(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】地理的地域における農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240514BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571826
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022063690
(87)【国際公開番号】W WO2022243500
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローフェル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハウゼン,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】プリエーゼ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ペリ,ヴェンカタ ラマナ
(72)【発明者】
【氏名】クリステン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メルク,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC01
(57)【要約】
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法(100)であって、地理的地域に関する作物成長指数データを提供する(110)ステップと、提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアを決定する(120)ステップと、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供する(130)ステップと、製品消費モデルを使用して、特定の作物を用いて耕作された決定されたエリアに少なくとも基づいて、地理的地域における特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに関する農業製品の消費量の推定値を提供する(140)ステップとを含む、コンピュータ実施方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法(100)であって、
前記地理的地域に関する作物成長指数データを提供する(110)ステップと、
前記提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域のエリアを決定する(120)ステップと、
前記特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域の前記エリアに少なくとも基づいて、前記農業製品の消費量を推定するように構成された、前記農業製品に関する製品消費モデルを提供する(130)ステップと、
前記製品消費モデルを使用して、前記特定の作物を用いて耕作された前記決定されたエリアに少なくとも基づいて、前記地理的地域における前記特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域の前記決定されたエリアに関する前記農業製品の前記消費量の推定値を提供する(140)ステップと
を含む、コンピュータ実施方法(100)。
【請求項2】
前記農業製品が、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、肥料、栄養剤、種子/苗木、及び/又はそれらの組合せである、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記作物成長指数データが、正規化差植生指数(NDVI)データ、葉面積指数(LAI)データ、正規化差水質指数(NDWI)データ、拡張植生指数(EVI)データである、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記地理的地域における作付面積が、前記地理的地域に関する前記作物成長指数データに基づいて事前に選択された一群の作物に関して決定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記作物成長指数データが、前記特定の作物の初期作物段階において提供される、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記作物成長指数データ、好ましくは前記正規化差植生指数(NDVI)データが、現在の時間又は前記特定の作物の播種から15~30日後、好ましくは前記特定の作物の播種から17~25日後、最も好ましくは前記特定の作物の播種から21日後の時間である開始時間t
1と、t
1から2~10週間後、好ましくはt
1から4~8週間後、最も好ましくはt
1から6週間後である終了時間t
2との間の期間に提供される、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記作物成長指数データが、事前に決定された時系列に関して提供される、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記植物固有の基準データが、集中型及び/又は分散型コンピューティング環境によって提供される、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記特定の作物を用いて耕作された前記エリアを決定するステップが、衛星、無人車両、車両搭載センサ、及び/又はそれらの組合せを介して合成開口レーダ(SAR)、光検出測距(LIDAR)を使用することにより得られたデータに基づく、請求項1~8のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記特定の作物を用いて耕作された前記エリアに関する前記製品消費モデルが、前記特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域の前記エリアに少なくとも基づいて前記農業製品の前記消費量を推定するように構成された機械学習アルゴリズムの結果に基づく、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記農業製品の前記消費量の前記推定値に基づいて、特定の時間及び/若しくはある期間における前記農業製品の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
前記農業製品の前記消費量の前記推定値に基づいて、特定の時間及び/若しくはある期間における前記農業製品の前記生産に必要な基礎材料の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
前記農業製品の前記消費量の前記推定値に基づいて、前記農業製品を生産するための生産推奨データを提供するステップ、並びに/又は
前記農業製品の前記消費量の前記推定値に基づいて、前記農業製品の量及び/若しくは前記農業製品の前記生産に必要な基礎材料の量を注文するための注文推奨データを提供するステップ、並びに/又は
前記特定の作物に必要な及び/若しくは推奨される農業製品に関する概要データを提供するステップ、並びに/又は
前記農業製品の前記消費量の前記推定値に基づいて、前記農業製品に関して製造プロセス、物流プロセス、及び/若しくは倉庫プロセスに関する制御データを提供するステップ
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムのための訓練データを提供するコンピュータ実施方法であって、
特定の作物を用いて耕作されたエリアに関する情報を含むデータを提供するステップと、
前記特定の作物を用いて耕作された前記提供されたエリアに関する前記農業製品の消費量データを提供するステップと、
前記特定の作物を用いて耕作された前記エリアに関する情報を含む前記データに、前記特定の作物を用いて耕作された前記提供されたエリアに関する前記農業製品の前記消費量データをラベル付けするステップと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項13】
請求項12に記載の訓練データを用いて訓練された、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するニューラルネットワーク及び/又は機械学習モデル。
【請求項14】
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する装置であって、
1つ以上のコンピューティングノードと、前記1つ以上のコンピューティングノードによって実行されると、前記装置に、
前記地理的地域に関する作物成長指数データを提供する(110)ステップと、
前記提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域のエリアを決定する(120)ステップと、
前記特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域の前記エリアに少なくとも基づいて、前記農業製品の消費量を推定するように構成された、前記農業製品に関する製品消費モデルを提供する(130)ステップと、
前記製品消費モデルを使用して、前記特定の作物を用いて耕作された前記決定されたエリアに少なくとも基づいて、前記特定の作物を用いて耕作された前記地理的地域の前記決定されたエリアに関する前記農業製品の前記消費量の推定値を提供する(140)ステップと
を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を有する1つ以上のコンピュータ可読媒体と
を備える、装置。
【請求項15】
命令を含むコンピュータプログラム要素であって、前記命令が、1つ以上のコンピューティングノード上で実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するか、或いは請求項14に記載の装置により実行するように構成される、コンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムのための訓練データを提供するコンピュータ実施方法、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するニューラルネットワーク/機械学習モデル、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する装置、及び対応するコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
農業では、農業従事者が特定の時間又は時間枠で多くの農業製品(例えば、種子、農薬、肥料など)を圃場に施したり撒いたりする必要があり、このため、これらの決められた時間に必要な農業製品が農業従事者に配達され得ることが極めて重要である。しかしながら、これらの農業製品の多くの生産及び輸送は、農業従事者に配達され得るまでに一定のリードタイムを必要とする。この理由から、農業製品の生産、購買、貯蔵、及び他の農業の物流サブエリアにおいて、製造業者、供給業者、及び下請業者は、必要な農業製品の対応する数量を確実に提供することができるようにするために、ある期間に農業に必要とされる農業製品の必要な数量を推定しなければならない。これまで、農業製品の必要な数量は、多くの場合、製造業者の長年の経験に基づいて推定されてきた。しかしながら、実際には、このことはまた、推定された数量と実際に必要な数量との間のずれにつながり、容易に貯蔵できない農業製品及び/又は高いコストをかけなければ貯蔵できない農業製品の過剰生産の場合には、かなりの不利になる。加えて、推定値が低すぎた場合、供給のボトルネックが発生することがある。
【0003】
したがって、地理的地域における農業製品の消費量を推定する手段を提供する更なる必要性が存在することが判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、地理的地域における農業製品の消費量を推定する手段(例えば、方法、システムなど)を提供することである。これらの目的、及び以下の説明を読めば明らかになる他の目的は、独立請求項の主題により解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を指す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法であって、
地理的地域に関する作物成長指数データを提供するステップと、
提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアを決定するステップと、
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するステップと、
製品消費モデルを使用して、特定の作物を用いて耕作された決定されたエリアに少なくとも基づいて、地理的地域における特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに関する農業製品の消費量の推定値を提供するステップと
を含む、コンピュータ実施方法に関する。
【0006】
本開示の更なる態様は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムのための訓練データを提供するコンピュータ実施方法であって、
特定の作物を用いて耕作されたエリアに関する情報を含むデータを提供するステップと、
特定の作物を用いて耕作された提供されたエリアに関する農業製品の消費量データを提供するステップと、
特定の作物を用いて耕作されたエリアに関する情報を含むデータに、特定の作物を用いて耕作された提供されたエリアに関する農業製品の消費量データをラベル付けするステップと
を含む、コンピュータ実施方法に関する。
【0007】
本開示の更なる態様は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムのための訓練データを提供する上述のコンピュータ実施方法による訓練データを用いて訓練された、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するニューラルネットワーク/機械学習モデルに関する。
【0008】
本開示の更なる態様は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する装置であって、
1つ以上のコンピューティングノードと、1つ以上のコンピューティングノードによって実行されると、装置に、
地理的地域に関する作物成長指数データを提供するステップと、
提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアを決定するステップと、
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するステップと、
製品消費モデルを使用して、特定の作物を用いて耕作された決定されたエリアに少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに関する農業製品の消費量の推定値を提供するステップと
を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を有する1つ以上のコンピュータ可読媒体と
を備える、装置に関する。
【0009】
本開示の更なる態様は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定するシステムであって、
地理的地域に関する作物成長指数データを提供するように構成された提供ユニットと、
提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアを決定するように構成された決定ユニットと、
特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するように構成された提供ユニットと、
製品消費モデルを使用して、特定の作物を用いて耕作された決定されたエリアに少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに関する農業製品の消費量の推定値を提供するように構成された提供ユニットと
を備える、システムに関する。
【0010】
本開示の更なる態様では、コンピューティング環境のコンピューティングノード/デバイス上で実行されると、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する方法のうちのステップを実行するように構成された命令を含む、コンピュータプログラム要素が開示される。本開示の更なる態様では、このようなコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0011】
本明細書で説明されるあらゆる開示及び実施形態が、上記で概説された方法、システム、装置、コンピュータプログラム要素に関連し、その逆もまた同様である。好都合なことに、実施形態及び例のいずれかによってもたらされる利益が、すべての他の実施形態及び例にも同様に当てはまり、その逆もまた同様である。
【0012】
本明細書で使用される場合、「決定すること」は、「決定を開始すること又は決定させること」も含み、「生成すること」は、「生成を開始すること又は生成させること」も含み、「提供すること」は、「決定、生成、選択、送信、若しくは受信を開始すること、又は決定、生成、選択、送信、若しくは受信させること」も含む。「あるアクションの実行を開始すること又は実行させること」は、それぞれのアクションを実行するようにコンピューティングデバイスをトリガする、任意の処理信号を含む。
【0013】
本開示は、とりわけ、作物成長指数によって、地理的地域のどのエリアがどの作物を用いて耕作されているかを判定することができるという発見に基づくものである。エリアに関する情報、すなわちエリアのサイズに基づいて、地理的地域における農業製品の消費量を推定することが可能である。その結果、製造プロセス、物流プロセス、及び倉庫活動をより安全且つ予測可能な仕方で計画及び実行することができ、計画に関連するコスト及び生じる予測エラーが大幅に低減される。更に、農業製品はまた、有効期限まで使用され得るため、本開示により、処分されなければならない農業製品を大幅に削減することができる。
【0014】
定義
農業製品という用語は、本開示において広義で理解されるべきであり、圃場の処置に有用/必要なあらゆる物体又は材料を含む。本開示に関連して、農業製品という用語は、限定ではなく、
- 化学製品、例えば防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せ、
- 生物学的製品、例えば防カビ剤(バイオ防カビ剤)、除草剤(バイオ除草剤)、殺虫剤(バイオ殺虫剤)、殺ダニ剤(バイオ殺ダニ剤)、軟体動物駆除剤(バイオ軟体動物駆除剤)、殺線虫剤(バイオ殺線虫剤)、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、又はそれらの任意の組合せとして有用な微生物、
- 肥料及び栄養剤、
- 種子及び苗木、
- 水、
- 農業機器/デバイス(例えば、噴霧器、収穫機、機械)及びそのような機器/デバイスのスペアパーツ、並びに/或いは
- それらの任意の組合せ
を含む。
【0015】
「地理的地域」という用語は、本開示において広義で理解されるべきであり、農業従事者の圃場から国全体(例えば、ドイツ)にまで及ぶ。好ましくは、地理的地域という用語は、例えば、州/地区、地方(バイエルン南部など)などを意味すると理解され得る。地理的地域は、生産者の配達エリアに関して製品消費量が推定され得るように選択され得る。特に好ましくは、地理的地域という用語は、400平方キロメートル超のエリアを意味すると理解される。
【0016】
「特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリア」とは、特定の作物が植えられた地理的地域のエリアを意味する。換言すれば、「特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリア」は、地理的地域において特定の作物が栽培されたそれぞれのサブエリアを合計した結果として得られるエリアである。例えば、1枚2ヘクタールの100枚の個別の圃場で小麦が栽培され、個別の圃場が地理的地域において任意に分散され得る場合、「特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリア」は200ヘクタールである。このエリアに基づいて、決定されたエリアの処置に必要な農業製品の消費量が推定され得る。一例では、「エリア」は、ヘクタール、平方メートル、平方キロメートルなどで表され得る。
【0017】
「作物成長指数データ」という用語は、広義で理解されるべきであり、基準データとの比較によって、地理的地域において栽培される作物の種類を少なくとも決定することを可能にする任意の作物成長指数データを含む。一例では、作物成長指数データは正規化差植生指数(NDVI)データであり、基準データは作物固有のNDVIデータである。基準データ、例えばNDVIデータは、データの比較によって特定の作物を判定するためだけではなく、例えば、特定の作物が健康であるか、傷んでいるか、又は病気であるかを判定又は比較するために使用され得る。後者は、作物の葉がその状態によって光の反射が異なることから、NDVIデータを用いて特に良好に比較、特定、及び定量化され得る。
【0018】
「植物固有の基準データ」という用語は、提供された作物成長指数データと基準データとの比較によって、特定の作物に関して結論を出すことができる任意のデータを指す。一例では、「植物固有の基準データ」は、機械学習アルゴリズムを訓練するために使用され得、そして機械学習アルゴリズムは地理的地域において栽培された特定の作物を特定し得る。
【0019】
特定の作物の「バイオマスデータ」という用語は、本開示において広義で理解されるべきであり、地理的地域のある時点t1における特定の作物のバイオマスを直接的又は間接的に示す任意のデータ/指標/数/パラメータを指す。しかしながら、時間t1における地理的地域に関するバイオマスデータを決定するために、時間t1に対して計算/整合させることができる限り、異なる時点からの異なるソースが使用されてもよい。バイオマスデータは、リモートセンシング測定(例えば、衛星画像又はマルチスペクトル情報)、及び観測された地理的エリア/地域のスペクトル反射率の分析から導出され得る。このようなバイオマスデータがどのように特定の作物(例えば、トウモロコシ又は大豆)に関して導出/計算され得るかの例については、論文“Vegetation water content estimation for corn and soybeans using spectral indices derived from MODIS near- and short-wave infrared bands”(Daoyi Chen et al.,Remote Sensing of Environment,Volume 98,Issues 2-3,October 15,2005,Pages 225-236)で説明されている。
【0020】
「特定の作物」という用語は、作物栽培学的に使用可能なすべての植物、樹木、及び潅木など、例えば、小麦、果樹、又は果樹潅木などを含む。更に、特定の作物という用語はまた、特定の農業製品による処置を必要とするすべての作物/植物(例えば、土壌除草剤による処置を必要とするすべての作物)として理解され得る。
【0021】
「作物成長モデル」という用語は、本開示において広義で理解されるべきであり、時間t1における特定の作物のバイオマスデータに基づいて、時間t2におけるバイオマスデータを計算/推定するために使用され得る任意のコンピュータ動作可能モデル、方法、数学的アルゴリズムを指す。このような作物成長モデルの例は、論文“Use time series NDVI and EVI to develop dynamic crop growth metrics for yield modeling”(Sadia Alam Shammi,et al.,Ecological Indicators,Volume 121,February 2021)で説明されている。
【0022】
「製品消費モデル」という用語は、本開示において広義で理解されるべきであり、特定の時点又はある期間における農業製品の消費量を計算/推定するために使用され得る任意のコンピュータ動作可能モデル、方法、数学的アルゴリズムを指す。このような製品消費量は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに少なくとも基づき得る。しかしながら、製品消費モデルにおいて更なるパラメータが使用されることは排除されない。また、農業製品の保存可能期間データ、農業従事者の予期される作付けの判断、病害虫圧データ、農業製品の規制データなども、製品消費量推定値の精度を改善するために、ここで考慮され得る。シーズン中の決定されたエリアと農業製品の需要との間の関係は、過去に観測された需要パターン及び実際的な経験(例えば、様々な植物の状態での様々な農業製品の通常の使用法が説明されている「Pflanzenschutzberater-Kloster Muehle」で説明されているようなもの)から導き出すことができる。しかしながら、このことに関連して、ここで使用され得る多数の他のソース/推奨事項が知られている。加えて、この目的のために特化又は訓練された消費モデルが各農業製品に使用され得る。例えば、除草剤の消費モデル、肥料の消費モデル、農薬の消費モデルなどが使用され得る。しかしながら、これらの消費モデルはまた、組み合わされて単一の消費モデルにされ得る。一例では、消費モデルが、標準推奨施用量により、例えば、Cantus Gold(ナタネの成熟期の病気の処置用の防カビ剤)に関して提供されてもよく、0.5l/haの標準施用量が推奨される。
【0023】
機械学習アルゴリズムという用語は、広義で理解されるべきであり、好ましくは、決定木、単純ベイズ分類、最近傍法、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、敵対的生成ネットワーク、サポートベクターマシン、線形回帰、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、及び/又は勾配ブースティングアルゴリズムを含む。好ましくは、機械学習アルゴリズムは、高い次元を有する入力を遥かに低い次元の出力に処理するように構成されている。そのような機械学習アルゴリズムは、「訓練する」ことができるため「インテリジェント」と称される。アルゴリズムは、訓練データのレコードを使用して訓練されてもよい。訓練データのレコードは、訓練入力データ、及び対応する訓練出力データを含む。訓練データのレコードの訓練出力データは、訓練データの同じレコードの訓練入力データが入力として与えられた場合に、機械学習アルゴリズムによって生成されると予期される結果である。この予想される結果と、アルゴリズムによって生成される実際の結果との間のずれは、「損失関数」により観察され評価される。この損失関数は、機械学習アルゴリズムの内部処理チェーンのパラメータを調整するためのフィードバックとして使用される。例えば、パラメータは、損失関数の値を最小化するという最適化目標により調整することができ、すべての訓練入力データが機械学習アルゴリズムに入れられ、その結果が、対応する訓練出力データと比較されたときに得られる。この訓練の結果、訓練データのレコードの比較的少ない数が「グラウンドトゥルース」として与えられていても、機械学習アルゴリズムは、何桁も大きい数の入力データのレコードに対して、その作業を良好に実施することが可能である。
【0024】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、農業製品は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、肥料、栄養剤、種子/苗木、及び/又はそれらの組合せである。一実施形態では、特定の作物は、小麦、冬まきナタネ、冬まきライ麦、テンサイ、冬まき小麦などである。
【0025】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、作物成長指数データは、正規化差植生指数(NDVI)データ、葉面積指数(LAI)データ、正規化差水質指数(NDWI)データ、拡張植生指数(EVI)データである。
【0026】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、地理的地域における作付面積が、地理的地域に関する作物成長指数データに基づいて事前に選択された一群の特定の作物に関して決定される。一例では、事前に選択された一群の特定の作物は、並行して決定される冬まきナタネ、冬まきライ麦、テンサイ、及び冬まき小麦の組合せである。
【0027】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、作物成長指数データは、特定の作物の初期作物段階において(例えば、播種から21日後に)提供される。既に初期植付段階にあるエリアの判定により、それに対応して、シーズンのこのような初期段階における消費量推定が既に可能になる。
【0028】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、作物成長指数データ、好ましくは正規化差植生指数(NDVI)データが、現在の時間又は特定の作物の播種から15~30日後、好ましくは特定の作物の播種から17~25日後、最も好ましくは特定の作物の播種から21日後の時間である開始時間t1と、t1から2~10週間後、好ましくはt1から4~8週間後、最も好ましくはt1から6週間後である終了時間t2との間の期間に提供される。ある時点だけではなくある期間を考慮することにより、どのエリアがどの特定の作物を植え付けられたかを決定する精度が大幅に向上し得る。更に、本開示により、地理的領域の継続的な監視を提供することができ、その結果、それぞれの後続のプロセス(例えば、農業製品の製造プロセス)もまた継続的に調整及び最適化され得る。
【0029】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、作物成長指数データは、事前に決定された時系列に関して提供される。
【0030】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、植物固有の基準データは、集中型及び/又は分散型コンピューティング環境によって提供される。
【0031】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、特定の作物を用いて耕作されたエリアを決定するステップが、衛星、無人車両、車両搭載センサ、及び/又はそれらの組合せを介して合成開口レーダ(SAR)、光検出測距(LIDAR)を使用することにより得られたデータに基づく。
【0032】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、特定の作物を用いて耕作されたエリアに関する製品消費モデルが、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された機械学習アルゴリズムの結果に基づく。
【0033】
農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法の一実施形態では、本方法は、
農業製品の消費量の推定値に基づいて、特定の時間及び/若しくはある期間における農業製品の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
農業製品の消費量の推定値に基づいて、特定の時間及び/若しくはある期間における農業製品の生産に必要な基礎材料の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品を生産するための生産推奨データを提供するステップ、並びに/又は
農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品の量及び/若しくは農業製品の生産に必要な基礎材料の量を注文するための注文推奨データを提供するステップ、並びに/又は
特定の作物に必要な及び/若しくは推奨される農業製品に関する概要データを提供するステップ、並びに/又は
農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品に関して製造プロセス、物流プロセス、及び/若しくは倉庫プロセスに関する制御データを提供するステップ
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0034】
以下では、本開示が添付の図面に関連して更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】地理的地域における農業製品の消費量を推定する例示的な方法のフロー図である。
【
図2】地理的地域における農業製品の消費量を推定する例示的なシステムの概略図である。
【
図3】ある期間にわたる地理的地域におけるNDVIデータの概略図である。
【
図4】特定の作物が示されている地理的地域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、地理的地域における農業製品の消費量を推定する例示的な方法100のフロー図である。例えば、農業製品は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、肥料、栄養剤、種子/苗木、及び/又はそれらの組合せである。
【0037】
ステップ110において、地理的地域(例えば、バイエルン州)に関する作物成長指数データが提供される。作物成長指数データは、正規化差植生指数(NDVI)データ、葉面積指数(LAI)データ、正規化差水質指数(NDWI)データ、拡張植生指数(EVI)データであり得る。作物成長指数データは、特定の作物(例えば、大豆)の初期植付段階において提供され得る。作物成長指数データ、好ましくは正規化差植生指数(NDVI)データは、ある期間(例えば、播種から15日後に開始する2週間)において提供され得る。ある時点だけではなくある期間を考慮することにより、どのエリアがどの特定の作物を植え付けられたかを決定する精度が大幅に向上し得る。
【0038】
ステップ120において、提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアが決定される。一例では、作物成長指数データ及び基準データはNVDIデータである。
【0039】
ステップ130において、農業製品に関する製品消費モデルを提供が提供され、製品消費モデルは、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成される。例えば、Cantus Gold(ナタネの成熟期の病気の処置用の防カビ剤)の消費モデルが提供される。製品消費モデルは、農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムの結果に基づき得る。しかしながら、統計ベースの製品消費モデルを使用することも可能である。更に、このような製品消費モデルはエリアのみを使用することに限定されず、つまり、この点で更なるデータが使用され得る。農業製品の保存可能期間データ、農業従事者の予期される作付けの判断、病害虫圧データ、農業製品の規制データなども、製品消費量推定値の精度を改善するために、ここで考慮され得る。
【0040】
ステップ140において、特定の作物を用いて耕作されたエリアにおける農業製品の消費量の推定が実行される。例えば、農業エリアにおいて1000ヘクタールがナタネを用いて耕作されていることが判定された場合、Cantus Goldの消費量の推定値が提供され得る。
【0041】
以下では、地理的地域における農業製品の消費量を推定する代替的な解決策が説明される。
【0042】
第1のステップにおいて、時間t1(例えば、播種から21日後の初期作物段階)における地理的地域(例えば、バイエルン州)に関して、特定の作物(例えば、大豆植物体)のバイオマスデータが提供される。例えば、バイオマスデータは、リモートセンシング測定(例えば、衛星画像又はマルチスペクトル情報)、及び観測された地理的エリア/地域のスペクトル反射率値の分析から導出され得る。特定の作物のバイオマスデータは、正規化差植生指数(NDVI)データ及び/又は葉面積指数(LAI)データ、正規化差水質指数(NDWI)データ、拡張植生指数(EVI)データ及び/又は任意の他の植生ベースの指数データに基づき得る。
【0043】
第2のステップにおいて、時間t1におけるバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2(例えば、播種から6週間後)における特定の作物のバイオマスデータを推定するように構成された、特定の作物に関する作物成長モデル。例えば、このような作物成長モデルは、時間t1におけるバイオマスデータに基づいて、時間t2における特定の作物のバイオマスデータを推定する機械学習アルゴリズムの結果に基づき得る。しかしながら、或いは、統計ベースの作物成長モデルを使用することも可能である。
【0044】
第3のステップにおいて、時間t2における特定の作物の推定されたバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2における農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルが提供される。ここでも同様に、製品消費モデルは、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムの結果に基づき得る。しかしながら、或いは、統計ベースの製品消費モデルを使用することも可能である。更に、このような製品消費モデルはバイオマスデータのみを使用することに限定されず、つまり、この点で更なるデータが使用され得る。例えば、気象データが成長モデルに既に含まれているのではない場合、気象データを考慮することもできる。また、農業製品の保存可能期間データ、農業従事者の予期される作付けの判断、病害虫圧データ、農業製品の規制データなども、製品消費量推定値の精度を改善するために、ここで考慮され得る。
【0045】
第4のステップにおいて、特定の作物に関する作物成長モデル及び地理的地域における農業製品に関する製品消費モデルを使用することにより、時間t1における特定の作物のバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値が提供される。
【0046】
図2は、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアにおける農業製品の消費量を推定する例示的なシステム10であって、システム10が、地理的地域に関する作物成長指数データを提供するように構成された提供ユニット11と、提供された作物成長指数データと植物固有の基準データとの比較に少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアを決定するように構成された決定ユニット12と、特定の作物を用いて耕作された地理的地域のエリアに少なくとも基づいて、農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するように構成された提供ユニット13と、製品消費モデルを使用して、特定の作物を用いて耕作された決定されたエリアに少なくとも基づいて、特定の作物を用いて耕作された地理的地域の決定されたエリアに関する農業製品の消費量の推定値を提供するように構成された提供ユニット14とを備える、例示的なシステム10の概略図である。
【0047】
図3は、2019年4月から2020年11月の期間にわたる地理的地域におけるNDVIデータの概略図である。NDVIデータにおいて垂直方向に強調表示されたエリアは、植付期間、つまりそれぞれのシーズンの開始を強調表示する。日付を横軸に示し、NDVIを縦軸に示す。図示の例では、冬まきナタネ(WRa2、符号20を参照)、冬まき小麦(WW、符号21を参照)、テンサイ(ZR、符号22を参照)、及び冬まきライ麦(WR、符号23を参照)のNDVIデータ。図示のように、本開示により、地理的領域の継続的な監視を提供することができ、その結果、それぞれの後続のプロセス、例えば農業製品の製造プロセスもまた継続的に調整及び最適化され得る。
【0048】
図4は、説明を分かりやすくするために例として、異なる特定の作物による異なる圃場が強調表示されている、地理的地域の図を示している。それぞれの作物によるそれぞれの圃場のこの割り当ては、受け取ったNVDIデータとNVDI基準データとの比較の結果として得られ得る。このことから、特定の作物を植えたエリアは、後でそれぞれのエリアを加えることにより決定され得る。
【0049】
以下では、非限定的な例の非網羅的なリストが実施形態A~Rとして提供される。これらの例の特徴のいずれか1つ以上を、本明細書で説明される別の例、実施形態、又は態様の任意の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。
【0050】
実施形態A
地理的地域における農業製品の消費量を推定するコンピュータ実施方法であって、
時間t1における地理的地域に関する特定の作物のバイオマスデータを提供するステップと、
時間t1におけるバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2における特定の作物のバイオマスデータを推定するように構成された、特定の作物に関する作物成長モデルを提供するステップと、
時間t2における特定の作物の推定されたバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2における農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するステップと、
特定の作物に関する作物成長モデル及び地理的地域における農業製品に関する製品消費モデルを使用して、時間t1における特定の作物のバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値を提供するステップと
を含む、コンピュータ実施方法。
【0051】
実施形態B
農業製品が、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鳥剤、殺魚剤、殺鼠剤、忌避剤、殺菌剤、殺生物剤、毒性緩和剤、植物生長調節剤、ウレアーゼ阻害剤、硝酸化成抑制剤、脱窒阻害剤、肥料、栄養剤、種子/苗木、及び/又はそれらの組合せである、実施形態Aに記載の方法。
【0052】
実施形態C
特定の作物のバイオマスデータが、正規化差植生指数(NDVI)データ及び/又は葉面積指数(LAI)データ、正規化差水質指数(NDWI)データ、拡張植生指数(EVI)データ及び/又は任意の他の植生ベースの指数データに基づく、実施形態A又はBに記載の方法。
【0053】
実施形態D
バイオマスデータが、衛星、無人車両、車両搭載センサ、及び/又はそれらの組合せを介して合成開口レーダ(SAR)、光検出測距(LIDAR)を使用することにより得られる、実施形態A~Cのいずれか1つに記載の方法。
【0054】
実施形態E
時間t1が、現在の時間又は播種から15~30日後、好ましくは播種から17~25日後、最も好ましくは播種から21日後の時間であり、t2が、好ましくはt1から2~10週間後、好ましくはt1から4~8週間後、最も好ましくはt1から6週間後である、実施形態A~Dのいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態F
特定の作物に関する作物成長モデルが、時間t1におけるバイオマスデータに基づいて、時間t2における特定の作物のバイオマスデータを推定する機械学習アルゴリズムの結果に基づく、実施形態A~Eのいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態G
製品消費モデルが、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムの結果に基づく、実施形態A~Fのいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態H
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値に基づいて、時間t2における農業製品の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値に基づいて、時間t2における農業製品の生産に必要な基礎材料の最低在庫レベルに関する在庫推奨データを提供するステップ、並びに/又は
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品を生産するための生産推奨データを提供するステップ、並びに/又は
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品の量及び/若しくは農業製品の生産に必要な基礎材料の量を注文するための注文推奨データを提供するステップ、並びに/又は
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における特定の作物に必要な及び/若しくは推奨されるすべての農業製品に関する概要データを提供するステップ、並びに/又は
時間t2及び/若しくは期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値に基づいて、農業製品に関して製造プロセス、物流プロセス、及び/若しくは倉庫プロセスに関する制御データを提供するステップ
のうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態A~Gのいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態I
実施形態A~Hのいずれか1つに記載の方法における地理的地域に関する特定の作物のバイオマスデータの使用。
【0059】
実施形態J
地理的地域における農業製品の消費量を推定する機械学習アルゴリズムのための訓練データを提供するコンピュータ実施方法であって、
地理的地域に関する特定の作物のバイオマスデータを提供するステップと、
地理的地域に関する特定の作物に関する農業製品の消費量データを提供するステップと、
特定の作物のバイオマスデータに、特定の作物に関する農業製品の消費量データをラベル付けするステップと
を含む、コンピュータ実施方法。
【0060】
実施形態K
バイオマスデータ及び消費量データが、過去3年間、好ましくは5年間、最も好ましくは10年間のデータを含む地理的地域の過去のデータである、実施形態Jに記載の方法。
【0061】
実施形態L
実施形態J又はKに記載の訓練データを用いて訓練された、地理的地域における農業製品の消費量を推定するニューラルネットワーク及び/又は機械学習モデル。
【0062】
実施形態M
地理的地域における農業製品の消費量を推定するシステムであって、
時間t1における地理的地域に関する特定の作物のバイオマスデータを提供するように構成された提供ユニットと、
時間t1におけるバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2における特定の作物のバイオマスデータを推定するように構成された、特定の作物に関する作物成長モデルを提供するように構成された提供ユニットと、
時間t2における特定の作物の推定されたバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量を推定するように構成された、農業製品に関する製品消費モデルを提供するように構成された提供ユニットと、
特定の作物に関する作物成長モデル及び農業製品に関する製品消費モデルを使用して、時間t1における特定の作物のバイオマスデータに少なくとも基づいて、時間t2及び/又は期間t1-t2における農業製品の消費量の推定値を提供するように構成された提供ユニットと
を備える、システム。
【0063】
実施形態N
コンピューティング環境のコンピューティングデバイス上で実行されると、実施形態Mに記載のシステムにおいて実施形態A~Hのいずれか1つに記載の方法のステップを実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラム要素。
【0064】
実施形態O
実施形態Nのコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体。
【0065】
本開示の態様は、上記の方法のステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム要素に関する。したがって、コンピュータプログラム要素は、同様に一実施形態の一部であり得るコンピューティングデバイスのコンピューティングユニットに記憶され得る。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを実行するように、又はその実行を誘導するように構成され得る。更に、コンピューティングユニットは、上述のシステムの構成要素を動作させるように構成され得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザの命令を実行するように構成され得る。コンピューティングユニットはデータプロセッサを含み得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリに読み込まれてもよい。したがって、データプロセッサは、前述した実施形態のうちの1つによる方法を実行するための装備を有してもよい。本開示のこの例示的な実施形態は、最初から本開示を使用するコンピュータプログラム及び更新により既存のプログラムを、本開示を使用するプログラムにするコンピュータプログラムの両方を包含する。更に、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要なすべてのステップを提供可能であり得る。本開示の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、ダウンロード可能で実行可能なものなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体にはコンピュータプログラム要素が記憶されており、このようなコンピュータプログラム要素は前のセクションに記載されている。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶され得る、且つ/又はそのような適切な媒体で分配され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するなど、他の形態で分配されてもよい。しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを経由して提示することもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることができる。本開示の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードに利用できるようにする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本開示の上述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0066】
好ましい実施形態と併せて本開示を例として説明してきた。しかしながら、図面、本開示、及び特許請求の範囲を検討することにより、他の変形形態が、当業者によって、また特許請求の範囲に記載の発明を実施することによって理解され、実施され得る。とりわけ、特に提示された任意のステップは任意の順序で実行され得る、すなわち、本発明はこれらのステップの特定の順序に限定されるものではない。更には、異なるステップが特定の場所又は分散システムの1つのノードで実施されることも必須ではない。すなわち、ステップのそれぞれが、異なる機器/データ処理ユニットを使用して異なるノードで実施されてもよい。
【0067】
特許請求の範囲及び本明細書においては、「備える(comprising)」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された、いくつかのエンティティ又は項目の機能を果たすことがある。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの手段の組合せを有利な実装形態において使用することができないことを示すものではない。
【国際調査報告】