(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-14
(54)【発明の名称】半導体処理に関する応力およびオーバーレイ管理
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20240507BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C30B29/06 C
C23C14/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564658
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022026465
(87)【国際公開番号】W WO2022232224
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン, プラディープ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】カン, ショーン エス.
(72)【発明者】
【氏名】バルゲセ, ソニー
【テーマコード(参考)】
4G077
4K029
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB10
4G077BA04
4G077FJ10
4G077GA10
4G077HA12
4K029AA02
4K029AA04
4K029AA06
4K029AA07
4K029AA08
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA58
4K029BD01
(57)【要約】
半導体ウエハの応力を低下させる方法が提供される。自立型ウエハのウエハマップが、計測ツールを使用して作製される。次いで、ウエハマップは、空間周波数スケールを使用してパワースペクトル密度(PSD)へと変換される。次いで、反りの基本成分が、ウエハの裏側に堆積された一様な膜、例えば、窒化ケイ素(SiN)を用いて補正される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの歪みを減少させる方法であって、
表側に形成された少なくとも1つのフィールドを有するウエハの裏側にブランケット膜を堆積することであって、前記少なくとも1つのフィールドが膜を含み、前記ウエハが第1の歪みを有する、ウエハの裏側にブランケット膜を堆積することと、
前記ウエハの歪みを前記第1の歪みよりも小さい第2の歪みに減少させるために前記ウエハの前記裏側の前記ブランケット膜のフィールドレベル膜改質を実行することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ブランケット膜が10nmから200nmまでの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブランケット膜を堆積することが、材料の物理気相堆積を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記材料が、窒化ケイ素(SiN)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の歪みが、放物面形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ブランケット膜が、圧縮応力下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ブランケット膜が、引っ張り応力下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブランケット膜が、からの範囲内の温度で堆積される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィールドレベル膜改質を実行することが、所定のパターンでイオンに前記ウエハの前記裏側を曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フィールドレベル膜改質を実行することが、所定のパターンでフォトンに前記ウエハの前記裏側を曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウエハの前記表側に100から400の範囲内のフィールドがある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フィールドの各々が、10mmから30mmの範囲内の幅である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィールドの各々が、20mmから50mmの範囲内の長さである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
膜応力を低下させる方法であって、
ウエハ上の膜の第1の表面プロファイルを測定することであって、前記ウエハが表側および裏側を有し、前記膜が前記表側に形成される、第1の表面プロファイルを測定することと、
測定した前記第1の表面プロファイルを低周波数成分および高周波数成分を含む主成分へと分解することと、
第1の測定した前記表面プロファイルの前記低周波数成分を補正するために前記ウエハの前記裏側にブランケット膜を堆積することと、
前記高周波数成分を補正するために前記ウエハの前記裏側へとイオンまたはフォトンのうちの1つまたは複数を注入することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記高周波数成分を決定するために前記ウエハの前記裏側に前記ブランケット膜を堆積した後で前記膜の第2の表面プロファイルを測定することをさらに含み、前記高周波数成分を補正することが第2の表面プロファイル測定値に基づいている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の表面プロファイルが、前記第1の表面プロファイルよりも高いサンプリングレートを使用して測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
計測ステーションと、
ブランケット堆積ステーションと、
フィールドレベル膜改質ステーションと、
ウエハの歪みを第1の歪みから第2の歪みへ減少させるためにブランケット堆積条件およびフィールドレベル膜改質条件を決定するように構成されたコントローラと
を備える、処理ツール。
【請求項18】
前記コントローラが、前記計測ステーションからのウエハの表側の膜の第1の表面プロファイル測定値を低周波数成分および高周波数成分を含む主成分へと分解し、前記ブランケット堆積ステーションでウエハの裏側にブランケット堆積を実行するようにさらに構成される、請求項17に記載の処理ツール。
【請求項19】
前記コントローラが、ブランケット堆積後の前記ウエハの前記表側の前記膜の第2の表面プロファイル測定値を低周波数成分および高周波数成分へと分解するようにさらに構成される、請求項18に記載の処理ツール。
【請求項20】
前記コントローラが、前記第2の表面プロファイル測定値の前記高周波数成分を補正するために前記フィールドレベル膜改質ステーションにおいて注入プロセスを実行するようにさらに構成される、請求項19に記載の処理ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、半導体デバイスおよび半導体デバイス製造の分野に属する。特に、開示の実施形態は、半導体ウエハの歪みを減少させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一のチップ上に数百万個のトランジスタ、キャパシタ、および抵抗を含むことができる複雑なデバイスへと進化した。集積回路進化の過程で、機能密度(すなわち、チップ面積当たりの相互接続されたデバイスの数)は、全体として増加した一方で、形状寸法サイズ(すなわち、製造プロセスを使用して作製され得る最小の構成要素(またはライン))は縮小した。
【0003】
半導体ウエハ上の多層膜およびデバイスのレイアウトが、容易には対処できない複雑なウエハ反りおよび面内歪みをもたらすことがある。しばしば、ウエハ反りおよび面内歪みに対処することが可能であることの欠如は、より良いエッチング選択性、などのような他の有利な特性を有することがあるいくつかの高応力膜の採用を制限する。
【0004】
したがって、3D-NAND、3D-DRAM、および積層型CMOSデバイスに関して要求されるスケーリングを可能にするために半導体ウエハの歪みを減少させる方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
開示の1つまたは複数の実施形態は、ウエハ歪みを減少させる方法に向けられる。ブランケット膜が、表側に形成された少なくとも1つのフィールドを有するウエハの裏側に堆積される。上記少なくとも1つのフィールドが膜を含み、上記ウエハが第1の歪みを有する。フィールドレベル膜改質が、上記ウエハ歪みを上記第1の歪みよりも小さい第2の歪みに減少させるために上記ウエハの上記裏側の上記ブランケット膜に実行される。
【0006】
開示の付加的な実施形態は、膜応力を低下させる方法に向けられる。ウエハ上の膜の第1の表面プロファイルが測定される。上記ウエハが表側および裏側を有する。上記膜が上記表側に形成される。上記測定した第1の表面プロファイルが、低周波数成分および高周波数成分を含む主成分へと分解される。ブランケット膜が、上記第1の測定した表面プロファイルの上記低周波数成分を補正するために上記ウエハの上記裏側に堆積される。イオンまたはフォトンのうちの1つまたは複数が、上記高周波数成分を補正するために上記ウエハの上記裏側へと注入される。
【0007】
開示のさらなる実施形態は、計測ステーションと、ブランケット膜堆積ステーションと、フィールドレベル膜改質ステーションと、コントローラとを備える処理ツールに向けられる。上記コントローラが、ウエハ歪みを第1の歪みから第2の歪みへ減少させるためにブランケット堆積条件およびフィールドレベル膜改質条件を決定するように構成される。
【0008】
そのため、本開示の上に列挙した特徴が詳細に理解され得る方式、上に簡単に要約された開示のさらに特有な説明が、実施形態への言及により行われてもよく、実施形態のうちのいくつかが添付した図面に図示される。しかしながら、添付した図面は、この開示の典型的な実施形態だけを図示し、それゆえに、開示が他の同じように効果的な実施形態を認めてもよいために、本開示の範囲を限定するようには考えられるべきではないことに留意されたい。本明細書において説明されるような実施形態は、例として図示され、添付の図面の図への限定ではない。図面では同じような参照符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】開示の1つまたは複数の実施形態によるウエハ歪みを減少させる方法のフローチャートである。
【
図2A】開示の実施形態での使用のためのウエハの図である。
【
図2B】開示の1つまたは複数の実施形態による低周波数歪み成分および高周波数歪み成分を有するウエハの前表面の図である。
【
図3】
図1の方法の前後での例示的なウエハの応力周波数プロファイルの図である。
【
図4】開示の1つまたは複数の実施形態による処理ツールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、開示が下記の説明に記述される構造様式またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。開示は、他の実施形態で可能であり、そして様々な方法で実行されるまたは行われることが可能である。
【0011】
この明細書および別記の特許請求の範囲で使用されるように、「基板」または「ウエハ」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部分を指す。基板への言及はまた、文脈が別途明確に指示しない限り、基板の一部分だけに言及できることも当業者により理解されるだろう。加えて、基板に堆積することへの言及は、裸の基板および基板に堆積されたまたは形成された1つまたは複数の膜またはフィーチャを有する基板の両方を意味することが可能である。
【0012】
本明細書において使用されるような「基板」または「ウエハ」は、製造プロセス中に膜処理が実行される任意の基板または基板上に形成された材料表面を指す。例えば、処理が実行され得る基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素ドープの酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープトシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガラス、サファイア、ならびに金属、金属窒化物、金属合金類、および他の導電性材料などの任意の他の材料などの材料を含む。基板は、限定なしに、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨する、エッチングする、還元する、酸化させる、ヒドロキシル化する、アニールする、UV硬化する、電子線硬化するおよび/またはベークするための前処理プロセスを受けさせられることがある。基板それ自体の表面上に直接膜を処理することに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのうちのいずれかがまた、下記により詳細に開示されるように基板上に形成された下層上に実行されることもあり、そして「基板表面」という用語は、文脈が指示するようにこのような下層を含むことを意味する。このように、例えば、膜/層または部分膜/層が基板表面上へと堆積されている場合には、新たに堆積される膜/層の露出した表面が、基板表面になる。
【0013】
半導体デバイスは、ウエハ上の多層積層体および膜を利用する。多層積層体および膜は、様々な応力レベルを有し、ウエハ上にかなりの歪み/反りをもたらす。ウエハ上のこのような歪み/反りは、ウエハのチャッキングならびにパターニングステップ同士の間の重ね合わせ問題の両方で問題を引き起こすことがあり、デバイス歩留りを低下させる。1つまたは複数の実施形態は、ウエハ反りおよび面内歪みの両方を補正するための解決策を有利なことに提供し、したがってより良い重ね合わせおよびデバイス歩留りをもたらす。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、ウエハの表側を処理することからの結果としての単純な軸対称の弓形形状は、アニーリングすることでおよび/または可変応力を有する膜の裏側堆積で補正される。もっと複雑な弓形形状に関して、マスキング配置が、裏側膜に対して使用されることが可能である。これは、しかしながら、さらなるリソグラフィステップの前に追加の裏側平坦化ステップを必要とすることがある。
【0015】
開示の1つまたは複数の実施形態は、ウエハ上の応力(および結果としての歪み)の状態を著しく変えるプロセスに向けられる。1つまたは複数の実施形態では、自立型ウエハのウエハマップが、利用可能な計測ツールを使用して作製される。ウエハマップは次いで、空間周波数スケールを使用してパワースペクトル密度(PSD)へと変換される。反りの基本成分は、そのときには、ウエハの裏側に堆積されるそれ相応に「一様な」膜、例えば、窒化ケイ素(SiN)を用いて補正される。
【0016】
ウエハ反りは、一般的には、振幅が大きい歪みを伴い、低空間周波数である。面内歪みは、リソグラフィ中にあるレベルまで補正されてきているが、振幅と空間周波数の補正の両方で限界がある。1つまたは複数の実施形態では、膜が、低空間周波数に対処するためにウエハの裏側に堆積される。次いで(レーザまたは注入を用いる)スキャニング処理が、高空間周波数に対処するために使用される。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、膜が、物理気相堆積(PVD)を使用してウエハの裏側に堆積される。本明細書において使用されるように、「物理気相堆積(PVD)」という用語は、様々な真空堆積法を指す。スパッタリングおよび蒸着などの物理プロセスが、ターゲットから供給されるコーティング材料の、原子、分子、またはイオンの形態の蒸気を生成するためにPVDにおいて使用される。コーティング材料は次いで、基板表面へ送られ、堆積されて、コーティング形成という結果になる。PVDプロセスでは、基板温度が、ターゲット材料の溶融温度よりも実質的に低く、温度に敏感な材料をコーティングすることを実行可能にする。コーティングが同時に全ウエハ表面の全体を覆って堆積されるPVD法は、真空堆積を使用した。いくつかの実施形態では、膜は、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)、化学気相堆積(CVD)またはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)のうちの1つまたは複数を使用してウエハの裏側に堆積される。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、熱処理の後でさえ応力維持を確実にするために、PVDがウエハの裏側に膜を堆積するために使用される。当業者には知られている任意の好適な材料が、堆積されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、窒化物膜がウエハの裏側に形成される。具体的な実施形態では、窒化ケイ素(SiN)膜がウエハの裏側に形成される。いくつかの実施形態では、ウエハの裏側に形成される膜は、酸化物、窒化物または酸窒化物のうちの1つまたは複数を含む。
【0019】
図1は、開示の1つまたは複数の実施形態による膜応力を低下させる方法100のフローチャートである。本明細書において使用されるように、膜応力は、ウエハの表側に堆積した膜に関係する。一様な圧縮応力下の膜は、ウエハを椀型形状へと歪ませる。一様な引っ張り応力下の膜は、ウエハを傘型形状へと歪ませる。ウエハ歪みを和らげることによって、膜応力は、より中立的になるだろう。したがって、膜応力を低下させる方法はまた、ウエハ歪みを減少させる方法でもある。
【0020】
プロセス110では、基板またはウエハ表面プロファイルが測定される。
図2Aは、開示の実施形態で使用のための典型的なウエハ200を示す。ウエハ200、または基板は、ウエハ200の厚さTを規定する表側202および裏側204を有する。ウエハ200は、ウエハ200の直径Dを規定する外周エッジ206を含む。いくつかの実施形態では、ウエハは、0.25mmから1.5mmの範囲内の、または0.5mmから1.25mmの範囲内の、または0.75mmから1.0mmの範囲内の厚さTを有する。いくつかの実施形態では、ウエハは、約100mm、200mmまたは300mmの直径Dを有する。
【0021】
図2Bは、長方形の形として図示された複数のフィールド210を有するウエハ200の表側202の図を示す。フィールド210は、パターニングおよび堆積プロセスの結果として生じるウエハ200上の別々の領域である。いくつかの実施形態のウエハ200は、ウエハ上に形成された複数のフィールド210を有する表面202を含む。
【0022】
ウエハ200上の膜の第1の表面プロファイルは、当業者には知られたいずれかの好適な技術により測定されることが可能である。いくつかの実施形態では、ウエハ200表面プロファイルは、処理チャンバの計測ステーションで測定される。第1の表面プロファイルは、少なくとも、先の処理条件および膜からもたらされるウエハの曲率の度合いの尺度である。
【0023】
第1の表面プロファイルは、表面変動の尺度を提供し、そして少なくとも2つの主成分を含む。主成分のうちの第1のものは、
図2Bに図示された低周波数成分220である。低周波数成分220は、ウエハ200の大きな部分にわたって作用するのでしばしばもっともよく見られる成分である。例えば、低周波数成分220は、引っ張り膜応力を表し、傘型形状をもたらす歪みである。第2の成分は、高周波数主成分230であり、フィールドレベル成分とも呼ばれる。高周波数主成分230は、個々のフィールド210内に生じ、多数の-高周波数の-個々の歪みをもたらす。ウエハ200の総合的な歪みは、低周波数成分220と高周波数成分230との組み合わせの結果である。
【0024】
したがって、プロセス120のところで、測定した第1の表面プロファイルが、低周波数成分220および高周波数成分230を含む主成分へと分解される。主成分を分解することはまた、主成分デコンボリューションとも呼ばれる。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、パワースペクトル密度(PSD)が、PVD膜の歪み伝達特性を用いてフィルタリングされ、そして残留部は、大部分がより高い空間周波数である。上記PSDは次いで、ウエハの裏側上の(イオン、フォトン、または他のエネルギー源の)スキャンしたサブアパーチャビームのプロファイルを計算するために使用される。上記のスキャンしたビームは、格子構造を局所的に溶融するまたは歪ませることのいずれかによって高空間周波数応力成分を与える。
【0026】
測定した第1の表面プロファイルの低周波数成分220に基づいて、ブランケット堆積プロセスが展開される。ブランケット膜が、ウエハ200の裏側204に堆積され130、ウエハ200の表側202の膜応力の低周波数成分を打ち消すまたは補正する。
【0027】
ブランケット堆積条件は、例えば、ウエハ200の表側202に堆積された膜に基づいて決定される。考えられるブランケット堆積パラメータは、堆積温度、圧力、膜厚および組成を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、10nmから200nmの範囲内の、または20nmから180nmの範囲内の、または30nmから160nmの範囲内の、または40nmから140nmの範囲内の厚さに堆積される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、物理的気相堆積(PVD)により堆積される。いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、化学気相堆積(CVD)により堆積される。いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、シリコン含有膜を含む。いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、ブランケット膜130は、100℃から500℃の範囲内の温度で堆積される。
【0029】
ブランケット膜130堆積は、前表面膜からのウエハの応力誘起湾曲を打ち消すために使用される。いくつかの実施形態では、第1の歪み(ブランケット膜130堆積前)は、放物面形状である。いくつかの実施形態では、放物面形状は、エッジのところで上向きに曲がり、前表面202上の膜の圧縮応力のために結果として椀型の外観になる。椀型形状の主成分を有する実施形態では、堆積されたブランケット膜は、前表面上の膜の圧縮応力を打ち消すために圧縮応力下にある。別の言い方をすれば、ブランケット膜は、前表面上の膜からのウエハ上の圧縮応力の程度を低下させるように堆積される。
【0030】
いくつかの実施形態では、放物面形状は、エッジのところで下向きに曲がり、前表面202上の膜の引っ張り応力のために結果として傘型形状の外観になる。傘型形状の主成分を有する実施形態では、裏側に堆積されたブランケット膜は、前表面上の膜の引っ張り応力を打ち消すために引っ張り応力下にある。別の言い方をすれば、ブランケット膜は、前表面上の膜からのウエハ上の引っ張り応力の程度を低下させるように堆積される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ブランケット膜堆積130の後で、ウエハは、第2の表面プロファイル測定140を受ける。いくつかの実施形態の第2の表面プロファイル測定は、第1の表面プロファイル測定よりも低いサンプリングレートで行われる。第2の表面プロファイル測定値は、次いで主成分へと分解されるまたはデコンボリューションされる。第2の表面プロファイル測定140は、方法100のいくつかの実施形態に含まれる任意選択のプロセスである。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の表面プロファイルが、膜応力の低周波数成分および高周波成分の両方を決定するために使用される。この種の実施形態では、ウエハは、フィールドレベル膜改質プロセス150を受ける。このように使用されるので、フィールドレベル膜改質という用語は、前表面上の複数のフィールドに一般に関係する高周波数主成分に由来するウエハ歪みを減少させるように構成されるプロセスを指す。
【0033】
いくつかの実施形態では、ウエハの裏側のブランケット膜のフィールドレベル膜改質は、ウエハ歪みを第1の歪みよりも小さい第2の歪みへと減少させる。いくつかの実施形態では、第1の歪みは、ウエハの直径を横切って0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mmまたは1mmよりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の歪みは、ウエハの直径を横切って1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mmまたは0.4mmよりも小さい。
図3は、低周波数歪み成分および高周波数歪み成分の両方の減少を示す例示的な歪み/周波数グラフを図示する。
【0034】
高周波数主成分はフィールドレベル成分とも呼ばれ、前表面上の個々のフィールドの数に関係する。いくつかの実施形態では、ウエハの表側に100から400の範囲内のフィールドがある。いくつかの実施形態では、フィールドの各々は、10mmから30mmの範囲内の幅を有する。いくつかの実施形態では、フィールドの各々は、20mmから50mmの範囲内の長さを有する。
【0035】
高周波数主成分は、第1の表面プロファイルまたは第2の表面プロファイルからであるかに拘わらず、改質プロファイルを決定するために使用される。いくつかの実施形態では、フィールドレベル改質150は、フォトン注入またはイオン注入のうちの1つまたは複数を含む注入プロセスを含む。ウエハのドーズマップが、高周波数主成分に基づいて決定される。
【0036】
いくつかの実施形態では、フィールドレベル改質は、(ドーズマップからの)所定のパターンでウエハの裏側をイオンに曝すことを含む。いくつかの実施形態では、フィールドレベル改質は、(ドーズマップからの)所定のパターンでウエハの裏側をフォトンに曝すことを含む。いくつかの実施形態では、ウエハの裏側のブランケット膜にイオンおよび/またはフォトンを注入することが、高周波数成分を補正する。
【0037】
開示の追加の実施形態は、
図4に図示したように、処理ツール300に向けられる。処理ツール300は、計測ステーション310と、ブランケット堆積ステーション320と、フィールドレベル改質ステーション330とを備える。図示した実施形態では、計測ステーション310、ブランケット堆積ステーション320およびフィールドレベル改質ステーション330は、中央搬送ステーション340に接続される。いくつかの実施形態では、計測ステーション、ブランケット堆積ステーションおよびフィールドレベル改質ステーションのすべてが中央搬送ステーションに接続されるとは限らない。
【0038】
図示した実施形態は、計測、ブランケット堆積およびフィールドレベル改質用の別々のステーションを有する。いくつかの実施形態では、計測ステーション、ブランケット堆積ステーションまたはフィールドレベル改質ステーションのうちの1つまたは複数が、単一の構成要素へと結合される。
【0039】
いくつかの実施形態の処理ツール300は、ウエハ歪みを第1の歪みから第2の歪みへと減少させるためにブランケット堆積条件およびフィールドレベル膜改質条件を決定するように構成されたコントローラ350をさらに備える。図示されたコントローラ350は、中央搬送ステーション340に接続される。しかしながら、コントローラが処理ツールの構成要素のうちのいずれかまたはすべてに接続されることが可能であることを当業者なら認識するだろう。いくつかの実施形態では、1つよりも多くのコントローラがあり、各々のコントローラが上記方法のうちの一部またはすべてを実行するように構成されることをともなう。
【0040】
いくつかの実施形態では、コントローラ350は、計測ステーションからのウエハの表側の膜の第1の表面プロファイル測定値を低周波数成分および高周波成分を含む主成分へと分解し、そしてブランケット堆積ステーションでウエハの裏側にブランケット堆積を実行するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、ブランケット堆積後のウエハの表側の膜の第2の表面プロファイル測定値を低周波数成分および高周波数成分へと分解するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の表面プロファイル測定値の高周波数成分を補正するためにフィールドレベル膜改質ステーションで注入プロセスを実行するようにさらに構成される。
【0041】
この明細書全体を通して「1つの実施形態」、「ある種の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」あるいは「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、材料、または特性が開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、この明細書の全体を通して様々な場所で「1つまたは複数の実施形態では」、「ある種の実施形態では」、「1つの実施形態では」あるいは「ある実施形態では」などの句の出現は、開示の同じ実施形態に言及することを必ずしも必要としない。さらにその上、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態では任意の適した方式で組み合わせられてもよい。
【0042】
本明細書における開示が特定の実施形態を参照して説明されてきているとはいえ、説明された実施形態が本開示の原理および応用の単に例示であることを当業者なら理解するだろう。様々な修正形態および変更形態が開示の精神および範囲から乖離せずに本開示の方法および装置に行われ得ることが、当業者には明らかだろう。このように、本開示は、別記の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内である修正形態および変形形態を含むことが可能である。
【国際調査報告】