(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20240424BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240424BHJP
C08F 4/34 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F2/50
C08F4/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571540
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022033906
(87)【国際公開番号】W WO2022246336
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】メッサーナ、 アンドリュー ディー.
【テーマコード(参考)】
4J011
4J015
4J127
【Fターム(参考)】
4J011QA03
4J011QA06
4J011QA45
4J011QB01
4J011QB14
4J011QB24
4J011SA61
4J011SA84
4J011TA08
4J011UA01
4J011WA06
4J011WA09
4J015BA05
4J015BA13
4J127AA03
4J127AA04
4J127BA041
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
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4J127BC131
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4J127BG27Y
4J127CB123
4J127CB124
4J127CB151
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4J127CB154
4J127CC021
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4J127CC154
4J127CC161
4J127CC162
4J127CC163
4J127CC164
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4J127CC252
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4J127DA12
4J127DA61
4J127EA05
4J127EA13
4J127EA15
4J127FA14
(57)【要約】
【解決手段】
本明細書では、電磁スペクトルの放射線への曝露時の速硬化特性と深さ全体にわたる優れた硬化とのバランスを提供する、光硬化性組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(メタ)アクリレート成分;
(b)(メタ)アクリレート官能化樹脂成分;及び
(c)光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む開始剤成分
を含む、光硬化性組成物。
【請求項2】
前記光開始剤がトリフェニルベンゾイルオキシドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記共開始剤が1つ又は複数のペルオキシドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記共開始剤が、過酸化ベンゾイル及び過酸化ジクミルの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレート成分が、イソボルニル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアクリルアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート成分が、組成物の総重量に基づいて約25重量%~約80重量%の範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記(メタ)アクリレート官能化樹脂成分が、(メタ)アクリレート官能化ウレタン、(メタ)アクリレート官能化ポリエステル、及びポリ(イソブチレン)ジ(メタ)アクリレートの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート官能化樹脂成分が、約500~約100,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレート官能化樹脂成分が、組成物の総重量に基づいて約15~約50重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記(メタ)アクリレート官能化樹脂成分が、組成物の総重量に基づいて約25~約35重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記(メタ)アクリレート成分のイソボルニル(メタ)アクリレートが、組成物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
前記(メタ)アクリレート成分のイソボルニル(メタ)アクリレートが、組成物の総重量に基づいて約15重量%~約40重量%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項13】
N,N-ジメチルアクリルアミドが、組成物の総重量に基づいて約20重量%~約30重量%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記開始剤成分が、光開始剤としてトリフェニルベンゾイルオキシドを含み、共開始剤として過酸化ベンゾイル及び過酸化ジクミルのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記開始剤成分が、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記開始剤成分の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて約0.5重量%~約5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記開始剤成分の共開始剤が、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約3重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記開始剤成分の光開始剤及び共開始剤が、約1:1~約500:1の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
顔料をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
(a)組成物の総重量に基づいて約15重量%~約40重量%の量のイソボルニル(メタ)アクリレート;
(b)組成物の総重量に基づいて約20重量%~約30重量%の量のN,N-ジメチルアクリルアミド;
(c)組成物の総重量に基づいて約25重量%~約35重量%の量の(メタ)アクリレート官能化樹脂;並びに
(d)開始剤成分として、リメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、過酸化ベンゾイル及び/又は過酸化ジクミルの1つ又は複数との組み合わせ;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記(メタ)アクリレート官能化樹脂成分が、4,4-(1-メチルエチリデン)ビス-シクロヘキサノ-ルの、1,3-ジイソシアナトメチルベンゼン及びテトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノマーとのポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも約2秒間、405nmの放射線源に100mW/cm
2の強度で曝露して組成物を硬化すると、硬化した組成物は組成物の体積全体にわたる硬化の深さを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
着色料をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
(a)一定量の組成物を少なくとも第1の基材に塗布する工程と、
(b)前記組成物を405nmの放射線源に100mW/cm
2の強度で曝露して、組成物の体積全体にわたって組成物を硬化させる工程と、
を含む、請求項1に記載の光硬化性組成物を硬化する方法。
【請求項25】
前記第1の基材を第2の基材に接着する工程を含み、前記第1の基材と前記第2の基材はそれぞれ医療機器の部品であり、任意で、その後、前記第1の基材を前記第2の基材に接着することによって作製された接着部品を滅菌する工程を含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁スペクトルの放射線に曝露時の速硬化特性と、優れた深さ方向の硬化とのバランスを有する光硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性接着剤組成物は、医療機器の組み立て用途に広く使用されている。多くは、良好なタックフリー硬化時間、良好な固定時間、及び良好な引張強さ等の物理的特性を備えて商品化されている。このリストに明らかに欠けているのは、深さ方向の硬化である。
【0003】
深さ方向の硬化とは、分注された光硬化性接着剤の試料が反応し、反応した接着剤が「z」方向に流動しない能力を意味する。深さ方向の硬化は、光硬化性接着剤では達成するのが難しい物理的特性であった。
【0004】
今まで。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、
(a)(メタ)アクリレート成分;
(b)(メタ)アクリレート官能化樹脂成分;及び
(c)光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む開始剤成分;
を含む光硬化性組成物が提供される。
【0006】
組成物を硬化させるために少なくとも約2秒間、例えば100mW/cm2の強度で405nmの放射線を発する放射線源等の放射線源に曝露すると、硬化した組成物は、組成物の体積全体にわたって硬化の深さを示す(深さ又は体積全体にわたる硬化とも呼ばれる)。
【0007】
一態様では、本発明は、(a)組成物の総重量に基づいて約5~約50重量%、例えば約15~約40重量%の量のイソボルニル(メタ)アクリレート;(b)組成物の総重量に基づいて約20~約30重量%の量のN,N-ジメチルアクリルアミド;(c)組成物の総重量に基づいて約15~約50重量%、例えば約25~約35重量%の量の(メタ)アクリレート官能化樹脂;及び(d)開始剤成分としての、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、過酸化ベンゾイル及び/又は過酸化ジクミルの1つ又は複数との組み合わせ;を含む光硬化性組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、この方法は、本発明の組成物を少なくとも第1の基材に塗布する工程と、発光ダイオ-ド(「LED」)から放出されてよい電磁スペクトルの放射線に組成物を曝露して、前記組成物を深さ方向に硬化させる工程とを含む、光硬化性組成物を硬化する方法を提供する。
【0009】
驚くべきことに、光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む開始剤成分は、LEDから発せられるような電磁スペクトルの放射線に曝露されたときに組成物が硬化するときに、組成物に硬化の深さを与えることが見出された。より具体的には、開始剤成分は、光開始剤としてのトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、共開始剤としての過酸化ベンゾイル及び/又は過酸化ジクミルの1つ又は複数との組み合わせである。
【0010】
本発明の組成物の成分は、少なくともウレタン(メタ)アクリレート樹脂成分;(メタ)アクリレート成分;及び開始剤成分を包含し、適切な溶解又は分散を保証するのに十分な時間、任意の順序で混合される。この組成物は、必要に応じて、ロックタイトブランドのキュアジェットのようなLEDランプによって放射されるUV、可視光及びUV/可視光の放射線、特に405nm放射線等の電磁スペクトルの放射線によって硬化されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、様々な対照配合物及び試料の硬化の深さ(mm) 対 時間(秒)の棒グラフを示す。
【
図2】
図2は、様々な対照配合物及び試料の硬化の深さ(mm) 対 時間(秒)の棒グラフを示す。
【
図3】
図3は、様々な対照配合物及び試料の硬化の深さ(mm) 対 時間(秒)の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上で述べたように、本発明は、一態様において、
(a)(メタ)アクリレート成分;
(b)(メタ)アクリレート官能化樹脂成分;及び
(c)光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む開始剤成分;
を含む光硬化性組成物を提供する。
【0013】
例えば100mW/cm2の強度で405nmの放射線を発する放射線源等の放射線源に、約30秒間、例えば約10秒間、望ましくは約2秒間曝露して組成物を硬化すると、硬化した組成物は、組成物の体積にわたる硬化の深さ(深さ又は体積全体にわたる硬化とも呼ばれる)を示す。
【0014】
一態様では、本発明は、(a)組成物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%、例えば約15重量%~約40重量%の量のイソボルニル(メタ)アクリレート;(b)組成物の総重量に基づいて約20重量%~約30重量%の量のN,N-ジメチルアクリルアミド;(c)組成物の総重量に基づいて約15重量%~約50重量%、例えば約25重量%~約35重量%の量の(メタ)アクリレート官能化樹脂;並びに(d)開始剤成分として、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、過酸化ベンゾイル及び/又は過酸化ジクミルの1つ又は複数との組み合わせ;を含む光硬化性組成物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、本発明の組成物を少なくとも第1の基材に塗布する工程と、発光ダイオ-ド(「LED」)から発せられるような電磁スペクトルの放射線に組成物を曝露して、組成物を深さ全体にわたって、又は組成物の体積全体にわたって硬化させる工程を含む、光硬化性組成物を硬化する方法を提供する。
【0016】
驚くべきことに、光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む開始剤成分は、LEDから放出されてよい電磁スペクトルの放射線に曝露されたときに組成物が硬化するときに、組成物に硬化の深さを提供することが見出された。より具体的には、開始剤成分は、光開始剤としてのトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、共開始剤としての過酸化ベンゾイル及び/又は過酸化ジクミルの1つ又は複数との組み合わせである。通常、光硬化性組成物は、組成物の表面にスキンオーバー層を形成し、湿気硬化若しくは嫌気硬化等の二次硬化機構が存在しない限り、深さ方向に硬化することはほとんどない。しかしながら、ここで、本発明の組成物は、電磁スペクトルの放射線に曝露されると、組成物の深さ又は体積全体にわたって硬化を示す。
【0017】
(メタ)アクリレート成分は、多数の(メタ)アクリレートモノマーを包含してよく、(メタ)アクリレートモノマーの一部は芳香族であり、他のものは脂肪族であり、さらに他のものは脂環式である。このような(メタ)アクリレートモノマーの例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレートのような二官能性又は三官能性(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、ベンジルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ-(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、並びにエトキシル化ビスフェノール-A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)のようなビスフェノール-Aモノ及びジ(メタ)アクリレート、並びにエトキシル化ビスフェノール-F(メタ)アクリレートのようなビスフェノール-Fモノ及びジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0018】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の総重量に基づいて、約25重量%~約80重量%、例えば約55重量%~約65重量%の量で存在すべきである。
【0019】
特に好ましい(メタ)アクリレートモノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアクリルアミドが挙げられ、これらを組み合わせて使用してもよい。
【0020】
組み合わせて使用する場合、(a)イソボルニル(メタ)アクリレートは、総重量に基づいて約5重量%~約50重量%、例えば約15重量%~約40重量%の量であり、(b)N,N-ジメチルアクリルアミドは、組成物の総重量に基づいて約20重量%~約30重量%の量である。
【0021】
(メタ)アクリレート官能化樹脂成分としては、約500~約100,000Mn、例えば約2,500~約25,000Mnの数平均分子量を有するオリゴマー、特にウレタン結合を有するオリゴマーが挙げられる。数平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィ-により測定することができる。
【0022】
一態様では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約15重量%~約50重量%、例えば約25重量%~約35重量%の量で存在する(メタ)アクリレート官能化樹脂成分を包含する。
【0023】
(メタ)アクリレート官能化樹脂の例は、(メタ)アクリレート官能化ウレタン、(メタ)アクリレート官能化ポリエステル、及びポリ(イソブチレン)ジ(メタ)アクリレートである。
【0024】
(メタ)アクリレート官能化樹脂成分として適切な(メタ)アクリレート官能化ウレタン(又はウレタン(メタ)アクリレート樹脂)としては、例えば、バッチェイの米国特許第4,018,851号、同第4,295,909号、及び同第4,309,526号、並びにラピンらの米国特許再発行第33,211号、同第4,751,273号、同第4,775,732号、同第5,019,636号、及び同第5,139,872号に記載されるものが挙げられる。
【0025】
こうした(メタ)アクリレート官能化ウレタンの他の例としては、テトラメチレングリコールウレタンアクリレートオリゴマー及びプロピレングリコールウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリレート官能化ウレタンの更に別の例は、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び1-ドドサノ-ルでキャップされたポリプロピレン等の単官能性ウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0027】
これらには、トルレン-2,4-ジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたポリテトラメチレングリコールエーテル;イソホロンジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたポリテトラメチレングリコールエーテル;4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を末端とし、2-ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたポリテトラメチレングリコールエーテル;及びトリレン-2,4-ジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたポリプロピレングリコール等の二官能性ウレタンメタクリレートオリゴマーも包含される。
【0028】
(メタ)アクリレート官能化樹脂成分は、多官能性(例えば、二官能性又は三官能性)ウレタンアクリレートオリゴマー、より望ましくは脂肪族ポリエーテルウレタンアクリレートであってよい。適切な(メタ)アクリレート官能化樹脂成分の例は、ポリエーテル骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーとして記載されているBR-582-E8(コネチカット州トリントンのダイマックス社から市販されている)である。BR-582-E8は下表に示される。
【0029】
ダイマックスは、約1~約3の官能性を有し、約50超過の伸び%を示す一連の他の(メタ)アクリレート官能化ウレタンも市販している。ダイマックスのそのような(メタ)アクリレート官能化ウレタンの1つは、三官能性ウレタンアクリレートオリゴマー、より具体的には、BR-990として知られる脂肪族ポリエーテルウレタントリアクリレートである。
【0030】
(メタ)アクリレート官能化ウレタンの中には、芳香族、脂肪族、又は脂環式ジイソシアネートと反応させ、ヒドロキシアクリレートでキャップされたポリエステル又はポリエーテルをベースとするものがある。
【0031】
例えば、イソホロンジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヘキサン二酸とジエチレングリコールのポリエステル(CAS72121-94-9);トリレン-2,6-ジイソシアネート末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたポリプロピレングリコール(CAS37302-70-8);4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヘキサン二酸とジエチレングリコールのポリエステル(CAS69011-33-2);トリレン-2,4-ジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヘキサン二酸と1,2-エタンジオ-ルと1,2-プロパンジオ-ルのポリエステル(CAS69011-31-0);4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヘキサン二酸と1,2-エタンジオ-ルと1,2-プロパンジオ-ルのポリエステル(CAS69011-32-1);及び4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたポリテトラメチレングリコールエーテル等の二官能性ウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0032】
ダイマックスから市販されている有用な(メタ)アクリレート官能化ウレタン樹脂としては、BR-930D[製造業者によると、60℃での公称粘度が7,700であり、DMAによるTg(℃)が95であり、柔軟性と耐候性を備えたポリエーテルウレタンアクリレートと記載されている。製造業者は、BR-930Dは3D印刷樹脂に最適な特定の用途向けに次の機能を備えていると宣伝している;熱変形温度が高い;優れた靭性と耐衝撃性を提供する;耐候性を向上させる;皮膚刺激性が低くなる。];及びBR7432G130[製造業者によると、25℃での公称粘度が80,000であり、DMAによるTg(℃)が28であり、柔軟性と耐候性を有するポリエステルウレタンアクリレートであると記載されている。製造業者は、BR7432G130が特定の用途向けに次の機能を備えていると宣伝している;靭性を与える;引張強度が高い;耐衝撃性を向上させる;ポリマーフィルムに接着する;エラストマ-性。];及びBR-3741AJ[製造業者によると、60℃での公称粘度が25,000であり、DMAによるTg(℃)が-50であり、柔軟性と耐候性を有するポリエーテルウレタンアクリレートであると記載されている。製造業者は、BR-3741AJが特定の用途向けに次の機能を備えていると宣伝している;柔らかさと柔軟性を強化する;光学的な透明性が向上した;黄変しない;接着力を向上させる;幅広い基材に接着する;加水分解安定性を示す;耐油性と耐薬品性があり、PSAに最適である。]が挙げられる。
【0033】
したがって、(メタ)アクリレート官能化ウレタンは様々な材料から選択してよく、その一部はダイマックスから市販されており、特定の顕著な特徴と共に以下の表に記載されている。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
一例として、BR-345(メタ)アクリレート官能化ウレタンは、次の反応スキ-ムに従って製造されてよい。
【0039】
【0040】
有用な(メタ)アクリレート官能化ウレタンの別の例は、、4,4-(1-メチルエチリデン)ビス-シクロヘキサノ-ルの、1,3-ジイソシアナトメチルベンゼン及びテトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノマーとのポリマーとして知られるブロック樹脂(CAS番号2243075-64-9)であり、プロピレングリコールモノマーとジカルボン酸を反応させてポリエステルジオ-ルを形成し、その後トルエンジイソシアネートと反応させ、最後にヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートでキャッピングするという連続工程で製造される。
【0041】
有用な(メタ)アクリレート官能化ウレタンのさらに別の例は、飽和ポリエステルジオ-ル(商品名デスモフェンS-1011-35で販売されているもの等)とジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート(デスモジュ-ルWとして市販されているもの等)から作成され、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャッピングされたブロック樹脂であり、ブロック樹脂はIBOAで希釈される。
【0042】
TDI-HBPA又はIPDI-HMTDのウレタン結合を介して結合し、TDI-HPMA又はIPDI-HEMAでキャップしたPOLYMEG2000(テトラヒドロフランを重合して、エーテル結合で接続された繰り返しテトラメチレン単位の主鎖を持ち、第一級ヒドロキシル単位でキャップされた直鎖状ジオ-ルを形成することによって生成されるポリテトラメチレンエーテルグリコール)の中央セグメントを含有する樹脂を使用してよい。また、ヒドロキシ官能化ポリエーテル、ポリエステル(クラレポリオ-ルP-2010として市販されている)及びTDIから作られた樹脂を、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートとともに使用してもよい。同様に、ポリTHF(重量平均分子量(「Mw」)2,000)及びTDIから作られた樹脂を、HBPA、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートとともに使用してもよい。
【0043】
場合によっては、米国特許第10,745,590号に記載されているように、ゲル浸透クロマトグラフィ-(「GPC」)で測定して35000~60000g/molのMwを有する疎水性(メタ)アクリレート官能化ウレタンが望ましい場合がある。Mwがこの範囲にあると、硬化物の凝集力が強く、伸びも大きくなる可能性がある。好ましくは、疎水性(メタ)アクリレート官能化ウレタンは、(メタ)アクリレート基の官能価が2以下であるべきである。(メタ)アクリレート基の官能価がこの範囲にあると、硬化物も高い伸びを示す可能性がある。これらの疎水性(メタ)アクリレート官能化ウレタンは、示差走査熱量測定(「DSC」)によって測定されるように、-60℃~20℃のガラス転移温度値(「Tg」)を有する必要がある。
【0044】
疎水性(メタ)アクリレート官能化ウレタンは、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びそれらの混合物、例えば、ポリブタジエンベースのウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソブチレンベースのウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソプレンベースのウレタン(メタ)アクリレート、ポリブチルゴムベースのウレタン(メタ)アクリレート及びそれらの混合物から選択されてよい。適切な市販の疎水性ウレタン(メタ)アクリレートとしては、日本合成から入手可能なUT-4462及びUV36301B90;サ-トマ-から入手可能なCN9014;並びにSHIIN-A T&Cから入手可能なSUO-H8628が挙げられる。
【0045】
(メタ)アクリレート官能化ウレタンとしては、交互のハ-ドセグメントとソフトセグメントの主鎖と少なくとも2つの末端とを有するポリウレタンブロックコポリマーも挙げられる。それぞれの末端は、ビニルエーテル、アルケニルエーテル、又は(メタ)アクリレート基を末端としてもよい。このようなポリウレタンブロックコポリマーは、以下の一般式で表されてよい:
【0046】
【0047】
式中、Aは、ポリイソシアネートと芳香族、複素環式又は脂環式ポリオ-ルとの反応生成物等のハ-ドセグメントであり;
Bは、二価のソフトセグメントであり、Xはq価のソフトセグメントであり、例えばB及びXはそれぞれ、ポリエーテルポリオ-ル、ポリエステルポリオ-ル、又は水素化炭化水素エラストマ-に由来する二価及び多価の基、例えばポリブタジエンであってよく;
Dは、ビニルエーテル又は(メタ)アクリレート基であり、例えば、ビニルエーテルは、ヒドロキシ官能性ビニルエーテル、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ-ルモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオ-ルモノビニルエーテル、及び3-アミノプロピルビニルエーテルから誘導されてよく、又はビニルエーテル末端基は、アミノ官能性ビニルエーテルから誘導することができ、その場合、ビニルエーテル尿素でキャップされたポリウレタンが得られてよい;
Pは0~10であり;
qは2~6である。
【0048】
(メタ)アクリレート官能化ウレタンの別の例は、ポリウレタン主鎖を有するものであり、その少なくとも一部はイソホランジイソシアネートから形成されたウレタン結合を包含する。例えば、そのような(メタ)アクリレート官能化ウレタンは、アルキレングリコール(ポリプロピレングリコール等)、イソホランジイソシアネート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシルエチルアクリレート等)から作られる。他の例としては、イソホロンジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヘキサン二酸とジエチレングリコールのポリエステル;イソホロンジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたポリテトラメチレングリコールエーテル;及びイソホロンジイソシアネートを末端とし、2-ヒドロキシエチルアクリレートでキャップされたヒドロキシ末端ポリブタジエンが挙げられる。
【0049】
開始剤成分は、光開始剤と共開始剤の組み合わせを含む。
【0050】
開始剤成分は、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約5重量%、例えば約0.5重量%~約4重量%の量で存在すべきである。
【0051】
光開始剤成分は、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-アセチック2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、ホスフィンオキシドフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)、ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェート(1-)、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択されてよい。望ましくは、光開始剤成分は、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドであるべきである。
【0052】
共開始剤は、フリ-ラジカル機構によって作用する限り、多くの材料から選択されてよい。共開始剤は、過酸化ベンゾイル及び過酸化ジクミルの1つ又は複数から選択されるべきである。
【0053】
光開始剤は、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~約5重量%、例えば約0.5重量%~約4重量%の量で存在してよい。
【0054】
共開始剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%、例えば約0.5重量%~約4重量%の量で存在してよい。
【0055】
本発明の組成物はまた、顔料又は染料のような着色剤等の1つ又は複数の添加剤を包含してもよい。カ-ボンブラックはこうした着色剤の1つであり、組成物の約0.0025~約5重量%、例えば組成物の約0.1~約1重量%の量で使用されてよい。二酸化チタンは別の有用な着色剤であり、組成物の約0.01~約3重量%、例えば組成物の約0.1~約1重量%の量で使用されてよい。さらに、染料又は顔料の形態の着色剤を使用してもよく、例えば、赤色、黄色、青色、緑色及び紫色から選択されてよい。
【0056】
一態様では、本発明は、組成物を少なくとも第1の基材に塗布する工程と、本明細書に記載されるようなLED光源から発せられるような電磁スペクトルの放射線に組成物を曝露する工程とを含む、本発明の組成物を硬化する方法を提供する。
【0057】
少なくとも1つの基材はプラスチック材料であってもよく、望ましくはUV、可視光又はUV/可視光に対して透明であるべきである。例として、そのような放射線に対して望ましくは透明なプラスチック材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカ-ボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリエチレンテレフタレ-ト及び熱可塑性エラストマ-のうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0058】
本発明の組成物を使用して接着される第1の基材及び第2の基材のうちの少なくとも1つは、
(i)例えば、生理食塩水又は血液等の電解質等の液体並びに酸素等の気体を包含する医療用流体の排水を包含する移送用のチュ-ブ;
(ii)例えば血管系内に挿入するため、又は尿路等の管内に挿入するための、カテ-テル等の体内に挿入される形態のチュ-ブ;
(iii)埋め込み型デバイスの一部であるチュ-ブ;
(iv)静脈カテ-テル等の対象者に挿入するためのカニュ-レに接続するためのチュ-ブ;
(v)インスリンポンプを包含するポンプ、又は血液透析装置等の医療機器への接続用のチュ-ブ;
(vi)医療機器からのワイヤ-を収納する等、ワイヤ-を収納するためのシ-スとして使用するためのチュ-ブ;
を含むことができる。
【実施例】
【0059】
本発明の組成物は、例えば、405nmの波長で発光するLED光源を使用して、100mW/cm2の強度の電磁スペクトルの放射線に曝露すると、約30秒未満、例えば約10秒未満、典型的には約5秒未満、例えば約2秒で硬化する。
【0060】
最初に、3つの市販の光硬化性製品を評価し、特定の物理的特性をそれらの性能のベンチマークとして示した。市販品は、ロックタイト3341、ロックタイト3921、及びロックタイト3961である。製造業者によると;
ロックタイト3341は、透明で淡黄色の光硬化型万能アクリル系瞬間接着剤であり、要望に応じた高い硬化速度で金属や応力に敏感なプラスチックに適している。硬化深さ>13mm、タックフリー時間15秒、固定時間は8秒、ショア硬度:D27、低粘度500mPa・sである。製造業者は、ロックタイト3341は、ウレタンアクリレートオリゴマー(30~60重量%)、N’N-ジメチルアクリルアミド(10~30重量%)、アクリレートエステル(10~30重量%)、ウレタンアクリレートオリゴマー(10~30重量%)、イソボルニルアクリレート(5~10重量%)、ホスフィンオキシド(1~5重量%)、アクリレートエステル(1~5重量%)、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート(0.1~1重量%)を含有すると報告している。
ロックタイト3921は、応力に敏感なプラスチックを接合する際に柔軟な接着を提供するように配合された光硬化型アクリル系接着剤である。この製品は硬化深さ>13mm、固定時間わずか3秒である。製造業者は、ロックタイト3921は、N’N-ジメチルアクリルアミド(10~30重量%)、アクリレートモノマー(10~30重量%)、及び置換シラン(1~5重量%)を含有すると報告している。
ロックタイト3961は、イソボルニルアクリレート(30~60重量%)、N’N-ジメチルアクリルアミド(10~30重量%)、光開始剤(1~3重量%)、ウレタンアクリレートオリゴマー(10~30重量%)、エチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(1~5重量%)、アクリル酸オリゴマー(1~5重量%)、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(1~5重量%)、2-プロペン酸(1~5重量%)、2-カルボキシエチルエステル(1~5重量%)、アクリレートエステル(1~5重量%)、アクリル酸(1~5重量%)、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート(0.1~1重量%)を含有する。
【0061】
3グラム量の各試料をアルミニウムパンに分注し、ロックタイトブランドの405nmキュアジェット(LED放射線源)から発せられる電磁スペクトルの放射線に曝露し、100mW/cm2の光強度で硬化させた。
【0062】
これら3つの市販品のそれぞれに、ルペロックスA98(無水過酸化ベンゾイル)0.5重量%を混合しながら添加し、これらの試料(試料番号1~3)をアルミパンに一定量分注し、ロックタイトブランドの405nmキュアジェットから発せられる電磁スペクトルの放射線に曝露し、100mW/cm2の光強度で硬化させた。
【0063】
3つの市販の試料で観察された硬化の深さを、過酸化ベンゾイルを添加したそれぞれの市販の試料に基づく試料番号1~3と比較すると、わずか5秒の露光でも、10秒の露光でも確実に硬化の深さが顕著に増加することがわかる。以下の表1は、観察されたデータをまとめたものであり、
図1は、そのデータを棒グラフで視覚的に示している。
【0064】
【0065】
表1に取り込まれ、
図1に示されている情報は、試料番号1~3のそれぞれについて、それぞれのベースの市販品と比較して、わずか5秒の露光で硬化深度が改善され、10秒の露光後にはかなり顕著であることを示している。
【0066】
次に、ロックタイト3921を対照として使用し、過酸化ベンゾイルを0.5重量%添加して試料番号4を作製し、0.1重量%添加して試料番号5を作製した。これら3つの試料のそれぞれをビーカーに分注し、ロックタイトブランドの405nmキュアジェットから発せられる電磁スペクトルの放射線に100mW/cm
2の光強度で30秒間曝露した。ロックタイト3921及び試料番号4は、20グラムずつ分注し、試料番号5は30gずつ分注した。以下の表2は、観察されたデータをまとめたものであり、
図2は、そのデータを棒グラフで視覚的に示している。
【0067】
【0068】
表2に取り込まれ、
図2に示される情報は、電磁スペクトルの放射線に30秒間曝露した後、ベースとなる市販製品であるロックタイト3921と比較して、試料番号4~5のそれぞれの硬化深さが改善されていることを示している。実際、過酸化ベンゾールを添加すると、4~5倍以上の硬化深さが観察された。
【0069】
対照としての3つの市販の試料のうちの1つ又は複数からモデルベース配合物に移行して、より徹底的な評価が行われた。モデルベース配合物は、35重量%のIBOA、35重量%のDMAA、及び30重量%のボマールBR-582-E8から作製された。ボマ-ルBR-582-E8は、脂肪族ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーであり、製造業者であるダイマックス社(コネチカット州トリントン)によれば、靭性と柔軟性のバランスを提供するとされている。ダイマックスは、このオリゴマー製品を金属及びプラスチック基材上のシングルコ-トの柔軟なコ-ティングに使用することを強く推奨しており、耐衝撃性及び耐屈曲性のコ-ティングに優れた選択肢であり、耐摩耗性、柔軟性、光沢、加水分解安定性、耐候性、非黄変特性も実証する。ダイマックスは、このオリゴマー生成物のDMAによるTgが23℃、公称粘度が50℃で60,000cPであり、高密度ポリエチレンではないものの、様々な基材を接着すると報告している。
【0070】
モデルベース配合物に、光開始剤であるトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを、1重量%又は3重量%の量で添加した。次に、光開始剤を含有するモデルベース配合物に、過酸化ベンゾイル又は過酸化ジクミルを0.5重量%又は1重量%の量で添加した。このようにして、6つの試料を作成し、試料番号6~11と呼ぶ。これら6つの試料のそれぞれを3グラムずつアルミニウムパンに分注し、ロックタイトブランドの405nmキュアジェットから発せられる電磁スペクトルの放射線に100mW/cm
2の光強度で2、5、10又は30秒間曝露した。以下の表3は観察されたデータをまとめたものであり、
図3は、そのデータを棒グラフで視覚的に示している。
【0071】
【0072】
表3に取り込まれ、
図3に示される情報は、試料番号7及び8(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド3重量%及び過酸化物開始剤1重量%)並びに試料番号10及び11(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド1重量%及び過酸化物開始剤0.5重量%)のそれぞれについて、それぞれの対照(試料番号6--トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド3重量%及び過酸化物開始剤0重量%;試料番号7--トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド1重量%及び過酸化物開始剤0重量%)と比較して硬化深さが改善されていることを示している。実際、過酸化物のいずれかを2つの量のそれぞれで添加すると、硬化の深さの大幅な改善が観察された。
【0073】
ロックタイト3953にカーボンブラック(モナーク700)を0.1重量%の量で添加した。このようにして、試料番号12を作製した。1重量%の量の共開始剤である過酸化ベンゾイルもその配合物の一部に添加して、試料番号13を調製した。これらの試料を28グラムずつプラスチックの50mLビーカーに分注し、ロックタイトブランドの405nmキュアジェットから放射される電磁スペクトルの放射線に200mW/cm2の光強度で30秒間曝露した。
【0074】
【0075】
表4に得られた情報は、カーボンブラックを含有する試料番号13の硬化の深さを示す。この硬化の深さは、共開始剤が存在しない場合の硬化の深さよりも10倍有意である。通常、着色剤により光透過率が低下するため、着色剤の存在により光硬化性組成物の硬化能力が妨げられることが予想される。しかしながら、ここではそうではないことは明らかである。
【国際調査報告】