(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】チャンバおよびチャンバ部品の高温洗浄および保守方法および装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20240416BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240416BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240416BHJP
B08B 7/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/31 C
H01L21/302 101H
B08B7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565545
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022021515
(87)【国際公開番号】W WO2022231732
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】シェン シュラン
(72)【発明者】
【氏名】チャン リン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ チャンソク
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー ジョセフ シー
(72)【発明者】
【氏名】クラナ ニティン
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン ガネシュ
(72)【発明者】
【氏名】スン ジェニファー ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ハン シンハイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジジュン
【テーマコード(参考)】
3B116
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
3B116AA01
3B116AB42
3B116BB82
3B116BB89
3B116BC01
4K030DA06
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030JA10
4K030KA23
4K030KA41
4K030KA46
5F004AA15
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB28
5F004BB29
5F045AA08
5F045DP03
5F045EB06
5F045EF05
5F045EH05
(57)【要約】
本明細書に開示された例は、その中にヒータが配置された基板支持体を洗浄および修復するための方法および装置に関する。方法は、(a)バルク層を有する基板支持体の表面を洗浄することを含み、この基板支持体は、基板を処理するように構成された処理環境内に配置されている。この洗浄プロセスは、高温において、フッ素含有ガスおよび酸素を有する洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含む。この方法は、(b)処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて処理環境から酸素ラジカルを除去することを含む。この処理混合ガスはフッ素含有ガスを含む。この方法は、(c)後処理プラズマを用いて基板支持体とバルク層との界面を修復することをさらに含む。この後処理プラズマは、窒素含有ガスを含む後処理混合ガスから形成される。この高温は摂氏約500度以上である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面を洗浄することであって、前記基板支持体が、基板を処理するように構成された処理環境内に配置されており、洗浄することが、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含み、前記洗浄混合ガスがフッ素含有ガスおよび酸素を含む、洗浄すること、
(b)前記高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて前記処理環境から酸素ラジカルを除去することであって、前記処理混合ガスが前記フッ素含有ガスを含む、除去すること、ならびに
(c)前記高温において、後処理プラズマを用いて前記基板支持体と前記バルク層との界面を修復することであって、前記後処理プラズマが、窒素含有ガスを含む後処理混合ガスから形成され、前記高温が摂氏約500度以上である、修復すること
を含む方法。
【請求項2】
前記バルク層が、フッ化マグネシウムまたは希土類フッ化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バルク層が、フッ化イットリウムまたはフッ化ランタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素含有ガスがNF
3であり、前記窒素含有ガスがN
2である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(d)前記酸素ラジカルによる表面酸化を低減させるために、前記窒素含有ガスまたはアルゴンを用いて前記処理環境をパージすることであって、前記窒素含有ガスがN
2またはNH
3である、パージすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(d)前記バルク層と前記基板支持体とともに配置されたベースとの間の接着を強化するために、前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にNF
3、Ar、NF
2またはNH
3を導入すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(e)前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にアルゴン含有ガスを導入すること
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板支持体が、
ベースをさらに含み、前記ベースが、シリコン、二酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムまたは石英、およびフッ化物材料を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フッ化物材料が、フッ化マグネシウムまたは希土類フッ化物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記希土類フッ化物が、フッ化イットリウムまたはフッ化ランタンを含み、前記フッ化ランタンが、ホウ素および/または炭素でドープされており、前記ベースがヒータである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面を洗浄することであって、前記基板支持体が、半導体基板を処理するように構成された処理環境内に配置されており、洗浄することが、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含み、前記洗浄混合ガスがNF
3およびO
2を含む、洗浄すること、
(b)前記高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて前記処理環境から酸素ラジカルを除去することであって、前記処理混合ガスがNF
3を含む、除去すること、ならびに
(c)前記高温において、後処理プラズマを用いて前記基板支持体と前記バルク層との界面を修復することであって、前記後処理プラズマが、N
2を含む後処理混合ガスから形成され、前記高温が摂氏約500度以上である、修復すること
を含む方法。
【請求項12】
前記バルク層が、フッ化マグネシウムまたは希土類フッ化物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バルク層が、フッ化イットリウムまたはフッ化ランタンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
アルミニウムを含むヒータをさらに含み、前記ヒータが、前記基板支持体と前記バルク層との前記界面で前記バルク層と接触している、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
(d)前記酸素ラジカルによる表面酸化を低減させるために、アルゴンまたは窒素含有ガスを用いて前記処理環境をパージすることであって、前記窒素含有ガスがN
2またはNO
2、NH
3である、パージすること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
(d)前記バルク層と前記基板支持体とともに配置されたベースとの間の接着を強化するために、前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にNF
3、Ar、NF
2またはNH
3を導入すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(e)前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にアルゴン含有ガスを導入すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
半導体処理チャンバと、
命令を記憶した非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたときに、前記半導体処理チャンバ内で周期的エッチング方法を実行させる、非一過性コンピュータ可読媒体と
を含み、前記方法が、
(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面を洗浄することであって、前記基板支持体が、半導体基板を処理するように構成された処理環境内に配置されており、洗浄することが、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含み、前記洗浄混合ガスがフッ素含有ガスおよび酸素を含む、洗浄すること、
(b)前記高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて前記処理環境から酸素ラジカルを除去することであって、前記処理混合ガスが前記フッ素含有ガスを含む、除去すること、ならびに
(c)前記高温において、後処理プラズマを用いて基板支持体と前記バルク層との界面を修復することであって、前記後処理プラズマが、窒素含有ガスを含む後処理混合ガスから形成され、前記高温が摂氏約500度以上である、修復すること
を含む、半導体処理システム。
【請求項19】
(d)前記酸素ラジカルによる表面酸化を低減させるために、前記窒素含有ガスを用いて前記処理環境をパージすることであって、前記窒素含有ガスがN
2またはNH
3である、パージすること
をさらに含む、請求項18に記載の半導体処理システム。
【請求項20】
(d)前記バルク層と前記基板支持体とともに配置されたベースとの間の接着を強化するために、前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にNF
3、Ar、NF
2またはNH
3を導入すること、および
(e)前記後処理混合ガスと一緒に、前記処理環境にアルゴン含有ガスを導入すること
をさらに含む、請求項18に記載の半導体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は一般に、プロセスチャンバ、または基板支持体内に配置されたヒータなどのチャンバ内の部品を洗浄および保守するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高いデバイス歩留り、ならびにミーンウェハビトウィーンクリーン(mean wafer between clean)(MWBC)の継続的な増加および所有コスト(cost of ownership)(CoO)の低減は、先進の半導体の大量生産(high volume manufacturing)(HVM)のための鍵となる要件である。したがって、半導体処理ツールに対しては、粒子欠陥およびプロセス安定性または変動ならびにチャンバハードウェアの耐用寿命に関するより厳格な制御が求められる。化学気相堆積(CVD)プロセス中に、反応物ガスは、チャンバの内面に堆積する組成物を生成し得る。これらの堆積物が蓄積するにつれて、これらの残留物が剥離すること、および将来の処理ステップを汚染することが起こり得る。このような残留堆積物はさらに、堆積均一性、堆積速度、膜応力、粒子性能および他の同種のものなどの他の処理条件に不利な影響を及ぼし得る。
【0003】
したがって、処理チャンバは、残留材料を除去するために定期的に洗浄される。この洗浄プロセスはプラズマ強化乾式洗浄技法を含む。通常はフッ素含有ガスまたは酸素ガスなどのハロゲンまたは酸素含有ガスであるエッチング剤は、基板支持体などのチャンバ部品の表面と反応してフッ化物または酸化物を形成し得る。いくつかの用途では、基板支持体が、摂氏500度よりも高い温度などの昇温状態に維持される。しかしながら、この昇温状態においては、フッ化物が昇華し、基板支持体よりも低い温度にあるチャンバ部品、例えばシャワーヘッド上で凝縮する。この凝縮は、CVDプロセス中に基板の汚染を引き起こすことがあり、堆積速度および均一性の変動などのCVDプロセス条件の変化につながり得る。
【0004】
RPSまたはRFプラズマからのフッ素(F)ラジカルは、AlNまたはAl2O3である従来のヒータ表面を攻撃するため、従来の洗浄プロセスは、炭素ベースの膜に対しては約500℃よりも低く、Siベースの膜に対しては約570℃よりも低い温度限界を有する。Fラジカルは、ヒータ表面などの基板支持体と反応することができ、約500℃よりも高い温度で昇華し、次いでフェースプレート、チャンバ壁などのより低温の表面で凝縮または再堆積し得る。その結果、プロセス変動、粒子問題、したがってMWBCのかなりの減少およびCoOの増大などが起こる。基板支持体を、洗浄ガスに対するある抵抗性を提供する薄いセラミックコーティングでコーティングすることができる。しかしながら、このコーティングは、基板が基板支持体上に置かれるときおよび基板支持体から取り除かれるときにすり減ることがある。さらに、このコーティングは、酸化に対して脆いことがあり、または、プラズマが洗浄ガスを脱会合させたときに形成されたラジカルにより劣化し得る。さらに、基板支持体および基板支持体に取り付けられていることがあるエッジリングのサイズおよび複雑さのため、チャンバ部品上のセラミックコーティングの保守に追加の時間およびより多くのコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、チャンバおよびチャンバ部品の高温洗浄を実行するためおよびチャンバ部品上のコーティングを保護するための改良された方法および装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、チャンバおよび基板支持体などのチャンバ部品を洗浄するための方法および装置が開示されている。一例では、方法が、(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面を洗浄することを含む。この基板支持体は、基板を処理するように構成された処理環境内に配置されている。この洗浄プロセスは、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含み、この高温は、膜堆積温度と同じとすることができる。この洗浄混合ガスはフッ素含有ガスおよび酸素を含む。この方法は、(b)この高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて処理環境から酸素ラジカルを除去することを含む。この処理混合ガスはフッ素含有ガスを含む。この方法はさらに、(c)この高温において、前処理または後処理プラズマを用いて基板支持体とバルク層との界面を保守、修復または復元することを含む。この前処理または後処理プラズマは、窒素含有ガスを含む窒素含有混合ガスから形成される。この高温は摂氏約500度以上である。
【0007】
別の例では、基板支持体を洗浄するための方法が、(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面を洗浄することを含む。この基板支持体は、半導体基板を処理するように構成された処理環境内に配置されている。この洗浄プロセスは、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含む。この洗浄混合ガスはNF3およびO2を含む。この方法はさらに、(b)この高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて処理環境から酸素ラジカルを除去することを含む。この処理混合ガスはNF3を含む。この方法は続いて、(c)この高温において、前処理または後処理プラズマを用いて基板支持体とバルク層との界面を保守、修復または復元する。この前処理または後処理プラズマは、N2を含む後処理窒素含有混合ガスから形成される。この高温は摂氏約500度以上である。
【0008】
さらに別の例では、半導体処理システムが半導体処理チャンバを有する。この半導体処理システムは、命令を記憶した非一過性コンピュータ可読媒体を含む。この命令は、プロセッサによって実行されたときに、半導体処理チャンバ内で洗浄方法を実行させる。この方法は、(a)その上にバルク層が配置された基板支持体の表面など、チャンバおよびチャンバ部品の表面を洗浄することを含む。この基板支持体は、半導体基板を処理するように構成された処理環境内に配置されている。この洗浄プロセスは、高温において、洗浄混合ガスからプラズマを形成することを含む。この洗浄混合ガスは、フッ素含有ガスもしくは酸素含有ガス、またはチャンバ内で混合された任意のフッ素含有および酸素含有ガスを含む。この方法はさらに、(b)この高温において、処理混合ガスから形成された処理プラズマを用いて処理環境から酸素ラジカルを除去することを含む。この処理混合ガスはフッ素含有ガスを含む。この方法はさらに、(c)この高温において、前処理または後処理プラズマを用いて基板支持体とバルク層との界面を保守、修復または復元することを含む。この前処理または後処理プラズマは、窒素含有ガスを含む後処理混合ガスから形成される。この高温は摂氏約500度以上である。
【0009】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている例を参照することによって、上に概要を簡単に示した開示がより具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は、例示のための例だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではなく、添付図面は、等しく有効な他の実施例を受け入れる可能性があることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】その上にバルク層が配置された基板支持体の概略側面図である。
【
図2B】その上にバルク層が配置された基板支持体の概略側面図である。
【
図3A】洗浄方法の異なる段階中の基板支持体のベースおよびバルク層の側面図である。
【
図3B】洗浄方法の異なる段階中の基板支持体のベースおよびバルク層の側面図である。
【
図3C】洗浄方法の異なる段階中の基板支持体のベースおよびバルク層の側面図である。
【
図3D】洗浄方法の異なる段階中の基板支持体のベースおよびバルク層の側面図である。
【
図3E】洗浄方法の異なる段階中の基板支持体のベースおよびバルク層の側面図である。
【
図4】
図3A~Eに示された段階に関連した洗浄方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。特段の言及なしに、1つの例の要素および特徴を、他の例に有益に組み込むことが企図される。
【0012】
本開示の例は一般に、チャンバおよび基板支持体などのチャンバ部品を洗浄するための方法および装置に関する。基板支持体は、その中に配置されたヒータを有するものとすることができる。基板支持体は、半導体基板を処理するように構成された処理チャンバ内に配置される。一例では、基板支持体が、フッ化物を含むバルク層でコーティングされたヒータを含む。有利には、このバルク層が洗浄種(cleaning species)と反応しない。したがって、このバルク層は、洗浄種との反応から基板支持体を保護し、このことは、チャンバ部品上に形成される凝縮の低減につながる。その結果、バルク層は、後続のプロセスにおける基板の汚染の低減につながり、処理条件の変化または変動を防ぐ。
【0013】
従来の洗浄方法および装置ではしばしば、マイクロボイド(micro-void)およびマイクロフィッシャ(micro-fossire)が発達してクラックとなり、クラックは、基板支持体の表面に損傷を与え、ヒータに伝播することがある。多数の洗浄サイクルを経るにつれて、クラックはヒータ内で成長し続け、ついにはクラックどうしがつながり、したがってクラック付近のバルク層とヒータとの間の接着を弱める。従来の洗浄方法におけるこの限局された接着の損失の結果、ヒータからのバルク層の層剥離が起こる。有益には、本開示の方法は、クラックにつながるマイクロフィッシャおよびボイドの形成を低減させ、したがってヒータ、またはバルク層でコーティングされた他のチャンバ部品の寿命を延ばす。本開示から利益を得るように適合させることができる他のチャンバ部品には特に、カバーウエハ、またはエッジリングなどのプロセスキット内のリングが含まれる。
【0014】
酸素ベースまたはフッ素ベースのエッチング剤を用いる従来の洗浄プロセスでは、フッ素および酸素ラジカルが、基板支持体内に配置されたアルミニウムベースのヒータに損傷を与え得る。このフッ素および酸素ラジカルはヒータ内のアルミニウムをAlFに転化させ得る。このAlFは昇華して処理環境に入り、チャンバ部品上に再堆積する。従来は、炭素ベースの残留物を洗浄するための処理環境の温度が摂氏500度よりも低く、シリコンベースの膜に対してはこの温度が摂氏570度よりも低い。従来の洗浄プロセスおよびガスは高温を使用しない。これは、従来のプロセスでは、ヒータおよび他のチャンバ部品がエッチングされてしまうためである。処理せずに置くと、ヒータに生じた損傷は、プロセス変動または基板支持体を横切るプラズマプロファイルの望ましくない変化に帰着する基板支持体のインピーダンスまたは静電容量の変化を引き起こしたり、または歩留りの低下につながる粒子を生じさせたりし得る。
【0015】
本開示の一例では、この高温方法および装置が、その上に炭素ベースの膜または残留物を有する基板支持体を洗浄するように適合されている。シリコンベースの残留物に対してフッ素を含む洗浄ガスを使用することができ、炭素ベースの残留物を洗浄するために酸素を含む洗浄ガスを使用することができる。有利には、本明細書の方法および装置は、摂氏約600度~摂氏約1000度の間の温度および1000℃よりも高い温度など、炭素ベースの膜に対する摂氏500度よりも高い動作温度、およびシリコンベースの膜に対する摂氏約570度よりも高い動作温度を可能にする。
【0016】
RFまたはRPSプラズマ中で生成された、または熱またはレーザエネルギーによって生成されたフッ素または酸素ラジカルは、ヒータ上に配置されたバルク層を貫いて拡散し得る。バルク層は、MgF2層などのMgFx化合物を含む。フッ素ラジカルは、ヒータ内のAlNなどのアルミニウム含有材料と反応する。フッ素と反応すると、ヒータ内のアルミニウムはAlFxを形成し、このAlFxは、バルク層を貫いて拡散、昇華して処理チャンバの処理環境に入る。本明細書に開示された方法は、ヒータを覆っているバルク層上でのフッ素ラジカルの反応を低減させまたは排除する。酸素ラジカルは、MgFx層の酸化を誘発することができ、したがってMgOを形成し得る。フッ素ラジカルは、MgFxとAlNとの界面を攻撃してAlFxおよび酸化窒素(NOx)を形成し得る。AlFxおよびNOxが基板支持体104から外へ拡散すると、MgFxとAlNとの界面にマイクロボイドまたはフィッシャが現れ得る。有利には、この方法は、バルク層とヒータとの界面におけるAlNの「イートオフ(eat off)」を低減させ、この界面におけるマイクロボイドおよびマイクロフィッシャの形成を低減させる。本明細書に開示された方法はさらに、バルク層内に形成されるクラックを低減させ得る。バルク層内のクラックは、酸素ラジカルがバルク層中のフッ素含有材料と相互作用することによって生じ得る。例えば、酸素ラジカルはMgFxと反応し得る。したがって、上述の洗浄プロセスの後に、三フッ化窒素(NF3)混合ガスから形成されたプラズマがバルク層を処理する。処理プロセスおよび前処理または後処理プロセスは、弱い部位または劣化もしくは損傷した部位を保守、復元または修復するためのエッチング、堆積、パッシベーションまたはこれらの技法の任意の組合せを含むことができる。
【0017】
図1は、本明細書に記載された1つの例による処理チャンバ100の概略断面図である。処理チャンバ100は、プラズマ強化CVD(PECVD)チャンバまたは他のプラズマ強化処理チャンバとすることができる。本明細書に記載された例から利益を得ることができる例示的なプロセスチャンバは、米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から販売されているPECVDイネーブルドチャンバのPRODUCER(登録商標)シリーズである。他の製造業者からの同様の装備を有する他のプロセスチャンバも本明細書に記載された例から利益を得ることができることが予想される。処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、チャンバ本体102の内側に配置された基板支持体104と、チャンバ本体102に結合された、基板支持体104を処理環境120内に封入するリッドアセンブリ106とを含む。リッドアセンブリ106は、シャワーヘッド112などのガス分配器を含む。処理環境120には、チャンバ本体102に形成された開口126を通して基板154が提供される。本明細書の開示は、基板支持体104を論じることを対象としているが、この方法および装置は、以下で詳細に開示されるバルク層を有する任意のチャンバ部品に適用することができることが理解される。
【0018】
セラミックまたは金属酸化物などの誘電体材料とすることができる、例えば酸化アルミニウムおよび/または窒化アルミニウムとすることができるアイソレータ110が、シャワーヘッド112をチャンバ本体102から分離している。シャワーヘッド112は、プロセスガスまたは洗浄ガスを処理環境120に入れるための開口118を含む。これらのガスは、導管114を介してプロセスチャンバ100に供給することができ、これらのガスは、ガス混合領域116に入ってから開口118を通って流れることができる。チャンバ本体102の基板支持体104よりも低い位置に排気管152が形成されている。未反応の種および副生物を処理チャンバ100から除去するために排気管152を真空ポンプ(図示せず)に接続することができる。
【0019】
シャワーヘッド112は、RF発生装置またはDC電源などの電源141に結合することができる。DC電源は、連続および/またはパルスDC電力をシャワーヘッド112に供給することができる。RF発生装置は、連続および/またはパルスRF電力をシャワーヘッド112に供給することができる。さらに、示されているように、処理チャンバ100の頂部、底部または側部に遠隔プラズマ源174を結合することができる。処理環境120内におけるプラズマ160の形成を容易にするため、動作中に電源141をオンにして、シャワーヘッド112に電力を供給する。プラズマ160にさらされたとき、RF発生装置またはDC電源の適用によって処理ガスが脱会合すると、イオン、中性子、陽子およびラジカルを含む処理ガスからの成分が生成される。
【0020】
基板支持体104は、基板154を支持するための表面142および側面144を含む。一例では、側面144が、表面142に対して実質的に垂直である。基板154は寸法D1(例えば直径)を有し、基板支持体104は、寸法D1よりも大きな寸法D2(例えば直径)を有する。基板支持体104は、セラミック材料、例えばアルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム/窒化アルミニウム混合物などの金属酸化物もしくは窒化物または酸化物/窒化物混合物から形成されたものとすることができる。基板支持体104は、シャフト143によって支持されている。基板支持体104は接地されていてもよい。基板支持体104には加熱要素128が埋め込まれている。加熱要素128は、プレート、穴あきプレート、メッシュ、ワイヤスクリーンまたは他の任意の分散型装置とすることができる。加熱要素128は、接続130を介して電源132に結合されている。加熱要素128は、基板支持体を、摂氏500度よりも高い温度などの昇温状態に加熱することができる。本明細書に開示された方法および装置の適用中は処理環境120内に基板154は配置されない。
【0021】
図1に示された基板支持体104は下位置にあり、基板154は、基板支持体104を貫いて延びる複数のリフトピン140によって支持されている。基板154は、ロボット(図示せず)によって開口126を通してリフトピン140上に置くこと、またはリフトピン140から取り除くことができる。動作中に、基板支持体104はより高い位置まで上昇し、表面142に基板154が配置される。
【0022】
洗浄プロセス中に、洗浄ガス、例えばフッ素含有ガスまたは酸素含有ガスが基板支持体104と反応して、基板支持体104上にフッ化物または酸化物を形成することがある。基板支持体104は摂氏500度よりも高い温度に維持される。このような昇温状態で、このフッ化物または酸化物は昇華し、シャワーヘッド112などのより低温のチャンバ部品上で凝縮する。酸化物の昇華温度は高く、例えばアルミナ(Al2O3)は、摂氏約1150度~摂氏約1200度の間の温度で昇華する。AlFxは、摂氏約500度よりも高い温度で昇華させることができる。シャワーヘッド112上での材料の凝縮は、後続のプロセス中に基板の汚染を引き起こし得る。したがって、開示された方法および装置の適用中にはバルク層200が利用される。
【0023】
チャンバには、1つまたは複数のパージガス管路172を通してパージガス源170が結合されている。示されているように、パージガス管路172はチャンバ本体102を貫くことができ、基板支持体104の表面142にパージガスを供給することができる。パージガス管路172はさらに、シャフト143および基板支持体104を貫くことができる。そのため、パージガス管路172は、基板支持体104の中心および/またはサイドカバー161の近くの基板支持体104の縁を通してパージガスを表面142に供給することができる。
【0024】
処理チャンバ100には少なくとも1つのコントローラ162が結合されている。コントローラ162は、互いに結合されたプロセッサ164、メモリ166および支持回路168を含む。プロセッサ164は、それぞれ工業装置内で使用することができる、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)、スーパーバイザリーコントロールアンドデータアクジション(supervisory control and data acquisition)(SCADA)システムまたは他の適当な工業コントローラなどの任意の形態の汎用マイクロプロセッサまたは汎用中央処理ユニット(CPU)の1つとすることができる。メモリ166は非一過性であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)または他の任意の形態のデジタルストレージなど、ローカルまたはリモートの容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数とすることができる。メモリ166は、プロセッサ164によって実行されたときに方法400(後述)の実行を容易にする命令を含む。メモリ166の中の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態をとる。プログラム製品のプログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに従うものとすることができる。例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体は、限定はされないが、(i)その上に情報が永続的に記憶された書込みができないストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読むことができるCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップまたは任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)、および(ii)その上に変更可能な情報が記憶された書込み可能なストレージ媒体(例えばディスケットドライブ内のフロッピーディスクもしくはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。本明細書に記載された方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持しているとき、このようなコンピュータ可読ストレージ媒体は本開示の例である。
【0025】
図2A~2Bは、その上にバルク層200配置された基板支持体104の概略側面図である。バルク層200は、基板支持体104のベース202上に配置されている。バルク層200は、基板支持体104上のコーティングである。
図2Aに示されているように、バルク層200は、基板支持体104の寸法D
2と同じ寸法D
3、例えば直径を有する。したがって、バルク層200は、基板支持体104の表面142の全体を覆っている。いくつかの例では、バルク層200が、基板支持体104の寸法D
2よりも小さい、直径などの寸法を有する。例えば、寸法D
2を、基板154の寸法D
1と同じとすることができる。いくつかの例では、洗浄プロセスの間、基板支持体104の表面142の一部分が露出していてもよい。
【0026】
ベース202は、バルク層200と接触した第1の表面206、第1の表面206の反対側の第2の表面208、および第1の表面206と第2の表面208とをつなぐ第3の表面210を含む。第2の表面208は、洗浄プロセスの間、基板支持体104の表面142と接触している。ベース202の第1の表面206は平滑とすることができる。バルク層200は、ベース202の第1の表面206、第2の表面208および第3の表面210を覆っている。上述のとおり、一例では、ベース202が、基板支持体104に埋め込まれた加熱要素128である。
【0027】
図2Bは、その上にカバープレート212およびバルク層200が配置された、基板支持体104の代替例を示している。いくつかの例では、基板支持体104が、カバープレート212およびサイドカバー161を含む。一例では、カバープレート212の全ての面がバルク層200で覆われている。別の例では、カバープレート212を、積み重ねられた1つまたは複数のバルク層200で構成することができるような態様で、カバープレート212がバルク層200と同じ材料でできている。カバープレート212は表面142の中心部分を覆っており、サイドカバー161は、表面142の縁部分および側面144を覆っている。さらに、サイドカバー161のそれぞれの表面をバルク層200で覆うことができる。後に詳述するように、サイドカバー161は、洗浄の間、処理チャンバ100内に留まることができる。カバープレート212および/またはサイドカバー161の各々は、バルク層200と同じ材料から作られたものとすることができ、または、その代わりに、基板支持体104と同じ材料から作られたものとすることができる。
【0028】
バルク層200は、フッ化マグネシウム(MgF2)または希土類フッ化物、例えばフッ化イットリウム(YF3)またはフッ化ランタン(LaF3)などのフッ化物材料を含むことができる。一例では、ヒータ、カバープレート212およびサイドカバー161を含むバルク基板支持体を、全体が、約500μm~約1500μmの間の厚さを有するフッ化物材料でできたものとすることができる。バルク層200のフッ化物材料は処理環境120にさらされる。いくつかの例では、これらのフッ化物が、ホウ素および/または炭素などのドーパントでドープされている。ドーパント濃度は、約10パーセント~約30パーセントなど、約0パーセント~約50パーセントの範囲にある。一例では、このフッ化物が、ホウ素および炭素でドープされたLaF3(LaF3(B,C))である。このフッ化物は洗浄ガスと実質的に反応しない。さらに、バルク層200のフッ化物は、摂氏500度よりも高い温度または摂氏1000度よりも高い温度などの昇温状態で昇華せず、元素の形態のフッ素は、高温洗浄の間、バルク層200からあまり出ず、周囲の環境に入らない。一例では、摂氏約500度~約650度の間の洗浄温度など、約500度~約750度の間の洗浄温度を利用することができ、その間、これらの洗浄温度により、元素の形態のかなりの量のフッ素がバルク層200から出ることはない。一例では、バルク層200が、約500μm~約1500μmなど約100μm~約3000μmの範囲の厚さを有する、MgF2、またはYF3、LaF3もしくはLaF3(B,C)などの希土類フッ化物である。
【0029】
ベース202は、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(AlO)、石英または他の適当な材料から製造されたものとすることができる。ベース202は、焼結などの任意の適当な方法によって製造されたものとすることができる。ベース202は、約500μm~約1500μmなど、約100μm~約3000μmの範囲の厚さを有する。バルク層200は、CVD、結晶成長または焼結などの任意の適当な方法を使用して製造されたものとすることができる。バルク層200は、PVD、PECVD、ALD、イオンアシスト堆積(IAD)、プラズマ溶射、湿式コーティング、注入、またはプラズマもしくはレーザベースの表面フッ素化、ホウ素化および/もしくは炭化物化により製造されたものとすることができる。バルク層200は、約5000オングストローム~約1μmなど、約1000オングストローム~約10μmの範囲の厚さを有する。バルク層200は処理環境120(
図1に示されている)にさらされる。
【0030】
図3Aは、処理環境120内に配置された基板支持体104を示している。基板支持体104は、洗浄混合ガス301から生成された、プラズマ160などの洗浄プラズマにさらされている。上述のとおり、プラズマ160は、RF源(例えば電源141)またはRPS源174によって発生させることができる。一例では、バルク層200が、フッ化マグネシウム(MgF
2)などのフッ化物材料を含む。洗浄混合ガス301はフッ素含有ガス304を含む。一例では、洗浄混合ガス301のフッ素含有ガス304がNF
3であり、NF
3は窒素原子306およびフッ素原子308を含み、これらの原子は、バルク層200に拡散し、いくつかのマイクロフィッシャ313を通ってヒータ302内に拡散する。示された例では、ヒータ302が、窒化アルミニウム(AlN)などのアルミニウム含有材料から作られている。AlN中のアルミニウム原子312は、MgF
2バルク層200のマイクロフィッシャ313を通って拡散したフッ素原子308と反応して、フッ化アルミニウム(AlF
x)310またはAlF
xガス相314を形成することがある。AlF
xガス相314は、基板支持体104のヒータ302およびバルク層200から外へ拡散する。AlF
xガス相314は、処理環境120からポンプ排出することができ、または、一部は、処理環境120のより低温の表面で凝縮することがある。
【0031】
一例では、基板支持体104上に炭素ベースの膜または残留物が存在するときに、洗浄混合ガス301を、酸素(O2)とNF3の組合せとすることができる。炭素の存在下では、洗浄混合ガス301を、NF3およびN2OまたはN2とすることもできる。洗浄混合ガス301を利用して炭素ベースの膜または残留物を洗浄しているときには、酸素ラジカルが、チャンバ部品上の酸化に損傷を与えない濃度またはチャンバ部品を攻撃しない濃度に制御される。別の例では、基板支持体104上にシリコンベースの膜または残留物が堆積しているときに、洗浄混合ガス301はNF3を含むことができる。洗浄混合ガス301はN2、N2O、NH3またはArを含むこともできる。フッ素含有ガス304は、NF3、F2、SF6および他の同種のものを含むことができる。あるいは、洗浄混合ガス301は、酸素、N2O、CO2などの酸素含有ガス320を含むことができる。一例では、基板支持体104上にシリコンベースの膜または残留物が存在し、ヒータ302がAlNでできている場合に、洗浄混合ガス301はNF3、N2またはNH3を含むことができる。さらに別の例では、ヒータ302がAlOでできている場合に、洗浄混合ガス301はNF3、N2OまたはO2を含むことができる。
【0032】
図3Bに示されているように、処理環境120に、酸素(O
2)320を含む第2の洗浄混合ガス303が導入される。基板支持体104は、第2の洗浄混合ガス303から形成された、プラズマ160などの洗浄プラズマにさらされている。酸素原子322は、第2の洗浄混合ガス303からバルク層200中に拡散し、酸化マグネシウム(MgO)層316を形成する。バルク層200中のフッ化マグネシウム(MgF
2)の一部が酸化マグネシウム(MgO)に転化する。示されているように、バルク層200は、酸化された酸化マグネシウム(MgO
x)層316および洗浄保護層318を含む。
【0033】
あるいは、第2の洗浄混合ガス303中の酸素は窒素含有ガス328を含むことができる。例えば、炭素ベースの膜または残留物の存在下では、酸素の代わりにN2OまたはCO2を使用することができる。第2の洗浄混合ガス303の適用中に処理環境120内で残留O2ラジカルが低減される。O2洗浄プロセスに関して、ヒータ302中のAlNはAlOに転化する。AlOが増加し、AlNが減少するにつれてヒータ302の熱導電率は低下する。AlOおよびAlNはAlFに転化し、AlFxガス相314は、処理環境120からポンプ排出することができる。有利には、NF3の導入は、プラズマから酸素ラジカルを除去することができ、それにより、MgFxからMOxへの転化を低減させることによって、フルオロマグネシウム層(MgFx)321に対する損傷を低減させることができる。そのため、NF3は、フルオロマグネシウム層(MgFx)321内のMgF2を回復することを支援する。別の例では、シリコンベースの膜または残留物を基板支持体104から洗浄除去するために処理環境120に第2の洗浄混合ガス303が適用されたときに、処理環境120からフッ素ラジカルが除去される。ヒータ302がAlOでできている例では、第2の洗浄混合ガス303にN2またはNH3を供給することができる。
【0034】
図3Cは、フッ素含有ガス304を含む後処理混合ガス305から形成された後処理プラズマ(すなわちプラズマ160)に基板支持体104をさらすことを示している。一例では、フッ素含有ガス304がNF
3である。窒素原子306およびフッ素原子308は基板支持体104に拡散する。窒素原子306およびフッ素原子308は、酸化マグネシウム(MgO)層316(
図3Bに示されている)および洗浄保護層318を通り抜ける。酸化マグネシウム(MgO)はフルオロマグネシウム層(MgF
x)321に転化する。xは、1~6の間の整数である。ヒータ302中の酸化アルミニウム(AlO)336および窒化アルミニウム(AlN)324は一フッ化アルミニウム(AlF)310に転化する。AlF
xガス相314はヒータ302から外へ拡散し、基板支持体104を出る。ある例では、例えば酸素含有ガスを使用して炭素ベースの膜を洗浄するときに、このガス相が酸化窒素(NO
x)を含み得る。ヒータ302とフルオロマグネシウム層(MgF
x)321との界面など、ヒータ302とバルク層200との界面に、多孔質粒311が形成される。一例では、多孔質フルオロマグネシウム(MgF
x)粒が、ヒータ302とフルオロマグネシウム層(MgF
x)321との界面に形成される多孔質粒311である。
図3Cでは、バルク層200が、洗浄保護層および318フルオロマグネシウム層(MgF
x)321を含む。
【0035】
図3Dは、
図3Bに示された処理動作に対する変更を示している。
図3Dでは、処理環境120に、強化された処理混合ガス307が提供されている。基板支持体104は、強化された処理混合ガス307にプラズマ160がさらされたときに形成された強化された処理プラズマにさらされている。基板支持体104は、強化された処理混合ガス307から形成された処理プラズマにさらされている。強化された処理混合ガス307は、酸素含有ガス320、亜酸化窒素含有ガス326もしくは窒素含有ガス328、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。例えば、強化された処理混合ガス307は、酸素含有ガス320、亜酸化窒素含有ガス326または窒素含有ガス328の1つだけを含むことができる。あるいは、強化された処理混合ガス307は、酸素含有ガス320および窒素含有ガス328を含むことができる。別の例では、強化された処理混合ガス307が亜酸化窒素を含むことができる。さらに別の例では、強化された処理混合ガス307を窒素含有ガス328とすることができる。窒素含有ガス328は、RFまたはRP源によって形成されたラジカルの影響を能動的に抑制することができる。例示的なプラズマラジカルは、酸素(O
2)320またはフッ素含有ガス304(例えばNF
3)がプラズマ中で脱会合したときに形成されたラジカルを含む。窒素含有ガス328は、基板支持体104、およびバルク層200でコーティングされた他の部品を保護する。いくつかの例では、強化された処理混合ガス307が第2の洗浄混合ガス303と組み合わされる。
【0036】
上述のとおり、
図3Bに示された酸素含有ガス320の代わりに亜酸化窒素含有ガス326を使用することができる。一例では、亜酸化窒素含有ガス326が、基板支持体104の酸化を低減させるN
2Oである。あるいは、基板支持体104の表面酸化を低減させるために、処理環境120に、窒素(N
2)328および酸素含有ガス320を加えることもできる。有利には、いずれか一方の窒素含有ガスの存在、すなわち窒素(N
2)328または亜酸化窒素含有ガス326の存在が、基板支持体104、およびバルク層200によって覆われた任意の表面のエッチング洗浄速度を増大させる。さらに、N
2またはNH
3は、残留フッ素ラジカルを除去し、アルミニウムダングリングボンドを修復し、AlF
xからAlNへの転化を低減させ、したがってヒータ302とバルク層200との界面を保護する。
【0037】
図3Eは、
図3Cに示された後処理動作に対する変更を示している。処理環境120に、強化された後処理プラズマとしてのプラズマ160を形成する、強化された後処理混合ガス309が提供される。基板支持体104は、強化された後処理混合ガス309から形成された処理プラズマにさらされている。強化された後処理混合ガス309は、フッ素含有ガス304、窒素含有ガス328、アルゴン含有ガス330、水素含有ガス332、またはこれらのうちの2つ以上のガスの任意の組合せを含むことができる。
【0038】
例えば、強化された後処理混合ガス309は、窒素含有ガス328およびアルゴン含有ガス330を含むことができる。窒素含有ガス328は、ヒータ302の酸化を抑制するバリア層334を形成することができる。バリア層334はさらに、内部マイクロクラック表面に形成されたパッシベートされたバリア層、および限局された多孔質粒311を含む。
図3Bまたは3Dに示された処理プロセスの間、アルゴン含有ガス330は、ヒータ302内の弱い粒界を修復し、実質的に排除することができる。別の例では、バリア層334またはパッシベートされたバリア層が形成される前に弱い部位(すなわち粒界)を排除するために、強化された後処理混合ガス309が、窒素含有ガス、または水素含有ガス、またはArガスを含む。例えば、NH
3またはH
2プラズマ処理は、酸化された層を、酸化-還元反応によって除去することができる。アルゴン、および強化された後処理混合ガス309中の追加のガスはバリア層334を処理することができ、したがって酸素およびフッ素ラジカルに対する抵抗性を増大させることができる。
【0039】
さらに別の例では、強化された後処理混合ガス309が、窒素含有ガス328、アルゴン含有ガス330および水素含有ガス332を含む。一例では、水素含有ガス332がアンモニウム(NH3)である。強化された後処理混合ガス309は、バルク層200とヒータ302との間の接着を強化することができる。ヒータ302(すなわちベース)は、ヒータ302の頂部にヒータ302と接触して配置されたバルク層200を有する基板支持体104内に配置されている。保護層200は、洗浄保護層318、フルオロマグネシウム層(MgFx)321およびバリア層334を含む。あるいは、強化された後処理混合ガス309に窒素含有ガス328が加えられたときには、洗浄保護層318、フルオロマグネシウム層(MgFx)321およびバリア層334がバルク層200を形成することができる。
【0040】
図4は、チャンバ部品を洗浄するための方法400を示す流れ図である。このチャンバ部品は、その上にバルク層200が配置されたものとすることができる。方法400は、動作402で、処理チャンバ内で洗浄プロセスを実行することによって始まる。この洗浄プロセスは、フッ素含有ガスまたは酸素含有ガスなどの洗浄ガスを処理チャンバに流入させることを含むことができる。いくつかの例では、最初に、処理チャンバの上に配置された遠隔プラズマ源(RPS)に洗浄ガスを流入させ、遠隔プラズマ源内でラジカルなどの洗浄種を形成する。次いで、洗浄種を処理チャンバに流入させて洗浄プロセスを実行する。このチャンバ部品を、高温、例えば摂氏約500度~摂氏約1000度の間の温度に維持することができる。あるいは、このチャンバ部品を、摂氏約650度~摂氏約700度の間など、摂氏約550度~摂氏約850度の間の高温に維持することもできる。任意選択で、アルゴンまたはN
2もしくはNH
3などの窒素含有ガスを用いたパージプロセスを実行することができる。
【0041】
この洗浄ガスまたは洗浄種は、基板支持体、シャワーヘッド、エッジもしくはシャドーリング(図示せず)などのチャンバ部品上および/またはチャンバ本体上に蓄積した残留材料を除去する。例えば、洗浄種は、
図1に示されているように、基板支持体104およびサイドカバー161から残留材料を除去することができる。洗浄ガスまたは洗浄種は実質的にバルク層とは反応せず、基板支持体は、バルク層によって洗浄ガスまたは洗浄種から保護される。
図3Aに示されているように、一例では、洗浄ガスがフッ素含有ガス304である。洗浄ガスはさらに、
図3Dに示されている窒素(N
2)328または亜酸化窒素含有ガス326を含むことができる。一例では、パージガス源170から窒素またはアルゴンをパージガスとして処理環境に導入することができる。窒素の導入は、酸素ラジカルによる基板支持体の表面酸化を低減させる。窒素(N
2)パージは、プラズマ内に形成されたフッ素ラジカルまたは酸素ラジカルの影響を能動的に抑制することができる。N
2パージは、特に基板支持体104上にシリコンベースおよび炭素ベースの膜または残留物が存在しているときに、フッ素または酸素ラジカルの負の影響を抑制することができる。N
2パージは、ヒータ302の縁の近くで、ヒータ302の中心で、またはヒータ302を貫いて実施することができ、フルオロマグネシウム層(MgF
x)321をさらに弱めることができる。Arパージは、基板支持体104上に炭素ベースの膜または残留物が堆積しているときに、処理環境120内のフッ素ラジカルの存在を低減させる。基板支持体104などのチャンバ部品上にシリコンベースの膜または残留物が存在しているとき、Arパージは、処理環境120から窒素、酸素またはフッ素ラジカルを除去する。さらに別の例では、Arパージが、処理環境120から酸化窒素(NO
x)ラジカルを除去する。
【0042】
方法400は、任意選択のいくつかの動作を含む。動作404で、弱い部位を実質的に除去または排除し、パッシベーションバリア層を形成するために、任意選択の前処理プロセスを実行することができる。動作406で、任意選択で、追加の高温プラズマ洗浄プロセスを実行することができる。例えば、動作402を繰り返すことができる。この方法は動作408に進むことができ、動作408で、任意選択で、弱い部位を除去し、パッシベーションバリア層を形成するために、第2の前処理プロセスを実行することができる。
【0043】
動作410で、方法400は、処理環境から酸素ラジカルを除去する処理プロセスを実行することにより進められる。この処理プロセスは、上述の温度などの高温で実行することができる。
図3Cおよび3Dに示されているように、基板支持体104は、後処理混合ガス305または強化された処理混合ガス307から形成されたプラズマにさらされる。動作410中、後処理混合ガス305または強化された処理混合ガス307からヒータ302中に拡散する処理ガスによって、基板支持体104の酸化が低減される。遠隔プラズマ源(RPS)は、処理環境120などの処理環境にNF
3またはO
2を個別にまたは組み合わせて提供することができる。RPSの位置は、処理チャンバ100の頂部、底部または中心位置などの任意の位置で処理チャンバに結合することができる。
【0044】
動作412で、任意選択の後処理プロセスを実行する。この後処理プロセスは、1つまたは複数の洗浄されたチャンバ部品の損傷した1つまたは複数の表面を復元または修復するために実行される。チャンバ部品は、プラズマ中のラジカルよる表面の酸化よって損傷し得る。この後処理プロセスは、上述の温度などの高温で実行される。プラズマは、後処理混合ガス305または強化された後処理混合ガス309を脱会合させることによって処理環境120内で形成される。上述のとおり、処理環境120に後処理混合ガス305が提供されたときに、洗浄保護層318およびフルオロマグネシウム層(MgFx)321はバルク層200を形成する。あるいは、強化された後処理混合ガス309が提供されたときに、フルオロマグネシウム層(MgFx)321の上にフルオロマグネシウム層(MgFx)321と接触してバリア層334が形成されることがある。したがって、バルク層200は、バリア層334、フルオロマグネシウム層(MgFx)321および洗浄保護層318を含む。強化された後処理混合ガス309は、限局された多孔質粒311の形成を低減させるかまたは排除するはずである。一例では、フルオロマグネシウム層(MgFx)がバルク層200内に形成される。動作410で、ヒータ302内または最小化または排除されるべき多孔質粒311内で所望の脱酸素化レベルに到達するまで、方法400を繰り返すことができる。
【0045】
本明細書には、その中にヒータが配置された基板支持体などのプロセスチャンバ部品を洗浄し、任意選択で修復または復元するための方法および装置が開示されている。有利には、フッ化物材料から製造されたバルク層200を利用して、洗浄プロセスの間、基板支持体を保護する。フッ化物ベースのバルク層200は洗浄ガスまたは洗浄種と実質的に反応せず、基板支持体が昇温状態に維持されているときに昇華し得る生成物が形成されない。この昇温状態は、摂氏約500度~摂氏約1000度の間の温度とすることができる。以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の例および追加の例が考案されることがある。
【国際調査報告】