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特表2024-518597成膜材料、成膜組成物、これらを用いた成膜方法及びこれから製造された半導体素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】成膜材料、成膜組成物、これらを用いた成膜方法及びこれから製造された半導体素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H01L21/312 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571180
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2022007539
(87)【国際公開番号】W WO2022255734
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069947
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063835
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】タン,コク チュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チャン ボン
【テーマコード(参考)】
5F058
【Fターム(参考)】
5F058AA03
5F058AA07
5F058AF01
5F058AH06
(57)【要約】
本発明は成膜材料、成膜組成物、これを活用した成膜方法及びこれから製造された半導体素子に関するもので、本発明によれば、成長率を低くして複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合にもコンフォーマルな薄膜を提供し、薄膜内の不純物を減少させ、薄膜の密度を大きく向上させ、従来の高温工程で下部電極の酸化により発生していた漏洩電流を大きく低減させる成膜材料、成膜組成物、これらを用いた成膜方法及びこれから製造された半導体素子を提供する効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロッキング剤とリガンド交換反応剤を含む成膜材料。
【請求項2】
前記ブロッキング剤は、成膜工程内で成膜材料から形成された炭素数2乃至15の不飽和炭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載の成膜材料。
【請求項3】
前記リガンド交換反応剤は、成膜工程内で成膜材料から形成され、無機前駆体のリガンドと交換反応するハロゲン化水素またはハロゲン気体であることを特徴とする、請求項1に記載の成膜材料。
【請求項4】
前記成膜材料は、下記化学式1で表される分岐状、環状または芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1に記載に成膜材料。
[化学式1]
AnBmXoYiZj
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1乃至3のアルキルであり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうちの1種以上であり、前記YとZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素からなる群から選択される1種であり、互いに同一でなく、前記nは1乃至15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0乃至2n+1であり、前記iとjは0乃至3の整数である。)
【請求項5】
請求項1に記載の成膜材料と無機前駆体を含む成膜組成物。
【請求項6】
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項5に記載の成膜組成物。
【請求項7】
前記無機前駆体は、下記化学式2aで表される化合物;下記化学式2bで表される化合物;及び下記化学式2cで表される化合物からなる群から1種以上選択された薄膜残留前駆体であることを特徴とする、請求項5に記載の成膜組成物。
[化学式2a]

(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、X、X、Xは独立して-NRまたは-ORであり、R乃至Rは独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記nは1または2である。)
[化学式2b]

(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、Rは独立して水素、炭素数1乃至4のアルキル基であり、前記nは0乃至5の整数であり、X’、X’、及びX’は独立して-NR12または-OR3であり、前記R1乃至R3は独立して炭素数1乃至6のアルキル基である。)
[化学式2c]

(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、X11及びX12はそれぞれ互いに独立してアルキル基または-NR34及び-OR5からなる群から選択されるいずれかであり、前記R乃至Rはそれぞれ互いに独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記n及びnはそれぞれ互いに独立して0乃至5の整数である。)
【請求項8】
前記無機前駆体と前記成膜材料とは、1:99乃至99:1の重量比を有することを特徴とする、請求項5に記載の成膜組成物。
【請求項9】
前記組成物は反応ガスのパルスを含み、前記反応ガスは酸化剤、窒化剤及び還元剤から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の成膜組成物。
【請求項10】
前記組成物は、ボトムアップ成膜または選択的領域の成膜用組成物であることを特徴とする、請求項5に記載の成膜組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の成膜材料をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板上に蒸着段階;
前記基板上に前記無機前駆体を注入して蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
無機前駆体をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;及び
前記基板上に請求項1に記載の成膜材料を注入して蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項13】
請求項1に記載の成膜材料と無機前駆体をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項14】
前記基板は、アスペクト比(aspect ratio)が10:1以上であることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記成膜方法は、200乃至500℃の下で行われることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項16】
前記成膜方法は、
前記成膜材料から形成されたブロッキング剤及びリガンド交換反応剤が基板上に蒸着される段階;及び
前記リガンド交換反応剤は、前記無機前駆体のリガンドを交換反応する段階を含むことを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項17】
前記成膜方法は、原子層蒸着法、化学気相蒸着法、プラズマ原子層蒸着法またはプラズマ化学気相蒸着法で行われることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項18】
前記成膜方法は、金属酸化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属薄膜、非金属酸化物薄膜、非金属窒化物薄膜またはこれらの2以上の薄膜が選択的領域を有する薄膜を形成することを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項19】
請求項11~13のいずれか一項に記載の成膜方法で製造されることを特徴とする薄膜。
【請求項20】
前記薄膜は、拡散防止膜(barrier)、エッチング停止膜(etch stop)、チャージトラップ(charge trap)、選択的領域蒸着膜(selective area deposition)、またはボトムアップ薄膜であることを特徴とする、請求項19に記載の薄膜。
【請求項21】
請求項19に記載の薄膜を含むことを特徴とする半導体基板。
【請求項22】
前記半導体基板は、低抵抗金属のゲートインターコネクト(low resistive metal gate interconnects)、高アスペクト比の3D金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタ(high aspect ratio 3D metal-insulator-metal capacitor)、DRAMトレンチキャパシタ(DRAM trench capacitor)、3Dゲート-オールアラウンド(GAA;Gate-All-Around)または3D NANDであることを特徴とする、請求項21に記載の半導体基板。
【請求項23】
請求項21に記載の半導体基板を含むことを特徴とする半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜材料、成膜組成物、これらを用いた成膜方法、及びこれから製造された半導体素子に関するもので、より詳しくは、成膜組成物に含まれる成膜材料を通じて薄膜形成速度を制御するとともに、基板に残留を望まない成分とのリガンド交換を誘導することによりボトムアップ方式で高純度コンフォーマルな緻密(conformal and denser)薄膜を製造し、基板と化学反応を通じて形成される膜質を改善させて結晶性を向上させ、薄膜内の不純物濃度を減少させて漏洩電流発生を低減させたもので、これを用いた成膜方法及びこれから製造された半導体基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術分野にて、半導体素子の小型化を通じて、より向上した技術を追求することにより、適切な素材と工程技術に対する研究が活発に進められている。特に半導体工程のうち、DRAM(Dynamic Random Access Memory)用のキャパシタ(Capacitor)に用いられる高誘電(high-k)物質であるTiO、ZrO、HfO、Alなどの酸化物薄膜製造工程について、大いに研究がなされている。
【0003】
半導体製造において金属酸化物薄膜製造工程として、有機金属の化学気相蒸着法(MOCVD)及び原子層蒸着法(ALD)が多く用いられており、化学気相蒸着法と原子の蒸着とによる金属酸化物薄膜の形成時、様々な限界点を示している。まず、半導体素子の小型化と、高温工程による下部電極の酸化により漏洩電流が発生し、限定された温度にて薄膜の結晶化度が低く、静電容量の限界を示している。
【0004】
DRAM用のキャパシタは、高いキャパシタンス及び10-7A/cm以下の漏洩電流を必要とし、特には、漏洩電流について継続的に減少するDRAMセルの厳しい要求事項を満たし、薄膜の誘電膜を提供するにあたり、主要な変数に該当する(W.Jeon、Journal of Materials Research 35(7)、1(2019)及びJ.Lee、D.Park、S.Yew、S. Shin、J. Noh、H. Kim、B. Choi、IEEE Electron Device Letters 38(11)(2017))。
【0005】
Niinistoらは、CpHf(NMeとオゾンを用いて、250乃至400℃の条件でHfOのALDを通じて、厚さ8.6nmの非晶質薄膜と、単斜晶(monoclinic)薄膜とを、500℃から後(post)アニーリングした場合、1Vに1×10-7A/cmの漏洩電流の強さを報告した(J. Niinisto, M. Mantymaki, K. Kukli, L. Costelle, E. Puukilainen, M. Ritala, M. Leskela, Journal of Crystal Growth, 312, 245(2010))。
【0006】
しかし、ZrO及びHfOなどには、界面関連の漏洩電流伝導ではなく、トラップ・アシスト・トンネリング(TAT;trap-assisted tunneling)またはPoole-Frenkel(P-F)放出といったバルク関連の漏洩伝導メカニズムが支配的であるということについて公知となっており(W.Y. Choi, G.Yoon, W.Y.Chung, Y.Cho, S.SHin and K.H.Ahn, Micromachines 10, 256 (2019))、特に、キャリア伝導メカニズムは、結晶粒界、内部不純物(酸素欠乏など)、蒸着工程中に薄膜に編入される外部不純物のような誘電膜欠陥のバルク特性に大きく左右されることが知られている。
【0007】
従って、高誘電の異なる誘電物質または異なる仕事関数を有する金属電極を使用するよりも、バルクZrO及びHfO内における当該欠陥提供の原因を低減する技術が効果的である。
【0008】
本発明による薄膜は、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤とを同時に提供する成膜材料を通じて、基板に残留を望まない成分とのリガンド交換を誘導し、膜質(film quality)と膜のコンフォーマリティ(コンフォーマル特性;film conformality)を改善するとともに、漏洩電流を低減し、半導体素子の信頼性を250℃といった低温でも確保しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、成長率を下げてコンフォーマルな薄膜を提供するとともに、薄膜内の不純物を減少させ、薄膜の密度を大きく向上させ、漏洩電流を低減させたことを目的とする。
【0010】
また、本発明は高誘電率(high-k)を有する薄膜の膜質を低温条件で提供することにより半導体素子の信頼性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤を含む成膜材料を提供する。
【0012】
前記ブロッキング剤は、成膜工程内で成膜材料から形成された炭素数2乃至5の不飽和炭化水素であり得る。
【0013】
前記リガンド交換反応剤は、成膜工程内で成膜材料から形成され、無機前駆体のリガンドと交換反応するハロゲン化水素またはハロゲン気体であり得る。
【0014】
前記成膜材料は、下記化学式1で表される分岐状、環状または芳香族の化合物であり得る。
【0015】
[化学式1]
AnBmXoYiZj
【0016】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1乃至3のアルキルであり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びアイオジン(I)のうちの1種以上であり、前記YとZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフルオリンからなる群から選択された1種であり、互いに同一でなく、前記nは1乃至15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0乃至2n+1であり、前記iとjは0乃至3の整数である。)
【0017】
また、本発明は、パルス(pulse)前駆体を含むボトムアップ(bottom up)薄膜組成物を提供する。
【0018】
前記パルス前駆体は、前述した成膜材料(以下、有機前駆体ともいう)及び無機前駆体を含むハイブリッド前駆体であり得る。
【0019】
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0020】
前記無機前駆体は、下記化学式2aで表される化合物;下記化学式2bで表される化合物;及び下記化学式2cで表される化合物からなる群から1種以上選択された薄膜残留前駆体であり得る。
【0021】
[化学式2a]
【0022】
(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、前記X、X、Xは独立して-NRまたは-ORであり、前記R乃至Rは独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記nは1または2である。)
【0023】
[化学式2b]
【0024】
(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、R1は独立して水素、炭素数1乃至4のアルキル基であり、前記nは0乃至5の整数であり、X’、X’、X’は独立して-NR12または-OR3であり、前記R’乃至R’は独立して炭素数1乃至6のアルキル基である。)
【0025】
[化学式2c]
【0026】
(前記M1はZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、X11及びX12はそれぞれ互いに独立してアルキル基または-NR34及び-OR5からなる群から選択されるいずれか一つであり、前記R1乃至R5はそれぞれ互いに独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記n及びnはそれぞれ互いに独立して0乃至5の整数である。)
【0027】
前記無機前駆体と前記成膜材料とは、1:99乃至99:1の重量比を有することができる。
【0028】
前記組成物は反応ガスのパルスを含むことができる。
【0029】
前記反応ガスのパルスは、酸化剤パルス、窒化剤パルスまたは還元剤パルスであり得る。
【0030】
前記成膜組成物は、ボトムアップ成膜または選択的領域の成膜用組成物であり得る。
【0031】
また、本発明は、
前述した成膜材料をチャンバー内に注入して、ローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;
前記基板上に無機前駆体を注入して蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
【0032】
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法を提供する。
【0033】
また、本発明は、
無機前駆体をチャンバー内に注入して、ローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;
前記基板上に前述した成膜材料を注入して蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
【0034】
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法を提供する。
【0035】
また、本発明は、
前述した成膜材料及び無機前駆体をチャンバー内に注入して、ローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;及び
前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含み、
【0036】
前記無機前駆体は、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から1種以上選択された物質を含むことを特徴とする成膜方法を提供する。
【0037】
前記成膜方法は、前記成膜材料から形成されたブロッキング剤及びリガンド交換反応剤が基板上に蒸着する段階;及び、前記リガンド交換反応剤が前記無機前駆体のリガンドを交換反応する段階を含むことができる。
【0038】
前記無機前駆体は基板に残留し、前記成膜材料は基板に未残留となりうる。
【0039】
前記基板はアスペクト比(aspect ratio)が10:1以上であり得る。
【0040】
前記成膜材料と前記無機前駆体とはパルス状に提供され得る。
【0041】
前記成膜方法は、200乃至800℃の下で行われ得る。
【0042】
前記反応ガスのパルスには、酸化剤、還元剤または窒化剤のパルスを使用することができる。
【0043】
前記成膜方法は、原子層蒸着法、化学気相蒸着法、プラズマ原子層蒸着法、またはプラズマ化学気相蒸着法で行われ得る。
【0044】
前記成膜方法は、ボトムアップ(bottom up)成膜であり得る。
【0045】
前記成膜方法は、金属酸化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属薄膜、またはこれらの2つ以上の薄膜が選択的領域を有する薄膜を形成することができる。
【0046】
また、本発明は、前述した成膜材料と前記前駆体とを含むパルス(pulse)前駆体を含むボトムアップ(bottom up)薄膜組成物をチャンバー内に注入し、前記チャンバー内にローディング(loading)された基板の表面に、前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階を含むことを特徴とするボトムアップ薄膜の形成方法を提供する。
【0047】
前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階; 基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階;及び、基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0048】
前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、基板上に前記無機前駆体のパルスを注入してパージする段階;基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階;及び、基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0049】
前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階;基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階;基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階;及び前記基板上に前記成膜材料のパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0050】
前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、基板上に前記無機前駆体と前記有機前駆体とを同時に注入してパージする段階;及び基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含みうる。
【0051】
前記基板はアスペクト比(aspect ratio)が10:1以上であり得る。
【0052】
前記成膜材料と前記無機前駆体とはパルス状に提供され得る。
【0053】
前記成膜方法は、200乃至800℃下で行われ得る。
【0054】
前記反応ガスのパルスは、酸化剤、還元剤または窒化剤のパルスを使用することができる。
【0055】
前記無機前駆体は基板に残留し、前記成膜材料は基板に実質的に残留しない(「未残留」となる)のでありうる。
【0056】
前記ボトムアップ薄膜形成方法は、原子層蒸着法、化学気相蒸着法、プラズマ原子層蒸着法、またはプラズマ化学気相蒸着法で行われ得る。
【0057】
前記ボトムアップ薄膜形成方法は、金属酸化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属薄膜、非金属酸化物薄膜、非金属窒化物薄膜、他の誘電性薄膜、またはこれらの2つ以上の薄膜が選択的領域を有する薄膜を形成することができる。ここでの非金属とは、当業界で公知された金属を除いた物質を指称するのであり、一例として、シリコンなどが挙げられる。
【0058】
また、本発明は前述した成膜方法で製造されることを特徴とする半導体基板を提供する。
【0059】
前記半導体基板は、低抵抗金属のゲートインターコネクト(low resistive metal gate interconnects)、高アスペクト比の3D金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタ(high aspect ratio 3D metal-insulator-metal capacitor)、DRAMトレンチキャパシタ(DRAM trench capacitor)、3Dゲート・オールアラウンド(GAA; Gate-All-Around)または3D NANDであり得る。
【0060】
また、本発明は、前述した半導体基板を含むことを特徴とする半導体素子を提供する。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、成膜工程の途中、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤とを同時に提供することができる成膜材料を提供するという効果がある。
【0062】
本発明によれば、前記成膜材料を通じて、基板に残留を望まない成分とのリガンド交換を誘導し、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、コンフォーマル(conformal)な薄膜を提供する成膜組成物を提供するという効果がある。
【0063】
本発明によれば、成膜の途中に生成される工程副産物と、残留を望まない成分とをより効果的に除去し、蒸着速度を低減させて成膜率を適切に低下させ、薄膜の結晶性を改善させることにより、薄膜の品質を改善させる成膜組成物を提供するという効果がある。
【0064】
本発明によれば、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、ボトムアップ方式でコンフォーマルな薄膜を提供するボトムアップ薄膜組成物を提供するという効果がある。
【0065】
本発明によれば、ボトムアップ薄膜形成時に、工程副産物をより効果的に除去し、蒸着速度を低減させ、薄膜成長率を適切に下げて薄膜の結晶性を改善させることにより薄膜の品質を改善させる薄膜組成物を提供するという効果がある。
【0066】
本発明によれば、薄膜内の不純物を減少させて薄膜の密度を大きく向上させ、従来の高温工程にて下部電極の酸化により発生していた、漏洩電流を低減させる成膜組成物を提供することができ、延いては、これを用いた成膜方法、及びこれから製造された半導体素子を提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明による成膜組成物を用いた成膜サイクルを概略的に図示した図面であり、左側の図面は、成膜材料を投入した後、無機前駆体を投入の成膜サイクル(以下、第1工程ともいう)であって、右側の図面は、成膜組成物のうちの無機前駆体を投入した後の成膜材料投入の成膜サイクル(以下、第2工程ともいう)を示す。
図2】本発明の実施例1乃至3、実施例6乃至8のボトムアップ薄膜と、比較例1乃至6(Ref.HfO)のボトムアップ薄膜とについての蒸着速度を示すGPC分析グラフである。
図3】アスペクト比(長さ/直径)22.6:1のトレンチ構造を有する基板上に、320℃下で、本発明の実施例1と比較例1によって蒸着させたHfO薄膜の上面(top)から200nm下の地点とbottomから100nm上の地点とにおける断面についてのTEM写真である。
図4】本発明の実施例1による成膜材料から、成膜工程中に生成されたブロッキング剤とリガンド交換反応剤とが基板上に蒸着された後、無機前駆体が吸着される第1工程を概略的に説明する流れ図である。
図5】前記図4において、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤とが基板上に蒸着された後、無機前駆体が吸着される第1工程の生成物から、無機前駆体のリガンドであるジアルキルアミンとCpが、それぞれリガンド交換反応剤によってリガンド交換され、反応ガスによる金属酸化膜が生成される工程を概略的に説明する流れ図である。
図6】320℃(a図面、実施例1と比較例1)、300℃(b図面、実施例2と比較例2)、250℃(c図面、実施例3と比較例3)の蒸着温度で製造したボトムアップ薄膜の深さによる炭素(C)、ヨウ素(I:Iodine)元素などの減少率を示すSIMS分析グラフである。
図7】本発明の実施例1乃至3と、比較例1乃至3とについての320℃、300℃、250℃の蒸着温度で製造したボトムアップ薄膜のフィルム密度の分析グラフである。
図8】本発明の実施例3と比較例3の250℃の蒸着温度で製造したボトムアップ薄膜の深さによる成分含量(原子%)を確認したXPS分析グラフである。
図9】本発明の実施例3と比較例1及び比較例3の250℃の蒸着温度で製造したボトムアップ薄膜のXRDパターンの分析グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本記載の成膜組成物、ボトムアップ薄膜組成物、これを用いた成膜方法、これから製造された半導体基板と半導体素子を詳しく説明する。
【0069】
本発明で使用する用語「ブロッキング剤」は、他に特定しない限り、無機前駆体と競争的に基板上に吸着され、成膜速度を制御するか、または無機前駆体の緻密な吸着を阻害する役割を行う添加剤を指称する。具体的な例を下記の図4(b)で確認することができる。下記の図4は、成膜材料から成膜工程の途中に生成されたブロッキング剤とリガンド交換反応剤が基板上に蒸着された後、無機前駆体が吸着される第1工程を概略的に説明する工程図である。下記の図4に示すように、(a)にて基板上に注入された成膜材料は、(b)に示したようにブロッキング剤とリガンド交換反応剤に分けられ、基板上にそれぞれ弱く吸着されることにより、以降(c)にて、提供された無機前駆体が吸着される位置を低減させることになる。
【0070】
本発明で使用される用語「リガンド交換反応剤」は、他に特定しない限り、無機前駆体のリガンドと交換反応を行う添加剤を指称する。具体的な例を下記の図5(a)及び図5(b)にて、それぞれ確認することができる。下記の図5は、前記図4において、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤が基板上に蒸着された後、無機前駆体が吸着される第1工程の生成物から、無機前駆体のリガンドであるジアルキルアミンとCpが、それぞれリガンド交換反応剤によってリガンド交換され、反応ガスによる金属酸化膜が生成される工程を概略的に説明する工程図である。
【0071】
下記の図5に示すように、前述したブロッキング剤とリガンド交換反応剤が基板上に蒸着された後、無機前駆体が吸着される第1工程の生成物(図4(d)または図5(a)に該当)から、無機前駆体のリガンドであるジアルキルアミンとの交換反応(図5(a)に該当)、及び、無機前駆体の他のリガンドであるCpとの交換反応(図5(b)に該当)を行うことで、当該位置にハロゲンが残留するようになり、その後、注入された反応ガスとの反応により、金属酸化膜を生成することになる。
【0072】
本発明で使用する用語「ボトムアップ」は他に特定しない限り、トレンチ構造を有する基板における下部からの成長を指称するのであり、ここでトレンチ構造を有する基板は、一例としてアスペクト比(aspect ratio)が10:1以上、または20:1以上を指称することができる。
【0073】
前記アスペクト比(aspect ratio)は、他に特定しない限り、前記トレンチ構造の長さ/径(L/D)の比を指称するもので、ここで長さと径は、当該技術分野で通常指称する部分をそれぞれ定義する。
【0074】
本件発明者らは、チャンバー内部にローディングされた基板の表面に、無機前駆体と成膜材料を含む成膜組成物を用いて成膜する場合に、250℃のような低温で使用しても、蒸着後に形成される薄膜の上下部の成長率が大いに低くなり、その結果、高アスペクト比を有するトレンチ構造におけるコンフォーマル特性が、大きく向上されることを確認した。また、予想と異なり、炭素とヨウ素(Iodine)の残留量が低減し、薄膜の密度及び不純物などが大きく改善される結果を確認したのであり、これに基づいてさらに研究に邁進して、本発明を完成することになった。
【0075】
前記成膜方法は一実施例であって、無機前駆体と成膜材料をそれぞれまたは同時に気化してチャンバー内にローディングされた基板表面に吸着させる段階;前記チャンバーの内部をパージガスでパージする段階;前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び前記チャンバーの内部をパージガスでパージする段階;を含みうるのであって、このような場合、成膜率が適切に低くなり、成膜時に蒸着温度が低くなっても、薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性と誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減されて膜質が大きく向上するという利点がある。
【0076】
前記成膜方法は好ましい一実施例として、パルス(pulse)前駆体を含むボトムアップ(bottom up)薄膜組成物をチャンバー内に注入して、ローディング(loading)された基板の表面に蒸着するのであるが、前記パルス前駆体は、無機前駆体と有機前駆体とを含み、前記無機前駆体と前記有機前駆体とを基板上に同時注入した後、反応ガスのパルスを注入して蒸着させる段階を含むことができるのであって、このような場合、薄膜成長率が適切に低くなり、薄膜形成時の蒸着温度が低くなっても、ボトムアップ薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性と誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減され、膜質が大きく向上するという利点がある。
【0077】
前記成膜方法は好ましい他の実施例として、成膜材料をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;前記基板上に無機前駆体を注入して蒸着する段階;及び、前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含むことができるのであって、このような場合、成膜率が適切に低くなり、成膜時の蒸着温度が低くなっても、薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性と誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減され、膜質が大きく向上するという利点がある。
【0078】
前記成膜方法は好ましい一実施例として、無機前駆体をチャンバー内に注入して、ローディング(loading)された基板上に蒸着する段階;前記基板上に成膜材料を注入して蒸着する段階;及び、前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含むことができるのであって、このような場合、成膜率が適切に低くなり、成膜時の蒸着温度が低くなっても薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性及び誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減され、膜質が大きく向上するという利点がある。
【0079】
前記成膜方法は好ましい一実施例として、チャンバー内に注入してローディング(loading)された基板の表面に、成膜材料と無機前駆体を注入して蒸着する段階;及び、前記基板上に反応ガスのパルスを注入して蒸着する段階を含むことができるのであって、このような場合、成膜率が適切に低くなり、成膜時の蒸着温度が低くなっても、薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性と誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減され、膜質が大きく向上するという利点がある。
【0080】
前記成膜方法は好ましい一実施例として、基板上に成膜材料を注入してパージする段階;前記基板上に無機前駆体を注入してパージする段階;前記基板上に反応ガスのパルスを注入してパージし、前記無機前駆体を蒸着させる段階;及び前記基板上に前記成膜材料を注入してパージする段階を含むことができるのであって、このような場合、成膜率が適切に低くなり、成膜時の蒸着温度が低くなっても、薄膜の密度、結晶性、コンフォーマル特性及び誘電特性が改善され、漏洩電流が効果的に低減され、膜質が大きく向上するという利点がある。
【0081】
前記成膜方法により製造された薄膜はボトムアップ薄膜でありうるのであって、このような薄膜内にて、前記無機前駆体は残留して蒸着されて薄膜を形成するが、成膜材料は残留しないということを特徴とする。
【0082】
前記無機前駆体、成膜材料、反応ガス、パージに用いられるガスは、独立して、好ましくはVFC方式、DLI方式またはLDS方式でもって前記チャンバー内に移送することがありえ、より好ましくはLDS方式でもって前記チャンバー内に移送されるものである。
【0083】
前記チャンバーは、CVDチャンバーまたはALDチャンバーであり得るが、これに限定されるものではない。
【0084】
本発明の一実施例において、前記成膜材料は、ブロッキング剤とリガンド交換反応剤を含むことができる。
【0085】
前記ブロッキング剤は、先に述べた図4(b)に示すように、成膜工程内で成膜材料から形成された炭素数2乃至15の不飽和炭化水素でありうるのであって、3次構造を有する炭素数2乃至15の不飽和炭化水素であることで、無機前駆体が基板に吸着するための接近を遮断するブロッキング効果を最大化することができ、好ましい。
【0086】
前記リガンド交換反応剤は、先に述べた図5(a)と(b)に示すように、成膜工程内で成膜材料から形成され、無機前駆体のリガンドと交換反応するハロゲン化水素またはハロゲン気体でありうるのであって、ハロゲン化水素であることで、無機前駆体が基板に吸着するための接近を遮断するブロッキング効果と、隣接して吸着された無機前駆体のリガンドと交換反応を行う効果を同時に最大化することができ、好ましい。
【0087】
ここで、ハロゲンとしては、F、Cl、Br、またはIを用いることができ、今後の反応ガスとの反応性などを考慮する際にIまたはBrを用いることが好ましいのでありうる。
【0088】
本発明で用いる成膜材料としては、後述する無機前駆体と反応性が実質的になく、薄膜内に「未残留」となる(実質的に残留しない)物質を指称するのであり、一例として下記化学式1、で表される分岐状、環状または芳香族化合物であることを特徴とするが、この場合、薄膜に「未残留」(実質的に残留しない)前駆体として作用して、本発明が目的とする効果がよく発現され、高誘電率を提供するという利点がある。
【0089】
[化学式1]
AnBmXoYiZj
【0090】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1乃至3のアルキルであり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びアイオジン(I)のうちの1種以上であり、前記YとZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフルオリンからなる群から選択された1種以上であり、互いに等しくなく、前記nは1乃至15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0乃至2n+1であり、前記iとjは0乃至3の整数である。)
【0091】
本発明で使用される用語「未残留」は、他に特定しない限り、XPSによる成分分析時、C元素0.1原子%(atom%)、N元素0.1原子%(atom%)未満で存在する場合を指称する。
【0092】
前記成膜材料は、好ましくは純度99.9%以上の化合物、純度99.95%以上の化合物、または純度99.99%以上の化合物でありえ、参考として純度99%未満の化合物を用いる場合には不純物を形成することができ、なるべく99% 以上の物質を使用することが好ましい。
【0093】
前記成膜材料で形成されたブロッキング剤とリガンド交換反応剤の例を挙げてみると、成膜材料がtert-ブチルアイオダイド(butyl iodide)である場合、前記ブロッキング剤は2-メチルプロペンであり、前記リガンド交換反応剤はヨウ化水素であり得る。
【0094】
前記成膜材料は、Vapor Flow Controller (VFC)及び/または(and/or)Liquid Delivery System (LDS)を使用してパルス(pulse)状に供給されうるのであって、この場合、パルス状とは当業界で通常使用するパルス状態であれば差し支えない。
【0095】
本発明の一実施例において、前記成膜組成物は前記成膜材料とともに無機前駆体を含むことができる。
【0096】
本発明の一実施例において、前記成膜組成物はボトムアップ薄膜組成物であり得る。
【0097】
本発明の一実施例において、前記ボトムアップ薄膜組成物はパルス(pulse)前駆体を含むことができる。
【0098】
本発明でパルス(pulse)前駆体は、Vapor Flow Controller(VFC)及び/またはLiquid Delivery System(LDS)を使用して、パルス状に供給され得る前駆体を指称し、このときパルス状とは当業界で通常使用するパルス状態であれば差し支えない。
【0099】
前記パルス前駆体の一例として、無機前駆体と有機前駆体を含むハイブリッド前駆体であり得る。
【0100】
本発明で使用する無機前駆体としては、薄膜に残留して伝導性の改善を助けることができる物質を指称するもので、一例として下記化学式2で表される物質であり得る。
【0101】
[化学式2]
MxLy
【0102】
(前記xは1乃至3の整数であり、前記MはLi、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択されることがありうるのであって、前記yは1乃至6の整数であり、前記Lはそれぞれ独立してH、C、N、O、F、P、S、Cl、Brまたは Iであるが、またはH、C、N、O、F、P、S、Cl及びBrからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドである。)
【0103】
この場合、本発明が目的する効果がよく発現され、高誘電率を有する利点がある。
【0104】
好ましい実施例として、前記無機前駆体は下記化学式2aで表される化合物;下記化学式2bで表される化合物;及び下記化学式2cで表される化合物からなる群から1種以上選択された薄膜残留前駆体であることが熱的安定性と反応性の側面から好ましい。
【0105】
[化学式2a]
【0106】
(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、前記X、X、Xは独立して-NRまたは-ORであり、前記R乃至Rは独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記nは1または2である。)
【0107】

[化学式2b]
【0108】
(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、Rは独立して水素、炭素数1乃至4のアルキル基であり、前記nは0乃至5の整数であり、X’、X’及びX’は独立して-NR12または-OR3であり、前記R’乃至R’は独立して炭素数1乃至6のアルキル基である。)
【0109】
[化学式2c]
【0110】
(前記MはZr、Hf、Si、GeまたはTiであり、X11及びX12はそれぞれ互いに独立してアルキル基または-NR34及び-OR5からなる群から選択されるいずれか一つであり、前記R乃至Rはそれぞれ互いに独立して炭素数1乃至6のアルキル基であり、前記n及びnはそれぞれ互いに独立して0乃至5の整数である。)
【0111】
前記無機前駆体と前記成膜材料は、1:99乃至99:1の重量比、1:90乃至90:1の重量比、1:85乃至85:1の重量比、または1:80乃至80:1の重量比を有するものであり得る。
【0112】
前記組成物は反応ガスのパルスを含み、前記反応ガスは、酸化剤、窒化剤及び還元剤から選択された1種以上であり得る。
【0113】
前記酸化剤、窒化剤、還元剤は当該技術分野で通常使用する物質でありえ、一例として酸化剤はO、Oまたはこれらの混合、窒化剤はNH、N、Nまたはこれらの混合、還元剤はHなどでありえ、これに限定するものではない。
【0114】
本発明の成膜方法において、成膜材料を用いて基板上に無機前駆体を蒸着させる段階を含む。
【0115】
本発明の成膜方法において、前記基板上に前記無機前駆体を蒸着させる段階は、一例として、成膜材料から形成されたブロッキング剤及びリガンド交換反応剤が基板上に蒸着する段階;及び前記リガンド交換反応剤が前記無機前駆体のリガンドを交換反応して基板上に無機前駆体を蒸着させる段階を含むことができる。
【0116】
本発明の成膜方法において、前記基板上に前記無機前駆体を蒸着させる段階は、好ましい例として、成膜材料から形成されたブロッキング剤及びリガンド交換反応剤を基板上に蒸着させる段階;前記リガンド交換反応剤が前記無機前駆体のリガンドと交換反応する段階;及び前記基板上に反応ガスのパルスを注入して無機前駆体を蒸着する段階を含むことができる。
【0117】
ここで、前記無機前駆体は成膜材料の注入後に投入されたり、成膜材料の注入前に投入されたり、あるいは成膜材料の注入と同時に投入されたりするのであり得る。
【0118】
本発明のボトムアップ成膜方法において、前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、好ましい例として、基板上に前記成膜材料パルスを注入してパージする段階;基板上に前記無機前駆体パルスを注入してパージする段階;及び基板上に、反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0119】
このとき、前記無機前駆体は、成膜材料の注入後に投入される場合に、下記の図4及び図5に示すフローによって、ブロッキング反応とリガンド交換反応を行うことができる。
【0120】
本発明のボトムアップ成膜方法において、前記基板上に、前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、他の好ましい例として、基板上に、前記無機前駆体パルスを注入してパージする段階;基板上に、前記成膜材料パルスを注入してパージする段階;基板上に、前記反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0121】
また、本発明のボトムアップ成膜方法において、前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、他の好ましい例として、基板上に前記成膜材料パルスを注入してパージする段階;基板上に前記無機前駆体パルスを注入してパージする段階;基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階;及び前記基板上に成膜材料パルスを注入してパージする段階;を含むことができる。
【0122】
延いては、本発明のボトムアップ成膜方法において、前記基板上に前記無機前駆体をボトムアップ蒸着させる段階は、また他の好ましい例として、基板上に前記無機前駆体パルスと前記成膜材料パルスを同時に注入してパージする段階;及び基板上に反応ガスのパルスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0123】
前記基板は、アスペクト比(aspect ratio)が10:1以上、または20:1以上を有する、トレンチ構造の基板を指称しうる。
【0124】
前記成膜方法は一例として、蒸着温度が200乃至800℃であり、具体例な例として200乃至600℃であり、好ましくは250乃至450℃であり、具体例な例としては250乃至420℃、250乃至320℃、380乃至420℃、または 400乃至450℃であり、この範囲内で薄膜品質及びステップカバレッジなどが大きく改善されるという利点がある。
【0125】
前記成膜方法は一例として、反応ガスとして、還元剤、窒化剤または酸化剤を用いることができ、必要によっては一部選択された領域と、残りの領域とに、それぞれ異なる反応ガスを適用することもできる。
【0126】
前記成膜方法は一例として、原子層蒸着法または化学気相蒸着法で行うことがありえ、必要によってはプラズマ原子層蒸着法またはプラズマ化学気相蒸着法で行い得る。
【0127】
前記成膜方法は一例として、金属酸化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属薄膜、非金属酸化物薄膜、非金属窒化物薄膜、他の誘電性薄膜またはこれらの2つ以上の薄膜が選択的領域を有する薄膜を形成することができる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、前述した成膜方法で製造されることを特徴とする薄膜を提供することができる。
【0129】
前記薄膜は、拡散防止膜(barrier)、エッチング停止膜(etch stop)、チャージトラップ(charge trap)、選択的領域の蒸着膜(selective area deposition)、ボトムアップ薄膜などとして使用することができる。
【0130】
本発明の一実施例によれば、前述した成膜方法で製造されることを特徴とする半導体基板を提供することができる。
【0131】
前記の半導体基板は、低抵抗金属のゲートインターコネクト(low resistive metal gate interconnects)、高アスペクト比の3D金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタ(high aspect ratio 3D metal-insulator-metal capacitor)、DRAMトレンチキャパシタ(DRAM trench capacitor)、3Dゲート-オールアラウンド(GAA; Gate-All-Around)または3D NANDであり得る。
【0132】
延いては、本発明の他の実施例によれば、前述した半導体基板を含むことを特徴とする半導体素子を提供することができる。
【0133】
一例として、本発明による薄膜を含むキャパシタは2層乃至3層以上積層されて提供されることがありえ、ここで、各層を構成する無機前駆体は、その種類を異にして積層されることがありえ、必要によっては同一の種類を使用して積層することもできる。
【0134】
一例として、半導体基板の上部に、下部電極、誘電膜、第2電極が順次形成され、キャパシタを形成することができる。
【0135】
このとき、下部電極は、DRAM素子または他の素子のストレージ電極またはデカップリングキャパシタの電極であり得る。
【0136】
前記下部電極は一例として、広い表面積を確保することができるシリンダ形状またはピラー形状などで製造されうるのであって、導電層または金属層として形成されることもあり得る。
【0137】
前記誘電体膜は、金属酸化物膜でありえ、本発明による成膜組成物を用いて蒸着される場合に、下部段差またはトポロジー(topology)を有する下部電極上に形成されても均一な厚さと適切な接着性を有する利点がある。
【0138】
前記誘電膜の上部に形成される上部電極は、下部電極と同じ導電層または金属層で構成することがあり得る。
【0139】
以下、本発明の理解を助けるために、好ましい実施例及び図面を提示するが、下記の実施例及び図面は本発明を例示するだけであって、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは、当業者において明白なものであり、このような変形及び修正が、添付された特許請求範囲に属するのも当然である。
【0140】
[実施例]
<実施例1>
下記図1左側の図面に示された薄膜製造サイクルを用いてアスペクト比22.6:1(長さ:直径)のトレンチ構造を有するSiO基板上にHfOボトムアップ薄膜を積層した。
【0141】
図1左側の図面は、本発明によるボトムアップ薄膜組成物中で成膜材料パルス投入後の無機前駆体パルス投入実験に該当するもので、第1工程と指称する。
【0142】
具体的には、成膜材料パルスを3秒注入した後、6秒間パージし、無機前駆体パルスを3秒注入した後、6秒パージした後、反応ガスのパルスを3秒注入した後、6秒パージするサイクルを含む。
【0143】
前述したHfOボトムアップ薄膜は、シャワーヘッド(shower head)が備えられた12インチ(inch)のALDシステムで蒸着工程を行った。
【0144】
前記無機前駆体は、下記化学式3-1で表される化合物であるCpHfを準備した。前記CpHfはSigma社から購入して精製せずに使用した。
【0145】
[化学式3―1]
【0146】
前記成膜材料は、下記化学式3-2で表される化合物であるTBIを準備した。 前記TBIは出願人が合成した後、99.9%の純度に精製して使用した。
【0147】
[化学式3―2]
【0148】
準備された成膜材料をキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて0.01g/minの流速で90℃に加熱された気化器に供給した。調製したCpHfを、別のキャニスターに入れ、0.1g/分の流速で170℃に加熱された別々の気化器に供給した。
【0149】
気化器で蒸気状に気化した成膜材料を、3秒間で、Siウエハ上にSiOを100nm成長させた上に、TiNを20nm厚さに成長させた基板がローディングされた蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを300sccmで6秒間供給してアルゴンパージを行った。金属酸化膜が形成される基板を320℃に加熱し、この際、反応チャンバー内の圧力は0.74Torrに制御した。
【0150】
次に、気化器で蒸気状に気化したCpHfを3秒間蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを300sccmで6秒間供給してアルゴンパージを行った。金属酸化膜が形成される基板を320℃に加熱し、この際、反応チャンバー内0.74Torrに制御した。
【0151】
次いで、反応性ガスとして、オゾン1000sccmを3秒間、前記反応チャンバーに投入した後、6秒間アルゴンパージを行った。金属酸化膜が形成される基板を320℃に加熱し、この際、反応チャンバー内0.74Torrに制御した。
【0152】
このような工程を100回繰り返して自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0153】
<実施例2>
実施例1において、基板の加熱温度を300℃に調整したことを除いては、実施例6と同様の方法でHfO薄膜を形成した。
【0154】
<実施例3>
実施例1において、基板の加熱温度を250℃に調整したことを除いては、実施例6と同様の方法でHfO薄膜を形成した。
【0155】
<実施例4>
実施例1において、無機前駆体を下記化学式3-3で表された化合物であるTEMAHf(Tetrakis(ethylmethylamino)Hafnium)に代替したことを除いては、実施例1と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0156】
[化学式3―3]
【0157】
<実施例5>
実施例1において、成膜材料を下記化学式3-4で表された化合物であるTBBに代替したことを除いては、実施例1と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0158】
前記TBBは出願人が合成した後、99.9%純度で精製して使用した。
【0159】
[化学式3―4]
【0160】
<実施例6>
実施例1において、使用した図1左側の図面に表された薄膜製造サイクルを図1右側の図面に表された薄膜製造サイクルに変更したことを除いては、実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0161】
具体的には、図1右側の図面に表された成膜サイクルを用いてアスペクト比22.6:1(長さ:直径)のトレンチ構造を有するSiO基板上にHfOボトムアップ薄膜を積層した。
【0162】
図1右側の図面は、本発明による無機前駆体パルス投入後の成膜材料パルス投入実験に該当するものであり、第2工程と指称する。
【0163】
具体的には、無機前駆体パルスを3秒注入した後、6秒間パージし、成膜材料パルスを3秒注入した後、6秒パージした後、反応ガスのパルスを3秒注入した後、6秒パージするサイクルを含む。金属酸化膜が形成される基板を320℃に加熱し、この際、反応チャンバー内0.74Torrに制御した。
【0164】
<実施例7>
実施例6において、基板の加熱温度を300℃に調節したことを除いては、実施例6と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0165】
<実施例8>
実施例6において、基板の加熱温度を250℃に調節したことを除いては、実施例6と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0166】
<実施例9>
実施例1において、無機前駆体を下記化学式3-5で表された化合物であるCpZrに代替し、成膜材料を0.1g/minの流速で投入し、基板の加熱温度を320℃に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0167】
[化学式3―5]
【0168】
<実施例10>
実施例9において、基板の加熱温度を300℃に調節したことを除いては、実施例9と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0169】
<実施例11>
実施例9において、基板の加熱温度を250℃に調節したことを除いては、実施例9と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0170】
<実施例12>
実施例6において、無機前駆体を下記化学式3-5で表された化合物であるCpZrに代替し、成膜材料を0.1g/minの流速で投入し、基板の加熱温度を320℃に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0171】
<実施例13>
実施例12において、基板の加熱温度を300℃に調節したことを除いては、実施例12と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0172】
<実施例14>
実施例12において、基板の加熱温度を250℃に調節したことを除いては、実施例12と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0173】
<比較例1>
実施例1において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例1と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0174】
<比較例2>
実施例2において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例2と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0175】
<比較例3>
実施例3において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例3と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0176】
<比較例4>
実施例6において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例6と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0177】
<比較例5>
実施例7において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例7と同様の方法で自己-制限の原子層であるHfO薄膜を形成した。
【0178】
<比較例6>
実施例8において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例8と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0179】
<比較例7>
実施例9において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例9と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0180】
<比較例8>
実施例10において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例9と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【0181】
<比較例9>
実施例11において、成膜材料を投入しなかったことを除いては、実施例9と同様の方法で自己-制限の原子層であるZrO薄膜を形成した。
【実験例】
【0182】
1)蒸着評価
実施例1乃至3、5乃至8と比較例1乃至4は、無機前駆体をCpHfに、実施例4と比較例5は無機前駆体をTEMAHfに、そして実施例9乃至14と比較例6乃至7は無機前駆体をCpZrに変更して実験したものであるが、全体的に、成膜材料が無機前駆体より先に投入される場合に蒸着速度が減少し、成膜材料が無機前駆体より後に投入されると蒸着速度が増加するという傾向を示した(下記表1及び下記図2参照)。
【0183】
その傾向は、実施例1乃至6と比較例1乃至3に示されたように、低温の場合が、より大きかった。
【0184】
また、このような傾向は、実施例1乃至8と比較例1乃至3、実施例9乃至14と比較例6乃至7に示されたように、ZrO薄膜の場合が、より大きかった。
【0185】
【表1】
【0186】
2)不純物の低減特性
C低減率(%)は下記数式2で計算した。
【0187】
[数式2]
【0188】
下記図6から分かるように、本発明による成膜材料を用いながら無機前駆体をHf薄膜前駆体として用いた実施例1乃至3は、成膜材料を用いなかった比較例1(Ref HfO)に比べて、薄膜内の汚染物質であるC強度(intensity)が大きく減少し、不純物の低減特性が非常に優れていることが確認できた。
【0189】
より具体的に説明すると、無機前駆体としてCpHfを320℃で用いた実施例1(図面6(a)に該当)は、対照群である比較例1(C(Counts/s)=8227)と対比して、薄膜内汚染物質であるC強度が76%減少し、無機前駆体としてCpHfを300℃で用いた実施例2(図面6(b)に該当)は対照群である比較例2と対比して、薄膜内汚染物質であるC強度が66%減少し、無機前駆体としてCpHfを250℃で用いた実施例3(図6(c)に該当)は対照群である比較例3(C(Counts/s)=13745)と対比して、薄膜内汚染物質であるC強度が40%減少したのであり、本発明によるHf薄膜は、不純物の低減特性が非常に優れていることを再び確認することができた。
【0190】
3)薄膜密度
図7に示したように、実施例2(薄膜密度9.40g/cm)、実施例3(薄膜-密度8.0g/cm)は、それぞれ、これらのリファレンスに該当する比較例2(9.0g/cm)及び比較例3(7.7g/cm)に対比して、X線の反射測定(XRR)分析に基づいて測定された薄膜密度が大きく増加することを確認した。
【0191】
これにより、本発明によるHf及びZr薄膜が、DRAMキャパシタンスのような高アスペクト比を有する集積化した構造体において、結晶性を改善し、最終的に電気的特性を改善させられることが分かる。
【0192】
前述した実施例1及び実施例3、並びに比較例3における、蒸着した7nm厚さについてのXRDパターンを下記図9に示した。
【0193】
下記図9に示したように、非常に弱い回折パターンで表される非晶質が観察され、320度から結晶相への相転移が観察されなかった。参考に、非常に薄い蒸着薄膜は、ほとんど非晶質状態であることが知られており、適切な薄膜が製造されたことを確認した。
【0194】
4)静電容量
実施例1と比較例1において、それぞれ製造されたHfO薄膜に対する静電容量を測定した。
【0195】
具体的には、測定しようとする誘電膜の上面(Top)及び下面(Bottom)に金属(Metal)薄膜を成膜させて上面(Top)と下面(Bottom)の金属(Metal)を互いに電気的に連結させ、1MHzの周波数でCV Measurement装置を用いて測定し、下記表2に示した。
【0196】
5)漏洩電流
実施例1と比較例1において、それぞれ製造されたHfO薄膜に対する漏洩電流を3MV/cmで測定した。
【0197】
具体的には、I-V Parameter Analyzer(モデル:4200-SCS;製造業者:KEITHLEY)装置を用いてVoltage Sweep Mode(0-15V)方式で測定し、下記表2に示した。
【0198】
6)誘電定数
実施例1と比較例1において、それぞれ製造されたHfO薄膜に対する誘電定数を測定した。
【0199】
具体的には、C-V Parameter Analyzer(モデル:E4980A、LCR Meter:20 Hz~2 MHz、製造業者:KEYSIGHT)装置を用いてDC-Bias Sweep Mode方式で測定し、下記表2に示した。
【0200】
【表2】
【0201】
前記表2に示したように、本発明による成膜材料を用いた実施例1は、これを用いなかった比較例1と比較して、誘電定数と静電容量が向上し、漏洩電流が著しく低減された結果を確認することができた。具体的に漏洩電流の場合には、DRAM漏洩電流の限界より低い5.18×10-8A/cm2として95%に相当する改善が確認され、このように大きく低減された漏洩電流は、先に確認した薄膜不純物及び薄膜密度の改善に起因したと考えられる。
【0202】
7)ボトムアップコンフォーマル特性
実施例1と比較例1において、それぞれ製造されたHfO薄膜に対するボトムアップコンフォーマル特性を確認した。
【0203】
具体的には、アスペクト比(長さ/直径)22.6:1のトレンチ構造を有する基板上に320℃下に本発明の実施例1と比較例1によりHfO薄膜を蒸着させた。
【0204】
前記HfO薄膜の上面(Top)及び下面(Bottom)に金属(Metal)薄膜を成膜させ、topから200nm下の時点とボトムから100nm上の時点での断面に対するTEM写真を下記図3に示した。
【0205】
下記図3に示したように、本発明による成膜材料を用いた実施例1は、上面(Top)厚さ5.17nmと上面(Bottom)厚さ4.99nmであって97%のコンフォーマル特性を示した反面(図3b)、これを用いなかった比較例1は、上面(Top)厚さ7.98nmと下面(Bottom)厚さ6.96nmであって87%のコンフォーマル特性を示すことから(図3a)、改善されたボトムアップコンフォーマル特性を確認することができた。
【0206】
このような本発明による結果は、優れた薄膜品質、高い薄膜整合性(conformality)及び優れた電気的性能を達成するためのALDにおいて、ハイブリッド前駆体パルスの有望な能力について確実な証拠となる。
【0207】
本発明のALD工程において、補助前駆体パルスに対する革新的な接近方式は、将来のテクノロジー・ノード(future technology node)のための低抵抗金属ゲート・インターコネクト(low resistive metal gate interconnects)、高アスペクト比3D金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタ(high aspect ratio 3D metal-insulator-metal capacitor)、DRAMトレンチキャパシタ(DRAM trench capacitor)などのような応用分野、及び3Dゲート・オールアラウンド(GAA; Gate-All-Around)及び3D NANDのような他の3D装置アーキテクチャから様々な機会を提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】