(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】封止材フィルム用組成物及びそれを含む封止材フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20060101AFI20240423BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20240423BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240423BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20240423BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L71/02
C09K3/10 Z
H01L31/04 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569717
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2022018793
(87)【国際公開番号】W WO2023096395
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165772
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・サム・ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヒョン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウク・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジュン・イ
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
5F251
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB07
4H017AD01
4J002BB05W
4J002CH02X
4J002GG02
4J002GJ02
4J002GQ00
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
(57)【要約】
本発明は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む封止材フィルム用組成物、封止材フィルム、及び太陽電池モジュールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールを含み、
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、1,000~50,000g/molであり、
前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05~0.7重量%である封止材フィルム用組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、2,000~30,000g/molである、請求項1に記載の封止材フィルム用組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.1~0.6重量%である、請求項1に記載の封止材フィルム用組成物。
【請求項4】
架橋剤、架橋調剤、シランカップリング剤、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物、光安定剤、UV吸収剤、及び熱安定剤からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の封止材フィルム用組成物。
【請求項5】
前記アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の封止材フィルム用組成物。
【請求項6】
前記アルファ-オレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体基準0超過99以下モル%含まれる、請求項1に記載の封止材フィルム用組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の封止材フィルム用組成物を含む封止材フィルム。
【請求項8】
請求項7に記載の封止材フィルムを含む太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年11月26日に出願された韓国特許出願第10-2021-0165772号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む封止材フィルム用組成物、封止材フィルム、及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
地球環境問題、エネルギー問題などがますます深刻になっている中、環境汚染と枯渇の恐れがないエネルギー生成手段として太陽電池が注目されている。太陽電池を建物の屋根など屋外で使用する場合、一般的に太陽電池のモジュール形態で使用する。太陽電池モジュールの製造時、結晶型太陽電池モジュールを得るためには、前面ガラス/太陽電池封止材/結晶型太陽電池素子/太陽電池封止材/後面ガラス(又は、後面保護シート)の順序で積層する。前記太陽電池封止材として、通常、透明性、柔軟性、接着性などに優れたエチレン/酢酸ビニル共重合体やエチレン/アルファ-オレフィン共重合体などが使用される。
【0004】
太陽電池モジュールは、シリコン、ガリウム-ヒ素、銅-インジウム-セレンなどの太陽電池素子を上部透明保護材と下部基板保護材で保護し、太陽電池素子と保護材を封止材で固定してパッケージ化したものである。一般的には、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の封止材は、有機過酸化物やシランカップリング剤を配合したエチレン/アルファ-オレフィン共重合体をシート状に圧出成形することで製作されており、得られたシート状の封止材を使用し、太陽電池素子を封止して太陽電池モジュールが製造されている。
【0005】
前記のような太陽電池モジュールの製造時、生産性向上のために封止材フィルム用組成物に含まれる様々の原料とエチレン/アルファ-オレフィン共重合体との親和性を増加させて吸水性を高めることが一つの方案になり得る。特に、封止材フィルムの製造のために必須に使用される架橋剤、架橋調剤などは、封止材フィルムの体積抵抗率を減少させることになり、結局、物性の低下を誘発する要因の一つとして目される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、体積抵抗率及び光透過率に優れた封止材フィルム用組成物及びそれを含む封止材フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、封止材フィルム用組成物、封止材フィルム、及び太陽電池モジュールを提供する。
【0009】
(1)本発明は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールを含み、前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000~50,000g/molであり、前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05~0.7重量%である封止材フィルム用組成物を提供する。
【0010】
(2)本発明は、前記(1)において、前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は2,000~30,000g/molである封止材フィルム用組成物を提供する。
【0011】
(3)本発明は、前記(1)又は(2)において、前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.1~0.6重量%である封止材フィルム用組成物を提供する。
【0012】
(4)本発明は、前記(1)~(3)のいずれか一つにおいて、架橋剤、架橋調剤、シランカップリング剤、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物、光安定剤、UV吸収剤、及び熱安定剤からなる群より選択される1種以上をさらに含む封止材フィルム用組成物を提供する。
【0013】
(5)本発明は、前記(1)~(4)のいずれか一つにおいて、前記アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-エイコセンからなる群より選択される1種以上を含む封止材フィルム用組成物を提供する。
【0014】
(6)本発明は、前記(1)~(5)のいずれか一つにおいて、前記アルファ-オレフィンは、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体基準0超過99以下モル%含まれる封止材フィルム用組成物を提供する。
【0015】
(7)本発明は、前記(1)~(6)のいずれか一つの封止材フィルム用組成物を含む封止材フィルムを提供する。
【0016】
(8)本発明は、前記(7)の封止材フィルムを含む太陽電池モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の封止材フィルム用組成物は、優れた体積抵抗率及び光透過率を示し、電機電子産業分野において多様な用途として広く利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をより詳しく説明する。
【0019】
ここで、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0020】
<封止材フィルム用組成物>
本発明の封止材フィルム用組成物は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールを含み、前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000~50,000g/molであり、前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05~0.7重量%であることを特徴とする。
【0021】
本発明の封止材フィルム用組成物は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む。前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、エチレンとアルファ-オレフィン系単量体を共重合して製造されたものであって、この際、共重合体内のアルファ-オレフィン系単量体から由来した部分を意味する前記アルファ-オレフィンは、炭素数3~20のアルファ-オレフィン、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-エイコセンなどが挙げられ、この中、1種単独又は2種以上の混合物であってよい。
【0022】
この中でも、前記アルファ-オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、又は1-オクテンであってよく、好ましくは1-ブテン、1-ヘキセン、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0023】
また、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体において、アルファ-オレフィンの含量は、前記物性的要件を満たす範囲内で適切に選択されてよく、具体的には、0超過99以下モル%、10~50モル%であってよいが、これに制限されない。
【0024】
本発明において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を準備する方法や収得経路は制限されず、通常の技術者が封止材フィルム用組成物の物性と目的を考慮して適切なものを選択して使用してよい。
【0025】
本発明の封止材フィルム用組成物は、ポリエチレングリコールを含む。
【0026】
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000~50,000g/molであり、具体的には、2,000g/mol以上、2,500g/mol以上、3,000g/mol以上、30,000g/mol以下、20,000g/mol以下、15,000g/mol以下、例えば、2,000~30,000g/molであってよい。
【0027】
封止材フィルム用組成物にポリエチレングリコールを含む場合、強い極性を有するポリエチレングリコールと無極性のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体とがブレンドされて電荷の動きを妨げるようになり、電気伝導度が減少して体積抵抗率の増加につながる。一方、高い極性の高分子を使用した封止材フィルム用組成物においては、ポリエチレングリコールを含む場合、電気伝導度がより高くなり、むしろ体積抵抗率が減少するようになるという結果が現れる。
【0028】
特に、前記のような効果を好ましく具現するためには、ポリエチレングリコールの数平均分子量が1,000~50,000g/molでなければならない。
【0029】
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が1,000g/mol未満の場合、ヘイズが上昇して光学物性の阻害を誘発するので、封止材フィルムとして使用が不適合であり、前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が50,000g/mol超過の場合、組成物の極性が非常に高くなり、むしろ体積抵抗率が減少する恐れがある。
【0030】
前記ポリエチレングリコールの含量は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05~0.7重量%であり、具体的には、0.1~0.6重量%であってよい。
【0031】
前記ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05重量%未満の場合、体積抵抗率の改善効果が確実に具現できず、0.7重量%超過の場合、ヘイズが上昇して光学物性の阻害を誘発するので、封止材フィルムとして使用が不適合であるという問題が現れる。
【0032】
本発明の封止材フィルム用組成物は、架橋剤、架橋調剤、シランカップリング剤、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物、光安定剤、UV吸収剤、及び熱安定剤からなる群より選択される1種以上をさらに含んでよい。
【0033】
前記架橋剤は、シラン変性樹脂組成物の製造段階では、ラジカル開始剤として樹脂組成物に不飽和シラン化合物がグラフトされる反応を開始する役割を果たすことができる。また、光電子装置の製造時にラミネーションする段階で、前記シラン変性樹脂組成物の間又はシラン変性樹脂組成物と非変性樹脂組成物の間の架橋結合を形成することで、最終製品、例えば、封止材シートの耐熱耐久性を向上させることができる。
【0034】
前記架橋剤は、ビニル基のラジカル重合を開始できるか、架橋結合を形成できる架橋性化合物であれば、技術分野で公知された多様な架橋剤を多様に使用してよく、例えば、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物、及びアゾ化合物からなる群より選択される1種又は2種以上を使用してよい。
【0035】
具体的には、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンなどのジアルキルペルオキシド類;クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、o-メチルベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(TBEC)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシオクトエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシ安息香酸、ジ-t-ブチルペルオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)-3-ヘキシンなどのペルオキシエステル類;及びメチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、ラウリルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、及びアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物からなる群より選択される1種以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0036】
前記有機過酸化物は、120~135℃、例えば、120~130℃、120~125℃、好ましくは121℃の1時間半減期温度を有する有機過酸化物であってよい。前記「1時間半減期温度」とは、前記架橋剤の半減期が1時間になる温度を意味する。前記1時間半減期温度に応じて、ラジカル開始反応が効率的に起こる温度が異なるようになることから、前述した範囲の1時間半減期温度を有する有機過酸化物を架橋剤として使用する場合、光電子装置を製造するためのラミネーション工程温度でラジカル開始反応、すなわち、架橋反応が効果的に進行され得る。
【0037】
前記架橋剤は、前記封止材フィルム用組成物100重量部に対して0.01~1重量部、例えば、0.05~0.55、0.1~0.5、又は0.15~0.45重量部の含量で含まれ、前記架橋剤が0.01重量部未満で含まれる場合、耐熱特性の向上効果が些細で、1重量部を超過して含まれる場合、封止材シートの成形性が減少し、工程上制約の発生という問題が発生する可能性があり、封止材の物性に影響を与える可能性がある。
【0038】
前記架橋剤以外にも架橋調剤を含んでよい。前記架橋調剤が樹脂組成物に含まれることで、前述した架橋剤による樹脂組成物の間の架橋度を高めることができることから、最終製品、例えば、封止材シートの耐熱耐久性をより向上させることができる。
【0039】
前記架橋調剤は、技術分野で公知された多様な架橋調剤を使用してよく、例えば、前記架橋調剤として、アリル基又は(メタ)アクリルオキシ基などの不飽和基を少なくとも一つ以上含有する化合物を使用してよい。
【0040】
前記アリル基を含有する化合物は、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、又はジアリルマレエートのようなポリアリル化合物が例示されてよく、前記(メタ)アクリルオキシ基を含有する化合物は、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリルオキシ化合物などが例示されてよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0041】
前記架橋調剤は、前記封止材フィルム用組成物100重量部に対して0.01~0.5重量部、例えば、0.01~0.3、0.015~0.2、又は0.016~0.16重量部の含量で含まれ、前記架橋調剤が0.01重量部未満で含まれる場合、耐熱特性の向上効果が些細で、0.5重量部を超過して含まれる場合、最終製品、例えば、封止材シートの物性に影響を及ぼす問題が発生し、生産単価が増加する可能性がある。
【0042】
前記シランカップリング剤としては、例えば、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)からなる群より選択される1種以上を使用してよい。
【0043】
前記シランカップリング剤は、封止材フィルム用組成物100重量部に対して0.1~0.4重量部で含まれてよい。0.1未満で使用する場合、太陽光モジュールの製作時、ガラスとの接着力が不良で、水気浸透が容易になり、モジュールの長期性能を保障できず、1重量部以上で使用時、Y.Iの増加要因として作用して好ましくない。
【0044】
また、前記封止材フィルム用組成物は、不飽和シラン化合物、アミノシラン化合物をさらに含んでよい。
【0045】
前記不飽和シラン化合物は、ラジカル開始剤などの存在下で、本発明の共重合体の単量体の重合単位を含む主鎖にグラフトされてシラン変性樹脂組成物又はアミノシラン変性樹脂組成物に重合された形態として含まれてよい。
【0046】
前記不飽和シラン化合物は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、又はビニルトリアセトキシシランなどであってよく、一例として、この中、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランを使用してよいが、これに制限されるものではない。
【0047】
また、前記アミノシラン化合物は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体のグラフト変性段階で、共重合体の主鎖にグラフトされた不飽和シラン化合物、例えば、ビニルトリエトキシシランのアルコキシ基のような反応性官能基をヒドロキシ基に転換する加水分解反応を促進させる触媒として作用することで、上下部のガラス基板又はフッ素樹脂などで構成される裏面シートと接着強度をより向上させることができる。また、これと同時に、前記アミノシラン化合物は、直接共重合反応に反応物としても関与することで、アミノシラン変性樹脂組成物にアミン官能基を有するモイアティを提供することができる。
【0048】
前記アミノシラン化合物としては、アミン基を含むシラン化合物として、一次アミン、二次アミンであれば、特に制限されない。例えば、アミノシラン化合物としては、アミノトリアルコキシシラン、アミノジアルコキシシランなどを使用してよく、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimethoxysilane;APTMS)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-aminopropyltriethoxysilane;APTES)、ビス[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(N-[3-(Trimethoxysilyl)propyl]ethylenediamine;DAS)、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレンアミノメチルメチルジエトキシシラン、(N-フェニルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N-フェニルアミノ)メチルトリエトキシシラン、(N-フェニルアミノ)メチルメチルジメトキシシラン、(N-フェニルアミノ)メチルメチルジエトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、及びN-(N-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上が挙げられる。前記アミノシラン化合物は、単独又は混合して使用してよい。
【0049】
前記不飽和シラン化合物及び/又はアミノシラン化合物の含量は、特に限定されない。
【0050】
また、前記封止材フィルム用組成物は、必要に応じて光安定剤、UV吸収剤、及び熱安定剤などから選択される1種以上の添加剤をさらに含んでよい。
【0051】
前記光安定剤は、前記組成物が適用される用途に応じて、樹脂の光熱化開始の活性種を捕捉して光酸化を防止する役割を果たすことができる。使用可能な光安定剤の種類は特に制限されず、例えば、ヒンダードアミン系化合物又はヒンダードピぺリジン系化合物などのような公知の化合物を使用してよい。
【0052】
前記UV吸収剤は、組成物の用途に応じて、太陽光などからの紫外線を吸収して分子内で無害な熱エネルギーに変換させることで、樹脂組成物中の光熱化開始の活性種の励起を防止する役割を果たすことができる。使用可能なUV吸収剤の具体的な種類は特に制限されず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタン、又は超微粒子酸化亜鉛などの無機系UV吸収剤などの1種又は2種以上の混合物を使用してよい。
【0053】
また、前記熱安定剤の例としては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4、4’-ジイルビスホスホネート、及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトなどのリン系熱安定剤;8-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物などのラクトン系熱安定剤が挙げられ、前記のうち、1種又は2種以上を使用してよい。
【0054】
前記光安定剤、UV吸収剤、及び/又は熱安定剤の含量は、特に限定されない。すなわち、前記添加剤の含量は、樹脂組成物の用途、添加剤の形状や密度などを考慮して適切に選択してよく、通常、封止材フィルム用組成物の全固形分100重量部に対して0.01~5重量部の範囲内で適切に調節されてよい。
【0055】
また、本発明の封止材フィルム用組成物は、前記成分以外にも、樹脂成分が適用される用途に応じて、当該分野で公知された多様な添加剤を適切にさらに含んでよい。
【0056】
また、前記封止材フィルム用組成物は、射出、圧出などの方法で成形して多様な成型品として活用されてよく、具体的には、多様な光電子装置(optoelectronic device)、例えば、太陽電池などで素子をカプセル化する封止材(Encapsulant)として使用されてよく、例えば、昇温ラミネーション工程などに適用される産業用素材としても使用されてよいが、用途がこれに制限されるものではない。
【0057】
<封止材フィルム>
また、本発明は、前記封止材フィルム用組成物を含む封止材フィルムを提供する。
【0058】
本発明の封止材フィルムは、前記封止材フィルム用組成物をフィルム又はシート状に成形することで製造してよい。このような成形方法は特に制限されず、例えば、Tダイ工程又は圧出などのような通常的な工程でシート化又はフィルム化して製造してよい。例えば、前記封止材フィルムの製造は、前記封止材フィルム用組成物を用いた変性樹脂組成物の製造及びフィルム化又はシート化工程が互いに連結されている装置を使用してイン-サイチュ(in situ)工程で行ってよい。
【0059】
前記封止材フィルムの厚さは、光電子装置において、素子の支持効率及び破損可能性、装置の軽量化や作業性などを考慮して、約10~2,000μm、又は約100~1,250μmに調節してよく、具体的な用途に応じて変更されてよい。
【0060】
<太陽電池モジュール>
また、本発明は、前記封止材フィルムを含む太陽電池モジュールを提供する。本発明において、太陽電池モジュールは、直列又は並列に配置された太陽電池セルを、前記本発明の封止材フィルムで間隔を埋め、太陽光がぶつかる面にはガラス面が配置され、裏面はバックシートで保護する構成を有してよいが、これに制限されるものではなく、当該技術分野で封止材フィルムを含んで製造した太陽電池モジュールの多様な種類と形態が全て本発明に適用され得る。
【0061】
前記ガラス面は、外部の衝撃から太陽電池を保護し、破損を防止するために強化ガラスを使用してよく、太陽光の反射を防止し、太陽光の透過率を高めるために鉄成分含量の低い低鉄分強化ガラス(low iron tempered glass)を使用してよいが、これに制限されない。
【0062】
前記バックシートは、太陽電池モジュールの裏面を外部から保護する耐候性フィルムであって、例えば、フッ素系樹脂シート、アルミニウムなどの金属板又は金属箔、環状オレフィン系樹脂シート、ポリカーボネート系樹脂シート、ポリ(メタ)アクリル系樹脂シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、耐候性フィルムとバリアフィルムとをラミネート積層した複合シートなどがあるが、これに制限されない。
【0063】
その他にも、本発明の太陽電池モジュールは、前述した封止材フィルムを含むこと以外は、当該技術分野に知られた方法により制限されずに製造することができる。
【0064】
本発明の太陽電池モジュールは、体積抵抗率に優れた封止材フィルムを用いて製造されたものであって、封止材フィルムを介して太陽電池モジュール内の電子が移動して外部に電流が流出されることを防止することができ、したがって、絶縁性が悪化して漏れ電流が発生し、モジュールの出力が急激に低下するPID(Potential Induced Degradation)現象を大幅抑制させることができる。
【0065】
実施例
以下、実施例により本発明をより詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであり、これらのみで本発明の範囲が限定されるものではない。
【0066】
[遷移金属化合物の製造]
製造例1
(1)リガンド化合物の製造
<N-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)1,1-ジメチルシランアミン(N-tert-butyl-1-(1,2-dimethyl-3H-benzo[b]cyclopenta[d]thiophen-3-yl)-1,1-dimethylsilanamine)の合成>
100mLのシュレンクフラスコに、クロロ(1,2-ジメチル-6,7-ジヒドロ-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)ジメチルシランの化合物4.65g(15.88mmol)を定量して添加した後、ここにTHF 80mLを投入した。常温でtBuNH2(4eq、6.68ml)を投入した後、常温で3日間反応させた。反応後、THFを除去した後、ヘキサンで濾過した。溶媒乾燥後、黄色い液体を4.50g(86%)の収率で得た。
【0067】
1H-NMR(in CDCl3、500MHz):7.99(d、1H)、7.83(d、1H)、7.35(dd、1H)、7.24(dd、1H)、3.49(s、1H)、2.37(s、3H)、2.17(s、3H)、1.27(s、9H)、0.19(s、3H)、-0.17(s、3H)。
【0068】
【0069】
50mLのシュレンクフラスコに、前記リガンド化合物(1.06g、3.22mmol/1.0eq)及びMTBE 16.0mL(0.2M)を入れて先に撹拌させた。-40℃で、n-BuLi(2.64mL、6.60mmol/2.05eq、2.5MinTHF)を入れ、常温で一日中反応させた。その後、-40℃で、MeMgBr(2.68mL、8.05mmol/2.5eq、3.0M in ジエチルエーテル(diethyl ether))をゆっくり滴下した後、TiCl4(2.68mL、3.22mmol/1.0eq、1.0M in トルエン(toluene))を順序に入れて常温で一日中反応させた。その後、反応混合物を、ヘキサンを用いてセライト(Celite)を通過して濾過した。溶媒乾燥後、茶色固体を1.07g(82%)の収率で得た。
【0070】
1H-NMR(in CDCl3、500MHz):7.99(d、1H)、7.68(d、1H)、7.40(dd、1H)、7.30(dd、1H)、3.22(s、1H)、2.67(s、3H)、2.05(s、3H)、1.54(s、9H)、0.58(s、3H)、0.57(s、3H)、0.40(s、3H)、-0.45(s、3H)。
【0071】
製造例2
(1)リガンド化合物の製造
<N-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)-1,1-(メチル)(2-メチルフェニル)シランアミンの合成>
(i)クロロ-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)-1,1-(メチル)(2-メチルフェニル)シランの製造
250mLのシュレンクフラスコに、1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン2.0g(1.0eq、9.985mmol)とTHF50mLを入れ、n-BuLi 4.2mL(1.05eq、10.484mmol、2.5Minヘキサン)を-30℃で滴下した後、常温で一日中撹拌した。撹拌したLi-complex THF溶液を、ジクロロ(O-トリルメチル)シラン2.46g(1.2eq、11.982mmol)とTHF 30mLを入れたシュレンクフラスコに-78℃でカニュレーションした後、常温で一日中撹拌した。撹拌後、真空乾燥した後、ヘキサン100mLで抽出した。
【0072】
(ii)N-tert-ブチル-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)-1,1-(メチル)(2-メチルフェニル)シランアミンの製造
抽出したクロロ-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)-1,1-(メチル)(2-メチルフェニル)シラン4.0g(1.0eq、10.0mmol)をヘキサン10mLで撹拌した後、t-BuNH2 4.2mL(4.0eq、40.0mmol)を常温で投入した後、常温で一日中撹拌した。撹拌後、真空乾燥した後、ヘキサン150mLで抽出した。溶媒乾燥後、粘つく液体4.26g(99%、dr=1:0.83)を得た。
【0073】
1H-NMR(CDCl3、500MHz):δ7.95(t、2H)、7.70(d、1H)、7.52(d、1H)、7.47-7.44(m、2H)、7.24-7.02(m、9H)、6.97(t、1H)、3.59(s、1H)、3.58(s、1H)、2.50(s、3H)、2.44(s、3H)、2.25(s、3H)、2.16(s、3H)、2.06(s、3H)、1.56(s、3H)、1.02(s、9H)、0.95(s、9H)、-0.03(s、3H)、-0.11(s、3H)
【0074】
【0075】
250mLの丸いフラスコに、前記リガンド化合物(4.26g、10.501mmol)をMTBE 53mL(0.2M)に入れて撹拌させた。-40℃でn-BuLi(8.6mL、21.52mmol、2.05eq、2.5Minヘキサン)を入れ、常温で一日中撹拌した。
【0076】
その後、-40℃でMeMgBr(8.8mL、26.25mmol、2.5eq、3.0M in ジエチルエーテル)をゆっくり滴下した後、TiCl4(10.50mL、10.50mmol)を順序に入れ、常温で一日中撹拌した。その後、反応混合物を、ヘキサンを用いて濾過した。濾過液にDME(3.3mL、31.50mmol)を入れ、溶液をヘキサンで濾過、濃縮して黄色い固体3.42g(68%、dr=1:0.68)を得た。
【0077】
1HNMR(CDCl3、500MHz):δ7.83(d、1H)、7.80(d、1H)、7.74(d、1H)、7.71(d、1H)、7.68(d、1H)、7.37(d、1H)、7.31-6.90(m、9H)、6.84(t、1H)、2.54(s、3H)、2.47(s、3H)、2.31(s、3H)、2.20(s、3H)、1.65(s、9H)、1.63(s、9H)、1.34(s、3H)、1.00(s、3H)、0.98(s、3H)、0.81(s、3H)、0.79(s、3H)、0.68(s、3H)、0.14(s、3H)、-0.03(s、3H)
【0078】
[エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の製造]
1.5Lの連続工程反応器に、ヘキサン溶媒を7kg/h、1-ブテンを0.94kg/h投入しながら150℃で予熱した。トリイソブチルアルミニウム化合物(0.05mmol/min)、前記製造例1及び製造例2の化合物を1:1.5モル比で混合した混合物、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒(1.5μmol/min)を同時に反応器に投入した。次に、前記反応器中にエチレン(0.87kg/h)及び水素ガス(26cc/min)を投入し、89barの圧力で、連続工程で136.0℃で60分以上維持させ、共重合反応を進行して共重合体を得た。その後、真空オーブンで12時間以上乾燥し、圧出及びペレット化過程を経た後、物性を測定した。
【0079】
[封止材フィルムの製造]
実施例1
前記のように製造したエチレン/アルファ-オレフィン共重合体に、数平均分子量が3,350g/molであるポリエチレングリコール(Sigma Aldrich社)を添加し、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.1重量%になるように添加した後、Extrusion Blendingしたサンプルをペレット化した。
【0080】
その後、40℃で予熱されたPlanetary Mixerに前記ペレット500gを入れ、架橋調剤0.5phr、シランカップリング剤0.2phr、有機ペルオキシド1.0phrをそれぞれ滴下した後、1時間混合して封止材フィルム用組成物を得た。
【0081】
その後、T-ダイ温度90℃条件下で、厚さ500±100umの封止材フィルムを製造した。
【0082】
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、下記ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)分析条件下で測定して確認した。
【0083】
-カラム:Ultrahydrogel 250+120
-溶媒:pH6.35 リン酸塩緩衝溶液(phosphate buffer solution)
-流速:0.7ml/min
-試料濃度:1.0mg/ml
-注入量:100μl
-カラム温度:35℃
-検出器(Detector):Vicsotek TDA 302
-データプロセッシング(Data processing):OmniSEC 5.0
【0084】
実施例2
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.3重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0085】
実施例3
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0086】
実施例4
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.6重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0087】
実施例5
数平均分子量が6,000g/molであるポリエチレングリコールを使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0088】
実施例6
数平均分子量が8,000g/molであるポリエチレングリコールを使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0089】
実施例7
数平均分子量が12,000g/molであるポリエチレングリコールを使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0090】
実施例8
数平均分子量が20,000g/molであるポリエチレングリコールを使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0091】
比較例1
ポリエチレングリコールを混合しないこと以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0092】
比較例2
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.04重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0093】
比較例3
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.8重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0094】
比較例4
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準1.0重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0095】
比較例5
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準3.0重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0096】
比較例6
ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準5.0重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0097】
比較例7
数平均分子量が400g/molであるポリエチレングリコールを使用し、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準ポリエチレングリコールが0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0098】
比較例8
数平均分子量が100,000g/molであるポリエチレングリコールを使用し、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準ポリエチレングリコールが0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0099】
比較例9
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の代わりにエチレン/ビニルアセテート共重合体を使用し、ポリエチレングリコールを混合しないこと以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0100】
比較例10
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の代わりにエチレン/ビニルアセテート共重合体を使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/ビニルアセテート共重合体を及びポリエチレングリコールの総重量基準0.5重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0101】
比較例11
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の代わりにエチレン/ビニルアセテート共重合体を使用し、ポリエチレングリコールがエチレン/ビニルアセテート共重合体を及びポリエチレングリコールの総重量基準1.0重量%であること以外は、実施例1と同様に封止材フィルムを製造した。
【0102】
【0103】
実験例1
2枚の異形フィルム(厚さ:約100um)の間に、前記実施例及び比較例で製造した封止材フィルム(15cm×15cm)を入れ、真空ラミネーターで工程温度150℃、工程時間20分間ラミネーションして架橋させた。
【0104】
(1)体積抵抗率
ASTM D257規格に基づいて測定した。具体的には、23±1℃温度と50±3%湿度条件で、サンプルをkeithley 8009 test fixtureに入れ、これと連結されたkeithley 6517B電位計を用いて1000Vの電圧を600秒間加えながら測定した。
【0105】
(2)光透過率
また、550nmでの光透過率を、Shimadzu UV-3600分光光度計を用いて測定した(測定モード:transmittance、波長interval:1nm、測定速度:medium)。
【0106】
【0107】
前記表2のように、実施例1~8で製造した封止材フィルムは、体積抵抗率及び光透過率の両方が優れて現れた。一方、比較例9~11の場合、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体ではなくエチレン/ビニルアセテート共重合体を使用したものであり、実施例に対して体積抵抗率が顕著に低く現れた。また、エチレン/ビニルアセテート共重合体は、ポリエチレングリコールをさらに使用しても体積抵抗率の改善効果が現れないことを確認した。
【0108】
また、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を使用しても、ポリエチレングリコールの含量が非常に少なく使用された比較例2は、体積抵抗率が低く現れた。
【0109】
一方、数平均分子量が400g/molであるポリエチレングリコールを使用した比較例7では、光透過率が低く現れ、数平均分子量が100,000g/molで、50,000g/mol超過であるポリエチレングリコールを使用した比較例8では、むしろ体積抵抗率が低下することが分かった。
【0110】
実験例2
米国材料試験学会規格 ASTM D1003により、前記封止材フィルムの1T(1mm)に光を射ったときに光が屈折された程度(%)を測定した。ヘイズは、Td(屈折した光)/Tt(通過した光)×100(%)で試片の透明度を測定した。
【0111】
【0112】
前記表3のように、ポリエチレングリコールを非常に多い量で使用した比較例3~6、数平均分子量が1,000~50,000g/molから外れる比較例7及び8では、ヘイズが高くなるので、封止材フィルムの用途として使用することが不適合であることを確認した。前記実験例1及び実験例2を介して、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体と数平均分子量が1,000~50,000g/molであるポリエチレングリコールを混合した封止材フィルム用組成物として、ポリエチレングリコールがエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びポリエチレングリコールの総重量基準0.05~0.7重量%の場合、体積抵抗率及び光透過率が優れて現れ、ヘイズも低く現れ、封止材フィルムとして有用に使用できることを確認した。
【0113】
また、ポリエチレングリコールの数平均分子量と含量のうち、一つ以上が本発明で定義した範囲から外れる場合、封止材フィルム用組成物に求められる物性が低下することが分かった。
【国際調査報告】