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特表2024-519878修正アクセス領域を備える電界効果トランジスタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】修正アクセス領域を備える電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571691
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022030173
(87)【国際公開番号】W WO2022246142
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】17/325,635
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/325,643
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、キョン - グン
(72)【発明者】
【氏名】ラデュルスク、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】シェパード、スコット
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL07
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR06
5F102GR12
5F102GS04
5F102GT03
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC15
5F102HC21
(57)【要約】
トランジスタ・デバイスは、チャネル層と、チャネル層上に、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有するバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体を具備する。修正アクセス領域が、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に設けられる。修正アクセス領域は、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトは、バリア層上に形成され、ゲート・コンタクトは、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に形成されている。修正アクセス領域は、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を備えることができる。複数の選択的修正アクセス領域は、バリア層上に、ゲート・コンタクトの長さに沿って間隔を置いて配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル層と、前記チャネル層上にバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体であって、前記バリア層が、前記チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体と、
前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面の、修正アクセス領域と、
前記バリア層上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトと、
ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の、ゲート・コンタクトであって、前記修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む、ゲート・コンタクトと
を具備する、トランジスタ・デバイス。
【請求項2】
前記ゲート・コンタクトが、前記修正アクセス領域へのショットキー接触を形成する、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項3】
前記バリア層内のドープされたソース領域であって、前記ソース・コンタクトが、前記ソース領域と接触する、ソース領域と、
前記バリア層内のドープされたドレイン領域であって、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域と接触し、前記ソース領域及び前記ドレイン領域が、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に、前記デバイスの活性領域を画定する、ドレイン領域と
をさらに備え、前記修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記デバイスの活性領域内にある、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項4】
前記修正アクセス層が、前記バリア層上の、前記デバイスの前記活性領域全体の範囲内にある、請求項3に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項5】
前記修正アクセス層が、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間に設けられる、請求項3に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項6】
前記修正アクセス層が、前記ソース・コンタクトと前記ゲート・コンタクトとの間に設けられる、請求項3に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項7】
前記修正アクセス層が、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間、並びに前記ソース・コンタクトと前記ゲート・コンタクトとの間に設けられ、前記ゲート・コンタクトの下には設けられない、請求項3に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項8】
前記修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、前記バリア層の導電率と比べて導電率を高めた領域を備える、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項9】
前記修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の前記上面に、注入されたドーパントを含む注入領域を備える、請求項8に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項10】
前記修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項8に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項11】
前記修正アクセス領域が、約0.5nmから約10nmの厚さを有する、請求項10に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項12】
前記修正アクセス領域が、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル半導体層を備える、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項13】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低いAl濃度を有するAlGaNを含む、請求項12に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項14】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記修正アクセス領域が、GaNを含む、請求項12に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項15】
前記修正アクセス領域が、n型ドーパントでドープされている、請求項12に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項16】
前記修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項12に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項17】
前記修正アクセス領域が、約0.5nmから約10nmの厚さを有する、請求項16に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項18】
前記修正アクセス領域には、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に存在する電荷キャリアを前記ドレイン・コンタクトに向かって伝導することが可能な電荷放出経路が設けられる、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項19】
前記修正アクセス領域が、前記ソース・コンタクトと前記ゲート・コンタクトとの間の領域には設けられない、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項20】
前記修正アクセス領域が、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の領域内にあり、前記ソース・コンタクトから前記ドレイン・コンタクトには、全範囲に延在しているわけではない、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項21】
前記ゲート・コンタクトが、前記修正アクセス領域と接触しない、請求項20に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項22】
前記バリア層内に、ドープされたドレイン領域をさらに備え、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域に接触し、前記修正アクセス領域が、前記ドレイン領域に接触している、請求項20に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項23】
トランジスタ・デバイスを形成する方法であって、前記方法が、
チャネル層と、前記チャネル層上にバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップであり、前記バリア層が、前記チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップと、
前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、修正アクセス領域を形成するステップと、
前記バリア層上に、ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトを形成するステップと、
ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間に、ゲート・コンタクトを形成するステップであり、前記修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む、ゲート・コンタクトを形成するステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記修正アクセス領域を形成するステップが、
前記バリア層上に、犠牲誘電体層を形成するステップと、
前記犠牲誘電体層及び前記バリア層をアニーリングするステップと、
前記犠牲誘電体層を除去するステップと
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記犠牲誘電体層が、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記修正アクセス領域を形成するステップが、
前記バリア層上に、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル層を形成するステップ
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
エピタキシャル層が、n型ドーパントでドープされる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記修正アクセス領域を形成するステップが、
前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、n型ドーパントを注入するステップ
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記修正アクセス領域が、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の領域内にあり、前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間には、全範囲に延在しているわけではない、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記ゲート・コンタクトが、前記バリア層への非オーミック接触を形成し、前記修正アクセス領域とは接触していない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含み、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域に接触し、前記修正アクセス領域が、前記ドレイン領域に接触する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を備え、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、前記複数の選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上に、前記ゲート・コンタクトの長さに沿って、間隔を置いて配置されている、請求項1に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項33】
前記バリア層内のドープされたドレイン領域であって、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域と接触する、ドレイン領域をさらに備え、
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン領域との間にある、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項34】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、導電率を高めた領域を備える、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項35】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の前記上面に、注入されたドーパントを含む注入領域を備える、請求項34に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項36】
前記選択的修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項34に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項37】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル半導体層を備える、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項38】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低いAl濃度を有するAlGaNを含む、請求項37に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項39】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記選択的修正アクセス領域が、GaNを含む、請求項37に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項40】
前記選択的修正アクセス領域が、n型ドーパントでドープされている、請求項37に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項41】
前記選択的修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項37に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項42】
前記選択的修正アクセス領域には、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に存在する電荷キャリアを前記ドレイン・コンタクトに向かって伝導することが可能な電荷放出経路が設けられる、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項43】
前記ゲート・コンタクトが、前記選択的修正アクセス領域と接触しない、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項44】
前記選択的修正アクセス領域が、第1の幅d1を有し、前記バリア層上で前記ゲート・コンタクトの前記長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置されている、請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項45】
前記第1の幅d1が、約1ミクロンから100ミクロンの間であり、前記第2の幅d2が、約1ミクロンから100ミクロンの間である、請求項44に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項46】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ソース・コンタクトとの間にある、
請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項47】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ソース・コンタクトとの間、並びに前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間にある、
請求項32に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項48】
前記修正アクセス領域を形成するステップが、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を形成するステップを含み、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、前記複数の選択的修正アクセス領域が、前記ゲート・コンタクトの長さに沿って、間隔を置いて配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項49】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
前記バリア層上にマスクを形成するステップであって、前記マスクが、前記バリア層の上面のそれぞれの部分を露出させる、複数の開口部を有する、マスクを形成するステップと、
前記開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の前記部分に、前記選択的修正アクセス領域を形成するステップと
を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
電荷キャップ放出領域を形成するステップが、
前記マスク及び前記バリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップであって、前記犠牲誘電体層が、前記開口部内に延在し、前記開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の前記部分で、前記バリア層と接触する、犠牲誘電体層を形成するステップと、
前記犠牲誘電体層及び前記バリア層をアニーリングするステップと、
前記犠牲誘電体層を除去するステップと
を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記犠牲誘電体層が、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の部分上に、エピタキシャル層を選択的に形成するステップであって、前記エピタキシャル層が、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料を含む、エピタキシャル層を形成するステップ
を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記エピタキシャル層が、n型ドーパントでドープされる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の部分に、n型ドーパントを注入するステップ
を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記ゲート・コンタクトが、前記選択的修正アクセス領域と接触しない、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含み、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域に接触し、前記選択的修正アクセス領域が、前記ドレイン領域に接触する、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記選択的修正アクセス領域が、第1の幅d1を有し、前記バリア層上で前記ゲート・コンタクトの前記長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置される、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の幅d1が、約1ミクロンから100ミクロンの間であり、前記第2の幅d2が、約1ミクロンから100ミクロンの間である、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年5月20日に出願された米国特許出願第17/325,643号、名称「FIELD EFFECT TRANSITOR WITH SELECTIVE MODIFIED ACCESS REGIONS」、及び2021年5月20日に出願された米国特許出願第17/325,635号、名称「FIELD EFFECT TRANSITORS WITH MODIFIED ACCESS REGIONS」の利益及び優先権を主張するものであり、その開示及び内容は、その全体が組み込まれている。
【0002】
本開示は、トランジスタ構造体に関し、詳細には、高電子移動度トランジスタに関する。
【背景技術】
【0003】
ケイ素(Si)及びガリウム砒素(GaAs)などの狭バンドギャップ半導体材料は、低電力用途、及びSiの場合は低周波用途の半導体デバイスに、広く使用されている。しかし、これらの半導体材料は、例えば、バンドギャップが比較的狭く(室温で、Siの場合は1.12eV、GaAsの場合は1.42eV)、破壊電圧が比較的小さいため、高出力及び/又は高周波用途には、あまり適さない可能性がある。
【0004】
高出力、高温、及び/又は高周波の、用途及びデバイスに対する関心は、炭化ケイ素(4H-SiCの場合、室温で3.2eV)及びIII族窒化物(例えば、GaNの場合、室温で3.36eV)などの、広バンドギャップの半導体材料に集中している。これらの材料は、GaAs及びSiよりも大きい電界破壊強度、並びにGaAs及びSiよりも高い電子飽和速度を有することができる。
【0005】
高出力用途及び/又は高周波用途で特に興味深いデバイスは、変調ドープ電界効果トランジスタ(MODFET:modulation doped field effect transistor)としても知られる、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)である。HEMTデバイスでは、相異なるバンドギャップ・エネルギーを有する2つの半導体材料のヘテロ接合で、2次元電子ガス(2DEG:two-dimensional electron gas)が形成され得、この場合、バンドギャップがより狭い材料の方が、バンドギャップがより広い材料よりも高い電子親和力を有する。2DEGは、ドープされていない、バンドギャップがより狭い材料内の蓄積層であり、例えば1013キャリア/cmを超える、比較的高いシート電子濃度を含有することができる。さらに、バンドギャップがより広い半導体で発生した電子は、2DEGに移動でき、イオン化された不純物の散乱の減少により、比較的高い電子移動度が可能となる。HEMTは、この比較的高いキャリア濃度とキャリア移動度との組合せにより、比較的大きな相互コンダクタンスを得ることができ、高周波用途では、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET:metal-semiconductor field effect transistor)よりも優れた性能を発揮する可能性がある。
【0006】
窒化ガリウム/窒化アルミニウムガリウム(GaN/AlGaN)材料系で製造されたHEMTは、比較的大きい破壊電界、比較的広いバンドギャップ、比較的大きい伝導帯のオフセット、及び/又は比較的大きい飽和電子ドリフト速度などの、材料特性の組合せにより、大きいRF出力を生成することができる。2DEG内の電子の大部分は、AlGaN内の分極が寄与するものであり得る。
【0007】
図1Aは、従来の窒化ガリウムベースのHEMT構造体を示している。構造体は、半絶縁性4H炭化ケイ素(SiC)基板であり得る、基板10を備える。任意選択のバッファ層、核生成層、及び/又は遷移層(図示せず)を、基板10上に設けることができる。チャネル層20は、基板10上に設けられている。チャネル層20は、GaNなどのIII族窒化物であり得る。バリア層22は、チャネル層20上に設けられている。バリア層22は、チャネル層20のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、チャネル層20は、バリア層22よりも大きい電子親和力を有することができる。バリア層22は、AlN、AlInN、AlGaN、又はAlInGaNであり得、チャネル層20とバリア層22との間の界面に、かなりのキャリア濃度を誘起するのに十分な厚さ、並びに十分に高いAl成分及びドーピングを有する。この誘起されたキャリア濃度により、デバイス内に導電チャネルをもたらす、2次元電子ガス(2DEG)が形成される。2DEGチャネルの導電率は、バリア層22上に形成されたゲート・コンタクト32に電圧を印加することにより、調整することができる。
【0008】
図1Aはさらに、バリア層22上のキャップ層24を示しており、ゲート・コンタクト32が、キャップ層24を貫く凹部36内にある。キャップ層24は、デバイスの上(外)面をチャネルから物理的に遠ざけ、これにより、デバイスの表皮効果(surface effect)を低減することができる。キャップ層24は、バリア層22上にブランケット形成でき、エピタキシャル成長及び/又は堆積により形成することができる。キャップ層24は、典型的には、約2nmから約500nmの厚さを有することができる。
【0009】
図1Aにさらに示しているように、オーミック・ソース/ドレイン・コンタクト30がバリア層22上に設けられ、ゲート用凹部が、キャップ層24を貫いて設けられ、バリア層22の一部を露出させる。ゲート・コンタクト32が、凹部内に形成され、バリア層22の露出部分と接触する。ゲート・コンタクト32は、図1Aに示すような「T」型ゲートであり得る。
【0010】
パッシベーション層(図示せず)も、図1Aの構造体上に設けることができる。例えば、図1Bを参照すると、SiN層52は、デバイス表面の上にその場形成する(form in situ)ことができる。パッシベーション層を備える図1Bの構造体は、プロセス・パラメータを改善するために、窒素環境でアニーリングすることができる。
【0011】
キャップ層24が存在し、構造体をアニーリングしたとしても、従来のHEMT構造体では、デバイスのバリア層又はチャネル層に電荷がトラップされることがあり、これは、デバイスを通過する信号の歪みを引き起こす可能性がある。トラップされた電荷は、例えば、出力遅延を引き起こす可能性があり、これにより不所望に、デバイスのスイッチング速度が低下し、したがって帯域幅が減少する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,849,882号
【特許文献2】米国特許第7,230,284号
【特許文献3】米国特許第7,501,669号
【特許文献4】米国特許第7,126,426号
【特許文献5】米国特許第7,550,783号
【特許文献6】米国特許第7,573,078号
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0253167号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0202272号
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0128752号
【特許文献10】米国特許出願公開第2010/0276698号
【特許文献11】米国特許出願公開第2012/0049973号
【特許文献12】米国特許出願公開第2012/0194276号
【特許文献13】米国特許第9,847,411号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施例によるトランジスタ・デバイスは、チャネル層、及びチャネル層上にバリア層を備える、半導体エピタキシャル層構造体であって、バリア層が、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体と、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、修正アクセス領域とを具備する。修正アクセス領域は、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトは、バリア層上に形成され、ゲート・コンタクトは、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に形成されている。
【0014】
ゲート・コンタクトは、いくつかの実施例では、修正アクセス領域へのショットキー接触を形成することができる。ゲート・コンタクトは、他の実施例では、修正アクセス領域と接触していなくてもよい。
【0015】
トランジスタ・デバイスは、バリア層内のドープされたソース領域であって、ソース・コンタクトがソース領域と接触する、ソース領域と、バリア層内のドープされたドレイン領域であって、ドレイン・コンタクトが、ドレイン領域と接触する、ドレイン領域とを、さらに備えることができる。ソース領域及びドレイン領域は、ソース領域とドレイン領域との間に、デバイスの活性領域を画定し、修正アクセス領域は、バリア層上の、デバイスの活性領域全体にわたる。
【0016】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、導電率を高めた領域を備える。
【0017】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に注入されたドーパントを含む、注入領域を備える。
【0018】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する。修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、約0.5nmから約10nmの厚さを有する。
【0019】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル半導体層を備える。バリア層は、いくつかの実施例では、AlGaNを含み、修正アクセス領域は、バリア層よりも低いAl濃度を有するAlGaNを含む。いくつかの実施例では、バリア層はAlGaNを含み、修正アクセス領域はGaNを含む。修正アクセス領域は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0020】
修正アクセス領域には、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に存在する電荷キャリアをドレイン・コンタクトに向かって伝導することが可能な電荷放出経路が設けられ得る。
【0021】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、ソース・コンタクトとゲート・コンタクトとの間の領域には設けられない。修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域内にあり、ソース・コンタクトからドレイン・コンタクトには、全範囲に延在しているわけではない。ゲート・コンタクトは、修正アクセス領域と接触していなくてもよい。
【0022】
トランジスタ・デバイスは、バリア層内に、ドープされたドレイン領域をさらに備えることができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、修正アクセス領域は、ドレイン領域に接触している。
【0023】
いくつかの実施例による、トランジスタ・デバイスを形成する方法は、チャネル層、及びチャネル層上にバリア層を備える、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップであって、バリア層が、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップ、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、修正アクセス領域を形成するステップ、バリア層上に、ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトを形成するステップ、並びにソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に、ゲート・コンタクトを形成するステップを含む。修正アクセス領域は、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む。
【0024】
修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、バリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップと、犠牲誘電体層及びバリア層をアニーリングするステップと、犠牲誘電体層を除去するステップとを含む。犠牲誘電体層は、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含むことができる。
【0025】
修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、バリア層上に、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料のエピタキシャル層を、形成するステップを含む。エピタキシャル層は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0026】
修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、n型ドーパントを注入するステップを含む。
【0027】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域内にあり、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間には、全範囲に延在しているわけではない。
【0028】
ゲート・コンタクトは、修正アクセス領域と接触していなくてもよい。
【0029】
この方法は、バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含むことができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、修正アクセス領域は、ドレイン領域に接触する。
【0030】
さらなる実施例によるトランジスタ・デバイスは、チャネル層、及びチャネル層上にバリア層を備える、半導体エピタキシャル層構造体であって、バリア層が、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体、バリア層上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクト、並びにバリア層上の、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間にある、ゲート・コンタクトを具備する。デバイスは、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域をさらに備える。選択的修正アクセス領域は、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、複数の選択的修正アクセス領域は、バリア層上に、ゲート・コンタクトの長さに沿って間隔を置いて配置されている。
【0031】
トランジスタ・デバイスは、バリア層内に、ドープされたドレイン領域をさらに備えることができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、選択的修正アクセス領域は、バリア層上の、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間にある。
【0032】
選択的修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、導電率を高めた領域を備える。選択的修正アクセス領域は、注入領域を備え、注入領域は、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に注入されたドーパントを含むことができる。
【0033】
選択的修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する。
【0034】
選択的修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル半導体層を備える。バリア層は、AlGaNを含むことができ、選択的修正アクセス領域は、バリア層よりも低いAl濃度を有するAlGaNを含む。バリア層は、いくつかの実施例では、AlGaNを含み、選択的修正アクセス領域は、GaNを含む。
【0035】
選択的修正アクセス領域は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0036】
選択的修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有することができる。
【0037】
選択的修正アクセス領域には、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に存在する電荷キャリアをドレイン・コンタクトに向かって伝導することが可能な電荷放出経路が設けられ得る。
【0038】
ゲート・コンタクトは、選択的修正アクセス領域と接触していなくてもよい。
【0039】
選択的修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、第1の幅d1を有し、バリア層上でゲート・コンタクトの長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置されている。第1の幅d1は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよく、第2の幅d2は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよい。
【0040】
いくつかの実施例によるトランジスタ・デバイスを形成する方法は、チャネル層、及びチャネル層上にバリア層を備える、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップであって、バリア層が、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップ、バリア層上に、ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトを形成するステップ、バリア層上の、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に、ゲート・コンタクトを形成するステップ、並びにバリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を形成するステップを含む。選択的修正アクセス領域は、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、ゲート・コンタクトの長さに沿って間隔を置いて配置されている。
【0041】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、バリア層上にマスクを形成するステップであって、マスクが、バリア層の上面のそれぞれの部分を露出させる、複数の開口部を有する、マスクを形成するステップと、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分に、選択的修正アクセス領域を形成するステップとを含む。
【0042】
電荷キャップ放出領域を形成するステップは、マスク及びバリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップであって、犠牲誘電体層が、開口部内に延在し、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分でバリア層と接触する、犠牲誘電体層を形成するステップと、犠牲誘電体層及びバリア層をアニーリングするステップと、犠牲誘電体層を除去するステップとを含むことができる。
【0043】
犠牲誘電体層は、いくつかの実施例では、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含む。
【0044】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分上に、エピタキシャル層を選択的に形成するステップを含み、エピタキシャル層は、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料を含む。エピタキシャル層は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0045】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分に、n型ドーパントを注入するステップを含む。
【0046】
ゲート・コンタクトは、選択的修正アクセス領域と接触していても、接触してなくてもよい。
【0047】
この方法は、バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含むことができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、選択的修正アクセス領域は、ドレイン領域に接触する。
【0048】
選択的修正アクセス領域は、第1の幅d1を有することができ、バリア層上でゲート・コンタクトの長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置することができる。第1の幅d1は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよく、第2の幅d2は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】フィールド・プレートを備える、従来のトランジスタ・デバイスの断面図である。
図1B】従来のトランジスタ・デバイスの中間構造体の断面図である。
図2】いくつかの実施例による、HEMTデバイスの概略平面図である。
図3A】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図3B】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図3C】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図3D】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図4A】従来のGaN HEMT、及び修正アクセス領域を備えるGaN HEMTを具備する、テスト装置での結果を示す図である。
図4B】従来のトランジスタのショットキー・バリア高さを、電荷放出キャップ層を備えるトランジスタのショットキー・バリア高さと比較するチャートである。
図4C】HEMTの表面バリア高さを示すバンド図である。
図5A】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を示す断面図である。
図5B】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を示す断面図である。
図5C】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を示す断面図である。
図5D】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を示す断面図である。
図6A】従来のGaN HEMT、及び様々な実施例による、選択的修正アクセス領域を備えるGaN HEMTを具備する、テスト装置での結果を示す図である。
図6B】従来のトランジスタのショットキー・バリア高さを、様々な実施例による、選択的修正アクセス領域を備えるトランジスタのショットキー・バリア高さと比較するチャートである。
図7A】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図7B】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図7C】様々な実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図7D】いくつかの実施例による、トランジスタ・デバイスを形成する工程を示すブロック図である。
図8A】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8B】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8C】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8D】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8E】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8F】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8G-1】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8G-2】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8G-3】さらなる実施例による、HEMTデバイス構造体を形成する工程を示す断面図である。
図8H】いくつかの実施例による、トランジスタ・デバイスを形成する工程を示すブロック図である。
図9A】実施例によるトランジスタ・デバイスを組み込んだ、RFトランジスタ増幅器が使用され得る、複数増幅器回路の概略ブロック図である。
図9B】実施例によるトランジスタ・デバイスを組み込んだ、RFトランジスタ増幅器が使用され得る、複数増幅器回路の概略ブロック図である。
図9C】実施例によるトランジスタ・デバイスを組み込んだ、RFトランジスタ増幅器が使用され得る、複数増幅器回路の概略ブロック図である。
図10】いくつかの実施例による、HEMTトランジスタを備えるMMIC増幅器の概略図である。
図11A】いくつかの実施例による、RFトランジスタ増幅器ダイ用の例示的なパッケージを示す概略断面図である。
図11B】いくつかの実施例による、RFトランジスタ増幅器ダイ用の例示的なパッケージを示す概略断面図である。
図12】様々な相異なる組成を有するInAlGaN材料の、バンドギャップ及び格子定数の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで本発明の概念の実施例を、添付図面と共に説明することにする。本明細書で説明するいくつかの実施例は、自己整合ゲートであり、いくつかの実施例では、フィールド・プレートがゲートと垂直方向に重ならないように、ゲートから横方向に間隔を置いて配置される、フィールド・プレートを備えるトランジスタ・デバイスを提供する。フィールド・プレートは、いくつかの実施例では、凹部領域においてバリア層に向かって凹んでいる。フィールド・プレートは、さらに別の実施例では、デバイスの活性エリアの外側で、デバイスのゲートを越えない接続部を用いて、ソースに接続することができる。
【0051】
第1、第2、第3などの順序を示す用語は、本明細書では、様々な要素を説明するために使用され得るが、こうした要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。こうした用語は、ある要素を、別の要素から区別するためだけに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。
【0052】
さらに、関係を表す用語である「下の方の」又は「底部」及び「上の方の」又は「上部」などは、本明細書では、図面に示す、ある要素と別の要素との関係を説明するために、使用することができる。関係を表す用語は、図面に描かれている向きに加えて、デバイスの様々な向きを包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図面のうちの1つにあるデバイスがひっくり返されると、要素の「下」側にあると説明されている機構は、その要素の「上」側に向けられることになる。したがって、例示的な用語である「下の方の」は、デバイスの特定の向きに応じて、「下」向きと「上」向きとの両方を説明することができる。同様に、図面のうちの1つにあるデバイスがひっくり返されると、他の要素「より下に」又は他の要素「の下に」あると説明された要素は、この場合、そうした他の要素「より上に」向けられることになる。したがって、例示的な用語である「~より下に」又は「~の下に」は、上向きと下向きとの両方を説明することができる。
【0053】
本明細書で開示の説明に使用されている用語は、特定の実施例を説明することだけを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。単数形「an」、及び「the」は、本開示の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈上明らかにそうでないと示していない限り、複数形も同様に含むことを意図している。用語「and/or」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の関連する列挙されたアイテムのありとあらゆる可能な組合せを指し、それらを包含することも理解されたい。この明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」及び「備える(comprising)」は、述べられたステップ、工程、機構、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の1つ又は複数のステップ、工程、機構、要素、構成要素、及び/又はこれらの群の、存在又は追加を排除するものではないことが、さらに理解されよう。
【0054】
本明細書では、本開示の理想化された実施例の概略図である断面図を参照しながら、本開示の実施例を説明している。したがって、例えば製造技法及び/又は許容誤差の結果である、図の形状からのばらつきが予想されるべきである。本開示の実施例は、したがって、本明細書に示している領域の特定の形状に限定されると解釈すべきではなく、例えば、製造に起因する形状の誤差を含むはずである。図面に示した領域は、本質的に概略的なものであり、領域の形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、特に明記していない限り、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。さらに図式上の理由から、下記の図面で直線、水平、又は垂直に表示されている線は、多くの場合、傾斜しているか、湾曲しているか、非水平であるか、又は非垂直であろう。さらに、要素の厚さは、本質的に図式的なものであることを意図している。
【0055】
技術用語及び科学用語を含む、本開示の実施例の開示に使用されているすべての用語は、それ以外に定義されていない限り、関連分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有し、本開示の時点で既知の特定の定義に、必ずしも限定されるものではない。したがって、こうした用語は、その後に作成される同等の用語を含むことができる。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、本明細書及び関連技術の文脈における用語の意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであることを、さらに理解されたい。
【0056】
GaN HEMTデバイスなどの半導体デバイス内にトラップされた電荷は、デバイスによって生成される出力信号に非線形歪みを引き起こす可能性がある。かかる歪みを低減するには、HEMTデバイスのバリア層内にトラップされた電荷の存在を低減することが望ましい。特定の理論に制限されることは望まないが、現在、電荷は、デバイスのゲート・コンタクトからHEMTデバイスのバリア層及び/又はチャネル層に注ぎ込まれ得、かかる電荷が、バリア層にトラップされ得、トラップされた電荷は、デバイスのスイッチング特性に悪影響を与える可能性があると考えられている。いくつかの実施例では、さもなければバリア層及び/又はチャネル層に注ぎ込まれることになる一部の電荷を、その代わりにバリア層の上面に沿ってデバイスのドレイン・コンタクトに伝導することが可能な、電荷放出経路を形成する、低い表面バリア高さ(SBH:surface barrier height)を有する修正アクセス領域が、バリア層の上面に、又は上面の上に設けられる。修正アクセス領域は、ゲート・コンタクトに対して、HEMTのバリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む。バリア層及び/又はチャネル層にトラップされる可能性のある電荷の数を減らすことによって、デバイスのスイッチング特性を向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施例によるGaN HEMT構造体100を、図2に示している。構造体は、図2に示しているように、基板110を備え、基板上にチャネル層120が形成されている。バリア層122は、チャネル層上に形成されている。ドープされたソース及びドレイン領域123、125が、バリア層122内に形成され、チャネル層120内に延在することができ、ソース及びドレイン・オーミック・コンタクト(ohmic contact)124、126がそれぞれ、ソース及びドレイン領域123、125上に形成されている。
【0058】
さらに図2に示しているように、低い表面バリア高さ(SBH)を有する修正アクセス領域140が、ソース領域123とドレイン領域125との間のデバイスの活性領域内で、バリア層122の、チャネル層120とは反対側の上面に形成されている。ゲート・コンタクト130が、修正アクセス領域140上に形成されている。
【0059】
特定の理論に制限されることは望まないが、修正アクセス領域140の存在により、ゲート・コンタクト130から注ぎ込まれている可能性がある電荷など、デバイスの電荷移動特性に影響を与える可能性のある、バリア層122の表面に存在する電荷が、バリア層122及び/又はチャネル層120にトラップされるのではなく、ドレイン領域125に流れることができる、電荷放出経路が設けられると考えられている。
【0060】
誘電体膜などのパッシベーション膜128が、構造体上に形成され、ゲート・コンタクト130が、パッシベーション膜128上に形成されている。ゲート・コンタクト130は、パッシベーション膜128の開口部を通って延在し、修正アクセス領域140に接触している。
【0061】
基板110は、例えば4H型結晶多形の炭化ケイ素であり得る、半絶縁炭化ケイ素(SiC)基板であり得る。他の炭化ケイ素の候補となる結晶多形には、3C、6H、及び15R型結晶多形が含まれる。本発明の概念の特定の実施例では、炭化ケイ素のバルク結晶は、室温で約1×10Ω・cm以上の抵抗率を有する。任意選択のバッファ層、核生成層、及び/又は遷移層(図示せず)を、基板110上に設けることができる。例えば、炭化ケイ素基板とデバイスの残りのものとの間に、適切な結晶構造遷移(crystal structure transition)をもたらすように、AlNバッファ層が設けられてもよい。
【0062】
炭化ケイ素を基板材料として使用してもよいが、いくつかの実施例は、サファイア、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化ガリウム、ケイ素、GaAs、LGO、ZnO、LAO、InPなど、任意の好適な基板を利用してもよい。
【0063】
さらに図2を参照すると、チャネル層120は、上記で説明したようにバッファ層、遷移層、及び/又は核生成層を使用して、基板110上に堆積することができる。チャネル層、バッファ核生成層、及び/又は遷移層は、さらに、MOCVD、又はMBE若しくはHVPEなど、当業者に知られている他の技法によって、堆積することができる。
【0064】
チャネル層120は、いくつかの実施例では、AlxGa1-xNなどのIII族窒化物であり、ここで0≦x<1である。ただし、チャネル層120の伝導帯端のエネルギーが、バリア層122の、チャネル層とバリア層との間の界面における伝導帯端のエネルギーよりも小さいことが条件となる。いくつかの実施例では、x=0であり、これは、チャネル層120がGaNであることを示す。チャネル層120は、InGaN、AlInGaNなど、他のIII族窒化物であってもよい。チャネル層120は、ドープされていなくても(「意図せずにドープされていても」)よく、約20Åを超える厚さに成長させてもよい。チャネル層120はさらに、超格子又はGaN、AlGaNなどの組合せなど、多層構造であってもよい。
【0065】
チャネル層120は、バリア層122のバンドギャップより小さいバンドギャップを有することができ、チャネル層120はまた、バリア層122より大きい電子親和力を有することができる。バリア層122は、いくつかの実施例では、約0.1nmから約40nmの間の厚さを有する、AlN、AlInN、AlGaN、又はAlInGaNである。バリア層122は、特定の実施例では、チャネル層120とバリア層122との間の界面にかなりのキャリア濃度を誘起するのに十分な厚さであり、且つ十分に高いAl成分及びドーピングを有する。
【0066】
バリア層122は、いくつかの実施例では、AlGaN、AlInGaN、及び/若しくはAlN、又はこれらの層の組合せである。バリア層122は、例えば、約0.1nmから約40nmの厚さであってもよいが、バリア層内での亀裂又は実質的な欠陥の形成を引き起こすほど厚くはない。バリア層122は、いくつかの実施例では、ドープされていないか、又はn型ドーパントで約1019cm-3未満の濃度にドープされている。バリア層122は、本発明の概念のいくつかの実施例では、AlxGa1-xNであり、ここで0<x≦1である。特定の実施例では、アルミニウム濃度は、約25%である。しかし、バリア層122は、本発明の概念の他の実施例では、約5%から約100%の間のアルミニウム濃度を有する、AlGaNを含む。アルミニウム濃度は、本発明の概念の特定の実施例では、約10%より大きい。
【0067】
ゲート・コンタクト130は、図2に示しているような「T」型ゲートであり得、従来の製造技法を使用して製造することができる。ゲート・コンタクト130は、従来の製造技法を使用して製造することができる。好適なゲート材料は、バリア層の組成によって異なり得る。いくつかの実施例では、窒化物系半導体材料にショットキー接触させることができる、Ni、Pt、NiSiX、Cu、Pd、Cr、W、及び/又はWSiNなど、従来の材料を使用することができる。
【0068】
パッシベーション層128は、SiN層であり得る。任意選択で、パッシベーション層を備える構造体を、窒素環境の中で100℃から1200℃の温度でアニーリングし、注入されたドーパントを活性化することができる。
【0069】
修正アクセス領域140は、様々なやり方で形成することができる。修正アクセス領域140を形成するいくつかの選択肢を、例えば、図3Aから図3Dに示している。図3Aを参照すると、いくつかの実施例では、チャネル層120上にバリア層122を形成した後、バリア層122上に犠牲膜152を形成する。犠牲膜152は、バリア層122とは相異なる化学量論組成を有する、誘電体膜であり得る。犠牲膜152は、特定の実施例では、SiN、SiOx、AlN、AlO、HfOなどの誘電体材料を含むことができる。犠牲膜152は、ドープされていてもドープされていなくてもよく、約10nmから約200nmの厚さを有してもよい。
【0070】
犠牲膜152を配置した状態で、構造体を熱154にさらすことにより、構造体をアニーリングする。構造体は、約100℃から約1200℃の温度で、約10秒から約1時間アニーリングすることができる。アニーリングは、窒素、アルゴン、又は別の不活性ガスなどの雰囲気中で、実行することができる。
【0071】
修正アクセス領域140は、アニーリング中に、バリア層122の表面に形成される。修正アクセス領域140は、バリア層122内に、約0.1nmから約40nm延在することができる。修正アクセス領域は、特定の実施例では、バリア層122内に、約0.5nmから約10nm延在することができる。
【0072】
次いで、例えばHFエッチング又は他の剥離プロセスを使用して犠牲膜152を剥離し、バリア層122の表面を洗浄し、修正アクセス領域140を所定の位置に残す。次いで、デバイス製造の残りの工程(例えば、ソース/ドレイン領域123、125、ソース/ドレイン・コンタクト124、126、パッシベーション層128、ゲート130、及び他の誘電体/金属被覆層の形成)を実行する。
【0073】
図3Bを参照すると、修正アクセス領域140は、一部の実施例では、バリア層122上のエピタキシャル層として形成することができる。修正アクセス領域140は、例えば、バリア層122よりも小さいバンドギャップを有する、III族窒化物ベース材料の薄いエピタキシャル層として形成することができる。修正アクセス領域140は、特定の実施例では、修正アクセス領域140がバリア層122よりも小さいバンドギャップを有するようになる、In、Al、及びGaの相対濃度を有する、InAlGaNのエピタキシャル層として形成することができる。InAlGaN材料中のIn、Al、及びGaの濃度と、材料のバンドギャップとの関係を、例えば、様々な相異なる組成(すなわち、In、Al、及びGaの相異なる相対レベル)を有するInAlGaN材料の、バンドギャップ及び格子定数の概略図である、図12に示している。図12からわかるように、材料のバンドギャップは、材料中のAlの割合が増加するにつれて、概ねAlNの6eVを超える大きさまで増加する一方、材料のバンドギャップは、材料中のInの割合が増加するにつれて、InNの2eV未満まで低下する。
【0074】
修正アクセス領域140は、いくつかの実施例では、GaN又はInGaNを含むことができる。修正アクセス領域140は、約0.1nmから約40nm、いくつかの実施例では約0.5nmから約10nmの厚さを有してもよく、ドープされていてもドープされていなくてもよい。修正アクセス領域140は、いくつかの実施例では、高濃度にドープされたAlGaN(例えば、約1E14cm-3を超えるドーピング濃度でドープされたAlGaN)を含んでもよい。さらに別の実施例では、電荷放出キャップ層140は、ケイ素などのn型ドーパントを、約1E14cm-3から1E17cm-3の間のドーピング濃度でドープすることができ、バリア層122と同じ又は類似のバンドギャップを有することができる。
【0075】
図3Cを参照すると、修正アクセス領域140は、バリア層122にドーパント・イオン156を注入することによって、形成することができる。例えば、ケイ素などのn型ドーパント156をバリア層122の表面に注入し、バリア層122の表面に導電率を高めた領域を形成することにより、修正アクセス領域140を形成することができる。修正アクセス領域140は、バリア層122内の注入領域として形成される場合、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度を有することができ、約0.1nmから約40nmの厚さを有することができる。
【0076】
好適な電荷放出キャップ層140は、ケイ素イオンをバリア層122内に、約10keVから約100keVの注入エネルギーで、1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度で層を形成するのに好適な量だけ注入することにより、バリア層122内に形成することができる。
【0077】
いくつかの実施例によれば、修正アクセス領域140の存在により、トランジスタのスイッチング速度を向上させることができる。例えば、図4Aは、従来のGaN HEMTトランジスタ及び本明細書で説明している修正アクセス領域140を備える、GaN HEMTトランジスタを具備するテスト装置での結果を示し、一方図4Bは、従来のトランジスタのショットキー・バリア高さを、本明細書で説明している修正アクセス領域140を備えるトランジスタのショットキー・バリア高さと比較している。
【0078】
図4Aを参照すると、修正アクセス領域140のないデバイス(上の方のグラフ)及び修正アクセス領域140を備えるデバイス(下の方のグラフ)に、RFパルスを入力した。具体的には、入出力整合ネットワーク回路及び負荷を、適切なバイアス条件下で設定し、各デバイスのゲート端子にRFパルスを入力して、デバイスの過渡的な挙動をテストした。結果として得られた出力波形を、右側に示している。
【0079】
修正アクセス領域140のないデバイスは、印加されたRFパルス信号の開始時に、著しいドレイン電流降下(回復前の遅れ)を示し、これは、欠陥に関連するトラップされた電荷による影響を受けていると考えられる。具体的には、電荷放出キャップ層140のないデバイスは、数ミリ秒の回復時定数(τ)を示したが、電荷放出キャップ層140を備えるデバイスは、数マイクロ秒の著しくより短い回復時定数(τ)を示した。しかし、図4Aに見られるように、修正アクセス領域140を備えるデバイスは、若干の望ましからざる、出力信号のオーバーシュートも示した。
【0080】
図4Bを参照すると、修正アクセス領域140を備えるデバイスは、修正アクセス領域140のないデバイスよりも、平均ショットキー・バリア高さが低く、これは望ましくない可能性がある。例えば、ショットキー・バリアの高さの低下が、図4Aで明らかな、オーバーシュートの原因である可能性がある。
【0081】
図4Cは、バリア層122の表面における、フェルミ準位Eと伝導帯Eとの間のエネルギー・バリアである、HEMTデバイスの表面バリア高さを示している。図4Cに見られるように、デバイスの表面バリア高さを低くすることにより、さもなければバリア層122内にトラップされることになるキャリアは、バリア層122とチャネル層120との間の2DEG領域に移動可能となり得、キャリアを、デバイスのドレインに伝導できると考えられる。この影響を排するために、いくつかの実施例では、デバイスのソース領域123とドレイン領域125との間のデバイス活性領域の選択部分だけに、選択的修正アクセス領域を設ける。具体的には、いくつかの実施例では、修正アクセス領域140によって設けられる電荷放出経路を、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域に局所化することにより、欠点を克服することができる。図5Aを参照すると、GaN HEMTデバイス200には、ゲート・コンタクト130とドレイン領域125との間の領域(図5Aでは、G-D領域と示されている)内だけに設けられた選択的修正アクセス領域240によって、局所化された電荷放出経路が設けられる。選択的修正アクセス領域240は、特定の実施例では、ゲート・コンタクト130の下に延在しなくてもよく、これによりゲート・コンタクト130が、バリア層122に直接接触する。
【0082】
選択的修正アクセス領域240は、ゲート・コンタクト130の下、並びにゲート・コンタクト130とソース領域123との間の、バリア層122の部分と比べて、低くなった表面バリア高さを有することができる。選択的修正アクセス領域240を選択的に設けることにより、デバイスの過渡的な挙動ばかりでなく、デバイスのショットキー・バリア高さも改善することができる。選択的修正アクセス領域240は、いくつかの実施例では、図3Bに示した実施例と同様に、低SBHエピタキシャル層140のマスキング及び選択的エピタキシャル成長によって、形成することができる。
【0083】
図5Bを参照すると、いくつかの実施例では、選択的修正アクセス領域242は、バリア層122内の、ゲート・コンタクト130とドレイン領域125との間の設けることができる。アニーリングの前に、選択的犠牲膜162を選択的に形成すること(図3Dに示しているように)、例えば、アニーリングの前に、図3Aの犠牲膜152をマスキングし、エッチングして、図3Dの選択的犠牲膜162を形成することにより、選択的修正アクセス領域242を形成することができる。アニーリングの前に、選択的犠牲膜162の上に保護膜164を形成することができる。さらなる実施例では、図3Cを参照すると、選択的修正アクセス領域242は、マスキング及びバリア層122内へのイオン156の選択的注入により、形成することができる。
【0084】
図5Cを参照すると、さらなる実施例による、GaN HEMT構造体200Cを示している。GaN HEMT構造体200Cでは、低くなった表面バリア高さを有する修正アクセス領域244が、ソース領域123とゲート・コンタクト130との間のS-G領域内だけに設けられている(ゲート・コンタクト130の下には設けられていない)。したがって、図5Cに示しているデバイスは、ゲート・コンタクト130とバリア層122との間で、高いショットキー・バリアを維持しながら、ソース・コンタクト124とゲート・コンタクト130との間の領域に、低くなった表面バリア高さを有することができる。図5Cには示していないが、修正アクセス領域244は、図5Bに関して上記で説明したように、バリア層122内の表面領域として形成されてもよいことが理解されよう。
【0085】
図5Dを参照すると、さらなる実施例による、GaN HEMT構造体200Dを示している。GaN HEMT構造体200Cでは、低くなった表面バリア高さを有する第1の修正アクセス領域246が、S-G領域の、ソース領域123とゲート・コンタクト130との間に設けられ(ただし、ゲート・コンタクト130の下にはない)、低くなった表面バリア高さを有する第2の修正アクセス領域248が、G-D領域の、ゲート・コンタクト130とドレイン領域125との間に設けられている(ただし、ゲート・コンタクト130の下にはない)。したがって、図5Dに示しているデバイスは、ゲート・コンタクト130とバリア層122との間で、高いショットキー・バリアを維持しながら、ソース・コンタクト124とゲート・コンタクト130との間の領域、並びにゲート・コンタクト130とドレイン・コンタクト126との間の領域で、低くなった表面バリア高さを有することができる。図5Dには示していないが、図5Bに関して上記で説明したように、第1の修正アクセス領域246及び第2の修正アクセス領域248の一方又は両方が、バリア層122内の表面領域として形成されてもよいことが理解されよう。
【0086】
G-D領域における選択的修正アクセス領域240又は領域242の存在により、ドレイン電流の望ましからざるオーバーシュートを引き起こすことなく、いくつかの実施例によるトランジスタのスイッチング速度を高めることができる。例えば、図6Aは、従来のGaN HEMTトランジスタ、ソース領域123とドレイン領域125との間の、活性領域全体にわたる修正アクセス領域140を備えるGaN HEMTトランジスタ、並びにG-D領域だけに選択的修正アクセス領域240を備えるGaN HEMTトランジスタを具備する、テスト装置での結果を示している。図6Bは、従来のトランジスタのショットキー・バリア高さを、修正アクセス領域140を備えるトランジスタ、及び本明細書で説明した、G-D領域だけに選択的修正アクセス領域240を備えるトランジスタの、ショットキー・バリア高さと比較している。
【0087】
図6Aを参照すると、修正アクセス領域のないデバイス(上の方のグラフ)、全体に修正アクセス領域140を備えるデバイス(中央のグラフ)、及び選択的修正アクセス領域240を備えるデバイス(下の方のグラフ)に、RFパルスを入力した。具体的には、入出力整合ネットワーク回路及び負荷を、適切なバイアス条件下で設定し、各デバイスのゲート端子にRFパルスを入力して、デバイスの過渡的な挙動をテストした。結果として得られた出力波形を、右側に示している。
【0088】
部分選択的修正アクセス領域240を備えるデバイスは、約数マイクロ秒の回復時定数(τ)を示した。これは、全体に修正アクセス領域140を備えるデバイスの性能に匹敵する。しかし、図6Aに見られるように、部分選択的修正アクセス領域240を備えるデバイスでは、出力信号の明らかなオーバーシュートは、示されなかった。さらに、図6Bを参照すると、選択的修正アクセス領域240を備えるデバイスは、修正アクセス領域のないデバイスと同様の、ショットキー・バリア高さを有していた。
【0089】
選択的修正アクセス領域240、242の選択的形成を、図7Aから図7Cに示している。例えば、図7Aを参照すると、基板110上にチャネル層120及びバリア層122を形成した後、エピタキシャル成長マスク702を、バリア層122の上面上の、デバイスのS-G領域に相当する領域(図5A)内に、選択的に形成することができる。エピタキシャル成長マスク702は、バリア層の表面の、デバイスのG-D領域に相当する一部を露出させる。次いで、バリア層122の露出部分上にエピタキシャル層を選択的に形成し、選択的修正アクセス領域240を形成する。
【0090】
図7Bを参照すると、いくつかの実施例では、注入マスク704を、バリア層122の上面上の、デバイスのS-G領域に相当する領域内に選択的に形成する。注入マスク704は、バリア層の表面の、デバイスのG-D領域に相当する一部を露出させる。次いで、バリア層122の露出された表面にドーパント・イオン756を注入し、選択的修正アクセス領域240を形成する。
【0091】
図7Cを参照すると、いくつかの実施例では、犠牲層708を、バリア層122の上面上の、デバイスのG-D領域に相当する領域内に選択的に形成する。注入マスク704は、バリア層の表面の、デバイスのS-G領域に相当する一部を露出させる。次いで、構造体をアニーリング754し、選択的修正アクセス領域242を形成する。アニーリングの際のバリア層の表面脱離を防止するために、アニーリング前に、表面保護層(図示せず)を犠牲層の上に形成してもよい。次いで、例えばエッチングによって、犠牲層を除去する。
【0092】
選択的修正アクセス領域240は、いくつかの実施例では、ゲート・コンタクト130とドレイン領域125との間の、G-D領域全体を満たさなくてもよい。例えば、複数の修正アクセス領域を、バリア層122の上面上に形成してもよく、ゲートの長さに沿って、間隔を置いて配置してもよい。複数の修正アクセス領域の使用により、領域の寸法設定及び配置によって、バリア層122の表面からドレイン領域125へ電荷放出する、導電率を制御する仕組みを実現することができる。
【0093】
図7Dは、トランジスタ・デバイスを形成する方法を示している。この方法は、チャネル層と、チャネル層上にバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップを含み、バリア層は、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する(ブロック722)。修正アクセス領域が、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に形成される(ブロック724)。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトが、バリア層上に形成され(ブロック726)、ゲート・コンタクトが、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に形成される(ブロック728)。修正アクセス領域は、ゲート・コンタクトに対して、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含む。
【0094】
修正アクセス領域を形成するステップは、バリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップと、犠牲誘電体層及びバリア層をアニーリングするステップと、犠牲誘電体層を除去するステップとを含むことができる。犠牲誘電体層は、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含むことができる。
【0095】
修正アクセス領域を形成するステップは、バリア層上に、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料のエピタキシャル層を、形成するステップを含むことができる。エピタキシャル層は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0096】
修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、n型ドーパントを注入するステップを含む。
【0097】
修正アクセス領域は、いくつかの実施例では、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域内にあり、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間には、全範囲に延在しているわけではない。ゲート・コンタクトは、いくつかの実施例では、バリア層への非オーミック接触を形成し、修正アクセス領域とは接触していない。
【0098】
この方法は、バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含むことができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、修正アクセス領域は、ドレイン領域に接触している。
【0099】
図8Aから図8Fは、様々なさらなる実施例による、HEMTデバイスを形成する工程を示している。図8Aから図8Fは、HEMTデバイス構造体のG-D領域に、修正アクセス領域を形成する工程を示している。しかし、図5Cに示したようにS-G領域に、又は図5Dに示したようにHEMTデバイス構造体のS-G領域とG-D領域との両方に、修正アクセス領域を形成するために、同様の工程を実行できることが理解されよう。
【0100】
図8Aは、基板110、チャネル層120、及びバリア層122を備えるGaN HEMTデバイスの前駆体構造体の、図8Aの構造体の平面図である図8Bの線A-Aに沿って裁断された、断面図である。マスク803は、バリア層122の表面の複数の領域122Aを露出させるように、バリア層122の上面上に形成される。領域122Aは、前駆体構造体のG-D領域にわたって延在する。領域122Aは、それぞれ、1ミクロンから100ミクロンであり得る、幅d1及びd2を有する。領域122Aの数は、デバイスの全体的なゲート幅と共に、d1及びd2の値によって変わり得る。領域122Aは、図8Bでは長方形で示されているが、任意の所望の形状を有することができることが理解されよう。
【0101】
図8C及び図8Dを参照すると、犠牲膜805が、マスク層の上、及びバリア層上の領域122A内に形成される。犠牲膜805は、図3Aに関連して上記で説明した犠牲膜152の組成と、同様の組成を有することができる。次いで、図3Aに関連して上記で説明したのと同様のやり方で、構造体をアニーリング854し、バリア層122の表面の露出された領域122Aに、複数の領域842を形成する。
【0102】
図8Eを参照すると、いくつかの実施例では、領域842は、バリア層122の表面の露出された領域122Aにイオン856を注入することにより、形成することができる。
【0103】
図8Fを参照すると、いくつかの実施例では、領域842は、バリア層上の、露出された領域122A内での選択的エピタキシャル成長によって、形成することができる。
【0104】
図8G-1を参照すると、いくつかの実施例では、領域122Bは、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の全長をカバーするよう形成でき、これにより選択的修正アクセス領域842は、デバイスのG-D領域だけでなくS-G領域にも形成される。
【0105】
図8G-2を参照すると、いくつかの実施例では、領域122Bは、ソース・コンタクトとゲート・コンタクトとの間に形成でき、これにより選択的修正アクセス領域842は、デバイスのS-G領域に形成される。
【0106】
図8G-3を参照すると、いくつかの実施例では、領域122Bは、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に形成できるが、ゲート・コンタクトの下には形成せず、これにより選択的修正アクセス領域842は、デバイスのS-G領域及びG-D領域内に形成されるが、ゲート・コンタクトの下には形成されない。
【0107】
図8Hは、トランジスタ・デバイスを形成する方法を示している。この方法は、チャネル層と、チャネル層上にバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップを含み、バリア層は、チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する(ブロック802)。この方法はさらに、ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトを、バリア層上に形成するステップ(ブロック804)、並びにゲート・コンタクトを、バリア層上の、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間に形成するステップ(ブロック806)を含む。この方法は、バリア層の、チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を形成するステップ(ブロック808)をさらに含む。選択的修正アクセス領域は、ゲート・コンタクトに対して、バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、複数の電荷放出キャップ領域は、ゲート・コンタクトの長さに沿って間隔を置いて配置される。
【0108】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、バリア層上にマスクを形成するステップであって、マスクが、バリア層の上面のそれぞれの部分を露出させる複数の開口部を有する、マスクを形成するステップと、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分に、選択的修正アクセス領域を形成するステップとを、含むことができる。
【0109】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、マスク及びバリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップであって、犠牲誘電体層が、開口部内に延在し、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分でバリア層と接触する、犠牲誘電体層を形成するステップと、犠牲誘電体層及びバリア層をアニーリングするステップと、犠牲誘電体層を除去するステップとを含むことができる。犠牲誘電体層は、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含むことができる。
【0110】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分上に、エピタキシャル層を選択的に形成するステップを含むことができ、エピタキシャル層は、バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料を含む。エピタキシャル層は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0111】
選択的修正アクセス領域を形成するステップは、いくつかの実施例では、開口部によって露出されたバリア層の上面の部分に、n型ドーパントを注入するステップを含む。
【0112】
ゲート・コンタクトは、いくつかの実施例では、バリア層への非オーミック接触を形成し、電荷放出キャップ領域とは接触していない。
【0113】
この方法は、バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含むことができ、ドレイン・コンタクトは、ドレイン領域に接触し、電荷放出キャップ領域は、ドレイン領域に接触する。
【0114】
選択的修正アクセス領域は、第1の幅d1を有することができ、バリア層上でゲート・コンタクトの長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置することができる。
【0115】
第1の幅d1は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよく、第2の幅d2は、約1ミクロンから100ミクロンの間であってもよい。
【0116】
本明細書で説明している、選択的修正アクセス領域を備えるトランジスタ・デバイスは、多種多様な相異なる周波数帯域で動作する増幅器で、使用することができる。いくつかの実施例では、本明細書で説明しているようなトランジスタ・デバイスを組み込んだ、RFトランジスタ増幅器は、1GHzを超える周波数で動作するよう構成され得る。RFトランジスタ増幅器は、他の実施例では、2.5GHzを超える周波数で動作するよう構成され得る。RFトランジスタ増幅器は、さらに他の実施例では、3.1GHzを超える周波数で動作するよう構成され得る。RFトランジスタ増幅器は、さらに追加の実施例では、5GHzを超える周波数で動作するよう構成され得る。RFトランジスタ増幅器は、いくつかの実施例では、2.5~2.7GHz、3.4~4.2GHz、5.1~5.8GHz、12~18GHz、18~27GHz、27~40GHz、若しくは40~75GHzの周波数帯域、又はこれらの周波数帯域の一部のうちの、少なくとも1つで動作するよう構成され得る。
【0117】
本発明の概念の実施例を、HEMTデバイスに関連して上記で論じてきたが、本明細書で説明している本発明の概念は、MOSFET、DMOSトランジスタ、及び/又は横方向拡散MOS(LDMOS:laterally diffused MOS)トランジスタなどの、他のタイプの半導体デバイスにも適用できることが理解されよう。
【0118】
本明細書で説明されているトランジスタ・デバイスを組み込んだRFトランジスタ増幅器は、独立型のRFトランジスタ増幅器及び/又は複数のRFトランジスタ増幅器で、使用することができる。いくつかの実施例によるRFトランジスタ増幅器が、複数の増幅器を備える用途で、どのように使用され得るかの実例について、図9A図9Cを参照して論じることにする。
【0119】
図9Aを参照すると、電気的に直列に接続された前置増幅器1010及び主増幅器1030を備える、RFトランジスタ増幅器1000Aを概略的に示している。RFトランジスタ増幅器1000Aは、図9Aに示しているように、RF入力1001、前置増幅器1010、段間インピーダンス整合ネットワーク1020、主増幅器1030、及びRF出力1002を備える。段間インピーダンス整合ネットワーク1020は、前置増幅器1010の出力と主増幅器1030の入力との間の、インピーダンス整合を向上させる回路を形成するために、例えば、任意の適切な構成で配置されたインダクタ及び/又はキャパシタを備えることができる。RFトランジスタ増幅器1000Aは、図9Aには示されていないが、RF入力1001と前置増幅器1010との間に挿入される入力整合ネットワーク、並びに/又は主増幅器1030とRF出力1002との間に挿入される出力整合ネットワークを、さらに備えることができる。実施例によるRFトランジスタ増幅器は、前置増幅器1010及び主増幅器1030のいずれか又は両方を実現するために、使用することができる。
【0120】
図9Bを参照すると、RF入力1001、一対の前置増幅器1010-1、1010-2、一対の段間インピーダンス整合ネットワーク1020-1、1020-2、一対の主増幅器1030-1、1030-2、及びRF出力1002を備える、RFトランジスタ増幅器1000Bを概略的に示している。分配器1003及び合成器1004も設けられている。(電気的に直列に接続されている)前置増幅器1010-1及び主増幅器1030-1は、(電気的に直列に接続されている)前置増幅器1010-2及び主増幅器1030-2と、電気的に並列に配置されている。RFトランジスタ増幅器1000Bは、図9AのRFトランジスタ増幅器1000Aと同様に、RF入力1001と前置増幅器1010-1、1010-2との間に挿入される入力整合ネットワーク、並びに/又は主増幅器1030-1、1030-2とRF出力と1002との間に挿入される出力整合ネットワークを、さらに備えることができる。
【0121】
図9Cに示しているように、いくつかの実施例によるRFトランジスタ増幅器は、ドハティ増幅器を実現するために使用することもできる。ドハティ増幅器回路は、当技術分野で知られているように、第1及び第2(又はそれ以上)の電力合成増幅器を備える。第1の増幅器は、「主」増幅器又は「キャリア」増幅器と呼ばれ、第2の増幅器は、「ピーキング」増幅器と呼ばれる。2つの増幅器は、別々にバイアスすることができる。例えば、1つの一般的なドハティ増幅器の実施態様では、主増幅器は、AB級増幅器又はB級増幅器を含むことができ、一方ピーキング増幅器は、C級増幅器であり得る。ドハティ増幅器は、飽和レベルからバックオフをとった電力レベルで動作する場合に平衡増幅器よりも効率的に動作することができる。ドハティ増幅器に入力されたRF信号は、(例えば、直交合成器を使用して)分配され、2つの増幅器の出力が合成される。主増幅器は最初に(すなわち、より低い入力電力レベルで)オンになるよう構成されているため、主増幅器だけが、より低い電力レベルで動作することになる。入力電力レベルが飽和レベルに向かって増加すると、ピーキング増幅器がオンになり、入力RF信号は、主増幅器とピーキング増幅器との間で分配される。
【0122】
ドハティRFトランジスタ増幅器1000Cは、図9Cに示しているように、RF入力1001、入力分配器1003、主増幅器1040、ピーキング増幅器1050、出力合成器1004、及びRF出力1002を備える。ドハティRFトランジスタ増幅器1000Cは、ピーキング増幅器1050の入力に90°トランス1007を備え、主増幅器1040の入力に90°トランス1005を備え、任意選択で、入力整合ネットワーク及び/又は出力整合ネットワークを備えることができる(図示せず)。主増幅器1040及び/又はピーキング増幅器1050は、上記で説明した、実施例によるRFトランジスタ増幅器のいずれかを使用して、実現することができる。
【0123】
実施例によるRFトランジスタ増幅器は、個別のデバイスとして形成されてもよく、又はモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit)の一部として形成されてもよい。MMICは、特定の機能用に、すべての回路が単一の半導体チップに集積された、無線及び/又はマイクロ波周波数の信号で動作する集積回路を指す。例示的なMMICデバイスは、関連する整合回路、給電ネットワークなどを備えるトランジスタ増幅器であり、これらはすべて、共通の基板上で実現される。MMICトランジスタ増幅器は、典型的には、並列接続された複数のユニット・セルHEMTトランジスタを備える。
【0124】
図10は、本発明の概念の実施例による、MMIC RFトランジスタ増幅器400の平面図である。MMIC RFトランジスタ増幅器400は、図10に示しているように、パッケージ410内に収容された集積回路チップ430を備える。パッケージ410は、集積回路チップ430を囲繞し、保護する、保護性筐体を備えることができる。パッケージ410は、例えば、セラミック材料で形成されてもよい。
【0125】
パッケージ410は、入力リード412及び出力リード418を備える。入力リード412は、例えばはんだづけによって、入力リード用パッド414に取り付けることができる。1本又は複数の入力接合ワイヤ420は、入力リード用パッド414を集積回路チップ430上の入力接合パッドに電気的に接続することができる。集積回路チップ430は、入力給電ネットワーク438、入力インピーダンス整合ネットワーク450、第1のRFトランジスタ増幅段460、中間インピーダンス整合ネットワーク440、第2のRFトランジスタ増幅段462、出力インピーダンス整合段470、及び出力給電ネットワーク482を備える。
【0126】
パッケージ410は、例えばはんだづけによって出力リード用パッド416に接続された、出力リード418をさらに備える。1本又は複数の出力接合ワイヤ490は、出力リード用パッド416を集積回路チップ430上の出力接合パッドに電気的に接続することができる。第1のRFトランジスタ増幅段460及び/又は第2のRFトランジスタ増幅段462は、本発明の概念の実施例による、RFトランジスタ増幅器のいずれかを使用して実現することができる。
【0127】
本発明の概念の実施例によるRFトランジスタ増幅器は、多様な相異なる周波数帯域で動作するよう設計することができる。こうしたRFトランジスタ増幅器ダイは、いくつかの実施例では、0.6~2.7GHz、3.4~4.2GHz、5.1~5.8GHz、12~18GHz、18~27GHz、27~40GHz、若しくは40~75GHzの周波数帯域、又はこれらの周波数帯域の一部のうちの、少なくとも1つで動作するよう構成され得る。本発明の概念の実施例による技法は、10GHz以上の周波数で動作するRFトランジスタ増幅器にとって特に有利であり得る。
【0128】
図11A及び図11Bは、それぞれ、パッケージ化されたRFトランジスタ増幅器600A及び600Bを実現するために、本発明の概念の実施例によるRFトランジスタ増幅器ダイをパッケージ化できる、いくつかの例示的なやり方を示す、概略断面図である。
【0129】
図11Aは、パッケージ化された、III族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器600Aの概略側面図である。パッケージ化されたRFトランジスタ増幅器600Aは、図11Aに示しているように、開放空洞パッケージ610A内にパッケージ化されたRFトランジスタ増幅器ダイ100を備える。パッケージ610Aは、金属ゲート・リード622A、金属ドレイン・リード624A、金属サブマウント630、側壁640、及び蓋642を備える。
【0130】
サブマウント630は、パッケージ600Aの熱管理の助けとなるよう構成された材料を、含むことができる。サブマウント630は、例えば、銅及び/又はモリブデンを含むことができる。サブマウント630は、いくつかの実施例では、複数の層で構成されてもよく、且つ/又はビア/相互接続部を含有してもよい。サブマウント630は、例示的な実施例では、いずれかの主面上に銅クラッド層を有するコア・モリブデン層を備える、多層銅/モリブデン/銅金属フランジであり得る。サブマウント630は、いくつかの実施例では、リード・フレーム又は金属スラグの一部である、金属ヒート・シンクを備えることができる。側壁640及び/又は蓋642は、いくつかの実施例では、絶縁材料で形成されるか、又は絶縁材料を含むことができる。側壁640及び/又は蓋642は、例えば、セラミック材料で形成されるか、又はセラミック材料を含むことができる。
【0131】
側壁640及び/又は蓋642は、いくつかの実施例では、例えば、Al2O3で形成され得る。蓋642は、エポキシ接着剤を使用して、側壁640に接着することができる。側壁640は、例えば蝋づけによって、サブマウント630に取り付けることができる。ゲート・リード622A及びドレイン・リード624Aは、側壁640を貫いて延在するよう構成されるが、本発明の概念の実施例は、これに限定されるものではない。
【0132】
RFトランジスタ増幅器ダイ100は、金属サブマウント630、セラミック側壁640、及びセラミック蓋642によって画定された、空気で満たされた空洞612内で、金属サブマウント630の上面に取り付けられている。RFトランジスタ増幅器ダイ100のゲート端子及びドレイン端子は、構造体の上側にあり得るが、ソース端子は、構造体の下側にある。
【0133】
ゲート・リード622Aは、1本又は複数の接合ワイヤ654によって、RFトランジスタ増幅器ダイ100のゲート端子に接続することができる。ドレイン・リード624Aは、同様に、1本又は複数の接合ワイヤ654によって、RFトランジスタ増幅器ダイ100のドレイン端子に接続することができる。ソース端子は、例えば導電性ダイ・アタッチ材料(図示せず)を使用して、金属サブマウント630に取り付けることができる。金属サブマウント630は、ソース端子126への電気接続部を備えることができ、またRFトランジスタ増幅器ダイ100内で生成される熱を放散する、放熱構造体として機能することもできる。
【0134】
熱は、主として、比較的高い電流密度が、例えばユニット・セル・トランジスタのチャネル領域で生成される、RFトランジスタ増幅器ダイ100の上部で生成される。この熱は、装置のソース・ビア146及び半導体層構造体を通ってソース端子に伝達され、次いで、金属サブマウント630に伝達され得る。
【0135】
図11Bは、別のパッケージ化された、III族窒化物ベースのRFトランジスタ増幅器600Bの概略側面図である。RFトランジスタ増幅器600Bは、相異なるパッケージ610Bを備えるという点で、RFトランジスタ増幅器600Aとは異なる。パッケージ610Bは、金属サブマウント630、並びに金属ゲート622B及びドレイン・リード624Bを備える。RFトランジスタ増幅器600Bはまた、RFトランジスタ増幅器ダイ100、リード622B、624B、及び金属サブマウント630を少なくとも部分的に囲繞する、プラスチック外側被覆660を備える。
【0136】
上記の実施例の特徴の、多くの変形が可能である。本発明の実施例で使用され得る特徴を有するトランジスタ構造体は、以下の同一出願人による刊行物に開示されており、刊行物のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。Chavarkar等に付与された米国特許第6,849,882号、名称「Group-III Nitride Based High Electron Mobility Transistor(HEMT)With Barrier/Spacer Layer」、Parikh等に付与された米国特許第7,230,284号、名称「Insulating Gate AlGaN/GaN HEMT」、Parikh等に付与された米国特許第7,501,669号、名称「Wide Bandgap Transistor Devices With Field Plates」、Mishra等に付与された米国特許第7,126,426号、名称「Cascode Amplifier Structures Including Wide Bandgap Field Effect Transistor With Field Plates」、Wu等に付与された米国特許第7,550,783号、名称「Wide Bandgap HEMTs With Source Connected Field Plates」、Wu等に付与された米国特許第7,573,078号、名称「Wide Bandgap Transistors With Multiple Field Plates」、Wu等に付与された米国特許出願公開第2005/0253167号、名称「Wide Bandgap Field Effect Transistors With Source Connected Field Plates」、Wu等に付与された米国特許出願公開第2006/0202272号、名称「Wide Bandgap Transistors With Gate-Source Field Plates」、Wuに付与された米国特許出願公開第2008/0128752号、名称「GaN Based HEMTs With Buried Field Plates」、Moore等に付与された米国特許出願公開第2010/0276698号、名称「Gate Electrodes For Millimeter-Wave Operation and Methods of Fabrication」、Smith,Jr.等に付与された米国特許出願公開第2012/0049973号、名称「High Power Gallium Nitride Field Effect Transistor Switches」、Fisherに付与された米国特許出願公開第2012/0194276号、名称「Low Noise Amplifiers Including Group III Nitride Based High Electron Mobility Transistors」、及びSriram等に付与された米国特許第9,847,411号、名称「Recessed field plate transistor structures」。
【0137】
本発明の概念の実施例を、実施例の特定の構成を参照しながら、かなり詳細に説明してきたが、他の種類も可能である。フィールド・プレート及びゲートも、多くの様々な形状を有することができ、また多くの相異なるやり方で、ソース・コンタクトに接続することができる。したがって、本発明の趣旨及び範囲は、上記で説明した特定の実施例に限定されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G-1】
図8G-2】
図8G-3】
図8H
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル層と、前記チャネル層上にバリア層とを備える、半導体エピタキシャル層構造体であって、前記バリア層が、前記チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体と
記バリア層上のソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトであって、当該ソース・コンタクト及び当該ドレイン・コンタクトは第1の方向に間隔を置いて配置される、前記ソース・コンタクト及び前記ドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の、前記バリア層上のゲート・コンタクト
を具備し、
前記修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を備え、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、前記複数の選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上に、前記第1の方向に対して垂直方向である第2の方向に前記ゲート・コンタクトの幅に沿って、間隔を置いて配置されている、トランジスタ・デバイス。
【請求項2】
前記バリア層内のドープされたドレイン領域であって、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域と接触する、ドレイン領域をさらに備え、
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン領域との間にある、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項3】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、導電率を高めた領域を備える、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項4】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の前記上面に、注入されたドーパントを含む注入領域を備える、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項5】
前記選択的修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項6】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料の、エピタキシャル半導体層を備える、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項7】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低いAl濃度を有するAlGaNを含む、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項8】
前記バリア層が、AlGaNを含み、前記選択的修正アクセス領域が、GaNを含む、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項9】
前記選択的修正アクセス領域が、n型ドーパントでドープされている、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項10】
前記選択的修正アクセス領域が、約0.1nmから約40nmの厚さと、約1E14cm-3から約1E17cm-3のドーピング濃度とを有する、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項11】
前記選択的修正アクセス領域には、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に存在する電荷キャリアを前記ドレイン・コンタクトに向かって伝導することが可能な電荷放出経路が設けられる、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項12】
前記ゲート・コンタクトが、前記選択的修正アクセス領域と接触しない、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項13】
前記選択的修正アクセス領域が、第1の幅d1を有し、前記バリア層上で前記ゲート・コンタクトの前記長さに沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置されている、請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項14】
前記第1の幅d1が、約1ミクロンから100ミクロンの間であり、前記第2の幅d2が、約1ミクロンから100ミクロンの間である、請求項13に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項15】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ソース・コンタクトとの間にある、
請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項16】
前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層上の、前記ゲート・コンタクトと前記ソース・コンタクトとの間、並びに前記ゲート・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間にある、
請求項に記載のトランジスタ・デバイス。
【請求項17】
トランジスタ・デバイスを形成する方法であって、
チャネル層と当該チャネル層上のバリア層とを備える半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップであり、前記バリア層が、前記チャネル層よりも大きいバンドギャップを有する、半導体エピタキシャル層構造体を設けるステップと、
前記バリア層上にソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトを形成するステップであって、当該ソース・コンタクト及び当該ドレイン・コンタクトは第1の方向に間隔を置いて配置される、前記ソース・コンタクト及び前記ドレイン・コンタクトを形成するステップと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の、前記バリア層上にゲート・コンタクトを形成するステップと、
前記修正アクセス領域を形成するステップが、前記バリア層の、前記チャネル層とは反対側の上面に、複数の選択的修正アクセス領域を形成するステップを含み、前記選択的修正アクセス領域が、前記バリア層よりも低い表面バリア高さを有する材料を含み、前記複数の選択的修正アクセス領域が、前記第1の方向に対して垂直方向である第2の方向に前記ゲート・コンタクトのに沿って、間隔を置いて配置される、方法。
【請求項18】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
前記バリア層上にマスクを形成するステップであって、前記マスクが、前記バリア層の上面のそれぞれの部分を露出させる、複数の開口部を有する、マスクを形成するステップと、
前記開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の前記部分に、前記選択的修正アクセス領域を形成するステップと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
前記マスク及び前記バリア層上に犠牲誘電体層を形成するステップであって、前記犠牲誘電体層が、前記開口部内に延在し、前記開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の前記部分で、前記バリア層と接触する、犠牲誘電体層を形成するステップと、
前記犠牲誘電体層及び前記バリア層をアニーリングするステップと、
前記犠牲誘電体層を除去するステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記犠牲誘電体層が、SiN、SiOx、AlN、AlO、及び/又はHfOを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の部分上に、エピタキシャル層を選択的に形成するステップであって、前記エピタキシャル層が、前記バリア層よりも小さいバンドギャップを有する材料を含む、エピタキシャル層を形成するステップ
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記エピタキシャル層が、n型ドーパントでドープされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記選択的修正アクセス領域を形成するステップが、
開口部によって露出された前記バリア層の前記上面の部分に、n型ドーパントを注入するステップ
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記ゲート・コンタクトが、前記選択的修正アクセス領域と接触しない、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記バリア層内に、ドープされたドレイン領域を形成するステップをさらに含み、前記ドレイン・コンタクトが、前記ドレイン領域に接触し、前記選択的修正アクセス領域が、前記ドレイン領域に接触する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記選択的修正アクセス領域が、第1の幅d1を有し、前記バリア層上で前記ゲート・コンタクトの前記に沿って、第2の幅d2だけ間隔を置いて配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の幅d1が、約1ミクロンから100ミクロンの間であり、前記第2の幅d2が、約1ミクロンから100ミクロンの間である、請求項26に記載の方法。
【国際調査報告】