(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】半導体表面改質を含むトランジスタ及び関連製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240514BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 301F
H01L29/80 L
H01L29/80 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571537
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022029734
(87)【国際公開番号】W WO2022245885
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビスゲス、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ボーテ、カイル
(72)【発明者】
【氏名】キング、マシュー
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
5F102GJ10
5F102GL04
5F102GL09
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR12
5F102GS04
5F102GS06
5F102GS09
5F102GT03
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
(57)【要約】
トランジスタ・デバイスは、半導体構造と、半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の半導体構造上のゲートと、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造上の表面不動態化層とを含む。表面不動態化層は、ゲートに隣接する半導体構造の第2の領域とは異なるやり方で第1の領域を処理するために、半導体構造の第1の領域を露出する開口部を内部に含む。関連するデバイス及び製造方法についても論じる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタ・デバイスであって、
半導体構造と、
前記半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造上のゲートと、
前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造上の表面不動態化層であって、第1の領域を処理するために、前記半導体構造の前記第1の領域を露出する開口部を内部に含む表面不動態化層とを備える、トランジスタ・デバイス。
【請求項2】
前記半導体構造は、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含み、前記第1の領域は、前記ゲートに隣接する前記半導体構造の第2の領域よりも高い伝導率を有する、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項3】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低いシート抵抗を有する、請求項2に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項4】
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる表面特性を有する、請求項2に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項5】
前記第1の領域は、改質された界面状態を有し、前記第2の領域には、前記改質された界面状態がなく、又は異なるやり方で改質された界面状態を有する、請求項2から4までのいずれか一項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項6】
前記開口部は、前記第2の領域によって前記ゲートから横に分離される、請求項2から4までのいずれか一項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項7】
前記ゲートは、前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトに向かって前記表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含み、前記サイドローブ部分は前記第2の領域の上に延びる、請求項6に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項8】
前記開口部は、前記半導体構造の表面に沿って前記ゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられている、請求項6に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項9】
前記表面不動態化層は、第1の不動態化層であり、
前記トランジスタ・デバイスは、前記第1の不動態化層上にあり、且つ前記開口部内に延びて前記第1の領域に接触する第2の不動態化層をさらに備え、
前記第1の領域と前記第2の不動態化層との間の界面が、前記第2の領域と前記第1の不動態化層との間の界面とは異なる前記改質された界面状態を有する、請求項5に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項10】
前記改質された界面状態は、前記第2の不動態化層の形成によって画定される、請求項9に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項11】
前記第2の不動態化層上、且つ前記ゲートと前記ドレイン・コンタクトとの間のフィールド板をさらに備え、前記開口部は、前記フィールド板の少なくとも一部から横に離隔される、請求項9に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項12】
前記フィールド板は、前記第2の不動態化層が間にある状態で前記開口部と少なくとも部分的に重なる、請求項10に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項13】
表面が処置された領域が、イオン衝撃、プラズマ窒化、プラズマ酸化、水素プラズマ処置、及び/又はガス環境におけるアニールによって画定される、請求項5に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項14】
トランジスタ・デバイスであって、
間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含む半導体構造と、
前記半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造上のゲートとを備え、
前記半導体構造は、前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の第1の領域と、前記ゲートに隣接する第2の領域とを含み、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも高い伝導率を有する、トランジスタ・デバイス。
【請求項15】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低いシート抵抗を有する、請求項14に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項16】
前記第1の領域及び前記第2の領域を含む前記半導体構造は、前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間で不均一に変動する伝導率を有する、請求項14に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項17】
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる表面特性を有する、請求項14から16までのいずれか一項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項18】
前記第1の領域は、改質された界面状態を有し、前記第2の領域には、前記改質された界面状態がなく、又は異なるやり方で改質された界面状態を有する、請求項14から17までのいずれか一項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項19】
前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造の表面上の表面不動態化層をさらに備え、前記表面不動態化層は、前記第1の領域を露出する開口部を内部に含む、請求項17に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項20】
前記開口部は、前記第2の領域によって前記ゲートから横に分離される、請求項19に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項21】
前記ゲートは、前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトに向かって前記表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含み、前記サイドローブ部分は、前記第2の領域の上に延びる、請求項20に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項22】
前記開口部は、前記半導体構造の前記表面に沿って前記ゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられている、請求項20に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項23】
前記表面不動態化層は、第1の不動態化層であり、
前記トランジスタ・デバイスは、前記第1の不動態化層上にあり、且つ前記開口部内へ延びて前記第1の領域に接触する第2の不動態化層をさらに備え、
前記第1の領域と前記第2の不動態化層との間の界面が、前記第2の領域と前記第1の不動態化層との間の界面とは異なる前記改質された界面状態を有する、請求項18に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項24】
トランジスタ・デバイスであって、
間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含む半導体構造と、
前記半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造の表面上のゲートと、
前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造の前記表面上の1つ又は複数の不動態化層とを備え、
前記半導体構造の伝導率は、その上の1つ又は複数の不動態化層との界面に沿った方向に不均一に変動する、トランジスタ・デバイス。
【請求項25】
前記半導体構造は、前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の第1の領域と、前記ゲートに隣接する第2の領域とを含み、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも高い伝導率を有する、請求項24に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項26】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低いシート抵抗を有する、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項27】
前記第1の領域は、前記第2の領域とは異なる表面特性を有する、請求項25に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項28】
前記第1の領域は、改質された界面状態を有し、前記第2の領域には、前記改質された界面状態がなく、又は、異なるやり方で改質された界面状態を有する、請求項25から27までのいずれか一項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項29】
前記1つ又は複数の不動態化層は、
前記ゲートに隣接する前記半導体構造の前記第2の領域上にあり、且つ前記第1の領域を露出する開口部を内部に含む第1の不動態化層を含み、
前記開口部は、前記第2の領域によって前記ゲートから横に分離される、請求項28に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項30】
前記1つ又は複数の不動態化層は、
前記第1の不動態化層上にあり、且つ前記開口部内に延びて前記第1の領域に接触する第2の不動態化層をさらに含み、
前記界面は、前記第1の領域と前記第2の不動態化層との間の第1の界面、及び前記第2の領域と前記第1の不動態化層との間の第2の界面を含み、前記第1の界面は、前記第2の界面とは異なる改質された界面状態を有する、請求項29に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項31】
前記ゲートと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記第2の不動態化層上にあるフィールド板をさらに備え、前記開口部は、前記フィールド板の少なくとも一部から横に離隔される、請求項30に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項32】
トランジスタ・デバイスを製造する方法であって、
半導体構造上に表面不動態化層を形成することと、
ゲートがソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間にある、前記半導体構造上に前記ソース・コンタクト及び前記ドレイン・コンタクト並びに前記ゲートを形成することと、
前記ゲートと前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトとの間の前記半導体構造の第1の領域を露出する前記表面不動態化層に開口部を形成することと、
前記開口部によって露出される前記半導体構造の前記第1の領域を、前記ゲートに隣接する前記半導体構造の第2の領域とは異なるやり方で処理することとを含む、トランジスタ・デバイスを製造する方法。
【請求項33】
前記半導体構造は、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含み、
前記第1の領域は、前記処理に応じて前記半導体構造の前記第2の領域よりも高い伝導率を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の領域は、前記処理に応じて前記第2の領域よりも低いシート抵抗を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の領域は、前記処理に応じて前記第2の領域とは異なる表面特性を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記処理は、その界面状態を改質するために前記開口部によって露出された前記第1の領域の表面処置を行うことを含み、前記第2の領域は、前記表面処置によって実質的に影響を受けない、請求項32から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記表面処置は、イオン衝撃、プラズマ窒化、プラズマ酸化、水素プラズマ処置、及び/又はガス環境におけるアニールを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記表面処置は、酸性化学溶液での湿式エッチング、塩基性化学溶液での湿式エッチング、及び/又は中性化学溶液での処置を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記表面不動態化層は、第1の不動態化層であり、
前記方法は、前記第1の不動態化層上にあり、且つ前記開口部内へ延びて前記第1の領域に接触する第2の不動態化層を形成することをさらに含み、
前記第1の領域と前記第2の不動態化層との間の界面は、前記第2の領域と前記第1の不動態化層との間の界面とは異なる前記改質された界面状態を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の不動態化層を形成することにより、前記第1の領域の前記改質された界面状態を保存する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記表面不動態化層は、第1の不動態化層であり、
前記方法は、前記第1の不動態化層上にあり、且つ前記開口部内に延びて前記第1の領域に接触する第2の不動態化層を形成することをさらに備え、
前記第2の不動態化層を形成することにより、前記第1の領域の界面状態を改質する、請求項32から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記表面不動態化層に前記開口部を形成することにより、前記第1の領域の界面状態を改質する、請求項32から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記開口部は、前記第2の領域によって前記ゲートから横に分離される、請求項32から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ゲートは、前記ソース・コンタクト又は前記ドレイン・コンタクトに向かって前記表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含み、前記サイドローブ部分は、前記第2の領域の上に延びる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記開口部は、前記半導体構造の前記表面に沿って前記ゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられている、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、開示が全体に参照により本明細書に組み込まれている、2021年5月20日に出願した米国特許出願第17/325488号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、半導体デバイス、より詳細には、トランジスタ・デバイス及び関連する製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
珪素(Si)及びヒ化ガリウム(GaAs)などの材料は、低電力及びSiの場合には低周波数用途のための半導体デバイスにおいて幅広い用途を見いだした。しかしながら、これらの材料は、例えば、バンドギャップが相対的に小さく(室温ではSiで1.12eV、GaAsで1.42)、降伏電圧が相対的に小さいため、高電力及び/又は高周波数の用途には、あまり適していないことがある。
【0004】
高電力、高温及び/又は高周波数の用途及びデバイスでは、炭化珪素(SiC)(例えば、室温での4H-SiCについて約3.2eVのバンドギャップを有する)及びIII族窒化物(例えば、室温での窒化ガリウム(GaN)について約3.36eVのバンドギャップを有する)などの広バンドギャップ半導体材料が使用されてもよい。これらの材料は、GaAs及びSiと比較して、より高い電界降伏強度及びより高い電子飽和速度を有することがある。
【0005】
高電力及び/又は高周波数の用途に対して特に関心のあるデバイスは、高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor)であり、これは、変調ドープ電界効果トランジスタ(MODFET:modulation doped field effect transistor)としても知られている。HEMTデバイスでは、バンドギャップ・エネルギーの異なる2つの半導体材料のヘテロ接合に2次元電子ガス(2DEG:two-dimensional electron gas)が形成されることがある。小さいバンドギャップ材料は、広いバンドギャップ材料よりも高い電子親和力を有することがある。2DEGは、ドープされない、より小さいバンドギャップ材料における蓄積層であり、例えば、1013キャリア/cm2を超える相対的に高いシート電子濃度を含むことができる。加えて、バンドギャップのより広い半導体に由来する電子は2DEGに移動することがあるので、イオン化不純物散乱の低減により相対的に高い電子移動度を可能にする。相対的に高いキャリア濃度とキャリア移動度との組合せにより、HEMTは相対的に大きい相互コンダクタンスを得ることができ、高周波数の用途に対して金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFETS:metal-oxide-semiconductor field effect transistors)よりも性能上の利点を得ることができる。
【0006】
III族窒化物材料(窒化ガリウム/窒化アルミニウムガリウム(GaN/AlGaN)材料系など)で製造されたHEMTは、相対的に高い降伏電界、相対的に広いバンドギャップ、相対的に大きい伝導帯オフセット、及び/又は相対的に高い飽和電子ドリフト速度などの材料特性の組合せにより、大量の無線周波数(RF:radio frequency)電力を生成できる。したがって、HEMTデバイスはRF電力増幅器に使用されてもよい。また、III族窒化物ベースのHEMTは、特にSiC基板上で、高い電荷密度、高い電子移動度、及び改良された熱伝導率を提供する。
【0007】
電子捕捉及び結果として生じるDC特性とRF特性との間の差異は、これらのデバイスの性能における制限要因となる可能性がある。窒化珪素(SiN)不動態化は、この捕捉の問題を軽減するために採用され、10GHzで10W/mmを超える電力密度の高性能デバイスを実現した。例えば、Wuらに対する米国特許第6586781号は、GaNベースのトランジスタにおける捕捉効果を低減する方法及び構造を記載している。しかしながら、これらの構造には高電界が存在するため、電荷捕捉が依然として懸念される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6586781号
【特許文献2】米国特許第5210051号
【特許文献3】米国特許第5393993号
【特許文献4】米国特許第5523589号
【特許文献5】米国特許第7030428号
【特許文献6】米国特許第8563372号
【特許文献7】米国特許第9214352号
【特許文献8】米国特許第8120064号
【特許文献9】米国特許第6548333号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のいくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイスは、半導体構造と、半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の半導体構造上のゲートと、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造上の表面不動態化層とを含む。表面不動態化層は、第1の領域を処理するために、半導体構造の第1の領域を露出する開口部を内部に含む。
【0010】
いくつかの実施例では、半導体構造は、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含んでもよい。第1の領域は、ゲートに隣接する半導体構造の第2の領域よりも高い伝導率を有してもよい。いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域よりも低いシート抵抗を有してもよい。
【0011】
いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域とは異なる表面特性を有してもよい。
【0012】
いくつかの実施例では、第1の領域は、改質された界面状態を有してもよい。第2の領域には、改質された界面状態がなくてもよく、又は異なるやり方で改質された界面状態を有してもよい。
【0013】
いくつかの実施例では、開口部は、第2の領域によってゲートから横に分離されてもよい。いくつかの実施例では、ゲートは、ソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトに向かって表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含んでもよく、サイドローブ部分は、第2の領域の上に延びてもよい。いくつかの実施例では、開口部は、半導体構造の表面に沿ってゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられてもよい。
【0014】
いくつかの実施例では、表面不動態化層は、第1の不動態化層であってもよい。第2の不動態化層は、第1の不動態化層上に設けられ、開口部内に延びて第1の領域に接触してもよい。第1の領域と第2の不動態化層との間の界面は、第2の領域と第1の不動態化層との間の界面とは異なり得る改質された界面状態を有してもよい。
【0015】
いくつかの実施例では、改質された界面状態は、第2の不動態化層の形成によって画定されてもよい。
【0016】
いくつかの実施例では、フィールド板が、第2の不動態化層上、且つゲートとドレイン・コンタクトとの間に設けられてもよい。開口部は、フィールド板の少なくとも一部から横に離隔されてもよい。
【0017】
いくつかの実施例では、フィールド板は、第2の不動態化層が間にある状態で、開口部と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0018】
いくつかの実施例では、表面が処置された領域が、イオン衝撃、プラズマ窒化、プラズマ酸化、水素プラズマ処置、及び/又はガス環境におけるアニールによって画定されてもよい。
【0019】
いくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイスは、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含む半導体構造と、半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の半導体構造上のゲートとを含む。半導体構造は、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の第1の領域と、ゲートに隣接する第2の領域とを含み、第1の領域は、第2の領域よりも高い伝導率を有する。
【0020】
いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域よりも低いシート抵抗を有してもよい。
【0021】
いくつかの実施例では、第1の領域及び第2の領域を含む半導体構造は、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間で不均一に変動する伝導率を有してもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域とは異なる表面特性を有してもよい。
【0023】
いくつかの実施例では、第1の領域は、改質された界面状態を有してもよい。第2の領域には、改質された界面状態がなくてもよく、又は異なるやり方で改質された界面状態を有してもよい。
【0024】
いくつかの実施例では、表面不動態化層が、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造の表面上に設けられてもよい。表面不動態化層は、第1の領域を露出する開口部を内部に含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施例では、開口部は、第2の領域によってゲートから横に分離されてもよい。いくつかの実施例では、ゲートは、ソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトに向かって表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含んでもよく、サイドローブ部分は、第2の領域の上に延びてもよい。いくつかの実施例では、開口部は、半導体構造の表面に沿ってゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられてもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、表面不動態化層は、第1の不動態化層であってもよい。第2の不動態化層は、第1の不動態化層上に設けられ、且つ開口部内へ延びて第1の領域に接触してもよい。第1の領域と第2の不動態化層との間の界面は、第2の領域と第1の不動態化層との間の界面とは異なり得る改質された界面状態を有してもよい。
【0027】
いくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイスは、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含む半導体構造と、半導体構造上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の半導体構造の表面上のゲートと、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造の表面上の1つ又は複数の不動態化層を含む。半導体構造の伝導率は、その上の1つ又は複数の不動態化層との界面に沿った方向に不均一に変動する。
【0028】
いくつかの実施例では、半導体構造は、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の第1の領域と、ゲートに隣接する第2の領域とを含み、第1の領域は、第2の領域よりも高い伝導率を有する。いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域よりも低いシート抵抗を有してもよい。
【0029】
いくつかの実施例では、第1の領域は、第2の領域とは異なる表面特性を有してもよい。いくつかの実施例では、第1の領域は、改質された界面状態を有してもよく、第2の領域には、改質された界面状態がなくてもよく、又は、異なるやり方で改質された界面状態を有してもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の不動態化層は、ゲートに隣接する半導体構造の第2の領域上の第1の不動態化層を含んでもよい。第1の不動態化層は、第1の領域を露出する開口部を内部に含んでもよく、開口部は、第2の領域によってゲートから横に分離されてもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の不動態化層は、第1の不動態化層上にあり、且つ開口部内に延びて第1の領域に接触する第2の不動態化層をさらに含んでもよい。界面は、第1の領域と第2の不動態化層との間の第1の界面、及び第2の領域と第1の不動態化層との間の第2の界面を含んでもよい。第1の界面は、第2の界面とは異なる改質された界面状態を有してもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、フィールド板がゲートとドレイン・コンタクトとの間の第2の不動態化層上に設けられてもよく、開口部は、フィールド板の少なくとも一部から横に離隔されてもよい。
【0033】
いくつかの実施例によれば、トランジスタ・デバイスを製造する方法は、半導体構造上に表面不動態化層を形成し、半導体構造上にソース・コンタクト及びドレイン・コンタクト並びにゲートを形成し、ゲートはソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間にあり、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造の第1の領域を露出する表面不動態化層に開口部を形成し、開口部によって露出される半導体構造の第1の領域を、ゲートに隣接する半導体構造の第2の領域とは異なるやり方で処理することを含む。
【0034】
いくつかの実施例では、半導体構造は、間にヘテロ接合を画定するチャネル層及び障壁層を含んでもよい。第1の領域は、処理に応じて半導体構造の第2の領域よりも高い伝導率を有してもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、第1の領域は、処理に応じて第2の領域よりも低いシート抵抗を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、第1の領域は、処理に応じて第2の領域とは異なる表面特性を有してもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、処理は、開口部によって露出された第1の領域の表面処置を行って、その界面状態を改質することを含んでもよく、第2の領域は、表面処置によって実質的に影響を受けないことがある。
【0038】
いくつかの実施例では、表面処置は、イオン衝撃、プラズマ窒化、プラズマ酸化、水素プラズマ処置、及び/又はガス環境におけるアニールを含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、表面処置は、酸性化学溶液での湿式エッチング、塩基性化学溶液での湿式エッチング、及び/又は中性化学溶液での処置を含んでもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、表面不動態化層は、第1の不動態化層であってもよく、第1の不動態化層上にあり、且つ開口部内へ延びて第1の領域に接触する第2の不動態化層が形成されてもよい。第1の領域と第2の不動態化層との間の界面は、第2の領域と第1の不動態化層との間の界面とは異なり得る改質された界面状態を有してもよい。
【0041】
いくつかの実施例では、第2の不動態化層を形成することにより、第1の領域の改質された界面状態を保存してもよい。
【0042】
いくつかの実施例では、表面不動態化層は、第1の不動態化層であってもよく、第1の不動態化層上にあり、且つ開口部内に延びて第1の領域に接触する第2の不動態化層が形成されてもよい。第2の不動態化層を形成することにより、第1の領域の界面状態を改質してもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、表面不動態化層に開口部を形成することにより、第1の領域の界面状態を改質してもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、開口部は、第2の領域によってゲートから横に分離されてもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、ゲートは、ソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトに向かって表面不動態化層に沿って横に延びるサイドローブ部分を含んでもよく、サイドローブ部分は、第2の領域の上に延びてもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、開口部は、半導体構造の表面に沿ってゲートから横に離れて約10ナノメートル(nm)から約500nmの間隔をあけられてもよい。
【0047】
いくつかの実施例による他のデバイス、装置、及び/又は方法は、以下の図面及び詳細な説明を検討すると当業者には明らかになる。上記実施例の任意のすべての組合せに加えて、すべてのそのような追加の実施例が、この説明内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】本発明のいくつかの実施例による、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施例による、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図1C】本発明のいくつかの実施例による、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施例による、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図3A】本発明のいくつかの実施例によるフィールド板の様々な構成を有する、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図3B】本発明のいくつかの実施例によるフィールド板の様々な構成を有する、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図3C】本発明のいくつかの実施例によるフィールド板の様々な構成を有する、より高い伝導率のソース及び/又はドレイン・アクセス領域を含むトランジスタ・デバイスの概略断面図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ・デバイスにおけるゲートとソース領域又はドレイン領域との間のシート抵抗の不均一な変動を示すグラフである。
【
図4B】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ・デバイスにおけるゲートとソース領域又はドレイン領域との間のシート抵抗の不均一な変動を示すグラフである。
【
図5A】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的な中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図5B】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図5C】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図5D】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図5E】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図5F】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における例示的中間製造ステップを示す概略断面図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法を示すフローチャートである。
【
図7】半導体層構造の表面上の金属化を示す本発明の実施例によるIII族窒化物ベースのトランジスタ・ダイの概略平面図である。
【
図8A】パッケージされたトランジスタ増幅器を提供する本発明の実施例によるトランジスタ・デバイスを含むいくつかの例示的なパッケージのうちの1つを示す概略断面図である。
【
図8B】パッケージされたトランジスタ増幅器を提供する本発明の実施例によるトランジスタ・デバイスを含むいくつかの例示的なパッケージのうちの別の1つを示す概略断面図である。
【
図8C】パッケージされたトランジスタ増幅器を提供する本発明の実施例によるトランジスタ・デバイスを含むいくつかの例示的なパッケージのうちのさらに別の1つを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明のいくつかの実施例は、トランジスタ・デバイスにおけるデバイス性能の(RF及びDC性能を含むが、これらに限定されない)改良が、半導体構造と不動態化層との間の界面状態を変える又は改質することによって達成できるという認識から生じ、これにより、チャネル領域における表面電位を増加させ、又は別の方法で、伝導率を増加させることがある。例えば、半導体構造と不動態化層との間の界面に沿った界面状態の密度により、表面電子移動度を低減し、キャリア・トラップ(本明細書では電荷捕捉ともいう)を導入し、次いで、デバイスの所望の性能特性を低減できる。改良されたデバイス性能(例えば、より高い飽和電力、より低い電荷捕捉)を有する高電子移動度トランジスタ(HEMT)デバイスは、チャネル領域における半導体層の伝導率を増加するために不動態化層と下層の半導体層との間の界面状態(例えば、AlGaN/SiN界面状態)を改質する又は変えることによって達成できる。しかしながら、このように変えられた界面状態がゲートの近くに存在すると、結果として、許容できないほど高いゲート漏れ電流が生じることがある。
【0050】
本発明の実施例は、性能が改良されたHEMTデバイスなどのトランジスタ・デバイスに関する。HEMTデバイスは、ゲートと、本明細書ではソース及び/又はドレイン・アクセス領域ともいうソース領域及び/又はドレイン領域との間のチャネル領域の部分に局所的な電荷制御を行うように、活性エリア又は活性領域に高伝導率、低シート抵抗領域を含む。より詳細には、本発明のいくつかの実施例は、ゲートとドレイン(又はソース)との間の横方向に沿った伝導チャネルにおける伝導率の不均一な変動を提供するように、活性エリアにおける局所的な表面改質を含むデバイス及び製造方法を提供する。例えば、HEMTデバイスのソース及び/又はドレイン・アクセス領域における障壁層の表面に1つ又は複数の表面処置を施して、それらの領域における障壁層と不動態化層との間の界面状態を改質してもよい。したがって、デバイスの性能は、低漏れレベルを維持しながら向上させることができ、場合によっては、従来の製造工程との統合を容易にするための追加の工程ステップなしで向上できる。
【0051】
図1A、
図1B、及び
図1Cは、本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ・デバイスの概略断面図であり、例として、HEMTなどのトランジスタ・デバイスの単位セル・トランジスタ構造100a、100b、100c(本明細書ではトランジスタ構造又はトランジスタ・セルともいう)を参照して例示する。特に、
図1A乃至
図1Cは、本明細書に説明されるような高伝導率領域又は表面を含むHEMTデバイスの実例を示す。
【0052】
図1A乃至
図1Cに示されるように、トランジスタ構造100a、100b、100cは、例えば、炭化珪素基板などの基板122上に形成される。数百又は数千の単位セル・トランジスタ構造100a、100b、100cは半導体基板122上に形成されてもよく、HEMTデバイスを提供するために(例えば、並列に)電気的に接続されてもよい。基板122は、例えば、炭化珪素の4Hポリタイプであってもよい半絶縁性炭化珪素基板であってもよい。他の炭化珪素候補ポリタイプには、3C、6H、及び15Rポリタイプを含んでもよい。炭化珪素は基板材料として使用されてもよいが、本開示の実施例は、任意の適切な基板、例えば、サファイア(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化ガリウム(GaN)、珪素(Si)、GaAs、LGO、酸化亜鉛(ZnO)、LAO、リン化インジウム(InP)などを利用してもよい。基板122は、炭化珪素ウェーハであってもよく、HEMTデバイスは、少なくとも部分的に、ウェーハ・レベルの処理を介して形成されてもよく、次いで、ウェーハは、ダイシングされるか、又は別の方法で単一化されて、複数の単位セル・トランジスタ構造100a、100b、100cを含むダイを提供してもよい。
【0053】
トランジスタ構造100a、100b、100cは、基板122上のチャネル層124と、基板122とは反対側のチャネル層124上の障壁層126とを含む。ソース電極及びドレイン電極(本明細書ではソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトとも呼ばれる)115及び105は、障壁層126の上面に形成され、互いから横に(例えば、X方向に沿って)離隔される。ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105は、障壁層126に対してオーム抵抗コンタクトを形成してもよい。
【0054】
1つ又は複数の絶縁層(例えば、1つ又は複数の不動態化層)150、155が障壁層上に形成され、ゲート・コンタクト(又は単に「ゲート」)110が、ソース電極115とドレイン電極105との間の障壁層126の表面上に形成される。構成に応じて、絶縁層150、155のうちの1つ又は複数が、ゲート110の形成前及び/又は形成後に形成されてもよい。
【0055】
チャネル層124は、障壁層126のバンドギャップ未満であるバンドギャップを有してもよく、チャネル層124は、障壁層126よりも大きい電子親和力を有してもよい。チャネル層124及び障壁層126は、共に半導体構造190を画定してもよい。図示の実例では、半導体構造190は、エピタキシャル成長によって形成された1つ又は複数の層を含む半導体層構造であってもよいので、1つ又は複数のエピタキシャル層124、126を含む。III族窒化物のエピタキシャル成長の技術は、例えば、開示が全体に参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5210051号、米国特許第5393993号、及び米国特許第5523589号に記載されている。
【0056】
例示のHEMTデバイスでは、半導体層構造190は、III族窒化物ベースであってもよいが、他の材料系も使用できる。III族窒化物は、窒素と、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及び/又はインジウム(In)などの周期表のIII族における元素との間に形成され、二元(例えば、GaN)、三元(例えば、AlGaN、AlInN)、四元(例えば、AlInGaN)化合物を形成する半導体化合物を指すことがある。したがって、0≦x≦1であるAlxGa1-xNなどの式を使用して、これらの化合物を記述してもよい。チャネル層124及び障壁層126のうちの一方又は両方は、段階的又は連続的なグレードであってもよい材料組成を含む、ドープされた又はドープされない(すなわち、「意図せずにドープされた」)III族の窒化物材料の層を含む副層を含んでもよい。例えば、チャネル層124は、超格子又はGaN、AlGaNなどの組合せなどの多層構造であってもよい。チャネル層124は、いくつかの実施例では圧縮ひずみを受けてもよい。いくつかの実施例では、障壁層126は、AlN、AlInN、AlGaN、AlInGaN、AlScN、これらの合金、又はそれらの層の任意の組合せであってもよい。障壁層126は、単一層を含んでもよく、又は多層構造であってもよい。本開示の特定の実施例では、障壁層126は、障壁層126がオーム抵抗コンタクト金属の下に埋め込まれるときに、分極効果によって、チャネル層124と障壁層126との間の界面に有意なキャリア濃度を誘導するのに十分な厚さであってもよく、十分に高いアルミニウム(Al)組成及びドーピングを有してもよい。
【0057】
半導体構造190は、例示の目的で、1つ又は複数のエピタキシャル層124、126を参照して示されるが、半導体構造190は、隔離層(1つ又は複数)71、基板122と1つ若しくは複数のエピタキシャル層124上又は基板122と1つ若しくは複数のエピタキシャル層124との間の、緩衝層(1つ又は複数)及び/又は核形成層(1つ又は複数)、及び/或いはエピタキシャル層126の上面126A上のキャップ層などの追加の層/構造/要素を含んでもよい。例えば、AlN緩衝層が基板122の上面122A上に形成して、炭化珪素基板122と半導体構造190の層の残りとの間に、適した結晶構造遷移を設けてもよい。加えて、ひずみ平衡化遷移層(1つ又は複数)は、例えば、開示が本明細書に完全に記載されているように参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7030428号に記載されているように、また、且つ/又は代替的に設けられてもよい。任意選択の緩衝/核形成/遷移層、並びにチャネル層124及び/又は障壁層126は、金属有機化学気相堆積法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)、分子線エピタキシー(MBE:molecular beam epitaxy)、及び/又は水素化物気相エピタキシー(HVPE:hydride vapor phase epitaxy)によって堆積されてもよい。
【0058】
ゲート110の材料は、半導体構造190の組成に基づいて選ばれてもよく、いくつかの実施例では、ショットキー・コンタクトであってもよい。ゲート110として使用されてもよいIII族窒化物ベースの半導体材料に対するショットキー・コンタクトを作ることができるいくつかの材料は、例えば、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、珪化ニッケル(NiSix)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、タングステン(W)及び/又は窒化タングステン珪素(WSiN)を含んでもよい。
【0059】
ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105は、III族窒化物ベースの半導体材料に対してオーム抵抗コンタクトを形成できる金属を含んでもよい。適切な金属には、高融点金属、例えば、Ti、W、チタンタングステン(TiW)、珪素(Si)、窒化チタンタングステン(TiWN)、珪化タングステン(WSi)、レニウム(Re)、ニオビウム(Nb)、Ni、金(Au)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、NiSix、珪化チタン(TiSi)、窒化チタン(TiN)、WSiN、Ptなどを含んでもよい。したがって、ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105は、層126と直接接触するオーム抵抗コンタクト部分を含んでもよい。いくつかの実施例では、ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105は、例えば、開示が全体に参照により本明細書に組み込まれ、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第8563372号及び米国特許第9214352号に記載されているように設けられてもよいオーム抵抗コンタクトを形成するために、複数の層から形成されてもよい。
【0060】
動作時、2次元電子ガス(2DEG)層40は、HEMTデバイスがその伝導性又は「オン」状態になるように付勢されるときに、チャネル層124と障壁層126との間の接合部に形成されてもよい。2DEG層40は、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105の下にそれぞれあるソース領域とドレイン領域との間に電流が流れることを可能にする高伝導性チャネルとして作用する。特に、半導体構造190のチャネル層124及び障壁層126は、異なるバンドギャップを有する材料で形成されてもよいので、チャネル層124と障壁層126との間の界面にヘテロ接合が画定される。いくつかの実施例では、基板122は炭化珪素を含み、チャネル層124はGaNを含み、障壁層126はAlGaNを含む。2DEG伝導チャネル40は、チャネル層124と障壁層126との間のヘテロ界面に誘導できる。チャネル層124、2DEG伝導チャネル40及び障壁層126は、HEMTデバイスの活性領域を全体的に形成できる。本明細書では、主としてHEMTデバイスの製造及び構造を参照して説明するが、本明細書に記載の実施例の要素及び概念は、多くの異なる型のトランジスタ構造に適用できることに留意されたい。
【0061】
上述したように、ゲート110に隣接する領域に影響を及ぼすことなく、ソース領域及び/又はドレイン領域に隣接する半導体構造190の領域を選択的に改質して、それらの領域におけるチャネルの局所的な電荷制御を行うことによって、本発明のいくつかの実施例により、改良された性能を達成できる。例えば、表面処置(1つ又は複数)と堆積工程(1つ又は複数)との組合せを使用して、ソース領域及び/又はドレイン領域に隣接して界面状態を改質するのとは異なるやり方で、ゲートの近くの界面状態を最適化又は改質してもよい。
図1A乃至
図1Cに示されるように、半導体構造190の表面126A上に初期又は第1の表面不動態化層150が形成される。表面不動態化層150は、ゲート110に隣接する領域126Gにおける漏れ電流を低減するように、障壁層126の低い表面電位をもたらす不動態化工程によって形成されてもよい。表面不動態化層150は、表面126Aの表面電位を実質的に増加しないことがある相対的に低い表面エネルギー工程を使って形成された窒化珪素又は他の電気絶縁材料層であってもよい。このような堆積工程は、PVD、PECVD、LPCVD、SACVD、熱分解堆積、PEALD、ALD、及び/又はそれらの任意の組合せを含んでもよく、これらは、単一層又は多層積層体として表面不動態化層150を形成してもよい。表面不動態化層150の堆積により、表面126Aの表面状態を改質してもよい。表面不動態化層150の厚さは、ゲート-ソース間の静電容量及びゲート-ドレイン間の静電容量に影響を及ぼすことができ、これはデバイスの切替速度に強い影響を与えることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、表面126Aは、表面不動態化層150の堆積の前に、1つ又は複数の表面処置工程によって処置されてもよい。このような事前の不動態化表面処置工程は、現場工程及び現場外工程を含んでもよい。実例の現場での表面処置工程は、プラズマ窒化、イオン衝撃、プラズマ酸化、水素(H2)プラズマ処置(表面126Aの近くに窒素空孔/欠乏を生じ得る)、化学的活性のガス環境でのアニール(形成ガス(例えば、変化する濃度のH2とN2との混合物)、一酸化窒素、二酸化窒素、及びアンモニアを含むが、これに限定されない)、及び化学的不活性のガス環境でのアニールを含んでもよいが、これらに限定されない。実例の現場外の表面処置工程には、酸性化学浴での湿式エッチング、塩基性化学浴での湿式エッチング、及び中性化学溶液(例えば、緩衝酸化物エッチング液(BOE:buffered oxide etchant))での処置が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
表面不動態化層150は、それを通して延び、且つ1つ又は複数の領域において半導体構造190の不動態化表面126Aを露出する、1つ又は複数の開口部151、151’(例えば、溝)を含む。領域が層又は開口部によって「露出」されるとき、領域は、その後、さらなる層又は要素がその領域上に形成されるか、又はその領域を覆うかどうかにかかわらず、層又は開口部によって露出されたままであることが理解される。すなわち、「露出する」は、領域上の後続の工程とは無関係に、層若しくは開口部と領域との間の関係を規定し得る。例えば、表面不動態化層150は、開口部151、151’を画定するために選択的にエッチングされてもよい。ゲート110は、本明細書ではゲート開口部ともいう開口部151によって露出された半導体構造190の表面126Aに形成されてもよい。開口部151におけるゲート110の長さLGは、ゲート110と障壁層126との間の界面を画定する。長さLGは、相互コンダクタンス及びゲート寄生に影響を及ぼし、デバイスの切替及び効率に強い影響を与えることがある。
【0064】
いくつかの実施例では、ゲート110は、表面不動態化層150の部分上へ横に延びる1つ又は複数の延長部分、例えば、ガンマ(Γ)形状(「Γゲート」ともいう)又はT形状(「Tゲート」ともいう)を画定する、対向するサイドローブ部分110-1、110-2を含んでもよい。ゲート110及びサイドローブ部分(1つ又は複数)110-1、110-2)は、複数の異なる長さ(ΓG1及びΓG2)を画定でき、デバイスのゲート-ソース間の静電容量又はゲート-ドレイン間の静電容量、したがって、デバイスの切替速度及び/又は利得に影響を及ぼすことがある。サイドローブ部分(1つ又は複数)110-1、110-2は、いくつかの実施例では、ゲート110の両側にある表面不動態化層150上に非対称に又は実質的に対称的に延びてもよい。例えば、ドレイン側では、ゲート110のサイドローブ部分110-2は、距離ΓG2だけ、例えば、約0.05μmから0.5μmの間、ドレイン・コンタクト105に向かって延びてもよい。いくつかの実施例では、ΓG2は、おおよそ0.2μmであってもよい。ソース側では、ゲート110のサイドローブ部分110-1は、距離ΓG1だけ、例えば、約0.05μmから0.5μmの間、ソース・コンタクト115に向かって延びてもよい。いくつかの実施例では、ΓG1は、おおよそ0.1μmであってもよい。
【0065】
表面不動態化層150における開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート開口部151を形成するために使用されるのと同じエッチング工程中に、又はゲート開口部151を形成する前又は後の異なるエッチング工程で形成されてもよい。開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート開口部151と同じ又は異なるプロファイルを有してもよい。開口部(1つ又は複数)151’は、ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105に隣接するゲート開口部151から横に離隔される。いくつかの実施例では、開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート110とソース・コンタクト115又はドレイン・コンタクト105との間にフィールド板が形成されるエリアから横に離隔される。開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート開口部151から(例えば、表面126Aと反対側の開口部の頂から測定するように)数十ナノメートル(nm)程度の距離だけ、例えば、ゲート-ドレインの若しくはゲート-ソースの間隔によって制限されるように、約10nm(0.01μm)以上、約100nm(0.1μm)以上、又は約150nm(0.15μm)以上だけ、横に離隔又は分離されてもよい。いくつかの実施例では、開口部(1つ又は複数)151’とゲート開口部151との間の最小横方向離隔又は分離は、ゲート・サイドローブ部分(1つ又は複数)110-1、110-2の長さΓG1、ΓG2に対応してもよく、これは、開口部(1つ又は複数)151’を形成するために使用されるエッチング動作から表面不動態化層150の下層部分を保護する張り出し部分を画定してもよい。
【0066】
半導体構造190の領域(1つ又は複数)126Sは、例えば、本明細書に説明されるような表面処置工程及び/又は堆積動作を使って、処理のために、開口部(1つ又は複数)151’によって露出される。特に、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された領域(1つ又は複数)126Sは、ゲート・コンタクト110とドレイン・コンタクト105(又はソース・コンタクト115)との間の横方向(例えば、X方向)に沿った伝導率、シート抵抗、電荷トラップ濃度、及び/又は表面電位の不均一な変動を得るように、本明細書に説明するように改質されてもよい。例えば、ゲート110に隣接する領域126Gの表面特性と異なるように、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された半導体構造190の領域126Sの表面特性を変えるために、1つ又は複数の表面処置工程が行われてもよい。このような表面処置工程は、現場工程(例えば、不動態化層155などの後続の層の堆積前)、及び現場外工程(例えば、半導体構造190を不動態化ツール内へ装填する前)を含んでもよい。実例の現場表面処置工程には、プラズマ窒化、イオン衝撃、プラズマ酸化、(露出された領域126S/界面に沿って窒素空孔を生じ得る)水素(H2)プラズマ処置、(形成ガス、一酸化窒素、二酸化窒素、及びアンモニアを含むがこれらに限定されない)化学的活性のガス環境でのアニール、及び化学的不活性のガス環境におけるアニールを含むが、これらに限定されない。実例の現場外表面処置工程には、酸性化学浴での湿式エッチング、塩基性化学浴での湿式エッチング、及び中性化学溶液での処置を含むが、これらに限定されない。
【0067】
表面処置工程(1つ又は複数)は、開口部(1つ又は複数)151’によって露出される領域(1つ又は複数)126Sにおける界面状態を改質するように構成される。例えば、表面処置工程(1つ又は複数)により、シート抵抗を低減する、又は別の方法で(ゲート110に隣接する領域126Gと比較して)ゲート110とソース・コンタクト115又はドレイン・コンタクト105との間の改質された表面の下で、伝導チャネル40のより高い伝導率領域126Sを形成するように、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された領域(1つ又は複数)126Sにおける界面状態を局所的に変えてもよい。いくつかの実施例では、開口部(1つ又は複数)151’を形成するために使用されるエッチング工程により、表面不動態化層150の堆積前に(例えば、上述した事前の不動態化表面処置工程によって)改質された特定の界面状態を除去してもよく、又は、別の方法で、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された領域126Sの界面状態を改質してもよく、開口部(1つ又は複数)151’を形成した後に行われる表面処置工程(1つ又は複数)によって領域126Sの界面状態をさらに改質してもよい。
【0068】
特に、
図1Aは、ゲート110とドレイン電極105との間の表面126Aにおける高伝導率領域126Sの形成を例示し、
図1Bは、ゲート110とソース電極115との間の表面126Aにおける高伝導率領域126Sの形成を例示し、
図1Cは、ゲート110とドレイン電極105との間、及びゲート110とソース電極115との間の表面126Aにおける高伝導率領域126Sの形成を例示する。いくつかの実施例では、領域(1つ又は複数)126Sは、本明細書では、表面処置領域又は改質された界面領域と呼ばれてもよい。
【0069】
開口部(1つ又は複数)151’がゲート開口部151から横に離隔されると、表面処置領域(1つ又は複数)126Sは、ゲート110から横に分離又はオフセットされる。すなわち、表面処置領域126Sは、領域126Gによってゲート110から分離され、この領域には、表面処置工程(1つ又は複数)による界面改質がないか、又は別の方法で、表面処置領域126Sとは異なる表面特性を有してもよい。例えば、上述したように、領域126Gは、異なる表面特性を画定する事前の不動態化表面処置工程(1つ又は複数)及び/又はエッチング工程(1つ又は複数)のために、(領域126Sと比較して)異なるやり方で改質された界面状態を有してもよい。改質された表面/界面領域126Sは、デバイスの性能を改良するように、トランジスタ・デバイスの活性領域の伝導率及び/又はシート抵抗を改良してもよい。しかしながら、ソース・アクセス領域及び/又はドレイン・アクセス領域に存在するときに、デバイスの性能を改良してもよいのと同じ特性により、ゲート・コンタクト110に近づきすぎる場合、漏れ電流を増加することがあるので、デバイスの降伏性能及び信頼性能を低減することがある。改質された表面/界面領域126Sをゲート110からオフセット距離だけ離すことによって、本発明の実施例は、ゲート110に隣接する領域126Gに実質的に影響を及ぼすことなく、ソース・アクセス領域及び/又はドレイン・アクセス領域126Sにおける改良された伝導率及び性能を提供し、したがって、漏れ電流の増加を避けることができる。
【0070】
第2の絶縁若しくは層間不動態化層(例えば、フィールド板間不動態化(IFPP:Inter Field Plate Passivation))155は、領域126Sと層間不動態化層155との間の界面を画定するように、表面不動態化層150上、及び開口部(1つ又は複数)151’によって露出された半導体構造190の領域126S上に形成される。ゲート110に隣接する第1の絶縁層150と障壁層126との間の界面の特性は、ドレイン・アクセス領域及び/又はソース・アクセス領域における改質された表面/界面領域126Sと異なってもよい。例えば、いくつかの実施例では、表面不動態化層150と障壁層126との間の界面(領域126Gに対応)での界面状態、伝導率、シート抵抗、電荷トラップ濃度、及び/又は表面電位は、層間不動態化層155と障壁層126との間の界面(領域126Sに対応)でのそれらと異なってもよい。
【0071】
界面状態、伝導率、シート抵抗、電荷トラップ濃度、及び/又は表面電位の不均一な変動は、したがって、ゲート・コンタクト110とドレイン・コンタクト105(又はソース・コンタクト115)との間の横方向において、表面126A、126Sと不動態化層150、155との間の界面(1つ又は複数)に沿って生じることがある。いくつかの実施例では、層間不動態化層155は、表面処置によって達成された領域126Sの表面改質を保存するように、表面処置工程(1つ又は複数)後に近接して又は直後に形成されてもよい。層間不動態化層155は、PVD、PECVD、LPCVD、SACVD、熱分解堆積、PEALD、ALD、及び/又はそれらの任意の組合せなどの相対的に高い表面エネルギー工程を使って形成されてもよく、層間不動態化層155を単一層又は多層積層体として形成されてもよい。
【0072】
いくつかの実施例では、層間不動態化層155と障壁層126との間の界面(領域126Sに対応)での改質された界面状態は、任意の表面処置工程(1つ又は複数)とは無関係に、又はそれに加えて、層間不動態化層155自体の堆積によって画定されてもよい。すなわち、本明細書に説明されるような界面状態、伝導率、シート抵抗、電荷トラップ濃度、及び/又は表面電位の不均一な変動は、例えば、事前の不動態化表面処置工程(1つ又は複数)、表面不動態化層150の堆積及び/又はエッチング、その後の表面処置工程(1つ又は複数)、及び/又は層間不動態化層155の堆積を含む表面処置(1つ又は複数)及び堆積工程(1つ又は複数)の任意の組合せによって達成されてもよい。したがって、より高い伝導率の領域(1つ又は複数)126Sは、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された半導体構造190の表面126Aの部分と層間不動態化層155との間のそれぞれの界面に沿って及び/又は界面の下に延びる。
【0073】
表面不動態化層150及び層間不動態化層155は、それぞれ、単一層又は複数の層を含んでもよい。例えば、表面不動態化層150及び層間不動態化層155は、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、又は酸化物-窒化物-酸化物層などの多層絶縁体構造のうちの1つ又は複数の層を含んでもよい。特定の実施例では、表面不動態化層150及び層間不動態化層155は、それぞれ窒化珪素を含んでもよい。追加の不動態化層(例えば、
図5Fに示される最終不動態化層560)及び/又は金属コンタクト(例えば、
図5Fに示される金属コンタクト565)が、電気的接続のために、例えば、1つ又は複数の外部デバイスへの「オフチップ」入力若しくは、及び/若しくは出力接続のために、並びに/又は接地接続のために形成されてもよい。金属コンタクトは、1つ又は複数のトランジスタ構造100a、100b、100cの対応する端子(例えば、ゲート110、ドレイン105、及びソース115端子)に直接的又は間接的に接続されてもよく、したがって、
図7を参照して以下で論じるように、HEMTデバイスの入力(例えば、ゲート)、出力(例えば、ドレイン)、及び/又は接地(例えば、ソース)コンタクト・パッド又は端子を画定してもよい。
【0074】
障壁層126の表面126A上にゲート110並びにソース電極115及びドレイン電極105を有する平面HEMT構成を参照して本明細書では主として例示されるが、本発明の実施例は、凹状ゲートHEMT(ソース電極115及びドレイン電極105が、表面126A上のゲート110に対して持ち上げられた構成)及び凹状ソース/ドレインHEMT(ソース電極115及びドレイン電極105が、表面126Aを越えてチャネル層124に向かって延びる構成)などの他のHEMT構成において使用されてもよいことが理解される。
【0075】
図2は、本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造200の概略断面図である。トランジスタ構造200は、
図1A乃至
図1Cの実施例と同様の基板122、半導体構造190、ゲート110、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105を含む。トランジスタ構造200は、トランジスタ構造100aのものと比較して、より広い開口部251及びより大きい表面処置領域126Sを有する表面不動態化層250をさらに含む。例として、ゲート110とドレイン・コンタクト105との間の開口部251を参照して例示するが、表面不動態化層250における同様の又は異なる寸法の開口部が、ゲート110とソース・コンタクト115との間に、追加的に(
図1Cにおけるように)又は代替的に(
図1Bにおけるように)同様に設けられてもよいことが理解される。
【0076】
図2に示されるように、表面不動態化層250における開口部251は、ゲート110とドレイン・コンタクト105(又はソース・コンタクト115)との間の横(例えば、X)方向に沿った幅寸法Wを有してもよい。開口部(1つ又は複数)251は、
図1Aにゲート-ドレイン間隔L
GD又はゲート-ソース間隔L
GSとして示されるように、ゲート110とドレイン又はソース・コンタクト115又は105との間の表面126Aの大部分(ただし全体未満)まで露出してもよい。ゲート開口部151の底でのゲート110とドレイン・コンタクト105との間の横方向距離L
GDは、1.75μmから4μmの間、例えば、約1.98μmであってもよい。ゲート開口部151の底でのゲート・コンタクト110とソース・コンタクト115との間の横方向距離L
GSは、0.5μmから1μmの間、例えば、約0.6μmであってもよい。
【0077】
開口部(1つ又は複数)251は、いくつかの実施例では(例えば、開口部(1つ又は複数)の底では表面126Aに沿って測定されるように)ゲート延長部(1つ又は複数)110-1、110-2の長さΓG1、ΓG2に対応する距離だけ、ゲート110から横に分離又は離隔されてもよい。いくつかの実施例では、開口部(1つ又は複数)251は、ドレイン・コンタクト105(及び/又はソース・コンタクト105)に隣接して、又はそのコンタクトまで横に延びてもよい。例えば、ドレイン側に約1.98μmのゲート-ドレイン間隔LGD及び約0.05μmのゲート・サイドローブ長ΓG2を有するデバイスでは、開口部251の幅Wは、最大で約1.975μm(LGDマイナスΓG2)以下であってもよい。同様に、ソース側で約0.6μmのゲート-ソース間隔LGS及び約0.05μmのゲート・サイドローブ長ΓG1を有するデバイスでは、開口部251の幅Wは、最大約0.55μm(LGSマイナスΓG1)以下であってもよい。より一般的には、開口251の幅Wは、ゲート-ドレイン間隔LGD(又はゲート-ソース間隔LGS)と、ゲート開口部151によって露出された表面から開口251によって露出された領域126Sまでの所望の横方向間隔との差に対応してもよい。
【0078】
開口部(1つ又は複数)251のより大きい寸法のため、不動態化表面126Aの比較的大きい領域(1つ又は複数)126Sは、
図1A乃至
図1Cを参照して上述した1つ又は複数の表面処置工程に露出されてもよく、それにより、表面処置領域(1つ又は複数)126Sは、ゲート110に隣接する半導体構造190の領域126Gとは異なる表面特性を有する。特に、領域(1つ又は複数)126Sは、ゲート110に隣接する領域126Gと比較して、改質された界面状態を含んでもよい。領域(1つ又は複数)126Sは、ゲート-ドレイン間隔L
GD(及び/又はゲート-ソース間隔L
GS)の大部分の上に形成されてもよい。上述したように、領域(1つ又は複数)126Sは、漏れ電流の増加を避けるように、領域126Gによってゲート110から(例えば、Γ
G2又はΓ
G1と同程度な低さだけ)横に分離又はオフセットされてもよい。
【0079】
図2は、例として、ゲート110とドレイン・コンタクト105との間、それらの間の表面126Aにおける、そのような高伝導率領域126Sを例示するが、ゲート110とソース電極115との間に同様の高伝導率領域が(追加的又は代替的に)設けられてもよいことが理解される。すなわち、
図2のトランジスタ構造200のドレイン側に示されているが、本発明の実施例は、トランジスタ構造200のソース側に、より広い開口部251及び表面処置領域126Sを追加的又は代替的に含んでもよい。
【0080】
図1A乃至
図1Cにおけるように、第2の若しくは層間不動態化層(例えば、IFPP)155が、表面不動態化層250上及び開口部(1つ又は複数)251内に形成され、それにより、表面処置領域(1つ又は複数)126Sは、開口部(1つ又は複数)251により露出された表面126Aの部分(1つ又は複数)と層間不動態化層155との間の1つ又は複数の界面に沿って延びる。
【0081】
図3A、
図3B、及び
図3Cは、本発明のいくつかの実施例によるフィールド板328a、328b、328c(総称して328)の様々な構成を含むトランジスタ構造300a、300b、300cの概略断面図である。フィールド板328a、328b、328cは、例えば、マイクロ波周波数でHEMTの性能を高めるために使用されてもよい。例えば、フィールド板328a、328b、328cは、トランジスタ構造300a、300b、300cにおけるピーク電界を低減するように構成されてもよく、これは、降伏電圧の上昇及び電荷捕捉の低減を結果として得ることができる。電界の低減は、漏れ電流の低減及び信頼性の向上など、他の利点ももたらすことができる。フィールド板及びフィールド板を形成する技術は、例として、米国特許第8120064号で議論され、その開示は全体に参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
図3A乃至
図3Cに示されるように、フィールド板328は、層間不動態化層155によってゲート110から離隔され、層間不動態化層155及び表面不動態化層150によって障壁層126から離隔される。フィールド板328は、構造300a、300b、300cのドレイン側でドレイン・コンタクト105に向かって横に延び、ゲート110に(トランジスタ構造300a、300b、300cの活性領域の外側の接続によって)電気的に接続されてもよい。この構成により、トランジスタ構造のゲート-ドレイン側の電界が低減し、それによって降伏電圧の増加、高磁場捕捉効果の低減を結果として得ることができる。ゲート110を越えるフィールド板328の延長距離は、デバイスのゲート-ソース間の静電容量及び降伏電圧に影響を及ぼすことがあり、デバイスの電圧定格及び切替速度に大きな影響を与えることがある。
【0083】
いくつかの実施例では、フィールド板328は、ソース・コンタクト115に電気的に接続されてもよい。フィールド板328をソース・コンタクト115に接続することは、ゲート-ドレイン間の静電容量(Cgd)に影響を及ぼすことがあり、結果として、デバイスの利得を高めることができる。ゲート-ドレイン間の静電容量Cgdを低減することに加えて、フィールド板328の存在により、デバイスの直線性を改良し、且つ/又は静電容量のドレイン・バイアス依存性を低減できる。
【0084】
フィールド板328は、本発明の実施例による様々な構成で層間不動態化層155上に実装されてもよい。
図3Aでは、フィールド板328aは、ゲート110の一部の上に層間不動態化層155に沿って等角的に延びるので、垂直(例えば、Z)方向においてゲート110と部分的に重なる。
図3B及び
図3Cでは、フィールド板328b、328cは、ゲート110の上に延びず、層間不動態化層155によってゲート110から横に離隔されるので、垂直方向においてゲート110と重ならない。
【0085】
図3A及び
図3Bにおいて、フィールド板328a、328bは、ゲート110に隣接する第1の段部分及びドレイン・コンタクト105に隣接する第2の段部分の2つ以上の部分を含む段付きプロファイルを有する。段付きフィールド板328a、328bは、連続層によって、又は不連続層の積層体によって画定されてもよい。フィールド板328a、328bの各段部分は、表面126A(したがって、下層伝導チャネル40)から異なる距離又は間隔で位置づけられる。伝導チャネル40からの距離又は間隔がより近い、及びより遠い第1及び第2の段部分を含むフィールド板328a、328bは、C
gd及び捕捉効果の低減、並びにドレイン・コンタクト105に近接するピーク電界の低減を可能にできる。
【0086】
図3Aでは、フィールド板328aは、表面処置領域126Sを露出する表面不動態化層150における開口部151’の完全に外側にあるか、又は別の方法でその開口部と重ならない。すなわち、表面不動態化層150及び領域126Sにおける開口部151’は、フィールド板328aとドレイン・コンタクト105との間にあってもよく、フィールド板328aから横に離隔されてもよい(したがって、重ならない)。
図3Bでは、フィールド板328bは、表面不動態化層150における開口部151’内へ部分的に延びるか、又は重なるように、層間不動態化層155に沿って延びる。このように、フィールド板328bは、表面不動態化層150及び表面処置領域126Sにおける開口部151’と少なくとも部分的に重なる。
【0087】
図3Cでは、フィールド板328cは、表面不動態化層150において開口部151’における層155の部分に沿って等角的に延びるように、層間不動態化層155に沿って延びる。このように、フィールド板328cは、表面不動態化層150及び表面処置領域126Sにおける開口部151’と完全に重なる。
図3Cの実例に示されるように、フィールド板328cは、開口部151’の上方の中央凹状部分と、凹状部分からソース・コンタクト115に向かって且つドレイン・コンタクト105に向かって横に延びる1つ又は複数の翼部分とを含むT形状構成を有する。フィールド板328cの中央部分及び/又は翼と障壁層126との間の距離、並びにフィールド板328の幅及び/又はその横方向延長部の幅を調整することにより、デバイスのゲート-ソース間の、及びゲート-ドレイン間の静電容量を変調するために、いくつかの自由度を提供する。
【0088】
図4A及び
図4Bは、本発明のいくつかの実施例による改質された界面状態から生じるゲートとドレイン(又はソース)との間の横方向におけるシート抵抗R
shの不均一な変動を示すグラフである。
図4A及び
図4Bに示されるように、シート抵抗R
shは、ゲート110に隣接する半導体構造190の領域126Gでは相対的に均一であるが、表面処置領域126Sでは局所的に低減される(
図4Aでは約10%、
図4Bでは約20%だけ低下するように示されているが、本発明の実施例はこれらに限定されない)。上述したように、表面処置工程は、表面不動態化層150における開口部151’、251に対応する領域126Sにおける界面状態などの表面特性を局所的に改質するために使用されてもよい。理論に縛られることなく、領域126Sにおける改質された界面状態は、ゲート110に隣接する領域126Gよりも表面電位の増加をもたらすことができる。より一般的には、表面処置領域126Sにおける局所的界面状態改質の結果として、シート抵抗R
sh及び/又は電荷トラップ濃度が低減される(したがって伝導率が増加される)が、一方で、ゲート110に対して、より直接的に又はすぐに隣接する領域126Gは、表面処置によって実質的に影響を受けないか、又は別の方法で異なる特性を有し、ゲート110に隣接して漏れを低下させる。
【0089】
図4A及び
図4Bの実例に示されるように、領域126Sの改質された界面状態は、半導体構造190の表面126Aと不動態化層(1つ又は複数)150、155との間の界面(1つ又は複数)に沿ったシート抵抗、電荷トラップ濃度、伝導率、及び/又は表面電位の不均一な変動を生じ、これは、いくつかの実施例では急激又は段階的であり得る。主にゲート-ドレイン間隔L
GDにわたって不均一な変動を参照して議論されるが、ゲート-ソース間隔L
GSにわたって類似又は比例した変動が追加的又は代替的に生じ得ることが理解される。
図4Aは、例えば、
図1A乃至
図1Cに示される表面不動態化層150に開口部151’を有する実施例において、より局所的な変動を例示する。
図4Bは、例えば、
図2に示されるように、ゲート110とドレイン・コンタクト105(及び/又はソース・コンタクト105)との間の表面不動態化層150に、より広い開口部(1つ又は複数)251を有する実施例において、低減されたシート抵抗R
sh/高伝導率の領域126Sが、ゲート-ドレイン間隔L
GD(及び/又はゲート-ソース間隔L
GS)の大部分まで延びてもよいことを例示する。しかしながら、より一般的には、シート抵抗、電荷トラップ濃度、伝導率、及び/又は表面電位の不均一な変動は、ゲートとの横方向離隔又はオフセット(例えば、Γ
G2又はΓ
G1と同程度な低さだけの)が維持されている限り、ゲートとソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトとの間の任意の箇所に生じてもよい。いくつかの実施例では、シート抵抗、電荷トラップ濃度、伝導率、及び/又は表面電位の不均一な変動は、例えば、開示が参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願(代理人整理番号5308.3153)に記載されているように、表面不動態化層150を形成する前に1つ又は複数の表面処置工程を行い、自己整合ゲート製造工程を使って表面特性を変えることによって達成されてもよい。
【0090】
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、
図5E、及び
図5Fは、本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法における実例の中間製造ステップを示す概略断面図である。
図6は、本発明のいくつかの実施例によるトランジスタ構造を製造する方法を示すフローチャートである。
【0091】
ここで
図5A及び
図6を参照すると、表面不動態化層150が、基板122上の半導体構造190上に形成される(ブロック602)。上述したように、半導体構造190は、基板122上に複数の単位セル構造(例えば、100、200、300)のうちの1つを画定してもよい。基板122は、炭化珪素、サファイア(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化ガリウム(GaN)、珪素(Si)、GaAs、LGO、酸化亜鉛(ZnO)、LAO、リン化インジウム(InP)、又はIII族窒化物材料の成長を支えることができる他の材料を含んでもよい。一例として、炭化珪素は、サファイアよりもIII族に結晶格子が一致し得るので、その上に高品質のIII族窒化物膜を形成できる。炭化珪素は非常に高い熱伝導率も有し、それにより炭化珪素上のIII族窒化物デバイスの総出力電力は、(サファイアに形成されたいくつかのデバイスにも同様であるように)基板の熱散逸によって制限されないことがある。しかしながら、本発明の実施例は、炭化珪素に限定されず、基板122に任意の適切な材料を利用してもよい。
【0092】
図示の実施例では、半導体構造190は、チャネル層124及び障壁層126を含む。チャネル層124及び/又は障壁層は、上述したように、緩衝層、遷移層、及び/又は核形成層を使って基板122に堆積されてもよい。チャネル層124及び障壁層126は、HEMTデバイスのヘテロ接合を画定するように、異なるバンドギャップを有する材料(例えば、それぞれ、GaN及びAlGaN)で形成されてもよいが、本発明の実施例はこれに限定されない。いくつかの実施例では、チャネル層124及び障壁層126は、異なる格子定数を有してもよく、例えば、障壁層326が2つの間の界面で「伸縮」するように、相対的に薄い障壁層126に対する、より小さい格子定数を有してもよい。したがって、仮形態的HEMT(pHEMT:pseudomorphic HEMT)デバイスが設けられてもよい。
【0093】
表面不動態化層150は、半導体構造190の表面126Aの低い表面電位をもたらす不動態化工程によって形成されてもよい。表面不動態化層150は、窒化珪素(SixNy)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化珪素(SiO2)、及び/又は他の適切な保護材料などの誘電体材料であってもよい。他の材料も、表面不動態化層150に利用されてもよい。例えば、表面不動態化層150は、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、酸化アルミニウム及び/又は酸窒化アルミニウムを含んでもよい。さらに、表面不動態化層150は、単一層であってもよく、又は均一且つ/若しくは不均一な組成の複数の層を含んでもよい。例えば、表面不動態化層150は、表面126Aの表面電位を増加することなく、表面126Aの表面状態を改質するように、PVD、PECVD、LPCVD、SACVD、熱分解堆積、PEALD、ALD、及び/又はそれらの任意の組合せなどの相対的に低い表面エネルギーの工程を使って半導体構造190の表面126A上に包括的に形成される窒化珪素又は他の電気絶縁材料層であってもよい。表面不動態化層150は、その後の処理中に、例えば、オーム抵抗コンタクトのアニール中に下層表面126Aを保護するように、十分に厚くてもよい。上述したように、表面不動態化層150を形成することは、いくつかの実施例では、1つ又は複数の事前の不動態化表面処置工程によって先に行われてもよく、これにより、表面不動態化層150の堆積の前に、表面126Aの界面状態を改質できる。
【0094】
図5Bに示されるように、表面不動態化層150は、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105を形成するようにパターン形成される。例えば、表面不動態化層150は、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105を配置するために、障壁層126の表面126Aを露出する開口部を形成するようにパターン形成されてもよい。開口部は、障壁層126に対してパターン形成されたマスク及び低損傷エッチングを利用してエッチングされてもよい。オーム抵抗金属は、障壁層126の露出部分上に形成されてもよい。しかしながら、他の実施例では、障壁層126も、開口部を通して凹状であってもよく、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105は、障壁層126を通して延びてもよいことが理解される。適切な金属には、Ti、W、TiW、Si、TiWN、WSi、Re、Nb、Ni、Au、Al、Ta、Mo、NiSi
x、TiSi、TiN、WSiN、Ptなどを含んでもよい。オーム抵抗金属は、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105を設けるようにアニールされてもよい。
【0095】
表面不動態化層150はまた、例えば、ソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105を形成する前、後、又は同時に、ゲート・コンタクト110を設けるようにパターン形成されてもよい。表面不動態化層150は、ゲート・コンタクト110を配置するために、障壁層126の表面126Aを露出する開口部又は溝151を形成するようにエッチングされてもよい。ゲート・コンタクト110は、エッチングされた開口部151内に形成されてもよく、開口部151を通して延びて障壁層126の露出部分に接触してもよい。適切なゲート材料は、Ni、Pt、NiSi
x、Au、Ti、Cu、Pd、Cr、TaN、W、及び/又はWSiNを含んでもよい。溝151(したがって、その中のゲート110)は、表面126Aに沿ってY方向に延びてもよい。また、ゲート110の部分又はサイドローブは、表面不動態化層150上で横に(例えば、X方向に)延びてもよい。
図5Cに障壁層126の表面126A上にあるものとして示されているが、いくつかの実施例では、ソース・コンタクト115、ゲート・コンタクト110、及び/又はドレイン・コンタクト105が、障壁層126の表面126Aの凹部内に形成されてもよいことが理解される。
【0096】
図5C及び
図6に示されるように、表面不動態化層150は、エッチングされて半導体構造190の領域126Sを露出する1つ又は複数の開口部151’を画定する(ブロック604)。例えば、開口部(1つ又は複数)151’は、表面126Aに沿ってY方向に延びる溝を画定してもよい。開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート110とドレイン・コンタクト105との間(及び/又は、
図5Cに仮想線で示されるゲート110とソース・コンタクト115との間)に形成される。開口部(1つ又は複数)151’は、ドレイン・コンタクト105(及び/又はソース・コンタクト115)に隣接するゲート開口部151から横に離隔される。
【0097】
いくつかの実施例では、表面不動態化層150における開口部(1つ又は複数)151’は、ゲート開口部151を形成するために使用されるのと同じエッチング工程中に、或いはゲート開口部151及び/又はソース・コンタクト115及びドレイン・コンタクト105のための開口部を形成する前又は後の異なるエッチング工程で形成されてもよい。例えば、GaNチャネル層124及びAlGaN障壁層126を含むGaNベースの半導体構造190では、ゲート開口部151を形成するために使用されるエッチング中に、1つ又は複数の追加の開口部151’が表面不動態化層150内へエッチングされ、ゲート110が形成される箇所とドレイン・コンタクト105(及び/又はソース・コンタクト115)が形成される箇所との間のAlGaN障壁層126の1つ又は複数の領域126Sを露出する。事前の不動態化表面処置工程が行われる実施例では、開口部(1つ又は複数)151’を画定するために使用されるエッチング工程により、開口部(1つ又は複数)151’によって露出される領域126Sの界面状態を除去又は改質できる。
【0098】
図5D及び
図6に示されるように、1つ又は複数の表面処置工程STが行われて、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された半導体構造190の領域(1つ又は複数)126Sの表面特性を改質する(ブロック608)。表面処置工程(1つ又は複数)STは、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された領域(1つ又は複数)126Sの界面状態を改質するように構成される。表面処置工程(1つ又は複数)には、現場工程(例えば、プラズマ窒化、イオン衝撃、プラズマ酸化、H2プラズマ処置、化学的活性のガス環境(形成ガス、一酸化窒素、二酸化窒素、及びアンモニアを含むがこれらに限定されない)でのアニール、化学的不活性のガス環境でのアニール)、及び現場外工程(例えば、酸性化学溶液での湿式エッチング、塩基性化学溶液での湿式エッチング、中性化学溶液での処置)を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0099】
例えば、AlGaN障壁層126の露出領域126Sを含むGaNベースの半導体構造190では、開口部151’によって露出された領域126Sにおいて、イオン衝撃を使用して界面状態を改質してもよい(したがって、AlGaN表面電位を上昇させることができる)。これにより、伝導チャネル40の部分に、高伝導率、低シート抵抗の領域126Sを形成し、より高い飽和電力及びより低い電荷捕捉を可能にできる。ゲート110に対して、より直接的に又はすぐに隣接する領域は、表面処置(1つ又は複数)STの影響を受けないので、したがって(ブロック602での)第1/表面不動態化層150の形成から生じるより低い表面電位を保持し、ゲート110に隣接して漏れを低下できる。すなわち、表面処置工程(1つ又は複数)STは、開口部(1つ又は複数)151’によって露出された領域(1つ又は複数)126Sの界面状態を局所的に改質でき、それにより、ゲート110とソース・コンタクト115又はドレイン・コンタクト105との間に表面処置領域126Sを形成し、伝導チャネル40の下層部分により高い伝導率を得る。
【0100】
図5E乃至
図5F及び
図6は、1つ又は複数の追加の不動態化層155、560(例えば、層間不動態化層155及び最終不動態化層560)が半導体構造190に形成されることを示す(ブロック610)。追加の不動態化層(1つ又は複数)155、560は、絶縁層(1つ又は複数)又は誘電層(1つ又は複数)であってもよく、いくつかの実施例では、表面不動態化層150とは異なる誘電率を有する。
図5Eに示されるように、層間不動態化層155は、第1/表面不動態化層150上、且つ開口部(1つ又は複数)151’によって露出された半導体構造190の領域126S上に形成されたIFPPであってもよく、表面処置領域(1つ又は複数)126Sは、表面126Aと層間不動態化層155との間の界面(1つ又は複数)に沿って延びる。層間不動態化層155は、表面処置Pによって達成される領域126Sにおける表面特性を維持又は保存するように、表面処置工程(1つ又は複数)ST(ブロック608)の後の近くに又は直後に形成される(ブロック610)。上述したように、層間不動態化層155は、相対的に高い表面エネルギーの工程、例えば、PVD、PECVD、LPCVD、SACVD、熱分解堆積、PEALD、ALD、及び/又はそれらの任意の組合せを使って形成されてもよく、これにより、層間不動態化層155を単一層又は多層積層体として形成できる。上述したように、領域126Sの改質された界面状態は、任意の表面処置工程(1つ又は複数)とは無関係に又は追加して、層間不動態化層155の堆積によって画定されてもよい。例えば、
図5Dに示される動作は、いくつかの例では省略されてもよく、領域126Sの改質された界面状態は、層間不動態化層155自体の堆積によって画定されてもよい。
【0101】
図5Fに示されるように、それぞれの金属コンタクト565は形成されて層間不動態化層155の開口部を通って延び、コンタクト105、110、115のうちの1つ又は複数に接触してもよい。例えば、層間不動態化層155は、ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105を露出する開口部を形成するようにパターン形成されてもよく、ソース・コンタクト115及び/又はドレイン・コンタクト105の露出部分上に伝導性金属が形成されて金属コンタクト565を形成してもよい。金属コンタクト365は、金属又は他の高伝導率の材料、例えば、銅、コバルト、金、及び/又は複合金属を含んでもよい。
図5Fの実例では、金属コンタクト565は、ドレイン・コンタクト505及びソース・コンタクト515上に設けられるが、いくつかの実施例では、金属コンタクト565はすべての3つの端子(すなわち、ソース、ゲート、及びドレイン)に設けられてもよいことが理解される。いくつかの実施例では、フィールド板328が、例えば、
図3A乃至
図3Cに示される構成によって、IFPP155上に形成されてもよい。
【0102】
なお
図5Fを参照すると、(絶縁層150及び/又は155と類似又は異なる組成の)電気的に絶縁性且つ/又は不動態化層560が、最終的不動態化層として金属コンタクト565上に形成されてもよく、電気的接続、例えば、1つ又は複数の外部デバイスへの入力且つ/若しくは出力接続、及び/又は接地接続のために、金属コンタクト365を露出する開口部を画定するようにパターン形成されてもよい。金属コンタクト565は、したがって、本明細書に説明されるトランジスタ構造100a、100b、100c、200、300a、300b、300cのうちのいずれかの対応する端子(例えば、HEMTデバイスのゲート110、ドレイン105、及びソース115端子)に直接的又は間接的に接続されてもよい入力(例えば、ゲート)、出力(例えば、ドレイン)、及び/若しくは接地(例えば、ソース)コンタクト・パッド又は端子を画定してもよい。
【0103】
ゲート開口部のみが表面不動態化層内へエッチングされ且つチャネル領域の界面状態が、第1若しくは表面不動態化の層を形成するために使用される不動態化工程によって設定されてもよい、いくつかの従来デバイス(例えば、GaN/AlGaN HEMT)とは対照的に、本発明の実施例は、ゲートとソース・コンタクト及び/又はドレイン・コンタクトとの間の半導体構造の一部(又は大部分)に、例えば、表面不動態化層に1つ又は複数の追加の開口部を形成することによって、より高い伝導率の領域を設けることができる。これにより、開口部によって露出された半導体構造の領域の界面状態の局所的改質を可能にして、ゲートに直接隣接するエリア又は領域に影響を及ぼすことなく、より高い伝導率の領域を作る。より一般的には、本発明の実施例は、例として上述されたものを含むがこれらに限定されない表面処置工程(1つ又は複数)及び/又は不動態化層堆積ステップの任意の組合せを使って、ゲートに隣接する第2の領域と比較して、ソース又はドレインに隣接する半導体構造の第1の領域の界面状態を異なるやり方で改質してもよい。
【0104】
本発明の実施例は、個別デバイスとして形成されてもよく、又はモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit)の一部として形成されてもよい。MMICは、特定の機能のための回路類のすべてが単一の半導体チップ内へ統合される、無線及び/又はマイクロ波周波数信号で動作する集積回路を指す。実例のMMICデバイスは、関連する、共通の基板にすべて実装される整合回路、フィード・ネットワークなどを含むトランジスタ増幅器である。MMICトランジスタ増幅器は、典型的には、並列に接続された複数の単位セルHEMTトランジスタを含む。本発明の実施例は、より高い電力密度を生成できるトランジスタ設計を提供し、より小型且つより強力なMMICチップを可能にする。
【0105】
本発明の実施例は、RFデバイスに改良された性能を設けてもよい。しかしながら、本発明の実施例は、RF用途に限定されず、Ka帯、MMIC、及び電力切替デバイスを含むがこれらに限定されない、任意のDCデバイスに使用されてもよい。例えば、本発明の実施例は、約4GHz未満からKa帯設計(例えば、26から40GHz)までの範囲の動作周波数を有する用途において使用されてもよい。
【0106】
いくつかの実施例では、
図7に示されるように、トランジスタ・デバイス又はダイ1000は、デバイス端子又は電極(例えば、入力端子、出力端子、及び接地端子)に並列に接続された複数のトランジスタ構造100a、100b、100c(総称して100)を含んでもよい。例えば、ゲート110、ドレイン105、及びソース115の各コンタクトは、ゲート、ドレイン、及び/又はソースの「指状部」を画定するために第1の方向(例えば、Y方向)に延びてもよく、これらは、1つ又は複数のそれぞれのバスによって(例えば、半導体構造190の上面126A上のゲート・バス及びドレイン・バスによって)接続されてもよい。
図7では、ゲート指状部110、ドレイン指状部105及びソース指状部115は、互いに並列に延びてもよく、ゲート指状部110は、ゲート・バス112から第1の方向に延び、ドレイン指状部105は、ドレイン・バス114から第1の方向とは逆方向に延びる。各ゲート指状部110は、単位セル100を画定するように、ドレイン指状部105とソース指状部115との間に位置づけられてもよい。ゲート指状部110、ドレイン指状部105、及びソース指状部315(及び接続バス)は、頂又は表側の金属化構造によって画定されるように、デバイスのゲート、ドレイン、及びソース接続電極の一部をそれぞれ画定してもよい。表側金属化構造の様々な伝導性要素を互いから隔離する誘電体層は、図面を簡略化するために、
図7には示されない。ゲート指状部110は共通のゲート・バスに電気的に接続され、ドレイン指状部105は共通のドレイン・バスに電気的に接続され、ソース指状部115は互いに電気的に接続されるので(例えば、基板122の裏面122B上のそれぞれのビア開口部146及び裏側金属層を介して)、単位セル・トランジスタ100同士が電気的に並列に接続されることが分かる。
【0107】
デバイスの端子のうちの1つ(例えば、ソース・コンタクト(1つ又は複数)115に接続されるソース端子)は、例えば、電気接地などの参照信号に結合されるように構成されてもよい。いくつかの実施例では、伝導性の基板を介するビア接続又は構造(例えば、裏面122Bを通して形成された裏側ビア開口部)は、基板122及びエピタキシャル層(1つ又は複数)124、126を通して延び、コンタクト105、115のうちの1つの部分を露出し、基板の裏側122Bにコンタクト・パッド又は端子を設けることができる(例えば、ソース・コンタクト115を接地に結合する)。他の実施例では、端末デバイス(例えば、ソース端子)のうちの1つへの接地接続は、活性エリアの外側、例えば、周辺エリアで行われてもよい。いくつかの実施例では、基板122の裏側122Bの裏面金属層は、例えば、接地への近接が望まれる用途において、裏側接地平面を形成してもよい。
【0108】
本発明の実施例は、特定のHEMT構造を参照して本明細書で説明されたが、本発明は、そのような構造に限定されると解釈されるべきではなく、pHEMT(GaAs/AlGaAs pHEMTを含む)及び/又はGaN MESFETなどの多くの異なるトランジスタ構造の形成に適用されてもよい。
【0109】
また、追加の層は、本発明の教示から依然として利益を得ながら、トランジスタ構造に含まれてもよい。このような追加の層は、例えば、Smithへの米国特許第6548333号に記載されているようなGaNキャップ層を含んでもよい。いくつかの実施例では、SiNxなどの絶縁層、又は相対的に高品質のAlNは、MISHEMTを作るため及び/又は表面を不動態化するために、堆積されてもよい。追加の層は、1つ又は複数の組成的に傾斜した遷移層を含んでもよい。加えて、上述した障壁層126及び/又はチャネル層124は、複数の層を含んでもよい。したがって、本発明の実施例は、これらの層を単一層に限定するものと解釈されるべきではないが、例えば、GaN、AlGaN及び/又はAlN層の組合せを有する障壁層を含んでもよい。
【0110】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器ダイが、パッケージされてパッケージされたRFトランジスタ増幅器800A、800B、800Cを提供するいくつかの実例のやり方を示す概略断面図である。
図8A乃至
図8Cは、トランジスタ・デバイス1000をパッケージすることを示し、これは、本明細書に記載のトランジスタ構造のいずれを含んでもよい。
【0111】
図8Aは、パッケージされたIII族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器800Aの概略側面図である。
図8Aに示されるように、パッケージされたRFトランジスタ増幅器800Aは、開放空洞パッケージ構造810AにパッケージされたRFトランジスタ増幅器ダイ1000を含む。パッケージ構造810Aは、金属ゲート・リード線822A、金属ドレイン・リード線824A、金属サブマウント830、側壁840及び蓋842を含む。
【0112】
サブマウント830は、パッケージ800Aの熱管理を助けるように構成された材料を含んでもよい。例えば、サブマウント830は、銅及び/又はモリブデンを含んでもよい。いくつかの実施例では、サブマウント830は、複数の層から構成され、且つ/又はビア/相互接続部を含んでもよい。実例の実施例では、サブマウント830は、芯モリブデン層を備え、そのいずれかの主表面に銅張り合せ層を有する多層銅/モリブデン/銅金属フランジであってもよい。いくつかの実施例では、サブマウント830は、リード線フレーム又は金属スラグの一部である金属放熱シンクを含んでもよい。側壁840及び/又は蓋842は、いくつかの実施例では絶縁材料で形成されてもよいか、又は絶縁材料を含んでもよい。例えば、側壁840及び/又は蓋842は、セラミック材料で形成されてもよいか、又はセラミック材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、側壁840及び/又は蓋842は、例えば、Al2O3で形成されてもよい。蓋842は、エポキシ接着剤を使って側壁840に接着されてもよい。側壁840は、例えば、ろう付けを介してサブマウント830に取り付けられてもよい。ゲート・リード線822A及びドレイン・リード線824Aは、側壁842を通して延びるように構成されてもよいが、本発明の実施例はこれに限定されない。
【0113】
RFトランジスタ増幅器ダイ1000は、金属サブマウント830、セラミック側壁840及びセラミック蓋842によって画定された空気充填空洞812における金属サブマウント830の上面に実装される。RFトランジスタ増幅器ダイ1000のゲート端子132及びドレイン端子134は、半導体構造190の頂面上にあり、一方、ソース端子136は、半導体構造190の底面上にある。ソース端子136は、例えば、伝導性ダイ取付材料(図示せず)を使って金属サブマウント830に実装されてもよい。金属サブマウント830は、ソース端子136に電気的に接続してもよく、RFトランジスタ増幅器ダイ1000で発生する熱を散逸する熱散逸構造として機能してもよい。
【0114】
入力整合回路850及び/又は出力整合回路852が、パッケージ800A内に実装されてもよい。整合回路850、252は、インピーダンス整合及び/又は高調波終端回路を含んでもよい。インピーダンス整合回路は、RFトランジスタ増幅器に入力される、又はRFトランジスタ増幅器から出力されるRF信号の基本成分のインピーダンスを、それぞれ、RFトランジスタ増幅器ダイ1000の入力又は出力でのインピーダンスに対して整合するために使用されてもよい。高調波終端回路は、RFトランジスタ増幅器ダイ1000の入力又は出力に存在し得る基本RF信号の高調波を接地するために使用されてもよい。2つ以上の入力整合回路850及び/又は出力整合回路852が設けられてもよい。
図8Aに概略的に示されるように、入力整合回路850及び出力整合回路852は金属サブマウント830に実装されてもよい。ゲート・リード線822Aは、1つ又は複数の接合線854によって入力整合回路850に接続されてもよく、入力整合回路850は、1つ又は複数の追加の接合線854によってRFトランジスタ増幅器ダイ1000のゲート端子132に接続されてもよい。同様に、ドレイン・リード線824Aは、1つ又は複数の接合線854によって出力整合回路852に接続されてもよく、出力整合回路852は、1つ又は複数の追加の接合線854によってRFトランジスタ増幅器ダイ1000のドレイン端子134に接続されてもよい。誘導要素である接合線854は、入力整合回路及び/又は出力整合回路の一部を形成してもよい。
【0115】
図8Bは、プリント回路基板ベースのパッケージ構造810Bにパッケージされたトランジスタ・デバイス1000を含む、パッケージされたIII族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器800Bの概略側面図である。パッケージされたRFトランジスタ増幅器800Bは、パッケージ構造810Aのゲート・リード線822A及びドレイン・リード線824Aがパッケージ構造810Bのプリント回路基板ベースのリード線822B、824Bに置き換えられていることを除いて、
図8AのパッケージされたRFトランジスタ増幅器800Aと非常に類似している。
【0116】
パッケージ構造810Bは、サブマウント830、セラミック側壁840、セラミック蓋842を含み、これらのそれぞれは、上記で論じたパッケージ構造810Aの同番号の要素と実質的に同一であってもよい。パッケージ構造810Bは、プリント回路基板820をさらに含む。プリント回路基板820上の伝導性トレースは、金属ゲート・リード線822B及び金属ドレイン・リード線824Bを形成する。プリント回路基板820は、例えば、伝導性接着剤を介してサブマウント830に取り付けられてもよい。プリント回路基板820は、中央開口部を含み、RFトランジスタ増幅器ダイ1000は、サブマウント830のこの開口部内に実装される。RFトランジスタ増幅器800Bの他の構成要素は、RFトランジスタ増幅器800Aの同番号の構成要素と同じであってもよいので、それ以上の説明は省略する。
【0117】
図8Cは、別のパッケージされたIII族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器800Cの概略側面図である。RFトランジスタ増幅器800Cは、異なるパッケージ構造810Cを含む点で、RFトランジスタ増幅器800Aと異なる。パッケージ構造810Cは、金属サブマウント830(パッケージ構造810Aのサブマウント830と類似又は同一であってもよい)、並びに金属ゲート・リード線822C及び金属ドレイン・リード線824Cを含む。RFトランジスタ増幅器800Cはまた、RFトランジスタ増幅器ダイ1000、リード線822C、824C、及び金属サブマウント830を少なくとも部分的に取り囲むプラスチックのオーバーモールド860を含む。RFトランジスタ増幅器800Cの他の構成要素は、RFトランジスタ増幅器800Aの同番号の構成要素と同じであってもよいので、それ以上の説明は省略する。
【0118】
本発明は、本発明の実施例が示されている添付図面を参照して説明される。しかしながら、本発明は本明細書に記載の実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が徹底的且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面では、明瞭にするために層及び領域の厚さが誇張される。同番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0119】
層、領域、又は基板などの要素が、別の要素「上」にある、又は「上へ」延びると言及されるとき、それは、他の要素上に直接あることができるか、又は他の要素上へ直接延びることができるか、或いは介在する要素が存在してもよいことが理解される。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上」にある、又は「直接上へ」延びると言及される場合、介在する要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続」又は「結合」されると言及されるとき、それは他の要素に直接、接続又は結合されることができ、或いは介在する要素が存在してもよいことも理解される。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」又は「直接結合」されていると言及されるとき、介在する要素は存在しない。
【0120】
また、第1、第2などの用語は、本明細書において様々な要素を説明するために使用されてもよいが、これらの要素は、これらの用語によって制限されるべきではないことも理解される。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ばれ、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ばれることもできる。
【0121】
さらに、「下」又は「底」並びに「上」又は「頂」などの相対的な用語は、図に例示されるように、ある要素の別の要素に対する関係を説明するために本明細書において使用されてもよい。相対的な用語は、図に描かれた配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することを意図されていることが理解される。例えば、図のうちの1つにおけるデバイスが反転された場合、他の要素の「下」側にあると説明された要素は、他の要素の「上」側に配向される。例示的な用語「下」は、したがって、図の特定の配向に応じて、「下」及び「上」の両方の配向を包含できる。同様に、図のうちの1つにおけるデバイスが反転された場合、他の要素の「下に」又は「下方」と説明された要素は、他の要素の「上に」配向される。したがって、例示的な用語「下に」又は「下方」は、上と下との両方の配向を包含できる。
【0122】
本明細書における本発明の説明に使用される専門用語は、特定の実施例のみを説明することを目的としたものであり、本発明を限定することは意図されない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「1つ(the)」は、文脈が明確に別段の定めをしない限り、複数形も含むことが意図される。また、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意且つすべての可能な組合せを言及し包含することも理解される。さらに、用語「備える」及び/又は「備えている」は、本明細書において使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、それらの1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又は群の存在又は追加を排除するものではないことが理解される。
【0123】
本発明の実施例は、本発明の理想化された実施例(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書に説明される。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果としての例示の形状からの変動が予想される。したがって、本発明の実施例は、本明細書に例示される領域の特定の形状に限定されるものとして解釈されるべきではなく、例えば、製造から生じる形状における偏差を含むべきである。例えば、矩形として例示された植込み領域は、典型的には、植込み領域から非植込み領域への二元の変更ではなく、その縁辺に丸みを帯びた又は湾曲した特徴及び/又は植込み濃度の勾配を有する。同様に、植込みによって形成された埋込領域は、埋込領域と植込みが行われる表面との間の領域に何らかの植込みをもたらすことができる。したがって、図に例示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を例示することは意図されず、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0124】
別段の定めがない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明の実施例を開示する際、使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有し、本発明が説明される時点で知られている指定の定義に必ずしも限定されない。したがって、これらの用語は、そのような時点以降に作成された同等の用語を含むことができる。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。本明細書に記載されているすべての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0125】
図面及び明細書では、本発明の典型的な実施例が開示されており、指定の用語が採用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されていない。
【国際調査報告】