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特表2024-520171単結晶シリコンインゴットの成長中の石英プレートの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】単結晶シリコンインゴットの成長中の石英プレートの使用
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
C30B29/06 502C
C30B29/06 502A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575484
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022065434
(87)【国際公開番号】W WO2022258634
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/197,726
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】パンノッキア,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】マルケーゼ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】トージ,パオロ
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF06
4G077EG18
4G077EG19
4G077EG20
4G077HA12
4G077PB02
4G077PD01
4G077PD03
(57)【要約】
連続チョクラルスキー(CCz)によって単結晶シリコンインゴットを生成する方法が開示されている。固体シリコンの初期チャージ上にプレートが配置されるように、1つ以上のプレートがるつぼアセンブリの外側溶融物ゾーンに添加される。シリコンは溶融し、プレートはシリコン溶融物の上に浮く。インゴット成長中に溶融物を補充するために外側溶融物ゾーンにシリコンを添加する場合、シリコンは外側溶融物ゾーンの溶融物に直接落ちるのではなく、プレートに接触する。シリコンは溶けて、プレートの厚さを貫通する開口部から落ちる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続チョクラルスキープロセスで単結晶シリコンインゴットを成長させる方法であって、
前記方法は、
るつぼアセンブリに多結晶シリコンのチャージを添加し、前記るつぼアセンブリは堰と側壁とを備え、前記堰と前記側壁との間に外側溶融物ゾーンを画定し、
前記外側溶融物ゾーンに1つ以上のプレートを添加し、
前記るつぼアセンブリにシリコンの溶融物を形成し、
前記溶融物の表面を種結晶に接触させ、
前記溶融物から単結晶シリコンインゴットを引き上げ、
前記単結晶シリコンインゴットを引き上げながら、前記外側溶融物ゾーンに固体の多結晶シリコンの供給原料を添加して前記溶融物の補充し、前記外側溶融物ゾーンに固体の多結晶シリコン供給原料を添加する間、1つ以上のプレートが外側溶融物ゾーン内の溶融物を少なくとも部分的に覆う
方法。
【請求項2】
前記堰は、第1の堰であり、前記るつぼアセンブリは、前記第1の堰に対して半径方向内側に第2の堰を含み、前記第1の堰および前記第2の堰は、前記第1の堰と前記第2の堰との間に中間溶融物ゾーンを画定し、前記第2の堰は、前記第2の堰内に内側溶融物ゾーンを画定する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外側溶融物ゾーンは、幅を有し、1つ1以上のプレートの各々は幅を有し、前記1つ以上のプレートの各々の前記幅は、前記外側溶融物ゾーンの前記幅よりも小さい
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プレートは、前記るつぼアセンブリ内にシリコンの溶融物が形成される前に、前記外側溶融物ゾーン内の固体の多結晶シリコン上に配置され、前記プレートは、前記溶融物が形成された後に、前記外側溶融物ゾーン内の前記溶融物上に浮かぶ
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プレートは、石英でできている
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のプレートは、それぞれ、シリコンが前記溶融物に入ることができるように前記プレートを貫通して延びる1つ以上の開口部を含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のプレートのそれぞれは、前記プレートが前記溶融物に浮くように、シリコンの前記溶融物よりも密度が低い
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記単結晶シリコンインゴットは、前記るつぼアセンブリ内にシリコンの前記溶融物が形成された後に、前記溶融物から引き上げられる第1のインゴットである
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶融物の表面を前記種結晶に接触させ、
前記溶融物から第2の単結晶シリコンインゴットを引き上げ、そして
前記第2の単結晶シリコンインゴットを引き上げながら、固体の多結晶シリコン原料を前記外側溶融物ゾーンに添加して前記溶融物を補充し、前記1つ以上のプレートが前記外側溶融物ゾーンの前記溶融物を少なくとも部分的に覆い、前記固体の多結晶シリコン原料を前記外側溶融物ゾーンに添加することを、さらに含む
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単結晶シリコンインゴットは、前記溶融物から引き上げられた第1の単結晶シリコンインゴットに続いて成長した単結晶シリコンインゴットである
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年06月07日に出願された米国仮特許出願第63/197,726号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、連続チョクラルスキー(CCz)による単結晶シリコンインゴットの製造方法、特に、るつぼアセンブリの外側溶融物ゾーンに石英プレートを添加する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
連続チョクラルスキー(CCz)は、ヒ素やリンが比較的高濃度に添加されたインゴットなど、直径300mmまたは200mmの単結晶シリコンインゴットを形成するのに適している。連続チョクラルスキー法は、インゴットの成長中に溶融物に固体シリコンを連続的または断続的に添加して溶融物を補充しながら、シリコンの溶融物から単結晶シリコンインゴットを形成する。この方法は、ホットゾーンを一定の温度に保ちながら、同じ溶融物から複数のインゴットを形成することを含んでもよい(すなわち、複数のインゴットが成長している間、溶融物がるつぼアセンブリ内に連続的に存在する)。
【0004】
連続チョクラルスキー法で成長させたインゴットからスライスされたウェーハは、200mmと300mmのインゴットの両方で、ボイド数が少ない(例えば、ウェーハ当たりの欠陥数が30未満)ことを顧客から指定されることが多くなっている。連続チョクラルスキー法は、固体の多結晶シリコンが投入される外側溶融物ゾーン、溶融物が安定化する中間溶融物ゾーン、およびシリコンインゴットが引き上げられる内側溶融物ゾーンという、物理的障壁によって分離された少なくとも2つ、多くの場合3つの溶融物ゾーンを含む、るつぼアセンブリが含まれ得る。固体の多結晶シリコンを溶融物に添加すると、不活性ガスの泡(例えば、アルゴン気泡)が溶融物中に形成され、ボイド数に影響を与える。
【0005】
いくつかの従来法では、石英カレットのような緩衝部材が溶融物に添加され、不活性ガスの泡の生成を抑えている。石英カレットは、溶融物に落ちたポリシリコンの干渉を和らげる。カレットはまた、不活性ガスの泡の消失を促進する。しかし、石英カレットを加えることで、結晶成長プロセスが複雑になる。カレットも比較的早く溶ける。カレットグループの間に形成され得る隙間が効果を制限している。
【0006】
インゴットからスライスされたシリコンウェーハの欠陥数を減少させ、および/または溶融物中の不活性ガスの泡の形成を減少させ、または不活性ガスの泡の消失を促進させるシリコンインゴットを形成するための代替方法に対する必要性が存在する。
【0007】
本セクションは、本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、これらは以下に説明および/または特許請求される。この検討は、本開示の様々な態様をよりよく理解するための背景情報を読者に提供するのに役立つと思われる。従って、これらの記述はこのような観点から読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないと理解すべきである。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、連続チョクラルスキープロセスで単結晶シリコンインゴットを成長させる方法を対象としている。多結晶シリコンのチャージ(charge)がるつぼアセンブリに添加される。るつぼアセンブリは堰と側壁を含み、堰と側壁の間に外側溶融物ゾーンを画定している。1つ以上のプレートが外側溶融物ゾーンに添加される。シリコンの溶融物がるつぼアセンブリ内に形成される。溶融物の表面が種結晶に接触させられる。単結晶シリコンインゴットは溶融物から引き上げられる。単結晶シリコンインゴットを引き上げて溶融物を補充する間、固体の多結晶シリコン原料が、外側溶融物ゾーンに添加される。1つ以上のプレートは、外側溶融物ゾーンの溶融物を少なくとも部分的に覆う。
【0009】
本開示の上記態様に関連して記載された特徴には、さまざまな改良点が存在する。さらなる特徴は、本開示の上記態様にも同様に組み込まれる可能性がある。これらの改良点と添加機能は、個別に存在することも、任意の組み合わせで存在することもできる。例えば、本開示の図示された実施形態のいずれかに関連して以下に論じられる様々な特徴は、本開示の上記態様のいずれかに、単独で、または任意の組み合わせで組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、内部にシリコンの固体チャージを配置したインゴット引き上げ装置の例の断面図である。
図2図2は、シリコンチャージの表面にプレートを配置した後のインゴット引き上げ装置の断面図である。
図3図3は、プレートが配置されたインゴット引き上げ装置のるつぼアセンブリの上面図である。
図4図4は、プレートの上面図である。
図5図5は、溶融物上に浮いたプレートを有する溶融物を有するインゴット引き上げ装置の断面図である。
図6図6は、シリコン溶融物からシリコンインゴットを引き上げる様子を示すインゴット引き上げ装置の断面図である。
図7図7は、連続チョクラルスキープロセスで成長した第1のインゴット(第1のバッチ)からスライスされたウェーハのボイド数を示すボックスプロットである。
図8図8は、外側溶融物ゾーンへの固体シリコンの添加中にプレートが溶融物を覆った連続チョクラルスキープロセス(「TEST」)および、外側溶融物ゾーンへの固体シリコンの添加中にカレットが溶融物を覆った連続チョクラルスキープロセス(「POR」)において、成長した第1のインゴットからスライスされたウェーハにおけるボイド数を示すボックスプロットである。
【0011】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の提供は、連続チョクラルスキー(CCz)プロセスで単結晶シリコンインゴットを成長させる方法に関するものである。インゴットの形成前に、1つ以上のプレート(例えば、石英プレート)がるつぼアセンブリの外側溶融物ゾーンに添加される。インゴットの成長中に、固体シリコン(例えば、多結晶シリコン)が外側溶融物ゾーンに添加される。多結晶シリコンはプレートの上に落下する。固体の多結晶シリコンは溶けて、プレートに形成された開口部から落下し、シリコン溶融物に入る。
【0013】
連続チョクラルスキープロセスでインゴット60を製造するためのインゴット引き上げ装置5の例を図1~6に示す。図6に示すように、インゴット引き上げ装置5は、半導体または太陽電池グレードのシリコン材料の溶融物6を収容するるつぼアセンブリ10を含む。サセプタ13は、るつぼアセンブリ10を支持している。るつぼアセンブリ10は、側壁40と、溶融物を異なる溶融物ゾーンに分離する1つ以上の流体バリア20、30または「堰」とを有する。図示の実施形態では、るつぼアセンブリ10は第1の堰20を含む。第1の堰20と側壁40は、シリコン溶融物(およびるつぼアセンブリ10)の外側溶融物ゾーン42を画定する。るつぼアセンブリ10は、シリコン溶融物の内側溶融物ゾーン22を画定する第1の堰20の半径方向内側に第2の堰30を含む。内側溶融物ゾーン22は、単結晶シリコンインゴット60が成長する成長領域である。第1の堰20と第2の堰30は、シリコン溶融物の中間溶融物ゾーン32を画定し、そこでは溶融物6が内側溶融物ゾーン22に向かって移動する際に安定し得る。第1および第2の堰20、30はそれぞれ、シリコン溶融物が内側溶融物ゾーン22の成長領域に向かって半径方向内側に流れることを可能にするために、その中に画定された少なくとも1つの開口部を有する。
【0014】
図示の実施形態では、第1の堰20、第2の堰30および側壁40はそれぞれ略環状の形状を有する。第1の堰20、第2の堰30および側壁40は、るつぼアセンブリ10の底部または床部45で接合される3つの入れ子式るつぼの一部であってもよい(すなわち、第1および第2の堰20、30は、より大きなるつぼ内に入れ子式に配置された2つのるつぼの側壁である)。図1~6に示するつぼアセンブリの構成は例示的なものである。他の実施形態では、るつぼアセンブリ10は、床部45から上方に伸びる堰を備えた単層床部を有する(つまり、入れ子になったるつぼを有さない)。任意選択で、床部45は湾曲ではなく平坦であってもよく、および/または堰20、30および/または側壁40は直線状であってもよい。さらに、図示されたるつぼアセンブリ10は2つの堰を備えて示されているが、他の実施形態では、るつぼアセンブリは1つの堰を有していてもよいし、堰を有していなくてもよい。
【0015】
供給管46は、例えば、ポリシリコンチップ、粒状ポリシリコン、チャンクポリシリコン、またはそれらの組み合わせであり得る固体シリコンを外側溶融物ゾーン42に供給する。チャックポリシリコンは、一般に、ポリシリコンチップよりもサイズが大きく、ポリシリコンチップは粒状ポリシリコンよりもサイズが大きい。例えば、チャックポリシリコンは、一般に、少なくとも15mm(例えば、5mmから110mmの範囲)の平均公称サイズを有し得る一方、ポリシリコンチップは1から15mmの平均公称サイズを有し得る。固体シリコンは、インゴット60の成長中、実質的に一定の溶融昇温レベルおよび体積を維持するのに十分な速度で添加される。
【0016】
一般に、インゴット60が引き上げられる溶融物6は、多結晶シリコンをるつぼに充填して初期シリコンチャージ27(図1)を形成することによって形成される。一般に、初期チャージは多結晶シリコンの約10キログラムから約200キログラムの間であり、チップ、粒状、チャンク、またはそれらの組み合わせであってもよい。初期チャージの質量は、必要な結晶直径とホットゾーンの設計によって異なる。初期チャージは、多結晶シリコン成長中に連続的に供給されるため、インゴット結晶の長さを反映していない。
【0017】
例えば、流動床反応器内でシランまたはハロシランの熱分解によって生成される粒状多結晶シリコン、またはシーメンス反応器内で生成される多結晶シリコンを含む、多結晶シリコンの様々な供給源が使用され得る。固体シリコンは典型的には多結晶シリコンであるが、単結晶シリコン(例えば、切り出されたインゴットから廃棄された部分)を使用することもできる。
【0018】
一旦、多結晶シリコンがるつぼアセンブリ10に添加されてチャージ27を形成すると、1つ以上のプレート31(図2)が外側溶融物ゾーン42のチャージ27に添加される。図示の実施形態では、複数のプレート31(図3)が外側溶融物ゾーン42に添加される(例えば、少なくとも2枚、少なくとも3枚、少なくとも4枚、少なくとも5枚、少なくとも8枚、少なくとも10枚または少なくとも12枚以上、またはそれ以上)。他の実施形態では、1枚のプレート31が添加される(例えば、外側溶融物ゾーン42の全周を囲むプレート)。
【0019】
複数のプレート31が外側溶融物ゾーン42に添加される実施形態では、プレートは自由に浮かぶことができ、互いに接続されていなくてもよい。他の実施形態では、プレート31が接続されてもよい。プレート31は、隣接するプレート31間の隙間を最小にするような大きさにできる。
【0020】
プレート31は、本明細書で説明するようにプレート31が動作することを可能にする石英または他の材料で作られてもよい。プレート31は一般にシリコンの溶融物6よりも密度が低く、溶融物6の形成後にプレートが溶融物6に浮くようになっている。
【0021】
次に図4を参照すると、各プレート31は、プレート31の厚さを貫通して延びる1つ以上の開口部またはスロット49を有する。固体シリコンが供給管46を通って、るつぼアセンブリ10の外側溶融物ゾーン42内、および1つまたは複数のプレート31上に排出されると、シリコンは、溶融して、開口部49を通って落下し、溶融物6に入る。図示の実施形態では、開口部49は、プレート31の長手方向軸Aに概ね平行な長軸を有するスロットである(すなわち、開口部49は半径方向に間隔をあけて配置されている)。一般に、開口部49は、プレート31が本明細書に記載のように動作することを可能にする任意の形状を有し得る。一般に、開口部49は、外側溶融物ゾーンに導入された多結晶シリコンのタイプ(例えば、粒状、チップ、またはチャンク)のサイズよりも小さくなるようにサイズが設定され得る。
【0022】
プレート31は、内縁51および外縁53を有する。縁51、53は、外側溶融物ゾーン42の輪郭(すなわち、第1の堰20と側壁40によって境界付けられる領域)に適合するように湾曲している。外縁53は内縁51よりも長い。第1および第2の側面57、59は、内縁51と外縁53との間に延びる。
【0023】
各プレート31は幅W31を有する。各プレート31の幅W31は、(例えば、メルトダウン中及び/又はインゴット成長中に)プレート31が第1の堰20又は側壁40に接触することなく外側溶融物ゾーン42内に配置されることを可能にするために、外側溶融物ゾーン42の幅W42図3)よりも小さい。
【0024】
多結晶シリコンがるつぼアセンブリ10に加えられてチャージ27が形成され、プレート31が外側溶融物ゾーン42に添加されたら、チャージ27をシリコンの溶融温度以上の温度(例えば、約1412℃)に加熱してチャージを溶融し、それによって溶融されたシリコンからなるシリコン溶融物6(図6)を形成する。シリコン溶融物6は、シリコン溶融物の初期体積を有し、初期溶融昇温レベルを有し、これらのパラメータは、初期チャージ27のサイズによって決定される。いくつかの実施形態では、シリコン溶融物6を備えるるつぼアセンブリ10は、少なくとも約1425℃、少なくとも約1450℃、あるいは少なくとも約1500℃の温度に加熱される。最初の溶融物6が形成されると、プレート31は外側溶融物ゾーン42内の溶融物6上に浮かぶ。
【0025】
インゴット引き上げ装置5は、内側溶融物ゾーン22内の溶融物6からインゴット60を成長させて引き上げるための引き上げ機構114(図6)を含む。引き上げ機構114は、引き上げケーブル118と、引き上げケーブル118の一端に結合されたシードホルダまたはチャック120と、結晶成長を開始させるためにシードホルダまたはチャック120に結合された種結晶122とを含む。引き上げケーブル118の一端は、吊り上げ機構(例えば、従動プーリやドラム、あるいは他の適切なタイプの吊り上げ機構)に接続され、他端は種結晶122を保持するチャック120に接続される。操作では、種結晶122を下降させて内側溶融物ゾーン22の溶融物6に接触させる。引き上げ機構114を作動させて種結晶122を引き上げ軸Aに沿って上昇させる。これにより単結晶インゴット60を溶融物6から引き上げる。
【0026】
多結晶シリコンのチャージ27(図1)が液化され、プレート31が溶融物6の上に浮いた状態で溶融されたシリコンからなるシリコン溶融物6(図5)が形成されると、シリコン種結晶122(図6)が下降され、内側溶融物ゾーン22内の溶融物6に接触する。その後、シリコン種結晶122は、シリコンが付着した状態で溶融物6から引き上げられ、首部52を形成し、それによって溶融物6の表面近傍または表面に溶融物と固体の界面が形成される。
【0027】
引き上げ機構114は、種結晶122とそれに連結されたインゴット60を回転させることができる。るつぼ駆動装置44は、サセプタ13およびるつぼアセンブリ10を回転させることができる。幾つかの実施形態では、シリコン種結晶122とるつぼアセンブリ10は、反対方向に回転、すなわち逆回転される。逆回転はシリコン溶融物6内に対流を実現する。種結晶122の回転は主に、対称的な温度プロファイルを提供し、不純物の角度変化を抑制し、結晶溶融物界面の形状を制御するために使用される。
【0028】
首部52の形成後、首部52に隣接する外側に広がっているシードコーン部分54(または「クラウン」)が成長する。一般に、引き上げ速度は、ネック部分の引き上げ速度から、外側に広がるシードコーン部分54の成長に適した速度まで減少する。シードコーン部分が目標直径に達すると、インゴット60の本体56または「一定直径部分」が成長する。いくつかの実施形態では、インゴット60の本体56は、約150mm、少なくとも約150mm、約200mm、少なくとも約200mm、約300mm、少なくとも約300mm、約450mm、または少なくとも約450mmの直径を有する。
【0029】
インゴット60が溶融物6から引き上げられる間、固体の多結晶シリコン原料が管46または他のチャネルを通じて外側溶融物ゾーン42に添加され、インゴット成長装置5内に溶融物6を補充する。固体の多結晶シリコンは、多結晶シリコンの供給システム66から添加でき、溶融物レベルを維持するためにインゴット引き上げ装置に連続的または断続的に添加できる。一般に、当業者が利用できる任意の方法によって、多結晶シリコンはインゴット引き上げ装置5に計量して導入され得る。外側溶融物ゾーン42に添加される固体の多結晶シリコンは、シリコンチップ、チャンク、粒状のいずれでもよい。
【0030】
一部の実施形態では、ドーパントもインゴット成長中に溶融物6に添加される。ドーパントは、ドーパント供給システム72から導入できる。ドーパントは気体または固体として添加でき、外側溶融物ゾーン42に添加できる。
【0031】
装置5は、成長中のインゴット60がその凝固潜熱および溶融物6からの熱流束を放射できるように、インゴット60の周囲に配置された熱シールド116を含み得る。熱シールド116は、少なくとも部分的に円錐形状であり、インゴット60が配置される環状の開口部を形成するように斜め下方に傾斜していてもよい。アルゴンなどの不活性ガスの流れは、通常、成長する結晶の長さに沿って供給される。インゴット60は、周囲の大気から密閉された成長室78を通して引き上げられる。
【0032】
独立して制御される複数の環状底部ヒータ70は、るつぼアセンブリ10の下に放射状に配置され得る。環状底部ヒータ70は、るつぼアセンブリ10の底面領域全体にわたって、比較的制御された分布で熱を加える。環状底部ヒータ70は、米国特許第7,635,414号に記載されているように個別に制御される平面抵抗加熱素子であってもよく、この特許は、すべての関連する一貫した目的のために、参照することにより本明細書に組み込まれる。装置5は、溶融物6を通る温度分布を制御するために、るつぼアセンブリ10の半径方向外側に配置された1つ以上の側面ヒータ74を含むことができる。
【0033】
図1~6に示され、本明細書で説明されるインゴット成長装置5は例示的なものであり、特に断らない限り、一般に、連続チョクラルスキー法によって結晶インゴットを製造する任意のシステムを使用することができる。
【0034】
インゴット60が溶融物6から引き上げられると、単結晶シリコンインゴット60を引き上げて溶融物6を補充しながら、固体の多結晶シリコン原料がるつぼアセンブリ10に加えられる。固体シリコンは、外側溶融物ゾーン42内の溶融物6を少なくとも部分的に覆うプレート31上に落下する。溶融物6の熱は、プレート31上に配置された固体の多結晶シリコンを加熱し、シリコンを溶融させ、プレート31を貫通して延びる開口部49を通過させるか、プレート31の縁部51、53および/または側面57、59越えて落下させる。
【0035】
いくつかの連続チョクラルスキープロセスでは、シリコン溶融物6がるつぼアセンブリ10内に連続的にある状態でホットゾーン(すなわち、るつぼアセンブリ10及びサセプタ13などの装置5の下部)が加熱されたまま、複数のインゴットが成長される。このような方法では、第1のインゴットが目標長さまで成長させられ、成長が終了させられ、インゴットがインゴット引き上げ機から取り出され、次に種結晶が溶融物中に下ろされ、(すなわち、第1のインゴットが引き上げられたのと同じ溶融物を使用して)第2の単結晶シリコンインゴットの成長が開始される。プレート31は、2つ目以降のインゴットが成長する間、および多結晶シリコンが外側溶融物ゾーン42に添加されて溶融物を補充される間、溶融物6中に留まる。プレート31の厚さは、第1のインゴットが形成された後、プレート31が完全に溶解せず、溶融物6中に残るように選択できる。他の実施形態では、後続の各インゴットの成長前に、新しいプレート31のセットが添加される。
【0036】
後続のインゴットは、ホットゾーンがそのままの状態で、るつぼアセンブリ10内にシリコンの連続溶融物が存在する温度で成長させることができる(例えば、るつぼアセンブリが冷却および劣化した構成要素の交換を必要とするように、ホットゾーンの1つ以上の構成要素が劣化するまで)。例えば、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、10個、または20個以上のインゴットを成長させることができる。
【0037】
単結晶シリコンインゴットを連続的チョクラルスキー(CCz)プロセスで成長させる従来の方法に比べ、本開示の方法にはいくつかの利点がある。特定の理論に束縛されることなく、るつぼアセンブリの外側溶融物ゾーンに多結晶シリコンを添加することにより、不活性ガス(例えば、アルゴン)の比較的小さな気泡(例えば、10μm未満)が生じ、この気泡が固体-溶融界面に到達することを可能にする各堰内の開口部を通って溶融物によって運ばれ得ると考えられる。プレートは、多結晶原料が溶融物中に直接排出されるのを防ぐことによって、溶融物中への不活性ガスの封入を防止する働きをし得る。プレートはまた、不活性ガスの気泡が凝集するための表面積と核生成点を提供し、それによって気泡のサイズを増大させて浮力を高めることができる。プレートは、溶融物の表面に石英のモノリシック層を提供する(例えば、石英カレットと比較して隙間が少なくなる)。プレートは溶融物形成後に一定量が溶解し、溶解した石英は溶融物から不活性ガスを除去するのにも役立つ。プレートの溶解速度は石英カレットに比べて遅いため、カレットに比べてプレートの耐久性が向上する。ホットゾーンが所定の温度(例えば、多結晶シリコンの初期チャージに配置される)に達する前に、プレートをるつぼアセンブリに比較的簡単に配置できる。複数のプレートが使用される実施形態では、プレートの剛性が低く、シリコンがるつぼと相対的に移動する際にシリコンと一緒に移動でき、これによりプレートが溶融物中に浸らないようにできる。プレートが外側溶融物ゾーンの幅よりも狭い幅を有する実施形態では、メルトダウン中にプレートがるつぼアセンブリの側面/堰に焼結しにくくなる。
[実施例]
【0038】
本開示のプロセスを以下の実施例によりさらに説明する。これらの例は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
実施例1:外側溶融物ゾーンに石英プレートを添加したインゴットから成長させたウェーハのボイド数
【0039】
図7に示すように、連続チョクラルスキープロセス(200mm)で成長させた第1のインゴット(バッチA)は、通常、その後成長させたインゴット(インゴットB-G)と比較して、より多くのマイクロボイド(少なくとも0.12μm以上のサイズのレーザ光散乱によって検出される)を含む。
【0040】
図8は、多数の連続チョクラルスキー実行中の最初に成長させたインゴット(バッチA)のボイド数を示している。「テスト」の実行(右端のボックスプロット)には、シリコンの初期チャージ上(図2)と、多結晶シリコンが外側溶融物ゾーンに添加された後の溶融物(図6)上にプレートが含まれている。他の実験には、石英プレートの代わりに石英カレットが含まれる。図8からわかるように、プレートを使用した実験ではボイド数が許容できないレベルまで増加しなかった。
【0041】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「前記(the)」、および「前記(said)」という冠詞は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」という用語は包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。特定の方向(例えば、「上部」、「底部」、「側面」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、記載されるアイテムの特定の方向を必要とするものではない。
【0042】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成および方法に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】