(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】メラノコルチン受容体アゴニスト化合物の結晶形Vおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/16 20060101AFI20240417BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240417BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240417BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240417BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240417BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240417BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C07D207/16 CSP
A61K31/5377
A61P43/00 111
A61P3/04
A61P3/10
A61P29/00
A61P15/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568097
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2022006478
(87)【国際公開番号】W WO2022235104
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058701
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジン・オク・ハム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・デ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウォン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウォン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・チュン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、化学式1で表される化合物の結晶形V、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。本発明の化学式1で表される化合物の結晶形Vは、XRDパターン、DSCプロファイル、および/またはTGAプロファイルにより特性化されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形Vであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上の特徴的なピークを有する、結晶形V。
【化1】
(前記化学式1中、
R
1は、C
2-C
5アルキルである。)
【請求項2】
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、7.84±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°を含む特徴的なピークを有する、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項3】
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.92±0.2°、7.20±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、および20.24±0.2°を含む特徴的なピークを有する、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項4】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩が、前記化合物の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、およびヨウ化水素酸塩からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項5】
前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物の結晶形である、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項6】
前記溶媒和物が芳香族エーテル化物である、請求項5に記載の結晶形V。
【請求項7】
前記溶媒和物がメチルフェニルエーテル化物である、請求項6に記載の結晶形V。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vの製造方法であって、
芳香族エーテル含有結晶化溶媒に前記化学式1の化合物を溶解させ、混合溶液を製造するステップと、
前記混合溶液から結晶を得るステップと、を含む、結晶形Vの製造方法。
【請求項9】
前記結晶化溶媒は脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項10】
前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(methyl phenyl ether)、エチルフェニルエーテル(ethyl phenyl ether)、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、またはこれらの混合物を含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項11】
前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、ペンタン(pentate)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、またはこれらの混合物を含む、請求項9に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項12】
前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒を1:1~1:10の体積比で用いるものである、請求項9に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項13】
前記得られた結晶を脂肪族エーテル溶媒により洗浄するステップをさらに含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項14】
前記結晶化溶媒は脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含み、
前記結晶化溶媒に含まれる脂肪族非プロトン性有機溶媒は、前記洗浄するステップで用いる脂肪族エーテル溶媒と同一または異なるものである、請求項13に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項15】
前記結晶化溶媒はメチルフェニルエーテルおよびジエチルエーテルを含み、
前記洗浄溶媒はジエチルエーテルを含む、請求項14に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項16】
前記洗浄するステップは、前記得られた結晶を脂肪族非プロトン性有機溶媒で1回以上洗浄した後、0℃~200℃で結晶を得ることを含む、請求項13に記載の結晶形VIの製造方法。
【請求項17】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、メラノコルチン-4受容体機能亢進用医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物は、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全の予防または治療用である、請求項18に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年5月6日に出願された韓国特許出願第10-2021-0058701号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、メラノコルチン受容体に対する優れた亢進活性を示す新規化合物の結晶形V、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レプチン(leptin)タンパク質は、脂肪細胞(adipocyte)により分泌されるホルモンであり、体内脂肪の含量の増加に伴ってその分泌量が増加し、視床下部(hypothalamus)で生成される様々な神経ペプチド(neuropeptide)の機能を調節することで、食欲、体脂肪含量およびエネルギー代謝をはじめ、多様な生体内機能を調節する(Schwartz,et al.,Nature 404,661-671(2000))。レプチンタンパク質による食欲と体重調節のシグナル伝逹は、その下流(downstream)における種々の要因の調節により行われるが、その最も代表的なものが、メラノコルチン(melanocortin)、AgRP(agoutirelated peptide)、および神経ペプチドY(neuropeptide Y、NPY)ホルモンである。
【0003】
生体内のカロリー過多による結果として、血液中のレプチンの濃度が増加すると、脳下垂体(pituitary gland)でのプロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin;POMC)タンパク質ホルモンの分泌は増加し、AgRPとNPYの生成は減少する。POMC神経細胞から小さなペプチドホルモンであるalpha-MSH(melanocyte stimulating hormone)が生成され、このホルモンは、二次神経細胞のメラノコルチン-4受容体(Melanocortin-4 Receptor、MC4R)アゴニスト(agonist)として食欲減少を究極的に誘導する。これに対し、カロリー不足による結果として、レプチンの濃度が減少すると、MC4R拮抗剤(antagonist)であるAgRPの発現が増加し、NPYの発現も増加して、究極的に食欲を増進させることになる。つまり、レプチンの変化によって、alpha-MSHホルモンとAgRPホルモンは、MC4Rに対して亢進と拮抗の役割を行うことで、食欲調節に関与する。
【0004】
Alpha-MSHホルモンは、MC4Rの他に、3つのMCR subtypeにも結合し、多様な生理反応を誘導する。現在まで5種のMCR subtypeが究明されており、そのうち、MC1Rは、主に皮膚細胞で発現してメラニン色素調節(skinpigmentation)に関与し、MC2Rは、副腎(adrenal gland)で主に発現し、グルココルチコイドホルモン(glucocorticoid hormone)の生成に関与すると知られており、POMCに由来のACTH(adrenocorticotropic hormone)のみがそのリガンドである。中枢神経系で主に発現するMC3RとMC4Rは、食欲、エネルギー代謝、および体内脂肪貯蔵効率の調節などに関与し、種々の組織で発現するMC5Rは、外分泌機能(exocrine function)を調節すると知られている(Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000))。特に、MC4R受容体の活性化は、食欲の減少とエネルギー代謝の増加を誘導することで、体重を効率的に減少させる効果を示すことから、肥満治療剤の開発の主な作用点として立証されている(Review:Wikberg,Eur.J.Pharmacol 375,295-310(1999));Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000);Douglas et al.,Eur J Pharm 450,93-109(2002);O’Rahilly et al.,Nature Med 10,351-352(2004))。
【0005】
食欲と体重調節において、MC4Rの役割は、アグーチ(agouti)タンパク質の異常発現動物モデル(agouti mouse)実験により、一次的に立証されている。アグーチマウス(Agouti mouse)では、遺伝的変異によりアグーチタンパク質が中枢神経系でも高い濃度で発現し、視床下部でMC4Rの拮抗剤(antagonist)の役割を行うことで、肥満を誘導することが明らかになっている(Yen,TT et al.,FASEB J.8,479-488(1994);Lu D.,et al.Nature 371,799-802(1994))。以後の研究結果では、視床下部神経で実際にアグーチタンパク質と類似のAgRP(agouti-related peptide)が発現することが観察され、これらも、MC4Rに対する拮抗剤として食欲調節に関与すると知られている(Shutter,et al.,Genes Dev.,11,593-602(1997);Ollman,et al.Science 278,135-138(1997))。
【0006】
生体内のMC4Rアゴニストであるalpha-MSHを動物に対して大脳投与すると、食欲を減少させる効果が示され、これにMC4R拮抗剤(antagonist)であるSHU9119(peptide)またはHS014(peptide)を処理すると、食欲を再び増加させる現象が観察されている(Kask et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.245,90-93(1998))。それだけでなく、Melanotan II(MTII、Ac-Nle-c[Asp-His-DPhe-Arg-Trp-Lys]-NH2)と、その類似のアゴニストであるHP228を用いた動物試験において、大脳、腹腔、または皮下投与の後に、食欲抑制、体重減少、エネルギー代謝の増加の効能などが確認されている(Thiele T.E.,et al.Am J Physiol 274(1 Pt 2),R248-54(1998);Lee M.D.,et al.FASEB J 12,A552(1998);Murphy B.,et al.J Appl Physiol 89,273-82(2000))。これと逆に、代表的なSHU9119を動物に投与すると、顕著且つ持続的な飼料摂取および体重増加を示し、MCRアゴニストが肥満治療剤となることができるという薬理学的な証拠を提供する。MTIIの投与時に著しく現れる食欲減少の効果が、MC4R KO(knock-out)マウスでは現れないが、この実験結果は、食欲減少の効果が、主にMC4Rの活性化により行われていることをさらに証明する(Marsh,et al.,Nat Genet 21,119-122(1999))。
【0007】
現在まで開発されている肥満治療剤は、中枢神経系に作用する食欲阻害剤が主な種類であり、中でも、神経シグナル伝達物質(neurotransmitter)の作用を調節する薬物がほとんどであった。その例としては、noradrenalin agent(フェンテルミン(phentermine)とマジンドール(mazindol))、serotonergic agentであるフルオキセチン(fluoxetine)およびシブトラミン(sibutramine)などがある。しかしながら、前記神経シグナル伝達物質調節剤は、数多いサブタイプ受容体により、食欲阻害の他に、様々な生理作用にも広範囲な影響を及ぼす。したがって、前記調節剤は、各サブタイプ毎の選択性に欠けており、長期間投与した際に、様々な副作用が伴われるという大きい欠点がある。
【0008】
一方、メラノコルチンアゴニストは、神経シグナル伝達物質ではなく神経ペプチド(neuropeptide)であり、MC4R遺伝子KOマウスにおいてエネルギー代謝以外の他の機能は何れも正常である点からみて、他の生理機能への影響なしに、食欲阻害による体重減少のみを誘導することができるという点から、作用点としての利点を有する。特に、その受容体が、現在まで開発されている新薬作用点の中で最も成功的な範疇に属するG-タンパク質結合受容体(G-protein coupled receptor、GPCR)であって、サブタイプ受容体に対する選択性の確保が相対的に容易であるという点から、既存の作用点とは大きく区別される。
【0009】
かかるメラノコルチン受容体を作用点として活用した例として、国際公開WO2008/007930号およびWO2010/056022号では、メラノコルチン受容体のアゴニストとしての化合物が開示されている。
【0010】
また、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた下記化学式1の新規な化合物およびその製造方法を発明している(韓国特許出願第10-2019-0141649号(2019.11.07.出願))。
【0011】
【0012】
一方、薬学的に活性である成分の結晶構造は、その薬物の化学的安定性に影響を及ぼすことがある。異なる結晶化条件および貯蔵条件は、その化合物の結晶構造を変化させる可能性があり、時には、異なる形態の結晶形が伴われる生産を引き起こすことがある。一般に、無定形薬物生成物は、規則的な結晶構造を有しておらず、不良な生成物安定性、さらに小さい粒子サイズ、難しい濾過、凝集しやすさ、および不良な流動性といった、その他の欠陥を有することがある。したがって、生成物の多様な物性を改善させる必要がある。しかし、一般に、通常の技術者は、化合物がどのような条件で効果的に結晶化されるか、さらには、どのような結晶形が、再現性、安定性、生体利用率の点から有利であるかを予測することが困難であるため、一つの化合物に対して、種々の多様な結晶構造を研究する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願公開WO2008/007930号
【特許文献2】国際特許出願公開WO2010/056022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた新規な化合物の安定な結晶形、およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記新規な化合物の安定な結晶形を含む医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、
一側面において、本発明は、下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形Vであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上または5個以上の特徴的なピークを有する、結晶形Vを提供する。
【0017】
【0018】
前記化学式1中、
R1は、C2-C5アルキルである。
【0019】
前記化学式1の化合物は、不斉炭素中心と不斉軸または不斉平面を有し得るため、cisまたはtrans異性体、RまたはS異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体混合物および個々のジアステレオ異性体として存在することができ、これらの異性体および混合物は、何れも前記化学式1の化合物の範囲に含まれる。
【0020】
本明細書において、便宜上、他に断らない限り、化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体およびその溶媒和物を何れも含む意味で用いられる。
【0021】
本発明に係る一具体例において、前記化学式1のR1は、C2~C5アルキルである。本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、直鎖状または分岐状のC2~C5アルキル、例えば、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。
【0022】
本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、C2またはC3アルキルである。本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、直鎖状または分岐状のC2またはC3アルキル、例えば、エチル、n-プロピルまたはiso-プロピルである。
【0023】
本発明に係る一具体例において、前記薬学的に許容可能な塩は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、卜リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、またはナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などにより形成された酸付加塩を含むが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明に係る一具体例において、前記溶媒和物(solvate)は、水和物;またはメタノール、エタノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、n-ブタノール、1,4-ブタンジオール、tert-ブタノール、酢酸、アセトン、ブチルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、およびこれらの二つ以上の混合物からなる群から選択される有機溶媒との溶媒和物を含んでもよい。
【0025】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の結晶形であってもよい。
【0026】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式2の塩酸塩化合物であってもよい。
【0027】
【0028】
前記化学式2中、R2は、C2-C5アルキルである。
【0029】
本発明に係るさらに他の具体例において、前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式3のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩であってもよい。
【0030】
【0031】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の溶媒和物、具体的に、水和物の結晶形であってもよい。
【0032】
より具体的に、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物の結晶形であってもよい。
【0033】
本発明に係る一具体例において、前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物は、芳香族エーテル化物であってもよい。
【0034】
本発明に係る他の具体例において、前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物は、メチルフェニルエーテル化物であってもよい。前記メチルフェニルエーテルはアニソール(anisole、C7H8O)とも言い、したがって、前記溶媒和物はアニソール化物であってもよい。
【0035】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、下記化学式4の化合物の結晶形であってもよい。
【0036】
【0037】
本発明に係る結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上、5個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示す。
【0038】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.42±0.2°、7.84±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上、5個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示すことができる。
【0039】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図4に示したXRDパターンを有するものであってもよい。
【0040】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルで、120~130℃で吸熱ピークが示されるものであってもよい。
【0041】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図5に示したDSCプロファイルを有するものであってもよい。
【0042】
本発明に係る結晶形Vは、熱重量分析(TGA)プロファイルで、150℃以下の温度で加熱した時に、例えば、120~130℃の温度で20%以下、例えば、1%~20%、5%~18%、10%~17%、10%~15%、または11%~13%の重量損失を有するものであってもよい。
【0043】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図6に示したTGAプロファイルを有するものであってもよい。
【0044】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.92±0.2°、7.20±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、および20.24±0.2°から選択される3個以上、5個以上、6個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示すことができる。
【0045】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形VIは、
図7に示したXRDパターンを有するものであってもよい。
【0046】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルで、190~200℃、具体的に、190~195℃、より具体的に、192~194℃で吸熱ピークが示されるものであってもよい。
【0047】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、
図8に示したDSCプロファイルを有するものであってもよい。
【0048】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、熱重量分析(TGA)プロファイルで、150℃以下の温度で加熱した時に、例えば、120~130℃の温度で10%以下、例えば、1%~5%または1%~3%の重量損失を有するものであってもよい。
【0049】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、
図9に示したTGAプロファイルを有するものであってもよい。
【0050】
本明細書において、X線回折(XRD)分析は、PXRD(Cu Kα radiation(λ=1.54Å)、Rigaku、Miniflex 600、Japan)を用いて行った結果を示す。
【0051】
示差走査熱量(DSC)分析は、DSC(Q2000、TA instrument、USA)を用いて行った結果を示す。
【0052】
熱重量分析(TGA)は、Termo-gravimetric anylsis(TGA8000、PerkinElmer、USA)を用いて行った結果を示す。
【0053】
前記結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、無定形の化学式1の化合物、または化学式1の化合物の他の結晶形と比べてより高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができる。さらに、前記化学式1の化合物の結晶形Vは、公知のメラノコルチン-4-受容体アゴニストと比べて、メラノコルチン-4受容体に対する亢進能力、肥満、糖尿、炎症、勃起不全などの疾病の予防または治療効果がさらに優れるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0054】
他の側面において、本発明は、前記化学式1の化合物を芳香族エーテル含有結晶化溶媒に溶解させ、混合溶液を製造するステップと、前記混合溶液から結晶を得るステップと、を含む、結晶形Vの製造方法を提供する。
【0055】
先ず、前記化学式1で表される化合物を芳香族エーテル含有結晶化溶媒に溶解させる。
【0056】
前記結晶形Vの製造のための、前記化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その塩、その異性体、またはこれらの溶媒和物であってもよい。
【0057】
前記化学式1の化合物は、韓国特許出願第10-2019-0141649号(2019.11.07.出願)の明細書に記載の製造方法により得られるものであってもよい。
【0058】
前記結晶化溶媒は、芳香族エーテル溶媒を必ず含んで用いる。前記「芳香族エーテル」溶媒は、エーテル化合物であって、芳香族置換基を有するものであれば特に制限されずに使用できる。
【0059】
本発明の一具体例において、前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(methyl phenyl ether)、エチルフェニルエーテル(ethyl phenyl ether)、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、またはこれらの混合物を含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0060】
本発明の他の具体例において、前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(または「アニソール(anisole)」ともいう)を含む。
【0061】
本発明のさらに他の具体例において、前記結晶化溶媒は、前記芳香族エーテルの他に、非プロトン性有機溶媒をさらに含んでもよく、具体的に、前記芳香族エーテル溶媒と区別される脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含んでもよい。
【0062】
前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、ペンタン(pentate)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0063】
本発明に係る一具体例において、前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(「エチルエーテル(ethyl ether)」ともいう)を含んでもよい。
【0064】
本発明に係る一具体例において、前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒、具体的に、アニソールおよびエチルエーテルを含んでもよい。
【0065】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒を1:1~1:10の体積比で用いてもよく、具体的に、1:1~1:10、1:1~1:5、1:2~1:4、または1:3の体積比で用いてもよい。
【0066】
本発明に係るさらに他の具体例において、前記結晶化溶媒は、アニソールおよびエチルエーテルが1:3の体積比で混合された混合溶媒であってもよい。
【0067】
前記化学式1の化合物の溶解は、20~25℃の温度で、攪拌なしにまたは攪拌下で行われてもよい。
【0068】
前記結晶化溶媒は、化学式1の化合物を完全に溶解させることができる量で用いてよく、例えば、前記化学式1の化合物を溶解させた混合溶液は、10g/mL~200mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、または100mg/mLの濃度を有してもよい。
【0069】
次に、前記混合溶液から結晶を得るステップを含む。前記結晶の得るステップは、例えば、溶液を冷却させるか、溶媒を蒸発させるか、逆溶媒を添加して過飽和させるか、スラリー転換などの方法を用いることで行われることができる。
【0070】
本発明に係る一具体例において、前記混合溶液を常温で一定時間保管した後に形成される沈殿物を濾過および洗浄して結晶を得ることができる。
【0071】
前記保管は、前記混合溶液の温度として20℃~30℃の温度で、12時間~48時間、例えば、20時間~36時間、または24時間攪拌なしに行ってもよい。
【0072】
上記のように得られた結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の他の結晶形と比べて、より高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0073】
本発明に係る一具体例において、前記得られた結晶を脂肪族エーテル溶媒で洗浄するステップをさらに含んでもよい。
【0074】
前記洗浄するステップにより、得られる結晶の純度を高くし、最終的に生産される化学式1の化合物の収率を改善する効果を奏することができ、化合物の安定性が改善される効果を奏することができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0075】
前記洗浄には、脂肪族エーテル溶媒を用いる。前記「脂肪族エーテル」溶媒はエーテル化合物であって、脂肪族置換基のみを有するものであれば特に制限されずに使用可能である。
【0076】
本発明の一具体例において、前記脂肪族エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、またはこれらの混合物を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0077】
本発明の他の具体例において、前記脂肪族エーテルは、ジエチルエーテルを含んでもよい。
【0078】
本発明のさらに他の具体例において、前記結晶化のための結晶化溶媒は、メチルフェニルエーテルおよびジエチルエーテルを含み、前記洗浄溶媒は、ジエチルエーテルを含んでもよい。
【0079】
前記洗浄するステップは、上記で一次的に得られた結晶を脂肪族非プロトン性有機溶媒で1回以上洗浄してから保管するステップを含んでもよい。
【0080】
本発明の一具体例において、前記洗浄後、例えば、0℃~200℃、20℃~25℃、25℃~60℃、または40℃~80℃で保管して形成される沈殿物を濾過して得てもよい。
【0081】
本発明の他の具体例において、前記洗浄後、上記の温度で、60分~60日、例えば、60分~45日、2時間~45日、5時間~45日、5時間~30日、5時間~24時間、6時間~12時間、6時間~10時間、8時間~30日、10時間~45日、12時間~40日、15日~45日、または20日~40日間保管して形成される沈殿物を濾過して得てもよい。
【0082】
前記再結晶化時に、上記の温度で上記の期間、攪拌しながらまたは攪拌なしに保管してもよい。
【0083】
上記のように得られた結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の他の結晶形と比べて、より高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0084】
さらに他の側面において、本発明は、(i)前記結晶形Vと、(ii)薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0085】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すため、本発明は、また、上述の結晶形Vを有効成分として含むメラノコルチン受容体の機能亢進用医薬組成物を提供することができる。具体的に、前記医薬組成物は、メラノコルチン-4受容体機能亢進用組成物であってもよい。
【0086】
また、前記医薬組成物は、肥満、糖尿、炎症、および勃起不全の予防または治療において優れた効果を奏することができるため、肥満の予防または治療用、糖尿の予防または治療用、炎症の予防または治療用、または勃起不全の予防または治療用組成物であってもよいが、本発明の用途がこれらの疾病のみに制限されるものではない。
【0087】
本明細書において、「担体(carrier)」とは、細胞または組織内への化合物の投入を容易にする化合物を意味する。
【0088】
本発明の結晶形Vを臨床的な目的で投与する時に、単一用量または分離用量で宿主に投与される総一日用量は、体重1kg当たりに0.01~10mgの範囲が好ましいが、個々の患者における特異的な用量水準は、使用される特定の化合物、患者の体重、性別、健康状態、食餌、薬剤の投与時間、投与方法、排泄率、薬剤混合、および疾患の重症度などによって変わり得る。
【0089】
本発明の結晶形Vは、目的に応じて、如何なる経路でも投与可能である。例えば、本発明の無定形の化合物は、非経口投与または経口投与することができる。
【0090】
本発明の医薬組成物は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、粒剤、シロップ、またはエマルジョンなどの多様な経口投与の形態であってもよく、または、筋肉内、静脈内、または皮下投与のための注射用製剤などの非経口投与の形態であってもよい。
【0091】
注射用製剤は、公知の技術によって、適した分散剤、湿潤剤、懸濁剤、または賦形剤を用いて製造することができる。
【0092】
本発明の薬学的製剤に使用可能な賦形剤としては、甘味剤、結合剤、溶解剤、溶解補助剤、湿潤剤、乳化剤、等張化剤、吸着剤、崩壊剤、酸化防止剤、防腐剤、滑沢剤、充填剤、芳香剤などが含まれてもよいが、これに制限されない。例えば、賦形剤として、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシン、シリカ、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、アルギニン酸、ナトリウムアルギン酸塩、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、オレンジエッセンス、ストロベリーエッセンス、バニラ香などが使用できる。
【0093】
本発明の医薬組成物が経口投与の形態である場合、用いられる担体の例としては、セルロース、ケイ酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、デキストロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルクなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0094】
本発明の医薬組成物が注射用製剤の形態である場合、前記担体としては、水、食塩水、ブドウ糖水溶液、疑似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリドなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0095】
さらに他の側面において、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進用途に用いるための上述の結晶形Vを提供する。
【0096】
一実施形態において、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全の治療または予防用途に用いるための、上述の結晶形Vを提供する。
【0097】
さらに他の側面において、上述の結晶形Vを対象体(subject)に投与するステップを含む、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進方法を提供する。
【0098】
さらに他の側面において、上述の結晶形Vを対象体(subject)に投与するステップを含む、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全を治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0099】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すため、肥満、糖尿、炎症、および勃起不全の予防または治療に有用に利用されることができる。
【0100】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン-4受容体に対するon-target効果を示し、体重減少および食餌減少の効果を奏するとともに、不安感および憂鬱に影響を与えることなく、hERG(human ether-a-go-go related gene)阻害に対する副作用や突然変異の誘発といった安全性の問題なしに投与可能である。
【0101】
また、本発明に係る結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の任意の他の結晶形と比べて、純度、収率、物理的および化学的安定性に優れる。
【0102】
具体的に、前記結晶形Vは、化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の任意の他の結晶形と比べて、溶解性、貯蔵安定性、生成安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】製造例4のXRD結果を示したグラフである。
【
図2】製造例4のDSC結果を示したグラフである。
【
図3】製造例4のTGA結果を示したグラフである。
【
図4】実施例1のXRD結果を示したグラフである。
【
図5】実施例1のDSC結果を示したグラフである。
【
図6】実施例1のTGA結果を示したグラフである。
【
図7】実施例2および実施例3のXRD結果を示したグラフである。
【
図8】実施例2および実施例3のDSC結果を示したグラフである。
【
図9】実施例2および実施例3のTGA結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0104】
以下、製造例および実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、これらの実施例は、本発明の例示にすぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0105】
製造例1:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
【化6】
下記ステップA、B、C、D、およびEの過程を経て標題化合物を得た。
【0106】
ステップA:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
窒素下で、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4R)-4-((メチルスルホニル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(48.5g、150mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(250ml)に溶かし、アジ化ナトリウム(19.5g、300ml)を添加した。80℃で16時間攪拌し、反応溶媒を減圧濃縮させた後、水を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製(crude)の1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(39.59g、98%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 271 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.43-4.37 (m, 1H), 4.35-4.27 (br, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s, 1.2H), 3.73-3.66 (m, 1H), 3.44-3.38 (m, 1H), 2.63-2.49 (m, 1H), 2.19-2.11 (m, 1H), 1.50 (s, 4.5H), 1.44 (s, 4.5H)
【0107】
ステップB:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップAで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(24.59g、91.0mmol)をテトラヒドロフラン(180ml)に溶かした後、0℃で1Mのトリメチルホスフィンテトラヒドロ溶液(109.2ml、109.2mmol)をゆっくりと添加した。同一温度で1時間攪拌した後、常温で3時間攪拌した。反応溶媒を減圧濃縮させた後、ジクロロメタン(100ml)と水(150ml)を入れて30分程度攪拌した。層分離し、ジクロロメタンでさらに1回抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製の1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、93%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 245 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s,1.2H), 3.75-3.67 (m, 1H), 3.50-3.42 (m, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 2.58-2.47 (m,1H), 1.82-1.71 (m, 1H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H)
【0108】
ステップC:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップBで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、84.4mmol)をジクロロエタン(150ml)に溶かし、4-メチルシクロヘキサノン(9.5ml、101.3mmol)を添加した。0℃でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(26.8g、126.6mmol)を添加し、常温で16時間攪拌した。反応溶媒を減圧濃縮させて水を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(22.9g、80%)を得た。
MS [M+H] = 341 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.26 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.49-3.40 (m, 1H), 3.22-3.16 (m, 1H), 2.69-2.60(br, 1H), 2.58-2.46 (m, 1H), 1.87-1.77 (m, 1H), 1.73-1.63 (m, 1H), 1.62-1.35(m, 8H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H), 0.96 (d, 3H)
【0109】
ステップD:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップCで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(37.29g、109.5mmol)をジクロロメタン(500ml)に溶かし、トリエチルアミン(61.1ml、438.1mmol)を入れた後、0℃でイソブチリルクロリド(11.7ml、219mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌した後、反応溶媒を減圧濃縮させてから炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(38.79g、86%)を得た。
MS [M+H] = 411 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.50-3.41 (m, 1H), 3.33-3.14 (m, 1H), 2.69-2.60 (m, 2H), 2.57-2.43 (m, 1H), 1.87-1.79 (m, 1H), 1.70-1.61 (m, 1H), 1.60-1.32 (m, 8H), 1.47 (s, 4.5H), 1.41 (s, 4.5H), 1.10 (dd, 6H), 0.99 (d, 3H)
【0110】
ステップE:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
上記のステップDで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(34.0g、82.8mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶かした後、0℃で4Nの塩酸1,4-ジオキサン溶液(82.8ml、331.3mmol)を添加した。常温で6時間攪拌した後、反応溶媒を減圧濃縮して粗製の標題化合物(28.7g、99%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS[M+H] = 311 (M+1)
【0111】
製造例2:(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸の製造
【化7】
国際公開WO2004/092126号に記載の方法により標題化合物を得た。
MS[ M+H] = 282 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43-7.33 (m, 4H), 3.90-3.69 (m, 3H), 3.59 (dd, J = 11.2, 10.0 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 11.2, 11.2 Hz, 1H), 3.18-3.09 (m, 1H), 1.44 (s, 9H)
【0112】
製造例3:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニルl)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
【化8】
下記ステップA、B、およびCの過程を経て標題化合物を得た。
【0113】
ステップA:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの製造
製造例1で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(28.7g、82.73mmol)、製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(24.5g、86.87mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(22.2g、115.83mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(15.7g、115.83mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(400ml)に溶かし、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(72.0ml、413.66mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌し、反応溶媒を減圧濃縮させた後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製してメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(41.19g、87%)を得た。
MS [M+H] = 575 (M+1)
【0114】
ステップB:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の製造
上記のステップAで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(39.4g、68.62mmol)をメタノール(450ml)に溶かした後、6Nの水酸化ナトリウム水溶液(57.2ml、343.09mmol)を添加した。常温で16時間攪拌し、6Nの塩酸水溶液でpH5程度に調整した後、反応溶液を減圧濃縮させた。濃縮液をジクロロメタンで溶かした後、溶解されていない固体は紙フィルターで濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製の標題化合物(38.4g、99%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 561 (M+1)
【0115】
ステップC:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
上記のステップBで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(38.4g、68.60mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.4g、96.04mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(13.0g、96.04mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(200ml)に溶かした後、順にモルホリン(5.9ml、68.80mmol)とN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(59.7ml、343.02mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌し、反応溶液を減圧濃縮させた後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製してN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド(37.05g、86%)を得た。
MS [M+H] = 630 (M+1)
【0116】
製造例4:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の無定形化合物の製造
【化9】
前記製造例3で製造した化合物(MC70)1gを基準としてMBTE19mLを使用し、25℃で化合物(MC70)を溶解した。溶解が完了した後、ヘプタン(heptane)1mLを投入してから-5~0℃に冷却した。設定温度に達した後、4MのHCl/EtOAcを1当量滴下してから約90分間攪拌し、濾過して標題化合物(MC71)を得た(収率:約90%)。
【0117】
製造例4の化合物に対するXRD(
図1)、DSC(
図2)、およびTGA(
図3)の分析結果をそれぞれ
図1から
図3に添付しており、分析結果、無定形化合物であることが確認された。XRD、DSC、およびTGAのそれぞれの分析方法は、以下の実施例1に対する実験例において後述する。
【0118】
実施例1.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
【化10】
上記で製造した製造例4の化合物(MC71)を、結晶化溶媒を用いて20-25℃で溶解し、100mg/mL濃度の混合溶液を製造した。この際、結晶化溶媒としては、アニソール(anisole)とジエチルエーテル(diethyl ether)を1:3の体積比で混合した混合溶媒を使用した。溶解が完了した後、常温で24時間保管してから濾過して標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0119】
実施例2.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
上記の実施例1で得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した後、60℃の循環型オーブンにて8時間保管し、標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0120】
実施例3.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
上記の実施例1で得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した後、20-25℃の常温で30日間保管したことを除き、実施例2と同様の方法により標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0121】
比較例1
上記で製造した製造例4の化合物(MC71)1gを、EtOAc1mLを用いて常温で溶解した。溶解が完了した後、電磁攪拌器で約43時間攪拌したが、実施例1~実施例3のような結晶が得られなかった。
【0122】
実験例1.実施例1の結晶形の評価
[実験例1-1.XRD評価]
粉末XRD回折パターンは、PXRD(Cu Kα radiation(λ=1.54Å)、Rigaku、Miniflex 600、Japan)を用いて、チューブ電圧およびチューブ電流をそれぞれ45kV、15mAに設定した後、スキャン速度0.02°/s、ステップスピード4°/minで、3-40°の範囲のブラッグ角(2θ)を測定した。
【0123】
上記の実施例1で得られた結晶形VをXRDにより測定した結果を
図4に示した。
【0124】
図4に示したスペクトルから確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、4.42°、7.84°、12.58°、16.20°、20.08°、および23.65°で特性ピーク(2θ)を示しており、XRDの具体的な値は下記表1に示した。
【0125】
【0126】
[実験例1-2.示差走査熱量測定(DSC)]
DSC(Q2000、TA instrument、USA)を用いて、de-solvated temperature、transient temperature、およびmelting temperatureを測定した。50ml/minの速度で窒素パージを行うとともに、10℃/minの速度で30℃-300℃をスキャンした。
【0127】
上記の実施例1で得られた結晶形VをDSC測定した結果を
図5に示した。
【0128】
図5から確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、約126.2℃で吸熱ピークが観察された。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0129】
[実験例1-3.熱重量分析(TGA)]
Termo-gravimetric anylsis(TGA8000、PerkinElmer、USA)を用いて、surface waterおよびsolvateを含む揮発性含量の分析を行った。開放型アルミニウムパンに5mgの試料を秤量してTGAを行い、試料を10℃/minの速度で30℃から300℃まで加熱し、測定する間に、装備の内部に20mL/minの速度で窒素ガスを供給して酸素および他の気体の流入を遮断した。
【0130】
上記の実施例1で得られた結晶形VをTGA測定した結果を
図6に示した。
【0131】
図6から確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、120℃~130℃の温度で約11.8%の重量減少が観察された。約250℃以後に、decompositionによる重量減少が発生した。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0132】
実験例2.実施例2および3の結晶形の評価
[実験例2-1.XRD評価]
実験例1-1と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをXRDにより測定した結果を図7に示した。
【0133】
図7に示したスペクトルから確認されるように、実施例2および実施例3に係る結晶形Vは、4.92°、7.20°、9.22°、12.22°、16.48°、17.72°、および20.24°で何れも特性ピーク(2θ)を示しており、XRDの具体的な値は下記表2に示した。
【0134】
【0135】
[実験例2-2.示差走査熱量測定(DSC)]
実験例1-2と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをDSC測定した結果を図8に示した。
【0136】
図8から確認されるように、実施例2および実施例3の結晶形Vは、192℃~194℃で吸熱ピークが観察された。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0137】
[実験例2-3.熱重量分析(TGA)]
実験例1-3と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをTGA分析した結果を図9に示した。
【0138】
図9から確認されるように、結晶形Vは、120~130℃の温度で約1%~3%の重量減少が観察された。約250℃以後に、decompositionによる重量減少が発生した。温度値は±5℃の誤差を有する。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年5月6日に出願された韓国特許出願第10-2021-0058701号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、メラノコルチン受容体に対する優れた亢進活性を示す新規化合物の結晶形V、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レプチン(leptin)タンパク質は、脂肪細胞(adipocyte)により分泌されるホルモンであり、体内脂肪の含量の増加に伴ってその分泌量が増加し、視床下部(hypothalamus)で生成される様々な神経ペプチド(neuropeptide)の機能を調節することで、食欲、体脂肪含量およびエネルギー代謝をはじめ、多様な生体内機能を調節する(Schwartz,et al.,Nature 404,661-671(2000))。レプチンタンパク質による食欲と体重調節のシグナル伝逹は、その下流(downstream)における種々の要因の調節により行われるが、その最も代表的なものが、メラノコルチン(melanocortin)、AgRP(agoutirelated peptide)、および神経ペプチドY(neuropeptide Y、NPY)ホルモンである。
【0003】
生体内のカロリー過多による結果として、血液中のレプチンの濃度が増加すると、脳下垂体(pituitary gland)でのプロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin;POMC)タンパク質ホルモンの分泌は増加し、AgRPとNPYの生成は減少する。POMC神経細胞から小さなペプチドホルモンであるalpha-MSH(melanocyte stimulating hormone)が生成され、このホルモンは、二次神経細胞のメラノコルチン-4受容体(Melanocortin-4 Receptor、MC4R)アゴニスト(agonist)として食欲減少を究極的に誘導する。これに対し、カロリー不足による結果として、レプチンの濃度が減少すると、MC4R拮抗剤(antagonist)であるAgRPの発現が増加し、NPYの発現も増加して、究極的に食欲を増進させることになる。つまり、レプチンの変化によって、alpha-MSHホルモンとAgRPホルモンは、MC4Rに対して亢進と拮抗の役割を行うことで、食欲調節に関与する。
【0004】
Alpha-MSHホルモンは、MC4Rの他に、3つのMCR subtypeにも結合し、多様な生理反応を誘導する。現在まで5種のMCR subtypeが究明されており、そのうち、MC1Rは、主に皮膚細胞で発現してメラニン色素調節(skinpigmentation)に関与し、MC2Rは、副腎(adrenal gland)で主に発現し、グルココルチコイドホルモン(glucocorticoid hormone)の生成に関与すると知られており、POMCに由来のACTH(adrenocorticotropic hormone)のみがそのリガンドである。中枢神経系で主に発現するMC3RとMC4Rは、食欲、エネルギー代謝、および体内脂肪貯蔵効率の調節などに関与し、種々の組織で発現するMC5Rは、外分泌機能(exocrine function)を調節すると知られている(Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000))。特に、MC4R受容体の活性化は、食欲の減少とエネルギー代謝の増加を誘導することで、体重を効率的に減少させる効果を示すことから、肥満治療剤の開発の主な作用点として立証されている(Review:Wikberg,Eur.J.Pharmacol 375,295-310(1999));Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000);Douglas et al.,Eur J Pharm 450,93-109(2002);O’Rahilly et al.,Nature Med 10,351-352(2004))。
【0005】
食欲と体重調節において、MC4Rの役割は、アグーチ(agouti)タンパク質の異常発現動物モデル(agouti mouse)実験により、一次的に立証されている。アグーチマウス(Agouti mouse)では、遺伝的変異によりアグーチタンパク質が中枢神経系でも高い濃度で発現し、視床下部でMC4Rの拮抗剤(antagonist)の役割を行うことで、肥満を誘導することが明らかになっている(Yen,TT et al.,FASEB J.8,479-488(1994);Lu D.,et al.Nature 371,799-802(1994))。以後の研究結果では、視床下部神経で実際にアグーチタンパク質と類似のAgRP(agouti-related peptide)が発現することが観察され、これらも、MC4Rに対する拮抗剤として食欲調節に関与すると知られている(Shutter,et al.,Genes Dev.,11,593-602(1997);Ollman,et al.Science 278,135-138(1997))。
【0006】
生体内のMC4Rアゴニストであるalpha-MSHを動物に対して大脳投与すると、食欲を減少させる効果が示され、これにMC4R拮抗剤(antagonist)であるSHU9119(peptide)またはHS014(peptide)を処理すると、食欲を再び増加させる現象が観察されている(Kask et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.245,90-93(1998))。それだけでなく、Melanotan II(MTII、Ac-Nle-c[Asp-His-DPhe-Arg-Trp-Lys]-NH2)と、その類似のアゴニストであるHP228を用いた動物試験において、大脳、腹腔、または皮下投与の後に、食欲抑制、体重減少、エネルギー代謝の増加の効能などが確認されている(Thiele T.E.,et al.Am J Physiol 274(1 Pt 2),R248-54(1998);Lee M.D.,et al.FASEB J 12,A552(1998);Murphy B.,et al.J Appl Physiol 89,273-82(2000))。これと逆に、代表的なSHU9119を動物に投与すると、顕著且つ持続的な飼料摂取および体重増加を示し、MCRアゴニストが肥満治療剤となることができるという薬理学的な証拠を提供する。MTIIの投与時に著しく現れる食欲減少の効果が、MC4R KO(knock-out)マウスでは現れないが、この実験結果は、食欲減少の効果が、主にMC4Rの活性化により行われていることをさらに証明する(Marsh,et al.,Nat Genet 21,119-122(1999))。
【0007】
現在まで開発されている肥満治療剤は、中枢神経系に作用する食欲阻害剤が主な種類であり、中でも、神経シグナル伝達物質(neurotransmitter)の作用を調節する薬物がほとんどであった。その例としては、noradrenalin agent(フェンテルミン(phentermine)とマジンドール(mazindol))、serotonergic agentであるフルオキセチン(fluoxetine)およびシブトラミン(sibutramine)などがある。しかしながら、前記神経シグナル伝達物質調節剤は、数多いサブタイプ受容体により、食欲阻害の他に、様々な生理作用にも広範囲な影響を及ぼす。したがって、前記調節剤は、各サブタイプ毎の選択性に欠けており、長期間投与した際に、様々な副作用が伴われるという大きい欠点がある。
【0008】
一方、メラノコルチン受容体アゴニストは、神経シグナル伝達物質ではなく神経ペプチド(neuropeptide)であり、MC4R遺伝子KOマウスにおいてエネルギー代謝以外の他の機能は何れも正常である点からみて、他の生理機能への影響なしに、食欲阻害による体重減少のみを誘導することができるという点から、作用点としての利点を有する。特に、その受容体が、現在まで開発されている新薬作用点の中で最も成功的な範疇に属するG-タンパク質結合受容体(G-protein coupled receptor、GPCR)であって、サブタイプ受容体に対する選択性の確保が相対的に容易であるという点から、既存の作用点とは大きく区別される。
【0009】
かかるメラノコルチン受容体を作用点として活用した例として、国際公開WO2008/007930号およびWO2010/056022号では、メラノコルチン受容体のアゴニストとしての化合物が開示されている。
【0010】
また、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた下記化学式1の新規な化合物およびその製造方法を発明している(韓国特許出願第10-2019-0141649号(2019.11.07.出願))。
【0011】
【0012】
一方、薬学的に活性である成分の結晶構造は、その薬物の化学的安定性に影響を及ぼすことがある。異なる結晶化条件および貯蔵条件は、その化合物の結晶構造を変化させる可能性があり、時には、異なる形態の結晶形が伴われる生産を引き起こすことがある。一般に、無定形薬物生成物は、規則的な結晶構造を有しておらず、不良な生成物安定性、さらに小さい粒子サイズ、難しい濾過、凝集しやすさ、および不良な流動性といった、その他の欠陥を有することがある。したがって、生成物の多様な物性を改善させる必要がある。しかし、一般に、通常の技術者は、化合物がどのような条件で効果的に結晶化されるか、さらには、どのような結晶形が、再現性、安定性、生体利用率の点から有利であるかを予測することが困難であるため、一つの化合物に対して、種々の多様な結晶構造を研究する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願公開WO2008/007930号
【特許文献2】国際特許出願公開WO2010/056022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた新規な化合物の安定な結晶形、およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記新規な化合物の安定な結晶形を含む医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、
一側面において、本発明は、下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形Vであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上または5個以上の特徴的なピークを有する、結晶形Vを提供する。
【0017】
【0018】
前記化学式1中、
R1は、C2-C5アルキルである。
【0019】
前記化学式1の化合物は、不斉炭素中心と不斉軸または不斉平面を有し得るため、cisまたはtrans異性体、RまたはS異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体混合物および個々のジアステレオ異性体として存在することができ、これらの異性体および混合物は、何れも前記化学式1の化合物の範囲に含まれる。
【0020】
本明細書において、便宜上、他に断らない限り、化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体およびその溶媒和物を何れも含む意味で用いられる。
【0021】
本発明に係る一具体例において、前記化学式1のR1は、C2~C5アルキルである。本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、直鎖状または分岐状のC2~C5アルキル、例えば、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。
【0022】
本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、C2またはC3アルキルである。本発明に係る他の具体例において、前記化学式1のR1は、直鎖状または分岐状のC2またはC3アルキル、例えば、エチル、n-プロピルまたはiso-プロピルである。
【0023】
本発明に係る一具体例において、前記薬学的に許容可能な塩は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、卜リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、またはナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などにより形成された酸付加塩を含むが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明に係る一具体例において、前記溶媒和物(solvate)は、水和物;またはメタノール、エタノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、n-ブタノール、1,4-ブタンジオール、tert-ブタノール、酢酸、アセトン、ブチルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、およびこれらの二つ以上の混合物からなる群から選択される有機溶媒との溶媒和物を含んでもよい。
【0025】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の結晶形であってもよい。
【0026】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式2の塩酸塩化合物であってもよい。
【0027】
【0028】
前記化学式2中、R2は、C2-C5アルキルである。
【0029】
本発明に係るさらに他の具体例において、前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式3のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩であってもよい。
【0030】
【0031】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の溶媒和物、具体的に、水和物の結晶形であってもよい。
【0032】
より具体的に、前記結晶形Vは、化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物の結晶形であってもよい。
【0033】
本発明に係る一具体例において、前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物は、芳香族エーテル化物であってもよい。
【0034】
本発明に係る他の具体例において、前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物は、メチルフェニルエーテル化物であってもよい。前記メチルフェニルエーテルはアニソール(anisole、C7H8O)とも言い、したがって、前記溶媒和物はアニソール化物であってもよい。
【0035】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、下記化学式4の化合物の結晶形であってもよい。
【0036】
【0037】
本発明に係る結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上、5個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示す。
【0038】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.42±0.2°、7.84±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上、5個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示すことができる。
【0039】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図4に示したXRDパターンを有するものであってもよい。
【0040】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルで、120~130℃で吸熱ピークが示されるものであってもよい。
【0041】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図5に示したDSCプロファイルを有するものであってもよい。
【0042】
本発明に係る結晶形Vは、熱重量分析(TGA)プロファイルで、150℃以下の温度で加熱した時に、例えば、120~130℃の温度で20%以下、例えば、1%~20%、5%~18%、10%~17%、10%~15%、または11%~13%の重量損失を有するものであってもよい。
【0043】
本発明に係る一具体例において、前記結晶形Vは、
図6に示したTGAプロファイルを有するものであってもよい。
【0044】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、X線粉末回折(XRD)分析した時に、4.92±0.2°、7.20±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、および20.24±0.2°から選択される3個以上、5個以上、6個以上、または上記のピークを何れも含む特徴的なピークを示すことができる。
【0045】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形
Vは、
図7に示したXRDパターンを有するものであってもよい。
【0046】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルで、190~200℃、具体的に、190~195℃、より具体的に、192~194℃で吸熱ピークが示されるものであってもよい。
【0047】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、
図8に示したDSCプロファイルを有するものであってもよい。
【0048】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、熱重量分析(TGA)プロファイルで、150℃以下の温度で加熱した時に、例えば、120~130℃の温度で10%以下、例えば、1%~5%または1%~3%の重量損失を有するものであってもよい。
【0049】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶形Vは、
図9に示したTGAプロファイルを有するものであってもよい。
【0050】
本明細書において、X線回折(XRD)分析は、PXRD(Cu Kα radiation(λ=1.54Å)、Rigaku、Miniflex 600、Japan)を用いて行った結果を示す。
【0051】
示差走査熱量(DSC)分析は、DSC(Q2000、TA instrument、USA)を用いて行った結果を示す。
【0052】
熱重量分析(TGA)は、Termo-gravimetric anylsis(TGA8000、PerkinElmer、USA)を用いて行った結果を示す。
【0053】
前記結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、無定形の化学式1の化合物、または化学式1の化合物の他の結晶形と比べてより高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができる。さらに、前記化学式1の化合物の結晶形Vは、公知のメラノコルチン-4-受容体アゴニストと比べて、メラノコルチン-4受容体に対する亢進能力、肥満、糖尿、炎症、勃起不全などの疾病の予防または治療効果がさらに優れるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0054】
他の側面において、本発明は、前記化学式1の化合物を芳香族エーテル含有結晶化溶媒に溶解させ、混合溶液を製造するステップと、前記混合溶液から結晶を得るステップと、を含む、結晶形Vの製造方法を提供する。
【0055】
先ず、前記化学式1で表される化合物を芳香族エーテル含有結晶化溶媒に溶解させる。
【0056】
前記結晶形Vの製造のための、前記化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その塩、その異性体、またはこれらの溶媒和物であってもよい。
【0057】
前記化学式1の化合物は、韓国特許出願第10-2019-0141649号(2019.11.07.出願)の明細書に記載の製造方法により得られるものであってもよい。
【0058】
前記結晶化溶媒は、芳香族エーテル溶媒を必ず含んで用いる。前記「芳香族エーテル」溶媒は、エーテル化合物であって、芳香族置換基を有するものであれば特に制限されずに使用できる。
【0059】
本発明の一具体例において、前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(methyl phenyl ether)、エチルフェニルエーテル(ethyl phenyl ether)、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、またはこれらの混合物を含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0060】
本発明の他の具体例において、前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(または「アニソール(anisole)」ともいう)を含む。
【0061】
本発明のさらに他の具体例において、前記結晶化溶媒は、前記芳香族エーテルの他に、非プロトン性有機溶媒をさらに含んでもよく、具体的に、前記芳香族エーテル溶媒と区別される脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含んでもよい。
【0062】
前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、ペンタン(pentane)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0063】
本発明に係る一具体例において、前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(「エチルエーテル(ethyl ether)」ともいう)を含んでもよい。
【0064】
本発明に係る一具体例において、前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒、具体的に、アニソールおよびエチルエーテルを含んでもよい。
【0065】
本発明に係る他の具体例において、前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒を1:1~1:10の体積比で用いてもよく、具体的に、1:1~1:10、1:1~1:5、1:2~1:4、または1:3の体積比で用いてもよい。
【0066】
本発明に係るさらに他の具体例において、前記結晶化溶媒は、アニソールおよびエチルエーテルが1:3の体積比で混合された混合溶媒であってもよい。
【0067】
前記化学式1の化合物の溶解は、20~25℃の温度で、攪拌なしにまたは攪拌下で行われてもよい。
【0068】
前記結晶化溶媒は、化学式1の化合物を完全に溶解させることができる量で用いてよく、例えば、前記化学式1の化合物を溶解させた混合溶液は、10g/mL~200mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、または100mg/mLの濃度を有してもよい。
【0069】
次に、前記混合溶液から結晶を得るステップを含む。前記結晶の得るステップは、例えば、溶液を冷却させるか、溶媒を蒸発させるか、逆溶媒を添加して過飽和させるか、スラリー転換などの方法を用いることで行われることができる。
【0070】
本発明に係る一具体例において、前記混合溶液を常温で一定時間保管した後に形成される沈殿物を濾過および洗浄して結晶を得ることができる。
【0071】
前記保管は、前記混合溶液の温度として20℃~30℃の温度で、12時間~48時間、例えば、20時間~36時間、または24時間攪拌なしに行ってもよい。
【0072】
上記のように得られた結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の他の結晶形と比べて、より高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0073】
本発明に係る一具体例において、前記得られた結晶を脂肪族エーテル溶媒で洗浄するステップをさらに含んでもよい。
【0074】
前記洗浄するステップにより、得られる結晶の純度を高くし、最終的に生産される化学式1の化合物の収率を改善する効果を奏することができ、化合物の安定性が改善される効果を奏することができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0075】
前記洗浄には、脂肪族エーテル溶媒を用いる。前記「脂肪族エーテル」溶媒はエーテル化合物であって、脂肪族置換基のみを有するものであれば特に制限されずに使用可能である。
【0076】
本発明の一具体例において、前記脂肪族エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、またはこれらの混合物を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0077】
本発明の他の具体例において、前記脂肪族エーテルは、ジエチルエーテルを含んでもよい。
【0078】
本発明のさらに他の具体例において、前記結晶化のための結晶化溶媒は、メチルフェニルエーテルおよびジエチルエーテルを含み、前記洗浄溶媒は、ジエチルエーテルを含んでもよい。
【0079】
前記洗浄するステップは、上記で一次的に得られた結晶を脂肪族非プロトン性有機溶媒で1回以上洗浄してから保管するステップを含んでもよい。
【0080】
本発明の一具体例において、前記洗浄後、例えば、0℃~200℃、20℃~25℃、25℃~60℃、または40℃~80℃で保管して形成される沈殿物を濾過して得てもよい。
【0081】
本発明の他の具体例において、前記洗浄後、上記の温度で、60分~60日、例えば、60分~45日、2時間~45日、5時間~45日、5時間~30日、5時間~24時間、6時間~12時間、6時間~10時間、8時間~30日、10時間~45日、12時間~40日、15日~45日、または20日~40日間保管して形成される沈殿物を濾過して得てもよい。
【0082】
前記再結晶化時に、上記の温度で上記の期間、攪拌しながらまたは攪拌なしに保管してもよい。
【0083】
上記のように得られた結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の他の結晶形と比べて、より高い純度を有することができ、より優れた溶解度や安定性を有することができる。特に、分解と吸湿が抑制され、物理的および化学的にさらに安定しているため、医薬組成物として容易に製造されることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0084】
さらに他の側面において、本発明は、(i)前記結晶形Vと、(ii)薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0085】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すため、本発明は、また、上述の結晶形Vを有効成分として含むメラノコルチン受容体の機能亢進用医薬組成物を提供することができる。具体的に、前記医薬組成物は、メラノコルチン-4受容体機能亢進用組成物であってもよい。
【0086】
また、前記医薬組成物は、肥満、糖尿、炎症、および勃起不全の予防または治療において優れた効果を奏することができるため、肥満の予防または治療用、糖尿の予防または治療用、炎症の予防または治療用、または勃起不全の予防または治療用組成物であってもよいが、本発明の用途がこれらの疾病のみに制限されるものではない。
【0087】
本明細書において、「担体(carrier)」とは、細胞または組織内への化合物の投入を容易にする化合物を意味する。
【0088】
本発明の結晶形Vを臨床的な目的で投与する時に、単一用量または分離用量で宿主に投与される総一日用量は、体重1kg当たりに0.01~10mgの範囲が好ましいが、個々の患者における特異的な用量水準は、使用される特定の化合物、患者の体重、性別、健康状態、食餌、薬剤の投与時間、投与方法、排泄率、薬剤混合、および疾患の重症度などによって変わり得る。
【0089】
本発明の結晶形Vは、目的に応じて、如何なる経路でも投与可能である。例えば、本発明の結晶形Vは、非経口投与または経口投与することができる。
【0090】
本発明の医薬組成物は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、粒剤、シロップ、またはエマルジョンなどの多様な経口投与の形態であってもよく、または、筋肉内、静脈内、または皮下投与のための注射用製剤などの非経口投与の形態であってもよい。
【0091】
注射用製剤は、公知の技術によって、適した分散剤、湿潤剤、懸濁剤、または賦形剤を用いて製造することができる。
【0092】
本発明の薬学的製剤に使用可能な賦形剤としては、甘味剤、結合剤、溶解剤、溶解補助剤、湿潤剤、乳化剤、等張化剤、吸着剤、崩壊剤、酸化防止剤、防腐剤、滑沢剤、充填剤、芳香剤などが含まれてもよいが、これに制限されない。例えば、賦形剤として、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシン、シリカ、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、アルギニン酸、ナトリウムアルギン酸塩、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、オレンジエッセンス、ストロベリーエッセンス、バニラ香などが使用できる。
【0093】
本発明の医薬組成物が経口投与の形態である場合、用いられる担体の例としては、セルロース、ケイ酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、デキストロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルクなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0094】
本発明の医薬組成物が注射用製剤の形態である場合、前記担体としては、水、食塩水、ブドウ糖水溶液、疑似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリドなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0095】
さらに他の側面において、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進用途に用いるための上述の結晶形Vを提供する。
【0096】
一実施形態において、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全の治療または予防用途に用いるための、上述の結晶形Vを提供する。
【0097】
さらに他の側面において、上述の結晶形Vを対象体(subject)に投与するステップを含む、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進方法を提供する。
【0098】
さらに他の側面において、上述の結晶形Vを対象体(subject)に投与するステップを含む、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全を治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0099】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すため、肥満、糖尿、炎症、および勃起不全の予防または治療に有用に利用されることができる。
【0100】
本発明に係る結晶形Vは、メラノコルチン-4受容体に対するon-target効果を示し、体重減少および食餌減少の効果を奏するとともに、不安感および憂鬱に影響を与えることなく、hERG(human ether-a-go-go related gene)阻害に対する副作用や突然変異の誘発といった安全性の問題なしに投与可能である。
【0101】
また、本発明に係る結晶形Vは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の任意の他の結晶形と比べて、純度、収率、物理的および化学的安定性に優れる。
【0102】
具体的に、前記結晶形Vは、化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物、または化学式1の任意の他の結晶形と比べて、溶解性、貯蔵安定性、生成安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】製造例4のXRD結果を示したグラフである。
【
図2】製造例4のDSC結果を示したグラフである。
【
図3】製造例4のTGA結果を示したグラフである。
【
図4】実施例1のXRD結果を示したグラフである。
【
図5】実施例1のDSC結果を示したグラフである。
【
図6】実施例1のTGA結果を示したグラフである。
【
図7】実施例2および実施例3のXRD結果を示したグラフである。
【
図8】実施例2および実施例3のDSC結果を示したグラフである。
【
図9】実施例2および実施例3のTGA結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0104】
以下、製造例および実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、これらの実施例は、本発明の例示にすぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0105】
製造例1:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
【化6】
下記ステップA、B、C、D、およびEの過程を経て標題化合物を得た。
【0106】
ステップA:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
窒素下で、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4R)-4-((メチルスルホニル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(48.5g、150mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(250ml)に溶かし、アジ化ナトリウム(19.5g、300ml)を添加した。80℃で16時間攪拌し、反応溶媒を減圧濃縮させた後、水を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製(crude)の1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(39.59g、98%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 271 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.43-4.37 (m, 1H), 4.35-4.27 (br, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s, 1.2H), 3.73-3.66 (m, 1H), 3.44-3.38 (m, 1H), 2.63-2.49 (m, 1H), 2.19-2.11 (m, 1H), 1.50 (s, 4.5H), 1.44 (s, 4.5H)
【0107】
ステップB:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップAで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(24.59g、91.0mmol)をテトラヒドロフラン(180ml)に溶かした後、0℃で1Mのトリメチルホスフィンテトラヒドロフラン溶液(109.2ml、109.2mmol)をゆっくりと添加した。同一温度で1時間攪拌した後、常温で3時間攪拌した。反応溶媒を減圧濃縮させた後、ジクロロメタン(100ml)と水(150ml)を入れて30分程度攪拌した。層分離し、ジクロロメタンでさらに1回抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製の1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、93%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 245 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s,1.2H), 3.75-3.67 (m, 1H), 3.50-3.42 (m, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 2.58-2.47 (m,1H), 1.82-1.71 (m, 1H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H)
【0108】
ステップC:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップBで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、84.4mmol)をジクロロエタン(150ml)に溶かし、4-メチルシクロヘキサノン(9.5ml、101.3mmol)を添加した。0℃でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(26.8g、126.6mmol)を添加し、常温で16時間攪拌した。反応溶媒を減圧濃縮させて水を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(22.9g、80%)を得た。
MS [M+H] = 341 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.26 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.49-3.40 (m, 1H), 3.22-3.16 (m, 1H), 2.69-2.60(br, 1H), 2.58-2.46 (m, 1H), 1.87-1.77 (m, 1H), 1.73-1.63 (m, 1H), 1.62-1.35(m, 8H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H), 0.96 (d, 3H)
【0109】
ステップD:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
上記のステップCで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(37.29g、109.5mmol)をジクロロメタン(500ml)に溶かし、トリエチルアミン(61.1ml、438.1mmol)を入れた後、0℃でイソブチリルクロリド(11.7ml、219mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌した後、反応溶媒を減圧濃縮させてから炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(38.79g、86%)を得た。
MS [M+H] = 411 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.50-3.41 (m, 1H), 3.33-3.14 (m, 1H), 2.69-2.60 (m, 2H), 2.57-2.43 (m, 1H), 1.87-1.79 (m, 1H), 1.70-1.61 (m, 1H), 1.60-1.32 (m, 8H), 1.47 (s, 4.5H), 1.41 (s, 4.5H), 1.10 (dd, 6H), 0.99 (d, 3H)
【0110】
ステップE:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
上記のステップDで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(34.0g、82.8mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶かした後、0℃で4Nの塩酸1,4-ジオキサン溶液(82.8ml、331.3mmol)を添加した。常温で6時間攪拌した後、反応溶媒を減圧濃縮して粗製の標題化合物(28.7g、99%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS[M+H] = 311 (M+1)
【0111】
製造例2:(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸の製造
【化7】
国際公開WO2004/092126号に記載の方法により標題化合物を得た。
MS[ M+H] = 282 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43-7.33 (m, 4H), 3.90-3.69 (m, 3H), 3.59 (dd, J = 11.2, 10.0 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 11.2, 11.2 Hz, 1H), 3.18-3.09 (m, 1H), 1.44 (s, 9H)
【0112】
製造例3:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニ
ル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
【化8】
下記ステップA、B、およびCの過程を経て標題化合物を得た。
【0113】
ステップA:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの製造
製造例1で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(28.7g、82.73mmol)、製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(24.5g、86.87mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(22.2g、115.83mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(15.7g、115.83mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(400ml)に溶かし、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(72.0ml、413.66mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌し、反応溶媒を減圧濃縮させた後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製してメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(41.19g、87%)を得た。
MS [M+H] = 575 (M+1)
【0114】
ステップB:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の製造
上記のステップAで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(39.4g、68.62mmol)をメタノール(450ml)に溶かした後、6Nの水酸化ナトリウム水溶液(57.2ml、343.09mmol)を添加した。常温で16時間攪拌し、6Nの塩酸水溶液でpH5程度に調整した後、反応溶液を減圧濃縮させた。濃縮液をジクロロメタンで溶かした後、溶解されていない固体は紙フィルターで濾過した。濾液を減圧濃縮し、粗製の標題化合物(38.4g、99%)を得て、精製せずに次のステップで使用した。
MS [M+H] = 561 (M+1)
【0115】
ステップC:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
上記のステップBで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(38.4g、68.60mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.4g、96.04mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(13.0g、96.04mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(200ml)に溶かした後、順にモルホリン(5.9ml、68.80mmol)とN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(59.7ml、343.02mmol)をゆっくりと添加した。常温で16時間攪拌し、反応溶液を減圧濃縮させた後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、エチルアセテートで2回抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製してN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド(37.05g、86%)を得た。
MS [M+H] = 630 (M+1)
【0116】
製造例4:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の無定形化合物の製造
【化9】
前記製造例3で製造した化合物(MC70)1gを基準としてMBTE19mLを使用し、25℃で化合物(MC70)を溶解した。溶解が完了した後、ヘプタン(heptane)1mLを投入してから-5~0℃に冷却した。設定温度に達した後、4MのHCl/EtOAcを1当量滴下してから約90分間攪拌し、濾過して標題化合物(MC71)を得た(収率:約90%)。
【0117】
製造例4の化合物に対するXRD(
図1)、DSC(
図2)、およびTGA(
図3)の分析結果をそれぞれ
図1から
図3に添付しており、分析結果、無定形化合物であることが確認された。XRD、DSC、およびTGAのそれぞれの分析方法は、以下の実施例1に対する実験例において後述する。
【0118】
実施例1.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
【化10】
上記で製造した製造例4の化合物(MC71)を、結晶化溶媒を用いて20-25℃で溶解し、100mg/mL濃度の混合溶液を製造した。この際、結晶化溶媒としては、アニソール(anisole)とジエチルエーテル(diethyl ether)を1:3の体積比で混合した混合溶媒を使用した。溶解が完了した後、常温で24時間保管してから濾過して標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0119】
実施例2.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
上記の実施例1で得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した後、60℃の循環型オーブンにて8時間保管し、標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0120】
実施例3.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩のアニソール化物の結晶形Vの製造
上記の実施例1で得られた結晶をジエチルエーテルで洗浄した後、20-25℃の常温で30日間保管したことを除き、実施例2と同様の方法により標題のアニソール化物の結晶形Vを得た。
【0121】
比較例1
上記で製造した製造例4の化合物(MC71)1gを、EtOAc1mLを用いて常温で溶解した。溶解が完了した後、電磁攪拌器で約43時間攪拌したが、実施例1~実施例3のような結晶が得られなかった。
【0122】
実験例1.実施例1の結晶形の評価
[実験例1-1.XRD評価]
粉末XRD回折パターンは、PXRD(Cu Kα radiation(λ=1.54Å)、Rigaku、Miniflex 600、Japan)を用いて、チューブ電圧およびチューブ電流をそれぞれ45kV、15mAに設定した後、スキャン速度0.02°/s、ステップスピード4°/minで、3-40°の範囲のブラッグ角(2θ)を測定した。
【0123】
上記の実施例1で得られた結晶形VをXRDにより測定した結果を
図4に示した。
【0124】
図4に示したスペクトルから確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、4.42°、7.84°、12.58°、16.20°、20.08°、および23.65°で特性ピーク(2θ)を示しており、XRDの具体的な値は下記表1に示した。
【0125】
【0126】
[実験例1-2.示差走査熱量測定(DSC)]
DSC(Q2000、TA instrument、USA)を用いて、de-solvated temperature、transient temperature、およびmelting temperatureを測定した。50ml/minの速度で窒素パージを行うとともに、10℃/minの速度で30℃-300℃をスキャンした。
【0127】
上記の実施例1で得られた結晶形VをDSC測定した結果を
図5に示した。
【0128】
図5から確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、約126.2℃で吸熱ピークが観察された。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0129】
[実験例1-3.熱重量分析(TGA)]
Termo-gravimetric anylsis(TGA8000、PerkinElmer、USA)を用いて、surface waterおよびsolvateを含む揮発性含量の分析を行った。開放型アルミニウムパンに5mgの試料を秤量してTGAを行い、試料を10℃/minの速度で30℃から300℃まで加熱し、測定する間に、装備の内部に20mL/minの速度で窒素ガスを供給して酸素および他の気体の流入を遮断した。
【0130】
上記の実施例1で得られた結晶形VをTGA測定した結果を
図6に示した。
【0131】
図6から確認されるように、実施例1に係る結晶形Vは、120℃~130℃の温度で約11.8%の重量減少が観察された。約250℃以後に、decompositionによる重量減少が発生した。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0132】
実験例2.実施例2および3の結晶形の評価
[実験例2-1.XRD評価]
実験例1-1と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをXRDにより測定した結果を図7に示した。
【0133】
図7に示したスペクトルから確認されるように、実施例2および実施例3に係る結晶形Vは、4.92°、7.20°、9.22°、12.22°、16.48°、17.72°、および20.24°で何れも特性ピーク(2θ)を示しており、XRDの具体的な値は下記表2に示した。
【0134】
【0135】
[実験例2-2.示差走査熱量測定(DSC)]
実験例1-2と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをDSC測定した結果を図8に示した。
【0136】
図8から確認されるように、実施例2および実施例3の結晶形Vは、192℃~194℃で吸熱ピークが観察された。温度値は±5℃の誤差を有する。
【0137】
[実験例2-3.熱重量分析(TGA)]
実験例1-3と同様の方法により、上記で得られた実施例2および実施例3の結晶形VをTGA分析した結果を図9に示した。
【0138】
図9から確認されるように、結晶形Vは、120~130℃の温度で約1%~3%の重量減少が観察された。約250℃以後に、decompositionによる重量減少が発生した。温度値は±5℃の誤差を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形Vであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、4.92±0.2°、7.20±0.2°、7.84±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、20.24±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°から選択される3個以上の特徴的なピークを有する、結晶形V。
【化1】
(前記化学式1中、
R
1は、C
2-C
5アルキルである。)
【請求項2】
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.42±0.2°、7.84±0.2°、12.58±0.2°、16.20±0.2°、20.08±0.2°、および23.65±0.2°を含む特徴的なピークを有する、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項3】
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):4.92±0.2°、7.20±0.2°、9.22±0.2°、12.22±0.2°、16.48±0.2°、17.72±0.2°、および20.24±0.2°を含む特徴的なピークを有する、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項4】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩が、前記化合物の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、およびヨウ化水素酸塩からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項5】
前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物の結晶形である、請求項1に記載の結晶形V。
【請求項6】
前記溶媒和物が芳香族エーテル化物である、請求項5に記載の結晶形V。
【請求項7】
前記溶媒和物がメチルフェニルエーテル化物である、請求項6に記載の結晶形V。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vの製造方法であって、
芳香族エーテル含有結晶化溶媒に前記化学式1の化合物を溶解させ、混合溶液を製造するステップと、
前記混合溶液から結晶を得るステップと、を含む、結晶形Vの製造方法。
【請求項9】
前記結晶化溶媒は脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項10】
前記芳香族エーテルは、メチルフェニルエーテル(methyl phenyl ether)、エチルフェニルエーテル(ethyl phenyl ether)、ジフェニルエーテル(diphenyl ether)、またはこれらの混合物を含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項11】
前記脂肪族非プロトン性有機溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、ペンタン(penta
ne)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、またはこれらの混合物を含む、請求項9に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項12】
前記結晶化溶媒は、芳香族エーテルおよび脂肪族非プロトン性有機溶媒を1:1~1:10の体積比で用いるものである、請求項9に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項13】
前記得られた結晶を脂肪族エーテル溶媒により洗浄するステップをさらに含む、請求項8に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項14】
前記結晶化溶媒は脂肪族非プロトン性有機溶媒をさらに含み、
前記結晶化溶媒に含まれる脂肪族非プロトン性有機溶媒は、前記洗浄するステップで用いる脂肪族エーテル溶媒と同一または異なるものである、請求項13に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項15】
前記結晶化溶媒はメチルフェニルエーテルおよびジエチルエーテルを含み、
前記洗浄溶媒はジエチルエーテルを含む、請求項14に記載の結晶形Vの製造方法。
【請求項16】
前記洗浄するステップは、前記得られた結晶を脂肪族非プロトン性有機溶媒で1回以上洗浄した後、0℃~200℃で結晶を得ることを含む、請求項13に記載の結晶形
Vの製造方法。
【請求項17】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1から7の何れか一項に記載の結晶形Vと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、メラノコルチン-4受容体機能亢進用医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物は、肥満、糖尿、炎症、または勃起不全の予防または治療用である、請求項18に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】