(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】凸多角形の研磨部材を有する両面研削装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240423BHJP
B24B 7/17 20060101ALI20240423BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20240423BHJP
B24D 3/14 20060101ALI20240423BHJP
B24D 7/06 20060101ALI20240423BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240423BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
H01L21/304 621A
H01L21/304 631
B24B7/17 Z
B24D3/00 320B
B24D3/14
B24D7/06
B24B41/06 L
C09K3/14 550F
C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566021
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 KR2022006034
(87)【国際公開番号】W WO2022231308
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミンギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,チョルウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンスン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヒョシク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェフン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ビョンチョル
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C063
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB75
3C034DD10
3C043BC07
3C043CC04
3C043CC11
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD05
3C043DD06
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA04
3C063BB02
3C063BC05
3C063BG10
3C063BH07
3C063EE10
5F057AA03
5F057AA24
5F057BA13
5F057BA15
5F057BB03
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5F057BB11
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5F057CA19
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5F057EB05
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5F057EB20
5F057FA14
5F057FA19
5F057FA25
(57)【要約】
半導体構造を同時両面研削するための方法および装置が開示される。両面研削装置は、それぞれが凸多角形(凸五角形)のような形状の研磨部材を有する第1および第2の砥石を含んでも良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を両面研磨する方法であって、
第1および第2の砥石の間に半導体構造を位置決めする工程であって、各砥石は、
支持ホイール;および、
支持ホイールから軸方向外側に延びる複数の研磨部材であって、各研磨部材はウエハ係合面を有し、ウエハ係合面は少なくとも5つの辺を有する凸多角形の形状である、複数の研磨部材と、を含む工程、および、
第1および第2の砥石を半導体構造に接触させ、第1および第2の砥石を相対的に回転させることにより、半導体構造を研削する工程、を含む方法。
【請求項2】
凸多角形は、1つ以上の丸みを帯びた角を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多角形の辺の1つは、底辺と底辺以外の複数の辺を含み、底辺以外の多角形の2つの辺の間に形成される各角が丸みを帯びている請求項2に記載の方法。
【請求項4】
底辺との間に形成される各角部は鋭角である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
研磨部材は、ダイヤモンド砥粒を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
研磨部材は、ビトリファイドダイヤモンドを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各研磨部材は、接着剤またはモールドによって支持ホイールに接続されている請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
支持ホイールは、円周凹部を形成し、研磨部材は円周凹部内に配置される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
凸多角形は、凸五角形である請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
半導体構造は、第1および第2の静水圧パッドによって固定される請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
半導体構造を両面研削する方法であって、
第1および第2の砥石の間に半導体構造を位置決めする工程であって、各砥石は、
支持ホイール;および、
支持ホイールから軸方向外向きに延びる複数の研磨部材であって、各研磨部材はウエハ係合面を有し、ウエハ係合面は、
ウエハ係合面の第1の辺である底辺、
第1の端部と第2の端部を有する第2の辺であって、第2の辺はその第1の端部で底辺と接続され、第2の辺と底辺は鈍角を形成する第2の辺;および、
第1の端部と第2の端部を有する第3の辺であって、第3の辺はその第1の端部で底辺と接続され、第3の辺と底辺は鈍角を形成する第3の辺;を含む工程、および、
第1および第2の砥石を半導体構造に接触させ、第1および第2の砥石を相対的に回転させることにより、半導体構造を研削する工程、を含む方法。
【請求項12】
ウエハ係合面は、第4の辺および第5の辺を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各砥石が回転軸を有し、ウエハ係合面の各辺は回転軸からの平均距離を有し、底辺の回転軸からの平均距離は、他の各辺の回転軸からの平均距離よりも大きい請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各砥石は回転軸を有し、ウエハ係合面の各辺は回転軸からの平均距離を有し、底辺の回転軸からの平均距離は、他の各辺の回転軸からの平均距離よりも小さい請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ウエハ係合面は、1つ以上の丸みを帯びた角を有する請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
底辺と第2の辺との間に形成された角が丸みを帯びておらず、底辺と第3の辺との間に形成された角が丸みを帯びていない請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ウエハ係合面は五角形状であり、第4の辺と第5の辺を含む請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
研磨部材は、ダイヤモンド砥粒を含む請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
研磨部材は、ビトリファイドダイヤモンドを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各研磨部材は、接着剤またはモールドによって支持ホイールに接続されている請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
支持ホイールは円周凹部を形成し、研磨部材は円周凹部内に配置される請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
半導体構造は、第1および第2の静水圧パッドによって固定される請求項11~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
第1および第2の砥石であって、各砥石は回転軸を有し、
支持ホイール;および、
支持ホイールから軸方向外側に延びる複数の研磨部材であって、各研磨部材はウエハ係合面を有し、ウエハ係合面は、
ウエハ係合面の第1の辺である底辺;
第1の端部と第2の端部とを有する第2の辺であって、第2の辺はその第1の端部で底辺に接続され、第2の辺と底辺とは鈍角を形成している、第2の辺;および、
第1の端部と第2の端部とを有する第3の辺であって、第3の辺はその第1の端部で底辺に接続され、第3の辺と底辺とは鈍角を形成する第3の辺;を含み、
ウエハ係合面の各辺は、回転軸からの平均距離を有し、底辺の回転軸からの平均距離は、他の各辺の回転軸からの平均距離よりも小さい、両面研削装置。
【請求項24】
ウエハ係合面は、第4の辺と第5の辺を含む請求項23に記載の両面研削装置。
【請求項25】
ウエハ係合面は、1つ以上の丸みを帯びた角を有する請求項23または24に記載の両面研削装置。
【請求項26】
底辺と第2の辺との間に形成される角が丸みを帯びておらず、底辺と第3の辺との間に形成される角が丸みを帯びていない請求項25に記載の両面研削装置。
【請求項27】
ウエハ係合面は、五角形状であり、第4の辺と第5の辺を含む請求項23~26のいずれか1項に記載の両面研削装置。
【請求項28】
研磨部材は、ダイヤモンド砥粒を含む請求項23~27のいずれか1項に記載の両面研削装置。
【請求項29】
研磨部材は、ビトリファイドダイヤモンドを含む請求項28に記載の両面研削装置。
【請求項30】
支持ホイールは、円周凹部を形成し、研磨部材は円周凹部内に配置される請求項23~29のいずれか1項に記載の両面研削装置。
【請求項31】
支持ホイールは、円周凹部を形成し、カラーが円周凹部内に配置されている請求項23~30のいずれか1項に記載の両面研削装置。
【請求項32】
半導体構造を固定する第1および第2の静圧パッドをさらに含む請求項23~31のいずれか1項に記載の両面研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月27日に出願された米国仮特許出願第63/180,481号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、一般に、半導体ウエハの同時両面研削に関し、より詳細には、両面研削装置および両面研削方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハは、回路が印刷された集積回路(IC)チップの製造に一般的に使用される。回路は、最初にウエハの表面に小型化された形態で印刷され、その後、ウエハは回路チップに分割される。しかし、このように回路を小型化するには、回路をウエハの表面全体に適切に印刷できるように、ウエハの表面を極めて平坦かつ平行にする必要がある。これを達成するために、インゴットからウエハを切り出した後、ウエハの特定の特徴(例えば、平坦度や平行度)を改善するために研削工程(grinding process)が一般的に使用される。
【0004】
同時両面研削は、ウエハの両面を同時に研削し、高度に平坦化された表面を持つウエハを製造する。したがって、望ましい研削プロセスである。この研削プロセスは、研削されたウエハ表面の平坦度と平行度を著しく改善する一方で、ウエハ表面のトポロジとナノトポグラフィ(NT)の劣化を引き起こす可能性がある。
【0005】
ナノトポグラフィが悪いと、後の研磨(CMP)工程で酸化膜の除去が不均一になる。これは、ICメーカーなどのウエハユーザーの歩留まりを大幅に低下させる。ICメーカーがより小さなプロセス技術に移行するにつれて、ナノトポグラフィの公差はより厳しくなると予測される。
【0006】
ウエハのナノトポグラフィを改善する半導体構造の同時両面研削の方法に対するニーズが存在する。
【0007】
本セクションは、以下に説明および/または特許請求される、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、本開示の様々な態様をより良く理解するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。従って、これらの記載は、このような観点から読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないと理解されるべきである。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、半導体構造を両面研削方法に関する。
【0009】
課題の解決
半導体構造は、第1および第2の砥石の間に配置される。各砥石は、支持ホイールと、支持ホイールから軸方向外側に延びる複数の研磨部材とを含む。各研磨部材はウエハ係合面を有する。ウエハ係合面は、少なくとも5つの辺を有する凸多角形の形状である。第1および第2の砥石を半導体構造に接触させ、第1および第2の砥石を相対的に回転させることにより、半導体構造が研削される。
【0010】
本開示の別の態様は、半導体構造を両面研削する方法に関する。半導体構造は、第1および第2の研削砥石の間に配置される。各砥石は、支持ホイールと、支持ホイールから軸方向外側に延びる複数の研磨部材とを含む。各研磨部材はウエハ係合面を有する。ウエハ係合面は底辺を含む。底辺はウエハ係合面の第1の辺である。ウエハ係合面は、第1の端部および第2の端部を有する第2の辺を含む。第2の辺は、その第1の端部において底辺に接続される。第2の辺と底辺は鈍角をなす。ウエハ係合面は、第1の端部および第2の端部を有する第3の辺を含む。第3の辺は、その第1の端部で底辺に接続される。第3の辺と底辺は鈍角をなす。半導体構造は、第1および第2の砥石を半導体構造に接触させ、第1および第2の砥石を相対的に回転させることによって研削される。
【0011】
本開示のさらなる態様は、両面研削装置に関する。この装置は、第1および第2の研削砥石を含む。各砥石は回転軸を有し、支持ホイールと、支持ホイールから軸方向外側に延びる複数の研磨部材とを含む。各研磨部材はウエハ係合面を有する。ウエハ係合面は底辺を含む。底辺はウエハ係合面の第1の辺である。ウエハ係合面は、第1の端部および第2の端部を有する第2の辺を含む。第2の辺は、その第1の端部において底辺に接続される。第2の辺と底辺は鈍角をなす。ウエハ係合面は、第1の端部および第2の端部を有する第3の辺を含む。第3の辺は、その第1の端部で底辺に接続される。第3の辺と底辺は鈍角をなす。ウエハ係合面の各辺は、回転軸からの平均距離を有する。回転軸からの底辺の平均距離は、回転軸からの他の各辺の平均距離よりも小さい。
【0012】
本発明の有利な効果
本開示の上述の態様に関連して指摘された特徴の様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、同様に本開示の上述の態様に組み込まれ得る。これらの改良および追加の特徴は、個々に、または任意の組み合わせで存在し得る。例えば、本開示の図示された実施形態のいずれかに関連して後述される様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上述の形態のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図10】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両面研削された半導体構造のナノトポグラフィのピークから谷までのボックスプロットを示す。
【
図11】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両側研磨された半導体構造の10mm×10mmのウィンドウにおけるピークから谷までのナノトポグラフィのボックスプロットを示す。
【
図12】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両面研削された半導体構造のウエハ画像を示す。
【
図13】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両面研削された後の半導体構造のBOWのボックスプロットを示す。
【
図14】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両側研磨された前後の半導体構造の両側研磨前後のBOWの変化(デルタ)のボックスプロットを示す。
【
図15】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両側研削された半導体構造の左砥石の電流の時系列プロットである。
【
図16】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両側研削された半導体構造の右砥石の電流の時系列プロットである。
【
図17】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材によって同時両側研削された半導体構造の同時両側研削のカウント0のパーティクルカウントの累積パーセンテージ(DICモード)を示す。
【
図18】気孔率を示す高さに沿った凸多角形研磨部材の画像を示す。
【
図19】凸多角形研磨部材および従来の研磨部材のCRING値の時系列プロットである。
【0014】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態で使用するための例示的な両面研削装置100を
図1に示す。両面研削装置100(本明細書では「同時両面研削装置」とも呼ばれる)は、水源111を介して水クッションまたは「ポケット」113を形成する一対の静水圧パッド105、110を含む。半導体構造Wは、水クッション113の間に導かれ、それによってウエハWを概ね垂直な方向で「クランプ」する。ウエハはキャリアリング122に固定される。キャリアリング122(およびそこに固定されたウエハW)は、静圧ガイドローラ136内で回転する。一対の第1および第2の研削砥石133、135(「左」および「右」の研削砥石)は、静水圧パッド105、110を通って延びる。一対の研削砥石133、135は、互いに対して反対方向に回転する。研削砥石133、135はエアスピンドル141、142と連結されていてもよく、電動モータが研削砥石133、135を回転させる。研削砥石133、135は、回転する際に半導体構造との完全な周辺接触を含むことができる。
【0016】
一般に、両面研削装置100は、200mm以上、300mm以上、または450mm以上の直径を有する構造のような任意のサイズの半導体構造を加工するように適合され得る。半導体構造は、単結晶シリコンウエハでもよい。他の実施形態では、半導体構造は、炭化ケイ素、サファイア、またはAl2O3である。半導体構造は、層状構造であってもよいし、バルクウエハであってもよい。
【0017】
本装置の研削砥石200の一例を
図2に示す。研削砥石200は、第1および第2の研削砥石が通常同一であるため、装置100の第1および第2の研削砥石として使用することができる。研削砥石200は、研削砥石が回転する回転軸Aを有する。研削砥石200は、支持ホイール208と、支持ホイール208から軸方向外側に延びる複数の研磨部材212とを含む。複数の研磨部材212は、支持ホイール208を中心として(円周C(
図3)を中心として)円周方向に延びている。
【0018】
研磨部材212は、ダイヤモンド砥粒や立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒などの砥粒材料を含む。いくつかの実施形態では、研磨部材はビトリファイドダイヤモンドを含む。
【0019】
支持ホイール208は、円周凹部215(例えば、支持ホイール208に形成された単一の肩部または2つの肩部から形成される)を含む。複数の研磨部材212は、円周凹部215内に配置される。研磨部材212は、砥石が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の方法によって支持ホイール208に接続することができる。いくつかの実施形態では、研磨部材212は接着剤によって支持ホイール208に接続される。他の実施形態では、研磨部材212は、モールドによって支持ホイール208に接続される。他の実施形態では、研磨部材は、円周凹部内に配置されるカラー(図示せず)に接続される。
【0020】
次に
図4~5を参照すると、本開示の実施形態の研削砥石200が示されている。研削砥石200は、研削中に半導体構造に接触するウエハ係合面225(
図6)を有する各研磨部材212を含む。ギャップ219(
図4)は、研磨部材212の間に形成されてもよい。他の実施形態では、研磨部材212間に隙間は形成されない(すなわち、ウエハ係合面225は一致する)。
【0021】
図示された実施形態では、ウエハ係合面225は、少なくとも5つの辺を有する凸多角形の形状をしている。例えば、凸多角形は、図示された実施形態に示されるような五角形であってもよいし、他の実施形態と同様に、六角形、七角形、八角形または他の凸多角形であってもよい。凸多角形は、正多角形でもよいし、不規則多角形でもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、および
図6に示すように、ウエハ係合面225は、底辺235(例えば、研削砥石200の回転軸A(
図4)から概ね最も近いかまたは最も遠い高さが測定され得る辺)を含む。第2および第3の辺239、243は、底辺235(本明細書では、ウエハ係合面225の「第1の辺」とも呼ばれる)から延びている。第2の辺239は、第1の端部241と第2の端部242とを含む。第2の辺239は、その第1の端部241において底辺235に接続されている。第2の辺239と底辺235は角度λ1を形成する。第3の辺243は、第1の端部261および第2の端部263を含む。第3の辺243は、その第1の端部261において底辺235に接続される。第3の辺243と底辺235は角度λ2を形成する。いくつかの実施形態では、第1および第2の角度λ1、λ2はそれぞれ鈍角である。
【0023】
ウエハ係合面225は、第4の辺250の第1の端部267において第1の辺239に接続する第4の辺250を含む。ウエハ係合面225は、第5の辺255の第1の端部272において第2の端部243に接続する第5の辺255を含む。凸多角形が五角形である実施形態では、第4および第5の辺250、255は、第4および第5の辺250、255の第2の辺270、275で接続する。
【0024】
凸多角形の辺235、239、243、250、255は、研磨部材212が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の長さを有することができる。図示された実施形態では、第2および第3の辺239、243はそれぞれ、底辺235および第4および第5の辺250、255のそれぞれよりも短い。
【0025】
図示された実施形態に示されるように、辺の間に形成される1つ以上の角部は、丸みを帯びた角部(例えば、1つ以上の曲率半径を有する)であってもよい。例えば、第2の辺239と第4の辺250との間に形成される角286は丸みを帯びており、第3の辺243と第5の辺255との間に形成される角288は丸みを帯びている。図示の実施形態では、第4の辺250と第5の辺255との間に形成される角290も丸みを帯びている(例えば、底辺235とは反対側の頂点が丸みを帯びている)。丸められた角内で終端する凸多角形の様々な辺の端部は、本明細書において異なる記載がない限り、一般に、丸められた角の中点に対応し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、角の一部または全部が丸みを帯びていない(すなわち、一部または全部が鋭角である)。図示の実施形態では、底辺235と第2の辺239との間に形成される角部282は丸みを帯びておらず、底辺235と第3の辺243との間に形成される角部284は丸みを帯びていない。一般に、丸い角と鋭い角(および丸い角の1つ以上の半径)の選択は、研磨部材212の性能に基づいて行うことができる。
【0027】
ウエハ係合面225の各辺235、239、243、250、255は、回転軸A(
図4)からの平均距離を有する。図示の実施形態では、底辺235の回転軸Aからの平均距離D235は、他の各辺239、243、250、255の回転軸からの平均距離よりも小さい(すなわち、底辺235は、凸多角形の他の辺よりも回転軸Aに近い)。
【0028】
研削砥石300の別の実施形態を
図7~8に示す。
図7~8に示す構成要素のうち、
図4~5の構成要素に類似するものには、
図4~5の対応する参照番号に「100」を加えた番号を付している(例えば、部材212は312になる)。
図7~8の実施形態では、研磨部材312の向きは、
図4~6の研磨部材212から180°回転している(
図6と
図9を比較)。この図示の実施形態では、底辺335の回転軸Aからの平均距離D335は、他の各辺239、243、250、255の回転軸Aからの平均距離よりも大きい(すなわち、底辺235は、凸多角形の他の辺よりも回転軸Aから遠い)。研磨部材312の向き以外は、研磨部材312は
図4~6の研磨部材212と同じであってもよい。
【0029】
本開示の実施形態に従って、半導体構造を第1および第2の砥石(
図1)の間に位置決めすることによって、半導体構造を両面研削してもよい。半導体構造は、第1および第2の砥石を半導体構造に接触させ、第1および第2の砥石を互いに相対的に(すなわち、反対方向に)回転させることによって研削される。
【0030】
半導体構造を同時両面研削する従来の方法と比較して、本開示の方法にはいくつかの利点がある。凸多角形状の研磨部材は、半導体構造を保持するための従来の研磨部材に比べて、より多くの研磨表面積を有する。これにより、水平方向の振動が低減され、接触した砥石による傾斜が低減される。回転する半導体構造は、よりバランスのとれた条件で研削され、ナノトポグラフィが改善される可能性がある。さらに、半導体構造のエッジ部に沿った急激な段差が改善され、研削されたウエハ上の歪んだ領域が減少する可能性がある。凸多角形状の研磨部材は、より少ない研磨電流でより少ない表面損傷を発生させることができる。凸多角形研磨部材の異なる形状または向きを使用して、ウエハに異なるBOW効果を生じさせることができる。凸多角形研磨部材は、その長さにわたって比較的一貫した気孔率を有し、研磨プロセスの一貫性を高めることができる。
【0031】
実施例
【0032】
本開示のプロセスは、以下の実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0033】
実施例1:凸多角形研磨部材の使用によるナノトポグラフィの改善
【0034】
米国特許第6,692,343号の
図4~7に示されるような研磨部材を有する砥石によって、半導体構造(単結晶シリコンウエハ)の第1のセットを同時両面研磨した。第2の半導体構造(単結晶シリコンウエハ)は、凸多角形(凸五角形)の研磨部材を有する砥石で同時両面研削した。
図10にナノトポグラフィのピークから谷間を、
図11にウエハの10mm×10mmの窓のピークから谷間を示す。
図10~11に示すように、五角形状の研磨部材はナノトポグラフィが改善されている。
【0035】
実施例2:凸多角形研磨部材の使用による歪み面積の減少
【0036】
図12は、五角形状研磨部材「(1)」を有する本願の
図4~6の砥石と、「(2)」を中央パターン、「(3)」を端部パターンとする米国特許第6,692,343号の
図4~7に示す研磨部材を有する砥石とによって研削されたウエハのウエハ画像を示す。五角形状の研磨部材は、回転するウエハ表面に向かって保持力を加えることができ、研削順序を変更することなく傾斜を持続させることができた。
図12に示すように、五角形状研磨部材を用いて研削したウエハは、研削されたウエハに歪んだ部分が発生しにくく、ナノトポグラフィが改善された。
【0037】
実施例3:凸多角形研磨部材の使用によるBOWの変化
【0038】
砥石の回転軸に最も近い底辺を有する五角形状研磨部材(「本願の
図4~5」)、回転軸から最も遠い底辺を有する五角形状研磨部材(「本願の
図7~8」)、および米国特許第6,692,343号(「US6,692,343」)の
図4~7に示された研磨部材について、砥石の傾斜調整なしで測定した中央プロファイル(BOWベストフィット、CRING)を
図13~14に示す。
図13は、両面研削後のBOWの測定値を示し、
図14は、両面研削前後のBOWの差を示す。五角形状研磨部材は除去量が異なり、砥石はBOW能力が異なる。
【0039】
実施例4:凸多角形研磨部材の使用による表面損傷の低減
【0040】
図17は、米国特許第6,692,343号明細書の
図4~7に示されるような研磨部材を有する研削砥石(左欄)および五角形状研磨部材を有する研削砥石(右欄)についての粒子数の累積割合(DICモード)を示す。
図17に示すように、五角形状の研磨部材は、より少ない研削電流でより少ない表面損傷をもたらした(
図15~16)。
【0041】
実施例5:凸多角形研磨部材の使用による研削安定性
【0042】
凸多角形砥石は、凸多角形構造の最上層から最下層まで安定した研削性能を有していた。
図18に示すように、凸多角形砥石の気孔率は全長にわたって一定であった。このことは、米国特許第6,692,343号の
図4~7の研磨部材ではCRING値が変化した(低い値から高い値へ、そして低い値へ戻った)のに対し、五角形状の研磨部材では一定値を示した
図19からも明らかである。
【0043】
本明細書において、寸法、濃度、温度または他の物理的もしくは化学的特性もしくは特性の範囲と共に使用される場合の「約」、「実質的に」、「本質的に」および「おおよそ」という用語は、例えば、丸め、測定方法または他の統計的変動に起因する変動を含む、特性または特性の範囲の上限および/または下限に存在し得る変動をカバーすることを意味する。
【0044】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、および「該(said)」は、要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の方向を示す用語(例えば、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「側部(side)」など)の使用は、説明の便宜のためであり、記載される項目の特定の方向を必要とするものではない。
【0045】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成および方法において様々な変更がなされ得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
【国際調査報告】