば、制限なく使用できるが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、またはアクリル系フィルムを含んでもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、透湿度が150g/m2/24h以上の透明保護フィルムは、前記透湿度範囲を満たすものであれば、制限なく使用できるが、具体的には、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを含んでもよい。
【0104】
本出願の一実施態様において、難付着性透明保護フィルムは、親水性極性官能基を含む脂肪族環を含むモノマーを含んでもよい。具体的には、親水性極性官能基は、カルボキシ基(-COOH)であってもよい。
【0105】
すなわち、本出願に係る偏光フィルムは、偏光子の上部には第1保護フィルムが、偏光子の下部には第2保護フィルムが用いられるもので、上部および下部に難付着性基材、透湿または非透湿基材のいずれを用いる場合にも本出願に係る接着剤組成物が所定の組成および含量を有することにより、前記のように、接着力が優れるという特徴を有するようになる。
【0106】
図1は、本出願の一実施態様による偏光フィルムの積層構造を示した図で、具体的には、偏光子3の両面に第1接着剤層4および第2接着剤層2が備えられ、それぞれの上部に第1透明保護フィルム5、第2透明保護フィルム1を含むことを確認することができる。
図1は、一つの例示に過ぎず、偏光子の上部および下部に来ることができる保護基材の種類はこれに制限されない。
【0107】
本出願の一実施態様において、前記第1接着剤層および第2接着剤層は同一である、偏光フィルムを提供する。
【0108】
すなわち、透湿基材、非透湿基材および難付着性基材を偏光子に同時に用いたにもかかわらず、接着剤を複数種に変更して用いた従来の方式とは違って、同一種類の接着剤層を用いることによって、偏光フィルムの生産性が優れ、接着剤の交換による費用の増加を防止することができるという特徴を有するようになる。
最後に、本出願に係る偏光フィルムを含む、ディスプレイ装置を提供する。
【実施例】
【0109】
以下、本出願に係る実施例および本出願に係らない比較例を用いて本出願についてより詳しく説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0110】
<実験例>
下記表1の組成および含量を有する接着剤組成物をそれぞれ用意した。
その後、偏光子(日本合成株式会社製造)の両面に前記接着剤組成物を塗布し、難付着性フィルム(コニカ株式会社、Sanuquiフィルム)を第1透明保護フィルム、東洋紡会社のPETフィルム(透湿度<50g/m2・day)を第2透明保護フィルムとして積層した後、ロールラミネートによって接合させた。
【0111】
その後、前記接着剤組成物の硬化のために、偏光板に紫外線を照射した。紫外線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロ波励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いた。
【0112】
照射量(積算光量)が2000mJ/cm2になるように、波長365nmの紫外線を照射して、前記偏光板用接着剤組成物を硬化させることにより、偏光子と剥離用保護フィルムを互いに接着させ、幅2cm*長さ15cmの大きさに裁断して偏光板サンプルを製造した。この際、それぞれの偏光板用接着剤組成物に対して、剥離用保護フィルムはKOH前処理を行った。
【0113】
偏光フィルムは、紫外線照射直後から16時間以上30時間以下の間、室温(20℃以上25℃以下、具体的には、25℃)で保管したものである。硬化の完了によって偏光フィルムを収得した。
【0114】
【0115】
前記表1において、接着剤組成物(表1の5種)全体に含まれる含有量を意味してもよい。具体的には、前記表1で、単官能陽イオン系重合性モノマー、二官能陽イオン系重合性モノマー、および多官能ラジカル重合性モノマーの含有量は、モノマー100重量部を基準として各含有量を示したものであり、陽イオン系光開始剤および光増感剤は、全体接着剤組成物100重量部を基準として含まれる含有量をそれぞれ示した。
【0116】
前記表1において、単官能陽イオン系重合性モノマーとして使用されたLD-111(Hajin Chemtech社)は、脂肪族グリシジルエーテル(Aliphatic glycidyl ether)(全体炭素数15~17)であり、OXT212(東亞合成株式会社)は、3-エチル-3-[[(2-エチルヘキシル)オキシ]メチル]オキセタン(全炭素数13)であり、LD221(Hajin Chemtech社)は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(Tgが0℃超)であり、OXT101(東亞合成株式会社)は、Tgが0℃超の単官能陽イオン系重合性モノマーである。
【0117】
前記表1において、二官能陽イオン系重合性モノマーとして使用されたCelloxide2021P(ダイセル(Daicel)会社)は、(3’,4’-エポキシシクロヘキサン)メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートであり、YDF-170(国道化学会社)は、ホルムアルデヒドおよびオリゴマーの反応生成物(with 1-クロロ-2,3-エポキシプロパンおよびフェノール)である。
【0118】
前記表1において、多官能ラジカル重合性モノマーとして使用されたM262(米原商事株式会社)は、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートであり、M222(米原商事株式会社)は、ジプロピレングリコールジアクリレートであり、M200(米原商事株式会社)は1,6-ヘキサンジオールジアクリレートであり、M3130(米原商事株式会社)は、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートである。前記表1において、IBOA(米原商事株式会社)は、イソボロニルアクリレートで、単官能ラジカル重合性モノマーである。
【0119】
前記表1で開始剤として使用されたOmnicat250(IGM社)は、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェート(1-)インプロピレンカルボナート(in propylene carbonate)である。
【0120】
前記表1において光増感剤として使用されたDETX(LAMSON社)は、2,4-ジエチルチオキサントンである。
この際、モノマーにはその他の添加剤をさらに含まれてもよく、添加剤の含有量は前記表1に含まれていない。
【0121】
前記実施例1~4および比較例1~比較例5の接着剤組成物を含む接着フィルムに対して、下記の実験例1および実験例2の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0122】
【0123】
<実験例1:保護フィルム剥離力実験>
剥離用保護基材を剥離速度0.5cm/secで3cm以上剥離し、この際の剥離力を3回測定して平均値を計算した。前記剥離力の測定の際、XT Plusテクスチャアナライザ(Texture Analyzer)(TA社製)を用いた。
この際、剥離力(gf/20mm)が200gf/20mm以上の場合を◎、120gf/20mm以上200gf/20mm未満の場合を○、100gf/20mm以上120gf/20mm未満の場合を△、100gf/20mm未満の場合を×にして、それぞれ評価した。
【0124】
<実験例2:硬化速度>
照射量(積算光量)が2000mJ/cm2になるように、波長365nmの紫外線を照射して、前記偏光板用接着剤組成物を硬化させた。直ちに保護フィルムを剥離した後、手で硬化塗膜を擦って塗膜の押され有無を確認した。
【0125】
硬化速度が10秒以下の場合を◎、10秒超20秒以下の場合を○、20秒超50秒以下の場合を△、50秒超の場合を×にして、それぞれ評価した。
【0126】
前記表1および2で確認できるように、実施例1~4による接着剤組成物は、5つの組成を必ず含むもので、接着の対象となる透湿、非透湿、難付着性基材に関係なく優れた接着力を発揮するという特徴を有する。特に、特定の組成を含むことにより、透湿または非透湿基材に加えて、難付着性基材との接着力が非常に優れており、追後の偏光板の生産において、保護基材の種類にかかわらず本願に係る接着剤組成物を用いることができて、収率および生産性の向上に有利な特徴を有することが確認できた。
【0127】
前記比較例1および比較例5の場合、ガラス転移温度が0℃を超える単官能陽イオン系重合性モノマーを用いた場合で、TAC基材である透湿性保護基材に対する接着力は優れているが、難付着性保護基材に対する接着力が確保されないことが確認できた。
【0128】
前記比較例2の場合、芳香環を含む陽イオン系重合性モノマーを含まない場合で、前記比較例3の場合、脂環式環を含む陽イオン系重合性モノマーを使用しない場合である。前記表2で確認できるように、前記比較例2及び比較例3の場合、透湿性及び非透湿性保護基材との接着力が低下し、特に難付着性保護基材に対する接着力が確保されないことが確認できた。
【0129】
前記比較例4の場合、多官能ラジカル重合性モノマーを含まず、単官能ラジカル重合性モノマーを用いた場合で、同様に難付着性保護基材に対する接着力が確保されず、硬化速度も低下されることが確認できた。
【0130】
すなわち、前記実験から本願発明に係る接着剤組成物を含む接着フィルムは、偏光板保護フィルムを接着する用途に用いられ、この際、偏光板保護フィルムの種類にかかわらず接着力が優れるという特徴を有するようになり、それによって、工程の簡素化および大量生産が容易になることも確認できた。
【符号の説明】
【0131】
1 ・・・第2透明保護フィルム
2 ・・・第2接着剤層
3 ・・・偏光子
4 ・・・第1接着剤層
5 ・・・第1透明保護フィルム
【国際調査報告】