(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】半導体デバイスの接触抵抗を低下させるプロセスインテグレーション
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240514BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L29/78 301Y
H01L29/78 301X
H01L21/28 301S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568144
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022028034
(87)【国際公開番号】W WO2022236026
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リン, サンクエイ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン, プラディープ
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104BB19
4M104BB21
4M104BB22
4M104BB23
4M104BB25
4M104BB26
4M104FF04
4M104FF06
4M104GG20
4M104HH15
5F140AA10
5F140AC01
5F140BA01
5F140BA05
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5F140BC15
5F140BG09
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5F140BH06
5F140BH08
5F140BJ08
5F140BJ15
5F140BK18
(57)【要約】
本明細書では、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、FETデバイスを形成する方法は、複数の第1のソース/ドレイン領域および複数の第2のソース/ドレイン領域を形成するためにナノシートFETデバイスのナノシートスタックをエッチングすることであって、ナノシートスタックが、ナノシートチャネル層および犠牲ナノシート層の交互の層を含む、ナノシートスタックをエッチングすることと、第1のソース/ドレイン領域の間のナノシートチャネル層の長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介してナノシートチャネル層の端部のところで複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための金属充填プロセスを実施することであって、金属充填物が最も下側のナノシートチャネル層から最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在し、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、金属充填プロセスを実施することと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法であって、
複数の第1のソース/ドレイン領域および複数の第2のソース/ドレイン領域を形成するために前記ナノシートFETデバイスのナノシートスタックをエッチングすることであって、前記ナノシートスタックが、複数のナノシートチャネル層および複数の犠牲ナノシート層の交互の層を含む、ナノシートスタックをエッチングすることと、
隣接する第1のソース/ドレイン領域の間の前記複数のナノシートチャネル層のチャネル長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介して前記複数のナノシートチャネル層の側壁のところで前記複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、
前記複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための金属充填プロセスを実施することであって、前記金属充填物が前記複数のナノシートチャネル層のうちの最も下側のナノシートチャネル層から前記複数のナノシートチャネル層の最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在し、前記ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、金属充填プロセスを実施することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ケイ素化合物層を堆積させる前に、前記複数のナノシートチャネル層の露出する側壁の上にシリコンまたはシリコンゲルマニウムを堆積させるために、さらには、前記複数の第1のソース/ドレイン領域を部分的にのみ埋めるために、制御されたエピタキシャル成長プロセスを実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御されたエピタキシャル成長プロセスが、前記複数の第1のソース/ドレイン領域でのエピタキシャル統合を防止する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ケイ素化合物層が、前記複数の第1のソース/ドレイン領域の下側表面の上に直接に、および、前記複数のナノシートチャネル層の前記側壁の上に直接に、堆積または形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第1のソース/ドレイン領域が前記ナノシートFETデバイスのpMOSエリアに対応し、前記複数の第2のソース/ドレイン領域が前記ナノシートFETデバイスのnMOSエリアに対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の第1のソース/ドレイン領域の中に前記ケイ素化合物層を堆積させる前に、前記複数の第2のソース/ドレイン領域の上にハードマスクを適用することをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ素化合物層が、チタン、ニッケル、パラジウム、モリブデン、白金、オスミウム、またはイリジウム、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノシートチャネル層がシリコンで作られ、前記犠牲ナノシート層がシリコンゲルマニウムで作られる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
選択的なケイ素化プロセスを介して、前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中に配設された前記複数のナノシートチャネル層の側壁に接する前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、
前記複数の第2のソース/ドレイン領域を埋めるための第2の金属充填プロセスを実施することであって、第2の金属充填物が前記最も下側のナノシートチャネル層から前記最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在し、前記ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、第2の金属充填プロセスを実施することと、
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中に前記ケイ素化合物層を堆積させる前に、前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中に配設された前記複数のナノシートチャネル層の露出する側壁の上にシリコンまたはシリコンゲルマニウムを堆積させるために、さらには、前記複数の第2のソース/ドレイン領域を部分的にのみ埋めるために、制御されたエピタキシャル成長プロセスを実施することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノシートスタックをエッチングする前に基板の上に前記ナノシートスタックを形成することと、
前記複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための前記金属充填プロセスを実施する前に前記複数の第2のソース/ドレイン領域の上にハードマスクを適用することと、
前記複数の第1のソース/ドレイン領域の中の前記金属充填物の上にハードマスクを適用することと、
隣接する第2のソース/ドレイン領域の間の前記ナノシートチャネル層の長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介して、前記複数の第2のソース/ドレイン領域に対して露出する前記ナノシートチャネル層の側壁のところで前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、
前記複数の第2のソース/ドレイン領域を埋めるための第2の金属充填プロセスを実施することであって、前記第2の金属充填物が前記最も下側のナノシートチャネル層から前記最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在し、前記ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、第2の金属充填プロセスを実施することと、
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中に前記ケイ素化合物層を堆積させる前に、前記ナノシートチャネル層の露出する側壁の上にシリコンまたはシリコンゲルマニウムを堆積させるために、さらには、前記複数の第2のソース/ドレイン領域を部分的にのみ埋めるために、制御されたエピタキシャル成長プロセスを実施すること、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の第1のソース/ドレイン領域の中に前記ケイ素化合物を堆積させる前に、前記犠牲ナノシート層と前記複数の第1のソース/ドレイン領域との間にスペーサを形成することと、
前記複数の第2のソース/ドレイン領域の中に前記ケイ素化合物を堆積させる前に、前記犠牲ナノシート層と前記複数の第2のソース/ドレイン領域との間にスペーサを形成することと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスであって、
複数のナノシートチャネル層を備えるナノシートスタックと、
前記複数のナノシートチャネル層の端部分に接触するソース/ドレイン領域であって、前記ソース/ドレイン領域が、前記複数のナノシートチャネル層のうちの最も上側のナノシートチャネル層の下方に延在する金属充填物で埋められ、ケイ素化合物層が前記金属充填物と前記複数のナノシートチャネル層の側壁との間に配設される、ソース/ドレイン領域と、
を備える、ナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイス。
【請求項15】
前記複数のナノシートチャネル層の前記側壁と前記ケイ素化合物層の間に配設されたエピタキシャル成長シリコンまたはシリコンゲルマニウムをさらに含む、請求項14に記載のナノシートFETデバイス。
【請求項16】
前記ケイ素化合物層が約1ナノメートルから約4ナノメートルの厚さである、請求項14に記載のナノシートFETデバイス。
【請求項17】
前記複数のナノシートチャネル層が正確に3つの積層された層を含む、請求項14に記載のナノシートFETデバイス。
【請求項18】
前記ナノシートFETデバイスのチャネル長さが約10ナノメートルから約15ナノメートルである、請求項14に記載のナノシートFETデバイス。
【請求項19】
前記ケイ素化合物層が、チタン、ニッケル、パラジウム、モリブデン、白金、オスミウム、またはイリジウム、のうちの少なくとも1つを含む、請求項14から18のいずれか一項に記載のナノシートFETデバイス。
【請求項20】
前記複数のナノシートチャネル層が単結晶シリコンで作られる、請求項14から18のいずれか一項に記載のナノシートFETデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体デバイスに関し、より詳細には、ナノシート電界効果トランジスタデバイス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、しばしば半導体デバイスの上に形成される回路部品または回路要素である。多くのトランジスタは、回路の設計に応じて、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、ダイオード、導電線、または他の要素に加えて、半導体デバイスの上に形成され得る。集積回路は平面の電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)を組み込み、FETでは、制御ゲートに印加される電圧に反応して電流がソースとドレインとの間の半導体チャネルを通って流れる。デバイスの寸法が縮小していることから、新しいデバイスのジオメトリおよび構造および材料は、不具合を生じさせることなくスイッチング速度を維持することの困難さに直面している。
【0003】
チップ設計者がゲート長さを縮小させ続けることを可能にするようないくつかの新しい技術が現れている。1つの特に広範囲に及ぶ技術変化は、平面のデバイスから3次元のデバイスにFETの構造を設計し直すことを必然的に伴うものであり、3次元のデバイスでは、半導体チャネルが、基板の平面から外に延在するフィンに置き換えられた。FinFETと一般に称されるこのようなデバイスでは、制御ゲートがフィンの3つの側面を包囲し、それにより1つの表面ではなく3つの表面からの電流の流れに影響を与える。3D設計を用いて達成される制御の向上により、より迅速なスイッチング性能が得られ、漏洩電流が減少する。
【0004】
ゲートオールアラウンドFET(GAA FET:gate all-around FET)の開発により、FinFETの概念が拡張された。GAA FETでは、ゲートがチャネルを完全に包囲し、中を流れる電流を最大限に制御する。GAA FETでは、チャネルが基板から隔離された円筒形ナノワイヤの形態をとることができる。既存のGAA FETは水平の向きであり、したがって、ナノワイヤは半導体基板の表面に平行な方向に延在する。
【0005】
ナノシートFETデバイスの開発により、FinFETの概念がさらに拡張された。ナノシートFETデバイスは円筒形ナノワイヤの概念に類似するが、デバイスチャネルが積層構成の1つまたは複数のナノシート層を備えることを除き、ここでは、各ナノシート層が、ナノシート層の厚さより実質的に大きい幅を有する。一般的なゲート構造が各ナノシート層の上方および下方に形成され、ナノワイヤ構造と比較して拡大された幅により、所与の設置面積で駆動電流を増大させることが促進される。しかし、3-Dデバイスはそのサイズを縮小させ続けていることから、ソース/ドレイン領域と対応する金属接点との間の接触表面積が限定されることで、ナノシートデバイス構造のソース/ドレイン領域の接触抵抗が過度に大きくなる場合がある。
【0006】
したがって、発明者らは、本明細書では、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシートFETデバイスおよびこのようなデバイスを形成する方法の実施形態を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、FETデバイスを形成する方法が、複数の第1のソース/ドレイン領域および複数の第2のソース/ドレイン領域を形成するためにナノシートFETデバイスのナノシートスタックをエッチングすることであって、ナノシートスタックが、複数のナノシートチャネル層および複数の犠牲ナノシート層の交互の層を含む、ナノシートスタックをエッチングすることと、隣接する第1のソース/ドレイン領域の間の複数のナノシートチャネル層のチャネル長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介して複数のナノシートチャネル層の側壁のところで複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための金属充填プロセスを実施することであって、金属充填物が複数のナノシートチャネル層のうちの最も下側のナノシートチャネル層から複数のナノシートチャネル層の最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在して、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、金属充填プロセスを実施することと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法が、基板の上にナノシートスタックを形成することであって、ナノシートスタックが、ナノシートチャネル層および犠牲ナノシート層の交互の層を含む、ナノシートスタックを形成することと、複数の第1のソース/ドレイン領域および複数の第2のソース/ドレイン領域を形成するためにナノシートFETデバイスのナノシートスタックをエッチングすることと、複数の第2のソース/ドレイン領域の上にハードマスクを適用することと、第1のソース/ドレイン領域の間のナノシートチャネル層のチャネル長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介してナノシートチャネル層の側壁のところで複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための金属充填プロセスを実施することであって、金属充填物が最も下側のナノシートチャネル層から最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在して、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、金属充填プロセスを実施することと、複数の第1のソース/ドレイン領域の中の金属充填物の上にハードマスクを適用することと、隣接する第2のソース/ドレイン領域の間のナノシートチャネル層の長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介して複数の第2のソース/ドレイン領域に対して露出するナノシートチャネル層の側壁のところで複数の第2のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させることと、複数の第2のソース/ドレイン領域を埋めるために第2の金属充填プロセスを実施することであって、第2の金属充填物が最も下側のナノシートチャネル層から最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在して、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する、第2の金属充填プロセスを実施することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、ナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスが、複数のナノシートチャネル層を備えるナノシートスタックと、複数のナノシートチャネル層の端部分に接触するソース/ドレイン領域であって、ソース/ドレイン領域が、複数のナノシートチャネル層のうちの最も上側のナノシートチャネル層の下方に延在する金属充填物で埋められ、ケイ素化合物層が金属充填物と複数のナノシートチャネル層の側壁との間に配設される、ソース/ドレイン領域と、を含む。
【0010】
本開示の他のおよびさらなる実施形態を以下で説明する。
【0011】
上で簡潔に概説されて以下でより詳細に考察される本開示の実施形態は、添付図面に描かれる本開示の例示の実施形態を参照することによって理解され得る。しかし、本開示は他の同等に効果的な実施形態も認め得るため、添付図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法を示すフローチャートである。
【
図2】複数のソース/ドレイン領域を有するナノシートFETデバイスを示す概略等角図である。
【
図3】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるナノシートFETデバイスの一部分を示す断面図である。
【
図4】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるナノシートFETデバイスの一部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、図に共通する同一の要素を指定するために、可能である場合に、同一の参照符号が使用されている。図は正確な縮尺で描かれず、明瞭さのために単純化されている場合がある。一実施形態の要素および特徴は、さらに言及しなくても、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【0014】
本明細書では、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシートFETデバイスおよびこのようなデバイスを形成する方法の実施形態が提供される。本明細書で提供される方法は、ナノシートFETデバイスのソース/ドレイン領域とそれぞれの金属接点との間の接触面積を増大させ、有利には、ナノシートFETデバイスのソース/ドレイン領域とそれぞれの金属接点との間の接触抵抗を低下させ、デバイスの性能を向上させる。本明細書で提供される方法は、さらに、有利には、デバイスの性能を最適化するために、制御された堆積手法を介してチャネル長さを調整することを容易にする。
【0015】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、低減されたソース/ドレイン接触抵抗を有するナノシート電界効果トランジスタ(FET)デバイスを形成する方法のフローチャートを描いている。102で、方法100は、基板(例えば、基板218)の上にナノシートスタックを形成することを含み、ナノシートスタックは、ナノシートチャネル層(例えば、複数のナノシートチャネル層206)および犠牲ナノシート層(例えば、複数の犠牲ナノシート層212)の交互の層を含む。ナノシートFETデバイスのナノシートスタックは、複数の第1のソース/ドレイン領域(例えば、複数の第1のソース/ドレイン領域202)および複数の第2のソース/ドレイン領域(例えば、複数の第2のソース/ドレイン領域204)を画定するトレンチ(例えば、トレンチ304)を形成するためにエッチングされ得る。エッチング処理は、異方性ドライエッチング処理、湿式エッチング処理、または他の適切なエッチング処理であってよい。いくつかの実施形態では、エッチング処理は、ナノシートスタックの露出部分を基板まで垂直方向にエッチングする。いくつかの実施形態では、エッチング処理は、ナノシートスタックの露出部分および基板の一部分を垂直方向にエッチングし、言い換えると、基板の上側表面の下方をエッチングする。
【0016】
104で、方法100は、任意選択で、複数の第2のソース/ドレイン領域の上にハードマスク(例えば、ハードマスク238)を加えることを含む。いくつかの実施形態では、複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させるなど、複数の第1のソース/ドレイン領域の中で任意の堆積プロセスまたは充填プロセスが行われる前に、ハードマスクが複数の第2のソース/ドレイン領域の上に堆積される。いくつかの実施形態では、方法100は、複数のナノシートチャネル層に隣接する複数の第1のソース/ドレイン領域の中に内側スペーサ(例えば、内側スペーサ226)を形成することを含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、例えば、窒化ケイ素(SiN)または任意の適切な誘電体材料といった、誘電体材料で形成される。
【0017】
例えば、
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、複数のソース/ドレイン領域を有するナノシートFETデバイスまたはデバイス200の概略等角図を描いている。いくつかの実施形態では、複数のソース/ドレイン領域201は、概して、複数の第1のソース/ドレイン領域202および複数の第2のソース/ドレイン領域204を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の第1のソース/ドレイン領域202は、デバイス200のpチャネル金属酸化物半導体(pMOS:p-channel metal-oxide semiconductor)エリアに対応する。いくつかの実施形態では、複数の第2のソース/ドレイン領域204は、デバイス200のnチャネル金属酸化物半導体(nMOS:n-channel metal-oxide semiconductor)エリアに対応する。
図1は、材料で埋められてハードマスク238で覆われた複数の第2のソース/ドレイン領域204と、次の堆積プロセスおよび充填プロセスのための準備が整った非充填中間ステップでの複数の第1のソース/ドレイン領域202と、を描いている。複数の第1のソース/ドレイン領域202および複数の第2のソース/ドレイン領域204は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、シリコン酸炭窒化物(SiOCN)、またはシリコンオキシカーバイド(SiOC)などのlow-K誘電体材料を含む絶縁層230を介して分離され得る。ゲート領域242は、複数のソース/ドレイン領域201の上方に配設され得る。
【0018】
デバイス200は、概して、基板218の上に堆積または配設された複数の犠牲ナノシート層212と交互である複数のナノシートチャネル層206を備える(例えば、積層構成または積層された層)。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206は、1つの層につき約5ナノメートルから約15ナノメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、複数の犠牲ナノシート層212は、1つの層につき約5ナノメートルから約15ナノメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、基板218は、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、または任意の他の適切な半導体基板材料で形成された半導体基板であってよい。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206は、複数の犠牲ナノシート層212の層によって分離された、積層された、第1のチャネル層220、第2のチャネル層222、および第3のチャネル層224である正確に3つのチャネル層を含む。しかし、デバイス200は、3つよりも多くのまたは少ないナノシートチャネル層を含むこともできる。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206および複数の犠牲ナノシート層212は、エピタキシャル成長プロセスを介して交互に連続して成長する。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206は、シリコン(Si)から実質的になり、複数の犠牲ナノシート層212は、所望のGe濃度を有するシリコンゲルマニウム(SiGe)から実質的になる。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206は、所望のGe濃度を有するシリコンゲルマニウム(SiGe)から実質的になり、複数の犠牲ナノシート層212は、シリコン(Si)から実質的になる。いくつかの実施形態では、所望のGe濃度は、約15体積パーセントから約40体積パーセントである。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206および複数の犠牲ナノシート層212は、単結晶シリコンなどの、単結晶半導体材料を含む。いくつかの実施形態では、次いで、複数の犠牲ナノシート層212は、複数のナノシートチャネル層206の材料に対して選択的なかたちで、エッチング除去され、次の金属充填のための複数のナノシートチャネル層206を解放させる。複数の第1のソース/ドレイン領域202は、複数の犠牲ナノシート層212に隣接する内側スペーサ226を含むことができる。
【0020】
再び
図1を参照すると、106で、方法100は、第1のソース/ドレイン領域の間のナノシートチャネル層の長さを制御するために、選択的なケイ素化プロセスを介して、ナノシートチャネル層の端部のところで複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層(例えば、ケイ素化合物層322)を堆積させることを含む。ケイ素化合物層は、第1のソース/ドレイン領域のための接点として、さらには、接触抵抗を低下させる材料として、機能する。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層は、チタン、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、モリブデン、白金、オスミウム、またはイリジウム、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層は、nMOSエリアのためのケイ化チタン、およびpMOSエリアのためのモリブデンまたはルテニウムを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、
図3に描かれるように、複数の第1のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させる前に、方法100は、ナノシートチャネル層の露出する側壁(例えば、側壁350)の上にシリコンまたはシリコンゲルマニウムを堆積させるために、さらには、複数の第2のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させる前に複数の第2のソース/ドレイン領域を部分的にのみ埋めるために、制御されたエピタキシャル成長プロセスを実施することを含む。いくつかの実施形態では、制御されたエピタキシャル成長プロセスは、有利に、複数の第1のソース/ドレイン領域でのエピタキシャル統合を防止するためにナノシートチャネル層の対向する側壁の間に間隙(例えば、間隙344)を形成する。ケイ素化合物層は、エピタキシャル成長層(例えば、エピタキシャル材料306)の上に堆積される。隣接する金属充填物(例えば、金属充填物310)の間に延在するデバイス200のチャネル長さ318は、有利には、露出するナノシートチャネル層の上に堆積されたエピタキシャル材料の厚さを制御することにより、およびケイ素化合物層の厚さを制御することにより、制御され得る。
【0022】
図3は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるナノシートFETデバイス200の一部分の断面図を描いている。複数の第1のソース/ドレイン領域202の各々がトレンチ304によって画定され得る。いくつかの実施形態では、内側スペーサ226は、複数の犠牲ナノシート層212の側壁から材料を横方向に除去するプロセスを介して、トレンチ304の中にまたはトレンチ304に隣接するように形成され得、その結果、複数の犠牲ナノシート層212の側壁334が、複数の第1のソース/ドレイン領域202に隣接する複数のナノシートチャネル層206の側壁350に対して凹むようになる。例えば、この横方向エッチングは、複数のナノシートチャネル層206の材料に関して選択的に、複数の犠牲ナノシート層212をエッチングするエッチング液を用いる湿式エッチング処理またはドライプラズマエッチングを使用して実施され得る。横方向凹部の大きさは時限的エッチング(timed etch)を通して制御され得る。いくつかの実施形態では、誘電体材料が、内側スペーサ226を形成するように横方向凹部の中に選択的に堆積され得る。いくつかの実施形態では、誘電体材料の共形層が、複数の第1のソース/ドレイン領域202の中に堆積され得、凹部を含み、次いで再び余剰材料を除去するためのエッチングが行われる。いくつかの実施形態では、凹部の幅は、内側スペーサ226の厚さに実質的に等しい。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206は、それぞれの上側スペーサ320を介して、複数のナノシートチャネル層206の上方に堆積されたゲート電極348から隔離され得る。いくつかの実施形態では、上側スペーサ320は、内側スペーサ226と同じ材料で形成される。いくつかの実施形態では、誘電体材料の共形層は、内側スペーサ226および上側スペーサ320の両方を形成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、エピタキシャル材料306が、例えば、第1のチャネル層220、第2のチャネル層222、および第3のチャネル層224である、複数のナノシートチャネル層206の側壁350から成長し、延在する。エピタキシャル材料306は、同様に、トレンチ304の下側表面338から成長し得る。いくつかの実施形態では、エピタキシャル材料306は、下側表面338から、複数のナノシートチャネル層206のうちの最も上側のナノシートチャネル層の真下の位置まで、成長する。いくつかの実施形態では、エピタキシャル材料306は、下側表面338から、複数のナノシートチャネル層206のうちの最も下側のナノシートチャネル層の真下の位置まで、成長する。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206の側壁350から成長するエピタキシャル材料306は、球根形状を形成する。いくつかの実施形態では、複数のナノシートチャネル層206のうちの1つのナノシートチャネル層206に隣接するエピタキシャル材料306は、複数のナノシートチャネル層206の残りのチャネルのいずれかから延在するエピタキシャル材料306とも一体化しない。いくつかの実施形態では、エピタキシャル材料306は、nMOSエリアまたはpMOSエリアを形成するのに適切なドーパントをドープされたエピタキシャルシリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層322が、エピタキシャル材料306の上に堆積され、エピタキシャル材料306に順応する。金属充填物310が、エピタキシャル材料306およびケイ素化合物層322のうちの1つまたは複数によって占有されないトレンチ304の残りの部分の中に配設される。金属充填物310とエピタキシャル材料306またはケイ素化合物層322との間の接触界面380は従来のインターフェースより大きく、有利には金属充填物310とエピタキシャル材料306またはケイ素化合物層322との間の接触抵抗が低下する。
【0026】
いくつかの実施形態では、ゲートスペーサ312が、ゲート領域242内の金属充填物310の周りに配設され得る。ゲートスペーサ312は、誘電体材料で作られ得る。いくつかの実施形態では、第2のゲートスペーサ314が、デバイス200の導電性を調節するのを支援するために、ゲートスペーサ312とゲート電極348との間に配設される。いくつかの実施形態では、ゲートスペーサ312は、第2のゲートスペーサ314とは異なる材料で作られる。いくつかの実施形態では、ゲートスペーサ312は、low-K材料で作られ、第2のゲートスペーサ314は、high-K材料で作られる。いくつかの実施形態では、第2のゲートスペーサ314は、処理中に消耗され、ゲート電極348のためのより大きい体積を作り出し得る。
【0027】
図4は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるナノシートFETデバイスの一部分の断面図を描いている。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層408が、
図3に関連して上で考察されるエピタキシャル材料306を用いずに、直接にトレンチ304の下側表面338の上において、および複数のナノシートチャネル層206の側壁350の上において、トレンチ304の中に堆積されるかまたは形成される。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層408は、ケイ素化合物層322の厚さより大きい厚さ410を有する。いくつかの実施形態では、厚さは、約1ナノメートルから約4ナノメートルである。いくつかの実施形態では、厚さ410は、デバイスの性能を最適化し、他方で短チャネル効果を最小にする。金属充填物310は、ケイ素化合物層408によって占有されないトレンチ304の残りの部分の中に配設される。いくつかの実施形態では、金属充填物310は、複数のナノシートチャネル層206の下方に延在する。チャネル長さ420は、複数のナノシートチャネル層206のそれぞれの層の長さを含むことができ、加えて、各層の両端部におけるケイ素化合物層408の厚さ410を含むことができる。チャネル長さ420は、最適な性能のためにデバイス200を調整するために厚さ410を制御することによって制御され得る。いくつかの実施形態では、デバイス200のチャネル長さは、約10ナノメートルから約15ナノメートルである。金属充填物310とケイ素化合物層408との間の接触界面480は従来のインターフェースより大きく、有利には金属充填物310とケイ素化合物層408との間の接触抵抗が低下する。
図4のデバイスはさらに、有利には、ソース/ドレイン注入・活性化ステップを必要とせず、コストおよびサーマルバジェットを低下させる。
【0028】
再び
図1を参照すると、108で、方法100は、複数の第1のソース/ドレイン領域を埋めるための金属充填プロセスを実施することを含み、金属充填物(例えば、金属充填物310)が最も下側のナノシートチャネル層(例えば、第3のチャネル層224)から最も上側のナノシートチャネル層(例えば、第1のチャネル層220)の上方まで延在し、それにより、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する。金属充填物によりソース/ドレイン領域の中に配設されるエピタキシャル材料(例えば、エピタキシャル材料306)が低減され、それによりエピタキシャルひずみが低減される。しかし、本明細書で説明される金属充填プロセスを介して低減されるソース/ドレイン接触抵抗の利益は、低減されるエピタキシャルひずみの欠点も相殺することができる。いくつかの実施形態では、方法100は、チャネル応力を改善して、低減されるエピタキシャルひずみによるいかなる性能損失も補償するために、金属充填物を調節することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法100は、複数の第1のソース/ドレイン領域の中の金属充填物の上にハードマスクを適用することを含む。いくつかの実施形態では、方法100は、複数の第1のソース/ドレイン領域の中の金属充填物の上にハードマスクを加えた後で、複数の第2のソース/ドレイン領域のために同様のプロセスステップを実施することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、複数の第2のソース/ドレイン領域の中のナノシートチャネル層の露出する側壁の上にシリコンまたはシリコンゲルマニウムを堆積させるために、さらには、複数の第2のソース/ドレイン領域を部分的にのみ埋めるために、制御されたエピタキシャル成長プロセスを実施することを含む。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物層が複数の第2のソース/ドレイン領域の中に堆積され、その後、金属充填が行われる。いくつかの実施形態では、第2の金属充填物が、最も下側のナノシートチャネル層から最も上側のナノシートチャネル層の上方まで延在し、ソース/ドレイン接触抵抗の低減を促進する。いくつかの実施形態では、複数の第2のソース/ドレイン領域の中にケイ素化合物層を堆積させる前に、内側スペーサが複数の第2のソース/ドレイン領域の中に形成される。いくつかの実施形態では、本方法の充填プロセスの後、適切なミドルエンドオブライン(MEOL:middle end of line)プロセスまたはバックエンドオブライン(BEOL:back end of line)プロセスがデバイス200で実施され得る。
【0030】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他のおよびさらなる形態も案出され得る。説明の容易さのために、半導体デバイスまたは構造を形成するのに一般に使用される種類の1つまたは複数の層、構造、および領域が添付の図面に明確には示されない場合がある。明確には示されない任意のこのような層、構造、および/または領域は、実際の半導体デバイス構造には存在する場合もある。さらに、半導体処理手法に関して、本明細書で提供される説明は、機能的な半導体集積回路デバイスを形成するのに必要とされ得る処理手順のすべてを包含することを意図するわけではない。
【国際調査報告】