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特表2024-518380ダイベースの変更を伴う化学機械研磨
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ダイベースの変更を伴う化学機械研磨
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240423BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240423BHJP
   B24B 1/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L21/304 622N
H01L21/304 622R
B24B37/00 K
B24B1/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567912
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022027337
(87)【国際公開番号】W WO2022235588
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,132
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シュー-ソン
(72)【発明者】
【氏名】タン, ジャンシェ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, アレクサンダー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤマムラ, マユ フェリシア
【テーマコード(参考)】
3C049
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C049AA07
3C049AC04
3C158AA07
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA09
3C158DA12
5F057AA02
5F057AA16
5F057BA15
5F057CA12
5F057CA24
5F057CA25
5F057DA03
5F057DA29
5F057DA38
5F057EB27
5F057EC03
5F057EC04
5F057EC09
5F057EC13
5F057EC14
5F057EC19
5F057FA19
5F057FA20
5F057FA30
5F057FA37
5F057FA39
5F057GA13
5F057GA16
5F057GB03
5F057GB13
(57)【要約】
基板を処理する方法は、ダイごとに基板上に処理流体を選択的にディスペンスすることと、処理流体をディスペンスした後に基板を化学機械研磨することとを含む。処理流体は、処理流体が適用されない1つまたは複数の残りのダイと比較して、処理流体が適用される1つまたは複数の選択されたダイにおける化学機械研磨の研磨速度を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
ダイごとに基板上に処理流体を選択的にディスペンスすることと、
前記処理流体をディスペンスした後に前記基板を化学機械研磨することと、
を含み、前記処理流体は、前記処理流体が適用されない1つまたは複数の残りのダイと比較して、前記処理流体が適用される1つまたは複数の選択されたダイにおける前記化学機械研磨の研磨速度を変更する、方法。
【請求項2】
前記処理流体を選択的にディスペンスすることが、吐出液滴印刷、スピンオンコーティング、スプレーオン、またはスクリーン印刷のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択的にディスペンスすることが、マスクを通して前記処理流体を流すことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
選択的にディスペンスすることが、前記処理流体の液滴を前記基板上に選択的に吐出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
選択的にディスペンスすることが、前記基板上のすべての前記ダイにわたって前記処理流体を配設し、前記1つまたは複数の選択されたダイにおいて前記処理流体を硬化させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記基板を化学機械研磨する前に、前記処理流体を硬化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記処理流体で、前記残りのダイと比較して前記選択されたダイにおける前記研磨速度を低下させる保護膜を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処理流体が、前記残りのダイと比較して、前記選択されたダイにおける前記研磨速度を高めるように、研磨される層に損傷を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処理流体が、前記残りのダイと比較して、前記選択されたダイの親水性を調整する単層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板上の複数のダイに対応する複数の位置で層の厚さを測定し、前記厚さに基づいて前記選択されたダイを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
ダイごとに基板上に処理流体を供給するディスペンサを含む処理ステーションであって、前記処理流体が、後続の化学機械研磨において、前記処理流体が適用されない1つまたは複数の残りのダイと比較して、前記処理流体が適用される1つまたは複数の選択されたダイにおける研磨速度を変更する、処理ステーションと、
化学機械研磨ステーションと、
前記基板を前記処理ステーションから前記化学機械研磨ステーションに移送するための基板移送ロボットと
を備える、システム。
【請求項12】
前記ディスペンサが、吐出液滴プリンタ、スピンオンコータ、スプレーオンコータ、またはスクリーン印刷のうちの1つまたは複数を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理ステーションが、前記処理流体が前記残りのダイに適用されるのを阻止するように配置されたマスクを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記処理ステーションが、前記処理流体を硬化させるためのエネルギー源を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記エネルギー源に結合され、前記処理流体が前記選択されたダイにおいて硬化されるように、前記エネルギー源を選択的に作動させるように構成された制御システムを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ディスペンサが、音響エネルギーを前記処理流体に適用し、前記選択されたダイにおいて前記基板上の層の超音波処理を引き起こすトランスデューサを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記選択されたダイを示すデータを取得し、前記選択されたダイにおいて前記処理流体を適用するために前記ディスペンサを制御するように構成された制御システムをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御システムは、前記基板上の複数のダイに対応する複数の位置についての複数の厚さ測定値を受信し、前記複数の厚さ測定値に基づいて前記選択されたダイを決定するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記基板上の前記複数の厚さ測定値をもたらすためのインラインまたは独立計測システムを備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨に関し、より詳細には、研磨のダイごとの変更に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、または絶縁層を順次堆積させることによって基板上に形成される。さまざまな製造プロセスにおいて、基板上の層の平坦化が必要とされる。例えば、製造ステップの1つは、下層の非平坦な表面上に充填層を堆積させ、充填層を平坦化することを含む。いくつかの用途では、充填層は、下層の上面が露出するまで平坦化される。他の用途の場合、充填層は、下層の上に特定の厚さが残るまで平坦化される。
【0003】
化学機械研磨(CMP:Chemical mechanical polishing)は、一般に認められている平坦化方法の1つである。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに取り付ける必要がある。基板の露出面は通常、回転する研磨パッドに当てて配置される。キャリアヘッドは基板に制御可能な荷重を与えて、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨液、例えば研磨粒子を含むスラリは通常、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPにおける問題の1つは、スラリ分布、研磨パッドの状態、研磨パッドと基板との間の相対速度、基板層の初期厚さ、および基板にかかる負荷の変動により、基板全体の材料除去速度にばらつきが生じる可能性があることである。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、基板を処理する方法は、ダイごとに基板上に処理流体を選択的にディスペンスすることと、処理流体をディスペンスした後に基板を化学機械研磨することとを含む。処理流体は、処理流体が適用されない1つまたは複数の残りのダイと比較して、処理流体が適用される1つまたは複数の選択されたダイにおける化学機械研磨の研磨速度を変更する。
【0006】
別の態様では、システムは、ダイごとに基板上に処理流体を供給するディスペンサを含む処理ステーションと、化学機械研磨ステーションと、基板を処理ステーションから化学機械研磨ステーションに移送する基板搬送ロボットとを含む。処理流体は、後続の化学機械研磨で処理流体が適用されない1つまたは複数の残りのダイとの比較において、処理流体が適用される1つまたは複数の選択されたダイの研磨速度を変更する材料である。
【0007】
実施態様により、以下の利点が1つまたは複数提供され得るが、これらに限定されない。
【0008】
除去される材料の量はダイごとに変えることができるため、研磨の均一性が向上する。
【0009】
1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な化学機械研磨システムの概略断面図である。
図2】複数のゾーンを有する基板の概略上面図である。
図3】ダイごとに研磨動作を変更するための例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
さまざまな図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0012】
複数のダイを含む基板を、化学機械研磨プロセスを使用して研磨すると、場合によっては、基板材料が表面の異なる場所で異なる速度で除去されることがある。一部のダイが適切に研磨されたときに研磨プロセスが終了すると、他のダイは研磨しすぎ、または研磨不足で使用できなくなる可能性がある。
【0013】
不均一な研磨を補償する1つのアプローチは、複数の独立して制御可能な同心の加圧可能なチャンバを備えたキャリアヘッドを使用することである。これにより、半径方向の不均一性は補償できるが、角度(円周方向)の不均一性、別名非対称研磨は補償できない。角度を付けて分布させられたチャンバを備えたキャリアヘッドが提案されているが、そのようなキャリアヘッドでは、ダイごとの研磨速度の変動に対処するために必要な分解能が得られない可能性がある。
【0014】
ただし、ダイごとに研磨の均一性を向上させる手法は、1つまたは複数の予備的な処理ステップを実行することである。処理ステップは、ダイことに研磨ステップの前に実行され、後続の研磨操作の有効性が変更される。例えば、処理ステップは、ダイ上の研磨速度を低下させるために保護コーティングを提供したり、ダイ上の研磨速度を高めるために(必ずしも材料を除去することなく)ダイの表面を変更したりすることができる。
【0015】
図1は、研磨ステーション20と予備処理ステーション100の両方を含む化学機械研磨システム5の一例を示す。いくつかの実施態様では、化学機械研磨システム5は、基板10上の1つまたは複数のダイの層の厚さを測定するためのインライン計測システムを含む。
【0016】
研磨ステーション20は、研磨パッド30が配置される回転可能なディスク状プラテン24を含む。プラテン24は、軸25を中心に回転するように動作可能である。例えば、モータ22は駆動シャフト28を回転させてプラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側研磨層34とより柔らかいバッキング層32を有する2層研磨パッドであってもよい。
【0017】
研磨ステーション20は、研磨スラリなどの研磨液44を研磨パッド30上にディスペンスするために、例えばスラリ供給アームの端部に供給ポート42を含むことができる。研磨ステーション20は、研磨パッドを摩耗させることで基板から基板まで一貫した粗さを保つためのコンディショニングディスクを備えたコンディショナーシステムを含むこともできる。
【0018】
キャリアヘッド70は、研磨パッド30に対して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、例えばカルーセルまたはトラックなどの支持構造72から吊り下げられ、キャリアヘッドが軸71の周りを回転できるように、駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続されている。任意選択で、キャリアヘッド70は、例えば、トラックに沿った移動によって、またはカルーセル自体の回転振動によって、カルーセル上のスライダー上で横方向に振動することができる。
【0019】
キャリアヘッド70は、基板10の裏面に接触する基板搭載面を有する可撓性膜80と、基板10上の異なるゾーン、例えば異なる半径方向ゾーンに異なる圧力を加える複数の加圧可能チャンバ82とを含むことができる。キャリアヘッド70は、基板を保持するための保持リング84を含むことができる。動作中、プラテンはその中心軸25を中心に回転し、キャリアヘッドはその中心軸71を中心に回転し、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進する。
【0020】
いくつかの実施態様では、研磨装置は、基板上の研磨中の層の厚さを監視するために使用できる、例えば光学モニタシステムまたは渦電流モニタシステムなどの現場モニタシステムを含む。
【0021】
処理ステーション100は、基板上の選択されたダイ上に処理流体104を選択的に供給するためのディスペンサ102を含む。いくつかの実施態様では、処理ステーション100は支持体106を含む。基板支持体106は、CMPキャリアヘッド、基板が上または下を向くチャックステージ、または基板を保持するためのリフトピンまたはコンタクトピンを備えた固定具であってもよい。基板は、上向き、下向き、または別の角度(垂直など)で保持され得る。
【0022】
ディスペンサは、選択したダイに処理流体を供給するための1つまたは複数のノズルを含み得る。ノズルはX-Y方向に移動したり、指定された動作経路に沿って移動したりできる。ノズルは高さと広がり角を調整できるため、選択したダイを確実にカバーできると同時に、他のダイの化学薬品のオーバーフローを最小限に抑えることができる。処理流体の化学薬品は、化学薬品で飽和され、選択されたダイと接触して配置されるフォームまたはその他の材料によって供給することもできる。
【0023】
いくつかの実施態様では、アクチュエータ103がディスペンサ102または支持体106に接続され、それらの相対位置を制御する。アクチュエータ103は、ディスペンサ102または支持体106を2つの直交する方向に移動させるための一対のリニアアクチュエータを含むことができる。考えられるディスペンサ機構には、液滴吐出(例えば、圧電駆動による)、スピンオン、スプレーオン、およびスクリーン印刷が含まれる。
【0024】
以下でさらに説明するように、流体の化学的性質は処理の種類によって異なる。いくつかの実施態様では、ディスペンス機構に応じて、処理ステーション100は、処理流体104が適用される基板の表面の領域を制御するためのマスク140を含む。マスク140は、処理を必要とする特定のダイが基板間で同じである場合、例えば、上流プロセスからの一貫した不均一性を補正するために使用することができる。マスク140は、ディスペンスプロセス中に基板表面に対して一定の高さに保持することができ、基板上の特定の領域のみが処理を受けることを可能にする。いくつかの実施態様では、垂直アクチュエータ142が、基板10の上面とマスク140との間の距離を調整することができる。
【0025】
スクリーン印刷の場合、マスク140は基板表面と接触して保持することができ、ディスペンサは基板10全体に処理流体を広げるためのローラまたはブレードを含むことができる。液滴吐出の場合、ディスペンサ102は、処理流体が選択されたダイ上にのみディスペンスされるように吐出を制御しながらアクチュエータ103によって基板を横切って横方向に移動させることができるが、基板10上の他の領域への吐出を防止するためにマスク140が使用され得る。スピンオン印刷の場合、支持体106が回転している間、処理流体がディスペンサから流れることができる。
【0026】
処理技術に応じて、処理ステーション100は、処理流体を硬化するためのエネルギー源120を含むこともできる。例えば、エネルギー源は、架橋ポリマーなどの流体を硬化させるためのUV光源またはUV光源のアレイとすることができる。代替的に、エネルギー源は、流体を適用した後に熱処理を提供するヒータ、例えばIRランプまたはIRランプのアレイであってもよい。いくつかの実施態様では、エネルギー源は、例えばアクチュエータによって基板全体にわたって走査され、選択されたダイに対応する特定の領域を処理するために制御可能に変調される。
【0027】
処理技術に応じて、処理ステーション100は基板表面洗浄装置130を含むこともできる。表面洗浄装置130は、流体源と、基板10の表面全体に流体134を流すように配置された出口132とを含むことができる。いくつかの実施態様では、流体はガス、例えば濾過された空気、N2、または不活性ガスである。例えば、表面処理が2つのCMPステップの間に行われる場合、ガスを使用して、表面処理流体を適用する前に、選択したダイから余分な水および/または研磨液を吹き飛ばすことができる。いくつかの実施態様では、処理流体を除去するため、例えばエッチャントを除去するため、流体は液体、例えば脱イオン水である。いくつかの実施態様では、例えば、処理流体がフォトレジストである場合、流体は、処理流体の露光された部分または未露光部分を除去するための現像液である。基板表面洗浄装置130は、過剰な処理流体を吸引するための真空源を含むこともできる。したがって、基板表面洗浄装置は、化学薬品またはガス供給ノズル、化学薬品またはガス供給ノズルのアレイ、真空ノズル、または真空ノズルのアレイを含むことができる。
【0028】
研磨ステーション20と処理ステーション100は単一のツールに統合することができる。この場合、動作中、研磨される基板10は、研磨ステーション20で研磨される前に、例えばファクトリインターフェースモジュールを介してカセットから処理ステーション100に移送され得る。次に、基板は研磨ステーション20に移送され、研磨され、その後、ファクトリインターフェースモジュールを介して同じまたは異なるカセットに戻される。いくつかの実施態様では、基板10は、例えば、トラックに沿ったキャリアヘッドの移動またはカルーセルの回転によって、同じキャリアヘッド70内に留まりながら、処理ステーション100から研磨ステーション20に移送される。このような実施態様では、基板は処理と研磨の両方でフェイスアップまたはフェイスダウンの位置に留まる。いくつかの実施態様では、基板10は、別個のロボットによって処理ステーション100から研磨ステーション20に移送される。例えば、基板はインライン処理ステーションで処理され、その後ロボットによって持ち上げられ、研磨システムのローディングステーションに挿入され得る。このような実施態様では、移送時に基板をロボットによってフェイスアップからフェイスダウンの向きに反転させることができ、または処理と研磨の両方で基板がフェイスアップもしくはフェイスダウンの位置に留まることができる。
【0029】
いくつかの実施態様では、研磨ステーション20と処理ステーション100とは互いに独立しており、例えば同じ洗浄室内など、互いに近接して配置される。
【0030】
研磨装置5は、制御システム90、例えば、プログラムされたコンピュータまたはマイクロコントローラなどのコントローラによって制御することができる。例えば、制御システムは、研磨ステーション20のさまざまなパラメータ、例えば、キャリアヘッドの位置および回転速度、プラテンの回転速度、研磨液の流量などを制御するためのモータまたはアクチュエータを制御することができる。同様に、制御システム90は、選択された場所に処理流体を制御可能にディスペンスするように、処理ステーション100のさまざまなパラメータ、例えば、基板10とディスペンサ102の相対位置を制御するためのアクチュエータ103、処理流体104のディスペンスのタイミングを制御するためのバルブを制御することができる。さらに、制御システム90は、基板を処理ステーション100から研磨ステーション20に移送するロボットまたは他の搬送機構の動作を制御することができる。
【0031】
図2を参照すると、基板10は複数のダイ12を含む。ダイ12はスクライブライン14によって分離することができる。少なくとも1つのダイ12aは、他のダイと比較して多かれ少なかれ研磨する必要がある。これは、入ってくる基板の不均一性、例えば他のダイと比較してダイ12a上の層が厚いか薄い、または研磨ステーション20による研磨の固有の不均一な研磨速度、またはその組み合わせによるものである可能性がある。
【0032】
処理ステーションのディスペンサは、選択されたダイ12aに対応する基板の領域16上に処理流体を適用し、研磨ステーションにおける選択されたダイ12aのその後の研磨速度を調整するために使用される。各領域16は、対応する選択されたダイ12aと完全に重なることができる。処理流体は、残りのダイ、すなわちダイ12のうちの少なくとも1つには適用されない。
【0033】
図3を参照すると、制御システムによって研磨装置を動作させる方法は、基板上のどのダイ(別名、選択されたダイ)が処理を必要とするかを示すデータを取得することを任意に含むことができる(202)。データは、処理によって研磨速度が増加するか減少するかを示すこともできる。
【0034】
例えば、フィードフォワード技術では、基板上の複数のダイのそれぞれの位置で研磨される層の厚さを測定できる。測定はインラインまたは独立の計測ステーションで実行され得る。厚さ測定に基づいて、コントローラは、デフォルトの厚さ値またはダイの平均厚さからしきい値を超えて変化する層厚を持つダイを決定できる。コントローラは、これらのダイが処理のために選択されたことを示すデータを保存できる。
【0035】
別の例として、フィードバック技術では、研磨後の層の厚さを基板上の複数のダイのそれぞれの位置で測定できる。測定はインラインまたは独立の計測ステーションで実行され得る。コントローラは、デフォルトの厚さ値またはダイの平均厚さからしきい値を超えて変化する層厚を持つダイを決定できる。コントローラはその後、後続の基板上の対応するダイが処理のために選択されたことを示すデータを保存できる。
【0036】
さらに別の例として、基板上のどのダイが処理を必要とするかを示すデータは、例えば事前の実験的測定に基づいて、ユーザ入力によって受け取ることができる。
【0037】
基板は処理ステーションにロードされ、選択されたダイが処理流体で処理される(204)。この処理により、後続のCMP研磨プロセスで特定のダイの材料除去量が局所的に増加または減少する。
【0038】
いくつかの実施態様では、制御システムは、データに基づいて選択されたダイに処理流体を選択的にディスペンスするためにディスペンサの動作を制御する。例えば、液滴吐出プリンタをアクチュエータによるプリンタの動きと連動させて制御し、選択したダイ上にのみ処理流体を供給することができる。
【0039】
さらに別の例として、基板上のどのダイが処理を必要とするかを示すデータは、コントローラによって保存されないが、どのダイを処理するかの選択は、マスクの開孔の位置など、処理ステーションの物理的構成によって制御される。マスクの設計は、事前の実験的測定に基づいて行うことができる。
【0040】
いくつかの実施態様では、処理には、選択されたダイ上に保護膜を形成することが含まれる。保護膜は、架橋性ポリマーなどの有機材料の層、または水ガラスなどの無機材料の層にすることができる。保護膜は、研磨される層と比較して薄くてもよく、例えば、研磨される層の厚さの10%以下、例えば5%以下、例えば2.5%以下とすることができる。
【0041】
保護膜は後続の研磨プロセスで除去することもできるが、その場合、層の研磨に費やされない時間が消費されてしまう。保護膜を除去するための研磨プロセスに必要な時間は、厚さ、分子量、架橋度などの保護膜の物理的特性によって異なる。いくつかの実施態様は、保護膜の厚さ、または硬化の程度(露光時間またはエネルギー源の強度による)は、選択したダイの層の層厚とデフォルトの薄さまたは平均厚さの値との間の差に応じてスケールすることを示すデータに従って制御システムによって制御される。
【0042】
いくつかの実施態様では、処理には、研磨プロセスをより効果的にする、すなわちより高い研磨速度にするために、選択されたダイ上の研磨される層に損傷を与える「破壊的」プロセスが含まれる。破壊的プロセスには、超音波処理ノズルや運動エネルギーによる、または化学エッチング液の供給による微小亀裂や表面損傷の形成や表面腐食が含まれ得る。この破壊的プロセスは、選択したダイ上の層の厚さを実際に減少させることなく発生し得る。層の脆弱な部分の厚さは、超音波処理の出力、化学薬品の流量、処理時間などによって異なり得る。
【0043】
いくつかの実施態様では、処理には、選択されたダイ上に表面単層を形成することが含まれる。表面単層は表面の親水性を変化させ、研磨液と選択したダイ上の層の表面の間の相互作用に影響を与え得る。選択したダイの初期除去速度は、表面単層が完全に除去されるまで、例えば親水性または疎水性の程度に応じて、処理なしのダイよりも高くなったり低くなったりする可能性がある。
【0044】
いくつかの実施態様では、処理は、選択されたダイの層上に異なる材料の表面層を形成することを含む。例えば、特定の酸化剤を適用すると、選択したダイの金属層(CuまたはW層など)の表面を、所与のCMP研磨液でより高いまたはより低い除去速度を有し得る異なる状態に酸化することができる。特定のダイの表面を阻害剤または促進剤で処理して、次のステップでの初期CMP除去速度を変化させることもできる。
【0045】
全体として、上記のいずれの技術でも、処理条件は各ダイに必要な除去量デルタに依存し得る。除去量デルタは、各ダイのエッチング深さなどのCMP上流プロセス、同じCMPプロセスで研磨された以前のウエハで取得されたCMP後のダイ測定情報、CMPからのその場計測情報(現在のウエハ上の各ダイで取得された残りの膜厚など)、またはこれらの情報の組み合わせから決定され得る。特定のダイの除去量デルタが決定されると、それに応じて、処理時間、化学薬品の流量、温度、UV強度、硬化時間などの処理条件が決定され得る。
【0046】
処理後、基板は研磨ステーションで化学機械研磨プロセス(206)を受ける。
【0047】
上記の技術では、CMP研磨ステップ前の処理について説明しているが、CMP研磨を続行する前に、例えば研磨ステーションから基板を除去するなど、CMP研磨プロセスの途中で処理を適用することもできる。さらに、この処理は、研磨ステーションでの研磨の前、ただし後続の研磨ステーション、バフ研磨ステーション、またはリワークステーションでの研磨前に実行することもできる。
【0048】
図2は個々のダイに適用される処理を示しているが、処理は複数のダイをカバーするように基板の特定の領域に適用することもできる。例えば、円、円錐、またはその他の形状の特定の半径に処理を適用できる。この処理は、ダイ内で関心のある特定の特徴部に適用することもできる。
【0049】
CMP前処理を実行するためのハードウェアは、ウエハ研磨のアンロード/ローディングエリア、または2つのCMP研磨チャンバ間の経路に設置できる。研磨チャンバシステムごとにデュアルヘッドのこのようなCMP前処理ハードウェアを搭載することの独特の利点は、研磨チャンバに進む前に1枚のウエハが処理されているとき、チャンバ内では別のウエハの研磨が行われるため、CMPスループットに対するCMP前処理の実行が、まさに最小限になることである。
【0050】
本明細書で使用される場合、基板という用語には、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリまたはプロセッサダイを含む)、テスト基板、ベア基板、およびゲート基板が含まれ得る。基板は、集積回路製造のさまざまな段階にある可能性があり、例えば、基板はベアウエハである場合もあれば、1つまたは複数の堆積および/またはパターン化された層を含む場合もある。基板という用語には、円形のディスクや長方形のシートが含まれ得る。
【0051】
上述の研磨装置および方法は、さまざまな研磨システムに適用することができる。研磨パッド、キャリアヘッド、またはその両方が移動して、研磨面と基板との間に相対運動を提供できる。例えば、プラテンは回転するのではなく周回する場合がある。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他の形状)のパッドであってもよい。終点検出システムのいくつかの側面は、例えば研磨パッドが直線的に移動する連続ベルトまたはオープンリールベルトである場合など、直線研磨システムに適用され得る。研磨層は、標準的な(例えば、充填剤の有無にかかわらずポリウレタン)研磨材、軟質材、または固定砥粒材であってもよい。相対位置の用語が使用される。つまり、研磨面および基板は垂直方向または他の方向に保持できることを理解されたい。
【0052】
本明細書で説明されるさまざまなシステムおよびプロセス、またはそれらの一部の制御は、1つまたは複数の非一時的な機械可読ストレージ媒体に記憶され、1つまたは複数の処理デバイス上で実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品で実施され得る。本明細書で説明されるシステム、またはその一部は、本明細書で説明される動作を実行するための実行可能命令を記憶するための1つまたは複数の処理デバイスおよびメモリを含み得る装置、方法、または電子システムとして実施され得る。
【0053】
本明細書には多くの特定の実施態様の詳細が含まれているが、これらは発明の範囲または特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態に関連して本明細書で説明される特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されるさまざまな特徴は、複数の実施形態で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで機能するものとして上で説明されており、最初はそのように主張されている場合もあるが、場合によっては、クレームされた組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、組み合わせから削除することができ、クレームされた組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形例を対象とする場合がある。
【0054】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または図示されたすべての動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利になる場合がある。さらに、上述の実施形態におけるさまざまなシステムモジュールおよびコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、また、説明されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合することも、複数のソフトウェア製品にパッケージ化することもできることを理解されたい。
【0055】
主題の特定の実施形態について説明した。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
上記の技術では、CMP研磨ステップ前の処理について説明しているが、CMP研磨を続行する前に、例えば研磨ステーションから基板を除去するなど、CMP研磨プロセスの途中で処理を適用することもできる。さらに、この処理は、研磨ステーションでの研磨の、ただし後続の研磨ステーション、バフ研磨ステーション、またはリワークステーションでの研磨前に実行することもできる。
【国際調査報告】