IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフイの特許一覧

特表2024-517813注射デバイスのためのコーディングされたハウジング構成要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】注射デバイスのためのコーディングされたハウジング構成要素
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20240416BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61M5/24 500
A61M5/315 550R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567931
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022061645
(87)【国際公開番号】W WO2022233754
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21315075.8
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ベアーテ・フランケ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フレッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066HH03
(57)【要約】
本開示は、薬物送達デバイス(1)のコーディングされたハウジング(10)に関し、ハウジング(10)は、それぞれ第1および第2の連結端(101;201)を有する第1および第2のハウジング構成要素(100;200)と、- 第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、- 第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)と、- 挿入部(110)に設けられ、スナップ要素(121;321;521)を含む締結要素(120;320;520)と、- 締結要素(120;320;520)に対して相補形であり、レセプタクル(210)内に設けられ、スナップ要素(121;321;521)に係合するための対向スナップ要素(221;421;621)を含む対向締結要素(220;420;620)と、- 挿入部(110)に設けられ、コーディング機能(151;351;551)を含む機械的コーディング(150;350;550)と、- レセプタクル(210)内に設けられ、対向コーディング機能(251;451;651)を含む機械的対向コーディング(250;450;650)とを含み、- ここで、締結要素(120;320;520)、対向締結要素(220;420;620)、機械的コーディング(150;350;550)、および機械的対向コーディング(250;450;650)のうちの少なくとも1つは、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)および第2の溝部分(226;256;426;456;626;656)を有する溝(224;254;424;454;624;654)を含み、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)は、長手方向(z)に沿って延び、第2の溝部分(226;256;426;456;626;656)は、円周方向(w)に沿って延び、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)に合流する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)のハウジング(10)であって:
薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成され、第1の連結端(101)を含む第1のハウジング構成要素(100)と、
薬物送達デバイス(1)の駆動機構(8)を収容するように構成され、第2の連結端(201)を含む第2のハウジング構成要素(200)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)であって、挿入部(110)は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)を相互に締結するために、長手方向(z)に沿ってレセプタクル(210)内へ挿入可能である、レセプタクル(210)と、
挿入部(110)に設けられ、スナップ要素(121;321;521)を含む締結要素(120;320;520)と、
該締結要素(120;320;520)に対して相補形であり、レセプタクル(210)内に設けられ、スナップ要素(121;321;521)に係合するための対向スナップ要素(221;421;621)を含む対向締結要素(220;420;620)と、
挿入部(110)に設けられ、コーディング機能(151;351;551)を含む機械的コーディング(150;350;550)と、
レセプタクル(210)内に設けられ、対向コーディング機能(251;451;651)を含む機械的対向コーディング(250;450;650)とを含み、
ここで、締結要素(120;320;520)、対向締結要素(220;420;620)、機械的コーディング(150;350;550)、および機械的対向コーディング(250;450;650)のうちの少なくとも1つは、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)および第2の溝部分(226;256;426;456;626;656)を有する溝(224;254;424;454;624;654)を含み、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)は、長手方向(z)に沿って延び、第2の溝部分(226;256;426;456;626;656)は、円周方向(w)に沿って延び、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)に合流し、
機械的コーディング(150;350;550)および機械的対向コーディング(250;450;650)は、機械的コーディング(150;350;550)が機械的対向コーディング(250;450;650)に整合しないとき、締結要素(120;320;520)の対向締結要素(220;420;620)との係合を防止するように動作可能である、前記ハウジング。
【請求項2】
第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)は、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方の長手方向端面(112;214)に隣接する、請求項1に記載のハウジング(10)。
【請求項3】
第2の溝部分(226;256;426;456;626;656)は、第1および第2の連結端(101;201)のうちの一方の長手方向端面(112;214)から長手方向距離をあけて、第1の溝部分(225;255;425;455;625;655)に合流する、請求項2に記載のハウジング(10)。
【請求項4】
スナップ要素(121;321;521)および対向スナップ要素(221;421;621)のうちの一方は、第2の溝部分(226;426;456;656)内に、または第1の溝部分(655)から円周方向にずれて配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項5】
スナップ要素(121;321;521)および対向スナップ要素(221;421;621)のうちの一方は、挿入部(110)およびレセプタクル(210)のうちの一方に径方向突出物(122;322;522)を含み、スナップ要素(121;321;521)および対向スナップ要素(221;421;621)のうちの他方は、挿入部(110)およびレセプタクル(210)のうちの他方に、径方向突出物(122;322;522)を受けるように構成された径方向凹部(222;422;622)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項6】
第1の機械的コーディング(150;350;550)のコーディング機能(151;351;551)は:
コーディング機能の数、
長手方向位置、
長手方向範囲、
円周方向位置、
円周方向範囲、
長手方向(z)を横断する平面内の断面の幾何形状または形状
のうちの少なくとも1つに関して、別の機械的コーディング(150’;350’;550’)のコーディング機能(151’;351’;551’)とは区別される、請求項1~5のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項7】
機械的コーディング(350)は、スナップ要素(321)に一体化され、機械的対向コーディング(450)は、対向スナップ要素(421)に一体化される、請求項1~6のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項8】
コーディング機能(351)は、挿入部(110)上のスナップ要素(321)の長手方向位置および長手方向範囲によって画成され、ならびに/または対向コーディング機能(451)は、レセプタクル(210)内の対向スナップ要素(421)の長手方向位置および長手方向範囲によって画成される、請求項7に記載のハウジング(10)。
【請求項9】
コーディング機能(151;351;551)および対向コーディング機能(251;451;651)は:
挿入部(110)およびレセプタクル(210)のうちの一方にある径方向コーディング突起(152;352;552)と、
挿入部(110)およびレセプタクル(210)のうちの他方にある径方向コーディング凹部(252;452;652)とを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項10】
機械的コーディング(150;350;550)および機械的対向コーディング(250;450;650)のうちの少なくとも一方は、溝(224;254;424;454;624;654)を含み、コーディング機能(351)および対向コーディング機能(451)は、それに対応して第2の溝部分(456;656)の長手方向位置および径方向コーディング突起(152;352;552)の長手方向位置を変えることによって、別のハウジング(10’)のコーディング機能(351’)および対向コーディング機能(451’)から区別され、第1および第2の連結端(101;201)のうちの一方の自由端から第2の溝部分(456;656)までの長手方向距離の増大は、第2の溝部分(456;656)の長手方向範囲および/または横断方向範囲の増大、ならびに第1および第2の連結端(101;201)のうちの他方から径方向コーディング突起(152;352;552)までの距離の対応する減少、および径方向コーディング突起(456;656)の長手方向範囲および/または横断方向範囲の対応する増大を伴う、請求項9に記載のハウジング(10)。
【請求項11】
機械的コーディング(150;350;550)および機械的対向コーディング(250;450;650)のうちの少なくとも一方は、溝(254;454;654)を含み、締結要素(120;520)および対向締結要素(220;620)のうちの少なくとも一方は、溝(254;654)から円周方向にずれて位置する別の溝(224;624)を含み、該別の溝(224;624)は、第1の溝部分(225;625)および第2の溝部分(226;626)を含み、第1の溝部分(225;625)は、長手方向(z)に沿って延び、第2の溝部分(226;626)は、円周方向(w)に沿って延び、第1の溝部分(225;625)に合流する、請求項1~10のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項12】
コーディング機能(151;351;551)および対向コーディング機能(251;451;651)のうちの一方は、溝(254;654)の第1の溝部分(255;655)と別の溝(225;625)の第1の溝部分(225;625)との間の円周方向距離によって画成される、請求項11に記載のハウジング(10)。
【請求項13】
挿入部(110)は、外面(105)に可視のインジケータ(158;558、559)を含み、レセプタクル(210)は、側壁(202)に貫通凹部(258;658)を含み、インジケータ(158;558、559)は、挿入部(110)がレセプタクル(210)の内側に正確に組み立てられて固定されたとき、貫通凹部(258;658)を通して見える、請求項1~12のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項14】
薬剤の用量を注射するための注射デバイスであって:
請求項1~13のいずれか1項に記載のハウジング(10)と、
ハウジング(10)の内側に配置されたカートリッジ(6)であって、薬剤が充填されたバレル(25)を含み、該バレルは、可動の栓(7)によって長手近位方向(3)に封止されている、カートリッジ(6)と、
ハウジング(10)の内側に配置された駆動機構(8)であって、カートリッジ(6)の栓(7)に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッド(20)を含む駆動機構(8)とを含む、前記注射デバイス。
【請求項15】
少なくとも請求項1~13のいずれか1項に記載の第1のハウジング(10)および請求項1~13のいずれか1項に記載の第2のハウジング(10’)を含むキットであって、第1のハウジング(10)のコーディング機能(151;351)は:
コーディング機能の数、
長手方向位置、
長手方向範囲、
円周方向位置、
円周方向範囲、
長手方向(z)を横断する平面内の断面の幾何形状または形状
のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジング(10’)のコーディング機能(151’;351’)とは区別される、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスおよびシステムの分野に関し、詳細には、液体薬剤を注射するための注射デバイスに関する。より詳細には、本開示は、概して複数の構成要素を含むハウジングを含む薬物送達デバイスおよびシステムを対象とし、1つのハウジング構成要素が、カートリッジなどの薬剤容器を収容するように構成され、別のハウジング構成要素が、薬剤容器に動作可能に係合して薬剤の用量を排出するまたは引き抜くための駆動機構を収容するように構成される。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体当技術分野ではよく知られている。概して、そのようなデバイスは、通常のシリンジの目的と実質的に類似した目的を有する。
【0003】
ペン型注射器などの薬物送達デバイスは、使用者特有の複数の要件を満たさなければならない。たとえば、患者が糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、患者は身体的に虚弱である可能性があり、視覚障害を患っている可能性もある。したがって、特に家庭用医薬品向けの好適な薬物送達デバイスは、構造上頑強である必要があり、容易に使用できるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取扱いは、分かりやすく容易に理解できるべきである。そのような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定および次の投薬を提供するべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬の手順は、容易に操作できて明快でなければならない。
【0004】
特定の疾患を患っている患者は、特定の量の薬剤がペン型注射シリンジを介して注射されること、またはポンプを介して注入されることを必要とすることがある。再利用可能な注射または送達デバイスに関して、患者はカートリッジを装填または交換しなければならないことがある。再利用可能な注射デバイスは、典型的には、複数の構成要素を含むハウジングを含む。たとえば、ハウジングは、本体などの近位ハウジング構成要素と、本体に取外し可能に連結可能なカートリッジホルダなどの遠位ハウジング構成要素とを含むことがある。カートリッジなどの薬剤容器内に提供された薬剤が空になった後、カートリッジホルダは注射デバイスの本体から切り離され、空のカートリッジが取り外されて、新しいカートリッジと交換されうる。
【0005】
別の問題は、カートリッジが本質的に標準的なサイズで製造され、特定の認められた地域的および国際的な規格に準拠するように製造されることに起因しうる。その結果、そのようなカートリッジは、典型的には標準的なサイズのカートリッジ(たとえば、3mlのカートリッジ)で供給される。したがって、様々なカートリッジが複数の異なる供給業者によって供給され、異なる薬剤を収容するが、単一の薬物送達デバイスに適合することがある。一例であるが、第1の供給業者からの第1の薬剤を収容する第1のカートリッジが、第2の供給業者によって提供される薬物送達デバイスに適合することがある。したがって、使用者は、薬物送達デバイスに間違った薬剤を装填することが可能になり、このとき、その医療用送達デバイスがおそらくそのようなカートリッジ向けに設計されていない、またはそのようなカートリッジとともに使用されることが意図されていないことに気付くことなく、前記薬剤(速効型インスリンまたは基礎インスリンなど)を投薬するおそれがある。
【0006】
したがって、使用者、医療提供者、介護者、規制当局、および医療用デバイス供給業者から、使用者が間違った薬物タイプを薬物送達デバイスに装填するという潜在的なリスクを低減させたいという要求が高まっている。間違った薬剤(または誤った濃度の薬剤)をそのような薬物送達デバイスから投薬するリスクを低減させることも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、望ましくないカートリッジの相互使用を防止するために、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダを、その薬物タイプに対して物理的に専用のものにし、または機械的にコーディングし、カートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダ上にもしくはカートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダとともに設けられた専用のもしくはコーディングされた機能のみを受け入れる、またはそのような機能のみと動作する注射デバイスを設計することが、一般に必要とされている。同様に、医療用送達デバイスが特有の薬剤を収容する認可されたカートリッジのみとともに使用されることを可能にしながら、望ましくないカートリッジの相互使用を防止する専用のカートリッジも、一般に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本開示は、薬物送達デバイスのハウジング、特に手持ち式の注射ペンなどの注射デバイスのハウジングに関する。ハウジングは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された第1のハウジング構成要素を含む。第1のハウジング構成要素は、第1の連結端を含む。ハウジングは、第2のハウジング構成要素をさらに含む。第2のハウジング構成要素は、薬物送達デバイスの駆動機構を収容するように構成される。典型的には、駆動機構は、長手方向に延びるピストンロッドを含み、ピストンロッドは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合して、カートリッジから薬剤の用量を排出するように構成される。
【0009】
第2のハウジング構成要素は、第2の連結端を含む。典型的には、第1の連結端は、第2の連結端に連結可能であり、薬物送達デバイスのハウジングを形成または構成する。いくつかの例では、第1のハウジング構成要素は、細長いまたは管状のハウジング構成要素であり、長手方向近位端に第1の連結端を含む。第2のハウジング構成要素もまた、管状または細長い形状とすることができる。第2の連結端は、第2のハウジング構成要素の長手方向遠位端に位置することができる。
【0010】
第1の連結端および第2の連結端のうちの一方に、挿入部がさらに設けられる。挿入部は、典型的には、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素と一体形成される。第1の連結端および第2の連結端のうちの他方に、レセプタクルがさらに設けられる。挿入部は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を相互に締結するために、ならびに/または薬物送達デバイスのハウジングを形成もしくは確立するために、長手方向に沿ってレセプタクル内へ挿入可能である。典型的には、レセプタクルは、第1および第2の連結端のうちの一方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。挿入部は、第1および第2の連結端のうちの他方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。
【0011】
レセプタクルは、挿入部を受け入れるようなサイズおよび形状の内側断面を含む。典型的には、レセプタクルの内径または内側断面は、挿入部の外径または外側断面に密接に整合する。
【0012】
ハウジングは、挿入部に設けられた締結要素と、締結要素に対して相補形であり、レセプタクル内に設けられた対向締結要素とをさらに含む。締結要素は、スナップ要素を含み、対向締結要素は、スナップ要素に係合するための対向スナップ要素を含む。
【0013】
典型的には、最終組立て構成に到達したとき、締結要素は対向締結要素に係合し、それによって第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に締結および固定し、逆も同様である。締結要素および対向締結要素は、第1および第2のハウジング構成要素間にポジティブ係合しかつ/またはフォームフィット係合を形成するような構成および形状である。
【0014】
締結要素、対向締結要素、機械的コーディング、および機械的対向コーディングのうちの少なくとも1つは、第1の溝部分および第2の溝部分を有する溝を含む。第1の溝部分は長手方向に沿って延び、第2の溝部分は円周方向に沿って延びる。第2の溝部分は、第1の溝部分に合流する。機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、機械的コーディングが機械的対向コーディングに整合しないとき、締結要素の対向締結要素との係合を防止するように動作可能である。
【0015】
第1の溝部分および第2の溝部分を有する溝を設けることによって、挿入部およびレセプタクルのうちの一方にL字形の溝のようなものを設けることができる。溝は、2つの工程を含む組立てプロセスを提供および画成する。典型的には、締結要素、対向締結要素、機械的コーディング、および機械的対向コーディングのうちの1つの突起または突出物が、締結要素、対向締結要素、機械的コーディング、および機械的対向コーディングのうちのもう1つの溝に対して相補形であり、第1の組立て工程または第1の組立て段階中に第1の溝部分に沿って摺動するように構成される。
【0016】
第1の溝部分の内側の端位置に到達したとき、挿入部およびレセプタクルは、中間組立て構成にある。1対の機械的コーディングおよび機械的対向コーディングが整合するとき、たとえばそれぞれ細長い第1のハウジング構成要素または第2のハウジング構成要素の長手方向中心軸に対して平行に延びるまたは一致する回転軸に関して、第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に対して回転させることによって、突起が第2の溝部分に入ることが可能になる。
【0017】
こうして、第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間に一種のバヨネット連結を設けることができる。典型的には、いくつかの例では、第1の溝部分は直線状であり、第2の溝部分に対して実質的に直交して延びる。
【0018】
第1および第2の溝部分が2つの工程を含む組立てプロセスを必要としそれを画成する限りにおいて、第1の組立て工程で、第1のハウジング構成要素が第1の方向に沿って第2のハウジング構成要素に対する動きを受け、次の第2の組立て工程で、第1のハウジング構成要素が第2の方向に沿って第2のハウジング構成要素に対する動きを受ける。第1および第2の方向は、互いに対して直交することができ、または0以外の所定の角度で延びることができる。第1および第2の方向は互いに異なる。
【0019】
いくつかの例では、第1の方向は長手方向であり、第1の溝部分の延長に対して平行に延びる。第2の方向は、第2の溝部分に対して平行に延びる。第2の溝部分は、第1および第2のハウジング構成要素のうちの少なくとも一方の管状側壁の円周方向に沿って延びることができる。
【0020】
概して、コーディングおよび対向コーディングは、様々な異なる方法で設けることができる。コーディングまたは対向コーディングは、溝に一体化することができ、または溝に寄与することができる。他の例では、第1および第2の溝部分を有する溝は、締結要素もしくは対向締結要素に寄与し、または締結要素もしくは対向締結要素を形成する。このとき、コーディングおよび対向コーディングは、溝およびその第1または第2の溝部分からずれて位置するコーディング機能および相補形の対向コーディング機能を含むことができる。
【0021】
さらなる例によれば、第1の溝部分は、第1の連結端および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に隣接する。典型的には、第1の溝部分は、第2のハウジング構成要素または第1のハウジング構成要素の側壁の長手方向端の長手方向端面に隣接する。溝が第1のハウジング構成要素の挿入部に設けられるとき、第1の溝部分は、第1のハウジング構成要素の側壁の近位端面に隣接する。溝が第2のハウジング構成要素に一体化されるとき、第1の溝部分は、第2のハウジング構成要素の側壁の遠位に位置する長手方向端面に隣接する。
【0022】
第1の連結端および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に隣接することによって、締結要素、対向締結要素、機械的コーディング、または機械的対向コーディングのうちの少なくとも1つの相補形の突起または突出物は、挿入部をレセプタクル内へ挿入したとき、それぞれの第1の溝部分に係合して入ることができる。これにより、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素のより平滑な摺動および挿入が実現される。
【0023】
さらなる例によれば、第2の溝部分は、第1および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面から長手方向距離をあけて、第1の溝部分に合流する。いくつかの例では、第2の溝部分とそれぞれの連結端の長手方向端面との間の長手方向距離は、機械的コーディングもしくは対向コーディングを画成することができ、または機械的コーディングもしくは対向コーディングに寄与することができる。典型的には、第2の溝部分は、第1および/または第2のハウジング構成要素の管状の形状に対して円周方向または横断方向に沿って延びる。第1および/または第2の溝部分に係合するように構成された突出物または突起の場合、第1および第2のハウジング構成要素が中間組立て構成に到達したとき、突出物または突起が第2の溝部分と円周方向に位置合わせされることが必要とされ、そのように意図される。
【0024】
いくつかの例では、第2の溝部分は、第1の溝部分の長手方向端に合流する。第1の溝部分の長手方向端は、典型的には、第1および第2の連結端のうちの一方から長手方向にずれて位置する。いくつかの例では、第1の溝部分は、より直線で細長い形状である。第1の溝部分は、それぞれ第1または第2のハウジング構成要素のうちの一方の第1および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に一致する第1の長手方向端を有する。第1の溝部分は、第2の溝部分に合流する第2の長手方向端を含む。第1の溝部分の第2の長手方向端は、第1の溝部分の第1の長手方向端とは反対に位置する。
【0025】
このようにして、互いに実質的に直交して延びる第1および第2の溝部分を有するL字形の溝を設けることができる。
【0026】
別の例によれば、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、第2の溝部分内に、または第1の溝部分から円周方向にずれて配置される。ここで、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの他方は、挿入部をレセプタクル内へ挿入したときに少なくとも第1の溝部分に沿って摺動する突出物または突起を含む。中間組立て構成に到達したとき、突出物または突起は、円周方向の動きを受ける。このとき突出物または突起は、第2の溝部分に沿って摺動することができ、第2の溝部分内に設けられたスナップ要素または対向スナップ要素に係合することができる。
【0027】
別法として、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方が第1の溝部分から円周方向にずれて配置されるとき、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの他方は、第1の溝部分から円周方向にずれて位置するスナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方に係合することができる。ここで、スナップ要素または対向スナップ要素のそれぞれの突起または突出物は、第1の溝部分から円周方向にずれて位置するスナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方に係合するように、第1の溝部分の横方向の境界または縁部を横断することができる。
【0028】
さらなる例によれば、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、挿入部およびレセプタクルのうちの一方に径方向突出物を含む。スナップ要素および対向スナップ要素のうちの他方は、挿入部およびレセプタクルのうちの他方に径方向凹部を含む。径方向凹部は、径方向突出物または径方向突起を受けるように構成される。このようにして、締結要素と対向締結要素との間に一種のスナップフィット係合を設けることができる。スナップ要素と対向スナップ要素との相互係合は、典型的には、径方向突出物および径方向凹部のうちの少なくとも一方または径方向突出物もしくは径方向凹部を支持するそれぞれの側壁部分のわずかな径方向の偏向または径方向の変形を伴う。
【0029】
こうして、スナップフィット係合を容易に確立することができる。さらに、締結要素と対向締結要素との間のスナップフィット係合は、触覚および/または音響フィードバックを使用者に提供することができ、それによってスナップフィット連結が確立されたことを本質的に示すことができる。
【0030】
さらなる例によれば、スナップ要素は、円周方向に対する相対運動に逆らって第1および第2のハウジング構成要素をインターロックするように、対向スナップ要素に係合するように構成される。このようにして、締結要素および対向締結要素の相互係合により、回転インターロックを形成する。スナップ要素または対向スナップ要素が第2の溝部分に位置するとき、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立て中に突出物が第2の溝部分に入るとすぐに、第1および第2のハウジング構成要素を長手方向または軸方向に本質的にロックすることができる。
【0031】
その限りにおいて、第1および第2の溝部分を有するL字形の溝は、本質的に軸方向インターロックを、具体的には突起または突出物が円周方向に延びる第2の溝部分に入るとき提供する。
【0032】
さらなる例によれば、第1の機械的コーディングのコーディング機能は、コーディング機能の数、長手方向位置、長手方向範囲、円周方向位置、円周方向範囲、および/または長手方向を横断する平面内の断面の幾何形状もしくは形状のうちの少なくとも1つに関して、別の機械的コーディングのコーディング機能とは区別される。同様に、さらなる例によれば、第1の機械的対向コーディングの対向コーディング機能は、コーディング機能の数、長手方向位置、長手方向範囲、円周方向位置、円周方向範囲、および/または長手方向を横断する平面内の断面の幾何形状もしくは形状のうちの少なくとも1つに関して、別の機械的対向コーディングの対向コーディング機能とは区別される。
【0033】
さらなる例によれば、機械的コーディングは、スナップ要素に一体化される。機械的対向コーディングは、対向スナップ要素に一体化される。さらに、裏を返せば、スナップ要素を機械的コーディングに一体化することができ、対向スナップ要素を機械的対向コーディングに一体化することができる。このようにして、スナップ要素の位置、範囲、向き、または断面幾何形状によって、コーディングを画成することができる。対向コーディングは、対向スナップ要素の位置、範囲、および/または断面の幾何形状もしくは形状によって画成することができる。ここで、スナップ要素は、2倍または2重の機能を実現する。同じことが、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングにも有効である。
【0034】
機械的コーディングおよび対向コーディングは、薬物送達デバイスの異なるハウジングのハウジング構成要素を区別するための機械的コードを提供することができるだけでなく、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を連結するように、たとえば解放不能または解放可能に相互連結するようにも同様に働くことができる。
【0035】
さらなる例によれば、コーディング機能は、挿入部上のスナップ要素の長手方向位置および長手方向範囲によって画成される。それに対応して、対向コーディング機能は、レセプタクル内の対向スナップ要素の長手方向位置および長手方向範囲によって画成される。言い換えれば、コーディング機能および/または対向コーディング機能は、それぞれスナップ要素および対向スナップ要素の長手方向位置と長手方向範囲との関係によって画成される。このようにして、より一意のコーディングおよび対向コーディングを提供することができる。したがって、コーディング機能の長手方向位置および長手方向範囲の1つの組合せが、複数の利用可能な対向コーディング機能のうちの単一の対向コーディング機能にのみ整合することを確実にすることができる。
【0036】
第1のタイプの機械的コーディングのみを、第1のタイプの機械的対向コーディングに連結させることができる。第2および第3のタイプの機械的コーディングは、第2または第3のタイプの機械的対向コーディングと係合または協働することが妨げられる。コーディングおよび対向コーディングのタイプは、挿入部上のスナップ要素の長手方向位置および長手方向範囲、ならびに/またはレセプタクル内の対向スナップ要素の長手方向位置および/もしくは長手方向範囲によって区別される。
【0037】
さらなる例によれば、コーディング機能および対向コーディング機能は、挿入部およびレセプタクルのうちの一方にある径方向突起と、挿入部およびレセプタクルのうちの他方にある径方向コーディング凹部とを含む。いくつかの例では、径方向コーディング突起は、スナップ要素または対向スナップ要素の径方向突出物から分離される。径方向コーディング凹部は、スナップ要素または対向スナップ要素の径方向凹部から分離することができる。いくつかの例では、径方向コーディング突起は、スナップ要素または対向スナップ要素の径方向突出物に一致することができる。このとき、径方向コーディング凹部はまた、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方の径方向凹部に一致することができる。
【0038】
いくつかの例では、径方向コーディング凹部は、たとえば長手方向に延びる第1の溝部分と、たとえば円周方向に延びる第2の溝部分とを有する溝に一致する。締結要素および対向締結要素とは別個にコーディング機能および対向コーディング機能を実装するとき、機械的コーディングの機能ならびに第1および第2のハウジング構成要素を機械的に連結する機能は、互いに分離することができる。
【0039】
ここで、締結要素および対向締結要素は、すべてのタイプの異なる形で利用可能なコーディングに対して同様の形状とすることができ、そのように実装することができる。これは、製造の観点から有益となりうる。このとき、第1および第2のハウジング構成要素の相互固定は、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングの変化による影響を受けない。
【0040】
さらなる例によれば、機械的コーディングが機械的対向コーディングに整合するとき、径方向コーディング突起は径方向コーディング凹部に嵌合する。
【0041】
さらなる例によれば、機械的コーディングが機械的対向コーディングに整合しないとき、径方向コーディング突起は径方向コーディング凹部に嵌合しない。整合しないまたは適合しないコーディング凹部およびコーディング突起は、それぞれのコーディング機能および対向コーディング機能の異なる断面幾何形状によって提供することができる。
【0042】
整合しないまたは適合しない1対のコーディングおよび対向コーディングはまた、機械的コーディング機能が機械的対向コーディング機能に空間的に重複しない機械的対向コーディング機能に対する機械的コーディング機能の配置によって得ることができる。したがって、少なくとも第1および第2のハウジング構成要素の中間または最終組立て位置において、機械的コーディングまたは機械的コーディング機能は、機械的対向コーディングまたは機械的対向コーディング機能に重複しない。
【0043】
さらなる例によれば、コーディング機能は、挿入部の外面上の径方向コーディング突起および径方向コーディング凹部のうちの一方の長手方向位置と長手方向範囲との関係である。それに応じて、対向コーディング機能は、レセプタクルの内面上の径方向コーディング突起および径方向コーディング凹部のうちの一方の長手方向位置と長手方向範囲との関係である。
【0044】
別の例によれば、機械的コーディングは、長手方向に対するコーディング機能の位置と長手方向におけるコーディング機能の範囲との組合せによって画成される。ここで、機械的コーディングは2倍の変化を受け、または機械的コーディングは、2つの独立したパラメータによって、すなわちコーディング機能の長手方向位置およびコーディング機能の長手方向範囲によって画成される。
【0045】
別の例によれば、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングのうちの少なくとも一方が、上述した溝を含む。このとき、それに対応して第2の溝部分の長手方向位置および径方向コーディング突起の長手方向位置を変えることによって、コーディング機能および対向コーディング機能は、別のハウジングのコーディング機能および対向コーディング機能から区別される。ここで、第1および第2の連結端のうちの一方の自由端から第2の溝部分までの長手方向距離の増大は、第2の溝部分の長手方向範囲および/もしくは横断方向範囲の増大を伴い、またはそのような増大と組み合わされ、さらに第1および第2の連結端のうちの他方から径方向コーディング突起までの距離の対応する減少、ならびに径方向コーディング突起の長手方向範囲および/もしくは横断方向範囲の対応する増大を伴い、またはそれらと組み合わされる。
【0046】
ここで、溝部分の長手方向または横断方向もしくは円周方向の範囲に当てはまる変化は、対応する径方向コーディング突起の長手方向および/または横断方向もしくは円周方向の範囲のそれぞれの変化にも等しく当てはまる。長手方向位置の変化、したがって自由端から第2の溝部分までの長手方向距離の変化に関して、それぞれの径方向コーディング突起は、少なくとも中間組立て構成に到達したときに第2の溝部分に重複および係合するように、それに応じて長手方向に移動する。
【0047】
このようにして、第1のタイプの機械的コーディングが第1のタイプの相補形の機械的対向コーディングに排他的に係合可能になることが、実質的に実現および保証される。コーディングまたは対向コーディングの第1のタイプから第2のタイプへの上述した変化は、たとえばそれぞれのコーディング機能の長手方向位置、ならびに長手方向範囲および円周方向範囲のうちの少なくとも1つを同時に修正することによって、第1のタイプのコーディング機能の第2または第3のタイプの対向コーディング機能との不注意による係合を防止し、逆も同様である。
【0048】
さらなる例によれば、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングのうちの少なくとも一方は、上述した溝を含む。締結要素および対向締結要素のうちの少なくとも一方は、この溝から円周方向にずれて位置する別の溝を含む。別のまたは補助的な溝は、第1の溝部分および第2の溝部分を含む。第1の溝部分は、長手方向に沿って延びる。第2の溝部分は、円周方向に沿って延び、第1の溝部分へ合流する。このようにして、少なくとも第1および第2のL字形の溝が、挿入部およびレセプタクルのうちの一方に設けられる。
【0049】
このようにして、2倍の機械的係合を、すなわち機械的コーディングと機械的対向コーディングとの間、ならびに締結要素と対向締結要素との間に提供することができる。それに応じて、第1および第2のハウジング構成要素間の相互連結の機械的剛性および安定性を改善および強化することができる。
【0050】
別の例によれば、コーディング機能および対向コーディング機能のうちの一方は、溝の第1の溝部分と別の溝の第1の溝部分との間の円周方向距離によって画成される。別の溝の第1の溝部分はまた、第1の連結端および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に隣接することができる。いくつかの例では、溝および別の溝は、同じまたは共通のハウジング構成要素に設けられる。他の例では、溝は、第1および第2のハウジング構成要素のうちの一方に設けられ、別の溝は、第1および第2のハウジング構成要素のうちの他方に設けられる。
【0051】
いずれにしても、溝および別の溝が共通のハウジング構成要素に設けられるとき、それぞれの突出物または突起は他方のハウジング構成要素に設けられる。このとき、第1および第2の突起の溝および別の溝への同時係合は、突出物と突起との間の円周方向距離が溝と別の溝との間の円周方向距離に整合するときのみそれぞれ可能になる。
【0052】
同じことが、第1のハウジング構成要素が溝および突出物を含み、第2のハウジング構成要素が別の溝および突起を含むときにも等しく有効である。
【0053】
さらなる例によれば、挿入部は、外面に可視のまたは視覚的なインジケータを含み、レセプタクルは、側壁に貫通凹部を含む。インジケータは、挿入部がレセプタクルの内側に正確に組み立てられて固定されたとき、貫通凹部を通して見える。インジケータは、貫通凹部に形状およびサイズが整合する。インジケータは、正しい最終組立て構成に到達したとき、インジケータが貫通凹部に空間的に重複するように、挿入部の外面に位置する。それに応じて、正確に組み立てられたとき、視覚的なインジケータは、ハウジングの外側から貫通凹部を通して見える。典型的には、視覚的なインジケータは、少なくともその色、明るさ、および/または質感によって、挿入部の外面の外観から区別される。視覚的なインジケータおよび貫通凹部の空間的に重複する配置は、第1および第2のハウジング構成要素の正しい最終組立て構成が得られたという視覚フィードバックを使用者に提供する。
【0054】
別の態様によれば、薬剤の用量を注射するための注射デバイスが提供される。注射デバイスは、上述したハウジングと、ハウジングの内側に配置されたカートリッジとを含む。カートリッジは、薬剤が充填されたバレルを含み、バレルは、可動の栓によって長手近位方向に封止されている。注射デバイスは、ハウジングの内側に配置された駆動機構をさらに含む。駆動機構は、カートリッジの栓に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッドを含む。典型的には、注射デバイスは、手持ち式または携帯型の注射デバイスとして実装される。注射デバイスは、ペン型注射器を含むことができる。
【0055】
いくつかの例では、レセプタクルは、細長いハウジング構成要素、たとえば薬物送達デバイスのハウジングの第1または第2のハウジング構成要素に固定して取り付け可能でありまたは固定して取り付けられたハウジング挿入部として提供される。ハウジング挿入部は、細長いハウジング構成要素に対して回転不能および/または長手方向に固定することができる。その限りにおいて、レセプタクルに関連して上述したすべての構成および利益は、それぞれのハウジング構成要素に対して固定して連結可能でありまたは固定して連結されたハウジング挿入部にも等しく当てはまる。
【0056】
別の態様によれば、本開示は、少なくとも上述した第1のハウジングおよび少なくとも上述した第2のハウジングを含むキットに関する。ここで、第1のハウジングのコーディング機能は、コーディング機能の数、長手方向位置、長手方向範囲、円周方向位置、円周方向範囲、および/または長手方向を横断する平面内の断面の幾何形状もしくは形状のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングのコーディング機能とは区別される。同様に、第1のハウジングはまた、第1の対向コーディング機能を含み、第1の対向コーディング機能は、上述した機能、長手方向位置、長手方向範囲、円周方向位置、円周方向範囲、および/または長手方向を横断する平面内の断面の幾何形状もしくは形状のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングのそれぞれの対向コーディング機能とは区別される。
【0057】
ここで、相補形の機械的コーディングおよび機械的対向コーディングを装備した第1のハウジングのハウジング構成要素のみが、相互に締結および固定されることが可能になり、そのように支持される。第1のハウジングには、第1のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第2のハウジングには、第2のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第1のタイプのコーディングは、第2のタイプの対向コーディングに適合しない。第1のタイプの対向コーディングは、第2のタイプのコーディングに適合しない。第1のハウジングのハウジング構成要素を第2のハウジングのハウジング構成要素と組み立てようとした使用者は、整合しない機械的コーディングおよび機械的対向コーディングによって、それが妨げられる。
【0058】
概して、いくつかの例では、異なるハウジングの第1のハウジング構成要素は、薬剤容器またはカートリッジを受けるための収容空間のサイズおよび/または幾何形状によって区別することができる。特に、第1のタイプのコーディングを有するハウジングは、第1のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。第2のタイプのコーディングを有するハウジングは、第2のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。このため、薬剤容器、カートリッジ、ならびに第1のハウジング構成要素の内部は、1つの専用のカートリッジまたは薬剤容器のみが1つの専用の第1のハウジング構成要素のみに明確に適合するように、さらなるコーディングもしくはコーディング機能を含むことができ、またはそれらのサイズもしくは幾何形状に関して区別することができる。
【0059】
いくつかの例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに係合するための機械的コーディングが設けられる。さらなる例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに整合するように構成された電子、視覚、または光学コーディングのうちの少なくとも1つを設けることができ、相補形の対向コーディングもまた、電子、視覚、または光学タイプである。
【0060】
さらに、カートリッジおよび第1のハウジング構成要素のうちの少なくとも一方には、ロッキングまたは締結機能を設けることができ、それによってカートリッジを第1のハウジング構成要素内で固定および/または保持することができる。ここで、たとえばカートリッジホルダとして実装される第1のハウジング構成要素、およびその中に組み立てられたカートリッジは、事前に製作されたハウジングアセンブリとして、または専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せとして提供することができる。
【0061】
いずれにしても、特定のカートリッジ内に提供される特定の薬剤が、第1のハウジング構成要素の特定のタイプに、すなわち特に機械的に符号化された第1のハウジング構成要素に明確に関連付けられることを保証または実現することができる。実質的に、いくつかの例では、特定の薬剤が提供されたカートリッジは、それぞれの機械的コーディングを装備したそれに対応する形状の第1のハウジング構成要素内にのみ収容することができる。
【0062】
さらなる例では、事前に製作されたハウジングアセンブリまたは専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せは、製薬会社によって市販されている。ここで、カートリッジは、第1のハウジング構成要素の内側に取外し不能または着脱不能に固定することができ、製薬会社は、特定の薬剤が充填されたカートリッジと、カートリッジの内側に位置する薬剤のタイプに従って機械的に符号化された好適な第1のハウジング構成要素との間に、それぞれの整合を提供する。
【0063】
さらなる態様によれば、本開示はまた、注射デバイスのキットに関する。注射デバイスのキットは、少なくともどちらも第1のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられた第1のハウジングを含む第1の注射デバイスを含み、どちらも第1のタイプのそれぞれの対向コーディングまたはコーディングに整合しない第2のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられて装備された第2のハウジングを有する第2の注射デバイスをさらに含む。
【0064】
概して、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって画成される。注射デバイスは、特有の実施形態または例に限定されるものではなく、異なる実施形態または例の要素のあらゆる組合せを含む。その限りにおいて、本開示は、特許請求の範囲のあらゆる組合せ、および異なる例または実施形態に関連して開示する構成のあらゆる技術的に実行可能な組合せを包含する。
【0065】
この文脈において、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位の方を向いている注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も離れた注射デバイスの反対の端部に関する。
【0066】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0067】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0068】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0069】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0070】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0071】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0072】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0073】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0074】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0075】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0076】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0077】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0078】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0079】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0080】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0081】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0082】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0083】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明はそのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0084】
本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を本開示に加えることができることが、当業者にはさらに明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるいずれの参照番号も、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0085】
以下、専用のまたはコーディングされたハウジング構成要素を有する注射デバイスの多数の例について、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】薬物送達デバイスの一例を概略的に示す図である。
図2図1の薬物送達デバイスの分解図の一例を示す図である。
図3】第1のハウジング構成要素の近位連結端の一例を示す図である。
図4】第2のハウジング構成要素のそれに対応する形状の連結端を示す図である。
図5】コーディング突起の3つの異なる様々な断面幾何形状を示す図である。
図6図3の例の平面図である。
図7】第1のハウジング構成要素の近位端に設けられたコーディングの別の例を示す図である。
図8】第1のハウジング構成要素のコーディングの別の例を示す図である。
図9】第1のハウジング構成要素の別の例の斜視図である。
図10】第2のハウジング構成要素の別の例を示す図である。
図11図9の挿入部および図10のレセプタクルの拡大図である。
図12】第1のコーディングおよび対向コーディングが設けられた第2の連結端および第1の連結端の別の例を示す図である。
図13】第2のタイプのコーディングおよび対向コーディングを表すコーディングおよび対向コーディングの別の例を示す図である。
図14】第3のタイプのコーディングおよび相補形の対向コーディングの別の例を示す図である。
図15】コーディングおよび対向コーディングの別の例を示す図である。
図16】第1のハウジング構成要素に設けられた機械的コーディングのさらなる例を示す図である。
図17】第2のハウジング構成要素のレセプタクルに設けられた相補形の対向コーディングを示す図である。
図18】機械的コーディングのさらなる例を示す図である。
図19】機械的対向コーディングのさらなる例を示す図である。
図20図16および図17による第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の長手方向断面図である。
図21図19による第2のハウジング構成要素の斜視断面図である。
図22】第1のハウジング構成要素の機械的コーディングの別の例を示す図である。
図23】第2のハウジング構成要素のさらなる対向コーディングを示す図である。
図24】相互にコーディングされた第1および第2のハウジング構成要素の長手方向断面図である。
図25図23の機械的対向コーディングの斜視部分断面図である。
図26】第1のタイプの機械的コーディングおよび相補形の機械的対向コーディングの別の例を示す図である。
図27】第2のタイプの機械的コーディングおよび機械的対向コーディングを示す図である。
図28】第3のタイプの機械的コーディングおよび機械的対向コーディングの別の例を示す図である。
図29】注射デバイスのハウジングの別の例を示す図である。
図30】切り離された図29の第1および第2のハウジング構成要素を示す図である。
図31】第1のハウジング構成要素の近位連結端の拡大図である。
図32図31の第2のハウジング構成要素に設けられたレセプタクルの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1および図2に、手持ち式注射デバイスの多数の例のうちの1つのみが示されており、これは概してウェアラブル電子デバイスと組み合わせて使用可能である。図1および図2に示されているデバイスは、ハウジング10を含む充填済みの使い捨て注射デバイスであり、ハウジング10には注射針15を取り付けることができる。注射針15は、注射デバイス1のハウジング10の遠位セクションを密閉および保護するように構成された内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17または保護キャップ18のいずれかによって保護される。ハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第2のハウジング構成要素は、図2に示されている駆動機構8および/または用量設定機構9を収容するように構成された主ハウジング部材を形成することができる。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、第2のハウジング構成要素200に恒久的または解放可能に連結することができる。
【0088】
第1のハウジング構成要素100は、典型的には、液体薬剤が充填されたカートリッジ6を収容するように構成される。カートリッジ6は、バレル25の内側に位置する栓7によって近位方向3に封止された円筒形または管状のバレル25を含む。栓7は、ピストンロッド20によってカートリッジ6のバレル25に対して遠位方向2に変位可能である。カートリッジ6の遠位端は、セプタムとして構成された穿孔可能な封止部26によって封止されており、封止部26は、注射針15の近位向きの先端を有する端部によって穿孔可能である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、その遠位端にねじ付ソケット28を含み、ねじ付ソケット28は、注射針15のそれに対応するねじ付部分にねじ係合する。注射針15を第1のハウジング構成要素100の遠位端に取り付けることによって、カートリッジ6の封止部26を貫通し、それによってカートリッジ6の内部への流体伝達アクセスを確立する。
【0089】
注射デバイス1がたとえばヒトインスリンを投与するように構成されるとき、注射デバイス1の近位端にある用量ダイヤル12によって設定される投与量を、いわゆる国際単位(IU)で表示することができ、1IUは約45.5μg(1/22mg)の純結晶インスリンと生物学的に同等である。用量ダイヤル12は、用量ダイヤルを含むことができ、または用量ダイヤルを形成することができる。
【0090】
図1および図2にさらに示されているように、ハウジング10、たとえば第2のハウジング構成要素200は、投与量窓13を含み、投与量窓13は、ハウジング10内のアパーチャの形態とすることができる。投与量窓13は、現在設定されている用量の視覚インジケーションを提供するために、用量ダイヤル12が回されたときに動くように構成された数字スリーブ80の制限された部分を使用者が見ることを可能にする。用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬もしくは排出中に回されたとき、ハウジング10に対して螺旋経路上を回転させられる。
【0091】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すことで機械クリック音を引き起こし、使用者に音響フィードバックを提供するように構成することができる。クリック音は、典型的には、クリックノイズ生成器45によって生成される。概して、クリックノイズ生成器45は、様々な異なる方法で実装することができる。数字スリーブ80は、インスリンカートリッジ6内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺されて、トリガ11または注射ボタンが押されたとき、表示窓13内に表示されている用量が注射デバイス1から排出される。トリガ11が押されてから特定の時間にわたって注射デバイス1の針15が皮膚部分内に留まったとき、用量は実際に患者の体内へ注射される。液体薬剤の用量の排出もまた、機械クリック音を引き起こすことができるが、このクリック音は、用量ダイヤル12を使用したときに生じたクリック音とは異なる。このため、注射デバイス1は、別個の、したがって第2の、クリックノイズ生成器(図示せず)を含むことができる。
【0092】
この実施形態では、インスリン用量の送達中、用量ダイヤル12は、軸方向運動で、すなわち回転なしで、その初期位置まで戻され、数字スリーブ80は、回転してその初期位置へ戻り、たとえば0単位の用量を表示する。
【0093】
注射デバイス1は、カートリッジ6が空になるまで、または注射デバイス1内の薬剤の有効期日(たとえば、最初の使用から28日後)に到達するまで、いくつかの注射プロセスに対して使用することができる。
【0094】
図2に、駆動機構8の一例がより詳細に示されている。駆動機構8は、多数の機械的に相互作用する構成要素を含む。ハウジング10のフランジ状の支持体が、ピストンロッド20の第1のねじ山または遠位ねじ山22にねじ係合されるねじ付軸方向貫通口を含む。ピストンロッド20の遠位端は支承部21を含み、押さえ23が、ピストンロッド20の長手方向軸を回転軸として、支承部21上を自由に回転する。押さえ23は、カートリッジ6の栓7の近位向きの推力受け面に軸方向に当接するように構成される。投薬動作中、ピストンロッド20はハウジング10に対して回転し、それによってハウジング10に対して、したがってカートリッジ6のバレル25に対して、遠位向きの前進運動を受ける。結果として、カートリッジ6の栓7は、ピストンロッド20のハウジング10とのねじ係合により、遠位方向2に明確な距離だけ変位させられる。
【0095】
ピストンロッド20には、その近位端に第2のねじ山24がさらに設けられる。遠位ねじ山22および近位ねじ山24は、反対の向きである。
【0096】
ピストンロッド20を受けるために中空の内部を有する駆動スリーブ30がさらに設けられる。駆動スリーブ30は、ピストンロッド20の近位ねじ山24にねじ係合される内側ねじ山を含む。さらに、駆動スリーブ30は、その遠位端に外側ねじ付セクション31を含む。ねじ付セクション31は、遠位フランジ部分32と、遠位フランジ部分32から所定の軸方向距離をあけて位置する別のフランジ部分33との間に、軸方向に制限される。2つのフランジ部分32、33間に、半円形ナットの形態の最終用量リミッタ35が設けられ、最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30のねじ付セクション31に嵌合する内部ねじ山を有する。
【0097】
最終用量リミッタ35は、ハウジング10の側壁の内側にある相補形の凹部または突起に係合するための径方向凹部または突起を、その外周にさらに含む。このようにして、最終用量リミッタ35は、ハウジング10に、たとえば第2のハウジング構成要素200にスプライン連結される。連続した用量設定手順中の用量増分方向4または時計回り方向における駆動スリーブ30の回転は、駆動スリーブ30に対する最終用量リミッタ35の累積的な軸方向の変位をもたらす。フランジ部分33の近位向きの表面に軸方向に当接する環状ばね40がさらに設けられる。さらに、管状のクラッチ60が設けられる。クラッチ60の第1の端部に、一連の円周方向に向けられた鋸歯が設けられる。クラッチ60の第2の反対の端部に向かって、径方向内方に向けられたフランジが位置する。
【0098】
さらに、数字スリーブ80とも呼ばれる用量ダイヤルスリーブが設けられる。数字スリーブ80は、ばね40およびクラッチ60の外側に設けられ、ハウジング10の径方向内方に位置する。数字スリーブ80の外面の周りに、螺旋溝81が設けられる。ハウジング10には投与量窓13が設けられており、数字スリーブ80の外面の一部を、投与量窓13を通して見ることができる。ハウジング10には、挿入部62の内側側壁部分に螺旋リブがさらに設けられ、螺旋リブは、数字スリーブ80の螺旋溝81に着座させられる。管状の挿入部62は、ハウジング10の近位端内へ挿入される。挿入部62は、ハウジング10に対して回転不能および軸方向に固定される。数字スリーブ80がハウジング10に対して螺旋運動で回転させられている間の用量設定手順を制限するために、ハウジング10上に第1および第2の止め具が設けられる。
【0099】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル12が、数字スリーブ80の近位端の外面の周りに配置される。用量ダイヤル12の外径は、典型的には、ハウジング10の外径に対応および整合する。用量ダイヤル12は、数字スリーブ80に対して、これらの間の相対運動を防止するように固定される。用量ダイヤル12には、中心開口部が設けられる。
【0100】
用量ボタンとも呼ばれるトリガ11は、実質的にT字形である。トリガ11は、注射デバイス1の近位端に設けられる。トリガ11の心棒64が、用量ダイヤル12内の開口部を通り、駆動スリーブ30の延長の内径を通って、ピストンロッド20の近位端にある受け凹部内へ延びる。心棒64は、駆動スリーブ30内で制限された形で軸方向に動き、駆動スリーブ30に対して回転しないように保持される。トリガ11のヘッドは略円形である。トリガ側壁またはスカートは、ヘッドの周辺部から延びており、用量ダイヤル12の近位からアクセス可能な環状凹部に着座するようにさらに適用される。
【0101】
用量をダイヤル設定するために、使用者は用量ダイヤル12を回転させる。ばね40がクリックノイズ生成器45としても作用し、クラッチ60が係合された状態で、駆動スリーブ30、ばね40、クラッチ60、および数字スリーブ80は、用量ダイヤル12とともに回転する。用量がダイヤル設定されたという可聴および触覚フィードバックが、ばね40およびクラッチ60によって提供される。鋸歯によって、ばね40とクラッチ60との間でトルクが伝送される。数字スリーブ80上の螺旋溝81および駆動スリーブ30内の螺旋溝は、同じリードを有する。これにより、数字スリーブ80がハウジング10および駆動スリーブ30から延びてピストンロッド20を同じ速度で登ることが可能になる。行程の限界で、数字スリーブ80上の径方向止め具が、ハウジング10上に設けられた第1の止め具または第2の止め具に係合して、第1の回転方向、たとえば用量増分方向4のさらなる動きを防止する。ピストンロッド20の回転は、ピストンロッド20上の全体的な駆動されるねじ山の方向が反対になっていることによって防止される。
【0102】
ハウジング10に固定された最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30の回転によってねじ付セクション31に沿って前進させられる。最終用量投薬位置に到達したとき、最終用量リミッタ35の表面上に形成された径方向止め具が、駆動スリーブ30のフランジ部分33上の径方向止め具に当接し、最終用量リミッタ35および駆動スリーブ30の両方がさらに回転することを防止する。
【0103】
使用者が不注意で所望の投与量を超えてダイヤル設定した場合、ペン注射器として構成された注射デバイス1は、カートリッジ6から薬剤を投薬することなく、投与量を下方にダイヤル設定することを可能にする。このため、用量ダイヤル12は簡単に逆回転される。これにより、システムは逆に作用する。このとき、ばねまたはクリッカ40の可撓アームは、ばね40が回転することを防止するラチェットとして作用する。クラッチ60を介して伝送されるトルクにより、鋸歯は互いを載り越えて、ダイヤル設定された用量の低減に対応するクリックを生み出す。典型的には、鋸歯は、各鋸歯の円周方向範囲が単位用量に対応するように配置される。ここで、クラッチは、ラチェット機構として働くことができる。
【0104】
代替または追加として、ラチェット機構90は、管状クラッチ60の側壁上の可撓アームなど、少なくとも1つのラチェット機能91を含むことができる。少なくとも1つのラチェット機能91は、たとえば可撓アームの自由端上に径方向外方に延びる突起を含むことができる。突起は、数字スリーブ80の内側にあるそれに対応する形状の対向ラチェット構造に係合するように構成される。数字スリーブ80の内側は、鋸歯プロファイルを有する長手方向の形状の溝または突起を含むことができる。用量のダイヤル設定または設定中、ラチェット機構90は、数字スリーブ80が第2の回転方向5に沿ってクラッチ60に対して回転することを可能にしてそれを支持し、この回転は、クラッチ60の可撓アームの規則的なクリックを伴う。第1の回転方向に沿って数字スリーブ80に印加される角運動量は、クラッチ60へ不変に伝達される。ここで、ラチェット機構90の相互に対応するラチェット機能は、数字スリーブ80からクラッチ60へのトルク伝送を提供する。
【0105】
所望の用量がダイヤル設定されたとき、使用者は、トリガ11を押し下げることによって、設定された用量を簡単に投薬することができる。これにより、クラッチ60が数字スリーブ80に対して軸方向に変位し、その犬歯を係合解除する。しかし、クラッチ60は、駆動スリーブ30に対して回転方向に固定されたままである。数字スリーブ80および用量ダイヤル12はここで、螺旋溝81に従って自由に回転する。
【0106】
この軸方向運動により、ばね40の可撓アームを変形させて、投薬中に鋸歯が緩められないことを確実にする。これにより、駆動スリーブ30がハウジング10に対して回転することが防止されるが、駆動スリーブ30は依然としてハウジング10に対して軸方向には自由に動く。その後、遠位向きの投薬圧力がトリガ11から取り除かれたとき、この変形を使用してばね40およびクラッチ60を駆動スリーブ30に沿って逆方向に付勢し、クラッチ60と数字スリーブ80との間の連結を回復する。
【0107】
駆動スリーブ30の長手方向の軸方向運動は、ハウジング10の支持体の貫通口を通ってピストンロッド20を回転させ、それによってカートリッジ6内の栓7を前進させる。ダイヤル設定された用量が投薬された後、用量ダイヤル12から延びる少なくとも1つの止め具がハウジング10の少なくとも1つの対応する止め具に接触することによって、数字スリーブ80のさらなる回転が防止される。数字スリーブ80の軸方向に延びる縁部または止め具のうちの1つが、ハウジング10の少なくとも1つまたはいくつかの対応する止め具に当接することによって、0用量位置を決定することができる。
【0108】
上述した排出機構または駆動機構8は、概して使い捨てのペン注射器内に実装可能な複数の異なる構成の駆動機構のうちの1つに対する例示にすぎない。上述した駆動機構は、全体が参照によって本明細書に組み入れられる、たとえばWO2004/078239A1、WO2004/078240A1、またはWO2004/078241A1により詳細に説明されている。
【0109】
図3図32のいずれかに示されているハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、その中空の内部の内側にカートリッジ6を収容するようなサイズおよび形状である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を含む。第1の連結端101は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。それに対応して、第2のハウジング構成要素200は、典型的にはハウジング構成要素200の遠位端に、第2の連結端201を含む。
【0110】
第1の連結端101は、第2の連結端201に対して機械的に連結可能である。示されているように、第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を形成する挿入部110を含む。第2のハウジング構成要素200は、挿入部110を受けるような形状およびサイズのレセプタクル210を含む。挿入部110は、第2のハウジング構成要素200に対する長手方向摺動運動によって、特に近位方向3に沿って、レセプタクル210内へ挿入可能である。
【0111】
挿入部110は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。挿入部110は、近位端面112を含む。挿入部110は、遠位方向2に向かって、第1のハウジング構成要素100の管状の側壁102から、したがって挿入部110の側壁102からも、径方向外方に突出するフランジセクション115によって制限される。
【0112】
フランジセクション115は、管状の挿入部110の周囲全体にわたって延びる円周方向リムを含む。フランジセクション115は、近位方向3に向かって、近位方向3を向いている当接面114を含む。当接面114は、第2のハウジング構成要素の側壁202の遠位端面214に軸方向に当接するように構成される。
【0113】
第1および第2のハウジング構成要素100、200を相互に固定するために、挿入部110上に締結要素120が設けられ、締結要素120は、レセプタクル210の内側に設けられたそれに対応する形状または相補形の対向締結要素220に動作可能に係合する。たとえば図3および図4により詳細に示されているように、ここに示されている例では、締結要素120はスナップ要素121を含み、スナップ要素121は、レセプタクル210の側壁202の内側203に設けられたそれに対応する形状または相補形の対向スナップ要素221に係合するように構成される。スナップ要素121は、図3に示されているように、径方向突起122を含み、径方向突起122は、レセプタクル210の側壁202に内方に位置する対向締結要素220の相補形の径方向凹部222に係合するように構成される。
【0114】
第1のハウジング構成要素100の近位連結端101には、機械的コーディング機能151を含む機械的コーディング150が設けられる。ここで、機械的コーディング機能151は、挿入部110の側壁から径方向外方に突出するコーディング突起152を含む。図6に示されているように、径方向突起152は、横断方向断面で見たとき、ある程度方形または四角形の形状である。第2のハウジング構成要素200には、機械的対向コーディング250の対向コーディング機能251を形成する相補形の径方向凹部252が設けられる。径方向凹部252は、ハウジング構成要素200の側壁202の遠位端面214に隣接する。
【0115】
径方向突起152の幾何形状が相補形の径方向凹部252の断面幾何形状に整合するときのみ、第2のハウジング構成要素の遠位連結端201に設けられた挿入部110をレセプタクル210内へ挿入する間に、それぞれの突起152を径方向凹部252内へ長手方向(z)に挿入することができる。
【0116】
第1および第2のハウジング構成要素100、200には、締結要素120および相補形の対向締結要素220がさらに装備および提供される。示されている例では、締結要素120は、スナップ要素121を形成する径方向外方に延びる突起122を含む。相補形の対向締結要素220は、最終組立て構成に到達したときにスナップ要素121にポジティブ係合するための対向スナップ要素221を含む。
【0117】
対向締結要素220は、レセプタクル210の側壁202の内面203に径方向凹部222として設けられた溝224を含む。溝224は、第1の溝部分225および第2の溝部分226を含む。第1および第2の溝部分225、226は、異なる方向に延びる。第1の溝部分225は、側壁202の遠位端面214に隣接しており、第2のハウジング構成要素200の長手方向に延びる。第2の溝部分226は、第1の溝部分225に合流し、円周方向(w)に延びる。
【0118】
L字形の溝224は、2つの工程を含む組立てプロセスを画成し、それを必要とする。第1の組立て工程中、ハウジング構成要素100の挿入部110が、いかなる回転もなしで、長手方向(z)に沿ってレセプタクル210内へ挿入される。中間組立て構成に到達したとき、たとえばフランジセクション115またはその近位向きの当接面114が遠位端面214に長手方向に当接したとき、長手方向に向けられた挿入運動が阻止される。次いで、第2の組立て工程中、第1のハウジング構成要素100は、第2のハウジング構成要素200に対する回転を受け、回転軸は、ハウジング構成要素100の管状側壁102の長手方向軸に一致し、またはその長手方向軸に対して平行に延びる。
【0119】
図4に示されているように、対向スナップ要素221は、第2の溝部分226の終端に位置し、したがって第1の溝部分225から離れておりまたはずれている。特に、対向スナップ要素221は、第2の溝部分の第2の円周方向端に位置し、第2の溝部分226の反対に位置する第1の円周方向端は、第1の溝部分225に合流する。
【0120】
機械的対向コーディング250は、溝224の形状に直接整合および対応する幾何形状または形状を含むことができる。示されていないが、機械的対向コーディング250はまた、L字形の溝254の形態の径方向凹部を含むことができ、溝254は、第1の溝部分255および第2の溝部分256を有する。そのような機械的対向コーディングの一例は、たとえば図11に示されている。
【0121】
図5に、挿入部110の側壁102の外面105に設けることができる3つのさらなる機械的コーディング150、150’150”の3つの例が提供されている。異なる機械的コーディング150、150’150”は、横断方向サイズ、断面形状、および/または幾何形状に関して異なる。機械的コーディング150は、ある程度方形の機械的コーディング機能151およびそれぞれの突起152を含む。機械的コーディング150’は、径方向外方に突出する凸形のコーディング機能151’およびそれぞれの突起152’を含む。機械的コーディング150”、コーディング機能151”、およびそれぞれの突起152”のさらなる例は、台形状の断面または幾何形状を含む。
【0122】
コーディング機能151、151’、151”のうちのいずれか1つは、少なくとも径方向範囲および/または円周方向範囲に関して、コーディング機能151、151’、151”のうちの他の2つとは区別される。このようにして、機械的コーディング機能151、151’、151”のうちの各々が、ここではあまり詳細に示されていない相補形の対向コーディング機能のうちの1つのみに係合することができることを保証することができる。
【0123】
機械的コーディング150、150’、150”は、溝224に係合するように構成された締結要素120の径方向突起122に対して明確な円周方向位置にある。図6図8の例では、径方向突起122は挿入部110に設けられ、溝224はレセプタクル210の内面203に設けられる。
【0124】
図9図11のさらなる例では、第1のハウジング構成要素100の挿入部110に、締結要素120および機械的コーディング150が設けられる。ここで、締結要素120はスナップ要素121を含み、スナップ要素121は、挿入部110の側壁102の外面105から径方向外方に突出する凸形の突出物122または突起を有する。同様に、コーディング機能151は、挿入部110の側壁102から径方向外方に突出するコーディング突起152を含む。挿入部110の外面105に、視覚的なインジケータ158がさらに設けられる。視覚的なインジケータ158は、色、明るさ、または質感のうちの少なくとも1つによって、周囲の側壁102とは区別される。図11により詳細に示されているように、第2のハウジング構成要素200のレセプタクル210は、溝224および別の溝254を含む。溝224、254はどちらも、第1の溝部分225、255と、それぞれの第1の溝部分225、255に合流する第2の溝部分226、256とを含む。
【0125】
溝224、254はどちらもL字形である。ここで、第2の溝部分226、256は、第1の溝部分225、255の延長に実質的に直交して延びる。溝224の第1の溝部分225は、断面または形状に関して、さらなる溝254の第1の溝部分255とは区別される。これには、挿入部110をレセプタクル内へ明確な向きでしか挿入することができないようにする必要がある。
【0126】
図11のレセプタクル210の例示によって示されているように、2つのさらなる追加の溝を設けることができ、したがってこれらの溝は、補助的な対向締結要素220および補助的な対向コーディング250である。補助的な対向締結要素220は、溝224に対して正反対に位置し、補助的な対向コーディング250は、溝254に対して正反対に位置する。概して、多数の対向締結要素220および対向コーディング250を、レセプタクル210の内面203で円周方向に分散させることができ、または円周方向にずらして配置することができる。
【0127】
図11にさらに示されているように、対向スナップ要素221が設けられた溝224の第2の溝部分226のみが、挿入部110の外面105に設けられたスナップ要素121の相補形の突出物または突起122にポジティブ係合するように、またはフォームフィット係合を形成するように構成される。第2の溝部分256、したがって第2の溝254の全体に、そのような対向スナップ要素はない。
【0128】
コーディング150および対向コーディング250は、コーディング機能の数によって、たとえば第2の溝部分226の長手方向位置に対するたとえば第2の溝部分256の長手方向位置を画成することによって、画成することができる。コーディングは、第2の溝部分256の長手方向または横断方向範囲によってさらに画成することができる。コーディングは、溝224に対する補助的なコーディング溝254の円周方向位置によって、さらに画成することができる。さらに、コーディングは、長手方向を横断または直交する平面内のコーディング機能151および相補形の対向コーディング機能251の断面の幾何形状または形状によって画成することができる。
【0129】
視覚的なインジケータ158は、コーディング機能151の近隣または近傍の明確な位置に配置される。レセプタクル210の側壁202に、貫通凹部258が設けられる。示されているように、貫通凹部258は、溝254の一部分を交差する。貫通凹部258は、第1の溝部分255内に位置することができる。適当に組み立てられ、第1および第2のハウジング構成要素100、200が最終組立て構成にあるとき、視覚的なインジケータ158は、貫通凹部258に空間的に重複する。次いで、正確に組み立てられたとき、貫通凹部258を通して視覚的なインジケータ158が見える。
【0130】
このようにして、第1および第2のハウジング構成要素100、200が正確に組み立てられたという視覚フィードバックを、使用者に提供することができる。
【0131】
機械的コーディング150とは別個にスナップ要素121を設けることによって、異なるコーディングおよび対向コーディングの各タイプに対して、第1および第2のハウジング構成要素をともに締結および固定するために、1つの同じ、したがって未修正の締結機構が使用されることを実現することができる。したがって、コーディングおよびそれぞれの対向コーディングの変化はこのとき、締結機構に影響を与えない。
【0132】
図12に、コーディングされた第2の連結端201の別の例が示されており、第2の連結端201は、それに対応してコーディングされた第1の連結端101に連結可能である。ここでも、レセプタクル210は、第1のハウジング構成要素100の挿入部110の外面に設けられたコーディング150およびそれぞれの径方向突起152に対して相補形の対向コーディング250を含む。ここでも、レセプタクル210には、第1の溝部分225および第2の溝部分226を有する溝224が設けられる。原則的に、締結要素120および対向締結要素220の実装は、図3図11に関連して上述した締結機構に類似しており、またはさらに同一である。図4の実装とは異なり、対向スナップ要素221は、第2の溝部分226の終端に位置しない。逆に、対向スナップ要素221は、径方向に突出する隆起部223を有し、隆起部223は、第2の溝部分226のベースから径方向内方に突出している。第2の溝部分226の終端は、挿入部110の外面105に設けられた突出するスナップ要素121を受けてそれに係合するような形状の凹部222を含む。ここで、図4の実装と比べて、中間組立て構成から開始したとき、スナップ要素121を相補形の対向スナップ要素221とフォームフィット係合させて、第2の溝部分226の円周方向端にある径方向凹部222内へ入れるには、第2のハウジング構成要素200に対する第1のハウジング構成要素100のより短い回転または捩れ運動で十分である。
【0133】
図13の例に、異なるタイプのコーディング150’および相補形の対向コーディング250’が示されている。図12に示されているように、第1のタイプのコーディング150および対向コーディング250では、コーディング150は、第1のハウジング構成要素100上の締結要素120とは正反対に位置する。ここで、図13に示されている第2のタイプのコーディング150’では、機械的コーディング150およびそれぞれの径方向突起152は、そのような正反対の配置から円周方向にずれて位置する。ここで、図12の実装と比べて、機械的コーディング150は、締結要素に対して反時計回り方向に移動されている。それに応じて、図13の底面図に示されているように、対向締結要素220の円周方向位置に対する対向コーディング250、したがってそれぞれの溝254の円周方向位置は、円周方向位置に関して修正されている。
【0134】
図14に、それぞれの対向コーディング250”に整合する別のタイプの1対のコーディング150”が示されている。ここで、コーディング150”の位置は、第2のタイプの機械的コーディング150’と比べて異なる方向へ円周方向に移動されている。図12の機械的コーディング150と比べて、第3のタイプの機械的コーディング150”は、円周方向に反時計回り方向へ移動されている。
【0135】
それぞれの対向コーディング250’’’に対して相補形の第4のタイプのコーディング150’’’のさらなる例では、コーディング150’’’の円周方向または横断方向位置は、図14に示されている第3のタイプの機械的コーディング150”と比べて反時計回りにさらに移動されている。
【0136】
図12図15の例では、締結要素120と機械的コーディング150との間の円周方向のずれは、特定のタイプの機械的コーディングを画成する。その幾何形状に加えて、それぞれのコーディング機能151、151’、151”、および151’’’の特に断面の幾何形状および形状は変更されていないままである。
【0137】
図16図21に、機械的対向コーディング450に対して相補形の機械的コーディング350の一例が示されている。機械的コーディング350は、機械的コーディング機能351を含む。コーディング機能351は、第1のハウジング構成要素100の第1の連結端101にある挿入部110の外面105に設けられた径方向突起352を含む。ここでも、第1のハウジング構成要素100は、管状側壁102を含む。側壁102は、近位方向に向かって、近位端面112を含む。近位端面112は、平面の形状であり、環状構造を含む。示されている例では、機械的コーディング350は、第1のハウジング構成要素100の側壁102の外面105に2つ設けられている。機械的コーディング350は、特定の円周方向位置および正反対の位置に設けられる。そのような2倍のコーディング350は、相補形の機械的対向コーディング450に係合する機械的コーディング350の安定性および機械的剛性を強化するのに有益である。
【0138】
示されている例では、締結要素320は、コーディング機能351に一体化される。ここで、締結要素320は、スナップ要素321を含む。締結要素320は、側壁102の外面105から径方向外方に突出する径方向突起322を含む。径方向突起322は、長手方向に沿って位置合わせされた細長いリブを含む。示されている例では、径方向突起322は、端面112に隣接する。
【0139】
図17および図21に示されている対向コーディング機能451は、レセプタクル210の側壁202の内面に径方向凹部452を含む。対向コーディング450の対向コーディング機能451は、径方向凹部452を含む。径方向凹部452は、コーディングされた溝454を含む。コーディングされた溝454は、第1の溝部分455および第2の溝部分456を含む。第1の溝部分455は、第2のハウジング構成要素200の側壁202の遠位端面214に隣接する。
【0140】
第1の溝部分455は、長手方向に延びる。第1の溝部分455はより直線状であり、端面214から反対に位置する端面212へ延び、端面212は、側壁202の径方向内方に延びるフランジ部分によって形成され、近位方向3にレセプタクル210の範囲を定めている。第2の溝部分456は、円周方向(w)に延びる。第2の溝部分456は、第1の溝部分455に合流する。第1の溝部分455および第2の溝部分456は、L字形のコーディングされた溝454を形成する。示されている例では、第2の溝部分456は、端面212の遠位側に隣接する。
【0141】
コーディングされた溝454は、対向締結要素420の溝424に一致する。言い換えれば、対向締結要素420および対向コーディング450は、レセプタクル210の内面203で同じ幾何構造を共有する。言い換えれば、対向締結要素420は、機械的対向コーディング450に一体化される。逆も同様であり、機械的対向コーディング450は、対向締結要素420に一体化される。このようにして、対向締結要素420は、締結要素320のスナップ機能321に係合するための対向スナップ機能421を含む。対向締結要素420は、隆起部423および凹部422を含む。凹部422および隆起部423は、締結要素320のスナップ要素321に係合するための対向スナップ要素421を構成または形成する。
【0142】
示されているように、隆起部423は、第2の溝部分426の終端またはその付近に、径方向内方に延びる突起を含む。ここで、第2の溝部分426は、第2の溝部分456に一致する。第1の溝部分425は、第1の溝部分455に一致する。
【0143】
第1の連結端101を第2の連結端201に連結するために、挿入部110は、レセプタクル210内へ長手方向に沿って挿入される。レセプタクル210への挿入部110の長手方向に摺動する挿入運動を有効にするために、締結要素320、したがってコーディング機能351は、それぞれ相補形の対向締結要素420およびそれぞれの対向コーディング機能451と位置合わせされなければならない。適当に位置合わせされたとき、径方向突起322、352を第1の溝部分425、455内へ挿入することができる。このとき挿入部110は、長手方向端面112がレセプタクルの端面212に軸方向に当接するまで、第2のハウジング構成要素200に対して長手方向に動くことが可能になる。
【0144】
次いで、中間組立て構成に到達する。適当に符号化された場合、したがってコーディング350が対向コーディング450に整合した場合、コーディング機能351は、その長手方向位置ならびにその長手方向延長に関して、対向コーディング機能451に整合する。このとき中間組立て構成で、径方向突起322、352は、第2の溝部分426、456と長手方向に位置合わせされ、突起322、352の長手方向範囲は、第2の溝部分426、456の長手方向幅に整合する。
【0145】
次いで、第2の組立て工程で、第1のハウジング構成要素100、したがって挿入部110は、ハウジング構成要素100、200の長手方向中心軸を回転軸として、レセプタクル210に対して時計回りに回転させることが可能になる。結果として、径方向突起322、352は第2の溝部分426、456に入り、径方向突起322、したがってスナップ機能321が対向スナップ要素421にポジティブ係合する。
【0146】
最終的に、最終組立て構成に到達したとき、突起322、352は、第1の溝部分425、455に合流する第2の溝部分426、456の特定の端部とは反対側の第2の溝部分426、456の終端にある径方向凹部422内に位置する。
【0147】
図18図21の例では、第2の溝部分426、456の円周方向範囲は、図17の例と比べてやや短い。ここで、径方向内方に突出する隆起423および径方向凹部422によって形成される対向スナップ要素421は、円周方向に第1の溝部分425、455に隣接して位置する。ここでも、機械的コーディング350は、径方向突起352の長手方向範囲および長手方向位置が第2の溝部分426、456のサイズおよび位置に整合した場合のみ、すなわち空間的に重複した場合のみ、機械的対向コーディング450に整合する。
【0148】
図22図25に、コーディング機能351’および相補形の対向コーディング機能451’の別の例が示されている。それぞれのコーディング機能および対向コーディング機能351’および451’は、第2のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングを表す。ここで、コーディング機能351’はまた、レセプタクル210の側壁202の内面203に設けられた径方向凹部452に対して相補形の径方向突起352を含む。図16図21に示されているコーディング350および対向コーディング450とは逆に、コーディング機能351、したがって突起352は、挿入部110の長手方向端面112から長手方向にずれて位置する。それに対応して、コーディングされた溝454の形態の対向コーディング機能451’は、図16図21に示されているコーディングされた溝とは区別されるコーディングされた溝454を含む。図23図25に示されているように、対向コーディング機能451’の第2の溝部分456は、端面212から所定の距離をあけて位置する。
【0149】
対向締結要素420および対向コーディング450’の第2の溝部分426、456は、長手方向端面214から、図16図21の例に示されているそれぞれの距離より小さい距離をあけて位置する。加えて、第2の溝部分426、456の長手方向範囲もまた、図16図21に示されている第1のタイプの対向締結要素420または対向締結機能450の第2の溝部分426、456と比べて低減されている。
【0150】
それに加えて、レセプタクル210および挿入部110の全体的な幾何形状は、実質的に変更されていないままであり、第2のタイプの対向コーディング機能451’の溝454の断面は、第1のタイプの対向コーディング機能451の第1の溝部分455の断面と同一である。
【0151】
図16図21に示されている第1のタイプのコーディング350および対向コーディング450は、図21図25に示されているコーディング350’および相補形の対向コーディング450に適合しない。使用者が、図16または図18に示されているコーディング350を、整合しないまたは適合しない対向コーディング450’に係合させようとした場合、コーディング350のそれぞれのコーディング突起352は、対向コーディング450’の第2のコーディング溝456と位置合わせされうる。コーディング350の径方向突起352の長手方向範囲は、対向コーディング450’の溝部分456の長手方向幅より大きいため、第1のタイプのコーディング350は、第2のタイプの機械的対向コーディング450’の溝部分456に係合することができない。
【0152】
逆も同様であり、第2のタイプの機械的コーディング350’は、第1のタイプの機械的対向コーディング450に適合しない。図22に示されている挿入部110を、図17または図19のレセプタクル210内へ挿入することは可能であってよい。中間組立て構成に到達したとき、すなわち端面112が端面212に長手方向に当接したとき、機械的コーディング350’の径方向突起352は、機械的対向コーディング450の第2の溝部分426と位置合わせされない。機械的コーディング350’の突起352は、第1のタイプの機械的対向コーディング450の第2の溝部分456から長手方向にずれる。
【0153】
それに応じて、長手方向軸を回転軸としたレセプタクル210に対する挿入部110の回転は、実質的に阻止および妨害される。第1および第2のタイプの整合しないまたは適合しないコーディングおよび対向コーディングは、締結要素320が対向締結要素420に係合することを防止および阻止する。
【0154】
一般規則として、少なくとも第1のハウジング10および第2のハウジング10’を含むキットを確立するために、それぞれの連結端201の自由端から径方向凹部452までの長手方向距離、したがって第2の溝部分426、456の長手方向位置の増大が、径方向凹部の長手方向延長の増大、ならびにそれに対応する形状の径方向突起352の距離および長手方向延長の対応する増大を伴うことが実現される。突起352の長手方向範囲が大きければ大きいほど、それぞれの連結端101の自由端から径方向突起352までの距離も大きくなるはずである。
【0155】
異なるコーディング350、350’、350”およびそれに対応する形状の対向コーディング450、450’、450”の多数の例が、一連の図26図28に示されている。
【0156】
コーディング350、350’、350”の数の比較から明らかになるように、コーディング突起352、352’、352”の長手方向位置は、それぞれの径方向突起352、352’、352”の長手方向範囲とともに変化する。第1のタイプのコーディング350の第2のタイプのコーディング350’との比較によって見ることができるように、突起352’の長手方向範囲は、突起352の長手方向範囲より大きい。
【0157】
また、第2のタイプのコーディング350’を有する径方向突起352’と長手方向端面112との間の長手方向位置、したがって長手方向距離は、第1のタイプのコーディング350を有する突起352と端面112との間の長手方向距離より短い。同様に、コーディング350’およびそれぞれのコーディング機能351’をコーディング350”およびそれぞれのコーディング機能351”とそれぞれ比較したとき、径方向突起352”の長手方向範囲は、突起352’の長手方向範囲より大きい。さらに、径方向突起352”の長手方向位置は、径方向突起352’の長手方向位置と比べて長手方向端面112の方へ移動される。
【0158】
相補形の対向コーディング450、450’、450”およびそれぞれの対向コーディング機能451、451’、451”は、それぞれの修正を受ける。
【0159】
すべての例で、対向コーディング機能451、451’、451”は、レセプタクル210の内面203にコーディングされた溝454を含む。コーディングされた溝454は、長手方向に延びる第1の溝部分455と、第1の溝部分455に合流する円周方向に延びる第2の溝部分456とを含む。対向コーディング機能451、451’、451”の第1の溝部分455の第1のセクションは、変更されていないままであり、すべての対向コーディング機能451、451’、451”に等しい。
【0160】
コーディング機能451’は、第1の溝部分455の長手方向範囲がより大きいことから、コーディング機能451とは区別される。さらに、第3のタイプの対向コーディング機能451”の第1の溝部分455の長手方向範囲は、第2のタイプの対向コーディング機能451’の第1の溝部分455の長手方向範囲より大きい。
【0161】
第2の溝部分456の長手方向幅、したがって長手方向範囲は、対向コーディング機能451、451’、451”とともに変わる。対向コーディング機能451”の第2の溝部分456の長手方向幅は、対向コーディング機能451’の第2の溝部分456の長手方向幅より大きい。対向コーディング機能451’の第2の溝部分456の長手方向幅は、対向コーディング機能451の第2の溝部分456の長手方向幅より大きい。このようにして、コーディング350が対向コーディング450にのみ排他的に整合することを実現することができ、それを確実にすることができる。コーディング350は、さらなる対向コーディング450’、450”または対向コーディング機能451’、451”のいずれとも係合または協働することはできない。
【0162】
同様に、第2のタイプのコーディング350’は、第1のタイプの機械的対向コーディング450または第2のタイプの機械的対向コーディング450”のいずれにも適合しない。同じことが、第2のタイプのコーディング機能351”にも有効である。コーディング350”およびそれぞれのコーディング機能351”は、第1のタイプの対向コーディング450または対向コーディング機能451のいずれにも適合せず、さらに第2のタイプの対向コーディング450’または対向コーディング機能451’のいずれにも適合しない。
【0163】
図26図28にさらに示されているように、レセプタクル210の側壁202は、コーディングされた溝454と径方向に交差する貫通凹部458を含む。挿入部110には、貫通凹部458と形状およびサイズが整合する視覚的なインジケータ358が設けられる。インジケータ358は、正しい最終組立て構成に到達したときにインジケータ358が貫通凹部458に重複するように、挿入部110の外面105に位置する。それに応じて、正確に組み立てられたとき、視覚的なインジケータ358は、ハウジング10の外側から貫通凹部458を通して見える。典型的には、視覚的なインジケータ358は、少なくともその色、明るさ、および/または質感によって、挿入部110の外面105の外観とは区別される。
【0164】
図29図32のさらなる例では、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200は、それぞれの第1および第2の連結端101、201によって相互連結可能である。ここで、第1のハウジング構成要素100には、側壁102の外面にインジケータ108が設けられる。第2のハウジング構成要素200には、相補形のインジケータ208が設けられる。インジケータ108、208は、薬物送達デバイス1の使用者のための視覚案内および制御機能を提供する。このようにして、最終組立て構成に到達したとき、インジケータ108、208は長手方向に位置合わせされ、それによって第1および第2のハウジング構成要素100、200が正確に組み立てられたという視覚フィードバックを使用者に提供する。
【0165】
原則的に、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200の締結機構は、たとえば図3図28のうちのいずれか1つに関連して上述した締結機構に非常に類似している。挿入部110には、コーディング機能551を含む機械的コーディング550が設けられ、コーディング機能551は、挿入部110の側壁102から径方向外方に突出する径方向突起552を有する。スナップ要素521として実装された締結要素520がさらに設けられ、締結要素520は、挿入部110の外面105に、径方向外方に延びる突出物522を有する。第1および第2の視覚的なインジケータ558、559がさらに設けられ、第1および第2の視覚的なインジケータ558、559は、それぞれ締結要素520から円周方向にずれて設けられる。
【0166】
示されているように、締結要素520は、径方向外方に延びるフランジセクション115に長手方向に隣接して位置する。したがって、締結要素520ならびに視覚的なインジケータ558、559は、挿入部110の遠位端に設けられる。
【0167】
挿入部110の外面105に径方向突起130がさらに設けられる。突起130は、締結要素520と長手方向に位置合わせされる。突起130は、締結要素520から長手方向にずれて位置する。突起130は、機械的コーディング550と同じ長手方向位置に配置することができるが、機械的コーディング550から円周方向にずれて位置する。
【0168】
第2のハウジング構成要素200のレセプタクル210は、図32に別個に示されている。レセプタクル210は、溝624および溝654を有する内面203を含む。溝624、654はどちらも、第1の長手方向に延びる溝部分625、655および第2の溝部分626、656を含む。溝654は、コーディング溝またはコーディングされた溝であり、コーディング機能551とともに動作するように、またはコーディング機能551に係合するように構成される。溝654は、機械的対向コーディング650の対向コーディング機能651の径方向凹部652の一部であり、レセプタクル210の内面203に設けられる。
【0169】
溝624は、突起130および締結要素520に係合するように構成される。第2の溝部分656および第2の溝部分626の円周方向範囲は、同一でない場合でもある程度同等である。これにより、上述した2つの工程を含む組立てプロセスを実施することが可能になる。第1の工程で、挿入部110は、第2のハウジング構成要素200に対して回転することなく、レセプタクル210内へ長手方向に挿入される。ここで、突起552は、第1の溝部分655に沿って摺動し、突起130ならびに突起522は、第1の溝部分625に沿って摺動する。この長手方向の挿入運動は、フランジセクション115がレセプタクル210の遠位端面214に当接したとき、または突起130、552のうちのいずれか一方が第1の溝部分625、655の長手方向端に軸方向に当接したとき、阻止することができる。
【0170】
その後、挿入部110は、第1のハウジング構成要素100または第2のハウジング構成要素200の対称軸に対して平行に延びる回転軸に対して回転を受けることができる。中間組立て構成にあるとき、視覚的なインジケータ558が、レセプタクル210の側壁202を通って延びる貫通凹部658と空間的に重複することができ、それによって事前組立て構成に到達したことを示す。
【0171】
中間組立て構成から第1のハウジング構成要素100を第2のハウジング構成要素200に対して捩ることによって、コーディング機能551の突起552は、第2の溝部分656に沿って摺動する。同じことが突起130にも当てはまる。突起130は、第2の溝部分626の円周方向範囲に沿って摺動する。スナップ要素521は、第2の溝部分626から長手方向にずれて位置する。中間組立て構成に到達したとき、スナップ要素521およびその径方向外方に延びる突出物522は依然として、第1の溝部分625のより狭い部分に位置する。ここで、第1の溝部分625の側縁部は、斜めの側縁部を示す隆起部623を含む。隆起623から円周方向にずれて、締結要素520の突出物522にポジティブ係合するようなサイズおよび構成の径方向凹部622が設けられる。
【0172】
図3図28に関連して上述した多数の例とは異なり、図32の対向締結要素620は、溝624の内側に位置するのではなく、円周方向に溝624に隣接して位置する。対向締結要素620は、対向スナップ要素621を含み、スナップ要素521に係合するように構成される。対向締結要素620は、第1の溝部分625から円周方向に、かつ第2の溝部分626から長手方向にずれて位置する。
【0173】
この実装は、締結要素520および相補形の対向締結要素620をフランジセクション115のすぐ近傍へ長手方向に移動させることができるという利益を提供する。それに応じて、対向締結要素620をレセプタクル210の遠位端面214の近くに配置することができ、それによって第1および第2のハウジング構成要素100、200の解放可能または取外し可能な係合を容易にすることができる。
【0174】
最終組立て構成に到達したとき、さらなる視覚的なインジケータ559が、貫通凹部658と位置合わせされ、それに重複し、それによって最終組立て構成に到達したことを示す。第2の視覚的なインジケータ559は、ハウジング10の外側から貫通凹部658を通して見えるため、それぞれの視覚フィードバックを使用者に提供することができる。典型的には、視覚的なインジケータ558および視覚的なインジケータ559は、色、明るさ、および/または質感のうちの少なくとも1つによって相互に区別される。視覚的なインジケータ558および視覚的なインジケータ559は、視覚的に区別可能である。
【0175】
図32に示されているレセプタクル210は、第2のハウジング構成要素200の管状側壁202に一体化することができる。別法として、レセプタクル210は、ハウジング構成要素200に固定して取り付け可能でありまたは固定して取り付けられたハウジング挿入部206によって提供することができる。ハウジング挿入部206は、細長いハウジング構成要素200に回転不能および/または長手方向に固定することができる。その限りにおいて、レセプタクルに関連して上述したすべての構成および利益は、それぞれのハウジング構成要素に対して固定して連結可能でありまたは固定して連結されたハウジング挿入部にも等しく当てはまる。
【0176】
本明細書に示されている例では、挿入部110は、第1のハウジング構成要素100に設けられ、レセプタクル210は、第2のハウジング構成要素200内に設けられている。本出願の開示の範囲内で、多数のさらなる例が考えられ、挿入部が第2のハウジング構成要素に設けられ、それに対応する形状のレセプタクルが第1のハウジング構成要素に設けられる。同様に、機械的コーディング、機械的対向コーディングに関連して記載されている、または突起および溝に関連して、もしくは締結要素および対向締結要素に関連して記載されている、径方向に突出する機能および径方向に凹状の機能の特有の実装は、本明細書に示されている例と比べて反転させた形で交換、提供、および実装することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 注射デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 用量増分方向
5 用量減分方向
6 カートリッジ
7 栓
8 駆動機構
9 用量設定機構
10 ハウジング
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投与量窓
14 カートリッジホルダ
15 注射針
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 保護キャップ
20 ピストンロッド
21 支承部
22 第1のねじ山
23 押さえ
24 第2のねじ山
25 バレル
26 封止部
28 ねじ付ソケット
30 駆動スリーブ
31 ねじ付セクション
32 フランジ
33 フランジ
35 最終用量リミッタ
40 ばね
60 クラッチ
62 挿入部
64 心棒
80 数字スリーブ
81 溝
90 ラチェット機構
91 ラチェット機能
100 ハウジング構成要素
101 連結端
102 側壁
105 外面
108 インジケータ
110 挿入部
112 端面
114 当接面
115 フランジセクション
120 締結要素
121 スナップ要素
122 突出物
130 突起
150 機械的コーディング
151 コーディング機能
152 径方向突起
158 インジケータ
200 ハウジング構成要素
201 連結端
202 側壁
203 内面
205 外面
206 ハウジング挿入部
210 レセプタクル
211 挿入部開口部
212 端面
214 端面
220 対向締結要素
221 対向スナップ要素
222 凹部
224 溝
225 溝部分
226 溝部分
250 機械的対向コーディング
251 対向コーディング機能
252 径方向凹部
254 溝
255 溝部分
256 溝部分
258 貫通凹部
320 締結要素
321 スナップ要素
322 突出物
350 機械的コーディング
351 コーディング機能
352 径方向突起
358 インジケータ
420 対向締結要素
421 対向スナップ要素
422 凹部
423 隆起
424 溝
425 溝部分
426 溝部分
450 機械的対向コーディング
451 対向コーディング機能
452 径方向凹部
454 溝
455 溝部分
456 溝部分
458 貫通凹部
520 締結要素
521 スナップ要素
522 突出物
550 機械的コーディング
551 コーディング機能
552 径方向突起
558 インジケータ
559 インジケータ
620 対向締結要素
621 対向スナップ要素
622 凹部
623 隆起
624 溝
625 溝部分
626 溝部分
650 機械的対向コーディング
651 対向コーディング機能
652 径方向凹部
654 溝
655 溝部分
656 溝部分
658 貫通凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【国際調査報告】