(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】直接描画応力膜を用いたウェーハの反り修正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/312 20060101AFI20240416BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240416BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240416BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240416BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L21/312 A
H01L21/02 C
H01L21/66 J
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/30 578
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562960
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022022529
(87)【国際公開番号】W WO2022221060
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カトラー,シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コンクリン,デヴィッド
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
5F058
5F146
【Fターム(参考)】
2H197AB15
2H197CA03
2H197CA05
2H197HA03
2H197JA11
2H197JA17
4M106AA01
4M106CA47
4M106DJ18
4M106DJ38
5F058AA02
5F058AC01
5F058AF04
5F058AG09
5F146AA28
5F146HA07
(57)【要約】
【課題】本明細書における技法は、直接描画の調整可能な応力膜を形成する方法、及び上記応力膜を用いてウェーハの反りを修正する方法を含む。
【解決手段】本方法は、コータ/デベロッパツール又はトラックベースのツールで実行され得る。応力膜は、限定されるものではないが、直接描画が365nm暴露によって達成され、その後の硬化が応力を「パターンで組み込む」ために使用される外部刺激下で架橋結合/脱架橋を経る膜に基づき得る。現像ステップが不要になり得るため、膜の平坦性が保たれるという更なる著しい利点がもたらされる。反りの量(又は反り特性を形成する若しくは反り特性に影響する内部応力)は、暴露線量、ベーク温度、ベーク時間、及びベーク回数により調整され得る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、前記方法は、
ウェーハの裏側に反り調整応力膜を形成するステップであり、
前記ウェーハが、加工面と、前記加工面とは反対側にある前記裏側とを含み、
前記反り調整応力膜が応力調整剤を含み、
前記反り調整応力膜が化学線の所定の波長に感応する、
ステップと、
前記所定の波長にある前記化学線のパターンに前記反り調整応力膜を暴露するステップであり、
前記反り調整応力膜が、前記化学線の前記パターンに暴露された前記反り調整応力膜に沿った位置で、前記応力調整剤を放出するように構成されており、
前記放出された応力調整剤の濃度が、前記化学線の前記パターンに対応している、
ステップと、
硬化工程を実行するステップであり、
前記硬化工程が、前記放出された応力調整剤を活性化させ、前記反り調整応力膜内に応力変化を生じさせ、
前記応力変化が、前記ウェーハの反りを調整する、
ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記硬化工程が前記放出された応力調整剤を活性化させることが、
前記化学線の前記パターンに基づいて、前記反り調整応力膜内に架橋結合を生じさせること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反り調整応力膜が、前記化学線の前記所定の波長に応じて酸を発生させる、光酸発生剤、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反り調整応力膜が、前記化学線の前記所定の波長に応じてラジカルを発生させる、光開始剤、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反り調整応力膜を形成するステップ、前記化学線のパターンに前記反り調整応力膜を暴露するステップ、および、前記硬化工程を実行するステップは、前記ウェーハに対してデベロッパを導入することなく実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化工程を実行するステップが、
前記反り調整応力膜内で所定の程度の架橋結合に到るまで前記ウェーハに熱を加えること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化学線のパターンに前記反り調整応力膜を暴露するステップが、
選択された達成しようとする反り調整の値に基づいて、ある強度の化学線を照射すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記応力変化が、前記ウェーハの反りを調整するステップが、
前記加工面におけるウェーハの反り値を減少させて、その結果、前記反り調整応力膜を堆積させる前と比較して、前記ウェーハの湾曲を低減させること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反り調整応力膜が、光塩基発生剤を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、更に、
前記ウェーハの前記裏側に第2の反り調整応力膜を堆積させるステップであり、
前記第2の反り調整応力膜が、第2の応力調整剤を含み、
前記第2の反り調整応力膜が、前記化学線の第2の所定の波長に感応する、
ステップと、
前記化学線の第2のパターンに、前記第2の反り調整応力膜を暴露するステップと、
を含み、
前記硬化工程が、前記放出された第2の応力調整剤を活性化させ、前記反り調整応力膜内に前記応力変化を生じさせ、
前記応力変化が、前記ウェーハの前記反りを調整する、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、
前記ウェーハの前記裏側に第2の反り調整応力膜を堆積させるステップであり、
前記第2の反り調整応力膜が、第2の応力調整剤を含み、
前記第2の反り調整応力膜が、前記化学線の第2の所定の波長に感応する、
ステップと、
前記化学線の第2のパターンに前記第2の反り調整応力膜を暴露するステップと、
第2の硬化工程を実行するステップであり、
前記第2の硬化工程が、前記放出された第2の応力調整剤を活性化させ、前記反り調整応力膜内に応力変化を生じさせ、
前記応力変化が、前記ウェーハの反りを調整する、
ステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1の所定の波長と、前記第2の所定の波長とが異なる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化学線の前記パターンは、前記ウェーハのための反り調整応力マップに基づいている、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記反り調整応力マップは、前記ウェーハの前記裏側に沿った座標位置にわたり緩和する応力値を指示する、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記反り調整応力膜は、スピンオン堆積によって堆積される、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、更に、
第3のタイプのエピタキシャル材料を成長させる前に、未被覆の1種以上のチャネル材料に沿ってケイ化物を形成するステップ、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反り調整応力膜は、エポキシ膜を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化学線の前記パターンは、直接描画リソグラフィシステムによって提供される、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記化学線の前記パターンは、マスクベースのリソグラフィシステムによって提供される、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
基板を処理する方法であって、前記方法は、
ウェーハの裏側に第1の反り調整応力膜を形成するステップであり、
前記ウェーハが、加工面と、前記加工面とは反対側にある前記裏側と、を含み、
前記第1の反り調整応力膜が、第1の所定の波長を有する化学線に応じて、第1の応力調整剤を放出するように構成されている、
ステップと、
前記第1の反り調整応力膜上に第2の反り調整応力膜を形成するステップであり、
前記第2の反り調整応力膜が、第2の所定の波長を有する前記化学線に応じて、第2の応力調整剤を放出するように構成されている、
ステップと、
前記第1の所定の波長にある前記化学線の第1のパターンに、前記第1の反り調整応力膜及び前記第2の反り調整応力膜を暴露するステップであり、
前記第1の反り調整応力膜が、前記化学線の前記第1のパターンに暴露された前記第1の反り調整応力膜に沿った位置で、前記第1の応力調整剤を放出するように構成されており、
前記放出された第1の応力調整剤の濃度が、前記化学線の前記第1のパターンに対応している、
ステップと、
前記第2の所定の波長にある前記化学線の第2のパターンに前記第1の反り調整応力膜及び前記第2の反り調整応力膜を暴露するステップであり、
前記第2の反り調整応力膜が、前記化学線の前記第2のパターンに暴露された前記第2の反り調整応力膜に沿った位置で、前記第2の応力調整剤を放出するように構成されており、
前記放出された第2の応力調整剤の濃度が、前記化学線の前記第2のパターンに対応する、
ステップと、
硬化工程を実行するステップであり、
前記硬化工程が、前記放出された第1の応力調整剤及び前記放出された第2の応力調整剤を活性化させ、
前記硬化工程が、前記第1の反り調整応力膜内に第1の応力変化を生じさせ、
前記第2の反り調整応力膜内に第2の応力変化を生じさせ、
前記第1の応力変化及び前記第2の応力変化が、一緒に前記ウェーハの反りを調整する、
ステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造方法に関する。より詳細には、ウェーハの反り緩和に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年4月15日に出願された米国仮特許出願第63/175,123号、及び、2022年3月24日に出願された米国特許出願第17/703,072号について優先権の利益を主張するものであり、同出願は、その全体が、本明細書に参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景の説明は、本開示の背景を一般的に提示するためのものである。この背景のセクションで説明される範囲における本発明者らの研究、及び、出願の時点で先行技術として本来なら認定されないであろう記載の態様は、本開示に対する先行技術として、明示的にも暗示的にも認められない。
【0004】
半導体製造は、複数の様々なステップ及び工程を含む。典型的な製造工程の1つは、フォトリソグラフィ(マイクロリソグラフィとも呼ばれる)として知られている。フォトリソグラフィでは、紫外光又は可視光などの放射線を使用して、半導体デバイス設計において微細パターンを生成する。フォトリソグラフィ、エッチング、膜堆積、表面洗浄、メタライゼーションなどを含む、半導体製造技法を用いて、ダイオード、トランジスタ、及び集積回路などの、多様な半導体デバイスを構築することができる。
【0005】
フォトリソグラフィ技法の実施には、露光システム(露光ツールとも呼ばれる)が使用される。露光システムは、典型的には、照明システムと、回路パターンを作成するレチクル(フォトマスクとも呼ばれる)又は空間光変調器(SLM)と、投影システムと、感光レジストで覆われた半導体ウェーハをアライメントするウェーハアライメントステージと、を含む。照明システムは、レチクル又はSLMの一領域を、(好ましくは)矩形スロットの照明フィールドで照明する。投影システムは、レチクルパターンの照明された領域の像を、ウェーハ上に投影する。投影を正確に行うためには、好ましくは、高さの偏差が10ミクロン未満である、比較的平坦であるか、平面であるウェーハを光のパターンに暴露することが重要である。したがって、あらゆるウェーハの反りを修正する方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ウェーハの裏側に反り調整応力膜を形成するステップであり、ウェーハが、加工面と、加工面とは反対側にある裏側とを含み、反り調整応力膜が応力調整剤(stress-modification agent)を含み、反り調整応力膜が化学線(actinic radiation)の所定の波長に感応する、ステップと、所定の波長にある化学線のパターンに反り調整応力膜を暴露するステップであり、反り調整応力膜が、化学線のパターンに暴露された反り調整応力膜に沿った位置で、応力調整剤を放出するように構成されており、放出された応力調整剤の濃度が、化学線のパターンに対応しているステップと、硬化工程(curing process)を実行するステップであり、硬化工程が、放出された応力調整剤を活性化させ、反り調整応力膜内に応力変化を生じさせ、応力変化がウェーハの反りを調整する、ステップと、を含む、基板を処理する方法に関する。
【0007】
本開示は、追加的に、ウェーハの裏側に第1の反り調整応力膜を形成するステップであり、ウェーハが、加工面と、加工面とは反対側にある裏側とを含み、第1の反り調整応力膜が、第1の所定の波長を有する化学線に応じて、第1の応力調整剤を放出するように構成されている、ステップと、第1の反り調整応力膜上に第2の反り調整応力膜を形成するステップであり、第2の反り調整応力膜が、第2の所定の波長を有する化学線に応じて、第2の応力調整剤を放出するように構成されている、ステップと、第1の所定の波長にある化学線の第1のパターンに、第1の反り調整応力膜及び第2の反り調整応力膜を暴露するステップであり、第1の反り調整応力膜が、化学線の第1のパターンに暴露された第1の反り調整応力膜に沿った位置で、第1の応力調整剤を放出するように構成されており、放出された第1の応力調整剤の濃度が、化学線の第1のパターンに対応している、ステップと、第2の所定の波長にある化学線の第2のパターンに第1の反り調整応力膜及び第2の反り調整応力膜を暴露するステップであり、第2の反り調整応力膜が、化学線の第2のパターンに暴露された第2の反り調整応力膜に沿った位置で、第2の応力調整剤を放出するように構成されており、放出された第2の応力調整剤の濃度が、化学線の第2のパターンに対応している、ステップと、硬化工程を実行するステップであり、硬化工程が、放出された第1の応力調整剤及び放出された第2の応力調整剤を活性化させ、硬化工程が、第1の反り調整応力膜内に第1の応力変化を生じさせ、第2の反り調整応力膜内に第2の応力変化を生じさせ、第1の応力変化及び第2の応力変化が一緒にウェーハの反りを調整する、ステップと、を含む、基板を処理する方法に関する。
【0008】
この概要のセクションは、本開示又は特許請求の範囲に記載される本発明の全ての実施形態及び/又は段階的に新規な態様を指定するわけではない、ことに留意されたい。その代わりに、本発明の概要は、異なる実施形態、及び、新規性に関する対応点についての、予備的な考察を提供するだけである。本発明及び実施形態の更なる詳細及び/又は予想される観点について、読者は、以下で更に論じる本開示の「発明を実施するための形態」セクション及び対応する図面を参照されたい。
【0009】
例として提案する本開示の様々な実施形態について、以下の図を参照しながら、詳細に説明する。図面において、類似の番号は、類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】層のうちの1つに欠陥が導入されているウェーハ上の層に係る概略斜視図である。
【
図1B】結果として得られるウェーハの反りに係る様々なタイプ及び程度の概略図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、ウェーハ上に配置され、かつ、化学線に暴露された反り緩和応力膜に対する応力マップである。
【
図2B】本開示の実施形態による、ウェーハ上に配置され、かつ、化学線に暴露された反り緩和応力膜に対する応力マップである。
【
図2C】本開示の実施形態による、ウェーハ上に配置され、かつ、化学線に暴露された反り緩和応力膜に対する応力マップである。
【
図3】本開示の実施形態による、表面上に形成された構造又はデバイスを示す断面基板セグメントである。
【
図4】本開示の実施形態による、ウェーハの裏側に形成された反り調整応力膜を示す断面基板セグメントである。
【
図5】本開示の実施形態による、応力膜の暴露(exposure)を示す断面基板セグメントである。
【
図6】本開示の実施形態による、暴露後の応力膜を示す断面基板セグメントである。
【
図7】本開示の実施形態による、半導体デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の開示は、提示する主題(subject matter)の様々な特徴を実施するための多様な実施形態又は例を示す。本開示を簡略化するために、構成要素及び構成の具体例を以下で説明する。当然のことながら、これらは単なる例に過ぎず、限定することを意図するものではない。例えば、以下に続く説明における第2の特徴の上方又は上での第1の特徴の形成は、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触して形成される実施形態を含んでよく、または、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触し得ないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成され得る実施形態を含み得る。加えて、本開示は、様々な例において、参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、簡潔さ及び分かり易さを目的としており、議論する各種の実施形態及び/又は構成間の関係について、それ自体言及するものではない。更に、本明細書では、説明を簡単にするために「上部」、「下部」、「下」、「下方」、「より下」、「上方」、「より上」などの空間的に相対的な用語を使用して、図に示すような1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する関係を説明することがある。空間関係用語は、図示する向きに加え、使用又は動作中のデバイスの異なる向きを含むものとする。装置は、他の向き(90度回転された、又は他の向き)であってよく、本明細書で用いる空間関係記述子も同様に相応に解釈されてよい。
【0012】
本明細書に記載する異なるステップの説明の順序は、分かり易さを目的として示している。一般に、これらのステップは任意の適切な順序で実行することができる。また、本明細書における異なる特徴、技法、構成などのそれぞれに本開示の異なる場所で言及する場合があるが、それぞれの概念は、互いに独立に、又は、互いに組み合わせて実行できるものとする。したがって、本発明は、多くの異なる方法で具現化及び検討することができる。
【0013】
本明細書では、スピンオン式直接描画の調節可能な応力膜を提供する技法、及び、ウェーハの反りを修正する方法が説明される。本明細書における工程は、コータ/デベロッパ(coater-developer)ツール(トラックツールとしても知られる)で実行され得る。このような技法は、より少なく、より安価なステップで修正ウェーハの反りを実現する。スピンオン膜は、限定されるものではないが、直接描画が365nm暴露によって達成され、その後の硬化が応力を「パターンで組み込む(pattern-in)」ために使用される外部刺激下で、架橋結合/脱架橋を経る膜に基づき得る。更に、膜は、スピンオン工程に限定される必要はなく、他の堆積方法が使用されてもよい。現像ステップ(develop step)は、本明細書の技法では必須ではないが(ただし、任意選択であり得る)、更に、著しい利益をもたらす。反りの量(又は、反り特性を形成する、若しくは、反り特性に影響する内部応力)は、暴露線量、ベーク温度、ベーク時間、及び、ベーク回数で調整され得る。しかしながら、本明細書における応力調整膜は、本来は有機であってよく、光に暴露されると架橋する、又は、光への暴露を経てベーク若しくは硬化ステップした後に架橋する、特性若しくは成分を有し得る。膜の性質は、また、裏側ウェーハコーティングを可能にする。
【0014】
3D NANDメモリデバイスの製造において、デバイス構造は、ウェーハの加工面から垂直方向に延び得る。これらのデバイスに格納されるメモリが増えるにつれて、デバイスは重くなる。
図1Aは、層のうちの1つに欠陥が導入されているウェーハ上の層に係る概略斜視図である。例えば、300mmのウェーハ上の3D NANDデバイスには、128の層が使用され得る。図示のように、下地となる前の層にある欠陥が拡大して、後の層で深刻な反りを生じることがある。
図1Bは、表側の3D NANDスタックにおける層の数を系統的に増やすと、ウェーハの反りが更に増え、問題の深刻度が増すことを示している。このことは、不均一性、非平面性、リソグラフィ工程又は他の工程でのオーバーレイのミスマッチ、及び、ウェーハハンドリングの悪化を含む問題を生じ得る。
【0015】
いくつかの緩和策は、例えば、化学気相成長法(CVD)によって、ウェーハの裏側に窒化シリコン膜を堆積させることを含み、これは、ウェーハ及びデバイスに大量の応力を生じ得る。次いで、窒化シリコンの所定の部分が、像形成、照明、又は暴露され、その後に除去されて、ウェーハ上の特定の点の応力を緩和し、これにより、ウェーハを異なる仕方で再整形し得る。窒化ケイ素膜法によりもたらされる問題は、この方法が異なるツールを設けることを必要とすることであり、このことは、単純なトラックベースの工程が非互換であり得る。したがって、ウェーハを全く異なるツールに装填することを必要とし得ることを意味し得る。更に、この方法は、また、ウェーハの裏側に所望の量の窒化ケイ素を付けるのに時間がかかり得る。加えて、この方法は、一般に、ウェーハの反りを緩和するために窒化シリコン膜を像形成したり、窒化シリコン膜においてパターンを調整したりする、非常に複雑な工程である。
【0016】
本明細書で説明されるように、有機ベースの架橋可能な反り緩和膜が、ウェーハの裏側に堆積され得る。反り緩和膜は、全体的な反り緩和だけでなく、局所的な反り緩和にも柔軟性を持たせ得る。一実施形態では、全体的な反り緩和が膜に適用され得る。一実施形態では、局所的な反り緩和が、ウェーハの裏側にある膜上のプログラム可能な直接描画応力パターンを介して適用され得る。直接描画応力パターンは、表側の反り調整応力マップ(本明細書では「応力マップ」と呼ぶ)に基づき得る。注目すべきことに、反り緩和膜は、トラックベースの工程での連続処理を可能にし得るツールを使用してウェーハの裏側に堆積される、ポリマーベースの有機膜である。化学線の所定の波長が与えられて、応力マップに基づいて、膜を像形成、照明、又は暴露して、反対の側又は反対の面にある望ましくない反りを緩和する応力を、膜ひいてはウェーハに組み込み得る。更に、暴露ステップ、及び、加熱又はベークステップを含み得る暴露工程は、現像ステップ(develop step)を必須とする必要はない。よって、この方法は、反り緩和膜を製造する直接描画工程とみなされ得る。反り緩和膜は、また、ウェーハの反りを緩和するために膜が応力を組み込まれ得るという点で、応力膜と説明され得る。
【0017】
製造ツールへの反りの影響に関連して、ツールは、ウェーハをハンドリング(すなわち、移動、輸送、及び操作)し得るが、ウェーハの反りが300μmに近づき、それを超えると、ハンドリングの問題を経験し得る。注目すべきことに、本明細書で説明される方法は、300~400μmの1次反り緩和を維持しながら、最大150μmの2次反り緩和の増加を可能にし得る。これは直接描画であるが、依然として現像ステップを含めることもできる。現像ステップは、光に暴露されていない領域に未暴露の材料が存在する場合、より高い硬化温度での柔軟性を持たせ得る。例えば、光酸発生剤の分解温度が高くなければ、これらの領域も高温で架橋され得る。
【0018】
化学物質に関連して、本明細書で説明される方法は、エポキシアクリレート、エポキシノボラック、ディールス・アルダー反応が架橋結合を誘導し得るベンゼンシクロブタジエン(BCB)化学物質、及び、ポリイミドを含む化学物質を活用し得る。使用され得る他のタイプの化学物質としては、照射及びその後の加熱により、又は、暴露のみによって、架橋結合又は結合転位が生じて、なんらかのタイプの応力を形成する、光開始化学物質が挙げられる。ウェーハの反りがトラック上で裏側コートを使用して緩和され得る場合、複雑な窒化ケイ素膜の堆積工程をなくすことができる。
【0019】
一実施形態では、有機配合物が、スピンコート工程又は任意の堆積工程を通じて、ウェーハの表面に堆積され得る。膜は、余分な溶媒を除去するためにベークされ得る。次いで、膜は、化学線のパターンに暴露され得る。化学線のこのパターンは、応力調整パターンを画定し得る、又は、応力調整パターンに基づき得る。様々なリソグラフィツールが使用され得る。好ましくは、直接描画レーザ又はリソグラフィツールが使用され得る。これは、パターンを1つの画像として、又は、スキャンとして投影する、デジタルライ卜プロセッシング(DLP)チップ、レーザガルバノメータなどであり得る。一実施形態では、スキャナ又はステッパツールを使用した、マスクベースのリソグラフィ暴露が使用され得る。直接描画ツールは、マスクベースのツールよりも解像度が低いが、応力を微調整するのに必要な解像度は、トランジスタをパターニングするのに比べてはるかに低くなり得る。また、マスクで作成された応力マップは、静的であるのに対し、直接描画ツールを使用することは動的であり得るため、応力マップは、必要に応じてウェーハごとに作成又は投影され、変更され得る。
【0020】
本明細書で説明されるように、光(すなわち、化学線)の波長は365nmであり得るが、他の波長も同様に使用され得る。波長は、所与の有機膜に含まれる成分に依存し得る。本明細書における実施形態は、また、光の異なる波長に反応する複数の膜を使用することも含み得る。暴露後に、膜は、暴露後ベークにおいて加熱され得る。しかしながら、現像ステップは必須ではなく、次いで、膜は、より高い温度で硬化され得る。その時間及び温度は、膜厚及び必要な応力の量に依存し得る。現像ステップが、硬化前に実行されてもよいが、これは任意選択であることに留意されたい。硬化温度は、膜内のより完全な架橋結合を誘導するのに十分な高さであるべきである。有機応力膜の最初のフラッド暴露及び硬化により、数十又は数百ミクロンのウェーハの反りが達成され得る。
【0021】
次に図面を参照すると、
図2A~
図2Cは、本開示の実施形態による、ウェーハ上に配置され、化学線に暴露された、反り緩和応力膜の応力マップである。一実施形態では、ウェーハは、第1の表面と第2の表面とを含み得る。例えば、ウェーハの第1の表面は、ターゲットデバイスが製造される加工面であり得る。第2の表面は、ウェーハの裏側であり得る。ウェーハの裏側は、その上に反り調整応力膜(本明細書では「応力膜」と呼ぶ)を形成させ得る。応力膜は、有機膜又は高分子系膜であり得る。
【0022】
一実施形態では、
図2A~
図2Cは、有機応力膜がウェーハの反りにどのような影響を与え得るかを示している。応力膜は、例えば、スピンコートにより、ウェーハの裏側に堆積され得る。とりわけ、スパッタコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレード、CVD、物理蒸着(PVD)、及び、原子層堆積(ALD)など、他の堆積工程が企図され得る。応力膜は、ウェーハの中央を通る応力膜の一片(strip)など、所定のパターン又は形状にしたがって暴露され得る。
図2A~
図2Cに示すように、応力膜の100mmの一片がウェーハの中央下で暴露され、365nmの波長を有する光に暴露された。暴露された応力膜を含むウェーハは、暴露後のベークにおいて加熱された後で、より高い温度で硬化され得る。追加の硬化ステップは、ウェーハの反りを増やして、調整可能な応力膜を可能にする。応力マップのそれぞれに、参照用の追加の工程情報を含む同じ表が付随する。
【0023】
図2A~
図2Cは、表(左)に処理条件を示し、エポキシノボラック膜の対応する応力マップを、結果として得られるウェーハの中心を通るサドルパターン像と共に示している。
【0024】
図2Aでは、1回目の硬化を175℃で10分間行い、その結果、17μmの厚さを有する応力膜において、約88μmのウェーハの反りが得られた。
【0025】
図2Bでは、2回目の硬化を200℃で更に10分間行い、その結果、約214μmのウェーハの反りが得られた。
【0026】
図2Cでは、3回目の硬化を200℃で更に5分間行い、その結果、約260μmのウェーハの反りが得られた。
【0027】
上述のように、このような応力膜に含まれる化学物質としては、限定されるものではないが、エポキシアクリレート、エポキシノボラック、ディールス・アルダー反応が架橋結合を誘導し得るBCB化学物質、及び、ポリイミドが挙げられる。繰り返しになるが、
図2A~
図2Cに示すウェーハの反りは、応力膜が実際にウェーハの反りを生じ得ることを示しており、そのため、上記ウェーハの反りを緩和又は修正するために、その上に製造されたデバイスに起因して既に反りのあるウェーハに使用することができる。
【0028】
上述のように、本明細書では、コータ/デベロッパシステムが応力膜のスピンオン堆積に使用され得る。これらのツールは、ウェーハのコーティング、ウェーハのベーキング、及び、膜の現像のための複数のモジュールを含み得る。本明細書で説明されるコータ/デベロッパツールは、また、直接描画暴露モジュールを含み得る。次いで、コータ/デベロッパシステムは、様々なスピンコーティング、ベーキング/硬化モジュール、及び、暴露モジュールの間で、又は、付属のスキャナ/ステッパツールにウェーハを往復させ得る。更に、本明細書で説明されるコータ/デベロッパツールは、また、供給時に(point-of-dispense)混合することを含み得る。つまり、化学物質は、ウェーハに供給する直前に、供給ノズルで、又は、供給ノズルの近傍で混合され得る。例えば、溶媒が、粘度又は膜厚を調整するために、ノズルでレジストに添加され得る。
【0029】
本明細書における技法は、微細加工工程による反りを緩和し、又は、打ち消すために使用され得る。本明細書における応力膜は、所定の微細加工工程を通じて複数回堆積され得る。例えば、上述のように、3D NANDメモリデバイスは、メモリデバイスを作成するために128層以上の積層膜を有し得る。この層の積層体は、ウェーハに著しい応力を付与し、その結果、オーバーレイ・エラーが問題になる反りが形成され得る。同様に、3Dロジックは、多くの層を有し、ウェーハの反りを修正する同様の必要性を有すると予想される。
【0030】
この目的で、
図3は、本開示の実施形態による、表面に形成された構造又はデバイス399を示す断面基板セグメントである。一実施形態では、ウェーハ305は、第1の表面310と第2の表面315とを含む。例えば、ウェーハの第1の表面310は、ターゲットデバイスが製造される加工面であり得る。第2の表面315は、ウェーハの裏側であり得る。加工面310上に形成されたデバイス399は、トランジスタ又はメモリセルなどの能動デバイス、又は、部分的に形成された能動デバイスであり得る。ウェーハ305は、コータ/デベロッパツール又は他のトラックベースのツールのコーティングモジュールで受け取られ得る。
【0031】
図4は、本開示の実施形態による、ウェーハ305の裏側315に形成された反り調整応力膜325(本明細書では「応力膜325」と呼ぶ)を示す断面基板セグメントである。一実施形態では、ウェーハ305は反転され、応力膜325は、裏側315に形成され得るが、ウェーハ305が反転されなくてもよい。例えば、ツールは、垂直上向きのコーティング、スプレー、又は、堆積用のシステムを含み得る。つまり、ウェーハ305は、トラック上にあり続け、ツールは、スプレーコーティングによってウェーハの裏側315に応力膜315を形成し得る。いずれにせよ、応力膜325は、裏側315に形成され得る。応力膜325は、化学線に応じて応力調整剤を放出するように構成された有機膜であり得る。つまり、応力膜325は、1つ以上の光酸発生剤、熱酸発生剤、光開始剤、光破壊塩基など、を含み得る。上記に示したように、応力膜325は、酸、塩基、又はラジカルの存在下での硬化から、応力膜325内に応力(引張又は圧縮)をもたらす様々なエポキシ材料若しくは樹脂、又は、他の有機材料を含み得る。加工面310上に配置されたデバイス399については、ウェーハ305のハンドリングを容易にするために、保護充填物又は保護膜が堆積され得るか、又は、キャリアウェーハが取り付けられ得る。
【0032】
本明細書では、加工面310及び裏側315は、ウェーハ305の両面を示すために使用されることに留意されたい。いくつかの微細加工工程では、所与のウェーハは、両面に能動デバイス又は電力供給構造を形成され得る。この場合、加工面310又は裏側315のいずれかが、製造工程段階に応じて、応力膜325を受け取り得る。
【0033】
図5は、本開示の実施形態による、応力膜325の暴露を示す断面基板セグメントである。一実施形態では、応力膜325は、応力膜325内の応力調整剤を放出する化学線のパターンに暴露され得る。この暴露ステップは、コータ/デベロッパツールの直接描画モジュール内で実行され得るか、又は、暴露用の別のツール若しくは接続されたツールに移送され得る。化学線は、応力膜325を有するウェーハ305の裏側315にある座標位置で、より多くの又はより少ない放射線が受けられるようにパターニングされ得る。解像度は、暴露を実行するために選択された特定のリソグラフィシステムに依存し得る。所与の座標位置で放出された応力調整剤の濃度は、応力膜の325を照らす化学線のパターンに基づき得る。このことは、
図6における応力膜325のより密に陰影をつけられた部分で表されている。
【0034】
図6は、本開示の実施形態による、暴露後の応力膜325を示す断面基板セグメントである。一実施形態では、
図2A~
図2Cに記載されているように、1つ以上の硬化ステップが実行され得る。ウェーハ305は、コータ/デベロッパツールのベーク/硬化モジュールに移送され得る。硬化工程は、応力膜325内の応力調整剤を活性化させ、ウェーハ305の反りを調整するのに十分に調整された応力を、応力膜325内に生じ得る。例えば、光に暴露されると、(非限定的な例では)光酸発生剤(PAG)が光酸を発生させ、この光酸が、ベーク及び硬化時に、エポキシ架橋結合反応を触媒し得る。応力膜325における架橋結合の反応が、応力緩和をもたらす。いくつかの実施形態では、化学線のパターンの像形成又は化学線のパターンへの暴露は、応力膜325を直接変化させ、それにより、ウェーハ305の反りを直接変化又は調整し得る。例えば、水素結合相互作用などの結合相互作用を、パターニングされた暴露によって像形成し、除去することにより、応力が緩和され得る。つまり、応力を誘発するのではなく、パターニングされた暴露は、例えば、光活性化合物(PAC)を活性化させ、事前に暴露されたPACの抑制効果を除去することによって、応力を緩和し得る。調整された応力は、架橋結合、種間の調整された結合、又は、他の絡み合いによってもたらされ得る。例えば、応力調整剤を介した応力膜325の架橋結合の量は、化学線のパターンに基づいて、所与の座標位置で放出された応力調整剤の濃度に対応し得る。作用剤及び膜の特性に依存して、応力は、引張又は圧縮内部応力であり得る。次いで、結果として応力膜325に生じる応力は、例えば、微細加工工程ステップからウェーハに生じる応力を打ち消し得る。
図6は、光の投影パターン及び1回以上の硬化ステップに基づいて、応力膜325において座標位置によって、より多い又はより少ない応力を有する応力膜325を示している。
【0035】
したがって、ワープしたウェーハが、本明細書で説明される応力膜325で平坦化され得る。プログラム可能な直接描画パターンは、本質的に、赤外線(IR)領域又は熱領域にある、より長い波長を含み得る光又は電磁エネルギーの特定の波長によって活性化される、架橋結合又は化学変化を通じて、応力を活性化させる(又は、事前に活性化させる)。IR波長は、ウェーハ305を通して、つまり、加工面310を通して暴露されたウェーハ305を通して、応力膜325をパターニングするために使用され得る。しかしながら、ウェーハの加工面でのデバイス製造は、特に、デバイス製造工程の後段階において、ウェーハを通じて応力膜325をパターニングする能力を損なう可能性がある。いくつかの実施形態では、裏側の膜は、トラックデバイス内又はデバイス製造機器内のいずれかで、空間温度制御を有するウェーハチャックを使用して活性化され得る。応力活性化は、所与の有機膜中のポリマーではなく、添加物に基づいて、光の異なる波長を用いて調整され得る。したがって、本明細書における応力膜325は、エッチングされた膜のように、応力を放出するのではなく、打ち消す応力を誘導するが、エッチングステップは必要ではない。いくつかの実施形態では、ウェーハが裏返されて(
図5のウェーハなど)、電磁エネルギーが裏側315を介するのではなく、像形成される側にパターニングされるようにし得る。
【0036】
上述のように、現像工程又はステップ(developing process or step)が硬化の前に実行され得る。現像工程が実行される場合、ウェーハの裏側の高さに不一致が生じ得る。よって、充填物が、裏側にある応力膜325の上に堆積又は形成され得る。次いで、引き続き製造及び処理を行うためにウェーハ305を裏返して戻す前に、裏側充填物が平坦化され得る。そうでなければ、特定の位置における膜の高さの不一致自体がウェーハ305の形状不良を引き起こす可能性がある。しかしながら、このことは、現像工程が不要であり、一種の膜の高さの不一致が生じないという直接描画コントロールの利点を更に際立たせるはずである。直接描画では平坦な膜が形成され、反りでは誘導され得るが、膜は平坦なままである。
【0037】
一実施形態では、2つ以上の応力膜325が堆積され得る。それぞれの所与の膜が、同じ波長又は異なる波長によって活性化され得る。この多層工程は、累積応力又は差応力(differential stress)をもたらすために使用され得る。より低い解像度のウェーハの反り修正では、本明細書における膜は、光活性化パターンステップ(すなわち、全体的な反り緩和)なしで、単にターゲットとした又はパターニングされた加熱によって活性化され得る。ゾーンベースの加熱、又はマスクベースの加熱硬化、又はマイクロ波加熱が、位置固有の架橋結合を生じ得る。この場合、光酸発生剤(PAG)又は熱酸発生剤(TAG)のいずれかが使用され得る。これは、ほとんどのPAGが、十分に高い温度でTAGとして機能し得るためである。
【0038】
一実施形態では、応力膜を裏側に組み込むことにより、デバイスの歩留まりに影響を与え得るトレードオフが生じ得る。多方向作動応力膜が表側に組み込まれることが計画されている設計技術の協調最適化により、本技術の利点は、トレードオフなしで実現され得る。このような実装態様では、応力膜325は、ウェーハ305上のデバイス間の領域などの加工面310に、加工面310の周縁部に沿って、又は、更にはデバイスの上に形成され得る。
【0039】
本明細書における技法は、数百ミクロンのウェーハの反りに影響を与えることができ、これは、半導体製造中にウェーハで観察されるウェーハの反り及びワープを打ち消すのに十分である。本明細書において結果として得られる反り調整は、サドル反りなどの1次及び2次のボーイング修正であり得る。本明細書における技法は、半導体製造工程全体を通して使用され得る。例えば、最初の反りが本明細書における膜で修正された後で、更なる処理を実行することができる。次いで、この更なる処理は、結果として更なるワープをもたらし得る。この時点で、第2の反り調整膜が追加され、パターニングされた後で、硬化され得る。或いは、第1の反り調整膜を剥離した後で、ウェーハワープを2回目に測定し、次いで2、回目のウェーハの反り測定にしたがって、後続の反り調整を堆積し、パターニングする。
【0040】
図7は、本開示の実施形態による、基板を処理する方法700のフローチャートである。
【0041】
ステップ705において、ウェーハ305はツールによって受け取られ得る。ウェーハ305は、第1の表面310(加工面310)と第2の表面315(裏側315)とを含む。
【0042】
ステップ710において、応力膜325が、ウェーハ305の裏側315に形成され得る。応力膜325は、応力調整剤を含むことができ、応力膜325は、化学線の所定の波長に感応する。
【0043】
ステップ715において、応力膜325は、所定の波長にある化学線のパターンに暴露され得る。応力膜325は、化学線のパターンに暴露された応力膜325に沿った位置で応力調整剤を放出するように構成され得る。放出された応力調整剤の濃度は、化学線のパターンに対応し得る。
【0044】
ステップ720において、硬化工程が実行され得る。硬化工程は、放出された応力調整剤を活性化させ、応力膜325内に応力変化を生じさせて、ウェーハ305の反りを調整し、ウェーハ305を平坦に近づけることができる。
【0045】
ステップ725において、任意選択で、現像工程(developing process)が硬化前に実行され得る。
【0046】
これまでの説明において、処理システムの特定の幾何学的形状、及び、使用される各種の構成要素及び処理の記述など、具体的な詳細を記載してきた。しかしながら、本明細書における技法が、これらの具体的な詳細とは異なる他の実施形態で実施されてよいこと、及び、そのような詳細は、説明目的であって限定するためのものではないこと、を理解されたい。本明細書に開示する複数の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明してきた。同様に、説明目的のために、完全な理解が得られるよう、具体的な個数、材料、及び構成を記載してきた。にもかかわらず、そのように具体的な詳細がなくても、複数の実施形態を実施することができる。実質的に同じ機能構造を有する構成要素は、類似の参照符号で表記されており、したがって、いかなる冗長な記述も省略されている場合がある。
【0047】
様々な実施形態の理解を促進するために、様々な技法を複数の個別の動作として説明してきた。説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものとして解釈すべきではない。実際、これらの動作は、提示された順序で実施される必要がない。説明した動作は、説明した実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。追加の実施形態において、様々な追加の動作が実施されてもよく、かつ/あるいは、説明された動作が省略されてもよい。
【0048】
本明細書で使用される「基板」又は「ターゲット基板」は、本発明にしたがって処理される物体を総称して指す。基板は、デバイス、特に、半導体デバイス又は他の電子デバイスの、任意の材料部分又は構造を含んでもよく、例えば、半導体ウェーハなどのベース基板構造、レチクル、もしくは、ベース基板構造上の層またはベース基板構造に重なる層、例えば、薄膜であってもよい。したがって、基板は、パターニングされているか否かに依らず、いかなる特定のベース構造、下地層、又は被覆層にも限定されず、むしろ、任意のそのような層又はベース構造、並びに、層及び/又はベース構造の任意の組合せを含むことが企図されている。説明は、特定の種類の基板を参照し得るが、これは、例示のみを目的とするものである。
【0049】
当業者は、また、上記で説明した技法の動作に対して多くの変更がなされても、依然として本発明の同じ目的を達成できることを理解されよう。そのような変形形態は、本開示の範囲に包含されることが意図されている。したがって、本発明の実施形態の上述の説明は、限定することを意図したものではない。むしろ、本発明の実施形態に対する限定は、以下の特許請求の範囲に提示される。
【国際調査報告】