(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ウエハ端面の均一性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240517BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240517BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 N
C23C16/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571477
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029172
(87)【国際公開番号】W WO2022245646
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トン, ミングル
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030BA27
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA01
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(57)【要約】
例示的な半導体処理システムは、側壁とベースとを有するチャンバ本体を含み得る。半導体処理システムは、チャンバ本体のベースを通って延在する基板支持体を含んでいてもよい。基板支持体は支持板を含んでいてもよい。基板支持体は、支持板に結合されたシャフトを含んでいてもよい。半導体処理システムは、チャンバ本体内に配置され、支持板の周縁部の半径方向外側に配置されるライナを含んでいてもよい。ライナの内面は放射率テクスチャーを含んでいてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理システムであって、
側壁とベースとを含むチャンバ本体と、
前記チャンバ本体の前記ベースを通って延在する基板支持体であって、
支持板、および
前記支持板に結合されたシャフト、
を含む、基板支持体と、
前記チャンバ本体内に配置され、前記支持板の周縁部の半径方向外側に配置されるライナであって、
前記ライナの内面が放射率テクスチャーを含む、ライナと、
を備える、半導体処理システム。
【請求項2】
前記放射率テクスチャーが、複数の微細構造を含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項3】
前記放射率テクスチャーが、複数のナノ構造を含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項4】
前記放射率テクスチャーが、レーザテクスチャーパターンを含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項5】
前記放射率テクスチャーが、前記ライナの周囲全体にわたって実質的に均一である、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項6】
前記放射率テクスチャーが、前記ライナの周囲の一部のみに延在している、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項7】
前記放射率テクスチャーが、前記ライナの周囲の可変放射率レベルを含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項8】
前記ライナが、ポンピングライナを含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項9】
前記放射率テクスチャーが、前記支持板の底端面に近い底部の高さから前記支持板の上端面より上の上部の高さまで延在している、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項10】
前記放射率テクスチャーが、前記ライナの前記内面に形成された複数の凹部を含む、
請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項11】
半導体処理システムであって、
側壁とベースとを備えるチャンバ本体と、
前記チャンバ本体の前記ベースを通って延在する基板支持体であって、
支持板、および
前記支持板に結合されたシャフト、
を含む、基板支持体と、
前記チャンバ本体内に配置され、前記支持板の周縁部の半径方向外側に配置されるライナであって、
前記ライナの内面の少なくとも一部が放射率テクスチャーを含み、
前記放射率テクスチャーが、前記ライナの前記内面の前記少なくとも一部に形成された複数の凹部を含む、
ライナと、
を備える、半導体処理システム。
【請求項12】
前記放射率テクスチャーが、第1の放射率領域と第2の放射率領域とを含み、
前記第1の放射率領域が、前記第2の放射率領域よりも大きな凹部密度を含む、
請求項11に記載の半導体処理システム。
【請求項13】
前記放射率テクスチャーが、第1の放射率領域と第2の放射率領域とを含み、
前記第1の放射率領域が、前記第2の放射率領域よりも大きな凹部を含む、
請求項11に記載の半導体処理システム。
【請求項14】
前記複数の凹部の各々が、約50ミクロン未満の直径を有する、
請求項11に記載の半導体処理システム。
【請求項15】
前記放射率テクスチャーの放射率レベルが、約0.05~0.95である、
請求項11に記載の半導体処理システム。
【請求項16】
前記複数の凹部の各々が、約50ミクロン未満の深さを有する、
請求項11に記載の半導体処理システム。
【請求項17】
基板の膜厚不均一性を低減する方法であって、
第1の基板上で膜堆積工程を実行することと、
前記第1の基板の周縁部付近の第1の膜厚プロファイルを判定することと、
基板処理チャンバ内の基板支持体上に第2の基板を配置することであって、前記基板処理チャンバが、前記基板支持体の周縁部の半径方向外側に位置するライナを備え、前記ライナが放射率テクスチャーを備える、基板処理チャンバ内の基板支持体上に第2の基板を配置することと、
前記第2の基板上に膜堆積工程を実行することと、
前記第2の基板の周縁部付近の第2の膜厚プロファイルを判定することと、
前記第1の膜厚プロファイルおよび前記第2の膜厚プロファイルに基づいて、更新された放射率テクスチャーを生成することと、
を含む、基板の膜厚不均一性を低減する方法。
【請求項18】
前記更新された放射率パターンを生成することが、
前記第1の膜厚プロファイルと前記第2の膜厚プロファイルとの間の差を判定することと、
前記放射率テクスチャーの放射率レベルと、前記第1の膜厚プロファイルと前記第2の膜厚プロファイルとの間の前記差との間の関係を判定することと、
前記放射率テクスチャーの1つまたは複数の領域を調整することであって、
前記第1の膜厚プロファイルおよび前記第2の膜厚プロファイルの一方または両方と、
前記放射率パターンの前記放射率レベルと、前記第1の膜厚プロファイルと前記第2の膜厚プロファイルとの間の前記差との間の前記関係と
に基づいて前記放射率テクスチャーの1つまたは複数の領域を調整することと、
を含む、請求項17に記載の基板の膜厚不均一性を低減する方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の領域の各々が、前記ライナの内面の円弧状セグメントを含む、
請求項18に記載の基板の膜厚不均一性を低減する方法。
【請求項20】
前記基板処理チャンバ内に第2のライナを配置することであって、前記第2のライナが、前記更新された放射率テクスチャーを含む、前記基板処理チャンバ内に第2のライナを配置することと、
前記基板処理チャンバ内で後続の基板に堆積工程を実行することと、
をさらに含む、請求項17に記載の基板の膜厚不均一性を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月19日に出願された「ウエハ端面の均一性を改善する方法」と題された米国非仮出願第17/324,435号の利益および優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、半導体製造用の構成要素および装置に関する。より詳細には、本技術は、処理チャンバ構成要素および他の半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、基板表面に複雑なパターンの材料層を作り出す処理によって可能になる。基板上にパターン付き材料を作り出すには、材料の形成および除去のための制御された方法が必要である。前駆体は多くの場合、処理領域に供給され、基板上に材料を均一に堆積させるか、または材料をエッチングするために分散される。処理チャンバの多くの態様は、チャンバ内のプロセス条件の均一性、構成要素を通過する流れの均一性、ならびにその他の処理および構成要素のパラメータなど、処理の均一性に影響を与える可能性がある。基板全体にわたるわずかな不一致であっても、形成または除去処理に影響を与える可能性がある。
【0004】
したがって、高品質のデバイスおよび構造を作り出すために使用できる改良されたシステムおよび方法が必要である。これらおよびその他のニーズが本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
例示的な半導体処理システムは、側壁とベースとを有するチャンバ本体を含み得る。半導体処理システムは、チャンバ本体のベースを通って延在する基板支持体を含んでいてもよい。基板支持体は支持板を含んでいてもよい。基板支持体は、支持板に結合されたシャフトを含んでいてもよい。半導体処理システムは、チャンバ本体内に配置され、支持板の周縁部の半径方向外側に配置されるライナを含んでいてもよい。ライナの内面は放射率テクスチャーを含んでいてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、放射率テクスチャーは複数の微細構造を含んでいてもよい。放射率テクスチャーは複数のナノ構造を含んでいてもよい。放射率テクスチャーは、レーザテクスチャーパターンを含んでいてもよい。放射率テクスチャーは、ライナの周囲全体にわたって実質的に均一であってもよい。放射率テクスチャーは、ライナの周囲の一部のみに延在していてもよい。放射率テクスチャーは、ライナの周囲の可変放射率レベルを含んでいてもよい。ライナはポンピングライナであってもよい。放射率テクスチャーは、支持板の底端面に近い底部の高さから支持板の上端面より上の上部の高さまで延在していてもよい。放射率テクスチャーは、ライナの内面に形成された複数の凹部を含んでいてもよい。
【0007】
本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理システムを包含し得る。本システムは、側壁とベースとを有するチャンバ本体を含んでいてもよい。本システムは、チャンバ本体のベースを通って延在する基板支持体を含んでいてもよい。基板支持体は支持板を含んでいてもよい。基板支持体は、支持板に結合されたシャフトを含んでいてもよい。本システムは、チャンバ本体内に配置され、支持板の周縁部の半径方向外側に配置されるライナを含んでいてもよい。ライナの内面の少なくとも一部は、放射率テクスチャーを含んでいてもよい。放射率テクスチャーは、ライナの内面の少なくとも一部に形成された複数の凹部を含んでいてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、放射率テクスチャーは、第1の放射率領域および第2の放射率領域を含んでいてもよい。第1の放射率領域は、第2の放射率領域よりも大きな凹部密度を含んでいてもよい。放射率テクスチャーは、第1の放射率領域と第2の放射率領域とを含んでいてもよい。第1の放射率領域は、第2の放射率領域よりも大きな凹部を含んでいてもよい。複数の凹部の各々は、約50ミクロン未満の直径を有してもよい。放射率テクスチャーの放射率レベルは、約0.05~0.95の間である。複数の凹部の各々は、約50ミクロン未満の深さを有していてもよい。
【0009】
本技術のいくつかの実施形態は、基板の膜厚の不均一性を低減する方法を包含し得る。本方法は、第1の基板上に膜堆積工程を実行することを含んでいてもよい。本方法は、第1の基板の周縁部付近の第1の膜厚プロファイルを判定することを含んでいてもよい。本方法は、基板処理チャンバ内の基板支持体の上に第2の基板を配置することを含んでいてもよい。基板処理チャンバは、基板支持体の周縁部の半径方向外側に配置されたライナを含んでいてもよい。ライナは放射率テクスチャーを含んでいてもよい。本方法は、第2の基板上に膜堆積工程を実行することを含んでいてもよい。本方法は、第2の基板の周縁部付近の第2の膜厚プロファイルを判定することを含んでいてもよい。本方法は、第1の膜厚プロファイルおよび第2の膜厚プロファイルに基づいて、更新された放射率パターンを生成することを含んでいてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、更新された放射率パターンを生成することは、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差を判定することを含んでいてもよい。更新された放射率パターンを生成することは、放射率テクスチャーの放射率レベルと、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差との間の関係を判定することを含んでいてもよい。更新された放射率パターンを生成することは、第1の膜厚プロファイルおよび第2の膜厚プロファイルの一方または両方に基づいて放射率パターンの1つまたは複数の領域を調整することを含んでいてもよい。更新された放射率パターンを生成することは、放射率パターンの放射率レベルと、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差との間の関係に基づいて、放射率パターンの1つまたは複数の領域を調整することを含んでいてもよい。1つまたは複数の領域の各々は、ライナの内面の円弧状セグメントを含んでいてもよい。本方法は、基板処理チャンバ内に第2のライナを配置することを含んでいてもよい。第2のライナは、更新された放射率テクスチャーを含んでいてもよい。本方法は、基板処理チャンバ内で後続の基板上に堆積工程を実行することを含んでいてもよい。
【0011】
このような技術は、従来のシステムおよび技術に比べて多くの利点を提供し得る。例えば、本技術の実施形態は、基板にわたる温度均一性および膜均一性を改善することができる。特に、基板の周縁部における膜厚均一性が向上する可能性がある。さらに、構成要素を変更して、任意の数のチャンバまたは処理に対応できるようにすることもできる。これらおよび他の実施形態は、それらの利益および特徴の多くと共に、以下の説明および添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【0012】
開示された技術の性質および利点は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによってさらに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの上面図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステムの概略断面図である。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図4A】本技術のいくつかの実施形態によるライナの概略上面図である。
【
図4B】本技術のいくつかの実施形態によるライナの概略上面図である。
【
図5】本技術のいくつかの実施形態による、基板の膜厚不均一性を低減する例示的な方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの図が概略図として含まれている。図は例示を目的としており、特に縮尺が示されていない限り、縮尺は考慮されるべきではないことを理解されたい。さらに、図は概略図として、理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較してすべての態様または情報が含まれていない場合があり、説明目的で誇張された内容が含まれている場合がある。
【0015】
添付の図では、同様の構成要素および/または機能に同じ参照ラベルが付いている場合がある。さらに、同じ種類のさまざまな構成要素は、参照ラベルの後の、類似の構成要素を区別する文字によって区別され得る。本明細書で最初の参照ラベルのみが使用されている場合、その説明は、文字に関係なく、同じ最初の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用され得る。
【0016】
プラズマ励起堆積処理は、1つまたは複数の構成前駆体にエネルギーを与えて、基板上での膜形成を促進し得る。導電性膜および誘電体膜、ならびに材料の転写および除去を容易にする膜を含む、半導体構造を開発するために任意の数の材料膜が作り出され得る。例えば、ハードマスク膜は、基板のパターニングを容易にするために形成される一方で、下にある材料を保護して他の方法で維持することができる。多くの処理チャンバでは、多数の前駆体がガスパネル内で混合され得、基板が配置され得るチャンバの処理領域に供給され得る。リッドスタックの構成要素は処理チャンバへの流れの分布に影響を与える可能性があるが、他の多くの処理変数も同様に堆積の均一性に影響を与える可能性がある。
【0017】
デバイスの特徴のサイズが減少するにつれて、基板表面にわたる公差が減少する可能性があり、膜にわたる材料特性の違いがデバイスの実現と均一性に影響を与える可能性がある。多くのチャンバには特有の処理痕跡が含まれており、基板にわたって残留物不均一性が生じる可能性がある。温度差、流量パターンの均一性、および処理のその他の態様が基板上の膜に影響を与える可能性があり、作り出されるまたは除去される材料の基板にわたって膜の均一性の差が生じる可能性がある。例えば、乱流の堆積ガスの流れ、ならびに/またはガスボックスの遮蔽板および面板の開孔の位置ずれにより、堆積ガスの流れが不均一になる可能性がある。場合によっては、遮蔽板が前駆体の流れを基板の縁部領域に均一に分配しない場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、基板が配置される基板支持体またはヒータは、基板を加熱するための1つまたは複数の加熱機構を含んでいてもよい。基板の領域間で熱の供給または損失が異なる場合、膜堆積に影響が生じる可能性があり、例えば、基板の暖かい部分はより厚い堆積、または冷たい部分と比較して異なる膜特性によって特徴付けられ得る。この温度の不均一性は、例えばペデスタルのシャフト周りの温度変動に起因する可能性があり、特に基板の縁部領域に影響を与える可能性がある。
【0018】
本技術は、これらの高温処理中、および温度均一性の向上から恩恵を受ける可能性のある任意の他の処理において、これらの課題を克服する。例えば、本技術の実施形態は、基板の周辺領域におけるエリアまたは高い膜厚および/もしくは低い膜厚に対応する、異なる放射率レベルの1つまたは複数の領域を有するライナを利用してもよい。このようなライナを使用すると、任意の特定のチャンバ内での熱損失の制御を向上することができ、周縁部にわたる膜厚のより良い均一性を達成し得る。したがって、本技術は、基板の表面にわたる厚さおよび材料特性の均一性の改善によって特徴付けられる、改善された膜堆積をもたらし得る。
【0019】
残りの開示は、開示された技術を利用した特定の堆積処理を日常的に特定するものであるが、システムおよび方法は、他の堆積チャンバおよび洗浄チャンバ、ならびに記載されたチャンバ内で発生し得る処理にも同様に適用可能であることが容易に理解されるであろう。したがって、本技術は、これらの特定の堆積処理またはチャンバのみでの使用に限定されるものと考えるべきではない。本開示は、本技術の実施形態によるこのシステムに対する追加の変形および調整を説明する前に、本技術の実施形態によるリッドスタック構成要素を含み得る1つの可能なシステムおよびチャンバについて説明する。
【0020】
図1は、実施形態による、堆積、エッチング、焼成、および硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上部平面図を示す。図では、1対の前方開口型統一ポッド102は、ロボットアーム104によって受け取られ、基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つに配置される前に、タンデムセクション109a~109cに配置される低圧保持エリア106内に配置されるさまざまなサイズの基板を供給する。第2のロボットアーム110は、基板ウエハを保持エリア106から基板処理チャンバ108a~108fに搬送し、またその逆に搬送するために使用され得る。各基板処理チャンバ108a~108fは、プラズマ励起化学気相堆積、原子層堆積、物理的気相堆積、エッチ、前洗浄、ガス抜き、配向、およびアニーリング、アッシングなどを含むその他の基板処理に加えて、本明細書で説明される半導体材料のスタックの形成を含む、多くの基板処理工程を実行するように装備することができる。
【0021】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板上に誘電体または他の膜を堆積、アニーリング、硬化および/またはエッチングするための1つまたは複数のシステム構成要素を含んでいてもよい。1つの構成では、2対の処理チャンバ、例えば、108c~108dおよび108e~108fを使用して、基板上に誘電体材料を堆積することができ、第3の対の処理チャンバ、例えば108a~108bを使用して、堆積された誘電体をエッチングすることができる。別の構成では、3対のチャンバすべて、例えば108a~108fが、基板上に交互の誘電体膜のスタックを堆積するように構成されてもよい。説明される処理の任意の1つまたは複数は、異なる実施形態で示される製造システムから分離されたチャンバ内で実行されてもよい。誘電体膜のための堆積、エッチング、アニーリング、および硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって企図されていることが理解されるであろう。
【0022】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステム200の概略断面図を示す。プラズマシステム200は、上述のタンデムセクション109のうちの1つまたは複数に適合し得、本技術の実施形態による面板または他の構成要素もしくはアセンブリを含み得る1対の処理チャンバ108を示し得る。プラズマシステム200は一般に、側壁212、底壁216、ならびに1対の処理領域220Aおよび220Bを画定する内部側壁201を有するチャンバ本体202を含み得る。処理領域220A~220Bのそれぞれは、同様に構成されていてもよく、同一の構成要素を含んでいてもよい。
【0023】
例えば、処理領域220B(その構成要素は処理領域220Aに含まれてもよい)は、プラズマシステム200の底壁216に形成された通路222を通って処理領域内に配置されたペデスタル228を含み得る。ペデスタル228は、本体部分などのペデスタルの露出表面上で基板229を支持するように適合されたヒータを提供し得る。ペデスタル228は、加熱素子232、例えば、基板温度を所望の処理温度に加熱および制御し得る抵抗加熱素子を含んでいてもよい。ペデスタル228は、ランプアセンブリなどの遠隔加熱素子、または任意の他の加熱装置によって加熱されてもよい。
【0024】
ペデスタル228の本体は、フランジ233によってステム226に結合され得る。ステム226は、ペデスタル228を電源コンセントまたは電力ボックス203と電気的に結合し得る。電力ボックス203は、処理領域220B内のペデスタル228の上昇および移動を制御するドライバシステムを含んでいてもよい。ステム226はまた、ペデスタル228に電力を供給するための電力インターフェースを含んでいてもよい。電力ボックス203は、熱電対インターフェースなどの、電力および温度インジケータ用のインターフェースも含み得る。ステム226は、電力ボックス203と取り外し可能に結合するように適合された、ベースアセンブリ238を含んでいてもよい。電力ボックス203の上に円周リング235が示されている。いくつかの実施形態では、円周リング235は、ベースアセンブリ238と電力ボックス203の上面との間に機械的インターフェースを提供するように構成された機械的ストップまたはランドとして適合された肩部であってもよい。
【0025】
ロッド230は、処理領域220Bの底壁216に形成された通路224を通って含まれてもよく、ペデスタル228の本体を通って配置された基板リフトピン261を位置決めするために利用されてもよい。基板リフトピン261は、基板移送ポート260を通じて処理領域220Bに基板229を移送する、または処理領域220Bから基板229を移送するために利用されるロボットとの基板229の交換を容易にするために、ペデスタルから基板229を選択的に離間させることができる。
【0026】
チャンバリッド204は、チャンバ本体202の上部に結合され得る。リッド204は、それに結合された1つまたは複数の前駆体分配システム208を収容することができる。前駆体分配システム208は、反応物および洗浄前駆体をガス供給アセンブリ218を通して処理領域220Bに供給し得る前駆体入口通路240を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218は、面板246の中間に配置された遮蔽板244を有するガスボックス248を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218に高周波(「RF」)源265を結合してもよく、高周波(「RF」)源265は、ガス供給アセンブリ218に電力を供給して、ガス供給アセンブリ218の面板246とチャンバの処理領域であり得るペデスタル228との間にプラズマ領域の生成を促進することができる。いくつかの実施形態では、RF源は、プラズマの生成を容易にするために、ペデスタル228などのチャンバ本体202の他の部分と結合されてもよい。リッド204へのRF電力の伝導を防ぐために、リッド204とガス供給アセンブリ218との間に誘電体アイソレータ258を配置してもよい。ペデスタル228と係合する、ペデスタル228の周囲にシャドウリング206が配置されてもよい。
【0027】
工程中にガスボックス248を冷却するために、ガス分配システム208のガスボックス248内に任意選択の冷却チャネル247を形成してもよい。ガスボックス248を所定の温度に維持できるように、水、エチレングリコール、ガスなどの熱伝達流体を冷却チャネル247を通して循環させてもよい。処理領域220B内の処理環境への側壁201、212の露出を防ぐために、チャンバ本体202の側壁201、212に近接して処理領域220B内にライナアセンブリ227が配置されてもよい。ライナアセンブリ227は、処理領域220Bからガスおよび副生成物を排出し、処理領域220B内の圧力を制御するように構成されたポンピングシステム264に結合され得る円周ポンピングキャビティ225を含んでいてもよい。ライナアセンブリ227上に複数の排気口231が形成されていてもよい。排気口231は、システム200内での処理を促進する方法で、処理領域220Bから円周ポンピングキャビティ225へのガスの流れを可能にするように構成され得る。
【0028】
図3は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム300の概略部分断面図を示す。
図3は、ペデスタル228など、システム200内の構成要素に関するさらなる詳細を示している。システム300は、いくつかの実施形態において前述したシステム200の任意の特徴または態様を含むと理解される。システム300は、前述したようなハードマスク材料の堆積を含む半導体処理工程、ならびに他の堆積、除去、および洗浄工程を実行するために使用され得る。システム300は、議論されている、半導体処理システムに組み込まれ得るチャンバ構成要素の部分図を示し得る。当業者には容易に理解されるように、システム300の任意の態様は、他の処理チャンバまたはシステムと組み込むこともできる。
【0029】
システム300は、面板305を含む処理チャンバを含んでいてもよく、面板305を通して処理のために前駆体が供給されてもよく、面板305は、チャンバの処理領域内にプラズマを生成するための電源と結合されていてもよい。チャンバはまた、チャンバ本体310を含んでいてもよく、チャンバ本体310は、図示されているように、側壁およびベースを含んでいてもよい。ペデスタルまたは基板支持体315は、前述したようにチャンバのベースを通って延在していてもよい。基板支持体は、半導体基板322を支持し得る支持板320を含んでいてもよい。支持板320は、チャンバのベースを通って延在し得るシャフト325に結合されていてもよい。
【0030】
前に説明したように、どの処理チャンバでも熱均一性が課題となる可能性があり、高温処理では放射損失が大幅に大きくなる可能性がある。前に説明した非限定的な例を続けると、一部の炭素膜堆積は600℃以上の温度で実行されてもよく、これにより基板の表面の炭素ラジカルの吸着が促進され得る。これらの処理温度を維持するために、基板支持体315などの基板支持体は、1つまたは複数の加熱要素を含んでもよく、これにより、約500℃以上であり得る、および約525℃以上、約550℃以上、約575℃以上、約600℃以上、約625℃以上、約650℃以上、約675℃以上、約700℃以上、約725℃以上、約750℃以上、約775℃以上、約800℃以上、もしくはそれより高い可能性のある基板または板の温度を生み出すことが可能になり得る。
【0031】
半導体基板322および支持体の態様は高温に維持されていてもよいが、チャンバ本体310は、例えば約100℃以下、またはより低い低温に維持されていてもよい。これにより、基板322にわたる温度プロファイルに影響を与える可能性のあるヒートシンクが作成され得る。例えば、基板322または支持板320の縁部領域は、チャンバの側壁に対して、より高い損失を有してもよく、これにより、基板322の周りで半径方向に基板温度が低下し得る。半径方向のバンドにおけるこのより低い温度は、基板322の周りのバンドに存在し得る第1の種類の不均一性を作り出し得る。同様に、図に示すように、チャンバ本体の一部を通してスリットバルブまたはチャンバへのアクセスが配置または画定されていてもよい。このアクセスは、チャンバ本体の他の態様よりも低い温度によって特徴付けられる場合があり、局所的なヒートシンクを作成し得る。領域内のこのより低い温度は、基板322のセクションがより低い温度によって特徴付けられる場合がある、平面の不均一性を生み出し得る。
【0032】
基板322の温度は、膜の消衰係数と密接に相関している可能性があり、したがって、膜全体にわたる温度変動は、厚さの変動をもたらす可能性があり、また、膜にわたる消衰係数の変動をもたらす可能性があり、その後のリソグラフィまたはエッチング工程に影響を与える可能性がある。
【0033】
システム300は、基板支持体315の周縁部の周りに延在し得るライナ330を含んでいてもよい。例えば、ライナ330は、支持板320の周縁部327から半径方向外側に約1mmと約10mmとの間に配置されていてもよい。ライナ330は、支持板320の底端面(またはそれより低い)に近い高さから、支持板320の上端面および/または上面より上の高さまで延在していてもよい。いくつかの実施形態では、ライナ330は、上述のライナアセンブリ227と同様のポンピングライナであってもよい。他の実施形態では、ライナ330は、チャンバ本体310内に配置される別個のライナであってもよい。ライナ330は、いくつかの実施形態では、アルミニウムまたは他の金属などの導電性材料で形成されていてもよい。他の実施形態では、ライナ330は、セラミックおよび/または窒化アルミニウムなどの他の誘電体材料から形成されていてもよい。
【0034】
ライナ330の内面335は、少なくとも1つの放射率テクスチャー340を含んでいてもよい。放射率テクスチャー340は、所与の角度位置でライナ330の内面335の放射率レベルを調整するために使用され得る表面粗さを提供する内面335に形成された多数の構造を含んでいてもよい。例えば、構造は、多数の凹部、開孔、溝、ピラー、突出部、自由形状、および/または構造の位置でライナ330の放射率レベルを変える他の特徴を含んでいてもよい。構造は、微細構造および/またはナノ構造であってもよい。例えば、放射率テクスチャー340を形成する各構造は、マイクロスケールおよび/またはナノスケールの寸法(深さ、幅、長さなど)を有してもよい。いくつかの実施形態では、各構造の寸法は約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、約1ミクロン以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約50nm以下、約25nm以下、またはそれ未満であってもよい。各構造の1つまたは複数の寸法は、ほぼ同じサイズであってもよく、および/またはさまざまな実施形態では異なっていてもよい。内面335の所与の領域内の構造の面密度(構造によって覆われる表面積の量)は、約1%~95%であってもよい。ライナ330は、異なる面密度の1つまたは複数の領域を含んでいてもよい。例えば、ライナ330は、約1つ以上の領域、約2つ以上の領域、約3つ以上の領域、約4つ以上の領域、約5つ以上の領域、約6つ以上の領域、約7つ以上の領域、約8つ以上の領域、約9つ以上の領域、約10以上の領域、またはそれを超える領域を含んでもよい。特定の実施形態では、内面335は、約70%~95%の間、約75%~90%の間、または約80%~85%の間の面密度を含む1つまたは複数の高密度領域を含んでいてもよい。内面335は、約35%~70%の間、約40%~65%の間、約45%~60%の間、または約50%~55%の間の面密度を含む1つまたは複数の中密度領域を含んでいてもよい。内面335は、約1%~35%の間、約5%~30%の間、約10%~25%の間、または約15%~20%の間の面密度を有する1つまたは複数の低密度領域を含んでもよい。
【0035】
多くの場合、放射率テクスチャー340は、レーザテクスチャリングを使用して形成され得るが、ビーズブラストなどの他の形式の表面テクスチャリングが利用されてもよい。レーザテクスチャリングの使用により、非常に正確な方法で放射率テクスチャーを適用することが可能となり得、これにより、内面335のさまざまな位置での放射率レベルを正確に調整することが可能になり得る。放射率レベルは、どれだけの熱がライナ330から基板322に反射されるかを制御するために使用され得る。反射熱の量は、特に基板322の周縁部に近いエリア(ライナ330に最も近いエリア)において、基板322上の膜の堆積速度に直接影響を与える可能性がある。したがって、ライナ330の1つまたは複数の領域における放射率レベルの調整により、基板322の周縁部における膜厚を堆積工程中に注意深く制御することが可能になり得る。
【0036】
内面335の放射率レベルは、放射率テクスチャー340内の構造のサイズおよび/または密度を調整することによって調整することができる。例えば、放射率レベルは、より大きな構造を利用することにより、および/または内面335の所与の領域内の構造の密度を増加することにより増加され得る。より小さな構造および/またはより低い密度の構造を使用すると、放射率レベルが低下し得る。最も低い放射率レベルは、内面335の所与の領域の構造を省略し、その領域の内面335を比較的滑らかにおよび/または研磨仕上げしたままにすることによって達成され得る。一般に、内面335の放射率レベルは、ライナ330の材料および放射率パターン340を形成する構造のサイズおよび/または密度に応じて約0.05~0.95、約0.15~0.85、約0.25~0.75、約0.35~0.65、または約0.45~0.55の範囲であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、内面335上の放射率テクスチャー340は、ライナ330の周囲にわたってほぼ均一であってもよい。本明細書で使用される場合、概して均一とは、構造サイズおよび/または面密度が、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、約2%以内、約1%以内、またはそれ未満に均一であることを意味すると理解され得る。他の実施形態では、放射率テクスチャー340は、さまざまな角度位置で異なる量の熱を支持板320に反射するために、異なる放射率レベルを含む複数の領域を含んでもよい。ライナ330のさまざまな領域(各々がそれぞれの放射率レベルを有する)は、温度均一性を向上させるため、および/または半導体基板322上の残留物不均一性を低減するため、半導体基板322の縁部領域の温度を制御するようにサイズ、形状、および位置決めされ得る。
【0038】
図4および
図4Bは、本技術のいくつかの実施形態による例示的なライナ400の概略上面図を示す。ライナ400は、前述した任意のチャンバまたはシステム(システム200もしくは300など)に含めることができ、あるいは、放射率テクスチャリングから利益を得ることができる任意の他のチャンバまたはシステムに含めることもできる。ライナ400は、上述のライナ330として使用することができる。固定の方策で半導体基板を処理する場合、膜残留物パターンは基板間で安定している必要がある。既知の残留物パターンを用いると、ライナ400は、半導体基板の周縁部における残留物の均一性を改善するために、既知の残留物パターンに対応する放射率レベルを有する多数の領域405を含むことができる。例えば、固定の方策で処理された半導体基板の周縁部の残留物の堆積の残留物マップは、基板上の膜堆積が少ないエリアと多い領域のサイズと位置を示し得る。ライナ400は、半導体基板にわたってより良好な堆積均一性を達成するために、低いエリアでの堆積を高める、および/または高いエリアでの堆積を下げるように設計された放射率レベルを有する対応する領域405を含んでいてもよい。各領域405の放射率レベルは、凹部、開孔、溝、ピラー、突出部、自由形状、および/または特定の領域405の放射率レベルを変更する他の特徴などの微細構造および/またはナノ構造のアレイから形成される放射率テクスチャーを使用して制御することができる。
【0039】
例えば、低放射率レベルおよび/または高放射率レベルを有する領域405は、さまざまな量の熱を支持板に反射するために、残留物マップが半導体基板上の膜残留物の不均一性(高いおよび/または低い膜厚)を示したエリアに対応するエリアのライナ400上に設けられてもよく、これにより、所望のエリアの半導体基板の温度を上昇および/または低下させて、堆積膜が均一になる。半導体基板の温度変化は通常、約0.5℃以上、約1.0℃以上、約1.5℃以上、約2.0℃以上、約2.5℃以上、約3.0℃以上、約3.5℃以上、約4.0℃以上、約4.5℃以上、またはそれを超え、ヒータの温度に応じて半導体基板の実際の温度が変化する。高温処理では、ライナ400を使用して反射し得る放射熱損失が大きくなる可能性がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、ライナ400aは、
図4Aに示すように、単一の領域405aを含んでいてもよい。領域405aは、基板の周縁部での堆積を均一に変更する(すなわち、膜厚を増加または減少させる)ように選択される放射率レベルを有してもよい。例えば、領域405a内に設けられた凹部および/または他の構造のサイズおよび/または密度は、ライナ400aの周囲の周りでほぼ均一であってもよい。他の実施形態では、ライナ400bは、
図4Bに示すように、多数の領域405bを含んでいてもよい。各領域405bは、ライナ400bの高さの全部または一部に沿って垂直に延在する任意の放射率テクスチャーを有する円弧状であってもよい。所与の領域405b内の放射率テクスチャーは、基板支持体の上面よりも下の高さから基板支持体の上面よりも上の高さまで延在していてもよい。例えば、放射率テクスチャーは、基板支持体の支持板の中間点より下の高さで始まってもよい。いくつかの実施形態では、放射率テクスチャーは、支持板の底端面に近接した位置の間であってもよい。例えば、放射率テクスチャーは、底端面から約25mm以内、底端面から約20mm以内、底端面から約15mm以内、底端面から約10mm以内、底端面から約5mm以内、底端面から約3mm以内、底端面から約2mm以内、底端面から約1mm以内、またはそれ未満の高さで始まってもよい。特定の実施形態では、放射率テクスチャーの下端面は、支持板の底端面と実質的に整列されていてもよい。放射率テクスチャーは、ライナ400b上で支持板の上面と同じレベルおよび/または支持板の上面に対して高い位置まで上向きに延在していてもよい。例えば、放射率テクスチャーは、支持板の上面と実質的に整列する高さまで、上面から約0.5mm以上、上面から約1.0mm以上、上面から約1.5mm以上、上面から約2.0mm以上、上面から約2.5mm以上、またはそれを超えて延在していてもよい。
【0041】
4つの領域405bで示されているが、ライナ400bは任意の数の領域405bを含み得ることが理解されよう。例えば、ライナ400bは、約1つ以上の領域405b、約2つ以上の領域405b、約3つ以上の領域405b、約4つ以上の領域405b、約5つ以上の領域405b、約6つ以上の領域405b、約7つ以上の領域405b、約8つ以上の領域405b、約9つ以上の領域405b、約10以上の領域405b、またはそれを超える領域405bを含んでいてもよい。領域405bの少なくとも一部は異なる放射率レベルを有していてもよく、いくつかの実施形態では、各領域405bは固有の放射率レベルを有していてもよい。いくつかの実施形態では、領域405bのうちの1つまたは複数は、放射率テクスチャーを有していなくてもよく、それぞれの領域405bの放射率レベルは、ライナ400bを形成する非テクスチャー材料の放射率レベルと一致する。各領域405bは、膜堆積が高いエリアおよび/または低いエリアに対応するようにサイズおよび位置決めされ得る。図示されているように、隣接する領域405b間の遷移は突然であってもよく、隣接する各領域405bは、異なる放射率レベルを作成するために別個の構造サイズおよび/または密度を有する。他の実施形態では、隣接する領域405b間の遷移は、領域405b間の正確な境界を識別することが困難になり得るように段階的であってもよい。例えば、1つの領域405bの面密度は約60%であり、隣接する領域の面密度は30%であってもよい。いくつかの実施形態では、面密度は、領域405b間の境界で60%から30%に突然変化する可能性がある。他の実施形態では、境界の片側または両側の角度範囲内で、面密度は、60%から30%まで段階的に変化し、その間に任意の粒度レベル(例えば、1%増分、5%増分、10%増分など)で1つまたは複数の中間面密度が存在する。いくつかの実施形態では、ライナ400bの内面全体は、より複雑な膜の不均一プロファイルに適応するために、放射率レベル、面密度、および/または構造サイズの段階的な変化を含んでいてもよい。
【0042】
図示のように、ライナ400bは、各々が固有の放射率レベルを有する4つの領域405bを含む。放射率レベルは、低放射率領域(例えば、約0.4以下の放射率レベル)、高放射率領域(例えば、約0.6以上の放射率レベル)、および/または中程度の放射率領域(約0.4から0.6の間の放射率レベル)として特徴付けることができる。低放射率領域は、より薄い膜が堆積した半導体基板のエリアに対応するライナ400bのエリアに配置され得る。低放射率領域は、より多くのレベルの熱を支持板と半導体基板に反射して処理中の堆積速度を高めることができ、これらのエリアでの膜堆積を増加させるのに役立ち得る。高放射率領域は、より厚い膜が堆積された半導体基板のエリアに対応するライナ400bのエリアに配置され得る。これらの高放射率領域は、より大きなレベルの熱を吸収して、これらのエリアでの膜の堆積を減らすのに役立ち得る。上述のように、さまざまな放射率領域の放射率レベルは、所与の領域内に放射率テクスチャーを形成する微細構造および/またはナノ構造のサイズおよび/または面密度を調整することによって達成され得る。領域405bのサイズ、位置、放射率、および/または数は、所与の半導体基板上により均一な膜堆積を作成するために、所与の方策の特定の膜堆積マップを満たすように選択され得る。
【0043】
「高い」放射率、および「低い」放射率などの用語で説明されているが、当業者であれば、高放射率領域は特定の放射率係数(すなわち、0.60を超える)を有し得ないが、代わりに、低放射率領域よりも高い放射率レベルを有することが理解され得ることを理解するであろう。同様に、低放射率領域は特定の放射率係数範囲に制約されず、むしろ他のゾーンの放射率レベルと比較して定義される。いくつかの実施形態では、すべての領域405bは、0.40未満または0.60を超える放射率係数を有し得る。半導体基板の周縁部に、より均一なプラズマ堆積を生成するために、低、中、および/または高放射率領域の任意の組合せをライナ400b上に設けることができる。いくつかの実施形態では、所与のタイプ(高いまたは低い)の放射率領域のすべてが同じ放射率レベルを有してもよい。他の実施形態では、低放射率領域の一部またはすべてが、他の低放射率領域とは異なる放射率レベルを有してもよい。同様に、高放射率領域の一部またはすべては、他の高放射率領域とは異なる放射率レベルを有していてもよい。
【0044】
図5は、本技術のいくつかの実施形態による、基板の膜厚の不均一性を低減する例示的な方法500の工程を示す。本方法は、上述の処理システム200または300を含むさまざまな処理チャンバ内で実施することができ、処理システム200または300は、前述した任意のライナなど、本技術の実施形態によるライナを含み得る。方法500は、本技術による方法のいくつかの実施形態に特に関連付けられる場合も関連付けられない場合もある、多数の任意選択の工程を含んでいてもよい。
【0045】
方法500は、ハードマスク膜を形成するための工程または他の堆積工程を含み得る処理方法を含み得る。方法は、方法500の開始前に任意選択の工程を含んでもよいし、または方法は追加の工程を含んでもよい。例えば、方法500は、図示されたものとは異なる順序で実行される工程を含んでいてもよい。方法500は、工程505で第1の基板上に膜堆積工程を実行することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、膜堆積工程は、1つまたは複数の前駆体を処理チャンバに流し込むことを含んでいてもよい。例えば、前駆体は、システム100、200、または300に含まれるようなチャンバに流し込まれてもよく、前駆体をチャンバの処理領域に供給する前に、ガスボックス、遮蔽板、または面板のうちの1つまたは複数を通して前駆体を流し得る。いくつかの実施形態では、前駆体は炭素含有前駆体であるか、または炭素含有前駆体を含んでいてもよい。面板にRF電力を提供してプラズマを生成することなどにより、処理領域内で前駆体からプラズマが生成され得る。プラズマ内で形成された炭素含有材料などの材料が基板上に堆積されてもよい。
【0046】
方法500は、工程510において、第1の基板の周縁部付近の膜厚プロファイルを判定することを含んでいてもよい。このことは、基板の周囲のさまざまな角度位置での膜厚を判定することを含んでいてもよい。方法500は、工程515において、基板処理チャンバ内の基板支持体の上に第2の基板を配置することを含んでいてもよい。基板処理チャンバは、第1の基板を処理するために使用されるチャンバと同じチャンバであっても、異なるチャンバであってもよい。チャンバは、基板支持体の周縁部の半径方向外側に配置されたライナを含んでいてもよく、ライナの内面の全部または一部を覆う放射率テクスチャーを含んでいてもよい。例えば、ライナは、ライナの内面の円弧状セグメントを含む1つまたは複数の領域を含んでいてもよい。単一領域の実施形態では、単一領域は円弧状および/または環状であってもよい。各領域は、ライナの内面に形成された多数の微細および/またはナノ構造から形成される放射率パターンを使用して調整できる放射率レベルを有していてもよい。放射率レベルは、所与の領域内の構造の面密度および/またはサイズを変更することで調整され得る。
【0047】
工程520において、方法500は、第2の基板上に膜堆積工程を実行することを含んでいてもよい。工程525において、方法500は、第2の基板の周縁部付近の膜厚プロファイルを判定することを含んでいてもよい。方法500は、工程530において、第1の膜厚プロファイルおよび第2の膜厚プロファイルに基づいて、更新された放射率テクスチャーを生成することを含んでいてもよい。例えば、更新された放射率パターンを生成することは、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差を判定することを含んでいてもよい。例えば、縁部領域の膜厚は、第1の基板から第2の基板までで特定のオングストローム数(または他の単位)だけ変化してもよい。放射率テクスチャーの放射率レベルと、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差との間の関係が判定されてもよい。例えば、ライナは、ライナの内面全体にわたってほぼ均一な放射率テクスチャー/レベルを有していてもよい。第1の基板から第2の基板までの膜厚の変化は、第2の基板の堆積工程で使用されるライナの放射率レベルに起因していてもよい。これにより、放射率レベルと膜厚の変化との間の関係を判定できる可能性がある。いくつかの実施形態では、関係は線形であってもよい。例えば、この関係は、いずれかの方向の放射率レベルの増加(放射率0.05の増加など)ごとに、膜厚さが所与の厚さ(1オングストローム以上など)だけ変化する結果となる可能性があることを示し得る。この関係を使用して、後続の基板の周縁部に均一な膜厚を生成できるライナを製造することができる。例えば、放射率テクスチャーの1つまたは複数の領域は、1)第1の膜厚プロファイルおよび/または第2の膜厚プロファイル、ならびに、2)放射率パターンの放射率レベルと、第1の膜厚プロファイルと第2の膜厚プロファイルとの間の差との間の関係に基づいて調整されてもよい。例えば、ライナ設計の領域の放射率レベルは、膜厚のさらなる均一化を図るために、膜厚が低いエリアと膜厚が高いエリアとに対応するように調整されてもよい(放射率テクスチャーを形成する構造のサイズおよび/または面密度を変更することなどによって)。例えば、第1の領域の放射率レベルは、膜厚を低くするために、(放射率レベルと膜圧変化との間の特定された関係に基づいて)設定された距離によって上げられ得、第2の領域の放射率レベルは、膜圧を高くするために、設定された距離によって下げられ得る。
【0048】
方法500は、基板処理チャンバ内に第2のライナを配置するステップを任意選択的に含んでいてもよい。第2のライナは、更新された放射率パターンを含んでいてもよい。堆積工程は、チャンバ内で後続の基板に対して実行されてもよい。第2のライナを使用すると、同じ化学薬品で処理された基板のための基板の周縁部に、均一な膜厚が生成され得る。いくつかの実施形態では、上記の工程を何度でも繰り返して、基板の周縁部の周囲に所望の膜厚プロファイルを首尾よく製造するライナ上に放射率テクスチャーのパターンを生成することができる。
【0049】
前述の説明では、説明の目的で、本技術のさまざまな実施形態の理解を提供するために多くの詳細が述べられてきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細のいくつかを省略して、または追加の詳細を加えて実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0050】
いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の精神から逸脱することなく、さまざまな変更、代替構造、および均等物を使用できることが当業者には理解されよう。さらに、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるために、多くのよく知られた処理および要素については説明されていない。したがって、上記の説明は本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0051】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の介在する各値も、下限の単位の最小の端数まで具体的に開示されることが理解される。記載された値または記載された範囲内の記載されていない介在値と、記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間の任意の狭い範囲が含まれる。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含めたり除外したりでき、より小さい範囲に、制限のいずれかが含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる各範囲も、記載された範囲内で特に除外される任意の制限の影響を受けて、本技術内に包含される。記載された範囲に制限の一方または両方が含まれる場合、これらの含まれる制限の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0052】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の言及が含まれる。したがって、例えば、「領域」への言及には複数のそのような領域が含まれ、「開孔」への言及には、当業者に知られている1つまたは複数の開孔およびその均等物への言及が含まれる、などである。
【0053】
また、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「包含する(contain(s))」、「包含している(containing)」、「含む(include(s))」、および「含んでいる(including)」という用語は、記載された機能、整数、構成要素または工程の存在を指定することを目的としているが、1つまたは複数の他の機能、整数、構成要素、工程、行為、またはグループの存在または追加を除外するものではない。
【国際調査報告】