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特表2024-519178半導体処理中に基板上で磁場を発生させるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(54)【発明の名称】半導体処理中に基板上で磁場を発生させるための装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/35 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
C23C14/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573399
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022026290
(87)【国際公開番号】W WO2022250823
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/334,634
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】吉留 剛一
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA05
4K029DC39
4K029DC41
4K029DC42
4K029DC43
(57)【要約】
材料を堆積させるために使用されるプラズマ気相堆積(PVD)チャンバは、基板上での堆積中にイオン軌道に影響を与えるための装置を含む。この装置は、基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成された少なくとも1つの環状支持アセンブリと、環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、基板の頂面に磁場を放射するように構成された磁場発生器とを含む。この磁場発生器は、間隔を置いて対称に配置された複数の不連続の永久磁石を含むことができ、または磁場を発生させるために1つもしくは複数の電磁石を使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置であって、
プロセスチャンバの真空空間内の基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ前記基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成された少なくとも1つの環状支持アセンブリと、
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、前記基板の頂面に磁場を放射するように構成され、かつプラズマ気相堆積プロセス中に前記基板に衝突するイオンの入射角に影響を与えるように構成された、磁場発生器と
を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリが、頂部環状プレート、複数の開口を有する中間環状プレートおよび底部環状プレートを含み、前記磁場発生器が、前記中間環状プレートの前記複数の開口内に配置され、かつ前記頂部環状プレートおよび前記底部環状プレートによって所定の位置に保持された複数の不連続の永久磁石を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の不連続の永久磁石が、磁場強度を失うことなく少なくとも摂氏200度以上の温度で動作するように構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つがサマリウムコバルト材料で形成された、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記サマリウムコバルト材料が少なくとも30MGOeの最大エネルギー積を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の不連続の永久磁石が、前記少なくとも1つの環状支持アセンブリ内に間隔を置いて対称に配置された18個の不連続の永久磁石を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の不連続の永久磁石がそれぞれ、幅約0.7インチ×奥行約0.7インチ×長さ約1.5インチである、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記環状支持アセンブリがアルミニウム材料から形成された、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記磁場発生器が、前記少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された少なくとも1つの電磁石を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電磁石が、約7アンペアまでの電流を有するように構成された、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電磁石が、可変磁場を提供するように構成された、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電磁石が、オンおよびオフにすることができる磁場を提供するように構成された、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記磁場発生器が、別個の内側巻線および別個の外側巻線を含み、前記別個の内側巻線および前記別個の外側巻線のそれぞれの磁場を個別に変動させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記磁場発生器が、前記別個の内側巻線および前記別個の外側巻線のそれぞれの磁場の極性を交互に切り換えるように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリが、第1の環状支持アセンブリおよび第2の環状支持アセンブリを含み、前記第2の環状支持アセンブリが、前記第1の環状支持アセンブリの半径方向外側に配置されており、前記第1の環状支持アセンブリの第1の磁場発生器および前記第2の環状支持アセンブリの第2の磁場発生器が、独立して制御されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置であって、
アルミニウムベースの材料で形成された少なくとも1つの環状支持アセンブリであり、基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ前記基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成されており、頂部環状プレート、複数の開口を有する中間環状プレートおよび底部環状プレートを含む、少なくとも1つの環状支持アセンブリと、
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、前記磁場発生器が、前記基板の頂面に磁場を放射するように構成されており、前記磁場発生器が、前記中間環状プレートの前記複数の開口内に配置され、かつ前記頂部環状プレートおよび前記底部環状プレートによって所定の位置に保持された複数の不連続の永久磁石を含み、前記複数の不連続の永久磁石が、磁場強度を失うことなく少なくとも摂氏200度の温度で動作するように構成された、磁場発生器と
を備える装置。
【請求項17】
前記複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つが、少なくとも30MGOeの最大エネルギー積を有するサマリウムコバルト材料で形成された、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つが、個別に、ガス放出を防ぐように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置であって、
アルミニウムベースの材料で形成された少なくとも1つの環状支持アセンブリであり、基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ前記基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成された、少なくとも1つの環状支持アセンブリと、
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、前記磁場発生器が、前記基板の頂面に磁場を放射するように構成されており、前記磁場発生器が、前記少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された少なくとも1つの電磁石を含み、前記少なくとも1つの電磁石が、可変磁場を提供するように構成された、磁場発生器と
を備える装置。
【請求項20】
前記磁場発生器が、互いに水平方向に隣接した別個の内側巻線および別個の外側巻線を含み、前記別個の内側巻線および前記別個の外側巻線のそれぞれの磁場を個別に変動させることができ、または
前記少なくとも1つの環状支持アセンブリが、第1の環状支持アセンブリおよび第2の環状支持アセンブリを含み、前記第2の環状支持アセンブリが、前記第1の環状支持アセンブリの半径方向外側に配置されており、前記第1の環状支持アセンブリの第1の磁場発生器および前記第2の環状支持アセンブリの第2の磁場発生器が、独立して制御されるように構成されている、
請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の原理の実施形態は一般に半導体製造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造中には、半導体構造体を形成するために、基板上の異なる材料の層をエッチングし、または基板上に異なる材料の層を堆積させる。一般に、半導体プロセスの微細制御を可能にするためにこれらの層を一様にまたは均一に堆積させることが非常に望ましい。しかしながら、プラズマ気相堆積(plasma vapor deposition)(PVD)チャンバ内での材料の堆積は、堆積プロセス中の基板によるイオン捕獲がよくないために、しばしばあまり均一ではないことを本発明者は観察により認めた。
【0003】
これに応じて、本発明者は、PVDプロセス中の基板上でのイオンの捕獲を容易にする装置であって、その結果として優れた堆積性能に導く装置を提供した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、PVDプロセス中の基板上でのイオン捕獲に影響を与えるための装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置が、プロセスチャンバの真空空間内の基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成された少なくとも1つの環状支持アセンブリと、少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、基板の頂面に磁場を放射するように構成され、かつプラズマ気相堆積プロセス中に基板に衝突するイオンの入射角に影響を与えるように構成された、磁場発生器とを備えることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、この装置がさらに、少なくとも1つの環状支持アセンブリが、頂部環状プレート、複数の開口を有する中間環状プレートおよび底部環状プレートを含み、磁場発生器が、中間環状プレートの複数の開口内に配置され、かつ頂部環状プレートおよび底部環状プレートによって所定の位置に保持された複数の不連続の永久磁石を含むこと、複数の不連続の永久磁石が、磁場強度を失うことなく少なくとも摂氏200度以上の温度で動作するように構成されていること、複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つがサマリウムコバルト材料で形成されていること、サマリウムコバルト材料が少なくとも30MGOeの最大エネルギー積を有すること、複数の不連続の永久磁石が、少なくとも1つの環状支持アセンブリ内に間隔を置いて対称に配置された18個の不連続の永久磁石を含むこと、複数の不連続の永久磁石がそれぞれ、幅約0.7インチ×奥行約0.7インチ×長さ約1.5インチであること、環状支持アセンブリがアルミニウム材料から形成されていること、磁場発生器が、少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された少なくとも1つの電磁石を含むこと、少なくとも1つの電磁石が、約7アンペアまでの電流を有するように構成されていること、少なくとも1つの電磁石が、可変磁場を提供するように構成されていること、少なくとも1つの電磁石が、オンおよびオフにすることができる磁場を提供するように構成されていること、磁場発生器が、別個の内側巻線および別個の外側巻線を含み、別個の内側巻線および別個の外側巻線のそれぞれの磁場を個別に変動させることができること、磁場発生器が、別個の内側巻線および別個の外側巻線のそれぞれの磁場の極性を交互に切り換えるように構成されていること、ならびに/または少なくとも1つの環状支持アセンブリが、第1の環状支持アセンブリおよび第2の環状支持アセンブリを含み、第2の環状支持アセンブリが、第1の環状支持アセンブリの半径方向外側に配置されており、第1の環状支持アセンブリの第1の磁場発生器および第2の環状支持アセンブリの第2の磁場発生器が、独立して制御されるように構成されていることを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置が、アルミニウムベースの材料で形成された少なくとも1つの環状支持アセンブリであり、基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成されており、頂部環状プレート、複数の開口を有する中間環状プレートおよび底部環状プレートを含む、少なくとも1つの環状支持アセンブリと、少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、磁場発生器が、基板の頂面に磁場を放射するように構成されており、磁場発生器が、中間環状プレートの複数の開口内に配置され、かつ頂部環状プレートおよび底部環状プレートによって所定の位置に保持された複数の不連続の永久磁石を含み、複数の不連続の永久磁石が、磁場強度を失うことなく少なくとも摂氏200度の温度で動作するように構成された、磁場発生器とを備えることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、この装置がさらに、複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つが、少なくとも30MGOeの最大エネルギー積を有するサマリウムコバルト材料で形成されていること、および/または複数の不連続の永久磁石のうちの少なくとも1つが、個別に、ガス放出を防ぐように構成されていることを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、基板上へのイオン軌道に影響を与えるための装置が、アルミニウムベースの材料で形成された少なくとも1つの環状支持アセンブリであり、基板支持ペデスタルの外部に取り付けられ、かつ基板支持ペデスタルの下方に配置されるように構成された、少なくとも1つの環状支持アセンブリと、少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された磁場発生器であり、磁場発生器が、基板の頂面に磁場を放射するように構成されており、磁場発生器が、少なくとも1つの環状支持アセンブリに固定された少なくとも1つの電磁石を含み、少なくとも1つの電磁石が、可変磁場を提供するように構成された、磁場発生器とを備えることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、この装置がさらに、磁場発生器が、互いに水平方向に隣接した別個の内側巻線および別個の外側巻線を含み、別個の内側巻線および別個の外側巻線のそれぞれの磁場を個別に変動させることができること、ならびに/または少なくとも1つの環状支持アセンブリが、第1の環状支持アセンブリおよび第2の環状支持アセンブリを含み、第2の環状支持アセンブリが、半径方向外側に配置されていることを含むことができる。
【0011】
以下では、他の実施形態および追加の実施形態が開示される。
【0012】
上に概要を簡単に示し、後により詳細に論じる本発明の原理の実施形態は、添付図面に示されている本発明の原理の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は、本発明の原理の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、範囲を限定するものとみなすべきではない。これは、本発明の原理が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の原理のいくつかの実施形態による、プロセスチャンバの断面図である。
図2】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図3】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図4】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石を含む環状支持アセンブリを備える環状支持アセンブリの等角図である。
図5】本発明の原理のいくつかの実施形態による、永久磁石を含む環状支持アセンブリの部分の等角図である。
図6】本発明の原理のいくつかの実施形態による、永久磁石を含む環状支持アセンブリの断面図である。
図7】本発明の原理のいくつかの実施形態による、永久磁石の等角図である。
図8】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する電磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図9】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する電磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図10】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する複数の電磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図11】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する複数の電磁石を含む環状支持アセンブリを備える基板支持ペデスタルの断面図である。
図12】本発明の原理のいくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する複数の電磁石の上面図である。
図13】本発明の原理のいくつかの実施形態による、冷却管を含む磁場発生器を形成する複数の電磁石の部分の等角図である。
図14】本発明の原理のいくつかの実施形態による、基板の断面図および上面図である。
図15】本発明の原理のいくつかの実施形態による、イオン軌道に対する磁場の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
理解を容易にするため、可能な場合には、これらの図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照符号を使用した。図は一定の比率では描かれておらず、明暸にするために単純化されていることがある。追加の説明なしに、1つの実施形態の要素および特徴が他の実施形態に有益に組み込まれることがある。
【0015】
ウエハ平面におけるイオン捕獲は、磁場の強度および向きとともに変動する。本発明の原理の装置は、基板支持ペデスタルの下方に配置された磁場発生器であって、ウエハ平面におけるより強い垂直磁力線を可能にする磁場発生器からなるハードウェアを提供する。いくつかの半導体チャンバ設計では、磁場の強度および向きが、ウエハ平面の上方のプロセスチャンバの外部に配置された磁石によって制御される。それらの磁石はウエハ平面の上方にあるため、それらの磁石には、B場の垂直な向き、特にウエハエッジにおけるB場の垂直な向きを保証するのに限界があり、その結果、ウエハのエッジ領域におけるイオン損失につながる。本発明の原理の装置は、ウエハレベルにおいてB場の向きが垂直でないことに対処し、イオン損失の低減に役立つウエハ平面の全体にわたって均一でより強い垂直磁力線を可能にする効率的な手法を提供する。B場の向きの操作はさらに、再スパッタリング中の基板上の特徴に対する改良された底部および側壁カバレッジを提供することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明の原理の装置が、プロセスチャンバの真空空間内の基板支持ペデスタルの下方に、ウエハエッジ領域により近い位置に配置された複数の不連続の永久磁石を追加することを使用し、ウエハ表面における強い垂直磁場を達成する。いくつかの実施形態では、本発明の原理の装置が、プロセスチャンバの真空空間内の基板支持ペデスタルの下方に、ウエハエッジ領域により近い位置に配置された1つまたは複数の電磁石を追加することを使用して、ウエハ表面における強い垂直磁場を達成する。いくつかの実施形態では、この装置が、イオン流束の増大によるより良好なプラズマ気相堆積(PVD)膜特性を可能にする、既存のチャンバ構成に対する費用効果の高い強化を提供することができる。本発明の原理の装置はさらに、この装置および磁場発生器のパラメータのカスタマイズを通じてイオン捕獲を改良することを通して(ステップカバレッジおよび堆積速度を調整することによって)PVD膜特性を向上させるための調整ノブを提供するという利点を有する。不連続の永久磁石を使用するいくつかの実施形態では、この装置が、装置を動作させるために電気的または電力インテグレーションを一切必要とせず、チャンバソフトウェアの変更を一切必要としないというさらなる経済的利益を有する。この装置はさらに、この装置とともに使用されるプロセスチャンバの外部の他の電磁石を、膜堆積品質をさらに強化するように調整する、より大きな調整可能性を提供することができる。
【0017】
図1図100には、本発明の原理の装置を組み込むことができるプロセスチャンバ102が示されている。プロセスチャンバ102は、処理の間、基板106を支持するための表面を提供する基板支持ペデスタル104を有する。プロセスチャンバ102は、その中で基板106が処理される処理容積108と、真空ポンプ112および処理容積108と流体接触した非処理容積110とを含む。真空ポンプ112は、処理の間、真空で動作するように処理容積108から排気することを可能にする。基板支持ペデスタル104は、処理中に基板106にバイアスをかけるためのRF電源114に接続された電極116を含むことができる。プロセスチャンバ102はさらに、プラズマDC電源120に電気的に接続された上部電極118を含むことができる。プロセスチャンバ102はさらにコントローラ138を含むことができる。コントローラ138は、直接制御を使用してプロセスチャンバ102の動作を制御し、または、その代わりに、プロセスチャンバ102に関連付けられたコンピュータ(またはコントローラ)を制御することによってプロセスチャンバ102の動作を制御する。
【0018】
動作時、コントローラ138は、磁場の制御、データ収集、ならびにプロセスチャンバ102の性能を最適化するためのそれぞれの装置およびシステムからのフィードバックを可能にする。コントローラ138は一般に、中央処理ユニット(CPU)140、メモリ142および支援回路144を含む。CPU140は、工業装置内で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサとすることができる。支援回路144は、CPU140に従来どおりに結合されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源などを含むことができる。メモリ142には、本発明の原理の装置を使用するイオン軌道調整方法などのソフトウェアルーチンを記憶することができ、それらのソフトウェアルーチンは、CPU140によって実行されたときに、CPU140を、特定目的コンピュータ(コントローラ138)に変えることができる。これらのソフトウェアルーチンは、プロセスチャンバ102から離れた遠隔位置に置かれた第2のコントローラ(図示せず)によって記憶および/または実行されてもよい。
【0019】
メモリ142は、CPU140によって実行されたときに半導体プロセスおよび機器の動作を容易にするための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態をとる。メモリ142の中の命令は、堆積を適正に調整するための装置の性能パラメータを含む堆積方法などを実施するプログラムなど、プログラムの形態をとる。このプログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のうちのいずれか1つのプログラミング言語に準拠するものとすることができる。一例では、本開示を、コンピュータシステムとともに使用するコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム製品として実施することができる。プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載された方法を含む)態様の機能を規定する。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、限定はされないが、その上に情報が永続的に記憶された書込みができない記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読むことができるCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップまたは任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)、およびその上に変更可能な情報が記憶された書込み可能な記憶媒体(例えばディスケットドライブ内のフロッピーディスクもしくはハードディスクドライブ、または任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。イオン軌道調整方法などの機能を指図するコンピュータ可読命令を担持しているとき、このようなコンピュータ可読記憶媒体は本発明の原理の態様である。
【0020】
さらに、マグネトロンアセンブリ122を使用して、プロセスチャンバ102内で発生させたプラズマ124を、プラズマのイオン化を増大させるように制御することができる。いくつかのプロセスチャンバでは、イオンをフィルタリングするために任意選択のコリメータ126を使用することができ、任意選択のコリメータ126はコリメータDC電源128に電気的に接続される。別のプロセスチャンバはコリメータを使用しない。イオン軌道にさらに影響を与えるため、任意選択のコリメータ126とともに第1の外部電磁石アセンブリ130を使用することができる。イオン軌道にさらに影響を与えるため、基板支援ペデスタル104により近い位置で第2の外部電磁石アセンブリ132を使用することもできる。いくつかの例では、第1の外部磁石アセンブリと第2の外部電磁石アセンブリ132との間に外部永久磁石アセンブリ134を配置することができる。イオン軌道に影響を与えるためにこれらの多数のアセンブリが使用されているにもかかわらず、イオン軌道が、基板の頂面に対する直角(垂直)よりも小さいために、基板の中心から離れたところの堆積厚さが通常、基板の中央部分よりも薄いことを本発明者は観察により認めた。本発明者は、例えば真空空間内など基板支援ペデスタル104の下方に1つまたは複数の磁場発生器136が配置されている場合には、膜の均一性が、特に、図14図1400に示されている基板106のエッジ領域1402で増大することを見出した。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の磁場発生器136が、N極が上の構成を提供する(別の構成はS極が上の構成を使用することができる)。磁場1404(B場)は、エッジ領域1402により近い基板106上の位置に衝突し、中央領域1408では少ない。複数の不連続の永久磁石を使用するいくつかの実施形態では、さまざまな磁気特性を有する異なる磁性材料を使用して磁場を増大もしくは低下させることによって、磁性材料の体積を小さくもしくは大きくして磁場の強度をそれぞれ低下もしくは増大させることによって、および/または永久磁石の数を減らしもしくは増やして磁場の数および配置をそれぞれ減らすもしくは増やすことによって、1つまたは複数の磁場発生器136の磁場の強度を調節することができる。膜が均一であることが非常に望ましいとき、基板支援ペデスタル104の底面の周囲に永久磁石を対称に配置することは堆積の均一性を増大させるのを助ける。
【0022】
いくつかの実施形態では、永久磁石を、少なくとも30MGOe(メガ(百万)ガウスエルステッド)、好ましくは少なくとも32MGOeの最大エネルギー積を有する磁性材料で形成されたものとすることができる。1つまたは複数の磁場発生器136を形成する複数の不連続の永久磁石を、永久磁石を所定の位置に保持するための環状アセンブリ内に基板106を取り巻いて間隔を置いて対称に配置することができる。いくつかの実施形態では、長方形の18個の永久磁石を基板支援ペデスタル104の下方で使用することができる。磁性材料の体積は永久磁石の強度に影響を及ぼすため、いくつかの実施形態では、永久磁石が、約0.5インチ~約0.75インチの長方形の形状(図7参照)および約1.0インチ~約2.0インチの高さを有することができる。いくつかの実施形態では、永久磁石の長方形の形状を約0.7インチ×約0.7インチ×約1.5インチとすることができる。
【0023】
1つまたは複数の電磁石を使用するいくつかの実施形態では、1つまたは複数の磁場発生器の1つまたは複数の電磁石の1つまたは複数の巻線に異なるレベルの電流を流すことによって、1つまたは複数の磁場発生器136の磁場の強度を調節することができる。いくつかの実施形態では、磁場をさらに制御するために電流方向を逆にすることもでき、かつ/または基板106の頂面の磁場をさらに制御するために、1つもしくは複数の巻線が、同じ電流レベルもしくは異なる電流レベルを有する電流を反対方向に流してもよい。発生させた磁場にさらに影響を及ぼすために、電流をOFFおよびONにすること、ならびに/または電流をパルス化することもできる。
【0024】
図15のグラフ1500Aに示されているように、基板の半径1502を横切るガウスレベルプロット1504は、基板の下方に磁場発生がない場合の基板を横切る第1のガウスレベル1506と、基板の下方に(図2に示された位置に)磁場発生がある場合の基板を横切る第2のガウスレベル1508とを示す。基板支持ペデスタルの下方における磁場発生は、基板の磁場発生器の位置の上方の基板のガウスレベルを約30~約45ガウス以上向上させる。このガウスレベルの向上は、支持ペデスタルの下方の磁場発生器と基板の頂面との間の距離を決定する基板支持ペデスタルの厚さの影響を受ける。上で説明したとおり、不連続の磁石を使用するいくつかの実施形態では、それに応じて磁石の数、磁石材料の強度および/または磁性材料の全体積をパラメータを使用して調整することができる。電磁石を使用するいくつかの実施形態では、電流の量、電流の方向、ならびに/または電磁石の隣接する巻線に対する異なる電流および異なる方向の影響を使用して、基板の頂面の発生磁場を調整することができる。図3に示されているように磁場発生器を基板のエッジの方へさらに移動させるいくつかの実施形態では、ガウスレベルのピーク1518が基板のエッジの方へ外側に移動する1520。さらに、図2に示された位置との比較で磁場強度が維持される場合、図3の位置では、磁場発生器が基板により近いため、ピークガウスレベルが増大する。
【0025】
本発明者はさらに、図15のグラフ1500B(x軸1510は、基板の中心からの半径方向距離であり、y軸1512は、垂直と比較したときの基板の頂面に衝突するイオンのデルタ角である)に示されているように、基板のエッジに向かうにつれてイオンの衝突角度が垂直から離れることを発見した1516。本発明の装置を組み込むことにより、堆積中の磁場発生器の位置の近くのイオンの衝突角度はより垂直になり1514、堆積の均一性が増大する。イオンの衝突角度が垂直になるほど、基板の表面においてより多くのイオンが捕獲される。イオンの衝突角度が垂直から離れるほどより多くのイオンが失われ、堆積は低減する。B場がより強くなり、より垂直になるにつれて、イオン軌道もより垂直になり、このことは、基板表面におけるより大きなイオン捕獲を通して堆積厚さを増大させることにより、堆積品質を向上させる。基板支持ペデスタルの下方の磁場発生器の位置を、所望の基板位置における最大効果を提供するように調節することができる。
【0026】
図2は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石を含む環状支持アセンブリ136Aを備える基板支持ペデスタル104の断面図200を示している。環状支持アセンブリ136Aは、基板支持ペデスタル104の頂面214に対して平行な、基板支持ペデスタル104の下面212に取り付けられている。環状支持アセンブリ136Aは、ベローズ202を取り囲んでおり、ベローズ202が収縮したときにベローズ202の直径218が拡大したときの基板支持ペデスタル104の適正な動作を可能にするために、ベローズ202から距離216を隔てて配置されている。図4~7に関して後にさらに論じるが、環状支持アセンブリ136Aは、基板支持ペデスタル104の下に、磁場発生器を形成する複数の不連続の永久磁石を含む。これらの複数の不連続の永久磁石の磁場は、距離208にわたって基板支持ペデスタル104を貫いて進み、その後に、基板106の上方のイオン軌道に影響を与えることができる(例えば図14参照)。PVD堆積中に基板支持ペデスタル104を貫いて進むことができ、その後もなお基板106上のイオン軌道に影響を与えることができる磁場を提供するためには、これらの複数の不連続の永久磁石が、約30、好ましくは少なくとも32の最小MGOeを有するべきであることを本発明者は発見した。
【0027】
PVD堆積物は基板106の中央領域の方が厚いことを本発明者は観察により認めたため、磁場発生器(複数の不連続の永久磁石を含む環状支持アセンブリ136A)の配置は、基板106の中心から半径方向外側の基板106のエッジ領域により近い位置に磁場発生器が配置された場合に、最も有益であることがある。いくつかの実施形態では、例えばフープリフト(hoop lift)210などのプロセスチャンバ102内の他の装置が、基板支持ペデスタル104とフープリフト210との間のクリアランスの問題のために、外側フランジエリア204上への磁場発生器の配置を妨げることがある。そのような場合には、基板106のエッジ領域の近くのイオン軌道に影響を与え、その一方で、基板支持ペデスタル104の下のクリアランスを依然として維持するように、磁場発生器を半径方向外側に配置することができる。
【0028】
観察により、本発明者はさらに、熱が、磁場発生器の複数の不連続の永久磁石の磁場に対して不利な影響を有することを認めた。永久磁石の加熱は、基板支持ペデスタル104の上方で発生したプラズマによって加熱された基板支持ペデスタル104に磁場発生器が取り付けられているときの伝導によって起こることがある。加熱は、プロセスチャンバ102内の基板平面の下方に向きを定めて配置された(例えば基板106から水分を除去するために使用される)加熱ランプ(図示せず)からの放射によって起こることもある。いくつかの実施形態では、加熱ランプ(図示せず)からの放射熱の影響を低減させるために、熱シールド206が環状支持アセンブリ136Aの外周を取り囲んでいてもよい。PVD堆積中にプロセスチャンバ102内のイオン軌道に効果的に影響を与えるためには、複数の不連続の永久磁石に対して使用される磁性材料が、少なくとも摂氏約200度以上の温度に対して強い磁場を維持すべきであることを本発明者は見出した。いくつかの実施形態では、この磁性材料がサマリウムコバルトベースの材料である。これは、サマリウムコバルトベースの材料が、摂氏200度よりも高い動作温度範囲を有し、その一方で、30MGOeよりも大きな強い磁場を生み出すことによる。
【0029】
図3は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石を含む環状支持アセンブリ136Bを備える基板支持ペデスタル104の断面図300を示している。基板支持ペデスタル104の下方の他の装置との干渉が存在しないプロセスチャンバ102では、基板106のエッジ領域のイオン軌道により効果的に影響を与えるために、磁場発生器を、半径方向のさらに外側に、例えば外側フランジエリア204上に配置することができる。この例において磁場発生器を外側フランジエリア204に配置することの別の利点は、基板表面までの距離304が、図2の位置の距離208よりもはるかに小さいことであり、これにより磁場が増大し、同様の磁場強度に関してイオン軌道に対する影響が大きくなる。基板支持ペデスタル104からの熱伝導を低減させるため、環状支持アセンブリ136Bは基板支持ペデスタルの側壁308から距離306を隔てて配置されている。
【0030】
基板106のエッジ領域における堆積を強化するため、いくつかの実施形態では、半径方向のできるだけ外側に環状支持アセンブリ136Bを配置することができる。図2に関して上で説明したとおり、プロセスチャンバ102が環状支持アセンブリ136Bの近くに熱放射源を有する場合には、環状支持アセンブリ136B内の複数の不連続の永久磁石に対する放射熱の影響を低減させるために、環状支持アセンブリ136Bの外周を取り囲む熱シールド302を使用することができる。(図示されている)いくつかの実施形態では、放射熱からの不連続の永久磁石の遮蔽をさらに助けるために、熱シールド302が、より低く、かつプロセスチャンバ102内の環状支持アセンブリ136Bのわずかに下に配置された部分的下フランジを含むことができる。当業者なら理解できることだが、基板106上での堆積にさらに影響を与えるために、プロセスチャンバ102の基板支持ペデスタル104上に、環状支持アセンブリ136Aと環状支持アセンブリ136Bとの組合せを組み込み、磁場およびイオン軌道のより高いレベルの制御を提供することができる。
【0031】
図4は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する永久磁石402を含む環状支持アセンブリ400の等角図を示している。いくつかの実施形態では、基板支持ペデスタル104の適正な動作を可能にするために、環状支持アセンブリ400の内径404が基板支持ペデスタル104のベローズ202の外径よりも大きい。いくつかの実施形態では、環状支持アセンブリ400の内径404が、基板支持ペデスタル104の外側フランジエリア204の側壁308よりも大きい。永久磁石402の奥行を収容するために、いくつかの実施形態では、環状支持アセンブリ400の外径406を、内径404よりも約3インチ~約4インチ大きくすることができる。基板106上に対称の磁場を生み出すため、永久磁石402は、環状支持アセンブリ400の周囲に対称に分布させる。図4の環状支持アセンブリ400は1つの実施形態であり、当業者は、他の環状支持アセンブリが複数の不連続の永久磁石を異なるやり方で保持することがあるが、それでもなお、その環状支持アセンブリは、本発明の原理の磁場発生器として動作することを理解するであろう。
【0032】
いくつかの実施形態では、環状支持アセンブリ400が、複数の不連続の永久磁石が載ることができる支持表面420を提供する平らな第1の環状リング412を有する。支持表面420はさらに、それぞれの個々の永久磁石を所定の位置に保持する凹み(後述)を有することができる。第1の環状リング412は、6061アルミニウムなどから形成されたものとすることができる。第2の環状リング410は平らであり、その中に複数の永久磁石を配置することができる複数の開口を有する。第2の環状リング410は、永久磁石に追加の安定性を提供し、環状支持アセンブリ400内で永久磁石が動くことを防ぐ。いくつかの実施形態では第2の環状リング410が任意である。第3の環状リング408は平らであり、複数の永久磁石の頂部を保持するために使用される。いくつかの実施形態では、第3の環状リング408を、5052アルミニウム材料で形成されたものとすることができる。第1の環状リング412、第2の環状リング410および第3の環状リング408に対する鉛直支持を提供するために、いくつかの実施形態では、第3の環状リング408とは別に側面支持体414を形成すること、または第3の環状リング408の部分として側面支持体414を形成し、それを下に曲げることができる。側面支持体414は、第1の環状リング412を、例えば、限定はされないが、側面支持体414の開口416を通って第1の環状リング412の側面および第2の環状リング410の側面に入るねじまたはボルトなどの締結具418を介して保持することができる。
【0033】
いくつかの実施形態(図示せず)では、側面支持体414の追加の開口が、締結具418が第3の環状リング408を支持することを可能にする。図示された例では、第3の環状リング408と側面支持体414とが単一の材料シートから形成されている。締結工具が、環状支持アセンブリ400を基板支持ペデスタル104の下面に取り付けるための1つまたは複数の取付け穴426に締結具(図示せず)を挿入することを可能にするために、第1の環状リング412および第2の環状リング410にアクセスホール422を提供することができる。締結具がアクセスホール422を完全に通過して、1つまたは複数の取付け穴に入ることを可能にするために、アクセスホール422の直径は1つまたは複数の取付け穴426よりも大きい。基板支持ペデスタル104の下面に対して環状支持アセンブリ400を保持することを可能にするため、1つまたは複数の取付け穴426は、締結具の頭部よりも小さな直径を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、基板支持ペデスタル104から環状支持アセンブリ400および永久磁石402への伝導性熱伝達を低減させるために、熱絶縁物424を使用することができる。熱絶縁物424は、第3の環状リング408の頂面と基板支持ペデスタル104の底面との間に据えられた1つまたは複数の絶縁パッド(図示)を含むことができる。熱絶縁物424は、基板支持ペデスタル104と環状支持アセンブリとの間の断熱を提供する。熱絶縁物424を、第3の環状リング408の頂面と基板支持ペデスタル104の底面との間に配置された熱絶縁材料の単一の層(図示せず)とすることもできる。いくつかの実施形態では、熱絶縁物424を、セラミック材料または他の熱バリア材料から形成されたものとすることができる。熱絶縁物424の形状は、円形(図示)、長方形および/または環形などさまざまな形状とすることができる。永久磁石を含む環状支持アセンブリとともに使用されるように示されているが、熱絶縁物424を、電磁石を含む環状支持アセンブリ(後述)とともに使用することもできる。
【0035】
図5は、いくつかの実施形態による、永久磁石402を含む環状支持アセンブリ400の部分500の等角図を示している。いくつかの実施形態では、締結具418が、開口416を通って突き出て第1の環状リング412および第2の環状リング410のねじ穴504に入る締め付け部分502を有する。締結具418の頭部506が、側面支持体414を、第1の環状リング412および第2の環状リング410に対して保持する。図6は、いくつかの実施形態による、永久磁石402を含む環状支持アセンブリ600の断面図を示している。異なる永久磁石寸法に対するある許容差を提供するために、いくつかの実施形態では、第1の環状リング412の凹み602のサイズを過大にすることができる。同様に、異なる永久磁石寸法に対するある許容差を提供するために、第2の環状リング410の開口604のサイズを過大にすることもできる。いくつかの実施形態では、凹み602および/または開口604の全ての寸法を、永久磁石の指定されたサイズまたは設計サイズに比べて約0.010インチだけ過大にすることができる。サイズを過大にすることによって、追加の機械加工または高コストの高許容差材料もしくは部品を必要とすることなしに、永久磁石の寸法の変動を考慮に入れることができる。
【0036】
図7は、いくつかの実施形態による、永久磁石402の等角図700を示している。上で論じたとおり、磁性材料の体積は永久磁石の強度に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、永久磁石402が、幅704および奥行706が約0.5インチ~約0.75インチ、高さ702が約1.0インチ~約2.0インチの長方形の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、永久磁石の長方形の形状を、幅704が約0.7インチ、奥行706が約0.7インチ、高さ702が約1.5インチとすることができる。本発明者は、永久磁石402をプロセスチャンバ内での処理にかけたとすると、永久磁石402はガスを放出し、それによってプロセスチャンバ内のチャンバ背景圧力および不純物が増大することを観察により認めた。磁性材料は通常、1種または数種の材料を一緒に焼結させることによって形成され、それにより材料内に間隙または空間が残り、その結果、熱に当てられたときに焼結材料からガスが放出する。
【0037】
永久磁石402の磁性材料のガス放出を排除するためまたは低減させるために、永久磁石402は、永久磁石402を包むための任意選択の封入材料708を有することができる。任意選択の封入材料708は、磁石材料によって生み出された任意のガスに対して不透過性であり、かつ少なくとも摂氏約200度の温度に耐えることができる材料であるべきである。いくつかの実施形態では、任意選択の封入材料708が、厚さ約0.010インチ~厚さ約0.100インチの厚さ710を有することができる。いくつかの実施形態では、任意選択の封入材料708を、その中に永久磁石402が配置された構造体を形成する非ガス放出材料、および/または永久磁石402の外面に直接に塗布されたコーティング(例えば吹き付けられたもしくは塗られた非ガス放出コーティングなど)とすることができる。いくつかの実施形態では、任意選択の封入材料708を、永久磁石402の外面に(例えば非ガス放出接着剤などを介して)巻き付けられたまたは塗布された非ガス放出材料のラッピングとすることができる。いくつかの実施形態では、任意選択の封入材料708を、めっきプロセスによって形成された非鉄めっきとすることができる。
【0038】
図8は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する電磁石を含む環状支持アセンブリ836Aを備える基板支持ペデスタル104の断面図800を示している。電磁石の巻線は、ベローズ202の周囲を巡る方向に水平に巻かれている。環状支持アセンブリ836Aは、基板支持ペデスタル104の下に配置されており、かつ基板支持ペデスタル104の外部に固定されている。環状支持アセンブリ836A内の電磁石は、イオン軌道および堆積特性に影響を与えるための磁場を基板106の上方に生み出す、基板支持ペデスタル104の下の磁場発生器を形成する。図9は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する電磁石を含む環状支持アセンブリ836Bを備える基板支持ペデスタル104の断面図900を示している。電磁石の巻線は、基板支持ペデスタル104の外周を巡る方向に水平に巻かれている。環状支持アセンブリ836Bは、外側フランジエリア204の下に配置されており、かつ外側フランジエリア204の外部に固定されている。環状支持アセンブリ836Bは、イオン軌道および堆積特性に影響を与えるための磁場を基板106の上方に生み出す、基板支持ペデスタル104の下の磁場発生器を形成する。当業者なら理解できることだが、基板106上での堆積に影響を与えるために、プロセスチャンバ102の基板支持ペデスタル104上に、環状支持アセンブリ836Aと環状支持アセンブリ836Bとの組合せを組み込んで、磁場およびイオン軌道のより高いレベルの制御を提供することができる。
【0039】
図10は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する複数の電磁石836A1、836A2を含む環状支持アセンブリ836Aを備える基板支持ペデスタル104の断面図1000を示している。複数の電磁石836A1、836A2の巻線は、ベローズ202の周囲を巡る方向に水平に巻かれている。複数の電磁石836A1、836A2は、基板支持ペデスタル104の下に配置されており、かつ基板支持ペデスタル104の外部に環状支持アセンブリ836を介して固定されている。環状支持アセンブリ836Aおよび複数の電磁石836A1、836A2は、イオン軌道および堆積特性に影響を与えるための磁場を基板106の上方に生み出す、基板支持ペデスタル104の下の磁場発生器を形成する。磁場発生器内で多数の電磁石を使用することにより、電磁石の各々を流れる電流の量および電磁石の各々を流れる電流の方向、ならびに電流が流れているのかまたは流れていないのかを操作することによって、より高いレベルの制御が達成される。
【0040】
図11は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する複数の電磁石836B1、836B2を含む環状支持アセンブリ83Bを備える基板支持ペデスタル104の断面図1100を示している。複数の電磁石836B1、836B2の巻線は、基板支持ペデスタル104の外周を巡る方向に水平に巻かれている。複数の電磁石836B1、836B2は、外側フランジエリア204の下に配置されており、かつ外側フランジエリア204の外部に環状支持アセンブリ836Bを介して固定されている。環状支持アセンブリ836Bおよび複数の電磁石836B1、836B2は、イオン軌道および堆積特性に影響を与えるための磁場を基板106の上方に生み出す、基板支持ペデスタル104の下の磁場発生器を形成する。磁場発生器内で多数の電磁石を使用することにより、電磁石の各々を流れる電流の量および電磁石の各々を流れる電流の方向、ならびに電流が流れているのかまたは流れていないのかを操作することによって、より高いレベルの制御が達成される。当業者なら理解できることだが、基板106上での堆積に影響を与えるために、プロセスチャンバ102の基板支持ペデスタル104上に、環状支持アセンブリ836A内の複数の電磁石836A1、836A2と環状支持アセンブリ836B内の複数の電磁石836B1、836B2との組合せを組み込んで、磁場およびイオン軌道のよりいっそう高いレベルの制御を提供することができる。
【0041】
図12は、いくつかの実施形態による、磁場発生器を形成する環状支持アセンブリの第1の電磁石1208Cおよび第2の電磁石1208Dの上面図1200を示している。これらの複数の電磁石は、図10および/または図11に示されているように配置することができる。第1の電磁石1208Cは、電気接続1212を介して1つの端が第1の電源1202に接続され、別の端が第1の電源1202に接続された少なくとも1つの巻線を有する。第2の電磁石1208Dは、電気接続1214を介して1つの端が第2の電源1204に接続され、別の端が第2の電源1204に接続された少なくとも1つの巻線を有する。いくつかの実施形態では、第1の電源1202と第2の電源1204を、第1の電磁石1208Cおよび第2の電磁石1208Dに同じ電流および/または異なる電流を供給するための多数の接続を備える単一の電源とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の電源1202および第2の電源1204を、プロセスチャンバ102のコントローラ138に接続し、コントローラ138によって制御することができる。コントローラ138は、生み出された磁場を、プロセス方策または特定のタイプのチャンバに対する調整などに基づいて変化させるために、第1の電源1202および第2の電源1204内の電流レベルおよび/または電流方向を、個別におよび/または調和的に調節することができる。コントローラ138はさらに、発生させた磁場をさらに制御するために、第1の電磁石1208Cおよび第2の電磁石1208Dに供給される電力を、個別におよび/または調和的にONまたはOFFにすることができる。コントローラ138はさらに、発生させた磁場をさらに制御するために、第1の電磁石1208Cおよび第2の電磁石1208Dに供給される電力を、個別におよび/または調和的にパルス化することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、任意選択の少なくとも1つの冷却管1210を間に挿入することを可能にするための空間が第1の電磁石1208Cと第2の電磁石1208Dとの間に形成されるような態様で、第1の電磁石1208Cを第2の電磁石1208Dの半径方向外側に配置することができる。任意選択の少なくとも1つの冷却管1210は任意選択の熱交換器1206に流体接続される。任意選択の少なくとも1つの冷却管1210は、基板106上へのイオン軌道に影響を与えるのに最適な磁場発生を提供するために、第1の電磁石1208Cおよび第2の電磁石1208Dの動作温度を維持する。図13は、いくつかの実施形態による、冷却管1304を含む磁場発生器を形成する複数の電磁石1302の部分1300の等角図を示している。冷却管1304は、複数の電磁石1302の巻線から冷却管1304の中を流れている冷却流体への熱伝達を可能にするために複数の電磁石1302間に配置される。巻線と冷却管1304との間のより強力な熱伝達経路を形成するため、いくつかの実施形態では、熱伝達材料(図示せず)を使用して、冷却管1304と巻線との間の間隙を埋めることができる。
【0043】
本発明の原理による実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはこれらの任意の組合せで実施することができる。実施形態は、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を使用して記憶された命令であって、1つまたは複数のプロセッサによって読み出すことおよび実行することができる命令として実施することもできる。コンピュータ可読媒体は、機械(例えばコンピューティングプラットホームまたは1つまたは複数のコンピューティングプラットホーム上で実行される「仮想機械」)が読むことができる形態の情報を記憶または伝送するための機構を含むことができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、適当な任意の形態の揮発性または不揮発性メモリを含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体が非一過性コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0044】
以上の説明は本発明の原理の実施形態を対象としているが、本発明の原理の基本的範囲を逸脱することなく、本発明の原理の他の実施形態および追加の実施形態が考案されることがある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】