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特表2024-518921放射線曝露後の基板を処理するチャンバおよび方法
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  • 特表-放射線曝露後の基板を処理するチャンバおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】放射線曝露後の基板を処理するチャンバおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20240426BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G03F7/38 511
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567148
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022018523
(87)【国際公開番号】W WO2022235327
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,598
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/531,108
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー, ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ブッフバーガー, ダグラス エー., ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イー, エリー ワイ.
【テーマコード(参考)】
2G084
2H196
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB23
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD22
2G084DD55
2G084DD63
2G084FF04
2G084FF15
2G084FF38
2H196AA25
2H196FA01
2H196FA04
2H196JA03
(57)【要約】
本明細書では、露光後焼成動作を実行するための方法および装置について説明する。この装置はプレートスタックを含み、ディフューザーを使用して第1の高イオン密度プラズマ内のイオン濃度を低下させて第2の低イオン密度プラズマを形成する前に、第1の高イオン密度プラズマの形成を可能にする。第2の低イオン密度プラズマは電子雲またはダークプラズマである。基板支持体上に配置された基板の露光後焼成中に、基板支持体とディフューザーとの間に、第2の低イオン密度プラズマを介して電場が形成される。第2の低イオン密度プラズマは、電場の印加中に基板支持体とディフューザーとを電気的に結合する。プレートスタックには電源と絶縁体とが装備されており、処理チャンバの3つの領域内でプラズマの形成または変更を可能にする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造に使用するのに適した基板処理のための装置であって、
面板と、
前記面板に電気的に結合されたソース整合デバイスと、
前記面板の反対側に配置されたディフューザーと、前記面板と前記ディフューザーの第1の側との間に配置されたプラズマ形成空間と、
前記面板と前記ディフューザーとの間に配置された絶縁体と、
前記ディフューザーの第2の側によって部分的に形成された処理空間と、
前記ディフューザーの反対側の前記処理空間内に配置され、その中に1つまたは複数の加熱装置を備える基板支持体と、
前記ディフューザーおよび前記基板支持体と電気的に接続され、前記ディフューザーと前記基板支持体との間に垂直方向の電場を生成するように構成された電圧源と、
コントローラであって、前記装置に、
前記プラズマ形成空間に処理ガスを流し込み、
第1のイオン濃度を有する第1のプラズマを形成し、
前記第1のプラズマを前記ディフューザーに流し、約10イオン/cm~約10イオン/cmの第2のイオン濃度を有する第2のプラズマを形成し、
前記ディフューザーと前記基板支持体との間に電圧差を印加し、前記第2のプラズマ全体に電場を形成し、
前記電場を印加しながら、前記基板支持体上に配置されたレジスト層を有する基板を約75℃~約300℃の温度に加熱する、
という動作を実行させるように構成された、コントローラと、
を備える、基板処理のための装置。
【請求項2】
前記処理ガスが不活性ガスである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のプラズマが、約10イオン/cm~約1010イオン/cmの第1のイオン濃度を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ディフューザーを機械的に支持するように構成されたシャワーヘッドスペーサと、前記シャワーヘッドスペーサの半径方向内側に配置され、前記処理空間の一部を形成する上部チャンバライナと、をさらに備え、前記上部チャンバライナがセラミック材料から形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ディフューザーの中央部分の厚さが約5mm~約40mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ディフューザーが電気的に接地されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
基板を処理するための方法であって、
プラズマ形成領域に処理ガスを流入させることと、
前記プラズマ形成領域内の前記処理ガスから第1のイオン密度を有する第1のプラズマを形成することと、
ディフューザーを通して前記第1のプラズマを処理領域に流し、前記第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を有する第2のプラズマを形成することと、
基板と前記ディフューザーとの間の前記処理領域内の前記第2のプラズマ全体に電場を印加することと、
前記基板全体に前記電場を印加しながら、基板支持体内の1つまたは複数の加熱装置を使用して前記基板を加熱することによって、前記基板上に形成されたレジスト層を焼成することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記処理ガスが不活性ガスである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスがヘリウムとアルゴンの1つまたは組み合わせである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が約75°C~約300°Cの温度に加熱される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のプラズマが、約10イオン/cm~約10イオン/cmの第2のイオン濃度を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のプラズマが、約10イオン/cm~約1010イオン/cmの第1のイオン濃度を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レジスト層の焼成中の前記基板支持体と前記ディフューザーとの間の距離が約2mm~約60mmである、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ソース整合デバイスが面板に電気的に結合されており、前記第1のプラズマの形成中に前記面板にRF電力を印加し、電圧源が前記ディフューザーおよび前記基板支持体と電気的に接続されており、前記ディフューザーと前記基板支持体との間に電場を生成するように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
基板を処理するための方法であって、
プラズマ形成領域に不活性ガスを流すことと、
前記プラズマ形成領域において前記不活性ガスから第1のイオン密度を有する第1のプラズマを形成することと、
イオン遮蔽板を通して前記第1のプラズマを処理領域に流し、約10イオン/cm~約10イオン/cmの第2のイオン密度を有する第2のプラズマを形成することと、
基板支持体と前記イオン遮蔽板との間の前記処理領域内の前記第2のプラズマ全体に電場を印加することと、
前記基板全体に前記電場を印加しながら、1つまたは複数の加熱装置を使用して基板を加熱することにより、前記基板支持体上に配置された前記基板上に形成されたレジスト層を焼成することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記不活性ガスがヘリウムとアルゴンの1つまたは組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記レジスト層の焼成中の前記基板支持体と前記イオン遮蔽板との間の距離が約2mm~約60mmである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記レジスト層が露光されたレジスト層である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のプラズマが、前記イオン遮蔽板と前記基板との間に約0.005mA~約0.1mAの電流を流す、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のプラズマ内のイオンが、約1eV未満のイオン温度を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理のための方法および装置に関する。より詳細には、本開示は、放射線曝露後に基板を処理するための方法および装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一チップ上に何百万もの構成要素(トランジスタ、キャパシタ、抵抗器など)を含み得る複雑なデバイスに進化した。フォトリソグラフィは、チップ上に構成要素を形成するために使用され得る処理である。一般に、フォトリソグラフィの処理にはいくつかの段階が含まれる。まず、基板上にフォトレジスト層を形成する。化学増幅型フォトレジストには通常、レジスト樹脂と光酸発生剤が含まれている。光酸発生剤は、その後の露光段階で電磁放射線に曝されると、現像処理でのフォトレジストの溶解度を変化させる。電磁放射線は、任意の適切な源、例えば、レーザー、電子ビーム、イオンビーム、または他の適切な電磁放射線源によって生成され得る。電磁放射線も、任意の望ましい波長、例えば193nmまたは他の適切な波長で選択される。
【0003】
露光段階では、フォトマスクまたはレチクルを使用して、基板の特定の領域を選択的に電磁放射線に露光する。その他の露光方式としては、マスクレス露光方式等が挙げられる。露光されると光酸発生剤が分解し、酸が発生し、レジスト樹脂に酸の潜像が形成される。露光後、基板は露光後焼成処理において加熱される。露光後焼成処理中に、光酸発生剤によって生成された酸がレジスト樹脂と反応し、その後の現像処理中にレジストの溶解度が変化する。
【0004】
露光後焼成後、基板、特にフォトレジスト層が現像され、リンスされてパターン化されたマスクが作成される。使用するフォトレジストの種類に応じて、電磁放射線に曝露された基板の領域は除去されにくいか、除去されやすいかのいずれかになる。現像とリンスの後、湿式または乾式エッチング処理を使用してマスクのパターンが基板に転写される。
【0005】
チップ設計の進化により、回路の高速化と回路密度の向上が継続的に追求されている。より高い回路密度の要求には、通常、集積回路構成要素の寸法の縮小が利用される。集積回路構成要素の寸法が縮小するにつれて、より多くの要素を半導体集積回路上の所定の領域に配置できるようになる。したがって、リソグラフィ処理ではさらに小さな特徴が基板上に転写され、高度なチップ設計仕様を満たすために、リソグラフィは的確かつ正確に損傷なく転写される。特徴を基板上に的確かつ正確に転写するために、高解像度リソグラフィでは、短波長の放射を提供する光源が利用される。短波長は、基板上の最小印刷可能サイズを小さくするのに役立つ。しかし、短波長リソグラフィには、スループットの低下、ラインエッジの粗さの増加、レジスト感度の低下などの問題がある。
【0006】
リソグラフィの露光/現像解像度を向上させるべく、電磁放射線が透過するフォトレジスト層の部分の化学的特性を変更するために、露光処理の前後に電場を生成し、基板上に配置されたフォトレジスト層に電場を伝達するために電極アセンブリが利用される。しかし、現在のフォトレジスト材料と焼成処理を使用して基板上の印刷サイズを小さくすることは困難である。
【0007】
したがって、基板上にレジストをパターニングするための改良された方法が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、概して、基板処理のための装置および方法に関する。一実施形態では、半導体製造での使用に適した基板処理装置が説明される。この装置は、面板、面板に電気的に結合されたソース整合デバイス、および面板の反対側に配置されたディフューザーを含む。面板とディフューザーの第1の側との間にプラズマ形成空間が配置される。この装置はさらに、面板と第2のディフューザーとの間に配置された絶縁体を含む。ディフューザーの第2の側によって部分的に処理空間が形成され、ブロックスクリーンの反対側の処理空間内に基板支持体が配置される。基板支持体は1つまたは複数の加熱装置を含む。ディフューザーおよび基板支持体と電圧源とが電気的に接続されており、電圧源はディフューザーと基板支持体との間に垂直方向の電場を生成するように構成されている。この装置はさらにコントローラを含む。コントローラは、装置に、処理ガスをプラズマ形成空間に流入させ、第1のイオン濃度を有する第1のプラズマを形成し、第1のプラズマをディフューザーに流し、第2のイオン濃度が約10イオン/cmから約10イオン/cmである第2のプラズマを形成し、ディフューザーと基板支持体との間に電圧差を印加して、第2のプラズマ全体に電場を形成し、電場を印加しながら、基板支持体上に配置されたレジスト層を有する基板を約75°C~約300°Cの温度まで加熱する、という動作を実行させるように構成されている。
【0009】
別の実施形態では、基板を処理するための方法が説明される。この方法は、処理ガスをプラズマ形成領域に流入させることを含む。第1のプラズマは、第1のプラズマ形成領域内の処理ガスから第1のイオン密度で形成される。第1のプラズマはディフューザーを通って処理領域に流入し、第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を有する第2のプラズマを形成する。基板とディフューザーとの間の処理領域内の第2のプラズマ全体に電場が印加される。基板上に形成されたレジスト層は、基板全体に電場を印加しながら、1つまたは複数の加熱装置を使用して基板を加熱することによって焼成される。
【0010】
さらに別の実施形態では、基板を処理するための別の方法が説明される。この方法は、プラズマ形成領域に不活性ガスを流すことを含む。第1のプラズマは、第1のプラズマ形成領域内の不活性ガスから第1のイオン密度で形成される。第1のプラズマは、イオン遮蔽板を通って処理領域に流入し、約10イオン/cm~約10イオン/cmの第2のイオン密度を有する第2のプラズマを形成する。基板支持体とイオン遮蔽板との間の処理領域内の第2のプラズマ全体に電場が印加される。基板支持体上に配置された基板上に形成されたレジスト層は、基板全体に電場を印加しながら、1つまたは複数の加熱装置を使用して基板を加熱することによって焼成される。
【0011】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明は、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するものとみなされるべきではなく、他の同様に効果的な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による処理チャンバの概略断面図である。
図2】一実施形態による、図1の処理チャンバの一部の概略断面図である。
図3】一実施形態による、異なる圧力および電極分離距離を使用した場合の降伏電圧のグラフを示す図である。
図4A】一実施形態による、電極間のDC電圧差を変化させたときに電極間を流れる電流のグラフを示す図である。
図4B】別の実施形態による、電極間のDC電圧差を変化させたときに電極間を流れる電流のグラフを示す図である。
図5】一実施形態による、図1の処理チャンバ内で基板を処理する方法のフロー図である。
図6】別の実施形態による、図1の処理チャンバの一部の概略断面図である。
図7】別の実施形態による、図1の処理チャンバの一部の概略断面図である。
図8】一実施形態による、基板を処理する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、可能であれば、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらに詳述することなく他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0014】
本開示は、概して、半導体基板の露光後焼成中に使用するための装置および方法を対象とする。本明細書に開示される方法および装置は、半導体処理用途のフォトリソグラフィ処理におけるラインエッジ/幅の粗さを低減し、露光解像度を向上させるのに役立つ。本明細書に開示される方法および装置は、従来の技術と比較して同様の限界寸法を達成するために使用される放射線量(eUV露光)を低減するのにも役立つ可能性がある。ここで説明する装置は、基板上のレジスト層の電場誘導焼成を可能にする。電場誘導焼成は、場誘導焼成が露光後の場誘導焼成となるように、基板の現像前に実行されてもよい。フォトレジスト層上で場誘導焼成を使用すると、従来の技術と比較して線量感度が向上し、線幅の粗さが低減されることが示されている。
【0015】
本明細書に記載される「基板」または「基板表面」は、一般に、処理が実行される任意の基板表面を指す。処理には、堆積、エッチング、パターニング、および半導体処理中に利用されるその他の方法が含まれる。処理され得る基板または基板表面には、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、有機ケイ酸塩、炭素ドープ酸化ケイ素または窒化ケイ素材料などの誘電体材料も含まれる。特定の実施形態では、基板または基板表面には、基板のパターニングに利用されるフォトレジスト材料、ハードマスク材料、または他のフィルムもしくは層が含まれる。基板自体は特定のサイズや形状に限定されない。本明細書に記載の実施形態は、一般に円形の200mmまたは300mmの基板を参照して作製されているが、本明細書に記載の実施形態に従って、多角形、正方形、長方形、湾曲、またはその他の非円形のワークピースなどの他のサイズおよび形状を利用することもできる。他の基板サイズには、100mm、150mm、250mm、350mm、400mm、450mmなどが含まれ得る。
【0016】
本明細書に開示される方法および装置は、フォトレジストの感度およびフォトリソグラフィ処理の生産性を向上させる。露光後の焼成手順中に光酸発生剤によって生成される荷電種のランダムな拡散は、ラインエッジ/幅の粗さおよびレジスト感度の低下に寄与する。本明細書に記載されるような電極アセンブリは、フォトリソグラフィ処理中にフォトレジスト層に電場および/または磁場を印加するために利用される。場の印加により、光酸発生剤によって生成された荷電種の拡散が制御される。さらに、フォトレジスト層と電極アセンブリとの間に中間媒体が利用され、それらの間に生成される電場が強化される。いくつかの実施形態では、中間媒体は、液体、気体、またはプラズマなどの流体である。別の実施形態では、中間媒体は非液体および非固体媒体である。
【0017】
フォトレジスト層と電極アセンブリとの間に空隙が形成されると、電極アセンブリに電圧降下が発生し、生成してフォトレジスト層に印加することが望ましい電場強度が逆に低下する。フォトレジスト層における不正確な(例えば、過小もしくは多すぎる電圧および/もしくは電流)ならびに/または不均一な電場強度により、フォトレジスト層内の荷電種を特定の所望の方向に駆動または生成するための電圧電力が不十分または不正確になる可能性があり、したがって、フォトレジスト層に対するラインエッジプロファイル制御の低下につながる。制御されたまたは望ましい電場強度を生成すると、露光および/または現像処理に対するフォトレジスト層の精度および感度が向上する。
【0018】
中間媒体がスラリ、ゲル、溶液、または固体媒体などの非気相媒体である実施形態では、電極アセンブリから基板上に配置されたフォトレジスト層に伝達するときに、所定の範囲で印加される電圧レベルを効率的に維持することができる。ただし、非気相(例えば液体または液体状物質)を中間媒体として使用することには、まだ解決されていないいくつかの課題がある。例えば、非気相中間媒体の動作温度は限られており、基板上に配置されたレジスト層と反応する可能性がある。
【0019】
非気相流体の抵抗率も、安定した範囲で制御することが困難である。特定の態様および用途では、中間媒体の望ましい抵抗率は約6・1010Ω・cmであるが、半導体製造時の変動により、実際の抵抗率は5・1010Ω・cmに近くなる。中間媒体の抵抗率および温度は基板の焼成動作中に変化し、酸素含有量、媒体内の不純物、および媒体の重合の可能性によって影響を受ける。非気相流体の純度は制御が難しく、処理中の基板に欠陥を引き起こし得る。非気相流体は、未露光領域と比較して、露光領域でフォトレジストと異なる相互作用をし、フォトレジストの損失や粗さの変化を引き起こし得る。
【0020】
したがって、本明細書では、弱電離ガスまたは弱電離ガスの混合物を中間媒体として利用する、上記の問題の解決策を提供する。弱電離ガスは、1つまたは複数のガスをプラズマ形成領域に流し、高イオン密度プラズマ(約10イオン/cm~約1010イオン/cm)を形成することによって生成される。高イオン密度プラズマは後で濾過され、必要に応じて別のガスと結合して低イオン密度プラズマ(10イオン/cm~10イオン/cm)を形成する。低イオン密度プラズマ混合物には、これらに限定されないが、ラジカルと中性子とが含まれ、シャワーヘッドを通って流れ、基板と対向電極との間の空間に供給される。低イオン密度プラズマがシャワーヘッドを通過して間隙に入る際、低イオン密度プラズマ混合物は濾過され、荷電種雲としてシャワーヘッドから出る。低イオン密度プラズマと荷電種雲には、同じガスまたは混合ガスからの様々な種類のイオンとラジカルとが含まれている。荷電種雲には、約10イオン/cm~約10イオン/cmなど、低イオン密度プラズマよりも低い濃度のイオンが含まれる。
【0021】
電子密度は、体積内の自由電子の数として定義される。各プラズマの電子密度は、高イオン密度プラズマ内の電子密度が約10電子/cm~約1010電子/cm、低イオン密度プラズマ内の電子密度が約10電子/cm~10電子/cm、基板と電極との間の電子密度が約10電子/cm~約1010電子/cmとなるように、イオン密度と同様であってもよい。基板の真上の電子およびイオンの密度は、基板上のレジスト層を処理または反応させず、または実質的に不活性のままにしながら、電場が通過するプラズマ媒体を形成するように選択される。電場はプラズマ媒体を介して結合され、プラズマ媒体は電場がより効率的に維持される電荷輸送媒体となる。プラズマ媒体を形成するために利用されるガス、およびプラズマ媒体内の電子/イオン密度は、プラズマ媒体が基板上のレジスト層と反応するかどうかにさらに影響する。したがって、プラズマ媒体の形状、密度、位置、および構成は、基板との反応を低減しながらプラズマ媒体を通る電場結合を増加させるように制御される。
【0022】
いくつかの実施形態では、高イオン密度プラズマまたは低イオン密度プラズマのうちの一方だけが、シャワーヘッドまたはディフューザーを通過して基板と対向電極との間の処理空間に入る前に形成される。これらの実施形態では、基板と対向電極との間のイオン密度は約10イオン/cmから約10イオン/cmであり、電子密度は約10イオン/cmから約10イオン/cmである。
【0023】
処理チャンバ内のガスとプラズマは、抵抗率、温度、圧力、および組成物に関して選択および/または制御される。処理チャンバ内の処理環境の圧力は、約10ミリトールから約800トールの間である。基板と対向電極との間に電圧が印加され、基板と対向電極との間の気相媒体またはプラズマ相媒体を介して電場が形成される。電場は、電源によって基板支持体または電極の一方または両方に定電圧または定電流を印加することによって制御される。電流の方向は単極でも双方向でもよく、電場は基板の上面に対して上向きまたは下向きになる。いくつかの実施形態では、電源によって交流が印加される。
【0024】
低イオン密度のプラズマ/荷電種雲は、基板と対向電極との間の間隙または空間に送られる。本明細書に記載される実施形態では、対向電極は二次プラズマ注入(SPI:secondary plasma injection)シャワーヘッドである。SPIシャワーヘッドには、ガスが通過するための複数の孔がある。
【0025】
一実施形態では、基板に面するSPIシャワーヘッドの底面は、制御された抵抗率を有する金属材料または半導体材料などの導電性材料から形成される。SPIシャワーヘッドの上面は基板とは反対側を向いており、接地電位に維持された別のシャワーヘッドなど、プレートスタックの他の部分に電流または電場が反対方向(上向き)に向かうのを低減または排除するために誘電体層でコーティングされている。
【0026】
別の実施形態では、SPIシャワーヘッドは、セラミック、石英、またはプラスチック材料などの誘電体材料から形成される。この実施形態では、SPIシャワーヘッドの底面は基板に面する金属化表面である。SPIシャワーヘッドを介して形成された孔の内面が誘電体材料で製造されているため、金属化表面を備えた誘電体材料でSPIシャワーヘッドを形成することは有益である。底面が金属化された誘電体SPIシャワーヘッドを使用する場合、基板に面する金属化された底面に印加される電圧により、電流と電場が低イオン密度プラズマを通って基板に流れるように、または基板から低イオン密度プラズマを通って流れるように方向付けられる。
【0027】
さらに別の実施形態では、SPIシャワーヘッドは、結晶シリコン材料などのシリコン材料から形成され、SPIシャワーヘッドの厚さ方向の抵抗率は、基板に面する表面をドーピングすることによって制御される。
【0028】
電流または電場がSPIシャワーヘッドから上方向に向かうのを防止または低減するための別の構成には、SPIシャワーヘッドと、SPIシャワーヘッドの上の接地または浮遊シャワーヘッドとの間の間隙の抵抗を増加させることが含まれる。この実施形態では、間隙は、低イオン密度プラズマが完全に再結合することなく通過できるように、低イオン密度プラズマに対して透過性の誘電媒体で満たされている。
【0029】
中性または非荷電ガスを低イオン密度プラズマに追加したい場合は、SPIシャワーヘッドの上にあるデュアルチャネルシャワーヘッドによって中性ガスが低密度プラズマに追加される。デュアルチャネルシャワーヘッドは、シャワーヘッド本体の厚さを完全に貫通する少なくとも1のチャネルセットと、シャワーヘッド本体の片側のみに開孔を有し、1つまたは複数の第2のガス/プラズマを提供するように構成された第2のチャネルセットとを含む。プラズマ発生源はSPIシャワーヘッドの上部に配置されており、容量結合プラズマ(CCP:capacitively coupled plasma)構成、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)構成、紫外線(UV:ultraviolet)構成、マイクロ波構成、または遠隔プラズマ源(RPS:remote plasma source)構成、のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、CCPアーキテクチャの下部電極は、プラズマ再結合部材として機能するシャワーヘッドまたはディフューザーである。プラズマの再結合には、プラズマ内のイオンを除去してラジカルとイオンの比率を高めることが含まれる。ディフューザーがCCPアーキテクチャの底部に配置される実施形態では、プレートスタックは既存のチャンバアーキテクチャに装備されてもよい。
【0030】
一実施形態では、本明細書に記載のプレートスタックは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSELECTRA(登録商標)チャンバ上で利用され得る。他の製造業者による他の適切に構成された装置も、本明細書に記載される実施形態から利益を得ることができると考えられる。ディフューザーには、基板支持体に対してDCバイアスが印加されてもよい。この例では、ディフューザーは、独立したRFリターンパスを有効にするRFフィルタを介してDC電源に接続されている。ディフューザーはチャンバの蓋または本体から電気的に絶縁されている。部分的に再結合したプラズマまたは低イオン密度のプラズマは、基板が配置されている処理領域に流れ込み、基板とディフューザーとの間に電流/電場が流れる。この実施形態では、SPIシャワーヘッドもデュアルチャネルシャワーヘッドも利用されない。
【0031】
本明細書に記載の各実施形態において、基板は、低イオン密度プラズマに曝されている間、基板支持体ペデスタル上に置かれる。基板支持体ペデスタルは、SPIシャワーヘッドを基準として正または負に帯電する。基板支持体ペデスタルには真空チャック構成要素と機能が含まれている。基板支持体ペデスタルは、基板の温度を制御するように構成された加熱ペデスタルである。
【0032】
図1は、一実施形態による処理チャンバ100の概略断面図を示す。処理チャンバ100は、フォトレジストまたは化学修飾レジスト層がその上に配置された基板上で場誘導露光後焼成動作を実行するように構成されている。本明細書で説明される処理チャンバ100は、第2の処理チャンバ(図示せず)が同じ真空処理プラットフォームに結合された単一構造を形成するように、中心線Cを横切って鏡映されてもよい。一実施形態では、プラットフォームは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なPRODUCER(登録商標)装置である。ただし、他の製造業者から入手可能な他の適切に構成された装置も、本明細書に記載の実施形態から利益を得ることができると考えられる。
【0033】
処理チャンバ100は、RF電極および/またはガスマニホールドとして機能する混合ブロック102を含む。処理ガスは、ガス源136から混合ブロック102に供給される。ガス源136からの処理ガスは、フィードスルー部材103を通って混合ブロック102に入る。一実施形態では、フィードスルー部材103は、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリマー材料から形成される。混合ブロック102は、その中に配置された流れセンタリングインサート140を含む。流れセンタリングインサート140は、内部に開孔204が形成されたリング状の装置であってもよい。開孔204は、インサート140の中心を貫通して形成され、開孔204は、単一の開孔であっても、複数の開孔であってもよい。流れセンタリングインサート140は、処理チャンバ100のプレートスタック内の処理ガスの同心流分布を改善する。流れセンタリングインサート140はさらに、混合ブロック102へのプラズマの逆流を低減させるのに役立つ。
【0034】
混合ブロック102は、ガス流が均一になるように(図1の図の左から右に均一になるように)ソースガスの流れを方向転換するように機能する第1のディフューザー104および面板106に電気的に結合されている。このようなディフューザーまたはスクリーンは特定の電位に結合できるため、本明細書のすべてのディフューザーまたはスクリーンは電極として特徴付けられ得ることに留意すべきである。絶縁体108は、面板106を含む混合ブロック102を第2のディフューザー110から電気的に絶縁する。第2のディフューザー110は、面板106に対向する第2の電極として機能する。一実施形態では、第2のディフューザー110は選択性変調装置(SMD:selectivity modulating device)であり、イオン遮蔽板として機能する。第1のディフューザー104および面板106は、金属などの導電性材料で形成される。本明細書に記載の導電性材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であってもよい。絶縁体108は、誘電体などの絶縁材料である。絶縁材料は、酸化アルミニウムなどのセラミックまたは石英材料であってもよい。
【0035】
第1のディフューザー104、面板106、および第2のディフューザー110のそれぞれには、処理ガスがプレートスタック(例えば、第1のディフューザー104、面板106、絶縁体108、第2のディフューザー110、ガス分配装置112、絶縁板156、および遮蔽スクリーン114)を通って流れることを可能にするために、それを貫通して配置された複数の孔がある。混合ブロック102、面板106、および第2のディフューザー110の少なくとも一部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの導電性材料で形成されている。
【0036】
面板106、第2のディフューザー110、および絶縁体108の表面は、ガス源136からのガスが存在し、エネルギーが混合ブロック102を介して面板106に提供されるときに第1のプラズマが生成される第1のプラズマ生成領域210を規定する。
【0037】
第1のプラズマ生成領域210に直接面する面板106および第2のディフューザー110の表面は、第1のプラズマ生成領域210で生成される高エネルギーのプラズマ生成物による衝撃から保護するために、例えばイットリア(Y)またはアルミナ(Al)のセラミック層でコーティングされてもよい。セラミックコーティングは、電子ビームコーティング処理、陽極酸化処理、および/または無孔陽極酸化処理によって形成されてもよい。他の適切なコーティングには、ニッケルメッキや、例えば濃HNO溶液に曝すことによる表面酸化処理が含まれる。必ずしもプラズマに直接曝される必要はないが、プラズマによって生成される反応性ガスおよび/またはラジカルに曝される面板106および第2のディフューザー110の他の表面は、耐薬品性のためにセラミック層(イットリア、アルミナなど)または適切な不動態化層(陽極酸化層、化学的に生成されたアルミナ層など)でコーティングされてもよい。絶縁体108は、任意の絶縁体であってよく、特定の実施形態では、セラミック材料から形成される。
【0038】
第1のプラズマ生成領域210で生成されたプラズマ生成物は、プラズマ生成物の均一な分布をさらに促進し、電子温度制御を支援する第2のディフューザー110を通過する。第2のディフューザー110を通過すると、プラズマ生成物はガス分配装置112を通過する。ガス分配装置112と第2のディフューザー110とがエッジで互いに接触しているため、ガス分配装置112も第2のディフューザー110と同様の電圧に保たれる。ガス分配装置112を完全に通過する開孔216(図2)は、第2のディフューザー110内の開孔の直径の少なくとも3倍の直径を有する。ガス分配装置112は、プラズマ生成物が第2のプラズマ生成領域218に入るときにプラズマ生成物に1つまたは複数の追加のガスを導入するために使用できる第2および/または第3のガスチャネルセット214を含む。第2および/または第3のガスチャネルセット214は、第2のガス源142に結合される。第2のガス源142は、1つまたは複数の不活性ガスまたは中性ガスを供給するように構成され、任意選択で、面板106と第2のディフューザー110との間に生成されるプラズマのイオン化の低減を支援することができる。1つまたは複数の追加のガスは、第2のディフューザー110の遠位側のガス分配装置112の側面から現れる。ガス分配装置112は、アルミニウムまたはアルミニウム合金でできており、上述の面板208および第2のディフューザー110と同様に、耐薬品性のために不動態化層でコーティングされてもよく、またはセラミック層でコーティングされてもよい。
【0039】
ガス分配装置112を通って流されたガスおよびプラズマは、第2のプラズマ生成領域218(図2)に入り、そこでガスとプラズマが混合される。第2のプラズマ生成領域218は、ガス分配装置112と遮蔽スクリーン114との間に形成されたプレナムである。ガス分配装置112と遮蔽スクリーン114との両方を異なる電位に保持して、それらの間に形成される第2のプラズマのイオン密度を制御することができる。いくつかの実施形態では、分配装置112と遮蔽スクリーン114の両方が接地され、第2のディフューザー110とガス分配装置112が第1の接地253に接続され、遮蔽スクリーン114が第2の接地255に接続される。ガス分配装置112と遮蔽スクリーン114は、絶縁板156によって分離されている。絶縁板156は、セラミックまたはプラスチック材料から形成され、絶縁体108と同様のものとすることができる。一実施形態では、絶縁板156は酸化アルミニウム材料で形成される。他の実施形態では、絶縁板156は、フルオロカーボン含有材料などのプラスチック材料で形成される。プラスチック材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であってもよい。絶縁板156は、絶縁板156の抵抗率が約1015Ω・cmより大きく、例えば約1016Ω・cmより大きく、例えば約1017Ω・cmより大きくなるように、例えば約1018Ω・cmより大きくなるように、望ましい電気絶縁特性を具体化するように選択される。絶縁板156により、ガス分配装置112と遮蔽スクリーン114との間の電圧差の制御が可能になる。遮蔽スクリーン114はプラズマ遮蔽スクリーンまたはイオン遮蔽スクリーンであり、プラズマが遮蔽スクリーン114を通過する際に濾過され、イオンの濃度が低減される。遮蔽スクリーン114は、代替的に、シャワーヘッドまたは第3のディフューザー板として説明されてもよい。
【0040】
プラズマに直接曝露される遮蔽スクリーン114の部分はセラミック(例えば、アルミナまたはイットリア)でコーティングされてもよいが、プラズマに直接曝露されない表面もセラミックでコーティングされてもよい。露出面と非露出面の両方が、反応性ガスや活性種に対する耐薬品性のために不動態化層でコーティングされていることが有利である。
【0041】
遮蔽スクリーン114は、図1および図2で説明したように、プレートスタックの底板を構成する。遮蔽スクリーン114は、プラズマが処理空間170からプレートスタックに逆流するのを防ぐように構成されたシャワーヘッドである。遮蔽スクリーン114はまた、遮蔽スクリーン114を通過して処理空間170に入るプラズマ内のイオンの数を低減するように構成されている。遮蔽スクリーン114の底面は、処理空間170および基板支持体130の上面132に面している。
【0042】
基板支持体130は、基板支持体アセンブリ126の上部である。基板支持体アセンブリ126はさらに、基板支持体アセンブリ126を下部チャンバ本体120に接続するシャフト128およびベローズ154を含む。ベローズ154は、処理空間170と外部環境との間にシールを形成する。1つまたは複数の裏側ガス源152が基板支持体アセンブリ126に結合され、基板支持体130の上面132に裏側ガスを供給する。裏側ガス源152はまた、基板150の裏側に真空を形成するためのポンプを含んでもよい。
【0043】
電源146および運動装置148も基板支持体アセンブリ126に結合される。電源146はAC電源またはDC電源であってもよい。電源146は、基板支持体130内の運動装置148および/または1つまたは複数の加熱装置228(図2)に電力を供給するように構成されている。運動装置148は、基板支持体アセンブリ126の上昇または下降、中心軸Aの周りの基板支持体アセンブリ126の回転、または基板支持体アセンブリ126の傾斜など、基板支持体アセンブリ126の移動を可能にするように構成されている。基板支持体130はアルミニウム製の基板支持体130である。
【0044】
処理チャンバ100は、下部チャンバ本体120に結合された上部チャンバ本体116をさらに含む。上部チャンバ本体116と下部チャンバ本体120とは互いに結合されて、処理空間170の少なくとも一部を画定する。本明細書に記載のプレートスタックは、上部チャンバ本体116の上部に配置される。下部チャンバ本体120は、内部を通って配置された少なくとも1つの移送通路160を含む。ポンピングライナ122は、下部チャンバ本体120の半径方向内側に配置される。ポンピングライナ122は、自らを貫通して配置された複数の開孔124を含む。開孔124は、排気プレナム134と処理空間170とを接続し、ガスがポンプ144によって排気プレナム134を介して除去されるようにする。開孔124は、ポンピングライナ122の周りに対称的に配置される。シャワーヘッドスペーサ118は、上部チャンバ本体116の半径方向内側に配置され、アルミニウム材料などの導電性材料で形成される。シャワーヘッドスペーサ118は、処理空間170の一部をさらに画定する。上部チャンバライナ119は、上部チャンバ本体116およびシャワーヘッドスペーサ118の半径方向内側に配置されている。上部チャンバライナ119は絶縁体である。上部チャンバライナ119はセラミック材料から製造される。いくつかの実施形態では、上部チャンバライナ119は、酸化アルミニウム材料または窒化アルミニウム材料から製造される。
【0045】
ソース整合デバイス138が面板106と電気的に通信するように構成されるように、RF整合回路などのソース整合デバイス138がプレートスタックに結合されている。ソース整合デバイス138は、面板106にRF電流または電圧を印加するように構成されている。ソース整合デバイス138は、面板106と第2のディフューザー110との間にプラズマを生成するように構成されている。
【0046】
図2は、一実施形態による、図1の処理チャンバ100の一部の概略断面図を示す。図2は、プレートスタック内に形成された通路とプレナムをさらに示している。本明細書に記載されているように、開孔204は、流れセンタリングインサート140を貫通して形成される。開孔202は、第1のディフューザー104を貫通して形成され、第1のプレナム206と流体連通する。開孔208は、面板106を貫通して形成され、第1のプラズマ生成領域210と流体連通する。
【0047】
第2のディフューザー110はまた、第1のプラズマ生成領域210からの処理ガスが第2のディフューザー110を通って、第2のディフューザー110とガス分配装置112との間に形成された第2のプレナム212に流入できるようにする複数の開孔を含む。
【0048】
ガス分配装置112を通る開孔216は、第2のプレナム212および第2のプラズマ生成領域218の両方と流体連通している。ガス分配装置112は、ガス分配装置の制御された加熱を可能にするために、その中に配置された1つまたは複数のヒータ250をさらに含む。1つまたは複数のヒータは、抵抗加熱要素または誘導ヒータを含み得る。ガス分配装置112および/または第2のディフューザーは、接地に電気的に接続される。代替的に、ガス分配装置112または第2のディフューザー110のうちの1つを電源に結合して、面板106または遮蔽スクリーン114のいずれかに印加される電圧差とは異なる電圧差を可能にしてもよい。
【0049】
開孔220が絶縁板156内に形成され、第2のプラズマ生成領域218の一部を形成する。遮蔽スクリーン114はさらに、第2のプラズマ生成領域218と処理空間170とを流体的に結合する複数の開孔222を含む。絶縁板156により、遮蔽スクリーン114およびガス分配装置112は異なる電位に保持され、第2のプラズマ生成領域218内のプラズマ強度を制御できるようにすることができる。遮蔽スクリーン114を通る開孔222は、遮蔽スクリーン114内の各開孔の方向と平行に延在する中心軸が、第2のディフューザー110を通って形成された開孔の任意の中心軸からオフセットされるように、第2のディフューザー110を通る開孔からオフセットされている。開孔をオフセットすることにより、第1のプラズマ生成領域210内に形成された高イオン密度プラズマに対する基板150上のフォトレジストの露光が低減される。遮蔽スクリーン114は、上面244および底面234を含む。遮蔽スクリーン114は、遮蔽スクリーン114を通って配置された1つまたは複数の締め具224を介して上部チャンバ本体116に結合され得る。
【0050】
ポンピングライナ122の複数の開孔124は、ポンピングライナ122を貫通して形成された個別の開孔226をさらに含んでいてもよい。個々の開孔226は、ポンピングライナ122を囲んで、基板支持体130の周囲の処理空間170からのガスの均一な除去を可能にする。本明細書に記載の実施形態では、基板支持体130内に配置された1つまたは複数の加熱装置228は抵抗加熱装置である。裏側ガス源152は、1つまたは複数のガス導管230を介して基板支持体130の上面132に流体的に結合される。エッジリング232は、基板150の周囲の基板支持体130のエッジ上に配置されてもよい。
【0051】
複数のシールリング240が、面板106と絶縁体108との間、絶縁体108と第2のディフューザー110との間、第2のディフューザー110とガス分配装置112との間、ガス分配装置112と絶縁板156との間、および絶縁板156と遮蔽スクリーン114との間など、プレートスタック内のプレートのそれぞれの間に配置される。シールリング240は、様々な領域210、218およびプレナム206、212をシールして、チャンバ100からのプラズマ生成物の漏出を防止し、チャンバ100内の真空の完全性を可能にするように構成される。
【0052】
上述したように、基板150に面する遮蔽スクリーン114の底面234は、制御された抵抗率を有する金属または半導体材料などの導電性材料から形成される。電流または電場がガス分配装置112などのプレートスタックの他の部分に反対方向(上向き)に向かうのを低減または排除するために、遮蔽スクリーン114の上面244は基板150とは反対側を向いており、誘電体層(図示せず)によってコーティングされている。
【0053】
別の実施形態では、遮蔽スクリーン114は、セラミック、石英、またはプラスチック材料などの誘電体材料から形成される。この実施形態では、遮蔽スクリーン114の底面234は基板150に面する金属化表面である。金属化表面を有する誘電体材料から遮蔽スクリーン114を形成することは、遮蔽スクリーン114を貫通して形成された開孔222が誘電体材料から作られた内面を有するという点で有益である。底面が金属化された誘電体遮蔽スクリーン114を使用する場合、基板150に面する金属化された底面に印加される電圧により、電流と電場が処理空間内の低イオン密度プラズマを通って基板150に向かう、または基板150から低イオン密度プラズマを通るように方向付けられる。
【0054】
さらに別の実施形態では、遮蔽スクリーン114は、結晶シリコン材料などのシリコン材料から形成され、遮蔽スクリーン114の厚さ方向の抵抗率は、基板に面する表面をドーピングすることによって制御される。
【0055】
いくつかの実施形態では、遮蔽スクリーン114の表面を誘電体材料でコーティングすることは、遮蔽スクリーン114の表面全体で実行される。同様に、セラミック遮蔽スクリーン114全体に金属コーティングを形成することも可能であり得る。そうでなければ、遮蔽スクリーン114と他のチャンバ部品との間の距離は、プレートスタック内の電場分布の変化を考慮して制御されるであろう。
【0056】
電圧源260は、遮蔽スクリーン114と基板支持体130との間に接続される。電圧源260は、遮蔽スクリーン114と基板支持体130との間の電圧差の制御を可能にする。電圧源は、約0Vから約2000V、例えば約10Vから約2000Vの電圧差を生成するように構成され得る。電圧源は、DC電圧が印加されるか、または約7.5kHz以下、例えば約0kHzから約7.5kHzの周波数を有するAC電圧が印加され得るように、AC/DC波形制御をさらに含んでもよい。基板支持体130と遮蔽スクリーン114との間の電圧差を制御することにより、基板150上に配置されたレジストの焼成中にそれらの間の電場を制御することができる。遮蔽スクリーン114または基板支持体130のいずれか一方を接地してもよい。図2の実施形態では、遮蔽スクリーン114は接地され、基板支持体130は正または負に帯電して、基板支持体130と遮蔽スクリーン114との間に電場を形成する。
【0057】
上述のチャンバ100は、コントローラ270などのプロセッサベースのシステムコントローラによって制御することができる。例えば、コントローラ270は、ガス源136、142、152を介して様々な前駆体ガスの流れを制御し、ソース整合138の動作を調整して、チャンバ100内のプラズマ生成および流れを促進するように構成することができる。コントローラ270はまた、処理空間170内に電場を生成するために、プレートスタックおよびペデスタルの構成要素のうちの1つまたは複数への電圧の印加を変調および制御することによって、チャンバ100内の電場生成のあらゆる側面を制御するように構成されてもよい。コントローラ270はさらに、基板処理シーケンスの様々な段階を制御するように動作する。
【0058】
コントローラ270は、基板処理の制御を容易にするためにチャンバ100の様々な構成要素に結合される、電源、クロック、キャッシュ、入出力(I/O)回路などの、メモリ274と大容量記憶装置、入力制御ユニット、および表示ユニット(図示せず)と連動可能なプログラム可能な中央処理装置(CPU)272を含む。コントローラ270は、流れ、RF電力、電位などを監視するセンサを含む、チャンバ100内のセンサを介して基板処理を監視するためのハードウェアも含む。基板温度、チャンバ雰囲気圧力などのシステムパラメータを測定する他のセンサも、コントローラ270に情報を提供することができる。
【0059】
チャンバ100および関連するプラズマおよび電場形成処理の制御を容易にするために、CPU272は、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための、プラグラム可能な論理制御装置(PLC:programmable logic controller)などの産業環境で使用できる任意の形式の汎用コンピュータプロセッサの1つであってもよい。メモリ274はCPU272に結合されており、メモリ274は非一時的であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、またはローカルまたはリモートのその他の形式のデジタルストレージ、などの1つまたは複数の容易に利用可能なメモリであってもよい。支援回路276は、従来の方法でプロセッサを支援するためにCPU272に結合される。プラズマおよび電場の形成および他の処理は、一般に、通常はソフトウェアルーチンとしてメモリ274に格納される。ソフトウェアルーチンは、CPU272によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって格納および/または実行されてもよい。
【0060】
メモリ274は、CPU272によって実行されるとチャンバ100の動作を容易にする命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態である。メモリ274内の命令は、本開示の方法を実装するプログラムなどのプログラム製品の形態である。プログラムコードは、様々なプログラミング言語のいずれかに準拠し得る。一例では、本開示は、コンピュータシステムで使用するためのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装され得る。プログラム製品のプログラムは、実施形態の機能を定義する(本明細書で説明する方法を含む)。
【0061】
特定の実施形態では、プログラムは機械学習機能を具体化する。様々なデータの特徴には、処理時間、温度、圧力、電圧、極性、電力、ガス種、前駆体流量などの処理パラメータが含まれる。特徴間の関係が識別および定義され、機械学習アルゴリズムによる分析が可能になり、データを取り込み、チャンバ100によって実行される処理を適応させることができる。機械学習アルゴリズムは、教師あり学習または教師なし学習手法を使用し得る。プログラムによって具体化される機械学習アルゴリズムの例には、とりわけ、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、状態ベクトルマシン、ニューラルネットワーク、ナイーブベイズ、k最近傍法、K平均法、ランダムフォレスト、次元削減アルゴリズム、および勾配ブースティングアルゴリズムなどが含まれるが、これらに限定されない。一例では、機械学習アルゴリズムを利用して、RF電力と前駆体ガス流を調整してプラズマを形成し、イオンよりもラジカルの濃度が高い低イオン密度プラズマの維持を容易にする。この方法での荷電種の形成は、荷電種雲の構成要素(例えば、ラジカルおよび/またはイオン)を特定し、チャンバ処理または装置の特性を変更して、電極(例えば、スクリーン114)とペデスタル130との間の電場結合媒体として望ましい特性を示す荷電種雲を形成および維持することによって改良および改善することができる。
【0062】
例示的なコンピュータ可読記憶媒体としては、(i)情報が永久に保存される書き込み不可能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブで読み取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意の種類の固体不揮発性半導体メモリなど、コンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス)と、(ii)変更可能な情報が保存される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブやハードディスクドライブ内のフロッピーディスク、または任意の種類の固体ランダムアクセス半導体メモリ)、が挙げられるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載される方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を搬送する場合、本開示の実施形態である。
【0063】
ガス分配装置112の有孔底面242と遮蔽スクリーン114の上面244との間の距離は、約20mm未満、例えば、約20mm未満、例えば、約5mm~約18mm、例えば、約10mm~約18mm、例えば、約12mm~約17mmである。遮蔽スクリーン114の底面234と基板支持面132との間の距離Dは、約2mm~約60mm、例えば約5mm~約56mm、例えば約16mm~約56mm、例えば約32mm~約56mmである。ガス分配装置112、遮蔽スクリーン114、および基板支持面132の間の間隙は、良好な電場均一性を可能にするのに十分小さく、一方、第2のプラズマ生成領域218および処理空間170内のガスの破壊および放電をそれぞれ防止するのに十分な大きさである。遮蔽スクリーン114と基板支持面132との間の距離Dは、プラズマと基板150との相互作用を低減しながら、処理空間170内に形成されるプラズマの制御を可能にするように構成される。プラズマは、基板150と相互作用するためにプラズマを通過する均一かつ一方向の電場を提供するように制御される。処理空間170内のプラズマは、基板150と遮蔽スクリーン114を電気的に結合するように作用し、処理空間170を通る電場のより良好な制御を可能にする。
【0064】
図3は、一実施形態による、異なる圧力および電極分離距離を使用した場合の降伏電圧のグラフを示す。図3のグラフは、異なる圧力における電極間の3つの異なる距離の降伏電圧値を示している。測定された3つの距離には、D、D、およびDというラベルが付けられる。Dは約5mm未満の距離であってもよく、Dは約15mm未満の距離であり、Dは15mmを超える距離である。2つの電極間のガス圧力は、第1の圧力Pまたは第2の圧力Pのいずれかのような圧力に維持される。第1の圧力Pは約0.5トールから約2トールであり、第2の圧力Pは約2トールから約5トールである。第1の圧力Pと第2の圧力Pとの間では、2つの電極間に印加される電圧差は、ガスの破壊を防ぐために第1の電圧Vと第2の電圧Vとの間に維持され、第1の電圧Vは第2の電圧Vよりも低い。第1の電圧Vは、約150V~約200Vである。第2の電圧Vは、約200V~約250Vである。したがって、図3は、1つまたは複数のガスが破壊される前に、特定の圧力および電極間の距離で1つまたは複数のガスに印加できる最大電圧を決定するのに役立つ。
【0065】
図4Aおよび図4Bは、電極間のDC電圧差が変化したときに電極間を流れる電流のグラフを示している。図4Aおよび図4Bでは、1トールおよび間隙距離12.7mmのヘリウム環境内で電極を使用して、平行な電極間の電流アークを測定している。図4Bは、第3の電圧Vと第4の電圧Vとの間のDV電圧範囲の拡大図である。図4Aに示すように、中性電流Aはほぼゼロの電流であるため、隣接する電極間でアーク放電はほとんどからまったく発生しない。第1のRF電力値RF、第2のRF電力値RF、または第3のRF電力値RFなど、異なるRF電力値でも同様の電流アーク経路を持つ。第1のRF電力値RFは、約100W~約300Wである。第2のRF電力値RFは、約350W~約750Wである。第3のRF電力値RFは、約750W~約1250Wである。
【0066】
図4Bに示すように、第3の電圧Vと第4の電圧Vの間では、2つの電極間のアーク電流はほぼ線形の応答を示す。アーク電流は、第1の電流値Aと第2の電流値Aとの間に維持される。第1の電流値Aは、約-0.025mAより大きく、例えば約-0.02mAより大きい。第2の電流値Aは、約0.025mA未満、例えば約0.02mA未満である。アーク電流を第1の電流値Aと第2の電流値Aとの間に維持する第3の電圧Vおよび第4の電圧Vの値は、約-250V~約-150Vの第3の電圧V、ならびに約150Vおよび約250Vの第4の電圧Vである。アーク放電が基板を損傷したり、基板処理中に不均一性を引き起こしたりする可能性があるため、場誘導露光後焼成動作中、アーク電流を第1の電流値Aと第2の電流値Aとの間など、ゼロに近づけることで処理結果が向上する。
【0067】
図5は、一実施形態による、図1の処理チャンバ内で基板を処理する方法500のフロー図である。方法500は、動作502中に、第1のプラズマ生成領域210などの第1のプラズマ形成領域に第1のガスを流すことを含む。第1のガスを第1のプラズマ形成領域に流し込んだ後、別の動作504中に第1のプラズマが第1のプラズマ生成領域210内に形成される。第1のプラズマは第1のイオン密度を有する。第1のイオン密度プラズマは、第1のプラズマ内のイオン密度が約10イオン/cm~約1010イオン/cmであるような高イオン密度プラズマである。同様に、第1の電子密度は約10電子/cm~約1010電子/cmである。第1のプラズマ生成領域210内では、約8MHz~約20MHz、例えば約10MHz~約15MHzの周波数を有するAC電圧が面板106と第2のディフューザー110との間に印加される。プラズマ形成領域に流入する第1のガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および/またはキセノンなどの不活性ガスまたは不活性ガスの混合物である。いくつかの実施形態では、第1のガスは、ヘリウムとアルゴンの1つまたは混合物である。本明細書に記載される実施形態では、第1のプラズマ形成領域210に流入される第1のガスは、不活性ガスまたは他の非反応性ガスのみからなり、処理ガスは1つまたは複数の不活性ガスのみを含む。堆積前駆体、洗浄ガス、または酸化前駆体などの他のガスを使用すると、基板上に配置されたレジスト材料が損傷したり汚染されたりする可能性がある。第1のガスは、約0.5トールから約8トール、例えば約1トールから約5トールの圧力に保持される。第1のプラズマ生成領域210内にある間に第1のガスに印加される電力は、約25W~約2000W、例えば約50W~約1500Wである。動作504中、面板106は電源に取り付けられ、RF電力が面板106に印加される一方、第2のディフューザー110は電気的に接地され、定電圧電位を有する。
【0068】
次に、第1のプラズマは、ガス分配装置112の開孔222を通って流れる前に、第2のディフューザー110を通って第2のプレナムに流入する。第1のプラズマは、別の動作506中に第1のプラズマ生成領域210から第2のプラズマ生成領域218に流入する。動作506中、第1のプラズマ内のイオンはガス分配装置112によって還元されて、第2のプラズマを形成する。第2のプラズマは、別の動作508中に任意に第2のガスと混合されてもよい。動作508中、第2のガスが第2のプラズマ生成領域218(混合領域)に導入され、第2のプラズマと混合される。第2のプラズマは、第1のプラズマの第1のイオン密度よりも低い第2のイオン密度を有する。第2のプラズマは、低イオン密度プラズマとして説明され、約10イオン/cm~約10イオン/cmのイオン濃度を有する。同様に、第2の電子密度は約10電子/cm~約10電子/cmである。ガス分配装置112を接地し、電圧源260に電気的に接続されている遮蔽スクリーン114により、第2のプラズマ生成領域218内で第2のプラズマ内のイオンのエネルギーレベルおよび濃度を制御できるようになる。第1のプラズマがガス分配装置112を通過すると、イオンが除去されて第2のプラズマ内のエネルギーレベルが低下する。ガス分配装置112は、約120°Cから約250°Cの間の温度に加熱される。
【0069】
第2のプラズマの形成後、第2のプラズマは、遮蔽スクリーン114の開孔222を通って、遮蔽スクリーン114と基板支持体130/基板150との間の処理空間170に流入される。処理空間170内のプラズマは第3のプラズマである。遮蔽スクリーン114と基板支持体130との間の電圧差は、約0V~約300V、例えば約10V~約250Vである。電圧源260は、DC電圧、または約0kHz~約7.5kHzのAC電圧など、約7.5kHz以下の周波数を有するAC電圧を印加できるように、AC/DC波形制御をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、信号ピークが約0Vの中心にないように、AC波形はDCオフセットを有していてもよい。処理空間170内の圧力は、約0.5トールから約10トール、例えば約0.5トールから約8トール、例えば約1トールから約5トールである。
【0070】
第3のプラズマは、処理空間170内にある間は荷電種雲として記述され、その結果、第3のプラズマ内のイオンの濃度は、遮蔽スクリーン114を通過して処理空間170に入る間に低減される。荷電種雲内のイオン/電子は、遮蔽スクリーン114と基板支持体130との間に形成される電場によって制御される。電場は、イオンまたは電子の密度が約10イオン/cmから約10イオン/cmになるように、第2のプラズマ内のイオン密度およびイオンエネルギーレベルを制御するのに役立つ。同様に、第3のプラズマ内の電子密度は約10電子/cm~約10電子/cmである。荷電種雲内の荷電イオンは、それぞれ約1eV未満のイオン温度を有し、したがって、基板150上に配置されたフォトレジストに対する影響が低減される。低電力の第3のプラズマ/荷電種雲は、本明細書では基板支持体130上のダークプラズマと呼ばれる場合がある。ダークプラズマは、ダークプラズマを利用する露光後焼成動作中にフォトレジストが同時に露光処理を受けないという点で有益である。
【0071】
第2のプラズマが処理空間170に流入されて荷電種雲が形成されるのと同時または直後のいずれかで、基板支持面132上の基板は、別の動作510中に約75°C~約300°C、例えば約100°C~約250°Cの温度で焼成される。動作510中に基板が焼成される間、基板支持体130と遮蔽スクリーン114との間に第3のプラズマを通して電場が印加される。第3のプラズマは電場を結合する役割を果たし、電場強度の制御の向上とその後の基板上のレジスト焼成動作を可能にする。本明細書に記載される基板は、その上に配置されたフォトレジスト層などのレジスト層を含む。基板への熱および電場の印加は、露光動作中にレジスト層がパターン化された後に実行され、レジスト層は放射線源に露光されて、レジスト層の露光部分および未露光部分が形成される。熱と電場の印加によりレジスト層が焼成され、レジスト層内の荷電粒子が所定の方向に駆動され、望ましくない方向への荷電粒子の拡散が低減される。
【0072】
生成された電場は、荷電種雲を介して基板に結合される。荷電種雲はさらに、基板150/基板支持面132と遮蔽スクリーン114との間に少量の電流(約0.005mA~約0.1mA、例えば約0.005mA~約0.05mA)を伝導する。少量の電流により、レジスト層に悪影響を与えずに焼成結果が改善されることが判明している。
【0073】
図6は、別の実施形態による、図1の処理チャンバ100の一部の概略断面図を示す。図6の処理チャンバ100は、図2の処理チャンバ100と同様であるが、ガス分配装置112、絶縁板156、および遮蔽スクリーン114が取り除かれている。したがって、第2のディフューザー110は、第2のディフューザー110と基板支持体130との間に追加のディフューザーまたはシャワーヘッドを配置することなく、シャワーヘッドスペーサ118および/または上部チャンバ本体116上に直接載置される。この実施形態では、第2のディフューザー110は電圧源260に電気的に接続されており、それに電力または電圧が印加されてもよい。第2のディフューザー110はまた、接地253によって接地されてもよい。接地253は、第2のディフューザー110をベース電圧値として保持するために使用され得る一方、電圧源260が第2のディフューザー110に電圧を印加する。基板支持体130には電力が供給されるか、電圧源260によって電圧差が印加される。この実施形態では、第1のプラズマが第1のプラズマ生成領域210内に形成されるが、イオンの量は、本明細書で前述したように、第2のディフューザー110を通じて低減されて荷電種雲を形成する。
【0074】
第2のディフューザー110の厚さTおよび開孔の配置は、第2のディフューザー110を通過するイオン/電子の数の調節を助けるように構成される。本明細書に記載の実施形態では、厚さTは、開孔/通路が形成される第2のディフューザー110の中央部分の厚さである。厚さTは、約5mm~約40mm、例えば約5mm~約10mm、例えば約5mm~約8mm、例えば約5mm~約7mmである。いくつかの実施形態では、第2のディフューザー110の厚さTは、約6mmより大きく、例えば約8mmより大きく、例えば約10mmより大きく、例えば約12mmより大きい。厚さTが約10mmより大きい実施形態では、各開孔の幅は、基板支持体130に面する第2のディフューザー110の底面に開孔が近づくにつれて開孔が狭くなるように、第2のディフューザー110の途中で変化してもよい。開孔のサイズは、第2のディフューザーを通過するイオンの数を低減することができるように設計されている。
【0075】
上述のように、基板150に面する第2のディフューザー110の底面は、制御された抵抗率を有する金属または半導体材料などの導電性材料から形成される。第2のディフューザー110の上面は、基板150とは反対側を向いており、電流または電場がプレートスタックの他の部分に反対方向(上向き)に向かうのを低減または排除するために、誘電体層(図示せず)によってコーティングされている。
【0076】
別の実施形態では、第2のディフューザー110は、セラミック、石英、またはプラスチック材料などの誘電体材料から形成される。この実施形態では、第2のディフューザー110の底面は、基板150に面する金属化表面である。第2のディフューザー110を金属化表面を有する誘電体材料から形成することは、第2のディフューザー110を貫通して形成された開孔が誘電体材料から作られた内面を有するという点で有益である。底面が金属化された誘電体の第2のディフューザー110を使用する場合、基板150に面する金属化された底面に印加される電圧により、電流と電場が処理空間170内の低イオン密度プラズマを通って基板150に向かう、または基板150から低イオン密度プラズマを通るように方向付けられる。
【0077】
さらに別の実施形態では、第2のディフューザー110は、結晶シリコン材料などのシリコン材料から形成され、第2のディフューザー110の厚さ方向の抵抗率は、基板に面する表面をドーピングすることによって制御される。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2のディフューザー110は、その中に配置された温度制御通路121を含む。温度制御通路121は、ガス流開孔を含む第2のディフューザー110の部分を囲んでいる。温度制御通路121は、第2のディフューザー110を冷却または加熱するために利用され得る。第2のディフューザー110を冷却することが望ましい実施形態では、温度制御通路121は冷却剤通路であり、水などの冷却された液体を受け入れるように構成されている。第2のディフューザー110を加熱することが望ましい実施形態では、温度制御通路121は加熱通路であり、加熱されたガスまたは流体を受け入れるように構成されている。代替的に、加熱コイルを温度制御通路121内に配置してもよい。温度制御通路121の存在は、第2のディフューザー110がより厚い厚さを有する実施形態において有益である。
【0079】
図7は、別の実施形態による、図1の処理チャンバの一部の概略断面図を示す。図7の実施形態は図6の実施形態と同様であるが、第2のディフューザー110は、第2のディフューザースペーサ702によってシャワーヘッドスペーサ118および上部チャンバ本体116から分離されている。第2のディフューザースペーサ702は、シャワーヘッドスペーサ118の上に配置される。第2のディフューザースペーサ702は、第2のディフューザー110と基板支持体130をさらに分離するように構成されている。第2のディフューザースペーサ702は、アルミニウムなどの導電性材料で形成される。第2のディフューザースペーサ702はリングであり、処理空間170の一部を形成する中央開孔を含む。
【0080】
第2のディフューザースペーサ702は、その中に配置された1つまたは複数の加熱要素704をさらに含む。1つまたは複数の加熱要素704は、処理空間170を囲む。
【0081】
図8は、図7および図8の処理チャンバ内で基板を処理する方法800のフロー図である。方法800は、基板150などの基板のレジスト上に場誘導露光後焼成を形成することを可能にする。方法500は、動作802中に、第1のプラズマ生成領域210などのプラズマ形成領域に処理ガスを流すことを含む。プラズマ形成領域に流入する処理ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および/またはキセノンなどの不活性ガスの混合物である。いくつかの実施形態では、不活性ガスの混合物は、ヘリウムとアルゴンの1つまたは混合物である。本明細書に記載される実施形態では、プラズマ形成領域に流入される処理ガスは、不活性ガスまたは他の非反応性ガスのみからなり、処理ガスは1つまたは複数の不活性ガスのみを含む。堆積前駆体、洗浄ガス、または酸化前駆体などの他のガスを使用すると、基板上に配置されたレジスト材料が損傷したり汚染されたりする可能性がある。
【0082】
処理ガスをプラズマ形成領域に流し込んだ後、別の動作804中にプラズマ形成領域内に第1のプラズマが形成される。第1のプラズマは第1のイオン密度を有する。第1のイオン密度プラズマは、第1のプラズマ内のイオン密度が約10イオン/cm~約1010イオン/cmであるような高イオン密度プラズマである。同様に、第1の電子密度は約10電子/cm~約1010電子/cmである。プラズマ形成領域内では、約8MHz~約20MHz、例えば約10MHz~約15MHzの周波数を有する、ソース整合デバイス138などのソース整合デバイスによって面板106と第2のディフューザー110との間にAC電圧が印加される。第1のガスは、約0.5トールから約8トール、例えば約1トールから約5トールの圧力に保持される。第1のプラズマ生成領域内にある間に処理ガスに印加される電力は、約25W~約2000W、例えば約50W~約1500Wである。動作504中に、面板106などの面板は、RF電力が面板に印加されるように、第2のディフューザー110などの第2のディフューザーが電気的に接地され、定電圧電位を有するように電源に取り付けられる。
【0083】
第1のプラズマを形成した後、動作806中に、第1のプラズマが処理空間170などの処理空間に流入される。第1のプラズマは、プラズマ形成領域から第2のディフューザーを通って処理空間に流入する。第2のディフューザーは、第2のディフューザーと基板支持体130などの基板支持体との間に追加の拡散プレートまたはシャワーヘッドが配置されないように、処理空間の少なくとも一部を形成する。処理空間の一部を形成する第2のディフューザーにより、基板支持体と第2のディフューザーとの間の電場の結合が向上する。さらに、プレートスタック内のディフューザーおよびシャワーヘッドの数が少ないため、追加のディフューザーおよび/またはシャワーヘッドを使用する図2の実施形態などの他の実施形態と比較して、処理空間内のイオン濃度をより制御し増加させることができることが判明した。第1のプラズマを第2のディフューザーに流すと、第2のプラズマが形成される。
【0084】
第2のプラズマは、第1のプラズマを第2のディフューザーに流すことによって形成される。第2のディフューザーがSMDとして機能し、処理空間へのイオンの少なくとも一部の流れを阻止するため、第2のプラズマは、第1のプラズマのイオン濃度よりも低いイオン濃度を有する。第2のディフューザーと基板支持体との間の電圧差は、約0V~約300V、例えば約10V~約250Vである。電圧源260は、DC電圧、または約0kHzから約7.5kHzのAC電圧など、約7.5kHz以下の周波数を有するAC電圧を印加できるように、AC/DC波形制御をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、信号ピークが約0Vの中心にないように、AC波形はDCオフセットを有する場合がある。処理空間170内の圧力は、約0.5トールから約10トール、例えば約0.5トールから約8トール、例えば約1トールから約5トールである。
【0085】
第2のプラズマは、処理空間内にある間は荷電種雲であり、第2のプラズマ内のイオンの濃度は、第2のディフューザーを通過して処理空間に入る間に低減される。荷電種雲内のイオン/電子は、第2のディフューザーと基板支持体の間に形成される電場によって制御される。電場は、イオンまたは電子の密度が約10イオン/cmから約10イオン/cmになるように、第2のプラズマ内のイオン密度およびイオンエネルギーレベルを制御するのに役立つ。同様に、第2のプラズマ内の電子密度は約10電子/cm~約10電子/cmである。荷電種雲内の荷電イオンのイオン温度はそれぞれ約1eV未満であるため、基板上に配置されたフォトレジストへの影響が軽減される。低電力の第3のプラズマ/荷電種雲は、本明細書ではダークプラズマと呼ばれる場合がある。ダークプラズマは、ダークプラズマを利用する露光後焼成動作中にフォトレジストが同時に露光処理を受けないという点で有益である。第2のプラズマが処理空間に流入して荷電種雲が形成されるのと同時または直後のいずれかで、基板支持面上の基板は、別の動作808中に約75°C~約300°C、例えば約100°C~約250°Cの温度で焼成される。
【0086】
動作808中に基板が焼成される間、基板支持体と第2のディフューザーとの間に第2のプラズマを通して電場が印加される。第2のプラズマは電場を結合する役割を果たし、電場強度の制御の向上とその後の基板上のレジスト焼成動作を可能にする。本明細書に記載される基板は、その上に配置されたフォトレジスト層などのレジスト層を含む。基板への加熱と電場の印加は、露光動作中にレジスト層がパターン化された後に実行される。加熱と電場の印加によりレジスト層が焼成され、レジスト層内の荷電粒子が所定の方向に駆動され、望ましくない方向への荷電粒子の拡散が低減される。
【0087】
生成された電場は、荷電種雲を介して基板に結合される。荷電種雲はさらに、基板/基板支持面と第2のディフューザーとの間に少量の電流(約0.005mA~約0.1mA、例えば約0.005mA~約0.05mA)を伝導する。少量の電流により、フォトレジストに悪影響を与えずに焼成結果が改善されることがわかっている。
【0088】
本明細書では、処理空間内の基板上に低イオン密度プラズマを形成するための装置および方法について説明する。低イオン密度プラズマは、本明細書に記載のシャワーヘッドまたはイオン遮蔽板などの電極と基板または基板支持体との間に均一な電場を可能にするのに役立つ。低イオン密度プラズマは、場誘導露光後焼成動作中に基板への損傷や欠陥を軽減するのに十分なほど低いイオン密度を示すが、良好な電場分布と結合特性を可能にするのに十分なほど高いイオン密度を示す。
【0089】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】