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特表2024-518032気相のエピタキシャル層を含む半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法
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  • 特表-気相のエピタキシャル層を含む半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】気相のエピタキシャル層を含む半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240417BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240417BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
C23C16/24
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562724
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022058866
(87)【国際公開番号】W WO2022218738
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168168.9
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘングスト,ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ハーベレヒト,ヨルク
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030BA29
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030EA03
4K030FA06
4K030GA02
4K030GA06
4K030JA06
4K030JA10
4K030JA11
4K030JA12
4K030LA15
5F045AA03
5F045AB02
5F045AC05
5F045AC19
5F045AF03
5F045DP03
5F045DP28
5F045EB11
5F045EE11
5F045EK12
5F045EK13
5F045EM10
5F045HA01
5F045HA11
(57)【要約】
気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法は、先行するコーティング工程中に堆積チャンバ内で堆積された材料を、堆積チャンバのエッチングによって堆積チャンバから除去する工程と、連続して行われ、各々が堆積チャンバ内で基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させることを含み、第1の堆積ガスの第1のガス流が基板ウェハの上方を通過することでエピタキシャル層を有する半導体ウェハが形成されることを伴う、複数のコーティング工程と、連続して行われる複数のコーティング工程の各々の前、間、または後に、基板ウェハの各々の、またはエピタキシャル層を有する半導体ウェハの各々のエッジ領域に、第2の堆積ガスの第2のガス流を供給する工程とを含み、第2の堆積ガスを供給する工程を通じて、材料を堆積チャンバから除去する工程以降に行われるコーティング工程の数に応じてエッジ領域内の材料堆積を増加させる、少なくとも1つのプロセスパラメータが変更される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法であって、前記方法は、
先行するコーティング工程中に前記堆積チャンバ内で堆積された材料を、前記堆積チャンバのエッチングによって前記堆積チャンバから除去する工程と、
連続して行われ、各々が前記堆積チャンバ内で基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させることを含み、第1の堆積ガスの第1のガス流が前記基板ウェハの上方を通過することでエピタキシャル層を有する半導体ウェハが形成されることを伴う、複数のコーティング工程と、
連続して行われる前記複数のコーティング工程の各々の前、間、または後に、前記基板ウェハの各々の、または前記エピタキシャル層を有する半導体ウェハの各々のエッジ領域に、第2の堆積ガスの第2のガス流を供給する工程とを含み、前記第2の堆積ガスを供給する工程を通じて、前記材料を堆積チャンバから除去する工程以降に行われるコーティング工程の数に応じて前記エッジ領域内の材料堆積を増加させる、少なくとも1つのプロセスパラメータが変更される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記第2の堆積ガスの第2のガス流が前記基板ウェハに供給される時間、前記第2の堆積ガスが前記基板ウェハのエッジ領域に供給される速度、前記第2のガス流内の前駆体ガスとキャリアガスとの体積比、前記前駆体ガスおよび前記キャリアガスを混合して前記第2のガス流を作り出す前の前記前駆体ガスと前記キャリアガスとの体積速度比、前記堆積チャンバ内の温度、ならびに前記基板ウェハの回転速度を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法であって、先行するコーティング工程中に堆積チャンバ内で堆積された材料を堆積チャンバから除去する工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術/問題
気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハは、電子部品の製造に必要とされる。エピタキシャル層は、一般に、単一ウェハリアクタの形態をとる堆積チャンバの内部で堆積される。コーティング用の基板ウェハは、サセプタ上に載置され、堆積ガスは、サセプタと共に回転する基板ウェハの上方を、ある堆積温度で堆積チャンバを通過するように供給される。
【0003】
主にエピタキシャル層の形成をもたらす第1のガス流の方向とは異なる方向を有する第2のガス流の確立を可能とする堆積チャンバも知られている。
【0004】
US 2014 0 137 801 A1によれば、この種の堆積チャンバは、第2の堆積ガス流の確立に用いることができる。
【0005】
US 2015 0 368 796 A1は、エッチングガスと堆積ガスとを反応させるための、この種の堆積チャンバを提案している。
【0006】
JP 2019 114 699 Aには、第1のガス流の効果に影響を及ぼすために第2のガス流を採用した方法が記載されている。
【0007】
WO 2017 102 597 A1は、エピタキシャル層を有する半導体ウェハのエッジジオメトリを改善するという課題を特に対象としている。先行するコーティング工程中に堆積チャンバ内で堆積された材料を除去するために堆積チャンバ内で定期的に行われる一般的なエッチング(チャンバエッチング)の後、連続する次のコーティング工程によって、堆積チャンバ内でその後に製造されるエピタキシャル層を有する半導体ウェハにおいてエッジロールオフが増加するということがわかった。エピタキシャル層を堆積させる間、エッジロールオフを結果的に増加させながらエッジ領域で減少してゆく材料の堆積を補償するために、エピタキシャル層を堆積させる前に、コーティングされる各基板ウェハを存在させた状態でエッチングを行うことが提案されている。この提案に影響を及ぼす欠点は、このエッチングによって、過度な材料消耗が生じ得ること、基板ウェハに結晶欠陥が現れ得ること、およびエピタキシャル層を有する半導体ウェハを汚染させる粒子が発生し得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、前述の欠点を受け入れる必要なく、チャンバエッチング後にエッジロールオフが増加する現象に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の目的は、気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法によって達成され、この方法は、
先行するコーティング工程中に堆積チャンバ内で堆積された材料を、堆積チャンバのエッチングによって堆積チャンバから除去する工程と、
連続して行われ、各々が堆積チャンバ内で基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させることを含み、第1の堆積ガスの第1のガス流が基板ウェハの上方を通過することでエピタキシャル層を有する半導体ウェハが形成されることを伴う、複数のコーティング工程と、
連続して行われる複数のコーティング工程の各々の前、間、または後に、基板ウェハの各々の、またはエピタキシャル層を有する半導体ウェハの各々のエッジ領域に、第2の堆積ガスの第2のガス流を供給する工程とを含み、第2の堆積ガスを供給する工程を通じて、材料を堆積チャンバから除去する工程以降に行われるコーティング工程の数に応じてエッジ領域内の材料堆積を増加させる、少なくとも1つのプロセスパラメータが変更される。
【0010】
この発明によれば、エッジ領域での材料堆積をコーティング工程ごとに増加させながら、予期される、エッジ領域でコーティング工程ごとに減少してゆく材料堆積を可能な限り多く補償する第2の堆積ガスの第2のガス流が確立される。
【0011】
第2の堆積ガスがもたらす材料堆積は、基板ウェハ上にエピタキシャル層を作り出すコーティング工程の前、間、または後に行われてよい。第1のガス流および第2のガス流は互いに影響を及ぼし合う可能性があるため、堆積ガスを用いた材料堆積は、エピタキシャル層を基板ウェハ上に堆積させる前に行うのが好ましい。しかしながら、エピタキシャル層を有する完成した半導体ウェハの上に第2の堆積ガスを用いて、すなわち第1の堆積ガスを用いてエピタキシャル層を堆積させた後に、材料を堆積させることも可能である。エピタキシャル層を堆積させている間に第2の堆積ガスを用いて材料を堆積させることも不可能ではないが、この材料堆積は、エピタキシャル層を堆積させる前または後に別個のプロセス工程として行うことに利点がある。これらの場合、完全にかつ互いに独立して、エピタキシャル層を作り出すコーティング工程とエッジ領域で材料堆積をもたらすプロセス工程との両方に対してプロセス制御が保持される。以下では、別個のプロセス工程の適用として、各コーティング工程の前に第2の堆積ガスによる材料堆積が行われることを想定している。場合によっては、この別個のプロセス工程は、第2の堆積ガスの第2のガス流に加えて、基板ウェハの上方に供給されるキャリアガス、たとえば水素の第1のガス流を与えることを含んでいてもよい。別個のコーティング工程の各々は、第1の堆積ガスの第1のガス流に加えて、供給ラインをパージするために、基板ウェハのエッジに供給されるキャリアガスの第2のガス流を与えることを含んでいてもよい。この場合には、このようなキャリアガスの第2のガス流の体積速度は、5slmよりも小さいことが好ましく、3slmよりも小さいことがより好ましい。
【0012】
第2の堆積ガスまたはキャリアガスの第2のガス流は、サセプタ上に載置される基板ウェハのエッジ領域に供給される。そのため、第2のガス流は、第1の堆積ガスまたはキャリアガスの第1のガス流の方向と直交する向きの方向成分を有する。
【0013】
第1の堆積ガスおよび第2の堆積ガスは、各々、堆積される半導体を含む前駆体ガス、たとえばトリクロロシランのようなシランを含む。さらに、第1の堆積ガスおよび第2の堆積ガスは、たとえば水素のようなキャリアガス、および場合によっては、たとえばジボランのようなドーピングガスも含んでいてもよい。これらのガスは、堆積ガスの第1のガス流および第2のガス流にそれぞれ混合される。ドーピングガスは、半導体材料と共に堆積されるドーパントを含む。第1の堆積ガスおよび第2の堆積ガスの組成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0014】
第2の堆積ガスがプロセス工程中に基板ウェハへ供給されるプロセス条件は、互いに異なっており、特に、最後のチャンバエッチング以降に行われた第1の堆積ガスを用いたコーティング工程の数によって左右される。この数が多ければ多いほど、基板ウェハのエッジ領域に第2の堆積ガスを用いて堆積される材料の量が大きくなる。プロセス条件は、エッジ領域に堆積された材料の厚みが、次のコーティング工程後にプロセス工程が無かった場合に予期されるエッジロールオフを可能な限り多く補償するように調整される。
【0015】
予期されるエッジロールオフはコーティング工程ごとに増加してゆくため、予期されるエッジロールオフの増加に応じて直前のプロセス工程に比してより多くの量の材料が基板ウェハのエッジ領域に堆積されるように、このプロセス工程に対して少なくとも1つのプロセスパラメータが変更される。好適なプロセスパラメータは、たとえば、第2の堆積ガスが基板ウェハのエッジ領域に供給される時間、または第2の堆積ガスの第2のガス流が基板ウェハのエッジ領域に供給される速度である。たとえば、第2の堆積ガスが基板ウェハのエッジ領域に供給される時間が長ければ長いほど、そこに堆積される材料の量も多くなる。プロセスパラメータとしては、堆積ガスの第2のガス流内の前駆体ガスとキャリアガスとの体積比、前駆体ガスおよびキャリアガスを混合して堆積ガスの第2のガス流を作り出す前のこれらのガス間の体積速度比、堆積チャンバ内の温度、または基板ウェハの回転速度も好適である。プロセスパラメータの最適な調整は、本発明の趣旨では、使用される堆積チャンバによっても変わり、場合によっては、別個のプロセス工程中に堆積ガスの第2のガス流に加えてキャリアガスの第1のガス流として使用されるときには、キャリアガスの体積速度によっても変わる。この調整は、実験を通して獲得し得る。
【0016】
先行するコーティング工程中に堆積チャンバ内で堆積された材料を堆積チャンバから除去するために、エッチングガス、たとえば塩化水素が堆積チャンバを通過するように供給される。この種のチャンバエッチングは、たとえば、堆積チャンバの内面に付着した材料が予め定められた厚みに達したもしくは該厚みを上回った場合、または予め定められた数のコーティング工程が行われた後に、定期的に行われるのが好ましい。チャンバエッチングに続いて、たとえばトリクロロシランを堆積温度で堆積チャンバを通過するように供給することによってチャンバコーティングを行ってもよい。このことは、サセプタ上に載置された基板ウェハを存在させた状態で、このウェハにサセプタを覆うためのダミーの役割をさせながら行ってもよい。
【0017】
図面を参照して、この発明について以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の方法を実施することに適した堆積チャンバの構成要素を示す図である。
図2】第1のガス流および第2のガス流の基板ウェハへの供給を平面視で示す図である。
図3】チャンバエッチング後のエピタキシャル層の堆積順に応じたエッジジオメトリの変化を示す図である。
図4】チャンバエッチング後のエピタキシャル層の堆積順に応じたエッジジオメトリの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の例示的実施形態の詳細な説明
図1に示す、基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させる装置は、上方蓋1および下方蓋2を有する堆積チャンバ3と、反応空間を囲む上方ライニング7および下方ライニング8とを備える。堆積チャンバ3の外側に存在する上方ランプアレイおよび下方ランプアレイは、図示されていない。ランプの放射エネルギによって、堆積チャンバが気相成長に必要とされる温度となる。
【0020】
コーティング工程のために、担体のアームで下側から回転可能に保持されたサセプタ5の上に基板ウェハ4が載置される。このサセプタの周囲に予熱リング6が設けられる。基板ウェハ4は、サセプタ5の上に載置することができ、コーティング後は、サセプタ5を貫通する持上げ棒により持ち上げてサセプタ5から外すことができる。
【0021】
基板ウェハ4のコーティング中、第1の堆積ガスは、堆積チャンバ3内へ向かって上方ライニング7に設けられた第1のガス入口孔9を通過し、第1の流れ方向に沿って基板ウェハの上方を第1のガス出口11へと供給される。さらに、下方ライニングには1つまたは複数の第2のガス入口孔が設けられ、堆積ガスは、この第2のガス入口孔を通過して別個のプロセス工程の間またはコーティング工程の間、第2の流れ方向に沿って基板ウェハ4またはエピタキシャル層を有する半導体ウェハのエッジ領域へと供給される。最後に、パージガスがサセプタ5の下方を通過して下方ガス出口13へと供給されるように、下方ガス入口孔12および下方ガス出口13を任意で設けてもよい。
【0022】
図2は、基板ウェハ4上の第1のガス流14および基板ウェハのエッジ領域4への第2のガス流15の通過を平面視で示す図である。第2のガス流15は、第1のガス流14の流れ方向と直交する方向成分を有する。これら2つの流れ方向は、好ましくは45°から90°の角度αを含む。堆積ガスが別個のプロセス工程として第2のガス流15を介して送り込まれる場合、キャリアガスからなる第1のガス流14は、基板ウェハ4またはエピタキシャル層を有する半導体ウェハの上方を同時に供給されることが好ましい。この別個のプロセス工程の前または後に行われるコーティング工程の間、堆積ガスは、第1のガス流14のみを介して基板ウェハの上方を通過し、場合によっては、キャリアガスは、第2のガス流15を介して基板ウェハのエッジに供給される。別個のプロセス工程が無い場合、第1のガス流14および第2のガス流15は、いずれも堆積ガスを含む。
【0023】
実施例:
最初の実験では、単結晶シリコン製で直径300mmの基板ウェハ25枚の各々の上に単結晶シリコンのエピタキシャル層を堆積させた。堆積チャンバのチャンバエッチングの後に、単一ウェハリアクタの堆積チャンバ内でコーティング工程を行った。この単一ウェハリアクタは、第1のガス流が基板ウェハの上方を通過し、第2のガス流が基板ウェハのエッジ領域へと供給されるように設計された。
【0024】
2枚目ごとの基板ウェハに対して、コーティング工程の前に別個のプロセス工程が行われ、この別個のプロセス工程の間に、キャリアガスの第1のガス流が基板ウェハの上方を通過し、堆積ガスの第2のガス流が基板ウェハのエッジ領域へと供給された。チャンバエッチング以降に行われるコーティング工程の数が多ければ多いほど、堆積ガスの第2のガス流の供給時間が長めに選択された。偶数番目のコーティング工程の前には、コーティング工程前の別個のプロセス工程は省略された。
【0025】
次のコーティング工程後に、製造されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハのエッジジオメトリを調査し、ESFQD_AVG_Δ(Edge Site Front surface least sQuares site Deviation、ESFQD)として定量化した。ESFQD測定値は72箇所のエッジサイト(2mmのエッジを除く長さ30mmのセクタであり、147.5mmと148mmとの間の半径長を有するこれらセクタの一領域で該測定値は算定される)で取得され、各測定ごとに、各基板ウェハと、結果として得られたエピタキシャル層を有する各半導体ウェハとについて、平均値(AVG)が算出され、これら2つの平均値のペアのうちの一方が他方から減算された(Δ)。
【0026】
図3は、チャンバエッチング以降に行われたコーティング工程の数Nに応じた、減算結果としてのESFQD_AVG_Δをグラフ化した図である。この数列のうち、奇数がこの発明に従ってコーティングされた基板ウェハに割り当てられ、偶数が別個のプロセス工程無しで、すなわち堆積ガスの第2のガス流が無い状態でコーティングされた基板ウェハに割り当てられる。さらに、この発明に従って行われた一方法では、堆積ガスの第2のガス流が基板ウェハのエッジ領域に供給される時間は、この発明に従って直前に行われた方法における対応する時間よりも一定量だけ長かった。
【0027】
偶数に重なるデータ点は、介入が無い場合の、チャンバエッチング後の増加するエッジロールオフの作用を表している。数列のうち奇数で上昇しているデータ点は、この発明の介入によってエッジロールオフが幾つかの例において補って余りあるものとなっており、それどころか意図していた以上の材料がエッジ領域に堆積されたことを示している。
【0028】
次の実験では、数列のうち奇数の、この発明に従って行われたコーティング工程に対して、別個のプロセス工程は省略された、すなわちコーティング工程中に、第2の堆積ガスの第2のガス流が基板ウェハのエッジ領域に供給され、前駆体ガスおよびキャリアガスを混合して堆積ガスの第2のガス流を作り出す前の前駆体ガスおよびキャリアガスの体積速度には別の比率が選択され、コーティング工程の時間は最初の実験での時間に比して短縮された。
【0029】
図4は、プロセスパラメータの選択された組み合わせにより、エピタキシャル層を有する半導体ウェハの比較的均一なエッジジオメトリを達成できたことを示している。
【符号の説明】
【0030】
使用される参照番号のリスト
1 上方蓋
2 下方蓋
3 堆積チャンバ
4 基板ウェハ
5 サセプタ
6 予熱リング
7 上方ライニング
8 下方ライニング
9 第1のガス入口孔
10 第2のガス流のためのガス入口孔
11 第1のガス出口
12 下方ガス入口孔
13 下方ガス出口
14 第1のガス流
15 第2のガス流
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相から堆積されたエピタキシャル層を有する半導体ウェハを堆積チャンバ内で製造する方法であって、前記方法は、
先行するコーティング工程中に前記堆積チャンバ内で堆積された材料を、前記堆積チャンバのエッチングによって前記堆積チャンバから除去する工程と、
連続して行われ、各々が前記堆積チャンバ内で基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させることを含み、第1の堆積ガスの第1のガス流が前記基板ウェハの上方を通過することでエピタキシャル層を有する半導体ウェハが形成されることを伴う、複数のコーティング工程と、
連続して行われる前記複数のコーティング工程の各々の前または後に、前記基板ウェハの各々の、または前記エピタキシャル層を有する半導体ウェハの各々のエッジ領域に、第2の堆積ガスの第2のガス流を供給する工程とを含み、前記第2の堆積ガスを供給する工程を通じて、前記材料を堆積チャンバから除去する工程以降に行われるコーティング工程の数に応じて前記エッジ領域内の材料堆積を増加させる、少なくとも1つのプロセスパラメータが変更される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記第2の堆積ガスの第2のガス流が前記基板ウェハに供給される時間、前記第2の堆積ガスが前記基板ウェハのエッジ領域に供給される速度、前記第2のガス流内の前駆体ガスとキャリアガスとの体積比、前記前駆体ガスおよび前記キャリアガスを混合して前記第2のガス流を作り出す前の前記前駆体ガスと前記キャリアガスとの体積速度比、前記堆積チャンバ内の温度、ならびに前記基板ウェハの回転速度を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のガス流を第1の流れ方向に沿って供給する工程と前記第2のガス流を第2の流れ方向に沿って供給する工程とによって特徴付けられ、前記第1の流れ方向および前記第2の流れ方向は、好ましくは45°から90°である角度αを含む、請求項1または2に記載の方法。
【国際調査報告】