(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】プラズマ処理性能を制御するようにリアルタイムパルス測定とパルスタイミング調整を行うためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240423BHJP
H05H 1/00 20060101ALI20240423BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/00 A
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568488
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022025402
(87)【国際公開番号】W WO2022240556
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,メリット
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB14
2G084CC08
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC16
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD15
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084HH02
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH15
2G084HH16
2G084HH17
2G084HH19
2G084HH20
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH25
2G084HH27
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH34
2G084HH42
2G084HH43
2G084HH52
2G084HH56
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004CA03
5F004CA06
5F004CA08
5F004CB05
5F004CB09
5F045AA08
5F045AA15
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH11
5F045EH14
5F045EH17
5F045EH20
5F045EM05
5F045GB06
(57)【要約】
パルスプラズマを制御するためのシステム及び方法の様々な実施形態について本明細書で記述する。プラズマ生成ソースのパルスタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を測定装置から受信した測定データに基づいて制御して、プラズマ処理チャンバ内で動的に制御されるパルスのシーケンス中の基板のプラズマ曝露を制御することができる。追加的に又は代替的に、基板のプラズマ曝露を制御するように、パルスタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を測定装置から受信した測定データに基づいて、ソース電力、バイアス電力、及び/又はその両方に適用することができる。パルスタイミングの変更は、フィードフォワード又はフィードバック方式で行われ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するためのシステムであって1つ以上の電源を含むシステムのプラズマ性能を制御する方法であって、
パルスプラズマ処理により前記基板を処理するためにプラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように、前記1つ以上の電源から前記プラズマ処理チャンバに、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含む前記第1の電力信号を供給することと、
前記1つ以上の電源から前記プラズマ処理チャンバに、第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含む前記第2の電力信号を供給することと、
前記第1の電力信号、前記第2の電力信号、前記プラズマ及び/又はチャンバ圧力に対応する測定データを生成することであって、前記測定データは、前記パルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで生成される、生成することと、
前記測定データに応答して、前記プラズマ処理中のプラズマの1つ以上の特性を制御するように、前記第1の電力信号のパルス幅及び/又は前記第2の電力信号のパルス幅を修正するために前記第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、前記第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又は前記チャンバ圧力を調整することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の電力信号を供給すること及び前記第2の電力信号を供給することが、前記第1の電力信号及び前記第2の電力信号を単一の電源から供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電力信号を供給することが第1の電源から第1の電力信号を供給することを含み、前記第2の電力信号を供給することが前記第1の電源とは異なる第2の電源から前記第2の電力信号を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定データを前記生成することが装置内測定データを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
測定データを前記生成することが、
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの光強度又は発光スペクトル、及び/又は
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの直流電圧(Vdc)レベル
のうち1つ以上を測定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記測定データを生成することが装置外測定データを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
測定データを前記生成することが、
前記第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、
前記第2の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、及び
前記第1の電力信号及び/又は前記第2の電力信号の少なくとも1つの高調波の電力、電圧、電流及び/又は位相
のうち1つ以上を測定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
制御される前記プラズマの1つ以上の特性が、前記プラズマのプラズマ密度、電子温度、ガス解離、エッチング材料選択性、イオン束及び/又はイオンエネルギーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電力信号がソース電力信号であり、前記調整することが、前記プラズマのプラズマ密度を制御するように前記第1の電力信号の前記パルスオン時間を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記調整することが、前記第1の電力信号の前記パルスオン時間を、前記パルスプラズマ処理のサイクル中に生成された前記測定データに基づいて、前記サイクル中にリアルタイムで調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定データを生成することが、前記第1の電力信号の立ち上がりエッジを前記パルスプラズマ処理のサイクル中に検出することを含み、前記調整することが、所定のプラズマ密度を維持するために、前記第1の電力信号の前記パルスオン時間を制御するように前記第1の電力信号の立ち下がりエッジを前記パルスプラズマ処理の前記サイクル中に調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の電力信号がバイアス電力信号であり、前記調整することが、前記プラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように前記第2の電力信号の前記パルスオン時間を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記調整することが、前記第2の電力信号のパルスオン時間を、前記パルスプラズマ処理のサイクル中に生成された前記測定データに基づいて、前記サイクル中にリアルタイムで調整することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
測定データを前記生成することが、前記パルスプラズマ処理の各サイクル中に前記第2の電力信号の立ち上がりエッジを検出することを含み、前記調整することが、所定のイオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために、前記第2の電力信号の前記パルスオン時間を制御するように前記パルスプラズマ処理の各サイクル中に前記第2の電力信号の立ち下がりエッジを調整することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電力信号の前記パルスオン時間が前記パルスプラズマ処理の現行サイクル中に調整される場合、前記調整することが、前記現行サイクル中に行われた前記調整に基づいて、前記パルスプラズマ処理の次のサイクルで前記第2の電力信号の前記パルスオン時間及び前記パルスオフ時間を調整することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記調整することが、前記第1の電力信号と前記第2の電力信号との相対的なタイミングを制御するように実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記調整することが、前記第1の電力信号の前記パルスオフ時間と前記第2の電力信号の前記パルスオン時間との時間差を制御するように実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
測定データを前記生成することが、前記プラズマ処理チャンバに供給される複数のプラズマパルスの列からの前記プラズマ内のパルスを測定するために単一の測定装置を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記測定データを前記生成することが、(a)前記第1の電力信号の電力、電圧又は電流、(b)前記第2の電力信号の電力、電圧又は電流、及び/又は(c)前記第1の電力信号又は前記第2の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流を測定しながら、前記プラズマの発光スペクトルを測定することを含み、前記方法が、プラズマの発光スペクトルを、(a)前記第1の電力信号の前記電力、電圧又は電流、(b)前記第2の電力信号の前記電力、電圧又は電流、又は(c)前記第1の電力信号又は前記第2の電力信号の前記高調波の前記電力、電圧又は電流と比較すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
測定データを前記生成することが、前記プラズマ処理チャンバ内の前記チャンバ圧力を測定することを含み、前記調整することが前記プラズマの1つ以上の特性を制御するように前記プラズマ処理中に前記チャンバ圧力を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
基板を処理するためのシステムであって、
パルスプラズマ処理により前記基板を処理するように構成されたプラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように、前記プラズマ処理チャンバに対し、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含む第1の電力信号及び第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含む第2の電力信号を供給するように結合された1つ以上の電源と、
前記第1の電力信号、前記第2の電力信号、前記プラズマ又はチャンバ圧力に対応する測定データであって前記プラズマ処理チャンバ内での前記パルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで生成される測定データを生成するように構成された1つ以上の測定装置と、
前記1つ以上の電源及び前記1つ以上の測定装置に結合されたコントローラであって、前記測定データに応答して、前記コントローラが、前記第1の電力信号のパルス幅及び/又は前記第2の電力信号のパルス幅を修正して前記プラズマ処理中の1つ以上のプラズマ特性を制御するために、前記第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、前記第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又は前記チャンバ圧力を調整するように構成されているコントローラと
を含むシステム。
【請求項22】
前記第1の電力信号及び前記第2の電力信号が単一の電源から供給される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の電力信号が第1の電源から供給され、前記第2の電力信号が前記第1の電源とは異なる第2の電源から供給される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記測定データが、
前記第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、
前記第1の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流、
前記第2の電力信号の電力、電圧、電流、及び/又は位相、
前記第2の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流、
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの光強度又は発光スペクトル、
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの直流電圧(Vdc)レベル、及び
前記プラズマ処理チャンバ内の前記チャンバ圧力
のうち1つ以上を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の電力信号がソース電力信号であり、前記コントローラが、前記プラズマのプラズマ密度を制御するように前記第1の電力信号の前記パルスオン時間を調整するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラが、前記パルスプラズマ処理のサイクル中に、前記サイクル中に前記1つ以上の測定装置が生成した前記測定データに基づいて、前記第1の電力信号の前記パルスオン時間をリアルタイムで調整するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つ以上の測定装置が、前記パルスプラズマ処理の前記サイクル中に前記第1の電力信号の立ち上がりエッジを検出するように構成され、前記1つ以上の測定装置により検出された前記第1の電力信号の前記立ち上がりエッジに基づいて、前記コントローラが、所定のプラズマ密度を維持するために、前記第1の電力信号の前記パルスオン時間を制御するように前記パルスプラズマ処理の前記サイクル中に前記第1の電力信号の立ち下がりエッジを調整するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記第2の電力信号がバイアス電力信号であり、前記コントローラが、前記プラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように前記第2の電力信号の前記パルスオン時間を調整するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラが、前記パルスプラズマ処理のサイクル中に、前記サイクル中に生成された前記測定データに基づいて前記第2の電力信号の前記パルスオン時間をリアルタイムで調整するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記1つ以上の測定装置が、前記パルスプラズマ処理の前記サイクル中に前記第2の電力信号の立ち上がりエッジを検出するように構成され、前記1つ以上の測定装置により検出された前記第2の電力信号の前記立ち上がりエッジに基づいて、前記コントローラが、所定のイオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために、前記第2の電力信号の前記パルスオン時間を制御するように前記パルスプラズマ処理の前記サイクル中に前記第2の電力信号の立ち下がりエッジを調整するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2の電力信号の前記パルスオン時間が前記パルスプラズマ処理の現行サイクル中に調整された場合、前記コントローラが、前記現行サイクル中に行われた前記調整に基づいて、前記パルスプラズマ処理の次のサイクルで前記第2の電力信号の前記パルスオン時間及び前記パルスオフ時間を調整するように更に構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
1つ以上の測定装置が前記パルスプラズマ処理中にプラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力を測定するように構成されていて、前記コントローラが、指定されたプラズマ密度、イオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために前記パルスプラズマ処理中に前記チャンバ圧力を調整するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
基板を処理するためのシステムであって、
パルスプラズマ処理により基板を処理するように構成されたプラズマ処理チャンバであって第1の電力供給システム及び第2の電力供給システムを含むプラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように前記第1の電力供給システムに第1の電力信号を供給するように結合された第1の電源であって前記第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を規定するタイミングパラメータの第1の組を含む第1の電源と、
前記第2の電力供給システムに第2の電力信号のパルスオン時間とパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含む第2の電力信号を供給するように結合された第2の電源と、
前記プラズマ処理チャンバ内での前記パルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで測定データを生成するように構成された1つ以上の測定装置であって、前記測定データが、(a)前記第1の電力信号及び/又は前記第2の電力信号に対応する装置外測定データ、及び(b)前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ又はチャンバ圧力に対応する装置内測定データを含む1つ以上の測定装置と、
前記第1の電源、前記第2の電源、及び前記1つ以上の測定装置に結合されたコントローラであって、前記測定データに応答して、前記コントローラが、前記パルスプラズマ処理中の1つ以上のプラズマ特性を制御するように前記第1の電力信号のパルス幅及び/又は前記第2の電力信号のパルス幅を修正するために、前記第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、前記第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又は前記チャンバ圧力を調整するように構成されているコントローラと
を含むシステム。
【請求項34】
前記1つ以上の測定装置によって生成された前記装置内測定データが、
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの光強度又は発光スペクトル、
前記プラズマ処理チャンバ内で生成された前記プラズマの直流電圧(Vdc)レベル、及び
前記プラズマ処理チャンバ内の前記チャンバ圧力
のうち1つ以上を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記1つ以上の測定装置が生成した前記装置外測定データが、
前記第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、
前記第1の電力信号の高調波の電力、電圧、電流及び/又は位相、
前記第2の電力信号の電力、電圧、電流、及び/又は位相、及び
前記第2の電力信号の高調波の電力、電圧、電流、及び/又は位相
のうち1つ以上を含む、請求項33に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2021年5月12日出願の米国非仮特許出願第17/318,116号の優先権を主張するものであり、その全文が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、プラズマ処理装置における基板の処理に関する。特に、プラズマ処理装置内で生成されるプラズマのパルスタイミングの監視と調整を行うためのシステム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
基板(半導体ウェハ等)の処理にプラズマシステムを用いることは公知である。プラズマ処理システムは、プラズマエッチング及び/又はプラズマ堆積処理で利用されることが多い。例えば、プラズマ処理システムは微小電子又は微小機械素子を形成するように基板のエッチングに用いられ得る。プラズマ処理システムは、プラズマ処理チャンバ内の混合ガスに高周波電力を供給してプラズマ処理チャンバ内のガスをイオン化することによりプラズマを生成する。従来のハードウェア及び処理技術では基板全体にわたるイオン又はプラズマ密度の分布が不均一になることがある。更に、従来のシステムでは特定の処理条件及び/又は特定のプラズマガスの下で充分なプラズマ密度が得られないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ処理には多くの技術的課題があり、基板上の構造及び層の形状が微細化するにつれてプラズマの制御が益々重要になる。プラズマ処理の性能は、プラズマ種、プラズマ密度、イオンの運動エネルギー、反応性中性物質等、多くの変数の影響を受ける。プラズマ処理装置の可変設定を調整することによりプラズマ特性を変更して所望の処理性能を実現することができる。これらの設定には、全て当技術分野で公知のガス流量、ガス圧力、プラズマ励起用電力、バイアス電圧等が含まれるが、これらに限定されない。これらの設定はプラズマ特性に直接関連していないため、所望の処理性能を実現するプラズマ特性の制御性が問題になることが多い。基板処理への要求が益々厳しくなるにつれて、プラズマ特性の制御性の向上が必要とされている。
【0005】
プラズマ制御の最適化は、動的に制御される処理ステップのシーケンスを通じて実行され、制御方法は、基板表面が常に変化する状態でプラズマ分布の均一性、プロファイル制御及びプラズマ密度プロファイルを維持するための要素である。従来のハードウェア及び処理技術は、エッチング又は蒸着処理シーケンスの実行中にプラズマを応答的に制御する充分なメカニズムを提供しない。固定されたプラズマパラメータ設定の問題は、特定のシステムアーキテクチャ、又は特定の用途における特定のエッチングガス化学物質の使用により悪化するおそれがある。従来のシステムは、このような状況で一貫して安定且つ最適なプラズマ場を提供するには適していない。結果的に、製品の品質及びスループットが損なわれるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パルスプラズマを制御するためのシステム及び方法の様々な実施形態について本明細書で記述する。プラズマ生成ソースのパルスタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を測定装置から受信した測定データに基づいて制御して、プラズマ処理チャンバ内で動的に制御されるパルスのシーケンス中の基板のプラズマ曝露を制御することができる。追加的に又は代替的に、基板のプラズマ曝露を制御するように、パルスタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を測定装置から受信した測定データに基づいて、ソース電力、バイアス電力、及び/又はその両方に適用することができる。パルスタイミングの変更は、フィードフォワード又はフィードバック方式で行われ得る。
【0007】
一実施形態によれば、本明細書において、基板を処理するためのシステムであって1つ以上の電源を含むシステムのプラズマ性能を制御する方法を提供する。一般に、本方法は、パルスプラズマ処理により基板を処理するためにプラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように、1つ以上の電源からプラズマ処理チャンバに第1の電力信号を供給することと、1つ以上の電源からプラズマ処理チャンバに第2の電力信号を供給することを含んでいてよい。第1の電力信号は、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含んでいてよい。同様に、第2の電力信号は、第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含んでいてよい。また、本方法は、第1の電力信号、第2の電力信号、プラズマ及び/又はチャンバ圧力に対応する測定データを生成することを含んでいてよく、測定データはパルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで生成される。更に、本方法は、測定データに応答して、プラズマ処理中のプラズマの1つ以上の特性を制御するように、第1の電力信号のパルス幅及び/又は第2の電力信号のパルス幅を修正するために第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又はチャンバ圧力を調整することを含んでいてよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記第1の電力信号を供給すること及び前記第2の電力信号を供給することは、前記第1の電力信号及び前記第2の電力信号を単一の電源から供給することを含んでいてよい。他の複数の実施形態において、前記第1の電力信号を供給することは第1の電源から第1の電力信号を供給することを含み、前記第2の電力信号を供給することは第1の電源とは異なる第2の電源から第2の電力信号を供給することを含んでいてよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記測定データの生成は装置内測定データを生成することを含んでいてよい。例えば、前記測定データを生成することは、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの光強度又は発光スペクトル、及び/又はプラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの直流電圧(Vdc)レベルのうち1つ以上を測定することを含んでいてよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記測定データの生成は装置外測定データを生成することを含んでいてよい。例えば、前記測定データを生成することは、第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、第2の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、並びに第1の電力信号及び/又は第2の電力信号の少なくとも1つの高調波の電力、電圧、電流及び/又は位相のうち1つ以上を測定することを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、前記測定データを生成することは、基本周波数の電力レベルと、第1の電源及び第2の電源の最大5つの高調波の電圧、電流及び位相を測定することを含んでいてよい。このような実施形態において生成された測定データは個別に、又は組み合わせて選択的に用いることができる。
【0011】
1つ以上のタイミングパラメータを前記調整する間に制御されるプラズマの1つ以上の特性は、プラズマのプラズマ密度、電子温度、ガス解離、エッチング材料選択性、イオン束及び/又はイオンエネルギーを含んでいてよいが、これらに限定されない。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1の電力信号はソース電力信号であってよく、前記調整することは、プラズマのプラズマ密度を制御するように第1の電力信号のパルスオン時間を調整することを含んでいてよい。実施形態の一例において、前記調整することは、第1の電力信号のパルスオン時間を、パルスプラズマ処理のサイクル中に生成された測定データに基づいて当該サイクル中にリアルタイムで調整することを含んでいてよい。例えば、前記測定データを生成することは、第1の電力信号の立ち上がりエッジをパルスプラズマ処理のサイクル中に検出することを含み、前記調整することは、所定のプラズマ密度を維持するために、第1の電力信号のパルスオン時間を制御するように第1の電力信号の立ち下がりエッジをパルスプラズマ処理のサイクル中に調整することを含んでいてよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2の電力信号はバイアス電力信号であってよく、前記調整することは、プラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように第2の電力信号のパルスオン時間を調整することを含んでいてよい。実施形態の一例において、前記調整することは、第2の電力信号のパルスオン時間を、パルスプラズマ処理のサイクル中に生成された測定データに基づいて当該サイクル中にリアルタイムで調整することを含んでいてよい。例えば、前記測定データを生成することは、パルスプラズマ処理の各サイクル中に第2の電力信号の立ち上がりエッジを検出することを含み、前記調整することは、所定のイオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために、第2の電力信号のパルスオン時間を制御するようにパルスプラズマ処理の各サイクル中に第2の電力信号の立ち下がりエッジを調整することを含んでいてよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、第2の電力信号のパルスオン時間がパルスプラズマ処理の現行サイクル中に調整される場合、前記調整することは、現行サイクル中に行われた調整に基づいて、パルスプラズマ処理の次のサイクルで第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を調整することを更に含んでいてよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記調整することは、第1の電力信号と第2の電力信号との相対的なタイミングを制御するように実行することができる。例えば、前記調整することは、第1の電力信号のパルスオフ時間と第2の電力信号のパルスオン時間との時間差を制御するように実行することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記測定データを生成することは、プラズマ処理チャンバに供給される複数のプラズマパルスの列からのプラズマ内のパルスを測定するために単一の測定装置を用いることを含んでいてよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記測定データを生成することは、(a)第1の電力信号の電力、電圧又は電流、(b)第2の電力信号の電力、電圧又は電流、及び/又は(c)第1の電力信号又は第2の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流を測定しながら、プラズマの発光スペクトルを測定することを含んでいてよい。そのような実施形態において、本方法は、プラズマの発光スペクトルを、(a)第1の電力信号の電力、電圧又は電流、(b)第2の電力信号の電力、電圧又は電流、又は(c)第1の電力信号又は第2の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流と比較することを更に含んでいてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記測定データを生成することは、プラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力を測定することを含んでいてよい。そのような実施形態において、前記調整することは、プラズマの1つ以上の特性を制御するようにプラズマ処理中にチャンバ圧力を調整することを含んでいてよい。
【0019】
別の実施形態によれば、本明細書では基板を処理するためのシステムを提供する。当該システムは一般に、プラズマ処理チャンバ、1つ以上の電源、1つ以上の測定装置及びコントローラを含んでいてよい。プラズマ処理チャンバは一般に、パルスプラズマ処理により基板を処理するように構成されていてよい。1つ以上の電源は、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するためにプラズマ処理チャンバに第1の電力信号及び第2の電力信号を供給するように結合されていてよい。上述のように、第1の電力信号は、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含んでいてよく、第2の電力信号は、第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、第1の電力信号及び第2の電力信号は単一の電源から供給されてよい。他の複数の実施形態において、第1の電力信号が第1の電源から供給されていてよく、第2の電力信号が第1の電源とは異なる第2の電源から供給されてよい。
【0020】
1つ以上の測定装置が、第1の電力信号、第2の電力信号、プラズマ又はチャンバ圧力に対応する測定データを生成するように構成されていてよく、測定データは、プラズマ処理チャンバ内でのパルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで生成されてよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の測定装置が生成した測定データは、(a)第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、(b)第1の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流、(c)第2の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、(d)第2の電力信号の高調波の電力、電圧又は電流、(e)プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの光強度又は発光スペクトル、(f)プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの直流電圧(Vdc)レベル、及び(g)プラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力のうち1つ以上を含んでいてよい。
【0021】
コントローラは、1つ以上の電源及び1つ以上の測定装置に結合されていてよい。測定データに応答して、コントローラは、第1の電力信号のパルス幅及び/又は第2の電力信号のパルス幅を修正してプラズマ処理中の1つ以上のプラズマ特性を制御するために、第1の電力信号、第2の電力信号、及び/又はチャンバ圧力の1つ以上のタイミングパラメータを調整するように構成されていてよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の電力信号はソース電力信号であってよく、コントローラは、プラズマのプラズマ密度を制御するように第1の電力信号のパルスオン時間を調整するように構成されていてよい。実施形態の一例において、コントローラは、1つ以上の測定装置によりパルスプラズマ処理のサイクル中に生成された測定データに基づいて、第1の電力信号のパルスオン時間を当該サイクル中にリアルタイムで調整するように構成されていてよい。例えば、1つ以上の測定装置は、第1の電力信号の立ち上がりエッジをパルスプラズマ処理のサイクル中に検出するように構成されていてよい。1つ以上の測定装置により検出された第1の電力信号の立ち上がりエッジに基づいて、コントローラは、所定のプラズマ密度を維持するために、第1の電力信号のパルスオン時間を制御するように第1の電力信号の立ち下がりエッジをパルスプラズマ処理のサイクル中に調整するように構成されていてよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、第2の電力信号はバイアス電力信号であってよく、コントローラは、プラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように第2の電力信号のパルスオン時間を調整するように構成されていてよい。実施形態の一例において、コントローラは、パルスプラズマ処理のサイクル中に生成された測定データに基づいて、第2の電力信号のパルスオン時間を当該サイクル中にリアルタイムで調整するように構成されていてよい。例えば、1つ以上の測定装置は、パルスプラズマ処理のサイクル中に第2の電力信号の立ち上がりエッジを検出するように構成されていてよい。1つ以上の測定装置により検出された第2の電力信号の立ち上がりエッジに基づいて、コントローラは、所定のイオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために、第2の電力信号のパルスオン時間を制御するように第2の電力信号の立ち下がりエッジをパルスプラズマ処理のサイクル中に調整するように構成されていてよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、第2の電力信号のパルスオン時間をパルスプラズマ処理の現行サイクル中に調整する場合、コントローラは、現行サイクル中に行われた調整に基づいて、パルスプラズマ処理の次のサイクルで第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を調整するように更に構成されていてよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、1つ以上の測定装置は、パルスプラズマ処理中にプラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力を測定するように構成されていてよく、コントローラは、指定されたプラズマ密度、イオン束、及び/又はイオンエネルギーを維持するためにパルスプラズマ処理中にチャンバ圧力を調整するように構成されていてよい。
【0026】
更に別の実施形態によれば、基板を処理するための別のシステムを提供しており、当該システムは、プラズマ処理チャンバ、第1の電源、第2の電源、1つ以上の測定装置及びコントローラを含む。プラズマ処理チャンバは一般に、パルスプラズマ処理により基板を処理するように構成されていてよく、第1の電力供給システム及び第2の電力供給システムを含んでいてよい。第1の電源は、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように第1の電力供給システムに第1の電力信号を供給するように結合されていてよく、第2の電源は、第2の電力供給システムに第2の電力信号を供給するように結合されていてよい。上述のように、第1の電力信号は、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含んでいてよく、第2の電力信号は、第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含んでいてよい。
【0027】
1つ以上の測定装置は、プラズマ処理チャンバ内でのパルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで測定データを生成するように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、測定データは、(a)第1の電力信号及び/又は第2の電力信号に対応する装置外測定データ、及び(b)プラズマ処理チャンバ内のプラズマ又はチャンバ圧力に対応する装置内測定データを含んでいてよい。例えば、装置外測定データは、第1の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、第1の電力信号の電力、電圧又は高調波の電流、第2の電力信号の電力、電圧、電流及び/又は位相、及び第2の電力信号の電力、電圧又は高調波の電流のうち1つ以上を含んでいてよい。同様に、装置内測定データは、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの光強度又は発光スペクトル、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの直流電圧(Vdc)レベル、及びプラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力のうち1つ以上を含んでいてよい。
【0028】
コントローラは、第1の電源、第2の電源、及び1つ以上の測定装置に結合されていてよい。測定データに応答して、コントローラは、プラズマ処理中の1つ以上のプラズマ特性を制御するように第1の電力信号のパルス幅及び/又は第2の電力信号のパルス幅を修正するために第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又はチャンバ圧力を調整するように構成されていてよい。
【0029】
異なる又は追加的な特徴、変形、及び実施形態も実装でき、関連するシステム及び方法も利用可能である。
【0030】
以下の記述を類似参照番号で類似の特徴を示す添付の図面と合わせて参照することにより、本発明及びその利点をより完全に理解されよう。しかし、添付の図面は、開示する概念の複数の例示的な実施形態を示しているに過ぎず、開示する概念は同じく有効な他の複数の実施形態も包含できるため、本発明の範囲を限定するものではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】例示的なプラズマ処理システムを示すブロック図である。
【
図2A】プラズマ処理システムのプラズマ処理性能を制御するシステムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図2B】プラズマ処理システムのプラズマ処理性能を制御するシステムの別の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図3A】プラズマ処理システムのプラズマ処理性能を制御するシステムの別の実施形態を示すブロック図である。
【
図3B】
図1、2A~2B及び3Aに示すシステムのいずれかに含まれていてよい1つ以上の測定装置から取得できる測定データの例を示すグラフである。
【
図4】プラズマ処理性能を制御する制御ループを示すブロック図である。
【
図5】プラズマ処理チャンバに供給できる電力信号、又は測定されたプラズマパラメータに対応する様々なタイミングパラメータを示すグラフである。
【
図6】本明細書に記述する技術に従いプラズマ処理チャンバに供給される電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整するように用いられてよい様々な制御方法を示すグラフである。
【
図7】本明細書に記述する技術に従いプラズマ性能を制御する方法の一実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
プラズマ処理システムのプラズマ処理性能を制御するためのシステム及び方法の様々な実施形態を本明細書において提供する。本開示によるシステムは、1つ以上の電力信号を生成する1つ以上の電源を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、1つの電源を用いて1つ以上の電力信号を生成することができる。他の複数の実施形態において、2つ以上の電源を用いて2つ以上の電力信号を生成することができる。例示的な一実施形態において、本システムは、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するためにプラズマ処理チャンバに第1の電力信号を供給するように結合された第1の電源と、プラズマ処理チャンバに第2の電力信号を供給するように結合された第2の電源を含んでいてよい。本システムはまた、第1の電力信号、第2の電力信号、又はプラズマに対応する測定データを生成するように結合された1つ以上の測定装置と、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマの様々な特性を制御するように測定装置が生成した測定データを利用するように結合されたコントローラを含んでいてよい。測定データは、プラズマ処理チャンバ内でのプラズマ処理の実行中にリアルタイムで測定装置により生成されてコントローラに提供されてよい。リアルタイムデータを利用することにより、コントローラは、プラズマ処理の性能を制御するように第1の電源及び/又は第2の電源の1つ以上のパラメータをリアルタイムで調整するように構成されていてよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の電源及び第2の電源は、システム要件及びプラズマ性能に応じて変化させることができるパラメータの組(例えば、振幅、周波数、位相、パルスオン時間、パルスオフ時間等)を用いて電力信号を生成するように構成されていてよい。一実施形態において、プラズマ処理チャンバに対し、第1の電源は第1のパラメータの組によるソース電力を供給するように構成されていてよく、第2の電源は第2のパラメータの組によるバイアス電力を供給するように構成されていてよい。第1のパラメータの組及び第2のパラメータの組はコントローラ内に保存された電力レシピに指定されている場合がある。
【0034】
他の複数の実施形態において、第1の電源は、システム要件及びプラズマ性能に応じて変更可能なパラメータの組(例えば、振幅、周波数、位相、パルスオン時間、パルスオフ時間等)を用いて複数の電力信号を生成するように構成されていてよい。一実施形態において、プラズマ処理チャンバに対し、第1の電源は第1のパラメータの組によるソース電力を、及び第2のパラメータの組によるバイアス電力を供給するように構成されていてよい。第1のパラメータの組及び第2のパラメータの組は、コントローラ内に保存された電力レシピに指定されていてよい。
【0035】
好適な実施形態において、コントローラは、プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマのプラズマ密度を制御するように、測定装置から受信した測定データに基づいて、ソース電力の1つ以上のタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を調整することができる。追加的に又は代替的に、コントローラは、生成されたプラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように、測定装置から受信した測定データに基づいて、バイアス電力の1つ以上のタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)を調整することができる。ソース電力及び/又はバイアス電力の他のパラメータ(例えば、振幅、周波数、位相等)もまた、生成されたプラズマの様々な特性を制御するように測定データに基づいてコントローラにより調整することができる。
【0036】
一実施形態において、パルスプラズマシステムの多相パルスパターンにおいて、2つのパルス間の電力パルス形状及び位相関係を制御することができる。2つのパルスは1つの電力供給システムから供給されても、又はソース電源及びバイアス電源等、2つ以上の電力供給システムから供給されてよい。パルス形状及び位相の変更は、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間を修正することを含んでいてよい。この変更は、プラズマ及び処理動作に関するリアルタイム情報を提供するシステム測定装置からのデータに基づいてフィードフォワード型リアルタイム調整で実行することができる。いくつかの実施形態において、後続のパルスを制御するようにパルス形状及び位相の変更が行われるようにフィードバック制御を利用してよい。また他の複数の実施形態において、フィードフォワード制御とフィードバック制御の両方が一緒に行われてよい。パルスの形状及び変更は更に振幅の変更を含んでいてよい。パルス形状の変更を通じて、動的に制御されるパルスのシーケンス中の基板のプラズマ曝露は、パルスのシーケンス全体を通じてプラズマ密度、全イオン束及びエネルギーを維持及び/又は修正する。従って、エッチング処理中にパラメータを自動的に調整する能力を備えたリアルタイムのパルスタイミング制御を実現することができる。このような技術は、エッチングステップ中の基板負荷の影響、チャンバ状態の変動、基板毎の電源システムの電気的変動、ガスフローの変動等、広範な影響を補償することができる。
【0037】
本明細書に記述する技術は、様々なプラズマ処理システムで利用されてよい。例えば、本技術は、プラズマエッチング処理システム、プラズマ堆積処理システム、又は他の任意のプラズマ処理システム内で利用されてよい。
【0038】
図1に、開示する技術に関して使用可能であって例示目的に限って提供するプラズマ処理システム100の実施形態の一例を提供する。
図1に示すプラズマ処理システム100は容量結合プラズマ(CCP)処理システムであるが、当業者には本明細書に記述する技術が、誘導結合プラズマ(ICP)処理システム、マイクロ波プラズマ処理システム、ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA(商標))マイクロ波プラズマ処理システム、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理システム、又は他の種類の処理システム或いは複数のシステムの組み合わせにより実行できることが認識されよう。例えば、単一の電源だけを有するプラズマ処理システムを用いてもよい。従って、当業者には本明細書に記述する技術が様々なプラズマ処理システムのいずれでも利用できることを認識されよう。
図1に示すプラズマ処理システム100はまた、エッチング、堆積、洗浄、プラズマ重合、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)、原子層堆積(ALD)等を含むがこれらに限定されない様々な動作に用いることができる。
【0039】
図1をより詳細に確認するに、プラズマ処理システム100は基板110をプラズマ処理するプラズマ処理チャンバ105を含む。プラズマ処理チャンバ105は当技術分野で知られるように圧力制御チャンバであってよい。基板110(例えば、半導体ウェハ)が、プラズマ処理チャンバ105内に配置されたステージ又はチャック115上に保持されていてよい。いくつかの実施形態において、基板110はフォーカスリング(図示せず)に囲まれていてよい。プラズマ処理におけるフォーカスリングの使用は公知である。例えば、基板110がウェハである場合、フォーカスリングは典型的にウェハを囲む環状構造である。フォーカスリングは、(プラズマ160等の)プラズマを閉じ込める役割を果たし、フリンジ効果に起因するウェハ表面上のバイアス電位の不連続性を改善し、ウェハの周辺部分において均一且つ良好なプラズマ処理を実行するのに役立つ。
【0040】
プラズマ処理チャンバ105には
図1に示すように上部電極120及び下部電極125が設けられていてよい。下部電極125とチャック115は別個の要素として描かれているが、一体化されたユニットとして形成されていてよいことが認識されよう。更に、上部電極120は単一の要素として描かれているが、複数の電力結合要素(例えば、複数のアンテナ)を含む電力供給システムとして実装されてもよいことが認識されよう。このように、本明細書では用語「電極」を複数の電力結合要素を含む単一の結合要素又は電力伝送システムを指すものとして使用する。更に、図示していないが、プラズマ処理チャンバ105に処理ガスを供給するように様々なガス注入システム機構、例えばガスシャワーヘッド等も提供できることが認識されよう。
【0041】
図1に示す実施形態において、上部電極120は、第1のマッチングネットワーク155を介して第1の電源130に電気的に結合され、下部電極125は、第2のマッチングネットワーク157を介して第2の電源140に電気的に結合されている。いくつかの実施形態において、第1の電源130は第1のマッチングネットワーク155に上限周波数(f
U)のソース電圧135を、第2の電源140は第2のマッチングネットワーク157に下限周波数(f
L)のバイアス電圧145を供給することができる。いくつかの実施形態において、チャック115に電圧(図示せず)を印加することもできる。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1のマッチングネットワーク155及び第2のマッチングネットワーク157は反射電力を低減することにより、第1及び第2の電源からプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160への電力の伝達を向上させることができる。マッチングネットワークトポロジー(例えば、L型、π型、T型等)及び自動制御方法が当業者に公知である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の電源は、無線周波数(RF)電源であってよい。RF電源として実装されている場合、第1及び第2の電源は、1つ以上の周波数のRF電力を上部電極及び下部電極に供給するように構成されていてよい。第1及び第2の電源は、当技術分野で知られているように連続波源又はパルス源として実装されていてよい。
【0043】
図1に示すプラズマ処理システム100の要素は、対応するメモリ保存ユニット(図示せず)及びユーザーインターフェース(図示せず)に接続可能な制御ユニット170に接続可能且つ制御ユニット170により制御可能である。様々なプラズマ処理動作が、ユーザーインターフェースを介して実行でき、様々なプラズマ処理レシピ及び動作をメモリ保存ユニットに保存することができる。従って、様々な微細加工技術により所定の基板をプラズマ処理チャンバ105内で処理することができる。制御ユニット170が、プラズマ処理システム100の様々な要素から入力を受信して当該要素に出力を提供するように結合されていてよいことが認識されよう。例えば、制御ユニット170は、プラズマ処理チャンバ105、第1の電源130、第2の電源140、第1のマッチングネットワーク155、及び第2のマッチングネットワーク157内の複数の要素に結合されていてよい。制御ユニット170はまた、プラズマ処理システム100内に含まれていてよい様々なセンサ及び測定装置に結合されていてよい。
【0044】
制御ユニット170は、様々な方法で実施することができる。一例において、制御ユニット170はコンピュータであってよい。別の例において、制御ユニットは、本明細書に記述する機能を提供するようにプログラミングされた1つ以上のプログラマブル集積回路を含んでいてよい。例えば、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置等)、プログラマブル論理素子(例えば、複合プログラマブル論理素子(CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等)、及び/又は他のプログラマブル集積回路がプラズマ処理レシピの機能性を実装するようにソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラミングされていてよい。ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ記憶装置、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、再プログラマブル記憶装置、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROM等)に保存されていてよく、本明細書に記述する処理、機能、及び/又は能力をプログラマブル集積回路に実行させるべくプログラマブル集積回路により実行できることに更に注意されたい。他の変形例も実装可能である。
【0045】
動作中、プラズマ処理システム100は、第1のRF電源130及び第2のRF電源140からの電力を上部電極及び下部電極の各々に印加することによりプラズマ処理チャンバ105内でプラズマ160を生成する。いくつかのケースにおいて、プラズマ処理チャンバ105の本体に電力を印加するようにエッジ電源(図示せず)を用いてもよい。電力の印加により、上部電極120と下部電極125との間に高周波電場が生じてプラズマ処理チャンバ105へ送達された処理ガスを解離させてプラズマ160に変換する。生成されたプラズマ160を用いて、プラズマエッチング、蒸着及び/又はスパッタリング等の、但しこれらに限定されない様々な種類の処理において対象基板(基板110又は任意の処理対象材料等)を処理することができる。
【0046】
図1に示すプラズマ処理システム100の例において、2つのRF電源を用いてプラズマ処理チャンバ105内に高周波電場を生成する。いくつかの実施形態において、第1のRF電源130は、プラズマ処理チャンバ105に送達された処理ガスをプラズマ160に変換してプラズマ密度を制御するように比較的高い周波数(f
U)でソース電力を提供できるのに対し、第2のRF電源140は、生成されたプラズマのイオン束及びイオンエネルギーを制御するようにバイアス電力を提供する。当技術分野において知られているように、ソース電力及びバイアス電力は各々連続波(CW)プラズマを生成するように連続的に印加されても、又はプラズマ処理チャンバ105内にパルスプラズマを生成するようにパルス化されていてもよい。パルスプラズマは、ソース電力及び/又はバイアス電力の時間、振幅及び/又は位相を変調することにより生成することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、パルスプラズマ処理は、上部電極120に供給されるソース電圧135及び下部電極125に供給されるバイアス電圧145をパルス化することにより、プラズマ処理チャンバ105内で実行することができる。例えば、制御ユニット170(又は別のパルス信号制御装置)は、第1のRF電源130から出力されるソース電圧135及び/又は第2のRF電源140から出力されるバイアス電圧145を、所望のパルス周波数及びデューティ比でオフ状態とオン状態の間でパルス化してよい。ソース電圧135及び/又はバイアス電圧145を変調する(すなわち、パルス周波数及び/又はデューティ比を変化させる)ことにより、連続波(CW)プラズマで生成されるプラズマ特性とは顕著に異なるプラズマ特性を取得することができる。例えば、ソース電圧135のRF電力変調を用いて時間平均されたプラズマ密度を制御することができる。同様に、バイアス電圧145のRF電力変調を用いて、時間平均イオン束及びイオンエネルギーを制御することができる。
【0048】
一実装例において、第1のRF電源130は、約3MHz~150MHzの(又はより高い)高周波数範囲において約0~3000Wのソース電力を上部電極120に供給するように構成されていてよく、第2のRF電源140は、約0.2MHz~60MHzの低周波数(LF)範囲において約0~1400Wのバイアス電力を下部電極125に供給するように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、第1のRF電源130が提供するソース電力は0%~100%のデューティ比を有するパルスRF電力信号であってよく、第2のRF電源140が提供するバイアス電力は0%~100%のデューティ比を有するパルスRF電力信号であってよい。第1のRF電源10及び第2のRF電源140は連続波(CW)又はパルス源として動作することができる。ソース及びバイアス電源はまた、変化するデューティサイクルで複数のレベルの電力でパルス化することもできる。プラズマ処理システムの種類及び当該システムで実行される処理(例えば、エッチング、蒸着、スパッタリング等)の種類に応じて異なる動作範囲を用いることもできる。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つ以上の測定装置(センサ又は測定装置等)が、RF電源が提供する電力信号の1つ以上のパラメータを調整することにより、様々なプラズマ特性(例えば、プラズマ密度、イオン束、イオンエネルギー、電子温度(Te)、ラジカル濃度及びガスの比率等)を制御するように制御ユニット170が利用できるリアルタイムデータを収集するようにプラズマ処理チャンバ105に結合されていてよい。調整可能なパラメータの例として、例えば、ソース/バイアス電力信号の振幅、周波数、位相、パルスオン時間(すなわち、パルス幅)、電力レベル間のマルチレベルパルス、及び持続時間、並びにパルスオフ時間が挙げられる。いくつかの実施形態において、ソースとバイアス電力信号の時間差はプラズマの特性を制御するように調整可能な別のパラメータであってよい。例えば、ソース電力信号及び/又はバイアス電力信号のパルスオン時間及び/又はパルスオフ時間を互いに相対的に調整されてよい。実施形態の一例において、ソース電力信号のオフ時間とバイアス電力信号のオン時間の時間差は、ソースが停止又は出力低下された後のバイアスの始動を制御するように正確に制御することができる。バイアスが予測可能且つ繰り返し始動しない場合、バイアスにより抽出されるイオン線量は変化する。
【0050】
様々な測定装置を利用してプラズマ処理チャンバ105及び/又はRF電源130/140とプラズマ処理チャンバ105の間の信号伝送経路からリアルタイムデータを収集することができる。測定装置の例として、電力サンプリングセンサ、3点センサ、電磁(EM)センサ、光学センサ、電圧/電流センサ(V-Iセンサ)、直流電圧(Vdc)センサ等が含まれるが、これらに限定されない。制御ユニット170がプラズマ160の様々な特性を制御するように用いられてよいリアルタイムデータの収集に他の測定装置を追加的又は代替的に用いてもよいことが認識されよう。
【0051】
いくつかの実施形態において、例えば、第1のV-Iセンサ180及び第2のV-Iセンサ182が、上部電極及び下部電極に供給される電力信号の電流(I)及び/又は電圧(V)を検知するようにプラズマ処理チャンバ105に結合されていてよい。
図1に示すプラズマ処理システム100の例において、第1のV-Iセンサ180は、上部電極120に供給されるソース電力の電流及び/又は電圧を検知するように第1のマッチングネットワーク155と上部電極120との間に結合されている。第2のV-Iセンサ182は、下部電極125に供給されるバイアス電力の電流及び/又は電圧を検知するように第2のマッチングネットワーク157と下部電極125との間に結合されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1のV-Iセンサ180及び第2のV-Iセンサ182は各々別個の電力伝送システム内に含まれていてよく、内部を伝播する電力信号の電流及び/又は電圧を測定するように用いられてよい。例えば、第1のV-Iセンサ180は、第1のマッチングネットワーク155とプラズマ処理チャンバ105との間に結合された第1の電力供給システム内に含まれていてよい。第1のV-Iセンサ180は、第1の電力供給システムを通って伝播する電力信号(例えば、ソース電力)の電流及び/又は電圧の測定に用いられてよい。いくつかの実施形態において、第1のV-Iセンサ180は、同一電力伝送システム内に複数のV-Iセンサを含んでいてよい。同様に、第2のV-Iセンサ182は、第2のマッチングネットワーク157とプラズマ処理チャンバ105との間に結合された第2の電力供給システム内に含まれていてよい。第2のV-Iセンサ182は、第2の電力供給システムを通って伝播する電力信号(例えば、バイアス電力)の電流及び/又は電圧を測定するように用いられてよい。V-Iセンサの複数の実施形態の例が2020年6月26日出願の米国特許出願第16/913,526号明細書「RF Voltage and Current(V-I)Sensors and Measurement Methods」、及び2020年6月26日出願の米国特許出願第16/913,545号明細書「RF Voltage and Current(V-I)Sensors and Measurement Methods」に記載されており、各々の全文が本明細書に明示的に組み込まれている。
【0053】
いくつかの実施形態において、単一V-Iセンサを用いてプラズマ処理チャンバ105に供給される複数のプラズマパルスの列からのプラズマ内のパルスを測定することができる。例えば、第2のV-Iセンサ182を用いてソース電力及びバイアス電力から基板上に生成された電圧を測定することができるため、第2のV-Iセンサ182が1つのセンサを用いてソース及びバイアス生成器から生成された両方のパルスを測定することが可能になる。いくつかの実施形態において、ソース電圧及び/又はバイアス電圧の生成に複数の周波数を用いる場合、第1の高調波、第2の高調波及び第3の高調波からのバイアス電圧はソース電圧の第1の高調波とは異なる場合がある。このような実施形態において、1つのV-Iセンサを用いて
図5に示すような基本デュアルパルスソース/バイアス又はトリプルパルス形状のタイミングを測定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、V-Iアナライザ190は、第1のV-Iセンサ180及び第2のV-Iセンサ182から出力された未加工波形を受信することができる。V-Iアナライザ190は、V-Iセンサから出力された未加工波形から様々なRF信号特性を抽出するようにプログラミングされた信号プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)であってよい。V-Iアナライザ190により抽出できるRF信号特性の例として、電圧の大きさ(|V|)、電流の大きさ(|I|)、VとIの位相角(Φ)、及びピークRF電力(|V||I|cosΦ)が含まれる。これらのRF信号特性は、例えば、自由電子及びイオン密度、並びにイオン/ラジカルの束及びエネルギー等、様々なプラズマインピーダンス及びプラズマ特性を示すことができる。いくつかの実施形態において、V-Iアナライザ190は、V-Iセンサから出力された未加工波形から複数の周波数成分を抽出するように高調波解析を実行することができる。V-Iアナライザ190は、RF信号特性を
図1に示す制御ユニット170に提供することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、Vdcセンサ184がプラズマ処理チャンバ105内に含まれていてプラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマ160の直流電圧(Vdc)測定を提供することができる。Vdcセンサ184は、プラズマ処理システムフォーカスリング(図示せず)、チャック115又は基板110に結合されていてよい。Vdcセンサはまたプラズマ処理チャンバ105の他の領域にも配置されていてよいことが認識されよう。Vdcセンサ184により得られたVdc測定信号は制御ユニット170に供給されて処理制御に用いられてよい。Vdcセンサの複数の実施形態の例が米国特許出願公開第2021/0013005号明細書に記載されており、その全文が引用により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0056】
いくつかの実施形態において、光学センサ186(例えば、光フォトダイオード)が、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマ160の強度を検出するようにプラズマ処理チャンバ105内に含まれていてよい。いくつかの実施形態において、光学センサ186は、プラズマ処理チャンバ105に結合されてプラズマ処理チャンバ105内に電磁放射線の均一な分布を提供するように利用される誘電体(例えば、
図3Aの誘電体318)に結合されていてよい。他の複数の実施形態において、光学センサ186は、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の光強度を測定するようにプラズマ処理チャンバ105に直接結合されていても、又はプラズマ処理チャンバ105内で結合されていてもよい。
【0057】
代替的な実施形態において、光学センサを用いて、例えば特定の発光ライン及び発光ラインと比の組み合わせを用いてラジカル濃度を測定することにより、プラズマ160の光学発光スペクトルを測定することができる。これは光学フィルタの使用又は一般に知られている他の方法により実現することができる。プラズマ160の発光スペクトルの測定に光学センサを用いることにより、電気パルス電力入力信号(例えば、ソース又はバイアス電力信号の電力、電圧又は電流)と比較可能なリアルタイムの光プラズマ応答を提供することができる。光学センサが提供する光信号は、基板表面に最適なプラズマを提供するように制御可能な時間関係の別の測定を可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、プラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力を測定及び制御するように圧力コントローラ及び測定システム188をプラズマ処理チャンバ105に結合することができる。いくつかの実施形態において、圧力測定は、制御ユニット170に提供されてパルスプラズマ処理の制御の一部として用いられてよい。例えば、パルスプラズマ処理中に、パルスパラメータ(例えば、パルスオン時間又はパルスの大きさ)及び/又はチャンバ圧力を調整できるため、プラズマ測定値を制御することができる。
【0059】
図2A及び2Bに、プラズマ処理システムのプラズマ処理性能の制御に利用できるシステム200の様々な実施形態を示す。一実施形態において、
図2A又は2Bに示すシステム200は
図1に示すプラズマ処理システム100と一体的に実装されていてよい。例えば、システム200は一般に、プラズマ処理チャンバ内でプラズマ160を生成するようにプラズマ処理チャンバ105に第1の電力信号及び第2の電力信号を供給するように結合された1つ以上の電源(例えば、第1の電源202及び/又は第2の電源204)と、第1の電力信号、第2の電力信号、又はプラズマ160に対応するリアルタイムデータを収集するように結合された1つ以上の測定装置206と、プラズマ処理チャンバ105内で生成されたプラズマ160の様々な特性を制御するように測定装置206により収集されたリアルタイムデータを利用するように結合された電源コントローラ208を含む。代替的に、システム200の態様は、システム100の別々の、アドオン又は追加的特徴として実装されていてよい。例えば、測定装置はまた、プラズマ条件に関するデータを取得するためにプラズマ処理チャンバに結合されていてよく、そのようなデータもパルスタイミングパラメータを制御するものである。
【0060】
いくつかの実施形態において、複数の電源を用いてに第1の電力信号及び第2の電力信号を生成してプラズマ処理チャンバ105に供給することができる。
図2Aに示すように、例えば、第1の電力信号を供給するように第1の電源202が結合されていてよく、第2の電力信号をプラズマ処理チャンバ105に供給するように第2の電源204が結合されていてよい。他の複数の実施形態において、第1の電力信号及び第2の電力信号は単一の電源により生成及び供給されてよい。
図2Bに示すように、例えば、第1の電源202は第1の電力信号及び第2の電力信号をプラズマ処理チャンバ105に供給するように結合されていてよい。
図2Bに示す実施形態において、第1の電源202は、プラズマ処理チャンバに電力を供給するように第1の電力信号及び第2の電力信号を単一の電極に供給してよい。
【0061】
第1の電源202及び第2の電源204はRF及び/又はDC電源或いは発電機、及び/又はDC電源であってよい。より具体的には、第1の電源202及び第2の電源204は各々、システム要件及びプラズマ性能に応じて変更可能なパラメータの組(例えば、振幅、周波数、位相、パルスオン時間又はパルス幅、パルスオフ時間等)を用いて電力信号を生成するように構成されていてよい。一実施形態において、プラズマ処理チャンバ105に対し、第1の電源202は第1のパラメータの組によるソース電力を、第2の電源204は第2のパラメータの組によるバイアス電力を供給することができる。以下により詳細に記述するように、ソース電力の1つ以上のタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)は、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160のプラズマ密度を制御するように調整されてよい。同様に、バイアス電力の1つ以上のタイミングパラメータ(例えば、パルスオン時間及び/又はパルスオフ時間)をは、生成されたプラズマのイオン束/エネルギーを制御するように調整されてよい。
【0062】
1つ以上の測定装置206は、プラズマチャンバの装置内及び/又は装置外である測定データを生成するように結合及び構成されていてよい。一例において、1つ以上の測定装置206は、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力の1つ以上の特性を測定することにより、装置外測定データを生成するように構成されていてよい。別の例において、1つ以上の測定装置206は、電力信号、チャンバ圧力及び/又は処理チャンバに供給されるガスに対するプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の応答を測定することにより、装置内測定データを生成するように構成されていてよい。測定装置206の複数の例を
図1、3に示しており、本明細書で更に議論する。測定装置206により収集された測定データは電源コントローラ208に提供される。
【0063】
電源コントローラ208は、測定装置206により収集された測定データを受信するように結合されていて、測定データに応答して、第1の電源202の1つ以上のパラメータ、第2の電源204の1つ以上のパラメータ、又はチャンバ圧力を制御するように構成されている。いくつかの実施形態において、測定データは、プラズマ処理の実行中にリアルタイムで測定装置206により収集されて電源コントローラ208に提供されてよい。リアルタイムデータを利用することにより、電源コントローラ208はプラズマ処理の性能を制御するように第1の電源のパラメータ、第2の電源のパラメータ及び/又はチャンバ圧力をリアルタイムで調整するように構成されていてよい。一実施形態において、電源コントローラ208は
図1に示す制御ユニット170に実装されていてよい。
【0064】
一実施形態において、プラズマ処理チャンバ105に対し、第1の電源202は第1のパラメータの組によるソース電力を、第2の電源204は第2のパラメータの組によるバイアス電力を供給してプラズマ160を生成することができ、プラズマ160を用いて基板110にプラズマ処理(例えば、プラズマ堆積、エッチング、スパッタリング等)を実行することができる。測定装置206は、ソース電力の1つ以上の特性、バイアス電力の1つ以上の特性、及び/又はソース/バイアス電力に対するプラズマ処理チャンバ105内で生成されたプラズマ160の応答をプラズマ処理の実行中にリアルタイムで測定するように構成されていてよい。例えば、測定装置206は、RF電源とプラズマ処理チャンバ105の間で送信されるRF電力信号の電力(P)(例えば、順方向電力、反射電力、定在波電力、総電力等)、電力プラズマ160を生成するようにプラズマ処理チャンバ105に供給されるRF電力信号の電圧(V)、電流(I)及び/又は位相(Φ)、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の強度又は発光スペクトル、及びプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の直流電圧(Vdc)レベルのうち1つ以上を測定するように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、測定装置は追加的に、プラズマ処理チャンバ105内のチャンバ圧力を測定するように構成されていてよい。
【0065】
一実施形態において、電源コントローラ208は、プラズマ処理中にプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の様々な特性を制御するように、測定装置206により提供された測定データを用いて、第1の電源202が利用する第1のパラメータの組、第2の電源204が利用する第2のパラメータの組、及び/又はチャンバ圧力を調整することができる。例えば、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160のプラズマ密度を制御するように、第1の電源202が供給するソース電力の振幅、周波数、位相、パルスオン時間(すなわち、パルス幅)、及び/又はパルスオフ時間を調整することができる。
【0066】
追加的又は代替的に、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160のイオン束/エネルギーを制御するように、第2の電源204が供給するバイアス電力の振幅、周波数、位相、パルスオン時間(すなわち、パルス幅)、及び/又はパルスオフ時間を調整することができる。いくつかの実施形態において、電源コントローラ208は、プラズマ密度を更に制御又は増大するようにバイアス電力を低電力に維持することができる。バイアス電力を低電力に維持することにより、プラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマは、(a)エッチングを実行しているバイアスのより高い電力パルスの後で基板上方に粒子が浮遊すること、及び(b)副生成物を生成し、プラズマシースが完全に崩壊することなく副生成物がプラズマ処理チャンバから汲み出される時間を与えること、の両面でより安定させることができる。
【0067】
チャンバ圧力は、パルスの大きさ、傾き、及び測定装置206が提供する測定データの持続時間(又はパルス幅)に影響を及ぼす。いくつかの実施形態において、電源コントローラ208は、ソース電力、バイアス電力、及び/又はソース/バイアス電力に対するプラズマ応答の様々な特性を制御するように、プラズマ処理中にプラズマ処理チャンバ105内のチャンバ圧力を調整することができる。例えば、電源コントローラ208は、第2の電源204が提供する電流信号のパルス幅を増大させ、且つパルス振幅を減少させながら、第2の電源204(例えば、バイアス電源)からの測定された反射電力の量を減少させるべくプラズマ処理中にチャンバ圧力を増大させることができる。チャンバ圧力を増大させることによりプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の光強度のパルス幅及び振幅も増大させることができる。ソース電力、バイアス電力及び/又はソース/バイアス電力に対するプラズマ応答の他の特性もまたチャンバ圧力を調整することにより変更することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、第1の電源202及び第2の電源204は同一プラズマ生成装置(例えば、ソース又はバイアス)に接続されていてよく、第1及び第2の電源が供給する電力信号は重畳されてよい。このような実施形態において、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ105に連続電力又はパルス電力を供給するように第1の電源202を制御することができ、第1の電源202によりパルスを印加するための最適なプラズマ特性を維持するために、第2の電源204の電力又は時間、更には第1の電源202の電力を最小値より高く維持するように調整することにより、第2の電源204のオン時間が一定になるように調整することができる。
【0069】
図3Aに、プラズマ処理システムのプラズマ処理性能を制御するシステム300の別の実施形態を示す。
図3Aに示す実施形態において、システム300は、電力信号を生成する電源302と、電源302が生成した電力信号をプラズマ処理チャンバ105に伝播する様々なシステム要素と、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号の1つ以上の態様及び/又はプラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号に対するプラズマ処理チャンバ105内で生成されるプラズマ160の応答を測定する多くの測定装置を含む。
図3Aに示す実施形態において、プラズマ処理チャンバ105に電力信号を伝播するように用いられるシステム要素は、ミキサ304、電力増幅器306、同軸ケーブル(coax)対導波管投射部308、電力伝送結合部310、機械式同調装置312、電力結合器314、電力投射部316、及び誘電体318を含む。しかし、RF及び/又はDC電力信号をプラズマ処理チャンバ105に伝送する追加的又は代替的要素を用いてもよいことが認識されよう。
【0070】
いくつかの実施形態において、
図3Aに示すRF電源302は1つの電力信号を生成する単一の出力端を有していてよい。例えば、
図3Aに示す電源302は、
図2A又2Bを参照しながら上で述べた第1の電源202又は第2の電源204であってよい。このような実施形態において、システム300は、第1の電源202用及び第2の電源204用のシステム要素及び測定装置の組を含んでいてよい。
【0071】
別の実施形態において、
図3Aに示す電源302は、第1の電力出力端で第1の電力信号を生成するように第1のパラメータ組を利用でき、且つ第2の電力出力端で第2の電力信号を生成するように第2のパラメータ組を利用できる多出力RF又はDC電源を含んでいてよい。このような実施形態において、多出力電源が生成した第1の電力信号と第2の電力信号を切り替えるべくミキサ304が含まれていてよい。
【0072】
図3Aに示す実施形態において、電源302が生成した電力信号は、増幅のため電力増幅器306に供給される。例えば、電力増幅器306は電源302が生成した(RF及び/又はDC)電力信号をプラズマ処理チャンバ105内のプラズマ場を維持するのに適したレベルまで増幅することができる。いくつかの実施形態において、電力サンプリングセンサ322が電力増幅器306から出力される電力信号をサンプリングすることができる。例えば、電力サンプリングセンサ322は、電力増幅器306から出力される電力信号の順方向電力及び/又は反射電力を測定することができる。電力サンプリングセンサ322は、電力増幅器306から出力される電力信号から取得された装置外測定データ(例えば、順方向電力及び/又は反射電力)を取得するシステム300内に含まれていてよいプラズマチャンバ測定装置の装置外の一例である。
【0073】
電力増幅器306の出力端はcoax対導波管投射部308に結合され、当該投射部は電力伝送結合部310に結合されている。電力伝送結合部310は一般に導波管を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、導波管内に形成された定常波を測定するように3点センサ324等の多点センサが用いられてよい。例えば、3点センサ324は、各点が既知の距離だけ離れている定常波内の3点で導波管内の電力の測定を行うことができる。特定の実施形態において、既知の距離は導波管内に形成される定常波の波長の8分の1であってよい。3点センサ324は、導波管内を伝播するRF電力信号から装置外測定データ(例えば、複数の電力測定値)を取得するようにシステム300内に含まれていてよいプラズマチャンバ測定装置の装置外測定装置の別の例である。
【0074】
いくつかの実施形態において、電力伝送結合部310は機械式同調装置312に結合されていてよい。機械式同調装置312が含まれていれば、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号に調整可能な機械式同調を行うことができる。例えば、機械式同調装置312は、電力信号の1つ以上の電気的特性に対して機械式調整を行うことができる。機械式同調装置312は、調整可能導波管スタブ、調整可能スリット、調整可能絞り等として実装されていてよい。一実施形態において、機械式同調装置312は単一の同調要素を含んでいてよい。代替的に、機械式同調装置312は複数の同調要素を含んでいてよい。
【0075】
電力伝送結合部310(又は機械式同調装置312)は、電力結合器314に結合されている。いくつかの実施形態において、電磁(EM)センサ326が電力結合器314内の電磁エネルギーを測定するように結合されていてよい。一実施形態において、EMセンサ326は電場(E-field)ピックアップ素子を含んでいてよい。このような実施形態において、EMセンサ326を用いて電力結合器314における電力信号の総電力を測定することができる。EMセンサ326は、電力結合器314における電力信号の装置外測定データ(例えば、総電力)を取得するようにシステム300内に含まれていてよいプラズマチャンバ測定装置の装置外の更に別の例である。
【0076】
いくつかの実施形態において、電力投射部316(例えば、スリット又は開口)は、プラズマ処理チャンバ105に結合された誘電体318に電力結合器314を接続することができる。電力投射部316を通して放出されたエネルギーは、プラズマ処理チャンバ105内の電磁放射を均一に分布させるべく誘電体318全体にわたり分布されていてよい。いくつかの実施形態において、フォトダイオードセンサ等の光学センサ328が、プラズマ処理チャンバ105内で生成されたプラズマ160の光強度を検出するように誘電体318に結合されていてよい。他の複数の実施形態において、光学センサ328は、
図1を参照しながら上で述べたようにプラズマ処理チャンバ105に直接結合されていてよい。いずれの場合も、光学センサ328は、例えばプラズマ処理チャンバ105内で生成されたプラズマ160の光強度等の測定データをプラズマチャンバの装置内又はプラズマチャンバの装置外で取得するシステム300内に含まれていてよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、電力結合器314、電力投射部316及び誘電体318要素は、電力信号をプラズマ処理チャンバ105に搬送するように結合及び構成された電力伝送システム320内に実装されていてよい。電力伝送システム320を通して伝送される電流(I)及び電圧(V)の波形は、位置(x)及び時間(t)の関数すなわちI(x,t)及びV(x,t)であって各々が複数の周波数成分を含んでいてよい。単一の周波数成分fが存在する場合、電流(I)及び電圧(V)は、Re(I(x)ejωt)及びRe(V(x)ej(ωt+Φ))と簡潔に書かれた正弦波形により記述することができ、ω=2πf、j2=-1であり、Reは複素関数の実部である。電流(I)及び電圧(V)波形は各々大きさ(|V|及び|I|)を有し、各波形は位相角Φにより互いに分離されている。本実施形態に関連して用いられてよい電力伝送システム320の複数の例が2020年6月26日出願の米国特許出願第16/913,526号明細書「RF Voltage and Current (V-I) Sensors and Measurement Methods」、及び2020年6月26日出願の米国特許出願第16/913,545号明細書「RF Voltage and Current (V-I) Sensors and Measurement Methods」に記載されており、各々の全文が本明細書に明示的に組み込まれている。
【0078】
いくつかの実施形態において、1つ以上のV-Iセンサ330が、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号の電流及び電圧を検知するように
図3Aに示す電力伝送システム320に結合されていてよい。1つ以上のV-Iセンサ330は、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号から装置外測定データ(例えば、電圧、電流、及び/又は位相)を取得するようにシステム300内に含まれていてよい装置外測定装置の追加的な例である。1つ以上のV-Iセンサ330は一般に、上述の組み込み参考文献の記述に従い構成されていてよい。例えば、1つ以上のV-Iセンサ330は、幾何学的対称性及び差分測定法を用いて、センサの位置xにおけるV及びIを高い精度で提供することができる。いくつかの実施形態において、複数のV-Iセンサ330は、電力伝送システム320に沿った様々な位置での信号をプローブするように当該位置で用いられてよい。V及びIは位置xの関数であるため、各V-Iセンサは各々の所望の測定位置になるべく近い位置に配置されていてよい。例えば、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号の電圧及び電流の正確な測定値を用いてプラズマ処理を監視及び制御することが望ましい場合、当該目的で用いられているV-Iセンサは電力信号がプラズマ処理チャンバ105に入る場所の近くに配置されていてよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、Vdc及び/又は圧力センサ332は、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマ160の直流電圧(Vdc)を測定するように、及び/又は処理チャンバ内のチャンバ圧力を測定するようにプラズマ処理チャンバ105内に含まれていてよい。従って、いくつかの実施形態においてチャンバに接続されたブロックのセンサ332は1つのセンサ(Vdcセンサ又は圧力センサのいずれか)又は複数のセンサ(Vdcセンサと圧力センサ)を含んでいてよい。上述のように、光学センサもチャンバに接続されていてよい。Vdc及び/又は圧力センサ332は、プラズマ処理チャンバ105内で生成されたプラズマ160の装置内測定データ(例えば、Vdcレベル)を取得するようにシステム300内に含まれていてよい装置内測定装置の他の複数の例である。いくつかの実施形態において、Vdcセンサは、
図1を参照しながら上で述べたようにプラズマ処理システムフォーカスリング(図示せず)、チャック115又は基板110に結合されていてよい。Vdcセンサがプラズマ処理チャンバ105の他の領域に配置されていてもよいことが認識されよう。本実施形態に関連して用いられてよいVdcセンサの一例が米国特許出願公開第2021/0013005号明細書に記載されており、その内容が引用により本明細書に組み込まれている。
【0080】
図3Aに示すシステム300において、電力サンプリングセンサ322、3点センサ324、EMセンサ326、光学センサ328、V-Iセンサ330、及びVdc及び/又は圧力センサ332からの測定データが電源コントローラ208に提供される。いくつかの実施形態において、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号を制御するように、これらの測定装置のうち1つ以上(例えば、センサ322、324、326、328、330及び332のうち1つ以上)から受信した測定データを用いて電源302に動作信号を提供することができる。光学センサ328は、電力供給誘電体318に結合されたものとして
図3Aに示されているが、光学センサ328は代替的にプラズマチャンバ105の別個のウインドウを用いて実装されてよい。
【0081】
図3Bは、
図1、
図2A~2B及び
図3Aに示す測定装置のうち1つ以上から取得できる測定データの複数の例を示すグラフである。
図3Bに示すグラフは、バイアス反射電力340、ソース電圧350、電源電流352、バイアス電圧360、バイアス電流362及び光強度370をグラフの上部にプロットし、バイアス位相364及び直流電圧(Vdc)380(基板で測定)をグラフの下部にプロットしている。
図3Bに示す信号は、プラズマ処理チャンバに対し500Wのソース電力信号を125マイクロ秒(usec)、及び100Wのバイアス電力信号を100usecで供給しながら、上述のように様々な測定装置から取得された。
図3Bに示すように、バイアス反射電力340は始動中に増大し、始動後に安定する。
【0082】
実施形態の一例において、電源コントローラ208は、V-Iセンサ330から受信した電圧(V)及び電流(I)信号、Vdcセンサから受信したVdc信号、圧力センサからの圧力測定値、及び/又は光学センサ328から受信した光強度信号と、プラズマ密度、イオン束、及びイオンエネルギーの相関を求めることができる。更に、電源コントローラ208は、V-Iセンサ330、Vdcセンサ及び/又は圧力センサ332、及び/又は光学センサ328から受信した測定データを用いて、プラズマ処理をより良好に特徴付け及び/又は制御することができる。例えば、電源コントローラ208は受信した測定データを用いて、プラズマ処理中に所望のプラズマ密度及び/又は所望のイオンエネルギー或いは束を維持するために、プラズマ処理チャンバ105に供給されるソース及び/又はバイアス電力信号の1つ以上のパラメータ(例えば、振幅、周波数、位相、パルスオン時間、パルスオフ時間等)を調整することができる。追加的又は代替的に、電源コントローラ208は、プラズマ処理中に所望のプラズマ密度及び/又は所望のイオンエネルギー或いは束を維持するようにチャンバ圧力を調整することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、電源コントローラ208は、V-Iセンサ330から電圧(V)、電流(I)及び/又は位相(Φ)を受信し、次いでV-Iセンサ330から受信したV、I、及び/又はΦ測定値をRFインピーダンスモデルを用いて基板に変換することにより基板におけるプラズマ密度及びイオン束を計算することができる。換言すれば、V-Iセンサ330は、基板における仮想測定値の提供に用いた電力信号から実測値(V、I、Φ)を取得する。
【0084】
当業者には、本明細書に記述する方法及び処理の動作を拡張するように
図3Aに示すシステム300に1つ以上の追加的要素を追加してもよいことが認識されよう。更に、当業者には、システム要件及びハードウェアの利用可能性に応じて、
図3Aのシステムの1つ以上の要素を省略してもよいことが認識されよう。
図3Aの実施形態は、本実施形態と共に用いられてよい選択肢を示すに過ぎないが、本発明の範囲をいかなる特定の実施形態に限定することは意図していない。
【0085】
図4は、プラズマ処理性能を制御するように
図2A~2Bに示すシステム200及び/又は
図3Aに示すシステム300で用いられてよい制御ループ400を示すブロック図である。いくつかの実施形態において、
図4に示す制御ループ400は、予め設定された値を有する指定電力レシピ(r)402を入力として受信する反復ループとして実装されていてよい。一例として
図4に示す制御ループ400において、
図3Aに示す電力増幅器306が、測定装置206により監視されるプラズマ160を生成するようにプラズマ処理チャンバ105に電力信号(例えば、ソース電力信号及び/又はバイアス電力信号)を供給する。電力信号は、振幅、周波数、位相、パルスオン時間(すなわち、パルス幅)及びパルスオフ時間を有するパルスDC信号及び/又はRF信号であってよい。指定された電力レシピ(r)402はまた、電源のパルスタイミングを含んでいてよい。1つの電源により複数の周波数及び振幅を用いる場合、レシピ402は、例えば
図5に示すように、パルスシーケンスでパルス持続時間及び位相間のタイミング関係と共に自動的に調整可能な電力範囲等の調整可能な限度を有する時間依存パラメータを有している。
【0086】
1つ以上の測定装置206を用いて、プラズマ処理チャンバ105に供給される電力信号の1つ以上の特性、所定の電力特性に対するプラズマ応答、及び/又はチャンバ圧力を測定することができる。上述のように、1つ以上の測定装置206は、装置内測定装置及び/又は装置外測定装置を含んでいてよい。測定装置206から受信した測定データに応答して、電源コントローラ208は、所望のプラズマ性能を実現するように制御ループ400の1つ以上の制御ノブ又は制御設定(例えば、制御ブロック404、406、408、410及び412)を調整することができる。パルスシーケンスの変更は、同時又は別々に更新することができる。例えば、制御ブロック404、410は、インピーダンス整合を調整する高速制御ループであり、インピーダンス整合の調整が必要ならば制御ブロック408と相互作用する。いくつかの実施形態において、パルスタイミング設定は、非最適パルス特性を補償してパルス持続時間を延長するように、フィードフォワード更新において制御ブロック406で調整することができる。いくつかの実施形態において、パルスタイミング設定はまた、複数のパルス間、及び複数の電源間、例えばソース電源とバイアス電源の間のタイミング関係を変更するように制御ブロック406におけるフィードバック更新(
図4には示さず)で調整することができる。
【0087】
一実施形態において、電源コントローラ208は、制御ブロック404において電子同調設定を調整することにより開始されてよい。電子同調制御設定の更新は、電力レシピ(r)により規定されたプラズマ電力制御計画に合わせて行われてよい。次に、電源コントローラ208は、制御ブロック406において1つ以上のタイミング設定を調整することができる。いくつかの実施形態において、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマ160のプラズマ密度を制御するように、プラズマ処理チャンバ105に供給されるソース電力パルスのパルスオン時間(すなわち、パルス幅)を調整することができる。追加的又は代替的に、電源コントローラ208は、プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマ160のイオン束/エネルギーを制御するように、プラズマ処理チャンバ105に供給されるバイアス電力パルスのパルスオン時間及び/又はパルスオフ時間を調整することができる。タイミング設定が調整された後で、電子調整設定は再び制御ブロック404において更新されてよい。
【0088】
次に、電源コントローラ208は、制御ブロック408において電力振幅設定を調整することができる。いくつかの実施形態において、電力振幅設定は、閾値プラズマ測定値が満たされるまで繰り返し更新されてよい。制御ブロック408で電力振幅レベルが調整されたならば、電源コントローラ208は制御ブロック404における電子調整設定及び制御ブロック406におけるタイミング設定を再調整することができる。次いで、制御ブロック408で電力振幅設定に対し2回目の調整を行うことができる。
【0089】
次に、電源コントローラ208は、制御ブロック410において周波数チューニング設定を調整することができる。いくつかの実施形態において、周波数同調設定は、プラズマ処理チャンバ105に供給されるRF電力信号の周波数を調整するように更新されてよい。周波数同調設定が調整されたならば、電源コントローラ208は上述のように、制御ブロック404における電子同調設定、制御ブロック406におけるタイミング設定、及び制御ブロック408における電力振幅設定を再調整することができる。
【0090】
次に、電源コントローラ208は、制御ブロック412において機械式同調(例えば、圧力制御アクチュエータ又はマッチャー制御アクチュエータ)設定を調整することができる。いくつかの実施形態において、制御ブロック412において調整される機械式同調設定は、プラズマ処理チャンバ内のチャンバ圧力の調整に用いられる圧力制御設定であってよい。他の複数の実施形態において、機械式同調設定を用いてインピーダンス整合を調整することができる。機械式同調設定が調整されたならば、制御ブロック404における電子的同調設定、制御ブロック406におけるタイミング設定、制御ブロック408における電力振幅設定、及び制御ブロック410における周波数同調設定を再調整する処理が繰り返されてよい。
【0091】
図2~4に、プラズマ処理の制御に用いられてよい制御システム及び制御ループの様々な実施形態を示す。いくつかの実施形態において、本明細書に記述する技術を利用してリアルタイムの基板処理中にプラズマ処理を特徴付け及び制御することができる。本明細書に記述する技術はまた、プラズマ処理システムの使用する間の処理制御を維持するために、初期的又は周期的にプラズマ処理システムを特徴付けるために利用されてよい。本明細書に記述する技術は一般に、プラズマ密度及びイオン束/エネルギーを含むがこれらに限定されない様々なプラズマ特性の制御に用いられてよい。
【0092】
本開示の複数の好適な実施形態において、1つ以上の測定装置から取得された測定データを利用して、プラズマ処理中に所望のプラズマ密度及び/又は所望のイオン束/エネルギーを維持するために、プラズマ処理チャンバに供給される電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整することができる。特に、1つ以上の測定装置から取得された測定データを用いて、プラズマ処理をより良く制御してプラズマ処理の性能を向上させるべく、プラズマ処理中の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータのフィードフォワード又はフィードバック制御を行うことができる。
【0093】
図5に、プラズマ処理中にプラズマ処理チャンバに供給できる電力信号の様々なタイミングパラメータを示す。特に、
図5は、パルスプラズマ処理の様々なフェーズ中にプラズマ処理チャンバに供給されてよいソース電圧(V
source)及びバイアス電圧(V1
bias、V2
bias)パルスのパルステンプレートの一例を示している。
図5に示すパルステンプレートは、ソース及びバイアス電圧パルスの様々なタイミングパラメータを示している。これらのタイミングパラメータの初期値は電力レシピに電力レシピ設定として指定されていてよく、プラズマ密度及びイオン束/エネルギー等のプラズマの様々な特性を制御するようにパルスプラズマ処理中に調整されてよい。いくつかの実施形態において、V
source及びV
biasの測定値は、
図1に示すV-Iセンサ180、182等の2つの異なる位置にある2つの別々の測定装置から取得されてよい。代替的に、V
source及びV
biasの測定値は、プラズマ基板の重要な測定値に関連する複数の電源からの電力信号を検知できるように配置された単一の測定装置から取得されてもよい。例えば、
図1に示すV-Iセンサ182を用いて
図5に示すV
source及びV
biasの測定値を取得することができる。
【0094】
ソース及びバイアス電圧を
図5に示すパルステンプレートの例に示しているが、ソース及びバイアス電力信号の他のパラメータもプラズマ特性の制御に用いられてよいことが認識されよう。例えば、ソース及びバイアス電源から測定した電流(I)又は電力(P)、プラズマ処理チャンバから測定したVdcレベル、及び/又はプラズマの光強度又は発光スペクトルもまた本明細書に記述する技術に従いパルスプラズマ処理の特徴付け及び制御に用いられてよい。
【0095】
パルスプラズマ処理の第1のフェーズ(P1)の実行中、ソース電圧(Vsource)パルスがプラズマ処理チャンバに供給されてプラズマが生成される。Vsourceパルスは、電力レシピに指定されているように所望の振幅及び所望のパルス幅を有している。例えば、電力レシピは、最小電圧ピーク(Peak Min)と最大電圧ピーク(Peak Max)の実行中に所望の振幅を有し、最小オン時間(tmin-on)と最大オン時間(tmax-on)の実行中に所望のパルス幅を有するようにVsourceパルスを指定することができる。Vsourceパルスの振幅とパルス幅は共に、生成されるプラズマのプラズマ密度を制御するように選択及び/又は調整されてよい。
【0096】
例えば、Vsourceパルスの曲線下面積は、時間経過にプラズマ密度の伴う変化を表す測定計算値であり得る。Vsourceパルスの持続中に最小値が満たされなかったならば、電源コントローラはパルスのオン時間をtdelay-maxまで延長してtmin-on指定を維持するように電力又は他の制御パラメータを調整することができる。これらの更新は、多数のパルスにわたり平均化することができ、次いで、パルス持続時間を連続的に延長することなく、所望のパルスプロファイルを維持するようにソース電圧の制御パラメータを更新することができる。本明細書では一実施形態におけるプラズマ密度の制御に関して記述しているが、プラズマ処理の他の特性も本明細書に記述する技術を利用して同様に制御できることが認識されよう。他の特性として、例えば、プラズマの電子温度、イオン束及び/又はイオンエネルギーが含まれるがこれらに限定されない。
【0097】
パルスプラズマ処理の後続フェーズの実行中、生成されるプラズマのイオン束/エネルギーを制御するようにソース電圧がオフにされてバイアス電圧がプラズマ処理チャンバに供給される。
図5に示すパルステンプレートの例において、パルスプラズマ処理の第2のフェーズ(P
2)の実行中に第1のバイアス電圧(V1
bias)パルスがプラズマ処理チャンバに供給され、パルスプラズマ処理の第3のフェーズ(P
3)の実行中に第2のバイアス電圧(V2
bias)パルスがプラズマ処理チャンバに供給される。V
sourceパルスと同様に、バイアス電圧パルスは各々、電力レシピで指定されるように所望の振幅及び所望のパルス幅を有していてよい。例えば、電力レシピは、プロファイルの側壁のポリマー化を行うプラズマを実現するように、V1
biasパルスが最小電圧ピーク(Peak1 Min)と最大電圧ピーク(Peak1 Max)の実行中に所望の振幅、及び最小オン時間(t
1min-on)と最大オン時間(t
1max-on)の実行中に所望のパルス幅のパルスを有するように指定することができる。電力レシピは更に、特徴の底面をエッチングするプラズマ内のイオン束/エネルギーを制御するように、V2
biasパルスが最小電圧ピーク(Peak2 Min)と最大電圧ピーク(Peak2 Max)の実行中に所望の振幅、及び最小オン時間(t
2min-on)と最大オン時間(t
2max-on)の実行中に所望のパルス幅を有するように指定することができる。バイアス電圧曲線下面積は総イオン線量を反映している。パルスプラズマ処理の第4のフェーズ(P
4)の実行中、ソース及びバイアス電圧がパルスプラズマ処理の次のサイクルまでオフにされる。
【0098】
図6は、プラズマ処理チャンバに供給される電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整するように用いられてよい様々な制御方法を示すグラフである。特に、
図6に示すグラフは、プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマのプラズマ密度及び/又はイオン束/エネルギーを制御するようにプラズマ処理チャンバに供給される電力信号のタイミングパラメータの調整に用いられてよい様々なフィードフォワード制御方法及びフィードバック制御方法を提供する。
図6に示すフィードフォワード及びフィードバック制御方法を用いて、プラズマ処理チャンバ内でのプラズマ処理の実行中にリアルタイムでプラズマ性能を制御することができる。
図6に示す制御方法は一般に、例えば、
図1の制御ユニット170又は
図2~4の電源コントローラ208等のコントローラにより実行することができる。
【0099】
図6に示すグラフは、パルスプラズマ処理の1サイクル中のソース電圧(V
source)パルス及びバイアス電圧(V
bias)パルスを示している。VrはV
source及びV
biasパルスの立ち上がりエッジの閾値電圧、V
fはこれらのパルスの立ち下がりエッジの閾値電圧である。パルスパラメータV1、V2、V3及びV4は、V
rに対するソース/バイアス電圧パルスの設定時間である。いくつかの実施形態において、
図6に示すVs
ource及びV
biasパルスは、プラズマ処理チャンバに結合された測定装置により監視することができる。複数の測定装置の例について
図1~4を参照しながら上で議論した。ソース及びバイアス電圧を
図6に示しているが、本明細書に記述する制御方法は追加的又は代替的に、プラズマ特性を制御するようにRF電力信号の他のパラメータ(例えば、電流、電力、Vdc、光強度等)を利用することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、パルスプラズマ処理中に所望のプラズマ密度を維持するために、パルスプラズマ処理の第1のフェーズ(P
1)の実行中にフィードフォワード制御方法を用いてプラズマ処理チャンバに供給されるソース電圧(V
source)のタイミングパラメータを調整することができる。
図6に示すように、例えば、電力レシピにより、(実線で示す)V
sourceパルスが、理想的には時点t
1で測定された立ち上がりエッジ閾値電圧(V
r)と時点t
3で測定された立ち下がりエッジ閾値電圧(V
f)の間で生起すべきであることを指定することができる。換言すれば、電力レシピは最初に、V
sourceパルスがt
on=t
3-t
1に対応する指定パルスオン時間(又はパルス幅)を有していることを指定していてよい。しかし実際には、プラズマ処理チャンバに供給される(破線で示す)V
sourceパルスは、時点t
2まで立ち上がりエッジ閾値電圧(V
r1)を満たさない場合がある。このとき、
図6に示すフィードフォワード制御方法は指定されたプラズマ密度を維持するように時点t
3を時点t
4まで延長してより長いV
sourceパルスオン時間(すなわち、より広いV
sourceパルス幅)を提供することができる。
【0101】
パルスプラズマ処理の第1のフェーズ(P1)の実行中に用いられるフィードフォワード制御方法を用いて、パルスプラズマ処理の各サイクル中に、測定装置により生成されて当該サイクル中にコントローラにより受信される測定データに基づいてソース電圧のパルスオン時間(又はパルス幅)をリアルタイムで調整することができる。実施形態の一例において、測定装置はパルスプラズマ処理の各サイクル中にVsourceパルスの立ち上がりエッジ(例えば、Vr又はVr1)を検出することができる。測定装置により検出された立ち上がりエッジに基づいて、コントローラは、所定のプラズマ密度を維持するために、Vsourceパルスのパルスオン時間(又はパルス幅)を制御するようにパルスプラズマ処理の対応するサイクル中にVsourceパルスの立ち下がりエッジ(Vf)を調整することができる。例えば、Vsourceパルスの立ち上がりエッジ(例えば、Vr1)が時点t2まで検出されなかったならば、コントローラは、Vsourceパルスの立ち下がりエッジ(Vf)を時点t4までシフトさせてVsourceパルスオン時間を延長して所望のVsourceパルス幅を維持することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、パルスプラズマ処理中に所望のイオン束/エネルギーを維持するために、パルスプラズマ処理の第2のフェーズ(P
2)及び第3のフェーズ(P
3)の実行中に別のフィードフォワード制御方法を用いてプラズマ処理チャンバに供給されるバイアス電圧(V
bias)のタイミングパラメータを調整することができる。
図6に示すように、例えばプラズマ処理チャンバに供給されるV
biasパルスは、時点t
2で第1の立ち上がりエッジ閾値電圧(V
r1)に、時点t
4で第2の立ち上がりエッジ閾値電圧(V
r2)に、及び時点t
6で立ち下がりエッジ閾値電圧(V
f)に達する場合がある。このとき、
図6に示すフィードフォワード制御方法は、時点t
5を時点t
6まで延長して、より長いV
biasオン時間(すなわち、より長いV
biasパルス幅)を提供することにより指定されたイオン束/エネルギーを維持することができる。
【0103】
パルスプラズマ処理の第2のフェーズ(P2)及び第3のフェーズ(P3)で用いられるフィードフォワード制御方法を用いて、パルスプラズマ処理の各サイクル中に、測定装置により生成されて当該サイクル中にコントローラにより受信される測定データに基づいてバイアス電圧のパルスオン時間(又はパルス幅)をリアルタイムで調整することができる。実施形態の一例において、測定装置は、パルスプラズマ処理の各サイクル中に、Vbiasパルスの立ち上がりエッジ(例えば、Vr1又はVr2)を検出することができる。測定装置により検出された立ち上がりエッジに基づいて、コントローラは、指定されたイオン束/エネルギーを維持するために、Vbiasパルスのパルスオン時間(又はパルス幅)を制御するようにパルスプラズマ処理の対応するサイクル中にVbiasパルスの立ち下がりエッジ(Vf)を調整することができる。例えば、Vbiasパルスの立ち上がりエッジ(例えば、Vr2)が時点t4まで検出されなかった場合、コントローラは、Vbiasパルスの立ち下がりエッジ(Vf)を時点t6にシフトさせてVbiasパルスのオン時間を延長して所望のVbiasパルス幅を維持することができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、フィードバック制御方法は、V
biasパルスオフ時間を調整してバイアス/電源パルス相互作用を制御するように、パルスプラズマ処理の第4のフェーズ(P
4)の実行中に用いられてよい。
図6に示すように、例えば、電力レシピは最初に、パルスプラズマ処理の次のサイクルが時点t
1で開始されるまで、ソース及びバイアス電圧を時点t
5から時点t
7の間オフにするよう指定することができる。しかし、パルスプラズマ処理の現行サイクルでV
biasパルスのオン時間を調整する場合、
図6に示すフィードバック制御方法は、現行サイクル中に行われた調整に基づいてパルスプラズマ処理の次のサイクルでV
biasパルスのオン時間及びオフ時間を自動的に調整することができる。例えば、V
biasパルスのオン時間がパルスプラズマ処理の現行サイクルで延長されたならば、フィードバック制御方法は、次のサイクルにおけるV
biasパルス幅(又はバイアス電力)を制御するようにパルスプラズマ処理の次のサイクルでV
biasパルスのパルスオン時間を自動的に延長してパルスオフ時間を短縮することができる。
【0105】
図7に、本明細書に記述する技術に従いプラズマ性能を制御する例示的な方法を示す。
図7に示す実施形態は例示的に過ぎず、追加的な方法が本明細書に記述する技術を利用してよいことが認識されよう。更に、記述するステップは排他性を意図していないため、
図7に示す方法に更なるステップが追加されてよい。更に、ステップの順序は、異なる順序が生じ得るため、及び/又は様々なステップが組み合わされて又は同時に実行されてよいため図示する順序に限定されない。
【0106】
図7は、基板を処理するためのシステムのプラズマ処理性能を制御する方法700の一実施形態を示すフロー図であり、システムは1つ以上の電源を含む。
図7に示す方法700は一般にプラズマ処理システムで実行されてよい。このような実施形態に限定されないが、
図1は、方法700を利用してよいプラズマ処理システム100の一実施形態を示す。
図7に示す方法700の様々なステップは、プラズマ処理システムに結合された、又はプラズマ処理システム内に含まれるコントローラにより実行されてよい。いくつかの実施形態において、例えば、
図1に示す制御ユニット170及び/又は
図2~4に示す電源コントローラ208を用いてこれらのステップを実行してよい。
【0107】
一般に、方法700は、パルスプラズマ処理により基板を処理するためにプラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するように1つ以上の電源からプラズマ処理チャンバに第1の電力信号を供給すること(ステップ710)を含んでいてよい。第1の電力信号は一般に、第1の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第1の組を含んでいてよい。方法700は更に、1つ以上の電源からプラズマ処理チャンバに第2の電力信号を供給すること(ステップ720)を含んでいてよい。第2の電力信号は一般に、第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を指定するタイミングパラメータの第2の組を含んでいてよい。第1の電力信号及び第2の電力信号は単一の電源から取得されても、又は複数の電源から取得されてもよい。
【0108】
方法700は更に、第1の電力信号、第2の電力信号、プラズマ及び/又はチャンバ圧力に対応する測定データを生成すること(ステップ730)を含んでいてよい。測定データはパルスプラズマ処理の実行中にリアルタイムで生成されてよい。方法700は更に、測定データに応答して、プラズマ処理中のプラズマの1つ以上の特性を制御するように第1の電力信号のパルス幅及び/又は第2の電力信号のパルス幅を修正するように第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ、第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータ及び/又はチャンバ圧力を調整すること(ステップ740)を含んでいてよい。厳密には上記に限定されないが、プラズマの1つ以上の特性は、プラズマのプラズマ密度、イオン束及び/又はイオンエネルギーを含んでいてよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、第1の電力信号はソース電力信号であってよい。そのような複数の実施形態において、方法700は、プラズマのプラズマ密度を制御するように第1の電力信号のパルスオン時間を調整することにより第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。より具体的には、方法700は、パルスプラズマ処理の各サイクル中に、当該サイクル中に生成された測定データに基づいて第1の電力信号のパルスオン時間をリアルタイムで調整することにより第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。例えば、方法700は、パルスプラズマ処理の各サイクル中に第1の電力信号の立ち上がりエッジを検出することにより測定データを生成すること(ステップ730)ができ、指定されたプラズマ密度を維持するために、第1の電力信号のパルスオン時間を制御するようにパルスプラズマ処理の各サイクル中に第1の電力信号の立ち下がりエッジを調整することにより第1の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。
【0110】
他の複数の実施形態において、第2の電力信号はバイアス電力信号であってよい。このような実施形態において、方法700は、プラズマのイオン束及び/又はイオンエネルギーを制御するように第2の電力信号のパルスオン時間を調整することにより第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。より具体的には、方法700は、パルスプラズマ処理の各サイクル中に、当該サイクル中に生成された測定データに基づいて第2の電力信号のパルスオン時間をリアルタイムで調整することにより、第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。例えば、方法700は、第2の電力信号の立ち上がりエッジをパルスプラズマ処理の各サイクル中に検出することにより測定データを生成すること(ステップ730)ができ、指定されたイオン束及び/又はイオンエネルギーを維持するために、第2の電力信号のパルスオン時間を制御するように第2の電力信号の立ち下がりエッジをパルスプラズマ処理の各サイクル中に調整することにより第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、方法700は、第2の電力信号のパルスオン時間がパルスプラズマ処理の現行サイクル中に調整されたならば、パルスプラズマ処理の次のサイクルにおける第2の電力信号の1つ以上のタイミングパラメータを調整すること(ステップ740)ができる。例えば、方法700は、現行サイクル中に行われた調整に基づいて、パルスプラズマ処理の次のサイクルにおける第2の電力信号のパルスオン時間及びパルスオフ時間を調整することができる。
【0112】
本明細書全体を通じて「1つの実施形態」又は「一実施形態」との表記は、当該実施形態との関連で記述される特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、これらが全ての実施形態に存在すること意味するものではないことに注意されたい。従って、本明細書を通じて様々な箇所で「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」との表記の出現は必ずしも本発明の同一実施形態を指す訳ではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は1つ以上の実施形態において任意の適当な仕方で組み合わされていてもよい。他の複数の実施形態において、様々な追加的な層及び/又は構造が含まれていても、及び/又は記述する特徴が省略されていてもよい。
【0113】
本明細書で用いる用語「基板」は上部に材料が形成される基板又は構造を意味すると共にこれらを含む。基板は、単一材料、異なる材料の複数の層、異なる材料又は異なる構造の領域を内部に有する1つ以上の層を含んでいてよいことが理解されよう。これらの材料は、半導体、絶縁体、導体、又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。例えば、基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体層、金属電極、又はこれらの上に形成された1つ以上の層、構造又は領域を有する半導体基板であってよい。基板は、従来のシリコン基板であっても、又は半導電材料の層を含む他のバルク基板であってもよい。本明細書で用いる用語「バルク基板」はシリコンウェハだけでなく、シリコンオンサファイア(「SOS」)基板及びシリコンオンガラス(「SOG」)基板等のシリコンオンインシュレータ(「SOI」)基板、ベース半導体基盤上のシリコンのエピタキシャル層、及びシリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、並びにリン化インジウム等の他の半導体又は光電子材料をも意味すると共にこれらを含む。基板はドープされていてもドープされていなくてもよい。
【0114】
基板を処理するためのシステムのプラズマ処理性能を制御するシステム及び方法を様々な実施形態で説明している。基板は、素子、特に半導体又は他の電子素子の任意の材料部分又は構造を含んでいてよく、例えば半導体基板等のベース基板構造、又は薄膜等のベース基板構造の上又はこれに被さる層であってよい。従って、用語「基板」は、いかなる特定のベース構造、下層又は上層、パターニングされた又はパターニングされていない層にも限定されることを意図しておらず、むしろ、そのような任意の層又はベース構造、及び層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むものとする。いくつかのケースにおいて、用語「基板」用語は、素子ウェハや担体ウェハ等のパターニングされた又はパターニングされていないウェハの記述に用いられてよい。
【0115】
関連技術の当業者には様々な実施形態が、1つ以上の特定の詳細事項無しに、又は他の代替的及び/又は追加的な方法、材料、或いは要素を用いて実施できることが認識されよう。他の例において、本発明の様々な実施形態の態様が分かり難くなるのを避けるため、公知の構造、材料、又は動作を詳細に図示又は記述していない。同様に、説明目的で、本発明を完全に理解いただけるよう、特定の番号、材料、及び構成を開示している。にもかかわらず、本発明は特定の詳細事項無しに実施されてよい。更に、図に示す様々な実施形態は例示的表現であり、必ずしも定縮尺では描画されていないことを理解されたい。
【0116】
上述のシステム及び方法の更なる変形及び代替的実施形態は本明細書から当業者には明らかであろう。従って、上述のシステム及び方法はこれらの構成例に限定されないことが認識されよう。本明細書に図示及び記述したシステム及び方法の形式は実施形態の例として解釈すべきであることを理解されたい。実装に際して様々な変更が加えられてよい。このため、本発明について本明細書で特定の実施形態を参照しながら記述しているが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができる。従って、本明細書及び図面は限定的な意味ではなく例示的であると見なすべきであり、このような修正は本発明の範囲内に含まれるものとする。更に、特定の実施形態に関して本明細書に記述する利益、利点、又は問題に対する解決策は、請求項の必須の、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈することを意図していない。
【国際調査報告】