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▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】硬化性組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/10 20060101AFI20240514BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240514BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C08F20/10
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571863
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2021095239
(87)【国際公開番号】W WO2022241772
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】シュン,ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】イェ,リューユエン
【テーマコード(参考)】
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040FA132
4J040FA291
4J040FA292
4J040HB06
4J040HC01
4J040HC23
4J040JB08
4J040KA13
4J040KA14
4J040NA19
4J100AL03P
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08P
4J100AL09P
4J100AL10P
4J100AL11P
4J100AL62P
4J100AL63P
4J100AL66P
4J100BA02P
4J100BA05P
4J100BA29P
4J100BA31P
4J100BA38P
4J100BC26P
4J100BC28P
4J100BC37P
4J100BC43P
4J100CA23
4J100DA47
4J100FA03
4J100FA08
4J100JA03
(57)【要約】
(A)少なくとも1つの(メタ)アクリレート;(B)少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩;および(C)少なくとも1つの潜在性アミン触媒を含む硬化性組成物が提供され、これは100℃未満の温度で熱硬化可能であり、熱硬化性および放射線硬化性でもある。前記硬化性組成物は、硬化時に様々な基材に対して良好な接着強度を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1つの(メタ)アクリレート;
(B)少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩;および
(C)少なくとも1つの潜在性アミン触媒
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記成分(A)は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびそれらのオリゴマーから選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記単官能(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyh acrylate)、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記成分(B)は、ジフェニルヨードニウムホスフェート、ジフェニルヨードニウムボレート、およびそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、(4-メチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-メチルフェニル)-フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-エチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(3,4-ジメチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-イソプロピルフェニル)(p-トリル)ヨードニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、(4-メチルフェニル)-(2-プロパン-2-イルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、(4-メチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、(2-メチルフェニル)-(2-プロパン-2-イルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、1,4-ジ(3-フェニルプロピル)-2,3-ジパーフルオロフェニル-1,4-ジヨードブタジエン、ブチル(トリフェニル)ボラヌイド (4-シクロヘキシルフェニル)-(4-メチルフェニル)ヨードニウム、(4-ヘキシルフェニル)-フェニルヨードニウムテトラフェニルボラヌイド、(4-シクロヘキシルフェニル)-フェニルヨードニウムテトラフェニルボラヌイド、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記成分(C)は、好ましくはアミン化合物とエポキシ化合物、イソシアネート化合物および/または尿素化合物との反応生成物によって得られる、アミン付加潜在性アミン触媒;コアシェル型潜在性アミン触媒;マスターバッチ型潜在性アミン触媒;およびそれらの組み合わせから、好ましくはコアシェル型潜在性アミン触媒から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記組成物は、(D)硬化反応阻害剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、難燃剤、可塑剤、接着性付与剤、充填剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記組成物は、好ましくは100℃未満、好ましくは40℃~95℃、より好ましくは40℃~85℃の温度で熱硬化性である、請求項1~7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記組成物は、(E)少なくとも1つの光ラジカル重合開始剤をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記光ラジカル重合開始剤は、α-開裂型光ラジカル重合開始剤、水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤およびそれらの組み合わせであり、好ましくはベンジルジメチルケタール、ベンゾインエーテル、ヒドロキシアルキルフェニルケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、ジアルコキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、メチルチオフェニルモルホリノケトンおよびモルホリノフェニルアミノケトン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ベンジル、カンファーキノン、ケトクマリン;およびそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記組成物は、熱硬化性および放射線硬化性である、請求項9または10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記成分(A)は、前記組成物の総重量に基づいて、50~95重量%、好ましくは60~85重量%の量で存在する、請求項1~11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
前記成分(B)は、前記組成物の総重量に基づいて、0重量%超3重量%未満、好ましくは0.001~2重量%、より好ましくは0.01~2重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記成分(C)は、前記組成物の総重量に基づいて、3~47重量%、より好ましくは7~40重量%、さらにより好ましくは13~35重量%の量で存在する、請求項1~13のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記成分(D)は、前記組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらにより好ましくは1~3重量%の量で存在する、請求項1~14のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記成分(E)は、前記組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、好ましくは0.1~7重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化生成物。
【請求項18】
第1の基材、
請求項17に記載の硬化物、および
前記硬化物を介して第1の基材に接合される第2の基材
を含む物品。
【請求項19】
請求項18に記載の物品を含む電子デバイス。
【請求項20】
電子デバイスの製造における、請求項1~16のいずれかに記載の硬化性組成物または請求項18に記載の物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化生成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、UV硬化性接着剤は、産業組立の多くの分野、特に電子デバイス、光学機器等の製造等、迅速な組み立てが要求されるハイテク産業で成功裏に適用されている。UV硬化性接着剤は、ガラス家具、おもちゃ、宝石、およびその他の装飾品の製造等、日用品分野でも広く使用されている。
【0003】
しかしながら、従来のUV硬化性接着剤を使用するいくつかの特定の応用分野では、いくつかの問題に遭遇し得る。例えば、液晶パネルと基板との間には、影の部分、すなわち光が伝導または透過できない部分が存在し、紫外線/可視光がその部分を透過できないため、接着剤が完全に硬化せず、腐食、経年疲労、または未接着エッジの剥離等の問題が発生し得る。
【0004】
フリーラジカル硬化系の場合、光ラジカル発生剤と(メタ)アクリレート樹脂とが主成分となる。この系は、UV照射後の硬化が速いという特徴があるが、一般的に接着強度が低いなどの課題があった。一方、カチオン硬化系は、ジアリールヨードニウム塩およびトリアリールスルホニウム塩等の光酸発生剤と、カチオン重合特性を有するエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂などから構成され、前記光酸発生剤は、光照射により酸を発生し、カチオン重合性樹脂を硬化させる。カチオン硬化の場合、この系は硬化が速く、接着強度が高いという特徴があるが、水分または被着体表面の微妙な塩基性汚れにより硬化不良が発生したり、系内に強酸が残留するため金属または無機材料で作られた被着体を系で使用すると腐食を引き起こしたりするという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の視点から、本発明は、100℃未満の温度で熱硬化が可能であり、硬化時に様々な基材に対して良好な接着強度を示す硬化性組成物を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的は、熱硬化性および放射線硬化性を有し、硬化時に様々な基材に対して良好な接着強度を示す硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、
(A)少なくとも1つの(メタ)アクリレート;
(B)少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩;および
(C)少なくとも1つの潜在性アミン触媒
を含む硬化性組成物が開示される。
【0007】
本発明による硬化性組成物の硬化生成物も本明細書に開示される。
【0008】
本発明による硬化性組成物の硬化生成物を含む物品も本明細書に開示される。
【0009】
本発明による物品を含む電子デバイスも本明細書に開示される。
【0010】
電子デバイスの製造における、本発明による硬化性組成物および物品の使用も本明細書に開示される。
【0011】
主題の他の特徴および態様については、以下でより詳細に説明する。
【0012】
発明の詳細な説明
当業者であれば、本発明は例示的な実施形態のみを説明するものであり、本発明のより広範な態様を限定するものではないことを理解するべきである。そのように説明された各態様は、特に反対のことが明確に示されない限り、他の任意の態様と組み合わせてよい。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の任意の特徴と組み合わせてよい。
【0013】
特に明記しない限り、本発明の文脈において、使用される用語は以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0014】
特に明記しない限り、本明細書で使用する「a」、「an」、および「the」という用語は、単数および複数の両方の指示対象を含む。
【0015】
本明細書で使用される「含む(comprising)」および「含む(comprises)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含む(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていないメンバー、要素またはプロセスステップを排除するものではない。
【0016】
本明細書で使用される「室温」という用語は、約20℃~約25℃、好ましくは約25℃の温度を指す。
【0017】
他に指定しない限り、数値終点の記載には、記載された終点だけでなく、それぞれの範囲内に包含されるすべての数値および分数が含まれる。
【0018】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
他に定義しない限り、技術用語および科学用語を含む本発明で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0020】
一態様において、本開示は一般に、
(A)少なくとも1つの(メタ)アクリレート;
(B)少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩;および
(C)少なくとも1つの潜在性アミン触媒
の硬化性組成物を対象とする。
【0021】
(A)(メタ)アクリレート
本発明によれば、硬化性組成物は、(A)少なくとも1つの(メタ)アクリレートを含む。
【0022】
前記成分(A)は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびそれらのオリゴマーから選択される。
【0023】
本発明における成分(A)として使用される単官能(メタ)アクリレートモノマーの例には以下が含まれるが、これらに限定されない:メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyh acrylate)、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせ。
【0024】
本発明における成分(A)として使用される多官能(メタ)アクリレートモノマーの例には以下が含まれるが、これらに限定されない:エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびそれらの組み合わせ。
【0025】
いくつかの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを本発明の成分(A)として使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートは当業者に周知であり、それらは例えばジイソシアネート、好ましくは脂肪族ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得ることができ、または例えばジイソシアネート、好ましくは脂肪族ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートおよびポリオールとの反応によって得られ得る。
【0026】
前記成分(A)は、1種単独で用いてもよく、または2種以上の異なる化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
前記成分(A)の市販品としては、例えば、Sartomer製SR833S、Negami Chemical Industrial Co., Ltd.製PEP9000などが挙げられる。
【0028】
本発明によれば、前記成分(A)は、組成物の総重量に基づいて、50~95重量%、好ましくは60~85重量%の量で存在し得る。
【0029】
(B)ジアリールヨードニウム塩
本発明によれば、前記硬化性組成物は、(B)少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩を含む。
【0030】
いくつかの実施態様において、ジアリールヨードニウム塩は、ジフェニルヨードニウムホスフェートおよびジフェニルヨードニウムボレートから選択できる。ジフェニルヨードニウムホスフェートの例は、(4-メチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-メチルフェニル)-フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-エチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(3,4-ジメチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートから選択される。ジフェニルヨードニウムボレートの例は、(4-イソプロピルフェニル)(p-トリル)ヨードニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、(4-メチルフェニル)-(2-プロパン-2-イルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、(4-メチルフェニル)-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、(2-メチルフェニル)-(2-プロパン-2-イルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、ビス(2-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラヌイド、1,4-ジ(3-フェニルプロピル)-2,3-ジパーフルオロフェニル-1,4-ジヨードブタジエン、ブチル(トリフェニル)ボラヌイド (4-シクロヘキシルフェニル)-(4-メチルフェニル)ヨードニウム、(4-ヘキシルフェニル)-フェニルヨードニウムテトラフェニルボラヌイド、(4-シクロヘキシルフェニル)-フェニルヨードニウムテトラフェニルボラヌイドである。
【0031】
前記成分(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上の異なる化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記成分(B)は、従来公知の方法により製造できる。市販品も入手可能である。前記成分(B)の市販品としては、例えばRHODIA INC製のRhodorsil Photoinitiator 2074、IGM Resins製のOmnicat 250等が挙げられる。
【0033】
本発明によれば、前記成分(B)は、組成物の総重量に基づいて、0重量%超~3重量%未満、好ましくは0.001~2重量%、より好ましくは0.01~2重量%の量で存在し得る。
【0034】
特に好ましい実施形態では、前記成分(B)は、組成物の総重量に基づいて1重量%を超える量で存在してよい。前記成分(B)の量が1重量%を超えると、組成物は80℃以下の温度で熱硬化できる。
【0035】
(C)潜在性アミン触媒
本発明によれば、前記硬化性組成物は、(C)少なくとも1つの潜在性アミン触媒を含む。潜在性アミン触媒とは、室温でバリアからゆっくりと放出される、または拡散するアミン触媒を指す。アミン触媒の放出または拡散は、例えば温度、放射線、または力の増加により加速され得る。
【0036】
潜在性アミン触媒の例としては、アミン付加潜在性触媒、好ましくはアミン化合物とエポキシ化合物、イソシアネート化合物および/または尿素化合物との反応生成物によって得られるもの、コアシェル型潜在性アミン触媒、マスターバッチ型潜在性アミン触媒、およびそれらの組み合わせ、好ましくはコアシェル型潜在性アミン触媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
アミン付加潜在性触媒(アミン-エポキシ付加に基づくタイプの潜在性触媒)の製造原料の一つとして用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、およびレゾルシノール等の多価フェノール、またはグリセリンおよびポリエチレングリコール等の多価アルコールと、エピクロロヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸および3-ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸と、エピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸およびテレフタル酸等の多価カルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエステル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、m-アミノフェノール等とエピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン化合物等が挙げられる。さらなる例として、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、およびエポキシ化ポリオレフィン等の多官能エポキシ化合物、ならびにブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、およびグリシジルメタクリレート等の単官能エポキシ化合物が挙げられ得る。しかし、本発明において潜在性触媒として用いられる上記エポキシ化合物はこれらに限定されない。
【0038】
アミン付加潜在性触媒を製造するための別の原料として用いられるアミン化合物としては、分子内にエポキシ基と付加反応可能な活性水素を1つ以上有し、分子内に第一級アミノ基、第二級アミノ基、および第三級アミノ基から選択される1つ以上の官能基を有する任意の化合物が挙げられ得る。このようなアミン化合物の例を以下に挙げる。それらの例としては、例えば脂肪族アミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、および4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、芳香族アミン化合物、例えば4,4’-ジアミノジフェニルメタンおよび2-メチルアニリン、ならびに窒素原子含有複素環化合物、例えば2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、ピペリジンおよびピペラジンが挙げられ得る。しかし、本発明において潜在性触媒として用いられる上記アミン化合物はこれらに限定されない。
【0039】
このような化合物の例としては、分子内に第三級アミノ基を有する一級または二級アミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミンおよびN-メチルピペラジン等のアミン化合物、ならびに2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、および2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。さらに、例えば分子内に3級アミノ基を有するアルコール、フェノール、チオール、カルボン酸、ヒドラジド等、例えば2-ジメチルアミノエタノール、1-メチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-フェノキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、1-ブトキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-フェニルイミダゾリン、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾリン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-ヒドロキシエチルモルホリン、2-ジメチルアミノエタンチオール、2-メルカプトピリジン、2-ベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メルカプトピリジン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N-ジメチルグリシンヒドラジド、N,N-ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、およびイソニコチン酸ヒドラジド等も挙げられ得る。しかし、本発明において潜在性触媒として用いられる上記分子内に3級アミノ基を有する化合物はこれらに限定されるものではない。
【0040】
アミン付加潜在性触媒のさらに別の原料として用いられるイソシアネート化合物の例としては特に限定されないが、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、およびベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物、ならびにヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、およびビシクロヘプタントリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物が挙げられる。さらに、これらの多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応により得られる、末端にイソシアネート基を有する化合物も使用することができる。このような末端にイソシアネート基を有する化合物としては、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られる末端にイソシアネート基を有する付加化合物、ならびにトルエンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応によって得られる末端にイソシアネート基を有する付加化合物が挙げられる。しかし、本発明においてアミン付加潜在触媒として用いられる上記末端にイソシアネート基を有する化合物は、これらに限定されない。
【0041】
アミン付加潜在性触媒を製造するための原料として用いられる尿素化合物の例としては、尿素、リン酸尿素、シュウ酸尿素、酢酸尿素、ジアセチル尿素、ジベンゾイル尿素、およびトリメチル尿素等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
上記アミン付加潜在性触媒の市販品としては、Ajinomoto FineTechno Co., Inc.,製Ajicure PN-23、Ajinomoto FineTechno Co., Inc.,製Ajicure PN-40、Ajinomoto FineTechno Co., Inc.,製Ajicure PN-50、A.C.R. Co., Ltd製Hardener X-3661 S、A.C.R. Co., Ltd製Hardener X-3670S、Adeka製EH-5011SおよびEH5057P、Evonik製Ancamine(登録商標)2014FGおよび2337S、T&K Toka Corporation製FXR-1121、T&K Toka Corporation製Fujicure FXE-1000、ならびにT&K Toka Corporation製Fujicure FXR-1030などが挙げられる。
【0043】
さらに、前記コアシェル型潜在性アミン触媒は、アミン付加物の表面をカルボン酸化合物およびスルホン酸化合物等の酸化合物、イソシアネート化合物、またはエポキシ化合物等でさらに処理して変性物(付加物など)のシェルを表面に形成して得られる。さらに、マスターバッチ型潜在性アミン触媒は、エポキシ樹脂と混合された状態のコアシェル型潜在性触媒である。
【0044】
上記コアシェル型潜在性アミン触媒およびマスターバッチ型潜在性アミン触媒の市販品としては、例えば、T&K Toka Corporation製のFujicure FXR 1081、Asahi Kasei Epoxy Co., Ltd.製のNovacure HX-3722、Asahi Kasei Epoxy Co., Ltd.製のNovacure HX-3742、Asahi Kasei Epoxy Co., Ltd.製のNovacure HX-3613等が挙げられる。
【0045】
潜在性アミン触媒は単独で使用することができる。または、これらの成分を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0046】
本発明によれば、前記成分(C)は、組成物の総重量に基づいて、3~47重量%、より好ましくは7~40重量%、さらにより好ましくは13~35重量%の量で存在し得る。
【0047】
(D)添加剤
いくつかの実施形態において、前記硬化性組成物は、(D)硬化反応阻害剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、難燃剤、可塑剤、接着性付与剤、充填剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含んでよい。
【0048】
本発明で使用される硬化反応阻害剤の好適な例としては、以下が含まれるがこれらに限定されない:バルビツール酸、2-メチル-3-ブチン-2-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、または1-エチニル-1-シクロヘキサノールから選択されるアセチレン系化合物;エンイン化合物、例えば3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、およびそれらの組み合わせ;ヒドラジン系化合物;ホスフィン系化合物;メルカプタン系化合物;およびそれらの組み合わせ。
【0049】
適切な市販の硬化反応阻害剤としては、Henkel製のPM 182、Sigma-Aldrich Company製の3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが挙げられる。
【0050】
有用な顔料の例としては、無機、有機、反応性、および非反応性顔料、およびそれらの組み合わせが挙げられ、これらは、金属酸化物顔料、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色または赤色)、酸化クロム、マンガンから選択してよい。
【0051】
必要に応じて、硬化性組成物は、本発明の目的を損なうことなく、シリカフィラー等の充填剤、安定化剤、カーボンブラック、チタンブラック、シランカップリング剤、イオントラップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤、チキソトロピー剤、およびその他の添加剤を混合することができる。
【0052】
本発明の組成物が成分(D)を含む場合、その配合量は特に限定されないが、組成物の総重量に基づいて0~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらに好ましくは1~3重量%の範囲の量が好ましい。
【0053】
(E)光ラジカル重合開始剤
本発明によれば、前記硬化性組成物は、(E)少なくとも1つの光ラジカル重合開始剤をさらに含んでよい。存在する場合、UV照射によって硬化プロセスが開始し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、光開始および熱開始の両方が望ましい場合がある。例えば、硬化プロセスはUV照射によって開始でき、後の処理ステップで熱を加えてさらに硬化させることで硬化を完了できる。
【0055】
有用な光ラジカル重合開始剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:α開裂(タイプI)光ラジカル重合開始剤、水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤、およびそれらの組み合わせ。α-開裂(タイプI)光ラジカル重合開始剤の例は、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインエーテル、ヒドロキシアルキルフェニルケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、ジアルコキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、メチルチオフェニルモルホリノケトンおよびモルホリノフェニルアミノケトン、およびそれらの組み合わせである。水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤の例は、ベンゾフェノン、チオキサントン、ベンジル、カンファーキノン、ケトクマリンおよびそれらの組み合わせである。
【0056】
好ましい光ラジカル重合開始剤には、ケトン誘導体、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが含まれる。
【0057】
これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0058】
有用な市販の光ラジカル重合開始剤は、BASFから商品名IRGACURE(登録商標)184、IRGACURE(登録商標)127、IRGACURE(登録商標)819、IRGACURE(登録商標)754、およびIRGACURE(登録商標)500、DAROCUR(登録商標)4265で入手可能である。
【0059】
一般に、光ラジカル重合開始剤が組成物中に存在する場合、これらの組成物は、室温で、200~650nm、好ましくは300~500nmの範囲の波長で、30秒未満、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満の時間内に硬化することになり、その後、本明細書に記載の加熱硬化プロセスを行う。理解されるように、各硬化性組成物の時間および波長の硬化プロファイルは変化し、特定の工業的製造プロセスに適した硬化プロファイルを提供するように異なる組成物を設計することができる。
【0060】
特に好ましくは、前記成分(E)は、存在する場合、組成物の総重量に基づいて0~10重量%、好ましくは0.1~7重量%の量であり得る。
【0061】
組成物
特に好ましい実施形態において、前記硬化性組成物は、組成物の総重量に基づいて、
(A)50~95重量%、好ましくは60~85重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート、
(B)0重量%超3重量%未満、好ましくは0.001~2重量%、より好ましくは0.01~2重量%の少なくとも1つのジアリールヨードニウム塩、
(C)3~47重量%、より好ましくは7~40重量%、さらにより好ましくは13~35重量%の少なくとも1種の潜在性アミン触媒、
(D)0~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらにより好ましくは1~3重量%の少なくとも1つの添加剤、および
(E)0~10重量%、好ましくは0.1~7重量%の少なくとも1つの光ラジカル重合開始剤
を含む。
【0062】
硬化性組成物の調製方法
本発明による硬化性組成物は、以下の工程により室温で調製することができる:
(i)成分(B)、成分(E)(存在する場合)を成分(A)と装置内で混合して、均一な混合物を得る工程、
(ii)成分(D)が存在する場合、工程(i)で得られた混合物に成分(D)を添加する工程;および
(iii)最後に成分(C)を加えて混合物を均一に撹拌して、組成物を得る工程。
【0063】
これらの混合、撹拌、分散等のための装置は特に限定されない。撹拌機およびヒーターを備えた自動乳鉢、ヘンシェルミキサー、スリーロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を用いることができる。さらに、これらの装置を適宜組み合わせて使用してよい。硬化性組成物の調製方法は、上記成分が均一に混合された組成物が得られる限り特に限定されない。
【0064】
硬化プロファイルおよび硬化物
本発明によれば、本発明の硬化性組成物は、好ましくは100℃未満、より好ましくは80℃未満の温度で熱硬化することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明の硬化性組成物は、40~95℃、好ましくは40~85℃で熱硬化することができる。
【0066】
本発明者らは驚くべきことに、ジアリールヨードニウム塩は100℃超に加熱した後に、(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合を開始することができるフリーラジカルを放出するが、反応中に潜在性アミン触媒が存在すると反応温度が大幅に低下し得ることを発見した。
【0067】
本発明によれば、本発明の硬化性組成物は、少なくとも1つの光ラジカル重合開始剤が存在する場合、熱硬化性および放射線硬化性であり得る。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明の硬化性組成物は、200~650nm、好ましくは250~500nmの範囲の波長で、室温で30秒未満、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満の時間内でUV照射により硬化することができる;次いで、100℃未満、好ましくは60~90℃、好ましくは62~82℃の温度で20分~3時間熱硬化される。理解されるように、各接着剤組成物の時間および温度の硬化プロファイルは異なり、特定の工業的製造プロセスに適した硬化プロファイルを提供するように異なる組成物を設計することができる。
【0069】
本発明の別の態様において、本発明による硬化性組成物の硬化生成物が提供される。
【0070】
物品、電子デバイスおよびその使用
本発明の別の態様において、第1の基材、硬化生成物、および本発明による硬化性組成物に由来する硬化生成物を介して第1の基材に接合された第2の基材を含む物品が提供される。
【0071】
第1の基材および/または第2の基材は、単一の材料および単一の層であることができ、または同一または異なる材料の複数の層を含むことができる。層は連続的でも不連続的であってもよい。
【0072】
本明細書に記載される物品の基材は、剛性(例えば硬い基材、すなわち、基材は個人が両手を使って曲げることができない、または両手で基材を曲げようとすると破損する)、柔軟性(例えばフレキシブル基材、すなわち、基材は両手の力以下で曲げることができる)、多孔性、導電性、導電性の欠如、およびそれらの組み合わせを含む様々な特性を有することができる。
【0073】
物品の基材は、例えば、繊維、糸、ヤーン、織物、不織布、フィルム(例えば、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、連続フィルム、不連続フィルム、およびそれらの組み合わせ)、ホイル(例えば、金属箔)、シート(例えば、金属シート、ポリマーシート、連続シート、不連続シート、およびそれらの組み合わせ)、ならびにそれらの組み合わせを含む、様々な形態であることができる。
【0074】
本発明で使用される有用な基材材料としては、例えば、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂))、液晶ポリマー、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、および延伸ポリプロピレン、ポリオレフィンと他のコモノマーとのコポリマー)、ポリエーテルテレフタレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸アイオノマー、エチレンビニルアルコール、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、例えばナイロン-6およびナイロン-6,6、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、ポリスチレン、およびエポキシ)、ポリマー複合材料(例えば、ポリマーと金属、セルロース、ガラス、ポリマー、およびそれらの組み合わせとの複合材料)、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、金、銀、白金およびマグネシウムならびにスチール(ステンレススチールなど)などの合金、錫、真鍮、およびマグネシウム、およびアルミニウム合金)、炭素繊維複合材、その他の繊維に基づく複合材、グラフェン、フィラー、ガラス(例えば、アルカリアルミノシリケート強化ガラスおよびホウケイ酸ガラス)、石英、窒化ホウ素、窒化ガリウム、サファイア、シリコン、炭化物、セラミック、およびそれらの組み合わせ、好ましくは液晶ポリマー、ガラス、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
硬化性組成物は、例えば、自動細線塗布、ジェット塗布、スロットダイコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、転写コーティング、パターンコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、押出し、エアナイフ、トレーリングブレード、ブラッシング、ディッピング、ドクターブレードによるフィラメントコーティング、オフセットグラビアコーティング、輪転グラビアコーティング、およびそれらの組み合わせを含む任意の適切な適用方法を使用して基材に適用することができる。硬化性組成物は、単一層または複数層、およびそれらの組み合わせで、連続または不連続コーティングとして適用することができる。
【0076】
任意に、硬化性接着剤組成物が適用される基材の表面は、例えばコロナ処理、化学処理(例えば化学エッチング)、火炎処理、研磨、およびそれらの組み合わせを含む、基材表面への接着を強化するための任意の適切な方法を使用して接着を強化するために処理される。
【0077】
本発明の追加の態様において、本発明の物品を含む電子デバイスが提供される。
【0078】
例示的な電子デバイスには、コンピュータおよびコンピュータ機器、例えばプリンタ、ファックス機器、スキャナ、キーボード等;医療用センサー;自動車用センサー等;ウェアラブル電子デバイス(例えば腕時計および眼鏡)、ハンドヘルド電子デバイス(例えば電話(例えば携帯電話および携帯スマートフォン)、カメラ、タブレット、電子リーダー、モニター(例えば、病院で使用するモニター、ならびに医療従事者、アスリートおよび個人が使用するモニター)、時計、電卓、マウス、タッチパッド、およびジョイスティック)、コンピュータ(例えばデスクトップおよびラップトップコンピューター)、コンピュータモニター、テレビ、メディアプレーヤー、家庭用電化製品(例えば冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブン、および電子レンジ)、電球(例えば白熱灯、発光ダイオード、および蛍光灯)、目に見える透明または透明な構成物を含む物品、ガラスハウジング構造、ディスプレイまたは他の光学コンポーネント用の保護透明カバーが包含される。
【0079】
本発明のさらに別の態様において、電子デバイスの製造における本発明による硬化性接着剤組成物および物品の使用が提供される。
【実施例
【0080】
以下の実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し、実践することを助けることを意図としている。本発明の範囲は実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。すべての部およびパーセンテージは、特に明記しない限り、重量に基づく。
【0081】
原材料:
SR 833S は、Sartomerから入手可能なトリシクロデカンジメタノールジアクリレートである。
【0082】
PEP 9000は、Negami Chemical Industrial Co., Ltd.から入手可能なウレタン(メタ)アクリレートである。
【0083】
Irgacure 184は、BASFから入手可能な1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0084】
Rhodorsil Photoinitiator 2074は、RHODIA INC.から入手可能な4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0085】
Omnicat 250は、IGM Resinsから入手可能な4-イソブチルフェニル-4’-メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートヨードニウムである。
【0086】
CPI-200Kは、San-Apro Ltd.から入手可能なホスフェートアニオンを有するトリアリールスルホニウム塩である。
【0087】
Cyracure UVI 6976 は、DOWから入手可能な混合タイプのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩である。
【0088】
2-(アセチルオキシ)-5-ヨード安息香酸は、Sigma Aldrichから入手可能である。
【0089】
ヨードベンゼンは、Sigma Aldrichから入手可能である。
【0090】
Fujicure FXR 1081は、T&K Toka Corporationから入手可能な脂肪族ポリアミンと脂環式ポリアミンとの混合物である。
【0091】
2E4MZ-CNは、Shikoku Chemicalsから入手可能な1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾールである。
【0092】
PM182はHenkelから入手可能なバルビツール酸である。
【0093】
製造方法:
例1(Ex.1)
蓋付きの容器中で、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0094】
例2(Ex.2)
蓋付きの容器中で、0.08gのOmnicat 250を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0095】
例3(Ex.3)
蓋付きの容器中で、0.04gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0096】
例4(Ex.4)
蓋付きの容器中で、0.005gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0097】
例5(Ex.5)
蓋付きの容器中で、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、0.5gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0098】
例6(Ex.6)
蓋付きの容器中で、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、0.1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0099】
例7(Ex.7)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074および0.15gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度でさらに5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0100】
例8(Ex.8)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.08gのOmnicat 250および0.15gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度でさらに5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0101】
例9(Ex.9)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074および0.15gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度でさらに5分間混合した。その後、0.3gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0102】
例10(Ex.10)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.04gのRhodorsil Photoinitiator 2074および0.15gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度でさらに5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0103】
比較例1(CEx.1)
蓋付きの容器中で、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌して硬化性組成物を得た。
【0104】
比較例2(CEx.2)
蓋付きの容器中に3gのSR 833Sを準備した。次いで、1gのFujicure FXR 1081を加え、混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で室温で10分間撹拌して組成物を得た。
【0105】
比較例3(CEx.3)
蓋付きの容器中で、0.08gのCPI-200Kを3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310 ミキサーを使用して均質な混合物から気泡を除去し、組成物を得た。
【0106】
比較例4(CEx.4)
蓋付きの容器中で、0.08gのCyracure UVI 6976を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均質な混合物から気泡を除去し、組成物を得た。
【0107】
比較例5(CEx.5)
蓋付きの容器中で、0.08gのヨードベンゼンを3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均質な混合物から気泡を除去し、組成物を得た。
【0108】
比較例6(CEx.6)
蓋付きの容器中で、0.08gの2-(アセチルオキシ)-5-ヨード安息香酸を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0109】
比較例7(CEx.7)
蓋付きの容器中で、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074を3gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、0.5gの2E4MZ-CNを添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0110】
比較例8(CEx.8)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.08gのRhodorsil Photoinitiator 2074および0.01gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均一な混合物から気泡を除去し、硬化性組成物を得た。
【0111】
比較例9(CEx.9)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.01gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310 ミキサーを使用して均質な混合物から気泡を除去し、組成物を得た。
【0112】
比較例10(CEx.10)
蓋付きの容器中で、1gのPEP 9000を2gのSR 833Sと混合した。混合物をSpeedmixer DAC 150.1 FVZ-K(FlackTek, Inc.製)中で2000rpmの速度で10分間室温で撹拌した。次いで、0.08gのCyracure UVI 6976および0.15gのIrgacure(登録商標)184を加え、混合物を1000rpmの速度で5分間混合した。次いで、0.1gのPM 182を容器に添加し、混合物を1000rpmの速度でさらに5分間混合した。その後、1gのFujicure FXR 1081を添加し、1000rpmで5分間混合した。最後に、Thinky ARV-310ミキサーを使用して均質な混合物から気泡を除去し、組成物を得た。
【0113】
試験方法:
示差走査熱量測定(DSC)
Ex.1~Ex.6およびCEx.1~CEx.7の各調製物をdynamic DSC Q2000装置で測定して硬化温度を決定した。測定条件は以下の通りである:走査温度範囲は40~250℃(10℃/分)。ピーク温度を表1に記録した。
【0114】
100℃未満のDSCピーク温度が許容できる。
【0115】
硬化生成物のダイシェア強度
硬化生成物のダイシェア強度(DSS)を、DAGE4000(Nordson Corporation製)を用いて室温で測定した。本発明および比較例の組成物を、厚さ0.8mm、3×3mmのガラス上部被着体上にコーティングした。次に、ガラス上部被着体をポリアミド基材上に配置した。Ex.1~Ex.6およびCEx.1~CEx.7の各組成物のすべてのサンプルをオーブンで、80℃で1時間硬化させた。Ex.7~Ex.10およびCEx.8~CEx.10の各組成物のすべてのサンプルを、波長365nmのLED光で1100mw/cmで2秒間UV照射下で硬化させ、その後オーブンで80℃で1時間熱硬化させた。圧力は使用しなかった。各サンプルは同じ条件下で8回テストされ、誤差を排除するために単純化された平均法によって平均DSSが計算および記録された。試験結果を表1および表2に示す。
【0116】
Ex.1~Ex.6およびCEx.1~CEx.7では、5Kgを超えるDSSが許容できる。Ex.7~Ex.10、CEx.8およびCEx.10では、5Kgを超えるDSSが許容できる。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
表1から分かるように、本発明の硬化性組成物は比較組成物に比べて硬化温度が低く(100℃未満)、本発明における硬化性組成物の硬化生成物は良好なダイシェア強度(5kg超)を示した。
【0120】
表2からわかるように、本発明の硬化性組成物は、熱硬化性および放射線硬化性であり、所望のダイシェア強度(5Kg超)を示した。
【0121】
いくつかの好ましい実施形態を説明してきたが、上記の教示に照らして、多くの修正および変更をそれらに加えてよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法でも実施してよいことが理解されるべきである。
【国際調査報告】