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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】オーバーレイ計測用の傾斜照明
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240423BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240423BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240423BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01B11/00 G
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G03F9/00 H
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557376
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2022025155
(87)【国際公開番号】W WO2022235418
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,651
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/684,179
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ブイ
(72)【発明者】
【氏名】フェラー ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ギノフカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】バクニン ヨナタン
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065BB02
2F065BB17
2F065FF04
2F065GG21
2F065HH12
2F065JJ26
2F065LL04
2H197HA03
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB09
4M106DB16
(57)【要約】
オーバーレイ計測システムは、試料上のオーバーレイターゲットの測定に適したオーバーレイ計測ツールを含んでもよく、オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む。オーバーレイ計測ツールは、対物レンズと、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによってオーバーレイターゲットを照明するための照明経路と、を含んでもよく、それにより、測定方向のそれぞれについて、対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットによる1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブ及び2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブを排他的に含む。オーバーレイ計測ツールは、試料を撮像するための少なくとも1つの検出器と、画像に基づいてオーバーレイ測定値を生成するための制御器と、を更に含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーレイ計測システムであって、
試料上のオーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するように構成されたオーバーレイ計測ツールであって、前記計測レシピと関連した前記オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含み、前記オーバーレイ計測ツールは、
対物レンズ、
前記計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによって前記オーバーレイターゲットを照明するための1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路であって、前記1つ又は複数の照度分布は、前記1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットによる前記1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブ及び前記2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブを排他的に含むことを提供する、照明経路、並びに
前記計測レシピを実施する際に、前記照度分布に応じて前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットからの光に基づいて、1つ又は複数の検出器上に前記オーバーレイターゲットを撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む収集経路
を備える、オーバーレイ計測ツールと、
少なくとも前記1つ又は複数の検出器に通信可能に結合された制御器であって、前記制御器は、プログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含み、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
前記1つ又は複数の照度分布に基づいて、前記1つ又は複数の検出器から前記オーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を受け取るステップ、及び
前記1つ又は複数の画像に基づいて、前記1つ又は複数の測定方向と関連した前記オーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成するステップ
を行わせる、制御器と、
を備える、オーバーレイ計測システム。
【請求項2】
前記計測レシピは、前記1つ又は複数の照度分布内の前記2つ以上の傾斜照明ローブの前記1つ又は複数の測定方向又は波長に沿った前記オーバーレイターゲット内の前記格子構造のピッチのうちの少なくとも1つを規定することにより、前記1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットによる前記1つ又は複数の照度分布の回折次数は、前記0次回折ローブ及び前記2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの前記単一の1次回折ローブを排他的に含むことを提供する、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数の格子構造は、第1リソグラフィ露光と関連した格子構造の第1セットと、第2リソグラフィ露光と関連した格子構造の第2セットと、を含み、前記1つ又は複数のオーバーレイ測定値は、前記第1リソグラフィ露光と前記第2リソグラフィ露光との間のオーバーレイ測定値に対応する、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項4】
前記格子構造の第1セットは、前記試料の第1層上にあり、前記格子構造の第2セットは、前記試料の第2層上にある、請求項3に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項5】
前記格子構造の第1セットと前記格子構造の第2セットとは、前記試料の共通の層上にある、請求項3に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項6】
前記オーバーレイターゲットは、前記1つ又は複数の測定方向のうちの第1のものに沿って周期性を有する前記1つ又は複数の格子構造の一部分を有する1つ又は複数のセルを含み、前記オーバーレイターゲットは、前記1つ又は複数の測定方向のうちの第2のものに沿って周期性を有する前記1つ又は複数の格子構造の一部分を有する1つ又は複数のセルを更に含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項7】
前記オーバーレイターゲットは、
高度撮像計測(AIM)ターゲット、ロバストAIMターゲット、又はトリプルAIMターゲットのうちの少なくとも1つ
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項8】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、円形として成形されている、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項9】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、楕円形として成形されている、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項10】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、幾何学的レンズとして成形されている、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項11】
前記1つ又は複数の照度分布は、
単一の照度分布
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数の照度分布は、
連続的に生成された2つ以上の照度分布
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項13】
前記2つ以上の照明ローブは、
前記1つ又は複数の測定方向のうちの1つに沿って向けられた双極子照度分布を形成するための2つの照明ローブ
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項14】
前記2つ以上の照明ローブは、
前記1つ又は複数の測定方向に対して非直交角度で向けられた回転型双極子照度分布を形成するための2つの照明ローブ
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項15】
前記1つ又は複数の測定方向は、
2つの直交する測定方向
を含み、前記2つ以上の照明ローブは、
前記2つの測定方向に沿って向けられた四極子照度分布を形成するための4つの照明ローブ
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項16】
前記1つ又は複数の測定方向は、
2つの直交する測定方向
を含み、前記2つ以上の照明ローブは、
前記2つの測定方向に対して非直交角度で向けられた回転型四極子照度分布を形成するための4つの照明ローブ
を含む、請求項1に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項17】
オーバーレイ計測システムであって、
オーバーレイ計測ツールと通信可能に結合された制御器であって、前記オーバーレイ計測ツールは、試料上のオーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するように構成され、前記オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む前記計測レシピと関連しており、前記オーバーレイ計測ツールが、
対物レンズと、
前記計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによって前記オーバーレイターゲットを照明するための1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路であって、前記1つ又は複数の照度分布は、前記1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットによる前記1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブ及び前記2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブを排他的に含む、照明経路と、
前記計測レシピを実施する際に、前記照度分布に応じて前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットからの光に基づいて、1つ又は複数の検出器上に前記オーバーレイターゲットを撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む収集経路と、
を備え、
前記制御器は、プログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含み、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
前記1つ又は複数の照度分布に基づいて、前記1つ又は複数の検出器から前記オーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を受け取るステップ、及び
前記1つ又は複数の画像に基づいて、前記1つ又は複数の測定方向と関連した前記オーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成するステップ
を行わせる、オーバーレイ計測システム。
【請求項18】
前記計測レシピは、前記1つ又は複数の照度分布内の前記2つ以上の傾斜照明ローブの前記1つ又は複数の測定方向又は波長に沿った前記オーバーレイターゲット内の前記格子構造のピッチのうちの少なくとも1つを規定することにより、前記1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットによる前記1つ又は複数の照度分布の回折次数が、前記0次回折ローブ及び前記2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの前記単一の1次回折ローブを排他的に含むことを提供する、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項19】
前記1つ又は複数の格子構造は、第1リソグラフィ露光と関連した格子構造の第1セットと、第2リソグラフィ露光と関連した格子構造の第2セットと、を含み、前記1つ又は複数のオーバーレイ測定値は、前記第1リソグラフィ露光と前記第2リソグラフィ露光との間のオーバーレイ測定値に対応する、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項20】
前記格子構造の第1セットは、前記試料の第1層上にあり、前記格子構造の第2セットは、前記試料の第2層上にある、請求項19に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項21】
前記格子構造の第1セットと前記格子構造の第2セットとは、前記試料の共通の層上にある、請求項19に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項22】
前記オーバーレイターゲットは、前記1つ又は複数の測定方向のうちの第1のものに沿って周期性を有する前記1つ又は複数の格子構造の一部分を有する1つ又は複数のセルを含み、前記オーバーレイターゲットは、前記1つ又は複数の測定方向のうちの第2のものに沿って周期性を有する前記1つ又は複数の格子構造の一部分を有する1つ又は複数のセルを更に含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項23】
前記オーバーレイターゲットは、
高度撮像計測(AIM)ターゲット、ロバストAIMターゲット、又はトリプルAIMターゲットのうちの少なくとも1つ
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項24】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、円形として成形されている、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項25】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、楕円形として成形されている、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項26】
前記2つ以上の傾斜照明ローブのうちの少なくとも1つは、幾何学的レンズとして成形されている、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項27】
前記1つ又は複数の照度分布は、
単一の照度分布
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項28】
前記1つ又は複数の照度分布は、
連続的に生成された2つ以上の照度分布
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項29】
前記2つ以上の照明ローブは、
前記1つ又は複数の測定方向のうちの1つに沿って向けられた双極子照度分布を形成するための2つの照明ローブ
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項30】
前記2つ以上の照明ローブは、
前記1つ又は複数の測定方向に対して非直交角度で向けられた回転型双極子照度分布を形成するための2つの照明ローブ
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項31】
前記1つ又は複数の測定方向は、
2つの直交する測定方向
を含み、前記2つ以上の照明ローブは、
前記2つの測定方向に沿って向けられた四極子照度分布を形成するための4つの照明ローブ
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項32】
前記1つ又は複数の測定方向は、
2つの直交する測定方向
を含み、前記2つ以上の照明ローブは、
前記2つの測定方向に対して非直交角度で向けられた回転型四極子照度分布を形成するための4つの照明ローブ
を含む、請求項17に記載のオーバーレイ計測システム。
【請求項33】
オーバーレイ方法であって、
オーバーレイ計測ツールを使用してオーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を捕捉するステップであって、前記オーバーレイ計測ツールは、試料上の前記オーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するように構成され、前記オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む前記計測レシピと関連しており、前記オーバーレイ計測ツールは、
対物レンズ、
前記計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによって前記オーバーレイターゲットを照明するための1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路であって、前記1つ又は複数の照度分布は、前記1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットによる前記1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブ及び前記2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブを排他的に含むことを提供する、照明経路、及び
前記計測レシピを実行する際に、前記照度分布に応じて前記対物レンズによって収集された前記オーバーレイターゲットからの光に基づいて、前記オーバーレイターゲットを1つ又は複数の検出器上に撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む収集経路
を含む、ステップと、
前記1つ又は複数の画像に基づいて、前記1つ又は複数の測定方向と関連した前記オーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成するステップと、
を含む、オーバーレイ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、オーバーレイ計測に関し、より詳細には、明視野撮像オーバーレイ計測に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月4日に出願された、「OBLIQUE ILLUMINATION FOR OVERLAY METROLOGY」という名称の米国仮特許出願第63/183、651号の米国特許法第119号(e)の下での利益を請求し、この出願は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
オーバーレイ計測システムは、典型的には、関心対象の層上にあるオーバーレイターゲット特徴の相対位置を測定することによって、試料の複数の層のオーバーレイ整列を特徴付ける。製作された特徴のサイズが減少し、特徴密度が増加するにつれて、これらの特徴を特徴付けるのに必要とされるオーバーレイ計測システムに対する要求が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0310080号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0216930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これらの要求に対処するためのシステム及び方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態に従う、オーバーレイ計測システムが開示される。例示的な一実施形態では、システムは、試料上のオーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するためのオーバーレイ計測ツールを含み、オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む計測レシピと関連している。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、対物レンズと、計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによってオーバーレイターゲットを照明する1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路と、を含む。別の例示的な一実施形態では、1つ又は複数の照度分布は、1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットによる1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブと、2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブと、を排他的に含むことを提供する。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、収集経路を含み、該収集経路は、計測レシピを実施する際に、照度分布に応じて対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットからの光に基づいて、1つ又は複数の検出器上にオーバーレイターゲットを撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む。別の例示的な一実施形態では、システムは、少なくとも1つ又は複数の検出器に通信可能に結合された制御器を含む。別の例示的な一実施形態では、制御器は、1つ又は複数の照度分布に基づいて1つ又は複数の検出器からオーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を受け取り、1つ又は複数の画像に基づいて1つ又は複数の測定方向と関連したオーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成する。
【0007】
本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態に従う、オーバーレイ計測システムが開示される。例示的な一実施形態では、システムは、オーバーレイ計測ツールと通信可能に結合された制御器を含み、オーバーレイ計測ツールは、試料上のオーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するように構成され、オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む計測レシピと関連している。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、対物レンズと、計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによってオーバーレイターゲットを照明するための1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路と、を含む。別の例示的な一実施形態では、1つ又は複数の照度分布は、1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、対物レンズによって収集されるオーバーレイターゲットによる1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブと、2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブとを、排他的に含むことを提供する。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、計測レシピを実施する際に、照度分布に応じて対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットからの光に基づいて、1つ又は複数の検出器上にオーバーレイターゲットを撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む収集経路を含む。別の例示的な一実施形態では、制御器は、1つ又は複数の照度分布に基づいて、1つ又は複数の検出器からオーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を受け取り、1つ又は複数の画像に基づいて、1つ又は複数の測定方向と関連したオーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成する。
【0008】
本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態に従う、オーバーレイ方法が開示される。例示的な一実施形態では、方法は、オーバーレイ計測ツールを使用してオーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像をキャプチャすることを含み、オーバーレイ計測ツールは、試料上のオーバーレイターゲットの測定のための計測レシピを実施するように構成され、オーバーレイターゲットは、1つ又は複数の測定方向に沿って分布したパターン化された特徴を有する1つ又は複数の格子構造を含む計測レシピと関連している。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、対物レンズと、計測レシピを実施する際に、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブによってオーバーレイターゲットを照明するための1つ又は複数の照明光学系を含む照明経路と、を含む。別の例示的な一実施形態では、1つ又は複数の照度分布は、1つ又は複数の測定方向のそれぞれについて、対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットによる1つ又は複数の照度分布の回折次数が、0次回折ローブと、2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブと、を排他的に含むことを提供する。別の例示的な一実施形態では、オーバーレイ計測ツールは、計測レシピを実施する際に、照度分布に応じて対物レンズによって収集されたオーバーレイターゲットからの光に基づいて、1つ又は複数の検出器上にオーバーレイターゲットを撮像するための1つ又は複数の収集光学系を含む収集経路を更に含む。別の例示的な一実施形態では、方法は、1つ又は複数の画像に基づいて、1つ又は複数の測定方向に関連したオーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成することを含む。
【0009】
前述の概要と以下の詳細な説明の両方は、単に例示であって説明であり、必ずしも特許請求の範囲に記載されたように発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書の一部分に組み込まれ、これを構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、概要と一緒に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多くの利点は、添付図面を参照することによって、当業者によりよく理解され得る。
図1A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従うオーバーレイ計測システムについてのブロック図である。
図1B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従うオーバーレイ計測ツールについての簡略化された概略図である。
図1C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、照明源からの照明が複数の照明ローブを提供するために光ファイバの任意の組み合わせに向けられているオーバーレイ計測ツールの簡略化された概略図である。
図2】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、重複しない特徴を有するオーバーレイターゲットの上面図である。
図3A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、円形形状を有する照明ローブを有する照明瞳分布である。
図3B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、楕円形状を有する照明ローブを有する照明瞳分布である。
図3C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、幾何学的レンズ(猫の目形状の)として形成された照明ローブを有する照明瞳分布である。
図4A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界に重畳された傾斜照明ローブの双極子分布を含む照明瞳境界についての概念図である。
図4B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造による図4Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図4C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造による図4Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図5A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界に重畳された傾斜照明ローブの四極子分布を含む照明瞳境界についての概念図である。
図5B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造による図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図5C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造による図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図6】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、双極子又は四極子照度分布に基づいて選択された回折次数を有する調整された明視野撮像のための照明の波長(λ)の関数としてのピッチ(P)のプロットである。
図7A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界に重畳された傾斜照明ローブの回転型双極子分布を含む照明瞳境界についての概念図である。
図7B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造による図7Aの照度分布の回折に関連する収集瞳面についての概念図である。
図7C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造による図7Aの照度分布の回折に関連する収集瞳面についての概念図である。
図8A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界上に重畳された傾斜照明ローブの回転型四極子分布を含む照明瞳境界についての概念図である。
図8B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造による図8Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図8C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造による図8Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図9】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、回転型双極子又は回転型四極子照度分布に基づいて選択された回折次数によって調整された明視野撮像のための照明の波長(λ)の関数としてのピッチ(P)のプロットである。
図10】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、1次回折ローブが切り詰められている図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面についての概念図である。
図11】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、単一方向(例えば、X方向)に沿ったピッチ(P)を有する格子構造の簡略化された概略図である。
図12A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、照明瞳面内に中心を置く単一の照明ローブを含む典型的な明視野撮像のための照度分布のプロットである。
図12B】本開示の1つまたは複数の実施形態に従う、図12Aの照度分布及び代表的な断面に基づいて生成された図11に示す格子構造の合焦画像である。
図12C】本開示の1つまたは複数の実施形態に従う、図12Bの照度分布及び代表的な断面に基づいて生成された図11に示す格子構造の焦点外画像である。
図13A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、選択された回折次数による明視野撮像に適した直角位相照明のプロットである。
図13B】本開示の1つまたは複数の実施形態に従う、図13Aの照度分布及び代表的な断面に基づいて生成された図11に示す格子構造の合焦画像である。
図13C】本開示の1つまたは複数の実施形態に従う、図13Bの照度分布及び代表的な断面に基づいて生成された図11に示す格子構造の焦点外画像である。
図14】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、傾斜照明及び選択された回折次数の収集による明視野撮像に基づくオーバーレイ計測のための方法において実行されるステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された主題がここで詳細に参照され、それは、添付図面に示されている。本開示は、特定の実施形態及びその特有の特徴に関して具体的に示され、説明されている。本明細書に記載された実施形態は、限定的なものではなく、例示的なものとされる。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更及び修正がなされ得ることが、当業者に直ちに明らかになるであろう。
【0012】
本開示の実施形態は、格子特徴を有するオーバーレイターゲットの明視野撮像に基づくオーバーレイ計測のためのシステム及び方法を対象にし、ここで、明視野画像は、0次回折ローブ、及び単一の1次回折ローブ(例えば、+1次回折ローブ、又は-1次回折ローブ)等であってこれらに限定されない格子特徴からの2つの回折次数のみを使用して生成される。本明細書では、これらの条件下での明視野撮像が、より高い測定精度を提供するための増加したコントラスト、より緩和された測定条件についての試料焦点ずれに対する低減した画像コントラスト感度、及び目標サイズの減少を支援するためのより細かいピッチによってオーバーレイターゲットを測定する能力等であって、これらに限定されない従来の明視野撮像(例えば、0次回折ローブ、及び2つ以上の追加の回折ローブに基づく撮像)よりも多い利益を提供し得ることが本明細書において考慮されている。
【0013】
本開示の目的のために、オーバーレイという用語は概して、2つ以上のリソグラフィパターン化工程によって作製された試料上の特徴の相対位置を記述するために使用され、この場合、オーバーレイ誤差という用語は、公称配列からの特徴の偏差を記述する。この文脈では、オーバーレイ測定は、相対位置の測定又はこれらの相対位置と関連したオーバーレイ誤差の測定のいずれかとして表現され得る。例えば、多層デバイスは、それぞれの層に対して異なるリソグラフィ工程を使用して、複数の試料層上にパターン化された特徴を含んでもよく、この場合、層同士の間の特徴の整列は、結果として得られたデバイスの適切な性能を保証するように典型的に厳格に制御されなければならない。したがって、オーバーレイ測定は、2つ以上の試料層上の特徴の相対位置を特徴付け得る。別の一例として、複数のリソグラフィ工程が使用されて、単一の試料層上に特徴を作製し得る。一般にダブルパターン化又はマルチパターン化技術と呼ばれるそのような技術は、リソグラフィシステムの解像度に近い高密度の特徴の作製を容易にし得る。この文脈におけるオーバーレイ測定は、この単一層上の異なるリソグラフィ工程からの特徴の相対位置を特徴付けることができる。オーバーレイ計測の特定の適用に関する本開示全体の実施例及び例示が、例示の目的でのみ提供され、そして開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0014】
更に、オーバーレイターゲットという用語は、2つの回折次数のみによる明視野撮像に基づくオーバーレイ測定に適した既知の周期性(例えば、格子特徴に対応する)を有する試料上の特徴の任意のセットを指すために本明細書で広く使用される。いくつかの実施形態では、オーバーレイターゲットは、同じ層上のデバイス特徴のオーバーレイを典型的に表すオーバーレイ測定値を提供するために作製された1つ又は複数の試料層上の特徴を有する専用ターゲットを含む。例えば、専用オーバーレイターゲットは、特定のオーバーレイ技術に従ってオーバーレイ測定値を提供するように設計された特性(例えば、格子ピッチ、特徴サイズ、格子方向等)を有する格子特徴を有する1つ又は複数のセルを含み得る。このような専用オーバーレイターゲットは、ケガキ線内部又はダイ内部を含むがこれらに限定されない、試料上の様々な位置にプリントされてもよい。いくつかの実施形態では、オーバーレイターゲットは、直接のオーバーレイ測定に適している既知の周期性を有するデバイス特徴を含む。
【0015】
本明細書では、格子構造(例えば、オーバーレイターゲット内の格子構造)からの回折次数の角度分布は、照明と、格子構造のピッチ、照明ビームの波長、照明ビームの入射角(例えば、方位及び高度の)、及び照明ビームの空間ビームサイズを含む格子構造との両方についての様々な特性に依存することが考慮されている。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、オーバーレイターゲット(又は考慮されるオーバーレイターゲット設計)の特性に基づいてオーバーレイ測定に使用される照明の特性を選択するか、そうでなければ制御することにより、オーバーレイターゲットからの回折次数の所望の角度分布を達成することを対象としている。例えば、試料に向けられた照明の様々なパラメータは、選択された回折次数が収集光学系(例えば、対物レンズの開口数(NA)等内の)によって収集され、したがって、試料の画像又は関連した測定に寄与するように利用可能であることを提供するように制御され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、照明が、斜めの角度で試料に向けられることにより、対物レンズが、0次回折ローブ、及び単一の1次回折ローブ(例えば、+1次回折ローブ又は-1次回折ローブ)等であってこれらに限定されないオーバーレイターゲットからの2つの選択された回折次数のみを収集する。本明細書では、2つの選択された回折次数に基づく撮像が、従来の明視野撮像技術に対して試料焦点ずれ誤差にロバストである高コントラスト撮像を提供し得ることが考慮されている。本明細書では、このような傾斜照明はまた、2つの所望の回折次数が収集瞳にわたって広げられ得るので、従来の明視野撮像システムよりも小さいピッチを有するターゲットの撮像を容易にし得ることが更に考慮されている。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、オーバーレイ計測ツールを構成するためのレシピを提供することを対象にしている。オーバーレイ計測ツールは、典型的には、測定中の、試料の照明、試料からの光の収集、又は試料の位置等であってこれらに限定されないオーバーレイ測定の様々な態様を制御するためのパラメータのセットを含むレシピに従って構成可能である。このように、オーバーレイ計測ツールは、関心対象の1つ又は複数のオーバーレイターゲット設計について選択されたタイプの測定を提供するように構成され得る。例えば、計測レシピは、照明波長、照明瞳分布(例えば、照明角度の分布及びそれらの角度における関連した照明強度)、入射照明の偏光、又は照明の空間分布等であってこれらに限定されない照明パラメータを含み得る。別の一例として、計測レシピは、収集瞳分布(例えば、測定に使用されるべき試料からの角度付きの光の所望の分布、及びそれらの角度における関連したフィルタリングされた強度)、関心対象の試料の部分を選択するための収集視野絞り設定、収集された光の偏光、波長フィルタ、或いは1つ又は複数の検出器を制御するためのパラメータ等であってこれらに限定されない収集パラメータを含み得る。更なる例として、計測レシピは、試料の高さ、試料の向き、試料が測定中に静止しているか否か、又は試料が測定中に動いているか否か等であってこれらに限定されない測定中の試料位置と関連した様々なパラメータを(速度、走査パターン等を記述する関連パラメータと共に)含み得る。
【0018】
本開示の追加の実施形態は、照明スループット、照明の空間コヒーレンス、又はターゲットサイズに関する照明波長対ピッチ比等であってこれらに限定されない性能考慮事項をバランスさせるために、試料への斜めの入射角を提供する照明プロファイルを対象とする。本明細書では、比較的大きい照明ローブによる試料の照明(例えば、照明瞳内に画定されるような)が、増加した照明スループット、結果としてのより明るい画像、又はより高速の画像取得、並びに画像縁部におけるリンギングを低減するための低下した空間コヒーレンスを可能にし得る。しかしながら、比較的より小さい照明ローブによる試料の照明(例えば、照明瞳内に画定されるような)は、増加した波長対ピッチ比(例えば、特定の照明波長に対するオーバーレイターゲット上のより小さいピッチ格子)を可能にすることにより、より小さいオーバーレイターゲットの使用を容易にし得る。したがって、本開示の実施形態は、このような考慮事項のバランスをとるのに適した照明ビーム形状及び配列を対象とする。
【0019】
ここで図1~14を参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、オーバーレイ計測のための高コントラスト明視野撮像用のシステム及び方法がより詳細に記述される。
【0020】
図1Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、オーバーレイ計測システム100の構成図である。いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測システム100は、オーバーレイターゲット104内の格子構造108からの2つの選択された回折次数に基づいて、試料106上の少なくとも1つのオーバーレイターゲット104の少なくとも1つの明視野画像を生成するように構成されたオーバーレイ計測ツール102を含む。例えば、オーバーレイ計測ツール102は、オーバーレイターゲット104(例えば、既知のピッチを有する格子構造108を含む)の1つ又は複数の考慮された設計に基づいて1つ又は複数のオーバーレイレシピを実施することにより、選択された関心対象の回折次数が収集されて、オーバーレイターゲット104の画像に寄与し得る。
【0021】
試料106は、半導体又は非半導体材料(例えば、ウェーハ等)等であってこれらに限定されないオーバーレイターゲット104を有する当該技術分野で公知の任意のタイプの試料を含み得る。いくつかの実施形態では、試料106は、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、及びリン化インジウム等であってこれらに限定されない半導体又は非半導体材料を含む。いくつかの実施形態では、試料106は、界面において一緒に接合された2つの基板から形成された接合型試料を含み、この場合、オーバーレイターゲット104は、界面に又はその近傍に位置する。これらの基板は、半導体、金属、ポリマー、ガラス、又は結晶材料を含むがこれらに限定されない任意の材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、基板のうちの少なくとも1つは、ウェーハ(例えば、半導体ウェーハ)を含む。例えば、試料106は、(例えば、ウェーハ間のプロセスにおいて)界面で接合された2つのウェーハを有する接合されたウェーハ試料として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、基板のうちの少なくとも1つは、ダイ(例えば、製造されたダイ)を含む。例えば、試料106は、(例えば、ダイとウェーハの間のプロセスにおいて)ウェーハに接合された1つ又は複数のダイとして形成されてもよい。
【0022】
試料106は、レジスト、誘電体材料、導電性材料、又は半導電性材料等であってこれらに限定されないいくつかの層を更に含んでもよい。多くの異なるタイプのこのような層が当該技術分野で公知であり、本明細書で使用されるような試料106は、全てのタイプのこのような層が形成され得る試料を包含することが考慮されている。試料106上に形成された1つ又は複数の層は、パターン化されていなくても、又はパターン化されていてもよい。例えば、試料106上のパターン化された特徴は、1つ又は複数の層上のデバイス特徴を含んでもよく、このような材料の層の形成及び処理は、最終的に完成したデバイスをもたらし得る。別の例として、試料106上のパターン化された特徴は、オーバーレイターゲット104(例えば、格子構造108等)と関連した1つ又は複数の層上のターゲット特徴を含み得る。更に、本開示の目的のために、試料とウェーハという用語は、交換可能であると解釈されるべきである。
【0023】
オーバーレイ計測ツール102は、当技術分野で公知の任意のタイプの計測ツールを含んでもよく、該計測ツールは、2つの選択された回折次数によって形成された任意の平面又は平面の組み合わせにおいて試料106上の1つ又は複数のオーバーレイターゲット104の1つ又は複数の明視野画像を生成するのに適しており、1つ又は複数の画像に基づいて、試料106と関連した1つ又は複数の関心対象のパラメータを測定するのに更に適している。
【0024】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測システム100は、オーバーレイ計測ツール102又はその中の任意の構成要素に通信可能に結合された制御器110を含む。いくつかの実施形態では、制御器110は、メモリ媒体114又はメモリ上に維持されたプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ112を含む。この点に関して、制御器110の1つ又は複数のプロセッサ112は、本開示を通じて記述された様々なプロセスステップのうちのいずれかを実行し得る。更に、制御器110は、オーバーレイ計測ツール102又はその中の任意の構成要素に通信可能に結合され得る。
【0025】
制御器110の1つ又は複数のプロセッサ112は、当該技術分野で公知の任意のプロセッサ又は処理要素を含んでもよい。本開示の目的のために、「プロセッサ」又は「処理要素」という用語は、1つ又は複数の処理又は論理要素を有する任意のデバイス(例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサデバイス、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)デバイス、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、或いは1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP))を包含するように広く定義されてもよい。この意味で、1つ又は複数のプロセッサ112は、アルゴリズム及び/又は命令(例えば、メモリ内に記憶されたプログラム命令)を実行するように構成された任意のデバイスを含んでもよい。一実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ112は、本開示を通して記述されたように、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、ネットワークコンピュータ、或いはオーバーレイ計測システム100を動作させる又はそれとともに動作するように構成されたプログラムを実行するように構成された任意の別のコンピュータシステムとして具現化され得る。
【0026】
更に、オーバーレイ計測システム100の異なるサブシステムは、本開示で記述されるステップの少なくとも一部分を実行するのに適したプロセッサ又は論理要素を含み得る。そのため、上記の記述は、本開示の実施形態についての限定として解釈されるべきではなく、単に例示として解釈されるべきである。更に、本開示を通じて記述されたステップは、単一の制御器110によって実行されてもよく、又はその代替として、複数の制御器によって実行されてもよい。それに加えて、制御器110は、共通のハウジング内又は複数のハウジング内に収容された1つ又は複数の制御器を含んでもよい。このようにして、任意の制御器又は制御器の組み合わせは、オーバーレイ計測システム100への統合に適したモジュールとして別個にパッケージ化されてもよい。
【0027】
記憶媒体114は、関連した1つ又は複数のプロセッサ112によって実行可能なプログラム命令を記憶するのに適した、当該技術分野で公知の任意の記憶媒体を含んでもよい。例えば、記憶媒体114は、非一時的な記憶媒体を含んでもよい。別の一例として、記憶媒体114は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ等を含んでもよいが、これらに限定されない。メモリ媒体114は、1つ又は複数のプロセッサ112と共に共通の制御器ハウジング内に収容されてもよいことに更に留意されたい。一実施形態では、メモリ媒体114は、1つ又は複数のプロセッサ112及び制御器110の物理的位置に対して遠隔に位置してもよい。例えば、制御器110の1つ又は複数のプロセッサ112は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット等)を介してアクセス可能であるリモートメモリ(例えば、サーバ)にアクセスし得る。
【0028】
この点に関して、制御器110は、本開示を通じて記載された様々なプロセスステップのうちのいずれかを実行してもよい。例えば、制御器110は、検出器からのオーバーレイターゲット104の1つ又は複数の画像(例えば、1つ又は複数の明視野画像)を受け取って、検出器からの1つ又は複数の画像に基づいて、試料106について1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成してもよい。別の一例として、制御器110は、(例えば、制御信号を介して)オーバーレイ計測ツール102、又はその中の任意の構成要素を誘導するか、そうでなければ制御してもよい。このようにして、制御器110は、オーバーレイ計測ツール102を誘導して、オーバーレイターゲット104の特定の設計について特定の測定レシピに基づいて測定を実行してもよい。
【0029】
図1Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、オーバーレイ計測ツール102の簡略化された概略図である。
【0030】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、照明118を生成するように構成された照明源116を含む。いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測システム100は、照明118を試料106に誘導するための1つ又は複数の構成要素を含む照明経路120(例えば、照明サブシステム)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、本明細書では試料光124と呼ばれる、試料106からの光を収集するための1つ又は複数の構成要素を含む収集経路122(例えば、撮像サブシステム)を含む。
【0032】
試料光124は、光又は粒子を含むがこれに限定されない、試料106から放出する任意のタイプの放射線を含んでもよい。例えば、試料光124は、オーバーレイターゲット104による照明118の反射及び/又は回折を含んでもよい。いくつかの実施形態では、収集経路122は、0次回折ローブ(例えば、正反射)、及び単一の高次回折ローブ(例えば、+1次回折ローブ、-1次回折ローブ等)を収集する。
【0033】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、収集経路122から試料光124の少なくとも一部分を受け取り、オーバーレイターゲット104の1つ又は複数の画像を生成するように構成された少なくとも1つの検出器126を含む。
【0034】
照明源116は、当該技術分野で公知の任意のタイプの光源を含んでもよい。いくつかの実施形態では、照明源116は、1つ又は複数のレーザ源等であってこれらに限定されない1つ又は複数のコヒーレント源を含む。この点に関して、照明源116は、高いコヒーレンス(例えば、高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明118を生成し得る。例えば、照明源116は、1つ又は複数のスーパーコンティニュームレーザ又は白色光レーザ等であってこれらに限定されない1つ又は複数の広帯域レーザを含んでもよい。別の例として、照明源116は、1つ又は複数の狭帯域レーザを含んでもよい。更なる例として、照明源116は、可変同調型スペクトル強度を有する照明118を提供するための1つ又は複数の可変同調型レーザを含んでもよい。更に、コヒーレント照明源116は、任意のタイプの技術又は製品設計に基づいてもよい。例えば、照明源116は、1つ又は複数のファイバレーザ、1つ又は複数のダイオードレーザ、或いは1つ又は複数のガスレーザの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態では、照明源116は、低又は部分コヒーレンス(例えば、空間及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明118を提供するための1つ又は複数の低コヒーレンス源を含む。例えば、照明源116は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)又はスーパールミネッセントLEDを含んでもよい。別の例として、照明源116は、例えば、レーザ光源によってプラズマ状態に励起される際に、広帯域照明を放出し得る1つ又は複数の要素を含むのに適したLSPランプ、LSPバルブ、又はLSPチャンバ等であってこれに限定されないレーザ維持プラズマ(LSP)源を含んでもよい。別の一例として、照明源116は、アークランプ、放電ランプ、電極レスランプ等であってこれらに限定されないランプ源を含んでもよい。
【0036】
更に、照明源116は、光源の任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、照明源116は、広帯域照明を提供するための1つ又は複数のスーパーコンティニュームレーザ光源と、1つ又は複数のスーパーコンティニュームレーザ光源のスペクトル内にギャップを補充するための1つ又は複数の部分コヒーレント高輝度LEDと、を含む。
【0037】
照明源116は、任意の選択された波長又は波長の範囲(例えば、スペクトル)を有する照明118を提供し得る。照明118のスペクトルは、最小の又は少なくとも許容可能な吸収を有する試料106の少なくとも一部分を透過してオーバーレイターゲット104に到達するように選択され得ることが本明細書において考慮されている。例えば、2つの接合された半導体基板として形成された試料106の場合、照明118のスペクトルが赤外スペクトル範囲内の波長を含むように選択されてもよい。しかしながら、本明細書において開示されたシステム及び方法は、広範囲の試料に広く適用可能であることにより、照明118が試料106の組成に基づいて任意の選択されたスペクトルを有し得ることを理解されたい。
【0038】
照明源116は、任意の選択された時間特性を有する光を更に提供してもよい。いくつかの実施形態では、照明源116は、連続波照明118を提供するための1つ又は複数の連続波源を含む。いくつかの実施形態では、照明源116は、パルス型の又は別の変調された照明118を提供するための1つ又は複数のパルス型源を含む。例えば、照明源116は、1つ又は複数のモード同期レーザ、1つ又は複数のQスイッチレーザ等を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、照明経路120は、照明118を照明源116から試料106まで誘導するための1つ又は複数の照明レンズ128を含む。それに加えて、照明レンズ128は、1つ又は複数の視野平面又は瞳面を照明経路120内の位置に中継するように配列されてもよい。照明経路120は、照明118を修正及び/又は調整するのに適した1つ又は複数の照明調整構成要素130を更に含んでもよい。照明調整構成要素130は、照明経路120内の視野平面及び/又は瞳面に位置してもよいが、そうである必要はない。例えば、1つ又は複数の照明調整構成要素130は、照明開口絞り、照明視野絞り、1つ又は複数の偏光子、1つ又は複数の補償器、1つ又は複数のフィルタ、1つ又は複数のビームスプリッタ、1つ又は複数のディフューザ、1つ又は複数のホモジナイザ、1つ又は複数のアポダイザ、1つ又は複数のビーム整形器、1つ又は複数のミラー、或いは1つ又は複数のレンズを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102(例えば、照明源116及び/又は照明経路120)は、マルチローブ照度分布を提供する。例えば、オーバーレイ計測ツール102は、2つ以上の照明ローブの形態で照明118を提供してもよく、この場合、2つ以上の照明ローブは、同時に又は連続的に試料106に向けられてもよい。更に、マルチローブ照度分布内の照明ローブのいずれもが、斜めの角度で試料106に入射してもよく、したがって、傾斜照明ローブと呼ばれてもよい。
【0041】
図1Bは、試料106上の照明118の角度分布を操作するために様々な構成要素が配置され得る照明瞳面132を更に示す。例えば、1つ又は複数の開口のようなものであってこれに限定されない構成要素が、照明瞳面132に配置されて、同時に又は連続的にマルチローブ照度分布を提供してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、収集経路122は、試料106から試料光124を収集し、この試料光124の少なくとも一部分を少なくとも1つの検出器126に向けるための1つ又は複数の収集レンズ134を含む。いくつかの実施形態では、収集経路122は、試料光124を修正及び/又は調整するのに適した1つ又は複数の収集調整構成要素(図示せず)を含む。例えば、1つ又は複数の収集調整構成要素は、1つ又は複数の偏光子、1つ又は複数のフィルタ、1つ又は複数のビームスプリッタ、1つ又は複数のディフューザ、1つ又は複数のアポダイザ、或いは1つ又は複数のビームシェイパーを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0043】
オーバーレイ計測ツール102内の検出器126は、試料106から受け取られた試料光124を捕捉するのに適した当該技術分野で公知の任意の光検出器を含んでもよい。更に、検出器126は、静止している又は動いているのいずれかである試料106の画像を捕捉するのに適していてもよい。例えば、検出器126としては、フォトダイオードアレイ(PDA)、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス、時間遅延積分(TDI)検出器、ラインスキャン検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等が挙げられてもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、検出器126は、試料106から放出し、分散要素を使用してセンサ上に分散される放射線の波長を識別するのに適した分光検出器を含んでもよい。
【0044】
検出器126は、オーバーレイ計測システム100の任意の撮像面に位置してもよい。例えば、検出器126は、試料106の画像を生成するために、試料106と共役な平面に位置してもよい。更に、オーバーレイ計測システム100は、複数の検出器126(例えば、1つ又は複数のビームスプリッタによって生成された複数のビーム経路と関連した)を含むことにより、オーバーレイ計測システム100による複数の計測測定(例えば、複数の計測ツール)を容易にし得る。いくつかの実施形態では、検出器126は、試料106から発する放射線の波長を識別するのに適した分光検出器を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、照明118を試料106に向けるため及び/又は試料106からの試料光124を捕捉するための対物レンズ136を含む。例えば、図1Bに示すように、オーバーレイ計測ツール102は、照明経路120と収集経路122の両方に共通のビームスプリッタ138を含むことにより、対物レンズ136が同時に照明118を試料106に向けて試料106からの試料光124を捕捉することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、図示していないが、照明経路120及び収集経路122は、それぞれ照明118を試料106に誘導して、試料光124を収集するための別個のレンズを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、測定の前に、その最中に、及び/又はその後に試料106及び/又は照明118を調整するように構成された試料位置決めサブシステムを含む。例えば、図1Bは、試料位置決めサブシステムを示し、該試料位置決めサブシステムは、Z軸(例えば、対物レンズ136の光軸)に軸方向に沿った、X-Y平面内の横方向位置、先端、傾斜等であってこれに限定されない任意の寸法に沿って試料106の位置を調整するための並進ステージ(図示せず)を含む。別の一例として、図示されていないが、試料位置決めサブシステムは、試料106又はその一部分を横切って照明118を走査するのに適した1つ又は複数の走査光学要素(例えば、ガルバノメータ、回転式ミラー等)を含んでもよい。
【0047】
本明細書で前述したように、オーバーレイ計測ツール102は、1つ又は複数の計測レシピに従って構成されてもよく、該計測レシピは、照明経路120内の構成要素、収集経路122内の構成要素、対物レンズ136、又は検出器126であってこれに限定されないものを含む、オーバーレイ計測ツール102についての様々なパラメータを制御してもよい。このようにして、オーバーレイ計測ツール102は、照明118に応じて収集瞳面140内の公知のオーバーレイターゲット104(又はターゲット設計)によって選択された2つの回折ローブのみを提供するように構成されてもよい。例えば、計測レシピは、2つの選択された回折ローブのみが対物レンズ136によって収集されることを提供してもよい。
【0048】
ここで図2~14を参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、2つの選択された回折次数(例えば、2つの選択された回折ローブ)に基づく明視野撮像がより詳細に記述される。図2は、2つの直交する方向に沿った測定に適した重複しない格子構造108を有するオーバーレイターゲット104の非限定的な例を示す。
【0049】
オーバーレイ計測ツール102は、概して任意の設計を有する任意のタイプのオーバーレイターゲット104を特徴付けるのに好適であり得る。特に、照明経路120、収集経路122、又は検出器126等であってこれらに限定されないオーバーレイ計測ツール102の様々な構成要素が、測定されるべきオーバーレイターゲット104の特定の設計に基づいて、オーバーレイレシピに従って調整されてもよい。いくつかの実施形態では、オーバーレイターゲット104は、入射照明118を回折させる少なくとも1つの試料層上の周期的特徴を含む。したがって、対物レンズ136によって収集された試料光124は、オーバーレイターゲット104からの選択された回折次数を含み得る。
【0050】
図2は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、重複しない特徴を有するオーバーレイターゲット104についての上面図である。一実施形態では、オーバーレイターゲット104は、ここではオーバーレイターゲット104の象限として表された4つのセル202a-dを含む。それぞれのセル202a-dは、試料106の第1層上に位置する第1層格子構造204(例えば、格子構造108)と、試料106の第2層上に位置する第2層格子構造206(例えば、格子構造108)と、を含んでもよい。
【0051】
図2に示すように、それぞれのセル202は、測定方向に沿って周期性(例えば、既知のピッチ)を有する格子構造108を含んでもよい。例えば、セル202b及びセル202dは、図2に示すように、X方向に沿ったオーバーレイ測定値を提供するように構成されてもよい。X方向に沿ったオーバーレイ測定値は、セル202bとセル202dのそれぞれのセル内又はそれらの間の第1層格子構造204及び第2層格子構造206の相対位置を直接比較することによって作成されてもよい。別の一例では、X方向に沿ったオーバーレイ測定値が、セル202b及びセル202dを横切って分布した第1層格子構造204の間の回転対称(例えば、回転対称、反射対称、ミラー対称等)の点を、セル202b及びセル202dを横切って分布した第2層格子構造206の間の対称の点と比較することによって作成されてもよい。同様に、セル202a及びセル202cは、図2に示すように、Y方向に沿ったオーバーレイ測定値を提供するように構成されてもよい。
【0052】
しかしながら、図2及び関連した記述は、例示目的のためにのみ提供され、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、オーバーレイターゲット104は、概して1つ又は複数の方向に沿った測定に適した任意の構成で分布している任意の数のセル202を含んでもよい。別の一例として、任意のセル202内の格子構造108は、単一のピッチで分布した同じ特徴に限定されない。いくつかの実施形態では、格子構造108は、2つ以上の特徴的ピッチを有する要素のセットとして形成される。このような構造は、試料106における共通の領域又は層内に異なるピッチを有する2つ以上の回折格子に機能的に分解されてもよい。いくつかの実施形態では、格子構造108は、製造プロセスを制御するのに適したサブ解像特徴を含む。更に、オーバーレイターゲット104は、概して、高度な撮像計測(AIM)ターゲット、ロバストなAIMターゲット、又はトリプルAIMターゲットを含むがこれに限定されない、当該技術分野で公知の任意のオーバーレイターゲットを含んでもよい。それに加えて、オーバーレイターゲット104は、1つ又は複数の試料層上に格子構造108を含んでもよく、したがって、図2に示すような多層構成に限定されない。いくつかの実施形態では、すべての格子構造108は、共通の層上にあることにより、その層上のリソグラフィ露光の間にオーバーレイを(例えば、二重印刷プロセスの一部として)提供する。
【0053】
ここで図3A~8Cを参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、傾斜照明からの2つの選択された回折次数に基づいて、明視野撮像に適した様々な非限定的な照明瞳分布が記述される。
【0054】
いくつかの実施形態では、照明瞳分布(例えば、照明瞳面132における照明118の分布)が選択されることにより、それぞれの測定方向について2つの回折ローブのみが対物レンズ136の集光NA内にあり、したがって明視野画像に寄与することを提供する。例えば、照明瞳分布におけるそれぞれの照明ローブが、斜めの角度で試料に入射するように選択されることにより、0次回折ローブ及び1つ又は複数の測定方向に沿った格子構造108からの単一の1次回折ローブ(例えば、+1回折ローブ又は-1回折ローブ)だけが捕捉され、明視野画像に寄与する。
【0055】
いくつかの実施形態では、照明瞳分布は以下を提供するよう構成されており、画像形成に寄与する2つの選択された回折次数(例えば、0次回折ローブ及び単一の1次回折ローブ)が、収集経路122によって完全に捕捉され、したがって、収集瞳面140内で切り詰められていない。本明細書では、2つの非切詰め回折次数を有する明視野撮像は、高コントラスト画像を更に提供し、それに対応してこれらの画像に基づく感度測定値を提供し得ることが考慮されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、照明瞳分布は、1つ又は複数の対の照明ローブを含み、この場合、それぞれの対の照明ローブは、照明瞳面132において対称的に分布している。この構成において、0次回折ローブ及びそれぞれの照明ローブの回折と関連した単一の1次回折ローブのみが捕捉される。本明細書では、複数の対の対称照明ローブに基づく撮像が、格子構造108及び/又はオーバーレイ計測ツール102の非対称性にロバストであり得ることが考慮されている。任意の所与の対の2つの照明ローブは、同時に又は連続的に、試料106に入射してもよい。したがって、オーバーレイ測定に使用される最終画像は、多くの照明構成に依存する1つ又は複数の取得された画像に基づいてもよい。
【0057】
例えば、以下でより詳細に示すように、照明瞳分布は、測定方向に沿って向けられた双極子分布、2つの直交する測定方向に沿って向けられた2つの直交する双極子として形成された四極子分布、それぞれの測定方向に対して傾斜した回転型双極子分布、又はそれぞれの測定方向に対して傾斜した回転型四極子分布として形成されてもよいが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書では、特定の照明ローブのサイズと関連した性能トレードオフが存在することが考慮されている。例えば、より大きい照明ローブは、相対的により多い照明118を渡し、したがって相対的により明るい画像を生成してもよく、この画像は、より高速の測定及び増加したスループットを支援する。より大きい照明ローブ(例えば、照明瞳面132内に画定されるような)が、撮像中の空間コヒーレンスを更に減少させ、このことが、画像エッジにおけるリンギングを低減させる。しかしながら、より小さい照明ローブは、撮像され得るオーバーレイターゲット104内の格子構造108のピッチに対する、照明118の波長の最大比を増加させる。このようにして、比較的により小さい照明ローブ(例えば、照明瞳面132内に画定されるような)は、特定の照明波長に対して比較的小さいピッチの撮像を容易にし得、したがって、試料106上のオーバーレイターゲット104の必要なサイズを減少させる。したがって、異なる性能トレードオフは、特定の照明ローブ(例えば、照明瞳面132に描かれるような)の形状、サイズ、及び位置を変化させることによって達成され得る。
【0059】
図3A~3Cは、異なる照明ローブ形状を有する照明瞳分布の3つの非限定的な例を示す。図3Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、円形形状を有する照明ローブ302を有する照明瞳分布である。図3Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、楕円形状を有する照明ローブ302を有する照明瞳分布である。図3Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、幾何学的レンズ(猫の目の形状)として形成された照明ローブ302を有する照明瞳分布である。例えば、幾何学的レンズ又は猫の目の形状は、2つの部分的に重複する円の交差によって特徴付けられ得る。更に、図3A~3Cにおける照明瞳分布はそれぞれ、直交測定方向に沿って周期性を有する格子構造108を有するオーバーレイターゲット104の測定に適した2対の照明ローブ302を示す。
【0060】
図3A~3Cを参照すると、図3Cに示すような猫の眼の照明ローブ形状が、照明瞳面132内の照明118の面積を最大にし得て、それで高画像輝度を促進し、別の分布と比較して画像縁部でのリンギングを低減し得る。対照的に、図3A及び3Bに示す楕円形及び円形の照明ローブ形状は、猫の目の分布の先端を効果的に切り詰め、したがって、2つの選択された回折次数のみが収集される格子構造108の最小の達成可能なピッチを減少させる。
【0061】
ここで図4A~8Cを参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、2つの選択された回折ローブへの回折光の収集を制限するのに適した調整された照度分布の様々な非限定的な例が、より詳細に説明されている。特に、図4A~8Cは、猫の目の形状を有する照明ローブの変化を示すが、これは単に例示目的のためのものにすぎず、限定として解釈されるべきではないことを理解すべきである。むしろ、開示された概念は、照明ローブの任意の形状に拡張され得る。
【0062】
図4Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界404に重畳された傾斜照明ローブ302の双極子分布を含む照明瞳境界402の概念図である。例えば、照明瞳境界402及び収集瞳境界404は、それぞれ、照明経路120及び収集経路122の有効NAを表してもよい。図4Aでは、照明瞳境界402は、(例えば、照明瞳面132での開口を使用して)収集瞳境界404よりもわずかに小さくなるように構成されている。この構成は、光スループットを確保し、収集光学系(例えば、収集経路122の構成要素)による回折効果を回避するのに有用であり得るが、必要ではない。いくつかの実施形態では、照明瞳境界402及び収集瞳境界404は、同じサイズである(例えば、同じNAを有する)。
【0063】
図4Aは、照明瞳境界402の縁部付近に傾斜照明を提供するように、ここでは水平方向に沿って広がっている、照明ローブ302a、bによる双極子照度分布を示す照明瞳面132の概念図である。それに加えて、図4Aは、ローブ剪断NA406(NAishear)を示し、これは、明視野撮像に共通する従来の垂直入射照明に対する照明ローブ302の剪断又は傾斜の量を表す。剪断された照明瞳境界408は、衝撃傾斜照明プロファイルを強調表示するためにのみ示され、オーバーレイ計測ツール102内の実際の瞳面を表すものではない。更に、0次回折ローブは、収集瞳境界404内に明示的には示されておらず、その理由は、それらがこの照度分布において照明ローブ302と重複しているからである。
【0064】
本明細書では、ローブ剪断NA406の値は、照明瞳面132における照明ローブ302のサイズに影響を与え得ることが考慮されており、その理由は、ローブ剪断NA406が、照明ローブ302がより小さくなるにつれて概して増加させられるからである。このようにして、ローブ剪断NA406の値は、照明スループット、空間コヒーレンス及び画像エッジのリンギングに対する関連した影響、又は本明細書に記述された技法を使用して撮像され得る格子構造108の最小ピッチ等であってこれらに限定されない、本明細書に前述されたような性能トレードオフをバランスさせるように選択され得る。
【0065】
図4Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造108(例えば、図2のセル202b、d)による図4Aの照度分布の回折と関連した収集瞳平面140についての概念図である。図4Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造108(例えば、図2のセル202a、c)による図4Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面140についての概念図である。
【0066】
図4B及び4Cは、図4Aに示す照明ローブ302の分布の回折と関連した0次回折ローブ410、+1次回折ローブ412、及び-1次回折ローブ414を示す。いくつかの実施形態では、オーバーレイ計測ツール102は、0次回折ローブ410及び照明ローブ302のそれぞれからの1次回折ローブのうちの1つ(例えば、+1次回折ローブ412のうちの1つ又は-1次回折ローブ414のうちの1つ)のみが、収集瞳境界404内にあるように提供されるように(例えば、計測レシピに従って)構成され得る。例えば、図4Bは、0次回折ローブ410のうちの一方からの単一の+1次回折ローブ412、及び0次回折ローブ410のうちの別の方からの単一の-1次回折ローブ414と一緒に0次回折ローブ410を捕捉することを示す。
【0067】
本明細書で前述したように、2つの回折次数(例えば、0次回折ローブ410、及び任意の特定の照明ローブ302と関連した+1次回折ローブ412又は-1次回折ローブ414のうちの1つ)にのみ基づく明視野撮像は、試料焦点ずれ誤差に対してロバストである高コントラスト撮像を提供し得る。別の一方法として、回折ローブのうちのいずれかの切詰め部分が、得られた画像のコントラストを減少させるように構成されている。
【0068】
図4Bは、オーバーレイターゲット104上の格子構造108のピッチに対する照明118の波長の比(λ\ピッチと呼ばれる)に及ぼす回折次数の分布の影響を視覚的に示す。例えば、λ\ピッチ比は、回折次数の間の分離に影響を及ぼし得る。一般的な意味では、所与の波長に対して本明細書に開示された技法を使用して撮像され得る格子構造108の最小ピッチが、λ\ピッチ比を調整することによって達成されることにより、収集された1次回折ローブ412又は414が収集瞳境界404の縁部にあるが、収集瞳境界404によって切り詰められていないということを提供し得る。
【0069】
しかしながら、図2に示すように、直交格子構造108を有するオーバーレイターゲット104を撮像して、関連した直交測定方向に沿ってオーバーレイ測定を提供することがしばしば望ましい。この場合、すべての格子構造108からの回折についての考慮がなされる必要がある。
【0070】
したがって、図4Cは、オーバーレイ計測ツール102の構成を示すが、この構成においては、様々なパラメータ(例えば、照度分布、λ\ピッチ比等)が、垂直方向に沿った1次回折ローブが収集されないように選択される。しかしながら、図4Cに示す構成は、垂直回折ローブが収集瞳境界404のすぐ外側にあり、したがって、オーバーレイターゲット104が直交格子構造108を有する場合、特定の波長について本明細書に開示された技術を使用して撮像され得る格子構造108のピッチ上の下限の構成を表すことを提供する。このように、図3Aにおけるこのような双極子照度分布が、オーバーレイターゲット104内の水平格子構造108を撮像するのに適してもよく、この場合、同じ又は異なるオーバーレイターゲット104内の垂直格子構造108は、図3Aと同様の双極子照度分布によって撮像され得るが、90度だけ回転させられ得る。
【0071】
図5A~5Cは、四極子照度分布のための照明及び回折パターンを示す。図5Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界404上に重畳された傾斜照明ローブ302の四極子分布を含む照明瞳境界402についての概念図である。図5Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造108(例えば、図2におけるセル202b、d)による図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳平面140についての概念図である。図5Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造108(例えば、図2のセル202a、c)による、図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面140についての概念図である。
【0072】
本明細書では、図5Aにおける四極子照度分布は、図4Aに示すタイプの2つの直交双極子照度分布に対応することが考慮されている。したがって、図4A~4Cの記述は、図5A~5Cに適用するように拡張され得る。このようにして、図5Aにおける四極子照度分布は、本明細書に開示された技術を使用して、水平及び垂直格子構造108の同時撮像を容易にし得る。
【0073】
式(1)及び(2)は更に、本明細書に開示された技術を用いて、図4A及び5Aの双極子又は四極子照度分布を用いて撮像するためのλ\ピッチ比の範囲を記述する。例えば、式(1)及び(2)は、図4A~5Cに示すように、任意の特定の格子構造108によって任意の特定の照明ローブ302からの多くとも単一の1次回折ローブの収集のための制約条件を更に記述する。
【数1】
【数2】
【0074】
式(1)及び(2)において、Pは格子構造108のピッチであり、NAobjは対物レンズ136(例えば、収集瞳境界404)のNAであり、NAishearはローブ剪断NA406であり、NAi0uterは照明NA(例えば、照明瞳境界402)である。
【0075】
図6は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、双極子又は四極子照度分布に基づいて選択された回折次数によって調整された明視野撮像についての照明118の波長(λ)の関数としてのピッチ(P)のプロットである。特に、式(1)及び(2)を満たすピッチ(P)及び波長(λ)の組み合わせは、矢印で示すように、図6においてプロット線内にある。更に、図6は、NAobj=0.70、NAi0uter=0.65、及びNAishear=1.10である特定の構成を示しているが、この構成は、例示の目的のためにのみ提供され、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0076】
図7A~8Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、代替的な照度分布及び関連した回折プロファイルを示す。
【0077】
図7Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界404上に重畳された傾斜照明ローブ302の回転型双極子分布を含む照明瞳境界402についての概念図である。図7Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造108(例えば、図2におけるセル202b、d)による、図7Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面140についての概念図である。図7Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造108(例えば、図2におけるセル202a、c)による、図7Aの照度分布の回折と関連した収集瞳平面140についての概念図である。
【0078】
図7A~7Cに示すように、回転型双極子照度分布における照明ローブ302は、0次回折ローブ410及び単一の1次回折ローブが水平及び垂直格子構造108の両方からの回折に基づいて収集され得る構成を提供してもよい。
【0079】
図8Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、収集瞳境界404上に重畳された傾斜照明ローブ302の回転型四極子分布を含む照明瞳境界402についての概念図である。図8Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、水平格子構造108(例えば、図2におけるセル202b、d)による図8Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面140についての概念図である。図8Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直格子構造108(例えば、図2におけるセル202a、c)による図8Aの照度分布の回折と関連した収集瞳平面140についての概念図である。
【0080】
本明細書では、図8Aにおける回転型四極子照度分布は、図7Aに示すタイプの2つの直交する回転型双極子照度分布に対応することが考慮されている。したがって、図4A~7Cの記述は、図8A~8Cに適用するように拡張され得る。
【0081】
式(3)及び(4)は更に、本明細書に開示された技術を使用する、図7A及び8Aの回転型双極子又は回転型四極子照度分布を使用して撮像するためのλ\ピッチ比の範囲を記述する。例えば、式(3)及び(4)は更に、図7A~8Cに示すような任意の特定の格子構造108によって、任意の特定の照明ローブ302から多くとも単一の1次回折ローブを収集するための制約条件を記述する。
【数3】
【数4】
【0082】
図9は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、回転型双極子又は回転型四極子照度分布に基づいて選択された回折次数で調整された明視野撮像のための照明118の波長(λ)の関数としてのピッチ(P)のプロットである。特に、式(3)及び(4)を満たすピッチ(P)と波長(λ)の組み合わせは、矢印で示すように、図9のプロット線内部にある。更に、図9は、図6におけるようなNAobj、NAi0uter、及びNAishearの同じ値に基づくものであるが、この構成は、例示の目的のためにのみ提供され、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0083】
図4A~8Cを概して参照すると、本明細書で前述したように、いくつかの実施形態において、任意の収集された回折ローブは、それらが切断されないように、完全に収集瞳境界404内にある。このように、任意の特定の回折ローブは、収集瞳境界404の完全に内部又は完全に外側のいずれかにある。図10は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、1次回折ローブ412、414が切り詰められている図5Aの照度分布の回折と関連した収集瞳面140についての概念図である。本明細書では、図10において収集されるような試料光124に基づく画像が、図5B及び5Cにおいて収集されるような試料光124に基づく画像よりもコントラストがより低いことがある。更に、図5Aの特定の照明プロファイルに基づく図10の描写は、例示目的のためにのみ提供され、本開示を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、任意の形状の照明ローブ302からの回折が切り詰められてもよい。
【0084】
ここで図11~13Cを参照すると、任意の特定の格子構造108による任意の特定の照明ローブ302からの2つの選択された回折次数に基づく撮像性能が、従来の明視野撮像と比較されている。
【0085】
図11は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、単一方向(例えば、X方向)に沿ったピッチ(P)を有する格子構造108についての簡略化された概略図である。このように、図11の格子構造108は、図2に示すセル202b又はセル202dと同様であってもよい。
【0086】
図12Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、照明瞳面132に中心を置く単一の照明ローブ1202を含む(例えば、照明瞳面132における)典型的な明視野撮像のための照度分布のプロットである。図12Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、図12Aの照度分布及び代表的な断面1206に基づいて生成された図11に示す格子構造108の合焦画像1204である。図12Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、図12Bの照度分布及び代表的な断面1210に基づいて生成された図11に示す格子構造108の焦点外画像1208である。
【0087】
図13Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、選択された回折次数による明視野撮像に適した照明ローブ302の(例えば、照明瞳面132における)直角位相照度分布についてのプロットである。図13Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、図13Aにおける照度分布及び代表的な断面1304に基づいて生成された図11に示す格子構造108の合焦画像1302である。図13Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、図13Bにおける照度分布及び代表的な断面1308に基づいて生成された図11に示す格子構造108の焦点外画像1306である。
【0088】
図13B図12Bとの比較は、従来の明視野撮像技術に対して本明細書に開示されたような、照明ローブ302ごとの2つの選択された回折次数のみを有する明視野撮像を用いて、図13Bにおける格子構造108の実質的により高い撮像コントラストを示している。同様に、図13C図12Cとの比較は、本明細書に開示されたような照明ローブ302ごとの2つの選択された回折次数のみによる明視野撮像を用いて、図13Cに示すような撮像コントラストが、従来の明視野撮像技術よりも試料デフォーカス誤差(例えば、図1Bにおける対物レンズ136の光軸に沿った試料106の位置決めと関連した誤差)に対して実質的によりロバストであることを示す。まとめると、本明細書に開示された撮像技術は、従来の明視野撮像技術よりも優れた性能を提供するだけでなく、よりロバストな測定を提供する。
【0089】
再び図1Bを参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、本明細書に開示された様々な撮像技術を実施するための様々な技術が、より詳細に説明されている。
【0090】
本明細書では、試料106に向けられた照明118の分布(例えば、照度分布)が、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて生成又は制御され得ることが考慮されている。いくつかの実施形態では、照度分布は、照明瞳面132内の1つ又は複数の開口を使用して制御される。例えば、照明瞳全体が(例えば、一様に)照明され得ることにより、開口が1つ又は複数の照明ローブ302を画定してもよい。このように、それぞれの照明ローブ302内での光の角度分布は、照明瞳面132内の対応する開口の位置、サイズ、及び向きによって制御されてもよい。示すように、図1Bの挿入図142は、照明瞳面132における照明118の初期分布を示し、挿入図144は、照明118の初期分布を空間的にフィルタリングすることによる図8Aの分布等の回転型直角位相照度分布を生成するのに適した一連の4つの開口146を有する開口面を描いている。
【0091】
いくつかの実施形態では、照明源からの照明118は、1つ又は複数の経路に沿って照明瞳面132の異なる部分に分割されて向けられる。本明細書では、このアプローチは、照明118のより大きい部分が照明ローブ302内に向けられ得るので、開口ベースのアプローチよりも比較的高いスループットを提供し得ることが考慮されている。
【0092】
例えば、オーバーレイ計測ツール102は、照明源116からの照明118を2つ以上の回折次数に回折させることによって、マルチローブ照明118を生成し得、この場合、照明ローブ302は、回折次数の少なくとも一部から形成される。制御された回折による複数の照明ローブの効率的な生成は、概して、2021年9月14日に発行された、「Efficient Illumination Shaping for Scatterometry Overlay」という名称の米国特許第11,118、903号に記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0093】
別の一例として、照明源からの照明118が、自由空間(例えば、バルク)光学系を使用して照明瞳面132の異なる部分に分割されて向けられ得る。
【0094】
別の一例として、照明源116からの照明118が、照明瞳面132内に出射面を有する1つ又は複数の光ファイバに分割されて向けられることにより、それぞれの光ファイバから出力された光は、照明ローブ302に対応し得る。例示として、図1Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、照明源116からの照明118が光ファイバ148の任意の組み合わせに向けられることにより複数の照明ローブ302を提供するオーバーレイ計測ツール102の簡略化された概略図である。例えば、図1Cは、照明118の少なくとも一部分が選択的に光ファイバ148の1つ又は複数内に向けられるための調整可能な光学要素150を描いており、この場合、光ファイバ148の出射面が、照明瞳面132に結像される。調整可能な光学要素150は、ガルバノミラー、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、音響光学偏向器等であってこれらに限定されない1つ又は複数の要素の任意の組み合わせを含んでもよく、該組み合わせは、照明118の全部又はその一部を選択された光ファイバ148内に向けることにより、選択された照度分布を形成するのに適している。
【0095】
例示として、挿入図152は、光ファイバ148の出射面の画像に対応する双極子照度分布を描いている。更に、開口が使用されて、関連した照明ローブ302のサイズ又は形状を更に修正してもよい。図1Cにおいて、挿入図154は、照明ローブ302が開口を用いて円形形状にフィルタリングされる空間的にフィルタリングされる照明プロファイルを描いている。
【0096】
本明細書では、任意の照度分布と関連した照明ローブ302が、同時に、連続的に、又は任意の組み合わせで、オーバーレイターゲット104に向けられ得ることが更に考慮されている。図5Aの照度分布を非限定的な例とすると、いくつかの実施形態では、全部で4つの照明ローブ302が、同時にオーバーレイターゲット104に向けられ得る。この構成では、オーバーレイターゲット104の単一の明視野画像が、任意の方向に沿った格子構造108によってすべての関連したセル202を捕捉し得る。したがって、このような構成は、高いスループットを有利に提供し得る。
【0097】
図5Aの照度分布に基づく別の一例として、いくつかの実施形態では、オーバーレイターゲット104の複数の画像が、異なる照明ローブ302を有する連続照明に基づいて連続的に生成される。例えば、別個の画像は、それぞれの照明ローブ302に基づいて捕捉され得る。別の一例として、オーバーレイターゲット104の第1画像が、水平方向に沿った1つの照明ローブ302、及び垂直方向に沿った1つの照明ローブ302による照明に基づいて生成され得る。それに続いて、オーバーレイターゲット104の第2画像が、水平方向に沿った別の照明ローブ302、及び垂直方向に沿った別の照明ローブ302による照明に基づいて生成され得る。この構成では、試料106の焦点ずれによるコントラスト損失が最小に抑えられ得、その理由は、それぞれの方向に沿った格子構造108の特定の画像が、2つの収集された回折次数(例えば、0次回折ローブ410及び単一の1次回折ローブ)のみによって形成されるからである。任意の測定方向に沿ったオーバーレイは次いで、対応する格子構造108の別個の画像の空間位相から計算され得る。単一の照明ローブ302によって生成された画像における格子構造108の空間位相は、照明ローブ302の強度によって影響を受けず、それで照明ローブ302の対の間の相対強度差は、この構成におけるオーバーレイ計算に影響を与えない。更に、この構成における別個の画像のそれぞれは、1つの1次回折ローブのみを含むので、+1次回折ローブ412と-1次回折ローブ414との間の任意の強度差は、オーバーレイ計算に影響を与えない。その結果、複数の対向する照明ローブ302による連続撮像に基づくオーバーレイ測定は、照明ローブ302の同じ分布の同時撮像に基づくオーバーレイ測定よりもよりロバストなオーバーレイ測定を提供し得るが、複数の画像の生成と関連したスループットが低減される。このように、同時の又は連続した撮像の間の選択は、性能トレードオフの間のバランスを表し得る。
【0098】
更に、連続撮像は、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて実施され得る。例えば、照明ローブ302を形成する開口は、連続的に修正又は挿入されてもよい。別の一例として、照明瞳面132の別個の部分に(例えば、ファイバ、自由空間光学系等を介して)向けられた照明118は、シャッタ、ガルバノメータ、MEMSデバイス、又は音響光学偏向器(例えば、図1Cに描れるような)等であってこれらに限定されない光学要素の任意の組み合わせを使用して、それぞれの経路に沿って連続的に向けられ得る。
【0099】
ここで図14を参照すると、図14は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、傾斜照明による明視野撮像、及び選択された回折次数の収集に基づくオーバーレイ計測のための方法1400において実行されるステップを示す流れ図である。出願人は、実施形態及びオーバーレイ計測システム100の文脈において本明細書に前述された可能化技術は方法1400に拡張されるべきであることを注記する。しかしながら、方法1400は、オーバーレイ計測システム100の構成に限定されないことに更に留意されたい。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法1400は、オーバーレイ計測ツールを使用してオーバーレイターゲットの1つ又は複数の画像を捕捉するステップ1402を含み、この場合、オーバーレイ計測ツールは、それぞれの測定方向について、収集された回折次数が、0次回折ローブ、及び2つ以上の照明ローブのうちの少なくとも1つからの単一の1次回折ローブだけを含むように、1つ又は複数の照度分布の中に分布した2つ以上の傾斜照明ローブを用いてオーバーレイターゲットを照明する。例えば、ステップ1404は、図3A~8Cに示す照度分布及び関連した収集プロファイルのうちのいずれかに基づいてオーバーレイターゲットを撮像することを含み得るが、これに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、方法1400は、1つ又は複数の画像に基づいて、1つ又は複数の測定方向と関連したオーバーレイターゲットについて1つ又は複数のオーバーレイ測定値を生成するステップ1404を含む。本明細書では、方法1400は、当該技術分野で公知の任意のタイプのオーバーレイターゲットに適用され得、そして任意の2つのリソグラフィ露光と関連したオーバーレイ測定値を提供し得ることが考慮されている。例えば、オーバーレイターゲットは、ステップ1404におけるオーバーレイ測定値が2つ以上の層と関連したオーバーレイ測定値に対応するように、2つ以上の層上にパターン化された特徴を含み得る。別の一例として、オーバーレイターゲットは、共通の層上にあるが、2つ以上のリソグラフィ露光によって(例えば、二重印刷プロセス等で)生成されたパターン化された特徴を含み得る。このように、ステップ1404におけるオーバーレイ測定は、関連した露光と関連し得る。
【0102】
本明細書に記述された主題は、別の構成要素内に含まれた、又は接続された異なる構成要素を示す場合がある。このような示された構成は、単に例示的なものであり、実際には同じ機能を達成する多くの別の構成が実施され得ることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を達成するための構成要素の任意の配列は、所望の機能が達成されるように効果的に「関連している」。したがって、特定の機能を達成するために組み合わされた本明細書の任意の2つの構成要素は、構成又は中間構成要素にかかわらず、所望の機能が達成されるように互いに「関連している」とみなされ得る。同様に、そのように関連した任意の2つの構成要素もまた、所望の機能性を達成するために「接続されている」又は「結合されている」として見られ得、そしてそのように関連していることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「結合可能である」として見られ得る。結合可能という特定の例は、物理的に相互作用可能である及び/又は物理的に相互作用する構成要素、並びに/或いは無線で相互作用可能である及び/又は無線で相互作用する構成要素、並びに/或いは論理的に相互作用可能である及び/又は論理的に相互作用する構成要素を含むが、これらに限定されない。
【0103】
本開示及びその付随する利点の多くは、前述の説明によって理解されるであろう、そして、様々な変更が、開示された主題から逸脱することなく又はその材料の利点のすべてを犠牲にすることなく、構成要素の形態、構造、及び配列において行われ得ることが明らかになるであろう。記述された形態は、単に説明のためのものであり、そのような変化を包含し、含むことが以下の特許請求の範囲の趣旨である。更に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
【国際調査報告】