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特表2024-518226マルチ分解能オーバーレイ計測ターゲット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】マルチ分解能オーバーレイ計測ターゲット
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240423BHJP
   G01B 11/03 20060101ALI20240423BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G01B11/03 H
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555579
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2021045292
(87)【国際公開番号】W WO2022225544
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/176,888
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/351,137
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハジャジ エイタン
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンバッハ シュロモ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロツヴァン アンナ
(72)【発明者】
【氏名】グラウアー ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】マスロフスキー ユージン
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA12
2F065AA20
2F065AA22
2F065AA23
2F065BB27
2F065CC19
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF41
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065PP11
2F065PP24
2F065QQ24
2F065QQ28
2H197EA15
2H197EA18
2H197EA19
2H197EB03
2H197EB04
2H197EB06
2H197EB23
2H197HA03
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA04
4M106BA08
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB12
4M106DB13
4M106DB14
4M106DB19
(57)【要約】
製品が、少なくとも1つの半導体基板と、上記少なくとも1つの基板上に成膜された複数の薄膜層と、上記薄膜層の少なくとも1つに形成されたオーバーレイターゲットとを含む。上記オーバーレイターゲットは、第1の対称中心を有する第1のサブターゲットであって、第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含んだ、第1のサブターゲットと、上記第1の対称中心と一致する第2の対称中心を有する第2のサブターゲットであって、上記第1のライン幅より大きい第2のライン幅を有し、上記第1のターゲット特徴物に隣接するが重なっていない第2のターゲット特徴物を含んだ、第2のサブターゲットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの半導体基板と、
前記少なくとも1つの基板上に成膜された複数の薄膜層と、
前記薄膜層の少なくとも1つに形成されたオーバーレイターゲットと、を含む製品であって、前記オーバーレイターゲットが、
第1の対称中心を有する第1のサブターゲットであって、第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含んだ、第1のサブターゲットと、
前記第1の対称中心と一致する第2の対称中心を有する第2のサブターゲットであって、前記第1のライン幅より大きい第2のライン幅を有し、前記第1のターゲット特徴物に隣接するが重なっていない第2のターゲット特徴物を含んだ、第2のサブターゲットと、を含む、製品。
【請求項2】
前記第1のサブターゲットが前記少なくとも1つの半導体基板の第1の領域に広がり、前記第2のサブターゲットが前記少なくとも1つの半導体基板の第2の領域に広がり、前記第2の領域が、前記第1の領域よりも大きく、前記第1の領域を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記第1のサブターゲットが前記第2のサブターゲットに囲まれている、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記複数の薄膜層が、第1の層と、前記第1の層に重ねられた第2の層とを含み、
前記第1のターゲット特徴物が、前記第1の層に形成された前記第1のターゲット特徴物からなる第1のセットと、前記第2の層に形成された前記第1のターゲット特徴物からなる第2のセットとを含み、前記第2のターゲット特徴物が、前記第1の層に形成された前記第2のターゲット特徴物からなる第3のセットと、前記第2の層に形成された前記第2のターゲット特徴物からなる第4のセットとを含む、
請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記第1および第2のターゲット特徴物がライン状の格子を含む、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記第1のターゲット特徴物からなる前記第1のセットが、前記第1の層にある第1のライン状の格子を含み、前記第1のターゲット特徴物からなる前記第2のセットが、前記第2の層にある第2のライン状の格子を含み、前記第1のライン状の格子はそれぞれ、前記第2のライン状の格子に隣接しているが重なっておらず、
前記第2のターゲット特徴物からなる前記第3のセットが、前記第1の層にある第3のライン状の格子を含み、前記第2のターゲット特徴物からなる前記第4のセットが、前記第2の層にある第4のライン状の格子を含み、前記第3のライン状の格子はそれぞれ、前記第4のライン状の格子に隣接しているが重なっていない、
請求項5に記載の製品。
【請求項7】
前記第1および第2のサブターゲットのそれぞれの前記ライン状の格子が、第1の向きを有する第1のライン状の格子と、前記第1の向きに直交する第2の向きを有する第2のライン状の格子とを含む、請求項5に記載の製品。
【請求項8】
前記第1および第2のターゲット特徴物がライン状の特徴物を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項9】
前記ライン状の特徴物が、ライン状の格子を規定するように配置される、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
前記ライン状の特徴物が正方形のフレームを規定するように配置され、それによって前記第1のサブターゲットの前記正方形のフレームが前記第2のサブターゲットの前記正方形のフレーム内に含まれるようになっている、請求項8に記載の製品。
【請求項11】
前記第1および第2のターゲット特徴物が、正方形の特徴物からなるそれぞれの行列を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項12】
オーバーレイ誤差を測定する方法であって、
複数の薄膜層を少なくとも1つの半導体基板上に成膜し、パターニングするステップであって、それによって集積回路チップの行列を規定し、前記薄膜層の少なくとも1つにオーバーレイターゲットを形成し、前記オーバーレイターゲットが、
第1の対称中心を有する第1のサブターゲットであって、第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含んだ、第1のサブターゲットと、
前記第1の対称中心と一致する第2の対称中心を有する第2のサブターゲットであって、前記第1のライン幅より大きい第2のライン幅を有し、前記第1のターゲット特徴物に隣接するが重なっていない第2のターゲット特徴物を含んだ、第2のサブターゲットと、を含む、ステップと、
前記オーバーレイターゲットの画像を取り込むステップと、
前記画像を処理して前記薄膜層間のオーバーレイ誤差を測定するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記画像を取り込むステップが、
第1の視野を有する第1の検査光学系を使用して、前記第1のサブターゲットの第1の画像を取り込むステップと、
前記第1の視野よりも広い第2の視野を有する第2の検査光学系を使用して、前記第2のサブターゲットの第2の画像を取り込むステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の薄膜層を成膜し、パターニングするステップが、前記第1の視野に対応する前記少なくとも1つの半導体基板の第1の領域に前記第1のサブターゲットを形成するステップと、前記第1の領域より大きく、前記第2の視野に対応する前記少なくとも1つの半導体基板の第2の領域に前記第2のサブターゲットを形成するステップと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のサブターゲットが前記第2のサブターゲットに囲まれている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の薄膜層を成膜するステップが、第1の層と、前記第1の層上に重ねられる第2の層とを成膜するステップを含み、
前記複数の薄膜層をパターニングするステップが、前記第1のターゲット特徴物からなる第1のセットを前記第1の層に、前記第1のターゲット特徴物からなる第2のセットを前記第2の層に形成するステップと、前記第2のターゲット特徴物からなる第3のセットを前記第1の層に、前記第2のターゲット特徴物からなる第4のセットを前記第2の層に形成するステップと、を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2のターゲット特徴物がライン状の格子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のターゲット特徴物からなる前記第1のセットを形成するステップが、前記第1の層に第1のライン状の格子を形成するステップを含み、前記第1のターゲット特徴物からなる前記第2のセットを形成するステップが、前記第2の層に第2のライン状の格子を形成するステップを含み、前記第1のライン状の格子はそれぞれ、前記第2のライン状の格子に隣接しているが重なっておらず、
前記第2のターゲット特徴物からなる前記第3のセットを形成するステップが、前記第1の層に第3のライン状の格子を形成するステップを含み、前記第2のターゲット特徴物からなる前記第4のセットを形成するステップが、前記第2の層に第4のライン状の格子を形成するステップを含み、前記第3のライン状の格子はそれぞれ、前記第4のライン状の格子に隣接しているが重なっていない、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1および第2のサブターゲットのそれぞれの前記ライン状の格子が、第1の向きを有する第1のライン状の格子と、前記第1の向きに直交する第2の向きを有する第2のライン状の格子とを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2のターゲット特徴物がライン状の特徴物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の薄膜層をパターニングするステップが、ライン状の格子を規定するように前記ライン状の特徴物を配置するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の薄膜層をパターニングするステップが、正方形のフレームを規定するように前記ライン状の特徴物を配置するステップを含み、それによって前記第1のサブターゲットの前記正方形のフレームが前記第2のサブターゲットの前記正方形のフレーム内に含まれるようになっている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1および第2のターゲット特徴物が、正方形の特徴物からなるそれぞれの行列を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体デバイスの製造に関し、詳細には半導体回路計測の方法およびターゲット特徴物に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月20日に出願された米国仮特許出願63/176,888の利益を主張する。
【0003】
半導体回路は通例、フォトリソグラフィ法を用いて製造される。フォトリソグラフィでは半導体基板に対して、感光性ポリマー(フォトレジスト)の薄い層を成膜し、光またはその他の放射を使ってその基板の一部分をフォトレジストで覆われたままにすることによりパターニングする。パターニング後その基板に、その物性や表面形状(トポグラフィ:topography)を変えるエッチングやイオン衝撃などの方法で、変更を加える。ただしその基板のフォトレジストで覆われた部分は影響を受けない。
【0004】
このパターニング後のフォトレジストの特性、例えばパターニングされた特徴物の表面形状や位置などを、半導体回路計測を使用して測定する。フォトリソグラフィ工程の高い歩留まりを確保するには、フォトレジストにあるパターニングされた特徴物の位置が、1つ前に加工された層に対して正確であることが重要になる。パターニング後のフォトレジストの、下の加工層に対する位置合わせの誤差(位置ずれ)のことを「オーバーレイ誤差」と呼ぶ。一例として、最小線幅が10~14nm(いわゆる10nmデザインルール)の典型的な半導体回路では、最大許容オーバーレイ誤差は2~3nmである。最先端の半導体回路では、線幅が5nmまで狭くなっており、それに伴い最大許容オーバーレイ誤差も小さくなっている。
【0005】
オーバーレイ誤差は一般に、光学式のオーバーレイ計測ツールを使用して測定する。その理由は、可視波長および赤外波長の光放射が、フォトレジスト層だけでなく、その下の誘電体層も通過できるためである。さらに、赤外波長はシリコンなどの半導体基板を通過でき、それによって半導体基板を透かした計測が可能になる。光学オーバーレイ計測ツール、例えばKLA Corporation(米国カリフォルニア州ミルピタス)のArcher(登録商標)シリーズのツールなどでは、半導体基板のスクライブライン(隣接するダイを分離するライン)に位置するオーバーレイターゲット(KLAのAIM(登録商標)オーバーレイターゲットなど)を撮像する。これで得られた画像に画像解析アルゴリズムを適用して、加工層にあるターゲット特徴物の対称中心(CoS)と、パターニング後のフォトレジスト層にあるターゲット特徴物のCoSの位置を特定する。これら2つの層のターゲット特徴物の対称中心間の距離として、オーバーレイ誤差を計算する。
【0006】
特許文献1に、オーバーレイ誤差を判定するためのオーバーレイマークおよび方法が記載されており、この特許文献1を参照によりここに援用する。特許文献1の一態様は、連続的に変化するオフセットマークに関する。連続的に変化するオフセットマークは、重ね合わせた周期的構造体を含んだ単一のマークであり、この重ね合わせた周期的構造体の互いのオフセットが、位置に応じて変化する。一実施例として、上記周期的構造体は、ピッチなどの格子特性値が異なる格子に相当し得る。特許文献1の別の態様は、上記連続的に変化するオフセットマークからオーバーレイ誤差を判定する方法に関する。
【0007】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「光線」、「光放射」、「光」および「放射ビーム」という用語は一般に、あらゆる可視放射、赤外放射および紫外放射を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,440,105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下に記載の本発明の実施形態は、半導体回路計測のための改良型のターゲット特徴物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの半導体基板と、上記少なくとも1つの基板上に成膜された複数の薄膜層と、上記薄膜層の少なくとも1つに形成されたオーバーレイターゲットとを含む製品が提供される。上記オーバーレイターゲットは、第1の対称中心を有する第1のサブターゲットであって、第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含んだ、第1のサブターゲットと、上記第1の対称中心と一致する第2の対称中心を有する第2のサブターゲットであって、上記第1のライン幅より大きい第2のライン幅を有し、上記第1のターゲット特徴物に隣接するが重なっていない第2のターゲット特徴物を含んだ、第2のサブターゲットとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記第1のサブターゲットは上記少なくとも1つの半導体基板の第1の領域に広がり、上記第2のサブターゲットは上記少なくとも1つの半導体基板の第2の領域に広がり、上記第2の領域は、上記第1の領域よりも大きく、上記第1の領域を含む。さらに、上記第1のサブターゲットは上記第2のサブターゲットに囲まれている。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記複数の薄膜層は、第1の層と、上記第1の層に重ねられた第2の層とを含み、上記第1のターゲット特徴物は、上記第1の層に形成された上記第1のターゲット特徴物からなる第1のセットと、上記第2の層に形成された上記第1のターゲット特徴物からなる第2のセットとを含み、上記第2のターゲット特徴物は、上記第1の層に形成された上記第2のターゲット特徴物からなる第3のセットと、上記第2の層に形成された上記第2のターゲット特徴物からなる第4のセットとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記第1および第2のターゲット特徴物はライン状の格子を含む。一実施形態では、上記第1のターゲット特徴物からなる上記第1のセットは、上記第1の層にある第1のライン状の格子を含み、上記第1のターゲット特徴物からなる上記第2のセットは、上記第2の層にある第2のライン状の格子を含み、上記第1のライン状の格子はそれぞれ、上記第2のライン状の格子に隣接しているが重なっておらず、上記第2のターゲット特徴物からなる上記第3のセットは、上記第1の層にある第3のライン状の格子を含み、上記第2のターゲット特徴物からなる上記第4のセットは、上記第2の層にある第4のライン状の格子を含み、上記第3のライン状の格子はそれぞれ、上記第4のライン状の格子に隣接しているが重なっていない。
【0014】
他の実施形態では、上記第1および第2のサブターゲットのそれぞれの上記ライン状の格子は、第1の向きを有する第1のライン状の格子と、上記第1の向きに直交する第2の向きを有する第2のライン状の格子とを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記第1および第2のターゲット特徴物はライン状の特徴物を含む。一実施形態では、上記ライン状の特徴物は、ライン状の格子を規定するように配置される。あるいは、上記ライン状の特徴物は、正方形のフレームを規定するように配置され、それによって上記第1のサブターゲットの上記正方形のフレームが上記第2のサブターゲットの上記正方形のフレーム内に含まれるようになっている。
【0016】
他の実施形態では、上記第1および第2のターゲット特徴物は、正方形の特徴物からなるそれぞれの行列を含む。
【0017】
本発明の一実施形態によると、オーバーレイ誤差を測定する方法も提供される。この方法は、複数の薄膜層を少なくとも1つの半導体基板上に成膜し、パターニングするステップであって、それによって集積回路チップの行列を規定し、上記薄膜層の少なくとも1つにオーバーレイターゲットを形成するステップを含む。上記オーバーレイターゲットは、第1の対称中心を有する第1のサブターゲットであって、第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含んだ、第1のサブターゲットと、上記第1の対称中心と一致する第2の対称中心を有する第2のサブターゲットであって、上記第1のライン幅より大きい第2のライン幅を有し、上記第1のターゲット特徴物に隣接するが重なっていない第2のターゲット特徴物を含んだ、第2のサブターゲットとを含む。この方法はさらに、上記オーバーレイターゲットの画像を取り込むステップと、上記画像を処理して上記薄膜層間のオーバーレイ誤差を測定するステップとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記画像を取り込むステップは、第1の視野を有する第1の検査光学系を使用して、上記第1のサブターゲットの第1の画像を取り込むステップと、上記第1の視野よりも広い第2の視野を有する第2の検査光学系を使用して、上記第2のサブターゲットの第2の画像を取り込むステップとを含む。
【0019】
他の実施形態では、上記複数の薄膜層を成膜、パターニングするステップは、上記第1の視野に対応する上記少なくとも1つの半導体基板の第1の領域に上記第1のサブターゲットを形成するステップと、上記第1の領域より大きく、上記第2の視野に対応する上記少なくとも1つの半導体基板の第2の領域に上記第2のサブターゲットを形成するステップとを含む。
【0020】
以下の実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことにより、本発明の理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】本発明の一実施形態による、半導体基板のオーバーレイ誤差を測定するための光学計測装置の概略側面図である。
図1b】本発明の一実施形態による、図1aの光学計測装置内の光学サブシステムの概略側面図である。
図2a】本発明の一実施形態によるオーバーレイターゲットの概略正面図である。
図2b】本発明の一実施形態による、図2aのオーバーレイターゲットの構築に使用されるサブターゲットの概略正面図である。
図2c】本発明の一実施形態による、図2aのオーバーレイターゲットの構築に使用されるサブターゲットの概略正面図である。
図3a】本発明の代替実施形態によるオーバーレイターゲットの概略正面図である。
図3b】本発明の一実施形態による、図3aのオーバーレイターゲットの構築に使用されるサブターゲットの概略正面図である。
図3c】本発明の一実施形態による、図3aのオーバーレイターゲットの構築に使用されるサブターゲットの概略正面図である。
図4a】本発明の別の実施形態による、オーバーレイターゲットの概略正面図である。
図4b】本発明の別の実施形態による、オーバーレイターゲットの概略正面図である。
図4c】本発明の別の実施形態による、オーバーレイターゲットの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
半導体基板上の連続したパターン層間のオーバーレイ誤差を精密かつ正確に測定するには、一般に、オーバーレイ計測用のオーバーレイターゲットを使用する。そういった連続したパターン層には例えば加工層とレジスト層(フォトレジスト)や、エッチング後の用途では2つの加工層が含まれ得る。したがって、以下のいくつかの例示的な実施形態の説明は加工層とレジスト層について行うが、これらの実施形態の原理は、必要な変更を加えて第1の加工層と第2の加工層にも適用され得る。
【0023】
いくつかの半導体製造工程では、視野(FOV)のサイズが大きく異なる2つのオーバーレイ計測ツールを使用する。例えば、2つのシリコン基板を互いに接合する工程で、その2つの基板の接合段階における相互位置合わせの測定を、1つのオーバーレイツールを用いて行うことができる。このオーバーレイツールでは、光放射の赤外(IR)波長がシリコン基板を通過することから、照明にはIR放射を含んだものを使用し、FOVには固定の広FOVか、調整可能な(ズーム)FOVを使用する。(この照明のスペクトルには可視の光放射も含まれ得る。というのは、オーバーレイターゲットの特徴物のいくつかは、オーバーレイ計測ツールに面した基板表面に位置し得るからである。)基板の接合と研磨が完了した後は、ウェハ間(またはダイ対ウェハ)で達成した位置合わせの検証を、別のオーバーレイツールを用いて行うことができる。このオーバーレイツールでは、可視照明を利用し、狭FOVを使用する。あるいは、基板を透かしたオーバーレイ誤差の測定とその後の検証の両方を、単一のオーバーレイ計測ツールで行ってもよい。ただし条件として、この単一のツールは、必要な視野の組み合わせと、可視波長および赤外波長の両方を網羅する広い照明スペクトルとを有しているものとする。2つの別個の光学計測ツールでも、または必要な機能を備えた単一のツールでも、必要な作動距離と焦点精度、および照明選択肢が網羅されていればよい。
【0024】
他の半導体工程では、2つよりも多い基板が互いに接合されてもよい。さらに他の工程では、個々の半導体ダイが基板に接合されてもよい。
【0025】
画像ベースのオーバーレイ計測の性能は、オーバーレイターゲットのサイズとオーバーレイ計測ツールのFOVとの関係性に大きく左右される。オーバーレイターゲットがFOVよりも大幅に小さければ、計測ツールはそのFOVの一部分のみからオーバーレイ誤差測定値信号を収集する。これでは測定値のSN比が低下し、場合により個々のターゲット特徴物の解像度が損なわれる。さらに、小さなオーバーレイターゲットの小さな特徴物では、広FOV計測ツールの光学分解能と十分に整合が取れない可能性がある。しかしながら、オーバーレイターゲットがFOVよりも大幅に大きければ、測定結果に歪みが生じる可能性があり、さらには、ターゲットの特徴物が大きいことで測定に必要なデータの一部が取り込み領域からはみ出し得ることにより、測定結果が欠落する可能性もある。例えば、オーバーレイターゲットが、60μm×60μmという典型的な広FOVを有するIRのオーバーレイ計測ツールと整合している場合、このターゲットは、可視光のオーバーレイ計測ツールの30μm×30μmという典型的な狭FOVからはみ出るはずであり、そのターゲット特徴物は可視光のツールに対して粗大すぎる可能性がある。オーバーレイターゲットが、可視光の計測ツールの30μm×30μmFOVと整合している場合は、IRツールでは60μm×60μmFOVの一部分しか使用されず、SN比が不十分になるはずである。さらに、そのターゲット特徴物はIRツールの最適な分解能に対して小さすぎる可能性がある。
【0026】
見込みのある解決策は、一方は広FOVツールと整合し、別の方は狭FOVツールと整合する、2つの別個のオーバーレイターゲットを並べて使用するというものである。しかしながら、この解決策では、オーバーレイ誤差が、空間的に離れた2つの位置で測定されたものとなるはずであり、その測定結果間の比較は、オーバーレイ誤差がオーバーレイターゲットの空間的な位置に依存している影響を受ける可能性がある。さらに、この種の解決策では、半導体基板上の貴重な「スペース(リアルエステート:real estate)」の利用効率が悪くなる。
【0027】
視野の各種サイズとオーバーレイターゲットのサイズとの間のこういった不整合に対して、ここに記載の本発明の各実施形態は、合成オーバーレイターゲットを提供することによって対処する。この合成オーバーレイターゲットは、小さな第1のサブターゲットと大きな第2のサブターゲットを含んでおり、第1のサブターゲットは第2のサブターゲットに同心状に取り囲まれる。第1のサブターゲットは、その全体寸法と特徴物サイズの両方の点で、狭FOVオーバーレイツールとうまく整合する。同様に、第2のサブターゲットの寸法と特徴物サイズは、広FOVオーバーレイツールと整合する。したがって、狭FOVのオーバーレイツールでオーバーレイ誤差を測定する場合は、第1のサブターゲットの像をツールに取り込み、このターゲットで得られる精度でオーバーレイ誤差を測定する。広FOVのオーバーレイツールでオーバーレイ誤差を測定する場合は、ターゲット全体の像を取り込む。広FOVオーバーレイツールでは、FOVの中心にある第1のサブターゲットの部分を無視し、広FOV用に最適化された第2のサブターゲットのみからオーバーレイ誤差を測定することができる。
【0028】
第1のサブターゲットと第2のサブターゲットを同心にすることで、狭FOVオーバーレイ計測ツールと広FOVオーバーレイ計測ツールとで測定したオーバーレイ誤差を正確に照合することが可能になる。例えばこの照合は、2つのツールで測定したオーバーレイ誤差を直接比較する、かつ/または、オーバーレイ誤差モデルを2つのツール間で比較することによって行われる。各ツールで個別に測定したもの同士ならびにモデル化したもの同士のオーバーレイ誤差の相関関係を考慮することにより、計測の精度がさらに向上する。オーバーレイ誤差測定値の品質基準が、各サブターゲットから個別に取得され得る。この基準は、各ツールから得たオーバーレイ誤差の測定値の妥当性を確認するためのものであり、それらの値の整合を取るためのものでもある。
【0029】
ここで開示する各実施形態では、複数の薄膜層が1つまたは複数の半導体基板上に成膜され、パターニングされ、それによって上記薄膜層にオーバーレイターゲットが形成される。各オーバーレイターゲットは第1および第2のサブターゲットを含み、2つのサブターゲットの対称中心は一致する。上記2つのサブターゲットは、上記オーバーレイターゲットの領域内に隣接して形成されるが、重なり合わない。上記第1のサブターゲットは第1のライン幅を有する第1のターゲット特徴物を含み、上記第2のサブターゲットは第2のライン幅を有するターゲット特徴物を含む。
【0030】
本説明および特許請求の範囲の文脈では、「ライン幅」という用語は、特徴物の狭い方の横寸法、例えばライン状の特徴物では長さではなく幅を示す。(「横」寸法とは、特徴物の、それが形成されている薄膜層の平面における寸法である。)正方形や円形の特徴物などの対称的な特徴物の場合は、特徴物の横寸法は互いに等しいため、「ライン幅」はそれらの寸法のいずれかを示す。
【0031】
システムの説明
次に図1aおよび1bを参照する。図1aおよび1bは、本発明の一実施形態による、半導体基板12上のオーバーレイ誤差を測定するための光学計測装置10を概略的に示している。図1aは、光学サブシステム11および13を含んだ装置10の側面図であり、図1bは、サブシステム11の詳細を示す側面図である。図1aおよび1bは、光学サブシステム11および13の集光光学系と同じ側から基板12へと照明が方向付けられた装置10を示しているが、一代替実施形態では、適当に透過性を有するモーション組立体20を透かして、基板の下から照明が方向付けられてもよい。
【0032】
図1aを参照すると、光学計測装置10は、半導体基板12上のオーバーレイ誤差を測定するための、それぞれOPT1およびOPT2と呼ばれる2つの光学サブシステム11および13を備える。OPT1は例えば寸法30μm×30μmの狭視野FOV1を有し、OPT2は例えば寸法60μm×60μmの広視野FOV2を有する。この実施例では、OPT1はオーバーレイ誤差の測定に可視光照明を使用し、OPT2はIR照明を使用する。ここで使用するFOV1およびFOV2の寸法と、OPT1およびOPT2のスペクトル範囲は例示に過ぎない。様々な計測用途の狭FOVおよび広FOV装置を説明するために、別の寸法およびスペクトル範囲をその代わりに使用することもできる。例えば一代替実施形態では、光学サブシステム13(OPT2)が、光放射を放出する光源と、可変FOVを有する計測光学系(ズーム光学系)を含み得る。別の代替実施形態では、光学サブシステム11および13(OPT1およびOPT2)が、適当に調整可能なFOVと照明スペクトルと集光機構とを有する単一の光学システムを含み得る。
【0033】
装置10はさらに、コントローラ18および1つまたは複数のモーション組立体20を備える。コントローラ18が結合され、OPT1およびOPT2のセンサから画像を受信し(図1bに詳細に図示)、モーション組立体20の位置および向きを調整する。コントローラ18は典型的には、プログラム可能なプロセッサと、装置10の別の要素への接続に適したデジタルかつ/またはアナログのインターフェースとを備える。上記プログラム可能なプロセッサは、本明細書に記載の機能を実行するようにソフトウェアおよび/またはファームウェアでプログラムされる。その代わりにまたはそれに加えて、コントローラ18は、その機能の少なくとも一部分を実行するハードワイヤード論理回路および/またはプログラム可能なハードウェア論理回路を備える。図1aおよび1bでは、コントローラ18は、簡略化のため一体構造の単一の機能ブロックとして示されているが、実際には複数の制御ユニットを含むことができ、これらの制御ユニットは、各図に示されかつ本文に記載の信号の受信/出力に適したインターフェースで相互接続される。
【0034】
図示の実施例では、モーション組立体20は、アクチュエータを備えた適当な台を備える。上記アクチュエータの目的は、上記台を、コントローラ18の制御下でデカルト座標36を基準にx、y、およびz方向に直線的に移動させることと、z軸を中心に回転させることである。この図およびこれ以降の図には、装置10に対する各図の向きを明確にするために、デカルト座標36が示されている。
【0035】
複数の薄膜層が半導体基板12上に成膜され、パターニングされ、それによって集積回路チップの行列が規定され、上記薄膜層の少なくとも1つにオーバーレイターゲットが形成される。図示の実施例では、第1の薄膜層38と第2の薄膜層40が半導体基板12上に成膜され、フォトリソグラフィ工程でパターニングされる。例えば、第1の層38は加工層であってもよく、第2の層40はその加工層上に成膜されたレジスト層であってもよい。あるいは、層38および40の両方が加工層であってもよい。基板12上の層40のパターンとその下の層38のパターンとの間のオーバーレイ誤差を測定することを目的として、層38および40には、以降の図に示すように2つの視野に適した第1および第2のサブターゲットを含んだオーバーレイターゲットが、フォトリソグラフィ工程で形成されている。
【0036】
装置10でオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18がモーション組立体20を移動させて、半導体基板12を例えばOPT1に近づけ、オーバーレイターゲットがFOV1内に入るようにし、OPT1を使用してオーバーレイ誤差を測定する。別の製造段階、例えば2つの半導体基板を互いに接合するなどの場合は、コントローラ18が矢印15で示すようにxy平面内でモーション組立体20を移動させて、半導体基板12をOPT2に近づけ、オーバーレイターゲットがFOV2内に入るようにし、OPT2を使用してオーバーレイ誤差を測定し得る。(簡略化のため基板12は1つしか示していない)。あるいは、光学サブシステム11および13は、OPT1およびOPT2用の2つの別個のモーション組立体20を備えていてもよい。OPT1で新たなオーバーレイ誤差測定を行う際は、基板12をOPT1に戻すことができる。以下で詳細に説明するが、光学サブシステムはそれぞれ、オーバーレイターゲットの特定の部分を利用する。これらの部分は各光学サブシステムのFOVと整合している。
【0037】
図1bを参照すると、光学サブシステム11(OPT1)は、撮像組立体14および照明組立体16を備える。撮像組立体14は、対物レンズ22、キューブビームスプリッタ24および撮像レンズ26を備え、これらが合わさって光学サブシステム11の計測光学系を形成する。撮像組立体14はさらにセンサ28を備え、センサ28は、例えば画素30の2次元アレイを含んだ相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器を備える。別の実施例として、短波IR照明下での感知を行う目的で、センサ28は、画素30の2次元アレイを含んだInGaAsベースの焦点面アレイ(FPA:Focal Plane Array)検出器を備え得る。撮像組立体14の視野は、図1aを参照すると30μm×30μmの寸法を有するFOV1である。照明組立体16は、光放射を放出する光源32と、レンズ34を備える。さらに、いくつかの実施形態では、光源32および/または撮像組立体14は、それぞれ放出/集光する光放射の偏光を制御するための偏光光学部品を備え得る。
【0038】
OPT1を使用して基板12上の層40のパターンとその下の層38のパターンとの間のオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18が、上記基板を対物レンズ22の下へと移動させるようにモーション組立体20に命令する。この移動によって、オーバーレイターゲットの中央部分がOPT1の視野FOV1内に入り、対物レンズ22とレンズ26の組み合わせ光学系により上記基板がセンサ28上に結像され、すなわち、上記基板と上記センサが光学的共役面に配置される。
【0039】
第1のサブターゲットの画像を取り込むために、光放射ビームが、光源32からレンズ34に投射され、レンズ34からさらにキューブビームスプリッタ24に投射され、ビームスプリッタ24により対物レンズ22へと反射され、対物レンズ22により基板12上に投射される。基板12に入射した放射は、散乱されて対物レンズ22に戻り、ビームスプリッタ24を通過し、レンズ26に送られ、センサ28上に集光される。このセンサ28で取り込んだ画像を以下で詳細に説明するようにコントローラ18が読み出し、処理して、基板12上の層40とその下の層38にあるそれぞれの第1のサブターゲットの対称中心を識別する。コントローラ18はこれら2つのパターン層の間のオーバーレイ誤差を、それぞれの層の第1のサブターゲットの対称中心間のずれに基づいて測定する。
【0040】
光学サブシステム13(OPT2)も上述の光学サブシステム11(OPT2)と同様である。これらの光学サブシステム間で関連のある相違は、その視野と、測定に使用する光放射の波長である。これらの相違は、これら2つの光学サブシステムの撮像組立体および照明組立体の設計が異なることによってもたらされる。
【0041】
あるいは、装置10は、スキャトロメトリモードでオーバーレイ誤差を測定するように構成されてもよい。このモードでは、対物レンズ22の射出瞳(図示せず)をセンサアレイ28上に結像するように、レンズ26が変更かつ/または移動される。このスキャトロメトリ画像は、ターゲット特徴物から散乱される光放射の角度分布を示し、この場合のコントローラ18は、この角度分布を処理してオーバーレイ誤差を測定するように構成される。
【0042】
オーバーレイターゲットの実施例
図2a~2cは、本発明の一実施形態によるオーバーレイターゲット200と、その構造を示す。図2aはオーバーレイターゲット200の概略正面図であり、図2bと図2cはそれぞれターゲット200内部の第1のサブターゲット202と第2のサブターゲット204の概略正面図である。サブターゲット202は狭FOVに広がり、したがって光学サブシステム11(図1a)で撮像され得る。一方、サブターゲット204は広い方のFOVに広がり、したがって光学サブシステム13で撮像され得る。
【0043】
図2bに示されているように、第1のサブターゲット202は8つの格子206、208、210、212、214、216、218、および220を含み、これらの格子は2つ一組に互いに隣接して(しかし重なり合わずに)配置される。格子206、210、214、および218は薄膜層38に形成され、格子208、212、216、および220は薄膜層40に形成される。各格子はライン幅が等しい複数の平行なラインを含み、格子対の半分は格子ラインがx方向を向いており、残りの半分は格子ラインがy方向を向いている。したがって、図示の実施例では、格子206、208、214および216は、格子210、212、218および220と向きが直交している。
【0044】
例えば第1のサブターゲット202には、OPT1のFOV1を示すために30μm×30μmの寸法を有する点線の正方形222が重ねられており、第1のサブターゲットの格子が30μm×30μmのFOVに広がっていることを示している(この格子の一部分はFOV1を超えて「はみ出て」いる)。第1のサブターゲット202の格子206、208、210、212、214、216、218、および220のライン幅は、第1のサブターゲットの画像がOPT1で取り込まれたときにその画像のコントラストが良好になるように、例えば1μmになっている。
【0045】
図1bを参照すると、光学サブシステム11を使用して第1のサブターゲット202から層38と層40との間のオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18が、センサ28で取り込まれた(OPT1のFOV1内の)第1のサブターゲットの画像を読み出す。コントローラ18はその画像をさらに処理して、格子206、210、214、および218によって形成されるパターンの対称中心221と、格子208、212、216、および220によって形成されるパターンの対称中心223とを識別する。コントローラ18は、上記2つのパターン層の間のオーバーレイ誤差を、それぞれの層の第1のサブターゲット202の対称中心221と223との間のずれとして測定する。
【0046】
図2cに示されているように、第2のサブターゲット204は、8つの格子224、226、228、230、232、234、236、および238を含み、これらの格子は2つ一組に互いに隣接して配置される。第1のサブターゲット202と同様に、格子224、228、232、および236は薄膜層38に形成され、格子226、230、234、および238は薄膜層40に形成される。各格子はライン幅が等しい複数の平行なラインを含み、格子対の半分は格子ラインがx方向を向いており、残りの半分は格子ラインがy方向を向いている。したがって、格子224、226、232および234は、格子228、230、236および238と直交している。ただし、第2のサブターゲット204の格子のライン幅は、第2のサブターゲットの画像がOPT2で取り込まれたときにその画像のコントラストが良好になるように、例えば2μmになっている(第1のサブターゲット202と同様の1μmではない)。例えば第2のサブターゲット204には、OPT2のFOV2を示すために60μm×60μmの寸法を有する点線の正方形240が重ねられており、第2のサブターゲットの格子がFOV2に広がっていることを示している。
【0047】
OPT2を使用して第2のサブターゲット204から層38と層40との間のオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18が、OPT2から第2のサブターゲットの画像を読み出す(この画像はFOV2の中心にある第1のサブターゲット202の画像を含んでいる)。コントローラ18はその画像を処理して(画像の第1のサブターゲット202由来の部分は遮るか無視する)、格子224、228、232、および236によって形成されるパターンの対称中心242と、格子226、230、234、および238によって形成されるパターンの対称中心244とを識別する。コントローラ18は、上記2つのパターン層の間のオーバーレイ誤差を、それぞれの層の第2のサブターゲット204の対称中心242と244との間のずれとして測定する。
【0048】
図3a~3cは、本発明の代替実施形態によるオーバーレイターゲット300と、その構造を示す。図3aはオーバーレイターゲット300の概略正面図であり、図3bと図3cはそれぞれターゲット300内部の第1のサブターゲット302と第2のサブターゲット304の概略正面図である。
【0049】
図3bに示されているように、第1のサブターゲット302は、8つの格子306、308、310、312、314、316、318、および320を含み、これらの格子は2つ一組に互いに隣接して配置される。格子306、310、314、および318は薄膜層38に形成され、格子308、312、316、および320は薄膜層40に形成される。各格子はライン幅が等しい複数の平行なラインを含み、格子対の半分は格子ラインがx方向を向いており、残りの半分は格子ラインがy方向を向いている。例えば第1のサブターゲット302には、OPT1のFOV1を示すために30μm×30μmの寸法を有する点線の正方形322が重ねられており、第1のサブターゲットの格子がFOV1にちょうど過不足なく広がっていることを示している。第1のサブターゲット302の格子306、308、310、312、314、316、318、および320のライン幅は、第1のサブターゲットの画像がOPT1で取り込まれたときにその画像のコントラストが良好になるように、例えば1μmになっている。第1のサブターゲット302は、その格子がFOV1の外に広がっていないという点が、第1のサブターゲット202と異なる。
【0050】
OPT1を使用して層38と40の間のオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18が、第1のサブターゲット202と同様に、それぞれの層の第1のサブターゲット302の対称中心324と326との間のずれを測定する。対称中心324は格子306、310、314、および318によって形成されるパターンに対するものであり、対称中心326は格子308、312、316、および320によって形成されるパターンに対するものである。
【0051】
図3cに示されているように、第2のサブターゲット304は、8つの格子330、332、334、336、338、340、342、および344を含み、これらの格子は2つ一組に互いに隣接して配置される。第1のサブターゲット302と同様に、格子330、334、338、および342は薄膜層38に形成され、格子332、336、340、および344は薄膜層40に形成される。第1のサブターゲット302と同様に、各格子はライン幅が等しい複数の平行なラインを含み、格子対の半分は格子ラインがx方向を向いており、残りの半分は格子ラインがy方向を向いている。ただし、第2のサブターゲット304の格子のライン幅は、OPT2で取り込まれたときにその画像のコントラストが良好になるように、例えば2μmになっている。例えば第2のサブターゲット304には、FOV2を示すために60μm×60μmの寸法を有する点線の正方形346が重ねられており、第2のサブターゲットの格子がFOV2に広がっていることを示している。第2のサブターゲット304は、その格子が中央の30μm×30μmのFOVより外側の領域全体に広がっているという点が、第2のサブターゲット204と異なる。
【0052】
OPT2を使用して層38と40との間のオーバーレイ誤差を測定する際は、コントローラ18が、第1のサブターゲット302と同様に、それぞれの層の第2のサブターゲット304の対称中心348と350との間のずれを測定する。対称中心348は格子330、334、338、および342によって形成されるパターンに対するものであり、対称中心350は格子332、336、340、および344によって形成されるパターンに対するものである。
【0053】
一代替実施形態(図示せず)では、オーバーレイターゲット200および300内の各サブターゲットが、格子状の構造体を含み得る。これらの構造体は、ピッチがわずかに異なる2つの重ねられた格子を層38と層40に配設することによって形成される。この種のオーバーレイターゲットについては、上述の米国特許第7,440,105号に記載されており、この特許文献に記載の方法で、層38と層40との間のオーバーレイ誤差が測定され得る。
【0054】
図4a~4cは、本発明の別の実施形態による、オーバーレイターゲット400、402および404の概略正面図である。
【0055】
図4aに示されているように、オーバーレイターゲット400は、第1のサブターゲット410と第2のサブターゲット412を含む。この第1のサブターゲット410と第2のサブターゲット412の輪郭が、点線の正方形406および408で描かれており、これらの正方形は例えばOPT1およびOPT2のそれぞれの視野に対応する。第1のサブターゲット410は、点線の正方形406の内部に含まれている正方形414と416の行列によって形成される。第2のサブターゲット412は、点線の正方形406と408の間の領域内にある正方形418と420の行列によって形成される。第1のサブターゲット410では、正方形414は第1層38に形成され、正方形416は第2層40に形成される。正方形414および416のそれぞれの寸法は、OPT1の光学分解能に適合するように、例えば1μm×1μm(ライン幅1μmに相当)になっている。第2のサブターゲット412では、正方形418は第1層38に形成され、正方形420は第2層40に形成される。正方形418および420のそれぞれの寸法は、OPT2の光学分解能に適合するように、例えば2μm×2μm(ライン幅2μmに相当)になっている。
【0056】
あるいは、サブターゲット410および412は、それぞれ適当なライン幅を有する長方形の行列を含んでもよい。
【0057】
装置10は、OPT1による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、オーバーレイターゲット200(図2a~2c)からオーバーレイ誤差を測定するのと同様に、第1のサブターゲット410の正方形414の行列と正方形416の行列のそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う(簡略化のため対称中心は図示せず)。同様に、装置10は、OPT2による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、第2のサブターゲット412の正方形418の行列と正方形420の行列のそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う。
【0058】
図4bに示されているように、オーバーレイターゲット402は、第1のサブターゲット426と第2のサブターゲット428を含む。この第1のサブターゲット426と第2のサブターゲット428の輪郭が、点線の正方形422および424で描かれており、これらの正方形は例えばOPT1およびOPT2のそれぞれの視野に対応する。第1のサブターゲット426は、正方形422の内部にある2つの正方形フレーム430と432によって形成され、第2のサブターゲット428は、正方形422と424の間の領域内にある2つの正方形フレーム434と436によって形成される。フレーム430および434は層38に形成され、フレーム432および436は層40に形成される。第1のサブターゲット426のフレーム430および432のライン幅は、OPT1の光学分解能に適合するように、例えば1μmになっており、第2のサブターゲット428のフレーム434および436のライン幅は、OPT2の光学分解能に適合するように、例えば2μmになっている。
【0059】
装置10は、OPT1による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、第1のサブターゲット426のフレーム430と432のそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う(簡略化のため対称中心は図示せず)。同様に、装置10は、OPT2による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、第2のサブターゲット428のフレーム434と436のそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う。
【0060】
図4cに示されているように、オーバーレイターゲット404は、第1のサブターゲット444と第2のサブターゲット446を含む。この第1のサブターゲット444と第2のサブターゲット446の輪郭が、点線の正方形440および442で描かれており、これらの正方形は例えばOPT1およびOPT2のそれぞれの視野に対応する。第1のサブターゲット444はライン448と450によって形成され、第2のサブターゲット446はライン452と454によって形成される。第1のサブターゲット444では、ライン448は層38に形成され、ライン450は層40に形成され、全てのラインが正方形440内部(すなわち、OPT1のFOV1の内部)に形成される。ライン448および450の半分はx方向に向いており、もう半分はy方向に向いている。ライン448および450の幅は、OPT1の光学分解能に適合するように選択される。第2のサブターゲット446では、ライン452は層38に形成され、ライン454は層40に形成され、全てのラインが正方形440と442の間の領域内に形成される。ライン452および454の半分はx方向に向いており、もう半分はy方向に向いている。ライン452および454の幅は、OPT2の光学分解能に適合するように選択される。
【0061】
装置10は、OPT1による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、第1のサブターゲット444のライン448によって形成されるパターンとライン450によって形成されるパターンのそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う(簡略化のため対称中心は図示せず)。同様に、装置10は、OPT2による層38と層40との間のオーバーレイ誤差の測定を、第2のサブターゲット446のライン452によって形成されるパターンとライン454によって形成されるパターンのそれぞれの対称中心の間のずれを測定することによって行う。
【0062】
上述の各実施形態では、例示的光学サブシステムOPT1およびOPT2の特徴的な視野および分解能レベルに合わせて、30μm×30μmおよび60μm×60μmというサブターゲット寸法と、1μmおよび2μmというライン幅を選択した。あるいは、オーバーレイ誤差の測定に使用する検査光学系の特性に応じて、それより大きいまたは小さいサブターゲット寸法と、それより大きいまたは小さい特徴物ライン幅を使用することもできる。
【0063】
さらに、前出の各図では例として特定の種類のターゲット特徴物および構成を示したが、本発明の原理は、別の種類の特徴物および構成を含んだオーバーレイターゲットおよびサブターゲットでも同様に実施され得る。かかる代替実施形態は全て、本発明の範囲内に含まれるとみなされる。
【0064】
マルチ分解能オーバーレイターゲットの追加の応用例
同じ層(例えば薄膜層40)に異なる設計パラメータ(例えば異なる空間周波数)を有するターゲット特徴物が含まれていることで、オーバーレイ誤差計測を利用して、これらの異なるターゲット特徴物間の見かけのずれを測定することができる。例えば、図2bおよび2cを参照すると、層40にある第1のサブターゲット202と第2のサブターゲット204のパターンは、同じフォトリソグラフィステップで形成されている。したがって、OPT1とOPT2で測定したそれぞれの対称中心223と244の位置の間にずれが生じることは無いと予想されるはずである。しかしながら、光学サブシステムOPT1およびOPT2のそれぞれにおける光学的収差または障害物に起因する誤差により、対称中心の実測位置の間のずれがゼロでない場合がある。こういった誤差の特性評価を、オーバーレイ誤差測定における誤差の修正に利用することができる。また、こういった誤差を製造工程にフィードフォワードすると、後続の製造段階における測定誤差、具体的には2つの半導体基板を位置合わせして接合する際に使用する位置合わせシステムによる測定誤差を低減することもできる。
【0065】
それに加えてまたはその代わりに、光学サブシステムOPT1とOPT2によってそれぞれ測定された2組のオーバーレイ誤差セット同士の照合を目的として、各セットごとにモデル化したオーバーレイ誤差をコントローラ18で算定することができる。各光学サブシステム内、ならびに光学サブシステム間における、オーバーレイ誤差の実測したもの同士、モデル化したもの同士の両方での比較を利用して、計測結果の精度を向上させることができる。それに加えてまたはその代わりに、オーバーレイ誤差測定値の品質基準を、各サブターゲットから個別に取得することができる。この基準は、各ツールから得たオーバーレイ誤差測定値の妥当性を確認するためのものであり、それらの値の整合を取るためのものでもある。
【0066】
それに加えてまたはその代わりに、同じ層におけるターゲット特徴物間のずれの各測定値が類似しているということが、フォトリソグラフィシステム(スキャナ)の光学的収差に起因するパターン配置誤差を示している場合がある。というのは、こういった収差によって、転写された異なる空間周波数の特徴物が相互にずれる可能性があるためである。こういった配置誤差の情報によって、フォトリソグラフィ工程で形成される電子デバイスにおけるそれらの影響を、低減できる可能性がある。
【0067】
2つの異なるターゲット特徴物から得た角度スペクトル、または特定の特徴物の2つの異なる測定構成から得た角度スペクトルの特性を分析することにより、ターゲット特徴物の非対称性に起因するオーバーレイ誤差測定値の誤差を低減できる可能性がある。
【0068】
複数のオーバーレイターゲット、例えば図2a、3a、4a~4cに示されているものなどから得たオーバーレイ誤差の測定結果を組み合わせると、それらの測定値の総合的な測定不確かさ(TMU)を低減することができる。
【0069】
上述のマルチ分解能オーバーレイターゲットは、3つ以上の薄膜層にまたがるように適合させることができ、したがってそれらの層のうちの任意の対の間のオーバーレイ誤差の測定が可能になる。
【0070】
上記で説明した実施形態は例として引用したものであり、本発明は上記で特に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記で説明した様々な特徴の組み合わせおよび部分組み合わせ、ならびに、当業者が上記の説明を読めば思いつくであろう、従来技術には開示されていないそれらの変形形態および修正形態を含む。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a-4c】
【国際調査報告】