(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】関節修復のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561761
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022026320
(87)【国際公開番号】W WO2022232126
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホッセイニ、アリ
(72)【発明者】
【氏名】マクレディ―、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】オマリー、ケンドラ
(72)【発明者】
【氏名】カラジッチ、ジョフリー
(72)【発明者】
【氏名】チ、ゼナン
(72)【発明者】
【氏名】ホール、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チュン
(72)【発明者】
【氏名】マクガヴァン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】イェオー、ハン テイク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
(57)【要約】
組織固定のための方法およびデバイス。二つのスロット付き開口の間にリブを有した皮質ボタン。リブは、触知可能性を増大させることなく、皮質ボタンの構造的剛性を増大させる。調節可能ループ構造は、二つの独立したロック通路を有することにより、管理可能なループ短縮と、組織結合の改良と、を提供する。調節可能ループ構造は、通過構造を介して組織に対して結合されてもよい。短縮バーとボタンと調節可能ループ構造とを含むアセンブリは、組織固定のためのステップを案内するために分解可能な第一構成で組み付けられた状態で、準備される。短縮バーは、調節可能ループ構造を短縮させるために、短縮バーに対して組み付けられてもよい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺配向で骨トンネルを通過するように構成され、その後に展開構成へと反転されるように構成された、皮質ボタンであって、
幅よりも大きな長さと長手方向軸線とを有した長円形ボディであり、
前記幅は、前記ボディの第一側壁から第二側壁までにわたって延びており、前記第一側壁および前記第二側壁は、第一端部と第二端部との間にわたって前記長手方向軸線に沿っており、前記ボディは、また、前記皮質ボタンが前記展開構成とされている時には骨外面に対して係合するように構成された底面を有しており、
前記ボディの厚さ全体を通して延びた一対のスロット付き開口であるとともに、自身を通して可撓性ストランドからなるループを受領するための一対のスロット付き開口を有している、長円形ボディと、
前記長円形ボディの前記底面から延びたリブであるとともに、前記一対のスロット付き開口の間に配置されており、さらに、前記一対のスロット付き開口に対して、前記長手方向軸線に沿って同軸的とされたリブと、を含む、皮質ボタン。
【請求項2】
前記一対のスロット付き開口に隣接した一対の包囲された開口をさらに含み、前記リブは、前記一対の包囲された開口の間に配置されているとともに、前記一対の包囲された開口に対して、前記長手方向軸線に沿って同軸的とされている、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項3】
前記一対のスロット付き開口と前記第一端部との間に配置された第一端部開口と、前記一対の包囲された開口と前記第二端部との間に配置された第二端部開口と、をさらに含む、請求項2に記載の皮質ボタン。
【請求項4】
前記第一端部開口および前記第二端部開口は、前記リブから軸線方向に離間している、請求項3に記載の皮質ボタン。
【請求項5】
前記リブは、長円形の中実ボディである、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項6】
前記リブは、前記皮質ボタンの前記長手方向軸線と一致したかつ前記長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有した長円形ボディである、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項7】
前記一対のスロット付き開口のそれぞれは、前記皮質ボタンの厚さを通して延びているとともに前記リブの側面から直接的に延びている内側面を規定している、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項8】
前記一対のスロット付き開口のそれぞれは、前記第一側壁または前記第二側壁の一方を貫通した側方開口を規定しており、前記リブは、前記皮質ボタンの構造的完全性の低下を補償するように構成されており、前記構造的完全性の前記低下は、前記側方開口の結果である、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項9】
前記リブは、前記長円形ボディの前記底面から、2mm未満の分だけ垂直に延びている、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項10】
前記リブは、前記長円形ボディの前記底面から、前記ボディの厚さよりも小さな距離の分だけ延びている、請求項1に記載の皮質ボタン。
【請求項11】
皮質ボタンであって、
幅よりも大きな長さと長手方向軸線とを有した長円形ボディであり、
前記幅は、前記ボディの第一側壁から第二側壁までにわたって延びており、前記第一側壁および前記第二側壁は、第一端部と第二端部との間にわたって前記長手方向軸線に沿っており、前記ボディは、また、前記皮質ボタンが前記展開構成とされている時には骨外面に対して係合するように構成された底面を有しており、
前記ボディの厚さ全体を通して延びた一対のスロット付き開口であるとともに、自身を通して可撓性ストランドからなるループを受領するための一対のスロット付き開口を有している、長円形ボディと、
前記底面から延びたリブであるとともに、前記一対のスロット付き開口の間に配置されており、さらに、前記一対のスロット付き開口に対して、前記長手方向軸線に沿って同軸的とされたリブと、を含み、前記ボディの前記幅は、前記皮質ボタンを通過させ得る骨トンネルの最小直径を規定するものとされ、前記リブは、前記最小直径を保存しつつ前記皮質ボタンの構造的完全性を増大させるように構成されている、皮質ボタン。
【請求項12】
前記一対のスロット付き開口のそれぞれは、前記第一側壁または前記第二側壁の一方を貫通した側方開口を規定しており、前記リブは、前記構造的完全性を増大させるように構成されているとともに、前記側方開口に起因した前記構造的完全性の低下を補償するように構成されている、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項13】
前記一対のスロット付き開口に隣接した一対の包囲された開口をさらに含み、前記リブは、前記一対の包囲された開口の間に配置されているとともに、前記一対の包囲された開口に対して、前記長手方向軸線に沿って同軸的とされている、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項14】
前記一対のスロット付き開口のそれぞれは、前記第一側壁または前記第二側壁の一方を貫通する側方開口を規定しており、前記リブは、前記側方開口に対して前記長手方向軸線に沿って同軸的である、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項15】
前記リブから軸線方向に離間した第一端部開口および第二端部開口をさらに含む、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項16】
前記リブは、長円形の中実ボディである、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項17】
前記リブは、前記皮質ボタンの前記長手方向軸線と一致したかつ前記長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有した長円形ボディである、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項18】
前記一対のスロット付き開口のそれぞれは、前記皮質ボタンの厚さを通して延びているとともに前記リブの外側面に対して連続した内側面を規定している、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項19】
前記リブは、前記底面から、2mm未満の分だけ垂直に延びている、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項20】
前記リブは、前記底面から、前記ボディの厚さよりも小さな距離の分だけ延びている、請求項11に記載の皮質ボタン。
【請求項21】
調節可能な組織修復システムであって、
自身を貫通する複数の開口を有した組織アンカーと、
可撓性ストランドから形成されているとともに、前記複数の開口を介して前記組織アンカーに対して結合された、調節可能ループ構造であるとともに、
前記複数の開口の、第一対の開口を通して延びた、第一調節可能アイスプライスループと、
前記複数の開口の、第二対の開口を介して前記組織アンカーに対して結合するように構成された、第二調節可能アイスプライスループと、
前記第一調節可能アイスプライスループと前記第二調節可能アイスプライスループとの間に延びるとともに、前記調節可能ループ構造の、前記組織アンカーとは反対側の端部に配置された、サドル部分と、
前記第一調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能な第一リムと、
前記第二調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能な第二リムと、を含む調節可能ループ構造と、を含む、調節可能な組織修復システム。
【請求項22】
前記第一アイスプライスループおよび前記第二アイスプライスループのそれぞれは、ロック通路を含み、各ロック通路は、内部を通して前記可撓性ストランドの二つの長さ部分を含む、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項23】
前記サドル部分は、前記可撓性ストランドの、前記サドル部分に沿って延びた三つの長さ部分を規定している、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項24】
前記可撓性ストランドの、前記三つの長さ部分の、一つの長さ部分は、前記調節可能な組織修復システムを調節している際には、静止しており、これにより、前記調節可能ループ構造の固定長さ部分を規定している、請求項23に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項25】
前記固定長さ部分は、0.10インチ~0.5インチ(2.54mm~12.7mm)である、請求項24に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項26】
糸通し部材と可撓性ループとを含む通過構造をさらに含み、前記可撓性ループは、前記サドル部分に対して結合されている、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項27】
前記サドル部分は、前記可撓性ストランドの三つの長さ部分を含み、前記可撓性ループは、複合ループとして前記三つの長さ部分どうしの間に挿通されており、これにより、前記調節可能ループ構造に沿って前記可撓性ループがスライドすることを制限するように構成されている、請求項26に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項28】
前記複合ループは、移植片を通しての、前記三つの長さ部分の少なくとも一つの長さ部分の挿入を、前記三つの長さ部分の別の長さ部分に対して、オフセットするように構成されている、請求項27に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項29】
前記複合ループは、八の字ループである、請求項27に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項30】
前記八の字ループは、前記可撓性ストランドの前記三つの長さ部分における静的な長さ部分の周囲をループした第一ループと、前記可撓性ストランドの前記三つの長さ部分における二つの動的な長さ部分の周囲をループした第二ループと、を規定している、請求項29に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項31】
前記複数の開口は、自身を通して前記第二調節可能アイスプライスループを選択的に受領するように構成された一対の側方スロット付き開口を含む、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項32】
前記サドル部分は、組織に対して結合するように構成されている、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項33】
前記第一アイスプライスループと前記第一リムとの両方は、前記調節可能ループ構造の第一ロック通路の第一端部から延びており、前記第二アイスプライスループと前記第二リムとの両方は、前記調節可能ループ構造の第二ロック通路の第一端部から延びている、請求項21に記載の調節可能な組織修復構造。
【請求項34】
調節可能な組織修復システムであって、
自身を貫通する複数の開口を有した組織アンカーと、
可撓性ストランドから形成されているとともに、前記複数の開口を介して前記組織アンカーに対して結合された、調節可能ループ構造であるとともに、
第一ロック通路から延びるとともに、前記複数の開口の、第一対の開口を通して延びた、第一調節可能アイスプライスループと、
第二ロック通路から延びるとともに、前記複数の開口の、第二対の開口を介して前記組織アンカーに対して結合するように構成された、第二調節可能アイスプライスループと、
前記第一調節可能アイスプライスループと前記第二調節可能アイスプライスループとの間に延びるとともに、前記調節可能ループ構造の、前記組織アンカーとは反対側の端部に配置された、サドル部分と、
前記第一調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能な第一リムと、
前記第二調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能な第二リムと、を含む調節可能ループ構造と、
可撓性ループに対して結合された糸通し部材を含む通過構造と、を含み、前記可撓性ループは、前記サドル部分に対して結合されている、調節可能な組織修復システム。
【請求項35】
前記サドル部分は、可撓性ストランドの三つの長さ部分を含む、請求項34に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項36】
前記可撓性ストランドにおける前記三つの長さ部分の、一つの長さ部分は、前記第一ロック通路および前記第二ロック通路から直接的に延びておりかつ前記第一ロック通路および前記第二ロック通路に対して連続した、静的な長さ部分である、請求項35に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項37】
前記静的な長さ部分は、0.25インチ(6.35mm)である、請求項36に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項38】
前記可撓性ループは、移植片を通しての、前記三つの長さ部分の挿入をずらすために、前記サドル部分の前記可撓性ストランドにおける前記三つの長さ部分どうしの間に挿通されている、請求項35に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項39】
前記可撓性ループは、前記サドル部分に対して結合されているとともに、前記可撓性ストランドにおける前記三つの長さ部分の周囲に八の字ループを形成している、請求項35に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項40】
前記八の字ループは、前記可撓性ストランドの前記三つの長さ部分における静的な長さ部分の周囲をループした第一ループと、前記可撓性ストランドの前記三つの長さ部分における二つの動的な長さ部分の周囲をループした第二ループと、を規定している、請求項35に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項41】
前記第一アイスプライスループと前記第一リムとの両方は、前記第一ロック通路の第一端部から延びており、前記第二アイスプライスループと前記第二リムとの両方は、前記第二ロック通路の第一端部から延びている、請求項34に記載の調節可能な組織修復システム。
【請求項42】
調節可能な組織修復構造を移植片に対して結合するための方法であって、
前記方法は、調節可能な組織修復構造を用意することを含み、前記調節可能な組織修復構造は、
自身を貫通する複数の開口を有したボタンと、
可撓性ストランドを有して形成された調節可能ループ構造であり、前記調節可能ループ構造の第一端部のところで前記複数の開口を介して前記ボタンに対して結合された、調節可能ループ構造と、
可撓性ループとニードルとを含む通過構造であり、前記可撓性ループは、前記調節可能ループ構造とは別個に形成されているとともに、前記調節可能ループ構造の、前記調節可能ループ構造の前記第一端部とは反対側に位置した端部をなす第二端部に対して、結合されている、通過構造と、を含み、
前記方法は、前記移植片内にステッチ領域を形成することを、さらに含み、この形成に際しては、
前記調節可能ループ構造を前記移植片に対して取り付けるために、前記通過構造を、前記移植片のクランプされた端部に向けた第一の向きに、前記移植片を通して通過させることと、
前記可撓性ストランドのループを前記移植片に対して取り付けるために、前記通過構造を、前記移植片の自由端に向けた、前記第一の向きとは逆向きをなす第二の向きに、前記移植片を通して通過させることと、を行う、方法。
【請求項43】
前記通過構造を前記第一の向きに通過させることは、前記通過構造を、一回目に前記移植片を通して通過させることをさらに含み、これにより、前記調節可能ループ構造を、前記クランプされた端部と前記自由端との両方から離間して配置された位置のところで、前記移植片を通してかつ前記移植片の周囲へと、引っ張るようにする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記通過構造を前記第一の向きに通過させることは、前記移植片を通してかつ前記移植片の周囲へと引っ張られた前記調節可能ループ構造に隣接した位置で、前記通過構造を、二回目に前記移植片を通して通過させることをさらに含み、これにより、前記調節可能ループ構造を、前記移植片に沿った所定位置にロックする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記通過構造を前記第二の向きに通過させることは、前記移植片の周囲に前記可撓性ループを巻回することと、前記移植片を通してかつ前記移植片の周囲へと引っ張られた前記調節可能ループ構造の上へとおよびそのような前記調節可能ループ構造の周囲へと、前記可撓性ループを巻回することと、である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記通過構造を前記第二の向きに通過させることをさらに含み、これにより、前記移植片に沿ってかつ前記移植片を通して少なくとも二つのウィップステッチを形成する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記移植片の前記自由端のエッジまで前記通過構造を前記第二の向きに漸次的に前進させながら、前記通過構造を、前記移植片を通して通過させることと、
前記自由端の前記エッジのところで、前記可撓性ループに結び目を形成することと、
前記可撓性ループから前記ニードルを取り外すことで、前記可撓性ストランドの前記ループに残部長さ部分を残すことと、
前記移植片の前記自由端を、前記残部長さ部分を介して、準備された骨トンネルを通してかつ前記骨トンネルに沿って、引っ張ることと、をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記可撓性ループは、八の字ループを形成し、前記八の字ループの第一ループは、前記第二端部のところで、前記調節可能ループ構造の複数の長さ部分における第一長さ部分の周囲をループしており、前記八の字ループの第二ループは、前記調節可能ループ構造の前記複数の長さ部分における第二長さ部分の周囲をループしており、前記通過構造を前記第一の向きに通過させることは、最初に、前記第二ループを、したがって前記第二長さ部分を、前記移植片を通して通過させ、その後、前記第一ループを、したがって前記第二長さ部分を、前記移植片を通して通過させる、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記通過構造を前記第二の向きに通過させることは、前記八の字ループの前記第一ループを、前記移植片の第一サイドに残すとともに、前記八の字ループの前記第二ループを、前記移植片を通して通過させる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
移植片に対して懸架固定構造を結合するための方法であって、前記懸架固定構造は、調節可能ループ構造と、前記調節可能ループ構造に対して連結された通過構造と、を含み、前記方法は、
前記通過構造を、前記移植片を通して挿入することにより、さらに、前記通過構造を、前記移植片のクランプされた端部に向けた第一の向きに前進させることにより、前記調節可能ループ構造を、前記移植片を通してかつ前記移植片に沿ってステッチすることで、前記移植片に沿って第一ステッチ領域を形成することと、
前記通過構造を、前記移植片を通して挿入することにより、さらに、前記通過構造を、前記移植片の自由端に向けた第二の向きに前進させることにより、前記通過構造の可撓性ループを、前記移植片を通してかつ前記移植片に沿ってステッチすることで、前記第一ステッチ領域に対してオーバーラップした第二ステッチ領域を形成することと、を含む、方法。
【請求項51】
前記通過構造を前記第一の向きに前進させることは、前記移植片の、前記自由端から離間して配置された長さ部分に沿って開始される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第一ステッチ領域を形成することは、前記移植片の、前記自由端から約2cmの位置から開始される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記通過構造を、前記移植片を通して挿入するとともに、前記通過構造を前記第一の向きに前進させることは、前記通過構造を、一回目に挿入することで、前記調節可能ループ構造を、前記移植片を通してステッチすることと、次いで、前記通過構造を、二回目に前記移植片を通して挿入することで、前記調節可能ループ構造を、前記移植片に沿った所定位置にロックすることと、を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記通過構造を前記第二の向きに前進させることは、軸線方向に離間した位置で、前記通過構造を、前記移植片を通して三回目および四回目に挿入することで、前記可撓性ループによって、前記移植片を通した複数のステッチを形成することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記通過構造を、前記移植片を通して、一回目、二回目、三回目、および4回目に挿入することは、一回目、二回目、三回目、および4回目に、前記ニードルを、前記移植片の頂部外面から前記移植片の底部外面までにわたって、通過させることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第一ステッチ領域および前記第二ステッチ領域を形成した後に、前記可撓性ループに張力を印加することで、前記移植片の前記自由端を、テーパー形状の円筒形状へと形成することを、さらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
最初に、前記可撓性ループを、準備された骨トンネルを通して引っ張ることにより、次に、前記移植片の前記自由端を引っ張ることにより、前記自由端を、前記準備された骨トンネル内へと引っ張ることを、さらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記可撓性ループは、複合ループを形成し、前記複合ループの第一ループは、前記可撓性ストランドの複数の長さ部分における第一長さ部分の周囲にループされ、前記複合ループの第二ループは、前記複数の長さ部分における第二長さ部分の周囲にループされ、前記第一ステッチ領域を形成するに際しては、最初に、前記第二ループを、前記移植片を通して挿入し、次いで、前記第一ループを挿入し、これにより、前記複数の長さ部分の挿入をずらすことで、前記第一ステッチ領域を形成するのに必要な力を減少させる、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記第二ステッチ領域を形成することにより、前記複合ループの前記第一ループを、前記移植片の頂面上に残すとともに、前記複合ループの前記第二ループを、前記移植片を通して通過させる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記可撓性ループは、第一ループと第二ループとを含む複合ループを含み、両方のループは、前記調節可能ループ構造の長さ部分の周囲をループし、前記通過構造を前記第二の向きに前進させることにより、前記第二ループだけを前進させる、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
調節可能ループ構造を、糸通し構造と、前記糸通し構造に対して取り付けられたボタンと、によって管理するための短縮バーであって、前記短縮バーは、複数のチャネルと、スロットと、スプールと、を含み、
前記短縮バーは、前記複数のチャネルと前記スロットと前記スプールとの内部に、前記糸通し構造と前記調節可能ループ構造と前記ボタンとを、第一構成で収容するように構成されており、前記複数のチャネルと前記スロットと前記スプールとは、前記調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合した状態で、前記短縮バーから、前記糸通し構造を、次いで前記調節可能ループ構造を、さらには前記ボタンを、段階的に取り外すように構成されており、
前記短縮バーは、前記第一構成とは異なる第二構成で、前記調節可能ループ構造に対して組み付けられるように構成されており、前記第二構成では、前記短縮バーを介して前記調節可能ループに対して印加した張力は、前記調節可能ループ構造のループを短縮するように構成されているとともに、前記組織、前記移植片、または前記組織アンカーを、前記ボタンに向けて引っ張るように構成されている、短縮バー。
【請求項62】
前記複数のチャネルと、前記スロットと、前記スプールとは、前記短縮バーの長手方向軸線に沿って延びるスロットを含み、前記スロットは、凹所に対して連続しており、前記スロットは、前記糸通し構造の糸通し部材を保持するように構成されており、前記凹所は、前記糸通し部材を前記短縮バーから取り外すために、前記糸通し部材の端部に対するアクセスを可能とするように構成されている、請求項61に記載の短縮バー。
【請求項63】
前記第二構成では、前記調節可能ループ構造の第一ループ状リムは、前記複数のチャネルと前記スロットと前記スプールとの第一スプールのセグメントを包囲しており、前記セグメントは、前記第一スプールを貫通した切欠によって規定されている、請求項61に記載の短縮バー。
【請求項64】
前記セグメントは、最初に、前記短縮バーを、前記短縮バーの長手方向軸線まわりに回転駆動することにより、前記セグメントの周囲を包囲している前記第一ループ状リムに沿って、折り目を形成することで、前記第一スプールの周囲における前記第一ループ状リムのスリップを制限するように、構成されている、請求項63に記載の短縮バー。
【請求項65】
前記短縮バーは、前記ボタンの二つのスロット付き開口を露出するようにして、前記ボタンを収容している、請求項61に記載の短縮バー。
【請求項66】
前記短縮バーは、前記複数のスプールにおける第一スプールの周囲に前記調節可能ループ構造の第一部分を収容しているとともに、前記複数のスプールにおける第二スプールの周囲に前記調節可能ループ構造の第二部分を収容している、請求項61に記載の短縮バー。
【請求項67】
調節可能ループ構造を収容して管理するための短縮ハンドルであって、前記調節可能ループ構造は、皮質ボタンに対して組み付けられた第一端部と、糸通し部材に対して結合された第二端部と、を有しているとともに、前記第二端部を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合するためのものであり、前記短縮ハンドルは、長手方向軸線と、反対側に位置した側方端部と、を規定しており、前記短縮ハンドルは、さらに、
前記側方端部の一方のところに、前記皮質ボタンのスロット付き開口を露出させながら前記皮質ボタンを保持するように構成されたスロットであり、前記スロット付き開口は、自身を通して前記調節可能ループの前記第二端部を受領するように構成されている、スロットと、
前記糸通し部材を収容するための手段と、前記糸通し部材を前記短縮ハンドルから取り外すために、前記糸通し部材に対してアクセスするための、前記糸通し部材に対して直接的に隣接した手段と、
前記ハンドルの外面の周囲に延びた第一スプールおよび第二スプールと、前記第一スプールおよび前記第二スプールのそれぞれに沿って受領可能とされた、前記調節可能ループ構造の第一ループ状リムおよび第二ループ状リムと、を含む、短縮ハンドル。
【請求項68】
前記糸通し部材を収容するための前記手段は、前記ハンドルの外面上にチャネルを規定する複数の円周リブを含み、前記チャネルの端部のところにおける、前記ハンドル内の空洞は、前記糸通し部材に対してアクセスするための前記手段を規定する、請求項67に記載のハンドル。
【請求項69】
前記第一スプールおよび前記第二スプールのそれぞれは、第一経路を規定する最外チャネルを規定しており、各最外チャネルは、各スプールにおける前記第一経路のセグメントの周囲に第二経路を規定する対応した切欠と交差している、請求項67に記載のハンドル。
【請求項70】
前記調節可能ループ構造の前記第一ループ状リムは、前記第一スプールの前記切欠に沿って受領可能とされ、これにより、前記第一ループ状リムを、前記第一スプールの周囲における前記第二経路に沿って配置しており、前記調節可能ループ構造の前記第二ループ状リムは、前記第二スプールの前記切欠に沿って受領可能とされ、これにより、前記第二ループを、前記第二スプールの周囲における前記第二経路に沿って配置しており、前記第二経路は、前記ハンドルを前記ハンドルの長手方向軸線まわりに回転駆動する際には、各ループ状リムに折り目を形成して各ループ状リムの回転を制限するように構成されている、請求項69に記載のハンドル。
【請求項71】
調節可能ループ構造と皮質ボタンと糸通し部材とに対して事前に組み付けられた短縮バーを使用して、組織を修復するための方法であって、
前記調節可能ループ構造と前記糸通し部材とを、前記短縮バーから取り外すことと、
前記調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合することと、
前記調節可能ループ構造の第一ループ状端部および第二ループ状端部を、前記短縮バーに対して結合することと、
前記短縮バーを介して前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部に対して張力を印加することにより、前記調節可能ループ構造を短縮させるとともに、前記組織、前記移植片、または前記組織アンカーを、前記皮質ボタンに向けて引っ張ることと、を含む、方法。
【請求項72】
前記取り外すことは、前記糸通し部材を、前記短縮バーのチャネルから取り外すことと、その後に、前記調節可能ループ構造の第一部分を、前記短縮バーの第一スプールから巻き解くことと、を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記結合することは、前記糸通し部材を使用して、前記調節可能ループ構造の前記第一部分を、前記組織、前記移植片、または前記組織アンカーを通して、挿入することを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記調節可能ループ構造と前記糸通し部材とを前記短縮バーから取り外すことは、前記短縮ハンドルの内部に収容された前記ボタンを保持しながら実行される、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合した後に、前記調節可能ループ構造のフリーループ状端部を、前記皮質ボタンに対して結合することを、さらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記フリーループ状端部を結合することは、前記糸通し部材を、前記短縮ハンドルの外部の開口を使用して前記短縮バーの内部に収容された前記ボタンの前記開口を通して、挿入することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部を結合することは、前記第一ループ状端部を、前記短縮バーの第一切欠に沿って挿入することにより、前記第一ループ状端部を、前記短縮バー上における第一スプールのセグメントの周囲に配置することと、前記第二ループ状端部を、前記短縮バーの第二切欠に沿って挿入することにより、前記第二ループ状端部を、前記短縮バーにおける第二スプールのセグメントの周囲に配置することと、を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記短縮バーを長手方向軸線まわりに回転駆動することにより、前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部を、それぞれ対応した前記第一スプールおよび前記第二スプールの最外面の周囲に巻回し、これにより、前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部の長さを短縮させることを、さらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記短縮バーを回転駆動することと、前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部に対して張力を印加することとは、順次的に繰り返して実行される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記調節可能ループ構造を組織、移植片、または組織アンカーに対して結合した後に、かつ、前記第一ループ状端部および前記第二ループ状端部を前記短縮バーに対して結合する前に、前記ボタンを取り外すことを、さらに含む、請求項71に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、「DEVICES AND METHODS FOR TISSUE REPAIR」と題する2021年4月26日付けで出願された米国仮出願第63/179,654号明細書および「DEVICES AND METHODS FOR TISSUE REPAIR」と題する2021年11月12日付けで出願された米国仮出願第63/278,644号明細書の優先権を主張したPCT出願であり、それら文献は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、外科的修復における移植片固定を含めた関節修復のための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
損傷を受けた天然の軟組織(関節の靭帯および腱など)は、一般に、関節鏡下で置換または修復され得る。一部の関節修復では、調節可能ループ構造を有した組織固定システムを、移植片(および/または天然の軟組織)に対して結合して、骨トンネルに沿って挿入してもよい。その後、調節可能ループ構成を、調節または短縮することで、移植片を、骨トンネルに沿った標的位置に位置決めしてもよく、皮質ボタンなどの組織アンカーを使用して、所定位置に固定してもよい。皮質ボタンは、薄いボディを規定してもよく、これにより、調節可能構造上における固定負荷を支持しつつ、骨外面上に平坦に配置されることで触知可能性を制限してもよい。関連技術における皮質ボタンでは、この固定負荷の下で曲がってしまう可能性がある。関連技術における調節可能ループ構造では、このような負荷がかかると、ループスリップまたはクリープによって緩んでしまう可能性がある。関連技術における調節可能ループ構造では、調節可能ループ構造を短縮させて移植片を位置決めするに際し、非常に大きな力を必要とする場合がある。関連技術における固定システムでは、手順における各ステップを進めるに際し、複雑な組付および管理を必要とする場合がある。関連技術における固定システムでは、移植片をシステムに対して結合する際に大きな力を必要とする場合があり、このため、組織および/または移植片を、あるいは調節可能ループ構造を、損傷してしまう可能性がある。したがって、関連技術における欠点に対処する関連方法を備えた改良された固定システムが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明するものは、調節可能であり得るとともに可撓性ストランドから形成され得るループ構造を使用した組織固定のための方法およびデバイスにおける、様々な改良である。可撓性ストランドは、縫合糸、縫合テープ、ケーブル、ワイヤ、またはリボン、を含んでもよい。縫合糸は、中空編組縫合糸を含んでもよい。そのような改良は、調節可能ループ構造を使用して部分的に組み付けられた組織アンカーの例を含んでもよく、また、調節可能ループ構造が組織、移植片、または第二の組織アンカーに対して結合された後にさらに組み付けられる組織アンカーの例を含んでもよい。組織アンカーは、好ましくは、組織固定負荷に耐えるのに充分な剛性を保持するように構成されている。そのような改良は、調節可能ループ構成を含んでもよく、調節可能ループ構造は、利アクセスしやすい手の張力を使用してループの短縮を可能とするものであり、また、生理学的な周期的負荷に耐える結び目のないロック構成を提供するものでもある。そのような改良は、組織アンカーと内部に収容された調節可能ループ構造とを有した短縮ハンドルを含むアセンブリを含んでもよく、このアセンブリは、調節可能ループを、組織、移植片、または第二の組織アンカーに対して結合するために、調節可能ループ構造とアンカーとを、短縮ハンドルから取り外すためのステップを管理するような態様で構成されている。ハンドルは、また、調節可能ループを短縮して、組織、移植片、または第二の組織アンカーを位置決めするために、調節可能ループ構造に対して再び組み付けられるように構成されてもよい。そのような改良は、調節可能ループストランドを組織または移植片を通して挿通させるのに必要な通過力を減少させる構成で、調節可能構造に対して動作可能に結合された通過構造を含んでもよい。そのような改良は、軟組織または移植片を調節可能ループ構造に対して取り付けるための方法を含んでもよく、この方法は、軟組織または移植片の嵩低い端部を形成するとともに、同時に、確実な取付を提供する。
【0005】
例えば、本明細書には、幅よりも大きな長さを有した長円形ボディをなす皮質ボタンが、開示されている。長円形ボディは、第一端部から第二端部までにわたって延びているとともに、長手方向軸線を規定している。幅は、第一側壁から第二側壁までにわたって延びており、第一側壁および第二側壁は、第一端部と第二端部との間にわたって、長手方向軸線に沿って、かつ、長手方向軸線の両側に、延びている。ボディは、また、骨外面に対して係合するように構成された底面を含む。ボディは、ボディの厚さ全体を通して延びた一対のスロット付き開口であるとともに、自身を通して可撓性ストランドからなるループを受領するための一対のスロット付き開口を、さらに含む。ボタンは、ボディの底面から延びたリブであるとともに、一対のスロット付き開口の間に配置されており、さらに、一対のスロット付き開口に対して、長手方向軸線に沿って同軸的とされたリブを、含む。皮質ボタンは、長尺配向で骨トンネルを通過するように構成されている。
【0006】
いくつかの例示的なボタンの実施形態は、また、一対のスロット付き開口に隣接した一対の包囲された開口を含んでもよい。リブは、また、一対の包囲された開口の間に配置されてもよく、一対の包囲された開口に対して、長手方向軸線に沿って同軸的とされてもよい。皮質ボタンは、また、一対のスロット付き開口と第一端部との間に配置された第一端部開口と、一対の包囲された開口と第二端部との間に配置された第二端部開口と、を含んでもよい。第一端部開口および第二端部開口は、リブから軸線方向に離間してもよい。リブは、長円形の中実ボディであってもよく、また、皮質ボタンの長手方向軸線と一致したかつ長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有してもよい。一対のスロット付き開口のそれぞれは、皮質ボタンの厚さを通して延びているとともにリブの側面に対して連続した内側面を規定してもよい。一対のスロット付き開口のそれぞれは、第一側壁または第二側壁の一方を貫通した側方開口を規定してもよく、リブは、皮質ボタンの構造的完全性の低下を補償するように構成されており、構造的完全性の低下は、側方開口の結果である。リブは、皮質ボタンの長円形ボディから2mm未満の分だけ、底面から垂直に延びてもよい。リブは、底面から延びてもよく、ボディの厚さよりも小さなティブ厚さを規定してもよい。
【0007】
別の例示的な皮質ボタンが開示されており、この皮質ボタンは、幅よりも大きな長さを有した長円形ボディであり、長さは、第一端部から第二端部までにわたって延びており、長手方向軸線が、第一端部と第二端部との間にわたって延びている。幅は、第一側壁から第二側壁までにわたって延びており、第一側壁および第二側壁は、第一端部と第二端部との間にわたって、長手方向軸線に沿って、かつ、長手方向軸線の両側に、延びている。ボディは、また、骨外面に対して係合するように構成された底面を含む。ボディは、また、ボディの厚さ全体を通して延びた一対のスロット付き開口であるとともに、自身を通して可撓性ストランドからなるループを受領するための一対のスロット付き開口を含む。ボタンのアンカーは、底面から延びたリブであるとともに、一対のスロット付き開口の間に配置されており、さらに、一対のスロット付き開口に対して、長手方向軸線に沿って同軸的とされたリブを、含む。ボディの幅は、皮質ボタンを通過させ得る骨トンネルの最小直径を規定するものとされ、リブは、最小直径を保存しつつ皮質ボタンの構造的完全性を増大させるように構成されている。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、一対のスロット付き開口のそれぞれは、第一側壁または第二側壁の一方を貫通した側方開口を規定しており、リブは、構造的完全性を増大させるように構成されているとともに、側方開口に起因した構造的完全性の低下を補償するように構成されている。ボディは、また、一対のスロット付き開口に隣接した一対の包囲された開口を含んでもよく、リブは、一対の包囲された開口の間に配置されているとともに、一対の包囲された開口に対して、長手方向軸線に沿って同軸的とされている。一対のスロット付き開口のそれぞれは、第一側壁または第二側壁の一方を貫通する側方開口を規定してもよく、リブは、側方開口に対して長手方向軸線に沿って同軸的である。ボタンのボディは、また、リブから軸線方向に離間した第一端部開口および第二端部開口を含んでもよい。リブは、長円形の中実ボディであってもよい。リブは、皮質ボタンの長手方向軸線と一致したかつ長手方向軸線に対して平行な長手方向軸線を有した長円形ボディであってもよい。一対のスロット付き開口のそれぞれは、皮質ボタンの厚さを通して延びているとともにリブの側面に対して連続した内側面を規定してもよい。リブは、皮質ボタンのボディから2mm未満の分だけ、底面から垂直に延びてもよい。リブは、ボディの厚さよりも小さな距離の分だけ、底面から延びてもよい。
【0009】
調節可能な組織修復システムも、また、開示されており、この調節可能な組織修復システムは、自身を貫通する複数の開口を有した組織アンカーを含む。このシステムは、また、可撓性ストランドから形成されているとともに、複数の開口を介して組織アンカーに対して結合された、調節可能ループ構造を含む。調節可能ループ構造は、複数の開口の、第一対の開口を通して延びた、第一調節可能アイスプライスループを含む。調節可能ループ構造は、また、複数の開口の、第二対の開口に対して結合するように構成された、第二調節可能アイスプライスループを含む。調節可能ループ構造は、また、第一調節可能アイスプライスループと第二調節可能アイスプライスループとの間に延びるとともに、調節可能ループ構造の、組織アンカーとは反対側の端部に配置された、サドル部分を含む。調節可能ループ構造は、また、第一リムと第二リムとを含み、第一リムは、第一調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能なものであり、第二リムは、第二調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能なものである。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、第一アイスプライスループおよび第二アイスプライスループのそれぞれは、ロック通路を含み、各ロック通路は、内部を通して可撓性ストランドの二つの長さ部分を含む。サドル部分は、ロック通路どうしの間において、可撓性ストランドの、サドル部分に沿って延びた三つの長さ部分を規定してもよい。可撓性ストランドの、三つの長さ部分の、一つの長さ部分は、静的なストランドであってもよく、これにより、調節可能ループ構造を調節する際には、静的なストランドは、スライドしない。静的なストランドは、調節可能ループ構造の固定長さ部分または非調節可能長さ部分を規定する。固定長さ部分は、0.10インチ~0.5インチ(2.54mm~12.7mm)であってもよい。ACL修復時の固定長さ部分は、約0.25インチ(6.35mm)であってもよい。組織修復システムは、また、糸通し部材と可撓性ループとを含む通過構造をさらに含んでもよく、可撓性ループは、調節可能ループ構造のサドル部分に対して結合されている。サドル部分は、可撓性ストランドの三つの長さ部分を含んでもよく、可撓性ループは、複合ループとして三つの長さ部分どうしの間に挿通されてもよく、これにより、調節可能ループ構造に沿って可撓性ループがスライドすることを制限する。可撓性ループは、サドル部分の可撓性ストランドにおける三つの長さ部分の間に挿通されてもよく、これにより、移植片に沿った三つの長さ部分の挿入をずらす。可撓性ループは、サドル部分に対して結合され得るとともに、可撓性ストランドにおける三つの長さ部分の周囲に八の字ループを形成してもよい。八の字ループは、可撓性ストランドの三つの長さ部分における静的な長さ部分の周囲をループした第一ループと、可撓性ストランドの三つの長さ部分における二つの動的な長さ部分の周囲をループした第二ループと、を含んでもよい。組織アンカーを貫通した複数の開口は、自身を通して第二調節可能アイスプライスループを選択的に受領するように構成された一対の側方スロット付き開口を含んでもよい。サドル部分は、移植片または組織に対して直接的に結合してもよい。第一アイスプライスループおよび第二アイスプライスループのそれぞれは、それぞれ対応した第一ロック通路および第二ロック通路から延びてもよく、第一アイスプライスループと第一リムとの両方は、第一ロック通路の第一端部から延びており、第二アイスプライスループと第二リムとの両方は、第二ロック通路の第一端部から延びている。
【0011】
別の調節可能な組織修復システムの実施形態が、開示されており、この実施形態は、自身を貫通する複数の開口を有した組織アンカーと、可撓性ストランドから形成されているとともに、複数の開口を介して組織アンカーに対して結合された、調節可能ループ構造と、を含む。調節可能ループ構造は、第一ロック通路から延びた第一調節可能アイスプライスループを含んでもよく、第一調節可能アイスプライスループは、複数の開口の、第一対の開口を通して延びている。調節可能ループ構造は、第二ロック通路から延びた第二調節可能アイスプライスループを含んでもよく、第二調節可能アイスプライスループは、複数の開口の、第二対の開口に対して結合するように構成されている。調節可能ループ構造は、第一調節可能アイスプライスループと第二調節可能アイスプライスループとの間に延びるとともに、調節可能ループ構造の、組織アンカーとは反対側の端部に配置された、サドル部分を含んでもよい。調節可能ループ構造は、第一リムと第二リムリムとを含んでもよく、第一リムは、第一調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能なものであり、第二リムは、第二調節可能アイスプライスループを短縮させるために張力印加可能なものである。システムは、可撓性ループに対して結合された糸通し部材を含む通過構造を含んでもよく、可撓性ループは、サドル部分に対して結合されている。
【0012】
いくつかの例示的な実施形態では、サドル部分は、可撓性ストランドの三つの長さ部分を含む。可撓性ストランドにおける三つの長さ部分の、一つの長さ部分は、第一ロック通路および第二ロック通路の間に延びておりかつ第一ロック通路および第二ロック通路に対して連続した、静的な長さ部分であってもよい。静的な長さ部分は、0.10インチ~0.5インチ(2.54mm~12.7mm)の長さであってもよい。通過構造の可撓性ループは、移植片を通しての、三つの長さ部分の挿入をずらすために、サドル部分の可撓性ストランドにおける三つの長さ部分どうしの間に挿通されてもよい。可撓性ループは、サドル部分に対して結合され得るとともに、三つの長さ部分の周囲に八の字ループを形成してもよい。八の字ループは、可撓性ストランドの三つの長さ部分における静的な長さ部分の周囲をループした第一ループと、可撓性ストランドの三つの長さ部分における二つの動的な長さ部分の周囲をループした第二ループと、を規定してもよい。第一アイスプライスループと第一リムとの両方は、第一ロック通路の第一端部から延びてもよく、第二アイスプライスループと第二リムとの両方は、第二ロック通路の第一端部から延びてもよい。
【0013】
調節可能な組織修復構造を、移植片に対して結合するための例示的な方法も、また、開示されており、この方法は、ボタンと調節可能ループ構造と通過構造とを含む調節可能な組織修復構造を用意することを含む。ボタンは、自身を貫通する複数の開口を含む。調節可能ループ構造は、可撓性ストランドを有して形成されているとともに、調節可能ループ構造の第一端部のところで、複数の開口を介してボタンに対して結合されている。通過構造は、可撓性ストランドループと糸通し部材とを含み、可撓性ストランドループは、調節可能ループ構造とは別個に形成されているとともに、調節可能ループ構造の、第一端部とは反対側に位置した端部をなす第二端部に対して、結合されている。方法は、移植片内にステッチ領域を形成することを含み、この形成に際しては、調節可能ループ構造を移植片に対して取り付けるために、通過構造を、移植片のクランプされた端部に向けた第一の向きに、移植片を通して通過させることと、可撓性ストランドループを移植片に対して取り付けるために、通過構造を、移植片の自由端に向けた、第一の向きとは逆向きをなす第二の向きに、移植片を通して通過させることと、を行う。
【0014】
いくつかの例示的な方法では、通過構造を第一の向きに通過させることは、調節可能ループ構造を、クランプされた端部と自由端との両方から離間して配置された位置のところで、移植片を通してかつ移植片の周囲へと、引っ張ることを、さらに含む。方法は、移植片の周囲へと挿通された調節可能ループ構造に隣接した位置で、通過構造を、移植片を通して通過させることを含んでもよく、これにより、調節可能ループ構造を、移植片に沿った所定位置にロックする。通過構造を逆向きに通過させることにより、移植片の周囲に可撓性ストランドループが巻回されてもよく、また、調節可能ループ構造の上へとおよび調節可能ループ構造の周囲へと、可撓性ストランドループが巻回されてもよい。通過構造を逆向きに通過させることにより、移植片に沿ってかつ移植片を通して少なくとも二つのウィップステッチを形成してもよい。
【0015】
方法は、また、移植片の自由端のエッジまで通過構造を第二の向きに前進させることと、自由端のエッジのところで、可撓性ストランドループに結び目を形成することと、可撓性ストランドループから糸通し部材を取り外すことで、可撓性ストランドループに残部長さ部分を残すことと、移植片の自由端を、残部長さ部分を介して、準備された骨トンネルを通してかつ骨トンネルに沿って、引っ張ることと、を含んでもよい。
【0016】
可撓性ストランドループは、八の字ループを形成してもよく、八の字ループの第一ループは、第二端部のところで、調節可能ループ構造の複数のストランドにおける第一ストランドの周囲をループしており、八の字ループの第二ループは、複数のストランドにおける第二ストランドの周囲をループしており、通過構造を第一の向きに通過させることは、最初に、第二ループを、したがって第二ストランドを、移植片を通して通過させ、その後、第一ループを、したがって第一ストランドを、移植片を通して通過させる。通過構造を第二の向きに通過させることで、八の字ループの第一ループを、移植片の第一サイドに残してもよく、八の字ループの第二ループを、移植片を通して通過させてもよい。
【0017】
移植片に対して懸架固定システムを結合するための別の例示的な方法が開示されており、懸架固定システムは、調節可能ループ構造と、調節可能ループ構造に対して連結された通過構造と、を含む。方法は、通過構造を、移植片を通して挿入することにより、さらに、通過構造を、移植片のクランプされた端部に向けた第一の向きに前進させることにより、調節可能ループ構造を、移植片を通してかつ移植片に沿ってステッチすることで、移植片に沿って第一ステッチ領域を形成することを含む。方法は、また、通過構造を、移植片を通して挿入することにより、さらに、通過構造を、移植片の自由端に向けた第二の向きに前進させることにより、通過構造の可撓性ループを、移植片を通してかつ移植片に沿ってステッチすることで、第一ステッチ領域に対してオーバーラップした第二ステッチ領域を形成することを含む。
【0018】
これらの例示的な方法のいくつかでは、通過構造を第一の向きに前進させることは、移植片の、自由端から離間して配置された長さ部分に沿って開始される。第一ステッチ領域を形成することは、移植片の、自由端から約2cmの位置から開始されてもよい。通過構造を、移植片を通して挿入するとともに、通過構造を第一の向きに前進させることは、通過構造を、一回目に挿入することで、調節可能ループ構造を、移植片を通してステッチすることと、次いで、通過構造を、二回目に移植片を通して挿入することで、調節可能ループ構造を、移植片に沿った所定位置に固定することと、を含んでもよい。通過構造を第二の向きに前進させることは、軸線方向に離間した位置で、通過構造を、移植片を通して三回目および四回目に挿入することで、可撓性ループによって、移植片を通した複数のステッチを形成することを含んでもよい。通過構造を、三回目に通過させることは、可撓性ループを、請求項54の調節可能ループ構造上へと配置してもよく、通過構造を、移植片を通して、一回目、二回目、三回目、および四回目に挿入することは、一回目、二回目、三回目、および四回目に、ニードルを、移植片の頂部外面から移植片の底部外面までにわたって、通過させることを含む。第一ステッチ領域および第二ステッチ領域を形成した後に、方法は、可撓性ループに張力を印加することで、移植片の自由端を、テーパー形状の円筒形状へと形成することを、含んでもよい。方法は、また、最初に、可撓性ループを、準備された骨トンネルを通して引っ張ることにより、次に、移植片の自由端を引っ張ることにより、自由端を、準備された骨トンネル内へと引っ張ることを、含んでもよい。
【0019】
いくつかの例示的な方法では、可撓性ループは、複合ループを形成してもよく、複合ループの第一ループは、調節可能ループ構造の複数のストランドにおける第一ストランドの周囲にループされ、複合ループの第二ループは、複数のストランドにおける第二ストランドの周囲にループされ、第一ステッチ領域を形成するに際しては、最初に、第二ループを、移植片を通して挿入し、次いで、第一ループを挿入し、これにより、複数のストランドの挿入をずらすことで、第一ステッチ領域を形成するのに必要な力を減少させる。第二ステッチ領域を形成することにより、複合ループの第一ループを、移植片の頂面上に残し得るとともに、複合ループの第二ループを、移植片を通して通過させてもよい。可撓性ループは、第一ループと第二ループとを含む複合ループを含んでもよく、各ループは、調節可能ループ構造の異なるストランドの周囲をループし、通過構造を第二の向きに前進させることにより、第一ループまたは第二ループの一方だけを前進させてもよい。
【0020】
本明細書では、また、調節可能ループ構造を、通過構造と、通過構造に対して取り付けられたボタンと、によって管理するための短縮バーが開示され、短縮バーは、短縮バーを貫通する、複数のチャネルと、スプールと、凹所と、スロットと、を含む。短縮バーは、組み付けられた構成部材の取り外しを段階的に行う構成で、複数のチャネルとスロットとスプールとの内部に、通過構造と調節可能ループ構造とボタンとを、第一構成で収容している。調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合させるために、短縮バーから、通過構造が、最初に取り外されてもよく、次いで、調節可能ループ構造が取り外されてもよく、その後に、ボタンが取り外されてもよい。分解後には、短縮バーは、第一構成とは異なる第二構成で、調節可能ループ構造に対して、再度、組み付けられてもよい。この第二構成では、短縮バーを使用することで、調節可能ループ構造のループを短縮させてもよく、さらに、短縮バーを介して調節可能ループ構造に対して張力が印加された時には、組織、移植片、または組織アンカーを、ボタンに向けて引っ張ってもよい。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態では、短縮バーは、短縮バーの長手方向軸線に沿って延びるスロットを含み、スロットは、凹所に対して連続しており、スロットは、通過構造の糸通し部材を保持するように構成されており、凹所は、糸通し部材を短縮バーから取り外すために、糸通し部材の端部に対するアクセスを可能とするように構成されている。第二構成では、調節可能ループ構造の第一ループ状リムは、短縮バーの第一スプールのセグメントを包囲してもよく、セグメントは、第一スプールを貫通した切欠によって規定されている。第二構成では、短縮バーを、短縮バーの長手方向軸線まわりに回転駆動することにより、最初に、第一ループ状リムに沿って、折り目を形成することで、第一スプールの周囲における第一ループ状リムのスリップを制限してもよい。短縮バーは、ボタンの二つのスロット付き開口を露出するようにして、ボタンを収容してもよい。短縮バーは、複数のスプールにおける第一スプールの周囲に調節可能ループ構造の第一部分を収容し得るとともに、複数のスプールにおける第二スプールの周囲に調節可能ループ構造の第二部分を収容してもよい。
【0022】
調節可能ループ構造を収容して管理するための短縮ハンドルに関する別の例示的な実施形態が、開示されている。調節可能ループ構造は、皮質ボタンに対して組み付けられた第一端部と、糸通し部材に対して結合された第二端部と、を含むとともに、第二端部を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合するためのものである。短縮ハンドルは、長手方向軸線と、反対側に位置した側方端部と、を規定しているとともに、また、側方端部の一方のところに、皮質ボタンを保持するためのスロットを含む。スロットは、また、内部を通して調節可能ループの第二端部を選択的に受領するように、皮質ボタンのスロット付き開口を配向させてもよい。短縮ハンドルは、また、糸通し部材を収容するための手段と、糸通し部材に対してアクセスして糸通し部材を短縮ハンドルから選択的に取り外すために、糸通し部材に対して直接的に隣接した手段と、を含んでもよい。短縮ハンドルは、また、ハンドルの外面の周囲に延びた第一スプールおよび第二スプールを含んでもよく、調節可能ループ構造の第一ループおよび第二ループは、それぞれ対応した第一スプールおよび第二スプールに受領可能とされている。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態では、糸通し部材を収容するための手段は、短縮ハンドルの外面上にチャネルを規定する複数の円周リブを含み、チャネルの端部のところにおける、ハンドル内の空洞は、糸通し部材に対してアクセスして糸通し部材を選択的に取り外すための手段を規定する。第一スプールおよび第二スプールのそれぞれは、第一経路を規定する最外チャネルを規定してもよく、各最外チャネルは、各スプールにおける第一経路のセグメントの周囲に第二経路を規定する対応した切欠と交差している。調節可能ループ構造の第一ループは、第一スプールの周囲における第二経路に沿って第一ループを配置するために、第一スプールの切欠に沿って受領可能であってもよい。調節可能ループ構造の第二ループは、第二スプールの周囲における第二経路に沿って第一ループを配置するために、第二スプールの切欠に沿って受領可能であってもよい。各スプールの周囲における第二経路は、ハンドルをハンドルの長手方向軸線まわりに回転駆動する際には、第一ループおよび第二ループの各ループに折り目を形成して、第一ループおよび第二ループの回転を制限するように構成されてもよい。
【0024】
また、調節可能ループ構造と皮質ボタンと糸通し部材とに対して事前に組み付けられた短縮バーを使用して、組織を修復するための方法が、開示されている。方法は、調節可能ループ構造と糸通し部材とを、短縮バーから取り外すことと、調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合することと、を含んでもよい。方法は、調節可能ループ構造の第一ループ端部および第二ループ端部を、取り外された後の短縮バーに対して結合することを含んでもよい。その後、短縮バーを介して第一ループ端部および第二ループ端部に対して張力を印加することにより、調節可能ループ構造を短縮させ得るとともに、組織、移植片、または組織アンカーを、皮質ボタンに向けて引っ張ってもよい。
【0025】
いくつかの例示的な方法では、調節可能ループ構造および糸通し部材を取り外すことは、糸通し部材を、短縮バーのチャネルから取り外すことと、その後に、調節可能ループ構造の第一部分を、短縮バーの第一スプールから巻き解くことと、を含んでもよい。調節可能ループ構造を結合することは、糸通し部材を使用して、調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーを通して、挿入することを含んでもよい。調節可能ループ構造と糸通し部材とを短縮バーから取り外すことは、短縮ハンドルの内部に収容されたボタンを保持しながら実行されてもよい。結合することは、また、調節可能ループ構造を、組織、移植片、または組織アンカーに対して結合した後に、調節可能ループ構造のフリーループ状端部を、皮質ボタンに対して結合することを、含んでもよい。フリーループ状端部を結合することは、糸通し部材を、短縮ハンドルの外部の開口を使用して短縮バーの内部に収容されたボタンの開口を通して、挿入することを含んでもよい。
【0026】
第一ループ状端部および第二ループ状端部を結合することは、第一ループ状端部を、短縮バーの第一切欠に沿って挿入することにより、第一ループ状端部を、短縮バー上における第一スプールのセグメントの周囲に配置することと、第二ループ状端部を、短縮バーの第二切欠に沿って挿入することにより、第二ループ状端部を、短縮バーにおける第二スプールのセグメントの周囲に配置することと、を含んでもよい。方法は、また、短縮バーを長手方向軸線まわりに回転駆動することにより、第一ループ状端部および第二ループ状端部を、それぞれ対応した第一スプールおよび第二スプールの最外面の周囲に巻回し、これにより、第一ループ状端部および第二ループ状端部の長さを短縮させることを、含んでもよい。短縮バーを回転駆動することと、第一ループ状端部および第二ループ状端部に対して張力を印加することとは、順次的に繰り返して実行されてもよい。方法は、調節可能ループ構造を組織、移植片、または組織アンカーに対して結合した後に、かつ、第一ループ状端部および第二ループ状端部を短縮バーに対して結合する前に、ボタンを取り外すことを、含んでもよい。
【0027】
これらのおよび他の特徴ならびに利点は、以下の詳細な説明を読むことにより、また、関連図面を検討することにより、明らかとなるであろう。上記の一般的な説明と、以下の詳細な説明と、の両方が、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載された態様を限定するものではないことは、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示は、以下の図面と併せて詳細な説明を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【0029】
【
図1A】
図1Aは、本開示によるリブ付き皮質ボタンの斜視図を図示している。
【
図1B】
図1Bは、本開示によるリブ付き皮質ボタンの底面図を図示している。
【
図1C】
図1Cは、本開示によるリブ付き皮質ボタンの端面図を図示している。
【
図1D】
図1Dは、本開示によるリブ付き皮質ボタンの側面図を図示している。
【
図1E】
図1Eは、本開示による、B-B(
図1Bに示す)に沿った、リブ付き皮質ボタンの断面図を図示している。
【
図1F】
図1Fは、本開示による、A-A(
図1Bに示す)に沿った、リブ付き皮質ボタンの断面図を図示している。
【
図1G】
図1Gは、本開示による、C-C(
図1Bに示す)に沿った、リブ付き皮質ボタンの(長手方向軸線からの)オフセット断面図を図示している。
【
図2A】
図2Aは、本開示による別のリブ付き皮質ボタンの実施形態に関する斜視図を図示している。
【
図2B】
図2Bは、本開示によるリブ付き皮質ボタンの底面図を図示している。
【
図3A】
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、および
図3Fは、本開示による、移植片をリブ付き皮質ボタンに対して結合するための例示的な方法を図示している。
図3Gは、本開示による、調節可能ループ構造を使用して組み付けられ、さらに、骨トンネルを使用して組み付けられた、リブ付き皮質ボタンを図示している。
【
図4A】
図4Aは、本開示による薄型皮質ボタンの平面図を図示している。
【
図4B】
図4Bは、本開示による薄型皮質ボタンの斜視図を図示している。
【
図4C】
図4Cは、本開示による薄型皮質ボタンの底面図を図示している。
【
図4D】
図4Dは、本開示による薄型皮質ボタンの側面図を図示している。
【
図4E】
図4Eは、本開示による薄型皮質ボタンの断面図を図示している。
【
図5A】
図5Aは、本開示による薄型皮質ボタンの斜視図を図示している。
【
図5B】
図5Bは、本開示による薄型皮質ボタンの別の斜視図を図示している。
【
図5C】
図5Cは、本開示による薄型皮質ボタンの平面図を図示している。
【
図5D】
図5Dは、本開示による薄型皮質ボタンの底面図を図示している。
【
図5E】
図5Eは、本開示による薄型皮質ボタンの側面図を図示している。
【
図6A】
図6Aは、本開示による、薄型皮質ボタンに対して結合された調節可能ループ構造の図を図示している。
【
図6B】
図6Bは、本開示による、薄型皮質ボタンに対して結合された調節可能ループ構造の拡大図を図示している。
【
図7】
図7は、本開示による、二つのロック通路を有した調節可能ループ構造を図示している。
【
図9A】
図9Aは、本開示による、二つのロック通路を有した別の調節可能ループ構造を図示している。
【
図9B】
図9Bおよび
図9Cは、本開示による、二つのロック通路を有した調節可能ループ構造の形成を図示している。
【
図10】
図10は、本開示による、四つのロック通路を有した別の調節可能ループ構造を図示している。
【
図11C】
図11Cは、本開示による、ボタンが組み付けられた短縮バーに関する別の図を図示している。
【
図11D】
図11Dは、本開示による、ボタンのアンカーが組み付けられた短縮バーの底面図を図示している。
【
図11E】
図11Eは、本開示による、ボタンのアンカーが組み付けられた短縮バーの平面図を図示している。
【
図12A】
図12Aは、本開示による、懸架固定システムおよびその一部を図示している。
【
図12B】
図12Bおよび
図12Cは、本開示による、短縮バーに対して組み付けられた懸架固定システムの一部を図示している。
【
図13A】
図13Aは、本開示による、短縮構成で短縮バーに対して組み付けられた調節可能ループ構造を図示している。
【
図13B】
図13Bは、本開示による、調節可能ループ構造のリムがなすループに対して組み付けられた短縮バースプールの断面を図示している。
【
図13C】
図13Cは、本開示による、短縮バースプールの断面の周囲に対して巻回された調節可能ループ構造のリムに関するループ端部を図示している。
【
図13D】
図13Dは、本開示による、調節可能ループ構造のリムの長さを短縮させるための方法(ステップ1)と、調節可能ループ構造の周縁の長さを短縮させるための方法(ステップ2)と、を図示している。
【
図14】
図14は、本開示による、通過ループ構造が結合された調節可能ループ構造を図示している。
【
図15】
図15は、本開示による、通過ループ構造が八の字状で結合された調節可能ループ構造における、サドル部分を図示している。
【
図16A】
図16Aおよび
図16Bは、本開示による、通過構造が分割荷物タブ構成で結合された調節可能ループ構造における、サドル部分の図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、異なる例で示されているかどうかにかかわらず、同様の構成要素には、同じ参照符号が付されている。明瞭かつ簡潔な態様で例(単数または複数)を例示するために、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴は、いくらか模式的な形態で示されることがある。一つの例に関して説明および/または図示した特徴は、一つもしくは複数の他の例において同じ態様でまたは同様の態様で使用されてもよい、ならびに/あるいは、他の例の特徴と組み合わせてもしくは他の例の特徴に代えて、同じ態様でまたは同様の態様で使用されてもよい。
【0031】
明細書および特許請求の範囲において使用した際には、本発明を説明および定義する目的で、「約」および「実質的に」という用語は、あらゆる定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために使用される。「約」および「実質的に」という用語は、また、本明細書では、対象をなす主題の基本的機能に変化をもたらすことなく、指定された基準から定量的表現が変化し得る程度を表すために使用される。「含む(comprise)」、「含む(include)」、および/または、それぞれに関する複数形は、オープンエンドであり、列挙された部材を含むとともに、列挙されていない追加的な部材を含むこともできる。「および/または」は、オープンエンドであり、列挙された部材の一つまたは複数を含むとともに、列挙された部材どうしの組合せを含む。「上側」、「下側」、「上向き」、および同種の用語の使用は、本開示の明確な説明を補助することのみを意図したものであり、本開示の構造、位置決め、および/または動作を、いかなる態様によっても制限することを意図したものではない。
【0032】
本明細書で開示する構造のいくつかは、「ロック通路」を包含している。これらは、時に、当該技術分野では、スプライス、アイスプライス、クレードル、縫合糸ロック領域、シンチ、フィンガーシンチ、フィンガートラップ、長手方向通路、または拡張領域、と称され得る。これらは、内部を通して長尺ストランドを受領し得る中空コアを有した編組可撓性ストランドの長さ部分によって規定される。長尺ストランドは、可撓性ストランドの別の部分であってもよく、または他の別個の可撓性ストランドであってもよく、さらに、長尺ストランドは、編組可撓性ストランドの外側(および、ロック通路の外側)から延びその後に編組どうしの間を通して延びることで中空コア(内腔)内へと進入する経路であるとともに、編組可撓性ストランドに沿ってある距離だけ編組壁を通過して導出される経路に沿って、延びてもよい。可撓性ストランドの複数の長さ部分は、離間した位置で、中空コアに沿ってかつ中空コアを通して延びてもよく、これにより、複数のロック通路を規定してもよい。長尺ストランドの複数の長さ部分は、同じ位置で、中空コアに沿ってかつ中空コアを通して延びてもよい。編組可撓性ストランドは、最初に拡張することで、拡張された長さ部分または横方向に延びた長さ部分を形成してもよく、その後、長尺部材を内部に受領してもよい。ロック通路は、編組中空可撓性ストランド上の張力がその半径を収縮させるように、それにより、内部を通して延びる長尺ストランドの周囲をロックすることでまたは締め付けることで、長尺ストランドを所定位置にロックするように、構成されている。これにより、「ロック通路」が規定される。可撓性ストランドは、縫合糸、縫合テープ、リボン、または可撓性チューブ状ケーブル、であってもよい。
【0033】
皮質ボタンの実施形態
図1Aは、例示的な実施形態による皮質ボタン100(以下、「ボタン100」)の斜視図を図示している。ボタン100は、ボタン100を貫通した通路を形成している複数の開口を介して、可撓性ストランド30(
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、
図3F、
図3G、および
図3H、に示す)に対して動作可能に結合する。可撓性ストランド30は、縫合糸、テープ、ワイヤ、またはケーブル、であってもよく、以下でより詳細に開示するような調節可能ループ構造で形成されてもよい。ボタン100および可撓性ストランド30は、例えば患者の膝のACLを修復するために、移植片に対して結合され得るとともに、移植片を骨トンネルに沿って懸架してもよい。他の例示的な関節修復では、ボタン100および可撓性ストランド30は、第二のボタン、ソフトなアンカー、または当該技術分野で知られている他の組織アンカーなどの、別の組織アンカーに対して結合されてもよい。別の組織アンカーに対して結合される時には、ボタン100および可撓性ストランド30は、第一の骨を第二の骨に対して結合してもよく、あるいは、第一の骨セグメントを第二の骨セグメントに対して結合してもよく、その場合、両セグメントは、同じ骨の部分であってもよい。例えば、ボタン100は、AC関節のための、または足首靱帯結合修復のための、修復構造の一部を形成してもよい。
【0034】
ボタン100は、通過ボタンを規定してもよく、それは、一般に、長さよりも幅が小さい長円形ボディであるという点においてである。通過ボタンは、通過方向に配向することで、骨トンネルを通過してもよく、骨トンネルは、アンカー幅に近似しているため、骨トンネルを、最小限の開口サイズに維持することができる。骨トンネルを通過した後に、ボタン100を展開構成(
図3Gに示す)へと反転させることにより、ボタンの長さが骨トンネルの開口サイズよりも大きいため、ボタン100がトンネル内へと逆行的に移動することが防止される。展開構成では、ボタン100は、皮質骨の外面に対して係合する。ボタン100は、曲線的なエッジを有した平坦で長円形の単一ボディであってもよい。ボタン100は、好ましくは薄いものとされ、皮質骨の面上における触知可能性を制限する。
【0035】
ボタン100は、自身を貫通した複数の開口を含んでもよく、各開口は、自身を貫通して可撓性ストランド30を受領するとともに可撓性ストランド30をボタンに対して結合するサイズとされている。可撓性ストランド30は、少なくとも部分的に、調節可能ループ構造(
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、
図3F、
図3G、および
図3Hにおいてさらに説明する)の形態で、複数のループに形成されてもよく、複数の開口は、調節可能ループ構造をボタン100に対して結合してもよい。複数の開口は、可撓性ストランド30がスライドし得るサイズとされてもよい。
【0036】
より具体的には、ボタン100は、360度(°)包囲穴を規定し得る一対の開口110a、110bを含んでもよい。開口110a、110bは、ボタンの長手方向軸線L-Lに関して反対側に位置したサイド上において、互いに直接的に対向して配置されてもよい。開口110a、110bは、長手方向軸線L-Lに沿った長さが対応幅よりも大きな長円形または楕円形の開口を規定してもよい。開口110a、110bは、可撓性ストランド30から形成された調節可能ループ構造の第一ループをスライド可能に受領するようなサイズとされて互いに離間されてもよい。第一ループは、ボタン100に対して事前に組み付けられて準備されてもよく、したがって、組付済みループと称され得る。ボタン100は、また、それぞれが側方開口(121a、121b)を有した一対のスロット付き開口120a、120bを含んでもよく、側方開口121a、121bは、自身を貫通して調節可能ループ構造の第二ループを受領するためのものであって、手順時には、第二ループをボタン100に対して組み付けることができる。これらのスロット付き開口120a、120bは、第二ループから離間して設けられてもよく、第二ループは、外科手順時に側方開口121a、121bを介して導入されることで、ボタン100に対して組み付けられてもよい。したがって、第二ループは、フリーループと称され得る。スロット付き開口120a、120bは、長手方向軸線に沿った長さが幅よりも長いような、開口110a、110bと同様の、長円形または楕円形の開口を規定してもよい。スロット付き開口120a、120bは、ボタンの長手方向軸線L-Lに関して反対側に位置したサイド上において、互いに直接的に対向して配置されてもよい。スロット付き開口120a、120bおよび開口110a、110bは、スロット付き開口120a、120bが側方開口121a、121bを含む点を除いては、同じ開口サイズおよび同じ形状を有してもよい。
【0037】
ボタン100は、反対側に位置した曲線的な端部105a、105bと側方側面106a、106bとを有した長尺ボディを規定している。開口110a、110b、120a、120bは、両端部105a、105bから離間して、ボタン100の中央部分138に向けて配置されてもよい。ボタンは、また、別の対をなす開口135a、135bを含む。開口135aは、中央部分138と側方端部105aとの間に配置されている。開口135bは、中央部分138と側方端部105bとの間に配置されている。開口135a、135bは、開口110a、110b、120a、120bと比較して、開口サイズがより大きく、本明細書で定義されるように、長円形の開口を規定してもよい。
【0038】
ボタン100は、また、頂面108と底面107とを規定しており、これらは、両方とも、円滑な面であってもよい。頂面108と底面107とは、互いに平行な平面を規定してもよい。ボタンの底面107は、骨の外側部分に対して係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、ボタンの底面107は、標的骨表面がなす外面に対して一致するような輪郭を有してもよい。開口およびスロット付き開口を有したボタンは、ならびに、例示的な調節可能ループ構造は、「METHODS AND DEVICES FOR TISSUE GRAFT FIXATION」と題する2020年6月18日付けで出願された、本出願と同一出願人によるPCT特許出願第PCT/US20/038401号に開示されており、この文献は、本出願と同一出願人による所有であるとともに、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0039】
本明細書で説明するように、皮質ボタンを使用した外科用固定システムは、関節の骨トンネルの内部で骨トンネルに沿って、移植片に対して結合して移植片を懸架するように動作してもよく、したがって、使用時に負荷を受けてもよい。完全に事前組付された状態でボタンが準備されるのとは対照的に、手順時に調節可能ループ構造に対してボタンが組み付けられることは、固定システムを移植片に対して結合するための改良された方法を提供し得る。しかしながら、手順時に組付を行う側方開口121a、121bは、包囲された開口(360度にわたって包囲された穴)と比較して、ボタンの構造的完全性を低下させ得る。これは、ボタンボディの全体的厚さ(T)を増大させることによって補償し得るけれども、厚さを増大させると、触知性または局所的な組織刺激を増大させる可能性があるため、あまり好ましくない。したがって、ボタン100は、底面107から延びた長円形のリブ140を含み、このリブ140は、ボタンの剛性を増大させるように構成されているとともに、手順時に可撓性ストランド30のフリーループを受領するよう構成されたボタンを補償するように構成されている。リブ140は、骨トンネルを取り囲む骨の外側皮質面に対して面107を係合させた状態で、骨トンネルの内部に適合するようなかつ骨トンネルに沿って延びるようなサイズとされている。リブ140は、骨外面から突出するボタンの厚さ(T)を増大させることなく、機能的負荷の下でのボタンの構造的剛性を増大させるように構成されている。リブ140は、最小限の厚さTを維持しつつ、低下した構造的完全性を補償するように構成され得る。
【0040】
リブ140は、また、長尺ボタン100を中心合わせすることを補助してもよく、ボタンが骨トンネル軸線に対して移動することを妨げることを補助してもよい。したがって、リブ140は、骨トンネルの開口サイズ(直径)を実質的に横切って延びるとともに、制限された骨トンネルの直径に沿ってなおも適合しつつ、骨トンネルに沿って骨トンネル内へと実質的に軸線方向に延びた長さを有しており、ここで、制限された骨トンネルの直径は、
図1Cに示すように、ボタンボディの幅によって規定される。別の言い方をすれば、
図1Cを参照すると、ボタンボディとリブとを含むボタンの断面は、ボタンボディの幅によって規定される直径(φD)の内部に位置した外周境界を有している。例えば、トンネル開口の直径が4.5mmの場合、ボタンボディの幅は、4.2mmであり、リブの長さは、好ましくは4.0mm未満かつ2.0mm超である。より具体的には、この例では、リブの長さは、長さL
Rに関して3.5mmであってもよく、幅に関して約2mmであってもよい。リブ140は、ボタンボディの底面から、少なくとも1.5mm(T
R)にわたって延びてもよい。リブ140は、その目的が、構造的な剛性よりも、骨トンネルに対するボタンの位置を維持することであるため、断面が中実であっても中空であってもよい。よって、例示的なリブは、環状の長円形リングとすることができる、あるいは、標的骨トンネルの内部に横たわるように構成されていて、骨トンネル軸線に対するボタンの位置を維持するように構成された、離間して配置された複数の小さなポストとすることができる。
【0041】
おそらく
図1Bにおいて最も明瞭に見られるように、リブ140は、長手方向軸線L-Lに沿って、かつ、開口110a、110b、120a、120bの間に配置されている。リブ140は、また、ボタン100の中央部分138に沿って配置されている。リブ140は、端部105a、105bから等間隔に離間して配置されてもよい。リブ140は、長手方向軸線L-Lに沿って延びる長さL
Rを有しており、開口135a、135bは、リブ140の端部に隣接して配置されている。リブ140および開口135a、135bは、長手方向軸線L-Lに沿って位置してもよい。長手方向軸線は、リブ140および開口135a、135bを二つに分けてもよい。リブ140は、両方の開口135a、135bから軸線方向に離間して配置されている。リブ140は、開口135a、135bの対応した幅よりも狭い幅を有してもよい。リブの長さL
Rは、骨トンネルの直径に近似してもよく、これにより、骨トンネルの内部に適合するとともに、面107が骨外面に対して係合することを可能とする。リブの長さL
Rは、両方の開口110a、110b、および120a、120bの少なくとも一部に対して、軸線方向にオーバーラップしてもよい。リブ140は、好ましくは、側方開口121aおよび121bに対して軸線方向にオーバーラップしてもよい。リブ140は、側方開口121a、121bの全体に対して軸線方向オーバーラップしてもよい。別の言い方をすると、リブ140は、第一端部141aおよび第二端部141bを有した長尺ボディを規定しており、ここで、第二端部141bは、全体として側方開口121a、121bの両方と比較して、ボタンの端部105bに対して軸線方向においてより近接して配置されている。第二端部141bは、また、全体としてスロット付き開口120a、120bの両方と比較して、ボタンの端部105bに対して軸線方向においてより近接して配置されてもよい。リブ140は、ボタン100に構造的な補強を追加するように構成されているとともに、骨表面よりも突出する厚さTを、嵩低く維持することを可能とする。リブ140は、側方開口121a、121bに起因した構造的完全性の低下を補償してもよい。
【0042】
図1Aおよび
図1Gにおいて最も明瞭に見られるように、リブ140は、長手方向軸線L-Lに平行であり得るとともに互いに平行であり得る平面状の側面143a、143bを規定してもよい。平面143a、143bは、スロット付き開口120a、120bおよび開口110a、110bの、内側エッジ面111a、111b、122a、122bと一致してもよい。平面143a、143bのそれぞれは、開口110a、110bの内側エッジ面111a、111bに対して、およびスロット付き開口120a、120bの内側エッジ面122a、122bに対して、連続してもよい。内側エッジ面111a、122aおよび平面143aのすべては、単一の平面状垂直面上にあってもよい。内側エッジ面111b、122bおよび平面143bのすべては、単一の平面状垂直面上にあってもよい。
【0043】
図1Eおよび
図1Fに示すように、リブ140は、底面107から延びているとともに、空隙を有していない中実の断面を規定してもよい。リブ140は、ボタンの底面107から垂直に延びることで、リブ厚さT
Rを規定してもよい。ボタンの厚さ「T」とリブの厚さ「T
R」との合計は、骨トンネル(
図1C)に沿って適合するように、ボタン100の幅以下であってもよい。
図1Cは、長尺(通過)の向きとされたボタン100と対比して、直径「φD」を有した例示的な骨トンネルを図示している。リブ140は、底面107から1mm~3mm(T
R)にわたって延びてもよい。リブ140は、平面状とされた底面142を規定してもよく、底面142は、底面107に対して平行とされている。他の実施形態では、底面142は、湾曲してもよい。
【0044】
他の実施形態では、皮質ボタンは、開口110a、110、120a、120bと同様の位置に、360度のすべてにわたって包囲された穴を規定する四つの開口を含んでもよい。これらの例示的な皮質ボタンは、長円形であってもよく、本明細書で定義する通過ボタンであってもよく、また、リブ140と同様の長円形のリブを含んでもよい。この実施形態では、スロット121a、121bなどのスロットに関する補償は、不要ではあるけれども、本発明者らは、これらのボタンも、リブ140によって提供される中央合わせ面から利益が得られることを見出した。
【0045】
図2Aおよび
図2Bは、特記されている箇所を除いては実施形態100と同様であるような、別の例示的なリブ付きボタン200を図示している。この実施形態では、開口210a、210b、220a、220bは、円形形状の開口を規定してもよい。リブ240は、開口210a、210b、220a、220bの内側エッジ面211a、211b、222a、222bと一致した側面243a、243bを規定してもよい。側面243a、243bは、凹面であってもよい。側面243a、243bは、開口210a、210b、120a、220bの内側エッジ面211a、211b、222a、222bに対して連続してもよく、各開口210a、210b、120a、220bは、リブ240を含むボタン200の厚さにわたって、単一の湾曲した垂直面を規定してもよい。別の言い方をすれば、リブ240は、開口の内側面の形状に適合してもよい。リブ240は、好ましくは、少なくともスロット側方開口221a、221bに対して軸線方向にオーバーラップしている。リブ240は、開口210a、210b、220a、220bと比較して、ボタンの両端部205a、205bに向けて延びてもよい。
【0046】
ボタン100を使用した例示的な組織修復方法が、
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、
図3F、および
図3Gに図示されている。ボタン200が、代替的に使用されてもよい。組織修復の準備として、まず、関節の少なくとも一つの骨10を貫通したトンネル14(
図3G)が形成されてもよく、骨ブロック6を有した移植片5が用意されてもよい。骨ブロック6を貫通して、穴6aが穿孔されてもよい。可撓性ストランド30に対して部分的に組み付けられたボタン100を含む懸架固定システム280が用意されてもよく、可撓性ストランド30は、調節可能ループ構造32内に形成される。調節可能ループ構造32は、第一リムまたは第一ループ状端部33aと、第二リムまたは第二ループ状端部33bと、組み付けられた調節可能ループ35aと、フリー調節可能ループ35bと、を含んでもよい。組み付けられた調節可能ループ35aは、開口110a、110bと同様とされた二つの開口を介して、ボタン100に対して事前に組み付けられて、準備されてもよいまたは用意されてもよい。ボタン100は、リブ140(図を簡略化するために、
図3Aおよび
図3Bには示されていない)を含んでもよい。少なくとも一つのロック通路38(本明細書で定義される)は、可撓性ストランド30によって形成されてもよい。ボタン100は、組み付けられた調節可能ループ35aが事前に組み付けられた状態で、骨トンネル14を通して通過させてもよい。その後、ボタン100を反転させることで、骨10の外側皮質面に対して係合させてもよい(
図3G)。
【0047】
第二ループ状端部33bおよびフリー調節可能ループ35bは、組織移植片5に対して結合されてもよい。第二ループ状端部33bおよびフリー調節可能ループ35bは、通過構造300に対して結合した状態で用意されてもよいまたは準備されてもよい。通過構造300は、骨ブロック穴6aを通して通過させることで、骨ブロック6を通して、ループ状端部33bおよびフリー調節可能ループ35bを引っ張ってもよい。通過構造300は、骨ブロック穴6aを通して通過させることで、骨ブロック穴6aを通してロック通路38を引っ張り、ロック通路38を、骨ブロック穴6aの内部に配置してもよい。骨ブロック穴6aは、ロック通路38を受領するようなサイズであってもよく、ロック通路38は、可撓性ストランド30の少なくとも三つの長さ部分を含んでもよい。調節可能ループ構造32を移植片5に対して結合した後には、フリー調節可能ループ35bを、通過構造300から分離させてもよく(
図3B)、
図3Cおよび
図3Dに示すように、ボタン(ボタン100が図示されている)の頂面108の上方へと、さらに、スロット付き開口120a、120b内へと、ループさせてもよい。フリー調節可能ループ35bを、スロット付き開口120a、120b内へと挿入している際には、ループ状端部33bは、通過構造300に対して結合されたままであってもよい。その後、ループ状端部33bは、通過構造300を使用して開口135b(
図3Eおよび
図3F)を通して挿入されてもよく、その後、通過構造300は、ループ状端部33bから分離される。懸架構造は、ここでは、移植片5に対して結合されており、ループ状端部33bおよび調節可能ループ状端部35bがボタン100に対して組み付けられているとともに、通過構造300がボタン100から分離された状態の、閉じた組付構成とされている。その後、閉じた組付構成とされた懸架構造は、骨トンネル14を通して通過させてもよい。
【0048】
ループ状端部33bは、通過ループ構造300の糸通し部材305を使用して、開口135bを通して挿入されてもよい(
図3G)。リム端部33a、33b上における張力は、調節可能ループ構造32を短縮させることで、移植片5をボタン100に向けて引っ張ってもよい。
図3Gは、骨10を貫通して形成された骨トンネル14上へと係合しているとともに骨12の皮質層に対して係合しているボタン100を図示している。リブ140は、骨トンネル14内へと延びている。トンネルの直径が4.5mmの場合、リブ140は、好ましくは、4.5mm未満の長さL
Rを有してもよい。リブ140、240は、長さL
Rが約3.5mmであってもよく、これにより、リム端部33a、33bがリブ140、240の周囲を経由して開口135a、135bを通して延びるための余地を残すこととなる。リブ140は、1mm~2mmの幅であってもよく、より好ましくは約1.3mmの幅であってもよい。リブ140、240は、1mm~2mmにわたって、骨トンネル14内へと延びてもよい。
【0049】
代替可能な方法では、調節可能ループ構造32は、組織移植片5に代えてまたは組織移植片5に加えて、別の組織アンカーに対して結合されてもよい。例えば、この方法は、他の組織アンカーを調節可能ループ構造32に対して結合することと、その後、組織アンカーを第二の骨に対して結合することと、を含んでもよい。第二の骨は、骨10とは異なる骨であってもよい、または、骨10の異なるセグメントであってもよい。調節可能ループ構造32は、他の組織アンカーをボタン100に向けて引っ張ることで、第二の骨を所定位置に固定してもよい。他の組織アンカーは、第二の皮質ボタンまたは第二のソフトアンカーであってもよい。
【0050】
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4E、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、および
図5Eは、円形プロファイルを有し得る例示的な皮質ボタン400および500を図示している。これらの皮質ボタン400、500は、略円形の外側境界を規定しており、この外側境界は、骨外面に対して係合するように構成されているとともに、ボタン400、500が骨トンネル内へと進入してしまうことを防止するように構成されている。しかしながら、ボタン100および200とは対照的に、ボタン400および500は、制限された直径の骨トンネルを通して通過させる能力を提供するために展開時よりも小さな断面プロファイルを有するように構成されていないという点で、定義された非通過ボタンである。これらのボタン(400、500)を通過させるために、より大きな骨トンネルを形成し得るけれども、円形プロファイルボタン用のトンネル直径は、ボタンの反転後にボタンが係合するため、骨外面も除去することとなる。よって、ボタン400および500は、手順の全体にわたって、骨トンネルの外部に留まるように構成されている。ボタン400および500は、2020年6月18日付けで出願された、本出願と同一出願人によるPCT特許出願第PCT/US20/038401号に開示されたいくつかの実施形態に対して、同様であってもよく、この文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0051】
ボタン400および500は、患者の皮膚に対して近い骨の位置に関して、好ましいものであり得る。ボタン400、500の一部は、容易に触知され得る骨表面から突出して位置しており、これらの部分は、触知可能性を低減するよう、嵩低くテーパー状のプロファイルを有するように構成されている。例えば、ACL修復では、ボタン400および500は、修復の脛骨側に係合してもよい。ボタン400、500は、薄型プロファイルを維持するよう、テーパー状の外周縁を有したドーム状の頂面を規定している。ボタン400、500は、骨外面上に突出して位置する最大ドーム厚さT1を規定しており、この最大ドーム厚さT1は、触知可能性を低減するために、最小化されている。円形ボタンは、骨とボタンとの界面付近における応力分布が改良されており、これにより、円形ボタンを、例えば長円形ボタン100および200と比較して、より薄いもの(T1)とすることができる。
【0052】
ボタン400は、ドーム部分420と同心的とされたポスト410(
図4D)を含み、このポスト410は、ドーム部分420の底面422から延びている。底面422は、骨外面に対して係合するための平坦な平面を規定してもよい。ドーム部分420は、底面422に平行に位置した環状平面421を含んでもよい。ドーム部分420は、また、内部に可撓性ストランド30を受領するための凹所430を含んでもよく、これにより、可撓性ストランド30は、少なくとも部分的に凹所430内に位置することとなり、これにより、可撓性ストランド30の触知可能性を低減させる。凹所430は、ドーム部分420の中心に向けて配置されているとともに、少なくとも一つの可撓性ストランド30を挿通させるための通路を提供する複数の開口440a、440b、440c、440dを、自身を貫通させた状態で、含む。ボタン400は、四つの開口440a、440b、440c、440dを含み、各開口は、360度にわたって包囲された穴を規定している。各開口440a、440b、440c、440dは、同じ直径を有してもよい。すべての開口440a、440b、440c、440dの境界は、全体的に凹所430の内部に配置されてもよい。開口440a、440b、440c、440dは、ポスト410を通して延びてもよく、ポスト410の底面412のところに開口出口を有している。すべての四つの開口440a、440b、440c、440dは、ポスト410の内部に全体的に囲まれてもよい。開口440a、440b、440c、440dは、互いに等間隔に離間して配置されてもよい。開口440a、440b、440c、440dは、略正方形にまたは略長方形に配列されてもよく、その場合、各開口は、配列の頂点を規定している。開口440a、440b、440c、440dは、第一の対440a、440dと、第二の対440b、440cと、を規定してもよく、各対は、それらの間にストランドチャネル442a、442bの端部を規定している。ストランドチャネル442a、442bは、凹所430の底面432の下方に延びている。ストランドチャネル442a、442bは、可撓性ストランド30の一部を少なくとも部分的に内部に取り込む。ストランドチャネル442a、442bは、ストランドチャネル442a、442bに沿って可撓性ストランド30をスライドさせ得るプーリ面を規定している。これにより、調節可能ループ構造の可撓性ストランドを短縮させ得る。ストランドチャネル442a、442bのそれぞれは、ストランドループの曲線に対応した、ストランドチャネル442a、442bの長さに沿った凸状曲面を規定してもよい(
図4Bおよび
図6Bにおいて最も明瞭に見られる)。
【0053】
凹所430は、円形とされ得るようなかつドーム周縁と同心とされ得るような周縁434を規定している。周縁434は、第三対の開口445a、445bと交差してもよい。第三対の開口445a、445bは、ポスト410の外周面を貫通しつつポスト410の外周面に沿って延びている。したがって、各開口445a、445bは、完全に包囲された第一の軸線方向長さ部分を有しているとともに、ドーム部分420によって全体的に形成された360度包囲穴を規定している。開口445a、445bは、また、第一の軸線方向長さ部分から延びているとともに第一の軸線方向長さ部分に対して連続した第二の軸線方向長さ部分を含み、第二の軸線方向長さ部分は、完全には囲まれておらず、
図4Dに最も明瞭に見られるような、ポスト410によって包囲された軸線方向チャネル(図示の446a)を規定している。第三対の開口の第一開口445aは、第一対440a、440dの間に配置されているとともに、第一対440a、440dから径方向に離間して配置されている。第三対の開口の第二開口445bは、第二対440b、440cの間に配置されているとともに、第二対440b、440cから径方向に離間して配置されている。第三対の開口445a、445bは、直径が互いに等しくてもよく、両方とも、開口440a、440b、440c、440dと比較して、直径がより大きくてもよい。ボタン400は、可撓性ストランド構造に対して事前に組み付けられて準備されるように構成されている。
【0054】
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、
図5E、および
図5Fは、円形形状のもしくはわずかに楕円形状のドーム520とこのドーム520から延びたポスト510とを有し得るボタン500に関して、別の実施形態を図示している。ボタン500は、非通過ボタンであってもよく、内部を通して可撓性ストランドを受領するための、したがって手順時に可撓性ストランド構造に対して結合するための、径方向スロット付き開口540/543を含んでもよい。ボタン400と同様に、ボタン500は、可撓性ストランドを内部に受容することで触知可能性を低減させるための、凹状中央部分530を含む。ボタン500は、特記されている場合を除いて、ボタン400と同様である。例えば、ボタン500は、四つのチャネルまたはプーリ面542a、542b、542c、542dを含む。チャネルまたはプーリ面542a、542b、542c、542dのすべては、互いに直交してもよく、中央の凹状ポスト532を囲む正方形または長方形を形成している。四つのチャネル542a、542b、542c、542dを有していることは、ユーザに対して、可撓性ストランド構造を組み付ける際のより大きな融通性を、提供する。凹状ポスト532は、平面とされておりかつドーム部分520の頂面524よりも下方に凹んでいる頂面533を規定してもよい。
【0055】
ボタン500は、スロット付き開口540とされた複数の開口を含む。スロット付き開口540は、チャネルまたはプーリ面(542a、542b、542c、542d)の端部から、径方向に、ドーム部分520の外周縁までにわたって延びており、ドーム部分520の外周縁を含む。開口540は、可撓性ストランド(30)が内部に受容されるドック部分541を規定しており、テーパー状開口部分543が、ドック部分541から径方向に延びている。テーパー状開口部分543は、ドーム周縁のより大きな開口へと直線的に延びてもよい。ドック部分541は、ドーム部分520の厚さを通して垂直に延びているとともに、ポスト510の厚さを少なくとも部分的に通して、垂直に延びている。ドック部分541は、
図5Bおよび
図5Eに最も明瞭に見られるように、ポスト510の周方向外面を通して延びてもよく、ポスト510の周方向外面を中断してもよい。ポスト510は、骨トンネルの内部に適合するように構成されてもよく、骨トンネルに対して緊密に適合またはスライド適合してもよい。最も外側の開口545は、360度にわたって包囲された開口を規定し得るとともにドック部分541よりも直径が大きくてもよい一対の開口を規定している。ボタン500は、様々なサイズで準備されてもよい。いくつかのより大きなボタンサイズでは、ポスト510は、より大きな直径またはより大きな幅を有してもよく、最も外側の開口545は、ポスト510と交差してもよい。例示的なより小さなボタンサイズでは、ポスト510は、最も外側の穴545から全体的に内側に離間して配置されてもよく、したがって、ポスト510と穴545とは、交差しない。
【0056】
図6Aおよび
図6Bは、ボタン400と可撓性ストランド630とを含むシステムを図示している。可撓性ストランド630は、ボタン400に対して組み付けられて準備されてもよく、可撓性ストランド630に沿って少なくとも一つのロック通路638を含んでもよい。
図6Bは、二対の開口440a、440b、440c、440dを通して延びた二つのループ状端部620を示しており、各開口は、各開口を通して、ストランド630の単一長さ部分を含む。張力により、ループ620は、対応したチャネル442a、442bの内部に受容され、チャネル442a、442bは、ループ620と係合するための凸状曲面を規定するような輪郭を有してもよい。リム625a、625bは、開口445a、445b上の第三対を通して延びてもよい。リム625a、625b上の張力は、対応したチャネルを通してループ620をスライドさせてもよく、ループ全体の長さを短くしてもよい。別の言い方をすれば、リム625a、625b上の張力は、ロック通路638をボタン400に向けて引っ張ってもよい。
【0057】
図6Aおよび
図6Bに示すのと同様の態様で、ボタン500は、
図6Aおよび
図6Bに示すのと同様の態様で、可撓性ストランド630によって形成された調節可能ループに対して動作可能に結合されて、準備されてもよい。すべての内部技術において、外科医は、ループ620の少なくとも一つを、スロット540を介してボタン500から取り外したり分解したりしてもよい。ボタン500は、可撓性ストランド630から完全に取り外されてもよく、少なくとも一つのループ620およびリム625aを、接合部に通して通過させ、次いでボタン500に対して(プーリを介して)再び組み付けることで、完全に組み付けられたループを再び形成してもよい。
【0058】
調節可能ループの実施形態
図7は、二つのロック通路710a、710bを含み得るとともに皮質ボタン750などのアンカーに対して組み付けられ得るまたは部分的に組み付けられ得る調節可能ループ構造700を図示している。調節可能ループ構造700は、可撓性ストランド30から形成されてもよい。調節可能ループ構造700は、ボタン750の少なくとも片側に対して事前に組み付けられてもよく、これにより、全体として、調節可能な懸架固定システム706が規定される。調節可能ループ構造700は、可撓性ストランド30の単一の長さ部分から形成されてもよい。ボタン750は、本明細書で開示する任意のボタンであってもよく、あるいは、例えば、2020年6月18日付けで出願された、本出願と同一出願人によるPCT特許出願第PCT/US20/038401号に開示されているボタン、または本出願と同一出願人による米国特許第10,383,617号明細書に開示されているボタンなどの、当該技術分野で知られている他の皮質ボタンであってもよく、両方の文献は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0059】
調節可能ループ構造700は、靭帯の再建または修復のための調節可能な懸架固定システム706の一部を規定してもよい。組織修復時には、サドル端部704は、ボディに対して結合されてもよく、ボディは、限定するものではないが、組織構成要素または外科的構成部材の少なくとも一つであり、組織構成要素は、例えば、靭帯または移植片であり、外科的構成部材は、組織アンカーまたは別の可撓性ストランドであってもよい。例えば、調節可能な懸架固定システム706は、第一の骨を第二の骨に対して結合し得るとともに、サドル端部704に対して動作可能に結合された別の組織アンカー(ここでは図示せず)を有してもよい。ボディは、二つのロック通路710a、710bの間にサドル端部704をループするように結合されてもよい。
【0060】
調節可能ループ構造700は、長尺通路を規定しつつ中空であるように編組された編組縫合糸とされた可撓性ストランド30によって形成されてもよい。調節可能ループ構造700の第一端部702は、ボタン750に対して組み付けられてもよく、反対側に位置したサドル端部704は、本明細書で定義するようなボディに対して結合されてもよい。調節可能ループ構造700は、サドル端部704から離間して配置された二つのロック通路710a、710bを含む。単一のロック通路38を含むような、少なくとも
図3Aに示す構造32と比較して、二つのロック通路710a、710bは、同様の結び目のないロック強度を提供し得る(同様の生理学的サイクル負荷に耐え得る)けれども、二つのロック通路は、すなわち分割されたロック通路は、いくつかの利点を提供し得る。例えば、ロック通路710a、710bのこの構成は、単一のロック通路を有した構造と比較して、端部705a、705b上におけるより小さな力または張力を使用して、構造700のループ周縁を短縮することを可能としてもよい。これは、ロック通路710a、710bが、端部705a、705b上における短縮力方向(F)に対して、ほぼ直線状(湾曲したり屈曲したりしていない)かつほぼ平行であることの結果である。対照的に、ロック通路38は、構成の端部の周囲をループするように湾曲している。短縮時には、ストランド30は、対応したロック通路を通してスライドする。直線的なロック通路を維持することにより、ストランド30は、直線的にスライドすることができ、ロック通路に沿ったキンクまたは湾曲によるストランドの締付を低減させることができる。さらに、ロック通路を有していないサドル端部704を、ボディに対して結合することは、より容易であり得る。本発明者らは、ロック通路の固有の増大した外径が、ボディ(本明細書で定義する)を通した挿通時に大きな力および/または組織断裂を追加し得ることを見出した。ロック通路に適合させるために、より大きなトンネル開口サイズが、例えば組織アンカーを通して必要とされ得る。軟組織移植片の場合には、ロック通路を、軟組織を通して挿通するために、より大きなニードルおよび/またはより大きな力が、必要とされ得る。
【0061】
本発明者らは、また、二つのロック通路710a、710b間におけるストランド30に沿った離間長さ(SL)または直線距離が、好ましくは上限長さを有していることも、見出した。調節可能ループ構造706を短縮する時には、ループ構造を短縮し得る最短の長さは、または短縮された最小ループ長さが、調節可能ループ構造の固定長さ部分によって制限されることを、考慮されたい。これらは、少なくとも、二つの通路710a、710bの長さと、二つの通路710a、710bの間における離間長さSLと、を含む。組織もしくは移植片の長さによっては、または修復の解剖学的構造によっては、大幅な短縮が好ましい場合もある。組織もしくは移植片の長さによっては、または修復の解剖学的構造によっては、短い最終的な短縮長さが好ましい場合もある。したがって、二つのロッククレードル710a、710bおよび離間長さSLが短いほど、調節可能ループ構造を、短縮によって、より短くすることができる。ロック通路710a、170bの長さおよび離間長さSLが短いほど、より広範囲の移植片または組織構成に対応した調節可能ループ構造を提供し得る。しかしながら、ロック通路710a、710bは、調節可能ループ706を確実に締め付けて結び目なくロックするために、最小限の長さを必要とする。したがって、ロック通路710a、710bは、調節可能ループ構造700に関して調節不可能な長さを規定するとともに、調節可能縫合糸ループ700上に、生理学的負荷に耐え得る充分なロック力を提供する。この長さは、可撓性ストランドの材質および特性に依存してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、各ロック通路710a、710bは、0.5インチ~1.5インチ(12.7mm~38.1mm)の長さであってもよく、より好ましくは、約0.75インチ(19.05mm)の長さであってもよい。
【0062】
間隔SLは、好ましくは、また、調節可能縫合糸ループ700の最小短縮ループ長さに対して不必要な長さを追加しないよう、短いものとされている。離間長さSLは、好ましくは、調節可能ループの短縮力Fを減少させるよう、二つのロック通路710a、710bを分割するのに充分な長さとされている。二つのロック通路710a、710bの間においてストランド30に沿って直線的に測定した(
図8A参照)際の、二つのロック通路間の離間長さSLは、0.10インチ~0.5インチ(2.54mm~12.7mm)であってもよく、いくつかの手順では、約0.25インチ(6.35mm)であってもよい。
【0063】
図8A、
図8B、および
図8Cは、構造700を形成するためのステップを図示している。
図8Aから開始して、可撓性ストランド30の長さ部分が示されている。ロック通路710a、710bの位置は、説明を明確とするために、拡大または拡張された部分として示されている。しかしながら、提供されるように、これらの位置は、ストランド30の残りの長さに対して、直径および形状が同様であってもよく、ストランド30をスパイシングして、それ自体を通してストランド30を延ばす行為は、ストランド30のその部分を拡張させ得る。スネアループ(図示せず)が、通路710a、710bに沿って延びてもよい。拡張手段(図示せず)は、まず、通路位置を通して延びてもよい。
【0064】
ここで、
図8Bを参照すると、端部705bは、ロック通路位置710bにおいては、ストランド30内へとストランド30に沿って延び得るとともに、ロック通路位置710aにおいては、長さ(およそSL)の分だけ通路710bから導出され、その後、ストランド30内へとストランド30に沿って延びてもよい。これにより、第一アイスプライスループ708bと、リム705bと、が形成される。二つのロック通路710a、710bの間における長さSLは、手順または用途に応じて、選択されてもよい。例えば、サドル端部704が移植片に対して結合するように構成されている場合には、サドル長さSLは、ロック通路710a、710bが移植片の側面に沿って配置された状態で、移植片の幅の周囲を包囲するのに充分な長さであってもよい。第二の例として、サドル端部704が組織アンカーに対して結合するように構成されている場合には、長さSLは、ロック通路710a、710bを組織アンカーの外側に配置してアンカーに対して結合するのに充分な長さであってもよく、アンカーの構成に依存することとなる。この第一アイスプライスループ708bを形成する際には、ループは、例えば
図1Aにおける開口110a、110bなどの、ボタンの開口を通して挿通されてもよい。したがって、第一アイスプライスループ708bは、ボタンのアンカー750に対して直接的に結合されてもよい。これにより、構造700に対してボタンが組み付けられてもよい。図示のように、アイスプライスループ708bは、図示の簡略化のために短いけれども、ループ708bの長さは、任意の長さであってもよい。
【0065】
図8Cは、第二アイスプライスループ708aの形成を図示している。リム端部705aは、最初に、ロック通路710aにおいて、ストランド30内へとストランド30に沿って延びてもよく、これにより、第二アイスプライスループ708bを形成する。リム端部705aは、ロック通路710bにおいて、サドル端部704に沿った長さ部分にわたって延び、その後、ストランド30内へとストランド30に沿って延びてもよい。第二アイスプライスループ708aは、また、例えばボタン400などのボタンの開口を通して、挿通されてもよい。これにより、両ループ708a、708bがボタンに対して組み付けられる。他の実施形態では、ループ708a、708bの少なくとも一方は、フリーループ状端部を規定し得るとともに、手順時にボタンのスロット状開口上へとさらにスロット状開口を通してループ状とされてもよい。ボタン100、200、または500は、ボタンからのアイスプライスループ708a、708bの少なくとも一つに対する選択的な組付を可能とするスロット状開口を示している。他の例では、少なくとも一つのループおよびリム(708a、708b、705a、705b)は、シャフト、ロッド、またはニードル(少なくとも
図3Aに示す例示的な通過構造300)などの糸通し部材に対して、動作可能に結合されてもよい。糸通し部材は、例えば、組織、移植片、または組織アンカーなどのボディを通して、構造700のループおよび/またはリムを挿入するように構成されてもよい。
【0066】
この構造700では、各ロック通路710a、710bは、ストランド30の、各ロック通路710a、710bを通して延びた二つの長さ部分を含む。ストランド30の二つの長さ部分は、互いに交差することで、各ロック通路710a、701bの反対側に位置した端部から導出される。他の実施形態では、各リムは、一つのロック通路710a、710bのみを通して、延びてもよい。例えば、リム705bは、通路710bのみを通して延びることで、アイスプライスループ708aを形成してもよい。二つの離散したロック通路710a、710bの間における距離は、移植片を上部に懸架するのに充分なものであってもよい、または組織の厚さを通して延びるのに充分なものであってもよい、またはアンカーを通して延びるのに充分なものであってもよい。サドル端部704は、ストランド30の三つのストランド長さ部分を含んでもよく、二つのストランド長さ部分は、スライド可能であり、一つの単一ストランドは、静止または固定(スライド不可能)であるとともに、両ロック通路710a、710bから直接的に延びていて、両ロック通路710a、710bに対して連続的に編組されている。
【0067】
図9Aは、複数の調節可能ループを形成し得るとともに二つのロック通路910a、910bを含み得る別の調節可能ループ構造900を図示している。調節可能ループ構造900は、靭帯の再建または修復のための調節可能な懸架固定デバイスを規定してもよい。他の例では、構造800は、第一の骨と第二の骨との間に調節可能結合手段を規定し得るとともに、構造900の一部(ここでは図示せず)に対して動作可能に結合された組織アンカーを有してもよい。
【0068】
調節可能ループ構造900は、自身に沿って長尺通路を規定するよう中空とされ得る編組縫合糸によって、形成されてもよい。二つのロック通路910a、910bは、縫合糸をそれ自体に通してスプライシングすることにより形成され、張力下で結び目のないロック機構を形成するとともに、ループが拡張することを防止する。調節可能ループ構造は、ボタン950に対して組み付けられ得る第一端部902と、反対側に位置したサドル端部904と、を規定している。調節可能ループ構造900は、構造700と同様に、ループ短縮力を低減させるロック力を有してもよい。
【0069】
構造900を形成するためのステップは、通路をロックするのと同様の位置と考え方とを有した
図8Aに示したものと同様の、ストランド30から開始されてもよい。しかしながら、
図8Bと比較すると、ループは、相違して形成されている。
図9Bに示すように、調節可能構造900を形成することは、端部905bをボタン950(
図9Aに示す)の開口を通して延ばすことと、次に、好ましくは端部905aに隣接したサイドで、最初に910aとして特定された位置でストランド30を通して延ばすことと、次に、サドル904に隣接した通路910aから導出することと、を含んでもよい。その後、端部905bは、長さ部分に関してサドル904に沿って延び、その後、ロック通路位置910bでストランド30に沿って延びる。これにより、第一ループ908bと、リム905bと、が形成される。このループ908bを形成する際には、ループは、例えば
図1Aにおける開口110a、110bなどの、ボタンの開口を通して、挿通されてもよい。別のボタンの例は、本出願と同一出願人による米国特許第10,383,617号明細書に開示されており、この文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。各開口は、好ましくは、内部を通して、縫合糸一本分の通路を提供する。これにより、構造900に対してボタンが組み付けられる。第二ループ908aは、第一ループ908bと同様の態様で形成されてもよく、
図9Cに示されている。リム端部905aは、ロック通路910bにおいては、ストランド30を通して延びており、次にサドル904を横切って延びており、その後、ロック通路710aにおいて、ストランド30に沿って延びている。
【0070】
図10は、ボタン1050を組み付け得るとともに四つのロック通路1010a、1010b、1010c、1010dを含み得る別の例示的な構造1000を図示している。
【0071】
いくつかの実施形態では、調節可能ループ構造700は、完全に組み付けられた構成で(閉じたループ構成とも称される)、ボタン750に対して組み付けられて準備されてもよい。
図3A、
図3B、
図3C、および
図3Dに示す構造とは異なり、両方のループ708a、708bは、ボタン750に対して事前に組み付けられてもよい。ボタンは、四つの360度(
°)にわたって包囲された穴を含んでもよく、したがって、調節可能ループを分解しなければ、ループ708a、708bを分解し得ないこととなる。いくつかの実施形態では、閉じたループ構成で準備された時には、調節可能ループ構造700は、
図14に示すように、サドル端部704に対して結合された通過構造1450を含んでもよい。通過構造1450は、組織または移植片を通して、調節可能ループ構造700を引っ張るように構成されている。
【0072】
通過構造1450は、ワイヤまたは縫合糸などの可撓性ストランドから形成されたループ1455を含んでもよい。ループ1455は、糸通し部材1460に対して結合されてもよく、ループ1455は、固定された長さ(調節不可能)を有してもよい。糸通し部材1460は、組織または移植片を穿刺する硬いニードルであってもよい。糸通し部材1460は、別の組織アンカー(図示せず)の開口を通して通過するように、または骨を通して準備されたトンネルを通して通過するように、構成されてもよい。糸通し部材1460は、組織または移植片を穿刺するように構成されてもよく、ループ1455を引っ張るように、さらに、ループ1455を通して調節可能ループ構造700のサドル端部704を引っ張るように、構成されてもよい。
【0073】
ループ1455は、ループ1455を形成するために、糸通し部材1460に対してカシメまたは圧着された二つの末端を有した、縫合糸またはワイヤの長さ部分を起源としてもよい。ループ1455は、可撓性ストランド30とは異なる可撓性ストランドから形成されてもよい、または、可撓性ストランド30とは別個に形成された可撓性ストランドから形成されてもよい。通過構造1450は、複合ループによって、サドル端部704の三つのストランド長さ部分に対して結合されてもよい。複合ループは、三つのストランド長さ部分を、組織を通して順次的に引っ張るように構成されてもよい。サドル端部704のストランド長さ部分を順次的に引っ張ることにより、組織の損傷または変形を低減させ得るとともに、組織または移植片を通してサドル端部704を引っ張るのに必要な力を減少させ得る。この通過構造1450は、サドル端部704を、組織または移植片に対して結合してもよい。複合ループは、調節可能ループ構造700に沿った通過構造1450のスライドを制限するように構成されてもよい。複合ループは、本明細書でさらに説明するように、三つのストランド長さ部分が互いにスライドする際に、三つのストランド長さ部分を制御することを補助してもよく、三つのストランド長さ部分を近接した状態に維持することを補助してもよい。
【0074】
ループ1455は、サドル端部の周囲に、
図15に部分的に図示しているような八の字ループなどの、複合ループを形成してもよい。
図15は、第一ロック通路710aを図示しており、この第一ロック通路710aからは、三つのストランド長さ部分が延びている。ストランド長さ部分730aは、両方のロック通路710a、710bに対して直接的に結合されているとともに両方のロック通路710a、710bから延びているという点において、静的なストランドを規定している。調節可能ループ構造700を短縮させる際には、ストランド長さ部分730aは、スライドしない。ストランド長さ部分730aは、ロック通路710a、710bに対して連続的に編組されてもよく、したがって、ロック通路710a、710bを通して延びるものではなく、ロック通路710a、710bを通してスライドするものでもない。ストランド長さ部分730b、730cは、動的なストランドであり、各ストランド730b、730cは、リム705a、705bに対して連続している。リム705a、705bを引っ張ることにより、動的なストランド長さ部分730b、730cが、通路710a、710bを通してスライドし、これにより、調節可能ループの周縁が短縮される。
【0075】
ループ1455は、静的なストランド730aの周囲に八の字ループをなす第一ループ1455aを形成してもよく、八の字ループをなす第二ループ1455bは、両方の動的なストランド730b、730cの周囲を巻回してもよい。八の字構成は、調節可能ループ構造700に沿っておよび調節可能ループ構造700の周囲において、通過構造1450のスライドを制限してもよい。中心ズレしたスライドは、ステッチ時にユーザによって修正される必要があり得る。八の字をなす第一ループ1455aは、静的なストランド730aのみに沿ってスライドするように制限されており、スライドの範囲は、ロック通路710a、710bによって拘束される。スライドを制限することにより、調節可能ループ構造700が組織または移植片を通して挿通される際の非対称性を回避し得る。八の字ループ構成は、二つのロック通路710a、710bの間に通過構造1450を維持するように構成されている。八の字ループの形成がなければ、ループ1455は、ロック通路710a、710bの一方上をスライドしてしまい、そのロック通路を、最初に、移植片または組織の内部へと、移植片または組織を通して、引っ張ってしまうことがあり得る。上記で説明したように、これは、調節可能ループ構造700を組織の移植片に対して結合するのに必要な力を増大させる可能性がある。加えて、ループ1455が八の字ループでなく、静的なストランド長さ部分730aだけの周囲に巻回されている場合には、動的なストランド長さ部分730b、730cは、組織/移植片を通して通過する際に、後ろに寄り過ぎることとなり、ステッチ時における混乱を、および構造700の不均一な調整を、引き起こす可能性がある。八の字ループは、最初に、動的なストランド長さ部分730b、730cを、移植片を通して通過させてもよく、続いて静的なストランド長さ部分730aを通して通過させてもよく、続いて二つのロック通路710a、710bを通して通過させてもよい。第二ループ1455bは、サドル端部704を組織/移植片を通して通過させている際に、二つの動的なストランド長さ部分を近接した位置関係で保持するように構成されており、これにより、組織または移植片を通したステッチ時における混乱を低減させ得る。ループ1455は、調節可能ループ構造700の短縮を阻害することなく動的なストランド長さ部分730b、730cをスライドさせ得るようにしつつ、調節可能縫合糸ループ700に沿った通過構造1450の実質的に中央位置を維持するようにして(サドル部分704に沿った通過構造1450のスライドを制限するようにして)、調節可能ループ構造700に対して結合されている。通過縫合糸ループ1455は、三つのストランド長さ部分730a、730b、730cを、組織を通して効果的に通過させるために、さらに互いに位置合わせされた状態に維持するために、調節可能ループ構造700に対して結合されている。
【0076】
別の構成では、ループ1455は、すべての三つのストランド730a、730b、730cの周囲で、荷物タグループの形態で、複合ループを形成してもよい。しかしながら、これは移動する(動的な)ストランド730b、730cの周囲で締め付け得るものであり、結果的に、ループ短縮力を増大させる。更なる実施形態が、
図16Aおよび
図16Bに示されており、この場合、ループ1455は、静的なストランド730aの周囲で、第一ループ1455aaを含む分割された荷物タグループの形態で、複合ループを形成している。第二ループ1455bbは、動的なストランド730b、730cの両側の周囲をループするように分割されている(
図16Bに最も明瞭に見られる)。しかしながら、このループは、より複雑な組み付けを必要とする。
【0077】
調節可能ループ構造を取り付けるための方法
調節可能ループ構造1700を移植片1650に対して取り付けるための方法が、
図17A、
図17B、
図17C、
図17D、
図17E、
図17F、
図17G、
図17H、
図17I、および
図17Jに図示されている。調節可能ループ構造1700は、本明細書で開示する調節可能ループ構造(32、700、900、1000)と同様とされ得るとともに、調節可能ループ構造1700の連結端部1704において通過構造1750に対して結合されてもよい。通過構造は、本明細書で開示するように、複合ループを使用して連結端部1704に対して結合されてもよい。例えば、調節可能ループ構造は、サドル端部704のところで通過構造1450に対して八の字ループを使用して連結された構造700であってもよい。しかしながら、この方法は、構造700および構造1450に限定されるものではない。開示する方法は、調節可能ループ構造1700を移植片1650に対して結合するものであり、これにより、最終的にステッチされた移植片は、調節可能ループ構造1700と、それを貫通してステッチされた通過構造1750の可撓性ループ1755と、の両方を含み、可撓性ループ1755は、調節可能ループ構造1700に対して結合されているものの、調節可能ループ構造1700とは別個に形成されている。最終的にステッチされた移植片では、可撓性ループ1755は、調節可能ループ構造のステッチに対して軸線方向にオーバーラップしたステッチを規定してもよい。
図17A、
図17B、
図17C、
図17D、
図17E、
図17F、
図17G、
図17H、
図17I、および
図17Jは、限定するものではないが、ロック通路(限定するものではないが、ロック通路710a、710bなど)、個々の調節可能ループ(限定するものではないが、ループ708a、708bなど)、および、連結端部1704(限定するものではないが、サドル端部704など)などの構成部材を省略した態様で、調節可能ループ構造1700に関する簡略化された形態を示している。これらの細部は、図面の理解を単純化するために、ひいては方法の理解を単純化するために、図面上では省略されている。加えて、この方法は、異なるロック通路および異なる調節可能ループ構成を有するような、本明細書で開示するまたは当該技術分野で知られている任意の調節可能ループ構造を、この態様で移植片に対して結合してもよい。
【0078】
図17Aから開始して、この方法は、移植片1650を用意することおよび/または入手することを含んでもよい。移植片1650は、頂面1655と、底面1675と、反対側に位置した二つの端部1660、1670と、を規定した長尺ボディであってもよい。反対側に位置した二つの端部の一方(1670)は、ステッチ時に移植片1650を安定化させるためにクランプされてもよく、したがって、クランプされた端部1670として定義されてもよい。反対側に位置した二つの端部の他方は、自由端1660であってもよい。自由端1660は、準備された組織トンネル内へと最初に挿入され得るとともに、調節可能ループ構造および通過構造ループの両方に対して直接的に結合されてもよい。自由端1660は、準備された骨トンネルを通して挿通されることを容易とするよう、メスまたはハサミを使用してテーパー形状または弾丸状とされてもよい。移植片1650は、典型的には四頭筋腱から採取された単一の中実ボディであってもよい。移植片1650は、細い束の端部を含んでもよい。移植片1650は、例えばハムストリングから採取した時に典型的な、複数の長尺ストランドとして準備されてもよい。移植片1650は、自身上へと折り重ねられることで、移植片1650の標的厚さを形成してもよい。
【0079】
ここで、移植片1650の側面図を示す
図17Bを参照すると、取付方法は、一端において皮質ボタン1715に対して組み付けられ得るとともに他端(以下、連結端部1704)において通過構造の可撓性ループ1755に対して組み付けられ得る調節可能ループ構造1700を、形成することおよび/または用意することを含んでもよい。可撓性ループ1755は、ニードルなどの糸通し部材1760に対して動作可能に結合され、合わせて、通過構成1750を規定してもよい。糸通し部材1760は、第一位置(1)において、移植片の頂面1655を穿刺し得るとともに、可撓性ループ1755を、移植片の頂面1655から、移植片1650の厚さを通して、底部外面1675へと、引っ張ってもよく、これにより、移植片1650を通して第一通過を規定する。第一位置(1)は、自由端1660の末端から、およそ1.5cm~2cmであってもよい。いくつかの例示的な方法では、可撓性ループ1755は、複合ループを形成し得るとともに、サドル端部704と同様とされ得る連結端部1704に沿って、複数のストランド(730a、730b、730c)に対して結合してもよい。複合ループは、
図17B、
図17C、
図17D、
図17E、
図17F、
図17G、
図17H、
図17I、および
図17Jには示されていないけれども、少なくとも
図15に見ることができ、この第一通過の際には、移植片1650を通しての、複数のストランド(730a、730b、730c)の導入箇所をずらすように構成されてもよい。複合ループは、また、調節可能ループ構造1700に沿った標的ゾーンの内部における可撓性ループの位置を維持してもよい。通過構造1750の全体が移植片1650の外部へと導出され、調節可能ループ構造1700が移植片1650を通して頂面1655および底面1675の両方から延びるまで(
図17C)、通過構造1750が移植片1650を通して完全に引っ張られた時点で、第一通過が完了してもよい。第一通過の完了により、皮質ボタン1715は、自由端1660および頂面1655に隣接して配置され、連結端部1704は、底面1675に隣接して配置される(
図17C)。これは、また、好ましくは、移植片1650の外部にあるロック通路を、底面1675に隣接させて配置してもよい。調節可能ループ構造1700は、その管理のために、携帯カードまたはツール1725の周囲に巻回した二つのリム1705a、1705bを含んでもよい。第一通過は、長手方向軸線(Y-Y)に対して傾斜していない角度で、したがって、移植片1650の長手方向軸線(Y-Y)に対して平行でも垂直でもない角度で、移植片1650を通して延びてもよい。角度は、長手方向軸線に対して、30度~60度であってもよい。第一通過は、長手方向軸線に沿って延び得るとともに、長手方向軸線に対して交差してもよい。第一通過は、およびその後におけるすべての通過は、軟組織移植片の性質を考慮して、可能な限り移植片1650の正中線を通して延びてもよい。
【0080】
その後、調節可能ループ構成の連結端部1704は、移植片1650の両外側面の周囲を巻回するように広げられてもよく、自由端1660とボタン1715とカードまたはツール1725とを、頂面1655に対して裏返してもよい(
図17D)。これにより、連結端部1704を、クランプされた端部1670と第一位置(1)との間に配置してもよい。その後、調節可能ループ構造1700は、リム1705a、1705b(カードまたはツール1725に対して結合されてもよい)に対する張力を介して、短縮されてもよい。調節可能ループ構造1700は、連結端部1704が移植片1650の外面の周囲に周方向に巻回されているようにして(
図17E)、かつ、ボタン1715が自由端1660に隣接しているようにして、短縮されてもよい。連結端部1704を裏返す際には、通過構造1750の可撓性ループ1755は、連結端部1704を通して、八の字ループなどの複合ループを介して、任意のロック通路の間に維持されてもよい。調節可能ループ構造1700は、ロック通路が移植片1650の外面の周囲を周方向に巻回するようにして、可撓性ストランドを、調節可能ループ構造1700の任意のロック通路に通して引っ張ることによって、短縮されてもよい(
図17E)。構造1700を短縮することにより、ロック通路は、実質的に移植片の外部に配置されてもよく、移植片の内部には配置されず、ロック通路を締め付けてループ短縮を妨げてもよい。
【0081】
ここで、
図17Fを参照すると、糸通し部材1760は、連結端部1704に対して直接的に隣接した第二位置(2)(
図17F)において、移植片の頂面1655から底面1675へと、再び通過してもよい(第二通過)。これにより、連結端部1704の位置が移植片1650に沿ってロックされるとともに、連結端部1704が移植片1650に沿ってスライドすることが防止される。第二位置(2)は、連結端部1704とほぼ一致してもよく、クランプされた端部1670と第一位置(1)との間にあってもよい。調節可能ループ構造1700は、この時点では、移植片1650に対して固定的に取り付けられている。第二通過は、移植片の長手方向軸線(Y-Y)に対して直交し得るとともに、自由端1660から最も遠い通過を規定してもよい。第二通過の終了時には、可撓性ループ1755の一部は、移植片1650を通して延びてもよい。第二通過の終了時には(
図17G)、可撓性ループ1755の複合ループの第一ループ1755aは、頂面1655上に保持されてもよく、他方、第二ループ1755bは、移植片1650を通して延びてもよい。
【0082】
可撓性ループ1755は、この時点では、移植片1650に沿って、自由端1660に向けて漸進的に移動する走行ウィップステッチを形成してもよく、走行ウィップステッチは、好ましくは、移植片1650を通しての少なくとも二回のウィップステッチ通過(取付方法における第三通過および第四通過)を含む。この走行ウィップステッチは、移植片の自由端1660の周囲における、軸線方向に離間して配置された複数の周方向巻回を形成する。これら複数の軸線方向に離間して配置された周方向巻回に対して、張力を印加することにより、移植片の自由端1660は、準備された骨トンネルを通してより容易に通過するよう、より円筒形状へと形成される。これらウィップステッチに対して張力を印加することにより、準備された骨トンネルを通してより容易に通過するよう、移植片の自由端1660を、さらにテーパー形状としてもよい。この走行ウィップステッチは、少なくとも二つの通過を含み得るとともに、取付部分の破れ(調節可能ループ構造1700およびフレキシブルループ1755が、移植片からチーズワイヤリングすること)を緩和するように作用する。ウィップステッチは、自由端1660に向けて漸次的に走行する。ウィップステッチは、可撓性ループ1755(第二ループ1755bであってもよい)を、底面1675からおよび端部1660から周囲にループさせることで、形成されてもよく、これにより、糸通し部材1760を、頂面上に配置してもよい(
図17Hおよび
図17I)。糸通し部材1760は、その後、頂面1655から底面1675へと、再び通過してもよい。これは、自由端1660と位置(1)との間における、位置(3)であってもよい。これにより、可撓性ループ1755(1755b)は、移植片1650の周囲で、移植片の外側面および連結端部1704の周囲に巻回された調節可能ループ1700を超えてまた横断して、周方向に巻回されてもよい。
【0083】
図17Hおよび
図17Iに示すステップを繰り返すことで、
図17Jに示すように、走行ウィップステッチの第二ウィップステッチを形成してもよい。可撓性ループ1755を、移植片1650の周囲に、および自由端1660上へと、巻回することで、糸通し部材1760を頂面1655上に配置してもよい。その後、糸通し部材1760は、位置(4)と自由端1660との間の位置で、移植片を穿刺し得るとともに、頂面1655から底面1675までにわたって貫通してもよい。これは、ウィップステッチが自由端1660の末端1661へと到達するまで、繰り返されてもよい。その後、ループ1755を、結び目で結んで、きつく締め付けてもよく、これにより、テーパー形状の自由端1660を、さらにテーパー形状としてもよい。その後、糸通し部材1760を取り外すことで、切り取られたループ1755’を、利用可能な状態で残してもよい(
図17J)。
【0084】
調節可能ループ構造1700に対して、および切り取られたループ1755’(糸通し部材1760から切り取られた)に対して、結合された移植片1650は、次に、準備された骨トンネル(図示せず)を通して挿通されてもよい。切り取られたループ1755’(
図17J)は、準備された骨トンネル内へとおよび骨トンネルに沿って移植片1650を引っ張るためのツールに対して結合するのに充分な長さであってもよい。したがって、切り取られたループ1755’は、準備された際にはまたは用意された際には、移植片を通しての少なくとも二つのウィップステッチ通過を形成するのに充分な長さを有しており、準備された骨トンネルに沿って引っ張られるのに充分な長さを残している。移植片の自由端1660が、準備された骨トンネルを通してスライドする際に、自身の上へと折り畳まれることを避けるために、切り取られたループ1755’を引っ張ることは、調節可能構造1700を引っ張ることよりも、好ましいことである。調節可能構造1700を引っ張ることだけで、第二位置(2)に隣接した折り目が形成されてもよい。
【0085】
ここで、より具体的な例を参照すると、取付方法は、一端に皮質ボタン750が組み付けられておりかつサドル端部704で通過構造1450に対して結合されている調節可能ループ構造700を、形成することまたは用意することを含んでもよい。ニードル1460は、第一位置(1)において、移植片の頂面1655を穿刺し得るとともに、移植片の頂面1655から移植片1650の厚さを通して底部外面1675までにわたって、通過構造1450のループ1455を引っ張ってもよく、これにより、第一通過を規定してもよい。第一位置は、自由端1660の末端1661から、およそ1.5cm~2cmであってもよい。いくつかの例示的な方法では、可撓性ループ1455は、複合ループを形成し得るとともに、サドル端部704に沿って複数のストランド(730a、730b、730c)を結合してもよい。複合ループは、この第一通過時には、移植片1650を通しての、複数のストランド(730a、730b、730c)の導入箇所をずらすように構成されてもよい。複合ループは、八の字ループであってもよく、その場合、第一ループ1455aは、静的なストランド730aの周囲にループされ、第二ループ1455bは、ストランド730b、730cの周囲にループされる。通過構造1450の全体が移植片1650の外部へと導出され、調節可能ループ構造700が移植片1650を通して頂面1655および底面1675の両方から延びるまで、通過構造1450が移植片1650を通して完全に引っ張られた時点で、第一通過が完了してもよい。第一通過の完了により、皮質ボタン750は、頂面1655に隣接して配置され、サドル端部704は、底面1675に隣接して配置される。調節可能ループ構造700は、その管理のために、携帯カードまたはツール1725の周囲に巻回した二つのリム(705a、705b)を含んでもよい。第一通過は、移植片1650の長手方向軸線(L-L)に対して傾斜した角度で、移植片1655を通して延びてもよい。角度は、長手方向軸線に対して、30度~60度であってもよい。第一通過は、長手方向軸線に沿って延び得るとともに、長手方向軸線に対して交差してもよい。第一通過は、軟組織移植片の性質を考慮して、可能な限り、実質的に移植片1650の正中線に沿った向きであってもよい。
【0086】
その後、サドル端部704は、移植片1650の両側面の周囲を巻回するように広げられてもよく、自由端1660とボタン750とカードまたはツール1725とを、頂面1655に対して裏返してもよい。これにより、サドル端部704を、クランプされた端部と頂面1655上の第一位置(1)との間に配置してもよい。その後、調節可能ループ構造700は、リム705a、705b(カードまたはツール1725に対して結合されてもよい)に対する張力を介して、短縮されてもよい。調節可能ループ構造700は、サドル端部704が移植片1650の周囲に周方向に巻回されているようにして、かつ、ボタン750が自由端1660に隣接しているようにして、短縮されてもよい。サドル端部704を裏返す際には、通過構造1450は、サドル端部704を通して、八の字ループなどの複合ループを介して、ロック通路(710a、710b)の間に維持されてもよい。
【0087】
ニードル1460は、サドル端部704に対して直接的に隣接した第二位置(2)において、移植片の頂面1655から底面1675へと、再び通過してもよい(第二通過)。これにより、サドル端部704の位置が移植片1650に沿ってロックされるとともに、サドル端部704が移植片1650に沿ってスライドすることが防止される。第二位置(2)は、サドル端部704とほぼ一致してもよく、クランプされた端部1670と第一挿入位置(1)との間にあってもよい。調節可能ループ構造700は、この時点では、移植片1650に対して固定的に取り付けられている。第二通過は、移植片の長手方向軸線に対してほぼ直交し得るとともに、自由端1660から最も遠い通過を規定してもよい。第二通過の終了時には、可撓性ループ1455の一部は、移植片1650を通して延びてもよい。第二通過の終了時には、可撓性ループ1455の複合ループの第一ループ1455aは、頂面1655上に保持されてもよく、他方、第二ループ1455bは、移植片1650を通して延びてもよい。
【0088】
可撓性ループ1455は、この時点では、自由端1660に向けて漸進的にステッチする走行ウィップステッチを形成してもよく、走行ウィップステッチは、好ましくは、移植片1650を通しての少なくとも二回のウィップステッチ通過(取付方法における第三通過および第四通過)を含む。この走行ウィップステッチは、移植片の自由端1660の周囲における、軸線方向に離間して配置された複数の周方向巻回を形成する。これら複数の軸線方向に離間して配置された周方向巻回に対して、張力を印加することにより、移植片の自由端1660は、準備された骨トンネルを通してより容易に通過するよう、より円筒形状へと形成される。これらウィップステッチに対して張力を印加することにより、準備された骨トンネルを通してより容易に通過するよう、移植片の自由端1660を、さらにテーパー形状としてもよい。この走行ウィップステッチは、少なくとも二つの通過を含み得るとともに、取付部分の破れ(調節可能ループ構造700およびフレキシブルループ1455が、移植片からチーズワイヤリングすること)を緩和するように作用する。ウィップステッチは、自由端1660に向けて漸次的に走行する。ウィップステッチは、第二ループ1455bを、底面1675からおよび移植片の端部1660から周囲にループさせることで、形成されてもよく、これにより、ニードル1460を、頂面上に配置してもよい。ニードル1460は、その後、頂面1655から底面1675へと、通過する。これは、自由端1660と挿入位置(1)との間における、位置(3)であってもよい。これにより、第二ループ1455bは、移植片1650の周囲で、調節可能ループのサドル端部704を超えてまた横断して、周方向に巻回されてもよい。これにより、第二ループ1455bは、移植片1650の周囲で、ロック通路710a、710bを超えてまた横断して、周方向に巻回されてもよく、これにより、第二ループに対して張力を印加した時には、ロック通路710a、710bは、もはや調節不可能であり得る。
【0089】
第二ウィップステッチは、第二ループ1455bを、底面1675からおよび端部1660から再びループさせることで形成されてもよく、これにより、ニードル1460を、頂面上に配置してもよい。ニードル1460は、その後、頂面1655から底面1675へと、再び通過する。これは、自由端1660と挿入位置(3)との間における、位置であってもよい。これは、ウィップステッチが自由端1660の末端に対して到達するまで、繰り返されてもよい。その後、第二ループ1455bを、結び目1810で結んで、きつく締め付けてもよく、これにより、テーパー形状の自由端1660を、さらにテーパー形状としてもよい。その後、ニードル1460を取り外すことで、第二ループ1455bの長さ部分を、利用可能な状態で残してもよい(もはやループではない可能性もある)。調節可能ループ構造700に対して、および第二ループ1455b’(ニードル1460から切り取られた)に対して、結合された移植片1650は、次に、準備された骨トンネル(図示せず)を通して挿通されてもよい。
【0090】
図18Aは、
図17Eに示す構成と同様に、第一通過の後にかつ第二通過の前に、移植片1650を通してステッチされた調節可能ループ構造700の平面図を図示している。
図18Bは、最終的にステッチされた構成において、移植片1650を通してステッチされた調節可能ループ構造700および可撓性ループ1455の平面図を図示している。
図18Bは、また、自由端1660の周方向巻回とテーパー形状とを示している。結び目1855は、切り取られた第二ループ1455b’がそこから延びた状態で、第二ループ1455bに示されている。
【0091】
短縮バー
図11A、
図11B、
図11C、
図11D、
図11E、
図12A、
図12B、
図12C、
図13A、
図13B、
図13C、および
図13Dは、短縮バー1100に関する様々な特徴と、関連した使用方法と、を図示している。短縮バー1100は、組織修復時に複数の機能を提供してもよい。短縮バー1100は、調節可能な懸架固定システムに対して組み付けられ得るとともに、固定システムの調節可能ループに対して張力を印加するハンドルまたはツールとして使用されることで、移植片を標的位置に配置してもよい。短縮バー1100は、また、懸架固定システムが事前に組み付けられた状態で準備または容易されてもよく、したがって、同等に、固定システム収納ツールとも称され得る。
【0092】
図3Aに示すシステム280などの懸架固定システムは、可撓性ストランド30からなる複数のループを含むけれども、これは、緩い形態で準備された場合には、移植片に対して結合する際に、追跡が困難であり得るとともに、ストランドのもつれまたはエラーが生じる可能性がある。短縮バー1100は、懸架固定システムの一部を収容または保持するために、短縮バー1100に沿って配置された、空洞、スロット、クリート、チャネル、およびスプールを含めた、保持格納手段を含んでもよい。この短縮バー1100に対して組み付けられ得る他の例示的な固定システムは、本明細書に開示されており、ならびに、「METHODS AND DEVICES FOR TISSUE GRAFT FIXATION」と題する2020年6月18日付けで出願された、本出願と同一出願人によるPCT特許出願第PCT/US20/038401号に開示されており、この文献は、本出願と同一出願人による所有であるとともに、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0093】
このような格納手段は、懸架固定システムの構成部材が、バー1100の外面上にあるとともに、組織修復の操作段階に従って段階的にバー1100から選択的に取り外され得るようにして、懸架固定システムの構成部材を保持して管理してもよい。したがって、短縮バー1100は、懸架固定システムを格納し得るだけでなく、手順の好ましい段階に従って段階的な取り外しを案内するように懸架固定システムを構成してもよい。
【0094】
より具体的には、格納手段は、組織修復時における懸架固定システムの管理を改良する目的でまたもつれおよび混乱を制限する目的でそれら構成部材の取り外しが段階的に行われるようにして、調節可能ループ構造(32)と通過構造(300)と組織アンカー(100、200)とを含み得る懸架固定システムの構成部材を、短縮バー1100の周囲に配置してもよい。
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、および
図3Eを参照すると、格納手段は、通過構造300が最初に取り外され得るようにして、さらに、通過構造300がフリーリム33bに対しておよびフリー調節可能ループ35bに対して事前に組み付けられているようにして、調節可能ループ構造32と通過構造300と組織アンカー100、200とを、短縮バー1100の周囲に配置してもよい。フリーリム33bおよびフリー調節可能ループ35bは、その後に、バー1100から取り外されてもよい。通過構造300と、フリーリム33bと、フリー調節可能ループ35bとが移植片に対して結合されている際には(
図3A)、懸架固定システム280の残部は、バー1100によって保持されたままであってもよい。
【0095】
追加的に、短縮バー1100は、懸架固定システム280などの開放調節可能ループ構造の閉塞を案内するツールとして動作してもよい。例えば、アンカー(100、200)は、スロット付き開口120a、120b(
図11C、
図11D、および
図11E)を露出させる向きでバー1100の内部に格納された状態で準備されてもよい。スロット付き開口120a、120bは、フリー調節可能ループ35bをスロット付き開口120a、120b内へと位置合わせさせて案内するために、短縮バー1100の案内面と位置合わせされてもよい。
【0096】
追加的に、短縮バー1100は、調節可能ループ構造32を短縮する際にはハンドルとして動作してもよく、これにより、外科医の手に対して印加される力を緩和してもよい。短縮バー1100は、例えば、調節可能ループ構造32のループ状リム端部33a、33bに対して動作可能に結合するための手段を含み、懸架固定システム280を、短縮構成に配置してもよい。その後、バー1100は、端部33a、33bに対して張力を印加しながら揺動および回転させてもよく、これにより、調節可能ループ構造のサイズを減少させてもよく、これにより、組織、移植片、または組織アンカーを、組織アンカー(100、200)に向けて引っ張ってもよい。
【0097】
よって、短縮バー1100は、調節可能ループ構造と組織アンカーと通過構造との少なくとも一つを含み得る懸架固定システムを格納するように構成された多機能ハンドルボディである。短縮バー1100は、また、開ループ調節可能構造を組織アンカーに対して組み付けることを案内するための手段を提供してもよい。短縮バー1100は、組織修復に従ってシステム構成部材の取り外しを段階的に行うために、懸架固定システムに対して組み付けられて準備されてもよい。短縮バー1100は、また、調節可能ループ構造を短縮/調整するために、事前に組み付けられた構成とは異なる構成で、調節可能ループ構造に対して再び組み付けてもよい。
【0098】
図11A、
図11B、
図11C、
図11D、および
図11Eは、懸架固定システムが取り外された状態で、短縮バー1100の様々な特徴を図示している。
図11Aおよび
図11Bから開始して、短縮バー1100は、一般に、単一ボディであってもよく、外科医の手の中に収まるサイズとされ得るものであり、調節可能ループ構造に対して張力を印加して短縮させる際に快適なものであり得る。短縮バー1100は、長手方向軸線X-Xと、楕円形または長円形の断面と、を規定した長尺ボディを規定してもよい。バー1100は、底面1117に沿って、ユーザのカールした指の中に収まるように構成された、より球根状のより大きな断面を有してもよい。バーの底面1117は、また、ハンドル1100がハンドル1100の正中線M-Mの近くで最も厚い断面を有するようにして長手方向軸線X-Xに沿って湾曲したような、弧状または凸状の湾曲面1110を規定してもよい。長尺の凸状湾曲面1110と球根状の底面1117とは、合わせて、調節可能ループ構造に対して張力を印加している際に外科医の指の中で静止するように成形されている。
【0099】
バー1100は、両端部に周方向スプール1113a、1113bを有した内側長さ部分1111を有している。バー1100は、スプール1113aから延びた第一側方端部1114を含み、この第一側方端部1114は、平面状とされ得る第一側方端面1124を有している。反対側に位置した第二側方端部1116は、スプール1113bから延びている。各スプールは、切欠1123a、1123bによって(それぞれ一つずつ)交差してもよい。各切欠1123a、1123bは、湾曲し得るとともに、「L」字形状または逆「L」字形状であってもよい。各切欠1123a、1123bは、
図11Eに最も明瞭に示すように、バー1100の厚さを通して延びている。バーの端部1114は、バーの端部1116とは相違してもよい。バーの端部1114は、内側部分1111から長手方向軸線X-Xに沿ってさらに延びてもよい。したがって、バー1100は、正中線M-Mに沿った平面に関して、非対称なボディであってもよい。バーの端部1114は、組織アンカーの一部を収容するためのスロット1150を含むサイズとされている。バーの端部1114は、アンカーに対して結合された可撓性ストランドの一部を収容するために、スロット1150から延びたチャネル1155を含む。
【0100】
バー1100は、周方向に延びた複数のリブ1112を規定してもよく、これらのリブ1112は、バー1100に対して構造的完全性を追加し得るとともに、製造工程に対応してもよく、材料の使用を低減してもよい。リブ1112の少なくともいくつかは、レリーフ1120、チャネル1130、および保持チャネル1140などの、内側長さ部分1111に沿って間隙を規定するような、不連続部分であってもよい。これらの間隙は、以下でより詳細に開示するように、調節可能ループ構造と通過構造とを含む懸架固定システムの一部に関する格納手段の少なくとも一部を提供してもよい。
【0101】
図11C、
図11D、および
図11Eは、例示的なボタンが組み付けられたバー1100に関する様々な図を図示している。
図11Cは、バー1100の背面を図示しており、背面は、中央部分1111に沿って保持スロットまたはチャネルを有していないものであってもよい。スロット1150は、ボタン100、200などのボタンの一部を収容するように構成されている。
図11Dは、スロット1150の内部に収容されたボタン100、200を図示している。チャネル1155は、スロット1150に対して連続しておりかつスロット1150から延びているとともに、また、スプール1113aに対しても連続しており、これにより、ボタンに対して結合された調節可能ループ構造(後の図に示す)の一部は、スロット1150の内部から、チャネル1155に沿って、スプール1113a内へとおよびスプール1113aの周囲へと、延び得るものとされている(
図12C)。
【0102】
スロット1150は、
図11Eに最も明瞭に見られるように、側方開口121a、121bを含む一部を露出させるようにして、ボタン100を収容してもよい。平面1124は、長手方向軸X-Xに対して直交していない角度で配向され得るとともに、皮質ボタンに対して開放型調節可能ループ構造のフリー調節可能ループ状端部35bを組み付ける時には、案内面を提供してもよい(フリー調節可能ループ状端部35bの小さな部分が、面1124に隣接して示されている)よって、フリー調節可能ループ状端部35bを、面1124に沿ってスライドさせることにより(矢印参照)、調節可能ループ状端部35bを、側方スロット121a、121bを通して、スロット付き開口120a、120b内へと挿通してもよく、これにより、開放型調節可能ループ構造32を閉塞してもよい(
図3Cおよび
図3D)。これは、好ましくは、本明細書で開示するように、フリーループ状端部35bを、移植片を通して挿通させた後に、行われる。
【0103】
図12Aは、懸架固定システム280を図示している。これは、ボタン100(より単純な形態で図示されている)と、調節可能ループ構造32と、を含む。短縮バー1100に対しての、懸架固定システム280の組付を理解するために、
図12Aは、懸架固定システム280を、部分1200aと1200bとに、仮想的に分割した様子を図示している。図に示すように、部分1200aは、通過構造300、(糸通し部材305および通過ループ310)フリー調節可能ループ状端部35b、フリーループ状端部33b、ロック通路38、を含んでもよい。部分1200aは、また、ロック通路38とアンカー100との間にわたって直接的に延びた組付済みループ状端部35aの一部を形成する可撓性ストランド30の一部を含んでもよい。部分1200aは、また、アンカー100と通路38との間にわたって直接的に延びたすべてのストランド30を含んでもよい。よって、ボタン100とロック通路38との間にわたって直接的に位置したような、第一ループ状端部33aおよびリム35bのストランド長さ部分を含んでもよい。図に示すように、部分1200bは、組付済みループ状端部35aに対しておよびループ状端部33aに対して組み付けられたアンカー100を含んでもよい。
【0104】
図12Bおよび
図12Cは、バー1100および懸架固定システムが、事前に組み付けられた構成で準備または容易される態様を、(組み合わせて)図示している。この例では、懸架固定システム280は、バー1100に対して組み付けられており、
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、および
図12Aを参照されたい。しかしながら、他の懸架固定システムが、同様の考え方に基づいて組み付けられてもよい。
図12Bおよび
図12Cの両方は、組み合わせて参照されるべきである。別の言い方をすれば、提示されているように、両方の部分1200aおよび1200bが、短縮バー1100に対して組み付けられてもよい。
図12Bは、部分1200bの組付だけを図示しており、システム280の残部(部分1200a)は、
図12Cにおいて、組付が示されている。部分1200aは、理解を明確にするため、
図12Bには示されていない。同様に、
図12Cには、部分1200aだけが示されており、部分1200bは、説明の簡略化するためだけに、図から省略されている。パッケージングされる際には、バー1100は、両方の部分1200aおよび1200bに対して事前に組み付けられており、事前に組み付けられた構成を見るには、
図12Bおよび
図12Cの両方を組み合わせて参照されるべきである。
【0105】
図12Bから開始すると、バー1100の正面が示されており、ストランドの経由に関する理解を向上させるために、端部1114の前半分をなす部分が、除去されている。懸架固定構造280は、スロット1150の内部に入れ子式に配置されたボタン100などの組織アンカーを有した、事前に組み付けられた構成で準備されてもよい。これは、また、少なくとも
図11C、11D、11Eにも示されている。ループ状端部33aを含む部分1200bは、端部1114内へと押し込まれ、チャネル1155に沿って、スプール1113aを横断して、チャネル1130内へと、チャネル1130に沿って、さらに、スプール1113bに向けて、延びてもよい。ループ状端部33aは、その後、スプール1113bの最も外側の円周面まわりにおいて、複数回にわたって巻回され、その後、クリート1133bに通して挿通され、これにより、所定位置に固定されるとともに、ループ状端部33aの巻き解きが防止されている。チャネル1130は、バー1100の周囲の円周リブ1112を中断することによって、規定されてもよい。チャネル1130は、長手方向軸線X-Xに対して平行に延びてもよい。チャネル1130は、両方のスプール1113aおよびスプール1113bのところに、開口を有してもよく、これにより、ループ状端部33aは、組み付けられた構成において、チャネル1155およびチャネル1130の内部に実質的に押し込まれて組み付けられる。スプール1113aおよび1113bは、チャネル1130の端部から延び得るとともに、チャネル1130の端部に対して連続してもよい。
【0106】
図12Cは、部分1200aの経由を図示している。この場合にも、
図12Cは、ストランドの経由に関する理解を向上させるために、端部1114の前半分をなす部分が除去された状態で、図示されている。可撓性ストランド30の複数の長さ部分は、アンカー100からチャネル1155に沿って延び得るとともに、スプール1113aの周囲を巻回してもよい。ロック通路38と、調節可能ループ状端部35bと、ループ状端部35bと、のすべては、スプール1113aの最外周の周囲を巻回してもよい(図を簡略化するために、図では簡略化した形態で図示されている)。加えて、可撓性ループ310は、また、スプール1113aの周囲を巻回してもよい。糸通し部材305は、保持チャネル1140に沿って延びてもよい。保持チャネル1140は、周方向リブ1112を中断することによって規定され、この中断は、保持チャネルの幅を規定する。保持チャネルは、糸通し部材305を緩く収容し得るものの、保持チャネル1140の、狭められた幅1141を形成する周方向リブの端部によって規定された最も中央の端部は、例外であり、それは、最も中央の端部が、糸通し部材の先端部305aを挟み込むように離間して配置されているからである。保持チャネル1140は、スプール1113aに対して連続してもよい。糸通し部材305は、長手方向軸線X-Xに対して平行に配向され得るとともに、端部1141において明確に保持されてもよい。糸通し部材は、チューブ、ニードル、または、可撓性材料の厚い部分、であってもよい。チャネル1140は、レリーフまたはキャビティ1120に対して連続してもよい。糸通し部材の先端部305aは、レリーフ1120内へと延びてもよい。レリーフ1120は、チャネル1140(
図11Eに最も明瞭に見られる)よりも深いものであってもよく、ユーザが、レリーフ1120の内部に指またはツールを配置することを可能とするとともに、糸通し部材の先端部305aを把持することを可能とする。糸通し部材の先端部305aは、レリーフ1120からアクセス可能であってもよく、またはレリーフ1120内へと延びてもよく、レリーフ1120は、短縮バー1100の内部に、外科医が糸通し部材305に対してアクセスすることを可能とするとともに短縮バー1100から糸通し部材305を取り外すことを可能とする空洞を、規定する。
【0107】
したがって、組織修復方法は、
図12Bおよび
図12Cにおいて組み合わせて示されているように、両方の部分1200aおよび1200bを含む固定システム280を使用して事前に組み付けられたバー1100を用意することから開始されてもよい。外科医は、まず、部分1200aを取り外してもよい。これは、まず、レリーフ1120内に指またはツールを配置するとともに糸通し部材305の先端部305aに対して係合することにより、チャネル1140から糸通し部材305を取り外すことを含む。取り外し後には、調節可能ループ構造280の一部は、スプール1113aから巻き解かれてもよい。これは、可撓性ループ310と、調節可能フリーループ状端部35bと、ループ状端部33bと、少なくとも一つのロック通路38とを、スプール1113aから、巻き解くことを含んでもよい。部分1200bがまだバー1100に対して組み付けられている状態で、糸通し部材305を、身体(組織/移植片または組織アンカー)を通して挿入することで、懸架固定システム280を身体に対して結合してもよい。身体を通して糸通し部材305を挿入する際には、皮質ボタン(100、200)は、スロット1150の内部に留まってもよい。糸通し部材305を、身体を通して挿入する際には、ループ状端部33aは、スプール1113bの周囲に巻回されたままであってもよい。糸通し部材305を挿入することは、最初にループ状端部33bを穴6aを通して引っ張ることにより次に調節可能ループ35bを骨穴6aを通して引っ張ることにより、骨穴6aを通して糸通し部材305を挿入することを含んでもよい。
【0108】
身体に対して結合された後には、バー1100は、また、フリー調節可能ループ状端部33bおよびフリーループ状端部35bをボタン100に対して容易に結合させるためのツールとして、機能してもよい。懸架固定システム280が身体に対して結合された後には、糸通し部材310は、ボタン100がバーのスロット1150の内部に保持されている状態で、バー1100の面1124に隣接して配置されたボタン100の開口(135b)を通して挿入されることで、ループ状端部33bをその開口を通して引っ張ってもよい。少なくとも
図11Cおよび
図11Dに示すように、ボタン100は、スロット1150によって配向されることで、側方スロット121a、121bと開口135bとを、露出させる。側方スロット121a、121bは、平面1124に対して位置合わせされてもよい。したがって、端部1114およびスロット1150は、側方スロット121a、121bを平面1124に対して位置合わせしつつ、この向きでボタン100を収容するのに充分な深さである。フリーループ状端部35bは、面1124に対してスライド的に係合し得るとともに、スロット付き開口121a、121bに向けて引っ張られてもよく、これにより、
図11Eに図示するように、調節可能ループ35bを、ボタン100の頂面108上を通して、スロット付き開口121a、121b内へと挿通させる。面1124は、側方スロット121a、121bの一部に対して一致してもよい。
【0109】
例示的な方法を続けると、懸架固定構造280の全体は、この時点で、部分1200bを取り外すことを含めて、短縮バー1100から取り外されてもよく、その後、短縮構成に再び組み付けられる。この短縮構成では、短縮バー1100は、システム280に対して張力を印加するツールであるとともに調節可能ループ構造32を短縮させるためのツールであってもよい。この張力は、また、システム280の任意のロック通路を、結び目なくロックしてもよい。
【0110】
短縮構成で組み付けるために、ループ状端部33a、33bは、それぞれ一つずつ、切欠1123a、1123b内へと切欠1123a、1123bに沿ってスライドさせることで、対応したスプール1113a、1113bのセグメントの周囲へと配置されてもよい。切欠1123a、1123bは、最も外側のスプール1113a、1113bに対して短縮した外周を規定しており、
図13Aおよび
図13Bに最も明瞭に示すように、ループ状端部33a、33bを配置させ得る二次面または貫通部を有している。ループ状端部33a、33bは、ボタン100からかなり長い距離にわたって延びることがあり、この長い距離は、面倒である。システム280を短縮する行為は、この距離をさらに増大させる可能性がある。バー1100は、好ましくは、最初に長手方向軸線まわりに回転駆動されてもよく(
図13Dでは、ステップ1として示されている)、これにより、端部33a、33bの長さを短縮させ、その後におよび実行時に、調節可能ループ構造を短縮させてもよい。調節可能ループ構造32を短縮することと、バー1100を回転駆動することとは、順次的におよび繰り返し的に、実行されてもよい。例えば、まず、バー1100を回転駆動することで、端部33a、33bの一部を、スプール1113a、1113bの周囲に巻回してもよく、次に、張力を印加することで(矢印ステップ2によって示されている)、調節可能ループのサイズ(端部33a、33bを長くする)を短縮してもよい。その後、バー1100を再び回転駆動することで、端部33a、33bを、対応したスプール1113a、1113b)の周囲にさらに巻回してもよく、これにより、バー1100とボタン100との間の距離を短縮してもよい。
【0111】
図13Bおよび
図13Cに示されているものは、スプール1113aの断面であり、最も外側の円周面1313aと、切欠1123aによって規定された第二面1323aと、が図示されている(一つのスプールだけが示されているが、スプールは、同様のものであってもよい)。スプール1113bは、同じ断面を有してもよい。第二面1323aは、短縮バー1100を横断した平面1313aを規定してもよい。第二面1323aは、バーが回転駆動される(ステップ1)際にループ状端部33a、33bがスプール1113aの周囲をスリップしてしまうことを阻止するように構成された「ショートカット」を規定してもよい。各ループ状端部33a、33bは、点「P」のところにスパイスまたは結び目を有して形成されてもよい。第二面1323aは、ループ状端部がスプール外周1313aの周囲を回転することを制限するのに充分なコーナーまたは不連続性を規定してもよく、これにより、ループ状端部33aは、バー1100が回転駆動される際に(ステップ1)スリップを起こすことなく、自身上へと優先的に折り重なって(
図13Cに図示するように)巻回されてもよい。各切欠1123a、1123bは、ループ状端部33a、33bが、対応したスプール1113a、1113bの周囲に巻回される際に、ループ状端部33a、33bのスリップまたはスライドを阻止するために、それぞれ対応したスプールのセグメントの内部にループ状端部(33a、33b)を配置するように構成されている。切欠(1123a、1123b)は、バー1100が長手方向軸線X-Xまわりに回転駆動される際に、ループ状端部の折り目を形成するように構成されている。
【0112】
当業者であれば、本開示が、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることは、理解されよう。したがって、上記の例は、あらゆる点において、本明細書で説明する開示に対する限定ではなく、例示と見なれるべきである。よって、本開示の範囲は、上記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示されており、したがって、特許請求の範囲の意味および等価性の範囲内にあるすべての変更がそこに包含されることが、意図されている。
【国際調査報告】