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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】高温ガス捕集装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01N1/22 Y
G01N1/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517784
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 KR2022006223
(87)【国際公開番号】W WO2022235027
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058559
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070790
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0053755
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウンビョル・コ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ウォン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウンヨン・ジン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA18
2G052AB11
2G052AD02
2G052AD32
2G052AD42
2G052BA17
2G052CA14
2G052DA26
2G052EB01
2G052EB11
2G052ED06
2G052JA08
(57)【要約】
本発明は、高温ガス捕集装置及び方法に関するものであって、高温環境でのサンプルから発生する高温ガスを安定して捕集する高温ガス捕集装置及び方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、内部のサンプル収容空間にサンプルが収容されるサンプル管と、
前記サンプル管の一端部に結合される第1栓と、
前記サンプル管の他端部に結合される第2栓と、
前記第1栓及び前記第2栓が外部に突出するように、前記サンプル管を内部の加熱空間に収容して、前記サンプルを加熱する加熱炉と、を含み、
前記第1栓には、前記サンプル収容空間に運搬ガスを注入するための注入口が形成され、
前記第2栓には、前記サンプル収容空間で発生した分析対象ガスを排出する排出口が形成される、高温ガス捕集装置。
【請求項2】
前記加熱空間は、
前記第1栓に最も近接した第1加熱空間と、
前記第2栓に最も近接した第2加熱空間と、
前記第1加熱空間と前記第2加熱空間との間に設けられる第3加熱空間と、を含み、
前記サンプル管の内部に収容される前記サンプルは、前記第3加熱空間に位置する、請求項1に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項3】
前記第3加熱空間には、前記サンプルを加熱するメイン加熱部が設けられ、
前記第2加熱空間には、前記分析対象ガスを一定温度以上に保持する補助加熱部が設けられる、請求項2に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項4】
前記第2栓には、カートリッジヒーターが挿入されるためのヒーター挿入溝が設けられる、請求項3に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項5】
前記ヒーター挿入溝は、複数設けられる、請求項4に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項6】
前記第2栓の一面には、前記排出口が形成され、
複数の前記ヒーター挿入溝は、前記第2栓の前記一面上で前記排出口を中心点とする仮想の円の円周上に位置する、請求項5に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項7】
前記第3加熱空間の温度は、前記第2加熱空間の温度よりも高く、
前記第2加熱空間の温度は、前記第2栓の温度よりも高い、請求項2に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項8】
前記第3加熱空間は、25~1000℃の温度に保持され、
前記第2加熱空間は、25~500℃の温度に保持され、
前記第2栓の温度は、25~150℃の温度に保持される、請求項7に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項9】
前記第1加熱空間及び前記第2加熱空間の前記第1方向への長さは、前記第3加熱空間の前記第1方向への長さの15~100%である、請求項8に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項10】
前記サンプル管は、石英管で設けられる、請求項1に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項11】
前記第2栓の前記排出口の内周面には、複数の段差が階段状に設けられ、前記排出口の入口側に近く位置する段差の内径がさらに大きく形成される、請求項1に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項12】
前記注入口と第1流路で連結され、前記サンプル収容空間に前記運搬ガスを供給する運搬ガス供給部と、
前記サンプル管の内部の前記サンプル収容空間で発生した分析対象ガスを伝達させて捕集する複数のガス捕集部と、
前記サンプル管の他端部と第2流路で連結されて、前記第2流路を通じて前記サンプル収容空間の分析対象ガスを伝達させて、前記複数のガス捕集部のうち、1つのガス捕集部に分析対象ガスを選択的に伝達する開閉部と、
をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項13】
前記第1流路に設けられ、前記第1流路を通過する前記運搬ガスを予熱する運搬ガス予熱部と、
前記第1流路上で前記運搬ガス予熱部よりも上流に設けられ、前記サンプル管に注入される前記運搬ガスの流量を制御する質量流量制御器と、
をさらに含む、請求項12に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項14】
前記開閉部を加熱して、前記開閉部を通過する分析対象ガスの温度を一定レベル以上に保持する温度保持部をさらに含む、請求項12に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項15】
前記複数のガス捕集部は、吸着管、DNPHカートリッジ、インピンジャー及びテドラーバッグの中から選択される、請求項12に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項16】
前記開閉部は、
前記第2流路が連結される第1開口部と、
前記複数のガス捕集部が連結される複数の第2開口部と、
前記第1開口部と前記複数の第2開口部とのうち、1つの第2開口部と選択的に連結される可変流路と、を含む、請求項12に記載の高温ガス捕集装置。
【請求項17】
請求項12に記載の高温ガス捕集装置を用いる高温ガス捕集方法において、
前記サンプルを第1温度に第1設定時間保持する第1温度保持段階と、
前記サンプルを設定昇温速度で第1温度よりも高い第2温度までサンプルを加熱する昇温段階と、
前記サンプルを前記第2温度に第2設定時間保持する第2温度保持段階と、を含み、
前記第1温度保持段階、前記昇温段階及び前記第2温度保持段階の間に、運搬ガスが前記運搬ガス供給部を通じて前記サンプル管に持続的に注入され、
前記第1温度保持段階、前記昇温段階及び前記第2温度保持段階の間に、前記サンプルで発生した前記分析対象ガスがガス捕集部に捕集される、高温ガス捕集方法。
【請求項18】
前記複数のガス捕集部は、第1ガス捕集部、第2ガス捕集部及び第3ガス捕集部を含み、
前記第1温度保持段階で発生した分析対象ガスは、前記第1ガス捕集部に捕集され、
前記昇温段階で発生した分析対象ガスは、前記第2ガス捕集部に捕集され、
前記第2温度保持段階で発生した分析対象ガスは、前記第3ガス捕集部に捕集される、請求項17に記載の高温ガス捕集方法。
【請求項19】
前記昇温段階で、
前記設定昇温速度は、0.1~100℃/minである、請求項17に記載の高温ガス捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年5月6日付の大韓民国特許出願10-2021-0058559号、2021年6月1日付の大韓民国特許出願10-2021-0070790号及び2022年4月29日付の大韓民国特許出願10-2022-0053755号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高温ガス捕集装置及び方法に係り、高温環境でのサンプルから発生する高温ガスを安定して捕集する高温ガス捕集装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
駆動または使用において、自体的に熱を発生させるか、高温環境条件が付与される各種の材料または製品に使われる素材は、熱を獲得することによって、素材に凍結(frozen)または吸着(absorbed)されていた多様な成分をアウトガス(outgas)として排出することができる。
【0004】
材料と製品とで発生したアウトガスは、溶剤だけではなく、全般的な有機低分子物質を含有しており、製造機器や最終製品(特に、電子製品)のトラブルの原因となり、人体に影響を及ぼす有害性分を含んでいるために、アウトガス分析が必要であり、これに対する重要性が最近さらに注目されている。
【0005】
例えば、OLED(organic light emitting diodes)材料、ポリイミド(polyimide)基板、LCO(lithium cobalt oxide)正極材など各種の素材から発生するアウトガス分析需要が増加しており、これにより、新たなアウトガス評価技術が要求されている。
【0006】
前記のような素材を正確に分析するためには、350℃以上の条件で加熱して発生するアウトガスを収集しなければならないが、従来のTDサンプラー(thermal desorption sampler)は、350℃未満の条件のみで使用可能であり、それ以上の高温で使用可能な熱分解器の場合には、少量のサンプルのみ注入することができて、分析に必要な十分な量のアウトガスを捕集することができなかった。
【0007】
さらに、OLED材料、ポリイミド基板、LCO正極材などの素材適用範囲が拡大されるにつれて、素材が使われる温度環境も、多様になり、環境条件によって異なって発生するアウトガスに対する分析ニーズも、大きくなっている。
【0008】
したがって、多様なサンプルに対して温度区間別のアウトガスを安定して捕集することができる方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高温ガス捕集装置及び方法に関するものであって、高温環境でのサンプルから発生する高温ガスを安定して捕集する高温ガス捕集装置及び方法を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の高温ガス捕集装置は、第1方向に延び、内部のサンプル収容空間にサンプルが収容されるサンプル管、前記サンプル管の一端部に結合される第1栓、前記サンプル管の他端部に結合される第2栓、及び前記第1栓及び前記第2栓が外部に突出するように、前記サンプル管を内部の加熱空間に収容して、前記サンプルを加熱する加熱炉、を含み、前記第1栓には、前記サンプル収容空間に運搬ガスを注入するための注入口が形成され、前記第2栓には、前記サンプル収容空間で発生した分析対象ガスを排出する排出口が形成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高温ガス捕集装置は、1000℃までの高温環境から発生したアウトガス捕集が可能であり、サンプル管からガス捕集部まで連結される流路に極性VOC(volatile organic compound)などを含むアウトガスの吸着を最小化して分析効率及び正確性を強化させることができる。
【0013】
本発明の高温ガス捕集装置及び方法は、サンプルに加熱温度、昇温速度及び昇温時間のような温度条件を付与することができ、変わる温度条件別にサンプルで発生したアウトガスを分離して捕集することができる。
【0014】
本発明の高温ガス捕集装置は、多様な規格の試料に対して制限なしに高温アウトガスを捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の高温ガス捕集装置を示す斜視図である。
図2】サンプル管を示す斜視図である。
図3】加熱炉を示す斜視図である。
図4図1のA-A断面を示す断面図である。
図5A】第2栓を示す平面図である。
図5B】第2栓を示す平面図である。
図5C】第2栓を示す平面図である。
図6A】第2栓を示す断面図である。
図6B】第2栓を示す断面図である。
図6C】第2栓を示す断面図である。
図7】本発明の高温ガス捕集装置を示すブロック図である。
図8】本発明の高温ガス捕集装置の他の実施形態を示すブロック図である。
図9】開閉部を示す斜視図である。
図10】本発明の高温ガス捕集方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の高温ガス捕集装置は、第1方向に延び、内部のサンプル収容空間にサンプルが収容されるサンプル管、前記サンプル管の一端部に結合される第1栓、前記サンプル管の他端部に結合される第2栓、及び前記第1栓及び前記第2栓が外部に突出するように、前記サンプル管を内部の加熱空間に収容して、前記サンプルを加熱する加熱炉、を含み、前記第1栓には、前記サンプル収容空間に運搬ガスを注入するための注入口が形成され、前記第2栓には、前記サンプル収容空間で発生した分析対象ガスを排出する排出口が形成されるものである。
【0017】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記加熱空間は、前記第1栓に最も近接した第1加熱空間と、前記第2栓に最も近接した第2加熱空間と、前記第1加熱空間と前記第2加熱空間との間に設けられる第3加熱空間と、を含み、前記サンプル管内部に収容される前記サンプルは、前記第3加熱空間に位置するものである。
【0018】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第3加熱空間には、前記サンプルを加熱するメイン加熱部が設けられ、前記第2加熱空間には、前記分析対象ガスを一定温度以上に保持する補助加熱部が設けられるものである。
【0019】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第2栓には、カートリッジヒーターが挿入されるためのヒーター挿入溝が設けられるものである。
【0020】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記ヒーター挿入溝は、複数設けられるものである。
【0021】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第2栓の一面には、前記排出口が形成され、前記複数のヒーター挿入溝は、前記第2栓の前記一面上で前記排出口を中心点とする仮想の円の円周上に位置するものである。
【0022】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第3加熱空間の温度は、前記第2加熱空間の温度よりも高く、前記第2加熱空間の温度は、前記第2栓の温度よりも高いものである。
【0023】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第3加熱空間は、25~1000℃の温度に保持され、前記第2加熱空間は、25~500℃の温度に保持され、前記第2栓の温度は、25~150℃の温度に保持されるものである。
【0024】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第1加熱空間及び前記第2加熱空間の前記第1方向への長さは、前記第3加熱空間の前記第1方向への長さの15~100%である。
【0025】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記サンプル管は、石英管(quartz tube)で設けられるものである。
【0026】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第2栓の前記排出口の内周面には、複数の段差が階段状に設けられ、前記排出口の入口側に近く位置する段差の内径がさらに大きく形成されるものである。
【0027】
本発明の高温ガス捕集装置は、前記注入口と第1流路で連結され、前記サンプル収容空間に前記運搬ガスを供給する運搬ガス供給部、前記サンプル管内部の前記サンプル収容空間で発生した分析対象ガスを伝達させて捕集する複数のガス捕集部、及び前記サンプル管の他端部と第2流路で連結されて、前記第2流路を通じて前記サンプル収容空間の分析対象ガスを伝達させて、前記複数のガス捕集部のうち、1つのガス捕集部に分析対象ガスを選択的に伝達する開閉部、をさらに含むものである。
【0028】
本発明の高温ガス捕集装置は、前記第1流路に設けられ、前記第1流路を通過する前記運搬ガスを予熱する運搬ガス予熱部、及び前記第1流路上で前記運搬ガス予熱部よりも上流に設けられ、前記サンプル管に注入される前記運搬ガスの流量を制御する質量流量制御器(mass flow controller)、をさらに含むものである。
【0029】
本発明の高温ガス捕集装置は、前記開閉部を加熱して、前記開閉部を通過する分析対象ガスの温度を一定レベル以上に保持する温度保持部をさらに含むものである。
【0030】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記複数のガス捕集部は、吸着管、DNPHカートリッジ、インピンジャー(Impinger)及びテドラーバッグ(Tedlar bag)の中から選択されるものである。
【0031】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記開閉部は、前記第2流路が連結される第1開口部と、前記複数のガス捕集部が連結される複数の第2開口部と、前記第1開口部と前記複数の第2開口部とのうち、1つの第2開口部と選択的に連結される可変流路と、を含むものである。
【0032】
本発明の高温ガス捕集方法は、前記サンプルを第1温度に第1設定時間保持する第1温度保持段階、前記サンプルを設定昇温速度で第1温度よりも高い第2温度までサンプルを加熱する昇温段階、及び前記サンプルを前記第2温度に第2設定時間保持する第2温度保持段階、を含み、前記第1温度保持段階、前記昇温段階及び前記第2温度保持段階の間に、運搬ガスが前記運搬ガス供給部を通じて前記サンプル管に持続的に注入され、前記第1温度保持段階、前記昇温段階及び前記第2温度保持段階の間に前記サンプルで発生した前記分析対象ガスがガス捕集部に捕集されるものである。
【0033】
本発明の高温ガス捕集方法で、前記複数のガス捕集部は、第1ガス捕集部、第2ガス捕集部及び第3ガス捕集部を含み、前記第1温度保持段階で発生した分析対象ガスは、前記第1ガス捕集部に捕集され、前記昇温段階で発生した分析対象ガスは、前記第2ガス捕集部に捕集され、前記第2温度保持段階で発生した分析対象ガスは、前記第3ガス捕集部に捕集されるものである。
【0034】
本発明の高温ガス捕集方法の前記昇温段階で、前記設定昇温速度は、0.1~100℃/minでもある。
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0036】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示した方位または位置関係は図面で示す方位または位置関係、または、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0037】
図1は、本発明の高温ガス捕集装置を示す斜視図である。図2は、サンプル管100を示す斜視図である。図3は、加熱炉200を示す斜視図である。図4は、図1のA-A断面を示す断面図である。図5Aないし図5Cは、第2栓120を示す平面図である。図6Aないし図6Cは、第2栓を示す断面図である。図7は、本発明の高温ガス捕集装置を示すブロック図である。図8は、本発明の高温ガス捕集装置の他の実施形態を示すブロック図である。図9は、開閉部を示す斜視図である。図10は、本発明の高温ガス捕集方法を示すブロック図である。
【0038】
以下、図1ないし図10を参照して、本発明の高温ガス捕集装置及び方法について詳しく説明する。
【0039】
図1に示したように、本発明の高温ガス捕集装置は、第1方向に延び、内部のサンプル収容空間140にサンプル11が収容されるサンプル管100、前記サンプル管100の一端部に結合される第1栓110、前記サンプル管100の他端部に結合される第2栓120、及び前記第1栓110及び前記第2栓120が外部に突出するように、前記サンプル管100を内部の加熱空間に収容して、前記サンプル11を加熱する加熱炉200、を含むものである。
【0040】
図1ないし図5において、第1方向は、x軸方向であり、上下方向は、z軸方向である。
【0041】
本発明の高温ガス捕集装置で、前記第1栓110には、前記サンプル収容空間140に運搬ガスを注入するための注入口111が形成され、前記第2栓120には、前記サンプル収容空間140で発生した分析対象ガスを排出する排出口121が形成されるものである。本発明の高温ガス捕集装置は、サンプル11から発生する分析対象ガスを運搬ガスに移動させて排出口121と連結されるガス捕集部400で捕集させるものである。すなわち、本発明の高温ガス捕集装置は、分析対象ガスを捕集する間に運搬ガスが持続的にサンプル管100を通過して流れる開放回路システムである。
【0042】
本発明の高温ガス捕集装置で、サンプル11は、OLED材料、ポリイミド基板、LCO正極材などであるが、これらに制限されるものではない。
【0043】
図2に示したように、サンプル管100は、内部に第1方向に延びる中空がサンプル収容空間140として形成されうる。サンプル管100の第1方向上の両端部を開放された状態で設けられ、開放された両端部に第1栓110及び第2栓120がそれぞれ結合して、サンプル収容空間140は密閉空間で形成されうる。サンプル管100は、石英管で設けられるものである。サンプル管100の形状は、直線型、バネ型、屈曲型など多様な形状に設けられうる。サンプル管100と第1栓110との間、及びサンプル管100と第2栓120との間には、シーリング部材130が挿入される。シーリング部材は、リング状のフェルール(ferrule)ガスケットである。
【0044】
サンプル管100の第1方向の長さは、200~600mmに形成されうる。サンプル管100の第1方向の長さは、前記加熱空間の第1方向の長さよりも長く形成されうる。例えば、サンプル管100の第1方向の長さは、400mmに形成されうる。
【0045】
サンプル管100の直径は、0.5~3cmに形成されうる。サンプル管100の直径は、分析対象ガスが十分に生成されるサンプル11のサイズを収容することができる範囲に決定される。また、本発明の高温ガス捕集装置は、ガス捕集の間に持続的に運搬ガスが流れるシステムでサンプル管100の直径が過度に大きい場合、適正量の運搬ガス量で安定して分析対象ガスを運ぶのに難点がある。したがって、前記のような事項を考慮してサンプル管100の直径は、0.5~3cmに形成されうる。
【0046】
本発明の高温ガス捕集装置は、サンプル管100が加熱炉200と脱着自在な構造であって、サンプル11の規格によって、適正規格のサンプル管100を選択して加熱炉200と結合して使用することができる。また、サンプル管100の取り替えが容易であるために、有害物質が分析対象ガスとして発生するサンプル11の場合、サンプル管100をそっくり加熱炉200から分離して安定したサンプル11の取り替えが可能である。
【0047】
サンプル管100の両端部は、加熱炉200の両側壁にそれぞれ設けられる貫通ホール250を通じて加熱炉200の外部に突出する。加熱炉200から突出したサンプル管100の両端部が、それぞれ第1栓110及び第2栓120と結合することができる。
【0048】
図3及び図4に示したように、加熱炉200は、サンプル管100の下側面を覆う下部ジグ220と、サンプル管100の上側面を覆い、下部ジグ220の上端部に結合する上部ジグ210と、を含みうる。
【0049】
上部ジグ210は、下部が開放されるように内部に中空を形成し、下部ジグ220は、上部が開放されるように内部に中空を形成し、上部ジグ210と下部ジグ220とが結合して加熱空間を形成しうる。前記サンプル管100が貫通する貫通ホール250は、上部ジグ210と下部ジグ220とを結合して形成される境界線に位置しうる。したがって、上部ジグ210と下部ジグ220とが分離された状態でサンプル管100を貫通ホール250に整列して、下部ジグ220に据え置きした後、上部ジグ210で下部ジグ220を覆って、サンプル管100を加熱炉200に装着することができる。
【0050】
加熱空間は、上部ジグ210の中空と下部ジグ220の中空とが対面するように合わせられて形成された空間である。
【0051】
図4に示したように、前記加熱空間は、前記第1栓110に最も近接した第1加熱空間201と、前記第2栓120に最も近接した第2加熱空間202と、前記第1加熱空間201と前記第2加熱空間202との間に設けられる第3加熱空間203と、を含み、前記サンプル管100内部に収容される前記サンプル11は、前記第3加熱空間203に位置するものである。
【0052】
すなわち、サンプル管100は、第1加熱空間201、第2加熱空間202及び第3加熱空間203に掛けられるように前記加熱炉200に据え置きされ、前記サンプル11は、前記サンプル管100の内部のうち、前記第3加熱空間203に該当する位置に位置しうる。
【0053】
前記第3加熱空間203には、前記サンプル11を加熱するメイン加熱部230が設けられ、前記第2加熱空間202には、前記分析対象ガスを一定温度以上に保持する補助加熱部240が設けられるものである。
【0054】
前記メイン加熱部230は、ランプヒーター、誘導加熱(induction heating)ヒーター、誘電加熱(dielectric heating)ヒーター、コイルヒーターなどである。メイン加熱部230は、サンプル11を輻射熱を通じて加熱することができる。メイン加熱部230は、25℃(常温)~1000℃の温度でサンプル11を加熱することができるので、1000℃まで温度設定が可能なヒーターである。
【0055】
前記補助加熱部240は、ランプヒーター、誘導加熱ヒーター、誘電加熱ヒーター、コイルヒーターなどである。補助加熱部240は、サンプル11で発生したガスが一定温度以下に冷却されることを防止することができる。補助加熱部240は、500℃以下の温度で運用される。
【0056】
図4及び図5Aないし図5Cに示したように、前記第2栓120には、カートリッジヒーターが挿入されるためのヒーター挿入溝122が設けられるものである。
【0057】
ヒーター挿入溝122に挿入されるカートリッジヒーターは、棒状のハウジング内に熱を放出する熱線が内蔵されたヒーターである。すなわち、カートリッジヒーターは、棒状に設けられ、ヒーター挿入溝122は、カートリッジヒーターの外形に対応する形状に設けられうる。カートリッジヒーターに生成された熱は、熱伝導を通じて排出口121を通過する分析対象ガスに伝達される。カートリッジヒーターの外周面は、ヒーター挿入溝122の内周面と密着される。
【0058】
図5Aないし図5Cに示したように、前記ヒーター挿入溝122は、複数設けられうる。前記第2栓120の一面には、前記排出口121が形成され、前記複数のヒーター挿入溝122は、前記第2栓120の前記一面上で前記排出口121を中心点とする仮想の円の円周上に位置するものである。複数のヒーター挿入溝122は、前記仮想の円周上で等間隔に配置される。したがって、排出口121を通過する分析対象ガスの熱分布を均一に保持することができる。
【0059】
前記第3加熱空間203の温度は、前記第2加熱空間202の温度よりも高く、前記第2加熱空間202の温度は、前記第2栓120の温度よりも高いものである。例えば、前記第3加熱空間203は、25~1000℃の温度に保持され、前記第2加熱空間202は、25~500℃の温度に保持され、前記第2栓120の温度は、25~150℃の温度に保持されるものである。第3加熱空間203の温度は、サンプル11に熱を加えるための温度に保持され、第2加熱空間202及び第2栓120の温度は、分析対象ガスが流路に吸着されないためのレベルに保持される。第2栓120の温度は、シーリング部材130の耐熱性を考慮して設定され、例えば、シーリング部材130がテフロン(登録商標)フェルールで設けられる場合、第2栓120の温度の最大値は、テフロン(登録商標)素材の耐熱温度である150℃以下に設定しうる。
【0060】
図4に示したように、第2栓120には、排出口121及びヒーター挿入溝122が形成される胴体部120aと、胴体部120aにシーリング部材130を固定する固定部120bと、を含みうる。シーリング部材130は、管状に設けられて、胴体部120aの一側面に形成された排出口121の入口に挿入される管部130aと、管部130aの外周面に沿ってリング状に突出した羽根部130bと、を含みうる。この際、固定部120bは、羽根部130bを挟んで胴体部120aの一側面を覆い、胴体部120aと結合されうる。固定部120bには、胴体部120aの一側面に形成された排出口121の入口と対面する位置に開口部が形成されうる。サンプル管100の他端部は、固定部120bの開口部を通過して管部130aに挿入される。すなわち、シーリング部材130の管部130aは、排出口121の内周面とサンプル管100の外周面との間に位置しうる。胴体部120aと固定部120bは、螺合によって結合されうる。胴体部120aの外周面と固定部120bの内周面とにネジ山が形成され、該形成されたネジ山を通じて螺合されてもよい。
【0061】
図4及び図6Aないし図6Cに示したように、排出口121の入口側内径は、出口側内径よりも大きく形成されうる。排出口121の内周面には、複数の段差121aが階段状に設けられ、排出口121の入口側に近く位置する段差の内径がさらに大きく形成されうる。
【0062】
図6Aないし図6Cに示したように、サンプル管100の規格(直径)が変わる度に、シーリング部材130の管部130aの規格は、サンプル管100の規格に対応するように設けられうる。具体的に、管部130aは、内周面がサンプル管100の外周面に密着されるように設けられ、管部130aの外周面は、複数の段差121aのうち、1つの段差の内周面に密着される。したがって、本発明の高温ガス捕集装置は、多様な規格のサンプル管100がシーリング部材130のみ簡単に取り替えることにより、容易に結合されうる。
【0063】
第1栓110も、第2栓120と同一の構造で設けられうる。但し、第1栓110には、必要に応じてヒーター挿入溝が追加または欠ける。
【0064】
図4に示したように、本発明の他の装置は、第1ないし第3加熱空間を備える。
【0065】
前記第3加熱空間203の第1方向への境界は、第1方向上で前記メイン加熱部230の両端部である。すなわち、第3加熱空間203の第1方向への長さは、前記メイン加熱部230の第1方向への長さと定義される。
【0066】
前記第1加熱空間201の第1方向への境界は、前記加熱炉200の内部空間で第1方向に垂直な2つの内壁のうち、前記第1栓110と隣接した内壁から前記メイン加熱部230の一端部までである。
【0067】
前記第2加熱空間202の第1方向への境界は、前記加熱炉200の内部空間で第1方向に垂直な2つの内壁のうち、前記第2栓120と隣接した内壁から前記メイン加熱部230の他端部までである。
【0068】
前記第1加熱空間201及び前記第2加熱空間202の前記第1方向への長さは、前記メイン加熱部230が発散する熱からシーリング部材130を保護するために確保される距離である。
【0069】
前記第1加熱空間201及び前記第2加熱空間202の前記第1方向への長さは、前記第3加熱空間203の前記第1方向への長さの15%以上または25%以上、そして、100%以下、80%以下または50%以下である。例えば、前記第3加熱空間203の前記第1方向への長さmは、約100~300mmであり、前記第1加熱空間201の前記第1方向への長さlは、約50~150mmであり、前記第2加熱空間202の前記第1方向への長さnは、約50~150mmでもある。例えば、前記第3加熱空間203の前記第1方向への長さは、約200mmであり、前記第1加熱空間201の前記第1方向への長さは、約100mmであり、前記第2加熱空間202の前記第1方向への長さは、約100mmでもある。
【0070】
第1加熱空間201は、外部から流入される運搬ガスが加熱炉200の内部温度に適応するための区間である。すなわち、第1加熱空間201は、冷たい運搬ガスがサンプル11を冷却することを防止するための区間である。第1加熱空間201の温度は、第3加熱空間203から放出される熱が伝達されて保持されるか、自体的に別途のヒーターを備えて運用される。第1加熱空間201の長さは、運搬ガスの注入速度、注入量または第3加熱空間203の温度に基づいて決定される。
【0071】
図7に示したように、本発明の高温ガス捕集装置は、前記注入口111と第1流路310で連結され、前記サンプル収容空間140に前記運搬ガスを供給する運搬ガス供給部300、前記サンプル管100内部の前記サンプル収容空間140で発生した分析対象ガスを伝達させて捕集する複数のガス捕集部400、及び前記サンプル管100の他端部と第2流路410で連結されて、前記第2流路410を通じて前記サンプル収容空間140の分析対象ガスを伝達させて、前記複数のガス捕集部400のうち、1つのガス捕集部400に分析対象ガスを選択的に伝達する開閉部500、をさらに含むものである。
【0072】
前記ガス捕集部400は、吸着管、DNPHカートリッジ、インピンジャー及びテドラーバッグのうちから選択されるものである。
【0073】
吸着管(adsorbent tube)は、発生した分析対象ガスの成分を吸着して一定時の間に吸着した状態に保持可能なものである。吸着管は、吸着剤を備えることができる。吸着剤は、多孔性構造の活性炭である。
【0074】
DNPHカートリッジは、アルデヒド類及びカルボニル系化合物の分析のために業界で通常使われるものである。
【0075】
インピンジャーは、無機系ガスをバブリングして捕集する装置である。
【0076】
テドラーバッグは、米国CEL Scientific社のガスサンプリングバッグである。
【0077】
運搬ガス供給部300から供給する運搬ガスは、サンプル11及び分析対象ガスに対して化学的に非活性であるものであって、水素、ヘリウム、窒素、アルゴンガスなどである。
【0078】
図7に示したように、本発明の高温ガス捕集装置は、前記第1流路310に設けられ、前記第1流路310を通過する前記運搬ガスを予熱する運搬ガス予熱部312、及び前記第1流路310上で前記運搬ガス予熱部よりも上流に設けられ、前記サンプル管に注入される前記運搬ガスの流量を制御する質量流量制御器311、をさらに含むものである。
【0079】
前記第1流路310には、前記サンプル収容空間140に注入される前記運搬ガスの流量を制御する質量流量制御器311が設けられるものである。本発明の高温ガス捕集装置は、リアルタイムで運搬ガスが注入及び排出される開放系であって、正確な温度調節のために運搬ガスの量が制御される。排出口121側または運搬ガス予熱部312の下流での温度は、実験条件によって変わりうるために、温度に制御影響を受けることができる質量流量制御器311は、注入口111の前端または運搬ガス予熱部312の前端に設けられうる。
【0080】
運搬ガス予熱部312は、熱線が含まれるシート状のヒーターで設けられ、第1流路310の外周面を取り囲むように設けられる。運搬ガス予熱部312は、運搬ガスを25~300℃の温度で加熱することができる。運搬ガス予熱部312は、サンプル11の温度及び運搬ガスの流量を考慮して制御される。
【0081】
図8に示したように、本発明の高温ガス捕集装置は、前記開閉部500を加熱して、前記開閉部500を通過する分析対象ガスの温度を一定レベル以上に保持する温度保持部600をさらに含むものである。温度保持部600は、オーブン形態で設けられうる。温度保持部600は、開閉部500のみを内部に収容して加熱し、温度保持部600で発生する熱は、ガス捕集部400に伝達されないように遮断される。必要に応じて、開閉部500とガス捕集部400との間には、断熱素材が設けられうる。温度保持部600は、開閉部500を25~150℃の温度に保持することができる。
【0082】
図9に示したように、前記開閉部500は、前記第2流路410が連結される第1開口部510と、前記複数のガス捕集部400が連結される複数の第2開口部530と、前記第1開口部510と前記複数の第2開口部530とのうち、1つの第2開口部530と選択的に連結される可変流路520と、を含むものである。
【0083】
具体的に、第1開口部510の入口は、排出口121と連結され、第1開口部510の出口が可変流路520の一端部に連結される。可変流路520は、一端部が回転軸の中心に位置し、回転軸に垂直な方向に延びる。可変流路520は、一端部が固定された状態で前記回転軸を基準に回転しうる。可変流路520の他端部が描く仮想の円周上に複数の第2開口部530が配列される。すなわち、可変流路520が回転しながら選択的に複数の第2開口部530のうち、1つと連結される。すなわち、複数の第2開口部530は、第1開口部510を中心点とする仮想の円周上に配され、可変流路520は、前記仮想の円周上に直径方向に延びる。
【0084】
図10に示したように、高温ガス捕集方法は、前記サンプル11を第1温度に第1設定時間保持する第1温度保持段階(ステップS10)、前記サンプル11を設定昇温速度で第1温度よりも高い第2温度までサンプル11を加熱する昇温段階(ステップS20)、及び前記サンプル11を前記第2温度に第2設定時間保持する第2温度保持段階(ステップS30)、を含むものである。
【0085】
前記第1温度保持段階(ステップS10)、前記昇温段階(ステップS20)及び前記第2温度保持段階(ステップS30)の間に、運搬ガスが前記運搬ガス供給部300を通じて前記サンプル管100に持続的に注入され、前記第1温度保持段階(ステップS10)、前記昇温段階(ステップS20)及び前記第2温度保持段階(ステップS30)の間に、前記サンプル11で発生した前記分析対象ガスは、ガス捕集部400に捕集されるものである。
【0086】
前記複数のガス捕集部400は、第1ガス捕集部、第2ガス捕集部及び第3ガス捕集部を含み、前記第1温度保持段階(ステップS10)で発生した分析対象ガスは、前記第1ガス捕集部に捕集され、前記昇温段階(ステップS20)で発生した分析対象ガスは、前記第2ガス捕集部に捕集され、前記第2温度保持段階(ステップS30)で発生した分析対象ガスは、前記第3ガス捕集部に捕集されるものである。
【0087】
すなわち、第1温度保持段階(ステップS10)で、開閉部500の可変流路520は、第1ガス捕集部と連結された第2開口部530と連結され、昇温段階(ステップS20)で、可変流路520は、第2ガス捕集部と連結された第2開口部530と連結され、第2温度保持段階(ステップS30)で、可変流路520は、第3ガス捕集部と連結された第2開口部530と連結されるものである。
【0088】
前記昇温段階(ステップS20)で、前記設定昇温速度は、0.1~100℃/minでもある。
【0089】
実施例1
図4に示された装置として、第1加熱空間201及び第2加熱空間202の長さが約100mm、第3加熱空間203の長さが約200mmである装置を使用した。
【0090】
分析対象サンプル11としてABSペレットをサンプル収容空間140に配置させた。第3加熱空間203を250℃に保持し、第2加熱空間を200℃に保持した状態でサンプルから発生したガスを捕集して分析した結果を表1に示した。
【0091】
比較例1
実施例1と同一の装置とサンプルとを使用するが、第3加熱空間203を250℃に保持し、第2加熱空間を常温で保持した状態でサンプルから発生したガスを捕集した。捕集したガスを分析した結果を表1に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
前記結果から実施例1の方法で捕集したガスの量が、約1.8倍多いことが分かり、特に、Rt(retention time)後部に検出される高分子量物質が、流路などの構造物に吸着されることを最小化することができる。
【0094】
実施例2
図8に示されたように、複数個のガス捕集部(第1ないし第3ガス捕集部)を備えた装置を使用した。サンプル11としてPIフィルムをサンプル収容空間140に配置させた。第1ガス捕集部、第2ガス捕集部及び第3ガス捕集部として吸着管であるTenax管を使用した。
【0095】
第1温度保持段階(ステップS10)で、第3加熱空間203の温度を50℃に5分間保持し、5分間発生した分析対象ガスを第1ガス捕集部に捕集した。
【0096】
昇温段階(ステップS20)で、第3加熱空間203の温度を10℃/minの昇温速度で180℃まで加熱し、第3加熱空間203が50℃から180℃まで昇温する間に発生した分析対象ガスを第2ガス捕集部に捕集した。
【0097】
第2温度保持段階(ステップS30)で、第3加熱空間203の温度を2時間180℃に保持し、2時間発生した分析対象ガスを第3ガス捕集部に捕集した。分析結果を表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
比較例2
JTD(Jai Thermal Desorption、JTD505-III、JAI社)を用いて2時間180℃の温度環境で発生したアウトガスを捕集及び分析し、該分析結果を表3に示した。
【0100】
【表3】
【0101】
表2及び表3の結果によれば、比較例2では、温度変化によるアウトガス発生量情報が分からないが、実施例2の装置及び方法によれば、温度変化によるアウトガス発生情報が分かる。したがって、多様な温度環境に使われる素材分析に有利である。
【0102】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の高温ガス捕集装置は、1000℃までの高温環境から発生したアウトガス捕集が可能であり、サンプル管からガス捕集部まで連結される流路に極性VOCなどを含むアウトガスの吸着を最小化して分析効率及び正確性を強化させることができる。
【0104】
本発明の高温ガス捕集装置及び方法は、サンプルに加熱温度、昇温速度及び昇温時間のような温度条件を付与することができ、変わる温度条件別にサンプルで発生したアウトガスを分離して捕集することができる。
【0105】
本発明の高温ガス捕集装置は、多様な規格の試料に対して制限なしに高温アウトガスを捕集することができる。
【符号の説明】
【0106】
11 分析対象サンプル
100 サンプル管
110 第1栓
111 注入口
120 第2栓
120a 胴体部
120b 固定部
121 排出口
121a 段差
122 ヒーター挿入溝
130 シーリング部材
130a 管部
130b 羽根部
140 サンプル収容空間
200 加熱炉
201 第1加熱空間
202 第2加熱空間
203 第3加熱空間
210 上部ジグ
220 下部ジグ
230 メイン加熱部
240 補助加熱部
250 貫通ホール
300 運搬ガス供給部
310 第1流路
311 質量流量制御器
312 運搬ガス予熱部
400 ガス捕集部
410 第2流路
500 開閉部
510 第1開口部
520 可変流路
530 第2開口部
600 温度保持部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】