(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】注射デバイスのためのハウジング構成要素
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A61M5/315 550A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567937
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022061647
(87)【国際公開番号】W WO2022233756
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ベアーテ・フランケ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フレッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066HH02
4C066HH12
4C066LL22
(57)【要約】
注射デバイスのためのハウジング構成要素。本開示は、薬物送達デバイス(1)のハウジング(10)に関し、ハウジング(10)は:薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成され、第1の連結端(101)を含む第1のハウジング構成要素(100)と、薬物送達デバイス(1)の駆動機構(8)を収容するように構成され、第2の連結端(201)を含む第2のハウジング構成要素(200)と、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、側壁(202)によって制限され、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)であって、挿入部(110)は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)を相互に締結するように、長手方向(z)に沿ってレセプタクル(210)内へ挿入可能である、レセプタクル(210)と、挿入部(110)に設けられた締結要素(120)と、締結要素(120)に対して相補形であり、ロック位置と解放位置との間で側壁(202)に回転可能に支持された対向締結要素(220)と、挿入部(110)に設けられ、少なくとも1つのコーディング機能(151)を含む機械的コーディング(150)と、レセプタクル(210)内に設けられ、少なくとも1つの対向コーディング機能(251)を含む機械的対向コーディング(250)とを含み、ここで、機械的コーディング(150)が機械的対向コーディング(250)に整合しないとき、機械的コーディング(150)および機械的対向コーディング(250)は:i)締結要素(120)の対向締結要素(220)との係合、またはii)レセプタクル(210)内への挿入部(110)の挿入のうちの少なくとも一方を防止するように動作可能である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)のハウジング(10)であって:
薬剤が充填されたカートリッジ(6)を収容するように構成され、第1の連結端(101)を含む第1のハウジング構成要素(100)と、
薬物送達デバイス(1)の駆動機構(8)を収容するように構成され、第2の連結端(201)を含む第2のハウジング構成要素(200)と、
第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方に設けられた挿入部(110)と、
側壁(202)によって制限され、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの他方に設けられたレセプタクル(210)であって、挿入部(110)は、第1のハウジング構成要素(100)および第2のハウジング構成要素(200)を相互に締結するように、長手方向(z)に沿ってレセプタクル(210)内へ挿入可能である、レセプタクル(210)と、
挿入部(110)に設けられた締結要素(120)と、
該締結要素(120)に対して相補形であり、ロック位置と解放位置との間で側壁(202)に回転可能に支持された対向締結要素(220)と、
挿入部(110)に設けられ、少なくとも1つのコーディング機能(151)を含む機械的コーディング(150)と、
レセプタクル(210)内に設けられ、少なくとも1つの対向コーディング機能(251)を含む機械的対向コーディング(250)とを含み、
ここで、機械的コーディング(150)が機械的対向コーディング(250)に整合しないとき、機械的コーディング(150)および機械的対向コーディング(250)は:
i)締結要素(120)の対向締結要素(220)との係合、または
ii)レセプタクル(210)内への挿入部(110)の挿入
のうちの少なくとも一方を防止するように動作可能である、前記ハウジング。
【請求項2】
締結要素(120)および対向締結要素(220)のうちの一方は、径方向突起(224)を含み、締結要素(120)および対向締結要素(220)のうちの他方は、締結溝(124)を含む、請求項1に記載のハウジング(10)。
【請求項3】
締結溝(124)は、第1の溝部分(125)および第2の溝部分(126)を含み、第1の溝部分(125)は、長手方向(z)に沿って延び、第2の溝部分(126)は、円周方向(w)に沿って延び、第1の溝部分(125)に合流する、請求項2に記載のハウジング(10)。
【請求項4】
第1の溝部分(125)は、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方の長手方向端面(112;214)に隣接する、請求項3に記載のハウジング(10)。
【請求項5】
第2の溝部分(126)は、第1の連結端(101)および第2の連結端(201)のうちの一方の長手方向端面(112;214)から長手方向距離をあけて、第1の溝部分(125)に合流する、請求項3または4に記載のハウジング(10)。
【請求項6】
締結要素(120)は、スナップ要素(121)を含み、対向締結要素(220)は、該対向締結要素(220)がロック位置に到達したときにスナップ要素(121)に係合するための対向スナップ要素(231)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項7】
側壁(202)は、対向締結要素(220)を解放位置で固定するように動作可能な第1の保持部(245)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項8】
側壁(202)は、対向締結要素(220)をロック位置で固定するように動作可能な第2の保持部(247)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項9】
対向締結要素(220)は、第1の保持部(245)および第2の保持部(247)のうちの少なくとも一方に対して相補形の対向保持部(225)を含み、該対向保持部(225)は、第1の保持部(245)および第2の保持部(247)のうちの少なくとも一方とのスナップフィット連結を形成するように構成される、請求項7または8に記載のハウジング(10)。
【請求項10】
第1の保持部(245)、第2の保持部(247)、および対向保持部(225)のうちの1つは、径方向突起(235)を含み、第1の保持部(245)、第2の保持部(247)、および対向保持部(225)のうちのもう1つは、径方向突起(235)に対して相補形の径方向凹部(246、248)を含む、請求項9に記載のハウジング(10)。
【請求項11】
締結要素(120)は、挿入部(110)の外面(105)に設けられた締結溝(124)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のハウジング。
【請求項12】
コーディング機能(151)および対向コーディング機能(251)のうちの一方は、径方向コーディング突出物(154、252)を含み、コーディング機能(151)および対向コーディング機能(251)のうちの他方は、径方向コーディング突出物(154、252)を摺動可能に受けるような形状の長手方向に延びるコーディングスロット(152、254)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項13】
機械的コーディング(150)は:
コーディング機能(251)の数
挿入部(110)上のコーディング機能(251)の円周方向位置、
挿入部(110)上のコーディング機能(251)の円周方向範囲、
挿入部(110)上のコーディング機能(251)の径方向範囲、および
長手方向(z)を横断する平面内のコーディング機能(251)の断面の幾何形状または形状
のうちの少なくとも1つによって画成される、請求項1~12のいずれか1項に記載のハウジング(10)。
【請求項14】
薬剤の用量を注射するための注射デバイスであって:
請求項1~13のいずれか1項に記載のハウジング(10)と、
ハウジング(10)の内側に配置されたカートリッジ(6)であって、薬剤が充填されたバレル(25)を含み、該バレルは、可動の栓(7)によって長手近位方向(3)に封止されている、カートリッジ(6)と、
ハウジング(10)の内側に配置された駆動機構(8)であって、カートリッジ(6)の栓(7)に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッド(20)を含む駆動機構(8)とを含む、前記注射デバイス。
【請求項15】
少なくとも請求項1~13のいずれか1項に記載の第1のハウジング(10)および請求項1~13のいずれか1項に記載の第2のハウジング(10’)のキットであって、第1のハウジング(10)のコーディング機能(151)は:
コーディング機能(251)の数
挿入部(110)上の円周方向位置、
挿入部(110)上の円周方向範囲、
挿入部(110)上の径方向範囲、および
長手方向(z)を横断する平面内の断面の幾何形状または形状
のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジング(10’)のコーディング機能(151’)から区別される、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスおよびシステムの分野に関し、詳細には、液体薬剤を注射するための注射デバイスに関する。より詳細には、本開示は、概して複数の構成要素を含むハウジングを含む薬物送達デバイスおよびシステムを対象とし、1つのハウジング構成要素が、カートリッジなどの薬剤容器を収容するように構成され、別のハウジング構成要素が、薬剤容器に動作可能に係合して薬剤の用量を排出するまたは引き抜くための駆動機構を収容するように構成される。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体当技術分野ではよく知られている。概して、そのようなデバイスは、通常のシリンジの目的と実質的に類似した目的を有する。
【0003】
ペン型注射器などの薬物送達デバイスは、使用者特有の複数の要件を満たさなければならない。たとえば、患者が糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、患者は身体的に虚弱である可能性があり、視覚障害を患っている可能性もある。したがって、特に家庭用医薬品向けの好適な薬物送達デバイスは、構造上頑強である必要があり、容易に使用できるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取扱いは、分かりやすく容易に理解できるべきである。そのような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定および次の投薬を提供するべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬の手順は、容易に操作できて明快でなければならない。
【0004】
特定の疾患を患っている患者は、特定の量の薬剤がペン型注射シリンジを介して注射されること、またはポンプを介して注入されることを必要とすることがある。再利用可能な注射または送達デバイスに関して、患者はカートリッジを装填または交換しなければならないことがある。再利用可能な注射デバイスは、典型的には、複数の構成要素を含むハウジングを含む。たとえば、ハウジングは、本体などの近位ハウジング構成要素と、本体に取外し可能に連結可能なカートリッジホルダなどの遠位ハウジング構成要素とを含むことがある。カートリッジなどの薬剤容器内に提供された薬剤が空になった後、カートリッジホルダは注射デバイスの本体から切り離され、空のカートリッジが取り外されて、新しいカートリッジと交換されうる。
【0005】
別の問題は、カートリッジが本質的に標準的なサイズで製造され、特定の認められた地域的および国際的な規格に準拠するように製造されることに起因しうる。その結果、そのようなカートリッジは、典型的には標準的なサイズのカートリッジ(たとえば、3mlのカートリッジ)で供給される。したがって、様々なカートリッジが複数の異なる供給業者によって供給され、異なる薬剤を収容するが、単一の薬物送達デバイスに適合することがある。一例であるが、第1の供給業者からの第1の薬剤を収容する第1のカートリッジが、第2の供給業者によって提供される薬物送達デバイスに適合することがある。したがって、使用者は、薬物送達デバイスに間違った薬剤を装填することが可能になり、このとき、その医療用送達デバイスがおそらくそのようなカートリッジ向けに設計されていない、またはそのようなカートリッジとともに使用されることが意図されていないことに気付くことなく、前記薬剤(速効型インスリンまたは基礎インスリンなど)を投薬するおそれがある。
【0006】
したがって、使用者、医療提供者、介護者、規制当局、および医療用デバイス供給業者から、使用者が間違った薬物タイプを薬物送達デバイスに装填するという潜在的なリスクを低減させたいという要求が高まっている。間違った薬剤(または誤った濃度の薬剤)をそのような薬物送達デバイスから投薬するリスクを低減させることも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、望ましくないカートリッジの相互使用を防止するために、カートリッジおよび/またはカートリッジホルダを、その薬物タイプに対して物理的に専用のものにし、または機械的にコーディングし、カートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダ上にもしくはカートリッジおよび/もしくはカートリッジホルダとともに設けられた専用のもしくはコーディングされた機能のみを受け入れる、またはそのような機能のみと動作する注射デバイスを設計することが、一般に必要とされている。同様に、医療用送達デバイスが特有の薬剤を収容する認可されたカートリッジのみとともに使用されることを可能にしながら、望ましくないカートリッジの相互使用を防止する専用のカートリッジも、一般に必要とされている。
【0008】
薬物送達デバイスが複数の構成要素を含むハウジングを含み、たとえば第1および第2のハウジング構成要素を有するとき、ハウジング構成要素間にフェイルセーフで明確な機械的連結を提供することも望ましく、これらのハウジング構成要素は、取外し可能または取外し不能に連結可能とすることができる。ここで、本開示は、薬物送達デバイスの第1および第2のハウジング構成要素の連結および切断に対する改善を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本開示は、薬物送達デバイスのハウジング、特に手持ち式の注射ペンなどの注射デバイスのハウジングに関する。ハウジングは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された第1のハウジング構成要素を含む。第1のハウジング構成要素は、第1の連結端を含む。ハウジングは、第2のハウジング構成要素をさらに含む。第2のハウジング構成要素は、薬物送達デバイスの駆動機構を収容するように構成される。典型的には、駆動機構は、長手方向に延びるピストンロッドを含み、ピストンロッドは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合して、カートリッジから薬剤の用量を排出するように構成される。
【0010】
第2のハウジング構成要素は、第2の連結端を含む。典型的には、第1の連結端は、第2の連結端に連結可能であり、薬物送達デバイスのハウジングを形成または構成する。いくつかの例では、第1のハウジング構成要素は、細長いまたは管状のハウジング構成要素であり、長手方向近位端に第1の連結端を含む。第2のハウジング構成要素もまた、管状または細長い形状とすることができる。第2の連結端は、第2のハウジング構成要素の長手方向遠位端に位置することができる。
【0011】
第1の連結端および第2の連結端のうちの一方に、挿入部がさらに設けられる。挿入部は、典型的には、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素と一体形成される。第1の連結端および第2の連結端のうちの他方に、レセプタクルがさらに設けられる。レセプタクルは、第1の連結端および第2の連結端のうちの他方の側壁によって制限される。挿入部は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を相互に締結するために、ならびに/または薬物送達デバイスのハウジングを形成もしくは確立するために、長手方向に沿ってレセプタクル内へ挿入可能である。典型的には、レセプタクルは、第1および第2の連結端のうちの一方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。挿入部は、第1および第2の連結端のうちの他方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。
【0012】
レセプタクルは、挿入部を受け入れるようなサイズおよび形状の内側断面を含む。典型的には、レセプタクルの内径または内側断面は、挿入部の外径または外側断面に密接に整合する。
【0013】
ハウジングは、挿入部に設けられた締結要素を含む。ハウジングは、締結要素に対して相補形の対向締結要素をさらに含み、対向締結要素は、ロック位置と解放位置との間で側壁上に回転可能に支持される。締結要素および対向締結要素は、挿入部をレセプタクルに固定するように相互に係合可能である。したがって、締結要素が相補形の対向締結要素に機械的に係合されることによって、第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に固定することができ、逆も同様である。
【0014】
典型的には、締結要素および対向締結要素の相互係合は、対向締結要素を解放位置からロック位置へ回転または旋回させることによって得られる。ここで、対向締結要素は、締結要素に対して回転または旋回させることができる。典型的には、締結要素および対向締結要素は、第1および第2のハウジング構成要素の2段階または2工程の組立てを有効にしてそれを支持する。第1の組立て工程中、挿入部は、最終挿入位置に到達するまで、レセプタクル内へ長手方向に挿入される。この第1の組立て工程中、対向締結要素は解放位置にあり、解放位置に留まる。挿入位置に到達したとき、または到達した後、対向締結要素は、解放位置からロック位置に向かってロック位置内へ回転可能または旋回可能であり、それによって締結要素および対向締結要素を相互係合し、第1および第2のハウジング構成要素を互いに対して固定する。
【0015】
さらなる例によれば、対向締結要素は、挿入部がレセプタクル内で最終挿入位置に到達したときのみ、ロック位置内へ回転可能または可動である。このようにして、機械的コーディングが機械的対向コーディングに整合しないとき、より直接的かつ明確なフィードバックが使用者へ提供される。次いで、締結要素を対向締結要素と係合すること、および/または対向締結要素をロック位置内へ回転させもしくは動かすことを、恒久的に阻止することができる。
【0016】
したがって、締結要素および対向締結要素の相互作用は、挿入部がレセプタクル内で最終挿入位置に到達したときのみ、対向締結要素がロック位置内へ回転可能または可動になるという機能を提供することができる。このようにして、挿入部がレセプタクル内へ完全および/または正確に挿入されたときのみ、第1のハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間の機械的連結を確立することができることが確実になる。
【0017】
さらなる例によれば、最終挿入位置に到達する前のレセプタクル内における挿入部の他のすべての長手方向位置において、解放位置からロック位置への対向締結要素の動きを阻止することができる。このようにして、対向締結要素の解放位置からロック位置および/またはロック位置内への早すぎる意図しない伝達を実質的に防止することができる。
【0018】
ハウジングは、挿入部に設けられた機械的コーディングをさらに含む。機械的コーディングは、少なくとも1つのコーディング機能を含む。ハウジングは、レセプタクル内に設けられた機械的対向コーディングをさらに含み、機械的対向コーディングは、少なくとも1つの対向コーディング機能を含む。
【0019】
機械的コーディングは、機械的対向コーディングに対して相補形であり、または機械的対向コーディングに対応する形状であり、機械的対向コーディングともに、共通のタイプの1対の整合するコーディングおよび対向コーディングを形成または構成することができる。機械的コーディングが機械的対向コーディングに整合しないとき、すなわち機械的コーディングが第1のタイプであり、かつ機械的対向コーディングが第2のタイプであるとき、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、締結要素の対向締結要素との係合を防止するように、および/またはレセプタクル内への挿入部の挿入を防止するように構成され、したがってそのように動作可能である。いずれにしても、1対の機械的コーディングおよび機械的対向コーディングが整合しない場合、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立ておよび/または固定は実質的に防止される。
【0020】
概して、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素の相互組立ては、第1のハウジング構成要素が第2のハウジング構成要素の相補形の機械的対向コーディングに整合する機械的コーディングを備えるときのみ可能である。
【0021】
このようにして、異なる薬物送達デバイスに対する異なるハウジングは、類似またはさらには同一の外側形状を有するがコーディングおよび対向コーディングによって区別される第1および第2のハウジング構成要素を備えうる。このようにして、たとえば第1のタイプのハウジングの第1のハウジング構成要素の第2のタイプのハウジングの第2のハウジング構成要素との意図しない相互使用を実質的に防止することができる。挿入部の機械的コーディングがレセプタクル内の機械的対向コーディングに整合するときのみ、第1および第2のハウジング構成要素を相互に連結して相互に固定するための第1および第2のハウジング構成要素間の機械的連結を確立することができる。機械的コーディング、たとえば第1のタイプの機械的コーディングの、たとえば第2または第3のタイプの整合しない機械的対向コーディングとの他のすべてのペアリングまたは組合せの場合、挿入部をレセプタクル内へ固定または挿入することはできない。このとき、第1および第2のハウジング構成要素の相互組立ておよび/または固定は実質的に防止される。
【0022】
整合しないハウジング構成要素の第1の連結端の第2の連結端との相互係合の防止は、少なくとも2つの異なる方法で実質的に実現することができる。いくつかの例によれば、機械的コーディングおよび整合しない機械的対向コーディングは、長手方向に沿ったレセプタクル内への挿入部の少なくとも部分的な挿入または完全な挿入を防止するように構成される。ここで、挿入部上のコーディングがレセプタクルの対向コーディングに整合しないことによって、挿入部がレセプタクルに入ることを機械的に阻止することができる。別法として、挿入部は、レセプタクルに入るようなサイズおよび形状とすることができるが、このとき対向コーディングに整合しないコーディングは、締結要素の対向締結要素との係合を防止するように構成される。実質的に、コーディングが対向コーディングに整合しない場合、第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に連結または固定することはできない。
【0023】
ハウジングのさらなる例によれば、締結要素および対向締結要素のうちの一方は、径方向突起を含む。締結要素および対向締結要素のうちの他方は、締結溝を含む。いくつかの例では、挿入部は、外面に径方向突起を含み、対向締結要素は、内向き面に相補形の締結溝を含む。他の例では、締結要素は、挿入部の側壁の外面に締結溝を含み、対向締結要素は、内面に相補形の径方向突起を含む。ここで、径方向突起は、対向締結要素の内面から径方向内方に突出して延びる。
【0024】
それぞれ挿入部およびハウジングの相互に対応する側壁部に径方向突起および締結溝を設けることで、レセプタクル内に挿入部の入れ子状の配置が実現され、それが可能になる。典型的には、挿入部の外面に締結要素を設け、かつ締結要素に機械的に係合する対向締結要素の少なくとも一部分をレセプタクルの内側に設けたとき、対向締結要素および締結要素の相互作用する機械部材は、ハウジングの外側から見えない。このようにして、締結要素および対向締結要素の相互に係合する機械的構成要素は隠され、ハウジングの外観に寄与しない。
【0025】
典型的には、締結溝は、締結溝が設けられるそれぞれの構成要素の側壁の径方向厚さより小さい径方向深さを含む。締結溝が挿入部の側壁に設けられたとき、締結溝の径方向深さは、挿入部の側壁の厚さより小さい。このようにして、締結溝は、それぞれのハウジング構成要素の構造的脆弱化に対して最小の影響しか与えない。締結溝は、それぞれのハウジング構成要素の側壁を通って径方向に延びる貫通口を含まない。このようにして、溝または同様の締結構造がそれぞれのハウジング構成要素の側壁を完全に貫通する解決策と比べて、締結溝が設けられたそれぞれのハウジング構成要素の機械的剛性および安定性を改善することができる。
【0026】
さらなる例によれば、締結溝は、第1の溝部分および第2の溝部分を含む。第1の溝部分は長手方向に沿って延び、第2の溝部分は円周方向に沿って延びる。第2の溝部分は、第1の溝部分に合流する。
【0027】
第1の溝部分および第2の溝部分を有する溝を設けることによって、締結要素および対向締結要素のうちの一方にL字形の溝のようなものを設けることができる。溝は、2つの工程を含む組立てプロセスを提供および画成する。典型的には、締結要素および対向締結要素のうちの一方の径方向突起は、第1の組立て工程または第1の組立て段階中に第1の溝部分に沿って摺動するような形状および/または構成である。この第1の組立て工程中、対向締結要素は解放位置にあり、解放位置に留まり、したがって第1の溝部分に沿った径方向突起の妨げられない長手方向の摺動が実現される。
【0028】
径方向突起が第1の溝部分内の端位置に到達したとき、挿入部およびレセプタクルは、典型的には最終挿入位置にある。次いで、第2の組立て工程中、対向締結要素は、たとえば対向締結要素を側壁に対して円周方向または接線方向に回転させることによって、解放位置からロック位置に向かってロック位置内へ回転可能である。この第2の組立て工程中、径方向突起は第2の溝部分に沿って摺動する。実質的に、第1の組立て工程中、径方向突起は第1の方向に沿った摺動運動を受ける。第2の組立て工程中、径方向突起は第2の方向に沿った摺動運動を受ける。第1および第2の方向は、典型的には、締結溝の形状によって画成される。第1の溝部分の範囲に沿って延びる第1の方向は、第2の溝部分の範囲に沿って延びる第2の方向に直交することができる。
【0029】
典型的には、さらなる例では、第1および第2のハウジング構成要素は、機械的コーディングが機械的対向コーディングに係合されることによって、互いに対して回転不能にロックすることができる。ここで、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、2倍または2重の機能を提供することができる。第1の態様では、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、異なるタイプの薬物送達デバイスのハウジングに属する1対の整合しない第1および第2のハウジング構成要素の組立てを防止することができる。第2の態様では、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングは、挿入部およびレセプタクルの固定係合を含み、そのような固定係合を形成または構成することができ、それによって挿入部をレセプタクル内へ長手方向に挿入したとき、挿入部をレセプタクルに回転不能にロックすることができ、したがってそれによって第1のハウジング構成要素を第2のハウジング構成要素に回転不能にロックすることができる。
【0030】
さらなる例によれば、第1の溝部分は、第1の連結端および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に隣接する。典型的には、第1の溝部分は、第2のハウジング構成要素または第1のハウジング構成要素の側壁の長手方向端の長手方向端面に隣接する。締結溝が第1のハウジング構成要素の挿入部に設けられたとき、第1の溝部分は、第1のハウジング構成要素の側壁の近位端面に隣接する。溝が第2のハウジング構成要素に設けられたとき、第1の溝部分は、第2のハウジング構成要素の側壁の遠位に位置する長手方向端面に隣接する。
【0031】
締結溝が第1の連結端および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に隣接するとき、第1の連結端および第2の連結端のうちの他方の相補形の径方向突起は、挿入部をレセプタクル内へ挿入したとき、それぞれの第1の溝部分に容易に係合し、それぞれの第1の溝部分に入ることができる。これにより、たとえば第1の組立て工程中、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素のより平滑な長手方向の摺動および挿入が実現される。
【0032】
さらなる例によれば、第2の溝部分は、第1および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面から長手方向距離をあけて、第1の溝部分に合流する。典型的には、第2の溝部分は、第1および/または第2のハウジング構成要素の管状の形状に対して円周方向または横断方向に沿って延びる。第1および/または第2の溝部分に係合するように構成された径方向の突出物または突起の場合、第1および第2のハウジング構成要素が最終挿入位置に到達したとき、突出物または突起が第2の溝部分と円周方向に位置合わせされることが必要とされ、そのように意図される。
【0033】
いくつかの例では、第2の溝部分は、第1の溝部分の長手方向端に合流する。第1の溝部分の長手方向端は、典型的には、第1および第2の連結端のうちの一方から長手方向にずれて位置する。いくつかの例では、第1の溝部分は、より直線で細長い形状である。第1の溝部分は、それぞれ第1または第2のハウジング構成要素のうちの一方の第1および第2の連結端のうちの一方の長手方向端面に一致する第1の長手方向端を有する。第1の溝部分は、第2の溝部分に合流する第2の長手方向端を含む。第1の溝部分の第2の長手方向端は、第1の溝部分の第1の長手方向端とは反対に位置する。
【0034】
このようにして、互いに実質的に直交して延びる第1および第2の溝部分を有するL字形の溝を設けることができる。
【0035】
さらなる例によれば、締結要素は、スナップ要素を含む。対向締結要素は、対向締結要素がロック位置に到達したときにスナップ要素に係合するための対向スナップ要素を含む。スナップ要素および対向スナップ要素は、締結要素と対向締結要素との間のフォームフィット係合を確立しまたはそれに寄与するような形状および構成である。ここで、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、径方向突起として実装することができ、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの他方は、径方向突起または突出物を受けるための径方向凹部として構成することができる。
【0036】
スナップ要素および対向スナップ要素の相互係合は、使用者が対向締結要素をロック位置に向かってロック位置内へ回転させるための可聴、触覚、または他の形で触知可能なフィードバックを伴うことができる。スナップ要素および対向スナップ要素の相互係合によって提供されるそのような触知可能なフィードバック信号は、対向締結要素のロック位置に到達したこと、ならびに第1および第2のハウジング構成要素が互いにしっかりと取り付けられたことを使用者に示すのに有益である。
【0037】
さらなる例によれば、少なくともスナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、径方向に弾性変形可能である。これは、スナップ要素および対向スナップ要素が相補形の径方向突起および径方向凹部を含むときに特定に有益である。
【0038】
さらなる例によれば、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、第2の溝部分内に位置する。このようにして、締結要素および対向締結要素のうちの一方の径方向突起が、相補形のスナップ要素または対向スナップ要素に係合するまで第2の溝部分に沿って摺動するとき、それぞれの相互係合を得ることができる。
【0039】
いくつかの例では、スナップ要素は、第2の溝部分内に位置する。スナップ要素は、第2の溝部分の底部または側壁もしくは側縁に設けることができる。たとえば、スナップ要素は、第2の溝部分の底部内に径方向凹部または径方向突起として実装することができる。別法として、スナップ要素は、第2の溝部分の側壁または側縁から内方に突出する突起として実装することができる。スナップ要素を第2の溝部分内に実装することで、それぞれのスナップ要素のより小型の設計のための多数の可能性および選択肢が提供される。
【0040】
さらなる例によれば、スナップ要素および対向スナップ要素のうちの一方は、第1の溝部分とは反対に位置する第2の溝部分の長手方向端に位置する。第2の溝部分の長手方向端は、第2の溝部分の終端を提供または形成することができる。第2の溝部分の長手方向端は、第2の溝部分の第1の円周方向端を画成することができ、第2の溝部分の第1の円周方向端は、第2の溝部分の第2の円周方向端とは反対に位置する。典型的には、第2の溝部分の第2の円周方向端は、第1の溝部分に合流することができる。ここで、第2の溝部分は円周方向に延びるため、第2の溝部分の長手方向端は、第1の溝部分から円周方向および/または接線方向にずれて位置することができる。
【0041】
別の例によれば、スナップ要素は、第2の溝部分内に径方向凹部を含み、対向スナップ要素は、スナップ要素の径方向凹部に係合するための径方向突起を含む。ここで、いくつかの例では、対向スナップ要素は、対向締結要素の径方向突起に一致することができる。代替の例では、スナップ要素が、第2の溝部分内に突起を含み、対向スナップ要素が、スナップ要素の径方向突起に係合するための相補形の凹部を含む。ここで、スナップ要素は、第2の溝部分に沿って摺動するような形状および構成である対向スナップ要素の相補形の凹状構造に係合するように、第2の溝部分の底部または第2の溝部分の側縁から内方に突出する突起を含むことができる。
【0042】
さらなる例によれば、側壁は、対向締結要素を解放位置で固定するように動作可能な第1の保持部を含む。第1の保持部によって、対向締結要素を解放位置で維持することができる。このようにして、側壁に対する対向締結要素の制御されないまたは自動の回転または動きを実質的に防止することができる。これは、第1および第2のハウジング構成要素が切断されたときに特に有益となりうる。切断されたとき、第1の保持部は、対向締結要素を解放位置で維持するように動作可能である。挿入部をレセプタクル内へ挿入し、並行して径方向突起を第1の溝部分内へ挿入するために、対向締結要素が解放位置にあり、解放位置に留まることが必要とされることがある。第1の保持部によって、対向締結要素が解放位置にあり、解放位置に留まることを確実にすることができる。このとき、レセプタクル内への挿入部の平滑な挿入、ならびに第1の溝部分内への第1の溝部分に沿った径方向突起の挿入を実現することができる。
【0043】
さらなる例によれば、側壁は、対向締結要素をロック位置で固定するように動作可能な第2の保持部を含む。このようにして、ロック位置から解放位置への対向締結要素の制御されないまたは自動の動きを実質的に防止することができる。したがって、締結要素および対向締結要素の制御されない解放を実質的に防止することができる。
【0044】
第2の保持部は、レセプタクルを制限する側壁の円周に沿って、第1の保持部から分離することができる。このようにして、側壁が第1および第2の保持部を備えるとき、対向締結要素を解放位置ならびにロック位置で固定することができる。
【0045】
さらなる例によれば、対向締結要素は、第1の保持部および第2の保持部のうちの少なくとも一方に対して相補形の対向保持部を含む。対向保持部は、第1の保持部および第2の保持部のうちの少なくとも一方とのスナップフィット連結を形成するように構成される。側壁が第1および第2の保持部を備えるとき、対向保持部は、対向締結要素がロック位置および解放位置のうちの一方にあるとき、第1の保持部および第2の保持部の両方に選択的に係合するような形状および構成である。
【0046】
対向保持部と第1および第2の保持部のうちの少なくとも一方との間のスナップフィット連結は、対向締結要素がロック位置および解放位置のうちの一方にあるという可聴および/または触覚フィードバックを使用者に提供することができる。このようにして、対向締結要素の瞬時の状態、場所、または構成に関する明確なフィードバックが使用者に提供される。
【0047】
さらなる例によれば、第1の保持部および第2の保持部は、ある程度等しい形状または幾何形状を含むことができる。第1の保持部および第2の保持部は、対向保持部に等しくかつ機械的に係合することができる。
【0048】
いくつかの例では、第1の保持部および第2の保持部は、断面の形状または幾何形状に関して区別することができる。第1および第2の保持部が異なる幾何形状を含むとき、対向保持部の第1および第2の保持部のうちのいずれかとのスナップフィット連結を確立および/または解消するために、異なる係合力および/または解放力を提供することができる。たとえば、対向保持部と第1の保持部との間のスナップフィット連結を確立するための力は、対向保持部と第2の保持部との間のスナップフィット連結を確立または解放するために必要とされる力より小さくすることができる。このようにして、対向締結要素をロック位置から解放位置へ伝達するために、異なる解放力を提供することができる。この力は、対向締結要素を解放位置からロック位置に向かってロック位置内へ伝達するために必要とされる力と比べて、実質的により大きくすることができる。このとき、第1および第2のハウジング構成要素の相互締結を確立することは、相互連結を解消するより容易に行うことができる。
【0049】
さらなる例によれば、第1の保持部、第2の保持部、および対向保持部のうちの1つは、径方向突起を含む。第1の保持部、第2の保持部、および対向保持部のうちのもう1つは、径方向突起に対して相補形の径方向凹部を含む。径方向凹部が径方向突起に係合するとき、対向保持部は、第1および第2の保持部のうちの一方に係合される。典型的には、第1の保持部および第2の保持部は、共通のタイプのスナップフィット機能を含む。したがって、対向保持部が径方向突起を含むとき、第1の保持部および第2の保持部はどちらも、径方向凹部を含む。対向保持部が径方向凹部を含むとき、第1の保持部および第2の保持部の両方が各々、径方向突起を含む。
【0050】
いくつかの例では、第1の保持部および第2の保持部は、レセプタクルを制限する側壁の外面に設けられる。第1の保持部および第2の保持部は、第2のハウジング構成要素の外側に位置することができる。対向保持部は、対向締結要素の内面に設けられる。対向締結要素は、レセプタクルを制限する側壁を取り囲むスリーブまたはリングを含むことができる。ここで、対向保持部は、対向締結要素の側壁から径方向内方に突出する、たとえば対向締結要素のスリーブまたはリングの側壁から内方に突出する、径方向突起を含むことができる。
【0051】
さらなる例によれば、ハウジングは、第2の溝部分内に位置する第3の保持部を含み、第3の保持部は、対向締結要素をロック位置で固定するように動作可能である。第3の保持部によって、第2の保持部が余分になることがある。したがって、第3の保持部は、第2の保持部の代わりに設けることができる。
【0052】
さらなる例では、第3の保持部は、第2の溝部分内に位置するスナップ要素によって提供することができる。対向スナップ要素は、対向締結要素をロック位置で固定するように動作可能なスナップ要素に係合する。この例では、概略的であるが、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングが第1および第2のハウジング構成要素の回転ロックを提供するとき、特に有益である。ここで、機械的コーディングは、機械的対向コーディングに固定係合することができる。固定係合は、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の長手方向摺動運動を提供することができるが、第2のハウジング構成要素に対する第1のハウジング構成要素の回転は防止および/または妨害する。
【0053】
別の例によれば、締結要素は、挿入部の外面に設けられた締結溝を含む。締結溝が挿入部の外面に設けられるとき、挿入部は、径方向外方に突出するいかなる突出物も含まない。これにより、長手方向におけるレセプタクル内への挿入部のより容易な挿入が可能になり、それが支持される。上述したように、締結溝は、挿入部の側壁の厚さより小さい径方向深さを含むことができる。このようにして、挿入部は、その側壁内に貫通口または貫通凹部を含まない。それに応じて、挿入部の機械的安定性および剛性または堅さを改善することができる。
【0054】
さらなる例によれば、対向締結要素は、レセプタクルを制限する側壁の外面に回転可能に支持されたロッキングリングまたはロッキングスリーブを含む。いくつかの例では、ロッキングリングは、第2のハウジング構成要素の側壁の外面に設けることができる。ロッキングリングまたはロッキングスリーブは、レセプタクルを制限する側壁に長手方向に固定または拘束することができ、たとえば第2の連結端に軸方向にロックすることができる。ロッキングリングが側壁に対して長手方向に動くことを妨げることができる。ロッキングリングは、管状のハウジング構成要素または連結端の対称軸に対して実質的に平行に延びる回転軸に関して、側壁に対して回転または旋回することができる。
【0055】
レセプタクルを制限する側壁の外面にロッキングリングを設けることは、ロッキングリングへの直接かつ即座のアクセスを実現するのに有益である。ロッキングリングは、使用者がハウジングの外側から操作し、取り扱い、したがって回転させることができる。
【0056】
さらなる例によれば、対向締結要素は、径方向突起を含む。径方向突起は、第2のハウジング構成要素の側壁の円周方向に延びるスロットを通って径方向内方に延びる。典型的には、径方向突起は、ロッキングリングまたはロッキングスリーブの側壁の内面から径方向内方に突出して延びる。径方向突起の径方向範囲は、少なくとも径方向突起が通って延びるスロットにすぐ近接する領域において、第2のハウジング構成要素の側壁の厚さより大きい。
【0057】
このようにして、ロッキングリングまたはロッキングスリーブが側壁に組み立てられたとき、径方向突起は、径方向突起の自由端が側壁の内面から径方向内方に突出してレセプタクル内へ径方向に延びる程度まで、円周方向に延びるスロットを通って径方向に延びる。少なくとも径方向突起のうちレセプタクルの側壁から径方向内方に突出する部分は、挿入部の外面に設けられた締結溝に係合するような構成および形状である。
【0058】
さらなる例によれば、第2のハウジング構成要素の側壁は、対向締結要素がハウジングに長手方向に拘束または長手方向に固定される締結構造を含む。締結構造によって、レセプタクルを制限する側壁に対向締結要素を固定し、恒久的に取り付けることができる。
【0059】
さらなる例によれば、締結構造は、側壁の長手方向端面に隣接する長手方向組立て溝を含み、長手方向組立て溝は、締結構造の円周方向に延びるスロットに合流する。組立て溝は、対向締結要素を側壁に組み立てたとき、対向締結要素の径方向内方に延びる突起の長手方向摺動運動を実現することができる。長手方向組立て溝は、側壁の厚さより小さいまたはそれに等しい径方向深さを含むことができる。長手方向組立て溝は、円周方向に延びるスロットに合流する。円周方向に延びるスロットは、レセプタクルの側壁を通って延びる貫通口を含む。締結構造への対向締結要素の組立て中、および/またはその組立てのために、対向締結要素の径方向内方に延びる突起は、長手方向に延びる組立て溝に沿って摺動すると、弾性変形を受けることができる。
【0060】
さらなる例によれば、締結構造は、円周方向に延びるスロットに隣接して組立て溝内に配置された斜めのスナップ要素を含む。典型的には、斜めのスナップ要素は、円周方向に延びるスロットに向かって組立て溝の径方向深さを狭くする。その限りにおいて、対向締結要素を側壁に嵌めるための組立てプロセス中、対向締結要素および/または側壁の径方向突起は、増大する弾性変形を受ける。径方向突起が斜めのスナップ要素、たとえば締結構造のそれぞれの傾斜を通過した後、対向締結要素の径方向突起は可聴的に弛緩し、円周方向に延びるスロットに入り込むことができる。このようにして、対向締結要素が締結構造における最終組立て構成に到達したとき、可聴および/または触覚フィードバックが提供される。斜めのスナップ要素によって、組立て溝を通る対向締結要素の帰還または分解運動が実質的に妨害および防止される。
【0061】
さらなる例によれば、コーディング機能および対向コーディング機能のうちの一方は、径方向コーディング突出物を含む。コーディング機能および対向コーディング機能のうちの他方は、径方向コーディング突出物を摺動可能に受けるような形状の長手方向に延びるコーディングスロットを含む。1対のコーディング機能および対向コーディング機能が整合する場合、コーディング機能の横断面は、対向コーディング機能の横断面に整合または対応する。言い換えれば、コーディング突出物の断面は、コーディングスロットの断面に整合する。コーディングスロットは、長手方向に延び、したがって第1または第2のハウジング構成要素の対称軸に対して平行に延びる。このようにして、コーディング突出物とコーディングスロットとの間の相互係合により、レセプタクル内への挿入部の長手方向摺動運動が支持され、それが有効になる。相互に係合されたコーディングスロットおよびコーディング突出物によって、挿入部とレセプタクルとの間の回転インターロックを実現することができる。
【0062】
別の例によれば、機械的コーディングは:コーディング機能の数、挿入部上のコーディング機能の円周方向位置、挿入部上のコーディング機能の円周方向範囲、挿入部上のコーディング機能の径方向範囲、および長手方向(z)を横断する平面内のコーディング機能の断面の幾何形状または形状のうちの少なくとも1つによって画成される。
【0063】
相補的に、またはそれに対応して、さらなる例によれば、機械的対向コーディングは:対向コーディング機能の数、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向位置、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向範囲、レセプタクル内の対向コーディング機能の径方向範囲、および長手方向(z)を横断する平面内の対向コーディング機能の断面の幾何形状または形状のうちの少なくとも1つによって画成される。
【0064】
1対のコーディングおよび対向コーディングが整合する場合、コーディング機能の数は、対向コーディング機能の数に等しい。さらに、挿入部上のコーディング機能の円周方向位置は、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向位置に整合および対応する。挿入部上のコーディング機能の円周方向範囲は、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向範囲に整合および対応する。さらに、挿入部上のコーディング機能の径方向範囲は、レセプタクル内の対向コーディング機能の径方向範囲に整合および対応し、長手方向(z)を横断する平面において、挿入部上のコーディング機能の断面の幾何形状または形状は、対向コーディング機能の断面の幾何形状または形状に整合および対応する。
【0065】
1対のコーディングおよび対向コーディングが整合しない場合、挿入部上のコーディング機能の数、挿入部上のコーディング機能の円周方向範囲、挿入部上のコーディング機能の径方向範囲、および長手方向(z)を横断する平面内のコーディング機能の断面の幾何形状または形状のうちの少なくとも1つが、対向コーディング機能のそれぞれの数、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向位置、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向範囲、レセプタクル内の対向コーディング機能の径方向範囲、または長手方向(z)を横断する平面内の対向コーディング機能の断面の幾何形状もしくは形状のうちの少なくとも1つに整合しない。コーディングが対向コーディングに整合しない場合、コーディングスロット内への径方向コーディング突出物の挿入が実質的に防止される。
【0066】
別の態様によれば、薬剤の用量を注射するための注射デバイスが提供される。注射デバイスは、上述したハウジングと、ハウジングの内側に配置されたカートリッジとを含む。カートリッジは、薬剤が充填されたバレルを含み、バレルは、可動の栓によって長手近位方向に封止されている。注射デバイスは、ハウジングの内側に配置された駆動機構をさらに含む。駆動機構は、カートリッジの栓に遠位向きの投薬力をかけるように動作可能なピストンロッドを含む。典型的には、注射デバイスは、手持ち式または携帯型の注射デバイスとして実装される。注射デバイスは、ペン型注射器を含むことができる。
【0067】
いくつかの例では、レセプタクルは、細長いハウジング構成要素、たとえば薬物送達デバイスのハウジングの第1または第2のハウジング構成要素に固定して取り付け可能でありまたは固定して取り付けられたハウジング挿入部として提供される。ハウジング挿入部は、細長いハウジング構成要素に対して回転不能および/または長手方向に固定することができる。その限りにおいて、レセプタクルに関連して上述したすべての構成および利益は、それぞれのハウジング構成要素に対して固定して連結可能でありまたは固定して連結されたハウジング挿入部にも等しく当てはまる。
【0068】
別の態様では、本開示は、薬物送達デバイス、たとえば注射デバイスのハウジングに関する。ここでも、ハウジングは、薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された第1のハウジング構成要素を含む。第1のハウジング構成要素は、第1の連結端を含む。ハウジングは、第2のハウジング構成要素をさらに含む。第2のハウジング構成要素は、薬物送達デバイスの駆動機構を収容するように構成される。典型的には、駆動機構は、長手方向に延びるピストンロッドを含み、ピストンロッドは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合して、カートリッジから薬剤の用量を排出するように構成される。
【0069】
第2のハウジング構成要素は、第2の連結端を含む。典型的には、第1の連結端は、第2の連結端に連結可能であり、薬物送達デバイスのハウジングを形成または構成する。第1の連結端および第2の連結端のうちの一方に、挿入部がさらに設けられる。挿入部は、典型的には、それぞれの第1または第2のハウジング構成要素と一体形成される。第1の連結端および第2の連結端のうちの他方に、レセプタクルがさらに設けられる。挿入部は、第1のハウジング構成要素および第2のハウジング構成要素を相互に締結するために、ならびに/または薬物送達デバイスのハウジングを形成もしくは確立するために、長手方向に沿ってレセプタクル内へ挿入可能である。典型的には、レセプタクルは、第1および第2の連結端のうちの一方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。挿入部は、第1および第2の連結端のうちの他方に設けられ、それぞれの連結端を形成する。
【0070】
レセプタクルは、挿入部を受け入れるようなサイズおよび形状の内側断面を含む。典型的には、レセプタクルの内径または内側断面は、挿入部の外径または外側断面に密接に整合する。
【0071】
ハウジングは、挿入部に設けられた締結要素と、締結要素に対して相補形であり、レセプタクルを制限する側壁に設けられた対向締結要素とをさらに含む。対向締結要素は、側壁に回転可能に支持される。対向締結要素は、上述したように、ロック位置と解放位置との間を回転可能または旋回可能である。
【0072】
この態様によるハウジングは、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングを含まない。概して、この態様によるハウジングは、機械的コーディングおよび機械的対向コーディングを含まないことを除いて、上述した第1および第2のハウジング構成要素を含む。
【0073】
別の態様によれば、本開示は、少なくとも上述した第1のハウジングおよび上述した第2のハウジングのキットに関する。第1のハウジングのコーディング機能は、コーディング機能の数、挿入部上のコーディング機能の円周方向位置、挿入部上のコーディング機能の円周方向範囲、挿入部上のコーディング機能の径方向範囲、および長手方向(z)を横断する平面内のコーディング機能の断面の幾何形状または形状のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングのコーディング機能から区別される。
【0074】
それに対応して、第1のハウジングの対向コーディング機能は、対向コーディング機能の数、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向位置、レセプタクル内の対向コーディング機能の円周方向範囲、レセプタクル内の対向コーディング機能の径方向範囲、および長手方向(z)を横断する平面内の対向コーディング機能の断面の幾何形状または形状のうちの少なくとも1つに関して、第2のハウジングの対向コーディング機能から区別される。
【0075】
第1のハウジングには、第1のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第2のハウジングには、第2のタイプの1対のコーディングおよび対向コーディングが設けられる。第1のタイプのコーディングは、第2のタイプの対向コーディングにペアリングまたは係合することができない。逆も同様であり、第1のタイプの対向コーディングは、第2のタイプのコーディングにペアリングまたは係合することができない。このようにして、第1のハウジングの第1のハウジング構成要素は、第2のハウジングの第2のハウジング構成要素にペアリングまたは連結することができない。異なる、したがって整合しないコーディングおよび対向コーディングが設けられて装備された第1および第2のハウジング構成要素の意図しない相互使用を、実質的に防止および妨害することができる。
【0076】
第1のタイプのコーディングのみが、第1のタイプの対向コーディングにペアリングまたは係合することが可能であり、そのように構成される。第2のタイプのコーディングは、第2のタイプの対向コーディングにのみ排他的に係合可能または連結可能であり、逆も同様である。
【0077】
概して、いくつかの例では、異なるハウジングの第1のハウジング構成要素は、薬剤容器またはカートリッジを受けるための収容空間のサイズおよび/または幾何形状によって区別することができる。特に、第1のタイプのコーディングを有するハウジングは、第1のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。第2のタイプのコーディングを有するハウジングは、第2のカートリッジまたは薬剤容器を排他的に装備することができる。このため、薬剤容器、カートリッジ、ならびに第1のハウジング構成要素の内部は、1つの専用のカートリッジまたは薬剤容器のみが1つの専用の第1のハウジング構成要素のみに明確に適合するように、さらなるコーディングもしくはコーディング機能を含むことができ、またはそれらのサイズもしくは幾何形状に関して区別することができる。
【0078】
いくつかの例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに係合するための機械的コーディングが設けられる。さらなる例では、第1のハウジング構成要素には、カートリッジの相補形の対向コーディングに整合するように構成された電子、視覚、または光学コーディングのうちの少なくとも1つを設けることができ、相補形の対向コーディングもまた、電子、視覚、または光学タイプである。
【0079】
さらに、カートリッジおよび第1のハウジング構成要素のうちの少なくとも一方には、ロッキングまたは締結機能を設けることができ、それによってカートリッジを第1のハウジング構成要素内で固定および/または保持することができる。ここで、たとえばカートリッジホルダとして実装される第1のハウジング構成要素、およびその中に組み立てられたカートリッジは、事前に製作されたハウジングアセンブリとして、または専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せとして提供することができる。
【0080】
いずれにしても、特定のカートリッジ内に提供される特定の薬剤が、第1のハウジング構成要素の特定のタイプに、すなわち特に機械的に符号化された第1のハウジング構成要素に明確に関連付けられることを保証または実現することができる。実質的に、いくつかの例では、特定の薬剤が提供されたカートリッジは、それぞれの機械的コーディングを装備したそれに対応する形状の第1のハウジング構成要素内にのみ収容することができる。
【0081】
さらなる例では、事前に製作されたハウジングアセンブリまたは専用のカートリッジおよびカートリッジホルダの組合せは、製薬会社によって市販されている。ここで、カートリッジは、第1のハウジング構成要素の内側に取外し不能または着脱不能に固定することができ、製薬会社は、特定の薬剤が充填されたカートリッジと、カートリッジの内側に位置する薬剤のタイプに従って機械的に符号化された好適な第1のハウジング構成要素との間に、それぞれの整合を提供する。
【0082】
さらなる態様によれば、本開示はまた、注射デバイスのキットに関する。注射デバイスのキットは、少なくともどちらも第1のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられた第1のハウジングを含む第1の注射デバイスを含み、どちらも第1のタイプのそれぞれの対向コーディングまたはコーディングに整合しない第2のタイプのコーディングおよび対向コーディングが設けられて装備された第2のハウジングを有する第2の注射デバイスをさらに含む。
【0083】
概して、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって画成される。注射デバイスは、特有の実施形態または例に限定されるものではなく、異なる実施形態または例の要素のあらゆる組合せを含む。その限りにおいて、本開示は、特許請求の範囲のあらゆる組合せ、および異なる例または実施形態に関連して開示する構成のあらゆる技術的に実行可能な組合せを包含する。
【0084】
この文脈において、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位の方を向いている注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も離れた注射デバイスの反対の端部に関する。
【0085】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0086】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0087】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0088】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0089】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0090】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0091】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0092】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0093】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0094】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0095】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0096】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0097】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0098】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0099】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0100】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0101】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0102】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明はそのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0103】
本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を本開示に加えることができることが、当業者にはさらに明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるいずれの参照番号も、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0104】
以下、専用のまたはコーディングされたハウジング構成要素を有する注射デバイスの多数の例について、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図1】薬物送達デバイスの一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の薬物送達デバイスの分解図の一例を示す図である。
【
図3】相互組立て前の第1および第2のハウジング構成要素の斜視図である。
【
図4】第1および第2のハウジング構成要素が相互に組み立てられた、
図3の斜視図である。
【
図6】第2のハウジング構成要素の側壁に組み立てられた対向締結要素の斜視断面図である。
【
図8】第2のハウジング構成要素の第2の連結端の長手方向断面図である。
【
図9】対向締結要素が解放位置にある、第1および第2の連結端の斜視図である。
【
図10】対向締結要素がロック位置にある、第1および第2の連結端の斜視図である。
【
図11】注射デバイスのハウジングの側面図である。
【
図12】第1および第2のハウジング構成要素の組立て前の
図11によるA-Aに沿って切り取った断面図である。
【
図13】第1および第2のハウジング構成要素が相互に組み立てられ、対向締結要素が解放位置にある、
図11の断面A-Aを示す図である。
【
図14】対向締結要素がロック位置にある、請求項13による断面図である。
【
図15】第1および第2の連結端ならびに対向締結要素の斜視図である。
【
図16】対向締結要素のない、相互組立て前の第1および第2の連結端のさらなる図である。
【
図17】異なるコーディング機能の多数の断面プロファイルを示す図である。
【
図18】第1のコーディング機能を有する第1のコーディングの一例の図である。
【
図19】第2のコーディング機能を有する第2のコーディングの一例の図である。
【
図20】第3のコーディング機能を有する第3の機械的コーディングの一例の図である。
【
図21】第1のタイプの機械的コーディング機能を有する機械的コーディングのさらなる例の図である。
【
図22】機械的コーディングのさらなる例の図である。
【
図23】機械的コーディングのさらなる例の図である。
【
図24】機械的コーディングおよび機械的対向コーディングのさらなる例の斜視図である。
【
図25】機械的コーディングおよび機械的対向コーディングの別の例のさらなる斜視図である。
【
図26】機械的コーディングおよび対向コーディングのさらなる例の図である。
【
図27】機械的コーディングおよび機械的対向コーディングのさらなる例を示す図である。
【
図28】機械的コーディングおよび機械的対向コーディングの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1および
図2に、手持ち式注射デバイスの多数の例のうちの1つのみが示されており、これは概してウェアラブル電子デバイスと組み合わせて使用可能である。
図1および
図2に示されているデバイスは、ハウジング10を含む充填済みの使い捨て注射デバイスであり、ハウジング10には注射針15を取り付けることができる。注射針15は、注射デバイス1のハウジング10の遠位セクションを密閉および保護するように構成された内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17または保護キャップ18のいずれかによって保護される。ハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第2のハウジング構成要素は、
図2に示されている駆動機構8および/または用量設定機構9を収容するように構成された主ハウジング部材を形成することができる。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、第2のハウジング構成要素200に恒久的または解放可能に連結することができる。
【0107】
第1のハウジング構成要素100は、典型的には、液体薬剤が充填されたカートリッジ6を収容するように構成される。カートリッジ6は、バレル25の内側に位置する栓7によって近位方向3に封止された円筒形または管状のバレル25を含む。栓7は、ピストンロッド20によってカートリッジ6のバレル25に対して遠位方向2に変位可能である。カートリッジ6の遠位端は、セプタムとして構成された穿孔可能な封止部26によって封止されており、封止部26は、注射針15の近位向きの先端を有する端部によって穿孔可能である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、その遠位端にねじ付ソケット28を含み、ねじ付ソケット28は、注射針15のそれに対応するねじ付部分にねじ係合する。注射針15を第1のハウジング構成要素100の遠位端に取り付けることによって、カートリッジ6の封止部26を貫通し、それによってカートリッジ6の内部への流体伝達アクセスを確立する。
【0108】
注射デバイス1がたとえばヒトインスリンを投与するように構成されるとき、注射デバイス1の近位端にある用量ダイヤル12によって設定される投与量を、いわゆる国際単位(IU)で表示することができ、1IUは約45.5μg(1/22mg)の純結晶インスリンと生物学的に同等である。用量ダイヤル12は、用量ダイヤルを含むことができ、または用量ダイヤルを形成することができる。
【0109】
図1および
図2にさらに示されているように、ハウジング10、たとえば第2のハウジング構成要素200は、投与量窓13を含み、投与量窓13は、ハウジング10内のアパーチャの形態とすることができる。投与量窓13は、現在設定されている用量の視覚インジケーションを提供するために、用量ダイヤル12が回されたときに動くように構成された数字スリーブ80の制限された部分を使用者が見ることを可能にする。用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬もしくは排出中に回されたとき、ハウジング10に対して螺旋経路上を回転させられる。
【0110】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すことで機械クリック音を引き起こし、使用者に音響フィードバックを提供するように構成することができる。クリック音は、典型的には、クリックノイズ生成器45によって生成される。概して、クリックノイズ生成器45は、様々な異なる方法で実装することができる。数字スリーブ80は、インスリンカートリッジ6内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺されて、トリガ11または注射ボタンが押されたとき、表示窓13内に表示されている用量が注射デバイス1から排出される。トリガ11が押されてから特定の時間にわたって注射デバイス1の針15が皮膚部分内に留まったとき、用量は実際に患者の体内へ注射される。液体薬剤の用量の排出もまた、機械クリック音を引き起こすことができるが、このクリック音は、用量ダイヤル12を使用したときに生じたクリック音とは異なる。このため、注射デバイス1は、別個の、したがって第2の、クリックノイズ生成器(図示せず)を含むことができる。
【0111】
この実施形態では、インスリン用量の送達中、用量ダイヤル12は、軸方向運動で、すなわち回転なしで、その初期位置まで戻され、数字スリーブ80は、回転してその初期位置へ戻り、たとえば0単位の用量を表示する。
【0112】
注射デバイス1は、カートリッジ6が空になるまで、または注射デバイス1内の薬剤の有効期日(たとえば、最初の使用から28日後)に到達するまで、いくつかの注射プロセスに対して使用することができる。
【0113】
図2に、駆動機構8の一例がより詳細に示されている。駆動機構8は、多数の機械的に相互作用する構成要素を含む。ハウジング10のフランジ状の支持体が、ピストンロッド20の第1のねじ山または遠位ねじ山22にねじ係合されるねじ付軸方向貫通口を含む。ピストンロッド20の遠位端は支承部21を含み、押さえ23が、ピストンロッド20の長手方向軸を回転軸として、支承部21上を自由に回転する。押さえ23は、カートリッジ6の栓7の近位向きの推力受け面に軸方向に当接するように構成される。投薬動作中、ピストンロッド20はハウジング10に対して回転し、それによってハウジング10に対して、したがってカートリッジ6のバレル25に対して、遠位向きの前進運動を受ける。結果として、カートリッジ6の栓7は、ピストンロッド20のハウジング10とのねじ係合により、遠位方向2に明確な距離だけ変位させられる。
【0114】
ピストンロッド20には、その近位端に第2のねじ山24がさらに設けられる。遠位ねじ山22および近位ねじ山24は、反対の向きである。
【0115】
ピストンロッド20を受けるために中空の内部を有する駆動スリーブ30がさらに設けられる。駆動スリーブ30は、ピストンロッド20の近位ねじ山24にねじ係合される内側ねじ山を含む。さらに、駆動スリーブ30は、その遠位端に外側ねじ付セクション31を含む。ねじ付セクション31は、遠位フランジ部分32と、遠位フランジ部分32から所定の軸方向距離をあけて位置する別のフランジ部分33との間に、軸方向に制限される。2つのフランジ部分32、33間に、半円形ナットの形態の最終用量リミッタ35が設けられ、最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30のねじ付セクション31に嵌合する内部ねじ山を有する。
【0116】
最終用量リミッタ35は、ハウジング10の側壁の内側にある相補形の凹部または突起に係合するための径方向凹部または突起を、その外周にさらに含む。このようにして、最終用量リミッタ35は、ハウジング10に、たとえば第2のハウジング構成要素200にスプライン連結される。連続した用量設定手順中の用量増分方向4または時計回り方向における駆動スリーブ30の回転は、駆動スリーブ30に対する最終用量リミッタ35の累積的な軸方向の変位をもたらす。フランジ部分33の近位向きの表面に軸方向に当接する環状ばね40がさらに設けられる。さらに、管状のクラッチ60が設けられる。クラッチ60の第1の端部に、一連の円周方向に向けられた鋸歯が設けられる。クラッチ60の第2の反対の端部に向かって、径方向内方に向けられたフランジが位置する。
【0117】
さらに、数字スリーブ80とも呼ばれる用量ダイヤルスリーブが設けられる。数字スリーブ80は、ばね40およびクラッチ60の外側に設けられ、ハウジング10の径方向内方に位置する。数字スリーブ80の外面の周りに、螺旋溝81が設けられる。ハウジング10には投与量窓13が設けられており、数字スリーブ80の外面の一部を、投与量窓13を通して見ることができる。ハウジング10には、挿入部62の内側側壁部分に螺旋リブがさらに設けられ、螺旋リブは、数字スリーブ80の螺旋溝81に着座させられる。管状の挿入部62は、ハウジング10の近位端内へ挿入される。挿入部62は、ハウジング10に対して回転不能および軸方向に固定される。数字スリーブ80がハウジング10に対して螺旋運動で回転させられている間の用量設定手順を制限するために、ハウジング10上に第1および第2の止め具が設けられる。
【0118】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル12が、数字スリーブ80の近位端の外面の周りに配置される。用量ダイヤル12の外径は、典型的には、ハウジング10の外径に対応および整合する。用量ダイヤル12は、数字スリーブ80に対して、これらの間の相対運動を防止するように固定される。用量ダイヤル12には、中心開口部が設けられる。
【0119】
用量ボタンとも呼ばれるトリガ11は、実質的にT字形である。トリガ11は、注射デバイス1の近位端に設けられる。トリガ11の心棒64が、用量ダイヤル12内の開口部を通り、駆動スリーブ30の延長の内径を通って、ピストンロッド20の近位端にある受け凹部内へ延びる。心棒64は、駆動スリーブ30内で制限された形で軸方向に動き、駆動スリーブ30に対して回転しないように保持される。トリガ11のヘッドは略円形である。トリガ側壁またはスカートは、ヘッドの周辺部から延びており、用量ダイヤル12の近位からアクセス可能な環状凹部に着座するようにさらに適用される。
【0120】
用量をダイヤル設定するために、使用者は用量ダイヤル12を回転させる。ばね40がクリックノイズ生成器45としても作用し、クラッチ60が係合された状態で、駆動スリーブ30、ばね40、クラッチ60、および数字スリーブ80は、用量ダイヤル12とともに回転する。用量がダイヤル設定されたという可聴および触覚フィードバックが、ばね40およびクラッチ60によって提供される。鋸歯によって、ばね40とクラッチ60との間でトルクが伝送される。数字スリーブ80上の螺旋溝81および駆動スリーブ30内の螺旋溝は、同じリードを有する。これにより、数字スリーブ80がハウジング10および駆動スリーブ30から延びてピストンロッド20を同じ速度で登ることが可能になる。行程の限界で、数字スリーブ80上の径方向止め具が、ハウジング10上に設けられた第1の止め具または第2の止め具に係合して、第1の回転方向、たとえば用量増分方向4のさらなる動きを防止する。ピストンロッド20の回転は、ピストンロッド20上の全体的な駆動されるねじ山の方向が反対になっていることによって防止される。
【0121】
ハウジング10に固定された最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30の回転によってねじ付セクション31に沿って前進させられる。最終用量投薬位置に到達したとき、最終用量リミッタ35の表面上に形成された径方向止め具が、駆動スリーブ30のフランジ部分33上の径方向止め具に当接し、最終用量リミッタ35および駆動スリーブ30の両方がさらに回転することを防止する。
【0122】
使用者が不注意で所望の投与量を超えてダイヤル設定した場合、ペン注射器として構成された注射デバイス1は、カートリッジ6から薬剤を投薬することなく、投与量を下方にダイヤル設定することを可能にする。このため、用量ダイヤル12は簡単に逆回転される。これにより、システムは逆に作用する。このとき、ばねまたはクリッカ40の可撓アームは、ばね40が回転することを防止するラチェットとして作用する。クラッチ60を介して伝送されるトルクにより、鋸歯は互いを載り越えて、ダイヤル設定された用量の低減に対応するクリックを生み出す。典型的には、鋸歯は、各鋸歯の円周方向範囲が単位用量に対応するように配置される。ここで、クラッチは、ラチェット機構として働くことができる。
【0123】
代替または追加として、ラチェット機構90は、管状クラッチ60の側壁上の可撓アームなど、少なくとも1つのラチェット機能91を含むことができる。少なくとも1つのラチェット機能91は、たとえば可撓アームの自由端上に径方向外方に延びる突起を含むことができる。突起は、数字スリーブ80の内側にあるそれに対応する形状の対向ラチェット構造に係合するように構成される。数字スリーブ80の内側は、鋸歯プロファイルを有する長手方向の形状の溝または突起を含むことができる。用量のダイヤル設定または設定中、ラチェット機構90は、数字スリーブ80が第2の回転方向5に沿ってクラッチ60に対して回転することを可能にしてそれを支持し、この回転は、クラッチ60の可撓アームの規則的なクリックを伴う。第1の回転方向に沿って数字スリーブ80に印加される角運動量は、クラッチ60へ不変に伝達される。ここで、ラチェット機構90の相互に対応するラチェット機能は、数字スリーブ80からクラッチ60へのトルク伝送を提供する。
【0124】
所望の用量がダイヤル設定されたとき、使用者は、トリガ11を押し下げることによって、設定された用量を簡単に投薬することができる。これにより、クラッチ60が数字スリーブ80に対して軸方向に変位し、その犬歯を係合解除する。しかし、クラッチ60は、駆動スリーブ30に対して回転方向に固定されたままである。数字スリーブ80および用量ダイヤル12はここで、螺旋溝81に従って自由に回転する。
【0125】
この軸方向運動により、ばね40の可撓アームを変形させて、投薬中に鋸歯が緩められないことを確実にする。これにより、駆動スリーブ30がハウジング10に対して回転することが防止されるが、駆動スリーブ30は依然としてハウジング10に対して軸方向には自由に動く。その後、遠位向きの投薬圧力がトリガ11から取り除かれたとき、この変形を使用してばね40およびクラッチ60を駆動スリーブ30に沿って逆方向に付勢し、クラッチ60と数字スリーブ80との間の連結を回復する。
【0126】
駆動スリーブ30の長手方向の軸方向運動は、ハウジング10の支持体の貫通口を通ってピストンロッド20を回転させ、それによってカートリッジ6内の栓7を前進させる。ダイヤル設定された用量が投薬された後、用量ダイヤル12から延びる少なくとも1つの止め具がハウジング10の少なくとも1つの対応する止め具に接触することによって、数字スリーブ80のさらなる回転が防止される。数字スリーブ80の軸方向に延びる縁部または止め具のうちの1つが、ハウジング10の少なくとも1つまたはいくつかの対応する止め具に当接することによって、0用量位置を決定することができる。
【0127】
上述した排出機構または駆動機構8は、概して使い捨てのペン注射器内に実装可能な複数の異なる構成の駆動機構のうちの1つに対する例示にすぎない。上述した駆動機構は、全体が参照によって本明細書に組み入れられる、たとえばWO2004/078239A1、WO2004/078240A1、またはWO2004/078241A1により詳細に説明されている。
【0128】
図3~
図16の多数の例に示されているハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。第1のハウジング構成要素100は、カートリッジホルダとして構成される。第1のハウジング構成要素100は、その中空の内部の内側にカートリッジ6を収容するようなサイズおよび形状である。カートリッジホルダ、したがって第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を含む。第1の連結端101は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。それに対応して、第2のハウジング構成要素200は、典型的にはハウジング構成要素200の遠位端に、第2の連結端201を含む。
【0129】
第1の連結端101は、第2の連結端201に対して機械的に連結可能である。示されているように、第1のハウジング構成要素100は、第1の連結端101を形成する挿入部110を含む。第2のハウジング構成要素200は、挿入部110を受けるような形状およびサイズのレセプタクル210を含む。レセプタクル210は、第2のハウジング構成要素200の側壁202によって径方向に制限される。挿入部110は、第2のハウジング構成要素200に対する長手方向摺動運動によって、特に近位方向3に沿って、レセプタクル210内へ少なくとも部分的に挿入可能である。
【0130】
挿入部110は、第1のハウジング構成要素100の近位端を形成する。挿入部110は、近位端面112を含む。挿入部110は、遠位方向2に向かって、第1のハウジング構成要素100の管状の側壁102から、したがって挿入部110の側壁102からも、径方向外方に突出するフランジセクション115によって制限される。フランジセクション115は、第1のハウジング構成要素100の側壁102の外面105から円周方向に突出して径方向外方に延びるリム116によって構造的に補強される。
【0131】
言い換えれば、フランジセクション115は、管状の挿入部110の周囲全体にわたって延びる円周方向リム116を含む。フランジセクション115は、近位方向3に向かって、近位方向3を向いている当接面または停止面114を含む。当接面または停止面114は、第2のハウジング構成要素200の側壁202の遠位端面214に軸方向に当接するように構成される。第1のハウジング構成要素100の側壁102は、窓103を含むことができ、窓103は、側壁102と交差する貫通凹部として実装することができる。窓103は、第1のハウジング構成要素100内に配置されたカートリッジ6およびその内容物の視覚的検査を可能にし、それを支持する。
【0132】
レセプタクル210は、遠位方向2に向かって開いている。その限りにおいて、第1のハウジング構成要素100の挿入部110は、最終組立て構成に到達するまで、近位方向3に沿ってレセプタクル210内へ挿入することができる。挿入部110の外面105に締結要素120が設けられ、締結要素120は、レセプタクル210を制限する側壁202上に回転可能または旋回可能に支持された対向締結要素220に対して相補形である。
【0133】
図3~
図16の例では、締結要素120は、挿入部110に設けられる。締結要素120は、締結溝124を含む。
図9に示されているように、締結溝124は、長手方向(z)に沿って延びる第1の溝部分125を含む。第2の溝部分126は、円周方向(w)に沿って延びる。第2の溝部分126は、第1の溝部分125に合流する。第1の溝部分125は、第1の連結端101の長手方向端面112に隣接する。第1の溝部分125の近位端は、挿入部110の端面112に位置する。第2の溝部分126は、長手方向端面112から所定の長手方向距離をあけて位置する。第2の溝部分126は、長手方向端面112に対して平行に延びる。示されている例では、第2の溝部分126は、第1の溝部分125に対して実質的に直交して延びる。その限りにおいて、第1および第2の溝部分125、126は、挿入部110の外面105にL字形の溝を形成する。
【0134】
締結溝124は、挿入部110の側壁102の厚さより小さい径方向深さを含む。その限りにおいて、締結溝124は、側壁102を通って延びる貫通口を含まない。これにより、側壁102、したがってハウジング構成要素100の全体の安定性および剛性が改善される。
【0135】
レセプタクル210の内面203から、対向締結要素220の径方向内方に延びる突起224が突出する。突起224は、締結溝124に入り、締結溝124に沿って摺動するようなサイズおよび形状である。対向締結要素220は、第2の連結端201に回転可能に支持されたロッキングリング221またはロッキングスリーブを含む。示されているように、対向締結要素220は、第2のハウジング構成要素200の第2の連結端201の側壁202を密閉して取り囲む。対向締結要素220は、第2のハウジング構成要素200に軸方向または長手方向に固定される。突起224は、
図5に示されているように、ロッキングリング221の内面223から径方向内方に突出する。
【0136】
ロッキングリング221の内面223の両側に、径方向内方に延びる2つまたはさらにはそれ以上の突起224が設けられることが明らかである。
図6に示されているように、突起224は、第2のハウジング構成要素200の側壁202内または側壁202上に設けられた締結構造240の貫通凹部241と径方向に交差する。貫通凹部241は、円周方向に延びるスロット242を含む。スロット242の円周方向範囲または円周方向幅は、典型的には、第2の溝部分126の円周方向範囲に整合または対応する。スロット242の長手方向範囲は、典型的には、突起224の長手方向範囲に整合する。このようにして、スロット242内に受け入れられたとき、突起224が第2のハウジング構成要素200に対して長手方向または軸方向に動くことが妨げられる。スロット242および突起224の係合によって、対向締結要素220を第2のハウジング構成要素200に軸方向に拘束することができる。
【0137】
対向締結要素220は、レセプタクル210を制限する側壁202上に回転可能に支持される。
図9に示されているように、対向締結要素220は解放位置にある。この位置または構成で、対向締結要素220は、第2のハウジング構成要素200に対する第1のハウジング構成要素100の長手方向摺動運動を可能にし、それを支持する。
図10で、対向締結要素220は、
図9に示されている位置に対して回転している。
図10で、対向締結要素220はロック位置にある。
図9および
図10に示されている解放位置およびロック位置は、スロット242の反対に位置する円周方向端によって画成される。
【0138】
対向締結要素220の精密で滑らない取扱いまたは動きを実現し、より滑らない回転を実現するために、対向締結要素220は、その環状の側壁222の外面に、たとえば複数のくぼみまたは凹部の形態の把持構造229を含む。
【0139】
第1のハウジング構成要素100を第2のハウジング構成要素200に組み立てて固定することは、
図9に示されているように、対向締結要素220が解放位置にあるときに可能になる。このとき、突起224は第1の溝部分125と位置合わせされる。この構成でのみ、挿入部110が長手方向にレセプタクル210内へ挿入可能になる。この挿入運動中、突起224は第1の溝部分125に沿って摺動する。2つの反対に位置する突起224が設けられるため、挿入部110もまた、2つの反対に位置する締結要素124を含む。
【0140】
長手方向挿入運動は、第1のハウジング構成要素100のフランジセクション115が第2のハウジング構成要素200の遠位端面214に長手方向に当接するとき、または対向締結要素220の遠位端面228に当接するとき、その範囲が定められ、停止される。このとき、フランジセクション115、したがってリム116の近位向きの停止面114は、第2のハウジング構成要素200または対向締結要素220に長手方向に当接する。そのような最終挿入位置に到達したとき、突起224は、第2の溝部分126と位置合わせされ、たとえば円周方向に位置合わせされる。したがって、最終挿入位置に到達したときのみ、突起224が第2の溝部分126に沿って動きまたは摺動することが可能になる。これは、対向締結要素220を側壁202に対して回転または旋回させることによって実現され、この運動は、
図9および
図10の比較によって明らかになる。
【0141】
突起224は、締結要素120の相補形のスナップ要素121に係合するように構成された対向スナップ要素231を含み、または構成する。対向スナップ要素231は、突起224の自由端によって提供される。スナップ要素121は、第1の溝部分125から離れる方を向いている第2の溝部分126の円周方向または長手方向端に、くぼみまたは凹部によって提供される。したがって、ロック位置に到達したとき、対向スナップ要素231はスナップ要素121にカチッと留まる。このようにして、対向締結要素220は、締結要素120に回転不能に固定される。
【0142】
第1の溝部分125および第2の溝部分126の直交方向の向きにより、
図9に示されている解放位置から
図10に示されているロック位置への対向締結要素220の回転が、挿入部110がレセプタクル210内で最終挿入位置に到達したときのみ排他的に支持され、可能になるというさらなる利益が提供される。挿入部110が最終挿入位置にまだ到達していない状況では、フランジセクション115がハウジング構成要素200の遠位端面214にまたは対向締結要素220の遠位端面228に長手方向に当接しており、突起224が第2の溝部分126と位置合わせされず、依然として第1の溝部分125内に位置するため、ロック位置に向かってロック位置に入る対向締結要素220の回転は阻止される。
【0143】
L字形の溝124、および長手方向に見た第2の溝部分の幅が突起224の長手方向範囲に整合するというさらなる構成は、締結要素120および対向締結要素220の相互の締結および固定が、挿入部110が最終挿入位置に到達したときのみ排他的に可能になるという安全構成を提供する。
【0144】
さらに、対向スナップ要素231がスナップ要素121に機械的に係合することで、対向締結要素220がロック位置に到達したという可聴および触覚フィードバックが使用者に提供される。これにより、第1および第2のハウジング構成要素100、200の相互固定を確立するためのさらなる安全構成が提供される。
【0145】
スナップ要素121および対向スナップ要素231の機械的係合は、典型的には、スナップ要素121および対向スナップ要素231のうちの少なくとも一方の径方向における弾性変形を伴う。典型的には、締結要素120の両方が各々、スナップ要素121を備える。それに対応して、2つの反対に位置する突起224もまた、それぞれの対向スナップ要素231を備え、形成する。より平滑なスナップフィット構成を有効にして実現するために、スナップ要素121は、ある程度凹形の凹部を含むことができる。相補的に、対向スナップ要素231、したがって突起224は、突起224の横断方向または円周方向のプロファイルで見てある程度凸形の自由端を含む。
【0146】
図15からさらに明らかになるように、挿入部110には機械的コーディング150が設けられ、レセプタクル210には相補形の機械的対向コーディング250が設けられる。機械的コーディング150は、機械的コーディング機能151を含む。示されている例では、コーディング機能151は、長手方向に延びるコーディングスロット152を含み、コーディングスロット152は、挿入部110の長手方向範囲に沿って延びる。コーディングスロット152の近位端は、挿入部110の近位端面112に隣接する。
【0147】
コーディング機能151に対して相補形の対向コーディング機能251が、レセプタクル210の内面203に設けられる。対向コーディング機能251は、対向コーディング突出物252を含む。対向コーディング突出物252は、サイズおよび形状に関してコーディングスロット152に整合する。その限りにおいて、コーディングスロット152および対向コーディング突出物252は、挿入部110がレセプタクル210内へ長手方向に挿入されるとき、挿入部110とレセプタクル210との間に回転インターロックを形成または確立する。
【0148】
レセプタクル210内への挿入部110の挿入は、機械的コーディング150が機械的対向コーディング250に整合するときのみ可能になり、そのように支持される。これには、コーディング機能151の数が対向コーディング機能251の数に整合する必要がある。さらに、コーディング機能151の幾何形状および形状は、対向コーディング機能251の幾何形状および形状に整合しなければならない。加えて、コーディング機能151の円周方向位置ならびに円周方向および径方向範囲は、対向コーディング機能251のそれぞれの位置および範囲に整合しなければならない。
【0149】
図15に示されているように、対向コーディング機能251、特に対向コーディング突出物252は、径方向内方に突出する細長いリブを含み、このリブは、サイズおよび形状に関してコーディングスロット152に整合する。このようにして、挿入部110をレセプタクル210内へ挿入したとき、機械的コーディング150と相補形の機械的対向コーディング250との間の固定係合が確立される。したがって、挿入部110がレセプタクル210に対して回転することが妨げられる。相互に対応する機械的コーディング150および機械的対向コーディング250によって提供される回転インターロックによって、レセプタクル210内への挿入部110の挿入運動が純粋に軸方向または長手方向になる。挿入運動は回転を含まない。
【0150】
図15から明らかになるように、機械的コーディング150は、挿入部110の外面105の両側に位置する2つのコーディング機能151を含む。相補的に、対向コーディング250もまた、2つの反対に位置する対向コーディング機能251を含む。機械的コーディング150の機械的対向コーディング250との相互係合は、
図13および
図14の断面からも明らかである。
【0151】
図12では、挿入部110はまだレセプタクル210内へ挿入されていない。対向締結要素220は解放位置にある。示されているように、突起224は、側壁202の内面203から径方向内方に突出する。突起224は、貫通凹部241を通って、したがって締結構造240のスロット242を通って延びる。
図13では、挿入部110はレセプタクル210内へ挿入されている。ここでは、挿入部110は最終挿入位置にある。ここで、第2の溝部分126は、突起224と接線方向または円周方向に位置合わせされる。
図13に示されている対向締結要素220の解放位置において、突起224の自由端は第1の溝部分125に位置する。対向締結要素220を反時計回りに回転させることによって、
図14に示されているように、突起224は第2の溝部分に沿って摺動し、スナップ要素121に係合する。
【0152】
図5~
図10により詳細に示されているように、ロッキングリング221は環状の側壁222を含み、その内面223から突起224が径方向内方に延びている。突起224自体は、対向保持部225を提供することができ、対向保持部225によって、すなわち突起224がスナップ要素121とスナップフィットを形成するとき、対向締結要素220を第2のハウジング構成要素200または第1のハウジング構成要素に少なくとも回転不能に固定することができる。
【0153】
径方向内方に延びる環状のリブ226がさらに設けられ、リブ226は、側壁222の内周全体にわたって延びる。
図6に示されているリブ226は、側壁202の外面205における対向締結要素220の回転方向の支持に寄与することができる。リブ226は、貫通凹部241または円周方向スロット242の側縁に長手方向に係合することができる。環状のリム216は、第2のハウジング構成要素200の側壁202上で対向締結要素220に対して回転方向の支持を提供する。加えて、側壁202の外面205にはまた、形状およびサイズに関して環状のリブ226に整合する環状の溝を設けることができる。
【0154】
ロッキングリング221は、径方向内方に延びるフランジセクション227をさらに含む。フランジセクション227は、ロッキングリング221の遠位端に、一種の補強リムを形成する。フランジセクション227は、環状の形状であり、ロッキングリング221の側壁222から径方向内方に突出する。フランジセクション227は、第2のハウジング構成要素の側壁202の遠位端面214に長手方向に当接する近位向きの表面を含む。このようにして、対向締結要素220に対して補助的な回転方向の支持を提供することができる。フランジセクション227は、対向締結要素220が側壁202に組み立てられて固定されたときに第2のハウジング構成要素200の遠位端面を形成または構成する遠位端面228を含む。相互に組み立てられたとき、フランジセクション227は、側壁202の長手方向端面214から遠位に位置する。
【0155】
図8、
図15、および
図16の組合せからより詳細に明らかになるように、第2のハウジング構成要素200の側壁202は、組立て溝244を有する締結構造240を含む。組立て溝244は、側壁202の遠位端面214に隣接し、遠位端面214から近位にずれて位置する貫通凹部241に合流する。
図8に示されているように、貫通凹部241は、第2のハウジング構成要素200の第2の連結端201に設けられた径方向に広がるリム216内に設けることができる。リム216は、側壁202と一体形成することができる。リム216は、径方向に厚くなる側壁部分を提供することができる。環状のリム216は、第2のハウジング構成要素200の側壁202の近位部材から径方向外方に突出して径方向外方に延びる段状部分を含む。リム216の外面には、均一な形状の支持面217が設けられており、対向締結要素220は、支持面217上を円周方向(w)に平滑に摺動することができる。
【0156】
図8から明らかになるように、組立て溝244は、この特定の領域内で側壁202の厚さより小さい径方向深さを含む。その限りにおいて、組立て溝244は、側壁202を通って延びる貫通口を含まない。組立て溝244が円周方向に延びるスロット242に合流する場所にのみ、側壁202内に貫通凹部241が設けられる。このようにして、側壁202の遠位端面214は、側壁202を完全に貫通するスロットまたは凹部を含まない。それに応じて、第2の連結端201の安定性および剛性を改善することができる。組立て溝244には、組立て溝244内、たとえば組立て溝244の底部上に位置するスナップ要素243が設けられる。
【0157】
スナップ要素243は、スロット242に向かって径方向外方に延びる斜めの滑動または傾斜面を含む。スナップ要素243は、対向締結要素220の突起224のための傾斜を提供する。対向締結要素220を側壁202上へ取り付けるために、突起224を反対に位置する締結構造240の組立て溝244と位置合わせする必要がある。次いで、第2のハウジング構成要素200に対する対向締結要素220の近位向きの摺動運動によって、突起224は傾斜に沿って、したがってスナップ要素243に沿って摺動する。この運動は、突起224および傾斜またはスナップ要素243のうちの少なくとも一方の弾性変形を伴う。突起224がスナップ要素243を長手方向に通過した後、突起224は、貫通凹部241に可聴的および/または触覚的に係合することができる。組立て溝244内に設けられたスナップ要素243、したがって傾斜は、対向締結要素220が締結構造240から分解されることを防止する。
【0158】
図15および
図16にさらに示されているように、締結構造240は、第1の保持部245および第2の保持部247を含む。側壁202の外面205において、保持部245、247は合流し、貫通凹部241に隣接する。第1および第2の保持部245および247は、互いから円周方向距離をあけて位置する。ここに示されている例では、第1の保持部245は、組立て溝244と長手方向に位置合わせされる。第1の保持部245は貫通凹部241から近位に延び、組立て溝244は貫通凹部から遠位に延びる。
図15により詳細に示されているように、対向締結要素220の側壁222の内面223に突起224が設けられるだけでなく、対向保持部225がさらに設けられる。対向保持部225は、サイズおよび形状に関して第1および第2の保持部245、247の相補形の凹部246、248と整合する径方向内方に延びる突起235を含む。
【0159】
このようにして、対向締結要素220が解放位置にあるとき、対向保持部225は第1の保持部245に係合される。したがって、突起235は凹部246に係合される。第1の保持部245の対向保持部225との相互係合によって、対向締結要素220を解放位置でロックまたは固定することができる。ここで、保持部245および対向保持部225は、対向締結要素220と第2のハウジング構成要素200との間のスナップフィット連結を形成および確立する。
【0160】
対向締結要素220を解放位置からロック位置へ伝達しまたは回転させるために、明確なトルクまたは力を対向締結要素220に印加して、第1の保持部245と対向保持部225との間のスナップフィット係合を克服および解消しなければならない。対向締結要素220が、スナップフィット係合によって提供される解放力を上回るそれぞれの力の作用を受けた後、対向締結要素220は、ロック位置の方へ回転することが可能になる。ロック位置に到達するとき、対向保持部225は、第2の保持部247、したがって凹部248に係合することができる。
【0161】
ロック位置において、対向締結要素220は、対向保持部225の第2の保持部247とのスナップフィット係合によって、締結構造240に、したがって側壁202に回転不能にロックされる。同時にまたは並行して、突起224、したがって対向スナップ要素231は、スナップ要素121にスナップフィット係合する。このようにして、側壁202および挿入部110に対する対向締結要素220の2倍のスナップフィット係合を実現することができる。そのような2倍のスナップフィット係合によって、対向締結要素220をロック位置から解放するために必要とされる解放力を、対向締結要素220を解放位置から解放するために必要とされる解放力より大きくすることができる。
【0162】
図16の例では、機械的コーディング150は、形状および幾何形状に関してレセプタクル210の内面203に設けられた対向コーディング250の相補形の対向コーディング機能251に整合する2つの反対に位置するコーディング機能151(図示せず)を含む。ここで、コーディング機能151は各々、たとえば
図16示されているように、長手方向に延びるコーディングスロット152を含む。相補的に、機械的対向コーディング250は、2つの反対に位置する対向コーディング突出物252を含む。
【0163】
図17~
図20に、異なるコーディング機能151、151’、151”の多数の例が示されている。
図18のコーディング機能151は、径方向外方に延びるコーディング突出物154を含む。コーディング突出物154、したがってコーディング機能151は、第1のタイプの機械的コーディング150を形成する。コーディング突出物154は、ノブ状、凸面、または丸い形状である。
図19に示されているさらなる例は、第2のタイプの機械的コーディング150’を示す。機械的コーディング150’は、第2のタイプのコーディング機能151’を含む。コーディング機能151’はまた、コーディング突出物154’を含む。第2のタイプのコーディング突出物154’は、形状および幾何形状ならびに円周方向および/または径方向のサイズに関して、第1のタイプのコーディング突出物154とは異なる。
【0164】
第1のタイプのコーディング機能151はまた、
図24に示されている。第1のタイプの対向コーディング機能251は、第1のタイプのコーディング機能151のプロファイル、位置、およびサイズに整合する対向コーディングスロット254を側壁202内に含む。
【0165】
第2のタイプのコーディング機能151’は、
図25に示されている第2のタイプのそれぞれの対向コーディング機能251’に対して相補形である。コーディング機能151、151’の位置は、ある程度同一とすることができる。しかしここでは、第1のタイプのコーディング機能151は、その形状によって、第2のタイプのコーディング機能151’から区別される。したがって、第2のタイプの機械的コーディング150’のコーディング突出物154’は、矩形または台形である。
図17の重ね合わせに示されているように、コーディング機能151’の径方向範囲および/または円周方向幅は、コーディング機能151の径方向および/または円周方向範囲より大きい。
【0166】
その限りにおいて、第1のタイプのコーディング機能151は、第2のタイプの対向コーディング機能251’とペアリングすることはできず、逆も同様である。
【0167】
図24および
図25の組合せは、2つのハウジング10、10’のキットを示し、各ハウジング10は、第1のハウジング構成要素100および第2のハウジング構成要素200を含む。ここで、
図24に示されている第1のハウジング10のコーディング150は、
図25に示されている第2のハウジング10’の対向コーディング250’に整合せず、逆も同様である。
【0168】
同じことが、第3のタイプのコーディング機能151”にも当てはまりうる。
図17および
図20に示されているように、コーディング機能151”は、第3のタイプのコーディング突出物154”を含む。コーディング突出物154”は、サイズおよび形状に関して、他の2つのコーディング突出物154、154’の各々とは異なる。コーディング突出物154”、したがってコーディング機能151”は、他のコーディング機能151、151’のうちのいずれの円周方向範囲よりも大きい円周方向範囲を含む。
【0169】
同様に、
図21~
図23に示されているように、機械的コーディング150はまた、第1のハウジング構成要素100の側壁102の外面105にコーディングスロット152として実装された多数のコーディング機能151を含むことができる。
図21に、第1のタイプの機械的コーディング150が示されている。機械的コーディング150は、挿入部110の外周に沿って分散された2つのコーディング機能151を含む。コーディング機能151は対称である。コーディング機能151は、正反対に位置する側壁部に設けられる。コーディング機能151は各々、コーディングスロット152を含む。コーディングスロット152は、凹面または丸い形状である。
【0170】
コーディング機能151は、挿入部110の外面105上の異なる円周方向位置に設けられており、等しい形状である。
図22による第2のタイプの機械的コーディング150’のさらなる例では、コーディング機能151’の位置および数は、第1のタイプのコーディング機能151の位置および数と同一である。しかしここでは、コーディング機能151’は各々、それぞれのコーディングスロット152’を形成するV字形のノッチ152’を含む。
図23のさらなる例では、第3のタイプの機械的コーディング150”が示されている。そこで、それぞれのコーディング機能151”の数および位置は、第1のタイプの機械的コーディング150のコーディング機能151の数および位置、ならびに第2のタイプの機械的コーディング150’のコーディング機能151’の数および位置に等しい。
【0171】
この場合も、コーディング機能151”の形状および断面は、コーディング機能151、151’のそれぞれの形状および幾何形状とは異なる。それぞれの対向コーディング機能251、251’、251”は、ここでは特に示されていない。それぞれの対向コーディング機能251、251’、251”は、それぞれコーディング機能151、151’、および151”に対して相補形である。
【0172】
図26~
図28に示されているさらなる例では、コーディングの変化は、締結要素120に対するコーディング機能の円周方向位置を修正することによって実現される。
図26~
図28のさらなる例は、3つの異なるタイプのハウジング10、10’および10”を示し、第1のハウジング10のコーディング150は、それぞれ第2および第3のハウジング10’、10”のコーディング150’、150”から区別される。その限りにおいて、ハウジング10、10’、10”は、少なくとも3つの個々のハウジング10、10’、10”を含むハウジングのキットを表す。第1のハウジング10には、第1の機械的コーディング150および第1の機械的対向コーディング250が設けられる。第2のハウジング10’には、第2の機械的コーディング150’および第2の機械的対向コーディング250’が設けられる。第3のハウジング10”には、第3の機械的コーディング150”および第3の機械的対向コーディング250”が設けられる。
【0173】
第1の機械的コーディング150は、第2または第3の機械的対向コーディング250’、250”のうちのいずれにも整合しない。同様に、第2の機械的コーディング150’は、第1または第3の機械的対向コーディング250、250”のうちのいずれにも整合せず、逆も同様である。
【0174】
示されている例では、
図27に示されている第1のタイプの機械的コーディング150は、互いに正反対に位置する2つのコーディング機能151を含む。コーディング機能151は、締結要素120に対して、特に挿入部110の第1の溝部分125に対して、90°円周方向にずれた角度で配置される。
図26に示されている第2のタイプの別の機械的コーディング150’の場合、締結要素120および締結要素120の第1の溝部分125に対するコーディング機能151’の円周方向位置は変化している。
【0175】
ここでは、
図27の機械的コーディング150と比べて、締結要素120に対するコーディング機能151’の位置は、コーディング機能151のそれぞれの相対位置と比べて時計回りに移動している。
【0176】
図28に、コーディング変化の別の構成が示されている。
図28で、第2のタイプの機械的コーディング150”は、コーディング機能151”を締結要素120に対して第1のタイプの機械的コーディング150のコーディング機能151の位置から反時計回りにずらして配置することによって、第1のタイプの機械的コーディング150から区別される。
【0177】
他の示されていない例では、同じ機械的コーディング150の第2のコーディング機能151に対する第1の機械的コーディング150の第1のコーディング機能151の相対円周方向位置を変化させることができる。さらに、さらなる例によれば、コーディング150または対向コーディング250の各々に対して多数のコーディング機能151および対向コーディング機能251を実装することによって、異なるコーディング150または対向コーディング250を提供することができ、同じ機械的コーディング150に属するコーディング機能151は、異なるサイズまたは形状である。
【0178】
機械的コーディング150を締結要素120および対向締結要素220から分離することは、1つの同じ締結要素120および対向締結要素220を使用して、異なるタイプの様々なハウジングの第1および第2のハウジング構成要素100、200の相互の締結および固定を提供するために、特に有益となりうる。異なるコーディングおよび対向コーディングを提供するためには、コーディング機能151および相補形の対向コーディング機能251の位置、形状、幾何形状、または範囲を修正するだけでよい。これにより、コーディング機能151および対向コーディング機能251の修正は、第1および第2のハウジング構成要素100、200を互いに締結および固定するための締結および固定機構に特に影響を与えない。
【0179】
本明細書に示されている例では、挿入部110は、第1のハウジング構成要素100に設けられ、レセプタクル210は、第2のハウジング構成要素200内に設けられている。本出願の開示の範囲内で、多数のさらなる例が考えられ、挿入部が第2のハウジング構成要素に設けられ、それに対応する形状のレセプタクルが第1のハウジング構成要素に設けられる。同様に、突出物および溝に関連して、または締結要素および対向締結要素に関連して記載されている、径方向に突出する機能および径方向に凹状の機能の特有の実装は、本明細書に示されている例と比べて反転させた形で交換、したがって提供および実装することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 注射デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 用量増分方向
5 用量減分方向
6 カートリッジ
7 栓
8 駆動機構
9 用量設定機構
10 ハウジング
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投与量窓
14 カートリッジホルダ
15 注射針
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 保護キャップ
20 ピストンロッド
21 支承部
22 第1のねじ山
23 押さえ
24 第2のねじ山
25 バレル
26 封止部
28 ねじ付ソケット
30 駆動スリーブ
31 ねじ付セクション
32 フランジ
33 フランジ
35 最終用量リミッタ
40 ばね
60 クラッチ
62 挿入部
64 心棒
80 数字スリーブ
81 溝
90 ラチェット機構
91 ラチェット機能
100 ハウジング構成要素
101 連結端
102 側壁
103 窓
105 外面
110 挿入部
112 端面
114 停止面
115 フランジセクション
116 リム
120 締結要素
121 スナップ要素
124 締結溝
125 溝部分
126 溝部分
150 機械的コーディング
151 コーディング機能
152 コーディングスロット
154 コーディング突出物
200 ハウジング構成要素
201 連結端
202 側壁
203 内面
205 外面
210 レセプタクル
214 端面
216 リム
217 支持面
220 対向締結要素
221 ロッキングリング
222 側壁
223 内面
224 突起
225 対向保持部
226 リブ
227 フランジセクション
228 端面
229 把持構造
231 対向スナップ要素
235 突起
240 締結構造
241 貫通凹部
242 スロット
243 スナップ要素
244 組立て溝
245 保持部
246 凹部
247 保持部
248 凹部
250 機械的対向コーディング
251 対向コーディング機能
252 対向コーディング突出物
254 対向コーディングスロット
【国際調査報告】