(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】均一性が改善されたヒータペデスタル
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570463
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022029201
(87)【国際公開番号】W WO2022245654
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ, ムハンナド
(72)【発明者】
【氏名】リン, ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】ラダクリシュナン, サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ハオイェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シー チャン
(72)【発明者】
【氏名】シルベッティー, マリオ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】スリイラム, マンディアム
(72)【発明者】
【氏名】パーケ, ヴィジェイ ディ.
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA01
5F131CA03
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EB54
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB84
5F131EB89
(57)【要約】
本開示の幾つかの実施形態は、ヒータペデスタルを修正して温度及び厚さの均一性を改善する方法に関する。本開示の幾つかの実施形態は、温度及び厚さの均一性が改善された、修正されたヒータペデスタルに関する。幾つかの実施形態では、ペデスタルの異なる領域のサポートメサの高さは、温度均一性を高めるように修正される。幾つかの実施形態では、温度均一性を高めるために、ヒータ素子を真空チャネル及びパージチャネルの上方に移動させる。幾つかの実施形態では、エッジリングは、支持された基板の上部と同一平面上になるように修正される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータペデスタルを修正して、前記ヒータペデスタル上に支持された基板全体にわたる温度の不均一性を低減する方法であって、
前記ヒータペデスタルの1つ以上の同心円状の領域内のメサの高さを修正すること、
前記ヒータペデスタル上のメサの数を修正すること、
前記基板を前記ヒータペデスタルに固定するチャッキングチャネルの深さを修正すること、
前記基板を取り囲むエッジリングの組成を修正すること、又は
前記エッジリングの高さを修正すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、温度範囲を40%以上減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、堆積した膜の厚さの不均一性を50%以上低減させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チャッキングチャネルの温度が1℃以上上昇する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
メサの高さが増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
メサの高さが最大で100%増加する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒータペデスタルが、4つの同心円状のメサ領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メサ領域の外半径が、それぞれ、約25mm、50mm、100mm、及び150mmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記メサの高さが、それぞれ、100%、50%、0%、及び50%増加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記メサの高さが、それぞれ、2ミル、1ミル、0ミル、及び1ミル増加する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記メサの数が15%以上減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記メサの数が622から528まで減少する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記チャッキングチャネルの深さが25%以上減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記深さが15ミルの深さから11ミルの深さまで減少する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
本質的にAl
2O
3からなるエッジリングが、本質的にAlNからなるエッジリングで置き換えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記エッジリングの高さが、前記基板の高さと実質的に同一平面上になるように減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ヒータペデスタルを修正して、前記ヒータペデスタル上に支持された基板全体にわたる温度の不均一性を低減する方法であって、
1つ以上のヒータコイルを含むヒータプレートをエッジパージチャネルと真空チャッキングチャネルとを含む下部トッププレートの上に移動すること、
前記ヒータプレートのエッジに対してエッジパージガスの流れの向きを修正すること、又は
前記ヒータペデスタルの厚さを修正して、前記ヒータプレートに近接する前記エッジパージガス流の流路距離を増加させること
を含む、方法。
【請求項18】
前記方法が、堆積した膜の厚さの不均一性を60%以上低減させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
処理中に基板を支持するためのヒータペデスタルであって、
前記ペデスタルの中心付近から前記ペデスタルの周辺エッジに向かって延びるエッジパージチャネルと、前記ペデスタルの中心付近から複数の出口に向かって延びる真空チャネルとを備えたベースプレート、
2つの同心円状のヒータを含む、前記ベースプレート上のヒータプレートであって、第1のヒータが前記ペデスタルの中心から半径約135mmまでを覆い、第2のヒータが半径約135mmから前記ペデスタルの前記周辺エッジまでを覆う、ヒータプレート、
前記ヒータプレート上のトッププレートであって、前記トッププレートが複数の上部出口と、前記トッププレートの上面にある複数の基板サポートメサとを含み、前記上部出口が前記ヒータプレート及び前記トッププレートを介した前記出口への流体接続を提供する、トッププレート、並びに
前記ベースプレート、前記ヒータプレート、前記トッププレート、及び存在する場合には、前記基板の前記周囲を取り囲むエッジリング
を含む、ヒータペデスタル。
【請求項20】
前記基板上に堆積されたTiAl膜の厚さの不均一性が、1.5%以下の3シグマ値を有する、請求項19に記載のヒータペデスタル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、ヒータペデスタル上のウエハ全体にわたる温度均一性を改善する方法に関する。特に、本開示の実施形態は、温度均一性を改善するために、要素の物理的寸法及び配置を修正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理チャンバは通常、処理されるウエハ又は基板を支持するためにチャンバ内に懸架されたペデスタルを含む。多くの実施形態では、ペデスタルは、処理中に基板を高温で維持するためのヒータも含む。
【0003】
ペデスタルは、基板の処理を支援するために幾つかのガスチャネルも含む。例えば、場合によっては、ペデスタルは、真空を提供して基板をペデスタルに固定するために用いられる真空チャネルを含む。別の例は、望ましくない堆積を回避するために基板の周辺エッジに近い領域にパージガスの流れを提供するエッジパージチャネルである。
【0004】
残念なことに、これらのガスチャネルは両方とも、チャネルのすぐ周囲の基板温度を低下させる可能性がある。この温度変動又は「不均一性」(N/U)は、処理中に基板表面で発生するプロセスの反応速度に影響を与える可能性があり、その結果、基板表面全体にわたる厚さの変動(すなわち、厚さの不均一性)が生じる。
【0005】
したがって、より良好な温度均一性を提供する改善されたヒータペデスタルが必要とされている。また、より良好な温度均一性を提供するために既存のヒータペデスタルを修正することも必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つ以上の実施形態は、ヒータペデスタルを修正して、ヒータペデスタル上に支持された基板全体にわたる温度の不均一性を低減する方法を対象とする。該方法は、ヒータペデスタルの1つ以上の同心円状の領域内のメサの高さを修正すること、ヒータペデスタル上のメサの数を修正すること、基板をヒータペデスタルに固定するチャッキングチャネルの深さを修正すること、基板を取り囲むエッジリングの組成を修正すること、又はエッジリングの高さを修正することを含む。
【0007】
本開示の追加の実施形態は、ヒータペデスタルを修正して、ヒータペデスタル上に支持された基板全体にわたる温度の不均一性を低減する方法を対象とする。該方法は、1つ以上のヒータコイルを含むヒータプレートをエッジパージチャネルと真空チャッキングチャネルとを含む下部トッププレートの上に移動すること、ヒータプレートのエッジに対するエッジパージガスの流れの向きを修正すること、又はヒータペデスタルの厚さを修正してヒータプレートに近接するエッジパージガス流の流路距離を増加させることを含む。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、処理中に基板を支持するためのヒータペデスタルを対象とする。ペデスタルは、該ペデスタルの中心付近からペデスタルの周辺エッジに向かって延びるエッジパージチャネルと、ペデスタルの中心付近から複数の出口に向かって延びる真空チャネルとを備えたベースプレートを含む。ベースプレート上にはヒータプレートがある。ヒータプレートは、2つの同心円状のヒータ、すなわち、ペデスタルの中心から半径約135mmまでを覆う第1のヒータと、半径約135mmからペデスタルの周辺エッジまでを覆う第2のヒータとを含む。ヒータプレート上にはトッププレートがある。トッププレートは、複数の上部出口と、トッププレートの上面にある複数の基板サポートメサとを含む。上部出口は、ヒータプレート及びトッププレートを介した出口への流体接続を提供する。ベースプレート、ヒータプレート、トッププレート、及び存在する場合には基板の周囲をエッジリングが取り囲む。
【0009】
本開示の特徴を詳細に理解することができるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しているのであり、したがって、本開示は他の同等に有効な実施形態も許容しうることから、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態によるヒータペデスタルの側面図
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態によるヒータペデスタルの上面図
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態によるヒータペデスタルの上部の拡大斜視図
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態によるヒータペデスタル内の内部チャネルの上面図
【
図5A】本開示の1つ以上の実施形態による修正前後のシミュレーションによる温度プロファイル
【
図5B】本開示の1つ以上の実施形態による修正前後のシミュレーションによる堆積厚さプロファイル
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態によるヒータペデスタルの周辺エッジの拡大側面図
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による修正前後のシミュレーションによる堆積厚さプロファイル
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が、以下の説明に記載される構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態も可能であり、さまざまな方法で実施又は実行することができる。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、「基板」という用語は、その上で処理が行われる表面又は表面の一部を指すために用いられる。基板に対しての言及は、文脈上他のことが明示されない限り、基板の一部分のみを指すこともありうることもまた、当業者に理解されよう。さらには、基板上への堆積についての言及は、ベア基板と、1つ以上の膜又は特徴部がその上に堆積又は形成されている基板の両方を意味しうる。
【0013】
本明細書で用いられる「基板」とは、製造プロセス中にその上で膜処理が行われる、任意の基板又は基板上に形成された材料表面を指す。例えば、処理を行うことができる基板表面としては、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及び他の導電材料などの他の任意の材料が挙げられる。基板には半導体ウエハが含まれるが、これに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、及び/又はベークするための前処理プロセスに曝されてもよい。基板自体の表面に直接膜処理することに加えて、本開示では、開示される任意の膜処理ステップは、以下により詳細に開示されるように、基板上に形成された下地層にも行うことができ、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、こうした下地層を含むことが意図されている。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態は、ペデスタルヒータを対象とする。本開示の幾つかの実施形態は、処理中に支持されたウエハ全体にわたって、より低い温度不均一性を有利に提供する。本開示の幾つかの実施形態は、処理中に支持されたウエハ全体にわたって、堆積膜のより低い厚さ不均一性を有利に提供する。本開示の幾つかの実施形態は、処理中に支持されたウエハ上のチャッキングチャネルの温度特性を有利に低減する。
【0015】
本開示の目的のため、変動プロット及びそこから導出される値について言及する。変動プロットは、基板表面全体にわたって基板を測定する。幾つかの実施形態では、変動プロットは、基板表面上の49点又は73点を測定する。幾つかの実施形態では、変動プロットは基板の温度を測定する。幾つかの実施形態では、変動プロットは、堆積した膜の厚さを測定する。
【0016】
幾つかの実施形態では、堆積した膜は、約350℃の基板温度で原子層堆積に油追って堆積されたTiAl膜である。
【0017】
本開示全体を通じて、3シグマと呼ばれる不均一性の尺度について言及する。3シグマ値とは、平均から3標準偏差の範囲外にある測定点の割合を意味する。したがって、より低い3シグマ値は、より高い均一性及びより低い不均一性に対応する。
【0018】
図1~4を参照すると、1つ以上の実施形態は、ヒータペデスタル100を対象とする。幾つかの実施形態では、ヒータペデスタル100は、ベースプレート110に接続されたシャフト105を含む。ベースプレート110上にはヒータプレート120が位置づけられる。ヒータプレート130上にはトッププレート130が位置づけられる。
図1ではシャフト105、ベースプレート110、ヒータプレート120、及びトッププレート130の各々が別個に示されているが、当業者であれば、これらの要素が同じ材料で形成されてもよく、これらの要素の1つ以上が一緒に一体的に形成されてもよいことを理解するはずである。
【0019】
シャフト105は、ガス流(例えば、パージ、真空)、電気的接続(例えば、ヒータ電力、計測センサなど)、及び機械的接続(例えば、モータ接続、構造的支持)のための導管を提供する。
【0020】
ベースプレート110は、シャフト105に接続されており、ヒータプレート120及びトッププレート130に構造的支持を提供する。ヒータプレート120は、処理中に固定された温度で支持された基板を維持するための1つ以上のヒータを含む。多数の要因により、基板表面全体にわたる温度が変化するか、又はある程度の不均一性が生じることがある。
【0021】
幾つかの実施形態では、ヒータプレート120は、複数の加熱素子を含む。幾つかの実施形態では、複数の加熱素子は、1つ以上のヒータが主として基板の内側領域で動作する一方で、追加の1つ以上のヒータが基板の外側又は周辺領域で動作するように、同心円状に配置される。幾つかの実施形態では、ヒータプレート120は2つの加熱素子を含む。幾つかの実施形態では、第1の加熱ゾーンはヒータ630によって加熱され、最大で半径135mmまでを覆い、一方、第2の加熱ゾーンはヒータ640によって加熱され、半径135mmからヒータペデスタルの外側周辺エッジまでを覆う。幾つかの実施形態では、ヒータペデスタルは152mmの半径を有する。
【0022】
トッププレート130は、ヒータプレート120上に位置づけられ、処理中に基板に支持を提供する。幾つかの実施形態では、トッププレート130は約150mmの半径を有する。
【0023】
図2及び3に示されるように、基板は複数のメサ210によって支持される。幾つかの実施形態では、トッププレートは、約500から約650の範囲のメサを含む。幾つかの実施形態では、メサは、半径約30ミルの円形の形状をしている。幾つかの実施形態では、メサは、約2ミルから約4ミルの範囲の高さを有する。
【0024】
本開示の目的上、メサ210は、同心円状のゾーン215a~215d内にあるものとして識別することができる。ゾーン215aは、線Aで囲まれた領域である。ゾーン215bは、線Aと線Bとの間の領域である。ゾーン215cは、線Bと線Cとの間の領域である。ゾーン215dは、線Cとトッププレート130の周囲との間の領域である。
【0025】
図2及び3には4つのゾーンが示されているが、本開示は、より多数又はより少ない数のゾーンを許容することができる。幾つかの実施形態では、線Aは半径約25mmに位置づけられる。幾つかの実施形態では、線Bは半径約50mmに位置づけられる。幾つかの実施形態では、線Cは半径約100mmに位置づけられる。
【0026】
図2及び3にはチャッキングチャネル220も示されている。チャッキングチャネル220は、真空チャネル430(
図4に示される)からの少なくとも1つの出口225と流体連結している。
図3に示されるように、チャッキングチャネル220は凹状になっており、10ミルから20ミルの範囲の深さを有する。チャッキングチャネル220は、基板に裏面負圧を提供して、基板がヒータペデスタル100上で動かないことを確実にする。
【0027】
図4を参照すると、トッププレート130はまた、該トッププレート130内に真空チャネル430及びエッジパージチャネル440も含む。真空チャネル430及びエッジパージチャネル440は両方とも、トッププレート130の中心付近から始まる。
図4に示されるように、真空チャネル430は432から始まり、4つの出口225へと続いている。エッジパージチャネル440は442から始まり、16の出口445へと続いている。
図4には4つの出口225と16の出口445が示されているが、任意の数の適切な出口が本開示の一部として想定されている。
【0028】
理論に縛られはしないが、ガスは、真空チャネル430及びエッジパージチャネル440を通って流れ、ペデスタルの熱コンダクタンスを減少させることによってこれらのチャネルの上に位置づけられた基板の局所温度を下げると考えられる。
図1~4に示されるヒータペデスタル設計では、真空チャネル430の外半径は、半径約75mmにおいて、最も顕著な温度の不均一性を示す(
図5A及び5B参照)。したがって、これらのチャネルが使用されている場合、温度の不均一性が増加する。
【0029】
この温度の不均一性の結果として、本発明者らは、ヒータペデスタル100上に支持された基板全体にわたる温度の不均一性を低減するためにヒータペデスタル100を修正する複数の方法を見出した。
【0030】
幾つかの実施形態では、該方法は、真空チャネル430の上のペデスタルの相対的な熱コンダクタンスを増加させて、チャネルの結果として生じるコンダクタンスの損失に対抗することを含む。幾つかの実施形態では、該方法は、真空チャネル430の上にないペデスタルの熱コンダクタンスを減少させて、ペデスタル全体にわたってより均一な熱コンダクタンスを提供することを含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、該方法は、1つ以上の領域内のメサの高さを修正することを含む。幾つかの実施形態では、メサの高さは、1つ以上の領域において増加する。幾つかの実施形態では、メサの高さは、最大で200%増加する。幾つかの実施形態では、ゾーン215a内のメサ210の高さは、100%増加し、ゾーン215b内のメサ210の高さは50%増加し、ゾーン215cのメサ210の高さは0%増加し、ゾーン215d内のメサ210の高さは50%増加しうる。幾つかの実施形態では、ゾーン215a内のメサ210の高さは2ミル増加し、ゾーン215b内のメサ210の高さは1ミル増加し、ゾーン215cのメサ210の高さは0ミル増加し、ゾーン215d内のメサ210の高さは1ミル増加しうる。
【0032】
幾つかの実施形態では、該方法は、ヒータペデスタル100上のメサ210の数を低減することを含む。幾つかの実施形態では、メサ210の最も外側のリングが除去される。幾つかの実施形態では、メサの数は15%以上減少する。幾つかの実施形態では、メサの数は622から528まで減少する。
【0033】
幾つかの実施形態では、該方法は、チャッキングチャネル220の深さを修正することを含む。幾つかの実施形態では、チャッキングチャネルの深さが減少する。幾つかの実施形態では、チャッキングチャネルの深さは25%以上減少する。幾つかの実施形態では、チャッキングチャネルの深さは約15ミルから約11ミルまで減少する。
【0034】
本発明者らは、驚くべきことに、本開示の方法のうちの1つ以上を実施することによって、温度不均一性(3シグマ)を40%以上低減させることができることを見出した。例えば、修正のないヒータペデスタルは約3%の3シグマ値を与えるが、本開示の方法で修正されたヒータペデスタルは、温度の不均一性に関して約1.8%の3シグマ値を与える。
【0035】
同様に、本発明者らは、驚くべきことに、本開示の方法のうちの1つ以上を実施することによって、基板上に堆積した膜の厚さ不均一性(3シグマ)を50%以上低減させることができることを見出した。例えば、修正のないヒータペデスタルは約3%の3シグマ値を与えるが、本開示の方法で修正されたヒータペデスタルは、厚さの不均一性に関して約1.5%の3シグマ値を与える。
図5A及び5Bは、修正前後のシミュレーションによる温度及び堆積厚さプロファイルを示している。
【0036】
幾つかの実施形態では、本開示の方法は、温度の不均一性を40%以上低減させる。幾つかの実施形態では、本開示の方法は、堆積した膜の厚さの不均一性を50%以上低減させる。幾つかの実施形態では、チャックチャネルでの温度低下が軽減される。
【0037】
図6を参照すると、1つ以上の実施形態は、修正されたヒータペデスタル600を対象とする。誤解を避けるために記すと、
図6の寸法は一定の縮尺で描かれていない。幾つかの実施形態では、トッププレート130は、ヒータプレート120を収容するように分割されている。下部トッププレート130aは、真空チャネル(図示せず)と、
図4に関して上述したエッジパージチャネル440とを含む。上部トッププレート130bは、
図2及び3に関して上述したメサとチャッキングチャネルとを含む(両方とも図示せず)。上部トッププレート130b上には基板610が支持される。幾つかの実施形態では、出口(図示せず)は、真空チャネルを含む下部トッププレート130aからチャッキングチャネルを含む上部トッププレート130bまでヒータプレート120を横断する。
【0038】
幾つかの実施形態では、修正されたヒータペデスタル600はエッジリング620を含む。幾つかの実施形態では、エッジリング620は本質的にAl2O3からなる。幾つかの実施形態では、エッジリング620は本質的にAlNからなる。
【0039】
理論に縛られはしないが、エッジリングの組成の熱伝導率がより高い(AlNがAl2O3より高い)場合、パージガスに与えられるエネルギー量がより高くなり、その結果、パージガスの温度が高くなり、エッジの冷却効果が小さくなると考えられる。
【0040】
幾つかの実施形態では、上述したように、ヒータプレート120を収容するためにトッププレート130が分割される場合、ヒータペデスタル600及びエッジリング620は、下部トッププレート130aと上部トッププレート130bとの間の距離の増加に適応するように厚さが増加する。
【0041】
幾つかの実施形態では、エッジパージチャネル440の出口445は垂直に配向される。幾つかの実施形態では、出口445の垂直配向により、ヒータプレート120付近でのパージガスの滞留時間が増加する。
【0042】
理論に縛られはしないが、以下の要因の1つ以上により、温度の不均一性の改善がもたらされると考えられる。第一に、ヒータプレートは、真空チャネル430及びエッジパージチャネル440よりも基板に近い。したがって、これらのチャネルの結果として通常観察される温度降下は小さくなる。さらには、チャネルの温度の影響は、基板に影響を与える前に、(一又は複数の)ヒータによってより容易に打ち消される。
【0043】
第二に、エッジパージチャネルと基板との間の厚さが増加すると、ヒータに近接する際のパージガスの流路距離が増加する。結果として生じるパージガスの温度上昇により、基板のエッジに対する冷却効果が少なくなると考えられる。
【0044】
本発明者らは、驚くべきことに、これらの方法のうちの1つ以上を実施することによって、基板上に堆積した膜の厚さの不均一性(3シグマ)を60%以上低減させることができることを見出した。例えば、修正されていないヒータペデスタルは約3%の3シグマ値を与えるが、本開示の方法で修正されたヒータペデスタルは、厚さの不均一性に関して約1.2%の3シグマ値を与える。
図7は、修正前後のシミュレーションによる堆積厚さプロファイルを示している。
【0045】
幾つかの実施形態では、本開示の方法は、堆積した膜の厚さの不均一性を60%以上低減させる。幾つかの実施形態では、チャッキングチャネルでの温度低下が軽減されるか、又は解消される。
【0046】
幾つかの実施形態では、エッジリング620の高さHが修正される。幾つかの実施形態では、エッジリング620の上部が基板610の上面615と実質的に同一平面上になるように、エッジリング620の高さHが低減される。この点に関して用いられる場合、「実質的に同一平面上」とは、エッジリング620の上部と基板610の上面615とが±5ミル以内であることを意味する。
【0047】
この明細書全体を通じての、「一実施形態(one embodiment)」、「ある特定の実施形態(certain embodiments)」、「1つ以上の実施形態(one or more embodiments)」、又は、「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のさまざまな箇所での「1つ以上の実施形態」、「ある特定の実施形態」、「一実施形態」、又は「ある実施形態」などの文言の表出は、必ずしも本開示の同一の実施形態を指すものではない。さらには、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0048】
本明細書の開示は、特定の実施態様を参照して説明されているが、記載される実施形態は、単に本開示の原理及び用途の例示であることが理解されよう。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対してさまざまな修正及び変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内である修正及び変形を含みうる。
【国際調査報告】