(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-09
(54)【発明の名称】フレキシブル基板を搬送するためのローラ、真空処理装置及びそれらの方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/56 20060101AFI20240430BHJP
C23C 16/54 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
C23C14/56 D
C23C16/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567867
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022025193
(87)【国際公開番号】W WO2022235421
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ザウアー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フラディク, アンネマリー
(72)【発明者】
【氏名】コーラー, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】デピッシュ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング, クレア
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュベック, ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4K029AA11
4K029AA25
4K029BD01
4K029CA01
4K029CA05
4K029CA06
4K029DA04
4K029DA08
4K029DC39
4K029EA08
4K029JA10
4K029KA03
4K029KA09
4K030CA07
4K030CA17
4K030FA01
4K030GA05
4K030GA14
4K030JA09
4K030JA10
4K030KA26
4K030KA39
4K030KA46
4K030LA16
(57)【要約】
フレキシブル基板(10)を搬送するためのローラ(100)が記載される。ローラ(100)は、本体(101)の外面に設けられた複数のガス供給スリット(103)を有する本体(101)を含む。複数のガス供給スリット(103)は、ローラ(100)の中心回転軸(111)の方向に延びている。さらに、ローラ(100)は、本体(101)の周方向に沿って本体(101)に接触して設けられたスリーブ(104)を含む。スリーブ(104)は、複数のガス供給スリット(103)の上方に設けられ、半径方向(R)に延びる複数のガス出口(105)を有する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板(10)を搬送するためのローラ(100)であって、
本体(101)の外面(102)に設けられている複数のガス供給スリット(103)を有する本体(101)であって、前記複数のガス供給スリット(103)は、前記ローラ(100)の中心回転軸(111)の方向に延びている、前記本体(101)と、
前記本体(101)の周囲に、かつ、前記本体(101)に接触して周方向に設けられているスリーブ(104)であって、半径方向(R)に延びる複数のガス出口(105)を有し、前記複数のガス供給スリット(103)の上方に設けられている、前記スリーブ(104)と
を含む、ローラ(100)。
【請求項2】
前記複数のガス出口(105)の密度が、前記ローラ(100)の第1の軸方向端(100A)及び第2の軸方向端(100B)の少なくとも一方に向かって変化している、請求項1に記載のローラ(100)。
【請求項3】
前記複数のガス出口(105)の密度が、前記ローラ(100)の第1の軸方向端(100A)及び第2の軸方向端(100B)の少なくとも一方に向かって増加している、特に徐々に増加している、請求項1又は2に記載のローラ(100)。
【請求項4】
前記複数のガス出口(105)が、少なくとも、第1の密度を有するガス出口(105)の第1のサブグループ(105A)と、前記第1の密度とは異なる第2の密度を有するガス出口(105)の第2のサブグループ(105B)とを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のローラ(100)。
【請求項5】
前記第2の密度が前記第1の密度より高く、前記ガス出口(105)の第2のサブグループ(105B)は、前記スリーブ(104)の軸方向の一方又は両方の端部(104E)に設けられている、請求項4に記載のローラ(100)。
【請求項6】
前記複数のガス出口(105)が、前記第1の密度及び前記第2の密度とは異なる第3の密度を有するガス出口(105)の第3のサブグループ(105C)をさらに含み、特に前記第3の密度は前記第1の密度及び前記第2の密度よりも低く、前記ガス出口(105)の第3のサブグループ(105C)は、前記スリーブ(104)の軸方向端部間の中間部分に設けられている、請求項4又は5に記載のローラ(100)。
【請求項7】
前記複数のガス出口(105)の出口直径が、前記ローラ(100)の第1の軸方向端(100A)及び第2の軸方向端(100A)の少なくとも一方に向かって変化している、請求項1から6のいずれか一項に記載のローラ(100)。
【請求項8】
前記複数のガス出口(105)の出口直径が、前記ローラ(100)の第1の軸方向端(100A)及び第2の軸方向端(100B)の少なくとも一方に向かって増加、特に徐々に増加している、請求項1から7のいずれか一項に記載のローラ(100)。
【請求項9】
前記複数のガス出口(105)が、少なくとも、第1の出口直径を有するガス出口(105)の第4のサブグループ(105D)と、前記第1の出口直径とは異なる第2の出口直径を有するガス出口(105)の第5のサブグループ(105E)とを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のローラ(100)。
【請求項10】
前記第2の出口直径が前記第1の出口直径よりも大きく、前記ガス出口(105)の第5のサブグループ(105E)は、前記スリーブ(104)の軸方向の一方又は両方の端部に設けられている、請求項9に記載のローラ(100)。
【請求項11】
前記複数のガス出口(105)が、前記第1の出口直径及び前記第2の出口直径とは異なる第3の出口直径を有するガス出口(105)の第6のサブグループ(105F)をさらに含み、特に、前記第3の出口直径は、前記第1の出口直径及び前記第2の出口直径よりも小さく、前記ガス出口(105)の第6サブグループ(105F)は、前記スリーブ(104)の軸方向端部間の中間部分に設けられている、請求項9又は10に記載のローラ(100)。
【請求項12】
前記本体(101)が、銅を含む材料で作られている円筒であり、前記スリーブは金属板(104)で作られている、請求項1から11のいずれか一項に記載のローラ(100)。
【請求項13】
フレキシブル基板(10)を処理するための真空処理装置(200)であって、
少なくとも1つの堆積ユニットを含む複数の処理ユニット(221)を含む処理チャンバ(220)と、
ガス供給源(225)に接続され、前記複数の処理ユニット(221)を通過するように前記フレキシブル基板を案内するための請求項1から12のいずれか一項に記載のローラ(100)と
を含む、真空処理装置(200)。
【請求項14】
フレキシブル基板(10)を案内するためのローラ(100)を製造する方法(300)であって、
レーザ穴開けを使用して、複数のガス出口(105)を有するスリーブ(104)を製造する(310)ことと、
本体(101)の外面に設けられた複数のガス供給スリット(103)を有する前記ローラ(100)の前記本体(101)の周囲に、かつ、前記本体(101)に接触して周方向に、前記複数のガス出口(105)が前記複数のガス供給スリット(103)の上方に配置されるように、前記スリーブ(104)を設けること(320)と
を含む、方法(300)。
【請求項15】
フレキシブル基板(10)を処理する方法(400)であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載のフレキシブル基板(10)を搬送するためのローラ(100)を使用することによって、前記フレキシブル基板(10)を1つ又は複数の処理ユニット(221)を通過するように案内すること(410)と、
前記ローラ(100)の前記複数のガス出口(105)を通じて前記フレキシブル基板にガスを供給することによって、前記フレキシブル基板(10)の温度を制御すること(420)と
を含む、方法(400)。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載のローラ(100)のうちの少なくとも1つと、請求項13に記載の真空処理装置(200)と、請求項15に記載のフレキシブル基板を処理する方法(400)を使用することを含む、コーティングされたフレキシブル基板を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、フレキシブル基板を搬送するためのローラに関する。さらに、本開示の実施形態は、ロールツーロールプロセスを使用したフレキシブル基板の処理、特に薄層によるフレキシブル基板のコーティングのための装置及び方法に関する。特に、本開示の実施形態は、例えば、薄膜太陽電池製造、薄膜電池製造、又はフレキシブルディスプレイ製造のための、フレキシブル基板を層のスタックでコーティングするための装置及び方法において、フレキシブル基板の搬送に使用されるローラに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]プラスチック膜又はプラスチック箔などのフレキシブル基板の処理は、パッケージング業界、半導体業界、及びその他の業界で需要が高い。処理は、金属、半導体、及び誘電体材料などの材料によるフレキシブル基板の被覆、エッチング及び各用途のために基板上で行われるその他の処理作業から成りうる。このタスクを実行するシステムは通常、基板を搬送するためのローラアセンブリを含む処理システムに結合され、基板の少なくとも一部がコーティングされるコーティングドラム、例えば円筒形ローラを含む。
【0003】
[0003]例えば、CVDプロセス、PVDプロセス、又は蒸発プロセスなどのコーティングプロセスを利用して、フレキシブル基板上に薄層を堆積することができる。ロールツーロール堆積装置は、そこで、1キロメートル以上など、かなりの長さのフレキシブル基板が、供給スプールから巻き出され、薄い層のスタックでコーティングされ、巻き取りスプールに再び巻き付けられると理解されている。特に、薄膜電池の製造においては、例えば、リチウム電池、ディスプレイ産業、太陽光発電(PV)産業、ロールツーロール堆積システムは高い関心を集めている。例えば、フレキシブルなタッチパネル要素、フレキシブルなディスプレイ、及びフレキシブルなPVモジュールに対する需要の増大により、ロールツーロールターで適切な層を堆積する需要が増大している。
【0004】
フレキシブル基板において高品質コーティングを達成するためには、フレキシブル基板の搬送に関する様々な課題を克服しなければならない。例えば、減圧条件下で移動するフレキシブル基板の処理中に適切な基板張力を提供すること、良好な基板とローラの接触及び基板の冷却を提供することは依然として課題である。
【0005】
[0005]したがって、改良された基板搬送ローラ、改良されたロールツーロール処理装置及びその方法に対する需要が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]上記を踏まえて、独立請求項に従って、フレキシブル基板を搬送するためのローラと、フレキシブル基板を処理するための真空処理装置と、フレキシブル基板を案内するローラの製造方法、フレキシブル基板の加工方法と、
コーティングされたフレキシブル基板を製造する方法が提供される。更なる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付の図面から明らかである。
【0007】
[0007]本開示の一態様によれば、フレキシブル基板を搬送するためのローラが提供される。ローラは、本体の外面に複数のガス供給スリットが設けられた本体を含む。複数のガス供給スリットは、ローラの中心回転軸方向に延びている。さらに、ローラは、本体の周方向に沿って本体に接触して設けられるスリーブを含む。スリーブ(104)は、複数のガス供給スリット(103)の上方に設けられ、半径方向(R)に延びる複数のガス出口(105)を有する。複数のガス出口は、複数のガス供給スリットの上方に設けられる。
【0008】
[0008]本開示のさらなる態様によれば、フレキシブル基板を処理するための真空処理装置が提供される。真空処理装置は、少なくとも1つの堆積ユニットを有する複数の処理ユニットを含む処理チャンバを含む。さらに、真空処理装置は、複数の処理ユニットを通過するようにフレキシブル基板を案内するための、本明細書に記載の任意の実施形態によるローラを含む。ローラは、ローラの複数のガス出口を通じてフレキシブル基板にガスを供給するためのガス供給源に接続されている。
【0009】
[0009]本開示の別の態様によれば、フレキシブル基板を案内するためのローラの製造方法が提供される。この方法は、レーザ穴あけ加工を使用して複数のガス出口を有するスリーブを製造することを含む。さらに、この方法は、本体の外面に複数のガス供給スリットが設けられたローラの本体の周囲に、複数のガス出口が複数のガス供給スリットの上方に配置される、ようにスリーブを接触させて設けるステップを含む。
【0010】
[0010]本開示のさらなる態様によれば、フレキシブル基板を処理する方法が提供される。この方法は、本明細書に記載の任意の実施形態に従って、フレキシブル基板を搬送するためのローラを使用することによって、フレキシブル基板を1つ又は複数の処理ユニットを通過するように案内することを含む。さらに、この方法は、ローラの複数のガス出口を通してフレキシブル基板にガスを供給することによってフレキシブル基板の温度を制御することを含む。
【0011】
[0011]本開示の別の態様によれば、コーティングされたフレキシブル基板を製造する方法が提供される。本方法は、本明細書に記載の任意の実施形態によるローラ、本明細書に記載の任意の実施形態による真空処理装置、及び本明細書に記載の任意の実施形態によるフレキシブル基板を処理する方法のうちの少なくとも1つを使用することを含む。
【0012】
[0012]実施形態はまた、開示方法を実施するための装置も対象としており、説明されている各方法の態様を実行するための装置部分を含む。これらの方法の態様は、ハードウェア構成要素を用いて、適切なソフトウェアによってプログラミングされたコンピュータを用いて、これらの2つの任意の組合せによって、又はそれ以外の任意の態様で、実行され得る。さらに、本開示による実施形態は、記載される装置を操作する方法も対象とする。記載された装置を操作するための方法は、装置のあらゆる機能を実行するための方法の態様を含む。
【0013】
[0013]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に概説した本開示のより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関し、以下において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本明細書に記載の実施形態によるローラの概略縦断面図を示す。
【
図1D】本明細書に記載の実施形態によるガス出口の配置を示すローラの概略上面図である。
【
図2A-2C】本明細書に記載の実施形態による、異なるガス出口密度を有するローラの概略上面図を示す。
【
図3A-3C】本明細書に記載の実施形態による、異なる出口直径を有するローラの概略上面図を示す。
【
図4】本明細書に記載の実施形態による真空処理装置の概略図を示す。
【
図5】本明細書に記載の実施形態による、フレキシブル基板を案内するためのローラの製造方法を説明するためのブロック図を示す。
【
図6】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板を処理する方法を説明するためのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014]本開示の様々な実施形態について、これより詳細に参照する。これらの実施形態の一又は複数の実施例は、図面に示されている。図面の以下の説明において、同じ参照番号は同じ構成要素を表わす。個々の実施態様に関する相違点のみが説明されている。本開示の説明のために各実施例が提供されているが、各実施例は、本開示を限定することを意図するものではない。さらに、1つの実施態様の一部として図示又は説明された特徴は、さらに別の実施態様を創出するために、他の実施態様で使用され得るか又は他の実施態様と併せて使用され得る。説明は、そのような修正及び変形を含むことが意図される。
【0016】
[0015]例示的に
図1A~
図1Eを参照して、本開示によるフレキシブル基板10を搬送するためのローラ100を説明する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ローラ100は、本体101の外面102に設けられた複数のガス供給スリット103を有する本体101を含む。複数のガス供給スリット103は、ローラ100の中心回転軸111の方向に延びている。さらに、ローラ100は、本体101の周方向に沿って本体101に接触して設けられたスリーブ104を含む。スリーブは複数のガス出口105を含む。複数のガス出口105は、半径方向Rに延びており、複数のガス供給スリット103の上方に設けられている。特に、
図1B、
図1C、及び
図1Eに例示的に示すように、複数のガス出口105は、複数のガス供給スリット103の真上に設けられる。より詳細には、通常、複数のガス出口105を有するスリーブ104の内面104Iは、複数のガス供給スリット103を有する本体101の外面102と接触している。したがって、複数のガス出口105の各ガス出口は、複数のガス供給スリット103の各々のガス供給スリットの上方に設けられる。
【0017】
[0016]したがって、有利なことに、フレキシブル基板を搬送するための改良されたローラが提供される。特に、本明細書に記載のローラの実施形態は、フレキシブル基板を冷却するためのフレキシブル基板への改善されたガス供給を提供する。したがって、冷却効率を向上させることができる。さらに、説明したようなローラの実施形態は、本明細書に記載の実施形態によるローラの製造を容易にし、コストを削減できるよう、他の市販のガス冷却ローラに比べてそれほど複雑ではない。
【0018】
[0017]本開示の様々な実施形態を更に詳細に説明する前に、本書で使用されるいくつかの用語に対するいくつかの態様を説明する。
【0019】
[0018]本開示において、「ローラ」は、フレキシブル基板と接触するための基板支持面を有するドラム又はローラとして理解され得る。「フレキシブル基板と接触するための基板支持面」という表現は、ローラの外面、例えば本明細書に記載のスリーブの外面が、フレキシブル基板の案内又は搬送中にフレキシブル基板と接触するように構成されていると理解することができる。典型的に、支持面は、ローラの湾曲した外面、特に円筒形の外面である。したがって、典型的には、ローラは回転軸の周りを回転可能であり、基板案内領域を含む。通常、基板案内領域は、ローラの湾曲した基板支持面、例えば円筒対称面である。ローラの湾曲した基板支持面は、フレキシブル基板の案内中にフレキシブル基板と(少なくとも部分的に)接触するように適合され得る。基板案内領域は、基板の案内中に基板が湾曲した基板支持面と接触するローラの角度範囲として定義することができ、ローラの巻き込み角度に対応することができる。例えば、ローラの巻き込み角度は、120°以上、特に180°以上、さらには270°以上であってもよい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ローラ100は円筒形であり、0.5m≦L≦8.5mの長さLを有する。また、ローラ100の直径Dは、1.0m≦D≦3.0mであってもよい。したがって、有利には、ローラは、幅の広いフレキシブル基板を案内し、搬送するように構成される。
【0020】
[0019]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ローラは、1つ又は複数のEチャック(明示的に示されていない)を有することができる。Eチャックは、静電力によって基板を保持するための静電荷を供給するように構成されたデバイスであると理解することができる。具体的には、1つ又は複数のEチャックは、フレキシブル基板を保持し、且つ/又はウェブをローラの湾曲面と接触させて保持するための誘引力を付与し得る。したがって、フレキシブル基板とローラとの間の一定かつ均一な接触力をさらに向上させることができる。
【0021】
[0020]本開示では、「フレキシブル基板」は曲げることができる基板として理解されうる。例えば、「フレキシブル基板」は、「箔」又は「ウェブ」であってよい。本開示では、「フレキシブル基板」という用語、及び「基板」という用語は同義的に使用されうる。例えば、本明細書で説明するフレキシブル基板は、PET、HC-PET、PE、PI、PU、TaC、OPP、BOOP、CPP、1つ又は複数の金属(銅など)、紙、それらの組み合わせ、及びハードコートPETなどのすでにコーティングされた基板(HC-PET、HC-TaC)などのような材料で作られているか、又は次のような材料を含んでいる可能性がある。いくつかの実施形態では、フレキシブル基板は、その両面上に屈折率整合(IM)層が設けられたCOP基板である。例えば、基板の厚さは、1μm以上1mm以下、特に500μm以下、さらには200μm以下であってもよい。基板幅WSは、0.3m≦W≦8mとすることができる。基板は透明基板であっても不透明基板であってもよい。
【0022】
[0021]本開示において、ローラの「本体」は、円筒形の本体、特に固体材料の円筒形のシェル本体として理解され得る。典型的には、本体は、高い熱伝導率λ、特にλ≧50W/(m・K)、より具体的にはλ≧100W/(m・K)を有する材料で作られる。例えば、本体は、銅合金などの銅を含む材料で構成することができる。特に、本体は銅で作ることができる。あるいは、本体は、高い熱伝導率λを有する他の適切な材料で作られてもよいことを理解されたい。
【0023】
[0022]本開示において、「ガス供給スリット」は、本明細書に記載されるように、複数のガス出口にガスを供給するように構成されたスリットとして理解され得る。特に、典型的には、本明細書に記載されるような「ガス供給スリット」が本体の外面に設けられ、ローラの中心回転軸と平行に延びる。通常、ローラの中心回転軸は本体の中心回転軸と一致する。さらに、典型的には、本明細書に記載の「ガス供給スリット」はガス供給源に接続される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ガス供給スリット間の円周方向の距離d
Gは、下限値d
GLと上限値d
GUとの間、すなわち、d
GL≦d
G≦d
GUの範囲から選択することができる。距離dGは、
図1Eに例示的に示されている。下限d
GLは、d
GL=4mm、具体的にはd
GL=6mm、より具体的にはd
GL=8mmとすることができる。上限d
GUは、d
GU=10mm、具体的にはd
GU=12mm、より具体的にはd
GU=15mmとすることができる。例えば、距離d
Gは10mmとすることができる。
【0024】
[0023]本開示において、「スリーブ」は、本明細書に記載されるように、本体の外面に接触しているスリーブとして理解され得る。したがって、スリーブは、本体の周囲に接触して設けられるシェルとすることができる。通常、フレキシブル基板の輸送中、スリーブは少なくとも部分的にフレキシブル基板と接触している。特に、スリーブは、本明細書に記載されるような基板支持面を提供することができる。通常、スリーブは金属シートで作られる。スリーブは、下限値TLと上限値TUとの間の範囲、すなわち、TL≦T≦TUの範囲から選択される厚さTを有することができる。下限TLは、TL=0.5mm、特にTL=1.0mm、より具体的にはTL=1.5mmとすることができる。上限TUは、TU=2.0mm、特にTU=2.5mm、より具体的にはTU=3.0mmとすることができる。
【0025】
[0024]本開示では、「ガス出口」は、本明細書に記載のローラによる基板搬送中にフレキシブル基板にガスを供給するように構成された出口として理解することができる。したがって、本明細書で説明するガス出口は、ガス排出孔として理解することができる。本開示によるガス出口の出口直径Doutは、下限値DLと上限値DUとの間の範囲、すなわちDL≦Dout≦DUから選択することができる。下限DLは、DL=30μm、特にDL=40μm、より具体的にはDL=60μmとすることができる。上限DUは、DU=150μm、特にDU=100μm、より具体的にはDU=80μmとすることができる。通常、本明細書に記載のガス出口は、レーザ穴開け法を使用して作成される。レーザ穴開けは、レーザ照射とも呼ばれる。一般に、本明細書に記載の「ガス出口」は、本明細書に記載のガス出口の出口直径Doutに対応する内径を有する円筒形の内面を有する。換言すれば、本明細書に記載の「ガス出口」は、出口軸に沿って一定の出口直径Doutを有し、典型的には半径方向に延びる円筒形の出口として理解することができる。
【0026】
[0025]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、隣接するガス出口間の円周方向の距離dCは、下限値dCLと上限値dCUとの間の範囲、すなわち、dCL≦dC≦dCUから選択することができる。下限dCLは、dCL=4mm、具体的にはdCL=6mm、より具体的にはdCL=8mmとすることができる。上限dCUは、dCU=10mm、具体的にはdCU=12mm、より具体的にはdCU=15mmとすることができる。例えば、距離dCは10mmとすることができる。
【0027】
[0026]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、隣接するガス出口間の軸方向の距離dAは、下限値dALと上限値dAUとの間の範囲、すなわち、dAL≦dA≦dAUから選択することができる。下限dALは、dAL=4mm、具体的にはdAL=6mm、より具体的にはdAL=8mmとすることができる。上限dALは、dAL=10mm、特にdAL=12mm、より具体的にはdAL=15mmとすることができる。例えば、距離dAは10mmとすることができる。
【0028】
[0027]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、円周方向における隣接するガス出口間の距離dCは、軸方向における隣接するガス出口間の距離dAに対応する、すなわち、dC=dAである。換言すれば、本明細書に記載される複数のガス出口は、スリーブ内に規則的に分布させることができる。
【0029】
[0028]ローラ100の概略上面図を示す
図2Aを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の密度は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって変化する。
図2Aには、ローラの長さL、ローラの直径D、及びローラの中心回転軸111が示されている。一般に、複数のガス出口105の密度は、ローラ100の軸方向両端、すなわち第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bに向かって変化する。すなわち、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の密度は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bに向かって、特に、第1の軸方向端100Aと第2の軸方向端100Bとの間の軸方向中間に関して、対称的に変化し得る。特に、
図2Aに示すように、隣接するガス出口間の距離dAは、ローラ100の第1の軸方向端100A及び/又は第2の軸方向端100Bに向かって減少し得、例示的には、
図2Aではd
A1<d
A2<d
A3<d
A4で示されており、その結果、ローラ100の第1の軸方向端100A及び/又は第2の軸方向端100Bに向かってガス出口密度が増加する。
【0030】
[0029]本開示では、「複数のガス出口の密度」という表現は、面積当たりのガス出口の数として理解することができる。それに応じて、通常、ガス出口の密度が高くなると、隣接するガス出口間の距離が、特に、より低い密度で設けられたガス出口と比較して、ガス供給スリットの方向において短くなります。典型的には、ガス供給スリットは、円周方向に均等に分散して設けられる。換言すれば、隣り合うガス供給スリット間の距離は、周方向において一定であってもよい。したがって、典型的には、ガス供給スリットの上方に設けられた隣接するガス出口間の距離も周方向に均等に分布する。換言すれば、隣り合うガス出口間の距離は、周方向において一定であってもよい。円周方向における隣接するガス出口105間の距離d
Cは、
図1C及び1Dに例示的に示されている。典型的には、距離d
Cは、
図1Eに示すように、隣接するガス出口105の中心軸間の距離である。したがって、典型的には、隣接するガス供給スリット103間の距離d
Gは、隣接するガス供給スリット103の中心軸間の距離である。特に、
図1Eに例示的に示されるように、距離d
Gは距離d
Cに実質的に対応し得る、すなわち、d
G=d
Cであり得る。ローラの直径Dは、円周方向の隣接するガス供給スリット間の距離d
G及び隣接するガス出口間の距離d
Cよりもはるかに大きいため、つまりD>>d
C及びD>>d
Gであるため、「実質的に一致する」という用語は、d
Gとd
Cの差に対するローラの曲率による影響は無視できるという意味で理解されるべきである。したがって、正確には、隣接するガス出口105の中心軸間の角度と、隣接するガス供給スリット103の中心軸間の角度とが同一であってもよい。
図1Bに例示的に示すように、典型的には、円周方向のガス出口105の数は、ガス供給スリット103の数に対応する。あるいは、周方向のガス出口の数は、ガス供給スリットの数の任意の整数倍であってもよい。
【0031】
[0030]したがって、複数のガス出口の密度を変更することによって、面積当たりのフレキシブル基板に提供されるガス流を変更することができるという利点がある。特に、複数のガス出口の密度を増加させることによって、フレキシブル基板に供給される面積当たりのガス流量を増加させることができる。したがって、ガス流量を増加させることにより、フレキシブル基板上のガス圧力を増加させることができる。したがって、複数のガス出口の密度分布を選択することにより、フレキシブル基板上の面積当たりのガス流量及びガス圧力を調整することができる。
【0032】
[0031]
図2Aに例示的に示すように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の密度は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって増加する。特に、複数のガス出口105の密度は、第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって徐々に増加し得る。一般に、複数のガス出口105の密度は、ローラ100の軸方向両端、すなわち第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bに向かって増大する。すなわち、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の密度は、ローラ100の軸方向第1の端100A及び軸方向第2の端100Bに向かって、特に、第1の軸方向部100Aと第2の軸方向端100Bとの間の軸方向中間に関して、対称的に増大し得る。ローラの軸方向端部に向かって複数のガス出口の密度を増加させることは、基板端部に向かう圧力降下を減少させるか、さらには回避するのに有益であり得る。したがって、基板の冷却効率を向上させることができる。さらに、基板冷却の均一性を向上させることができる。
【0033】
[0032]明示的に示されていないが、複数のガス出口105の密度も、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって減少し得ることを理解されたい。
【0034】
[0033]
図2Bを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105は、少なくとも、ガス出口105の第1のサブグループ105Aと、ガス出口105の第2のサブグループ105Bとを含む。ガス出口105の第1のサブグループ105Aは第1の密度を有する。ガス出口105の第2のサブグループ105Bは、第1の密度とは異なる第2の密度を有する。特に、第2の密度は、第1の密度よりも高い。さらに、
図2Bに例示的に示されているように、ガス出口105の第2のサブグループ105Bは、スリーブ104の軸方向の一方又は両方の端部104Eに設けることができる。例えば、
図2Bに例示的に示されるように、第2のサブグループ105Bの軸方向における隣接するガス出口間の第2の距離dA2は、第1のサブグループ105Aの軸方向における隣接するガス出口間の第1の距離dA1より小さくてもよい。
【0035】
[0034]
図2Cを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105は、ガス出口105の第3のサブグループ105Cをさらに含む。ガス出口105の第3のサブグループ105Cは、第1の密度及び第2の密度とは異なる第3の密度を有する。特に、第3の密度は、第1の密度及び第2の密度よりも低くすることができる。典型的には、ガス出口105の第3のサブグループ105Cは、スリーブ104の軸方向端部分104Eの間の中間部分104Mに設けられる。例えば、
図2Cに例示的に示すように、第3のサブグループ105Cの軸方向における隣接するガス出口間の第3の距離d
A3は、第1のサブグループ105Aの軸方向における隣接するガス出口間の第1の距離d
A1は、第2のサブグループ105Bの軸方向における隣接するガス出口間の第2の距離d
A2よりも大きい。
【0036】
[0035]明示的には示されていないものの、
図2Aから2Cに示される例示的な実施形態から、様々なガス出口密度のさらなるサブグループが提供され得ることを理解されたい。
【0037】
[0036]
図3Aを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Aの少なくとも一方に向かって変化する。通常、複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の軸方向両端部、すなわち第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bに向かって変化する。すなわち、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bに向かって、特に、第1の軸方向端100Aと第2の軸方向端100Bとの間の軸方向中間に関して、対称的に変化してもよい。
【0038】
[0037]したがって、複数のガス出口の出口直径を変更することによって、フレキシブル基板に提供される面積当たりのガス流量を変更することができるという利点がある。特に、複数のガス出口の出口径を大きくすることにより、フレキシブル基板に供給される面積当たりのガス流量を増加させることができる。したがって、ガス流量を増加させることにより、フレキシブル基板上のガス圧力を増加させることができる。したがって、複数のガス出口の出口径分布を選択することにより、面積当たりのガス流量やフレキシブル基板にかかるガス圧力を調整することができる。
【0039】
[0038]本明細書に記載される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bのうちの少なくとも一方に向かって増加する。特に、複数のガス出口105の出口直径は、第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって徐々に増加し得る。一般に、複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の軸方向両端部、すなわち第1の軸方向端100Aと第2の軸方向端100Bに向かって増加する。より詳細には、スリーブ104に設けられた複数のガス出口105の出口直径は、ローラ100の第1の軸方向端100Aと第2の軸方向端100Bに向かって、特に、第1の軸方向端100Aと第2の軸方向端100Bとの間の軸方向中間に関して、対称的に増加してもよい。ローラの軸方向端部に向かって複数のガス出口の出口直径を大きくすることは、基板端部に向かう圧力降下を低減又は回避するのに有益であり得る。したがって、基板の冷却効率を向上させることができる。さらに、基板冷却の均一性を向上させることができる。
【0040】
[0039]明示的に示されていないが、複数のガス出口105の出口直径も、ローラ100の第1の軸方向端100A及び第2の軸方向端100Bの少なくとも一方に向かって減少し得ることを理解されたい。
【0041】
[0040]
図3Bを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105は、少なくとも第4のガス出口105のサブグループ105Dと第5のガス出口105のサブグループ105Eを含む。ガス出口105の第4のサブグループ105Dは、第1の出口直径を有する。ガス出口105の第5のサブグループ105Eは、第1の出口直径とは異なる第2の出口直径を有する。特に、第2の出口直径は第1の出口直径よりも大きい。典型的には、ガス出口105の第5のサブグループ105Eは、スリーブ104の軸方向端部104Eの一方又は両方に設けられる。
【0042】
[0041]
図3Cを例示的に参照すると、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数のガス出口105は、ガス出口105の第6のサブグループ105Fをさらに含む。ガス出口105の第6のサブグループ105Fは、第1の出口直径及び第2の出口直径とは異なる第3の出口直径を有する。特に、第3の出口直径は、ガス出口105の第4のサブグループ105Dの第1の出口直径より小さくてもよい。さらに、第3の出口直径は、ガス出口105の第5のサブグループ105Eの第2の出口直径より小さくてもよい。典型的には、ガス出口105の第6のサブグループ105Fは、スリーブ104の軸方向端部104E間の中間部分に設けられる。
【0043】
[0042]明示的に示されていないが、
図3A~
図3Cに示される例示的な実施形態から、様々なガス出口直径のさらなるサブグループが提供され得ることを理解されたい。
【0044】
[0043]例示的に
図4を参照して、本開示による真空処理装置200を説明する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、真空処理装置200は、複数の処理ユニット221を含む処理室220を備える。複数の処理ユニット221は、少なくとも1つの堆積ユニットを含む。さらに、真空処理装置200は、複数の処理ユニット221を通過するようにフレキシブル基板を案内するための、本明細書に記載の任意の実施形態によるローラ100を含む。
図4に概略的に示されているように、ローラ100はガス供給源225に接続されている。一般に、ガス供給源225は、冷却ガスをローラ100に供給するように構成され、本明細書で説明されるように、冷却ガスが複数のガス出口105を通じてフレキシブル基板に提供され得る。
【0045】
[0044]
図4に例示的に示すように、典型的には、真空処理装置200はロールツーロール処理システムである。本明細書で説明される任意の実施形態によるローラ100は、真空処理装置の処理ドラム又はコーティングドラムであり得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、真空処理装置200は、フレキシブル基板10を提供するための保管スプール212を収容する第1のスプールチャンバ210を含む。
【0046】
[0045]また、真空処理装置200は、第1のスプールチャンバ210の下流側に処理チャンバ220を含む。典型的には、処理チャンバ220は真空チャンバであり、複数の処理ユニット221を含む。複数の処理ユニット221は、少なくとも1つの堆積ユニットを含む。したがって、本開示では、「処理チャンバ」は、基板上に材料を堆積するための少なくとも1つの堆積ユニットを有するチャンバとして理解することができる。したがって、処理チャンバは、堆積チャンバとも呼ばれる。本明細書で使用する「真空」という用語は、例えば10ミリバール未満の真空圧を有する技術的真空の意味で理解することができる。通常、本明細書で説明する真空チャンバ内の圧力は、10-5mbar~約10-8mbarの間、より一般的には、10-5mbar~10-7mbarの間、さらに典型的には、約10-6mbar~約10-7mbarの間であり得る。
【0047】
[0046]
図4に例示的に示されるように、複数の処理ユニットは、ローラ100の周りの円周方向に配置され得る。ローラ100が回転すると、フレキシブル基板10は、ローラの湾曲した基板支持面に面する処理ユニットを通過して案内され、これにより、所定の速度で処理ユニットを通過しながらフレキシブル基板の表面を処理することができる。例えば、複数の処理ユニットは、堆積ユニット、エッチングユニット、及び加熱ユニットからなる群から選択される1つ又は複数のユニットを含んでもよい。本明細書に記載の真空処理装置の堆積ユニットは、スパッタ堆積ユニット、例えば、AC(交流)スパッタ源又はDC(直流)スパッタ源、RF(高周波)スパッタ源、MF(中周波)スパッタ源、パルススパッタ源、パルスDCスパッタ源、マグネトロンスパッタ源、反応性スパッタ源、CVD堆積ユニット、PECVD堆積ユニット、PVD堆積ユニット又は別の適切な堆積ユニットであることができる。通常、本明細書に記載の堆積ユニットは、例えばフレキシブル表示装置、タッチスクリーン装置コンポーネント、又は他の電子若しくは光学装置を形成するために、フレキシブル基板上に薄膜を堆積するように適合されることが理解されるべきである。本明細書に記載される堆積ユニットは、導電性材料、半導電性材料、誘電性材料、又は絶縁性材料の群から選択される少なくとも1つの材料を堆積するように構成することができる。
【0048】
[0047]さらに、
図4に例示的に示すように、真空処理装置200は、処理チャンバ220の下流に配置された第2のスプールチャンバ250を含んでもよい。第2のスプールチャンバ250には、処理後のフレキシブル基板10を巻き取るための巻き取りスプール252が収容されている。
【0049】
[0048]
図5に示されるブロック図を例示的に参照して、本開示によるフレキシブル基板を案内するためのローラを製造する方法300が説明される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、方法は、レーザ穴開けを使用して、複数のガス出口105を有するスリーブ104を製造するステップ(
図5のブロック310によって表される)を含む。レーザ穴開けは、レーザ照射とも呼ばれる。さらに、この方法は、本体101の外面に設けられた複数のガス供給スリット103を有するローラ100の本体101の周囲にスリーブ104を接触させて設けるステップ(
図5のブロック320で表される)を含み、複数のガス出口105は、複数のガス供給スリット103の上方に配置される。
【0050】
[0049]
図6に示すブロック図を例示的に参照して、本開示によるフレキシブル基板を処理する方法400を説明する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、この方法は、本明細書に記載される任意の実施形態に従って、フレキシブル基板10を搬送するためのローラ100を使用することによって、フレキシブル基板10を1つ又は複数の処理ユニット221を通過するように案内すること(
図6のブロック410によって表される)を含む。さらに、この方法は、ローラ100の複数のガス出口105を通じてフレキシブル基板にガスを供給することによって、フレキシブル基板10の温度を制御すること(
図6のブロック420で表される)を含む。
【0051】
[0050]本明細書に記載される実施形態を考慮すると、本開示の一態様によれば、コーティングされたフレキシブル基板を製造する方法が提供され得ることが理解されるべきである。この方法は、本明細書に記載の任意の実施形態によるローラ100、本明細書に記載の任意の実施形態による真空処理装置200、及び本明細書に記載の任意の実施形態によるフレキシブル基板を処理する方法400のうちの少なくとも1つを使用することを含む。
【0052】
[0051]上記を踏まえると、最先端技術と比較して、本明細書に記載される実施形態は、改善されたフレキシブル基板搬送、基板処理中のフレキシブル基板の冷却改善を提供し、その結果、より良好な処理結果、例えば、より高いコーティング品質が得られることが理解されるべきである。
【0053】
[0052]以上の説明は実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱せずに他の実施形態及び更なる実施形態を考案してもよく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【国際調査報告】