(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物及びそれを用いたパターン化方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240423BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20240423BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G03F7/11 502
H01L21/312 A
H01L21/302 105A
G03F7/11 503
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569809
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 KR2022006311
(87)【国際公開番号】W WO2022245014
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063102
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523423908
【氏名又は名称】ワイシーケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YCCHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】イ スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ギホン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
【テーマコード(参考)】
2H225
5F004
5F058
【Fターム(参考)】
2H225AM61N
2H225AM67N
2H225AM93N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225BA34N
5F004AA04
5F004EA04
5F058AA06
5F058AA10
5F058AC10
5F058AD09
5F058AF04
5F058AG02
(57)【要約】
本発明は、半導体リソグラフィー工程に有用な、蒸発減量の少ないハードマスク組成物を提供するための目的を有するものであって、化学式1で表される重合体、界面活性剤及び有機溶媒からなるスピンオンハードマスク組成物、及びその組成物を用いるパターン化方法を構成とするものであり、本発明によるハードマスクは、優れた耐熱性の特性のため、工程中に欠陥として作用する可能性のある蒸発減量を最小限に抑えることにより、収率を改善するという効果を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造を有し、重量平均分子量が1,500~20,000の重合体を含むスピンオンハードマスク組成物であって、前記組成物を400℃でベークするときに蒸発減量が少ない、スピンオンカーボンハードマスク組成物。
【化1】
(式中、mとnは、それぞれ1≦m≦50、1≦n≦50の範囲であり、
R
1は、
、
、
,
、
、
、
のうちのいずれかを含むものであり、
R
2は、
、
、
、
、
のうちのいずれかを含むものである。)
【請求項2】
前記スピンオンハードマスク組成物は、化学式1で表される重合体、界面活性剤及び有機溶媒からなることを特徴とする、請求項1に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項3】
組成物の全重量に対して、重合体1~50重量%、界面活性剤0.01~0.1重量%、及び有機溶媒50~98.99重量%からなることを特徴とする、請求項2に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項4】
前記蒸発減量が2.5~3.5%であることを特徴とする、請求項3に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項5】
前記蒸発減量が2.7~3.2%であることを特徴とする、請求項4に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項6】
前記蒸発減量が2.9~3.1%であることを特徴とする、請求項5に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項7】
ハードマスク膜のコーティング厚さが135~2,200nmであることを特徴とする、請求項6に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、又はポリオキシエチレンソルビタン類から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート(EL)、メチルエチルケトン、n-ブチルアセテート、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)又はエチル3-エトキシプロピオネート(EEP)の中から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の蒸発減量の少ないスピンオンカーボンハードマスク組成物。
【請求項10】
前記重合体の重量平均分子量が1,500~15,000であることを特徴とする、請求項1に記載の蒸発減量の少ないスピンオンハードマスク組成物。
【請求項11】
前記重合体の重量平均分子量が1,500~10,000であることを特徴とする、請求項10に記載の蒸発減量の少ないスピンオンハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の蒸発減量の少ないスピンオンハードマスク組成物をスピン塗布によって被エッチング層の上部に塗布する工程、及びベーク工程を行ってハードマスク層を形成させる、パターン化方法。
【請求項13】
前記ベーク工程は150℃~400℃の温度で1~5分間行ってハードマスク層を形成させる、請求項12に記載のパターン化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体リソグラフィー工程に有用な、蒸発減量の少ないハードマスク組成物に関し、より詳細には、優れた耐熱性特性のため、工程中にディフェクト(defect、欠陥)として作用する可能性のある蒸発減量(evaporation loss)を最小限に抑えることができるハードマスク組成物、及びこの組成物を用いたパターン化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの小型化及び集積化に伴い、微細パターンの実現が求められており、このような微細パターンを形成する方法としては、露光装備の開発又は追加工程の導入によるフォトレジストパターンの微細化が効率的である。
半導体装置の集積密度を増加させ、より微細なナノメートル範囲の寸法を有する構造形成を可能とするための方法として、高解像能を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー工程ツールが開発されている。
半導体を製造する工程において、過去は、波長365nmのi-line光源を用いて半導体基板にパターンを形成したが、より微細なパターンを形成するためにさらに小さい波長帯の光源を必要とするようになった。
実際、KrF(248nm)を始めとして、ArF(193nm)、EUV(Extreme Ultra Violet-極紫外線、13.5nm)光源を用いたリソグラフィー(lithography)技術が開発され、現在商用化されているか商用化中にあり、それを用いてより微細な波長を実現することができるようになった。
【0003】
パターンのサイズが小さくなるにつれて、フォトレジストパターンの倒れ現象を防止するために、フォトレジストの厚さが次第に薄くなった。薄くなったフォトレジストパターンを用いて被エッチング層をエッチングすることができなくなり、フォトレジスト層と被エッチング層との間にエッチング耐性に優れた膜質を導入した。この膜質をハードマスクと称した。ハードマスク工程は、フォトレジストパターンを用いてハードマスクをエッチングしてパターニングした後、ハードマスクのパターンを用いて被エッチング層をエッチングする工程をいう。前記ハードマスク膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法又はスピンオンコーティング(Spin on Coating)法で製造される。
CVD法によって製造されたハードマスク膜は、蒸着機の使用による初期費用の増加と工程時間の増加、パーティクル問題などの欠点により、ハードマスク工程を蒸着ではなく、スピン塗布が可能な材料を用いて費用と工程時間を短縮しようとする努力が続けられてきた。
スピンオンコーティング法によるハードマスク工程は、CVD法に比べて初期投資費用が少なく、コーティング性が均一であり、コーティング厚さを容易に制御することができ、工程時間を短縮することができるなどの利点がある
一方、最近、半導体工程がさらに微細化されるにつれて、線幅は狭くなるが、高さはそのまま維持されるか或いは相対的に高くなり、パターンのアスペクト比が高くなった。ハードマスク層の高さが高くなることにより、ベーク工程時に蒸発減量の増加によりディフェクト問題が発生して収率が低下するという問題が生じた。したがって、ディフェクトとして作用する蒸発減量を最小限に抑えて収率を改善することができる新規なハードマスク膜材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許公報第10-1777687号(2017年9月12日)
【特許文献2】韓国特許公報第10-2240213号(2021年4月14日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体製造工程中にスピンオンカーボンハードマスクを用いたパターン化方法と組成物に関するもので、ディフェクト(Defect:欠陥)として作用する蒸発減量(Evaporation Loss)を最小限に抑えることができるスピンオンカーボンハードマスク組成物、及びこの組成物を用いたパターン化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、下記化学式1で表される構造を有し、重量平均分子量が1,500~20,000のものであって、蒸発減量を最小限に抑えることができることを特徴とする、スピンオンカーボンハードマスク組成物を提供する。
【0007】
【0008】
式中、mとnは、それぞれ1≦m≦50、1≦n≦50の範囲であり、
R
1は、
、
、
,
、
、
、
のうちのいずれかを含むものであり、
R
2は、
、
、
、
、
のうちのいずれかを含むものである。
【0009】
本発明の一態様によれば、組成物の全重量に対して、前記化学式1で表される重合体1~50重量%、有機溶媒50~98.99重量%及び界面活性剤0.01~0.1重量%を含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート(EL)、メチルエチルケトン、n-ブチルアセテート、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、エチル3-エトキシプロピオネート(EEP)の中から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンなどの非イオン性界面活性剤から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、前記組成物をスピン塗布によって被エッチング層の上部に塗布した後、ベーク工程を行ってハードマスク膜層を形成させる、パターン化方法を提供する。
本発明の他の一態様によれば、前記ベーク工程は、150℃~400℃の温度で1分~5分間行ってパターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による蒸発減量(evaporation loss)を最小限に抑えることができるハードマスク組成物は、優れた耐熱性特性を有することにより、蒸発減量を最小限に抑えてディフェクト(defect)を減らすことができ、エッチ(etch)選択性が高く、多重エッチに対する耐性が十分であるため、半導体微細パターンの形成時に優れた性能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で製造された重合体のTGAスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、下記化学式1で表される構造を有し、重量平均分子量が1,500~20,000であり、好ましくは1,500~15,000、さらに好ましくは1,500~10,000の重合体を含むスピンオンカーボンハードマスク組成物に関する。
【0015】
【0016】
式中、mとnは、それぞれ1≦m≦50、1≦n≦50の範囲であり、
R
1は、
、
、
,
、
、
、
のうちのいずれかを含むものであり、
R
2は、
、
、
、
、
のうちのいずれかを含むものである。
【0017】
前記式中、R1は、主に全体高分子構造の熱硬化反応性及びエッチ選択比を改善するための役割を果たす。
前記式中、R2は、主に酸(acid)触媒の条件下で行われ、形成された高分子物質の流れ性及びコーティング性を増加させる役割を果たす。
前記化学式1で表される重合体は、重量平均分子量が1,500~0,000であることを特徴とし、好ましくは1,500~15,000、さらに好ましくは1,500~10,000である。
【0018】
前記化学式1で表される重合体の重量平均分子量が1,500未満である場合には、十分な量のポリマー構造が生成されないためエッチ耐性が低下し、重量平均分子量が20,000を超える場合には、コーティングされた面の物性が不均一であり得る。
前記ハードマスク組成物は、組成物の全重量に対して、前記化学式1で表される重合体1~50重量%、有機溶媒50~98.99重量%、界面活性剤0.01~0.1重量%を含むことができる。
【0019】
ここで、前記重合体成分が1重量%未満又は50重量%超過である場合、目的のコーティング厚さ未満又は超過になって正確なコーティング厚さを合わせ難く、コーティング厚さ超過の場合にはコーティング性が悪くなるおそれがある。
前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート(EL)、メチルエチルケトン、n-ブチルアセテート、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、エチル3-エトキシプロピオネート(EEP)の中から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
【0020】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン類などの非イオン性界面活性剤から選択された1種又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選択されるものを使用することができる。
前記界面活性剤は、表面張力を下げて広がり性や浸透性を増大させてコーティング性やギャップフィル(Gapfill)性能に役立つことができる。
本発明の他の一実施形態によれば、前記組成物をスピン塗布によって被エッチング層の上部に塗布した後、ベーク工程を行ってハードマスク層を形成させるパターン化方法を提供する。
【0021】
前記組成物のスピン塗布厚さは、135~2,200nmで塗布できるが、厚さが135nm未満の場合には、十分に塗布されないためエッチ耐性が低下し、厚さが2,200nmを超える場合には、コーティング面の物性が不均一になってコーティング性が不良になるので、採択することができない。
前記ベーク工程は、150℃~400℃の温度で1分~5分間行うことができる。前記ベーク工程で、前記組成物は、自己架橋(self-crosslinking)反応を起こすことができる。
【0022】
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。しかし、下記の実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
【0024】
9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2ナフチル)フルオレン40g、4,4-ビスメトキシメチルビフェニル16g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)150gを入れて窒素雰囲気を造成した。ここにジエチルサルフェート0.20gを入れ、溶液を140℃で加熱した後、10時間還流(reflux)させた。反応終了後、前記溶液をヘキサン/エタノール/水(1:1:1)溶液で精製し、エタノール/水(10:1)溶液を用いて再結晶化させた後、真空乾燥させて、GPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)5,000の高分子化合物を得た。
【実施例2】
【0025】
【0026】
溶液を140℃で加熱した後、5時間還流(reflux)させた以外は、実施例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は1,500であった。
【実施例3】
【0027】
【0028】
ジエチルサルフェート0.40gを入れて溶液を140℃で加熱した後、20時間還流(reflux)させた以外は、実施例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
【実施例4】
【0029】
【0030】
4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの代わりに1,3-ビスメトキシメチルベンゼン11gを加えた以外は、実施例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は4,500であった。
【実施例5】
【0031】
【0032】
4,4-ビスメトキシメチルビフェニルの代わりに4,4-ビスメトキシメチルビフェニルエーテル13gを加えた以外は、実施例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は5,200であった。
【0033】
比較例1
【0034】
【0035】
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン20gと1,4-ビスメトキシメチルベンゼン9.5gにPGMEA70gを添加し、ジエチルサルフェート0.20gを添加する。実施例1と同様にして合成した後、得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は4,900であった。
【0036】
比較例2
反応時間を5時間にした以外は、比較例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は1,500であった。
【0037】
比較例3
反応時間を30時間にした以外は、比較例1と同様にして合成した。得られた高分子化合物のGPC測定の結果、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
【0038】
実験例1
実施例1で得た高分子化合物3.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート37.5g、シクロヘキサノン9.4g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.05gを入れ、20時間攪拌して溶解させた。この溶液を0.2μmの微細フィルターで濾過した後、ハードマスク膜形成用組成物を調製し、スピンコーターを用いてシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で240℃にて1分、連続的に400℃で1分間加熱してハードマスク膜を形成した。
実験例2
実施例2で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例3
実施例3で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例4
実施例4で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例5
実施例5で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例6
実施例1で得た高分子化合物17.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート26.35g、シクロヘキサノン6.6g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.05gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例7
実施例2で得た高分子化合物17gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
実験例8
実施例3で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
実験例9
実施例4で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
実験例10
実施例5で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
実験例11
実施例1で得た高分子化合物3.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート37.5g、シクロヘキサノン9.4g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.025gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例12
実施例1で得た高分子化合物3.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート37.595g、シクロヘキサノン9.4g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.005gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
【0039】
比較実験例1
比較例1で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
比較実験例2
比較例2で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
比較実験例3
比較例3で得た高分子化合物3.0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
比較実験例4
比較例1で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
比較実験例5
比較例2で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
比較実験例6
比較例3で得た高分子化合物17.0gを使用する以外は、実験例6と同様にして行った。
比較実験例7
実施例1で得た高分子化合物17.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート26.4g、シクロヘキサノン6.6g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
比較実験例8
実施例1で得た高分子化合物3.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート37.1g、シクロヘキサノン9.4g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.5gを使用する以外は、実験例1と同様にして行った。
【0040】
<重量平均分子量の測定>
前記実施例で得た重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel Permeation Chromatography)を用いて測定した。測定には、WATERS社製のGPC装置を使用し、測定条件は、次のとおりであった。
カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1mL/1min、GPCカラム:STYRAGEL KF-801、802、803(WATERS社製、8×300mm)を使用した。
【0041】
<コーティング厚さ特性試験>
実験例1~実験例12及び比較実験例1~比較実験例8で形成されたハードマスク膜の厚さをそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。測定機器は、Ellipsometer(堀場製作所製)を使用した。
【0042】
【0043】
ハードマスク膜のコーティング厚さが135~2,200である場合、コーティング性が良好であると評価することができる。
ハードマスク膜のコーティング厚さを評価すると、実験例1~実験例12の場合、ハードマスク膜のコーティング厚さが135~2,200nmであると測定されたものなので、エッチ耐性に顕著に優れるうえ、コーティング性にも顕著に優れると評価された。
【0044】
これに比べて、比較実験例1及び比較実験例2の場合は、コーティング厚さが130及び100nmであると測定され、エッチ耐性が大きく低下すると評価された。また、比較実験例6及び比較実験例7の場合は、コーティング厚さが2,350及び2,300nmであると測定され、コーティング面の物性が不均一になってコーティング性が不良であると評価された。
ここで、比較実験例8の場合は、実施例1の化合物を使用したものであって、組成物の全重量に対してポリオキシエチレンアルキルエーテル1%を含んでいるが、表1に記載されているコーティング厚さ特性試験の結果、138nmであると測定されてコーティング性が良好であると評価された。
【0045】
<光学物性試験>
実験例1~実験例12及び比較実験例1~比較実験例8で形成されたハードマスク膜に対する屈折率(refractive index)nと吸光係数(extinction cofficient)kをそれぞれ測定し、その結果を表2に示した。測定機器は、Ellipsometer(堀場製作所製)を使用した。
【0046】
【0047】
ハードマスク膜の屈折率(n@193nm)及び吸光係数(k@193nm)は、コーティング性が不良であって測定できなかった比較実験例6及び比較実験例7を除いては、表2のように測定された。
ハードマスク膜の屈折率(n@193nm)は、1.41以下の場合に優れると評価することができ、吸光係数(k@193nm)は、0.50以下の場合に優れると評価することができる。
第一に、ハードマスク膜の屈折率(n@193nm)を評価すると、実験例1~実験例12の場合、ハードマスク膜の屈折率(n@193nm)は1.35~1.41であると測定されたのに対し、比較実験例1~比較実験例5の場合、屈折率(n@193nm)が1.44~1.45であると測定された(コーティング性が不良であって測定できなかった比較実験例6及び比較実験例7は除外された)ので、実験例1~実験例12の場合、屈折率(n@193nm)特性に優れることを確認することができた。
【0048】
第二に、ハードマスク膜の吸光係数(K@193nm)を評価すると、実験例1~実験例12の場合は、ハードマスク膜の吸光係数(K@193nm)が0.46~0.50であると測定されたのに対し、比較実験例1~比較実験例5の場合は、ハードマスク膜の吸光係数(K@193nm)が0.67~0.69であると測定された(コーティング性が不良であって測定できなかった比較実験例6及び比較実験例7は除外された)ので、実験例1~実験例12の場合は、ハードマスク膜の吸光係数(K@193nm)特性が顕著に優れることを確認することができた。
【0049】
ここで、比較実験例8の場合は、実施例1の化合物を使用したものであって、組成物の全重量に対してポリオキシエチレンアルキルエーテル1%を含んでいるが、ハードマスク膜の屈折率(n@193nm)が1.35と測定され、吸光係数(k@193nm)が0.48と測定されて優れるものと評価された。
【0050】
<蒸発減量特性の評価>
実験例1~実験例12及び比較実験例1~比較実験例8で形成されたハードマスク膜に対して蒸発減量特性の評価を行った。使用機器は、TGA(Thermal Analyzer System、TA Instrument製)を用いて400℃でWeight lossを測定し、測定結果を表3に示した
【0051】
【0052】
従来技術に係るハードマスク膜の蒸発減量特性は、TGA測定の際に400℃で蒸発減量(weight loss)が4%以上であると知られているので、蒸発減量(weight loss)が4%未満の場合には優れると定義することができ、蒸発減量(weight loss)が3.5~3%以下の場合には非常に優れると定義することができる。
実験例1~実験例12の場合は、蒸発減量が3%であると測定されたのに対し、比較実験例1~比較実験例8の場合は、蒸発減量が4~11%であると測定されたので、実験例1~実験例12の場合は、蒸発減量特性が非常に優れることを確認することができた。
以上、本発明の特定の部分を詳細に述べたので、当該分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は単に好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、請求項とそれらの等価物によって定義されるというべきである。
【国際調査報告】