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特表2024-519399高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-10
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20240501BHJP
【FI】
C08J3/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573272
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2022008716
(87)【国際公開番号】W WO2022265473
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079644
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080231
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074941
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】テ・ウ・ナム
(72)【発明者】
【氏名】キュンフン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソクヒョン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ギュンヒョク・アン
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA48
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、本発明の高吸水性樹脂製造方法によると、重合反応の開始及び抑制を効率的に制御して、最終製品内の未反応モノマーの含量を減少することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤、及び重合開始剤を含むモノマー組成物に対して重合を行い、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー及び内部架橋剤が架橋重合されたポリマーを形成する段階(段階1);
前記ポリマーの少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲルポリマーを形成する段階(段階2);
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲルポリマーを細粒化する段階(段階3);及び
前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥し、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)を含み、
前記ポリマーを形成する段階で、前記モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物はモノマー移送ラインを介して、前記重合開始剤は開始剤移送ラインを介してそれぞれ移送され、重合反応器に投入される直前にモノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさって、前記第1モノマー組成物及び開始剤が混合されて第2モノマー組成物を形成する、高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記ポリマーを形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記段階2及び段階3は、順次に、同時に、または交互に行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給速度(m/s)に対する、前記開始剤移送ラインから供給される開始剤の供給速度(m/s)の比(速度比)が、3.6以上である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記第2モノマー組成物は還元剤をさらに含み、
前記還元剤は、前記開始剤移送ラインを介して開始剤と共に供給されるか、別の還元剤移送ラインを介して供給され、
前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給速度(m/s)に対する、前記還元剤の供給速度(m/s)の比(速度比)が、3.5以上である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給流量(kg/hr)に対する、前記開始剤移送ラインから供給される開始剤の供給流量(kg/hr)の比(流量比)が、0.01~0.1である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥する段階は、流動式(moving type)で行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記流動式乾燥は、横型ミキサー(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)、またはスチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)を利用して行われる、請求項7に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥する段階は、150℃以下の温度で行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥して収得される高吸水性樹脂粒子の含水率は10~30重量%である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記界面活性剤の少なくとも一部は、前記含水ゲルポリマーの表面に存在する、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記界面活性剤は、下記化学式2で表される化合物、その塩、下記化学式3で表される化合物、及びその塩を含む群から選択された1種以上を含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【化1】
前記化学式2中、
Aは炭素数5~21のアルキルであり、
は-OCO-、-COO-、または-COOCH(R)COO-であり、
は-CH-、-CHCH-、-CH(R)-、-CH=CH-、または-C≡C-であり、
ここで、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキルであり、
nは1~3の整数であり、
Cはカルボキシル基であり、
【化2】
前記化学式3中、
、A及びAはそれぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化3】
であり、但し、これらの中の一つ以上はカルボニルまたは
【化4】
であり、ここで、m1、m2及びm3はそれぞれ独立して、1~8の整数であり、
【化5】
はそれぞれ隣接した酸素原子と連結し、
【化6】
は隣接したR、R及びRとそれぞれ連結し、
、R及びRはそれぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルケニルであり、
nは1~9の整数である。
【請求項13】
前記高吸水性樹脂粒子は、前記高吸水性樹脂粒子の総重量に対して150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子を89重量%以上含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記高吸水性樹脂粒子は、前記高吸水性樹脂粒子の総重量に対して150μm未満の粒径を有する高吸水性樹脂粒子を20重量%以下含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥して高吸水性樹脂粒子を製造する段階の後、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項16】
前記高吸水性樹脂粒子を追加で粉砕する段階の後、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径に応じて分級する段階をさらに含む、請求項15に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項17】
前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含む、請求項1または16に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項18】
前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階の後、
前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却段階;前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水段階;及び前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理段階のうちいずれか一つの段階以上をさらに含む、
請求項17に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項19】
前記冷却段階、加水段階、及び後処理段階を同時に行う、請求項18に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項20】
請求項1の製造方法によって製造される、高吸水性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、製品内に未反応モノマーの発生を顕著に減少させることができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自らの重量の5百~1千倍程度の水分を吸収できる機能を有した合成高分子物質として、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で命名されている。このような高吸水性樹脂は生理用品で実用化し始め、現在は園芸用土壌補水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での新鮮度保持剤及び湿布用などの材料として幅広く使用されている。
【0003】
このような高吸水性樹脂は、主におむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に拡散した状態で含まれることが一般的である。しかし、近年、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いて、その一環としてパルプの含量が減少されたり、さらに、パルプが全く使用されない、いわゆるパルプリース(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進行している。
【0004】
このように、パルプの含量が減少したり、パルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、高吸水性樹脂粒子が衛生材内にやむをえず多層で含まれる。このように多層で含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に多量の小便などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸収性能だけでなく速い吸収速度を持つ必要がある。
【0005】
このような高吸水性樹脂は、水溶性エチレン系不飽和カルボキシ酸、あるいはその塩を含むモノマーを架橋重合して製造された含水ゲルポリマーを乾燥、粉砕及び分級する方法によって作られるか、あるいは、これを再び表面架橋して作られる。
【0006】
上述したモノマーを架橋重合する時には、適切な種類の重合開始剤、あるいは重合抑制剤を使用し、反応の工程条件等を通して重合反応の進行程度を調節することになるが、特に、重合活性化のために、モノマー混合物に存在する溶存酸素を重合反応器に投入する前に除去するなどの方法が知られている。
【0007】
また、最終的に製造される高吸水性樹脂の優れた物性のために、反応の開始や抑制などを正確に調節する必要があり、ラジカル反応の特性上、これが非常に難しく、使用する重合開始剤あるいは重合抑制剤の量によって、高吸水性樹脂の物性が低下される問題がある。
【0008】
特に、開始剤とモノマーが会うと、すぐに重合反応が開始され、重合反応器でない配管などの移送ラインで重合が開始され、連続運転が難しくなり、最終製品内の未反応モノマーの含量は増加する問題が発生する可能性がある。
【0009】
したがって、重合反応の開始及び抑制を効率的に制御するための研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書は、重合を行う時、重合反応の開始及び抑制を効率的に制御できる、高吸水性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤、及び重合開始剤を含むモノマー組成物に対して重合を行い、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー及び内部架橋剤が架橋重合されたポリマーを形成する段階(段階1);前記ポリマーの少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲルポリマーを形成する段階(段階2);界面活性剤の存在下で、前記含水ゲルポリマーを細粒化する段階(段階3);及び前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥し、乾燥した高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)を含み、前記ポリマーを形成する段階において、前記モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物はモノマー移送ラインを介して、前記重合開始剤は開始剤移送ラインを介してそれぞれ移送され、重合反応器に投入される直前、モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさって前記第1モノマー組成物及び開始剤が混合されて第2モノマー組成物を形成する、高吸水性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本明細書は、前記高吸水性樹脂の製造方法によって製造された高吸水性樹脂を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高吸水性樹脂製造方法によると、重合反応の開始及び抑制を効率的に制御し、最終製品内の未反応モノマーの含量を減少することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」等の用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせが存在することを指定するもので、一つまたは複数の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されるべきである。
【0015】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができ、特定の実施例を例示し、下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定するのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。
【0016】
以下、発明の具体的な具現例により高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂についてより詳しく説明する。
【0017】
その前に、本明細書に使用される専門用語は、単に特定の具現例を言及するためのものであり、本発明を限定する意図はない。そして、ここで使用される単数形は文言が明らかに反対の意味を示さない限り、複数形も含む。
【0018】
本発明の一実施形態によると、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤、及び重合開始剤を含むモノマー組成物に対して重合を行い、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー及び内部架橋剤が架橋重合されたポリマーを形成する段階(段階1);前記ポリマーの少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲルポリマーを形成する段階(段階2);界面活性剤の存在下で、前記含水ゲルポリマーを細粒化する段階(段階3);及び前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥し、乾燥した高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)を含み、前記ポリマーを形成する段階において、前記モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物はモノマー移送ラインを介して、前記重合開始剤は開始剤移送ラインを介してそれぞれ移送され、重合反応器に投入される直前にモノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさって、前記第1モノマー組成物及び開始剤が混合されて第2モノマー組成物を形成する、高吸水性樹脂の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の明細書に使用される用語「ポリマー」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和モノマーが重合された状態を意味し、すべての水分含量範囲または粒径範囲を包括することができる。
【0020】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈に応じて、架橋ポリマー、または前記架橋ポリマーが粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)状のベース樹脂を意味したり、または前記架橋ポリマーや前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などを経て製品化に適した状態にしたものを全て包括するものとして使用される。
【0021】
また、用語「微粉」は、高吸水性樹脂粒子のうち150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法によって測定することができる。
【0022】
また、用語「チョッピング(chopping)」は、乾燥効率を上げるために含水ゲルポリマーをミリメートル単位の小片に切断することであり、正常粒子レベルまで粉砕することとは区別されて使用される。
【0023】
また、用語「細粒化(micronizing、micronization)」は、含水ゲルポリマーを数十~数百マイクロメーターの粒径で粉砕することであり、「チョッピング」とは区別されて使用される。
【0024】
従来、高吸水性樹脂は、下記のような段階を含めて製造された。
(重合)内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマーを架橋重合して含水ゲルポリマーを形成する段階;
(チョッピング)前記含水ゲルポリマーをチョッピング(chopping)する段階;
(乾燥)チョッピングされた含水ゲルポリマーを乾燥する段階;及び
(粉砕/分級)前記乾燥されたポリマーを粉砕後、正常粒子及び微粉に分級する段階。
【0025】
前記のような一連の製造工程のうち、前記重合段階では、モノマーと開始剤が会うとすぐに重合反応が進行することができる。例えば、各反応物質を反応器に供給するための移送ラインでモノマーと開始剤成分が会う場合、移送ライン内部で重合反応が進行し、これにより移送ラインが閉鎖される問題が発生する可能性がある。
【0026】
そこで、本発明者は重合段階でバッチ重合を行う時、前記モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物はモノマー移送ラインを介して、前記重合開始剤は開始剤移送ラインを介してそれぞれ移送させ、重合反応器に投入される直前、モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさって前記第1モノマー組成物及び開始剤が混合され、第2モノマー組成物を形成するようにすることで、移送ラインの閉鎖が発生する問題を解決できることに着眼して、本発明を完成した。
【0027】
一方、チョッピング工程で含水ゲルポリマーの粘着性を下げるために、界面活性剤を投入する方法が提示された。しかし、チョッピング工程で界面活性剤を投入する場合、含水ゲルポリマーの高い含水性によって、界面活性剤が含水ゲルポリマーの界面に存在するのではなく、含水ゲルポリマーの内部に浸透し、界面活性剤がその役割を正しく果たせないという問題がある。
【0028】
これは、チョッピングされた粒子はチョッピング前のポリマーに比べて数mmまたは数cmレベルの粒子が形成されるため、表面積はある程度増加することができるが、吸収速度を有効に向上させるほどの効果は期待し難い。これに吸収速度向上のためにチョッピング段階で機械的な力をより増加して混練させることで表面積を増加させる方法を検討することができるが、この場合、ポリマー特有の粘着性によって凝集が過度に発生し、チョッピング、乾燥及び粉砕後、粒子表面だけが凸凹のある無定形単一粒子が形成され、過度な混練または粉砕によって、かえって水可溶成分が増加する可能性がある。
【0029】
これを解決するために研究を重ねた結果、通常の高吸水性樹脂の製造方法のように水溶性エチレン系不飽和モノマーの酸性基を中和した状態で重合を行わず、酸性基が中和されていない状態で重合を先に行いポリマーを形成し、界面活性剤の存在下で前記含水ゲルポリマーを細粒化した後、前記ポリマーの酸性基を中和したり、または前記ポリマーの酸性基を中和して、含水ゲルポリマーを形成した後、界面活性剤の存在下で前記含水ゲルポリマーを細粒化したり、または細粒化と同時に前記ポリマーに存在する酸性基を中和すると、界面活性剤が前記ポリマーの表面に多量に存在し、ポリマーの高い粘着性を下げてポリマーが過度に凝集しないことを防止し、所望のレベルに凝集状態を調節できる役割を十分に行うことができることを確認した。
【0030】
これにより、ポリマーを1次粒子が凝集された形態の2次粒子で製造し、その後、よりマイルドな条件で粉砕及び乾燥工程が進行するにつれて、工程中に発生する微粉発生量を顕著に減らすことができる。
【0031】
また、ポリマーを前記界面活性剤の存在下で細粒化する場合、界面活性剤に含まれている疎水性作用基部分が粉砕された高吸水性樹脂粒子の表面に疎水性を付与して粒子間の摩擦力を緩和させ、高吸水性樹脂の見かけ密度を増加させつつ、界面活性剤に含まれている親水性作用基部分も高吸水性樹脂粒子に結合して、樹脂の表面張力が低下しないようにすることができる。これにより、上述した製造方法により製造された高吸水性樹脂は、界面活性剤を使用しない樹脂と比べて、同等レベルの表面張力を示しながら、見かけ密度値は高くすることができる。
【0032】
また、未中和状態で重合を先に行ってポリマーを形成した後、前記ポリマーに存在する酸性基を中和すると、より長い鎖のポリマー形成が可能で、架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含量が減少する効果を達成することができる。
【0033】
前記水可溶成分は、高吸水性樹脂が液体と接触時簡単に溶出する性質があるため、水可溶成分含量が高い場合、溶出した水可溶成分がほとんどの高吸水性樹脂表面に残留することになり、高吸水性樹脂をべたつかせ、通液性が減少する原因となる。したがって、通液性側面から水可溶成分の含量を低く維持することが重要である。
【0034】
本発明の一実施形態によると、未中和状態で重合を行うことにより、水可溶成分含量が低くなり、これにより、高吸水性樹脂の通液性が向上することができる。
【0035】
また、本発明の一実施形態により製造された高吸水性樹脂は、均一な粒径分布を有することができ、これにより、保水能、加圧吸収能などの諸般吸収物性、リウェット特性、及び吸収速度などに優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0036】
以下、一実施形態の高吸水性樹脂の製造方法について、段階ごとにより具体的に説明する。
【0037】
段階1:重合段階
まず、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤、及び重合開始剤を含むモノマー組成物に対して重合を行い、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー及び内部架橋剤が架橋重合されたポリマーを形成する。
【0038】
前記段階は、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤及び重合開始剤を混合してモノマー組成物を準備する段階、及び前記モノマー組成物を重合してポリマーを形成する段階からなることができる。
【0039】
そして、前記ポリマーを形成する段階は、連続バッチ重合によって行われる。
【0040】
前記水溶性エチレン系不飽和モノマーは、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意のモノマーであってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和モノマーは、下記化学式1で表される化合物であることができる:
【0041】
[化学式1]
R-COOM’
【0042】
前記化学式1中、
Rは、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M’は、水素原子、1価または2価の金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0043】
好ましくは、前記モノマーは(メタ)アクリル酸、及びこれらの酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0044】
このように水溶性エチレン系不飽和モノマーとして(メタ)アクリル酸及び/またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができ、有利である。この他、前記モノマーとしては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
【0045】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和モノマーは、酸性基を有する。前述したように、従来の高吸水性樹脂の製造では、前記酸性基のうち少なくとも一部が中和剤によって中和したモノマーを架橋重合して含水ゲルポリマーを形成した。具体的には、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和モノマー、内部架橋剤、重合開始剤及び中和剤を混合する段階で、前記水溶性エチレン系不飽和モノマーの酸性基のうち少なくとも一部が中和された。
【0046】
しかし、本発明の一実施形態によると、前記水溶性エチレン系不飽和モノマーの酸性基が中和されていない状態で、重合を先に行い、ポリマーを形成する。
【0047】
酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和モノマー(例、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)と混和性(miscibility)が高く、モノマー組成物で混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和した水溶性エチレン系不飽和モノマーは、常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度により異なる溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0048】
このように酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和モノマーは、酸性基が中和したモノマーより溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高く、低い温度でも析出されないため、低温で長時間重合をするのに有利である。これにより、前記酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和モノマーを利用して長時間重合を行い、より高分子量を有し、分子量分布が均一なポリマーを安定的に形成することができる。
【0049】
また、より長い鎖のポリマー形成が可能で、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含量が減少する効果を達成することができる。
【0050】
また、このようにモノマーの酸性基が中和されていない状態で重合を先に行ってポリマーを形成し、中和後界面活性剤の存在下で細粒化したり、または界面活性剤の存在下で細粒化後中和したり、または細粒化と同時に前記ポリマーに存在する酸性基を中和すると、界面活性剤が前記ポリマーの表面に多量に存在し、ポリマーの粘着性を下げる役割を十分に果たすことができる。
【0051】
前記モノマー組成物のうち前記水溶性エチレン系不飽和モノマーの濃度は、重合時間及び反応条件などを考慮して適切に調節することができ、約20~約60重量%、または約20~約40重量%とすることができる。
【0052】
本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語であり、上述した水溶性エチレン系不飽和モノマーの不飽和結合の間に架橋結合を導入し、架橋構造を含むポリマーを形成する役割を果たす。
【0053】
前記段階での架橋は、表面または内部の区別なく行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終的に製造された高吸水性樹脂粒子の表面は、表面架橋剤によって新たに架橋された構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造がそのまま維持されることができる。
【0054】
本発明の一実施形態によると、前記内部架橋剤として、多官能アクリレート系化合物、多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0055】
多官能アクリレート系化合物の非制限的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、及びグリセリントリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
多官能アリル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールジアリルエーテル、ジペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタアリルエーテル、トリメチルロールプロパンジアリルエーテル、トリメチルロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、及びグリセリントリアリルエーテルなどを挙げることができ、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
多官能ビニル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールジビニルエーテル、ジペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタビニルエーテル、トリメチルロールプロパンジビニルエーテル、トリメチルロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、及びグリセリントリビニルエーテルなどを挙げることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルを使用することができる。
【0058】
前述した多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和モノマーの不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合して、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、前述した重合反応後の中和過程でも架橋結合をより安定的に維持することができる。
【0059】
これにより、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高くなり、重合後の吐出過程での工程安定性が高くなり、水可溶分の量を最少化することができる。
【0060】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和モノマーの架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下で行うことができる。
【0061】
前記モノマー組成物において、このような内部架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和モノマー100重量部に対して0.01~5重量部で使用することができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和モノマー100重量部に対して0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.7重量部以下で使用することができる。上部内部架橋剤の含量が過度に低い場合、架橋が十分に行われず、適正レベル以上の強度を実現することが困難であり、上部内部架橋剤の含量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなり、所望の保水能の実現が困難である。
【0062】
このような内部架橋剤を利用して形成されたポリマーは、前記水溶性エチレン系不飽和モノマーが重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網状構造を有する。このように、ポリマーが3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されていない2次元の線状構造を有する場合に比べて、高吸水性樹脂の諸般物性である保水能及び加圧吸収能が顕著に向上することができる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、前記モノマー組成物に対して重合を行ってポリマーを形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行うことができる。
【0064】
通常の高吸水性樹脂の製造方法において、重合方法は重合エネルギー源によって大きく熱重合及び光重合に分けられ、通常、熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われたり、底が平らな容器で行うことができる。
【0065】
一方、このような重合方法は、概ね短い重合反応時間、約1時間以下で行うため、ポリマーの分子量が大きくなく、広い分子量分布を有するポリマーが形成される。
【0066】
一方、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器または底が平らな容器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲルポリマーの形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状のポリマーが得られ、ポリマーシートの厚さは注入されるモノマー組成物の濃度及び注入速度または注入量により異なるが、通常約0.5~約5cmの厚さで得られる。
【0067】
しかし、シート状のポリマーの厚さが過度に薄いほどモノマー組成物を供給する場合、生産効率が低く好ましくなく、生産性のためにシート状のポリマー厚さを厚くする場合には、重合反応が全厚さにわたって均等に行われず、高品質のポリマー形成が困難になる。
【0068】
また、前記コンベヤーベルトを備えた反応器攪拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しながら新しいモノマー組成物が反応器に供給され、連続式で重合が行われるため、重合率が互いに異なるポリマーが混合され、モノマー組成物全体で均一な重合が行われにくく、全体的な物性低下が起こる可能性がある。
【0069】
しかし、本発明の一実施形態によると、バッチ式反応器で、固定式(fixed-bed type)で重合を行うため、重合率が異なるポリマーが混合される恐れが少なく、これにより均一な品質を有するポリマーを得ることができる。
【0070】
また、前記重合段階は、所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤーベルトを備えた反応器で連続式に重合を行う場合より長時間、例えば6時間以上の時間、重合反応を行う。前記のような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和モノマーに対して重合を行うため、長時間重合を行ってもモノマーがよく析出されないため、長時間重合を行うのに有利である。
【0071】
一方、本発明のバッチ式反応器での重合は、熱重合方法を利用することにより、前記重合開始剤は熱重合開始剤を使用する。
【0072】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素及びアスコルビン酸からなる開始剤群から選択される一つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane) dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロ塩酸(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロ塩酸(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane] dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovalericacid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書である「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」、p203によく明示されており、上述した例に限られない。
【0073】
重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、最終製品に残存モノマーが多量に抽出される可能性があり、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が過度に高い場合、ネットワークを形成する高分子鎖が短くなり、水可溶成分の含量が高くなり、加圧吸収能が低くなるなど、樹脂の物性が低下する可能性があり、好ましくない。
【0074】
前記熱重合開始剤の使用量は、その後の工程を通して製造されるベース樹脂の物性に影響を与える可能性があり、特に前記ベース樹脂の水可溶成分含量に影響を与える。水可溶成分含量が高くなると、最終的に製造される高吸水性樹脂の物性が悪くなり、特に加圧下吸収能(AUP)と通液性が悪くなる。また、前記熱重合開始剤が少なすぎる場合、含水ゲル重合の効率が低下し、最終的に製造される高吸水性樹脂の各種物性が低下することがある。
【0075】
一般に、上述した重合開始剤は、水溶性エチレン系不飽和モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物(混合物)に最初から含まれる形態に使用されるが、本発明の一側面によると、開始剤は、上述した第1モノマー組成物とは別に準備される。
【0076】
具体的には、前記ポリマーを形成する段階において、前記モノマー及び内部架橋剤を含む第1モノマー組成物は、モノマー移送ラインを介して、前記重合開始剤は開始剤移送ラインを介してそれぞれ移送され、重合反応器に投入される直前に、モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさって、前記第1モノマー組成物及び開始剤が混合されて第2モノマー組成物を形成する。
【0077】
前記のような方法で、重合反応物が供給される移送ラインで重合反応が開始され、重合ラインが閉鎖される問題を防止することができる。
【0078】
そして、前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給の速度(m/s)に対する、前記開始剤移送ラインから供給される開始剤の供給の速度(m/s)の比(速度比)が、約3.6以上、または約4.0以上、または約5.0以上、または約7.0以上であるのが好ましい場合がある。その上限は大きな意味はないが、約20以下、または約17以下、または約15以下であってもよい。
【0079】
前記のような供給速度、つまり、移送ラインから供給される線速度は、単位時間当供給される質量及び密度(kg/hr;kg/m)または体積(m/hr)を測定し、移送ラインの断面積を利用して計算することができる。
【0080】
つまり、前記の速度比は、供給時供給量と関連する速度ではなく、各移送ラインでの線速度に対する比率であることを注意しなければならない。
【0081】
二つの流体が隣接して混合される場合、ベルヌーイの原理により、相対的に遅い速度の流体(例えば、モノマー移送ライン)側は圧力が高くなり、相対的に速い速度の流体(例えば、開始剤移送ライン)側は圧力が低くなる。この二つの圧力差により、各流体内に含まれる物質が拡散しながら混合が行われるが、前記のような速度範囲を満たす場合、瞬間的に速い拡散が起こり、モノマー成分と開始剤成分を早くて均一に混合することができる。
【0082】
これにより、移送ラインで重合反応が開始されるのを防ぐことができると同時に、モノマー成分と開始剤成分が均一に混合され、反応器内部での重合反応も全体的に均一に進行することができ、それによって製造されるポリマー内の未反応モノマー(Residual monomer)成分を大きく減らすことができる。
【0083】
そして、前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給流量(kg/hr)に対する、前記開始剤移送ラインから供給される開始剤の供給流量(kg/hr)の比(流量比)が、約0.01~約0.1であることができる。
【0084】
一方、本発明の一実施形態では、前記開始剤とレドックス(Redox)カップルを形成する還元剤と一緒に投入して重合を開始することができる。
【0085】
具体的には、前記開始剤と還元剤は、ポリマー溶液に投入された時、互いに反応してラジカルを形成する。
【0086】
形成されたラジカルはモノマーと反応することになり、前記開始剤と還元剤間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いため、微量の開始剤及び還元剤だけが投入されても重合が開始され、工程温度を上げる必要がなく、低温重合が可能で、ポリマー溶液の物性変化を最小化することができる。
【0087】
前記酸化-還元反応を利用した重合反応は、常温(25℃)付近またはそれ以下の温度でも円滑に起きることができる。一例として、前記重合反応は5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行うことができる。
【0088】
本発明の一実施形態において、前記開始剤に過硫酸塩系開始剤を使用する場合、還元剤はメタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);及び2-ヒドロキシ-2-スルフィノ酢酸二ナトリウム(Disodium2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群から選択された1種以上を使用することができる。
【0089】
一例として、開始剤として過硫酸カリウムを使用し、還元剤として2-ヒドロキシ-2-スルフィノ酢酸二ナトリウム を使用するか;開始剤として過硫酸アンモニウムを使用し、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを使用するか;開始剤として過硫酸ナトリウムを使用し、還元剤としてホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウムを使用することができる。
【0090】
本発明の他の一実施形態において、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を使用する場合、還元剤は、アスコルビン酸(Ascorbic acid)、スクロース(Sucrose)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、硫酸鉄(II)とEDTAの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate)、2-ヒドロキシ-2-スルフィノ酢酸二ナトリウム(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate)、及び2-ヒドロキシ-2-スルホ酢酸二ナトリウム(Disodium 2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0091】
つまり、前記第2モノマー組成物は還元剤をさらに含み、前記還元剤は、前記開始剤移送ラインを介して開始剤と共に供給されたり、別途の還元剤移送ラインを介して供給されることができる。
【0092】
そして、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給速度(m/s)に対する、前記還元剤の供給速度(m/s)の比(速度比)が、約3.5以上、または約4.0以上、または約5.0以上、または約6.0以上、または約6.5以上であることができ、その上限には大きな意味がないが、約20以下、または約17以下、または約15以下であることができる。
【0093】
前記の還元剤の供給速度比率に対する技術的意義は、開始剤の供給速度比率に対する説明に替える。
【0094】
前記モノマー組成物は必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0095】
そして、前記モノマーを含むモノマー組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であることができ、このような溶液状態のモノマー組成物のうち固形分含量、つまり、モノマー、内部架橋剤及び重合開始剤の濃度は、重合時間及び反応条件などを考慮して適切に調節することができる。例えば、前記モノマー組成物内の固形分含量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であることができる。
【0096】
この時、使用できる溶媒は、上述した成分を溶解することができれば、その構成の限定なく使用することができ、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート及びN,N-ジメチルアセトアミドなどで選択される1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0097】
このような方法で得られたポリマーは、未中和状態のエチレン系不飽和モノマーを利用して重合することにより、前述のように高分子量を有し、分子量分布が均一なポリマーを形成することができ、水可溶成分の含量が減少することができる。
【0098】
このような方法で得られたポリマーは、含水ゲルポリマー状態で、含水率が30~80重量%であることができる。例えば、前記ポリマーの含水率は、30重量%以上、または45重量%以上、または50重量%以上でありながら、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下であることができる。
【0099】
前記ポリマーの含水率が過度に低い場合、その後の粉砕段階で適切な表面積を確保することが難しく、効果的に粉砕されない場合があり、前記ポリマーの含水率が過度に高い場合、その後の粉砕段階で受ける圧力が増加し、所望の粒度まで粉砕させることが難しい場合がある。
【0100】
一方、本明細書全体において、「含水率」は、全体ポリマー重量に対して占める水分の含量で、ポリマーの重量で乾燥状態のポリマーの重量を差し引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通してクラム状態のポリマーの温度を上げて乾燥する過程で、ポリマー中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値と定義する。この時、乾燥条件は常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含めて40分に設定し、含水率を測定する。
【0101】
還元剤が使用される場合、前記開始剤移送ラインには、開始剤と共に還元剤が一緒に供給されることができ、前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給速度に対する、前記開始剤移送ラインから供給される還元剤の供給速度の比(速度比)が、4.0以上になることができる。
【0102】
前記モノマー移送ライン及び開始剤移送ラインが合わさる段階で、前記モノマー移送ラインから供給される第1モノマー混合物の供給流量に対する、前記開始剤移送ラインから供給される開始剤の供給流量の比(流量比)が、約0.01~約0.1であることができる。
【0103】
そして、前記モノマーを含むモノマー組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態のモノマー組成物中の固形分含量、つまり、モノマー、内部架橋剤及び重合開始剤の濃度は、重合時間及び反応条件などを考慮して適切に調節することができる。例えば、前記モノマー組成物内の固形分含量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であることができる。
【0104】
この時、使用できる溶媒は、上述した成分を溶解することができれば、その構成の限定なく使用することができ、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート及びN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択される1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0105】
前記モノマー組成物は必要に応じて増粘剤(thickener)、還元剤、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0106】
段階2:中和段階及び段階3:細粒化段階
次に、前記ポリマーの少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)が行われる。
【0107】
この時、中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質を使用することができる。
【0108】
また、前記ポリマーに含まれている酸性基のうち、前記中和剤によって中和した程度を称する中和度は、50~90モル%、または、60~85モル%、または65~85モル%、または65~75モル%であることができる。前記中和度の範囲は、最終物性により異なるが、中和度が過度に高いと、高吸水性樹脂の吸収能が減少することがあり、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低く、後続工程での表面架橋が適切に行われにくく、加圧下吸収特性または通液性が減少することがある。逆に、中和度が過度に低いと、高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく、取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0109】
前記2段階と同時に、または前記2段階の遂行前後に界面活性剤の存在下で、前記ポリマーを細粒化する段階が行われる(段階3)。
【0110】
前記段階は、界面活性剤の存在下で前記ポリマーを細粒化する段階であり、前記ポリマーをミリメートルの大きさにチョッピングするのではなく、数十~数百マイクロメーターの大きさへの細切と凝集が同時に行われる段階である。つまり、ポリマーに適切な粘着性を付与することによって、数十~数百マイクロメーターの大きさに細切された1次粒子が凝集された形状の2次凝集粒子を製造する段階である。このような段階で製造された2次凝集粒子である含水高吸水性樹脂粒子は、正常粒度分布を有し、表面積が大きく増加し、吸収速度が顕著に改善されることができる。
【0111】
このように前記ポリマーと界面活性剤を混合した後、前記界面活性剤の存在下で前記ポリマーを細粒化して高吸水性樹脂粒子及び界面活性剤が混合された状態で細切及び凝集された2次凝集粒子を製造することができる。
【0112】
ここで、「含水高吸水性樹脂粒子」は、水分含量(含水率)が約30重量%以上である粒子に、ポリマーが乾燥工程なしに粒子状に細切及び凝集されたものであるため、前記ポリマーと同様に30~80重量%の含水率を有することができる。
【0113】
本発明の一実施形態によると、前記界面活性剤は、下記化学式2で表される化合物、またはその塩を使用することができるが、本発明がこれに限定されるものではない:
【0114】
【化1】
【0115】
前記化学式2中、
Aは炭素数5~21のアルキルであり、
は-OCO-、-COO-、または-COOCH(R)COO-であり、
は-CH-、-CHCH-、-CH(R)-、-CH=CH-、または-C≡C-であり、
ここで、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1~4のアルキルであり、
nは1~3の整数であり、
Cはカルボキシル基である。
【0116】
この時、前記界面活性剤は、前記化学式2で表示されるカルボン酸及びその金属塩で構成される群から選択される1種以上である。具体的には、前記界面活性剤は、前記化学式2で表示されるカルボン酸、前記化学式2で表示されるカルボン酸のアルカリ金属塩及び前記化学式2で表示されるカルボン酸のアルカリ土類金属塩で構成される群から選択される1種以上である。より具体的には、前記界面活性剤は、前記化学式2で表示されるカルボン酸、前記化学式2で表示されるカルボン酸のアルカリ金属塩及び前記化学式2で表示されるカルボン酸のアルカリ土類金属塩のうち一つである。
【0117】
前記化学式2で、Aは疎水性を示す部分で、炭素数5~21の線状または分岐型アルキル基であることができるが、Aが線状構造のアルキル基である場合が、粉砕された粒子の凝集を抑制し、分散性を向上させるという側面で、より有利である。Aが炭素数5未満のアルキル基の場合、鎖の長さが短く、粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、Aが炭素数21を超えるアルキル基である場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少し、ポリマーに効果的に混合されないか、界面活性剤の費用上昇によって組成物単価が高くなるという問題がある。
【0118】
具体的には、前記化学式2において、Aは炭素数5~21の線状アルキル、つまり、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、n-オクタデカニル、n-ノナデカニル、n-イコサニル、またはn-ヘンイコサニルであることができる。
【0119】
より具体的には、Aは炭素数6~18の線状アルキルであってもよい。例えば、Aは-C13、-C1123、-C1225、-C1735、または-C1837であってもよい。
【0120】
また、前記化学式2において、(B-B)部分は、C部分だけでは不足する可能性があるポリマー表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす部分であり、Bの炭素数が3個以上である場合には、B部分とC部分の距離が遠くなり、ポリマーに対する吸着性能が低下する可能性がある。
【0121】
この時、R及びRは、それぞれ独立して、線状または分岐型の炭素数1~4のアルキルであることができ、より具体的には、R及びRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルであることができるが、前記界面活性剤が高吸水性樹脂粒子に吸着するという側面で、界面活性剤分子構造がバルキー(bulky)でないことが有利であるため、R及びRは全てメチルであることができる。
【0122】
また、前記化学式2で、nは1、2、または3であってもよい。より具体的には、(B-B)の数を意味するnは、(B-B)部分がC部分に対する吸着性能を補強するためのものである点と、前記界面活性剤がポリマーに効果的に吸着するための分子長さを考慮する時、nは1であることが好ましい。
【0123】
具体的には、前記化学式2中、Bは、
【0124】
【化2】
【0125】
であることができ、ここで、*隣接する原子との結合サイトである。
【0126】
例えば、B
【0127】
【化3】
【0128】
であることができる。
【0129】
また、前記化学式2中、B
【0130】
【化4】
【0131】
であることができ、ここで、*は隣接する原子との結合サイトである。この時、C部分と共に架橋ポリマーに対する界面活性剤の吸着性能を向上させるという側面でB
【0132】
【化5】
【0133】
であるのが好ましい。
【0134】
また、前記化学式2中、C部分は親水性を示す部分でカルボキシル基(COOH)であり、但し前記界面活性剤が塩の場合カルボキシルレート基(COO-)である。
【0135】
即ち、前記界面活性剤は、下記化学式2aで表される化合物であることができる:
【0136】
【化6】
【0137】
前記化学式2a中、
MはH、アルカリ金属の1価カチオン、またはアルカリ土類金属の2価カチオンであり、
kは、MがHまたはアルカリ金属の1価カチオンの場合は1であり、アルカリ土類金属の2価カチオンの場合は2であり、
A、B、B及びnに対する説明は、前記化学式2で定義した通りである。
【0138】
より具体的には、前記界面活性剤が前記化学式2で表されるカルボン酸のアルカリ金属塩の場合、前記界面活性剤は、下記化学式2’で表すことができる:
【0139】
【化7】
【0140】
前記化学式2'中、
はアルカリ金属、例えば、ナトリウムまたはカリウムであり、
A、B、B及びnに対する説明は、前記化学式2で定義した通りである。
【0141】
また、前記界面活性剤が前記化学式2で表されるカルボン酸のアルカリ土類金属塩の場合、前記界面活性剤は、下記化学式2”で表すことができる:
【0142】
【化8】
前記化学式2”中、Mはアルカリ土類金属、例えば、カルシウムであり、
A、B、B及びnに対する説明は、前記化学式2で定義した通りである。
【0143】
一例に、前記界面活性剤は、下記からなる群から選択されるいずれか一つのカルボン酸であることができる:
【0144】
【化9】
【化10】
【0145】
または、前記界面活性剤は下記からなる群から選択されるいずれか一つのアルカリ金属塩であることができる:
【0146】
【化11】
【化12】
前記で、
はそれぞれ独立して、アルカリ金属である。
【0147】
または、前記界面活性剤は、下記からなる群から選択されるいずれか一つのアルカリ土類金属塩であることができる:
【0148】
【化13】
【化14】
【0149】
前記で、
はそれぞれ独立して、アルカリ土類金属である。
【0150】
例えば、前記界面活性剤は下記化学式1-1~1-7で表される化合物のうちいずれか一つであることもできるが、これに対し限定されるのではない:
【0151】
【化15】
【0152】
本発明の他の一実施形態によると、前記界面活性剤は下記化学式3で表される化合物またはその塩を使用することができるが、本発明がこれに限定されるのではない:
【0153】
【化16】
【0154】
前記化学式3で、
、A及びAはそれぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0155】
【化17】
【0156】
であり、但し、これらの中の一つ以上はカルボニルまたは
【0157】
【化18】
【0158】
であり、ここで、m1、m2及びm3はそれぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0159】
【化19】
【0160】
はそれぞれ隣接した酸素原子と連結し、
【0161】
【化20】
【0162】
は隣接したR、R及びRとそれぞれ連結し、
、R及びRはそれぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルケニルであり、
nは1~9の整数である。
【0163】
前記界面活性剤は、ポリマーと混合されて細粒化段階が凝集現象なしに容易に行われるように添加される。
【0164】
前記化学式3で表示される界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤で、未中和されたポリマーとも水素結合力による表面吸着性能に優れて、これにより目的とする凝集制御効果を実現する。一方、非イオン性界面活性剤ではない陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、NaSO等の中和剤に中和したポリマーと混合される場合、ポリマーのカルボキシル基置換基にイオン化されているNa+イオンを媒介として吸着し、未中和ポリマーに混合される場合、ポリマーのカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争によりポリマーに対する吸着効率が相対的に低下される問題がある。
【0165】
具体的には、前記化学式3で表示される界面活性剤で疎水性作用基は、末端作用基であるR、R、R部分(水素でない場合)であり、親水性作用基は、鎖内のグリセロール由来部分と、末端の水酸基(Anが単結合であり、同時にRnが水素である場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来部分と、末端の水酸基は親水性作用基にポリマー表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これにより、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0166】
前記化学式3において、疎水性作用基であるR、R、R部分(水素でない場合)はそれぞれ独立して、炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルケニルである。この時、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖の長さが短くて粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われることができないという問題があり、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数18超過のアルキルまたはアルケニルの場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少し、ポリマーと効果的に混合できないことがあり、界面活性剤の費用上昇によって組成物単価が高くなる問題がある。
【0167】
好ましくは、R、R、Rは、水素であるか、または炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルキルの場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであることもでき、または炭素数6~18の直鎖または分岐鎖のアルケニルの場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであることができる。
【0168】
前記界面活性剤は、下記化学式3-1~化学式3-14で表される化合物から選択されることができる:
【0169】
【化21】
【化22】
【0170】
一方、前記界面活性剤は、前記ポリマー100重量部に対して0.01~10重量部で使用することができる。前記界面活性剤が過度に少なく使用される場合、前記ポリマー表面に均等に吸着せず、粉砕後粒子の再凝集現象が発生する可能性があり、前記界面活性剤が過度に多く使用される場合、最終的に製造された高吸水性樹脂の諸般物性が低下する可能性がある。例えば、前記界面活性剤は、前記ポリマー100重量部に対して0.01重量部以上、0.015重量部以上、または0.1重量部以上でありながら、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で使用することができる。
【0171】
このような界面活性剤をポリマーに混合する方法は、前記ポリマーにこれらを均等に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採択して使用することができる。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合したり、溶媒に溶解した後溶液状態で混合したり、または前記界面活性剤を溶融させた後混合することができる。
【0172】
このうち、例えば、前記界面活性剤は溶媒に溶解した溶液状態で混合することができる。この時、溶媒としては無機溶媒または有機溶媒に制限せずにすべての種類を利用することができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考えると、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記界面活性剤とポリマーを反応槽に入れて混合したり、ミキサーにポリマーを入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーにポリマーと溶液を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0173】
一方、本発明の一実施形態によると、前記ポリマーの少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)と、界面活性剤の存在下で、前記ポリマーを細粒化する段階(段階3)は順次に、または交互的に、または同時で行うことができる。
【0174】
つまり、ポリマーに中和剤を投入して酸性基を先に中和させた後、中和したポリマーに界面活性剤を投入して、界面活性剤が混合されたポリマーを細粒化したり(段階2->段階3の順序に遂行)、ポリマーに中和剤と界面活性剤を同時に投入してポリマーに対して中和及び細粒化を行うこともできる(段階2及び段階3を同時に遂行)。または、界面活性剤を先に投入して中和剤をその後に投入することもできる(段階3->段階2の順序に遂行)。または、中和剤と界面活性剤を交差して交互に投入することもできる。または、界面活性剤を先に投入して細粒化した後、中和剤を投入して中和し、中和した含水ゲルポリマーに追加的に界面活性剤をさらに投入して細粒化工程を追加に行うこともできる。
【0175】
一方、ポリマー全体に対する均一な中和のため、中和剤の投入と細粒化工程の間には一定の時間差を置くことが好ましい場合がある。
【0176】
前記界面活性剤のうち少なくとも一部乃至相当量は、前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在することができる。ここで、前記界面活性剤が含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在するという意味は、前記界面活性剤のうち少なくとも一部または相当量が前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合されていることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は、前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着していることができる。より具体的には、前記界面活性剤の親水性作用基は、前記高吸水性樹脂表面の親水性の部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)などの分子間の力によって物理的に吸着していることができる。このように、前記界面活性剤の親水性の部分は前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着して表面を包み込み、界面活性剤の疎水性部分は樹脂粒子の表面に吸着しないため、樹脂粒子は一種のミセル(micelle)構造の形態として界面活性剤がコーティングされていることができる。これは前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和モノマーの重合工程中に投入されるのではなく、ポリマー形成の後の細粒化段階で投入されるためであり、前記界面活性剤が重合工程中に投入されてポリマーの内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて、界面活性剤としての役割を忠実に果たすことができ、粉砕と凝集が同時に行われ、微細粒子が凝集された形態で表面積が大きい粒子を得ることができる。
【0177】
本発明の一実施形態によると、前記ポリマーを細粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階は2回以上行うことができる。
【0178】
本発明の一実施形態によると、前記細粒化段階は、細粒化装置によって行われ、前記細粒化装置は、内部にポリマーが移送される移送空間を含むボディー部;前記移送空間の内部に回転できるように設置され、ポリマーを移動させるスクリュー部材;前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モーター;前記ボディー部に設置されて前記ポリマーを粉砕するカッター部材;及び前記カッター部材によって粉砕された前記ポリマーを前記ボディー部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板を含むことができる。この時、前記細粒化装置の多孔板に備えられたホールの大きさは、1mm~20mm、または5mm~15mm、または5mm~12mmであることができる。
【0179】
本発明の一実施形態によると、前記1次及び2次細粒化段階は1次及び2次細粒化装置によってそれぞれ行われ、前記1次及び2次細粒化装置は、内部にポリマーが移送される移送空間を含むボディー部;前記移送空間の内部に回転できるように設置されてポリマーを移動させるスクリュー部材;前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モーター;前記ボディー部に設置されて前記ポリマーを粉砕するカッター部材;及び前記カッター部材によって粉砕された前記ポリマーを前記ボディー部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板を含むことができる。
【0180】
前記1次及び2次細粒化装置にそれぞれ備えられた多孔板のホールの大きさは互いに同一または異なってもよい。
【0181】
一方、本発明の一実施形態によると、粉砕の容易性のために前記2次細粒化装置の多孔板に具備されたホールの大きさが前記1次細粒化装置の多孔板に備えられた多孔板のホールの大きさに比べて小さいことが好ましい。例えば、前記1次細粒化装置の多孔板に備えられたホールの大きさは1mm~6mmであり、前記2次細粒化装置の多孔板に備えられたホールの大きさは0.5mm~6mmであってもよい。
【0182】
このように、前記界面活性剤と混合されたポリマーを、細粒化装置を利用して粉砕を行う時、より小さい粒度分布が具現され、その後の乾燥及び粉砕工程をよりマイルドな条件で行うことができ、これにより、微粉発生を防止しながら高吸水性樹脂の物性を向上させることができる。
【0183】
段階4:乾燥段階
次に、前記中和及び細粒化されたポリマーを乾燥し、乾燥した高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)が行われる。
【0184】
前記段階は、ポリマーの少なくとも一部の酸性基が中和され、界面活性剤の存在下で前記ポリマーを細粒化して得られたポリマーである含水高吸水性樹脂粒子の水分を乾燥させる段階である。
【0185】
通常の高吸水性樹脂の製造方法において、前記乾燥段階は高吸水性樹脂の含水率が10重量%未満になるまで行うことが一般的であるが、本発明の一実施形態によると、高吸水性樹脂の含水率が10重量%以上、例えば約10~約20重量%、または約10~約15重量%になるように乾燥する。しかし、本発明がこれに限定されるのではない。
【0186】
このため、前記乾燥段階で使用される乾燥機内の温度は、約150℃以下、例えば約80℃~約150℃で、比較的に低温で行うことができる。乾燥機内の温度が過度に低い場合、乾燥時間が過度に長くなり、前記乾燥温度が過度に高い場合、前記所望の含水率より低い含水率を有する高吸水性樹脂が得られることができる。
【0187】
この時、乾燥は流動式(moving type)で行うことができる。このような流動式(moving type)乾燥は、固定式乾燥とは乾燥される間の物質の流動の有/無によって区別される。
【0188】
前記流動式(moving type)乾燥は、乾燥体を機械的に攪拌しながら乾燥させる方式をいう。この時、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同じ方向であってもよく、異なる方向であってもよい。または、物質は乾燥機の内部で循環し、乾燥機外部の別途のパイプ管で熱媒介流体(熱媒油)を通過させて物質を乾燥させることもできる。
【0189】
一方、固定式乾燥は空気が通ることができる多孔鉄板などのフロアに乾燥させようとする物質を停止した状態で、下から上に熱風が物質を通過して乾燥させる方式を称する。
【0190】
したがって、前記段階で乾燥させようとする短い時間内に均一な乾燥を完了することができるという側面から、流動式乾燥方式で含水高吸水性樹脂を乾燥することが好ましい。
【0191】
このような流動式乾燥方式によって乾燥が可能な装置としては、横型ミキサー(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)、スチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)、または一般に使用する流動式乾燥機などを使用することができる。
【0192】
段階5:粉砕段階
次に、前記乾燥した高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階を行う。
【0193】
具体的には、前記粉砕段階は、乾燥した高吸水性樹脂粒子を粉砕して正常粒子レベルの粒度、つまり、150μm~850μmの粒径を有するように行うことができる。
【0194】
このために使用される粉砕機は、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、切れ破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、細切基(chopper)または円板式切断機(Disc cutter)などであり、上述した例に限定されない。
【0195】
または粉砕機に、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)等を使用することもできるが、上述した例に限定されない。
【0196】
一方、本発明の製造方法では細粒化段階で従来のチョッピング段階でより小さい粒度分布の高吸水性樹脂粒子を実現することができ、流動式(moving type)乾燥を行う場合、乾燥後の含水率が10重量%以上で比較的に高く維持されるため、より少ない粉砕力でマイルドな条件で粉砕を行っても、150μm~850μmの正常粒度の含量が非常に高い高吸水性樹脂を形成することができ、微粉生成比率が大きく減少することができる。
【0197】
前記のように製造された高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子、つまり、正常粒子を80重量%以上、85重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上で含むことができる。このような樹脂粒子の粒径は、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANAWSP220.3方法により測定されることができる。
【0198】
また、前記高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm未満の粒径を有する微粉を約20重量%以下、または約18重量%以下、または約15重量%以下、または約13重量%以下、または約12重量%以下、または約11重量%以下、または約10重量%以下、または約9重量%以下、または約8重量%以下、または約5重量%以下で含むことができる。これは従来の製造方法により高吸水性樹脂を製造する場合、約20重量%超~約30重量%の微粉を有するのとは対照的である。
【0199】
追加段階
前記高吸水性樹脂粒子を粉砕する段階の後に、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径により分級する段階をさらに含むことができる。
【0200】
また、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕及び/または分級した後に表面架橋剤の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含むことができる。前記段階によって、前記高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋ポリマーが表面架橋剤を媒介として追加架橋され、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層が形成されることができる。
【0201】
前記表面架橋剤としては、既存から高吸水性樹脂の製造に使用されている表面架橋剤を特別な制限なく全て使用することができる。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコール及びグリセロールからなる群から選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びグリセロールカーボネートからなる群から選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含むことができる。
【0202】
具体的には、前記表面架橋剤に上述した表面架橋剤のうち1種以上、または2種以上、または3種以上が使用されることができるが、例えば、エチレンカーボネート-プロピレンカーボネート(ECPC)、プロピレングリコール及び/またはグリセロールカーボネートが使用されることができる。
【0203】
このような表面架橋剤は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して約0.001~約5重量部使用することができる。例えば、前記表面架橋剤は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.005重量部以上、または0.01重量部以上、または0.05重量部以上で、または5重量部以下、または4重量部以下、または3重量部以下の含量で使用することができる。表面架橋剤の含量範囲を上述した範囲で調節して優れた吸収諸般物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0204】
また、前記表面架橋層を形成する段階は、前記表面架橋剤に無機物質を追加して行うことができる。つまり、前記表面架橋剤及び無機物質の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面を追加架橋して表面架橋層を形成する段階を行うことができる。
【0205】
このような無機物質として、シリカ(silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物及びアルミニウムスルフェートからなる群から選択された1種以上の無機物質を使用することができる。前記無機物質は粉末状または液状で使用することができ、特にアルミナ粉末、シリカ-アルミナ粉末、チタニア粉末、またはナノシリカ溶液で使用することができる。また、前記無機物質は高吸水性樹脂粒子100重量部に対して約0.001~約1重量部の含量で使用することができる。
【0206】
また、前記表面架橋剤を高吸水性樹脂組成物に混合する方法については、その構成の限定はない。例えば、表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物を反応槽に入れて混合したり、高吸水性樹脂組成物に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに高吸水性樹脂組成物と表面架橋剤を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0207】
前記表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物を混合時、追加に水及びメタノールを共に混合して添加することができる。水及びメタノールを添加する場合、表面架橋剤が高吸水性樹脂組成物に均等に分散できる利点がある。この時、追加される水及びメタノールの含量は、表面架橋剤の均一な分散を誘導し高吸水性樹脂組成物の凝集現象を防止すると同時に架橋剤の表面浸透の深さを最適化するために適切に調節することができる。
【0208】
前記表面架橋工程は、約80℃~約250℃の温度で行うことができる。より具体的には、前記表面架橋工程は約100℃~約220℃、または約120℃~約200℃の温度で、約20分~約2時間、または約40分~約80分間行うことができる。上述した表面架橋工程条件の充足時、高吸水性樹脂粒子の表面が十分に架橋されて加圧吸収能が増加することができる。
【0209】
前記表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給したり、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、これに限定されず、また供給される熱媒体の温度は熱媒体の手段、昇温速度及び昇温目標温度を考慮して適切に選択することができる。一方、直接供給される熱源としては、電気を通した加熱、ガスを通した加熱方法があるが、上述した例に限定されるのではない。
【0210】
本発明の一実施形態によると、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階の後に、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却段階、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水段階、及び前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理段階のうちいずれか一つの段階以上をさらに含めて行うことができる。この時、前記冷却段階、加水段階、及び後処理段階は順次に行われるか、または同時に行われることができる。
【0211】
前記後処理段階で投入する添加剤は、通液性向上剤、アンチ-ケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤、及び酸化防止剤などがあるが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0212】
前記冷却段階、加水段階、及び後処理段階を選択的に行うことにより、最終高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【0213】
本発明の他の一実施形態によると、前記製造方法で製造された高吸水性樹脂を提供する。
【0214】
前記製造方法で製造された高吸水性樹脂は、吸収速度が速く、微粉含量が低く、従来の方法で製造した高吸水性樹脂に対する諸般吸収物性である保水能(CRC)と加圧吸収能(AUP)が同等レベル以上であることができる。
【0215】
また、粒径分布が狭くなり、均一な粒径分布を有することができ、水可溶成分(EC)含量が低くなることによって、通液性、及びリウェット特性に優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0216】
以下、本発明の理解のために望ましい実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0217】
<実施例>
モノマー成分には、アクリル酸(AA)水溶液を使用した。
【0218】
前記のモノマー水溶液内部の溶存酸素を除去するために、窒素ガスを利用して、5℃の温度条件で1L/minに、約1時間窒素パ-ジングを進行した。
【0219】
内部架橋剤成分としては、P-30(Pentaerythritol dially ether)を前記アクリル酸に対して約3500ppmwで混合して使用した。
【0220】
開始剤成分としては、アゾ系開始剤であるVA-086弱600ppmw(アクリル酸対比)と過酸化水素約40ppmw(アクリル酸対比)が供給されるように混合した別の水溶液形態で使用した。
【0221】
還元剤成分としては、アクリル酸に対してアスコブ酸(Ascorbic acid)約150ppmw(アクリル酸対比)と硫酸鉄(FeSO)約1.5ppmw(アクリル酸対比)が供給されるように混合した別の水溶液形態で使用した。
【0222】
各水溶液耐溶質の濃度を別に整理すると、下記の表のとおりである。
【0223】
【表1】
【0224】
モノマー水溶液、開始剤水溶液、及び還元剤水溶液は、全てそれぞれの移送ラインを介して供給し、反応器に到達する直前にモノマー移送ラインに開始剤移送ライン及び還元剤移送ラインがそれぞれ順次に合わさるように構成した。
【0225】
モノマー移送ライン、開始剤移送ライン及び還元剤移送ラインの供給工程条件は、下記の表に整理した。
【0226】
【表2】
【0227】
前記のような条件により、反応器に1時間モノマー水溶液、開始剤、及び還元剤を供給(供給量)し、反応を開始して約90℃の温度条件で約6時間重合反応を行い、架橋ポリマーを形成した。
【0228】
得られた架橋ポリマーを乾燥/粉砕して粉末状に得て、当該試料に対してEDANA法、NWSP210.0.R215に従ってポリマーに対する未反応モノマーの含量を分析した。
【0229】
前記の内容を下記表に整理した。
【0230】
【表3】
【0231】
前記表2を参照すると、実施例2及び3のように、特定の速度比率を満足する場合、未反応モノマーの含量が著しく減少することを確認することができる。
【0232】
これは前記で説明したように、ベルヌーイの原理により、相対的に遅い速度の流体(モノマー移送ライン)側は圧力が高くなり、相対的に速い速度の流体(開始剤移送ライン)側は圧力が高くなり、瞬間的に速い拡散が起こり、モノマー成分と開始剤成分が互いに迅速で均一に混合されたことから起因すると考えられる。
【国際調査報告】