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特表2024-520319パッケージング材料および製作の方法
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  • 特表-パッケージング材料および製作の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】パッケージング材料および製作の方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/30 20060101AFI20240517BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C23C16/30
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571207
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022028723
(87)【国際公開番号】W WO2022245605
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,456
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/741,658
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, ヴィバス
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ウェン-ハオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジャージャン ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スー ヤン
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA27
4K030BA29
4K030BA36
4K030BA37
4K030BA38
4K030BA40
4K030BA41
4K030BA42
4K030BA44
4K030BA48
4K030BB12
4K030CA06
4K030CA07
4K030HA01
4K030JA01
4K030LA01
(57)【要約】
パッケージング材料および製作の方法が開示される。パッケージング材料は、基板表面と、エラストマ、ポリマー、無機材料およびそれらの組合せからなる群から選択されたフィルムコーティングとを備える。フィルムコーティングは、第1の層と第2の層とを含み、第1の層は、第2の層上に堆積される。第1の層は、SiOの式を有し、ここで、xが、1.9から2.15までの範囲内にあり、yが、0.01から0.08までの範囲内にあり、zが、0.10から0.40までの範囲内にある。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング材料であって、前記パッケージング材料は、
基板表面を含む基板であって、前記基板表面が、エラストマ、ポリマー、無機材料およびそれらの組合せからなる群から選択された材料を備える、基板と、
前記基板表面上の第1の層と、前記第1の層上の第2の層とを備えるフィルムコーティングであって、ここにおいて、前記第1の層が、SiOの式を有する第1の材料を備え、ここで、xが、1.9から2.15までの範囲内にあり、yが、0.01から0.08までの範囲内にあり、zが、0.10から0.40までの範囲内にあり、前記第2の層が、SiOの式を有する第2の材料を備え、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1から2までの範囲内にある、フィルムコーティングと
を備える、パッケージング材料。
【請求項2】
前記パッケージング材料が、バイアル、シリンジ、ボトル、カートリッジ、アンプル、注射ペン、パッチ、ブリスターパックおよび静脈輸液バッグからなる群から選択された、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項3】
前記基板表面が、ガラス、エラストマ、ポリマーまたはそれらの組合せを含む、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項4】
前記第1の層および前記第2の層の各々が、独立して、1nmから1000nmまでの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項5】
前記フィルムコーティングが、37.8℃および90%相対湿度における0.00001g/m/日から0.04g/m/日未満までの範囲内の水蒸気透過、ならびに37.8℃および50%相対湿度における0.01cc/m/日から30cc/m/日未満までの範囲内の酸素透過速度からなる群から選択された1つまたは複数の性質を有する、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項6】
前記フィルムコーティングが、90%相対湿度および37.8℃で測定されたときの0.006g/m/日未満の水蒸気透過、ならびに50%相対湿度および37.8℃で測定されたときの0.4cc/m/日未満の酸素透過速度からなる群から選択された1つまたは複数の性質を有する、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項7】
前記第2の層が、0超から0.40未満までの範囲内の摩擦係数を有する、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項8】
前記フィルムコーティングが、前記第2の層上の第3の層を備え、前記第3の層が、SiHの式を有する材料を備え、ここで、wが、0.01から1.1までの範囲内にあり、xが、0.01から2.3までの範囲内にあり、yが、0.01から1.0までの範囲内にある、請求項1に記載のパッケージング材料。
【請求項9】
前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層の各々が、1nmから1000nmまでの範囲内の厚さを有する、請求項8に記載のパッケージング材料。
【請求項10】
前記第3の層が、0超から0.40未満までの範囲内の摩擦係数を有する、請求項8に記載のパッケージング材料。
【請求項11】
前記フィルムコーティングが、コーティングを有しないパッケージング材料と比較して、20%超から100%未満までの範囲内で浸出性/抽出性を低減する、請求項8に記載のパッケージング材料。
【請求項12】
前記フィルムコーティングが、37.8℃および90%相対湿度における0g/m/日から0.04g/m/日未満までの範囲内の水蒸気透過、ならびに37.8℃および50%相対湿度における030cc/m/日から30cc/m/日未満までの範囲内の酸素透過速度からなる群から選択された1つまたは複数の性質を有する、請求項8に記載のパッケージング材料。
【請求項13】
前記フィルムコーティングが、前記第2の層と前記第3の層との間に1つまたは複数の追加の層をさらに備え、前記1つまたは複数の追加の層が、1nmから100nmまでの範囲内の厚さを有し、前記1つまたは複数追加の層が、独立して、SiOの式を備え、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1から2までの範囲内にあるか、またはSiHの式を備え、ここで、wが、0.01から1.1までの範囲内にあり、xが、0.01から2.3までの範囲内にあり、yが、0.01から1.0までの範囲内にある、請求項8に記載のパッケージング材料。
【請求項14】
基板表面を備えるパッケージング材料上にフィルムコーティングを堆積させる方法であって、前記方法は、
前記基板表面上に第1の層を堆積させるために、第1の前駆体に前記基板表面を曝露することであって、前記第1の層が、SiOの式を有し、ここで、xが、1.9から2.15までの範囲内にあり、yが、0.01から0.08までの範囲内にあり、zが、0.10から0.40までの範囲内にある、第1の前駆体に前記基板表面を曝露することと、
オプションで、前記第1の前駆体をパージすることと、
前記第1の層上に第2の層を堆積させるために、第2の前駆体に前記第1の層を曝露することであって、前記第2の層が、SiOの式を有し、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1.0から2.0までの範囲内にある、第2の前駆体に前記第1の層を曝露することと
を含み、
前記第1の前駆体および前記第2の前駆体の各々が、独立して、SiH、SiF、Siまたはそれらの組合せからなる群から選択されたシリコン含有前駆体、アンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、窒素ガス(N)およびそれらの組合せからなる群から選択された窒素含有前駆体、アセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、メタン(CH)、プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)、およびヘキサメチルジシロキサン(C18OSi)ならびにそれらの組合せからなる群から選択された炭素含有前駆体、または前記シリコン含有前駆体、前記窒素含有前駆体および前記炭素含有前駆体の組合せを含む、
方法。
【請求項15】
前記基板表面は、前記第1の層が1nmから1000nmまでの範囲内の厚さを有するまで、前記第1の前駆体に曝露される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板表面は、前記第2の層が1nmから1000nmまでの範囲内の厚さを有するまで、前記第2の前駆体に曝露される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の前駆体および前記第2の前駆体の各々が、独立して、反応物を備え、前記反応物が、酸素(O)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、水(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、窒素(N)、水素(H)またはそれらの組合せからなる群から選択された、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
オプションで、前記第2の前駆体をパージすることと、第3の層を堆積させるために、第3の前駆体に前記第2の層を曝露することであって、前記第3の前駆体が、シリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、炭素含有前駆体またはそれらの組合せを含む、第3の前駆体に前記第2の層を曝露することと、をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記基板表面は、前記第3の層が1nmから1000nmまでの範囲内の厚さを有するまで、前記第3の前駆体に曝露される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の前駆体、前記第2の前駆体および前記第3の前駆体の各々が、独立して、反応物を備え、前記反応物が、酸素(O)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、水(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、窒素(N)、水素(H)またはそれらの組合せからなる群から選択された、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、パッケージング材料、とりわけ、フィルムコーティングを含むパッケージング材料、および製作の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、特に、非経口薬の多くは、ガラス/プラスチック容器ならびに/またはエラストマシールおよびクロージャを必要とする。これらの医薬パッケージング材料は、薬の損失または薬の有効性の損失につながる、免疫原性の問題および時には薬のリコールにつながる汚染/粒子につながる、様々な理由で理想に満たない。ガラス容器に伴う最も一般的な問題は、破損、層剥離、(特に、大きい分子/生物製剤に伴う)タンパク質凝集、および金属浸出である。加えて、プラスチック容器は、薬希釈問題、または有効性の損失問題、またはシェルフライフ問題につながる不十分なバリア性能を有する。
【0003】
エラストマには、問題の別個のセットがあり、薬内部への湿気/酸素進入における最も弱いリンクと考えられる。ガラス/プラスチックとは極めて異なる材料として、エラストマは、薬製剤における望ましくない抽出物および浸出物にまつわるより大きな懸念につながる。エラストマ成分のうちのいくつかは、潤滑のためのシリコーンオイルを必要とし、シリコーンオイルは、粒子問題を引き起こし、プレフィルドシリンジおよび自動注射器などのデバイスにおける設計制御問題につながる。
【0004】
したがって、高い不活性、低減された抽出性、低減された浸出性または高い潤滑性のうちの1つまたは複数を呈する医薬パッケージング材料が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、パッケージング材料を対象とする。いくつかの実施形態では、パッケージング材料は、基板表面を含む基板であって、基板表面が、エラストマ、ポリマー、無機材料およびそれらの組合せからなる群から選択された材料を備える、基板と、基板表面上の第1の層と、第1の層上の第2の層とを備えるフィルムコーティングであって、第1の層が、SiOの式を有する第1の材料を備え、ここで、xが、1.9から2.15までの範囲内にあり、yが、0.01から0.08までの範囲内にあり、zが、0.10から0.40までの範囲内にあり、第2の層が、SiOの式を有する第2の材料を備え、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1から2までの範囲内にある、フィルムコーティングとを備える。
【0006】
本開示の別の態様は、基板表面を備えるパッケージング材料上にフィルムコーティングを堆積させる方法を対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、基板表面上に第1の層を堆積させるために、第1の前駆体に基板表面を曝露することと、オプションで、第1の前駆体をパージすることと、第1の層上に第2の層を堆積させるために、第2の前駆体に第1の層を曝露することとを備える。いくつかの実施形態では、第1の層は、SiOの式を有し、ここで、xが、1.9から2.15までの範囲内にあり、yが、0.01から0.08までの範囲内にあり、zが、0.10から0.40までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、第2の層は、SiOの式を有し、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1.0から2.0までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の前駆体および第2の前駆体の各々は、独立して、シリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、炭素含有前駆体、またはそれらの組合せを含む。
【0007】
本開示の上記で具陳された特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約された本開示のより詳細な説明が、それらのうちのいくつかが添付の図面中に図示されている、実施形態を参照することによって行われ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を図示するにすぎず、それゆえ、それの範囲の限定と見なされるべきではなく、なぜならば、本開示は、他の等しく効果的な実施形態を認め得るからであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】A~Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、パッケージング材料の概略図を示す図である。
図2】本開示の実施形態による、方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の数個の例示の実施形態を説明する前に、実施形態は、以下の説明において記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。追加の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく企図され得る。
【0010】
パッケージング材料、およびパッケージング材料を作るプロセスを対象とする実施形態が、本明細書で開示される。1つまたは複数の実施形態によれば、「パッケージング材料」という句は、限定はしないが、バイアル、シリンジ、ボトル、カートリッジ、アンプル、注射ペン、パッチ、ブリスターパック、および静脈輸液バッグを含む。いくつかの実施形態では、パッケージング材料は、基板表面と、基板表面上のフィルムコーティングとを含む基板を備える。フィルムコーティングは、有利に、パッケージング材料の1つまたは複数の性質を改善する。1つまたは複数の性質は、限定はしないが、フィルムコーティングを有しないパッケージング材料と比較して、高い不活性、低減された抽出性、低減された浸出性または高い潤滑性を含む。1つまたは複数の実施形態では、パッケージング材料は、医薬および医療用途において使用される。
【0011】
本明細書で使用される、「基板」または「基板表面」という用語は、フィルム処理がそれに対して実施される、基板の任意の部分、または基板上に形成された材料表面の部分を指す。たとえば、処理がそれに対して実施され得る基板表面は、金属、金属合金、金属窒化物、無機材料、プラスチック、ポリマー、エラストマ、それらの組合せおよびパッケージングに好適な任意の他の材料などの材料を含む。いくつかの実施形態では、プラスチック材料は、限定はしないが、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、Cの式を有する炭化水素化合物を備え、ここで、a、bおよびcの各々は、独立した整数である。いくつかの実施形態では、炭化水素材料は、ポリアクリレート、パリレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンのコポリマー、パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、パリレンまたは他の好適なポリマー材料を備える。いくつかの実施形態では、無機材料は、ガラス、石英、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、または酸窒化ケイ素(SiON)を備える。1つまたは複数の実施形態では、エラストマは、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムまたはそれらの組合せを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、可撓性である。本明細書で使用される、「可撓性」という用語は、破壊なしに曲がるかまたはねじれることが可能な種をもつ物質を意味するために、互換的に使用される。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティングは、少なくとも1つの層を備える。図1Aは、基板表面110sをもつ基板110と、フィルムコーティング120とを備えるパッケージング材料100の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、複数の層を備える。いくつかの実施形態では、複数の層は、基板110上に積み重ねられる。いくつかの実施形態では、複数の層は、少なくとも2つの層を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの層は、第3の層をさらに備える。いくつかの実施形態では、複数の層のうちのすべては、同じ材料を備える。いくつかの実施形態では、複数の層のうちのすべてが、同じ材料であるとは限らない。いくつかの実施形態では、複数の層のうちの少なくとも1つは、残りの層の材料とは異なる材料である。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、複数の層は、第1の層と第2の層とを備える。いくつかの実施形態では、第1の層および第2の層は、同じ材料ではない。他の実施形態では、第1の層および第2の層は、異なる材料を備える。いくつかの実施形態では、第1の層は、第2の層と基板110との間にはさまれる。いくつかの実施形態では、第1の層および第2の層は、基板110上に積み重ねられる。図1Bは、基板110と、第1の層130と第2の層140とを備えるパッケージング材料100であって、第1の層130が、基板110と第2の層140との間にはさまれる、パッケージング材料100の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、第1の層130は、第2の層140とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の層130は、接着を促進する。いくつかの実施形態では、第2の層140は、バリアとして働く。いくつかの実施形態では、第2の層140は、不活性である。いくつかの実施形態では、第2の層は、潤滑剤として働く。
【0015】
図1Cは、基板110と、第1の層130と、第2の層140と第3の層150とを備えるパッケージング材料100であって、第1の層130が、基板110と第2の層140との間にはさまれ、第2の層140が、第1の層130と第3の層150との間にはさまれ、第1の層130および第2の層140が、基板110と第3の層150との間にはさまれる、パッケージング材料100の断面図を図示する。いくつかの実施形態では、第1の層130、第2の層140および第3の層150のうちの少なくとも1つは、基板110上に積み重ねられ、各層は、残りの層とは異なる。他の実施形態では、第1の層130、第2の層140および第3の層150の各々は、同じ材料を備える。いくつかの実施形態では、第1の層130は、接着を促進する。いくつかの実施形態では、第2の層140は、バリアとして働く。いくつかの実施形態では、第2の層140は、不活性である。いくつかの実施形態では、第3の層150は、潤滑剤として働く。
【0016】
本開示の一態様は、基板110上にフィルムコーティング120を堆積させる方法を対象とする。図2は、パッケージング材料100上にフィルムコーティング120を堆積させる方法200の例示の実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、方法200は、オプションの前処理動作205を含む。1つまたは複数の実施形態では、基板110は、パッケージング材料100上にフィルムコーティング120を堆積させる前に、オプションで、前処理プロセスに曝露される。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、限定はしないが、予熱、洗浄、浸漬、自然酸化物除去、研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニーリング、UV硬化、電子ビーム硬化、焼成、および/または接着層を堆積させることを含む。基板100それ自体(または基板表面110s)の直接上にフィルムコーティング120を堆積させ、および/または処理することに加えて、本開示では、本明細書で開示されるフィルムコーティング処理ステップのうちのいずれかは、以下でより詳細に開示されるように、基板100(または基板表面110s)上に形成された下層に対して実施されてもよく、「基板表面」という用語は、コンテキストが指し示すような下層を含むことを意図される。これにより、たとえば、フィルムコーティング/層または部分フィルムコーティング/層が、基板表面の上に堆積された場合、新たに堆積されたフィルムコーティング/層の露出した表面が、基板110(または基板表面110s)になる。
【0017】
1つまたは複数の実施形態によれば、フィルムコーティング、またはフィルムコーティングの層に関して「上(on)」という用語は、層が、表面、たとえば、基板表面の直接上に堆積されること、ならびに層と表面、たとえば、基板表面との間に1つまたは複数の下層があることを含む。これにより、1つまたは複数の実施形態では、「基板表面上(on the substrate surface)」という句は、1つまたは複数の下層を含むことを意図される。他の実施形態では、「直接上(directly on)」という句は、介在層なしに表面、たとえば、基板表面と接触している層またはフィルムを指す。これにより、「基板表面の直接上の層(a layer directly on the substrate surface)」という句は、間の層なしに基板表面と直接接触している層を指す。
【0018】
プロセス動作210において、方法200は、2つのサブプロセスを備える。2つよりも多いまたは少ないサブプロセスが、プロセス動作210に含まれ得、本開示は、図示されているプロセスに限定されないことを諒解されたい。いくつかの実施形態では、プロセス動作210は、基板110(または基板表面110s)上にフィルムコーティングを堆積させるために実施される。いくつかの実施形態では、プロセス動作210は、前駆体に基板110を曝露することと、オプションで、前駆体をパージすることとを備える。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、「反応性化合物」、「反応性ガス」、「反応性種」、「前駆体」、「プロセスガス」、「堆積前駆体」などの用語は、表面反応(たとえば、化学吸着、酸化、還元、付加環化)において基板、または基板上の材料と反応することが可能な種をもつ物質を意味するために、互換的に使用される。基板、または基板の部分は、処理領域の中に導入された2つまたはそれ以上の反応性化合物に連続して曝露される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前駆体は、シリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、炭素含有前駆体、またはそれらの組合せを含む。このパラグラフで説明される様々なシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、炭素含有前駆体、および組合せが、本明細書で説明される様々な層(たとえば、第1の層、第2の層、第3の層、第4の層、第5の層)のうちのいずれかの形成において使用され得る。いくつかの実施形態では、シリコン含有前駆体は、シラン(SiH)、SiF、Si、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、シリコン含有前駆体は、シラン(SiH)、SiF、Si、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体は、SiNを備え、ここで、xは、正の整数である。いくつかの実施形態では、窒素含有前駆体は、NH、NO、NO、N、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水素含有前駆体は、H、または水素を含有する窒素含有前駆体、シリコン含有前駆体および有機炭素含有前駆体のうちのいずれかを備える。いくつかの実施形態では、酸素含有前駆体は、酸素(O)、二酸化炭素またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、有機炭素含有化合物を備える。いくつかの実施形態では、有機炭素含有化合物は、脂肪族有機化合物、環状有機化合物、またはそれらの組合せを含む。脂肪族有機化合物は、1つまたは複数の炭素原子を備える線形または分岐構造を有する。有機炭素含有化合物は、有機基に炭素原子を含有する。有機基は、その官能性誘導体に加えて、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキセニル、およびアリール基を含み得る。いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、Cの式を有し、ここで、xは、1から8までの範囲内にあり、yは、2から18までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、アセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、メタン(CH)、プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)、およびヘキサメチルジシロキサン(C18OSi)、またはそれらの組合せを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、プロセス動作212に図示されているように、基板110(または基板表面)は、フィルムコーティングの様々な層を堆積させるために、前駆体に曝露される。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、SiHの式を有する材料を備え、ここで、w、x、yおよびzの各々は、独立して、0.0から2.5までの範囲内の値を有する。いくつかの実施形態では、wは、0.0から1.2まで、0.0から1.0まで、0.0から0.8まで、0.0から0.6まで、0.0から0.4まで、0.0から0.2まで、0.2から1.2まで、0.2から1.0まで、0.2から0.8まで、0.2から0.6まで、0.2から0.4まで、0.4から1.2まで、0.4から1.0まで、0.4から0.8まで、0.4から0.6まで、0.6から1.2まで、0.6から1.0まで、0.6から0.8まで、0.8から1.2まで、0.8から1.0までまたは1.0から1.2までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、xは、0.0から2.5まで、0.0から2.0まで、0.0から1.5まで、0.0から1.0まで、0.0から0.5まで、0.5から2.5まで、0.5から2.0まで、0.5から1.5まで、0.5から1.0まで、1.0から2.5まで、1.0から2.0まで、1.0から1.5まで、1.5から2.5まで、1.5から2.0まで、または2.0から2.5までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、yは、0.0から1.0まで、0.0から0.8まで、0.0から0.6まで、0.0から0.4まで、0.0から0.2まで、0.2から1.0まで、0.2から0.8まで、0.2から0.6まで、0.2から0.4まで、0.4から1.0まで、0.4から0.8まで、0.4から0.6まで、0.6から1.0まで、0.6から0.8まで、または0.8から1.0までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、zは、0.0から2.0まで、0.0から1.6まで、0.0から1.2まで、0.0から0.8まで、0.0から0.4まで、0.4から2.0まで、0.4から1.6まで、0.4から1.2まで、0.4から0.8まで、0.8から2.0まで、0.8から1.6まで、0.8から1.2まで、1.2から2.0まで、1.2から1.6まで、または1.6から2.0までの範囲内にある。
【0022】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、SiOの式を有する材料を備え、ここで、xは、0.6から2.15までの範囲内にあり、yは、0.0から0.2までの範囲内にあり、zは、0.0から2.0までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、有機物を豊富に含むフィルムコーティングである。いくつかの実施形態では、有機物を豊富に含むフィルムコーティングは、SiOの式を有する材料を備え、ここで、xは、0.6から2.15までの範囲内にあり、yは、0.0から0.2までの範囲内にあり、zは、0.50から2.00までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、無機物を豊富に含むフィルムである。いくつかの実施形態では、無機物を豊富に含むフィルムコーティングは、SiOの式を有する材料を備え、ここで、xは、0.6から2.15までの範囲内にあり、yは、0.0から0.2までの範囲内にあり、zは、0.00から0.50までの範囲内にある。
【0023】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、SiHの式を有する材料を備え、ここで、wが、0.0から1.2までの範囲内にあり、xが、0.0から2.5までの範囲内にあり、yが、0.0から1.0までの範囲内にある。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の層130は、SiOの式を有する第1の材料を備え、ここで、xは、1.9から2.15まで、1.9から2.10まで、1.9から2.05まで、1.9から2.00まで、1.9から1.95まで、1.9から2.15まで、1.95から2.15まで、1.95から2.10まで、1.95から2.05まで、1.95から2.00まで、2.00から2.15まで、2.00から2.10まで、2.00から2.05まで、2.05から2.15まで、2.05から2.10まで、または2.10から2.15までの範囲内にあり、yは、0.01から0.08まで、0.01から0.06まで、0.01から0.04まで、0.01から0.02まで、0.02から0.08まで、0.02から0.06まで、0.02から0.04まで、0.04から0.08まで、0.04から0.06まで、または0.06から0.08までの範囲内にあり、zは、0.10から0.40まで、0.10から0.30まで、0.10から0.20まで、0.20から0.40まで、0.20から0.30まで、または0.30から0.40までの範囲内にある。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2の層140は、SiOの式を有する第2の材料を備え、ここで、xは、1.30から1.50まで、1.30から1.45まで、1.30から1.40まで、1.30から1.35まで、1.35から1.50まで、1.35から1.45まで、1.35から1.40まで、1.40から1.50まで、1.40から1.45まで、または1.45から1.50までの範囲内にあり、yは、0.05から0.20まで、0.05から0.15まで、0.05から0.10まで、0.10から0.20まで、0.10から0.15まで、または0.15から0.20までの範囲内にあり、zは、1.0から2.0まで、1.0から1.8まで、1.0から1.6まで、1.0から1.4まで、1.0から1.2まで、1.2から2.0まで、1.2から1.8まで、1.2から1.6まで、1.2から1.4まで、1.4から2.0まで、1.4から1.8まで、1.4から1.6まで、1.6から2.0まで、1.6から1.8まで、または1.8から2.0までの範囲内にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、第3の層150は、SiHの式を有する材料を備え、ここで、wは、0.01から1.10まで、0.01から1.05まで、0.01から1.00まで、0.01から0.50まで、0.01から0.10まで、0.01から0.05まで、0.05から1.10まで、0.05から1.05まで、0.05から1.00まで、0.05から0.50まで、0.05から0.10まで、0.10から1.10まで、0.10から1.05まで、0.10から1.00まで、0.10から0.50まで、0.50から1.10まで、0.50から1.05まで、0.50から1.00まで、1.00から1.10まで、1.00から1.05まで、または1.05から1.10までの範囲内にあり、xは、0.01から2.30まで、0.01から2.00まで、0.01から1.50まで、0.01から1.00まで、0.01から0.50まで、0.01から0.10まで、0.10から2.30まで、0.10から2.00まで、0.10から1.50まで、0.10から1.00まで、0.10から0.50まで、0.50から2.30まで、0.50から2.00まで、0.50から1.50まで、0.50から1.00まで、1.00から2.30まで、1.00から2.00まで、1.00から1.50まで、1.50から2.30まで、1.50から2.00まで、2.00から2.30までの範囲内にあり、yは、0.01から1.0まで、0.01から0.5まで、0.01から0.1まで、0.01から0.05まで、0.05から1.0まで、0.05から0.5まで、0.05から0.1まで、0.1から1.0まで、0.1から0.5まで、または0.5から1.0までの範囲内にある。
【0027】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、第2の層140と第3の層150との間に1つまたは複数の追加の層(たとえば、第4の層および第5の層)を備える。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の層は、独立して、1nmから100nmまでの範囲内の厚さを有する。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の追加の層は、独立して、SiOの式を備え、ここで、xが、1.30から1.50までの範囲内にあり、yが、0.05から0.20までの範囲内にあり、zが、1から2までの範囲内にある。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の層は、独立して、SiHの式を備え、ここで、wが、0.01から1.1までの範囲内にあり、xが、0.01から2.3までの範囲内にあり、yが、0.01から1.0までの範囲内にある。
【0028】
いくつかの実施形態では、前駆体は、第1の前駆体、第2の前駆体、および第3の前駆体のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、本明細書で説明されるシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、および炭素含有前駆体のうちの1つまたは複数を備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は、本明細書で説明されるシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、および炭素含有前駆体のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、第1の前駆体および第2の前駆体は、独立して、本明細書で説明されるシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、および炭素含有前駆体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1の前駆体および第2の前駆体は同じである。いくつかの実施形態では、第1の前駆体および第2の前駆体は異なる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第3の前駆体は、本明細書で説明されるシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、および炭素含有前駆体のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、第1の前駆体、第2の前駆体および第3の前駆体のうちの1つまたは複数は、独立して、本明細書で説明されるシリコン含有前駆体、窒素含有前駆体、水素含有前駆体、酸素含有前駆体、および炭素含有前駆体のうちのいずれかからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1の前駆体、第2の前駆体および第3の前駆体のうちの少なくとも2つは同じある。いくつかの実施形態では、第1の前駆体、第2の前駆体および第3の前駆体のうちの少なくとも1つは、残りの前駆体とは異なる。
【0031】
いくつかの実施形態では、前駆体またはそれらの誘導体は、揮発性であり、熱的に安定している。いくつかの実施形態では、前駆体またはそれらの誘導体は、気相堆積に好適である。
【0032】
いくつかの実施形態では、前駆体は、キャリアガスを備える。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、不活性ガスを備える。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素またはそれらの組合せを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、前駆体は、反応物を備える。いくつかの実施形態では、反応物は、還元剤、酸化剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、酸化剤は、酸素(O)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、水(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素(H)、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、テトラシラン(Si10)、高次シラン(Si)、アンモニア(NH)、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、反応物は、酸素(O)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、水(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、窒素(N)、水素(H)、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、前駆体は、固体または液体である。いくつかの実施形態では、前駆体は、アンプル中に保持される。いくつかの実施形態では、キャリアガスの流れは、アンプルを通過し、プロセス領域に前駆体をもたらす。
【0035】
プロセス動作214において、プロセス動作210は、オプションで、基板表面110sをパージすることを備える。パージングは、基板表面に隣接するプロセス領域から未反応前駆体、反応生成物および副産物を除去する任意の好適なパージプロセスであり得る。好適なパージプロセスは、反応物を何もまたは実質的に何も含んでいない処理領域の部分またはセクタに、ガスカーテンを通して基板110を移動させることを含む。1つまたは複数の実施形態では、処理領域をパージすることは、真空を適用することを備える。いくつかの実施形態では、処理領域をパージすることは、基板110(または基板表面110s)の上にパージガスを流すことを備える。いくつかの実施形態では、パージプロセスは、前駆体のためのキャリアガスとして使用される同じ不活性ガスを流すことを備える。1つまたは複数の実施形態では、パージガスは、窒素(N)、ヘリウム(He)、およびアルゴン(Ar)のうちの1つまたは複数から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセス動作210は、プラズマの存在下で実施される。いくつかの実施形態では、プラズマは、高密度プラズマを備える。いくつかの実施形態では、プラズマは、容量結合プラズマ(CCP)を備える。いくつかの実施形態では、CCPは、13.56MHzの高周波において形成される。いくつかの実施形態では、プラズマは、方向性プラズマを備える。いくつかの実施形態では、方向性プラズマは、基板110へのバイアス電圧の印加なしに生成される。いくつかの実施形態では、方向性プラズマは、基板110を使用して生成され、基板110は、自己バイアス基板である。
【0037】
プロセス動作220において、フィルムコーティング120の厚さ、またはプロセスサイクル210の数が考慮される。フィルムコーティング120が所定の厚さに達した場合、または所定の数のプロセスサイクルが実施された場合、方法200は、プロセス動作230に移る。フィルムコーティング120の厚さ、またはデューティサイクルの数が、所定の厚さのしきい値に達していない場合、方法200は、プロセス動作212に戻り、所定の厚さが達成されるまで継続する。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、所定の厚さは、1nmから1000nmまで、1nmから800nmまで、1nmから600nmまで、1nmから400nmまで、1nmから200nmまで、1nmから100nmまで、1nmから50nmまで、50nmから1000nmまで、50nmから800nmまで、50nmから600nmまで、50nmから400nmまで、50nmから200nmまで、50nmから100nmまで、100nmから1000nmまで、100nmから800nmまで、100nmから600nmまで、100nmから400nmまで、100nmから200nmまで、200nmから1000nmまで、200nmから800nmまで、200nmから600nmまで、200nmから400nmまで、400nmから1000nmまで、400nmから800nmまで、400nmから600nmまで、600nmから1000nmまで、600nmから800nmまで、または800nmから1000nmまでの範囲内にある。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、デューティサイクルの数は、1から1000まで、10から1000まで、100から1000まで、200から1000まで、400から1000まで、600から1000まで、800から1000まで、1から800まで、10から800まで、100から800まで、200から800まで、400から800まで、600から800まで、1から600まで、10から600まで、100から600まで、200から600まで、400から600まで、1から400まで、10から400まで、100から400まで、200から400まで、1から200まで、10から200まで、100から200まで、1から100まで、10から100まで、または1から10までの範囲内にある。
【0040】
1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、0.9g/cmから2.6g/cmまで、0.9g/cmから2.3g/cmまで、0.9g/cmから1.9g/cmまで、0.9g/cmから1.7g/cmまで、0.9g/cmから1.4g/cmまで、0.9g/cmから1.1g/cmまで、1.1g/cmから2.6g/cmまで、1.1g/cmから2.3g/cmまで、1.1g/cmから1.9g/cmまで、1.1g/cmから1.7g/cmまで、1.1g/cmから1.4g/cmまで、1.4g/cmから2.6g/cmまで、1.4g/cmから2.3g/cmまで、1.4g/cmから1.9g/cmまで、1.4g/cmから1.7g/cmまで、1.7g/cmから2.6g/cmまで、1.7g/cmから2.3g/cmまで、1.7g/cmから1.9g/cmまで、1.9g/cmから2.6g/cmまで、1.9g/cmから2.3g/cmまで、または2.3g/cmから2.6g/cmまでの範囲内の密度を有する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.9g/cmから1.9g/cmまでの範囲内の密度を有する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、1.9g/cmから2.6g/cmまでの範囲内の密度を有する。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、1.35から2.2まで、1.35から2.0まで、1.35から1.80まで、1.35から1.65まで、1.35から1.5まで、1.5から2.2まで、1.5から2.0まで、1.5から1.8まで、1.5から1.65まで、1.65から2.2まで、1.65から2.0まで、1.65から1.8まで、1.8から2.2まで、1.8から2.0まで、または2.0から2.2までの範囲内の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、1.35から1.5までの範囲内の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、1.8から2.2までの範囲内の屈折率を有する。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、0.04g/m/日未満の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、プラスチック(環状オレフィンポリマー)シートサンプル基板上で測定されたときの90%相対湿度および37.8℃において測定される。1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、0.006g/m/日未満の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、プラスチック(環状オレフィンポリマー)シートサンプル基板上で測定されたときの90%相対湿度および37.8℃において測定される。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.00001g/m/日から0.04g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.02g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.01g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.008g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.006g/m/日まで、0.006g/m/日から0.04g/m/日まで、0.006g/m/日から0.02g/m/日まで、0.006g/m/日から0.01g/m/日まで、0.006g/m/日から0.008g/m/日まで、0.008g/m/日から0.04g/m/日まで、0.008g/m/日から0.02g/m/日まで、0.008g/m/日から0.01g/m/日まで、0.01g/m/日から0.04g/m/日まで、0.01g/m/日から0.02g/m/日まで、または0.02g/m/日から0.04g/m/日までの範囲内の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、プラスチック(環状オレフィンポリマー)シートサンプル基板上で測定されたときの90%相対湿度および37.8℃において測定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.00001g/m/日から0.04g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.02g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.01g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.008g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.006g/m/日まで、0.006g/m/日から0.04g/m/日まで、0.006g/m/日から0.02g/m/日まで、0.006g/m/日から0.01g/m/日まで、0.006g/m/日から0.008g/m/日まで、0.008g/m/日から0.04g/m/日まで、0.008g/m/日から0.02g/m/日まで、0.008g/m/日から0.01g/m/日まで、0.01g/m/日から0.04g/m/日まで、0.01g/m/日から0.02g/m/日まで、または0.02g/m/日から0.04g/m/日までの範囲内の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、90%相対湿度および37.8℃において測定され、ここにおいて、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるものである。
【0044】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.00001g/m/日から0.04g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.02g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.01g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.008g/m/日まで、0.00001g/m/日から0.006g/m/日まで、0.006g/m/日から0.04g/m/日まで、0.006g/m/日から0.02g/m/日まで、0.006g/m/日から0.01g/m/日まで、0.006g/m/日から0.008g/m/日まで、0.008g/m/日から0.04g/m/日まで、0.008g/m/日から0.02g/m/日まで、0.008g/m/日から0.01g/m/日まで、0.01g/m/日から0.04g/m/日まで、0.01g/m/日から0.02g/m/日まで、または0.02g/m/日から0.04g/m/日までの範囲内の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、90%相対湿度および37.8℃において測定され、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるエラストマ材料を備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0g/m/日から0.04g/m/日まで、0g/m/日から0.02g/m/日まで、0g/m/日から0.01g/m/日まで、0g/m/日から0.008g/m/日まで、0g/m/日から0.006g/m/日まで、0.006g/m/日から0.04g/m/日まで、0.006g/m/日から0.02g/m/日まで、0.006g/m/日から0.01g/m/日まで、0.006g/m/日から0.008g/m/日まで、0.008g/m/日から0.04g/m/日まで、0.008g/m/日から0.02g/m/日まで、0.008g/m/日から0.01g/m/日まで、0.01g/m/日から0.04g/m/日まで、0.01g/m/日から0.02g/m/日まで、または0.02g/m/日から0.04g/m/日までの範囲内の水蒸気透過速度を有し、水蒸気透過速度は、90%相対湿度および37.8℃において測定され、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるプラスチック材料を備える。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、30cc/m/日未満の酸素透過速度を有し、酸素透過速度は、50%相対湿度および37.8℃において測定される。1つまたは複数の実施形態では、フィルムコーティング120は、0.4cc/m/日未満の酸素透過速度を有し、酸素透過速度は、50%相対湿度および37.8℃において測定される。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.01cc/m/日から30cc/m/日まで、0.01cc/m/日から25cc/m/日まで、0.01cc/m/日から20cc/m/日まで、0.01cc/m/日から15cc/m/日まで、0.01cc/m/日から10cc/m/日まで、0.01cc/m/日から5cc/m/日まで、0.01cc/m/日から1cc/m/日まで、0.01cc/m/日から0.4cc/m/日まで、0.4cc/m/日から30cc/m/日まで、0.4cc/m/日から25cc/m/日まで、0.4cc/m/日から20cc/m/日まで、0.4cc/m/日から15cc/m/日まで、0.4cc/m/日から10cc/m/日まで、0.4cc/m/日から5cc/m/日まで、0.4cc/m/日から1cc/m/日まで、1cc/m/日から30cc/m/日まで、1cc/m/日から25cc/m/日まで、1cc/m/日から20cc/m/日まで、1cc/m/日から15cc/m/日まで、1cc/m/日から10cc/m/日まで、1cc/m/日から5cc/m/日まで、5cc/m/日から30cc/m/日まで、5cc/m/日から25cc/m/日まで、5cc/m/日から20cc/m/日まで、5cc/m/日から15cc/m/日まで、5cc/m/日から10cc/m/日まで、10cc/m/日から30cc/m/日まで、10cc/m/日から25cc/m/日まで、10cc/m/日から20cc/m/日まで、10cc/m/日から15cc/m/日まで、15cc/m/日から30cc/m/日まで、15cc/m/日から25cc/m/日まで、15cc/m/日から20cc/m/日まで、20cc/m/日から30cc/m/日まで、20cc/m/日から25cc/m/日まで、または25cc/m/日から30cc/m/日までの範囲内の酸素透過速度を有し、酸素透過速度は、プラスチック(環状オレフィンポリマー)シートサンプル基板上で測定されたときの50%相対湿度および37.8℃において測定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.01cc/m/日から30cc/m/日まで、0.01cc/m/日から25cc/m/日まで、0.01cc/m/日から20cc/m/日まで、0.01cc/m/日から15cc/m/日まで、0.01cc/m/日から10cc/m/日まで、0.01cc/m/日から5cc/m/日まで、0.01cc/m/日から1cc/m/日まで、0.01cc/m/日から0.4cc/m/日まで、0.4cc/m/日から30cc/m/日まで、0.4cc/m/日から25cc/m/日まで、0.4cc/m/日から20cc/m/日まで、0.4cc/m/日から15cc/m/日まで、0.4cc/m/日から10cc/m/日まで、0.4cc/m/日から5cc/m/日まで、0.4cc/m/日から1cc/m/日まで、1cc/m/日から30cc/m/日まで、1cc/m/日から25cc/m/日まで、1cc/m/日から20cc/m/日まで、1cc/m/日から15cc/m/日まで、1cc/m/日から10cc/m/日まで、1cc/m/日から5cc/m/日まで、5cc/m/日から30cc/m/日まで、5cc/m/日から25cc/m/日まで、5cc/m/日から20cc/m/日まで、5cc/m/日から15cc/m/日まで、5cc/m/日から10cc/m/日まで、10cc/m/日から30cc/m/日まで、10cc/m/日から25cc/m/日まで、10cc/m/日から20cc/m/日まで、10cc/m/日から15cc/m/日まで、15cc/m/日から30cc/m/日まで、15cc/m/日から25cc/m/日まで、15cc/m/日から20cc/m/日まで、20cc/m/日から30cc/m/日まで、20cc/m/日から25cc/m/日まで、または25cc/m/日から30cc/m/日までの範囲内の酸素透過速度を有し、酸素透過速度は、50%相対湿度および37.8℃において測定され、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるものである。
【0048】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.01cc/m/日から30cc/m/日まで、0.01cc/m/日から25cc/m/日まで、0.01cc/m/日から20cc/m/日まで、0.01cc/m/日から15cc/m/日まで、0.01cc/m/日から10cc/m/日まで、0.01cc/m/日から5cc/m/日まで、0.01cc/m/日から1cc/m/日まで、0.01cc/m/日から0.4cc/m/日まで、0.4cc/m/日から30cc/m/日まで、0.4cc/m/日から25cc/m/日まで、0.4cc/m/日から20cc/m/日まで、0.4cc/m/日から15cc/m/日まで、0.4cc/m/日から10cc/m/日まで、0.4cc/m/日から5cc/m/日まで、0.4cc/m/日から1cc/m/日まで、1cc/m/日から30cc/m/日まで、1cc/m/日から25cc/m/日まで、1cc/m/日から20cc/m/日まで、1cc/m/日から15cc/m/日まで、1cc/m/日から10cc/m/日まで、1cc/m/日から5cc/m/日まで、5cc/m/日から30cc/m/日まで、5cc/m/日から25cc/m/日まで、5cc/m/日から20cc/m/日まで、5cc/m/日から15cc/m/日まで、5cc/m/日から10cc/m/日まで、10cc/m/日から30cc/m/日まで、10cc/m/日から25cc/m/日まで、10cc/m/日から20cc/m/日まで、10cc/m/日から15cc/m/日まで、15cc/m/日から30cc/m/日まで、15cc/m/日から25cc/m/日まで、15cc/m/日から20cc/m/日まで、20cc/m/日から30cc/m/日まで、20cc/m/日から25cc/m/日まで、または25cc/m/日から30cc/m/日までの範囲内の酸素透過速度を有し、酸素透過速度は、50%相対湿度および37.8℃において測定され、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるエラストマ材料を備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0.01cc/m/日から30cc/m/日まで、0.01cc/m/日から25cc/m/日まで、0.01cc/m/日から20cc/m/日まで、0.01cc/m/日から15cc/m/日まで、0.01cc/m/日から10cc/m/日まで、0.01cc/m/日から5cc/m/日まで、0.01cc/m/日から1cc/m/日まで、0.01cc/m/日から0.4cc/m/日まで、0.4cc/m/日から30cc/m/日まで、0.4cc/m/日から25cc/m/日まで、0.4cc/m/日から20cc/m/日まで、0.4cc/m/日から15cc/m/日まで、0.4cc/m/日から10cc/m/日まで、0.4cc/m/日から5cc/m/日まで、0.4cc/m/日から1cc/m/日まで、1cc/m/日から30cc/m/日まで、1cc/m/日から25cc/m/日まで、1cc/m/日から20cc/m/日まで、1cc/m/日から15cc/m/日まで、1cc/m/日から10cc/m/日まで、1cc/m/日から5cc/m/日まで、5cc/m/日から30cc/m/日まで、5cc/m/日から25cc/m/日まで、5cc/m/日から20cc/m/日まで、5cc/m/日から15cc/m/日まで、5cc/m/日から10cc/m/日まで、10cc/m/日から30cc/m/日まで、10cc/m/日から25cc/m/日まで、10cc/m/日から20cc/m/日まで、10cc/m/日から15cc/m/日まで、15cc/m/日から30cc/m/日まで、15cc/m/日から25cc/m/日まで、15cc/m/日から20cc/m/日まで、20cc/m/日から30cc/m/日まで、20cc/m/日から25cc/m/日まで、または25cc/m/日から30cc/m/日までの範囲内の酸素透過速度を有し、水蒸気透過速度は、プラスチックシート上で測定されたときの90%相対湿度および37.8℃において測定され、基板は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるプラスチック材料を備える。
【0050】
フィルムの潤滑性/表面粗さは、当業者に知られている既知の技法のうちのいずれかによって測定され得る。いくつかの実施形態では、潤滑性/表面粗さは、動摩擦係数テストによって測定される。いくつかの実施形態では、第2の層は、0.4未満、0.3未満、0.2未満または0.1未満の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、第2の層は、0超から0.4未満まで、0超から0.3未満まで、0超から0.2未満まで、0超から0.1未満まで、0.1超から0.4未満まで、0.1超から0.3未満まで、0.1超から0.2未満まで、0.2超から0.4未満まで、0.2超から0.3未満まで、または0.3超から0.4未満までの範囲内の摩擦係数を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、第3の層は、0.4未満、0.3未満、0.2未満、または0.1未満の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、第3の層は、0超から0.4未満まで、0超から0.3未満まで、0超から0.2未満まで、0超から0.1未満まで、0.1超から0.4未満まで、0.1超から0.3未満まで、0.1超から0.2未満まで、0.2超から0.4未満まで、0.2超から0.3未満まで、または0.3超から0.4未満までの範囲内の摩擦係数を有する。
【0052】
フィルムコーティングの抽出性/浸出性は、当業者に知られている既知の技法のうちのいずれかによって測定され得る。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120の抽出性/浸出性は、フィルムコーティング120にわたる汚染物質の放出を決定することによって測定される。いくつかの実施形態では、汚染物質の放出は、ガス/液体クロマトグラフィ(GCMS/LCMS)を使用することによって決定される。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、フィルムコーティングを含まないパッケージング材料と比較して、汚染物質の放出を20%超、40%超、60%超、または80%超低減する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、フィルムコーティングを含まないパッケージング材料と比較して、汚染物質の放出を20%から100%未満まで、20%から80%未満まで、20%から60%未満まで、20%から40%未満まで、40%から100%未満まで、40%から80%未満まで、40%から60%未満まで、60%から100%未満まで、60%から80%未満まで、または80%から100%未満までの範囲内で低減する。いくつかの実施形態では、たとえば、基板がブチルゴムを備えるとき、フィルムコーティング120は、フィルムコーティングを含まないパッケージング材料と比較して、汚染物質の放出を20%超、40%超、60%超、または80%超だけ低減する。同様に、基板がブチルゴムを備える他の実施形態では、フィルムコーティング120は、フィルムコーティングを含まないパッケージング材料と比較して、汚染物質の放出を20%から100%未満まで、20%から80%未満まで、20%から60%未満まで、20%から40%未満まで、40%から100%未満まで、40%から80%未満まで、40%から60%未満まで、60%から100%未満まで、60%から80%未満まで、または80%から100%未満までの範囲内で低減する。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、前駆体は、複数の前駆体を備える。いくつかの実施形態では、複数の前駆体は、少なくとも2つの前駆体を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの前駆体は、第3の前駆体をさらに備える。いくつかの実施形態では、複数の前駆体のうちのすべては同じである。他の実施形態では、複数の前駆体のうちのすべては互いに異なる。また他の実施形態では、複数の前駆体のうちの少なくとも1つは、残りの前駆体とは異なる。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、動作210は、複数の層を堆積させるために、少なくとももう1回繰り返される。1つまたは複数の実施形態では、基板110(または基板表面)は、複数の層を堆積させるために、複数の前駆体に連続して曝露される。
【0055】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、0超から0.4未満までの範囲内の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、第2の層140は、0超から0.4未満までの範囲内の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、第3の層150は、0超から0.4未満までの範囲内の摩擦係数を有する。
【0056】
動作230において、層の数が考慮される。フィルムコーティング120が所定の数の層を有する場合、方法200は、オプションの後処理動作250に移る。フィルムコーティング120が所定の数の層を有しない場合、方法200は、動作210に戻り、動作220に続く。いくつかの実施形態では、所定の数は、2以上、3以上または4以上である。いくつかの実施形態では、所定の数は、少なくとも2または少なくとも3である。いくつかの実施形態では、所定の数は、正の整数である。いくつかの実施形態では、層の所定の数は2である。いくつかの実施形態では、所定の数は3である。
【0057】
いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、20%超または20%と同等だけ汚染物質の放出を低減する。いくつかの実施形態では、フィルムコーティング120は、20%から100%未満までの範囲内で汚染物質の放出を低減する。
【0058】
オプションの後処理動作250は、たとえば、フィルムの性質を変更するためのプロセス(たとえば、アニーリング)、または追加のフィルムを成長させるためのさらなるフィルム堆積プロセス(たとえば、追加のALDまたはCVDプロセス)であり得る。いくつかの実施形態では、オプションの後処理動作230は、堆積フィルムの性質を変更するプロセスであり得る。いくつかの実施形態では、オプションの後処理動作230は、堆積時のフィルムコーティングをアニールすることを備える。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約250℃から約300℃まで、約400℃まで、約500℃まで、約600℃まで、約700℃まで、約800℃まで、約900℃まで、または約1000℃までの範囲内の温度において行われる。いくつかの実施形態のアニーリング環境は、不活性ガス(たとえば、分子状窒素(N)、アルゴン(Ar))、あるいは還元ガス(たとえば、分子状水素(H)またはアンモニア(NH))、あるいは限定はしないが、酸素(O)、オゾン(O)、または過酸化物などのオキシダントのうちの1つまたは複数を備える。アニーリングは、任意の好適な時間の長さの間実施され得る。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、約15秒から約90分までの範囲内の、または約1分から約60分までの範囲内の所定の時間の間アニールされる。いくつかの実施形態では、堆積時のフィルムコーティングをアニールすることは、密度を増加させ、抵抗を減少させ、および/またはフィルムコーティングの純度を増加させる。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、基板上に2層フィルムコーティングを提供し、基板は、バイアル/シリンジを備え、フィルムコーティングは、薬不活性、潤滑性および優れたバリア性能のうちの1つまたは複数を提供する。いくつかの実施形態では、2層フィルムコーティングは、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層を備える。いくつかの実施形態では、シラン層は、基板とシラン層との間にヘキサメチルジシロキサン層をはさむ。いくつかの実施形態では、2層フィルムコーティングは、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層を備える。いくつかの実施形態では、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるバイアル/シリンジ上に堆積される。いくつかの実施形態では、2層コーティングされたバイアル/シリンジは、シリコーンオイルのものに等しいかまたはシリコーンオイルのものよりも良好な潤滑性を有する。
【0060】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、基板上に2層フィルムコーティングを提供し、基板は、エラストマストッパーおよびシリンジプランジャーを備え、フィルムコーティングは、改善されたバリア、低減された抽出物および浸出物のうちの1つまたは複数を提供し、(たとえば、プランジャーのための)より潤滑性がある表面を有する。いくつかの実施形態では、2層フィルムコーティングは、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層を備える。いくつかの実施形態では、ヘキサメチルジシロキサン層は、シラン層と基板との間にはさまれる。いくつかの実施形態では、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるエラストマストッパーおよび/またはシリンジプランジャー上に堆積される。いくつかの実施形態では、2層コーティングされたエラストマストッパーは、ヘリウム(He)漏洩テスト規格によるクロージャ容器シール完全性を満たす。いくつかの実施形態では、2層コーティングされたシリンジプランジャーは、シリコーンオイルのものに等しいかまたはシリコーンオイルのものよりも良好な潤滑性を有する。
【0061】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、基板上に3層フィルムコーティングを提供し、基板は、バイアル/シリンジを備え、フィルムコーティングは、薬不活性、潤滑性および優れたバリア性能のうちの1つまたは複数を提供する。いくつかの実施形態では、3層フィルムコーティングは、接着層、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層を備える。いくつかの実施形態では、接着層、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層は、基板上に積み重ねられる。いくつかの実施形態では、シラン層および基板は、接着層およびヘキサメチルジシロキサン層をはさむ。いくつかの実施形態では、基板およびヘキサメチルジシロキサン層は、接着層をはさむ。いくつかの実施形態では、シラン層およびヘキサメチルジシロキサン層は、接着層をはさむ。いくつかの実施形態では、接着層、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるバイアル/シリンジ上に堆積される。いくつかの実施形態では、3層コーティングされたバイアル/シリンジは、シリコーンオイルのものに等しいかまたはシリコーンオイルのものよりも良好な潤滑性を有する。
【0062】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、基板上に3層フィルムコーティングを塗布することを提供し、基板は、エラストマストッパーおよびシリンジプランジャーを備え、フィルムコーティングは、改善されたバリア、低減された抽出物および浸出物のうちの1つまたは複数を提供し、(たとえば、プランジャーのための)より潤滑性がある表面を有する。いくつかの実施形態では、3層フィルムコーティングは、接着層、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層を備える。いくつかの実施形態では、シラン層および基板は、接着層およびヘキサメチルジシロキサン層をはさむ。いくつかの実施形態では、基板およびヘキサメチルジシロキサン層は、接着層をはさむ。いくつかの実施形態では、シラン層およびヘキサメチルジシロキサン層は、接着層をはさむ。いくつかの実施形態では、接着層、ヘキサメチルジシロキサン層およびシラン層は、本開示で説明される実施形態のうちのいずれかによるエラストマストッパーおよび/またはシリンジプランジャー上に堆積される。いくつかの実施形態では、3層コーティングされたエラストマストッパーは、ヘリウム(He)漏洩テスト規格によるクロージャ容器シール完全性を満たす。いくつかの実施形態では、3層コーティングされたシリンジプランジャーは、シリコーンオイルのものに等しいかまたはシリコーンオイルのものよりも良好な潤滑性を有する。
【0063】
1つまたは複数の実施形態では、ヘキサメチルジシロキサン前駆体およびシラン前駆体のうちの1つまたは複数は、揮発性であり、熱的に安定しており、これにより、気相堆積に好適である。いくつかの実施形態では、ヘキサメチルジシロキサン前駆体およびシラン前駆体のうちの1つまたは複数は、気相堆積技法によって堆積される。いくつかの実施形態では、蒸着技法は、化学気相堆積(CVD)を備える。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、方法200は、化学気相堆積(CVD)法、プラズマ強化化学気相堆積(PE-CVD)法、高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD)法、マイクロ波化学気相堆積(マイクロ波CVD)法、原子層堆積(ALD)法、プラズマ強化原子層堆積(PE-ALD)法またはそれらの組合せを含む。
【0065】
方法は、さらに、1つまたは複数の追加の機能性コーティングを堆積させるために採用され得る。いくつかの実施形態では、追加の機能性コーティングは、接着層を備える。いくつかの実施形態では、接着層は、有利に、基板110へのフィルムコーティングの接着を改善する。いくつかの実施形態では、接着層は、酸素バリアおよび/または水バリアとして働くように構成される。いくつかの実施形態では、追加の機能性コーティングは、医薬パッケージングについての将来の要件を満たすように構成される。将来の要件は、限定はしないが、細胞/遺伝子治療薬の増加する採用を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、パッケージング材料100は、滅菌プロセス中に安定している。滅菌プロセスは、限定はしないが、加圧滅菌、プラズマ処理、電子ビーム照射、ガンマ照射、二酸化エチレン処理またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、加圧滅菌は、ウェット滅菌サイクルおよびドライ滅菌サイクルを備える。ウェット滅菌プロセスは、30分の時間期間の間121℃の温度において滅菌することを含む。ドライ滅菌プロセスは、150分の時間期間の間150℃の温度において、120分の時間期間の間160℃の温度において、または60分の時間期間の間170℃の温度において滅菌することを含む。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、方法200は、たとえば、基板処理チャンバにおいて真空下で実施される。方法200は、任意の真空プラットフォームベースのシステムにおいて実施され得る。1つまたは複数の実施形態では、基板は、個々のユニットのアレイ中に、あるいは真空チャンバの内部のバンクまたはパネルフォーマット中にもたらされる。1つまたは複数の実施形態では、方法は、化学気相堆積(CVD)基板処理チャンバ、プラズマ強化化学気相堆積(PE-CVD)基板処理チャンバ、高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD)基板処理チャンバ、マイクロ波化学気相堆積(マイクロ波CVD)基板処理チャンバ、原子層堆積(ALD)基板処理チャンバ、およびプラズマ強化原子層堆積(PE-ALD)基板処理チャンバなどの基板処理チャンバにおいて実施される。
【0068】
1つまたは複数の実施形態では、方法200は、有利に、医薬パッケージング動作のためのよりクリーンなおよび/またはより無菌の環境を提供する。いくつかの実施形態では、方法200は、有利に、ダウンストリームプロセスフローにおいて必要とされる滅菌処理の必要性を排除する。いくつかの実施形態では、方法200は、高密度プラズマの存在下で実施される。1つまたは複数の実施形態によれば、高密度プラズマは、コーティングの部分を滅菌するために使用され得る。高密度プラズマを使用する滅菌プロセスは、ファーマパッケージ製作フローに従うものであり、ファーマパッケージ製作フローを短縮するために使用される。
【0069】
本明細書で考察される材料および方法を説明するコンテキストにおける(特に、以下の特許請求の範囲のコンテキストにおける)「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という用語ならびに類似の指示物の使用は、本明細書で別様に指し示されない限り、またはコンテキストによって明確に否定されない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の具陳は、本明細書で別様に指し示されない限り、範囲内に入る各別個の値を個々に指す略記法の働きをすることを意図されるにすぎず、各別個の値は、それが本明細書で個々に具陳されたかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書で説明される様々なパラメータの例示の範囲は、現在の実験および/またはモデリングに基づく例示的な範囲を表す。これらの例示の範囲以外の他の範囲が、本開示の範囲内で企図され得る。本明細書で説明されるすべての方法は、本明細書で別様に指し示されない限り、またはさもなければコンテキストによって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意のおよびすべての例または例示の言葉(たとえば、「など」)の使用は、材料および方法をより良く明らかにすることを意図されるにすぎず、別様に特許請求されない限り、範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求されていない要素を、開示される材料および方法の実践に不可欠なものとして指し示すと解釈されるべきではない。
【0070】
「一実施形態」、「いくらかの実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への本明細書全体を通しての言及は、実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。これにより、本明細書全体にわたる様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「いくらかの実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、本開示の同じ実施形態を必ずしも指しているとは限らない。その上、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0071】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照しながら説明されたが、これらの実施形態は、本開示の原理および用途の例示的なものにすぎないことを理解されたい。様々な変更形態および変形形態が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示の方法および装置に対して行われ得ることが当業者には明らかであろう。これにより、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある変更形態および変形形態を含むことが意図される。
図1
図2
【国際調査報告】