(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】処理ツールにおける統合型大気プラズマ処理ステーション
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240507BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240507BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/31 B
H01L21/304 648G
C23C16/44 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564410
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 US2022025615
(87)【国際公開番号】W WO2022231922
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スバイヤン・ナヴァニーサ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】リトル・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ディニーン・ダニエル・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ゴーンガディ・シャンティナス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F157
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA09
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(57)【要約】
【解決手段】大気プラズマ処理ステーションは、半導体プロセスツールに統合される。大気プラズマ処理ステーションは、半導体プロセスツールの設置面積またはフォームファクタを追加することなく、半導体プロセスツールの堆積チャンバと直接インターフェースする。大気プラズマ処理ステーションは、基板の表面にわたって走査するためのリニアヘッドなどの可動大気プラズマ源を含む。大気プラズマ処理ステーションは、制御環境に密閉空間を提供し、非反応性ガスが密閉空間を通って流れる。プロセスガスは、処理される基板の表面状態に基づいてリニアヘッドに供給され得る。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理するための装置であって、
半導体基板を受け取るための1つまたは複数のカセットと、
前記半導体基板上に材料を堆積するための堆積チャンバと、
前記堆積チャンバ内における堆積の前に前記半導体基板を大気プラズマに曝露するための大気プラズマ処理ステーションと、を備え、前記大気プラズマ処理ステーションは、
前記半導体基板を受け取るための密閉制御環境であって、不活性ガス流を有する密閉制御環境と、
前記密閉制御環境内において前記半導体基板の上に位置決めされるトラックと、
前記トラックに沿って移動可能なリニアヘッドであって、前記大気プラズマを前記半導体基板の特定の領域に導くように構成されているリニアヘッドと
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記大気プラズマ処理ステーションは、前記半導体基板を加熱するための1つまたは複数の加熱要素を有する基板支持体をさらに備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記半導体基板は、前記大気プラズマへの曝露中、約50℃を超える温度に加熱される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
1つまたは複数のプロセスガスを前記リニアヘッドに供給するための1つまたは複数のガスラインと、
前記リニアヘッドにおいて前記1つまたは複数のプロセスガスの大気プラズマを生成するためのRF電源と
をさらに備える、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスは、酸素、水素、水、窒素、アンモニア、ヒドラジン、一酸化炭素、二酸化炭素、ジボラン、メタン、四フッ化炭素、オクタフルオロブタン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはこれらの組み合わせを含む、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記大気プラズマで前記半導体基板の表面の全体を走査し、
キュータイムを短縮して前記半導体基板を前記大気プラズマ処理ステーションから前記堆積チャンバに搬送する操作を実行するための命令で構成されているコントローラ
をさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記半導体基板の前記表面の前記全体を走査する命令で構成されている前記コントローラは、
前記半導体基板を第1のガス組成を有する前記大気プラズマに暴露し、
前記半導体基板を第2のガス組成を有する前記大気プラズマに暴露する操作を実行するための命令で構成されている、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記第1のガス組成を有する前記大気プラズマは、酸素プラズマを含み、前記第2のガス組成を有する前記大気プラズマは、水素プラズマを含む、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、
前記コントローラは、
前記半導体基板上の金属酸化物を金属に還元し、前記半導体基板上の有機不純物を除去し、前記半導体基板の濡れ性を変化させ、前記半導体基板の前記表面の接着性を変化させ、および前記半導体基板の表面粗さを変化させることのうちの1つを実行するために、前記半導体基板を前記大気プラズマに曝露する操作を実行するための命令でさらに構成されている、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記半導体基板は、可動基板支持体上に支持され、前記リニアヘッドは、前記可動基板支持体を使用して前記半導体基板を移動させることによって、前記大気プラズマで前記半導体基板の表面を走査するように構成されている、装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記リニアヘッドは、前記トラックに沿って前記リニアヘッドを移動させることによって、前記大気プラズマで前記半導体基板の表面を走査するように構成されている、装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記不活性ガス流は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはこれらの組み合わせの不活性ガス種を含む、装置。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記堆積チャンバは、無電解堆積チャンバである、装置。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記密閉制御環境は、無酸素環境であり、前記密閉制御環境は、真空圧に曝露されない、装置。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、
1つまたは複数のプロセスガスを前記リニアヘッドに送給するための1つまたは複数のガスラインと、
前記半導体基板の表面状態を提供する指示を受け取り、
前記リニアヘッドに送給される前記1つまたは複数のプロセスガスのガス組成を調整し、
前記リニアヘッドにおいて前記1つまたは複数のプロセスガスの前記大気プラズマを生成し、
前記堆積チャンバ内における堆積の前に前記大気プラズマへの曝露によって前記半導体基板を走査し、前記半導体基板の前記表面状態を処理する操作を実行するための命令で構成されているコントローラと
をさらに備える、装置。
【請求項16】
大気プラズマで半導体基板の表面状態を処理する方法であって、
大気プラズマ処理ステーションおよび堆積チャンバを含む半導体プロセスツール内に半導体基板を受け取り、
前記半導体基板を前記堆積チャンバに搬送すること、を備え前記半導体基板を前記堆積チャンバに搬送することは、
前記堆積チャンバ内における堆積の前に前記大気プラズマ処理ステーション内で前記半導体基板を大気プラズマに曝露することを含み、前記大気プラズマ処理ステーションは、不活性ガス流を有する密閉制御環境と、前記密閉制御環境内で前記半導体基板の上に位置決めされたトラックと、前記トラックに沿って移動可能なリニアヘッドであって、前記大気プラズマを前記半導体基板の特定の領域に導くように構成されているリニアヘッドとを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記半導体基板を前記堆積チャンバに搬送することは、前記半導体基板を前記大気プラズマ処理ステーションから無電解堆積チャンバに移動させることを含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記半導体基板の表面状態を提供する指示を受け取り、
前記リニアヘッドに送給される1つまたは複数のプロセスガスのガス組成を調整し、
前記リニアヘッドにおいて前記1つまたは複数のプロセスガスの前記大気プラズマを生成し、
前記堆積チャンバ内における堆積の前に前記大気プラズマへの曝露によって前記半導体基板を走査し、前記半導体基板の前記表面状態を処理すること、をさらに備える、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスは、酸素、アルゴン、水素、窒素、アンモニア、一酸化炭素、ジボラン、またはこれらの組み合わせを含み、前記不活性ガス流は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはこれらの組み合わせの不活性ガス種を含む、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、
前記密閉制御環境は、無酸素環境であり、前記密閉制御環境は、真空圧に曝露されない、方法。
【発明の詳細な説明】
【参照による援用】
【0001】
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの半導体デバイスの製作は、複数ステップのプロセスである。半導体デバイス製作における様々なプロセスは、一般に、基板の表面上に材料を堆積する前に基板の前処理または洗浄を必要とする。場合によっては、酸化物、有機不純物、または他の汚染物質が材料の堆積にとって課題となる可能性がある。場合によっては、材料の堆積前、濡れ性などの基板の表面状態を調整する必要があり得る。
【0003】
ここで提供される背景技術は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術で説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、半導体基板を処理するための装置が提供される。装置は、半導体基板を受け取るための1つまたは複数のカセットと、半導体基板上に材料を堆積するための堆積チャンバと、堆積チャンバ内における堆積の前に半導体基板を大気プラズマに曝露するための大気プラズマ処理ステーションとを含む。大気プラズマ処理ステーションは、半導体基板を受け取るための密閉制御環境であって、不活性ガス流を有する密閉制御環境と、密閉制御環境内において半導体基板の上に位置決めされるトラックと、トラックに沿って移動可能なリニアヘッドであって、大気プラズマを半導体基板の特定の領域に導くように構成されているリニアヘッドとを含む。
【0005】
いくつかの実施態様では、大気プラズマ処理ステーションは、半導体基板を加熱するための1つまたは複数の加熱要素を有する基板支持体をさらに備える。半導体基板は、大気プラズマへの曝露中、約50℃を超える温度に加熱されてもよい。いくつかの実施態様では、装置は、1つまたは複数のプロセスガスをリニアヘッドに供給するための1つまたは複数のガスラインと、リニアヘッドにおいて1つまたは複数のプロセスガスの大気プラズマを生成するためのRF電源とをさらに含む。1つまたは複数のプロセスガスは、酸素、水素、水、窒素、アンモニア、ヒドラジン、一酸化炭素、二酸化炭素、ジボラン、メタン、四フッ化炭素、オクタフルオロブタン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施態様では、装置は、大気プラズマで半導体基板の表面の全体を走査し、キュータイムを短縮して半導体基板を大気プラズマ処理ステーションから堆積チャンバに搬送する操作を実行するための命令で構成されているコントローラをさらに含む。コントローラは、半導体基板の表面の全体を走査する命令でさらに構成されてもよく、半導体基板を第1のガス組成を有する大気プラズマに暴露し、半導体基板を第2のガス組成を有する大気プラズマに暴露する操作を実行するための命令で構成されている。第1のガス組成を有する大気プラズマは、酸素プラズマを含んでもよく、第2のガス組成を有する大気プラズマは、水素プラズマを含んでもよい。いくつかの実施態様では、コントローラは、半導体基板上の金属酸化物を金属に還元し、半導体基板上の有機不純物を除去し、半導体基板の濡れ性を変化させ、半導体基板の表面の接着性を変化させ、および半導体基板の表面粗さを変化させることのうちの1つを実行するために、半導体基板を大気プラズマに曝露する操作を実行実施するための命令でさらに構成されている。いくつかの実施態様では、半導体基板は、可動基板支持体上に支持され、リニアヘッドは、可動基板支持体を使用して半導体基板を移動させることによって、大気プラズマで半導体基板の表面を走査するように構成されている。いくつかの実施態様では、リニアヘッドは、トラックに沿ってリニアヘッドを移動させることによって、大気プラズマで半導体基板の表面を走査するように構成されている。いくつかの実施態様では、不活性ガス流は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはこれらの組み合わせの不活性ガス種を含む。いくつかの実施態様では、堆積チャンバは、無電解堆積チャンバである。いくつかの実施態様では、密閉制御環境は、無酸素環境であり、密閉制御環境は、真空圧に曝露されない。いくつかの実施態様では、装置は、1つまたは複数のプロセスガスをリニアヘッドに送給するための1つまたは複数のガスラインと、半導体基板の表面状態を提供する指示を受け取り、リニアヘッドに送給される1つまたは複数のプロセスガスのガス組成を調整し、リニアヘッドにおいて1つまたは複数のプロセスガスの大気プラズマを生成し、および堆積チャンバ内における堆積の前に大気プラズマへの曝露によって半導体基板を走査し、半導体基板の表面状態を処理する操作を実行するための命令で構成されているコントローラと、をさらに含む。
【0006】
本明細書では、大気プラズマで半導体基板の表面状態を処理する方法も提供される。方法は、大気プラズマ処理ステーションおよび堆積チャンバを含む半導体プロセスツール内に半導体基板を受け取り、半導体基板を堆積チャンバに搬送することを含む。半導体基板を堆積チャンバに搬送することは、堆積チャンバ内における堆積の前に大気プラズマ処理ステーション内で半導体基板を大気プラズマに曝露することを含み、大気プラズマ処理ステーションは、不活性ガス流を有する密閉制御環境と、密閉制御環境内で半導体基板の上に位置決めされたトラックと、トラックに沿って移動可能なリニアヘッドであって、大気プラズマを半導体基板の特定の領域に導くように構成されているリニアヘッドとを含むことを含む。
【0007】
いくつかの実施態様では、半導体基板を堆積チャンバに搬送することは、半導体基板を大気プラズマ処理ステーションから無電解堆積チャンバに移動させることを含む。いくつかの実施態様では、方法は、半導体基板の表面状態を提供する指示を受け取り、リニアヘッドに送給される1つまたは複数のプロセスガスのガス組成を調整し、リニアヘッドにおいて1つまたは複数のプロセスガスの大気プラズマを生成し、堆積チャンバ内における堆積の前に大気プラズマへの曝露によって半導体基板を走査し、半導体基板の表面状態を処理することをさらに含む。1つまたは複数のプロセスガスは、酸素、アルゴン、水素、窒素、アンモニア、一酸化炭素、ジボラン、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、不活性ガス流は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはこれらの組み合わせの不活性ガス種を含んでもよい。いくつかの実施態様では、密閉制御環境は、無酸素環境であり、密閉制御環境は、真空圧に曝露されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、堆積前に半導体基板を処理するための様々な処理段階の概略断面図である。
【
図1B】
図1Bは、堆積前に半導体基板を処理するための様々な処理段階の概略断面図である。
【
図1C】
図1Cは、堆積前に半導体基板を処理するための様々な処理段階の概略断面図である。
【
図1D】
図1Dは、堆積前に半導体基板を処理するための様々な処理段階の概略断面図である。
【0009】
【
図2】
図2は、湿式技法を使用して金属シード層を有する基板を処理し、金属シード層上に金属を電着する例示的な方法を示すフロー図である。
【0010】
【
図3】
図3は、乾式技法を使用して金属シード層を有する基板を処理し、金属シード層上に金属を電着する例示的な方法を示すフロー図である。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施態様による、基板の処理および堆積のための例示的な半導体プロセスツールの概略図である。
【0012】
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施態様による、
図4Aの半導体プロセスツールにおける例示的な搬送ステーションの概略図である。
【0013】
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施態様による、基板のプラズマ前処理および堆積のための例示的な半導体プロセスツールの概略図である。
【0014】
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施態様による、
図5Aの半導体プロセスツールに統合された例示的な大気プラズマ処理ステーションの概略図である。
【0015】
【
図5C】
図5Cは、いくつかの実施態様による、
図5Aの半導体プロセスツールに統合された例示的な大気プラズマ処理ステーションの斜視図である。
【0016】
【
図6】
図6は、いくつかの実施態様による、電気めっき装置の上面概略図である。
【0017】
【
図7】
図7は、いくつかの実施態様による、無電解めっき装置の上面概略図である。
【0018】
【
図8】
図8は、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマで半導体基板を処理する例示的な方法を示すフロー図である。
【0019】
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマを使用して半導体基板を処理するための様々な処理段階の断面概略図である。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマを使用して半導体基板を処理するための様々な処理段階の断面概略図である。
【
図9C】
図9Cは、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマを使用して半導体基板を処理するための様々な処理段階の断面概略図である。
【
図9D】
図9Dは、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマを使用して半導体基板を処理するための様々な処理段階の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用され得る。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路製作の多くの段階のいずれかにあるケイ素ウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、本開示がウエハ上に実装されることを想定している。しかし、本開示はそのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものであり得る。半導体ウエハに加えて、本開示を利用することができる他のワークピースには、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロ機械デバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0021】
半導体製造プロセスは、材料の堆積の前に不純物、汚染物質、酸化、表面欠陥、または他の望ましくない表面状態をもたらすことがある。未処理のままにすると、これらの望ましくない表面状態は、不均一な堆積、歩留まりの損失、さらには半導体デバイスの損傷につながる可能性がある。
【0022】
問題となり得る1つの課題は、有機不純物の存在である。そのような有機不純物は、エッチング、研磨(例えばCMP)、洗浄、堆積、または他のデバイス製作プロセス後に基板上に残る場合がある。場合によっては、有機不純物は、デバイスの汚染または界面欠陥につながる可能性がある。堆積中に問題となり得る別の課題は、基板の表面上の酸化物(例えば、金属酸化物)の存在である。多くの場合、めっきを受ける基板には、導電性シード層が設けられる。典型的には金属であるこのシード層は、酸素含有雰囲気に曝露されると急速に酸化する場合がある。酸化物はめっきプロセスを妨げる可能性があり、金属を凹状フィーチャにめっきする際に特に問題となり得る。多くの場合、シード層上の酸化物は、望ましくないボイドの形成につながる。
【0023】
プロセスツールによって受け取られる入来するウエハは、典型的には、堆積前に表面前処理が必要である。例えば、基板の表面に存在する酸化物および/または有機不純物を除去するために、基板に還元処理を施すことが可能である。一部の還元処理は液体ベースの化学物質であってもよく、また一部の還元処理はプラズマベースの化学物質であってもよい。例えば、以下の米国特許および特許公開公報のいずれかに記載されているように、様々な前処理プロセスを使用することができ、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:「METHODS FOR REDUCING METAL OXIDE SURFACES TO MODIFIED METAL SURFACES」と題する米国特許公開第2014/0199497号、「METHODS FOR REDUCING METAL OXIDE SURFACES TO MODIFIED METAL SURFACES USING A GASEOUS REDUCING ENVIRONMENT」と題する米国特許第9,070,750号、「PRETREATMENT METHOD FOR PHOTORESIST WAFER PROCESSING」と題する米国特許第9,469,912号、および「METHOD AND APPARATUS FOR CHARACTERIZING METAL OXIDE REDUCTION」と題する米国特許第9,472,377号。
【0024】
図1A~
図1Dは、堆積前に半導体基板を処理するための様々な処理段階の概略断面図を示す。
図1Aでは、半導体基板100が、シード層102を含む。いくつかの実施態様では、シード層102は、銅シード層またはコバルトシード層などの金属シード層である。シード層102の厚さは、約100Å未満または約50Å未満であってもよい。シード層102の酸化は、空気または他の酸素含有環境への曝露によって発生し得る可能性がある。金属酸化物などの酸化物104が、半導体基板100の表面上に形成し得る。酸化物104の存在は、特に電着プロセスにとって重大な課題を提示する場合がある。第1に、酸化された表面はめっきするのが困難であり、不均一なめっきが生じる可能性がある。第2に、ボイドが形成されることで、シード層102の一部はめっきをサポートすることが不可能になる場合がある。第3に、酸化物104の上にバルク金属をめっきすると、接着または層間剥離の問題が生じ得る。酸化物104によって提示される問題に加えて、不純物106が半導体基板100の表面上に形成され得る可能性がある。不純物106は、汚れたチャンバ内の粒子、エッチング副生成物、堆積副生成物、残留物、または他の汚染物質に由来するものであり得る。そのような不純物106は、有機不純物を含む場合がある。一般に、不純物106がデバイスの性能を弱めたり、または殺す可能性があることが知られている。
【0025】
図1Bでは、酸化物104および不純物106を除去するために、表面前処理が半導体基板100上に実施される。表面前処理プロセスは、多くの場合、半導体基板100を還元条件に曝露することを伴う。例えば、還元条件は、半導体基板100を還元化学物質を含む液体、ガス、および/またはプラズマに曝露することによって確立され得る。電着前に基板を前処理するために一般的に使用される1つの方法は、半導体基板100を水素含有プラズマに曝露することを伴う。前処理条件は、酸化物104および不純物106を除去するのに十分なものとすることができる。前処理条件には、限定はしないが、ガス/プラズマ/液体の組成および流量、曝露の期間、基板が維持される温度、プラズマを生成するために使用される電力レベル(存在する場合)、プラズマを生成するために使用されるデューティサイクル(存在する場合)、プラズマを生成するために使用される周波数(存在する場合)、圧力などを含む、様々な処理変数が挙げられ得る。表面前処理は、通常、電気めっきまたは無電解めっき装置とは別の装置で行われるが、場合によっては、表面前処理は、電気めっきまたは無電解めっき装置に含まれるモジュールで行われる場合もある。
【0026】
表面前処理の後、半導体基板100が再汚染または再酸化を引き起こす条件に曝露され得る可能性がある。
図1Cに示すように、再酸化により、表面前処理後、および堆積前にシード層102上に酸化物108が形成される場合がある。場合によっては、半導体基板100を再酸化させるために、表面前処理中または表面前処理後のいずれかに半導体基板100をすすいで乾燥させることが可能である。他の例では、半導体基板100を急激に再酸化させる周囲条件下において、半導体基板100を堆積チャンバ(例えば、電気めっきまたは無電解めっき装置)に搬送することが可能である。いくつかの他の例では、真空プラズマモジュール(VPM)などのモジュールは、プラズマがオフになると落下して半導体基板100を汚染し得る汚染粒子でゆっくりと満たされる場合がある。真空プラズマモジュールは、一般に、酸化物104を還元し、不純物106を除去してシード層102上の堆積/核形成を改善するのに効果的であるが、真空プラズマモジュールは高価であり、VPMを電気めっきまたは無電解めっき装置に統合するとコストがかかり、設置面積/フォームファクタが大きくなってしまう。
【0027】
図1Dは、シード層102上への材料110のバルク堆積後の半導体基板100を示す。材料110は、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、電気めっき、または無電解めっきなどの任意の適切な堆積プロセスによってシード層102上に堆積され得る。酸化物108は、シード層上への材料110の堆積を制限することができる。一例として、酸化された表面は、一般に、無電解めっきにおける自動触媒化学還元のための電子搬送をサポートせず、酸化された表面は、多くの場合、電気めっきプロセスにおいてボイド形成および不均一なめっきをもたらす。
【0028】
図2は、湿式技法を使用して金属シード層を有する基板を処理し、金属シード層上に金属を電着する例示的な方法を示すフロー図を示す。プロセス200はブロック210で始まり、金属シード層がPVDなどの適切な堆積技法を使用して基板上に堆積される。いくつかの実施態様では、金属シード層は、約15Å~約100Å以上の平均厚さを有し得る。基板は、トレンチなどの凹状フィーチャを含んでもよい。ブロック220において、基板は、還元剤を含有する溶液ですすぐか、または濡らすことができる。例えば、還元剤は、金属酸化物を金属に還元するための還元化合物または複数の還元化合物の混合物を含んでもよい。追加的または代替的に、基板は、脱イオン水ですすいで乾燥させてもよい。ブロック230において、基板は、電気めっきまたは無電解堆積システムに搬送される。搬送中、金属シード層が周囲条件に曝露され得、それにより金属シード層が急激に酸化する場合がある。いくつかの実施態様では、この曝露の期間は、約1分~約4時間、約15分~約1時間、またはそれ以上のいずれであってもよい。ブロック240に進み、金属のバルク層が基板上に電着される。電気めっきでは、金属シード層を有する基板は、酸性溶液中に金属の陽イオンおよび関連する陰イオンを含有する電気めっき浴に浸漬することができる。あるいは、無電解めっきでは、金属シード層上に金属の核形成を引き起こす還元化学浴に基板を曝露してもよい。
【0029】
図3は、乾式技法を使用して金属シード層を有する基板を処理し、金属シード層上に金属を電着する例示的な方法を示すフロー図を示す。プロセスはブロック310で始まり、金属シード層がPVDなどの適切な堆積技法を使用して基板上に堆積される。いくつかの実施態様では、金属シード層は、約15Å~約100Å以上の平均厚さを有し得る。基板は、トレンチなどの凹状フィーチャを含んでもよい。ブロック320において、基板は、実質的に減圧された圧力または真空環境を有するチャンバまたは装置に搬送される。実質的に減圧された圧力は、約0.1Torr~約5Torrであり得る。チャンバまたは装置は、水素(H
2)、アンモニア(NH
3)、一酸化炭素(CO)、ジボラン(B
2H
6)、亜硫酸塩化合物、炭素および/もしくは炭化水素、亜リン酸塩、ならびに/またはヒドラジン(N
2H
4)などの還元ガス種を含むことができる。チャンバまたは装置は、基板の表面の汚染物質または酸化物を洗浄する前処理モジュールとして機能する。搬送中、基板は、金属シード層の表面を酸化させる可能性がある周囲条件に曝露され得る。ブロック330に進み、プラズマが還元ガス種から生成される。プラズマは、還元ガス種のラジカル、イオン、中性物質を含み、酸化物を還元して純粋な金属表面を生成することが可能である。プラズマは、直接または間接プラズマ(例えば、リモートプラズマ)であってもよい。プロセスはブロック340に続き、基板がプラズマに曝露されて金属シード層を処理する。プラズマは、金属シード層と接触し、金属シード層の表面から金属酸化物を除去することができる。プラズマは、追加的または代替的に、堆積したままの金属シード層から残された有機不純物を除去してもよい。プラズマは、追加的または代替的に、金属シード層の表面粗さを変化させてもよい。金属シード層の他の表面状態は、プラズマへの曝露によって調整することができる。ブロック350において、基板は、周囲条件下または不活性ガスのブランケット下において、電気めっきまたは無電解堆積チャンバに搬送される。いくつかの実施態様では、この搬送の期間は、約1分~約4時間、約15分~約1時間、またはそれ以上のいずれであってもよい。周囲条件への曝露は、潜在的に再酸化をもたらす可能性がある。いくつかの実施態様では、基板は、再酸化を最小限に抑えるために不活性ガスのブランケットの下で搬送され得る。ブロック360において、金属が基板上に電着される。バルク金属は、電気めっきまたは無電解めっきによって金属シード層上に堆積され得る。
【0030】
堆積前の基板の処理には、多くの戦略が存在する。湿式技法は酸化物を還元するための還元剤を有する水溶液を伴い得るが、水溶液は酸性であるか、または酸化物をエッチングもしくは溶解する他の化学試薬を含有し、それによりシード層にボイドが生じる可能性がある。加えて、湿式技法は残留物を残す場合があり、これにより追加のすすぎおよび乾燥動作が必要となり、シード層を再酸化する可能性がある。乾式技法は酸化物を低減するために熱フォーミングガスアニールを伴う場合があるが、そのような技法はプラズマベースの技法ほど効果的ではない可能性があり、通常は150℃を超える温度を必要とするため、シード層に損傷が生じてボイド形成が増加してしまう。他の乾式技法は、酸化物を低減し、あるいは表面欠陥および汚染物質を処理するために真空または実質的に減圧された圧力で生成されるプラズマの使用を伴う場合があるが、そのようなプラズマはかなりのコストを追加し、薄い金属シード層に損傷を与える可能性があるかなりの高温を利用する。さらに、これらのプラズマの生成には、チャンバを真空または実質的に減圧された圧力にポンプダウンするまでに比較的長い時間を必要とし、それによってキュータイムが増加してスループットが低下してしまう。これらのプラズマは、多くの場合、真空プラズマモジュールがスタンドアロン機器であるか既存のプロセスツールに組み込まれているかに関係なく、高価で大きな設置面積/フォームファクタを追加するVPM内で生成される。
【0031】
大気プラズマは、真空プラズマに対する代替手段を提供する。電気アーク、コロナ放電、誘電体バリア放電、およびプラズマジェットを含む、広範囲の大気プラズマ技術が存在する。大気プラズマ技術は、一般に、真空ベースのプラズマ技術よりも安価である。したがって、大気プラズマは生産機器のコストを削減し、広範囲のプラズマ技術に拡張することができる。基板の表面を効果的に処理する大気プラズマ処理ステーションを設計し、半導体処理ツールに大気プラズマ処理ステーションを統合することには課題が存在する。
【0032】
大気プラズマ前処理ステーション
本開示は、統合型大気プラズマ処理ステーションおよび堆積チャンバを有するプロセスツールに関する。大気プラズマ処理ステーションは、堆積前に基板の様々な表面状態を処理または制御するように構成されてもよく、表面状態には、限定はしないが、表面欠陥、酸化物、有機不純物、粗さ、濡れ性、接着性、均一性、および電気バイアスが挙げられ得る。いくつかの実施態様では、制御環境が大気プラズマ処理ステーション内の密閉空間に提供され、制御環境には、非反応性ガス(例えば、不活性ガス)の正圧流が挙げられる。大気プラズマ処理ステーションは、基板の上に装着されたリニアヘッドをさらに含む。リニアヘッドおよび基板の一方または両方は、リニアヘッドが大気プラズマを基板の特定の領域に導くように位置決めされるように移動可能である。このようにして、基板の特定の領域を処理したり、または基板の全体を走査したりすることが可能である。いくつかの実施態様では、リニアヘッドは、リニアヘッドが基板に対して移動可能であるように、トラック上に装着されたロボットアームに結合される。いくつかの実施態様では、基板は、リニアヘッドに対して移動可能であるように、可動基板支持体上に支持される。ガスラインが、プロセスガスをリニアヘッドに送給することができ、プロセスガスの組成は、基板に行われる表面処理に応じて変えることが可能である。プロセスツール内の大気プラズマ処理ステーションの設計により、基板の処理と基板上への材料の堆積との間のキュータイムが短縮される。
【0033】
図4Aは、いくつかの実施態様による、基板の処理および堆積のための例示的な半導体プロセスツールの概略図を示す。半導体プロセスツール400が、制御された方式で半導体基板を順次処理する能力を有するマルチチャンバシステムまたはクラスタツールで1つまたは複数の半導体基板を処理することが可能である。半導体プロセスツール400は、処理のためにクリーンルームから半導体基板を受け取り、処理後に半導体基板をクリーンルームに戻すことができる。半導体プロセスツール400は、半導体基板上に材料を堆積するために使用され得る。例えば、半導体プロセスツール400は、電気めっきまたは無電解めっきによって半導体基板上に材料を堆積するために使用されてもよい。半導体プロセスツール400は、アニールステーション、搬送ステーション、洗浄ステーション、計測ステーション、ブラシステーション、乾燥ステーション、前処理ステーション、および堆積ステーションなどの複数のステーションまたはチャンバを含んでもよい。一部のステーションは湿式処理ステーションであってもよく、一部のステーションは乾式処理ステーションであってもよい。半導体プロセスツールは、典型的には、様々なチャンバとステーションとの間で半導体基板を搬送する搬送ロボットを含む。
図4Aでは、半導体プロセスツール400は、搬送ステーション420と、1つまたは複数のめっきステーション430と、洗浄ステーション440と、乾燥ステーション460とを含む。
【0034】
半導体プロセスツール400は、半導体基板を受け取るための1つまたは複数のカセット442を含む。1つまたは複数のカセット442は、半導体プロセスツール400で処理される半導体基板を受け取るためのポッドまたはフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)であってもよい。搬送ロボット422が、半導体基板に沿って移動し、半導体基板をカセット442から搬送ステーション420に搬送するように構成されている。いくつかの実施態様では、搬送ロボット422は、1つまたは複数のアームを有してもよく、各アームは、輸送のために半導体基板をピックアップするためのエンドエフェクタを有してもよい。
【0035】
搬送ステーション420は、半導体プロセスツール400内の複数のステーションとインターフェースすることができる。
図4Aに示すように、搬送ステーション420は、1つまたは複数のめっきステーション430とインターフェースすることが可能である。搬送ステーション420は、1つまたは複数の半導体基板を支持するための少なくともプラットフォーム、台座、または他の支持体を含むことができる。
図4Bは、いくつかの実施態様による、
図4Aの半導体プロセスツールにおける例示的な搬送ステーションの概略図を示す。いくつかの実施態様では、搬送ステーション420は、大気条件に曝露されてもよい。いくつかの実施態様では、搬送ステーション420は、大気圧未満の圧力または真空圧力までポンプダウンされてもよい。いくつかの実施態様では、搬送ステーション420は、汚染を制限するために、アルゴン(Ar)または窒素(N
2)などの非反応性ガスの流れを供給することができる。
【0036】
搬送ステーション420は、半導体基板を1つまたは複数のめっきステーション430に搬送するように構成され得る。いくつかの実施態様では、1つまたは複数のめっきステーション430は、無電解めっきステーション430であってもよい。しかし、1つまたは複数のめっきステーション430は、材料を堆積するための任意の適切な堆積ステーションであってもよく、堆積ステーションは、PVDステーション、CVDステーション、ALDステーション、または電気めっきステーションであってもよいことが理解されよう。1つまたは複数のめっきステーション430は、半導体基板上に電気めっきまたは無電解めっき動作を実施することができ、半導体基板は、制御環境にあり、半導体基板の表面上に金属を選択的に堆積するためにめっき溶液に曝露することが可能である。
【0037】
堆積後、半導体基板は搬送ステーション420に戻されるか、またはハンドリングロボット432を介して洗浄ステーション440に移動されてもよい。
図4Aは洗浄ステーション440を図示しているが、洗浄ステーション440は、堆積後に半導体基板を処理するための任意の堆積後処理ステーションであってもよいことが理解されよう。洗浄ステーション440は、半導体基板の表面から残留アーチファクトまたは汚染物質を除去するように構成され得る。例えば、洗浄ステーション440は、半導体基板を洗浄するためのブラシボックス、流体送給ノズル、または他の洗浄機構を含んでもよい。
【0038】
洗浄後、半導体基板は搬送ステーション420に戻されるか、またはハンドリングロボット432を介して乾燥ステーション460に移動されてもよい。いくつかの実施態様では、乾燥ステーション460は、洗浄ステーション440と統合される。いくつかの実施態様では、乾燥ステーション460は、半導体基板を乾燥ガスに曝露してもよい。乾燥ステーション460から、半導体基板は、搬送ロボット422を介してカセット442に戻すことが可能である。その結果、半導体基板は、めっき後に洗浄および乾燥してクリーンルームに戻すことができる。
図4Aの矢印は、半導体プロセスツール400を通るウエハ経路を示している。
【0039】
コントローラ450は、半導体プロセスツール400のカセット442、搬送ロボット422、搬送ステーション420、1つまたは複数のめっきステーション430、ハンドリングロボット432、洗浄ステーション440、および乾燥ステーション460の各々に結合され、それらの動作を制御する。コントローラ450は、半導体プロセスツール400の性質の一部またはすべてを制御する。コントローラ450は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。コントローラ450の態様については、以下でより詳細に説明される。
【0040】
本開示では、半導体プロセスツールのウエハ搬送ステーションは、大気プラズマ処理ステーションとして修正することができる。このようにして、機器の設置面積またはフォームファクタを追加することなく、大気プラズマ処理ステーションが半導体プロセスツール内に統合される。あるいは、大気プラズマ処理ステーションは、堆積ステーションとインターフェースすることができる既存の処理ステーションを置き換えるか、または修正してもよい。そのような既存の処理ステーションには、アニールステーション、真空プラズマ処理ステーション、湿式クリーンステーション、乾式クリーンステーションなどが挙げられ得る。湿式クリーンステーションなどの既存の処理ステーションは、入来する半導体基板から酸化物および有機不純物を除去するのに十分な強度がない場合がある。さらに、真空プラズマ処理ステーションなどの既存の処理ステーションは酸化物および有機不純物を効果的に除去することができるが、真空プラズマ処理ステーションは高価であり、機器の設置面積が増加し、キュータイムが増加し、そしてスループットが低下する可能性がある。大気プラズマ処理ステーションは、真空プラズマ処理ステーションと比較してコストが最大4倍低くなり得る。大気プラズマ処理ステーションは、真空プラズマ処理ステーションの欠点なしに酸化物、有機不純物、および他の汚染物質を効果的に除去することが可能である。場合によっては、これにより均一な無電解堆積が促進され、無電解堆積後の欠陥を低減することができる。
【0041】
図5Aは、いくつかの実施態様による、基板のプラズマ前処理および堆積のための例示的な半導体プロセスツールの概略図を示す。
図5Aの半導体プロセスツール500は、
図4Aの半導体プロセスツール400と同様のマルチチャンバシステムまたはクラスタツールで1つまたは複数の半導体基板を処理することができる。半導体プロセスツール500は、電気めっきまたは無電解めっきなどの特定の堆積技法によって1つまたは複数の半導体基板上に材料を堆積するために使用され得る。半導体プロセスツール500は、大気プラズマ処理ステーション520を統合し、1つまたは複数のめっきステーション530とインターフェースすることが可能である。
図5Aでは、半導体プロセスツール500は、大気プラズマ処理ステーション520と、1つまたは複数のめっきステーション530と、洗浄ステーション540と、乾燥ステーション560とを含む。
【0042】
半導体プロセスツール500は、半導体基板を受け取るための1つまたは複数のカセット542を含む。1つまたは複数のカセット542は、半導体プロセスツール500で処理される半導体基板を受け取るためのポッドまたはFOUPであってもよい。搬送ロボット522が、半導体基板に沿って移動し、半導体基板をカセット542から大気プラズマ処理ステーション520に搬送するように構成されている。いくつかの実施態様では、搬送ロボット522は、1つまたは複数のアームを有してもよく、各アームは、輸送のために半導体基板をピックアップするためのエンドエフェクタを有してもよい。
【0043】
大気プラズマ処理ステーション520は、半導体プロセスツール500内の1つまたは複数のステーションとインターフェースすることができる。
図5Aに示すように、大気プラズマ処理ステーション520は、1つまたは複数のめっきステーション530とインターフェースすることが可能である。
【0044】
図5Bは、いくつかの実施態様による、
図5Aの半導体プロセスツールに統合された例示的な大気プラズマ処理ステーションの概略図を示す。
図5Cは、いくつかの実施態様による、
図5Aの半導体プロセスツールに統合された大気プラズマ処理ステーションの斜視図を示す。大気プラズマ処理ステーション520は、半導体基板510を支持するための基板支持体552を含んでもよい。いくつかの実施態様では、基板支持体552は、移動可能である。具体的には、可動基板支持体552は、回転可能および/または並進可能であってもよい。これにより、大気プラズマ処理ステーション520を通して半導体基板510を移動させる際、半導体基板510の異なる領域を大気プラズマに曝露することが可能になる。
【0045】
いくつかの実施態様では、基板支持体552は、温度制御のために1つまたは複数の加熱要素および/または冷却要素と結合されてもよい。1つまたは複数の加熱要素は、基板温度制御のために、半導体基板510に面する基板支持体552における加熱アセンブリに結合され得る。例えば、基板支持体552は、ホットプレートであってもよい。基板温度は、特に半導体基板510の表面上の酸化物の還元を最適化するために、大気プラズマ処理ステーション520における半導体基板510の走査を改善または高速化するように調節することが可能である。基板温度が上昇すると、半導体基板510の表面における反応性が高まり、より高速な走査速度が可能になり得る。いくつかの実施態様では、半導体基板510は、大気プラズマ処理ステーション520内での大気プラズマへの曝露中、約30℃を超える温度、約50℃を超える温度、または約75℃を超える温度に加熱されてもよい。いくつかの実施態様では、半導体基板510は、大気プラズマへの曝露後、約75℃未満の温度、約50℃未満の温度、または約30℃未満の温度に冷却されてもよい。このようにして、半導体基板510は、めっきの前に低温または室温に冷却することができる。
【0046】
大気プラズマ処理ステーション520は、制御環境を有する閉鎖空間であってもよい。典型的には、プラズマ環境で処理される基板は、ロードロック動作および真空ポンピングのための追加の組み立てを必要とする。プラズマ処理ステーションを減圧(例えば、約0.1Torr~約5Torr)にポンピングすると、キュータイムが増加する。プラズマ処理ステーションは通常、より多くの空間(例えば、床空間)を占有し、基板処理のスループットを低下させる。大気プラズマ処理ステーション520は、コストがかかる真空機器、ロードロック、およびロボットアセンブリを回避しながら、キュータイムを短縮し、スループットを増加させる。
【0047】
大気プラズマ処理ステーション520は、半導体基板510を酸化または他の形態の汚染を潜在的に引き起こす可能性のある周囲条件に曝露しない。代わりに、ガスを大気プラズマ処理ステーション520の内部に流すことによって、大気プラズマ処理ステーション520内の正圧を維持してもよい。ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、またはラドンなどの非反応性または不活性ガスであってもよい。例えば、大気プラズマ処理ステーション520に流入される不活性ガスには、アルゴン、窒素、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施態様では、大気プラズマ処理ステーション520の内部は、大気プラズマ処理ステーション520の外側の圧力(すなわち、周囲圧力)に対して正圧に維持される。酸素などの大気不純物は、大気プラズマ処理ステーション520の内部に侵入するのを防止することが可能である。したがって、大気プラズマ処理ステーション520の密閉制御環境は、酸素を含まないか、または酸素を実質的に含まない。大気プラズマへの曝露中、不活性ガスの流れによって正圧を維持することができる。いくつかの実施態様では、不活性ガスは、層流で半導体基板510の上部を流れてもよい。不活性ガスは、大気プラズマ処理ステーション520の一方の側から反対側に流れてもよく、そこで不活性ガスは大気プラズマ処理ステーション520から排気または排出され得る。不活性ガスの流れは、大気プラズマ処理ステーション520の内部に制御環境を提供し、大気プラズマ処理ステーション520は、周囲圧力よりも低いか、周囲圧力と等しいか、または周囲圧力よりも高い。1つまたは複数のマスフローコントローラ(MFC)が、制御された速度で不活性ガスの流れを大気プラズマ処理ステーション520の内部に供給することができる。
【0048】
大気プラズマ処理ステーション520は、温度制御可能な基板支持体552の上に位置決めされたリニアヘッド554をさらに含む。リニアヘッド554は、プラズマヘッドとも呼ばれ得る。いくつかの実施態様では、リニアヘッド554は比較的小さく、約100mm~約300mmの直径/幅を有することができる。リニアヘッド554は、プロセスガスを受け取るための1つまたは複数の入口と、大気プラズマをリニアヘッド554から半導体基板510に排出するための1つまたは複数の出口とを含む。大気プラズマは、DCまたはAC励起によってプロセスガスを点火することによってリニアヘッド554において生成され、リニアヘッド554から放出することが可能である。RF電源(図示せず)を使用して、リニアヘッド554において大気プラズマを生成することができる。いくつかの実施態様では、リニアヘッド554から出る大気プラズマは、線形ビームである。
【0049】
プロセスガスは、1つまたは複数の反応性ガス種を含むことができる。反応性ガス種は、酸化物を還元するための還元剤として作用する可能性がある。あるいは、反応性ガス種は、有機不純物を分解するための化学試薬として作用することも可能である。いくつかの実施態様では、プロセスガスは、反応性ガス種と不活性(希釈)ガス種の混合物を含む。反応性ガス種の例には、限定はしないが、酸素、水素、水、窒素、アンモニア、ヒドラジン、一酸化炭素、二酸化炭素、ジボラン、メタン、四フッ化炭素、オクタフルオロブタン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄、および当業者には明らかな他の反応性種が挙げられる。不活性ガス種の例には、限定はしないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、およびラドンが挙げられる。いくつかの実施態様では、不活性ガス種が主なプラズマガスであってもよく、不活性種がドーパントガスであってもよい。したがって、大気プラズマは、主として不活性ガスラジカルで構成され得る。いくつかの実施態様では、プロセスガスは、水素とアルゴンの混合物、またはアルゴンと窒素/水素ガス(フォーミングガス)の混合物を含んでもよい。いくつかの実施態様では、プロセスガスは、アルゴンと酸素の混合物を含んでもよい。
【0050】
プロセスガスは、1つまたは複数のガスライン556によってリニアヘッド554に流され得る。1つまたは複数のガスライン556は、1つまたは複数の入口によってプロセスガスをリニアヘッド554に供給することができる。MFCは、リニアヘッド554へのプロセスガスの流れを制御することが可能である。プロセスガスの組成および流量は、処理される半導体基板510の表面状態に応じて調整されてもよい。一例として、第1の組成が、第1の表面状態を処理する(例えば、有機不純物を除去する)ために1つまたは複数のガスライン556を介してリニアヘッド554に送給され得、第2の組成が、第2の表面状態を処理する(例えば、酸化物を還元する)ために1つまたは複数のガスライン556を介してリニアヘッド554に送給され得る。
【0051】
大気プラズマ処理ステーション520は、基板支持体552の上に位置決めされたトラック558をさらに含むことができる。トラック558は静止していてもよく、リニアヘッド554はトラック558に沿って移動可能であってもよい。トラック558は、半導体基板510の主表面によって画定された1つまたは複数の方向に延びることができ、その方向は、x方向およびy方向を含み得る。したがって、リニアヘッド554は、x方向および/またはy方向にトラック558に沿って移動可能であり得る。トラック558に沿った移動により、リニアヘッド554が半導体基板510の特定の領域を走査またはターゲットにすることが可能になり得る。特に、リニアヘッド554は、トラック558に沿ってリニアヘッド554を位置決めすることによって、特定の場所(x-y座標)において大気プラズマで半導体基板510の表面をターゲットにすることができる。いくつかの実施態様では、リニアヘッド554は、ロボットアーム562を介してトラック558に結合され得る。ロボットアーム562は、リニアヘッド554をトラック558に固定することが可能である。いくつかの実施態様では、リニアヘッド554は、z方向(垂直方向)に沿ってロボットアーム562に沿って移動可能であり、リニアヘッド554を半導体基板510の表面に近づけたり表面から遠ざけたりすることが可能である。リニアヘッド554と半導体基板510の表面との間の距離は、表面処理に影響を与える。リニアヘッド554は、半導体基板510の上で距離zにおいてx方向およびy方向に半導体基板510を走査することが可能である。
【0052】
いくつかの実施態様では、リニアヘッド554は、可動基板支持体552に沿って半導体基板510を移動させることによって、またはトラック558に沿ってリニアヘッド554を移動させることによって、半導体基板510の表面を走査するように構成されている。いくつかの実施態様では、半導体基板510を走査することができるように、半導体基板510とリニアヘッド554の両方が移動することが可能である。これにより、半導体基板510の特定の領域の上にリニアヘッド554を適切に位置決めするための柔軟性が増加する。
【0053】
大気プラズマ処理ステーション520は、半導体基板510を1つまたは複数のめっきステーション530に搬送するように構成され得る。いくつかの実施態様では、1つまたは複数のめっきステーション530は、無電解めっきステーション530であってもよい。しかし、1つまたは複数のめっきステーション530は、材料を堆積するための任意の適切な堆積ステーションであってもよく、堆積ステーションには、限定はしないが、PVDステーション、CVDステーション、またはALDステーションが含まれ得ることが理解されよう。1つまたは複数のめっきステーション530は、半導体基板510上に電気めっきまたは無電解めっき動作を実施することができ、半導体基板510は、制御環境にあり、半導体基板510の表面上に金属を選択的に堆積するためにめっき溶液に曝露することが可能である。
【0054】
堆積後、半導体基板510は、ハンドリングロボット532を介して洗浄ステーション540に搬送または移動されてもよい。
図5Aは洗浄ステーション540を図示しているが、洗浄ステーション540は、堆積後に半導体基板510を処理するための任意の堆積後処理ステーションであってもよいことが理解されよう。洗浄ステーション540は、半導体基板510の表面から残留アーチファクトまたは汚染物質を除去するように構成され得る。例えば、洗浄ステーション540は、半導体基板510を洗浄するためのブラシボックス、流体送給ノズル、または他の洗浄機構を含んでもよい。
【0055】
洗浄後、半導体基板510は、ハンドリングロボット532を介して乾燥ステーション560に搬送または移動されてもよい。いくつかの実施態様では、乾燥ステーション560は、洗浄ステーション540と統合される。いくつかの実施態様では、乾燥ステーション560は、半導体基板510を乾燥ガスに曝露してもよい。乾燥ステーション560から、半導体基板510は、搬送ロボット522を介してカセット542に戻すことが可能である。その結果、半導体基板510は、めっき後に洗浄および乾燥してクリーンルームに戻すことができる。
【0056】
コントローラ550は、半導体プロセスツール500のカセット542、搬送ロボット522、大気プラズマ処理ステーション520、1つまたは複数のめっきステーション530、洗浄ステーション540、および乾燥ステーション560の各々に結合され、それらの動作を制御する。コントローラ550は、半導体プロセスツール500の性質の一部またはすべてを制御する。コントローラ550は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。コントローラ550の態様については、以下でより詳細に説明される。
【0057】
図6は、いくつかの実施態様による、電気めっき装置の上面概略図を示す。本明細書の実施態様に従って使用され得るめっき装置の一例は、カリフォルニア州フリーモントのLam Research社によって製造されるSabre(登録商標)ツールである。電着装置600は、3つの別々の電気めっきモジュール602、604、および606を含むことができる。電着装置600はまた、様々なプロセス動作用に構成された3つの別々のモジュール612、614、および616を含むことができる。例えば、いくつかの実施態様では、モジュール612、614、および616のうちの1つは、スピンリンス乾燥(SRD)モジュールであってもよい。他の実施態様では、モジュール612、614、および616のうちの1つまたは複数は、ポストエレクトロフィルモジュール(PEM)であってもよく、各々が、電気めっきモジュール602、604、および606のうちの1つによって処理された後に基板のエッジベベル除去、裏面エッチング、および酸洗浄などの機能を実施するように構成されている。電着装置600は、中央電着チャンバ624を含んでもよい。中央電着チャンバ624は、電気めっきモジュール602、604、および606において電気めっき溶液として使用される化学溶液を保持するチャンバである。電着装置600はまた、電気めっき溶液用の添加剤を貯蔵および送給することができる投与システム626を含む。化学物質希釈モジュール622は、エッチャントとして使用される化学物質を貯蔵および混合することが可能である。濾過およびポンプユニット628は、中央電着チャンバ624用の電気めっき溶液を濾過し、濾過した溶液を電気めっきモジュールにポンピングすることができる。
【0058】
ハンドオフツール640が、基板カセット642またはカセット644から基板を選択することができる。カセット642、644は、フロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)であってもよい。FOUPは、制御環境内で確実かつ安全に基板を保持し、適切なロードポートおよびロボットハンドリングシステムを備えたツールによる処理または測定のために基板を取り出すことを可能にするように設計されたエンクロージャである。ハンドオフツール640は、真空アタッチメントまたは何らかの他のアタッチメント機構を使用して基板を保持することが可能である。
【0059】
ハンドオフツール640は、ウエハハンドリングステーション632、カセット642、644、大気プラズマ処理ステーション650、またはアライナ648とインターフェースすることができる。大気プラズマ処理ステーション650から、ハンドオフツール646が基板にアクセスすることが可能である。大気プラズマ処理ステーション650は、ハンドオフツール640およびハンドオフツール646とインターフェースするために電着装置600に統合されてもよい。大気プラズマ処理ステーション650は、リニアヘッドと、トラックと、プロセスガスをリニアヘッドに送給するための1つまたは複数のプロセスガスラインと、不活性ガス種を大気プラズマ処理ステーション650内の密閉空間に送給するための1つまたは複数の不活性ガスラインとを含んでもよい。大気プラズマ処理ステーション650は、基板温度制御のための1つまたは複数のヒータ要素またはホットプレートをさらに含んでもよい。大気プラズマ処理ステーション650は、ハンドオフツール640および646がアライナ648を通過することなくそれらの間で基板を通過させることができるスロットまたは位置であってもよい。しかし、いくつかの実施態様では、電気めっきモジュールへの正確な送給のために基板がハンドオフツール646上で適切に位置合わせされていることを確実にするために、ハンドオフツール646はアライナ648を用いて基板を位置合わせすることができる。ハンドオフツール646はまた、アライナ648を用いて基板を送給することもできる。ハンドオフツール646はまた、基板を電気めっきモジュール602、604、もしくは606のうちの1つ、または様々なプロセス動作用に構成された3つの別々のモジュール612、614、および616のうちの1つに送給することも可能である。
【0060】
本明細書で説明される方法によるプロセス動作の一例は、以下のように進むことができる:(1)カセット642または644内に基板を受け取る;(2)大気プラズマ処理ステーション650に基板を提供する;(3)大気プラズマ処理ステーション650内で基板を大気プラズマに曝露する;(4)電気めっきモジュール602、604、または606のうちの1つで金属を基板上に電着する;(5)任意選択で、モジュール612、614、または616のうちの1つにおいてSRDで基板をすすいで乾燥させる;(6)任意選択で、モジュール612、614、または616のうちの1つでエッジベベル除去を実施する。
【0061】
コントローラ630(例えば、システムコントローラ)が、電着装置600を動作させるために必要な電子制御およびインターフェース制御を提供する。本明細書で説明されるコントローラ630の態様は、
図5Aのコントローラ550および
図4Aのコントローラ450にも適用され得る。コントローラ630(1つまたは複数の物理的または論理的コントローラを含み得る)は、電着装置600の性質の一部またはすべてを制御する。コントローラ630は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。プロセッサは、中央処理装置(CPU)またはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボード、および他の同様の構成要素を含み得る。本明細書で説明される適切な制御動作を実施するための命令は、プロセッサ上で実行することができる。これらの命令は、コントローラ630に関連付けられたメモリデバイスに格納されてもよいし、ネットワークを介して提供されてもよい。特定の実施態様では、コントローラ630は、システム制御ソフトウェアを実行する。
【0062】
電着装置600におけるシステム制御ソフトウェアは、タイミング、電解質成分の混合(1つまたは複数の電解質成分の濃度を含む)、入口圧力、めっきセル圧力、めっきセル温度、基板温度、基板および任意の他の電極に印加される電流および電位、基板位置、基板の回転、ならびに電着装置600によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含むことができる。加えて、電着装置600におけるシステム制御ソフトウェアは、プロセスガス組成、不活性ガス組成、プロセスガス流量、不活性ガス流量、RF電力、RF周波数、リニアヘッド位置、走査速度、基板位置、基板の回転、基板温度、処理期間、圧力、および大気プラズマ処理ステーション650によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含んでもよい。システム制御論理は、任意の適切な方法で構成されてもよい。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、様々なプロセスツールプロセスを実行するのに必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。論理はまた、プログラマブル論理デバイス(例えば、FPGA)、ASIC、または他の適切なビークルにおけるハードウェアとして実装され得る。
【0063】
いくつかの実施態様では、システム制御論理は、上述の様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含む。例えば、電気めっきプロセスの各段階は、コントローラ630による実行のための1つまたは複数の命令を含み得る。浸漬プロセス段階のプロセス条件を設定するための命令は、対応する浸漬レシピ段階に含めることができる。いくつかの実施態様では、電気めっきレシピ段階は、電気めっきプロセス段階についてのすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順番に配置することができる。
【0064】
制御論理は、いくつかの実施態様ではプログラムまたはプログラムのセクションなどの様々な構成要素に分割され得る。この目的のための論理構成要素の例には、基板位置決め構成要素、電解質組成制御構成要素、圧力制御構成要素、ヒータ制御構成要素、および電位/電流電源制御構成要素が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施態様では、コントローラ630に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0066】
いくつかの実施態様では、コントローラ630によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関係するものであってもよい。非限定的な例には、浴条件(温度、組成、および流量)、様々な段階での基板位置(回転速度、直線速度)、リニアヘッド位置(直線速度)、プロセスガス組成および関連する流量、不活性ガス組成および関連する流量、基板温度、圧力などが挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてもよく、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0067】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサからコントローラ630のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツールのアナログおよびデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対、光学センサなどを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、プロセス条件を維持するか、またはプロセス条件を調整することができる。
【0068】
いくつかの実施態様では、コントローラ630はシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、走査速度設定、圧力設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の搬送ツールに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0069】
広義には、コントローラ630は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラ630に通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0070】
コントローラ630は、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラ630は、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されているツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラ630は、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0071】
本開示における例示的なシステムは、堆積チャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、PVDチャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0072】
図7は、いくつかの実施態様による、無電解めっき装置の上面概略図を示す。無電解堆積(ELD)装置700では、基板は、ローディングポート710を通してELD装置700内に受け取られる。ローディングポート710は、フロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)であり得る複数の基板受け取りユニットを含むことができる。ローディングポート710は、基板を受け取り、ELD装置700内の搬送棚730に送給する。基板は、ELD装置700内の搬送棚730からELDモジュール750に移動される。ローディングポート710はELD装置700内で基板を受け取る一形態であるが、基板をELDモジュール750内に送給する際に他の機構を使用することもできる。例えば、大気搬送機械(ATM)モジュール720を、ELD装置700内の制御環境に維持することができる。基板を搬送するために、乾式ロボット715などの基板送給システムを採用することができる。乾式ロボット715は、ATMモジュール720内に設けることができ、ローディングポート710から基板を取り出し、搬送棚730上に基板を置くために使用することが可能である。搬送棚730は、ELD装置700における任意選択の構成要素である。
【0073】
本開示のいくつかの実施態様では、搬送棚730は、大気プラズマ処理ステーション730として構成され得る。大気プラズマ処理ステーション730は、リニアヘッドと、トラックと、プロセスガスをリニアヘッドに送給するための1つまたは複数のプロセスガスラインと、不活性ガス種を大気プラズマ処理ステーション730内の密閉空間に送給するための1つまたは複数の不活性ガスラインとを含んでもよい。大気プラズマ処理ステーション730は、基板温度制御のための1つまたは複数のヒータ要素またはホットプレートをさらに含んでもよい。大気プラズマ処理ステーション730は、基板をELDモジュール750に送給する前に、基板を大気プラズマに曝露してもよい。
【0074】
ELDモジュール750は、基板の無電解めっきに使用される。いくつかの実施態様では、湿式ロボット740が大気プラズマ処理ステーション730から基板を取り出し、基板をELDモジュール750に輸送する。ELDモジュール750は、(a)任意選択で、基板を事前にすすぎ、(b)無電解堆積プロセスを実施して基板の表面に金属層を堆積し、(c)任意選択で、堆積後すすぎ液で基板をすすぐように構成され得る。湿式ロボット740は、ELDモジュール750から堆積後モジュールへの基板の搬送を支援する。
【0075】
ELD装置700は、化学モジュール770、ブラシスクラブモジュール760、およびクリーンモジュール780などの複数の堆積後モジュールを含む。基板は、化学モジュール770に受け取られ得、化学モジュール770は、酸含有流体を適用し、堆積流体を受け取ることを意図していない基板の領域から堆積流体の痕跡を除去するように構成することができる。酸含有溶液に加えて、またはその代わりに、化学モジュール770は、塩基含有流体を適用するように構成されてもよい。続いて、すすぎ流体を化学モジュール770に適用し、酸含有流体および/または塩基含有流体を洗い流すことができる。基板は、化学モジュール770からブラシスクラブモジュール760に移動されてもよい。ブラシスクラブモジュール760は、基板を機械的に洗浄するための1つまたは複数のブラシユニットで構成され得る。基板は、ブラシスクラブモジュール760から搬送され、クリーンモジュール780などの別の堆積後モジュールに挿入されてもよい。クリーンモジュール780は、基板をすすいで乾燥するように構成され得る。基板は、クリーンモジュール780から移動され、ATMモジュール720を介してローディングポート710に戻すことが可能である。
【0076】
図8は、いくつかの実施態様による、堆積前に大気プラズマで半導体基板を処理する例示的な方法を示すフロー図を示す。プロセス800の動作は、異なる順序で、および/または異なる、より少ない、もしくは追加の数の動作で実施されてもよい。プロセス800の態様は、
図9A~
図9Dを参照して説明され得る。プロセス800の動作は、
図5A~
図5Cに示すような半導体プロセスツールを使用して実施することができ、大気プラズマ処理ステーションは、
図4A、
図5A、
図6、および
図7に示すツールアーキテクチャのいずれかで実装され得る場合がある。いくつかの実施態様では、プロセス800の動作は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェアに従って実装されてもよい。
【0077】
プロセス800のブロック810において、半導体基板が大気プラズマ処理ステーションおよび堆積ステーションを含む半導体プロセスツール内に受け取られる。半導体基板は、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する場合がある。半導体基板は、カセット、ポッド、FOUP、または入来する基板を受け取るための半導体プロセスツールの他の構成要素に受け取られ得る。いくつかの実施態様では、半導体基板は、半導体プロセスツールによって受け取られる前に、1つまたは複数のデバイス製作プロセスを受けることができる。入来する半導体基板は、エッチング、パターニング、研磨、洗浄、アニーリング、材料の堆積、あるいは半導体基板の表面上に不純物または酸化物が形成され得る他の処理を受けている場合がある。例えば、入来するパターニングされたCMP半導体基板は、材料の堆積を行うのに困難をもたらす酸化物および/または有機不純物を有する場合がある。酸化物および/または不純物のそのような欠陥は、半導体プロセスツールの外側または半導体プロセスツール内で実施されるプロセスによって発生する可能性があることが理解されよう。不純物および/または酸化物に加えて、またはその代わりに、入来する半導体基板は、堆積前に処理を必要とする表面状態を有する場合がある。処理される表面状態には、限定はしないが、粗さ、濡れ性(疎水性)、および電気バイアスが挙げられ得る。
【0078】
いくつかの実施態様では、半導体プロセスツールは、無電解めっきツールなどのめっきツールであってもよい。例示的な無電解めっきツールが、
図7に説明される。処理の前に、材料層を半導体基板の表面上に形成することができる。材料層は、例えば、PVD堆積された金属シード層または半貴金属層などの金属層を含んでもよい。材料層は、CMP後の銅層またはタングステン層など、研磨された金属層または誘電体層を含むことができる。材料層は、低k誘電体層を含むことができる。場合によっては、材料層は、金属酸化物および/または炭素化合物を含むことができる。いくつかの実施態様では、半導体基板は、凹部、ビア、またはトレンチなどのフィーチャを含んでもよい。フィーチャは、約3:1よりも大きい、約5:1よりも大きい、または約10:1よりも大きい深さ対幅のアスペクト比を有する凹部、ビア、またはトレンチを含み得る。
【0079】
大気プラズマ処理ステーションは、半導体プロセスツール内に統合されてもよい。これは、半導体プロセスツールの設置面積を追加することなく、既存のステーションまたはチャンバを修正して大気プラズマ処理ユニットを組み込むことができることを意味する。大気プラズマ処理ステーションは、堆積ステーションとインターフェースすることができる。その結果、半導体基板は、周囲環境に曝露されることなく、かつ追加のロボットアセンブリ、ロードロック、または中間搬送ステーションを必要とせずに、堆積ステーションに直接搬送することが可能である。
【0080】
いくつかの実施態様では、入来する半導体基板は、大気プラズマ処理ステーションに搬送することができる。例えば、入来する半導体基板をカセットで受け取り、搬送ロボットを使用して大気プラズマ処理ステーションに搬送することが可能である。
【0081】
図9Aは、シード層902を含む半導体基板900の断面概略図を示す。いくつかの実施態様では、シード層902は、銅シード層またはコバルトシード層などの金属シード層である。シード層902の厚さは、約100Å未満または約50Å未満であってもよい。シード層902の酸化は、空気または他の酸素含有環境に曝露されることによって発生し得る可能性がある。金属酸化物などの酸化物904が、半導体基板900の表面上に形成され得る。さらに、不純物906が半導体基板900の表面に形成され得る可能性がある。不純物906は、汚れたチャンバ内の粒子、エッチング副生成物、堆積副生成物、残留物、または他の汚染物質に由来するものであり得る。そのような不純物906は、有機不純物を含む場合がある。
【0082】
図8に戻ると、プロセス800のブロック820aにおいて、半導体基板は、堆積チャンバ内における堆積の前に、大気プラズマ処理ステーション内で大気プラズマに曝露される。プロセスガスは、リニアヘッドなどの大気プラズマ源に流入し得る。プロセスガスは、1つまたは複数のガス源から1つまたは複数のガスラインを通って流されてもよい。いくつかの実施態様では、プロセスガスは、酸素、水素、水、窒素、アンモニア、ヒドラジン、一酸化炭素、二酸化炭素、ジボラン、メタン、四フッ化炭素、オクタフルオロブタン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。プロセスガスは、反応性ガス(ドーパントガス)と不活性ガス(主要ガス)の混合物であってもよい。例えば、プロセスガスは、水素とアルゴンの混合物、水素/窒素とアルゴンの混合物、水素とヘリウムの混合物、または酸素とアルゴンの混合物を含んでもよい。プロセスガスの大気プラズマは、大気プラズマ源において生成され得る。RF電力を大気プラズマ源に印加し、大気条件下でプラズマを生成することが可能である。本明細書で使用される場合、「大気プラズマ」は、大気条件下でリニアヘッドなどの源において生成されるプラズマを指すことができる。プロセスガスの大気プラズマは、プロセスガスの様々なラジカルおよびイオンを含む場合がある。
【0083】
プロセスガスの組成および濃度は、処理される半導体基板の表面状態に応じて調整され得る。いくつかの実施態様では、半導体基板を大気プラズマに曝露することは、半導体基板を第1のガス組成を有する大気プラズマに曝露し、続いて半導体基板を第2のガス組成を有する大気プラズマに曝露することを含む。例えば、第1のガス組成は、酸素含有ガスに由来する酸素プラズマを含み得、第2のガス組成は、水素含有ガスに由来する水素プラズマを含み得る。酸素プラズマは有機不純物などの不純物を除去することができ、水素プラズマは酸化物を除去することができる。他のガス組成を使用して、様々な表面状態を処理することも可能である。いくつかの実施態様では、半導体基板を大気プラズマに曝露することは、半導体基板を第1の流量で流されるプロセスガスを有する大気プラズマに曝露し、続いて半導体基板を第2の流量で流されるプロセスガスを有する大気プラズマに曝露することを含む。流量またはガス比を調整することで、大気プラズマの攻撃性を調節することが可能である。
【0084】
大気プラズマは、真空ポンピングを用いたり、または大気プラズマ処理ステーションを減圧することなく生成され、半導体基板に適用され得る。大気プラズマは、生成されて密閉制御環境に適用され得、密閉制御環境は、非反応性ガスの正圧を含む。大気プラズマ処理ステーションを酸素を含有し得る周囲条件に曝露する代わりに、大気プラズマ処理ステーションの閉鎖空間を通して非反応性ガスを流すことによって、大気プラズマ処理ステーションは酸素を含まないか、または実質的に含まなくなる。非反応性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、またはラドンを含んでもよい。大気プラズマ処理ステーションの密閉制御環境は、アルゴン流または窒素流などの不活性ガス流を有してもよい。不活性ガス流は、制御環境が酸素を含まないか、または酸素を実質的に含まないように維持する。本明細書で使用される場合、「酸素を実質的に含まない」は、制御環境において酸素濃度が約0.1体積%未満であることを指すことができる。不活性ガス流は、半導体基板の表面上における再酸化の防止を支援する。
【0085】
大気圧への曝露中、半導体基板の温度を上昇させることができる。半導体基板を支持する基板支持体に結合された1つまたは複数の加熱要素を使用して、温度を上昇させることが可能である。温度の上昇により、半導体基板を処理するための反応速度が高速化され、それによって半導体基板の走査を高速化することができる。例えば、温度の上昇により、半導体基板の表面上における酸化物の還元速度が高速化される場合がある。いくつかの実施態様では、大気プラズマへの曝露中に大気プラズマ処理ステーション内の基板支持体(例えば、ホットプレート)によって維持される温度は、約50℃よりも高くてもよい。
【0086】
半導体基板の表面は、特定の表面状態または欠陥を処理するために大気プラズマに曝露される。大気プラズマのラジカル、イオン、および/または光子は、半導体基板の表面と反応し、以下:酸化物を還元する(例えば、金属酸化物を金属に還元する)こと、有機不純物を除去すること、疎水性を変化させること、電気バイアスを変化させること、および半導体基板の表面粗さを変化させることのうちの1つまたは複数を実施することができる。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、金属酸化物などの酸化物を還元するように機能する。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、有機不純物を除去するように機能する。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、酸化物を還元し、有機不純物を除去するように機能する。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、表面をより親水性にするように機能する。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、表面の接着性質を調整し、その後の堆積における接着性を改善するように機能する。いくつかの実施態様では、大気プラズマは、半導体基板の表面における均一性を調整し、めっきの均一性を改善するように機能する。
【0087】
酸化物を低減することによって、処理は、場合によっては不均一な堆積/めっきをもたらす可能性がある不連続性およびボイドを低減する。有機不純物を除去することによって、処理は半導体基板の表面における導電性を増加させて均一な堆積/めっきを促進し、汚染を回避することができる。基板表面の親水性を増加させることによって、接触角が小さくなり、基板表面をめっき浴と接触させる際の濡れ性が向上する。したがって、半導体基板の表面状態および/または欠陥の効果的な処理が、堆積またはめっき動作を成功させるために極めて重要であり得る。
【0088】
いくつかの実施態様では、大気プラズマ暴露により、処理後の酸化物が酸化物の初期測定値の1%未満に減少する場合がある。いくつかの実施態様では、大気プラズマ曝露により接触角が最大80%減少し、それによって半導体基板の表面の濡れ性が増加する可能性がある。いくつかの実施態様では、大気プラズマ曝露は下にある材料に損傷を引き起こさず、粗さの増加が0.1%未満である場合もある。いくつかの実施態様では、大気プラズマ曝露によって処理された基板は、未処理の基板と比較して、無電解堆積によってめっきされた材料の厚さが最大50%増加し得る。
【0089】
半導体基板の特定の領域が、大気プラズマに曝露されてもよい。曝露のための領域の指定は、半導体基板の上に大気プラズマ源(例えば、リニアヘッド)を位置決めすることによって達成され得、基板支持体および大気プラズマ源の一方または両方が移動可能である。いくつかの実施態様では、基板支持体は、半導体基板を位置決めするために回転可能および/または並進可能であってもよい。いくつかの実施態様では、大気プラズマ源は、大気プラズマ源を位置決めするためにトラックに沿って並進可能あってもよい。大気プラズマ源は、トラックに結合することができ、大気プラズマ源は、x-y空間において少なくとも2つの自由度を有することが可能である。いくつかの実施態様では、大気プラズマ源は、x-y-z空間において少なくとも3つの自由度を有し得る。大気プラズマ源および/または基板支持体の移動は、大気プラズマ処理ステーションの半導体プロセスツールに関連付けられたコントローラによって制御され得る。
【0090】
大気プラズマ源のサイズにより、半導体基板の比較的広い領域への曝露が可能となり、半導体基板の全体の走査を容易にすることができる。場合によっては、リニアヘッドは、約100mm~約300mmの直径/幅を有することができる。または、複数のリニアヘッドを並べることで曝露サイズを増大させることができる。基板の直径は200mm、300mm、または450mmであることが多いため、適切なサイズのリニアヘッドを用いて半導体基板を迅速に走査することができる。大気プラズマ源を使用して半導体基板の表面を走査することによって、半導体基板の表面全体を大気プラズマに曝露することが可能である。異なる走査速度を使用して、半導体基板の表面を走査することができる。例えば、大気プラズマ源は、1mm/s~500mm/sの範囲、または10mm/s~300mm/sの範囲で半導体基板の表面を走査することが可能である。より高速な走査速度により、半導体製作についてのキュータイムを短縮することができる。より大きな走査領域により、半導体製作についてのキュータイムを短縮することもできる。また上述したように、温度が上昇すると、より高速な走査速度が可能になることによってキュータイムを短縮することもできる。いくつかの実施態様では、大気プラズマ処理ステーションの設計は、1時間あたり少なくとも30個の基板、1時間あたり少なくとも50個の基板、1時間あたり少なくとも60個の基板、または1時間あたり少なくとも80個の基板を処理することによってスループットを増加させる。
【0091】
例示として、100mmの幅(y方向に沿って測定)を有するリニアヘッドは、x方向に沿って0mm~300mmを走査することによって300mmの基板を走査することができる。次に、リニアヘッドまたは基板支持体を100mmオフセットすることができ、走査をx方向に沿って300mm~0mm進めることができる。その後、リニアヘッドまたは基板支持体を100mmオフセットすることができ、走査は、x方向に沿って0mm~300mm進めることによって完了することができる。
【0092】
いくつかの実施態様では、半導体基板を大気プラズマに曝露する前に、半導体基板の表面状態を提供する指示を受け取ることができる。具体的には、処理前に、半導体基板の表面をその表面状態または表面欠陥に関して分析することができる。基板の表面における酸化を決定するために、測定を行うことができる。また、基板の表面における有機不純物の存在を決定するために、測定を行うこともできる。代替的または追加的に、半導体基板の接触角、電気バイアス、または粗さの測定が行われてもよい。いくつかの実施態様では、大気プラズマ源に送給されるプロセスガスの組成および/または濃度は、半導体基板の表面状態に少なくとも部分的に基づいて調節される。プロセスガスの大気プラズマがリニアヘッドにおいて生成され、半導体基板が大気プラズマに曝露される。
【0093】
図9Bは、第1の組成のプロセスガスによる大気プラズマを使用した処理後の
図9Aの半導体基板900の断面概略図を示す。リニアヘッド910が、半導体基板900の表面の上に位置決めされる。第1の組成のプロセスガスが、リニアヘッド910に供給される。第1の組成のプロセスガスは、点火されて大気プラズマを生成する。プロセスガスは、分子の形態でリニアヘッド910に入り、イオン/ラジカルとしてリニアヘッド910から出る。イオン/ラジカルは、プラズマビーム912としてリニアヘッド910から放出される。第1の組成のプロセスガスから生成されたプラズマビーム912は、半導体基板900の表面から不純物906を除去することができる。リニアヘッド910は、半導体基板900の表面にわたって走査することが可能である。いくつかの実施態様では、第1の組成のプロセスガスは、酸素などの1つまたは複数の酸素含有ガスを含む。酸素ベースのプラズマが、不純物906を除去するのに効果的であり得る。
【0094】
図9Cは、第2の組成のプロセスガスによる大気プラズマを使用した処理後の
図9Bの半導体基板900の断面概略図を示す。半導体基板900の表面から不純物906を除去した後、第2の組成のプロセスガスがリニアヘッド910に供給される。第2の組成のプロセスガスは、点火されて大気プラズマを生成する。プラズマビーム914がリニアヘッド910から放出され、半導体基板900の表面から酸化物904を還元する。リニアヘッド910は、半導体基板900の表面にわたって走査することが可能である。いくつかの実施態様では、第2の組成のプロセスガスは、水素またはフォーミングガスなどの1つまたは複数の還元ガスを含む。フォーミングガスなどの還元ガスが、酸化物904を除去するのに効果的であり得る。
【0095】
図9Bおよび
図9Cに示すように、リニアヘッド910は、半導体基板900に対する処理に応じてガス組成を調整するように柔軟であってもよい。リニアヘッド910はまた、処理に応じて混合ガス比を調整するように柔軟であってもよい。例えば、リニアヘッド910は、第1の走査では不純物を除去し、第2の走査では酸化物を除去するように構成することができる。Ar:O
2の流量比などの混合ガス比を調整し、有機除去効率を最適化することが可能である。Ar:H
2の流量比などの混合ガス比を調整し、酸化物の還元を最適化することが可能である。いくつかの実施態様では、リニアヘッド910は、半導体基板900の表面をより疎水性またはより親水性にするように構成され得る。これは、半導体基板900の表面からヒドロキシル基(-OH)を追加/除去するプロセスガス化学物質を使用することによって行うことができる。
【0096】
図8に戻ると、プロセス800のブロック820bにおいて、半導体基板が堆積チャンバに搬送される。半導体基板は、比較的迅速に、半導体基板を酸化または汚染し得る条件への曝露を最小限に抑えて、またはまったく曝露せずに搬送することができる。このようにして、半導体基板を洗浄、処理、あるいは堆積チャンバ内での後続の堆積のために準備することが可能である。いくつかの実施態様では、大気プラズマへの曝露と堆積との間の搬送時間は、約0.5秒~約30秒、または約1秒~約10秒であり得る。これは、堆積チャンバとインターフェースする典型的な処理ユニットまたは搬送ユニットよりも大幅に短い。大気プラズマ処理ステーションからの搬送は、追加のロボットアセンブリ、ロードロック、冷却ステーション、または搬送ステーションなしで行うことができる。言い換えれば、大気プラズマ処理ステーションは、ステーション間の搬送を容易にするために堆積チャンバと直接インターフェースすることができる。これによりスループットが増加し、キュータイムが短縮され、追加の機器のメンテナンスおよび動作に関連するコストが削減される。いくつかの実施態様では、半導体基板を搬送することは、半導体基板を大気プラズマ処理ステーションから無電解堆積チャンバであり得る堆積チャンバに移動させることを含む。場合によっては、半導体基板がリニアヘッドによって走査されているとき、半導体基板はすでに堆積チャンバに搬送されている。
【0097】
いくつかの実施態様では、半導体基板は、大気プラズマに曝露された直後に冷却され得る。例えば、半導体基板は、約50℃未満の温度(例えば、室温)まで冷却することができる。いくつかの実施態様では、半導体基板は、不活性ガス種のブランケット下で搬送されてもよい。不活性ガス種(例えば、ヘリウム窒素またはアルゴン窒素)は、半導体基板を大気プラズマに曝露した後でも大気プラズマ処理ステーション内を流れ続け得る。これにより、処理と堆積との間の半導体基板の再酸化または再汚染を防止することができる。いくつかの実施態様では、不活性ガス種を冷却し、搬送中の半導体基板の温度を下げる冷却ガスを供給することが可能である。
【0098】
プロセス800のブロック830において、金属が任意選択で半導体基板上に電着される。いくつかの実施態様では、金属は、コバルトまたは銅である。電着は、電気めっきまたは無電解めっき動作のいずれかを含むことができる。例えば、金属をめっきすることは、めっき浴を使用するバルク堆積を含み得る。基板表面が大気プラズマによって処理されると、電気めっきまたは無電解めっきによる金属の生成および核形成が促進される。堆積前の大気プラズマ処理により、より大量の堆積およびより均一な堆積を行うことができる。堆積は電気めっきまたは無電解めっきチャンバ内でブロック830において電着によって行われてもよいが、堆積には適切な堆積チャンバ内における任意の適切な堆積プロセスが含まれ得ることが理解されよう。さらに、ブロック830における堆積は金属に限定されず、任意の導電性、半導電性、または絶縁性の材料を含むことができることが理解されよう。
【0099】
ブロック810~830における動作は、同じ半導体プロセスツールまたはツールアーキテクチャ内で発生し得る。いくつかの実施態様では、半導体プロセスツールは、無電解めっきツールである。大気プラズマ処理ステーションは、ツールの設置面積またはフォームファクタを追加することなく、半導体プロセスツールに統合される。大気プラズマ処理ステーションは、搬送ステーションまたはアニールステーションなどの既存のステーションを修正してもよい。そのようなステーションに対する修正には、リニアヘッド、トラック、プロセスガスをリニアヘッドに送給するための1つまたは複数のプロセスガスライン、および大気プラズマ処理ステーションを通って流れるように不活性ガス種を送給するための1つまたは複数の不活性ガスラインを追加することが挙げられ得る。いくつかの実施態様では、修正には、大気プラズマ処理中の基板温度を制御するために、1つまたは複数のヒータ要素を追加するか、または基板支持体をホットプレートに置き換えることがさらに挙げられ得る。
【0100】
図9Dは、半導体基板900の表面上に材料を堆積した後の
図9Cの半導体基板900の断面概略図を示す。材料908のバルク堆積は、PVD、CVD、ALD、電気めっき、または無電解めっきなどの任意の適切な堆積プロセスによって実施することができる。いくつかの実施態様では、材料908は、銅またはコバルトなどの金属である。材料908は、処理後にシード層902上に堆積され得る。大気プラズマ処理は、電気めっきまたは無電解めっきプロセスにおいて均一なめっきを促進することが可能である。
【0101】
他の実施形態
前述の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができる。他の例では、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、開示された実施形態を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0102】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されてきたが、一定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実践されてもよいことは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置の実施には多くの別の方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、それらの実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】