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特表2024-517818注射デバイスのためのハウジング構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】注射デバイスのためのハウジング構成要素
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240416BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61M5/315 550A
A61M5/20 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567936
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022061646
(87)【国際公開番号】W WO2022233755
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21315076.6
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ベアーテ・フランケ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フレッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066EE14
4C066HH02
4C066HH12
4C066LL22
4C066LL26
(57)【要約】
本開示は、薬物送達デバイス(1)のハウジング(10)に関し、ハウジング(10)は:薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成され、第1の連結端(101)を含む第1のハウジング構成要素(100)と、薬物送達デバイス(1)の駆動機構(8)を収容するように構成され、第2の連結端(201)を含む第2のハウジング構成要素(200)と、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)であって、挿入部(110)は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)を相互に締結するために、長手方向(z)に沿ってレセプタクル(210)内へ挿入可能である、レセプタクル(210)と、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)を相互に連結するためのねじ連結部(140)であって、挿入部(110)に設けられた螺旋形のねじ山(120)、および螺旋形のねじ山(120)に対して相補形であり、レセプタクル(210)内に設けられた螺旋形の対向ねじ山(220)を含むねじ連結部(140)と、最終組立て構成にあるときに第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)の螺着および/または螺着解除を妨害するように構成された回転ロック(160)であって、第1のハウジング構成要素(100)上のロッキング構造(130)、およびロッキング構造(130)に対して相補形であり、第2のハウジング構成要素(200)に設けられた対向ロッキング構造(230)を含む回転ロック(160)とを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)のハウジング(10)であって:
薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成され、第1の連結端(101)を含む第1のハウジング構成要素(100)と、
薬物送達デバイス(1)の駆動機構(8)を収容するように構成され、第2の連結端(201)を含む第2のハウジング構成要素(200)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)であって、挿入部(110)は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)を相互に締結するために、長手方向(z)に沿ってレセプタクル(210)内へ挿入可能である、レセプタクル(210)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)を相互に連結するためのねじ連結部(140)であって、挿入部(110)に設けられた螺旋形のねじ山(120)、および該螺旋形のねじ山(120)に対して相補形であり、レセプタクル(210)内に設けられた螺旋形の対向ねじ山(220)を含むねじ連結部(140)と、
最終組立て構成にあるときに第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)の螺着および/または螺着解除を妨害するように構成された回転ロック(160)であって、第1のハウジング構成要素(100)上のロッキング構造(130)、および該ロッキング構造(130)に対して相補形であり、第2のハウジング構成要素(200)に設けられた対向ロッキング構造(230)を含む回転ロック(160)とを含む、前記ハウジング。
【請求項2】
ロッキング構造(130)および対向ロッキング構造(230)は、最終組立て構成に到達したとき、または最終組立て構成に到達している間に、第2のハウジング構成要素(200)に対する第1のハウジング構成要素(100)の捩れ螺旋運動によって相互に係合可能である、請求項1に記載のハウジング(10)。
【請求項3】
ロッキング構造(130)は、歯状プロファイル(131)を含み、該歯状プロファイル(131)は、対向ロッキング構造(230)の対向歯状プロファイル(231)に対して相補形であり、歯状プロファイル(131)および対向歯状プロファイル(231)のうちの一方は、長手方向(z)に延びる少なくとも1つのロッキング歯(132)を含み、歯状プロファイル(131)および対向歯状プロファイル(231)のうちの他方は、ロッキング歯(132)に対して相補形の少なくとも1つのロッキング凹部(232)を含む、請求項1または2に記載のハウジング(10)。
【請求項4】
少なくとも1つのロッキング歯(132)は、第1のハウジング構成要素(100)または第2のハウジング構成要素(200)の円周方向(w)に関して非対称のプロファイルを含む、請求項3に記載のハウジング(10)。
【請求項5】
少なくとも1つのロッキング歯(132)は、第1の円周方向(w1)を向いている第1の歯面(133)と、第1の円周方向(w1)とは反対の第2の円周方向(w2)を向いている第2の歯面(134)とを含み、第1の歯面(133)は、円周方向長さおよびフランク角のうちの少なくとも一方によって、第2の歯面(134)から区別される、請求項3または4に記載のハウジング(10)。
【請求項6】
第1の歯面(133)の円周方向長さは、第2の歯面(134)の円周方向長さより大きく、第1の歯面(133)のフランク角は、第2の歯面(134)のフランク角より小さい、請求項5に記載のハウジング(10)。
【請求項7】
歯状プロファイル(131)は、複数のロッキング歯(132)およびロッキング凹部(136)を第1のハウジング構成要素(100)の円周に沿って交互配置で含む、請求項3~6のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項8】
第1のハウジング構成要素(100)は、歯状プロファイル(131)が設けられた近位向きの停止面(114)を含み、第2のハウジング構成要素(200)は、対向歯状プロファイル(231)が設けられた遠位向きの対向停止面(214)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項9】
近位向きの停止面(114)および遠位向きの対向停止面(214)のうちの一方は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)のうちの一方の長手方向端面であり、近位向きの停止面(114)および遠位向きの対向停止面(214)のうちの他方は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)のうちの他方の側壁(102、202)から径方向に突出する段状部分に設けられる、請求項8に記載のハウジング(10)。
【請求項10】
近位向きの停止面(114)および遠位向きの対向停止面(214)のうちの少なくとも一方は、挿入部(110)またはレセプタクル(210)の側壁(102、202)から径方向に突出する環状のリム(116、216)に位置する、請求項8または9に記載のハウジング。
【請求項11】
挿入部(110)に設けられた機械的コーディング(150)と、レセプタクル(210)内に設けられた機械的対向コーディング(250)とをさらに含み、機械的コーディング(150)が機械的対向コーディング(250)に整合しないとき、機械的コーディング(150)および機械的対向コーディング(250)は、最終組立て構成において第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)の相互組立てを防止するように動作可能である、請求項1~10のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項12】
機械的コーディング(150)は、螺旋形のねじ山(120)に一体化されたコーディング機能(151)を含み、機械的対向コーディング(250)は、螺旋形の対向ねじ山(220)に一体化された対向コーディング機能(251)を含む、請求項11に記載のハウジング(10)。
【請求項13】
コーディング機能(151)は、螺旋形のねじ山(120)のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって画成され、対向コーディング機能(251)は、螺旋形の対向ねじ山(220)のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって画成される、請求項12に記載のハウジング。
【請求項14】
薬剤の用量を注射するための注射デバイスであって:
請求項1~13のいずれか1項に記載のハウジング(10)と、
ハウジング(10)の内側に配置されたカートリッジ(6)であって、薬剤が充填されたバレル(25)を含み、該バレルは、可動の栓(7)によって長手近位方向(3)に封止されている、カートリッジ(6)と、
ハウジング(10)の内側に配置された駆動機構(8)であって、カートリッジ(6)の栓(7)に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッド(20)を含む駆動機構(8)とを含む、前記注射デバイス。
【請求項15】
少なくとも請求項11または12に記載の第1のハウジング(10)および請求項11または12に記載の第2のハウジング(10’)のキットであって、第1のハウジング(10)のコーディング機能(151)は、螺旋形のねじ山(120、120’)のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジング(10’)のコーディング機能(151’)から区別される、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスおよびシステムの分野に関し、詳細には、液体薬剤を注射するための注射デバイスに関する。より詳細には、本開示は、概して複数の構成要素を含むハウジングを含む薬物送達デバイスおよびシステムを対象とし、1つのハウジング構成要素が、カートリッジなどの薬剤容器を収容するように構成され、別のハウジング構成要素が、薬剤容器に動作可能に係合して薬剤の用量を排出するまたは引き抜くための駆動機構を収容するように構成される。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体当技術分野ではよく知られている。概して、そのようなデバイスは、通常のシリンジの目的と実質的に類似した目的を有する。
【0003】
ペン型注射器などの薬物送達デバイスは、使用者特有の複数の要件を満たさなければならない。たとえば、患者が糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、患者は身体的に虚弱である可能性があり、視覚障害を患っている可能性もある。したがって、特に家庭用医薬品向けの好適な薬物送達デバイスは、構造上頑強である必要があり、容易に使用できるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取扱いは、分かりやすく容易に理解できるべきである。そのような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定および次の投薬を提供するべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬の手順は、容易に操作できて明快でなければならない。
【0004】
特定の疾患を患っている患者は、特定の量の薬剤がペン型注射シリンジを介して注射されること、またはポンプを介して注入されることを必要とすることがある。再利用可能な注射または送達デバイスに関して、患者はカートリッジを装填または交換しなければならないことがある。再利用可能な注射デバイスは、典型的には、複数の構成要素を含むハウジングを含む。たとえば、ハウジングは、本体などの近位ハウジング構成要素と、本体に取外し可能に連結可能なカートリッジホルダなどの遠位ハウジング構成要素とを含むことがある。カートリッジなどの薬剤容器内に提供された薬剤が空になった後、カートリッジホルダは注射デバイスの本体から切り離され、空のカートリッジが取り外されて、新しいカートリッジと交換されうる。
【0005】
別の問題は、カートリッジが本質的に標準的なサイズで製造され、特定の認められた地域的および国際的な規格に準拠するように製造されることに起因しうる。その結果、そのようなカートリッジは、典型的には標準的なサイズのカートリッジ(たとえば、3mlのカートリッジ)で供給される。したがって、様々なカートリッジが複数の異なる供給業者によって供給され、異なる薬剤を収容するが、単一の薬物送達デバイスに適合することがある。一例であるが、第1の供給業者からの第1の薬剤を収容する第1のカートリッジが、第2の供給業者によって提供される薬物送達デバイスに適合することがある。したがって、使用者は、薬物送達デバイスに間違った薬剤を装填することが可能になり、このとき、その医療用送達デバイスがおそらくそのようなカートリッジ向けに設計されていない、またはそのようなカートリッジとともに使用されることが意図されていないことに気付くことなく、前記薬剤(速効型インスリンまたは基礎インスリンなど)を投薬するおそれがある。
【0006】
したがって、使用者、医療提供者、介護者、規制当局、および医療用デバイス供給業者から、使用者が間違った薬物タイプを薬物送達デバイスに装填するという潜在的なリスクを低減させたいという要求が高まっている。間違った薬剤(または誤った濃度の薬剤)をそのような薬物送達デバイスから投薬するリスクを低減させることも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、望ましくないカートリッジの相互使用を防止するために、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダを、その薬物タイプに対して物理的に専用のものにし、または機械的にコーディングし、カートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダ上にもしくはカートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダとともに設けられた専用のもしくはコーディングされた機能のみを受け入れる、またはそのような機能のみと動作する注射デバイスを設計することが、一般に必要とされている。同様に、医療用送達デバイスが特有の薬剤を収容する認可されたカートリッジのみとともに使用されることを可能にしながら、望ましくないカートリッジの相互使用を防止する専用のカートリッジも、一般に必要とされている。
【0008】
薬物送達デバイスが複数の構成要素を含むハウジングを含み、たとえば第1および第2のハウジング構成要素を有するとき、ハウジング構成要素間にフェイルセーフで明確な機械的連結を提供することも望ましく、これらのハウジング構成要素は、取外し可能または取外し不能に連結可能とすることができる。ここで、本開示は、薬物送達デバイスの第1および第2のハウジング構成要素を連結および切断することに対する改善を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本開示は、薬物送達デバイスのハウジング、特に手持ち式の注射ペンなどの注射デバイスのハウジングに関する。ハウジングは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された第1のハウジング構成要素を含む。第1のハウジング構成要素は、第1の連結端を含む。ハウジングは、第2のハウジング構成要素をさらに含む。第2のハウジング構成要素は、薬物送達デバイスの駆動機構を収容するように構成される。典型的には、駆動機構は、長手方向に延びるピストンロッドを含み、ピストンロッドは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合して、カートリッジから薬剤の用量を排出するように構成される。
【0010】
第2のハウジング構成要素は、第2の連結端を含む。典型的には、第1の連結端は、第2の連結端に連結可能であり、薬物送達デバイスのハウジングを形成または構成する。いくつかの例では、第1のハウジング構成要素は、細長いまたは管状のハウジング構成要素であり、長手方向近位端に第1の連結端を含む。第2のハウジング構成要素もまた、管状または細長い形状とすることができる。第2の連結端は、第2のハウジング構成要素の長手方向遠位端に位置することができる。
【0011】
第1の連結端および第2の連結端のうちの一方に、挿入部がさらに設けられる。挿入部は、典型的には、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素と一体形成される。第1の連結端および第2の連結端のうちの他方に、レセプタクルがさらに設けられる。挿入部は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を相互に締結するために、ならびに/または薬物送達デバイスのハウジングを形成もしくは確立するために、長手方向に沿ってレセプタクル内へ挿入可能である。典型的には、レセプタクルは、第1および第2の連結端のうちの一方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。挿入部は、第1および第2の連結端のうちの他方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。
【0012】
レセプタクルは、挿入部を受け入れるようなサイズおよび形状の内側断面を含む。典型的には、レセプタクルの内径または内側断面は、挿入部の外径または外側断面に密接に整合する。
【0013】
ハウジングは、挿入部に設けられた締結要素と、締結要素に対して相補形であり、レセプタクル内に設けられた対向締結要素とをさらに含むことができる。典型的には、最終組立て構成に到達したとき、締結要素は対向締結要素に係合し、それによって第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に締結および固定し、逆も同様である。
【0014】
ハウジングは、第1の連結端および第2の連結端を相互に連結および/または相互に固定するためのねじ連結部をさらに含む。ねじ連結部は、挿入部に設けられた螺旋形のねじ山を含む。ねじ連結部は、螺旋形のねじ山に対して相補形であり、レセプタクル内に設けられた螺旋形の対向ねじ山をさらに含む。螺旋形のねじ山は、典型的には、挿入部の外面に設けられる。螺旋形の対向ねじ山は、典型的には、レセプタクルの側壁の内面に設けられる。典型的には、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの一方は、径方向に突出するリブを含み、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの他方は、径方向に突出するリブに対して相補形である径方向に凹状の溝を含む。
【0015】
いくつかの例では、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの少なくとも一方は、少なくとも360°の角度方向幅を含む。したがって、ねじ連結部は、少なくとも1つまたはそれ以上の回転を含む。
【0016】
挿入部の締結要素は、螺旋形のねじ山によって提供することができ、レセプタクルの対向締結要素は、螺旋形の対向ねじ山によって提供することができる。
【0017】
ハウジングは、最終組立て構成にあるときに第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の螺着および/または螺着解除を妨害するように構成されまたは動作可能である回転ロックをさらに含む。回転ロックは、第1のハウジング構成要素上のロッキング構造と、ロッキング構造に対して相補形であり、第2のハウジング構成要素上に設けられた対向ロッキング構造とを含む。
【0018】
回転ロックは、最終組立て構成に到達するとき、または最終組立て構成に到達した後、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素のさらなる螺着を妨害または防止するように構成することができる。回転ロックはまた、最終組立て構成に到達するとき、または最終組立て構成に到達したとき、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の螺着解除を妨害するように構成することができる。最終組立て構成において、第1のハウジング構成要素は第2のハウジング構成要素に固定され、逆も同様である。最終組立て構成において、挿入部は、レセプタクル内に受け入れられて収容される。典型的には、挿入部は、レセプタクルの内側に完全に受け入れられる。
【0019】
第1および第2のハウジング構成要素の相互組立て中、またはそのような相互組立てのために、第1および第2のハウジング構成要素のうちの一方の挿入部は、第1および第2のハウジング構成要素のうちの他方のレセプタクル内へ、たとえば長手方向に摺動する運動によって、長手方向に挿入される。レセプタクル内への挿入部の挿入中または挿入後、挿入部に設けられた螺旋形のねじ山は、螺旋形の対向ねじ山に係合する。その後、第1および第2のハウジング構成要素の相互の組立てまたは締結は、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の螺旋形の螺着運動によって決定される。螺着タイプの締結は、ねじ山および相補形の対向ねじ山の幾何形状、形状、およびピッチによって画成される。
【0020】
回転ロックが起動されるまで、第1および第2のハウジング構成要素を螺着することによって、最終的に最終組立て構成に到達する。回転ロックの起動は、第1のハウジング構成要素のロッキング構造の第2のハウジング構成要素の相補形の対向ロッキング構造との機械的係合を含む。
【0021】
相互に係合されたとき、回転ロックのロッキング構造および対向ロッキング構造は、第1のハウジング構成要素から第2のハウジング構成要素へおよびその逆にトルクを伝達するような構成および形状である。したがって、ロッキング構造が対向ロッキング構造に係合したとき、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の回転は、実質的に阻止および/または妨害される。
【0022】
回転ロックは、特に、最終組立て構成に到達したときまたはその後、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素のさらなる螺着を防止するように構成される。このようにして、第1および第2のハウジング構成要素間のねじ連結部の締め過ぎを実質的に防止することができる。これは、第1および第2のハウジング構成要素間の螺着タイプの相互連結を確立したときに、第1および/または第2のハウジング構成要素の意図しない損傷を防止するために有益である。
【0023】
追加または別法として、回転ロックはまた、ハウジング構成要素が最終組立て構成になった後、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の螺着解除を防止または妨害することができる。このようにして、第1および第2のハウジング構成要素の意図しない螺着解除を実質的に防止することができる。
【0024】
第1のハウジング構成要素のロッキング構造および第2のハウジング構成要素の対向ロッキング構造は、可聴的および/または触覚的に係合することができる。このようにして、可聴および/または触覚フィードバックが生成され、したがって明確な最終組立て構成に到達したことを使用者に示す。ロッキング構造および対向ロッキング構造の触知可能または可聴の係合によって、使用者は、第1および第2のハウジング構成要素の螺着を停止してそれらを互いに対して連結および/または固定するように促される。したがって、触知可能または可聴の係合は、最終組立て構成に到達しており、第1および第2のハウジング構成要素のさらなる螺着がこれ以上必要とされないという明確なフィードバックを使用者に提供する。
【0025】
さらなる例によれば、回転ロックのロッキング構造および対向ロッキング構造は、第1および第2のハウジング構成要素の最終組立て構成に到達したとき、または最終組立て構成に到達している間に、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の捩れ螺旋運動によって、相互に係合可能である。ロッキング構造は、特に、捩れ螺旋運動による対向ロッキング構造との係合を可能にし、それを支持するような形状および構成である。典型的には、捩れ螺旋運動は、それぞれ第1および第2のハウジング構成要素の第1の連結端および第2の連結端のねじ連結部によって画成される。このようにして、ロッキング構造の対向ロッキング構造との相互係合は、第1の連結端および第2の連結端の螺着タイプの締結の最後に実現または確立され、これは挿入部の螺旋形のねじ山およびレセプタクルの相補形または対応する形状の螺旋形の対向ねじ山によって画成される。
【0026】
ロッキング構造の対向ロッキング構造との相互係合は、螺旋形のねじ山および相補形の螺旋形の対向ねじ山によって画成される挿入部およびレセプタクルの相互の螺旋形の案内によって簡単に得られる。したがって、捩れまたは回転螺旋運動によってロッキング構造が対向ロッキング構造に係合する能力は、回転ロックをハウジングのねじ連結部と組み合わせるのに有益である。
【0027】
さらなる例によれば、第1のハウジング構成要素に設けられたロッキング構造および第2のハウジング構成要素に設けられた対向ロッキング構造は、スナップフィット係合によって機械的に係合するように構成することができる。言い換えれば、ロッキング構造および対向ロッキング構造の相互係合は、スナップフィット係合を含むことができ、またはスナップフィット係合を提供することができる。
【0028】
第1および第2のハウジング構成要素の相互係合中、またはそのような相互係合のために、ロッキング構造および対向ロッキング構造のうちの少なくとも一方は、弾性変形を受けることができる。最終組立て構成に到達したとき、ロッキング構造および/または対向ロッキング構造の弾性変形した部分は、初期状態に弛緩することを可能にすることができ、したがってロッキング構造および対向ロッキング構造は、第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間のフォームフィット係合を確立し、またはそれに寄与する。ロッキング構造が対向ロッキング構造に係合されることによって確立または提供されるフォームフィットは、第1のハウジング構成要素から第2のハウジング構成要素へおよびその逆にトルクを伝達するように構成することができ、したがってそのように動作可能とすることができる。したがって、ロッキング構造と対向ロッキング構造との間の相互係合は、トルク伝送タイプとすることができる。
【0029】
さらなる例によれば、ロッキング構造は、歯状プロファイルを含み、歯状プロファイルは、対向ロッキング構造の対向歯状プロファイルに対して相補形である。歯状プロファイルおよび対向歯状プロファイルのうちの一方は、長手方向に延びる少なくとも1つのロッキング歯を含む。歯状プロファイルおよび対向歯状プロファイルのうちの他方は、ロッキング歯に対して相補形の少なくとも1つのロッキング凹部を含む。長手方向または軸方向に延びるロッキング歯および相補形の長手方向または軸方向に延びるロッキング凹部は、少なくとも第1および第2のハウジング構成要素が最終組立て構成に到達したとき、歯状プロファイルと対向歯状プロファイルとの間のトルク伝送係合、したがってロッキング構造および対向ロッキング構造のトルク伝送係合を提供する。
【0030】
典型的には、少なくとも1つのロッキング歯の長手方向範囲ならびにサイズおよび形状は、相補形のロッキング凹部のそれぞれの長手方向または軸方向範囲、サイズ、および形状またはプロファイルに整合する。最終組立て構成に到達したとき、ロッキング歯の全体が、典型的には、ロッキング凹部内に受け入れられる。このようにして、ロッキング歯の側面が、ロッキング凹部の相補形の側面に係合または当接することができ、それによってロッキング構造と対向ロッキング構造との間のトルク伝送機械的係合を提供することができる。
【0031】
さらなる例によれば、少なくとも1つのロッキング歯は、第1のハウジング構成要素または第2のハウジング構成要素の円周方向に関して非対称のプロファイルを含む。円周方向または接線方向の非対称のプロファイルは、ロッキング構造と対向ロッキング構造との間の相互係合を確立および解放して第1および第2のハウジング構成要素を連結および/または切断するために、異なる力またはトルクを実装するような構成および/または形状である。
【0032】
少なくとも1つのロッキング歯の非対称のプロファイルは、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立て中、特に最終組立て構成への到達中、および最終組立て構成に到達するために、克服されなければならないインターロック力を必要とし、それを画成することができる。少なくとも1つのロッキング歯の非対称のプロファイルは、最終組立て構成を解消または解放するために、たとえば第1および第2のハウジング構成要素を互いから切断するために、克服または圧倒されなければならない解放力をさらに画成することができる。言い換えれば、少なくとも1つのロッキング歯の非対称のプロファイルは、ロッキング構造および対向ロッキング構造を係合して最終組立て構成に到達するために、使用者によって提供されなければならないインターロック力を画成する。少なくとも1つのロッキング歯は、第1および第2のハウジング構成要素が最終組立て構成にあるとき、したがってロッキング構造および対向ロッキング構造が相互に係合されているとき、ロッキング構造を対向ロッキング構造から係合解除するために必要とされる解放力をさらに画成する。
【0033】
いくつかの典型的な例では、少なくとも1つのロッキング歯およびその非対称のプロファイルは、インターロック力が解放力より小さくなるように設計および構成される。その限りにおいて、ロッキング構造と対向ロッキング構造との間の相互係合を確立するために必要とされる力またはトルクは、ロッキング構造および対向ロッキング構造を切断または係合解除するために必要とされる力またはトルクより小さい。このようにして、回転ロックの非対称の構造は、最終組立て構成にあるときに第1および第2のハウジング構成要素の意図しない切断を防止するのに役立つ。
【0034】
いくつかの他の例では、非対称のプロファイルは、インターロック力より小さい解放力を提供することができる。
【0035】
さらなる例によれば、少なくとも1つのロッキング凹部は、第1のハウジング構成要素または第2のハウジング構成要素の円周方向に関して非対称のプロファイルを含む。典型的には、少なくとも1つのロッキング凹部の非対称のプロファイルは、少なくとも1つのロッキング歯の非対称のプロファイルに対して相補形である。このようにして、ロッキング歯の側縁または側面の両方が、ロッキング凹部の相補形または対応する形状の側縁または側面に係合することができる。
【0036】
さらなる例によれば、少なくとも1つのロッキング歯は、第1の円周方向を向いている第1の歯面を含む。少なくとも1つのロッキング歯は、第1の円周方向とは反対の第2の円周方向を向いている第2の歯面をさらに含む。さらなる例によれば、第1の歯面は、円周方向長さおよびフランク角のうちの少なくとも一方によって、第2の歯面から区別される。いくつかの例では、第1の歯面は、フランク角および円周方向長さの両方によって、第2の歯面から区別される。他の例では、第1の歯面のフランク角または円周方向長さのいずれかのみが、第2の歯面のそれぞれのフランク角または円周方向長さから区別される。
【0037】
第1の歯面および第2の歯面は、少なくとも1つのロッキング歯が円周方向に関して非対称のプロファイルを含むとき、互いから区別される。第1の歯面および第2の歯面が互いから区別されるとき、特に第1の歯面のフランク角のサイズが、第2の歯面のフランク角のサイズから区別される。このようにして、それぞれの側面は、長手方向軸または円周方向に対する方向によって区別されるだけでなく、角度のサイズによっても区別される。言い換えれば、第1の歯面の険しさが、第2の歯面険しさから区別される。
【0038】
第1および第2の歯面の異なるサイズのフランク角および/または異なる円周方向範囲によって、少なくとも1つのロッキング歯の明確な非対称のプロファイルを提供することができ、それによって第1および第2のハウジング構成要素のねじ連結部の最終組立て構成を確立および解放するために、異なるサイズのインターロック力および解放力を実装することができる。
【0039】
さらなる例によれば、第1の歯面の円周方向長さは、第2の歯面の円周方向長さより大きい。さらに、第1の歯面のフランク角は、第2の歯面のフランク角より小さい。いくつかの例では、第1の歯面の底部部分および第2の歯面の底部部分は、第1または第2のハウジング構成要素上の同じ長手方向位置に位置する。他の例では、第1の歯面の底部および第2の歯面の底部は、異なる長手方向位置に位置する。第1の歯面の底部および第2の歯面の底部は、長手方向または軸方向に互い違いとすることができる。
【0040】
さらなる例によれば、少なくとも1つのロッキング凹部は、第1の円周方向を向いている第1の側面と、第1の円周方向とは反対の第2の円周方向を向いている第2の側面とを含む。いくつかの例では、第1の側面は、円周方向長さおよびフランク角のうちの少なくとも一方によって、第2の側面から区別される。第1の側面は、その円周方向長さおよびフランク角の両方によって、第2の側面から区別することができる。したがって、第1の側面の円周方向長さおよびフランク角は、第2の側面の円周方向長さおよびフランク角から区別することができる。
【0041】
典型的には、少なくとも1つのロッキング凹部は、少なくとも1つのロッキング歯と同じ非対称のプロファイルを含む。少なくとも1つのロッキング凹部は、少なくとも1つのロッキング歯に対して相補形である。
【0042】
さらなる例によれば、第1の側面の円周方向長さは、第2の側面の円周方向長さより大きい。さらに、第1の側面のフランク角は、第2の側面のフランク角より小さい。それに応じて、少なくとも1つのロッキング凹部が、少なくとも1つのロッキング歯に対して相補形または対応する形状であるため、ロッキング歯に関連して上述したすべての構成および利益は、相補形のロッキング凹部にも等しく当てはまる。
【0043】
さらなる例によれば、第1の歯面の円周方向長さは、少なくとも1つのロッキング凹部の第1の側面の円周方向長さに実質的に等しい。同じことは、フランク角にも当てはめることができる。したがって、第1の歯面のフランク角は、少なくとも1つのロッキング凹部の第1の側面のフランク角と実質的に同一または同等とすることができる。同じことはまた、円周方向範囲ならびにフランク角に関して、第2の側面にも当てはめることができる。特に、少なくとも1つのロッキング歯の第2の側面の円周方向範囲は、少なくとも1つのロッキング凹部の第2の側面の円周方向範囲と同一または同等とすることができる。また、少なくとも1つのロッキング歯の第2の側面のフランク角は、少なくとも1つのロッキング凹部の第2の側面のフランク角に実質的に等しいものとすることができ、またはそれに整合することができる。
【0044】
このようにして、最終組立て構成に到達したとき、少なくとも1つのロッキング歯の第1の側面は、相補形のロッキング凹部の第1の側面と位置合わせすることができ、かつ/またはそれに当接することができる。同じことは、第2の側面にも当てはめることができる。最終組立て構成にあるとき、少なくとも1つのロッキング歯の第2の側面は、相補形のロッキング凹部の第2の側面に係合することができ、またはそれと位置合わせすることができる。
【0045】
別の例によれば、第1の歯面のフランク角および/または第1の側面のフランク角は、ねじ連結部の螺旋形のねじ山または螺旋形の対向ねじ山のねじ山ピッチより小さいまたはそれに等しい。このようにして、ねじ連結部の螺着および/またはねじ連結部の確立のための歯状プロファイルおよび対向歯状プロファイルのより平滑かつ容易な摺動係合を実装および提供することができる。したがって、第1および第2のハウジング構成要素の最終組立て構成を確立するためのより小さいインターロック力またはインターロックポークを実現することができる。
【0046】
さらなる例では、第2の歯面のフランク角および/または第2の側面のフランク角は、ねじ連結部の螺旋形のねじ山および/または螺旋形の対向ねじ山のねじ山ピッチより大きいまたはそれに等しい。このようにして、比較的大きい解放力を実装することができる。
【0047】
ここで、歯面または側面の険しさをねじ山ピッチと比較するために、フランク角を側面の円周方向範囲とその長手方向範囲との間の比と見なすことができる。
【0048】
さらなる例によれば、歯状プロファイルは、複数のロッキング歯およびロッキング凹部を第1のハウジング構成要素の円周に沿って交互配置で含む。歯状プロファイルは、等しい数のロッキング歯およびロッキング凹部を含むことができる。円周方向に見ると、ロッキング凹部にロッキング歯が続き、ロッキング歯にロッキング凹部が続き、以下同様である。したがって、第1のハウジング構成要素の円周全体に、交互に位置する一連のロッキング歯およびロッキング凹部を設けることができる。いくつかの例では、ロッキング歯はロッキング凹部に円周方向に直接隣接し、ロッキング凹部はロッキング歯に円周方向に直接隣接する。
【0049】
いくつかの他の例では、第1および第2のハウジング構成要素のうちの一方において、ロッキング歯とロッキング凹部との間に円周方向または接線方向の間隙を設けることができる。ここで、最終組立て構成においてそれぞれのプロファイルの平滑な相互係合を有効にして実現するために、歯状プロファイルのロッキング歯およびロッキング凹部の接線方向または円周方向のずれは、対向歯状プロファイルに対して相補形である。
【0050】
それに応じて、さらなる例では、対向歯状プロファイルは、複数のロッキング凹部およびロッキング歯を第2のハウジング構成要素の円周に沿って交互配置で含む。典型的には、対向歯状プロファイルは、歯状プロファイルに対して相補形である。その限りにおいて、歯状プロファイルに設けられた多数のロッキング歯およびロッキング凹部に関連して上述したものと同じ構成および効果が、対向歯状プロファイルにも等しく当てはまる。
【0051】
ロッキング構造および対向ロッキング構造上のロッキング歯および相補形のロッキング凹部の数を増大させることによって、それに応じてインターロック力の大きさおよび解放力の大きさを修正することができる。ここで、個々のロッキング歯と相補形のロッキング凹部の側面との間の多数の摩擦力は、第1および第2のハウジング構成要素間のねじ連結部を確立または解放するために必要とされる全体的な力またはトルクに寄与する。ロッキング歯およびロッキング凹部の数を増大または減少させることによって、それぞれの力またはトルクの大きさを変えることができる。
【0052】
実質的に、いくつかの例では、歯状プロファイルは、第1のハウジング構成要素の側壁の円周に沿って延びる鋸歯プロファイルを含むことができる。それに対応して、対向歯状プロファイルは、第2のハウジング構成要素の側壁の円周に沿って延びる対向鋸歯プロファイルを含むことができる。歯状プロファイルの歯は、典型的には、長手方向または軸方向に延びまたは突出して、それぞれの対向歯状プロファイルの相補形の凹部に係合する。
【0053】
さらなる例によれば、第1のハウジング構成要素は、歯状プロファイルが設けられた近位向きの停止面を含む。第2のハウジング構成要素は、対向歯状プロファイルが設けられた遠位向きの対向停止面を含む。典型的には、第1のハウジング構成要素は、挿入部がレセプタクル内へ挿入されるとき、第2のハウジング構成要素に対して近位向きの運動を受ける。ここで、いくつかの例では、近位向きの停止面は、ロッキング構造の歯状プロファイルを含み、遠位向きの対向停止面は、対向ロッキング構造の対向歯状プロファイルを含む。
【0054】
第1のハウジング構成要素に近位向きの停止面を設けることによって、最終組立て構成に到達したとき、レセプタクル内への挿入部の挿入を実質的に阻止または停止することができる。
【0055】
最終組立て構成に到達したとき、近位向きの停止面は、遠位向きの対向停止面に軸方向もしくは長手方向に係合し、または軸方向に当接する。組立てプロセスは、第1および第2のハウジング構成要素の互いに対する螺旋運動によって決定されるため、ロッキング構造の対向ロッキング構造との一種のラチェットまたはスナップ係合によって、軸方向または長手方向の当接に到達する。
【0056】
このようにして、回転ロックと組み合わせてねじ連結部を提供することによって、最終組立て構成に到達したとき、近位向きの停止面の遠位向きの対向停止面との軸方向または長手方向の当接により、第1および第2のハウジング構成要素の互いに対するさらなる螺旋形の運動、したがって回転方向および長手方向または軸方向を組み合わせた運動を制限またはロックするための即座の停止が提供される。同時に、回転ロックによって、第1および第2のハウジング構成要素間のさらなる回転運動が実質的に阻止される。このようにして、近位向きの停止面と遠位向きの対向停止面との間の軸方向の当接に過度の力がかからないようになっている。
【0057】
回転ロックは、最終組立て構成を越えた第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の螺旋運動を提供および妨害する。このようにして、回転ロックは、それぞれ第1および第2のハウジング構成要素の遠位向きの対向停止面と近位向きの停止面との間の相互の長手方向の当接に過度の力がかかることを防止する働きをする。したがって、ねじ連結部に過度の力がかかることによる第1または第2のハウジング構成要素の損傷を実質的に防止することができる。
【0058】
さらなる例によれば、近位向きの停止面および遠位向きの対向停止面のうちの一方は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素のうちの一方の長手方向端面である。近位向きの停止面および遠位向きの対向停止面のうちの他方は、それぞれの側壁から径方向に突出する段状部分に設けられる。段状部分は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素のうちの他方の側壁から径方向内方または外方に突出することができる。それぞれの停止面は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素のうちの他方の側壁の外面または内面のうちの一方において、段状部分で遠位方向または近位方向を向いている。
【0059】
いくつかの例では、たとえば近位向きの停止面が長手方向端に、したがって挿入部の近位端に設けられたとき、遠位向きの対向停止面は、レセプタクルの側壁の内面から径方向内方に突出する段状部分に位置する。したがって、遠位向きの対向停止面は、レセプタクルの内側側壁の径方向に下がる段状部分に設けられる。
【0060】
他の例では、たとえば遠位向きの対向停止面がレセプタクルの長手方向端に設けられたとき、近位向きの停止面は、挿入部の径方向外方の段状部分に設けられる。ここで、径方向外方の段状部分は、挿入部の軸方向または長手方向の長さによって挿入部の端面から分離された、挿入部の長手方向端に、たとえば挿入部の遠位端に、設けることもことができる。
【0061】
このようにして、第1および第2のハウジング構成要素の入れ子状の配置、またはレセプタクルの内側に挿入部が入る一種の嵌め込み式の配置を実現することができる。特に、近位向きの停止面および遠位向きの対向停止面のうちの少なくとも一方が、挿入部の長手方向端面または長手方向端に設けられた場合、第1および第2のハウジング構成要素が最終組立て構成にあるとき、ロッキング構造および相補形の対向ロッキング構造によって提供される回転ロックは、ハウジングの外側から見えない。
【0062】
他の例では、たとえば近位向きの停止面および遠位向きの対向停止面のうちの一方がレセプタクルの長手方向端面に設けられたとき、回転ロックは外側から見える。こうして、ロッキング構造および対向ロッキング構造の相互係合、ならびに第1および第2のハウジング構成要素間の回転ロックの確立を、視覚的に検査することができる。
【0063】
さらなる例によれば、近位向きの停止面は、挿入部の長手方向端から径方向外方に突出する環状のリムに位置する。挿入部の長手方向端は、挿入部の遠位端とすることができ、挿入部の近位端は、ハウジング構成要素のそれぞれの連結端の自由端を形成することができる。したがって、近位向きの停止面、したがって環状のリムは、挿入部の自由端から長手方向にずれている。軸方向または長手方向の分離距離は、挿入部のそれぞれの軸方向または長手方向の範囲に一致する。
【0064】
いくつかの例では、挿入部に設けられた螺旋形のねじ山は、少なくとも1つまたはそれ以上の完全な回旋を含む。それに対応して、レセプタクルの側壁の内側に設けられた螺旋形の対向ねじ山もまた、1つまたはそれ以上の完全な回旋を含む。それぞれの螺旋構造の1つまたはそれ以上の回旋に基づいて、たとえば少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの完全な回旋に基づいて、ねじ連結部を実装することによって、第1および第2のハウジング構成要素間により精密かつ頑強なねじ連結部を提供することができる。これにより、第1および第2のハウジング構成要素のより傾斜のないおよび/またはたるみのない螺着連結が有効になる。そのような傾斜および/またはたるみのない相互係合は、頑強かつ精密な回転ロックを確立するのに特に有益である。
【0065】
さらなる例によれば、第1のハウジング構成要素の外面に第1のインジケータが設けられ、第2のハウジング構成要素の外面に第2のインジケータが設けられる。典型的には、第1または第2のインジケータは、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素の挿入部から長手方向にずれて位置する。第1のインジケータおよび第2のインジケータは、可視のおよび/または触知可能なインジケータとして実装される。
【0066】
第1のインジケータおよび第2のインジケータは、第1および第2のハウジング構成要素が最終組立て構成に到達したとき、長手方向に位置合わせすることができる。このようにして、第1および第2のインジケータは、第1および第2のハウジング構成要素間に螺着タイプの連結を確立するために、視覚的および/または触知可能な案内を提供することができる。
【0067】
いくつかの例では、螺旋形のねじ山が整数の回旋を含み、および/または螺旋形の対向ねじ山が整数の回旋を含むとき、挿入部をレセプタクル内へ長手方向に挿入している間に、またはその後、第1のインジケータおよび第2のインジケータを長手方向に位置合わせすることができる。このようにして、第1のインジケータが第2のインジケータと位置合わせされたとき、螺旋形のねじ山は螺旋形の対向ねじ山に直接係合することができることができ、使用者は、螺旋形のねじ山が螺旋形の対向ねじ山に係合するまで、第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に対して螺着解除方向に回転させる必要がなくなる。
【0068】
このようにして、それぞれ第1および第2のハウジング構成要素上の第1のインジケータおよび第2のインジケータは、2倍または2重の機能を提供することができる。第1のインジケータおよび第2のインジケータは、螺旋形のねじ山を螺旋形の対向ねじ山に係合させるために、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の向きを示すことができ、第1および第2のハウジング構成要素の螺着組立ての終わりに第1および第2のハウジング構成要素が最終組立て構成に到達したことをさらに示すことができる。
【0069】
さらなる例によれば、近位向きの停止面および遠位向きの対向停止面のうちの少なくとも一方は、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素に設けられた環状のリムに位置する。環状のリムは、第1のハウジング構成要素または第2のハウジング構成要素の側壁から径方向に突出することができる。環状のリムは、第1または第2のハウジング構成要素の外面から径方向外方に突出することができる。環状のリムは、第1または第2のハウジング構成要素の内面から径方向内方に突出することもできる。第1および/または第2のハウジング構成要素の内面または外面から径方向内方および/または径方向外方に突出する環状のリムは、特にハウジング構成要素のうち回転ロックが設けられた領域またはセクションにおいて、それぞれのハウジング構成要素の構造的な強化および補強を提供することができる。
【0070】
このようにして、第1または第2のハウジング構成要素のうち、回転ロックが設けられた、したがってロッキング構造または対向ロッキング構造が設けられた特定の部分を、構造的に強化することができる。いくつかの例では、環状のリムならびに第1のハウジング構成要素の側壁および/または第2のハウジング構成要素の側壁は、一体形成される。典型的には、第1のハウジング構成要素および/または第2のハウジング構成要素は、射出成形プラスチック構成要素を含むことができる。他の例では、環状のリムは、挿入部として実装することができ、またはそれぞれのハウジング構成要素と組み立てられる別個の部材として実装することができる。環状のリムは、それぞれのハウジング構成要素内へ締め付けることができ、またはそれぞれのハウジング構成要素上へ締め付けることができる。他の例では、環状のリムは、たとえば摩擦嵌め、接着剤、溶接、またはこれらの組合せによって、第1および第2のハウジング構成要素のうちの少なくとも一方に締結することができる。
【0071】
さらなる例によれば、ハウジングは、挿入部に設けられた機械的コーディングを含み、レセプタクル内に設けられた機械的対向コーディングをさらに含む。機械的コーディングは、機械的対向コーディングに対して相補形であり、または機械的対向コーディングに対応する形状であり、共通のタイプの1対の整合するコーディングおよび対向コーディングを形成することができる。異なるタイプの機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、最終組立て構成において第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の相互組立てを防止するように動作可能であり、そのように構成される。ここで、1対のコーディングおよび対向コーディングが整合しない場合、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間のねじ連結部の確立を防止するように動作可能とすることができる。
【0072】
概して、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の相互組立て、ならびに/または第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間のねじ連結部は、機械的コーディングが設けられた第1のハウジング構成要素が、対応する形状または相補形の機械的対向コーディングが設けられた第2のハウジング構成要素と組み立てられることを必要とする。
【0073】
このようにして、異なる薬物送達デバイスに対する異なるハウジングは、類似またはさらには同一の外側形状を有するがコーディングおよび対向コーディングによって区別される第1および第2のハウジング構成要素を備えることができる。このようにして、たとえば第1のタイプのハウジングの第1のハウジング構成要素の第2のタイプのハウジングの第2のハウジング構成要素との意図しない相互使用を実質的に防止することができる。挿入部の機械的コーディングがレセプタクル内の機械的対向コーディングに整合するときのみ、第1および第2のハウジング構成要素を相互に連結して相互に固定するための第1および第2のハウジング構成要素間のねじ連結部を確立することができる。機械的コーディング、たとえば第1のタイプの機械的コーディングの、たとえば第2のタイプの整合しない機械的対向コーディングとの他のすべてのペアリングまたは組合せの場合、ねじ付挿入部を対向ねじ付レセプタクルに係合することはできない。このとき、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立ておよび/または固定は実質的に防止される。
【0074】
整合しないハウジング構成要素の第1の連結端の第2の連結端との相互係合の防止は、少なくとも2つの異なる方法で実質的に実現することができる。いくつかの例によれば、機械的コーディングおよび整合しない機械的対向コーディングは、長手方向に沿ったレセプタクル内への挿入部の少なくとも部分的な挿入または完全な挿入を防止するように構成される。ここで、挿入部上のコーディングがレセプタクルの対向コーディングに整合しないことによって、挿入部がレセプタクルに入ることを機械的に阻止することができる。別法として、挿入部は、レセプタクルに入るようなサイズおよび形状とすることができるが、このとき対向コーディングに整合しないコーディングは、螺旋形のねじ山の螺旋形の対向ねじ山との係合を防止するように構成される。実質的に、コーディングが対向コーディングに整合しない場合、第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に連結または固定することはできない。
【0075】
さらなる例によれば、機械的コーディングは、螺旋形のねじ山に一体化されたコーディング機能を含む。機械的対向コーディングは、螺旋形の対向ねじ山に一体化された対向コーディング機能を含む。コーディング機能および対向コーディング機能は、それぞれ螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山の直径、タイプ、および/またはプロファイルによって区別することができる。螺旋形の対向ねじ山に機械的に整合する、したがって対向コーディング機能に整合する、螺旋形のねじ山のみ、したがってコーディング機能のみが、第1および第2のハウジング構成要素の相互の連結および固定を提供することができる。
【0076】
別の例によれば、コーディング機能は、螺旋形のねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって画成される。それに対応して、対向コーディング機能は、螺旋形の対向ねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって画成される。コーディング機能は、螺旋形のねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチが螺旋形の対向ねじ山のそれぞれのねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチに整合する場合のみ、対向コーディング機能に整合し、逆も同様である。螺旋形のねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つのみが、螺旋形の対向ねじ山のそれぞれのねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、またはねじ山ピッチに整合しない、他のすべての組合せは、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山の相互係合を防止する。むしろそのような組合せの場合、螺旋形のねじ山と螺旋形の対向ねじ山との相互係合は実質的に防止および妨害される。
【0077】
たとえば、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの少なくとも一方は、以下のねじ山タイプ、すなわち管用ねじ、台形ねじ、ナックルねじ、ウィットウォースねじ、またはバットレスねじのうちの1つを含む。
【0078】
別の態様によれば、薬剤の用量を注射するための注射デバイスが提供される。注射デバイスは、上述したハウジングと、ハウジングの内側に配置されたカートリッジとを含む。カートリッジは、薬剤が充填されたバレルを含み、バレルは、可動の栓によって長手近位方向に封止されている。注射デバイスは、ハウジングの内側に配置された駆動機構をさらに含む。駆動機構は、カートリッジの栓に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッドを含む。典型的には、注射デバイスは、手持ち式または携帯型の注射デバイスとして実装される。注射デバイスは、ペン型注射器を含むことができる。
【0079】
いくつかの例では、レセプタクルは、細長いハウジング構成要素、たとえば薬物送達デバイスのハウジングの第1または第2のハウジング構成要素に固定して取り付け可能でありまたは固定して取り付けられたハウジング挿入部として提供される。ハウジング挿入部は、細長いハウジング構成要素に対して回転不能および/または長手方向に固定することができる。その限りにおいて、レセプタクルに関連して上述したすべての構成および利益は、それぞれのハウジング構成要素に対して固定して連結可能でありまたは固定して連結されたハウジング挿入部にも等しく当てはまる。
【0080】
別の態様では、本開示は、薬物送達デバイス、たとえば注射デバイスのハウジングに関する。ここでも、ハウジングは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された第1のハウジング構成要素を含む。第1のハウジング構成要素は、第1の連結端を含む。ハウジングは、第2のハウジング構成要素をさらに含む。第2のハウジング構成要素は、薬物送達デバイスの駆動機構を収容するように構成される。典型的には、駆動機構は、長手方向に延びるピストンロッドを含み、ピストンロッドは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合して、カートリッジから薬剤の用量を排出するように構成される。
【0081】
第2のハウジング構成要素は、第2の連結端を含む。典型的には、第1の連結端は、第2の連結端に連結可能であり、薬物送達デバイスのハウジングを形成または構成する。第1の連結端および第2の連結端のうちの一方に、挿入部がさらに設けられる。挿入部は、典型的には、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素と一体形成される。第1の連結端および第2の連結端のうちの他方に、レセプタクルがさらに設けられる。挿入部は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を相互に締結するために、ならびに/または薬物送達デバイスのハウジングを形成もしくは確立するために、長手方向に沿ってレセプタクル内へ挿入可能である。典型的には、レセプタクルは、第1および第2の連結端のうちの一方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。挿入部は、第1および第2の連結端のうちの他方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。
【0082】
レセプタクルは、挿入部を受け入れるようなサイズおよび形状の内側断面を含む。典型的には、レセプタクルの内径または内側断面は、挿入部の外径または外側断面に密接に整合する。
【0083】
ハウジングは、挿入部に設けられた締結要素と、締結要素に対して相補形であり、レセプタクル内に設けられた対向締結要素とをさらに含むことができる。典型的には、最終組立て構成に到達したとき、締結要素は対向締結要素に係合し、それによって第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に締結および固定し、逆も同様である。
【0084】
ハウジングは、第1の連結端および第2の連結端を相互に連結および/または相互に固定するためのねじ連結部をさらに含む。ねじ連結部は、挿入部に設けられた螺旋形のねじ山を含む。ねじ連結部は、螺旋形のねじ山に対して相補形であり、レセプタクル内に設けられた螺旋形の対向ねじ山をさらに含む。螺旋形のねじ山は、典型的には、挿入部の外面に設けられる。螺旋形の対向ねじ山は、典型的には、レセプタクルの側壁の内面に設けられる。典型的には、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの一方は、径方向に突出するリブを含み、螺旋形のねじ山および螺旋形の対向ねじ山のうちの他方は、径方向に突出するリブに対して相補形である径方向に凹状の溝を含む。
【0085】
挿入部の締結要素は、螺旋形のねじ山によって提供することができ、レセプタクルの対向締結要素は、螺旋形の対向ねじ山によって提供することができる。
【0086】
ハウジングは、挿入部に設けられた機械的コーディングをさらに含み、レセプタクル内に設けられた機械的対向コーディングをさらに含む。機械的コーディングは、機械的対向コーディングに対して相補形であり、または機械的対向コーディングに対応する形状であり、共通タイプの1対の整合するコーディングおよび対向コーディングを形成することができる。異なるタイプの機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、最終組立て構成において第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の相互組立てを防止するように動作可能であり、そのように構成される。ここで、1対のコーディングおよび対向コーディングが整合しない場合、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間のねじ連結部の確立を防止するように動作可能とすることができる。概して、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の相互組立て、ならびに/または第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間のねじ連結部は、機械的コーディングが設けられた第1のハウジング構成要素が、対応する形状または相補形の機械的対向コーディングが設けられた第2のハウジング構成要素と組み立てられることを必要とする。
【0087】
概して、上述したように、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングを実装することができる。
【0088】
この態様によるハウジングは、回転ロックを含まない。ここで、場合により、回転ロック、ならびに回転ロックに関連して上述した構成および効果のいずれかを提供および実装することができる。
【0089】
別の態様によれば、本開示は、少なくとも上述した第1のハウジングおよび上述した第2のハウジングのキットに関する。第1のハウジングのコーディング機能は、螺旋形のねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングのコーディング機能から区別される。
【0090】
それに対応して、第1のハウジングの対向コーディング機能は、螺旋形の対向ねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングの対向コーディング機能から区別される。
【0091】
さらなる例によれば、それぞれの注射デバイスの多数のハウジングのキットの第1のハウジングの第1のハウジング構成要素の螺旋形のねじ山のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つは、第2のハウジングの第2のハウジング構成要素の螺旋形の対向ねじ山のそれぞれのねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つから区別され、それに整合しない。このようにして、第1のハウジングの第1のハウジング構成要素は、第2のハウジングの第2のハウジング構成要素とペアリングまたは連結することができない。異なる、したがって整合しないコーディングおよび対向コーディングが設けられて装備された第1および第2のハウジング構成要素の意図しない相互使用を実質的に防止および妨害することができる。
【0092】
第1のハウジングには、第1のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第2のハウジングには、第2のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第1のタイプのコーディングは、第2のタイプの対向コーディングにペアリングまたは係合することができない。逆も同様であり、第1のタイプの対向コーディングは、第2のタイプのコーディングにペアリングまたは係合することができない。
【0093】
第1のタイプのコーディングのみが、第1のタイプの対向コーディングにペアリングまたは係合することが可能であり、そのように構成される。第2のタイプのコーディングは、第2のタイプの対向コーディングにのみ排他的に係合可能または連結可能であり、逆も同様である。
【0094】
概して、いくつかの例では、異なるハウジングの第1のハウジング構成要素は、薬剤容器またはカートリッジを受けるための収容空間のサイズおよび/または幾何形状によって区別することができる。特に、第1のタイプのコーディングを有するハウジングは、第1のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。第2のタイプのコーディングを有するハウジングは、第2のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。このため、薬剤容器、カートリッジ、ならびに第1のハウジング構成要素の内部は、1つの専用のカートリッジまたは薬剤容器のみが1つの専用の第1のハウジング構成要素のみに明確に適合するように、さらなるコーディングもしくはコーディング機能を含むことができ、またはそれらのサイズもしくは幾何形状に関して区別することができる。
【0095】
いくつかの例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに係合するための機械的コーディングが設けられる。さらなる例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに整合するように構成された電子、視覚、または光学コーディングのうちの少なくとも1つを設けることができ、相補形の対向コーディングもまた、電子、視覚、または光学タイプである。
【0096】
さらに、カートリッジおよび第1のハウジング構成要素のうちの少なくとも一方には、ロッキングまたは締結機能を設けることができ、それによってカートリッジを第1のハウジング構成要素内で固定および/または保持することができる。ここで、たとえばカートリッジホルダとして実装される第1のハウジング構成要素、およびその中に組み立てられたカートリッジは、事前に製作されたハウジングアセンブリとして、または専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せとして提供することができる。
【0097】
いずれにしても、特定のカートリッジ内に提供される特定の薬剤が、第1のハウジング構成要素の特定のタイプに、すなわち特に機械的に符号化された第1のハウジング構成要素に明確に関連付けられることを保証または実現することができる。実質的に、いくつかの例では、特定の薬剤が提供されたカートリッジは、それぞれの機械的コーディングを装備したそれに対応する形状の第1のハウジング構成要素内にのみ収容することができる。
【0098】
さらなる例では、事前に製作されたハウジングアセンブリまたは専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せは、製薬会社によって市販されている。ここで、カートリッジは、第1のハウジング構成要素の内側に取外し不能または着脱不能に固定することができ、製薬会社は、特定の薬剤が充填されたカートリッジと、カートリッジの内側に位置する薬剤のタイプに従って機械的に符号化された好適な第1のハウジング構成要素との間に、それぞれの整合を提供する。
【0099】
さらなる態様によれば、本開示はまた、注射デバイスのキットに関する。注射デバイスのキットは、少なくともどちらも第1のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられた第1のハウジングを含む第1の注射デバイスを含み、どちらも第1のタイプのそれぞれの対向コーディングまたはコーディングに整合しない第2のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられて装備された第2のハウジングを有する第2の注射デバイスをさらに含む。
【0100】
概して、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって画成される。注射デバイスは、特有の実施形態または例に限定されるものではなく、異なる実施形態または例の要素のあらゆる組合せを含む。その限りにおいて、本開示は、特許請求の範囲のあらゆる組合せ、および異なる例または実施形態に関連して開示する構成のあらゆる技術的に実行可能な組合せを包含する。
【0101】
この文脈において、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位の方を向いている注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も離れた注射デバイスの反対の端部に関する。
【0102】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0103】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0104】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0105】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0106】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0107】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0108】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0109】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0110】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0111】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0112】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0113】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0114】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0115】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0116】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0117】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0118】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0119】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明はそのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0120】
本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を本開示に加えることができることが、当業者にはさらに明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるいずれの参照番号も、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0121】
以下、専用のまたはコーディングされたハウジング構成要素を有する注射デバイスの多数の例について、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】薬物送達デバイスの一例を概略的に示す図である。
図2図1の薬物送達デバイスの分解図の一例を示す図である。
図3】組立て前の第1および第2のハウジング構成要素の概略分解図である。
図4】組立て中の第1および第2のハウジング構成要素を示す図である。
図5】最終組立て構成にある第1および第2のハウジング構成要素を示す図である。
図6】第1のハウジング構成要素の第1の連結端を示す図である。
図7】第2のハウジング構成要素の第2の連結端を示す図である。
図8】最終組立て工程中の第1および第2のハウジング構成要素の相互配置を概略的に示す図である。
図9】第1のハウジング構成要素が図8と比べて最終組立て構成の方へわずかに遠くに螺着された、図8の構成を示す図である。
図10】第1のハウジング構成要素がさらに螺着された、図9の配置を示す図である。
図11】最終組立て構成にある第1および第2のハウジング構成要素を示す図である。
図12】挿入部および/またはレセプタクルの内側に設けられた異なるねじ山タイプおよび異なるコーディング機能の多数の例を示す図である。
図13】コーディング機能の対向コーディング機能との整合しないペアリングの一例を示す図である。
図14】コーディングおよび対向コーディングの整合しないペアリングのさらなる例を示す図である。
図15】コーディングおよび対向コーディングの整合しないペアリングの別の例を示す図である。
図16】コーディングおよび対向コーディングの整合しないペアリングの別の例を示す図である。
図17】コーディングおよび対向コーディングの別の整合しない例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0123】
図1および図2に、手持ち式注射デバイスの多数の例のうちの1つのみが示されており、これは概してウェアラブル電子デバイスと組み合わせて使用可能である。図1および図2に示されているデバイスは、ハウジング10を含む充填済みの使い捨て注射デバイスであり、ハウジング10には注射針15を取り付けることができる。注射針15は、注射デバイス1のハウジング10の遠位セクションを密閉および保護するように構成された内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17または保護キャップ18のいずれかによって保護される。ハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第2のハウジング構成要素は、図2に示されている駆動機構8および/または用量設定機構9を収容するように構成された主ハウジング部材を形成することができる。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、第2のハウジング構成要素200に恒久的または解放可能に連結することができる。
【0124】
第1のハウジング構成要素100は、典型的には、液体薬剤が充填されたカートリッジ6を収容するように構成される。カートリッジ6は、バレル25の内側に位置する栓7によって近位方向3に封止された円筒形または管状のバレル25を含む。栓7は、ピストンロッド20によってカートリッジ6のバレル25に対して遠位方向2に変位可能である。カートリッジ6の遠位端は、セプタムとして構成された穿孔可能な封止部26によって封止されており、封止部26は、注射針15の近位向きの先端を有する端部によって穿孔可能である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、その遠位端にねじ付ソケット28を含み、ねじ付ソケット28は、注射針15のそれに対応するねじ付部分にねじ係合する。注射針15を第1のハウジング構成要素100の遠位端に取り付けることによって、カートリッジ6の封止部26を貫通し、それによってカートリッジ6の内部への流体伝達アクセスを確立する。
【0125】
注射デバイス1がたとえばヒトインスリンを投与するように構成されるとき、注射デバイス1の近位端にある用量ダイヤル12によって設定される投与量を、いわゆる国際単位(IU)で表示することができ、1IUは約45.5μg(1/22mg)の純結晶インスリンと生物学的に同等である。用量ダイヤル12は、用量ダイヤルを含むことができ、または用量ダイヤルを形成することができる。
【0126】
図1および図2にさらに示されているように、ハウジング10、たとえば第2のハウジング構成要素200は、投与量窓13を含み、投与量窓13は、ハウジング10内のアパーチャの形態とすることができる。投与量窓13は、現在設定されている用量の視覚インジケーションを提供するために、用量ダイヤル12が回されたときに動くように構成された数字スリーブ80の制限された部分を使用者が見ることを可能にする。用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬もしくは排出中に回されたとき、ハウジング10に対して螺旋経路上を回転させられる。
【0127】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すことで機械クリック音を引き起こし、使用者に音響フィードバックを提供するように構成することができる。クリック音は、典型的には、クリックノイズ生成器45によって生成される。概して、クリックノイズ生成器45は、様々な異なる方法で実装することができる。数字スリーブ80は、インスリンカートリッジ6内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺されて、トリガ11または注射ボタンが押されたとき、表示窓13内に表示されている用量が注射デバイス1から排出される。トリガ11が押されてから特定の時間にわたって注射デバイス1の針15が皮膚部分内に留まったとき、用量は実際に患者の体内へ注射される。液体薬剤の用量の排出もまた、機械クリック音を引き起こすことができるが、このクリック音は、用量ダイヤル12を使用したときに生じたクリック音とは異なる。このため、注射デバイス1は、別個の、したがって第2の、クリックノイズ生成器(図示せず)を含むことができる。
【0128】
この実施形態では、インスリン用量の送達中、用量ダイヤル12は、軸方向運動で、すなわち回転なしで、その初期位置まで戻され、数字スリーブ80は、回転してその初期位置へ戻り、たとえば0単位の用量を表示する。
【0129】
注射デバイス1は、カートリッジ6が空になるまで、または注射デバイス1内の薬剤の有効期日(たとえば、最初の使用から28日後)に到達するまで、いくつかの注射プロセスに対して使用することができる。
【0130】
図2に、駆動機構8の一例がより詳細に示されている。駆動機構8は、多数の機械的に相互作用する構成要素を含む。ハウジング10のフランジ状の支持体が、ピストンロッド20の第1のねじ山または遠位ねじ山22にねじ係合されるねじ付軸方向貫通口を含む。ピストンロッド20の遠位端は支承部21を含み、押さえ23が、ピストンロッド20の長手方向軸を回転軸として、支承部21上を自由に回転する。押さえ23は、カートリッジ6の栓7の近位向きの推力受け面に軸方向に当接するように構成される。投薬動作中、ピストンロッド20はハウジング10に対して回転し、それによってハウジング10に対して、したがってカートリッジ6のバレル25に対して、遠位向きの前進運動を受ける。結果として、カートリッジ6の栓7は、ピストンロッド20のハウジング10とのねじ係合により、遠位方向2に明確な距離だけ変位させられる。
【0131】
ピストンロッド20には、その近位端に第2のねじ山24がさらに設けられる。遠位ねじ山22および近位ねじ山24は、反対の向きである。
【0132】
ピストンロッド20を受けるために中空の内部を有する駆動スリーブ30がさらに設けられる。駆動スリーブ30は、ピストンロッド20の近位ねじ山24にねじ係合される内側ねじ山を含む。さらに、駆動スリーブ30は、その遠位端に外側ねじ付セクション31を含む。ねじ付セクション31は、遠位フランジ部分32と、遠位フランジ部分32から所定の軸方向距離をあけて位置する別のフランジ部分33との間に、軸方向に制限される。2つのフランジ部分32、33間に、半円形ナットの形態の最終用量リミッタ35が設けられ、最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30のねじ付セクション31に嵌合する内部ねじ山を有する。
【0133】
最終用量リミッタ35は、ハウジング10の側壁の内側にある相補形の凹部または突起に係合するための径方向凹部または突起を、その外周にさらに含む。このようにして、最終用量リミッタ35は、ハウジング10に、たとえば第2のハウジング構成要素200にスプライン連結される。連続した用量設定手順中の用量増分方向4または時計回り方向における駆動スリーブ30の回転は、駆動スリーブ30に対する最終用量リミッタ35の累積的な軸方向の変位をもたらす。フランジ部分33の近位向きの表面に軸方向に当接する環状ばね40がさらに設けられる。さらに、管状のクラッチ60が設けられる。クラッチ60の第1の端部に、一連の円周方向に向けられた鋸歯が設けられる。クラッチ60の第2の反対の端部に向かって、径方向内方に向けられたフランジが位置する。
【0134】
さらに、数字スリーブ80とも呼ばれる用量ダイヤルスリーブが設けられる。数字スリーブ80は、ばね40およびクラッチ60の外側に設けられ、ハウジング10の径方向内方に位置する。数字スリーブ80の外面の周りに、螺旋溝81が設けられる。ハウジング10には投与量窓13が設けられており、数字スリーブ80の外面の一部を、投与量窓13を通して見ることができる。ハウジング10には、挿入部62の内側側壁部分に螺旋リブがさらに設けられ、螺旋リブは、数字スリーブ80の螺旋溝81に着座させられる。管状の挿入部62は、ハウジング10の近位端内へ挿入される。挿入部62は、ハウジング10に対して回転不能および軸方向に固定される。数字スリーブ80がハウジング10に対して螺旋運動で回転させられている間の用量設定手順を制限するために、ハウジング10上に第1および第2の止め具が設けられる。
【0135】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル12が、数字スリーブ80の近位端の外面の周りに配置される。用量ダイヤル12の外径は、典型的には、ハウジング10の外径に対応および整合する。用量ダイヤル12は、数字スリーブ80に対して、これらの間の相対運動を防止するように固定される。用量ダイヤル12には、中心開口部が設けられる。
【0136】
用量ボタンとも呼ばれるトリガ11は、実質的にT字形である。トリガ11は、注射デバイス1の近位端に設けられる。トリガ11の心棒64が、用量ダイヤル12内の開口部を通り、駆動スリーブ30の延長の内径を通って、ピストンロッド20の近位端にある受け凹部内へ延びる。心棒64は、駆動スリーブ30内で制限された形で軸方向に動き、駆動スリーブ30に対して回転しないように保持される。トリガ11のヘッドは略円形である。トリガ側壁またはスカートは、ヘッドの周辺部から延びており、用量ダイヤル12の近位からアクセス可能な環状凹部に着座するようにさらに適用される。
【0137】
用量をダイヤル設定するために、使用者は用量ダイヤル12を回転させる。ばね40がクリックノイズ生成器45としても作用し、クラッチ60が係合された状態で、駆動スリーブ30、ばね40、クラッチ60、および数字スリーブ80は、用量ダイヤル12とともに回転する。用量がダイヤル設定されたという可聴および触覚フィードバックが、ばね40およびクラッチ60によって提供される。鋸歯によって、ばね40とクラッチ60との間でトルクが伝送される。数字スリーブ80上の螺旋溝81および駆動スリーブ30内の螺旋溝は、同じリードを有する。これにより、数字スリーブ80がハウジング10および駆動スリーブ30から延びてピストンロッド20を同じ速度で登ることが可能になる。行程の限界で、数字スリーブ80上の径方向止め具が、ハウジング10上に設けられた第1の止め具または第2の止め具に係合して、第1の回転方向、たとえば用量増分方向4のさらなる動きを防止する。ピストンロッド20の回転は、ピストンロッド20上の全体的な駆動されるねじ山の方向が反対になっていることによって防止される。
【0138】
ハウジング10に固定された最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30の回転によってねじ付セクション31に沿って前進させられる。最終用量投薬位置に到達したとき、最終用量リミッタ35の表面上に形成された径方向止め具が、駆動スリーブ30のフランジ部分33上の径方向止め具に当接し、最終用量リミッタ35および駆動スリーブ30の両方がさらに回転することを防止する。
【0139】
使用者が不注意で所望の投与量を超えてダイヤル設定した場合、ペン注射器として構成された注射デバイス1は、カートリッジ6から薬剤を投薬することなく、投与量を下方にダイヤル設定することを可能にする。このため、用量ダイヤル12は簡単に逆回転される。これにより、システムは逆に作用する。このとき、ばねまたはクリッカ40の可撓アームは、ばね40が回転することを防止するラチェットとして作用する。クラッチ60を介して伝送されるトルクにより、鋸歯は互いを載り越えて、ダイヤル設定された用量の低減に対応するクリックを生み出す。典型的には、鋸歯は、各鋸歯の円周方向範囲が単位用量に対応するように配置される。ここで、クラッチは、ラチェット機構として働くことができる。
【0140】
代替または追加として、ラチェット機構90は、管状クラッチ60の側壁上の可撓アームなど、少なくとも1つのラチェット機能91を含むことができる。少なくとも1つのラチェット機能91は、たとえば可撓アームの自由端上に径方向外方に延びる突起を含むことができる。突起は、数字スリーブ80の内側にあるそれに対応する形状の対向ラチェット構造に係合するように構成される。数字スリーブ80の内側は、鋸歯プロファイルを有する長手方向の形状の溝または突起を含むことができる。用量のダイヤル設定または設定中、ラチェット機構90は、数字スリーブ80が第2の回転方向5に沿ってクラッチ60に対して回転することを可能にしてそれを支持し、この回転は、クラッチ60の可撓アームの規則的なクリックを伴う。第1の回転方向に沿って数字スリーブ80に印加される角運動量は、クラッチ60へ不変に伝達される。ここで、ラチェット機構90の相互に対応するラチェット機能は、数字スリーブ80からクラッチ60へのトルク伝送を提供する。
【0141】
所望の用量がダイヤル設定されたとき、使用者は、トリガ11を押し下げることによって、設定された用量を簡単に投薬することができる。これにより、クラッチ60が数字スリーブ80に対して軸方向に変位し、その犬歯を係合解除する。しかし、クラッチ60は、駆動スリーブ30に対して回転方向に固定されたままである。数字スリーブ80および用量ダイヤル12はここで、螺旋溝81に従って自由に回転する。
【0142】
この軸方向運動により、ばね40の可撓アームを変形させて、投薬中に鋸歯が緩められないことを確実にする。これにより、駆動スリーブ30がハウジング10に対して回転することが防止されるが、駆動スリーブ30は依然としてハウジング10に対して軸方向には自由に動く。その後、遠位向きの投薬圧力がトリガ11から取り除かれたとき、この変形を使用してばね40およびクラッチ60を駆動スリーブ30に沿って逆方向に付勢し、クラッチ60と数字スリーブ80との間の連結を回復する。
【0143】
駆動スリーブ30の長手方向の軸方向運動は、ハウジング10の支持体の貫通口を通ってピストンロッド20を回転させ、それによってカートリッジ6内の栓7を前進させる。ダイヤル設定された用量が投薬された後、用量ダイヤル12から延びる少なくとも1つの止め具がハウジング10の少なくとも1つの対応する止め具に接触することによって、数字スリーブ80のさらなる回転が防止される。数字スリーブ80の軸方向に延びる縁部または止め具のうちの1つが、ハウジング10の少なくとも1つまたはいくつかの対応する止め具に当接することによって、0用量位置を決定することができる。
【0144】
上述した排出機構または駆動機構8は、概して使い捨てのペン注射器内に実装可能な複数の異なる構成の駆動機構のうちの1つに対する例示にすぎない。上述した駆動機構は、全体が参照によって本明細書に組み入れられる、たとえばWO2004/078239A1、WO2004/078240A1、またはWO2004/078241A1により詳細に説明されている。
【0145】
図3図11の多数の例に示されているハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、その中空の内部の内側にカートリッジ6を収容するようなサイズおよび形状である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を含む。第1の連結端101は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。それに対応して、第2のハウジング構成要素200は、典型的にはハウジング構成要素200の遠位端に、第2の連結端201を含む。
【0146】
第1の連結端101は、第2の連結端201に対して機械的に連結可能である。示されているように、第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を形成する挿入部110を含む。第2のハウジング構成要素200は、挿入部110を受けるような形状およびサイズのレセプタクル210を含む。挿入部110は、第2のハウジング構成要素200に対する長手方向摺動運動によって、特に近位方向3に沿って、レセプタクル210内へ少なくとも部分的に挿入可能である。
【0147】
挿入部110は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。挿入部110は、近位端面112を含む。挿入部110は、遠位方向2に向かって、第1のハウジング構成要素100の管状の側壁102から、したがって挿入部110の側壁102からも、径方向外方に突出するフランジセクション115によって制限される。フランジセクション115は、第1のハウジング構成要素100の側壁102の外面105から径方向外方に突出する円周方向リム116によって構造的に補強される。
【0148】
言い換えれば、フランジセクション115は、管状の挿入部110の周囲全体にわたって延びる円周方向リム116を含む。フランジセクション115は、近位方向3に向かって、近位方向3を向いている当接面または停止面114を含む。当接面または停止面114は、第2のハウジング構成要素200の側壁202の遠位端面214に軸方向に当接するように構成される。第1のハウジング構成要素100の側壁102は、窓103を含むことができ、窓103は、側壁102と交差する貫通凹部として実装することができる。窓103は、第1のハウジング構成要素100の内側に配置されたカートリッジ6およびその内容物の視覚的検査を可能にし、それを支持する。
【0149】
レセプタクル210は、遠位方向2に向かって開いている。その限りにおいて、第1のハウジング構成要素100の挿入部110は、最終組立て構成に到達するまで、近位方向3に沿ってレセプタクル210内へ挿入することができる。挿入部110の外面105に締結要素が設けられ、締結要素は、レセプタクル210の側壁202の内面203に設けられた対向締結要素に対して相補形である。
【0150】
この例では、締結要素および相補形の対向締結要素は、第1の連結端101および第2の連結端201のためのねじ連結部140を形成または構成する。図6および図7により詳細に示されているように、第1の連結端101には、挿入部110の外面105に螺旋形のねじ山120が設けられる。レセプタクル210は、レセプタクル210の側壁202の内面203に設けられた相補形の螺旋形の対向ねじ山220を含む。螺旋形のねじ山120は、少なくとも1つ、好ましくは多数の完全な、たとえば整数の回旋を含む。螺旋形の対向ねじ山220は相補形であり、少なくとも1つまたは多数の回旋をさらに含む。
【0151】
螺旋形のねじ山120は、挿入部110の近位端に設けられ、フランジセクション115に長手方向に隣接する。このようにして、挿入部110は、フランジセクション115から長手方向にずれた近位セクション111を含む。ここに示されている例では、近位セクション111は、径方向突起または凹部を含まず、レセプタクル210の側壁202の内面203に対して相補形である。これにより、レセプタクル210内への挿入部110の平滑に摺動する挿入運動が有効になり、提供される。挿入部110のより均一な形状の近位セクション111は、側壁202の相補形の内面203によって径方向および長手方向に案内することができる。その限りにおいて、近位セクション111の外径は、レセプタクル210の側壁202のそれぞれの内径に密接に整合することができる。
【0152】
螺旋形のねじ山120は、近位セクション111から径方向外方に突出する。しかし、螺旋形のねじ山120は、フランジセクション115から径方向内方に位置する。螺旋形のねじ山120は、長手方向に近位セクション111と径方向外方に突出するフランジセクション115との間に位置する。螺旋形のねじ山120は、径方向に広がり径方向外方に突出するフランジセクション115に長手方向に隣接することができる。フランジセクション115は、径方向外方に突出する円周方向リム116によって構造的に強化することができる。リム116には、近位向きの停止面114が設けられ、近位向きの停止面114は、第2のハウジング構成要素200のレセプタクル210の側壁202の相補形の遠位向きの停止面または端面214に当接または係合するように構成される。また、停止面214は、構造的に補強されるまたは補強するリム216に設けることができ、リム216は、第2のハウジング構成要素200の側壁202に配置され、または第2のハウジング構成要素200の側壁202と一体形成される。図7に示されているように、リム216は、第2のハウジング構成要素200の側壁202の外面205に配置することができる。リム216は、側壁202から径方向外方に突出することができ、側壁202の遠位端面214を形成または構成することができる。
【0153】
対向ねじ山220は、レセプタクル210の挿入部開口部211の近くに、および/またはレセプタクル210の挿入部開口部211に長手方向に隣接して設けられる。このようにして、第1の組立て工程で、挿入部110の近位セクション111がレセプタクル210内へ少なくとも特定の範囲まで挿入された後、螺旋形のねじ山120が相補形の螺旋形の対向ねじ山220に係合することを実現することができる。そのような中間組立て構成から開始して、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200のさらなる組立てプロセスは、最終組立て構成に到達するまで、ねじ山120および相補形の対向ねじ山220の螺旋形の形状に従って、第2のハウジング構成要素200に対する第1のハウジング構成要素100の捩り運動を必要とする。
【0154】
最終組立て構成は、停止面114が相補形の対向停止面214に係合することによって特徴付けられる。このとき、近位向きの停止面114は、相補形の対向停止面214に軸方向および/または長手方向に係合または当接することができる。
【0155】
一連の図3図7にさらに示されているように、第1のハウジング構成要素100の側壁102の外面105に、第1のインジケータ108が設けられる。第2のハウジング構成要素200の側壁202の外面205に、相補形または対応する形状の第2の視覚的なインジケータ208がさらに設けられる。第1の視覚的なインジケータ108は、フランジセクション115に隣接するが、挿入部110から長手方向にずれて位置する。第2の視覚的なインジケータ208は、側壁202の遠位端の近くに設けられる。視覚的なインジケータ108、208は、ハウジング構成要素100、200の外面105、205で径方向外方に突出することができる。このようにして、視覚的なインジケータ108、208はさらに触知可能となり、視覚障害のある人にとって有用となることができる。
【0156】
視覚的なインジケータ108および208は、最終組立て構成に到達したとき、したがってねじ連結部140によって、すなわち螺旋形のねじ山120の螺旋形の対向ねじ山220との相互係合配置によって、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200が螺着されたとき、図5に示されているように長手方向(z)に沿って位置合わせされる。
【0157】
螺旋形のねじ山120および螺旋形の対向ねじ山220が整数の回旋を含むとき、第1および第2のインジケータ108、208はまた、始めに、または第1および第2のハウジング構成要素100、200が螺着される前に、螺旋形のねじ山120が螺旋形の対向ねじ山220に入るために必要とされる第1および第2のハウジング構成要素100、200の相互の向きを示すことができる。
【0158】
ハウジング10には、第1および第2のハウジング構成要素100、200の最終組立て構成に到達したとき、またはその後、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200の螺着および/または螺着解除を妨害するように構成された回転ロック160がさらに設けられる。回転ロック160は、第1のハウジング構成要素100上のロッキング構造130と、第2のハウジング構成要素200上の相補形の対向ロッキング構造230とを含む。
【0159】
図6および図7の本明細書に示されている例では、ロッキング構造130は、第1のハウジング構成要素100の近位向きの停止面114に設けられ、対向ロッキング構造230は、第2のハウジング構成要素に設けられまたは一体化された相補形の遠位向きの対向停止面214に設けられる。
【0160】
ロッキング構造130は、歯状プロファイル131を含み、歯状プロファイル131は、対向ロッキング構造230の対向歯状プロファイル231に対して相補形である。図6図11にさらに示されているように、ロッキング構造130および歯状プロファイル131は、近位方向3に突出するまたは近位方向3を向いている少なくとも1つのロッキング歯132を含む。ロッキング歯132は、少なくとも第1または第2のハウジング構成要素100、200の管状の形状の円周方向wに見て非対称である。ロッキング歯132は、第1の円周方向w1を向いている第1の歯面133を含む。ロッキング歯132は、反対の円周方向を向いている、したがって第1の円周方向w1とは反対の第2の円周方向w2に沿って向いている、第2の歯面134をさらに含む。
【0161】
対向歯状プロファイル231は、少なくとも1つの相補形のロッキング凹部232を含む。また、凹部232は、円周方向wに見て非対称のプロファイルまたは非対称の形状である。ロッキング凹部232はまた、凹部232の底部から第1の円周方向w1の方へまたは第1の円周方向w1に沿って延びる第1の側面233を含む。ロッキング凹部232は、ロッキング凹部232の底部から第2の円周方向w2の方へまたは第2の円周方向w2に沿って延びる第2の側面234をさらに含む。第1の歯面133は、円周方向範囲およびフランク角のうちの少なくとも一方によって、特にフランク角の大きさによって、第2の歯面134から区別される。図6に示されているように、第1の歯面133のフランク角は、第2の歯面134のフランク角より小さい。したがって、第2の歯面134は、第1の歯面133より険しい。
【0162】
相補的に、またはそれに応じて、第1の歯面133の円周方向範囲は、第2の歯面134の接線方向範囲より大きい。同様に、ロッキング凹部232の第1の側面233は、ロッキング凹部232の第2の側面234の円周方向範囲より大きい円周方向範囲を含む。それに応じて、第2の側面234は第1の側面233より険しい。
【0163】
歯状プロファイル131および対向歯状プロファイル231のこの相互に対応するが非対称の形状が、第1および第2のハウジング構成要素の組立てプロセスの終わりに回転ロック160を確立および解放するための異なるトルクまたは力を提供する。
【0164】
本明細書に示されている例では、組立てプロセス中、第1のハウジング構成要素100は、第1の円周方向w1に沿って第2のハウジング構成要素200に対する螺旋運動を受ける。一連の図8図11によって示されているように、ロッキング構造130および対向ロッキング構造230が相互に接近するとき、第1の歯面133のみが第1の側面233に沿って係合および摺動する。第1の歯面133および第1の側面233の比較的低いまたは小さいフランク角のため、少なくとも1つのロッキング歯132の先端または頂部が対向歯状プロファイル231の第1の側面233に機械的に摺動接触するときでも、第1および第2のハウジング構成要素のさらなる螺着運動が依然として可能である。
【0165】
ロッキング歯132の頂部が第1の側面233と摺動接触するときでも、第1の円周方向w1に沿った第2のハウジング構成要素200に対する第1のハウジング構成要素100のさらなる螺旋運動が依然として可能であり、歯状プロファイル131および対向歯状プロファイル231は弾性変形を受ける。最終組立て構成に到達する前の歯状プロファイル131および対向歯状プロファイル231の相互の長手方向係合による弾性変形は、第1および第2のハウジング構成要素100、200の螺旋螺着運動を妨害し始める。それに対応して、ねじ連結部を確立するための力またはトルクが徐々に増大する。
【0166】
図10に示されている構成では、第1のハウジング構成要素100を第2のハウジング構成要素200に対してさらに遠くへ動かすために必要な力またはトルクは、ほぼ最大値である。ここで、歯状プロファイル131と対向歯状プロファイル231との間にそれぞれの圧縮力をもたらす第1および第2のハウジング構成要素のねじ係合による長手方向または軸方向の負荷は、比較的大きい。
【0167】
第1のハウジング構成要素100が第1の円周方向w1に沿って第2のハウジング構成要素200に対してさらに回転させられれると、図11に示されているように、ロッキング歯132が後続のロッキング凹部232内にカチッと留まり、したがって係合する。ロッキング歯132は、それぞれのロッキング凹部232に可聴的または触覚的に係合することができる。弾性変形したプロファイル131、231は、初期状態に弛緩することができ、少なくとも1つのロッキング歯132が第1および第2の歯面133、134とともに、相補形のロッキング凹部232およびそれぞれの側面233、234に当接し、またはしっかりと係合する。同時に、最終組立て構成に到達したとき、図11に示されているように、第1および第2のインジケータ108、208は相互に位置合わせされる。
【0168】
図6図11からさらに明らかになるように、ロッキング構造130、したがってその歯状プロファイル131は、ロッキング歯132およびロッキング凹部136の交互配列または交互配置を含む。また、対向歯状プロファイル231は、ロッキング凹部232およびロッキング歯236の対応する形状または相補形の交互配列または交互配置を含む。一連の図8図11によってより詳細に示されているように、歯状プロファイル131の多数のロッキング歯132は、図11に示されている最終組立て構成に到達したとき、対向歯状プロファイル231の相補形のロッキング凹部232に同時に係合する。同時に、または並行して、歯状プロファイル131の多数のロッキング凹部136は、対向歯状プロファイル231の相補形のロッキング歯236に機械的に係合する。
【0169】
図6図11にさらに示されているように、第1の歯面133の円周方向範囲または円周方向長さは、相補形の第1の側面233の円周方向または接線方向の範囲または長さに実質的に等しい。同じことが、第2の歯面134および第2の側面234の円周方向または接線方向の範囲にも当てはまる。同様に、第1の歯面133のフランク角もまた、第1の側面233のフランク角に実質的に等しい。加えて、第2の歯面134のフランク角は、第2の側面234のフランク角に実質的に等しい。
【0170】
図11に示されている最終組立て構成にあるとき、歯状プロファイル131は、対向歯状プロファイル231にしっかりと機械的に係合される。ロッキング歯132、236およびロッキング凹部232、136の非対称の形状のため、歯状プロファイル131および対向歯状プロファイルを機械的に係合させるために、たとえばロッキング構造130の対向ロッキング構造230とのスナップフィット係合を確立するために必要とされるインターロック力またはトルクは、第1および第2のハウジング構成要素を切断するために、したがって第1および第2のハウジング構成要素100、200を螺着解除するために必要な解放力またはトルクより小さい。ねじ連結部140の螺着中、排他的に歯状プロファイル131の第1の歯面133のみが、対向歯状プロファイル231の相補形の第1の側面233に沿って摺動する。
【0171】
最終組立て構成にあるとき、第1および第2のハウジング構成要素を螺着解除するために、比較的険しい第2の歯面134が、第2の側面234に沿って摺動しなければならない。そのような摺動または捩り運動のために、比較的大きい解放力またはトルクが、第2のハウジング構成要素200に対して第2の円周方向w2に沿って第1のハウジング構成要素100に印加されなければならない。
【0172】
ロッキング歯132、236の非対称のプロファイルは、第1および第2のハウジング構成要素100、200のねじ連結部140に対して2倍の回転ロック160を提供する。この非対称のプロファイルは、第1および第2のハウジング構成要素100、200の組立て中のねじ連結部140の締め過ぎを妨害する働きをする。回転ロックは、図11に示されている最終組立て構成から第1および第2のハウジング構成要素を螺着解除するための明確な解放力をさらに提供する。
【0173】
ハウジング10は、挿入部110に設けられた機械的コーディング150と、レセプタクル210内に設けられた機械的対向コーディング250とをさらに備える。機械的コーディング150および機械的対向コーディング250は、第1の機械的コーディング150が対向コーディング250に整合しないとき、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200の相互組立てを防止するように動作可能である。機械的コーディング150は、螺旋形のねじ山120に一体化されたコーディング機能151を含む。機械的対向コーディング250は、螺旋形の対向ねじ山220に一体化された対向コーディング機能251を含む。
【0174】
このようにして、多数のハウジング10のキットを提供することができ、ハウジング10の各々は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。多数のハウジング10のキットは、第1のタイプの機械的コーディング150および機械的対向コーディング250を有する第1のハウジング10を含み、少なくとも第2のタイプの機械的コーディング150’および機械的対向コーディング250’を有する第2のハウジング10をさらに含む。ハウジングは、特定のタイプの機械的コーディングが同じタイプの機械的対向コーディングに排他的に整合するように構成される。
【0175】
機械的コーディング150および機械的対向コーディング250の他のあらゆる組合せ、たとえば第1のタイプの機械的コーディングと別のタイプの機械的対向コーディングとの組合せは、適合していない組合せである。第1および第2のハウジング構成要素の適合していない組合せまたはペアリングの場合、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立ては防止される。たとえば、第1のタイプの機械的コーディング150が設けられた第1のハウジングの第1のハウジング構成要素は、第2のタイプの機械的対向コーディング250’が設けられた第2のハウジングの第2のハウジング構成要素に係合または連結することができず、逆も同様である。
【0176】
コーディング機能151は、螺旋形のねじ山120のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって、またはこれらの組合せによって画成される。それに対応して、対向コーディング機能251は、螺旋形の対向ねじ山220のねじ山タイプ、ねじ山プロファイル、およびねじ山ピッチのうちの少なくとも1つによって、またはこれらの組合せによって画成される。
【0177】
図12に、異なるねじ山タイプの多数の例が示されている。ここで、第1のコーディング機能151を表す第1のねじ山タイプ121は、管用ねじを含む。第2のタイプのコーディング機能151’を表すさらなるねじ山タイプ122は、台形ねじとして実装される。第3のタイプのコーディング機能151”を表す第3のねじ山プロファイル123は、ナックルねじを含む。第4のタイプのコーディング機能151’’’を表す第4のねじ山プロファイル124は、ウィットウォースねじを含む。第5のタイプのコーディング機能151’’’’を表す第5のねじ山プロファイル125は、バットレスねじを含む。
【0178】
異なるタイプのコーディング機能151、151’、151”、151’’’、151’’’’を表す多数のねじ山タイプ121、122、123、124、125のこの図は例示のみを目的とすることに留意されたい。多数のねじ山タイプ121、122、123、124、125の各々に対して、典型的には、相補形の対向ねじ山タイプ221、222、223、224、225も設けられ、これらの相補形の対向ねじ山タイプの各々は、それぞれの対向コーディング機能251、すなわち第1のタイプの対向コーディング機能251、第2のタイプの対向コーディング機能251’、第3のタイプの対向コーディング機能251”、第4のタイプの対向コーディング機能251’’’、または第5のタイプの対向コーディング機能251’’’’を表し、またはそれを含み、以下同様である。
【0179】
それに対応して、一連の図13図17に示されているように、それぞれ螺旋形のねじ山120および螺旋形の対向ねじ山220と実装および一体化された多数のタイプのコーディングおよび対向コーディングを設けることができる。図13に示されているように、第3のタイプの螺旋形のねじ山123は、第1のタイプの螺旋形の対向ねじ山221にペアリングまたは係合することができない。
【0180】
図14に示されているように、第3のタイプの螺旋形のねじ山123は、第2のタイプの螺旋形の対向ねじ山222に係合することができない。
【0181】
同様に、図15に示されているように、第5のタイプの螺旋形のねじ山125は、第3のタイプの螺旋形の対向ねじ山223に係合することができない。
【0182】
図16に示されているように、第1のタイプの螺旋形のねじ山121は、第4のタイプの螺旋形の対向ねじ山224に係合することができず、図17に示されているように、第1のタイプの螺旋形のねじ山121は、第5のタイプの螺旋形の対向ねじ山225に係合することができない。
【0183】
ここで、各ねじ山タイプ121、122、123、124、125は、それぞれの第1、第2、第3、第4、または第5のタイプの機械的コーディングを表し、それを画成する。同じことが、ねじ山タイプによって区別される対向ねじ山221~225にも有効である。
【0184】
ねじ山タイプの示されている変形例の代わりに、機械的コーディング150および機械的対向コーディング250はまた、それぞれの螺旋形のねじ山または螺旋形の対向ねじ山のねじ山プロファイルおよびねじ山ピッチのうちの少なくとも一方によって区別することができ、それによって変わることができる。
【0185】
さらなる例によれば、ねじ山、したがって機械的コーディングは、挿入部110上またはレセプタクル210内のねじ山の数によって、別のねじ山から区別されることも考えられる。ここで、螺旋形のねじ山および相補形の螺旋形の対向ねじ山に対して、多条または回旋状のねじ山を実装することもできる。ねじ山タイプ、ねじ山ピッチ、またはフランク角などの幾何学的特性が異なるさらに変形例を実現することもできる。
【0186】
本明細書に示されている例では、挿入部110は、第1のハウジング構成要素100に設けられ、レセプタクル210は、第2のハウジング構成要素200内に設けられている。本出願の開示の範囲内で、多数のさらなる例が考えられ、挿入部が第2のハウジング構成要素に設けられ、それに対応する形状のレセプタクルが第1のハウジング構成要素に設けられる。同様に、突出物および溝に関連して、または締結要素および対向締結要素に関連して記載されている、径方向に突出する機能および径方向に凹状の機能の特有の実装は、本明細書に示されている例と比べて反転させた形で交換、したがって提供および実装することができる。
【符号の説明】
【0187】
1 注射デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 用量増分方向
5 用量減分方向
6 カートリッジ
7 栓
8 駆動機構
9 用量設定機構
10 ハウジング
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投与量窓
14 カートリッジホルダ
15 注射針
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 保護キャップ
20 ピストンロッド
21 支承部
22 第1のねじ山
23 押さえ
24 第2のねじ山
25 バレル
26 封止部
28 ねじ付ソケット
30 駆動スリーブ
31 ねじ付セクション
32 フランジ
33 フランジ
35 最終用量リミッタ
40 ばね
60 クラッチ
62 挿入部
64 心棒
80 数字スリーブ
81 溝
90 ラチェット機構
91 ラチェット機能
100 ハウジング構成要素
101 連結端
102 側壁
103 窓
105 外面
108 インジケータ
110 挿入部
111 近位セクション
112 端面
114 停止面
115 フランジセクション
116 リム
120 螺旋形のねじ山
121 ねじ山タイプ
122 ねじ山タイプ
123 ねじ山タイプ
124 ねじ山タイプ
125 ねじ山タイプ
130 ロッキング構造
131 歯状プロファイル
132 ロッキング歯
133 歯面
134 歯面
136 ロッキング凹部
140 ねじ連結部
150 機械的コーディング
151 コーディング機能
160 回転ロック
200 ハウジング構成要素
201 連結端
202 側壁
203 内面
205 外面
208 インジケータ
210 レセプタクル
211 挿入部開口部
214 停止面
216 リム
220 螺旋形の対向ねじ山
221 ねじ山タイプ
222 ねじ山タイプ
223 ねじ山タイプ
224 ねじ山タイプ
225 ねじ山タイプ
230 対向ロッキング構造
231 対向歯状プロファイル
232 ロッキング凹部
233 側面
234 側面
236 ロッキング歯
250 機械的対向コーディング
251 対向コーディング機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】