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特表2024-518504ボイドおよびシームのない金属特徴を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ボイドおよびシームのない金属特徴を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/14 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
C23C16/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569849
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022024105
(87)【国際公開番号】W WO2022240503
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】17/316,649
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ツェン シー
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ミンルイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ペイチー
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウー カイ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ イー
(72)【発明者】
【氏名】ウー リキ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA17
4K030BA20
4K030FA03
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
(57)【要約】
本明細書に記載された実施形態は一般に、半導体デバイスに高アスペクト比金属コンタクトおよび/または相互接続特徴、例えばタングステン特徴を形成する方法を対象としている。高アスペクト比開口の中にタングステンを共形に堆積させると、しばしば、開口の1つまたは複数の壁からのタングステンの外向き成長が出合うところにシームおよび/またはボイドが形成される。したがって、本明細書に記載された方法は、結果として生じる相互接続特徴内のシームおよび/またはボイドの形成を防ぐ望ましいボトムアップタングステンバルク充填物を提供し、さらに、改良されたコンタクト金属構造体および該構造体を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、従来通りに形成されたコンタクトまたは相互接続構造体よりも改良された特性を有するコンタクトまたは相互接続構造体を形成することを可能にするために、基板のフィールド領域の上に、改良されたオーバーバーデン層またはオーバーバーデン層構造体が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を堆積させる方法であって、
第1の処理圧力以下の圧力で基板を第1のタングステン含有前駆体ガスおよび第1の還元剤に曝露することによって、前記基板上の複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させることであり、前記基板が、前記複数の開口が形成された第1の材料層と、前記第1の材料層上に形成された、前記複数の開口を共形に内張りするタングステン核形成層とを含む、前記タングステンバルク充填材料を堆積させること、ならびに
前記タングステンバルク充填材料の上に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることであり、第2の処理圧力で前記基板を第2のタングステン含有前駆体ガスおよび第2の還元剤に曝露することを含む、前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させること
を含み、
前記第2の処理圧力が前記第1の処理圧力の少なくとも3倍である、
方法。
【請求項2】
前記タングステン核形成層のフィールド表面への前記タングステンバルク充填材料の堆積を、前記複数の開口内の表面への前記タングステンバルク充填材料の堆積に比べて選択的に抑制するために、前記タングステン核形成層を処理ガスのラジカル種に曝露することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の処理圧力が約50トル以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させるために前記基板を前記第2のタングステン含有前駆体ガスおよび前記第2の還元剤に曝露することが、前記基板を前記第2のタングステン含有前駆体ガスと前記第2の還元剤の交互パルスに曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させるために前記基板を前記第2のタングステン含有前駆体ガスおよび前記第2の還元剤に曝露することが、前記基板を前記第2のタングステン含有前駆体ガスと前記第2の還元剤に同時に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層上に第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることをさらに含み、前記第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、
第3の処理圧力で前記基板を第3のタングステン含有前駆体ガスと第3の還元剤に同時に曝露すること
を含み、
前記第2の処理圧力が前記第3の処理圧力の少なくとも4倍である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層上に第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることをさらに含み、前記第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、第3の処理圧力で前記基板を第3のタングステン含有前駆体ガスと第3の還元剤の交互パルスに曝露することを含み、
前記第2の処理圧力が前記第3の処理圧力の少なくとも3倍である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、
前記第3のタングステン含有前駆体ガスと前記第3の還元剤の交互パルスのパルスとパルスの間に不活性パージガスを流すこと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
膜を堆積させる方法であって、
第1の処理容積に第1のタングステン含有前駆体ガスと第1の還元剤を同時に流入させ、前記第1の処理容積を第1の処理圧力に維持しつつ、基板を前記第1のタングステン含有前駆体ガスおよび前記第1の還元剤に曝露することによって、前記基板の第1の材料層に形成された複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させること、ならびに
前記タングステンバルク充填材料上および前記基板のフィールド表面に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることであり、第2の処理容積を第2の処理圧力に維持しつつ、前記第2の処理容積内で、前記基板を第2のタングステン含有前駆体ガスと第2の還元剤の交互パルスに曝露することを含む、前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させること
を含み、
前記第2の処理圧力が前記第1の処理圧力の少なくとも3倍である、
方法。
【請求項10】
前記第1の還元剤が水素ガス(H2)を含み、前記第2の還元剤が、ジボランガス、シラン含有ガスまたはこれらの組合せを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、前記第2の処理容積に前記第2のタングステン含有前駆体ガスと前記第2の還元剤を同時に流入させること、ならびに前記第2の処理容積を約150トル~約300トルの間の圧力に維持しつつ、前記基板を前記第2のタングステン含有前駆体ガスおよび前記第2の還元剤に曝露することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のタングステンオーバーバーデン層上に第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることをさらに含み、前記第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、前記第2の処理容積を約900ミリトル~約100トルの間の圧力に維持しつつ、前記第2の処理容積に第3のタングステン含有前駆体ガスと第3の還元剤を同時に流入させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることをさらに含み、前記第2のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることが、
(a)前記基板を第3のタングステン含有前駆体ガスに曝露し、
(b)前記基板を第3の還元剤に曝露すること
の逐次繰返しを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
(c)(a)と(c)との間に前記第2の処理容積にパージガスを流入させること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記タングステンバルク充填材料を堆積させる前に基板を処理ガスのラジカル種に曝露することをさらに含み、前記基板が、前記第1の材料層上に形成された、前記複数の開口を共形に内張りするタングステン核形成層をさらに含み、前記基板を前記ラジカル種に曝露することが、前記タングステン核形成層のフィールド表面への前記タングステンバルク充填材料の前記堆積を、前記複数の開口内の表面への前記タングステンバルク充填材料の堆積に比べて抑制する抑制プロファイルを形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ラジカル種を形成することが、
処理容積に前記処理ガスを流入させること、
前記処理ガスの処理プラズマに点火し、前記処理プラズマを維持すること、および
前記基板を前記処理プラズマに曝露すること
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1のプロセスチャンバ、第2のプロセスチャンバ、および前記第1のプロセスチャンバを前記第2のプロセスチャンバに結合する移送チャンバと、
プロセッサによって実行されたときに基板を処理する方法を実行するための命令がその上に記憶された非一過性コンピュータ可読媒体と
を含み、前記方法が、
前記第1のプロセスチャンバを使用して、前記基板上にバリア材料層を堆積させることであり、前記基板が、複数の開口が形成された材料層を含む、前記バリア材料層を堆積させること、
前記第2のプロセスチャンバを使用して、第1の処理圧力以下の圧力で前記基板を第1のタングステン含有前駆体ガスおよび第1の還元剤に曝露することによって、前記複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させること、ならびに
前記タングステンバルク充填材料の上に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることであり、第2の処理圧力で前記基板を第2のタングステン含有前駆体ガスおよび第2の還元剤に曝露することを含む、前記第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させること
を含み、
前記第2の処理圧力が前記第1の処理圧力の少なくとも3倍である、
基板処理システム。
【請求項18】
前記タングステンバルク充填材料を堆積させる前に、タングステン核形成層を堆積させ、前記タングステン核形成層を処理ガスのラジカル種に曝露することをさらに含む、請求項17に記載の基板処理システム。
【請求項19】
前記複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させることが、
処理容積にタングステン含有前駆体ガスと還元剤を同時に流入させ、前記基板を前記タングステン含有前駆体ガスおよび前記還元剤に曝露することを含み、前記タングステン含有前駆体ガスが約900ミリトル~100トルの間の圧力で流される、
請求項17に記載の基板処理システム。
【請求項20】
前記複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させることが、
前記基板を前駆体ガスと還元剤の逐次繰返しに曝露することを含み、前記前駆体ガスが約900ミリトル~100トルの間の圧力で流される、
請求項17に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施形態は一般に半導体デバイス製造の分野に関し、より詳細には、タングステン含有材料を含む核形成層を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
その低い抵抗および高い融点のため、タングステン(W)は、半導体デバイス内の導電性特徴の多くを形成するための充填材料として一般的に使用されている。タングステンは、ビアなどの相互接続特徴を形成するため、ならびにソースおよびドレインコンタクトに充填するためにしばしば使用される。典型的には、基板上に配されたシリコンまたは誘電体などの材料の層の中に、タングステンを含む特徴が形成される。
【0003】
それらの層へのタングステン材料の拡散を防ぎ、それらの層へのタングステン材料の接着を促進するため、誘電体層上に、バリア材料の1つまたは複数の層、例えばチタン(Ti)および/または窒化チタン(TiN)の1つまたは複数の層を堆積させて、誘電体層の開口を内張りする。次いで、バリア材料の上にタングステン膜を形成する。不都合にも、従来の方法を使用してますます小さな特徴の中にタングステンを堆積させると、その結果として、しばしば、結果として生じる相互接続特徴内のシーム(seam)および/またはボイド、ならびに特徴の外側の基板表面の上のオーバーバーデン(overburden)の望ましくない形成が起こる。タングステン膜を、特徴の外側の周囲のシリコンまたは誘電体層の表面と共面に維持するため、基板表面を平坦化して、フィールド表面(field surface)からタングステンのオーバーバーデンを除去する。
【0004】
これらのシームおよび/またはボイドは、基板のフィールド表面および基板上に形成された開口の中におけるタングステン層の共形堆積に起因する。このタングステン層は全ての表面から同時に同じ速度で成長するため、2つの問題が起こりうる。第1に、表面付近の開口の壁に形成するタングステンは一斉に早期に成長し、開口をはさみつぶし、開口のその下の部分にタングステンがない空間、すなわちボイドを生み出しうる。第2に、開口の壁に堆積したタングステンは同時に一斉に成長するため、この成長パターンは、特徴を貫いて上方へ延びるシームを生み出しうる。一旦形成されると、化学機械平坦化(CMP)またはタングステンエッチバックなどの堆積後プロセスで使用される腐食性の化学物質が既存のシームおよびボイドをさらに広げることがあるので、これらのシームおよび/またはボイドは、性能、信頼性の低下および/または歩留りの抑制につながることがある。
【0005】
特徴内およびフィールド表面におけるタングステン材料の堆積に対する別の課題が応力である。タングステン充填材料内の高い応力は、相互接続の望ましくない変形に帰着しうる。特徴密度が高い領域において、高いアスペクト比を有する隣り合う特徴、ならびにタングステン充填物およびオーバーバーデン層内の高い応力は、特徴間に配されたシリコンまたは誘電体材料の変形を引き起こしうる。例えば、タングステン充填物またはオーバーバーデン層内の高い応力が、メモリデバイス内のタングステン埋込みワード線(bWL)間に配されたシリコンフィンの、望ましくないラインベンディング(line bending)としても知られ変形を引き起こすことがある。タングステン特徴間に配されたシリコンまたは誘電体材料の変形は、続いて形成される相互接続特徴との望ましくないオフセットに帰着することがあり、このことが、短絡および開路ならびに短絡および開路に関連した信頼性および機能問題に帰着することがある。
【0006】
さらに、望ましくないほどに高い応力のタングステン膜は、下にある基板の変形、例えば反りを引き起こすことがある。下にある基板の変形は、CMPプロセスなどの後続の処理を困難にし、首尾一貫しない処理結果に寄与しうる。他の材料の膜内の応力を低減させるアニールなどの従来の方法は一般に、半導体デバイス製造プロセスにおいてタングステン膜の応力を低減させることには使用できない。これは、タングステンが、それらの方法によって形成されたデバイスに損傷を引き起こさない十分に低い適当な温度で粒子を移動させることまたは粒子を変えることを可能にする表面移動度を有しないためである。
【0007】
したがって、当技術分野では、半導体デバイスに導電性特徴を形成する改良された方法であって、上述の問題を解決する方法が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、膜を堆積させる方法であって、第1の処理圧力以下の圧力で基板を第1のタングステン含有前駆体ガスおよび第1の還元剤に曝露することによって、基板上の複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させること、ならびにタングステンバルク充填材料の上に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることを含む方法を提供する。この基板は、複数の開口が形成された第1の材料層と、複数の開口を共形に内張りするために第1の材料層上に形成されたタングステン核形成層とを含む。タングステンバルク充填材料の上に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることは、第2の処理圧力で基板を第2のタングステン含有前駆体ガスおよび第2の還元剤に曝露することを含み、第2の処理圧力は記第1の処理圧力の少なくとも3倍である。
【0009】
本開示の実施形態はさらに、膜を堆積させる追加の方法であって、第1の処理容積に第1のタングステン含有前駆体ガスと第1の還元剤を同時に流入させ、第1の処理容積における第1の処理容積を第1の処理圧力に維持しつつ、基板を第1のタングステン含有前駆体ガスおよび第1の還元剤に曝露することによって、基板の第1の材料層に形成された複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させることを含む方法を提供する。この方法はさらに、タングステンバルク充填材料上および基板のフィールド表面に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることを含む。タングステンバルク充填材料上およびフィールド表面に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることは、第2の処理容積を第2の処理圧力に維持しつつ、第2の処理容積内で、基板を第2のタングステン含有前駆体ガスと第2の還元剤の交互パルスに曝露することを含み、第2の処理圧力は第1の処理圧力の少なくとも3倍である。
【0010】
本開示の実施形態はさらに、第1のプロセスチャンバ、第2のプロセスチャンバ、第1のプロセスチャンバを第2のプロセスチャンバに結合する移送チャンバと、プロセッサによって実行されたときに基板を処理する方法を実行するための命令がその上に記憶された非一過性コンピュータ可読媒体とを含む基板処理システムを提供する。この方法は、複数の開口がその中に形成された材料層を堆積させること、第1の処理圧力以下の圧力で基板を第1のタングステン含有前駆体ガスおよび第1の還元剤に曝露することによって、複数の開口の中にタングステンバルク充填材料を堆積させること、ならびにタングステンバルク充填材料の上に第1のタングステンオーバーバーデン層を堆積させることを含む。第1のタングステンオーバーバーデン層の堆積は、第2の処理圧力で基板を第2のタングステン含有前駆体ガスおよび第2の還元剤に曝露することを含み、第2の処理圧力は第1の処理圧力の少なくとも3倍である。複数の開口への材料層の堆積は第1のプロセスチャンバで実行され、複数の開口へのタングステンバルク充填材料の堆積は第2のプロセスチャンバで実行される。
【0011】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することによって、上に概要を簡単に示した開示がより具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A-1B】相互接続特徴内における望ましくないシームおよびボイドの形成を示す基板の概略断面図である。
図2】本明細書に記載された方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。
図3】本明細書に記載された方法を実行するために使用することができるマルチチャンバ処理システムの概略平面図である。
図4】一実施形態による、電子デバイスの導電性特徴を形成する方法のブロック図である。
図5A-5E】図4の方法のさまざまな態様を示す基板の概略断面図である。
図6】本明細書に開示されたさまざまな方法に従って堆積させたタングステンのバルク層の膜応力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。特段の言及なしに、1つの実施形態に開示された要素を他の実施形態で有益に利用することが企図される。
【0014】
本明細書に記載された実施形態は一般に、半導体デバイスに高アスペクト比金属コンタクトおよび/または相互接続特徴、例えばタングステン特徴を形成する方法を対象としている。高アスペクト比開口の中にタングステンを共形に堆積させると、しばしば、開口の1つまたは複数の壁からのタングステンの外向き成長が出合うところにシームおよび/またはボイドが形成される。したがって、本明細書に記載された方法は、結果として生じる相互接続特徴内のシームおよび/またはボイドの形成を防ぐ望ましいボトムアップタングステンバルク充填物を提供し、さらに、改良されたコンタクト金属構造体および該構造体を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、従来通りに形成されたコンタクトまたは相互接続構造体よりも改良された特性を有するコンタクトまたは相互接続構造体を形成することを可能にするために、基板のフィールド領域の上に、改良されたオーバーバーデン層またはオーバーバーデン層構造体が形成される。
【0015】
本明細書に記載された方法は、フィールド表面およびフィールド表面に形成された開口の上部の壁におけるタングステンの成長を抑制するために基板のフィールド表面をラジカル種で処理することを含む。本明細書に記載された方法は、タングステン形成の抑制勾配を生み出す。タングステン形成の抑制勾配を生み出すことによって、開口の最も深い部分におけるタングステン成長はフィールド表面ほどには抑制されず、その結果、後続のバルク充填物の望ましいボトムアップ成長ならびに有益なシームレスかつボイドレスのタングステン特徴が得られる。形成されたシームレスかつボイドレスのタングステン特徴は、以下でさらに説明する望ましい特性を有する1つまたは複数のオーバーバーデン層の形成を含む。
【0016】
図1Aおよび1Bは、望ましくないシームまたはボイドがその中に形成された従来どおりに形成されたタングステンビアを示す基板100の断面図である。ここで、基板100は誘電体層101を含み、誘電体層101は、誘電体層101に形成された複数の開口103(1つが示されている)と、開口103の中に形成された複数のタングステン相互接続特徴104(1つが示されている)とを有する。いくつかの実施形態では、開口103の中に形成されたタングステン相互接続特徴104が、約8nm以下の幅および約110nm以上の高さを有する。いくつかの実施形態では、タングステン相互接続特徴が、約25:1以上のアスペクト比を有する。
【0017】
ここで、誘電体層101の開口103およびフィールド表面102は、バリア材料層105で内張りされており、バリア材料層105は、開口103を内張りし、続いて堆積させるタングステン充填層108から周囲の誘電体層101中への拡散を阻止するために、露出したフィールド表面102および開口103においてまたは露出したフィールド表面102および開口103の上で前駆体を反応させることによって堆積させたものとすることができる。バリア材料層105はさらに、タングステン充填層108と開口103の壁115との間の接着を促進することができる。
【0018】
次いで、露出したフィールド表面102および開口103においてまたは露出したフィールド表面102および開口103の上で前駆体を反応させることによって、バリア材料層105の上に核形成層106を堆積させることができる。核形成層106は、原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積させた薄い共形層とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、化学気相堆積(CVD)プロセスが使用されることがある。核形成層106は、タングステン充填層108の開始、成長およびバリア材料層105への接着を促進するために使用されることがある。
【0019】
次いで、核形成層106の上にタングステン充填層108を堆積させる。タングステン充填層108は、核形成層106の上に共形に堆積させる。この層は全ての表面から同時に同じ速度で成長するため、2つの問題が起こりうる。第1に、タングステン相互接続特徴104の部分が同時に一斉に成長しうる。タングステン相互接続特徴104のこの成長パターンは、タングステン充填層108からの成長が出合ったときに形成するシーム118を生み出しうる(図1A)。シーム118は、CMPと共に使用されるものなどの後処理反応物がタングステン充填層108の均一性に悪影響を及ぼす空間を生み出す。第2に、開口103の下部110の幅が中央部112または上部114の幅よりも大きい場合には、中央部112または上部114が一斉に早期に成長し、望ましくないボイド116を生み出しうる(図1B)。
【0020】
したがって、本明細書に記載された実施形態は、特徴の開口におけるピンチポイントを実質的に低減させかつ/または排除するタングステン特徴を形成するときに、それによって形成されたシームおよびボイドのないタングステン特徴を提供するためにボトムアップタングステン充填を提供する。これらの方法の態様を実行するために使用することができる例示的な処理システムが図2に示されている。
【0021】
処理ハードウェア例
図2は、一実施形態による、本明細書に記載された方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバ200の概略断面図である。本明細書に記載された方法を実施するために使用することができる他の例示的な堆積チャンバには、Producer(R) ETERNA CVD(R)システム、Ultima HDP CVD(R)システム、CENTURA(R) Isprint ALD/CVD SSW、または米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から入手可能な他の統合ツール、および他の製造業者の適当な堆積チャンバが含まれる。
【0022】
処理チャンバ200は、チャンバリッドアセンブリ201、1つまたは複数の側壁202およびチャンバベース204を含む。チャンバリッドアセンブリ201は、チャンバリッド206、チャンバリッド206に配されたシャワーヘッド207、およびチャンバリッド206と1つまたは複数の側壁202との間に配された電気絶縁リング208を含む。シャワーヘッド207、1つまたは複数の側壁202およびチャンバベース204は一緒に処理容積205を画定する。チャンバリッド206を貫いて配されたガス入口209がガス源210に流体結合されている。シャワーヘッド207は、シャワーヘッド207を貫いて配された複数の開口211を有し、ガス源210からの処理ガスを処理容積205内に均一に分配するために使用される。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド207が、RF電源などの第1の電源212に電気的に結合されており、第1の電源212は、処理ガスとの容量結合によって処理ガスのプラズマ213に点火し、それを維持するための電力を供給する。他の実施形態では、処理チャンバ200が誘導プラズマ発生器を含み、RF電力を処理ガスに誘導結合することによってプラズマが形成される。
【0023】
処理容積205は、真空出口214を通して1つまたは複数の専用真空ポンプなどの真空源に流体結合されており、この真空源は、処理容積205を大気圧以下の条件に維持し、処理容積205から処理ガスおよび他のガスを排出する。処理容積205内に配された基板支持体215が、チャンバベース204を貫いて密封されて延びる可動支持シャフト216上に配されており、可動支持シャフト216は例えばチャンバベース204の下の領域にあるベローズ(図示せず)によって取り囲まれている。本明細書では、処理チャンバ200が、従来どおり、1つまたは複数の側壁202のうちの1つの側壁202にある開口218を通した基板支持体215への基板217の移送および基板支持体215からの基板217の移送を容易にするように構成されており、開口218は、従来どおり、基板処理の間、扉または弁(図示せず)で密封される。
【0024】
本明細書では、基板支持体215上に配された基板217が、抵抗加熱要素219などのヒータと基板支持体215内に配された1つまたは複数の冷却チャネル220の一方または両方を使用して所望の処理温度に維持される。典型的には、1つまたは複数の冷却チャネル220が、比較的に高い電気抵抗を有する修正水源または冷媒源などの冷却源(図示せず)に流体結合されている。いくつかの実施形態では、基板支持体215または基板支持体215の1つもしくは複数の電極(図示せず)が、それらにバイアス電圧を供給する、連続波(CW)RF電源またはパルスRF電源などの第2の電源221に電気的に結合されている。
【0025】
処理チャンバ200の動作はシステムコントローラ225によって容易にされる。システムコントローラ225は、プログラム可能な中央処理ユニット(CPU)226を含み、CPU226は、メモリ228(例えば不揮発性メモリ)および支持回路230と共に動作可能である。CPU126は、さまざまなチャンバ部品およびサブプロセッサを制御するために工業用装置で使用される、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つである。CPU226に結合されたメモリ228は処理チャンバ200の動作を容易にする。支持回路230は、CPU226に従来どおりに結合されており、基板処理動作の制御を容易にするために処理チャンバのさまざまな部品に結合されたキャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源および他の同種のもの、ならびにこれらの組合せを含む。
【0026】
ここで、メモリ228内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなど、プログラム製品の形態をとる。一例では、コンピュータ・システムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム製品として本開示を実施することができる。このプログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載された方法を含む)実施形態の機能を規定する。したがって、本明細書に記載された方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持するとき、そのコンピュータ可読記憶媒体は本開示の実施形態である。
【0027】
図3は、本明細書に記載された金属層堆積プロセスを実行するように適合させることができるマルチチャンバ処理システム300であって、図2を参照して上で説明した処理チャンバ200などの処理チャンバ380が統合されたマルチチャンバ処理システム300の概略上面図である。マルチチャンバ処理システム300は、マルチチャンバ処理システム300内に基板390を移送するため、およびマルチチャンバ処理システム300から基板390を移送するための1つまたは複数のチャンバ302および304を含むことができる。一般に、マルチチャンバ処理システム300は真空下に維持され、チャンバ302および304を「ポンプダウン」して、マルチチャンバ処理システム300に導入された基板390を導入することができる。第1のロボット310は、チャンバ302および304と、1つまたは複数の基板処理チャンバ312、314、316および380の第1のセットとの間で基板390を移送することができる。それぞれの処理チャンバ312、314、316および380は、サイクリカル層堆積(cyclical layer deposition)(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、ガス抜き、前洗浄配向、アニールおよび他の基板プロセスなどの基板堆積プロセスの少なくとも1つを実行するように構成されている。さらに、処理チャンバ312、314、316および380の1つを、基板390上で堆積プロセスまたは熱アニールプロセスを実行する前に前洗浄プロセスを実行するように構成されたものとすることもできる。任意選択で、希望する場合に、処理チャンバ380の位置を、処理チャンバ312、314、316の任意の1つと切り換えることができる。
【0028】
第1の移送チャンバ321内に配置された第1のロボット310は、1つまたは複数のパススルーチャンバ322および324に/から基板390を移送することもできる。パススルーチャンバ322および324を使用して超高真空条件を維持することができ、その一方で、マルチチャンバ処理システム300内で基板390を移送することを可能にすることができる。第2の移送チャンバ325内に配置された第2のロボット330は、パススルーチャンバ322および324と1つまたは複数の処理チャンバ332、334、336、338の第2のセットとの間で基板390を移送することができる。処理チャンバ312、314、316、380と同様に、処理チャンバ332、334、336および338は、例えば、サイクリカル層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、ガス抜きおよび配向に加えて、本明細書に記載されたドライエッチングプロセスを含むさまざまな基板処理動作を実行するための装備を有することができる。他のプロセスを実行するために、必要に応じて、基板処理チャンバ312、314、316、332、334、336および338のうちの任意の基板処理チャンバをマルチチャンバ処理システム300から取り外すことができる。
【0029】
処理方法
図4は、少なくとも一実施形態による、電子デバイスの導電性特徴を形成する方法のブロック図である。図5A~5Eは、方法400のさまざまな態様を概略的に示している。方法400または方法400のさまざまな態様は、上述の処理チャンバ200および/またはマルチチャンバ処理システム300を使用して実行することが企図されるが、他の適当なチャンバを使用することもできる。
【0030】
活動402で、方法400は、上述の処理チャンバ200などの第1の処理チャンバ302内に基板を配置することを含む。基板500は、その上に堆積させた1つまたは複数の誘電体層と、この1つまたは複数の誘電体層501のフィールド表面502に形成された複数の開口とを有する結晶シリコンウエハなど、任意の適当な組成を有することができる。
【0031】
活動404で、方法400は、図5Aに示された基板500などの基板500のフィールド表面502に拡散バリア層505を堆積させることを含む。ここで、基板500は、フィールド表面502に形成された複数の開口503(1つが示されている)を有し、拡散バリア層505は、開口503を内張りするように堆積している。拡散バリア層505は、後続の開口中へのタングステンの堆積を容易にする。拡散バリア層505がなければ、ベアシリコン(bare silicon)、酸化したシリコンまたは酸化シリコン誘電体層の表面でのこのような堆積は、半導体デバイス製造スキームに対しては適当ではない高温を用いない限りは起こらないであろう。いくつかの実施形態では、拡散バリア層505が、窒化チタン(TiN)などのチタン含有材料を含む。いくつかの実施形態では、拡散バリア層505を、約2オングストローム(Å)~約100Åの範囲の厚さに堆積させる。拡散バリア層505は、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)または物理的気相堆積(PVD)などの任意の適当なプロセスを使用して堆積させることができる。
【0032】
一般に、CVDまたはALDプロセスの一方または両方はプラズマプロセスとすることができ、その場合、この方法は、前駆体の一方または両方のプラズマを形成してその前駆体のラジカル種を形成すること、ならびに基板を、プラズマおよび/またはプラズマから形成されたラジカル種に曝露することを含む。このプラズマは、(処理容積内で形成された)インシトゥプラズマとすることができ、または、基板から離れた場所で、例えば遠隔プラズマ源を使用することによって形成されたものとすることができる。
【0033】
一実施形態では、拡散バリア層505を形成するために使用されるCVDプロセスが、基板の表面で、TiCl4などのチタン前駆体とN2またはNH3などの窒素前駆体とを反応させることを含む。別の実施形態では、ALDプロセスが、1サイクルで、フィールド表面502を、TiCl4などのチタン前駆体または炭素を含むチタン有機前駆体と、N2またはNH3などの窒素前駆体とに曝露すること、チャンバのプロセス領域からこれらの混合物をパージすること、および次いでこれらのプロセスステップを繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、プラズマPVDプロセスを使用して拡散バリア層505を堆積させ、その場合には、スパッタリングガスのプラズマ励起種を使用して、チタンターゲットを衝撃し、チタンターゲットからチタン原子をスパッタリングする。N2などの窒素前駆体の存在下でフィールド表面502にチタン原子を堆積させて、拡散バリア層505を形成する。他の実施形態では、CVDまたはALDプロセスの一方または両方が熱プロセスであり、その場合には、例えば、プラズマ堆積プロセスを使用するのに比べて基板の表面での反応を促進するために基板が加熱される。
【0034】
いくつかの実施形態では、活動406で核形成層506を形成するために基板を第2の処理チャンバ304に移送する前に、マルチチャンバ処理システム300の第1の処理チャンバ302内に配された基板上に拡散バリア層505を堆積させる。他の実施形態では、拡散バリア層505と核形成層506が同じ処理チャンバ内で逐次的に形成される。いくつかの実施形態では、拡散バリア層505が、続いて堆積させる薄いタングステン膜の共形成長のための核形成層506として機能してもよい。拡散バリア層505が核形成層として機能するとき、典型的には、この層が、続いてその上にタングステン含有バルク材料を堆積させることを可能にする薄い共形層である。拡散バリア層505が核形成層として機能するいくつかの実施形態では、この方法が活動406を含まなくてもよい。
【0035】
活動406で、方法400は、拡散バリア層505上に核形成層506を形成することを含む(図5B)。一実施形態では、ALDプロセスを使用して拡散バリア層505上に核形成層506を形成する。核形成層506は、20オングストローム(Å)~200Åの間の厚さ、30Å~160Åの間の厚さ、40Å~130Åの間の厚さ、50Å~100Åの間の厚さなど、少なくとも単層1つ分の厚さである厚さを有するものとすることができる。いくつかの実施形態では、このALDプロセスが、基板を水素(H2)などのタングステン含有還元剤に曝露するサイクルを繰り返すことを含む。適当なタングステン含有前駆体の例は、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)またはこれらの組合せなどのタングステンハロゲン化物を含む。適当な水素含有還元剤の例は、ボランおよびシラン、例えばB26、SiH4、Si26またはこれらの組合せを含む。
【0036】
活動408で、方法400は、活動410で基板のフィールド表面におけるタングステンの堆積を抑制プロファイルに従って抑制するために、核形成層506を処理することを含む。いくつかの実施形態では、核形成層506を処理することが、基板を、N2、H2、NH3、NH4、O2、CH4またはこれらの組合せなどのプラズマ活性化処理ガスから形成されたラジカルなどのラジカル種Rに曝露することを含む(図5C)。少なくとも1つの実施形態では、このラジカル種が、N2、H2、NH3、NH4またはこれらの組合せなどのプラズマ活性化窒素含有ガスから形成される。このプラズマは、(処理容積内で形成された)インシトゥプラズマとすることができ、または、基板から離れた場所で、図2の処理チャンバ200に示されている遠隔プラズマ源255を使用することによって形成されたものとすることができる。
【0037】
図2を再び参照すると、一実施形態では、処理容積205に流体結合された遠隔プラズマ源255に処理ガスを流入させ、処理ガスのラジカル種Rを形成するために処理ガスのプラズマに点火し、そのプラズマを維持することによって、ラジカル種Rが形成される。次いで、処理容積にラジカル種Rを流入させ、基板をラジカル種Rに曝露する。直径300mmの基板を処理するための遠隔プラズマ源255への処理ガスの典型的な流量は、約100sccm~約1500sccmの間など10sccm~5000sccmの間、または約1~約100sccmの間である。異なるサイズの基板に対しては適切なスケーリングを使用することができる。少なくとも1つの実施形態では、処理容積205が、約900ミリトル~120トルの間、または約1トル~100トルの間、または約1トル~50トルの間、または例えば約1トル~10トルの間の圧力に維持される。
【0038】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド207などのシャワーヘッドによって基板処理部分から分離された処理容積の部分で遠隔プラズマを形成してもよい。この構成では、処理ラジカルが処理容積および処理容積内に配された基板の表面に到達する前に遠隔プラズマ源255からの廃水から実質的に全てのイオンをから除去するために、遠隔プラズマ源255からの廃水がイオンフィルタを通して流される。処理容積の別の部分でプラズマが形成される実施形態では、遠隔プラズマと基板処理部分との間に配された図2のシャワーヘッド207などのシャワーヘッドをイオンフィルタとして使用することができる。他の実施形態では、処理ラジカルを形成するために使用されるプラズマが、処理容積内の例えばシャワーヘッド207と基板との間で形成されたインシトゥプラズマである。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、基板の表面に活性化窒素が送達され、この活性化窒素が金属タングステンと反応してWNを形成する。プラズマとして送達されるとき、この窒素は、特徴の底部の材料と反応する窒素の量を最小化するために、したがって特徴のこれらの領域の材料をあまり抑制しないようにするために、バイアスなしでまたは低バイアスで送達される。より短いインキュベーション時間と対比して窒素含有ガスのより長いインキュベーション時間を使用することが好ましい。理論によって結びつけようという意図はないが、窒素を核形成層506に適正に取り込むには10秒を超える時間が必要であると考えられる。基板上に形成された特徴中への窒素の拡散は、ガスのエネルギーレベル、ガスの方向性、特徴のサイズおよび特徴のアスペクト比によって制御される。
【0040】
有益には、核形成層506のこのラジカル処理は、フィールド表面502および特徴(すなわち開口503)の上部など窒素含有ガスにかなり曝露された領域上でのタングステンの成長を減速させ、または少なくとも部分的に抑制する。高アスペクト比開口が表面に形成された基板などのパターニングされた基板に関して、活動408でのラジカル処理は、開口503の下部および底部と比較したときにフィールド表面502および開口503の上部でのタングステン成長の遅れまたは抑止がより大きくなるような態様のフィールド表面502でのラジカル元素の選択的曝露を提供する。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、基板のラジカル処理が、特徴の1つまたは複数の内面と比較したときに基板のフィールド表面502のほうがより大きな処理を受けるような処理であるべきである。最終的な結果は、開口503の下部における核形成と比較して高い、フィールド表面502におけるタングステン核形成の比較的遅れであるため、特徴内でタングステン成長が確立されると、成長は、フィールド表面502から最も遠い特徴の部分から加速する。このタングステンバルク充填物成長プロファイルは、後続の処理においてボトムアップ成長を生み出し、したがってシームの形成を防ぐ。
【0042】
活動410で、方法400は、処理された核形成層506上にタングステンバルク充填物504を堆積させることを含む。図5Dに示されているように、タングステンが特徴を埋めるように特徴550の中にタングステンを堆積させる。タングステンバルク充填物504を堆積させる適当な方法は、CVD法、ALD法、パルスタングステン(pulsed tungsten)またはこれらの組合せを含む。タングステンCVDプロセスは、前駆体ガスと還元剤を同時に流すこと(共に流すこと(co-flowing))を含む。少なくとも1つの実施形態では、前駆体ガスと還元剤を共に流すことが、基板を前駆体ガスと還元剤に曝露することの交互逐次繰返しを含むことができる。パルスタングステン堆積は、基板を前駆体ガスに曝露し、次いで還元剤に曝露することの逐次繰返しを含む。タングステンALDプロセスは、基板を前駆体ガスに曝露し、次いで基板を還元剤に曝露することの逐次繰返しを含む。この方法はさらに、基板を前駆体ガスに曝露することと還元剤に曝露することとの間に、処理容積に不活性ガスを流入させることによって処理容積をパージすることを含む。少なくとも1つの実施形態では、前駆体ガスがWF6を含み、還元剤がH2を含む。
【0043】
これらのバルク充填方法は、処理容積の圧力を約1トル~300トルの間に下げ、同時に処理温度を約400℃および550℃に増大させることによって、低応力タングステン充填物504を形成する。さらに、これらのバルク充填方法は、タングステンバルク充填物504に対する優先的核形成部位が、特徴の底部の、フィールド表面から最も離れた部分になるような態様の堆積プロファイルに従って基板の間隙領域の中にタングステンを堆積させることによって、シームレスかつボイドレスのタングステン充填物を形成する。WN層などの抑制された核形成層は、開口503の上部側壁および核形成層のフィールド表面に形成されるため、タングステンバルク充填物504に対する優先的核形成部位は特徴550の底部になる。その結果、タングステンバルク充填物504は、この抑制プロファイルに従って核形成層506の非抑制部分に堆積してボトムアップ成長を生み出す。いくつかの実施形態では、このタングステン成長の結果、フィールドの一部分の上で、ある成長が起こりうる。典型的にはこの成長が化学機械研磨(CMP)などの後続の処理を受ける。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、タングステンCVDプロセスが、処理容積にWF6を含むタングステン含有前駆体ガスとH2を含む還元剤を同時に流入させること、および基板をそれらに曝露することを含み、処理容積に流入させるWF6などのタングステン含有前駆体の流量が、約100sccm~1000sccmの間、または約200sccm~900sccmの間、または例えば約300sccm~800sccmの間であり、H2の流量が、約500sccm~7000sccmの間、または約750sccm~5500sccmの間、または例えば1000sccm~4000sccmの間である。少なくとも1つの実施形態では、タングステンバルク充填物504を形成することが、基板を約100℃~1000℃の間、または約300℃~700℃の間、または例えば約400℃~540℃の間の温度に加熱すること、および基板をその温度に維持することを含む。いくつかの実施形態では、タングステン堆積プロセスを形成することが、堆積プロセスの間、処理容積を約900ミリトル~120トルの間、または約1トル~100トルの間、または約3トル~70トルの間、または約4トル~50トルの間、または例えば約5トル~30トルの間の圧力に維持することを含む。さらに、いくつかの実施形態では、2000Å膜での計算による粒径が約200Å~220Åの間である。一例では、CVDプロセスが、1000sccmおよび4000sccm、400Cおよび540Cおよび5トルおよび30トルを含む。400Cおよび540Cの範囲などのより高い温度範囲でこのプロセスを実行すると、堆積中に原子が基板の表面と接触するときの原子のエネルギーが増大し、結晶構造内の原子の表面拡散および配列を向上させる。さらに、このプロセスをより低い圧力で実行することはさらに堆積速度を低減させ、したがってさらに、堆積原子が、より多くの時間、結晶構造内の好ましい部位を見つけることを可能にする。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、パルスタングステン堆積が、基板を前駆体ガスに曝露し、次いで還元剤に曝露することの逐次繰返しを含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスがWF6を含み、還元剤がH2を含む。処理容積に流入させるWF6の流量は、約1秒~4秒の間のドーズ期間(dose period)にわたって約100sccm~2000sccmの間、または約250sccm~1500sccmの間、または例えば約500sccm~900sccmの間である。このドーズ期間中のH2の流量は、約500sccm~7000sccmの間、または約750sccm~5500sccmの間、または例えば1000sccm~4000sccmの間である。少なくとも1つの実施形態では、タングステンバルク充填物504を形成することが、基板を約100℃~1000℃の間、または約300℃~700℃の間、または例えば約400℃~500℃の間の温度に加熱すること、および基板をその温度に維持することを含む。いくつかの実施形態では、このタングステンフィールド層を形成することが、処理容積を約900ミリトル~120トルの間、または約1トル~100トルの間、または約2トル~50トルの間、または例えば約3トル~10トルの間の圧力に維持することを含む。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、タングステンALDプロセスが、基板を前駆体ガスに曝露し、次いで還元剤に曝露することの逐次繰返しを含む。この方法はさらに、基板を前駆体ガスに曝露することと還元剤に曝露することとの間に、処理容積に不活性ガスを流入させることによって処理容積をパージすることを含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスがWF6を含み、還元剤がH2を含む。少なくとも1つの実施形態では、低圧で堆積させた核形成層を有する基板のほうが、高圧で堆積させた核形成層を有する基板よりも実質的に低い応力を有する。タングステン層を形成することは、基板を約100℃~1000℃の間、または約300℃~700℃の間、または優先的に約400℃~500℃の間の温度に加熱すること、および基板をその温度に維持することを含む。ここで、処理容積に流入させるWF6の典型的な流量は、約1秒~20秒の間、または約1秒~約10秒の間、または例えば約1秒~5秒の間にわたって約1sccm~5000sccmの間、または約250sccm~2500sccmの間、または例えば約500sccm~900sccmの間である。処理容積に流入させるH2の流量は、約1秒~20秒の間、または約1秒~約10秒の間、または例えば約1秒~5秒の間にわたって約1sccm~10000sccmの間、または約500sccm~6500sccmの間、または例えば約1000sccm~4000sccmの間である。さらに、このタングステンフィールド層を形成することは、処理容積を約900ミリトル~50トルの間、または約1トル~30トルの間、または約2トル~20トル間、または優先的に約3トル~10トルの間の圧力に維持することを含む。少なくとも1つの実施形態では、基板をWF6およびH2前駆体ガスに曝露することとH2前駆体ガスに曝露することとの間に処理容積をパージする時間が、約1秒~20秒の間、または1秒~10秒の間、または優先的に約1秒~5秒の間である。
【0047】
活動412および414で、方法400は、活動412で、タングステン充填層上および基板のフィールド表面にタングステン材料の第1のオーバーバーデン層530を、充填層上に第1のオーバーバーデン層530を形成することによって形成すること、ならびに活動414で第1のオーバーバーデン層上に第2のオーバーバーデン層540を形成することを含む。いくつかの実施形態では、低い圧縮応力を有する第1および第2のオーバーバーデン層を形成することが望ましい。本明細書では、第1のオーバーバーデン層530および第2のオーバーバーデン層540の一方または両方を形成することが、タングステン特徴の中に配されたタングステン充填材料を形成するために使用されるプロセス条件とは異なるプロセス条件を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2のオーバーバーデン層を形成するために使用されるプロセスが、タングステン充填材料を形成するために使用されるプロセスよりも高い材料堆積速度に帰着し、したがって基板処理時間を短縮し、望ましくも高い基板スループットを提供する。いくつかの実施形態では、第1および第2のオーバーバーデン層の一方または両方を形成するために使用される方法が、結果として生じるタングステン膜内の応力の微調整を可能にし、このことが、CMPプロセスなどの後続の基板処理動作における処理結果を制御するのに有用であることがある。
【0048】
ここで、活動412で第1のオーバーバーデン層530(図5E)を形成することは、タングステンバルク充填物504の表面にタングステンの層を堆積させることを含む。典型的には、第1のオーバーバーデン層530を形成することが、活動408でのラジカル処理によって提供された、フィールド表面におけるタングステン成長の抑制を排除する。フィールド表面におけるタングステン成長の抑制を低減させかつ/または逆転させることによって、第2のタングステンオーバーバーデン層540の成長および/または堆積を可能にするフィールド表面の準備が整う。
【0049】
第1のオーバーバーデン層530を堆積させる適当な方法はCVD法、ALD法またはこれらの組合せを含む。前述のとおり、タングステンCVDプロセスは、処理容積にWF6などのタングステン含有前駆体ガスと水素(H2)などの還元剤を共に流入させること、および基板をそれらに曝露することを含む。タングステンALDプロセスは、基板をWF6などの前駆体ガスに曝露し、次いでH2などの還元剤に曝露することの逐次繰返し、および任意選択で、基板を前駆体ガスに曝露することと還元剤に曝露することとの間に、処理容積に不活性ガスを流入させることによって処理容積をパージすることを含む。ここで、第1のオーバーバーデン層530は、第1のオーバーバーデン層530がなければ上述のラジカル処理動作によって抑制される基板のフィールド表面でのタングステン成長を開始するために使用される。
【0050】
一実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるCVDプロセスが、処理容積にWF6などのタングステン含有前駆体ガスと水素(H2)などの還元剤を共に流入させること、および基板をそれらに曝露することを含む。ここで、処理容積は、約900ミリトル~1000トルの間、または約50トル~700トルの間、または約100トル~500トルの間、または例えば約150トル~300トルの間の圧力に維持される。基板は、約300℃~700℃の間または例えば約450℃~540℃の間の温度など、約100℃~1000℃の間の温度に加熱され、かつ/またはその温度に維持される。
【0051】
別の実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を形成するALDプロセスが、基板をタングステン含有前駆体ガスと還元剤に曝露することの交互逐次繰返しを含む。有益には、このALDプロセスを使用して、ラジカル処理によって与えられたタングステン成長の抑制を克服し、その間に、相対的に高い圧力のCVDプロセスによって提供されるであろうタングステン膜よりも低い応力のタングステン膜を提供することができる。それらの実施形態のうちのいくつかの実施形態では、このタングステン核形成層を形成することが、基板をタングステン含有前駆体ガスに曝露することと還元剤に曝露することとの間に、処理容積に不活性ガスを流入させることによって処理容積をパージし、同時に、処理容積から未反応の前駆体および/または反応副生物を排出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスはWF6を含み、還元剤はH2を含む。ここで、堆積させたこの薄いタングステン層は、約5Å~100Åの間、または約10Åと80Åの間、または例えば約20Å~60Åの間の最終厚さを有することができる。さらに、処理容積は、約900ミリトル~100トルの間、または約3トル~50トルの間、または約4トル~40トルの間、または例えば約5トル~20トルの間の圧力に維持される。
【0052】
前述のとおり、適当なタングステン含有前駆体の例は、(WF6)六塩化タングステン(WCl6)およびこれらの組合せなどのタングステンハロゲン化物を含み、適当な水素含有還元剤は、ボランおよびシラン、例えばB26、SiH4、Si26またはこれらの組合せを含む。少なくとも1つの実施形態では、前駆体ガスが、処理容積に流入させたWF6およびB26またはSiH4を含み、基板がそれらに曝露される。ここで、処理容積に流入させるWF6の典型的な流量は、約1sccm~1000sccmの間、または約25sccm~500sccmの間、または例えば約50sccm~100sccmの間である。処理容積に流入させるB26の典型的な流量は、約1sccm~1000sccmの間、または約100sccm~500sccmの間、または例えば約200sccm~400sccmの間である。処理容積に流入させるSiH4の典型的な流量は、約1sccm~1000sccmの間、または約100sccm~500sccmの間、または例えば約200sccm~400sccmの間である。典型的には、処理容積が、約900ミリトル~120トルの間、または約1トル~100トルの間、または約3トル~50トルの間、または例えば約5トル~20トルの間の圧力に維持される。
【0053】
さらに、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるCVDプロセスが、タングステンバルク充填物504を堆積させるための処理圧力の少なくとも3倍の処理圧力で、処理容積にWF6などのタングステン含有前駆体ガスと水素(H2)などの還元剤を共に流入させることを含む。さらに、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるCVDプロセスが、タングステンバルク充填物504を堆積させるための処理圧力の少なくとも2.5倍の処理圧力で、処理容積にWF6などのタングステン含有前駆体ガスと水素(H2)などの還元剤を共に流入させることを含む。例えば、いくつかの実施形態では、タングステンバルク充填物504を堆積させるための処理容積の圧力に対する第1のオーバーバーデン層を堆積させるための処理容積の圧力の比が約1.25:1以上、例えば約1.5:1以上、約1.75:1以上、約2:1以上、約2.25:1以上、約2.5:1以上、約2.75:1以上、約3:1以上、約3.25:1以上または約3.5:1以上である。
【0054】
別の実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を形成するALDプロセスが、タングステンバルク充填物504を堆積させるための処理圧力の約2倍の処理圧力で基板をタングステン含有前駆体ガスと還元剤に曝露することの交互逐次繰返しを含む。さらに別の実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を形成するALDプロセスが、タングステンバルク充填物504を堆積させるための処理圧力の約1.5倍の処理圧力で基板をタングステン含有前駆体ガスと還元剤に曝露することの交互逐次繰返しを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層を堆積させるための処理容積の圧力が、タングステンバルク504を堆積させるための処理容積の圧力に対して、約1.25:1以上、約1.50:1以上、約1.75:1以上、約2:1以上、約2.25:1以上の比を有する。
【0055】
活動414で、方法400は、第2のオーバーバーデン層540を形成することを含み、第2のオーバーバーデン層540を形成することは、第1のオーバーバーデン層530上にタングステンフィールド層を堆積させることを含む。ここで、第2のオーバーバーデン層は、相対的に低応力のタングステンを提供する処理条件を使用して堆積させる。第2のオーバーバーデン層を堆積させる適当な方法は、CVD法、ALD法およびパルスWまたはこれらの組合せを含む。
【0056】
典型的には、特徴のタングステンバルク充填後の基板のフィールド表面からタングステン材料のオーバーバーデン(およびその下方に配されたバリア層)を除去するために、化学機械研磨(CMP)プロセスが使用される。一般に、このようなCMPプロセスは、オーバーバーデン層の均一な除去、およびタングステンオーバーバーデンがフィールド表面から消失したときを判定する終点検出方法を容易にするために、化学的活動と機械的活動の組合せに依存する。フィールド表面からのタングステンの消失が不均一であったり、または研磨終点の検出に失敗したりすると、その結果として、基板表面の少なくともいくつかの領域の望ましくない過研磨または研磨不足が生じうる。CMPプロセスにおける研磨流体はしばしば腐食性であるため、タングステン過研磨は、タングステン特徴からのタングステンの望ましくない除去、例えば特徴コアリング、を引き起こすことがあり、過研磨中に特徴を損傷することがある。タングステン研磨不足では、CMP後のフィールド表面に望ましくない残留タングステンが残りうる。不都合にも、タングステンのボトムアップ成長を促進することによってシームおよびボイドのないタングステン特徴を提供するために使用される抑制処理は、フィールド表面でのタングステンの成長も抑制して、バルクタングステンプロセス中にタングステンのオーバーバーデンが形成することを防ぐ。したがって、本明細書の実施形態は、オーバーバーデン層を堆積させる方法であって、バルク充填層を堆積させるために使用される方法とは異なる方法を含み、それらの方法は、408で説明したラジカル抑制処理後の基板のフィールド表面のタングステンの厚さを均一にする。
【0057】
一実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を堆積させるタングステンCVDプロセスが、処理容積にタングステン含有前駆体と還元剤を共に流入させること、および第2のタングステン核形成層の表面をそれらに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスがWF6を含み、還元剤がH2を含む。タングステンフィールド層を形成することは、基板を約100℃~1000℃の間、または約300℃~700℃の間、または例えば約400℃~540℃の間の温度に加熱すること、および基板をその温度に維持することを含む。いくつかの実施形態では、タングステンフィールド層を形成することが、処理容積を約900ミリトル~120トルの間、または約1トル~100トルの間、または約3トル~70トルの間、または約4トル~50トルの間、または例えば約5トル~30トルの間の圧力に維持することを含む。ここで、処理容積に流入させるWF6の典型的な流量は、約10sccm~1500sccmの間、または約150sccm~1000sccmの間、または例えば約300sccm~800sccmの間である。処理容積に流入させるH2の典型的な流量は、約100sccm~10000sccmの間、または約500sccm~7500sccmの間、または例えば約1000sccm~4000sccmの間である。
【0058】
さらに、いくつかの実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を堆積させるCVDプロセスが、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理圧力の少なくとも1/4の処理圧力で、処理容積にWF6などのタングステン含有前駆体ガスと水素(H2)などの還元剤を共に流入させることを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理容積の圧力に対する第2のオーバーバーデン層540を堆積させるための処理容積の圧力の比が、約1:4.5以下、約1:4以下、約1:3.5以下、約1:3以下、約1:2.5以下、約1:2以下など、約1:5以下である。
【0059】
一実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を形成するタングステンALDプロセスが、基板をタングステン前駆体ガスと還元剤の逐次繰返しに曝露すること、および任意選択で、基板を前駆体ガスに曝露することの曝露と曝露の間に、処理容積に不活性ガスを流入させることによって処理容積をパージすることを含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスはWF6を含み、還元剤がH2を含む。少なくとも1つの実施形態では、低圧で堆積させた核形成層を有する基板のほうが、高圧で堆積させた核形成層を有する基板よりも実質的に低い応力を有する。タングステンフィールド層を形成することは、約100℃~1000℃の間、または約300℃~700℃の間、または例えば約400℃~500℃の間の温度に基板を加熱すること、およびその温度に基板を維持することを含む。ここで、処理容積に流入させるWF6の典型的な流量は、約1秒~20秒の間、または約1秒~約10秒の間、または例えば約1秒~5秒の間にわたって約1sccm~5000sccmの間、または約250sccm~2500sccmの間、または例えば約500sccm~900sccmの間である。処理容積に流入させるH2の典型的な流量は、約1秒~20秒の間、または約1秒~約10秒の間、または例えば約1秒~5秒の間にわたって約1sccm~10000sccmの間、または約500sccm~6500sccmの間、または例えば約1000sccm~4000sccmの間である。さらに、第2のオーバーバーデン層540を形成することは、処理容積を約900ミリトル~50トルの間、または約1トル~30トルの間、または約2トル~20トルの間、または例えば約3トル~10トルの間の圧力に維持することを含む。少なくとも1つの実施形態では、基板をWF6およびH2前駆体ガスに曝露することとH2前駆体ガスに曝露することの間に処理容積をパージする時間が、約1秒~50秒の間、または1秒~25秒の間、または例えば約1秒~4秒の間である。
【0060】
さらに、いくつかの実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を形成するALDプロセスが、処理容積を、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理圧力の少なくとも1/10の処理圧力に維持することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理容積の圧力に対する第2のオーバーバーデン層540を堆積させるための処理容積の圧力の比が、約1:9以下、約1:8以下、約1:7以下、約1:6以下、約1:5以下、約1:4以下など、約1:10以下である。
【0061】
一実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を堆積させるパルスタングステン堆積プロセスが、タングステン前駆体ガスを曝露し、次いで還元剤を曝露することの逐次繰返しを含む。いくつかの実施形態では、前駆体ガスがWF6を含み、還元剤がH2を含む。ここで、処理容積に流入させるWF6の典型的な流量は、約1sccm~5000sccmの間、または約250sccm~2500sccmの間、または例えば約500sccm~900sccmの間である。処理容積に流入させるH2の典型的な流量は、約1sccm~10000sccmの間、または約500sccm~6500sccmの間、または例えば約1000sccm~4000sccmの間である。
【0062】
さらに、いくつかの実施形態では、第2のオーバーバーデン層540を堆積させるパルスタングステン堆積プロセスが、処理容積を、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理圧力の少なくとも1/10の処理圧力に維持することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1のオーバーバーデン層530を堆積させるための処理容積の圧力に対する第2のオーバーバーデン層540を堆積させるための処理容積の圧力が、約1:9以下、約1:8以下、約1:7以下、約1:6以下、約1:5以下、約1:4以下など、約1:10以下である。
【0063】
例えば、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させること、および第2のタングステン核形成層の表面をそれらに曝露することを含むタングステンCVDプロセスを使用して、タングステン特徴が形成された。このタングステンCVDは、約1000MPaの応力ならびに約5トルおよび30トルの圧力の処理容積で、基板を約450℃のプロセス温度に加熱することを含んでいた。
【0064】
別の例では、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させること、および第2のタングステン核形成層の表面をそれらに曝露することを含むタングステンCVDプロセスを使用して、タングステン特徴が形成された。このタングステンCVDは、約540MPaの応力および約5トル~30トルの間の圧力の処理容積で、基板を約540℃のプロセス温度に加熱することを含んでいた。
【0065】
さらに別の例では、パルスタングステン堆積プロセスを使用してタングステン特徴が形成された。このパルスタングステン堆積は、基板を前駆体ガスWF6に曝露し、次いで還元剤H2に曝露することの逐次繰返しを含んでいた。ここで、このパルスタングステン堆積は、約673MPaの応力および約3トル~10トルの間の圧力の処理容積で基板を約400℃のプロセス温度に加熱することを含んでいた。この例では、開口の上部の表面におけるタングステン成長速度のほうが開口の下部の表面におけるタングステン成長速度よりも遅く、これによって特徴内でのボトムアップタングステン形成が提供される。このタングステン成長は主に特徴の底部からであるため、さもなければ特徴の側壁からの共形成長によって生じるであろうシームを回避することができる。同様に、ボトムアップタングステン成長では、特徴への開口においてタングステン材料のオーバハング、例えばピンチポイントを生み出す問題が生じず、したがってそのようなオーバハングに関連した望ましくないボイドを排除する。
【0066】
以上の例から分かるとおり、本明細書に記載された方法は、有利には、高アスペクト比特徴のシームおよびボイドのないタングステンバルク充填を提供する。図6は、本明細書に開示されたさまざまな方法に従って堆積させたタングステンのバルク層の膜応力を示すグラフである。全ての層は、1,200オングストローム(Å)の厚さに堆積させた。
【0067】
タングステンバルク充填層601は、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させ、タングステン核形成層の表面をタングステン含有前駆体ガスおよび還元剤に曝露することによって堆積させたものである。ここで、処理容積に流入させるWF6の流量は約150sccm~750sccmの間、処理容積に流入させるH2の流量は約1500sccm~5000sccmの間とした。ここで、基板を約150℃~750℃の間のプロセス温度に維持し、チャンバを約100トル~500トルの間の圧力に維持した。ブランケットタングステン層をおよそ1,200Åの厚さに堆積させた。結果として得られた膜の測定応力はおよそ1600MPaであった。
【0068】
タングステンバルク充填層602は、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させ、タングステン核形成層の表面をタングステン含有前駆体ガスおよび還元剤に曝露することによって堆積させたものである。ここで、処理容積に流入させるWF6の流量は約300sccm~800sccmの間、処理容積に流入させるH2の流量は約1000sccm~4000sccmの間とした。ここで、基板を約375℃~約425℃の間のプロセス温度に維持し、チャンバを約5トル~30トルの間の圧力に維持した。ブランケットタングステン層をおよそ1,200Åの厚さに堆積させた。結果として得られた膜の測定応力はおよそ1300MPaであった。
【0069】
タングステンバルク充填層603は、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させ、タングステン核形成層の表面をタングステン含有前駆体ガスおよび還元剤に曝露することによって堆積させたものである。ここで、処理容積に流入させるWF6の流量は約300sccm~800sccmの間、処理容積に流入させるH2の流量は約1000sccm~4000sccmの間とした。ここで、基板を約425℃~475℃の間のプロセス温度に維持し、チャンバを約5トル~30トルの間の圧力に維持した。ブランケットタングステン層をおよそ1,200Åの厚さに堆積させた。結果として得られた膜の測定応力はおよそ1000MPaであった。
【0070】
タングステンバルク充填層604は、処理容積にタングステン含有前駆体ガスWF6と還元剤H2を同時に流入させ、タングステン核形成層の表面をタングステン含有前駆体ガスおよび還元剤に曝露することによって堆積させたものである。ここで、処理容積に流入させるWF6の流量は約300sccm~800sccmの間、処理容積に流入させるH2の流量は約1000sccm~4000sccmの間とした。ここで、基板を約500℃~550℃の間のプロセス温度に維持し、チャンバを約5トル~30トルの間の圧力に維持した。ブランケットタングステン層をおよそ1,200Åの厚さに堆積させた。結果として得られた膜の測定応力はおよそ450MPaであった。
【0071】
タングステンバルク充填層605は、基板をタングステン前駆体ガスWF6に曝露し、次いで還元剤H2に曝露することの逐次繰返しを含むパルスタングステン堆積によって堆積させたものである。ここで、処理容積に流入させるWF6の流量は約500sccm~900sccmの間、処理容積に流入させるH2の流量は約1000sccmおよび4000sccmとした。ここで、基板を約375℃~約425℃の間のプロセス温度に維持し、チャンバを約3トル~10トルの間の圧力に維持した。ブランケットタングステン層をおよそ1,200Åの厚さに堆積させた。結果として得られた膜の測定応力はおよそ673MPaであった。
【0072】
このグラフから分かるとおり、図604でタングステンを堆積させるために使用されるプロセスでは、601のタングステン堆積物と比較したときに、タングステン応力が1/3に低減する。したがって、いくつかの実施形態では、タングステンバルク充填物または第2のオーバーバーデン層の一方または両方が、1600MPa未満、1500MPa未満、1400MPa未満、1300MPa未満、1200MPa未満、1100MPa未満、1000MPa、900MPa未満、800MPa未満、700MPa未満、600MPa未満の膜応力を有する。
【0073】
結語
本開示の実施形態は一般に、核形成層をラジカル種で処理して、処理された表面へのタングステンの堆積を遅くすることによってシームレスかつ/またはボイドレスのタングステン充填物を堆積させる方法およびシステムを提供する。上記の実施形態はある程度詳細に記載されているが、特許請求の範囲内である種の変更および修正を実施することができる。したがって、本開示の実施形態は例示を目的としたものとみなすべきであり、本開示の実施形態の限定を目的したものとみなすべきではない。これは、本開示の実施形態の基本的範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態および追加の実施形態を考案されることができるためである。本開示の実施形態の基本的範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
【国際調査報告】