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特表2024-520011香料として使用するための1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】香料として使用するための1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20240514BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240514BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240514BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C11B9/00 T
C11D3/50
A61K8/37
A61Q13/00 101
A61Q11/00
A61Q15/00
A61Q19/10
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572808
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022064261
(87)【国際公開番号】W WO2022248579
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】21176301.6
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21197072.8
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトック,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ガルリヒス,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブル ロイク,ミリアム
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC061
4C083AC062
4C083AC101
4C083AC121
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC491
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC02
4C083CC23
4C083CC41
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE18
4C083EE34
4C083KK02
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB27
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
(57)【要約】
本発明は、式(I):R-O-(CH-O-C(=O)-R(式中、Rは、水素又は-C(=O)-Rであり:R及びRは、独立して、C~C-アルキルである)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの、又は異なる化合物(I)の混合物の、香料としての使用;組成物の香りを修正及び/又は向上させるためのその使用、このような1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルを含む組成物、並びに前記1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルを使用して香り付けされた組成物を調製するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
-O-(CH-O-C(=O)-R (I)
(式中、
は、水素及び-C(=O)-Rからなる群から選択され;
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルである)
の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル
又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、香料としての使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、
1,4-ブタンジオールジエステル(Rは-C(=O)-Rであり、R及びRは両方共C~C-アルキルであり;好ましくは、R及びRは同一である)が使用されるか;又は
1,4-ブタンジオールジエステル(Rは-C(=O)-Rであり、R及びRは両方共C~C-アルキルである)と1,4-ブタンジオールモノエステル(Rは水素であり、RはC~C-アルキルである)との混合物が使用され;好ましくは、前記ジエステル中のR及びR並びに前記モノエステル中のRは同一である、使用。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の使用であって、
が水素又は-C(=O)-CHであり;
がメチルである、使用。
【請求項4】
請求項3に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジアセテートの使用。
【請求項5】
請求項3に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物の使用。
【請求項6】
請求項3に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネートの使用。
【請求項7】
請求項3に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物の使用。
【請求項8】
請求項2、3、5及び7のいずれか一項に記載の使用であって、前記混合物は、前記1,4-ブタンジオールモノエステルを、前記1,4-ブタンジオールジエステル及び前記1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.01~99重量%、好ましくは0.1~20重量%の量で含む、使用。
【請求項9】
請求項8に記載の使用であって、前記混合物は、前記1,4-ブタンジオールモノエステルを、前記1,4-ブタンジオールジエステル及び前記1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~10重量%、特に0.1~5重量%、より具体的には0.1~2重量%、具体的には0.1~1重量%、非常に具体的には0.1~0.5重量%の量で含む、使用。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の使用であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルは、再生可能資源から得られた1,4-ブタンジオールから誘導されたものであり、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルの12C同位体対14C同位体のモル比は、好ましくは3×1012未満:1であり;好ましくは、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルは、再生可能資源から得られた1,4-ブタンジオールから誘導されたものであり、且つRが-C(=O)-Rである場合は、再生可能資源から得られたカルボン酸R-C(=O)OH及びR-C(=O)OHから誘導されたものである、使用。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の使用であって、フレグランスとしての使用。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、組成物の香りを修正及び/又は向上させるための使用;特に、組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるための使用;特に、芳香付けされた即時使用できる組成物の香気の性格を修正するための使用。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、フルーティな若しくは甘い嗅覚ノート又はフルーティな嗅覚ノート及び甘い嗅覚ノートの組合せを付与するための使用であって:
特に、1,4-ブタンジオールジアセテート若しくは1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの総重量に対し0.1~20重量%含む混合物又は1,4-ブタンジオールジプロピオネート若しくは1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノプロピオネートを、1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの総重量に対し0.1~10重量%、特に0.1~3重量%含む混合物の、以下に示す嗅覚ノートのうちの1つ:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せを付与するための、使用。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の使用であって、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から、好ましくは、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される組成物中における、使用。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、化合物(I)とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から;特に、化合物(I)とは異なる香料、界面活性剤、油成分、溶媒、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む、組成物であって:
前記組成物は、アルコール飲料、果汁、果実又は種子ではなく、前記組成物はジアセチルを含まず;前記組成物は1,3-ビス(カプロラクタム-1-イル)ブタンを含まない、組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の組成物であって、前記非香料担体が1種又は複数種の溶媒を含む場合、これらは、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物であって、前記溶媒は、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の組成物であって、前記溶媒は、イソプロパノール、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか一項に記載の組成物であって、前記化合物(I)とは異なる香料は、酢酸ゲラニル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、イソ酪酸2-フェノキシエチル、ジヒドロミルセノール、ジヒドロジャスモン酸メチル(好ましくはcis体の含有量が60重量%を超えるもの)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、サリチル酸ベンジル、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナミルアルコール、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニル、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニル、シトロネロール、酢酸シトロネリル、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、酢酸リナリル、酢酸スチラリル(styrolyl)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン、2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン、サリチル酸ヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル、α-イオノン、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、酢酸テルピニル、2ーフェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、15-ペンタデク-11-エノリド、15-ペンタデク-12-エノリド、15-シクロペンタデカノリド、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-3-ヘキセニル、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,4,4,7-テトラメチルオクト-6-エン-3-オン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、ボルネオール,3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(好ましくはcis体の含有量が70重量%以上であるもの)、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチルペンタン酸エチル、エトキシメトキシシクロドデカン、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン、酢酸(2-tert-ブチルシクロヘキシル)、3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール、メントン、イソメントン、カルボン、カンファー、β-イオノン、β-n-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、アセチル化セダーウッドオイル並びにこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【請求項20】
請求項15~17のいずれか一項に記載の組成物であって、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、組成物。
【請求項21】
香料組成物、特に芳香付けされた組成物、具体的には芳香付けされた即時使用できる組成物を調製するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物に組み込むことを含むか;又は請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法
【請求項22】
組成物に香り、好ましくは芳香を付与するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物に組み込むことを含むか:又は請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後に式(I)で示す1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又はその混合物の香料としての使用、組成物の香りを修正及び/又は向上させるためのその使用、このような式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルを含む組成物並びに前記1,4-ブタンジオールモノ-及び/又はジエステルを使用して香り付けされた組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、特にフレグランスは、化粧品並びに洗浄及び洗濯用組成物の分野で特に大きな関心を集めている。天然由来のフレグランスは、大抵は高価であり、多くの場合、入手できる量が限られており、環境条件の変動により、その含有量や純度なども変動する。従って、これらの望ましくない要因を回避するために、より高価な天然のフレグランスに似た感覚特性を有する、又は新規な興味深い感覚プロファイルを有する合成物質を生成することが非常に大きな関心を集めている。
【0003】
多くの香料が既に存在しているにもかかわらず、非常に多様な用途分野で望まれる多くの特性を満たすことができるようにするために、新しい成分が常に必要とされている。そのようなものとして、まず第1に感覚特性が挙げられる、即ち、化合物は、有利な匂い(嗅覚)特性又は呈味特性を有する必要がある。これに加えて、更に香料は、好ましい第2の特性、例えば、効率的な調製方法、他の香料と相乗作用した結果としてより良好な感覚プロファイルを示す可能性、幅広い組成及び特定の適用条件下におけるより高い安定性、より高い拡散性(extendability)並びに/又はより良好な残効性(staying power)などを有することが必要である。
【0004】
しかしながら、感覚特性は、化学構造が少し変化しただけでさえ、匂いに加えて味なども大きく変化するため、特定の匂いなどの特定の感覚特性を持つ物質を対象として探索することは非常に困難である。したがって、新規なフレグランス及び着香料の探索は、ほとんどの場合、望まれる匂い及び/又は味を持つ物質が実際に見つかるかどうかさえわからない、困難で骨の折れる作業である。
【0005】
独国特許第886304B号明細書には、エステル化触媒の存在下にテトラヒドロフランをカルボン酸と反応させることによって1,4-ブタンジオールジアセテート又はジブチラートなどの様々な1,4-ブタンジオールエステルを調製することが記載されている。このエステルは、溶媒、可塑剤、中間体化合物、プラスチック又はフレグランス及び医薬組成物の出発化合物として有用であると述べられている。しかしながら、この文書には、このエステル自体の嗅覚特性については何も記載されていない。
【0006】
独国特許出願公開第A-2525893号明細書には、たばこ喫煙用フィルタに適したセルロースアクテート(actate)繊維集束体を調製するための方法が記載されており、その方法において、1,4-ブタンジオールジアセテートが可塑剤として使用されている。1,4-ブタンジオールジアセテートは無臭且つ無毒であり、たばこの香喫味又は煙の香りを損なわないという特徴を有する。
【0007】
中国特許第103642260号明細書は、ガラス繊維、メタクリル酸、綿繊維、炭粉末、ポリエステル繊維及び1,4-ブタンジオールジアセテートなどの二酢酸エステルを含む脱臭材料に関するものである。この材料は無臭であるという特徴を有する。
【0008】
V.Ferreiraらは、J.Chromatogr.1999,864,77-88に、ワイン抽出物及び他のアルコール飲料のセミ分取逆相液体クロマトグラフィー画分について記載している。シャルドネ・ワインから分離される多くの画分のうちの1つは、アセトアルデヒド、乳酸エチル、フルフラール、ヒドロキシ酪酸エチル、メチオノール、1,4-ブタンジオールジアセテート及びリンゴ酸ジエチルを含んでおり;その香りは、酵母エキス、湿っぽい、弱いと表現される。1,4-ブタンジオールジアセテートが香りを有することは具体的に記載されていない。
【0009】
A.Rappらは、Vitis,1989,28,21-29に、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)及び真菌耐性ぶどう品種のワインの揮発性物質をガスクロマトグラフィーにより比較した調査について記載している。これらの揮発性物質の多数ある構成成分の中から、特に、1,4-ブタンジオールモノアセテートが同定されている。しかしながら、これが特定の香りを有することは記載されていない。
【0010】
M.G.Moshonasらは、Lebensm.-Wiss.u.-Technol.1993,26,577-589に、ハミウリの揮発性成分及び不揮発性成分について記載している。数ある揮発性物質の中から、1,4-ブタンジオールジアセテートが同定されている。しかしながら、これが香りを有していることは具体的に記載されていない。
【0011】
中国特許出願公開第104824121A号明細書は、七面鳥の肉表面に噴霧する老化防止剤に関するものである。これは特に、2,3-ジアセチル及びBDOジアセテートエステルを含有する。
【0012】
国際公開第2011/101352号パンフレットは、特定のグラフトコポリマーに似た溶解性を示す、a)ポリオール、少なくとも1つのエーテル化されていないヒドロキシル基を有するポリオールエーテル又は少なくとも1つのエーテル化されていない末端ヒドロキシル基を有するポリアルキレンエーテルと、b)1,3-ビス(カプロラクタム-1-イル)ブタンと、c)ジアセトキシブタンと、を含む液体混合物に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、新規な香料を提供することにあった。更にこれらの物質は、他の香料と組み合わせることによって新規な有利な感覚プロファイルを作り出すことを可能にすることが必要である。更に、このような新規な香料を調製するためのプロセスは、高速、経済的、且つ環境に優しい製造が可能となるように、容易且つ効率的であるべきである。特定の目的は、二酸化炭素排出量が低減された香料、特に、少なくとも一部が再生可能資源から入手可能な香料を提供することにあった。他の特定の目的は、フルーティな香りを持つ香料、好ましくはフルーティで甘い香りを持つ香料を提供することにあった。
【0014】
これらの及び他の目的は、以下に示す式(I)のエステル又はその混合物(即ち、異なる化合物(I)の混合物、より正確には、2種以上の異なる化合物(I)の混合物)により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、式(I):
-O-(CH-O-C(=O)-R (I)
(式中、
は、水素及び-C(=O)-Rからなる群から選択され;
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルである)
の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、
香料としての使用に関する。
【0016】
つまり、驚くべきことに、先行技術において示唆されていることとは矛盾するが、1,4-ブタンジオールジアセテートは完全に無臭という訳ではなく、非常に心地よい香りを持つ。その芳香は、ひどく目立つものではないが、十分に知覚できる。他のエステル(I)に関しても同様である。
【0017】
更に本発明は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、組成物の香りを修正及び/又は向上させるための使用;特に、組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるための使用;特に、芳香付けされた即時使用できる組成物の香りの性格(scent character)を修正するための使用に関する。
【0018】
更に本発明は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、組成物に香りを付与するため、好ましくは、パーソナルケア又はホームケア組成物に香りを付与するため、或いは好ましくは、組成物に芳香を付与するため、或いは好ましくは、組成物にフルーティな若しくは甘い香り又はフルーティな香り及び甘い香りの組合せを付与するため、より好ましくは、組成物にフルーティな若しくは甘い芳香又はフルーティな芳香及び甘い芳香の組合せを付与するため、特に、パーソナルケア又はホームケア組成物にフルーティな若しくは甘い芳香又はフルーティな芳香及び甘い芳香の組合せを付与するための使用に関する。
【0019】
本発明はまた、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、(I)の化合物とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭(deodorant)活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む組成物にも関する。
【0020】
更に本発明は、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、具体的には芳香付けされた即時使用できる組成物を調製するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を前記組成物に組み込むことを含むか、又は式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法に関する。
【0021】
本発明はまた、組成物に香り、好ましくは芳香を付与するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を前記組成物に組み込むことによるか、又は式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することによる、方法にも関する。
【0022】
更に本発明は、組成物の香りを修正及び/又は向上させる方法;好ましくは、組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるため;特に、香り組成物、特に芳香付けされた組成物、具体的には、芳香付けされた即時使用できる組成物の香りの性格を修正するための方法であって、少なくとも1種の式(I)の化合物を、組成物、特に即時使用できる組成物に組み込むことを含むか、又は式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義:
本発明の文脈における「香り(aroma)」という用語は、感覚特性を指し、匂い及び/又は風味を含む。
【0024】
「香料(aroma chemical)」という用語は、香りの印象(「香りの印象」という用語は、本明細書においては「香調(note)」という用語と交換可能に使用される)を得るために使用される物質を意味し、嗅覚及び/又は風味の印象を得るためにそれを使用することも含まれる。「嗅覚(olfactory)の印象」又は「匂い(odor)の印象」(本明細書では交換可能に使用される)という用語は、肯定的又は否定的な判断のない匂いの印象を意味し、本明細書で使用される場合、「香気(scent)の印象」又は「芳香(fragrance)の印象」(本明細書では交換可能に使用される)という用語は、一般に心地よいと感じられる匂いの印象に関連している。したがって、「フレグランス(fragrance)」又は「香水(scent)」は、主に心地よい匂いの印象を誘発する香料を意味する。着香料は、味覚の印象を誘発する香料を意味する。
【0025】
「香りのプロファイル」という用語は、香料の全体的な香りの印象を意味し、香料の個々の香りの印象から構成される。
【0026】
本明細書で使用される「香り組成物」という用語は、香りを誘発する組成物を指す。香り組成物という用語には、「匂い組成物」及び/又は「風味組成物」が含まれる。匂い組成物は、主に匂いの印象を誘発する組成物であり、風味組成物は、主に味覚の印象を誘発する組成物である。
【0027】
匂い組成物という用語には、一般に心地よいと感じられる匂いの印象を主に誘発する、「芳香組成物」又は「香気組成物」(本明細書では交換可能に使用される)が含まれる。
【0028】
「心地よい匂い」、「心地よい匂いの印象」、「心地よい匂い特性」、「心地よいと感じる匂いの印象」及び類似の用語は、香料によって伝達される匂いの印象が快く(niceness)且つ明瞭である(conciseness)ことを表す快楽表現である。より一般的な快楽表現である「有利な感覚特性」又は「有利な感覚刺激特性」は、香料によって伝達される感覚刺激的印象が快く且つ明瞭であることを表している。本発明に関する「感覚刺激的(organoleptic)」及び「感覚的(sensory)」という用語は、嗅覚又は風味の特性に関連する。「快さ」及び「明瞭さ」は、調香師などの当業者によく知られている用語である。快さは、一般に、自発的に生じ、肯定的に知覚される心地よい感覚的印象を指す。しかしながら、「快い」は、「甘い」と同義である必要はない。「快い」は、ムスク又はサンダルウッドの匂いでもあり得る。「明瞭さ」とは、一般に、自発的に生じる感覚的印象を指し、同じ試験パネルに、特定の同一の何かを再現可能に想起させる。例えば、ある物質が、自発的に「リンゴ」の匂いを想起させる匂いを有する場合、その匂いは、明瞭に「リンゴ」の匂いになる。このリンゴの匂いが、例えば、甘くて完熟したリンゴを想起させることを理由として、非常に心地よい場合、その匂いは、「快い」と呼ばれる。一方、典型的なリンゴのタルトの匂いも、明瞭であり得る。物質の匂いを嗅いだときに両方の反応が起こった場合、つまりこの例では、快く且つ明瞭にリンゴの匂いがした場合、この物質は、特に有利な感覚特性を有する。
【0029】
「匂いの強い物質」という用語は、匂いの印象が強い物質又は香料を指す。匂いの印象が強いとは、ガス空間濃度が非常に低くてさえも強烈に知覚することが可能となるような香料の特性を意味すると理解される。
【0030】
その強さは、閾値を求めることによって測定することができる。もはや定義する必要もないが、閾値は、代表的な試験パネルが関連するガス空間内で匂いの印象を依然として知覚することができるちょうどの物質の濃度である。既知の物質の種類の中で、最も匂いが強い物質、即ち匂いの閾値が非常に低い物質に属している種類が恐らくチオール類であり、その閾値はppb/m域となることが多い。
【0031】
「持続性(tenacity)」は、香料の経時的な蒸発挙動を説明する用語である。持続性は、例えば、香料を試香紙に塗布し、続いて試香紙の匂いの印象を嗅覚的に評価することによって決定することができる。持続性の高い香料の場合、パネルが依然として芳香の印象を識別できるまでの時間間隔が長くなる。
【0032】
「残留性(substantivity)」は、特に、皮膚又は繊維製品などの表面を、例えば洗浄などによって表面処理した後の、香料との相互作用を説明する用語である。残留性は、例えば、繊維製品を、香料を含む繊維製品用洗剤組成物で洗浄した後、洗浄直後の繊維製品(湿った繊維製品)の嗅覚的評価及び乾燥させて長時間保管した後の繊維製品の評価を行うことによって決定することができる。
【0033】
「安定性」は、酸素、光及び/又は他の物質と接触した際の香料の挙動を説明する用語である。安定性の高い香料は、その香りのプロファイルを、好ましくは多種多様な組成物中で、及び様々な保管条件下で、長期間にわたり維持する。
【0034】
組成物に又は組成物で処理された表面に長期間にわたり持続する香りの印象を付与するためには、香料の残留性、持続性及び組成物中での安定性は、好ましくは高いことが必要である。
【0035】
「増強剤(booster)」「増強すること(boosting)」又は「増強する(boost)」という用語は、本明細書では、香料の又は組成物の香りを向上及び/又は修正する効果を説明するために使用される。「向上させる」という用語は、香りの快さ及び/若しくは明瞭さの改善並びに/又は強さの改善を含む。「修正する」という用語は、香りのプロファイルを変化させることを含む。
【0036】
増強剤の効果は、例えば、防臭剤、室内用芳香剤(air freshner)又はチューインガムにおける味覚分野などで、匂いが特に迅速且つ集中的に伝達される、トップノートを特徴とする用途が必要な芳香組成物に特に望まれる。
【0037】
「化合物」及び「物質」という用語は、本発明全体を通して同義で使用される。
【0038】
本発明に関連する「C~C-アルキル」という用語は、メチル及びエチルを指す。
【0039】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノエステルは、Rが水素である化合物(I)である。式(I)の1,4-ブタンジオールジエステルは、Rが-C(=O)-Rである化合物(I)である。
【0040】
以下、式(I)の化合物が特定の定義された化合物である(且つ異なる化合物Iの混合物ではない)と定義されている場合、これは、この化合物が、それ以外の化合物Iを、該特定の定義された化合物I及び任意選択的に存在するそれ以外の化合物Iの総重量に対し、0.1重量%未満で含むことを意味する。
【0041】
異なる化合物(I)を含む混合物においては、これらは、R基の定義が異なるか、Rの定義が異なるか、又はその両方である。したがって、混合物は、例えば、異なるカルボン酸から誘導されたモノエステル、異なるカルボン酸から誘導されたジエステル、同一のカルボン酸から誘導されたモノ-及びジエステルの両方並びに異なるカルボン酸から誘導されたモノ-及びジエステルの両方を含み得る。本文脈における「~から誘導された」は、R-C(=O)-基又はR-C(=O)-基(存在する場合)の理論上の起源にのみ関連し;実際の合成起源に関連しない。好ましくは、混合物中の化合物(I)は、モノエステル(R=H)であるか又はジエステル(R=-C(=O)-R)であることのみが異なり、どちらも同じカルボン酸から誘導されたものである(即ち、モノ-及びジエステルのRは同一であり;R=Rである)。
【0042】
以下に言及する可変要素(variable)の好ましい定義は、それ自体に関し適用されるのみならず、好ましくは、適用可能であれば、本明細書に定義する式(I)の化合物に関連する可変要素の互いの組合せ並びに本明細書に定義する本発明の組成物、使用及び方法に関連する可変要素の互いの組合せにも適用される。
【0043】
本発明の実施形態(E.x)
一般的及び好ましい実施形態E.xを以下の非網羅的リストに要約する。更に好ましい実施形態は、本リストに続く段落から明らかとなる。
【0044】
E.1. 式(I):
-O-(CH-O-C(=O)-R (I)
(式中、
は、水素及び-C(=O)-Rからなる群から選択され;
及びRは、互いに独立して、C~Cアルキルである)
の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の、香料としての使用。
【0045】
E.2. 実施形態E.1に記載の使用であって、
1,4-ブタンジオールジエステルが使用される(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRが両方共C~C-アルキルである)か;又は
1,4-ブタンジオールジエステル(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRが両方共C~C-アルキルである)と1,4-ブタンジオールモノエステル(即ち、Rが水素であり、RがC~C-アルキルである)との混合物が使用される、使用。
【0046】
E.3. 実施形態E.2に記載の使用であって、
1,4-ブタンジオールジエステル(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRが、両方共C~C-アルキルである)が使用され;R及びRが同一である(即ち、1,4-ブタンジオールジエステルは1,4-ブタンジオールジアセテート又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートのいずれかである)か;又は
1,4-ブタンジオールジエステル(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRが両方共C~C-アルキルである)と1,4-ブタンジオールモノエステル(即ち、Rが水素であり、RがC~C-アルキルである)との混合物が使用され;ジエステル中のR及びR並びにモノエステル中のRが同一である(即ち、混合物が、1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物のいずれかである)、使用。
【0047】
E.4. 実施形態E1~E3のいずれか一つに記載の使用であって、
が水素又は-C(=O)-CHであり;
がメチルである、使用。
【0048】
E.5. 実施形態E.4に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジアセテート(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRがメチルである化合物(I))の、使用。
【0049】
E.6. 実施形態E.4に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジアセテート(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRがメチルである化合物(I))と1,4-ブタンジオールモノアセテート(即ち、RがHであり、Rがメチルである化合物(I))との混合物の、使用。
【0050】
E.7. 実施形態E.1~E.3のいずれか一つに記載の使用であって、
が水素又は-C(=O)-CHCHであり;
がエチルである、使用。
【0051】
E.8. 実施形態E.7に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネート(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRがエチルである化合物(I))の、使用。
【0052】
E.9. 実施形態E.7に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネート(即ち、Rが-C(=O)-Rであり、R及びRがエチルである化合物(I))と1,4-ブタンジオールモノプロピオネート(即ち、RがHであり、Rがエチルである化合物(I))との混合物の、使用。
【0053】
E.10. 実施形態E.2~E.4、E.6、E.7及びE.9に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~99重量%の量で含む、使用。
【0054】
E.11. 実施形態E.10に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~<50重量%の量で含む、使用。
【0055】
E.12. 実施形態E.11に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~30重量%の量で含む、使用。
【0056】
E.13. 実施形態E.12に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~20重量%の量で含む、使用。
【0057】
E.14. 実施形態E.13に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~10重量%の量で含む、使用。
【0058】
E.15. 実施形態E.14に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~5重量%の量で含む、使用。
【0059】
E.16. 実施形態E.15に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~2重量%の量で含む、使用。
【0060】
E.17. 実施形態E.16に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~1重量%の量で含む、使用。
【0061】
E.18. 実施形態E.17に記載の使用であって、混合物が、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~0.5重量%の量で含む、使用。
【0062】
E.19. 実施形態1~18のいずれか一つに記載の使用であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルは、再生可能資源から得られた1,4-ブタンジオールから誘導されたものである、使用。
【0063】
E.20. 実施形態E.19に記載の使用であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルは、再生可能資源から得られた1,4-ブタンジオールから誘導されたものであり、且つRが-C(=O)-Rである場合は、再生可能資源から得られたカルボン酸R-C(=O)OH及びR-C(=O)OHから誘導されたものである、使用。
【0064】
E.21. 実施形態E.19又はE.20のいずれか一つに記載の使用であって、1,4-ブタンジオールエステル中の14C同位体が検出可能な水準にある、使用。
【0065】
E.22. 実施形態E.19~E.21のいずれか一つに記載の使用であって、1,4-ブタンジオール中の12C同位体対14C同位体のモル比が2×1012未満:1である、使用。
【0066】
E.23. 実施形態E.19~E.22のいずれか一つに記載の使用であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル中の12C同位体対14C同位体のモル比が3×1012未満:1である、使用。
【0067】
E.24. 実施形態E1~E23のいずれか一つに記載の使用であって、フレグランスとしての、使用。
【0068】
E.25. 実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の使用であって、組成物の香りを修正及び/又は向上させるための、使用。
【0069】
E.26. 実施形態E.25に記載の使用であって、組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるための、使用。
【0070】
E.27. 実施形態E.26に記載の使用であって、芳香付けされた即時使用できる組成物の香りの性格を修正するための、使用。
【0071】
E.28. 実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の使用であって、フルーティな若しくは甘い嗅覚ノート(olfactory note)又はフルーティな嗅覚ノート及び甘い嗅覚ノートの組合せを付与するための、使用。
【0072】
E.29. 実施形態E.28に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジアセテートの、又は1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの総重量に対し、好ましくは0.1~0.5重量%又は0.1~1重量%又は0.1~2重量%又は0.1~5重量%又は0.1~10重量%又は0.1~20重量%含む混合物の、以下の嗅覚ノート:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せのうちの1つを付与するための、使用。
【0073】
E.30. 実施形態E.28に記載の使用であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネートの、又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノプロピオネートを、1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの総重量に対し、好ましくは0.1~0.5重量%又は0.1~1重量%又は0.1~2重量%又は0.1~5重量%又は0.1~10重量%含む混合物の、以下の嗅覚ノート:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せのうちの1つを付与するための、使用。
【0074】
E.31 実施形態1~30のいずれか一つに記載の使用であって、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器(scent dispenser)用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から、好ましくは、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から、特に、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物からなる群から選択される組成物中における、使用。
【0075】
E.32. 実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物の使用であって、組成物に香りを付与するための、使用。
【0076】
E.33. 実施形態32に記載の使用であって、組成物に芳香を付与するための、使用。
【0077】
E.34. 実施形態33に記載の使用であって、パーソナルケア又はホームケア組成物に芳香を付与するための、使用。
【0078】
E.35. 実施形態32に記載の使用であって、組成物にフルーティな若しくは甘い香り又はフルーティな香り及び甘い香りの組合せを付与するための、使用。
【0079】
E.36. 実施形態35に記載の使用であって、組成物にフルーティな若しくは甘い芳香又はフルーティな芳香及び甘い芳香の組合せを付与するための、使用。
【0080】
E.37. 実施形態36に記載の使用であって、パーソナルケア又はホームケア組成物にフルーティな若しくは甘い芳香又はフルーティな芳香及び甘い芳香の組合せを付与するための、使用。
【0081】
E.38. 実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、化合物(I)とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む組成物。
【0082】
E.39. 実施形態E.38に記載の組成物であって、アルコール飲料、果汁、果実又は種子ではない、組成物。
【0083】
E.40. 実施形態E.38に記載の組成物であって、ジアセチルを含まない、組成物。
【0084】
E.41. 実施形態E.38に記載の組成物であって、1,3-ビス(カプロラクタム-1-イル)ブタンを含まない、組成物。
【0085】
E.42. 実施形態E.38に記載の組成物であって、組成物はアルコール飲料、果汁、果実又は種子ではなく、組成物はジアセチルを含まず;組成物は1,3-ビス(カプロラクタム-1-イル)ブタンを含まない、組成物。
【0086】
E.43. 実施形態E.38~42のいずれか一つに記載の組成物であって、化合物(I)とは異なる香料、界面活性剤、油成分、溶媒、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分を含む、組成物。
【0087】
E.44. 実施形態E.43に記載の組成物であって、非香料担体が1種又は複数種の溶媒を含む場合、これらは、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びその混合物からなる群から選択される、組成物。
【0088】
E.45. 実施形態E.44に記載の組成物であって、溶媒は、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びその混合物からなる群から選択される、組成物。
【0089】
E.46. 実施形態E.45に記載の組成物であって、溶媒は、イソプロパノール、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【0090】
E.47. 実施形態E.38~E.46のいずれか一つに記載の組成物であって、化合物(I)とは異なる香料は、酢酸ゲラニル(酢酸3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イル)、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、イソ酪酸2-フェノキシエチル(Phenirat)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、ジヒドロジャスモン酸メチル(好ましくはcis体の含有量が60重量%を超えるもの)(Hedione、Hedione HC)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid)、テトラヒドロリナロール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロール、サリチル酸ベンジル、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral)、シンナミルアルコール、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニル及び/又は酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニル(Herbaflorat)、シトロネロール、酢酸シトロネリル、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、酢酸リナリル、酢酸スチラリル(styrolyl)(酢酸1-フェニルエチル)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super)、サリチル酸ヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル(Oryclone)、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル(Agrumex HC)、α-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、酢酸テルピニル、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Lyral)、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン(Muscenon)、15-ペンタデク-11-エノリド及び/又は15-ペンタデク-12-エノリド(Globalide)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide)、1-5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen)、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-3-ヘキセニル、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2、4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Vertocitral)、2,4,4,7-テトラメチルオクト-6-エン-3-オン(Claritone)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(好ましくはcis体の含有量が70重量%以上であるもの)、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール(Bourgeonal)、2-メチルペンタン酸エチル(Manzanate)、エトキシメトキシシクロドデカン(Amberwood)、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン(Magnolan)、酢酸(2-tert-ブチルシクロヘキシル)(Verdox)、3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール(Sandela)、メントン、イソメントン、カルボン、カンファー、β-イオノン、β-n-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、アセチル化セダーウッドオイル並びにこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【0091】
E.48. 実施形態E.47に記載の組成物であって、化合物(I)とは異なる香料は、酢酸ゲラニル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、イソ酪酸2-フェノキシエチル、ジヒドロミルセノール、ジヒドロジャスモン酸メチル(好ましくはcis体の含有量が60重量%を超えるもの)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、サリチル酸ベンジル、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナミルアルコール、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニル、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニル、酢酸シトロネリル、テトラヒドロゲラニオール、酢酸リナリル、酢酸スチラリル(styrolyl)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン、2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン、サリチル酸ヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル、α-イオノン、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、酢酸テルピニル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、15-ペンタデク-11-エノリド、15-ペンタデク-12-エノリド、15-シクロペンタデカノリド、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-3-ヘキセニル、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,4,4,7-テトラメチルオクト-6-エン-3-オン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、ボルネオール,3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(好ましくはcis体の含有量が70重量%以上であるもの)、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチルペンタン酸エチル、エトキシメトキシシクロドデカン、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン、酢酸(2-tert-ブチルシクロヘキシル)、3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール、メントン、イソメントン、カルボン、β-n-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、アセチル化セダーウッドオイル並びにこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
【0092】
E.49. 実施形態E.38~E.48のいずれか一つに記載の組成物であって、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、組成物。
【0093】
E.50. 実施形態E.49に記載の組成物であって、香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、組成物。
【0094】
E.51. 香料組成物の調製方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物に組み込むことを含む、方法。
【0095】
E.52. 香料組成物の調製方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/又若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、又は予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することを含む、方法。
【0096】
E.53. 実施形態E.51又はE.52のいずれか一つに記載の方法であって、芳香付けされた組成物を調製するための方法。
【0097】
E.54. 実施形態E.53に記載方法であって、芳香付けされた即時使用できる組成物を調製するための方法。
【0098】
E.55. 組成物に香りを付与するための方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物)を、前記組成物に組み込むことによるか、又は実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することによる、方法。
【0099】
E.56. 実施形態E.55に記載の方法であって、組成物に芳香を付与するための方法。
【0100】
E.57. 実施形態E.55又はE.56のいずれか一項に記載の方法であって、組成物にフルーティな若しくは甘い香り、好ましくは芳香又はフルーティな香り、好ましくは芳香及び甘い香り、好ましくは芳香の組合せを付与するための方法。
【0101】
E.58. 実施形態E.55~E.57のいずれか一項に記載の方法であって、パーソナルケア又はホームケア組成物に香りを付与するための方法。
【0102】
E.59. 組成物の香りを修正及び/又は向上させる方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を組成物に組み込むことを含むか、又は実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法。
【0103】
E.60. 芳香付けされた組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるための実施形態E.59に記載の方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、芳香付けされた組成物に組み込むことを含むか、又は実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、若しくは予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に若しくは連続して混合することを含む、方法。
【0104】
E.61. 芳香付けされた即時使用できる組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるための実施形態E.60に記載の方法であって、実施形態E.1~E.23のいずれか一つに記載の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、即時使用できる芳香付けされた組成物に組み込むことを含む、方法。
【0105】
E.62. 実施形態E.60又はE.61のいずれか一つに記載の方法であって、芳香付けされた組成物の香気の性格を修正するための方法。
【0106】
上に挙げた商品名及び添字で識別した香料化合物を入手できる会社を後に一覧で示す。
【0107】
好ましい実施形態においては、1,4-ブタンジオールジエステル、即ち、Rが-C(=O)-Rである化合物(I)が使用される。そのようなジエステルにおいて、R及びRは、好ましくは同一であり、これは、実用上の理由(合成及び精製がより容易である)もあるが、再現性のある香りの印象を提供することをより容易且つより経済的にするためでもある。
【0108】
他の好ましい実施形態においては、1,4-ブタンジオールジエステル(即ち、Rが-C(=O)-Rである化合物(I))と1,4-ブタンジオールモノエステル((即ち、Rが水素である化合物(I))との混合物が使用される。このような混合物の場合も、ジエステル中のR及びR並びにモノエステル中のRが同一であること;即ち、モノ-及びジエステルが同一の(1種のみの)カルボン酸から誘導されたものであることが好ましい。
【0109】
より好ましくは、Rは水素又は-C(=O)-CHであり;Rはメチルである。
【0110】
したがって、より好ましい一実施形態においては、1,4-ブタンジオールジアセテートが使用される。
【0111】
他のより好ましい実施形態においては、1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物が使用される。
【0112】
他の好ましい実施形態において、Rは水素又は-C(=O)-CHCHであり;Rはエチルである。したがって、好ましい一実施形態においては、1,4-ブタンジオールジプロピオネートが使用される。他の好ましい実施形態においては、1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物が使用される。
【0113】
しかしながら、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物を使用することがより好ましい。
【0114】
1,4-ブタンジオールジエステルと1,4-ブタンジオールモノエステルとを含む混合物、例えば、上述の好ましい1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物が使用される場合、この混合物は、1,4-ブタンジオールモノエステルを好ましくは0.1~99重量%の量で含む。しかしながら、ジエステルは概して匂いがより強く、且つより極性が低いことから、配合物中で利益をもたらすため、モノ-/ジエステル混合物中ではジエステルが主成分であること、即ち、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し50重量%を超える量で存在することが好ましい。したがって、より好ましくは,混合物は、1,4-ブタンジオールモノエステルを、1,4-ブタンジオールジエステル及び1,4-ブタンジオールモノエステルの総重量に対し、0.1~<50重量%,例えば、0.1~30重量%;より好ましくは0.1~20重量%、更に好ましくは0.1~10重量%、特に0.1~5重量%、より具体的には0.1~2重量%、具体的には0.1~1重量%、非常に具体的には0.1~0.5重量%の量で含む。
【0115】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及びジエステルは公知の物質であり、市販されているか、又は標準的な手続きにより、例えば、1,4-ブタンジオールを酢酸/及び若しくはプロピオン酸(R-C(=O)OH/R-C(=O)OH)を用いて、若しくは酸ハロゲン化物(例えば、塩化物又は臭化物)、その無水物若しくは活性エステルなどの、そのより活性な誘導体を用いて、典型的なエステル化条件下で、所望により反応速度を高めるために、反応により生成した水(酸自体を使用した場合)若しくは生成した酸(無水物を使用した場合)を除去しながら、若しくは中和を行いながら(酸ハロゲン化物を使用した場合)エステル化することにより、調製することができる。
【0116】
エステル化は、エステル化触媒の存在下に実施することができ;これは特に、カルボン酸自体を使用する場合に指示される。好適なエステル化触媒は当該技術分野においてよく知られており、例えば、金属系触媒、例えば、金属、金属酸化物若しくは金属塩、例えば、金属アルコキシラートの形態にある鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズ触媒;又は酸、例えば、硫酸、塩酸若しくはリン酸などの鉱酸;メタンスルホン酸若しくはパラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸若しくは強酸性陽イオン交換樹脂である。
【0117】
「強酸性陽イオン交換樹脂」という用語は、強酸性基を有するH+型の陽イオン交換体を指す。強酸性基は、一般に、スルホン酸基であり;これらは概して、ゲル様及び/又はマクロポーラスであり得るポリマーマトリックスに結合している。スルホン酸基を含むスチレン(コ)ポリマー、特にスルホン酸基を含むスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーが好ましい。このような陽イオン交換体の市販品の例が、Lewatit(登録商標)(Lanxess)、Purolite(登録商標)(The Purolite Company)、Dowex(登録商標)(Dow Chemical Company)、Amberlite(登録商標)(Rohm and Haas Company)、Amberlyst(登録商標)(Rohm and Haas Company)である。好ましい強酸性陽イオン交換体は:Lewatit(登録商標)K 1221、Lewatit(登録商標)K 1461、Lewatit(登録商標)K 2431、Lewatit(登録商標)K 2620、Lewatit(登録商標)K 2621、Lewatit(登録商標)K 2629、Lewatit(登録商標)K 2649、Amberlite(登録商標) FPC 22、Amberlite(登録商標)FPC 23、Amberlite(登録商標)IR 120、Amberlyst(登録商標)131、Amberlyst(登録商標)15、Amberlyst(登録商標)31、Amberlyst(登録商標)35、Amberlyst(登録商標)36、Amberlyst(登録商標)39、Amberlyst(登録商標)46、Amberlyst(登録商標)70、Purolite(登録商標)SGC650、Purolite(登録商標)C100H、Purolite(登録商標)C150H、Dowex(登録商標)50X8、Serdolit(登録商標)red及びNafion(登録商標)NR-50である。或いは、陽イオン交換体は、例えば、DuPontのNafion(登録商標)ブランドとして販売されているパーフルオロ化イオン交換樹脂とすることができる。
【0118】
エステル化は塩基の存在下に実施することもでき;これは特に、カルボン酸ハロゲン化物を使用する場合に指示される。好適な塩基は、例えば、3級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンなど又は塩基性N-複素環式化合物、例えば、モルホリン、ピリジン、ルチジン、DMAP、DABCO、DBU若しくはDBNなどの有機塩基である。
【0119】
ジエステルを調製するためには、通常、1,4-ブタンジオールを、1,4-ブタンジオール1mol当たり少なくとも2当量、例えば、2~4molの酢酸(又はその誘導体)及び/若しくはプロピオン酸(又はその誘導体)又はこれらの混合物と反応させる。
【0120】
モノエステルを調製するためには、通常、1,4-ブタンジオールを、1,4-ブタンジオール1mol当たり最大1当量の酢酸(又はその誘導体)及び/若しくはプロピオン酸(又はその誘導体)又はこれらの混合物と反応させる。たとえこれらのモル比を使用したとしても、大抵の場合は、やはりモノエステルと一緒にジエステルが形成される。したがって、ジエステルがより少ない純粋なモノエステル又は混合物が望まれる場合は分離ステップが必要である。分離は、蒸留、抽出又はクロマトグラフィー法などの通常の手段により実施することができる。
【0121】
この反応は、溶媒中で又は無溶媒で実施することができる。
【0122】
反応終了後、必要に応じて中和した後に(特に、出発物質として酸ハロゲン化物若しくは無水物を使用した場合又は酸を過剰に使用した場合)及び/又は触媒を除去した後に(特に、これが固体、例えば、上に述べた金属系触媒又はイオン交換樹脂のうちの1種である場合)、エステル化生成物を、通常の手段で、例えば、蒸留、抽出又はクロマトグラフィー法により単離することができる。所望により、単離された生成物を、次いで更に精製することができる。
【0123】
1,4-ブタンジオールは商品として市販されている物質であり、例えば、アセチレン及びホルムアルデヒドをレッペ法に付し、中間体である2-ブチン-1,4-ジオールを水素化することによるか、又は無水マレイン酸をDavy processに付すことによって調製することができる。
【0124】
しかしながら、好ましい実施形態においては、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、再生可能資源に由来する。より具体的には、エステルの少なくともアルコール部分、即ち、1,4-ブタンジオールは、再生可能資源に由来する。より好ましくは、エステルのアルコール部分、即ち、1,4-ブタンジオールも、エステルのカルボン酸部分、即ち、R-C(=O)-部分及びR-C(=O)-部分(Rが-C(=O)-Rであり、R≠Rである場合)も、両方共再生可能資源に由来する。
【0125】
再生可能資源から調製された1,4-ブタンジオールは市販されている。公知の方法は、例えば、フルフラール(フラン-2-アルデヒド)から出発し、ひいてはフルフラールは、硫酸で脱水された炭水化物、例えば、多くの植物性材料(ほとんどの場合、サトウキビのバガス及びコーンコブのような農業副産物が使用される)に含まれる五炭糖から得られる。亜硫酸水素マグネシウム法を用いた木材パルプの製造においても、多量のフルフラールを得ることができる。フルフラールはフランに変換することができ、これを水素化して開環することにより1,4-ブタンジオールを得ることができる。別法として、発酵法から得られるコハク酸又はポリヒドロキシ酪酸を水素化することにより、直接又はγ-ブチロラクトン及びTHFを経由するかのいずれかで、1,4-ブタンジオールを得ることができる。コハク酸は、バイオマスを発酵(例えば、様々な細菌株を使用して)させることにより、例えば、糖(例えば、スクロース、ラフィノース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース)から、又はグリセロール(ひいては、これは、植物/動物性油脂から得られる)から得ることができる。糖を直接発酵させることによっても1,4-ブタンジオールを得ることができる。
【0126】
-C(=O)-部分及びR-C(=O)-部分が存在する場合、その基礎となるカルボン酸は自然界に豊富に存在する。例えば、酢酸は、エタノールを酸化することにより得ることができ、ひいてはエタノールは、糖又はデンプンを含有する果実や穀物などの任意の作物を発酵させることにより得ることができる。
【0127】
再生可能資源に由来する1,4-ブタンジオール又はそのエステルの起源は、例えば、放射性炭素年代測定により確認することができる。放射性炭素年代測定は、放射性炭素(14C)が、大気中の窒素と宇宙線との相互作用によって地球大気中に恒常的に作られているという事実に基づいている:宇宙線は大気中に中性子を発生させ、この中性子は窒素14(14N)原子に衝突することがある。今度は、これがプロトンを放出することによって、14Cになる。結果として生成した14Cは、大気中酸素と結合して放射性二酸化炭素となり、光合成により植物に取り込まれ、その後、植物を食べた草食動物に取り込まれ、最終的に草食動物が肉食動物に食べられることにより、完全な生物圏(complete biosphere)に取り込まれる。動物又は植物が死ぬと、環境との炭素交換は停止し、そうなると、14Cが放射性崩壊することによって14Cの量が減少し始める。
【0128】
したがって、1,4-ブタンジオール又は1,4-ブタンジオールエステル試料中の14Cの量を測定することにより、その起源の指標が得られる:1,4-ブタンジオールが再生可能資源に由来する1,4-ブタンジオールである場合、14Cの量は、現代に生息している生物に見られるものと等しくなるか又は本質的に下回ることはないであろう。
【0129】
通常、12C同位体対14C同位体のモル比が指標として用いられる。生物中の12C同位体対14C同位体のモル比は約1×1012:1(より正確には1×1012:1.25)である。
【0130】
したがって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物が再生可能資源に由来する場合は、1,4-ブタンジオールエステルの14C同位体含有量が検出可能な水準にあることになる。14C同位体の含有量の決定に適した方法は当該技術分野において知られており、概して同等の結果が得られる。例えば、ASTM D6866-21に準ずる方法を用いることができ;この方法は、特に、バイオ由来製品のバイオベースの/生物起源の(biogenic)炭素含有量を決定するために発展したものである。しかしながら、他の方法も同様に適している。利用可能な方法の14C同位体の検出水準は、現代から約300~60000年前の放射性炭素年代測定が可能になるようなものであり、これは、化石炭素源からは大きく離れている。したがって、検出される14C同位体は全て1,4-ブタンジオールエステルの再生可能な起源の指標となる。
【0131】
好ましい実施形態において、1,4-ブタンジオールエステル中の12C同位体対14C同位体のモル比は、3×1012未満:1である、即ち、約1×1012:1(より正確には1×1012:1.25)~3×1012未満:1である。
【0132】
他の好ましい実施形態において、エステルのベースとなる1,4-ブタンジオール中の12C同位体対14C同位体のモル比は、2×1012未満:1、即ち、約1×1012:1(より正確には1×1012:1.25)~2×1012未満:1である。
【0133】
他の好ましい実施形態において、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、通常であれば大気中に放出されることになるCOやメタンなどのC「排ガス」のアップサイクリングに由来する。COは、例えば、発電所又は工場から隔離して酢酸などの価値のある製品に変換することができ、これを、本発明の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルの合成に使用することができる。別法として、隔離されたCOをアセチレンと反応させてアセチレンジカルボン酸とし、続いてこれを水素化することにより1,4-ブタンジオールとすることができる(概して、三重結合を水素化し、結果として得られるコハク酸又はコハク酸アルカリ金属塩をメタノールでエステル化することによりコハク酸ジメチルとし、次いでこれを水素化することにより1,4-ブタンジオールが得られる)。更なる他の実施形態において、1,4-ブタンジオールは、アセチレン及びホルムアルデヒドから古典的な形で製造することができ、このホルムアルデヒドは、隔離されたCOの直接還元するか、若しくは隔離されたCOをメタノールを経由して順次還元-酸化することにより得られるか、又は隔離されたメタンをメタノールを経由して酸化することにより得られる。例えばメタンは、反芻動物の畜舎から隔離することができるが、バイオマスの燃焼及び発電所から隔離することもできる。
【0134】
別法として、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及びジエステルは、酢酸/及び又はプロピオン酸を、化合物X-(CH-Y(式中、Xは、Cl、Br、Iなどのハロゲン及びトシラート、メシラート、トリフラート、ノナフラートなどのスルホナートから選択される脱離基を表し、Yは、Xと同義である(ジエステルを調製する場合)か又は保護されたOH基である(モノエステルを調製する場合、例えば、TMS、TES、TBDMS、TIPS、TBDPSなどの通常のシリル保護基のうちの1種で保護されている)かのいずれかである)と、典型的には塩基の存在下に、アセテート又はプロピオネートが実際の求核剤になるように反応させることによって調製することができる。好適な塩基は上に挙げた通りである。別法として、更なる塩基を使用せずに、酢酸/及び又はプロピオン酸に替えて、酢酸塩及び/又はプロピオン酸塩、通常は、アルカリ金属酢酸塩及び/又はプロピオン酸塩、例えば、酢酸及び/又はプロピオン酸ナトリウム又はカリウムを使用する。Yが保護されたOH基である場合、化合物は、エステル化反応が完了した後、例えば、HF又はフッ化水素ピリジウムで脱保護される。化合物X-(CH-Yは市販されているか又は標準的な反応により調製することができる。これらは例えば、1,4-ブタンジオールから得ることができ、したがって、再生可能資源から又はC排ガスのアップサイクリングから得ることもできる。
【0135】
好ましくは、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、嗅覚的な印象を付与するために使用される。特に、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物が、フレグランスとして使用される。
【0136】
特に、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、フルーティな若しくは甘い嗅覚ノート又はフルーティな嗅覚ノート及び甘い嗅覚ノートの組合せを付与するために使用される。
【0137】
具体的には、1,4-ブタンジオールジアセテート又は1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの総重量に対し0.1~20重量%、例えば、0.1~10重量%若しくは0.1~5重量%若しくは0.1~2重量%若しくは0.1~1重量%若しくは0.1~0.5重量%含む混合物が、以下に示す嗅覚ノートのうちの1つを付与するために使用される:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せ。モノアセテートの含有量が増加するにつれてフルーティな印象が強くなる。
【0138】
具体的には、1,4-ブタンジオールジプロピオネート又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノプロピオネートを、1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの総重量に対し0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、特に0.1~3重量%含む混合物が、以下に示す嗅覚ノートのうちの1つを付与するために使用される:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せ。
【0139】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1、4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、概して、即時使用できる組成物、特に芳香付けされた即時使用できる組成物中で使用される。本明細書において使用される「芳香付けされた即時使用できる組成物」とは、主として心地よい匂いの印象を誘発する即時使用できる組成物を意味する。
【0140】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物はまた、組成物の香りを修正及び/又は向上させるため;特に組成物の芳香の印象を修正及び/又は向上させるため;具体的には、芳香付けされた即時使用できる組成物の香気の性格を修正するためにも使用される。
【0141】
芳香付けされた即時使用できる組成物は、例えば、パーソナルケア、ホームケア、産業用途で使用される組成物及び医薬組成物又は作物保護組成物などの他の用途で使用される組成物である。これらの中でも、パーソナルケア及びホームケア組成物が好ましい。
【0142】
パーソナルケア組成物には、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品及び人体に使用するための衛生用品が含まれる。
【0143】
パーソナルケア組成物は、人体の清浄化、洗浄、消毒、成長促進(nurturing)、手入れ、保護又は装飾に使用される(したがって、化粧品も含まれる)。その例が、クリーム、ローション、軟膏、他のO/W又はW/Oエマルジョン、液体又はジェル状石鹸、シャワージェル、シャンプー、メイクアップ用及び他の装飾用化粧品、ウェットティッシュ用組成物(例えば、おむつが触れる範囲の清拭用)である。より具体的な例は、石鹸、合成洗剤、洗浄用ジェル、ソープレス洗剤又は洗浄用ペーストの形態にある皮膚洗浄及び清浄化用製剤;入浴用製剤、例えば、泡入浴剤、バスミルク(milk)、バスオイル(oil)、シャワー用製剤;スキンケア製剤、例えば、皮膚用乳液、マルチエマルジョン、パウダー、スプレー又はスキンオイル;化粧品製剤、例えば、日中用クリーム又はクリーム状おしろい、フェイスパウダー(ルース又はプレスト)、口紅又はクリーム状のメイクアップ用品、アイケア製剤、例えば、アイシャドウ製剤、マスカラ、アイライナー、目元用クリーム又はシワ消し(eye-fix)クリームの形態にある顔用メイクアップ用品;リップケア製剤、例えば、口紅、リップグロス、唇の輪郭線用ペンシル、ネイルケア製剤、例えば、ネイルエナメル、ネイルエナメル除去剤、爪硬化剤又は甘皮除去剤;フットケア製剤、例えば、足浴、フットパウダー、足用クリーム又は足用バルサム、特殊な防臭剤及び制汗剤又はたこ除去製剤;光防御製剤、例えば、日焼け止め乳液(sun milk)、ローション、クリーム又はオイル、サンブロック又はトロピカル(tropical)、日焼け前用製剤又は日焼け後用製剤;皮膚タンニング用製剤、例えば、セルフタンニングクリーム;色素沈着抑制用製剤、例えば、皮膚を脱色するための製剤又は皮膚美白用製剤;昆虫忌避剤、例えば、昆虫忌避用油、ローション、スプレー又はスティック;防臭剤、例えば、防臭スプレー、防臭エアゾール、ポンプ式スプレー、防臭ジェル、スティック又はロールオンに加えて水無配合防臭エアゾール又はスティック;制汗剤、例えば、制汗スティック、クリーム又はロールオン;吹き出物のある(blemished)皮膚を清浄化及びケアするための製剤、例えば、合成洗剤(固形又は液状)、角質剥離又はスクラブ製剤又は角質剥離パック;除毛製剤(脱毛)、例えば、液体除毛製剤、クリーム又はペースト形態の除毛製剤、ゲル形態又はエアゾールフォームの除毛製剤;髭剃り用製剤、例えば、髭剃り用石鹸、髭剃り用泡クリーム、髭剃り用非発泡性クリーム、フォーム及びジェル、ドライシェービング用プレシェーブ製剤、アフターシェーブローション(aftershave、aftershave lotion);芳香製剤(fragrance preparation)、例えば、フレグランス(オーデコロン、オーデトワレ、オーデパルファン、パルファムドトワレ、パルファン)、香油又は練り香水;毛髪処理用化粧製剤、例えば、シャンプー及びコンディショナー形態の毛髪洗浄用製剤、ヘアケア用製剤、例えば、前処理用製剤、ヘアトニック、整髪用クリーム、整髪用ジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、集中ヘアトリートメント、毛髪形状付与製剤(hair-structuring preparation)、例えば、パーマネントウェーブ用毛髪ウェーブ付与製剤(高温パーマ、中温パーマ、低温パーマ)、直毛化用製剤、液状ヘアセット製剤、ヘアフォーム、ヘアスプレー、脱色用製剤、例えば、過酸化水素溶液、明色化用シャンプー、脱色用クリーム、脱色用パウダー、脱色用ペースト又はオイル、一時的、半永久的又は永久的毛髪着色剤、自己酸化染料を含む製剤又はヘナ又はカモミールなどの天然の毛髪着色剤;シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、整髪用クリーム若しくはジェル又はトリートメントパックの形態にある抗フケ製剤;口腔ケア用製剤、例えば、(歯科用)ペースト、ジェル、洗口剤及びスプレー;口内又は皮膚用消毒剤である。更なる例を以下に示す。
【0144】
ホームケア組成物の例は、食器洗い用組成物、洗濯用組成物(例えば、洗濯用洗剤、柔軟剤、濯ぎ用(rinsing)組成物、漂白用組成物、シミ抜き用組成物など)、表面清掃用組成物(硬質表面クリーナーとも称される;例えば、ガラス、床、カウンター、浴槽(浴室)、便器、流し台、台所、家庭用電気製品及び家具清掃用組成物;汎用クリーナー;衛生設備クリーナー)、化粧用以外の防臭剤(例えば、空気及び/又は表面用防臭剤)、消毒剤(例えば、スプレー式空気消毒剤並びにスプレー、液状及びペースト/ゲル状表面消毒剤)、表面保護及び/又は研磨用組成物、ラグ用洗剤、スケール除去剤並びにウェットティッシュ用組成物(例えば、床、家具、浴室表面などの清掃用)である。
【0145】
工業用組成物は、例えば、工業規模の清掃用又は消毒用(業務用清掃(industrial and institutional cleaning)又はI&I清掃とも呼ばれる)組成物又は定置洗浄(CIP)組成物(CIPは、大規模な分解を行うことなく導管、槽、設備、フィルタ及び関連する継手などの内部表面を自動的に洗浄する方法である)である。
【0146】
植物保護組成物と称されることも多い作物保護組成物は、農業に関連する様々な有害微生物、有害無脊椎有害生物又は望ましくない植物、例えば、農業用植物、種子などの植物繁殖材料又は収穫された作物に損傷を与える有害真菌、有害な昆虫、蜘蛛類、線虫又は軟体動物などの有害な無脊椎有害生物及び雑草に有効な組成物である。作物保護組成物の例が、殺菌、殺虫、殺ダニ、殺線虫、殺軟体動物、モルスシサイダル(moluscicidal)又は除草組成物である。この用語には、植物成長調整組成物が包含される。植物成長調整剤は、植物の成長に影響を与えるために使用される植物保護製品であり、例えば、茎の長さを短くすることによって穀類の安定性を高め、それにより倒伏を低減又は防止するため、挿し木の発根を向上するため、園芸において植物の高さを低くするため、ジャガイモなどの発芽を防止するためなどに使用される。更にこの用語は、材料の保護において、様々な有害な微生物及び無脊椎有害生物を駆除するために使用される組成物、例えば、木材又は材木の周囲環境をシロアリに対し処理するための組成物、又は蚊帳をハマダラカなどの有害昆虫に対し処理するための組成物なども包含する。
【0147】
好ましくは、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧用組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用組成物、衛生用品、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物から;好ましくは香水組成物、ボディケア組成物、口腔又は歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される組成物に使用される。
【0148】
特に、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、フルーティな若しくは甘い嗅覚ノート又はフルーティな嗅覚ノート及び甘い嗅覚ノートの組合せを上に挙げた組成物に付与するために使用される。
【0149】
具体的には、1,4-ブタンジオールジアセテート又は1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの総重量に対し0.1~20重量%、例えば、0.1~10重量%又は0.1~5重量%又は0.1~2重量%又は0.1~1重量%又は0.1~0.5重量%含む混合物が、以下に示す嗅覚ノートのうちの1つを上に挙げた組成物に付与するために使用される:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せ。モノアセテートの含有量が増加するにつれてフルーティな印象が強くなる。
【0150】
具体的には、1,4-ブタンジオールジプロピオネート又は1,4-ブタンジオールジプロピオネートと1,4-ブタンジオールモノプロピオネートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノプロピオネートを、1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの総重量に対し0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、特に0.1~3重量%含む混合物が、以下に示す嗅覚ノートのうちの1つを上に挙げた組成物に付与するために使用される:レッドフルーツ,ラズベリー,ブルーベリー,甘い;又はこれらの任意の組合せ。
【0151】
上に挙げた組成物の詳細を以下に示す。
【0152】
嗅覚特性に加えて、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、有利な二次特性を示す。
【0153】
例えばこれらは、他のフレグランスと相乗作用した結果として、より良好な感覚プロファイルを付与することができ、これは、他のフレグランスを増強できる効果を有することを意味している。したがってこれらは、他のフレグランスの増強剤として適している。
【0154】
したがって、本発明の他の態様は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物の、芳香付けされた組成物の香気の性格を修正するための使用;特に、他のフレグランスの増強剤としての使用に関する。
【0155】
増強作用とは、香料調合物中で、物質が混合物の全体的な印象を向上及び強化することを意味する。例えば、ハッカの領域において、メンチルメチルエーテルは、このエーテル自体は単体では特に強力な匂いを発しないにも関わらず、セイヨウハッカ油の香料又は嬌味混合物を強化し、特にトップノートをかなり強め、且つより複雑な知覚をもたらすことが知られている。フレグランス用途においては、Hedione(登録商標)(ジヒドロジャスモン酸メチル)は、単体では軽いジャスミンの花の香調を呈するのみであるが、匂い増強剤として、香水組成物の拡散、フレッシュさ及び量の豊かさを強化する。増強剤の効果は、防臭剤、室内用芳香剤又はチューインガムにおける味覚分野などで、匂いが特に迅速且つ集中的に伝達される、トップノートを特徴とする用途が必要な場合に特に望まれる。
【0156】
このような増強剤効果を得るために、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、概して、芳香混合物の総重量を基準として0.1~20重量%の量、好ましくは0.5~10重量%の量、特に0.6~5重量%の量で使用される。
【0157】
更に、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物は、それらを使用した組成物に更なる好ましい効果を与えることができる。例えばこれらは、これらが組み込まれる組成物の全体的な性能、例えば、組成物の配合安定性などの安定性、拡散性又は残効性を向上させることができる。
【0158】
本発明の更なる実施形態は、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物の調製方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物を、対象の組成物、例えば、即時使用できる組成物に組み込み、その結果として香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物を得ることを含む、方法に関する。別法として、本発明は、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物の調製方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物を、化合物(I)とは異なる少なくとも1種の香料と、及び/又は少なくとも1種の非香料担体と、及び/又は少なくとも1種の酸化防止剤と、及び/又は少なくとも1種の防臭活性剤と混合することを含む、方法に関する。好適な好ましい、化合物(I)とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤を後に説明する。別法として、本発明は、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物の調製方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、又は予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することを含む、方法に関する。
【0159】
例えばこの方法は、上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物と、化合物(I)とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分とを混合することにより実施することができる。
【0160】
本発明はまた、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物の香気の性格を修正するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物を、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物に組み込むことを含む、方法にも関する。別法として、本発明は、香料組成物、特に芳香付けされた組成物、とりわけ芳香付けされた即時使用できる組成物の香気の性格を修正するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、又は予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することを含む、方法に関する。
【0161】
特に本発明は、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物の調製方法であって、上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物を、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含有させることを含む、方法に関する。別法として、本発明は、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物の調製方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、又は予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することを含む、方法に関する。
【0162】
特定の実施形態において、本発明は、フルーティな若しくは甘い香調又はフルーティな香調及び甘い香調の組合せを、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステルの混合物を、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含有させることを含む、方法に関する。別法として、本発明は、フルーティな若しくは甘い香調又はフルーティな香調及び甘い香調の組合せを香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は2種以上の異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、前記組成物の他の成分と、又は予め形成された前記組成物の他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することを含む、方法に関する。
【0163】
特定の実施形態において、本発明は、以下に示す嗅覚ノート:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せのうちの1つを、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、1,4-ブタンジオールジアセテート又は1,4-ブタンジオールジアセテートと1,4-ブタンジオールモノアセテートとの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの総重量に対し0.1~20重量%、例えば、0.1~10重量%又は0.1~5重量%又は0.1~2重量%又は0.1~1重量%又は0.1~0.5重量%含む混合物を、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含有させることを含む、方法に関する。モノアセテートの含有量が増加するにつれてフルーティな印象が強くなる。
【0164】
他の特定の実施形態において、本発明は、以下に示す嗅覚ノート:レッドフルーツ、ラズベリー、ブルーベリー、甘い;又はこれらの任意の組合せのうちの1つを、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、1,4-ブタンジオールジプロピオネート又は1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの混合物であって、1,4-ブタンジオールモノプロピオネートを、1,4-ブタンジオールジプロピオネート及び1,4-ブタンジオールモノプロピオネートの総重量に対し0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、特に0.1~3重量%含む混合物を、香水組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含有させることを含む、方法に関する。
【0165】
組成物
更に本発明は、上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、(I)の化合物とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む組成物にも関する。
【0166】
非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤は、言うまでもなく、化合物(I)とは異なる。
【0167】
化合物(I)とは異なる香料、非香料担体、酸化防止剤及び防臭活性剤は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルがそこから調製される直接の前駆体とは異なる;即ちこれらは、1,4-ブタンジオールでもなければ、R-C(=O)OH若しくはR-C(=O)OHの任意の酸又はこれらの酸誘導体(対応する酸無水物、酸ハロゲン化物又は活性な酸エステルなど)でもなければ、化合物X-(CH-Yでもない。
【0168】
非香料担体は、特に界面活性剤、油成分(エモリエント剤)及び溶媒からなる群から選択される。
【0169】
したがって、好ましい実施形態において、組成物は、上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、化合物(I)とは異なる香料、界面活性剤、油成分、溶媒、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む。
【0170】
化合物(I)は、心地よい香り、低い揮発性及び非常に高い溶解性を有しているため、心地よい香りが望まれる組成物の好適な成分となる。
【0171】
したがって、前記組成物は、好ましくは香料組成物、より好ましくは匂い組成物、特に芳香組成物である。
【0172】
本発明の一実施形態は、上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、油成分、溶媒、酸化防止剤及び防臭活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分と、を含む組成物に関する。
【0173】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の香料と、を含む組成物に関する。
【0174】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の非香料担体と、を含む組成物に関する。
【0175】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む組成物に関する。
【0176】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の油成分と、を含む組成物に関する。
【0177】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の溶媒と、を含む組成物に関する。
【0178】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の酸化防止剤と、を含む組成物に関する。
【0179】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の防臭活性剤と、を含む組成物に関する。
【0180】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、好ましくは、香り組成物に使用することができる。好ましい実施形態において、香り組成物は匂い組成物である、即ち、匂いの印象を誘発する組成物であり、特に、芳香組成物、即ち、心地よい匂いを誘発する組成物である。
【0181】
本発明による組成物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧用組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用組成物、衛生用品、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、本発明による組成物は、アルコール飲料ではなく(とりわけワインではない)、果汁でもなく(とりわけブドウ果汁ではなく、未発酵でも、ワインに発酵させている状態でもない)、果実(ワイン用ブドウ、メロン、パイナップルなど)でも種子でもなく;更に、本発明による組成物は、ジアセチルを含まず;1,3-ビス(カプロラクタム-1-イル)ブタンを含まない。
【0182】
好ましくは、本発明による組成物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧用組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用組成物、衛生用品、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される。
【0183】
香料(化合物(I)とは異なる化合物(I)の物理的性質に由来して、前記化合物の組合せは、香料及び香料、特に芳香組成物などの香り組成物に慣用されている他の成分に対する溶媒として、これらの中で特に良好な、実質的に汎用性の高い溶媒特性を示す。したがって、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、化合物(I)とは異なる香料と組み合わせることが十分に可能であり、それにより、特に、新規な有利な感覚プロファイルを有する香り組成物(好ましくは芳香組成物)を創出することが可能になる。特に、既に上に説明したが、こうした組合せによって、化合物(I)とは異なる香料(例えば、フレグランスなど)の感覚プロファイルを増強することが可能になる。
【0184】
本発明の組成物は、化合物(I)とは異なる少なくとも1種の香料を含むことができる。前記少なくとも1種の香料は、例えば、以下に示すものからなる群から選択される、1、2、3、4、5、6、7、8種又はそれを超える種類の香料とすることができる:酢酸ゲラニル(酢酸3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イル)、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、酪酸2-フェノキシエチルイソ(Phenirat)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、ジヒドロジャスモン酸メチル(好ましくはcis体の含有量が60重量%を超えるもの)(Hedione、Hedione HC)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid)、テトラヒドロリナロール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロール、サリチル酸ベンジル、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral)、シンナミルアルコール、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニル及び/又は酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニル(Herbaflorat)、シトロネロール、酢酸シトロネリル、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、酢酸リナリル、酢酸スチラリル(styrolyl)(酢酸1-フェニルエチル)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super)、サリチル酸ヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル(Oryclone)、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル(Agrumex HC),α-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、酢酸テルピニル、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Lyral)、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン(Muscenon)、15-ペンタデク-11-エノリド及び/又は15-ペンタデク-12-エノリド(Globalide)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Floro9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen)、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-3-ヘキセニル、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(Vertocitral)、2,4,4,7-テトラメチルオクト-6-エン-3-オン(Claritone)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(好ましくはcis体の含有量が70重量%以上のもの)、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール(Bourgeonal)、2-メチルペンタン酸エチル(Manzanate)、エトキシメトキシシクロドデカン(Amberwood)、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン(Magnolan)、酢酸(2-tert-ブチルシクロヘキシル)(Verdox)並びに3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール(Sandela)。したがって、本発明に関連して、上述の香料は、好ましくは、上に述べた式(I)の化合物又は異なる(I)の化合物の混合物と組み合わされる。
【0185】
上に商品名を記載したものの供給元については以下を参照されたい:
Symrise GmbH,Germanyの商品名;
BASF SEの商品名;
International Flavors & Fragrances Inc.,USAの商品名;
Givaudan AG,Switzerlandの商品名;
Firmenich S.A.,Switzerlandの商品名;
10 PFW Aroma chemicals B.V.,the Netherlandsの商品名。
【0186】
本発明の好ましい実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、安息香酸メチル、酢酸ベンジル、酢酸ゲラニル、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール及びリナロールからなる群から選択される少なくとも1種の香料と、を含む組成物に関する。
【0187】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールと、の組成物に関する。
【0188】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、安息香酸メチルと、を含む組成物に関する。
【0189】
本発明の好ましい実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、エチルバニリン、バニリン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(フラネオール)又は3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン(マルトール)からなる群から選択される少なくとも1種の更なる香料と、を含む組成物に関する。
【0190】
本発明の好ましい実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、酢酸ゲラニル、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、イソ酪酸2-フェノキシエチル、ジヒドロミルセノール、ジヒドロジャスモン酸メチル(好ましくはcis体の含有量が60重量%を超えるもの)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン,テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、サリチル酸ベンジル、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナミルアルコール、酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニル,酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニル、酢酸シトロネリル、テトラヒドロゲラニオール、酢酸リナリル、酢酸スチラリル(styrolyl)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン、2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン、サリチル酸ヘキシル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル、α-イオノン、n-α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、クマリン、酢酸テルピニル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシラート、(E)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、(Z)-3-メチルシクロペンタデク-5-エノン、15-ペンタデク-11-エノリド、15-ペンタデク-12-エノリド、15-シクロペンタデカノリド、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、酢酸cis-3-ヘキセニル、酢酸trans-3-ヘキセニル、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,4,4,7-テトラメチルオクト-6-エン-3-オン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(好ましくはcis体の含有量が70重量%以上であるもの)、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチルペンタン酸エチル、エトキシメトキシシクロドデカン、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン、酢酸(2-tert-ブチルシクロヘキシル)、3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル]シクロヘキサン-1-オール、メントン、イソメントン、カルボン、β-n-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、アセチル化セダーウッドオイル並びにその混合物からなる群から選択される少なくとも1種の更なる香料と、を含む組成物に関する。
【0191】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と組み合わせて本発明による組成物とすることができる更なる香料は、例えば、S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,Vol.I and II,Montclair,N.J.,1969(自費出版)又はK.Bauer,D.Garbe and H.Surburg,Common Fragrance and Flavor Materials,4th Ed.,Wiley-VCH,Weinheim 2001に記載されている。具体的には、以下のものを挙げることができる:
【0192】
天然原料からの抽出物、例えば、精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、アンバーグリスチンキなど、アミリスオイル、アンゼリカ種子オイル、アンゼリカ根オイル、アニスオイル、バレリアンオイル、バジルオイル、ツリーモスアブソリュート、ベイオイル、よもぎオイル、ベンゾイン樹脂、ベルガモットオイル、蜜蝋アブソリュート、バーチタールオイル、ビターアーモンドオイル、セイバリーオイル、ブチュリーフオイル、カブレバオイル、ケードオイル、カルマスオイル、カンフルオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カスカリーラオイル、カシアオイル、カシアアブソリュート、カストリウムアブソリュート、シダーリーフオイル、セダーウッドオイル、シスタスオイル、シトロネラオイル、レモンオイル、コパイババルサム、コパイババルサムオイル、コリアンダーオイル、コスタス根オイル、クミンオイル、ヒノキオイル、ダバナオイル、ディルウィードオイル、ディルシードオイル、Eau de broutsアブソリュート、オークモスアブソリュート、エレミオイル、タラゴンオイル、ユーカリシトリオドラオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、松葉オイル、ガルバナムオイル、ガルバナム樹脂、ゼラニウムオイル、グレープフルーツオイル、グアイアックウッドオイル、グルジャンバルサム、グルジャンバルサムオイル、ヘリクリサムアブソリュート、ヘリクリサムオイル、ジンジャーオイル、イリス根アブソリュート、イリス根オイル、ジャスミンアブソリュート、カルマスオイル、カモミールオイルブルー、ローマンカモミールオイル、ニンジンシードオイル、カスカリーラオイル、松葉オイル、スペアミントオイル、キャラウェイオイル、ラブダナムオイル、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジンオイル、ラベンダーアブソリュート、ラベンダーオイル、レモングラスオイル、ラベージオイル、蒸留ライムオイルディスティルド、圧搾ライムオイル、リナロールオイル、アオモジ(litsea cubeba)オイル、月桂樹葉オイル、メイスオイル、マジョラムオイル、マンダリンオイル、マッソイア樹皮(massoia bark)オイル、ミモザアブソリュート、ムスクシードオイル、ムスクチンキ、クラリセージオイル、ナツメグオイル、ミルラアブソリュート、ミルラオイル、ギンバイカオイル、クローブリーフオイル、クローブフラワーオイル、ネロリオイル、オリバナムアブソリュート、オリバナムオイル、オポパナックスオイル、オレンジブロッサムアブソリュート、オレンジオイル、オリガナムオイル、パルマローザオイル、パチョリオイル、パリラオイル、ペルーバルサムオイル、パセリリーフオイル、パセリシードオイル、プチグレンオイル、ペパーミントオイル、ペッパーオイル、ピメントオイル、パインオイル、ペニーロイヤルオイル、ローズアブソリュート、ローズウッドオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、ダルメシアンセージオイル、スペイン(Spanish)セージオイル、サンダルウッドオイル、セロリシードオイル、スパイクラベンダーオイル、スターアニスオイル、エゴノキオイル、マンジュギクオイル、ファーニードルオイル、ティーツリーオイル、テレピンオイル、タイムオイル、トルバルサム、トンカアブソリュート、チューベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナオイル、ベチバーオイル、ジュニパーベリーオイル、ワインリースオイル、アブサンオイル、ウィンターグリーンオイル、ヒソップオイル、シベットアブソリュート、シナモンリーフオイル、シナモン樹皮オイル及びこれらの画分又はこれから単離された成分など;
【0193】
炭化水素の群からの個々の芳香物質、例えば、3-カレン、α-ピネン、β-ピネン、α-テルピネン、γ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタンなど;
【0194】
脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オールなど;
【0195】
脂肪族アルデヒド及びそのアセタール、例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エンなど;脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば、2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オンなど;
【0196】
含硫黄脂肪族化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオールなど;
【0197】
脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリルなど;
【0198】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、2-オクチン酸メチル、2-ノニン酸メチル、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネートなど;
【0199】
非環式テルペンアルコール、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール並びにこれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル及び3-メチル-2-ブテン酸エステルなど;
【0200】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタールなど;環式テルペンアルコール、例えば、メントール、イソプレゴール、α-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール;リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアジョール(guajol)並びにこれらのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル及び3-メチル-2-ブテン酸エステルなど;
【0201】
環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、メントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、カンフル、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、α-n-メチルイオノン、β-n-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、α-イロン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-ダマセノン、δ-ダマスコン、γ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノ-ナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスティグマトリエン-3-オン、α-シネンサール、β-シネンサール、アセチル化セダーウッドオイル(メチルセドリルケトン)など;
【0202】
環式アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールなど;
【0203】
脂環式アルコール、例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールなど;
【0204】
環式及び脂環式エーテル、例えば、シネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、α-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンなど;
【0205】
環状及び大環状ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-シス-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノンなど;
【0206】
脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒドなど;
【0207】
脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンなど;
【0208】
環式アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテートなど;
【0209】
脂環式アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネートなど;
【0210】
脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-及びtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートなど;
【0211】
芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールなど;
【0212】
芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステル、例えば、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、α-トリクロロメチルベンジルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート、α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテートなど;
【0213】
芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドラトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンなど;
【0214】
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドラトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、α-ブチルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールなど;
【0215】
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)-エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5インデニル]エタノン、5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトンなど;
【0216】
芳香族及び脂肪族カルボン酸及びこれらのエステル、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデートなど;
【0217】
含窒素芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート;メチルアントラニレートの7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基;6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジンなど;
【0218】
フェノール類、フェニルエーテル類及びフェニルエステル類、例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、β-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテートなど;
【0219】
複素環式化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンなど;
【0220】
ラクトン類、例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリンなど。
【0221】
非香料担体
本発明の更なる実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の非香料担体と、を含む組成物に関する。
【0222】
この少なくとも1種の非香料担体は、感覚特性を示さないか又は顕著な感覚特性を示さない、化合物、化合物の混合物又は他の添加剤とすることができる。非香料担体は、上に定義した化合物(I)及び任意選択的な少なくとも1種の香料又は組成物中に含まれている場合は、他の任意の成分を希釈及び/又は固定する役割を果たすことができる。
【0223】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、溶媒、界面活性剤及び油成分からなる群から選択される少なくとも1種の非香料担体と、を含む組成物に関する。
【0224】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記非香料担体は、以下に挙げる溶媒、界面活性剤及び油成分から選択される。
【0225】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載する式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の溶媒と、を含む組成物に関する。
【0226】
本発明の文脈における「溶媒」は、本発明に従い使用される化合物(I)及び/又はそれ自体は香りを有しない、組成物の任意の更なる成分を希釈する役割を果たすものである。
【0227】
1種又は複数種の溶媒は、組成物中に、組成物を基準として0.01~99重量%の量で存在することができる。本発明の好ましい実施形態において、組成物は、溶媒を、組成物の総重量を基準として0.1~90重量%、好ましくは0.5~80重量%含む。溶媒の量は、組成物に応じて選択することができる。本発明の一実施形態において、組成物は、組成物の総重量を基準として、0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.2~3重量%含む。本発明の一実施形態において、組成物は、溶媒を、組成物の総重量を基準として、20~70重量%、好ましくは25~50重量%含む。
【0228】
好ましい溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、及び安息香酸ベンジル(BB)である。
【0229】
特に好ましい溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル及びミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される。
【0230】
本発明の好ましい実施形態において、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル及びミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される。
【0231】
本発明の特定の実施形態において、溶媒は、イソプロパノール,ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フタル酸ジエチル(DEP)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される。より具体的には、溶媒は、イソプロパノール、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、安息香酸ベンジル及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0232】
更なる実施形態によれば、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、本発明に従い、界面活性剤を含有する組成物中で使用される。その特徴的な芳香特性並びにその残留性、持続性及び安定性に由来して、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、とりわけ界面活性剤を含有する組成物、例えば、洗浄剤(特に、洗濯物ケア用製品及び汎用クリーナー)などに、匂い、好ましくは芳香の印象を付与するために使用することができる。これは、好ましくは、界面活性剤を含有する組成物に長時間持続する清潔感のある香調を付与するために使用することができる。
【0233】
したがって、本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含む組成物に関する。
【0234】
界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性若しくは両イオン性界面活性剤から選択することができる。界面活性剤含有組成物、例えば、シャワージェル、泡入浴剤、シャンプーなどは、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。
【0235】
本発明による組成物は、通常、組成物の総重量を基準として、凝集体中に、界面活性剤を0~40重量%、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含む。非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択的に部分酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に小麦を主原料とする野菜製品)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート及びアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは従来の同族体(homolog)分布を有し得るが、狭い範囲の同族体分布を有することが好ましい。
【0236】
両イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの4級アンモニウム基及び少なくとも1つのCOO(-)又はSO (-)基を含む界面活性化合物である。特に好適な両イオン性界面活性剤は、いわゆる、ベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート並びにアルキル又はアシル基に8~18個の炭素原子を含む2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン及びココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0237】
両性界面活性剤は、特に界面活性剤助剤としても適している。両性界面活性剤は、C~C18のアルキル基又はアシル基に加えて、分子内に、少なくとも1つの遊離アミノ基及び少なくとも1つの-COOH又はSOH基を含み、分子内塩を形成することができる界面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、アルキル基に約8~18の炭素原子を含む、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0238】
アニオン性界面活性剤は、水に可溶化させるアニオン性基、例えば、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基又はホスフェート基及び親油性基が特徴である。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、関連する教科書から多数の実践者に知られており、市販されている。これらは、特に、そのアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、そのアルカリ金属又はアンモニウム塩の形態の、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12~C18アルキル又はアシル基を含むアシルタウレート及びスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0239】
特に好適なカチオン性界面活性剤は、4級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムハライド、より具体的には、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリドなどのクロリド及びブロミド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。加えて、容易に生分解される4級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名前で市販されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルキルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェート並びにDehyquart(登録商標)シリーズの対応する製品などが、カチオン性界面活性剤として使用され得る。「エステルクワット(esterquat)」は、一般に、4級化された脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解されている。これらは組成物に特定の柔軟性を付与することができる。これらは、有機化学の関連する方法によって調製される既知の物質である。本発明による使用に好適な他のカチオン性界面活性剤は、4級化タンパク質加水分解物である。
【0240】
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の油成分と、の組成物に関する。
【0241】
油成分は、典型的には、組成物の総重量を基準として、0.1~80重量%、好ましくは0.5~70重量%、より好ましくは1~60重量%、更に好ましくは1~50重量%、特に1~40重量%、より具体的には5~25重量%、詳細には5~15重量%の量で存在する。
【0242】
油成分は、例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含む脂肪族アルコールに基づくゲルベアルコール、及び他の更なるエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル及びエルカ酸エルシルなどから選択することができる。C18~C38アルキル-ヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分枝C~C22脂肪アルコールとのエステル、より具体的には、リンゴ酸ジオクチル、直鎖及び/又は分岐脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージアール(dial)又はトリマートリオール)とのエステル、C~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C~C18脂肪酸に基づく液体モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、より具体的には安息香酸とのエステル、2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含むポリオールとジカルボン酸とのエステル、植物油、分岐1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐C~C22脂肪アルコールカーボネート、例えば、ジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)など、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖及び/又は分岐C~C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基当たり6~22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の対称又は非対称ジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)など、ポリオール及び炭化水素又はこれらの混合物によるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物も好適である。
【0243】
酸化防止剤
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の酸化防止剤と、を含む組成物に関する。
【0244】
酸化防止剤は、保護されるべき組成物における、酸素の作用及び他の酸化過程によって引き起こされる望ましくない変化を阻止又は防止することができる。酸化防止剤の効果は、ほとんどの場合、自動酸化中に発生するフリーラジカルのフリーラジカル捕捉剤として作用することにある。
【0245】
酸化防止剤は、例えば、以下からなる群から選択される。
・アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、スレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファンなど)及びその誘導体、
・イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、
・D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン(=β-アラニル-L-ヒスチジン)などのペプチド及びこれらの誘導体、
・カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン)又はその誘導体、
・クロロゲン酸及びその誘導体、
・リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、
・アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びにこれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)並びにこれらの塩、
・チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びこれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、
・スルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、
・(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、
・α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、
・フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、ボルディン(=ボルド(Peumus boldus)由来のアルカロイド、ボルド抽出物、
・EDTA、EGTA及びこれらの誘導体、
・不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、
・葉酸及びその誘導体、
・ユビキノン及びユビキノール及びこれらの誘導体、
・ビタミンC及び誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、
・トコフェロール及び誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、
・ビタミンA及び誘導体(例えば、ビタミンAパルミテート)、
・安息香の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、
・ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、
・ノルジヒドログアイヤック酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、
・スーパーオキシドジスムターゼ、
・亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、
・セレン及びその誘導体(例えば、セレノメチオニン)並びに
・スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、trans-スチルベンオキシド)。
【0246】
好ましい実施形態において、酸化防止剤は、テトラジブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、ノルジヒドログアイアレチン酸、フェルラ酸、レスベラトロール、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、パルミチン酸アスコルビル及びトコフェロールからなる群から選択される。
【0247】
本発明による組成物は、酸化防止剤を、組成物の総重量を基準として、0.001~25重量%、好ましくは0.005~10重量%、好ましくは0.01~8重量%、この0.025~7重量%、好ましくは0.05~5重量%の量で含むことができる。
【0248】
防臭活性剤
本発明の一実施形態は、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物と、少なくとも1種の防臭活性剤と、を含む組成物に関する。
【0249】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、清潔感のある長時間持続する香調を、防臭組成物に加えてそのような組成物で処理した皮膚に付与するために使用することができる。
【0250】
防臭組成物(防臭剤及び制汗剤)は、体臭を中和、マスキング又は除去する。体臭は、皮膚細菌がアポクリン汗に作用し、その結果として不快な臭いの分解生成物が形成されることによって作られる。
【0251】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1種の防臭活性剤は、制汗剤、エステラーゼ阻害剤及び抗菌剤からなる群から選択される。
【0252】
好適な制汗剤は、アルミニウム、ジルコニウム又は亜鉛の塩からなる群から選択することができる。これは、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート及びこれらの例えば1,2-プロピレングリコールとの複合体化合物、ヒドロキシアラントイン酸アルミニウム、アルミニウムクロリドタータレート(aluminium chloride tartrate)、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びこれらの例えばグリシンなどのアミノ酸との複合体化合物である。アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びこれらの複合体化合物が好ましく使用される。
【0253】
本発明の好ましい実施形態において、組成物は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ヒドロキシアラントイン酸アルミニウム、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びアルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレートからなる群から選択される少なくとも1種の制汗剤を含む。
【0254】
本発明による組成物は、制汗剤を、組成物の固形分を基準として、1~50重量%、好ましくは5~30重量%、より具体的には10~25重量%の量で含むことができる。
【0255】
汗が脇の下の領域に存在する場合、細菌によって細胞外酵素であるエステラーゼ、主にプロテアーゼ及び/又はリパーゼが形成され、汗に存在するエステルを分解し、その過程で匂いが放出される。好適なエステラーゼ阻害剤は、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル及び特にクエン酸トリエチルなどのクエン酸トリアルキルである。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害し、従って匂いの発生を低減する。遊離酸は、恐らくクエン酸エステルの切断によって放出され、アシル化によって酵素が不活性化される程度まで皮膚のpH値を減少させる。他のエステラーゼ阻害剤は、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロールの硫酸塩又はリン酸塩などのステロール硫酸塩又はリン酸塩、ジカルボン酸及びそのエステル、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルエステル並びにグリシン亜鉛である。
【0256】
本発明の好ましい実施形態において、組成物は、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロール硫酸塩、シトステロールリン酸塩、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸、マロン酸ジエチルエステル、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ジエチルエステル、グリシン亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種のエステラーゼ阻害剤を含む。
【0257】
本発明による組成物は、エステラーゼ阻害剤を、組成物の固形分を基準として、0.01~20、好ましくは0.1~10より具体的には0.5~5重量%の量で含むことができる。
【0258】
本明細書で使用される「抗菌剤」という用語は、殺菌及び/又は静菌特性を有する物質を包含する。典型的には、これらの物質、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えば、サリチル酸-n-オクチルアミド又はサリチル酸-n-デシルアミドなどは、グラム陽性菌に作用する。
【0259】
好ましい実施形態では、抗菌剤は、キトサン、フェノキシエタノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミドからなる群から選択される。
【0260】
本発明による組成物は、抗菌剤を、組成物の固形分を基準として、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の量で含むことができる。
【0261】
本発明による組成物は、例えば:防腐剤、研磨剤、抗ざ瘡剤、皮膚の老化に対処するための薬剤、抗セルライト剤、抗フケ剤、抗炎症剤、炎症抑制剤、刺激緩和剤、収斂剤、制汗剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、ケア剤、脱毛剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、皮膜形成剤、固着剤、発泡剤、整泡剤、抑泡剤、発泡促進剤、殺真菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、毛髪を滑らかにする剤、整髪剤、水分供与剤、保湿物質、湿潤剤、漂白剤、強化剤、シミ抜き剤、蛍光増白剤、含浸剤、防汚剤、摩擦低減剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、つや出し剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、再脂化剤、角質除去剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚清浄化剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、柔軟剤、懸濁剤、皮膚タンニング剤、増粘剤、ビタミン、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、一価又は多価不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護剤、顔料、防食剤、ポリオール、電解質又はシリコーン誘導体などの1種又は複数種の物質を更に含むことができる。
【0262】
本明細書に記載する式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、幅広い組成物、好ましくは香り組成物、より好ましくは芳香組成物に使用することができる。化合物(I)の嗅覚特性及びこの物質の性質(慣用溶媒への溶解度及びこのような組成物に慣用されている他の構成要素との適合性)が、言及した使用目的及び組成物に用いるための組合せに特に適していることを強調しておく。
【0263】
好適な組成物は、例えば、香水組成物、ボディケア組成物(化粧用組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維製品洗剤組成物、芳香器用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物並びに作物保護組成物である。
【0264】
香水組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状形態又は固体担体に適用された形態の室内用芳香剤、エアゾールスプレー、香気付けされたクリーナー、香水キャンドル及びランプオイル又はマッサージ用オイルなどのオイルから選択することができる。
【0265】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、オードソリド(Eau de Solide)及びエクストラパルファム(Extrait Parfum)である。
【0266】
ボディケア組成物には化粧用組成物が含まれ、これらは、アフターシェーブローション、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固形及び液体石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り用石鹸、髭剃り用フォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧用エマルジョン、例えば、スキンクリーム及びローション、顔用クリーム及びローション、日焼け止めクリーム及びローション、日焼け後用クリーム及びローション、ハンドクリーム及びローション、フットクリーム及びローション、脱毛クリーム及びローション、アフターシェーブクリーム及びローション、タンニングクリーム及びローションなど、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアセットローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、永久及び半永久的染毛剤、コールドウェーブパーマ及び毛髪を滑らかにする組成物などの整髪用組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローションなど、防臭剤及び制汗剤、例えば、脇の下用スプレー、ロールオン、防臭スティック及び防臭クリームなど、装飾化粧用製品、例えば、アイライナー、アイシャドウ、マニキュア、メイクアップ用品、口紅及びマスカラなどから選択することができる。更なる例は上に示した通りである。
【0267】
口腔及び歯科衛生用製品は、練歯磨き、デンタルフロス、洗口剤、口臭除去剤、泡状歯磨き(dental foam)、デンタルゲル及びデンタルストリップ(dental strip)から選択することができる。
【0268】
衛生用品は、線香、殺虫剤、忌避剤、噴射剤(propellant)、さび取り剤、賦香されたリフレッシュシート(freshening wipe)、脇の下用パッド、乳児用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧用拭き取りシート、ポケットティッシュ、食器洗い剤及び防臭剤から選択することができる。
【0269】
清掃用組成物、例えば、固体表面用の清掃剤などは、賦香された、酸性、アルカリ性及び中性クリーナー、例えば、床用クリーナー、窓用クリーナー、手洗い用及び機械洗い用の両方の食器洗い用組成物、浴槽用及び衛生設備用クリーナー、擦り磨き用乳剤(scouring milk)、固体及び液体のトイレ用クリーナー、粉末及び泡状のカーペット用クリーナー、家具用つや出し剤などのワックス及びつや出し剤、床用ワックス、靴クリーム、消毒剤、表面消毒剤及び衛生設備用クリーナー、ブレーキ用クリーナー、パイプ用クリーナー、水あか除去剤、グリル及びオーブン清掃剤、藻類及びコケ除去剤、カビ除去剤、建物外壁用クリーナー(facade cleaner)から選択することができる。
【0270】
繊維製品用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、漂白剤、浸漬剤及びシミ除去剤などの洗濯前処理剤、柔軟剤、洗濯用石鹸、洗濯用タブレットから選択することができる。
【0271】
食品とは、その全部若しくは一部がヒトの食用として使用されるか若しくは使用されることが意図されている、未加工、調理済み若しくは加工済みの食用物質、氷、飲料若しくは成分又はチューインガム、グミ、ゼリー及び菓子を意味する。
【0272】
栄養補助食品は、食事に更なる栄養価を追加することを意図した食事成分を含む摂取を意図した製品である。食事成分は、以下の物質の1種又は任意の組合せであり得る:ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物、アミノ酸、総食事摂取量を増やすことによって食事を補うためにヒトが使用する食事物質、濃縮物、代謝産物、成分又は抽出物。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルカプセル、液体又は粉末など、多くの形態のものがある。
【0273】
医薬組成物は、疾患の診断、治癒、軽減、治療又は予防に使用することが意図された組成物並びにヒト又は他の動物の体の構造又は任意の機能に影響を与えることを意図した物品(食品以外)を含む。
【0274】
作物保護組成物は、農作物及び森林を損傷する植物病害、雑草及び他の有害生物(脊椎動物及び無脊椎動物の両方)の管理を意図した組成物を含む。より詳細な定義は上に示した通りである。
【0275】
好ましくは、本発明の組成物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧用組成物を含むs)、口腔及び歯科衛生用製品、衛生用品、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維製品用洗剤組成物、芳香器用組成物又は作物保護組成物である。
【0276】
特に、本発明の組成物は、パーソナルケア又はホームケア組成物、例えば、ボディケア組成物(化粧用組成物を含む)、洗浄用組成物(食器洗い用組成物を含む)又は繊維製品用洗剤組成物である。
【0277】
本発明による組成物は、例えば:防腐剤、研磨剤、抗ざ瘡剤、皮膚の老化に対処するための薬剤、抗細菌剤、抗セルライト剤、抗フケ剤、抗炎症剤、炎症抑制剤、刺激緩和剤、抗微生物剤、酸化防止剤、収斂剤、汗止め(sweat-inhibiting)剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、洗浄剤、ケア剤、脱毛剤、表面活性剤、防臭剤、制汗剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、皮膜形成剤、固着剤、発泡剤、整泡剤、抑泡剤、発泡促進剤、殺真菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、整髪剤、毛髪を滑らかにする剤、水分供与剤、保湿物質、湿潤剤、漂白剤、強化剤、シミ抜き剤、蛍光増白剤、含浸剤、防汚剤、摩擦低減剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、つや出し剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、再脂化剤、角質除去剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、柔軟剤、懸濁剤、皮膚タンニング剤、増粘剤、ビタミン、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、一価又は多価不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液状化剤、染料、色保護剤、顔料、防食剤、ポリオール、電解質又はシリコーン誘導体などの1種又は複数種の物質を更に含むことができる。
【0278】
好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、ホームケア組成物、特に、食器洗い用組成物、洗濯用組成物又は表面清掃用組成物である。この種の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤と、多くの場合、以下に示す成分:金属イオン封鎖剤、酵素、起泡剤、整泡剤、抗微生物剤、pH調整剤(酸又は塩基)のうちの少なくとも1種と、組成物が液体又はゲル状である場合は、これに加えて、水及び更に任意選択的な有機溶媒と、を含む。
【0279】
単なる例示であるが、この種の組成物は、以下を含み得る:
(a)1種又は複数種の界面活性剤を、組成物の総重量に対し0.1~40重量%;
(b)1種又は複数種の上に定義した式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルを0.01~5重量%;
(c)少なくとも1種の有機溶媒を組成物の総重量に対し0~15重量%;
(d)少なくとも1種の酵素を、組成物の総重量に対し0~6重量;
(e)少なくとも1種の金属イオン封鎖剤を、組成物の総重量に対し0~20重量%;
(f)少なくとも1種の消泡剤及び/又は整泡剤を、組成物の総重量に対し0~8重量%;
(g)任意選択的なpH調整剤を、所望のpHが得られるように適合された量;
(h)更なる添加剤を、組成物の総重量に対し0~50重量%;
(i)任意選択的な水を、全体が100%となる量。
【0280】
好適な成分(a)の界面活性剤は、上に挙げたものに相当する。これは、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両イオン性又は両性であり得る。概して、2種以上の界面活性剤の混合物が使用される。
【0281】
好適な成分(c)の溶媒は、例えばC~C-アルカノール(例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール)、C~C-アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)、C~C-アルカンジオールのC~C-アルキルモノエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(ブチルグリオール(butylglyol)とも称される)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル)、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、ポリエーテルポリオールのC~C-アルキルモノエーテル(例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル,ポリエチレングリコールモノエチルエーテル,ポリエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル,ポリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル)、1又は複数のC~C12-アルキル基で置換されていてもよい5-、6-又は7-員ラクトン(例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-オクタラクトン、γ-ノナラクトン、δ-バレロラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ドデカノラクトン及びε-カプロラクトン);1又は複数のC~C12-アルキル基で置換されていてもよい5-、6-又は7-員環状炭酸エステル(例えば、1又は複数のC~C12-アルキル置換基で置換されていてもよいエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート);脂肪族エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル及びプロピオン酸エチル)、カルボキサミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミド)又はこれらの混合物である。
【0282】
好適な成分(d)の酵素は、加水分解酵素などの、洗濯用、食器洗い用又は表面清掃用組成物に通常使用される、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、グルコシダーゼ、リパーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、他のグリコシルヒドロラーゼ及び上述の酵素の混合物である。これらの加水分解酵素はいずれも、タンパク質、油脂又はデンプンを含有するシミ/残滓からの汚れの溶解及び除去に寄与する。漂白を行うために酸化還元酵素を使用することも可能である。
【0283】
成分(e)の金属イオン封鎖剤は、ビルダー、構造物質(structural substance)、骨格物質(framework substance)、錯化剤、キレーター、キレート剤又は軟化剤とも呼ばれ、アルカリ土類金属及び他の水溶性金属塩と、これらを析出させずに結合する。これらは汚れの分解を助け、汚れ成分を分散させ、汚れの剥離を助け、それ自体が洗浄作用を有する場合もある。多くの金属封鎖剤は、多機能である、つまり、分散作用又は黒ずみ防止性などの追加の機能を有する物質である。好適な金属封鎖剤は、有機的又は無機的性質のどちらを有するものであってもよい。その例が、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩及びポリリン酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ホスホン酸、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸、ホスホン酸塩、アミノポリカルボン酸及びその塩並びにカルボン酸基を含む高分子化合物及びその塩である。無機金属封鎖剤のより具体的な例は、ゼオライトなどのイオン交換性を有する結晶性又は非晶性アルミノケイ酸塩;二ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩;炭酸塩及び炭酸水素塩、通常は、これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩の形態にあるもの;アルカリ金属オルトリン酸塩及び/又はポリリン酸塩、例えば、三リン酸五ナトリウムである。有機金属封鎖剤のより具体的な例は、C~C30-ジ-、トリ-及びテトラカルボン酸、例えば、コハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸並びにC~C20-アルキル又は-アルケニル基を有するアルキル-及びアルケニルコハク酸;ヒドロキシカルボン酸及びポリヒドロキシカルボン酸(糖酸)、例えば、リンゴ酸、酒石酸、グルトン酸(glutonic acid)、ムチン酸、乳酸、グルタル酸、クエン酸、タルトロン酸、グルコヘプトン酸、ラクトビオン酸並びにスクロースモノ-、ジ-及びトリカルボン酸;ホスホン酸、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸又はアミノホスホン酸及びこれらの塩;ポリアスパラギン酸及びその塩;アクリル酸ホモポリマーなどのカルボン酸基を含む高分子化合物;マレイン酸オリゴマー(oligomaleic acid)などである。
【0284】
成分(f)である消泡剤及び/又は整泡剤は、例えば、石鹸、パラフィン及びシリコーン油である。
【0285】
成分(g)であるpH調整剤は、酸、塩基及び緩衝系である。酸は、無機物であっても有機物であってもよい。好適な無機酸は、例えば、硫酸,塩酸及びリン酸である。好適な有機酸は、例えば、脂肪族飽和無置換C~C-モノ-、ジ-及びトリカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、コハク酸及びグルタル酸;1又は複数のOH基を有する脂肪族飽和C~C-モノ-、ジ-及びトリカルボン酸、例えば、乳酸、酒石酸及びクエン酸;脂肪族不飽和C~C-モノ-、ジ-及びトリカルボン酸、例えば、ソルビン酸;芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、サリチル酸及びマンデル酸;並びにスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸である。有機酸は、主として、組成物のpHを適合させる役割を果たすが、一部の有機酸、例えば、ジ-及びトリカルボン酸は、金属封鎖剤として作用することもできる。好適な塩基は、特に無機塩基、例えば、金属封鎖剤に関連して述べた炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム又はカリウムであり;更には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば、NaOH又はKOHである。好適な緩衝剤は、典型的な系、例えば、リン酸水素塩/リン酸二水素塩緩衝剤、炭酸塩/炭酸水素塩緩衝剤、酢酸/酢酸塩又はトリス緩衝剤である。更に、弱酸であり、その陰イオンの塩が強力ではない、上述の酸のほとんどは、緩衝能力も有している。
【0286】
更なる添加剤(h)の例は、防腐剤を含む抗微生物剤、(b)とは異なるフレグランス、ハイドロトロープ剤、酵素安定剤、漂白剤、腐食防止剤、染料、増粘剤、活性増強剤(activity enhancer)及び無機塩がある。
【0287】
組成物が液体又はゲル状である場合、概して、組成物の総重量に対し10~99.89重量%の量の水を含むことは必須である。液体の即時使用できる組成物(即時使用できる組成物とは、即時使用され、更に希釈したり更なる物質を追加する必要がない組成物である)において、水の量は、概して、組成物の総重量に対し30~99.89重量%、多くの場合、40~99重量%の範囲にある。
【0288】
特定の実施形態において、ホームケア組成物は、詰め替え用濃縮物である。詰め替え用濃縮物は、即時使用できる最終製品の成分を全て含んでいるが、水が基本的に存在しない(「基本的に」とは、一部の成分はある程度の残留水を含み得ることが考慮されている)か又は即時使用できる最終製品よりもはるかに少ない量で含むかのいずれかである。最終使用者は、詰め替え用濃縮物を適切な容器に充填し、指示された量の水を加えるだけでよい。
【0289】
このような詰め替え用濃縮物は、好ましくは:
(a)1種又は複数種の界面活性剤を、組成物の総重量に対し1~60重量%;
(b)1種又は複数種の上に定義した式(I)1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルを0.02~10重量%;
(c)少なくとも1種の有機溶媒を、組成物の総重量に対し0~30重量%;
(d)少なくとも1種の酵素を、組成物の総重量に対し0~10重量%;
(e)少なくとも1種の金属封鎖剤を、組成物の総重量に対し0~10重量%;
(f)少なくとも1種の消泡剤及び/又は整泡剤を、組成物の総重量に対し0~10重量%;
(g)任意選択的なpH調整剤を、所望のpHが得られるように適合された量;
(h)更なる添加剤を、組成物の総重量に対し0~50重量%;
(i)更なる添加剤を、組成物の総重量に対し0~20重量%;
を含み、成分(a)~(i)の合計は100重量%である。
【0290】
他の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、パーソナルケア組成物である。パーソナルケア組成物は、衛生用途又は化粧用途に使用できるようなものである。好適なパーソナルケア組成物の例は上に示した通りである。
【0291】
好適なパーソナルケア組成物は、多種多様な形態、例えば、W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョン及びあらゆる種類のマイクロエマルジョンのような液体製剤形態;乳化されていない水系液体の形態、ゲル形態、油剤、クリーム、乳液又はローションの形態、スプレー(噴射ガスを含むスプレー又はポンプ式スプレー)又はエアゾール形態、泡沫形態、ペースト形態、湿潤ワイプシート(例えば、おむつが触れる範囲の清拭用)形態で存在することができる。パーソナルケア組成物は、例えば、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性及び水性/アルコール性溶液エマルジョン、ワックス/脂肪組成物又は軟膏とすることができる。このようなパーソナルケア組成物中に存在する典型的な成分及びその量は具体的な配合に応じて変化する。このような成分の例は、溶媒、界面活性剤、乳化剤、レオロジー調整剤(概して増粘剤)、コンディショナー、エモリエント剤、スキンケア成分、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、皮膚科学的活性成分、フレグランス及び水である。
【0292】
石鹸、シャワージェル及びシャンプーなどの主に洗浄を意図した製剤は、少なくとも1種又は複数種の界面活性剤、多くの場合はアニオン性界面活性剤を、任意選択的に両イオン性界面活性剤と組み合わせたものと;水と;を含む。更に、これらは概して、以下に示す成分の少なくとも1種を含む:乳化剤、金属封鎖剤、フレグランス、pH調整剤(概して有機酸及び/又は無機塩基)、無機塩(多くはNaCl)、染料、顔料、防腐剤、真珠光沢剤、乳白剤、粘度調整剤、コンディショニング剤、天然毛髪栄養素、皮膚科学的活性成分。
【0293】
特に関心が持たれるのはシャンプーの形態にある毛髪洗浄用製剤である。更に、特に関心が持たれるのはシャワージェルである。シャンプーもシャワージェルも、一般に、水及び少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。
【0294】
好適なアニオン性界面活性剤は、化粧的に許容される、上に記載したもののほぼ全てである。シャンプー及びシャワージェル組成物中のアニオン性界面活性剤の総量は、概して、組成物の総重量を基準として、0.5~45重量%の範囲、例えば、1.5~35重量%、好ましくは2~20重量%の範囲にある。シャンプー中及びシャワージェル中においては、良好な起泡剤となる界面活性剤を使用するのが有益である。シャンプー又はシャワージェル組成物は、美的特性、触覚的特性、櫛通り性、物理特性又は清浄化性を組成物に付与するのを助ける非イオン性、両性及び/又はカチオン性界面活性助剤を更に含むことができる。好適な非イオン性、両性/両イオン性及びカチオン性界面活性剤は上に記載した通りである。シャンプー又はシャワージェル組成物中の非イオン性界面活性剤の総量は、概して、組成物の総重量を基準として、0.5~15重量%、好ましくは2~10重量%の範囲にあり、シャンプー又はシャワージェル組成物中の両性又は両イオン性界面活性剤の総量は、概して、0.5~15重量%、好ましくは1~10重量%の範囲にあり、シャンプー又はシャワージェル組成物中のカチオン性界面活性剤の総量は、概して、0.05~1重量%、より好ましくは0.08~0.5重量%の範囲にある。シャンプー又はシャワージェル組成物中の界面活性剤(任意の界面活性助剤及び/又は任意の乳化剤を含む)の総量は、概して、組成物の総重量を基準として、1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは10~25重量%にある。
【0295】
シャンプー又はシャワージェル組成物において、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルは、概して、組成物の総重量を基準として、0.01~5重量%、好ましくは0.01~2重量%、特に0.01~1重量%の量で存在する。
【0296】
シャンプー又はシャワージェル組成物が液体又はゲル状である場合、これは水を、概して、組成物の総重量に対し30~98重量%、好ましくは50~90重量%の量で含む。
【0297】
シャンプー又はシャワージェル中に存在することができる他の成分は、例えば、懸濁剤、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体(後者は、好ましくは、ステアリン酸エチレングリコール、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド及びその混合物から選択される);1,4-ブタンジオールモノ-及びジアセテートとは異なるフレグランス、染料及び顔料、pH調整剤、防腐剤、真珠光沢剤又は乳白剤、粘度調整剤及びNaClなどの塩であり;シャンプー中には、更に、コンディショニング剤、天然の毛髪栄養素又は皮膚科学的活性成分、例えば、植物性薬品(botanical)、果実抽出物、カフェイン、パンテノール、糖誘導体、加水分解ケラチン又はグリシンなどのアミノ酸、植物油又は硬化植物油を存在させることができる。
【0298】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、この/これらの化合物のみが不足している基本組成物と単純に直接混合することによって、この組成物に混ぜ込むことができる。或いは、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物を、組成物の他の成分と、又は予め形成された他の成分の一部の混合物と、同時に又は連続して混合することができる。
【0299】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物は、早い段階で、封入材料、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセル及びナノカプセル、リポソーム、皮膜形成剤、炭素若しくはゼオライトなどの吸着剤、環状オリゴ糖及びその混合物中に封入することができ、又は光、酵素などの外部刺激物質を適用すると化合物(I)を放出し、その後、化合物(I)が組成物と混ざり合うように適合された基材に化学的に結合させることができる。
【0300】
式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル又は異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物並びに本発明によるこれらの化合物を含む組成物はまた、マイクロカプセル化された形態、噴霧乾燥された形態、包接錯体の形態又は押出製品の形態とすることもできる。香気の放出をより標的化することに適した材料でいわゆる「被覆」することにより、その特性を更に最適化することができ、この目的のために、好ましくは、例えばポリビニルアルコールなどのロウ状合成物質が使用される。
【0301】
マイクロカプセル化は、例えば、いわゆるコアセルベーション法により、カプセル材料、例えば、ポリウレタン様物質製又は軟質ゼラチン製のものを利用して実施することができる。噴霧乾燥された香油は、例えば、式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-若しくはジエステル若しくは異なる式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-及び/若しくはジエステルの混合物又は本明細書に記載する本発明の組成物を含む乳化液又は分散液を噴霧乾燥させることによって製造することができ、使用可能な担体物質は、化工デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物性ガム質である。包接錯体は、例えば、芳香組成物及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散液を、好適な溶媒、例えば、水中に導入することにより調製することができる。押出製品は、式(I)の化合物又は異なる(I)の化合物の混合物又は本明細書に記載する本発明の組成物を、好適なロウ様物質と一緒に溶融し、押出し、続いて固化を、任意選択的に好適な溶媒、例えば、イソプロパノール中で行うことにより製造することができる。
【0302】
概して、1種又は複数種の式(I)の1,4-ブタンジオールモノ-又はジエステルの本発明による組成物中の総量は、典型的には、具体的な意図された使用又は意図された用途に適合され、したがって、幅広い範囲で変化させることができる。原則として、香気に慣用されている標準的な商業的な量が用いられる。
【0303】
本発明による組成物は、式(I)の化合物を、組成物の総重量を基準として、0.001~99.9重量%、好ましくは0.01~90重量%、より好ましくは0.01~80%、特に0.01~60重量%、より具体的には、0.01~40重量%、例えば、0.01~10重量%又は0.01~15重量%又は0.01~5重量%又は0.05~5重量%の総量で含むことができる。
【0304】
本発明の一実施形態において、組成物は、式(I)の化合物を、組成物の総重量を基準として、0.001~10重量%又は0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%又は0.05~5重量%の総量で含む。
【0305】
式(I)の化合物は、心地よい香り、とりわけ芳香を有するのみならず;入手が容易でもある。特にこれらは、例えば、再生可能資源を使用することにより、及び/又は通常であれば大気中に放出されることになる工業的若しくは農業的プロセスから隔離されたCO若しくはメタンなどの潜在的危険性を有するCガスをアップサイクリングすることにより、CO排出量を低減しながら、容易に製造することができる。
【0306】
以下に示す実施例により本発明を更に例示する。
【実施例
【0307】
略語:
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
【0308】
1.調製例
1.1 1,4-ブタンジオールジアセテートの調製
1,4-ブタンジオール25g(0.28mol)を無水酢酸57g(0.56mol)及びNafion(登録商標)NR50(酸性イオン交換体)400mgと混合した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、反応混合物を水200mlで希釈し、更に10分間撹拌した。混合物をNaHCO 75mlで徐々に中和してpH8とした後、MTBEで抽出した。MTBE相をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。反応生成物を3mbar、94℃で蒸留した。
【0309】
生成物は、モノエステル0.3%及びジエステル99.6%(GC面積)を含んでいた。
【0310】
1.2 高純度の1,4-ブタンジオールジアセテートの調製
実施例1.1を繰り返した。次いで生成物を更なる精製ステップとしてシリカ上のカラムクロマトグラフィーに付すことにより、モノエステル(即ち、1,4-ブタンジオールモノアセテート)を<0.05%及びジエステル(即ち、1,4-ブタンジオールジアセテート)を>99.9%含む生成物を得た。
【0311】
1.3 1,4-ブタンジオールモノアセテートの調製
1,4-ブタンジオール50g(0.56mol)を無水酢酸28g(0.27mol)、酢酸0.5g及びNafion(登録商標)NR50(酸性イオン交換体)400mgと混合した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、反応混合物を水100mlで希釈し、更に10分間撹拌した。混合物をNaHCO 55gで徐々に中和することによりpH8にした後、MTBEで抽出した。MTBE相をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。GC分析によれば、粗精製混合物はモノアセテートを56.8%及びジアセテートを27.2%含んでいた。反応生成物を3mbarで蒸留した。得られた1,4-ブタンジオールモノアセテートの純度(GC)は92.4%(1,4-ブタンジオールジアセテート5.6%、1,4-ブタンジオール1.7%)であった。
【0312】
1.4 1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの99:1混合物の調製
実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテート及び実施例1.3の1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの重量比が99:1である混合物が得られるように混合した。
【0313】
1.5 1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの98:2混合物の調製
実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテート及び実施例1.3の1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの重量比が98:2である混合物が得られるように混合した。
【0314】
1.6 1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの95:5混合物の調製
実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテート及び実施例1.3の1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの重量比が95:5である混合物が得られるように混合した。
【0315】
1.7 1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの90:10混合物の調製
実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテート及び実施例1.3の1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの重量比が90:10である混合物が得られるように混合した。
【0316】
1.8 1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの80:20混合物の調製
実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテート及び実施例1.3の1,4-ブタンジオールモノアセテートを、1,4-ブタンジオールジアセテート及び1,4-ブタンジオールモノアセテートの重量比が80:20である混合物が得られるように混合した。
【0317】
1,9 1,4-ブタンジオールジプロピオネートの調製
1,4-ブタンジオール18g(0.2mol)を無水プロピオン酸52g(0.4mol)及びNafion(登録商標)NR50(酸性イオン交換体)1gと混合した。混合物を室温で72時間撹拌した。次いで、反応混合物を水100mlで希釈し、更に10分間撹拌した。混合物をNaHCO 60gで徐々に中和することによりpH8にした後、MTBEで抽出した。MTBE相をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。混合物を25mbar(165℃)で蒸留した。得られた1,4-ブタンジオールジプロピオネートの純度(GC)は97.3%(モノプロピオネート2.6%)であった。
【0318】
2.嗅覚試験
本発明の化合物(I)の匂いの品質及び強さを試験するために、匂い紙試験(scent strip test)を実施した。
【0319】
この目的のために、被験化合物(I)をクエン酸トリエチル中に1~10重量%含む溶液に吸収紙の細片を浸した。溶媒を蒸発させた後(約30秒)、訓練された調香師のパネルによって香気の印象を嗅覚評価した。
【0320】
香気試験の結果を以下にまとめる。
【0321】
香気試験の結果
実施例1.1の生成物:
レッドフルーツ、ラズベリー、甘い、ブルーベリー
実施例1.2の生成物:
レッドフルーツ、ラズベリー、甘い、ブルーベリー
実施例1.4~1.8の生成物:
実施例1.1の生成物と香調は同じであるが、フルーティな印象がより強く、これはモノアセテート含有量が増加するにつれて強くなる。1.6~1.8の場合、フルーティな印象が非常にはっきりとしている。しかしながら、モノアセテート含有量が増加するにつれて香気は弱くなる。
実施例1.9の生成物:
実施例1.1の生成物と香調は同じであるが、より繊細である。
【0322】
販売用製品及び有利な芳香組成物
「溶液A」は実施例1.1の生成物の無希釈品である。
「溶液B」は実施例1.2の生成物の無希釈品である。
「溶液C」は実施例1.4の生成物の無希釈品である。
「溶液D」は実施例1.5の生成物の無希釈品である。
「溶液E」は実施例1.6の生成物の無希釈品である。
「溶液F」は実施例1.7の生成物の無希釈品である。
「溶液G」は実施例1.8の生成物の無希釈品である。
「溶液H」は実施例1.9の生成物の無希釈品である。
【0323】
I.有利な芳香組成物:
上に記載した溶液Aを表2に従い配合して組成物とした。表2に示す量の重量単位はグラムである。
【0324】
【表1】
【0325】
上に記載した溶液Aを表3に従い配合して組成物とした。表3に示す量の重量単位はグラムである。
【0326】
【表2】
【0327】
芳香組成物3は、溶液Aを同量の溶液Bに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物4は、溶液Aを同量の溶液Bに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物5は、溶液Aを同量の溶液Bに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物6は、溶液Aを同量の溶液Bに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0328】
芳香組成物7は、溶液Aを同量の溶液Cに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物8は、溶液Aを同量の溶液Cに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物9は、溶液Aを同量の溶液Cに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物10は、溶液Aを同量の溶液Cに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0329】
芳香組成物11は、溶液Aを同量の溶液Dに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物12は、溶液Aを同量の溶液Dに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物13は、溶液Aを同量の溶液Dに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物14は、溶液Aを同量の溶液Dに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0330】
芳香組成物15は、溶液Aを同量の溶液Eに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物16は、溶液Aを同量の溶液Eに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物17は、溶液Aを同量の溶液Eに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物18は、溶液Aを同量の溶液Eに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0331】
芳香組成物19は、溶液Aを同量の溶液Fに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物20は、溶液Aを同量の溶液Fに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物21は、e溶液Aを同量の溶液Fに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物22は、溶液Aを同量の溶液Fに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0332】
芳香組成物23は、溶液Aを同量の溶液Gに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物24は、溶液Aを同量の溶液Gに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物25は、溶液Aを同量の溶液Gに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物26は、溶液Aを同量の溶液Gに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0333】
芳香組成物27は、溶液Aを同量の溶液Hに置き換えた芳香組成物1Aに相当する。芳香組成物28は、溶液Aを同量の溶液Hに置き換えた芳香組成物1Bに相当する。芳香組成物29は、溶液Aを同量の溶液Hに置き換えた芳香組成物2Aに相当する。芳香組成物30は、溶液Aを同量の溶液Hに置き換えた芳香組成物2Bに相当する。
【0334】
表2及び表3による組成物、即ち、1A、1B、2A及び2B並びに芳香組成物3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30は、ポンプ式防臭スプレー、洗い流すタイプの(clean)ヘアコンディショナー、洗顔ジェル、泡入浴剤濃縮物、自己発泡性ボディウォッシュ、スプレー式サンケア乳液、スプレー式日光防御(sun protection)乳液、顔用エモリエントジェル、2相型オイル配合泡入浴剤(oil foam bath)、シャンプー、シャワー浴剤(shower bath)、水性/アルコール性AP/防臭ポンプ式スプレー、エアゾール、水性/アルコール性AP/防臭ロールオン、「寝起き(Out of Bed)」風整髪ジェル、髭剃り用フォーム、敏感肌用ベビーシャンプー、敏感肌用ボディウォッシュ、敏感頭皮用光沢増強シャンプー、防臭スティック、乳児用ワイプシート、アフターシェーブバルサム、顔用ジェル、顔用日中用クリーム、洗顔剤、ボディローション、SPF50+の日焼け止め、スプレー式ローション、食器手洗い用洗浄剤(非濃縮)、食器手洗い用洗浄剤(濃縮)、衛生設備用清掃剤(濃縮)、汎用クリーナー、抗菌柔軟剤、洗剤組成物、粉末洗剤組成物及び液体洗剤組成物からなる群から選択される様々な組成物に含有させることが可能であろう。
【0335】
当業者は、上述の製品における様々な一般的な配合に精通しているであろう。
【0336】
組成物1A、1B、2A、2B、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30は、例えば、IP.com Number:IPCOM000258614Dの表題New Aroma chemicalsの6~46頁、表1~表D13に開示されているような特定の配合で配合することができ、この場合、「芳香組成物1A」を、同量の組成物1A、1B、2A、2B、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30に置き換える。
【0337】
II.有利な芳香組成物
II.1 様々な用途に用いるための香水配合物
以下の表に示す組成を有する基本配合物を調製した。DPGはジプロピレングリコールである。
【0338】
【表3】
【0339】
この基本配合物に実施例1.1の生成物2.5重量%を添加した。結果として得られた香水配合物を、訓練された調香師のパネルによって嗅覚評価した:
【0340】
実施例1.1の生成物は、基本配合物に独自の印象及びシグネチャーを加え、香水配合物にレッドフルーツの香調を付与し、それを、より快く、より強く、より自然感があり、力強く、よりグリーン感が強いものにする。
【0341】
II.2 様々な用途に用いるための香水配合物
以下の表に示す組成を有する基本配合物を調製した。DPGはジプロピレングリコールである。
【0342】
【表4】
【0343】
この基本配合物は、グリーン感、軽いフルーティさ、わずかなトロピカルフルーツのような甘さ、ジャスミン及びローズの花様の香気を有し、ウッディでムスキーなバックノート(backnote)を有していた。
【0344】
この基本配合物に実施例1.1の生成物100重量部を添加した。結果として得られた香水配合物は、訓練された調香師のパネルにより、よりフルーティで甘く、よりラズベリー感が強く、更にムスクの香調がより顕著になったと特徴付けられた。したがって、実施例1.1の生成物は、ムスクの香調の増強剤としても作用する。
【0345】
II.3 食器洗い用配合物に使用することが意図された香水配合物
以下の表に示す組成を有する食器洗い用配合物に使用するため基本配合物を調製した。
【0346】
【表5】
【0347】
この基本配合物に実施例1.1の生成物500重量部を添加した。結果として得られた香水配合物を、訓練された調香師のパネルによって嗅覚評価した。
【0348】
実施例1.1の生成物は、基本配合物にレッドフルーツ及びストロベリー様の甘い香調を追加する。
【0349】
II.4 リードディフューザーに使用することが意図された香水配合物
以下の表に記載する組成を有する、リードディフューザー(葦に保持された香りをゆっくりと蒸発させることによって供給させる芳香器)に使用するための配合物を調製した。
【0350】
【表6】
【0351】
結果として得られた香水配合物は、訓練された調香師のパネルにより、実施例1.1の生成物を含まない配合物よりも甘く、フルーティであると嗅覚評価された。
【0352】
II.5 シャワージェルに使用することが意図された香水配合物
以下の表に示す組成を有する、シャワージェルに使用するため基本配合物を調製した。
【0353】
【表7】
【0354】
結果として得られた香水配合物は、訓練された調香師のパネルにより、フローラルでムスキーなベースに、スイカ、キウィ、パイナップル、パッションフルーツ、グレープフルーツなどの複数のフルーツの香調を含むトロピカルフルーツのブレンドが重なっていると嗅覚評価された。
【0355】
実施例1.1の生成物に替えてDPGを50重量部を含むことのみが異なる類似の配合物を調製した。これは、スイカ及びフローラルムスク系の目立つ香調を有する、冴えた(bright)新鮮なトロピカルフルーツブレンドであると特徴付けられた。
【0356】
この2種のブレンドを比較することにより、実施例1.1の生成物は、自然感を強くする作用があり、様々なトロピカルフルーツの香調を、とりわけパイナップルの方向に倍増することが判明した。スイカは残っているが、他のフルーツがそれを上回り、より知覚しやすくなる。したがって、実施例1.1の生成物は、特定の香調の増強剤としても作用する。
【0357】
II.6 シャワージェルに使用することが意図された香水配合物
以下の表に示す組成を有する、シャワージェルに使用するため基本配合物を調製した。
【0358】
【表8】
【0359】
結果として得られた香水配合物は、訓練された調香師のパネルにより、ウッディ、ムスキー及びシトラスの要素によりもたらされるモダンな背景に、自然な印象が優勢な、冴えた新鮮なラベンダーの芳香を有すると嗅覚評価された。
【0360】
実施例1.1の生成物に替えてDPGを50重量部を含むことのみが異なる類似の配合物を調製した。これは、クラシカルなラベンダーの芳香が、ジヒドロミルセノール及びIso E Superによってモダンになっており、トップノートはフレッシュなシトラスのアコードが取れていると特徴付けられた。
【0361】
この2種のブレンドを比較することにより、実施例1.1の生成物がトップノートを活性化し、そのフルーティな香調がラバンジン及びラベンダーのケトン様の香調を強調することによって自然感がより強く伝わることが判明した。
【0362】
III.即時使用できる組成物
III.1 シャンプー又はシャワージェル
以下に示す成分を所与の比率で混合することによりシャンプー又はシャワージェル配合物を調製した。
【0363】
【表9】
【0364】
シャワー/シャンプー配合物は、実施例II.5に挙げた香調の心地よいフルーティな芳香を有していた。
【0365】
実施例II.5の香水組成物に替えて実施例II.6の香水組成物を1%含む類似の配合物は、実施例II.6に挙げた香調の心地よいラベンダーの芳香を有していた。
【0366】
実施例II.5の香水組成物に替えて実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテートを0.1%含む類似の配合物は、基本配合物(即ち、香水を含まない上述のシャンプー又はシャワージェル)の不快な匂いを十分に隠していた。実施例II.5の香水組成物に替えて実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテートを0.1%含む配合物は、特徴的なフルーティな香気を有していた。
【0367】
III.2 洗濯用洗剤配合物
以下に示す成分を所与の比率で混合することにより洗濯用洗剤配合物を調製した:
【0368】
【表10】
【0369】
結果として得られた、透明でわずかに黄色がかったpHが8.1である配合物は、実施例II.1に挙げた香調の心地よいフルーティな芳香を有していた。
【0370】
実施例II.1の香水組成物に替えて実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテートを0.5%含む類似の配合物は、基本配合物(即ち、香水を含まない上の洗濯用洗剤)の不快な匂いを十分に隠していた。実施例1.1の1,4-ブタンジオールジアセテートの量が増加するにつれて(しかしながら、依然として1%未満である)特徴的なフルーティな香気が強くなった。
【国際調査報告】