(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】半導体装置の製造の間に、ケイ素-ゲルマニウム/ケイ素スタックからケイ素-ゲルマニウム合金を選択的に除去するためのエッチング溶液
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H01L21/308 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571958
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022071907
(87)【国際公開番号】W WO2022246356
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ウェン ダル リウ
(72)【発明者】
【氏名】イー-チア リー
(72)【発明者】
【氏名】アイピン ウー
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA08
5F043BB12
5F043DD07
5F043DD13
5F043DD30
5F043GG10
(57)【要約】
開示及び特許請求される対象は、(i)水、(ii)少なくとも1つの酸化剤、(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源、(iv)少なくとも1つの多官能性酸、(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤、(vi)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒、を含むエッチング溶液に関する。溶液は、ポリシリコンに対するケイ素-ゲルマニウムの、上にこれらの材料を有するマイクロエレクトロニクス装置からの、その製造の間の選択的除去のために有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス装置から、ケイ素に対してケイ素-ゲルマニウムを選択的に除去するために適したエッチング溶液であって、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
を含む、エッチング溶液。
【請求項2】
マイクロエレクトロニクス装置から、ケイ素に対してケイ素-ゲルマニウムを選択的に除去するために適したエッチング溶液であって、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
から本質的になる、エッチング溶液。
【請求項3】
マイクロエレクトロニクス装置から、ケイ素に対してケイ素-ゲルマニウムを選択的に除去するために適したエッチング溶液であって、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
からなる、エッチング溶液。
【請求項4】
前記少なくとも1つの水混和性の有機溶媒を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項5】
約50wt%~約90wt%の水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項6】
約60wt%~約80wt%の水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項7】
約70wt%~約75wt%の水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項8】
前記酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア及びそれらの混合物のうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項9】
前記酸化剤が過酸化水素を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項10】
約1.5wt%~約20wt%の前記少なくとも1つの酸化剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項11】
約10wt%~約20wt%の無希釈のH
2O
2を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項12】
前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第四級フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び式:
R
1NR
2R
3R
4F
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれH又は(C
1~C
4)アルキル基を示す)を有する脂肪族の第一級、第二級又は第三級アミンのフッ化物塩の群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項13】
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム及びそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項14】
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム及び二フッ化アンモニウムのうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項15】
約0.01wt%~約8wt%の前記少なくとも1つのフッ化物イオン源を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項16】
約0.04wt%~約2.5wt%の無希釈のNH
4Fを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項17】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、1つ又は複数の多官能性有機酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項18】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、2-メチルプロパン-1,2,3-トリスカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、1,シス-2,3-プロペントリカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ-1,2,3,4-カルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸及びベンゼンヘキサカルボン酸のうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項19】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、1つ又は複数のトリカルボン酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項20】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、クエン酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項21】
約0.1wt%~約5wt%の少なくとも1つの多官能性有機酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項22】
約0.1wt%~約5wt%のクエン酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項23】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、1つ又は複数の多官能性無機酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項24】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、ホウ酸、炭酸、亜リン酸、亜リン酸、ケイ酸、亜硫酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸及びオルトケイ酸のうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項25】
前記少なくとも1つの多官能性酸が、H
3PO
4を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項26】
約0.1wt%~約5wt%の少なくとも1つの多官能性無機酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項27】
約0.1wt%~約5wt%のH
3PO
4を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項28】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、ポリアルキレンイミン、アセチレンジオール、改質されたアセチレンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン若しくはポリプロピレングリコールエーテル又はそれらの混合物のうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項29】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、PEG-400を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項30】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、Lupasol(登録商標) 800を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項31】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、Surfynol(登録商標) 485を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項32】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、PEG-400、Lupasol(登録商標) 800及びSurfynol(登録商標) 485のうち2つ以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項33】
前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤が、Lupasol(登録商標) 800及びSurfynol(登録商標) 485を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項34】
約0.01wt%~約3wt%の前記少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項35】
前記少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤が、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリエトキシ(エチル)シラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシ(オクチル)シラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチル(トリメトキシ)シラン、トリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ(オクタデシル)シラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチル(トリプロピル)シラン、エチル(トリプロピル)シラン及びプロピル(トリプロピル)シランのうち1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項36】
約0.1wt%~約3wt%の前記少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項37】
約0.1wt%~約3wt%のケイ酸を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項38】
約0.1wt%~約3wt%の式I:
【化1】
式1
(式中、(i)R
a及びR
bのそれぞれは-C
3H
6-であり、(ii)R
1、R
2、R
4及びR
5のそれぞれは-Hであり、(iii)m=0~20である)のケイ素含有化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項39】
約0.1wt%~約3wt%の以下の式:
【化2】
Si化合物1
を有するケイ素含有化合物(以降「Si化合物1」)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項40】
約0.1wt%~約3wt%のメチルトリメトキシシランを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項41】
前記少なくとも1つの水混和性の溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、スルホラン及びそれらの混合物の群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項42】
前記少なくとも1つの水混和性の溶媒が、プロピレングリコールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項43】
前記少なくとも1つの水混和性の溶媒が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項44】
約1wt%~約50wt%の前記少なくとも1つの水混和性の溶媒を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項45】
約5wt%~約50wt%のプロピレングリコールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項46】
約5wt%~約50wt%のジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項47】
ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロエレクトロニクス装置において、ケイ素に対してケイ素-ゲルマニウムのエッチング速度を選択的に向上させる方法であって、
(a)ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロエレクトロニクス(複合半導体)装置を、請求項1~46のいずれか1項に記載の1つ又は複数のエッチング溶液と接触させる工程;
(b)ケイ素-ゲルマニウムを少なくとも部分的に除去した後に、前記マイクロエレクトロニクス(複合半導体)装置をすすぐ工程;並びに
(c)任意選択で、前記マイクロエレクトロニクス装置を乾燥する工程
を含み、ケイ素に対するケイ素-ゲルマニウムについてのエッチングの選択性が約50超である、方法。
【請求項48】
前記接触させる工程(a)が、約25℃~約100℃の温度で行われる、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示及び特許請求される対象は、半導体装置の製造において使用される水性エッチング溶液に関する。より具体的には、開示及び特許請求される対象は、ケイ素-ゲルマニウム/ケイ素複合半導体装置中のSiO2に高い適合性を有する、ケイ素膜に対するケイ素-ゲルマニウム合金の高いエッチング選択性を示す水性エッチング溶液を提供する。
【背景技術】
【0002】
超高密度の集積回路の定常的な小型化並びに速度及び機能性のますますの要求があるため、従来の平坦金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、ゲート酸化物の厚さのスケーリング、及びチャネル領域上のゲート電極の静電気制御のこのような問題のますますの困難に直面している。フィン電界効果トランジスタ(FinFET)は、フィン型チャネルの3つの側部にゲート電極を取り付けることによって、平坦ゲートMOSFETに対する改善された制御を示す。
【0003】
GAA MOSFETは、FinFETに似たものであるが、ゲート電極がチャネルを完全に囲んでいるために、さらにより良いチャネル上の静電気制御の可能性を有する。GAA MOSFETにおいて、チャネル領域は基本的にナノワイヤである。典型的には、ナノワイヤチャネルは、数十ナノメートル(nm)以下の厚さ(又は直径)を有し、制約のない長さを有する。ナノワイヤチャネルは、GAA MOSFETのかなり大きいソース及びドレイン領域の間に略水平方向に架けられ、固定される。
【0004】
GAA MOSFETは、十分に両立可能なCMOS技術を利用して、バルクケイ素上に製造される場合がある。GAA MOSFET中のチャネル領域を形成する典型的な製造方法は、バルク基材の頂部上のチャネル層の間に挟まれた犠牲層のスタック(エピ-スタック)をエピタキシャルに成長させることを含む。犠牲層及びチャネル層は、選択的エッチングが犠牲層を除去することができるように、2つの異なる材料から構成される。
【0005】
例として、エピ-スタックは、ケイ素(Si)とケイ素ゲルマニウムとの交互の層から形成される場合があり、SiGe層が犠牲層であり、Si層がチャネル層である。次いで、選択的エッチングによって(例えば過酸化水素含有溶液などの湿式エッチングプロセスによって)SiGe層が除去される場合があり、選択的エッチングは、犠牲層及び基材を構成する材料の類似性が原因となって、バルク基材中に、意図しないトレンチを引き起こす。SiGe層が除去された後、続いて、Si層は、トレンチの上に架けられたナノワイヤチャネルに形成される場合がある。次いで、薄いゲート誘電体が、Siナノワイヤチャネルの周りに、かつ基材のへこんだトレンチの上に配置される。次いで、金属が誘電体の上に配置され、GAA MOSFETの金属ゲート電極を形成する。
【0006】
典型的には、SiGe合金をエッチングするための従来の湿式化学エッチング溶液は、酸化剤及び酸化物除去剤を用いる。最も一般的な溶液は、ケイ素酸化物をエッチングするためのHFと、SiGeの酸化のための過酸化水素(H2O2)及び酢酸(CH3COOH)の溶液とである。H2O2/CH3COOH混合物は、改善された滑らかさを有するSiに対して、Si1-xGexに硬度に選択的であるが、この化学物質は、垂直のスタック上のケイ素-ゲルマニウムの除去については効果的ではなく、窒化物/酸化物のマスクと両立可能でない。
【0007】
出願人の先に提出した出願(米国特許出願公開第2019/0088492号)は、水、酸化剤、水混和性の有機溶媒、フッ化物イオン源及び任意選択の界面活性剤を含むエッチング溶液を一般的に開示している。しかしながら、これらの配合物は、ケイ素及びSiGeのスタック中に存在する層中に一般的に存在するSiO2と特に両立可能なものではなかった。これらの配合物は比較的高いSiO2エッチング速度を有していて、このことは、SiO2に対するSiGeのより低い選択性をもたらす。したがって、Siに対するSiGeの高い選択性を有するとともに、SiO2に対するSiGeの高い選択性を有する配合物を開発する要求があり、これは、本明細書において開示される、及び特許請求される対象によって対処される。
【0008】
したがって、当分野では、例えばGAA MOSFET中のSiナノワイヤチャネルの形成において、上記の欠点を有することのない、犠牲SiGe層の除去の間にエッチングプロセスのより良い制御を提供する、ケイ素-ゲルマニウムエッチング溶液及びこのエッチング溶液を使用するための方法についての要求が存在する。
【発明の概要】
【0009】
概要
この概要のセクションは、開示及び特許請求される対象の全ての実施態様及び/又はさらには新規の態様を特定するものではない。代わりに、この概要は、単に、種々の実施態様の予備的な議論と、従来技術及び公知技術に対する新規性に対応する点とを提供するものである。開示及び特許請求される対象及び実施態様のさらなる詳細及び/又はあり得る考えについては、以下でさらに議論される本開示の詳細な説明及び対応する図を参照されたい。
【0010】
1つの態様において、開示及び特許請求される対象は、SiO2との良好な両立性を有する、ケイ素に対するケイ素-ゲルマニウムのマイクロエレクトロニクス装置からの選択的除去のために適したエッチング溶液であって、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つの酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
を含む、エッチング溶液に関する。
【0011】
1つの他の態様において、開示及び特許請求される対象は、ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロエレクトロニクス装置上のSiO2層に対する両立性を有する、ケイ素に対するケイ素-ゲルマニウムのエッチング速度を選択的に向上する方法を提供するものであり、この方法は、
(a)ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むエレクトロニクス(複合半導体)装置を、本明細書において説明されるエッチング溶液と接触させる工程;
(b)ケイ素-ゲルマニウムを少なくとも部分的に除去した後に、マイクロエレクトロニクス(複合半導体)装置をすすぐ工程;並びに
(c)任意選択で、マイクロエレクトロニクス装置を乾燥する工程
を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0012】
開示及び特許請求される対象の他の特徴及び利点は、開示及び特許請求される対象の原理を示す例の溶液と合わせて、以下のより詳細な説明から明らかとなる。
【0013】
本明細書において説明される種々の工程の議論の順序は、明確になるように提供されている。一般に、本明細書において開示される工程は、任意の適した順序で行われてよい。加えて、本明細書において開示される種々の特徴、技術、構成等のそれぞれは、本開示の異なる箇所で議論されている場合があるが、それらのコンセプトのそれぞれは、互いに独立して、又は適当に互いに組み合わせて行われ得ることが意図される。したがって、開示及び特許請求される対象は、多くの異なる仕方で具体化及び考えられてよい。
【0014】
定義
ここで、特許請求される対象の理解を助けるために、例示される実施態様が参照され、それを説明するために特定の用語が使用される。しかしながら、それによって特許請求される対象が限定されることが意図されるとは理解されるべきではなく、本開示に関する当業者が通常想起するように、本明細書において例示される本発明の原理の改造及びさらなる変更及びさらなる適用が考えられる。
【0015】
公報、特許出願及び特許を含む、本明細書において引用される全ての参考文献は、参照することによって、それぞれの参考文献が個別かつ具体的に参照によって組み込まれたのと同じ範囲で、及び本明細書においてその全体が規定されたのと同じ範囲で、本明細書に組み込まれる。
【0016】
開示及び特許請求される対象を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」並びに類似の参照する語の使用は、本明細書において他に記載のない限り、又は明確に文脈に反しない限り、単数及び複数の両方をカバーするものと解釈される。用語「comprising」、「having」、「including」及び「containing」は、他に記載のない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含む(including)」が、それに限定されない)と解釈される。本明細書における範囲の参照は、本明細書において他に記載のない限り、単に、その範囲にあるそれぞれの別個の値を個別に参照する略記法として機能することを意図するものであり、それぞれ別個の値は、それが本明細書において個別に記載されたのと同じように本明細書に組み込まれる。本明細書において説明される全て方法は、本明細書において他に記載のない限り、又は明確に文脈に反しない限り、任意の適した順序で行われてよい。本明細書において提供されるいずれか及び全ての例又は例示的な語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、単に開示及び特許請求される対象をより良く示すことを意図するものであり、特許請求されない限り、開示及び特許請求される対象の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる語も、特許請求の範囲に記載されていないなんらかの要素が、開示及び特許請求される対象の実施に必須であることを意図するように解釈されるべきではない。
【0017】
開示及び特許請求される対象を行うために、発明者らが知る最良の形態を含む、開示及び特許請求される対象の好ましい実施態様が本明細書において説明される。それらの実施態様の変形は、以下の説明を読むことによって、当業者にとって明らかとなる。発明者らは、当業者がこのような変形を適切に用いることを予想しており、開示及び特許請求される対象が、本明細書において具体的に説明される以外の仕方で実施されることを意図している。したがって、添付の特許請求の範囲において記載される本開示及び特許請求される対象は、その対象の全ての変更及び均等物を含む。さらに、その全てのあり得る変更における上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書において他に記載のない限り、又は明確に文脈に反しない限り、開示及び特許請求される対象に包含される。
【0018】
参照を容易にするために、「マイクロエレクトロニクス装置」又は「半導体基材」は、半導体ウェハ、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリ装置、ソーラーパネル、並びにマイクロエレクトロニクス、集積回路又はコンピュータチップ用途のために製造されるソーラー基材、光電池及び微小電気化学システム(MEMS)を含む他の製品をいう。用語「マイクロエレクトロニクス装置」は、いずれの方法によるかを限定することを意味するものではなく、最終的にマイクロエレクトロニクス装置又はマイクロエレクトロニクス組立品となる任意の基材を含むと理解される。マイクロエレクトロニクス装置又は半導体基材は、低k誘電体材料、電池材料及び金属、例えばAl、Cu、SnAg合金、W、Ti、TiNと、それらの上の1つ又は複数の層、例えばポリイミド又はポリベンゾオキサゾール、Si及び他の材料を含む。
【0019】
「複合半導体装置」又は「複合マイクロエレクトロニクス装置」は、装置が、非伝導性基材上に存在する1つ以上の材料及び/又は層及び/又は層の部分を有することを意味する。材料は、高k誘電体及び/又は低k誘電体及び/又はバリア材料及び/又はキャップ材料及び/又は金属層及び/又は当業者が知る他のものを含む。
【0020】
本明細書において規定されるとき、「低k誘電体材料」は、積層されたマイクロエレクトロニクス装置における誘電体材料として使用される任意の材料であって、約3.5未満の誘電率を有する材料をいう。好ましくは、低k誘電体材料は、低極性材料、例えばケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機シリケートガラス(OSG)、TEOS、フッ化シリケートガラス(FSG)、二酸化ケイ素及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスを含む。低k誘電体材料は種々の密度及び種々の空隙率を有してよいと理解される。
【0021】
本明細書において規定されるとき、「高k誘電体材料」は、(二酸化ケイ素と比較した場合に)高い誘電率kを有する材料をいう。高k誘電体を使用して、マイクロエレクトロニクス装置の二酸化ケイ素ゲート誘電体又は別の誘電体層を置換することができる。高k材料は、二酸化ハフニウム(HfO2)酸窒化ハフニウム(HfON)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸化ハフニウムケイ素(HfSiO2)、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)、酸化ジルコニウムケイ素(ZrSiO2)、二酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム、Y2O3、La2O3、酸化チタン(TiO2)、アルミニウムドープ二酸化ハフニウム、ビスマスストロンチウムチタン(BST)又は白金ジルコニウムチタン(PZT)であってよい。
【0022】
本明細書において規定されるとき、用語「バリア材料」は、当分野において金属ライン、例えば銅相互接続をシールして、その金属、例えば銅の誘電体材料中への拡散を最小化するのに使用される任意の材料をいう。好ましいバリア層材料は、タンタル、チタン、チタンタングステン、ルテニウム、ハフニウム及び他の耐火金属並びにそれらの窒化物及びケイ化物を含む。
【0023】
本明細書において、「実質的に含有しない」は、略1wt%、より好ましくは略0.5wt%未満、最も好ましくは略0.2wt%未満として規定される。「実質的に含有しない」は、略0.0wt%も含む。用語「含有しない」は、0.0wt%を意味する。
【0024】
測定可能な数値変数に関連して使用されるとき、用語「約」または「略」は、示された変数の値、及び示された値の実験誤差(例えば平均についての95%信頼限界)内か、又は示された値のあるパーセンテージ(例えば±10%、±5%)内のいずれか大きい方にある全ての変数の値をいう。
【0025】
溶液の具体的な構成成分がゼロの下限を含む重量パーセントの範囲を参照して議論される全ての溶液において、このような構成成分は、溶液の種々の具体的な実施態様中に存在するか、又は存在していなくてよく、構成成分が存在する例において、それらは、このような構成成分が用いられる溶液の合計の重量に対して0.001wt%程度に低い濃度で存在していてよい。他に記載のない限り、構成成分の全ての規定される重量パーセントは、溶液の合計の重量に基づくことに注意せよ。さらに、他に記載のない限り、全ての重量パーセントは、溶液に添加されたときに構成成分が存在する水溶液を含まないことを意味する「無希釈」である。任意の「少なくとも1つ」の参照、「1つ又は複数」で代替することができる。「少なくとも1つ」及び/又は「1つ又は複数」は、「少なくとも2つ」又は「2つ以上」並びに「少なくとも3つ」及び「3つ以上」等を含む。
【0026】
開示及び特許請求されるエッチング溶液は、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
を含む。この実施態様のさらなる態様において、エッチング溶液は、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒を含む。
【0027】
さらなる実施態様において、エッチング溶液は、(i)水、(ii)少なくとも1つの酸化剤、(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源、(iv)少なくとも1つの多官能性酸、(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤、(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤、及び(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒から本質的になる。このような実施態様において、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(存在する場合には)(vii)を組み合わせた量は100wt%に等しくはなく、洗浄溶液の有効性を著しくは変化させない他の成分(例えば、水を含むさらなる1つ若しくは複数の溶媒、共通の添加物及び/又は不純物)を含んでよい。この実施態様のさらなる態様において、エッチング溶液は、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒を含む。
【0028】
さらなる実施態様において、エッチング溶液は、(i)水、(ii)少なくとも1つの酸化剤、(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源、(iv)少なくとも1つの多官能性酸、(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤、(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤、及び(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒からなる。このような実施態様において、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(存在する場合には)(vii)を組み合わせた量は略100wt%に等しいが、溶液の有効性を著しくは変化させない少ない量で存在する、他の少量及び/又は微量の不純物を含む。例えば、1つのこのような実施態様において、エッチング溶液は、2wt%以下の不純物を含有してよい。1つの他の実施態様において、エッチング溶液は1wt%以下の不純物を含有してよい。さらなる実施態様において、エッチング溶液は、0.05wt%以下の不純物を含有してよい。この実施態様のさらなる態様において、エッチング溶液は、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒を含む。
【0029】
wt%に関連して本明細書において説明されるエッチング溶液を参照するとき、いかなる場合も、必須ではない構成成分、例えば不純物、を含む全ての構成成分のwt%は、合計で100wt%を超えるとは理解されない。記載される成分から「本質的になる」溶液において、このような構成成分は、溶液の100wt%まで加えられるか、又は100wt%より少ない量まで加えられてよい。構成成分が100wt%まで加えられる場合、このような溶液は、幾つかの少量の不可欠ではない汚染物質又は不純物を含む。例えば、1つのこのような実施態様において、溶液は、2wt%以下の不純物を含有してよい、1つの他の実施態様において、リンスは、1wt%以下の不純物を含有してよい。さらなる実施態様において、溶液は、0.05wt%以下の不純物を含有してよい。他のこのような実施態様において、成分は、少なくとも90wt%、より好ましくは少なくとも95wt%、より好ましくは少なくとも99wt%、より好ましくは少なくとも99.5wt%、最も好ましくは少なくとも99.8wt%を形成してよく、湿式エッチング剤の性能に影響を与えない他の成分を含んでよい。その他に、有意な不可欠ではない不純物構成要素が存在しない場合、全ての不可欠な構成成分の溶液は本質的に合計で100wt%になると理解される。
【0030】
詳細な説明
先述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例証及び例示をするものであり、特許請求される対象を限定するものではない。開示される対象の対象物、特徴、利点及びアイデアは、本明細書において提供される説明から当業者にとって明らかとなり、開示される対象は、本明細書に見られる説明に基づいて、当業者にとって容易に実施可能となる。開示される対象を実施するための好ましいモードを示す任意の「好ましい実施態様」及び/又は例の説明は、説明の目的で含められており、特許請求の範囲を限定すると意図されるものではない。
【0031】
本明細書において開示される対象の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において説明される態様に基づいてどのように開示される対象が実施されるかにおいて種々の改造をすることができることもまた、当業者にとって明らかとなる。
【0032】
上記のとおり、開示及び特許請求される対象は、SiO2との良好な両立性を有する、ケイ素に対するケイ素-ゲルマニウムのマイクロエレクトロニクス装置からの選択的除去のために適したエッチング溶液であって、
(i)水;
(ii)少なくとも1つの酸化剤;
(iii)少なくとも1つのフッ化物イオン源;
(iv)少なくとも1つの多官能性酸;
(v)少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤;
(vi)少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤;及び
(vii)任意選択で、少なくとも1つの水混和性の有機溶媒
を含むエッチング溶液に関する。
【0033】
幾つかの実施態様において、本明細書において開示されるエッチング溶液は、無機塩基及び/又は第四級アンモニウム化合物を実質的に含有しないか、又は含有しないように配合され、第四級アンモニウム化合物は、第四級フッ化アンモニウム及び/又は第四級水酸化アンモニウムを含み、例えば、溶液は、以下:テトラメチルアンモニウムフッ化物、テトラエチルアンモニウムフッ化物、メチルトリエチルアンモニウムフッ化物及びテトラブチルアンモニウムフッ化物、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、メチルトリエチルアンモニウム水酸化物及び/又はテトラブチルアンモニウム水酸化物のうち1つ又は複数を含有しなくてよい。
【0034】
(i)水
上記のとおり、開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は水を含む。開示及び特許請求される対象において、水は種々の仕方で、例えば構成成分のキャリアとして、残余物の除去を促進するものとして、溶液の粘度調節剤として、及び希釈剤として、溶液の1つ又は複数の構成成分を溶解するように機能する。好ましくは、洗浄溶液において用いられる水は脱イオン(DI)水である。次の段落において説明される水の範囲は、任意の供給源からの、溶液中の水の全てを含む。
【0035】
ほとんどの適用について、溶液中の水の重量パーセントは、以下の数の群:0.5、1、5、10、15、20、25、30、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85及び90から選択される始点及び終点を有する範囲内で存在する。溶液において使用することができる水の範囲の例は、例えば、約0.5wt%~約90wt%、1wt%~約85wt%、約5.0wt%~約80wt%、約10wt%~約70wt%又は約40wt%~約80wt%の水を含む。開示及び特許請求される対象のさらに他の好ましい実施態様は、他の成分の所望の重量パーセントを達成する量で水を含む。
【0036】
1つの実施態様において、溶液は、約40wt%~約90wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約40wt%~約90wt%の水を含む。1つの実施態様において、約50wt%~約80wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約60~80wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約70wt%~約75wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約5wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約10wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約15wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約20wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約25wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約30wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約35wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約40wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約45wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約50wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約55wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約60wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約65wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約70wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約75wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約80wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約85wt%の水を含む。1つの実施態様において、溶液は、約90wt%の水を含む。
【0037】
(ii)酸化剤
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、酸化作用剤(酸化剤ともいう)を含む。酸化剤は、主に、対応する(すなわちゲルマニウム又はケイ素)酸化物を形成することによって、ケイ素-ゲルマニウム合金をエッチングするように機能する。酸化作用剤は、任意の適した酸化作用剤であってよい。適した酸化作用剤は、以下に限定するものではないが、1つ又は複数の過酸化物化合物、すなわち少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含む化合物を含む。適した過酸化物化合物は、例えばペルオキシド、ペルスルフェート(例えばモノペルスルフェート及びジペルスルフェート)、ペルカーボネート、及びそれらの酸、及びそれらの塩、及びそれらの混合物を含む。他の適した酸化作用剤は、例えば酸化ハロゲン化物(例えばヨウ化物、過ヨウ化物、及びそれらの酸、及びそれらの混合物等)、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過酸(例えば過酢酸、過安息香酸、それらの塩、それらの混合物等)、過マンガン酸、セリウム化合物、フェリシアン化物(例えばフェリシアン化カリウム)、それらの混合物等を含む。
【0038】
幾つかの実施態様において、酸化作用剤は、以下に限定するものではないが、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア及びそれらの混合物を含む。さらに他の実施態様において、酸化作用剤は、過酸化水素及び過酸化水素尿素を含む。幾つかの実施態様において、酸化作用剤は、過酸化水素を含む。
【0039】
幾つかの実施態様において、エッチング溶液中の酸化剤の重量パーセント(無希釈)は、以下の数の群:0.5、1、1.5、2、2.5、3、5、8、10、12、15、20、25、30、40、45、50、55及び60から選択される始点及び終点を有する範囲内である。幾つかの実施態様において、酸化剤は、溶液の約0.5wt%~約30wt%、約0.5wt%~約20wt%、約1.5wt%~約20wt%、wt%~約20wt%、3wt%~約15wt%、6wt%~約15wt%、6wt%~約20wt%又は3wt%~約20wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約3.0wt%~約20wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約5.0wt%~約30wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約5.0wt%~約20wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約10wt%~約20wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約10wt%~約15wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約10wt%~約30wt%の量で溶液中に存在する。1つの別の実施態様において、酸化剤は、約20wt%~約30wt%の量で溶液中に存在する。
【0040】
(iii)フッ化物イオン源
本開示のエッチング溶液は、1つ又は複数のフッ化物イオン源をさらに含む。フッ化物イオンは、主に、酸化剤の作用によって形成されたケイ素又はゲルマニウムの酸化物の除去を助けるように機能する。開示及び特許請求される対象によるフッ化物イオン源を提供する典型的な化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、第四級アンモニウムフッ化物、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び式:
R1NR2R3R4F
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれH又は(C1~C4)アルキル基を示す)を有する脂肪族の第一級、第二級又は第三級アミンのフッ化物塩である。典型的には、R1、R2、R3及びR4基中の炭素原子の合計の数は、12個以下である。脂肪族の第一級、第二級又は第三級アミンのフッ化物塩の例は、例えばフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチル鳥エチルアンモニウム及びフッ化テトラブチルアンモニウムである。
【0041】
フッ化物イオン源の選択において、フッ化物イオン源が、洗浄される表面に悪影響を与えるイオンを放出するか否かを考慮すべきである。例えば、半導体要素の洗浄において、洗浄溶液中にナトリウム又はカルシウムイオンが存在することは、要素の表面に対する悪影響を有する場合がある。幾つかの実施態様において、フッ化物イオン源は、フッ化アンモニウム又は二フッ化アンモニウムである。
【0042】
理論によって拘束されるものではないが、洗浄溶液中のフッ化物イオン源として使用される化合物は、多くの適用について、約0.01wt%~約8wt%若しくは約0.01wt%~約20wt%の40%フッ化アンモニウムの量で含まれるか、又はそれらに化学量論的に等価な量で含まれると考えられる。好ましくは、化合物は、約0.02wt%~約8wt%、より好ましくは約0.02wt%~約6wt%、さらにより好ましくは約1~約8wt%、最も好ましくは約0.025wt%~約5wt%の約40%フッ化アンモニウムを含む。幾つかの実施態様において、溶液は、約0.01wt%~約8wt%又は約0.01wt%~約7wt%のフッ化物イオン源を含み、それは40%フッ化アンモニウム溶液によって提供されてよい。好ましくは、化合物は、約0.02wt%~約6wt%のフッ化物イオン源、最も好ましくは約0.025wt%~約5wt%のフッ化物イオン源、約0.04wt%~約2.5wt%のフッ化物イオン源若しくは約0.02wt%~約1.5wt%のフッ化物イオン源、又は約0.05wt%~約15wt%の40%フッ化アンモニウムの溶液、最も好ましくは約0.0625wt%~約12.5wt%若しくは約0.1wt%~約6.25wt%の40%フッ化アンモニウムの溶液を含む。しかしながら、使用されるフッ化物イオンの量は、典型的には洗浄される特定の基材に依存すると理解される。例えば、特定の洗浄用途において、誘電体材料を含む洗浄基材がフッ化物エッチングに対して高い抵抗性を有するとき、フッ化物イオンの量は比較的多くてよい。反対に、他の用途において、フッ化物イオンの量は、例えば誘電体材料を含む洗浄基材がフッ化物エッチングに対して低い抵抗性を有するとき、比較的少なくあるべきである。
【0043】
明確にするために、フッ化物イオン源の添加のみに基づいて(無希釈で)、洗浄溶液中のフッ化物イオン源は、以下の重量パーセントのリスト:0.001、0.0016、0.002、0.0025、0.004、0.008、0.01、0.02、0.025、0.04、0.05、0.1、0.4、0.6、1、2、2.4、2.5、2.8、3.2、5、6、10、12、15及び20から選択される始点及び終点を有する範囲内の重量パーセントで含まれる。例えば、溶液中のフッ化物イオン源の量(無希釈)は、約0.004wt%~約3.2wt%又は約0.004wt%~約2.8wt%であってよい。溶液は、約0.008wt%~約3.2wt%、約0.008wt%~約2.4wt%、約0.4wt%~約3.2wt%、約0.01wt%~約2wt%、0.01wt%~約10wt%又は0.01wt%~約5wt%のフッ化物イオン源を含む。幾つかの実施態様において、溶液は、約0.004wt%~約3.2wt%のフッ化物イオン源を含む。溶液は、約0.001wt%~約2wt%、約0.0016wt%~約1wt%、約0.002wt%~約6wt%、約0.0025wt%~約5wt%又は約0.04wt%~約0.025wt%のフッ化物イオン源を含む。さらに他の実施態様において、溶液は、無希釈のフッ化物イオン源に基づいて、約0.05wt%~約20wt%、約0.1wt%~約15wt%、約0.1wt%~約20wt%、約0.01wt%~約20wt%、約0.1wt%~約10wt%、約0.1wt%~約5wt%、約0.6wt%~約12wt%、約1wt%~約20wt%、約1wt%~約15wt%又は約1wt%~約10wt%のフッ化物イオン源を含む。
【0044】
(iv)多官能性酸
エッチング溶液は、有機及び無機酸の両方を含む1つ又は複数の多官能性酸を含む。多官能性有機酸は、以下に限定するものではないが、(i)ジカルボン酸(例えばマロン酸、リンゴ酸等)、芳香族部分を有するジカルボン酸(例えばフタル酸等)及びそれらの組み合わせ;並びに(ii)トリカルボン酸(クエン酸等)、芳香族部分を有するトリカルボン酸(例えばトリメリット酸等)及びそれらの組み合わせを含む、1つ以上のカルボン酸基を有する酸又はマルチ酸をいう。多官能性無機酸は、酸-塩基反応において1分子当たり1つ以上のプロトンを失う能力を有する多プロトン酸(すなわち、H2SO4等の1分子当たり1つ以上のイオン化可能なH+原子を有する酸)をいう。
【0045】
1つの実施態様において、多官能性酸は、1つ又は複数の多官能性有機酸のみを含む(すなわち、多官能性無機酸を含まない)。1つの別の実施態様において、多官能性酸は、1つ又は複数の多官能性無機酸のみを含む(すなわち、多官能性有機酸を含まない)。1つの別の実施態様において、多官能性酸は、1つ又は複数の多官能性有機酸及び1つ又は複数の多官能性無機酸の両方を含む。
【0046】
多官能性有機酸
有用なジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を含む。
【0047】
幾つかの実施態様において、多官能性有機酸は、少なくとも3つのカルボン酸基を有する多プロトン酸である。このような酸は、少なくとも第二及び第三の解離定数を有していて、それぞれの解離定数は、そのそれぞれの先の定数よりも高い。このことは、第一のプロトンが1の負電荷のイオンから分離し、第二のプロトンが2の負電荷のイオンから分離するため、酸が第二のプロトンよりも第一のプロトンを失いやすいことを示す。理論によって拘束されるものではないが、2の負電荷は、プロトンを強く引き寄せて酸イオンに戻すと考えられる。類似の関係は、第二及び第三の分離されるプロトンとの間にも存在する。したがって、多官能性酸、例えば少なくとも3つのカルボン酸基を有する多官能性酸は、溶液のpHを制御するのに、特にそれらのより高いpKa値に対応するpHに制御するのに有用である。例えば、約5~約7のpKa値を有することに加えて、開示及び特許請求される対象の好ましい多プロトン酸は、複数のpKa値を有し、最も高いpKaは約3~約7である。
【0048】
開示及び特許請求される対象による少なくとも3つのカルボン酸基を有する多プロトン酸は、多水素溶媒と高い両立性を有する。好ましい多プロトン酸の例は、トリカルボン酸(例えばクエン酸、2-メチルプロパン-1,2,3-トリスカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸[ヘミメリット酸]、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸[トリカルバリル酸]、1,シス-2,3-プロペントリカルボン酸[アコニット酸]等)、テトラカルボン酸(例えばブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ-1,2,3,4-カルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸[ピロメリト酸]等)、ペンタカルボン酸(例えばベンゼンペンタカルボン酸)及びヘキサカルボン酸(例えばベンゼンヘキサカルボン酸[メリト酸])等を含む。これらの酸のそれぞれのpKa値を表1に示す。特定の好ましい多プロトン酸はトリカルボン酸を含み、クエン酸が最も好ましい。
表1
【表1】
【0049】
好ましい多プロトン酸であるクエン酸は、それぞれ三水素クエン酸イオン、二水素クエン酸イオン及び一水素クエン酸イオンに対応する3つのpKa:3.13、4.76及び6.40を有するトリカルボン酸である。開示及び特許請求される対象の特定の好ましい実施態様において、多官能性有機酸はクエン酸の塩を含み、とりわけ好ましい例は、クエン酸三アンモニウム(TAC)及びクエン酸の水溶液を含む。
【0050】
代わりの実施態様において、開示及び特許請求される対象の溶液において、(クエン酸について説明したものの)他の多官能性有機酸、それらのそれぞれの塩、一般にはそれぞれの多官能性酸のアンモニウム塩、例えばマロン酸及びマロン酸アンモニウム塩;シュウ酸及びシュウ酸アンモニウム塩;並びにコハク酸及びコハク酸アンモニウム塩等を使用することができる。
【0051】
多官能性無機酸
有用な多官能性無機酸(すなわち多プロトン酸)は、以下の表に記載されるもののうち1つ又は複数を含む。
表2
【表2】
【0052】
1つの実施態様において、多官能性無機酸はH3PO4を含む。
【0053】
開示及び特許請求される対象の溶液中の多官能性酸の量は、溶液の合計の重量に対して、以下:0.1、0.25、0.4、0.5、0.6、0.8、0.9、1、1.5、2、3、4及び5から選択される始点及び終点を有する任意の範囲内の重量パーセントであり、例えば溶液の約10wt%~約30wt%、約20wt%~約30wt%、約0.5wt%~約10wt%、約0.5wt%~約5wt%、約0.5wt%~約8wt%、約0.5wt%~約3wt%、約0.1wt%~5wt%、好ましくは0.25wt%~約3wt%、より好ましくは0.5wt%~2.0wt%である。1つの実施態様において、溶液中の多官能性酸の量は、約0.5wt%~約1.5wt%である。
【0054】
例えば、共役塩基は、溶液の合計の重量に対して、以下:0.1、0.25、0.4、0.5、0.6、0.8、0.9、1、1.5、2、3、4及び5から選択される始点及び終点を有する任意の範囲内の重量パーセントで溶液中に存在してよく、例えば溶液の約10wt%~約30wt%、約20wt%~約30wt%、約0.5wt%~約10wt%、約0.5wt%~約5wt%、約0.5wt%~約8wt%、約0.5wt%~約3wt%、約0.1wt%~5wt%、好ましくは0.25wt%~3wt%、より好ましくは0.5wt%~2.0wt%で存在してよい。幾つかの実施態様において、多官能性酸に対する共役塩基(例えばアンモニウム塩)が存在する場合、それは溶液中に存在する多官能性酸の量に対して、10:1~1:10の重量比で、又は5:1~1:5の重量比で存在してよい。
【0055】
好ましくは、開示されるエッチング溶液は酢酸である。幾つかの実施態様において、pHは約2~約7又は約4~約6.5である。
【0056】
(v)腐食抑制界面活性剤
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、少なくとも1つの腐食抑制界面活性剤を含む。腐食抑制界面活性剤は、エッチングからケイ素を保護するように機能する。本明細書において説明される溶液における使用のための界面活性剤は、以下に限定するものではないが、両性塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びそれらの組み合わせを含み、それらは、以下に限定するものではないが、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロデカン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデセニルコハク酸、ジオクタデシル水素ホスフェート、オクタデシルに水素ホスフェート、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸、モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ジュニペル酸、12ヒドロキシステアリン酸、ドデシルホスフェートを含む。
【0057】
考えられる非イオン性界面活性剤は、以下に限定するものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Emalmin NL-100(Sanyo)、Brij 30、Brij 98、Brij 35)、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド(DSDA、Sanyo)、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール(Tetronic 90R4)、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドベースのブロックコポリマー(Newpole PE-68(Sanyo)、Pluronic(登録商標) L31、Pluronic(登録商標) 31R1、Pluronic(登録商標) L61、Pluronic(登録商標) F-127)、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル(SN008S、Sanyo)、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton(登録商標) X100)、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン(TRITON(登録商標) CF-32)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐した(IGEPAL CO-250)、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐した(IGEPAL CO-890)、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、Tween(登録商標) 80及びSpan 80の組み合わせ、アルコールアルコキシレート(例えば、Plurafac RA-20)、アルキル-ポリグルコシド、エチルペルフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、SIS6952.0(Siliclad、Gelest)等のモノマー性オクタデシルシラン誘導体、PP1-SG10 Siliclac Glide 10(Gelest)等のシロキサン修飾されたポリシラザン、Silwet L-77(Setre Chemical Company)、Silwet ECO Spreader(Momentive)等のシリコーン-ポリエーテルコポリマー、並びにエトキシ化フルオロ界面活性剤(ZONYL(登録商標) FSO-100、ZONYL(登録商標) FSN-100)、SURFYNOL(登録商標)の一般取引名称で商業的に入手可能である非イオン性ポリオキシエチレン置換されたアセチレングリコール界面活性剤(例えばSURFYNOL(登録商標) 104、82、465及び485を含む。1つの好ましい界面活性剤はSURFYNOL(登録商標) 485である。
【0058】
考えられるカチオン性界面活性剤は、以下に限定するものではないが、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(Econol TMS-28、Sanyo)、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウムブロミド、セチルピリジウムクロリド一水和物、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化牛脂(tallow))ジメチルアンモニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、Aliquat(登録商標) 336及びオキシフェノニウムブロミド、グアニジンヒドロクロリド (C(NH2)3Cl)又はトリフレート塩、例えばテトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルゾイヘキサデシルアンモニウムブロミド及びジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド(例えばArquad 2HT-75、Akzo Nobel)、を含む。
【0059】
幾つかの実施態様において、カチオン性界面活性剤は、用いられる場合、ポリアルキレンイミンを含む。好ましくは、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)である。任意のPEIを使用することができるが、ホモポリマー性ポリエチレンイミンが用いられるのが好ましい。PEIは分岐鎖又は直鎖であってよいが、好ましくは分岐鎖である。
【0060】
使用されるPEIは、有効性のための任意の式量(FW)を有していてよいが、好ましくはPEIはより小さい式量(FW)を有する。1つの実施態様において、PEIは、100~50000、400~25000、800~10000又は1000~3000のFWを有する。
【0061】
1つの実施態様において、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)を含み、好ましくはPEIは、溶液の1wt%未満、好ましくは溶液の0.5wt%未満、0.25wt%未満又は約0.1wt%~約1wt%を占める。好ましくは、PEIは、100~2500、好ましくは200~1500、最も好ましくは400~1200の分子量を有する。
【0062】
好ましい実施態様において、ポリアルキレンイミンは、100~2500、200~1500、400~1200又は700~900の分子量を有する。800の分子量が特に適している。分子量は、当分野において公知である光散乱技術によって適切に決定される。
【0063】
ポリエチレンイミンは商業的に入手可能であり、例えばBASFによって供給されるLupasol(登録商標) 800である。
【0064】
考えられるアニオン性界面活性剤は、以下に限定するものではないが、アンモニウムポリアクリレート(例えばDARVAN 821A)、水中の改質されたポリアクリル酸(例えばSOKALAN CP10S)、ホスフェートポリエーテルエステル(例えばTRITON(登録商標) H-55)、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ナトリウムジヘキシルスルホサクシネート、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ナトリウム7-エチル-2-メチル-4-ウンデシルスルフェート(Tergitol 4)、SODOSIL RM02並びにphosphate fluorosurfactants such as Zonyl(登録商標) FSJ及びZONYL(登録商標) UR等のホスフェートフルオロ界面活性剤を含む。
【0065】
双性イオン性界面活性剤は、以下に限定するものではないが、アセチレンジオール又は改質されたアセチレンジオール(例えばSURFONYL(当炉気宇商標) 504)、コカミドプロピルベタイン、エチレンオキシドアルキルアミン(AOA-8、Sanyo)、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ナトリウムコカミンプロピネート(LebonApl-D、Sanyo)、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート及び(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートを含む。好ましくは、少なくとも1つの界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルホスホン酸、ドデシルホスフェート、TRITON(登録商標) X-100、SOKALAN CP10S、PEG 400及びPLURONIC(登録商標) F-127を含む。1つの実施態様において、好ましい界面活性剤は、エトキシ化アセチレンジオール、例えばSURFONYL(登録商標) 485である。
【0066】
幾つかの実施態様において、界面活性剤の混合物が、開示及び特許請求される対象の溶液において使用されてよい。例えば、開示及び特許請求される対象の溶液の幾つかにおいて、界面活性剤は、アセチレンジオール又は改質されたアセチレンジオールとポリアルキレンイミンとの混合物を含む。1つの実施態様において、溶液は、PEG-400、Lupasol(登録商標) 800及びSurfynol(登録商標) 485のうち2つ以上を含む。
【0067】
存在する場合には、界面活性剤は、溶液の合計の重量に対して約0.001wt%~約1wt%、好ましくは約0.1wt%~約1wt%の範囲の合計の量で存在する。代わりに、理論によって拘束されるものではないが、幾つかの適用について、存在する場合には、1つ又は複数の界面活性剤は、溶液の約0.1wt%~約15wt%、約0.1wt%~約10wt%、約0.5wt%~約5wt%、約0.1wt%~約1wt%又は約0.5wt%~約1wt%を占める。代わりの実施態様において、溶液中の界面活性剤の重量パーセントは、溶液の合計の重量に対して、以下:0.1、0.2、0.5、0.9、1、1.5、2、4、5、8、10、12及び15から選択される始点及び終点を有する任意の範囲内であってよい。
【0068】
(vi)シラン酸化ケイ素エッチング抑制剤
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤を含む。適した及び/又は好ましいシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤の例は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリエトキシ(エチル)シラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシ(オクチル)シラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチル(トリメトキシ)シラン、トリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ(オクタデシル)シラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチル(トリプロピル)シラン、エチル(トリプロピル)シラン及びプロピル(トリプロピル)シランを含む。
【0069】
1つの実施態様において、少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤は、ケイ酸を含む。
【0070】
1つの実施態様において、少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤は、式I:
【化1】
式I
(式中、(i)R
a及びR
bのそれぞれは-C
3H
6-であり、(ii)R
1、R
2、R
4及びR
5のそれぞれは-Hであり、(iii)m=0~20である)のケイ素含有化合物を含む。この実施態様の1つの態様において、式Iのケイ素含有化合物は以下の式を有する(以降「Si化合物」)。
【化2】
Si化合物1
【0071】
1つの実施態様において、少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤は、メチルトリメトキシシランを含む。
【0072】
開示及び特許請求される対象の溶液中の少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤の量は、溶液の全体の重量に対して、以下:0.1、0.25、0.4、0.5、0.6、0.8、0.9、1、1.5、2、3、4及び5から選択される始点及び終点を有する任意の範囲内であり、例えば溶液の約10wt%~約30wt%、約20wt%~約30wt%、約0.5wt%~約10wt%、約0.5wt%~約5wt%、約0.5wt%~約8wt%、約0.5wt%~約3wt%、約0.1wt%~5wt%、好ましくは0.25wt%~3wt%、より好ましくは0.5wt%~2.0wt%である。1つの実施態様において、溶液中の多官能性酸の量は約0.5wt%~約1.5wt%である。1つの実施態様において、溶液中の少なくとも1つのシラン酸化ケイ素エッチング抑制剤の量は約0.01wt%~約1.0wt%である。
【0073】
(vii)任意選択の水混和性の有機溶媒
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、任意選択で少なくとも1つの水混和性の有機溶媒を含んでよい。用いることができる水混和性の有機溶媒の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル(例えばDowanol DBの取引名称の下で商業的に入手可能である)、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、スルホラン又はそれらの混合物である。好ましい溶媒は、アルコール、ジオール又はそれらの混合物であってよい。幾つかの実施態様において、好ましい溶媒は、スルホラン又はスルホキシド、例えばジメチルスルホキシドであってよい。幾つかの実施態様において、好ましい溶媒はジオール、例えばプロピレングリコールである。他の実施態様において、好ましい溶媒はグリコールエーテルである。
【0074】
開示及び特許請求される対象の幾つかの実施態様において、水混和性の有機溶媒はグリコールエーテルを含む。グリコールエーテルの例は、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-ブタノール、2-メトキシ-1-ブタノール、2-メトキシ-2-メチルブタノール、1,1-ジメトキシエタン及び2-(2-ブトキシエトキシ)エタノールを含む。1つの実施態様において、少なくとも1つの水混和性の溶媒はプロピレングリコール(PG)を含む。1つの実施態様において、少なくとも1つの水混和性の溶媒はエチレングリコール(EG)を含む。1つの実施態様において、少なくとも1つの水混和し絵の溶媒はジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を含む。
【0075】
幾つかの実施態様において、開示及び特許請求される対象の溶液中の水混和性の有機溶媒は、グリコールエーテル、例えばブチルジグリコール又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルを含む。幾つかの実施態様において、好ましい溶媒は、アルコール、ジオール又はそれらの混合物であってよい。幾つかの実施態様において、好ましい溶媒は、ジオール、例えばプロピレングリコールである。他の実施態様において、好ましい溶媒は、グリコールエーテル、例えばジブチルグリコールである。幾つかの実施態様において、好ましい溶媒は、スルホラン又はスルホキシド、例えばジメチルスルホキシドであってよい。これらの混合物及び他の溶媒が使用されてもよい。
【0076】
多くの適用について、溶液中の水混和性の有機溶媒の量は、以下の重量パーセントのリスト:0.5、1、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、59.5、60、65、70、75及び80から選択される始点及び終点を有する範囲内であってよい。このような溶媒の範囲の例は、溶液の約0.5wt%~約59.5wt%、約1wt%~約50wt%、約1wt%~約40wt%、約0.5wt%~約30wt%、約1wt%~約30wt%、約5wt%~約30wt%、約5wt%~約15wt%、約7wt%~約12wt%、約7wt%~約80wt%、約20wt%~約60wt%、約10wt%~約50wt%、約10wt%~約45wt%、約10wt%~約35wt%、約15wt%~約50wt%又は約15wt%~約35wt%を含む。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約3wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約3wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約5wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約10wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約15wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約20wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約25wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約30wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約35wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約40wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約45wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約50wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約55wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約60wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約65wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約70wt%である。1つの実施態様において、溶液中の水混和性の有機溶媒は約75wt%である。
【0077】
他の任意選択の成分
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、以下の添加剤:キレート剤、化学修飾剤、染料、殺生物剤及び他の添加剤、のうち1つ又は複数をさらに含んでよい。1つ又は複数の添加剤は、溶液の性能に悪影響を及ぼさない範囲まで添加されてよい。
【0078】
エッチング溶液において使用することができる別の任意選択の成分は金属キレート剤であり、金属キレート剤は、溶液のキャパシティを増加させて、溶液中に金属を保持して、金属残余物の溶解を向上するように機能することができる。この目的のために有用なキレート剤の典型的な例は、以下の有機酸並びにそれらの異性体及び塩である:エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ブチレンジアミンテトラ酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)テトラ酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’N’-テトラ酢酸(DHPTA)、メチルイミノジ酢酸、プロピレンジアミンテトラ酢酸、ニトロトリ酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステイン。好ましいキレート剤は、アミノカルボン酸、例えばEDTA、CyDTA、及びアミノホスホン酸、例えばEDTMPである。
【0079】
理論によって拘束されるものではないが、キレート剤は、存在する場合、溶液の約0.1wt%~約10wt%の量で、好ましくは約0.5wt%~約5wt%の量で溶液中に存在すると考えられる。
【0080】
幾つかの実施態様において、開示及び特許請求される対象の溶液は、組成物に添加される上記のキレート剤のうちいずれか又は全てを含有しないか、又は実質的に含有しない。
【0081】
他の一般に公知の構成成分、例えば染料、殺生物剤等が、従来的な量で、例えば溶液の約5wt%の合計量以下で含まれてよい。
【0082】
幾つかの実施態様において、溶液は、以下:水酸化物、金属水酸化物、例えばKOH、LiOH又はNaOH、第四級水酸化アンモニウム、アルカノールアミン、窒素又は硫黄を含有する抑制剤、ヘテロ環状分子、例えばチアゾール、研削材、のうち1つ又は複数を実質的に含有しないか、又は含有しなくてよい。他の実施態様において、溶液は、1つ又は複数のフッ素含有化合物以外のハライド含有化合物を実質的に含入しないか、又は含有しない、例えば、以下:臭素、塩素又はヨウ素含有化合物のうち1つ又は複数を実質的に含有しないか、又は含有しなくてよい。他の実施態様において、溶液は、スルホン酸及び/又は硫酸及び/又は硝酸及び/又は塩酸を実質的に含有しないか、又は含有しなくてよい。他の実施態様において、溶液は、硫酸塩及び/又は硝酸塩及び/又は亜硫酸塩及び/又は亜硝酸塩を実質的に含有しないか、又は含有しなくてよい。他の実施態様において、溶液は、水酸化アンモニウム及び/又はエチルジアミンを実施的に含有しないか、又は含有しなくてよい。他の実施態様において、溶液は、ナトリウム含有化合物及び/又はカルシウム含有化合物及び/又はマンガン含有化合物又はマグネシウム含有化合物及び/又はクロム含有化合物及び/又は硫黄含有化合物を実質的に含有しないか、又は含有しなくてよい。
【0083】
他の一般的に公知である構成成分、例えば染料、殺生物剤等が、従来的な量で、例えば溶液の約5wt%の合計量以下で含まれてよい。
【0084】
典型的には、開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、構成成分を、全ての固形分が水ベースの媒体中に溶解するまで、室温で、容器中で、一緒に混合することによって調製される。
【0085】
性能
上記のとおり、開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、(i)ケイ素に対する、ケイ素-ゲルマニウムについての高いエッチングの選択性、及び(ii)酸化ケイ素に対する、ケイ素-ゲルマニウムについての高いエッチングの選択性を示す。
【0086】
開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は、ケイ素に対する、ケイ素-ゲルマニウムについての高いエッチングの選択性を示す。1つの実施態様において、選択性は約50より高い。1つの実施態様において、選択性は約65より高い。1つの実施態様において、選択性は約80より高い。1つの実施態様において、選択性は約100より高い。1つの実施態様において、選択性は約150より高い。1つの実施態様において、選択性は約200より高い。1つの実施態様において、選択性は約250より高い。1つの実施態様において、選択性は約300より高い。1つの実施態様において、選択性は約350より高い。1つの実施態様において、選択性は約400より高い。1つの実施態様において、選択性は約450より高い。1つの実施態様において、選択性は約500より高い。
【0087】
さらに、開示及び特許請求される対象のエッチング溶液は酸化ケイ素に対する、ケイ素-ゲルマニウムについての高いエッチングの選択性を示す。1つの実施態様において、選択性は約50より高い。1つの実施態様において、選択性は約65より高い。1つの実施態様において、選択性は約80より高い。1つの実施態様において、選択性は約100より高い。1つの実施態様において、選択性は約150より高い。1つの実施態様において、選択性は約200より高い。1つの実施態様において、選択性は約250より高い。1つの実施態様において、選択性は約300より高い。1つの実施態様において、選択性は約350より高い。1つの実施態様において、選択性は約400より高い。1つの実施態様において、選択性は約450より高い。1つの実施態様において、選択性は約500より高い。
【0088】
方法
1つの他の態様において、開示及び特許請求される対象は、ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロエレクトロニクス装置(複合半導体)において、ケイ素に対してケイ素-ゲルマニウムのエッチング速度を選択的に向上させる方法を提供する。方法は、
(a)ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムを含むマイクロエレクトロニクス(複合半導体)装置を、本明細書において説明されるエッチング溶液と接触させる工程;
(b)ケイ素-ゲルマニウムを少なくとも部分的に除去した後に、マイクロエレクトロニクス(複合半導体)装置をすすぐ工程;並びに
(c)任意選択で、マイクロエレクトロニクス装置を乾燥する工程
を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
さらなる態様において、方法は、乾燥する工程(c)を含む。「少なくとも部分的に除去」は、材料の少なくとも50%の除去、好ましくは少なくとも80%の除去を意味する。より好ましくは、ケイ素-ゲルマニウムの100%の除去が、開示及び特許請求される対象の溶液を使用して達成される。
【0089】
接触させる工程(a)は、任意の適した手法で、例えば浸漬、噴霧又は単一ウェハプロセスによって行うことができる。接触させる工程(a)の間の溶液の温度は、好ましくは約25℃~約100℃、より好ましくは約30℃~約50℃である。接触される時間は適した時間であってよいが、一般的には約1分~約60分である。
【0090】
すすぐ工程(b)は、任意の適した手法で行うことができ、例えば基材は、脱イオン水を用いて、浸漬又は噴霧技術によって行われてよい。好ましい実施態様において、すすぐ工程は、脱イオン水と、有機溶媒、例えばイソプロおピルアルコールとの混合物を用いて行うことができる。
【0091】
乾燥工程(c)は、任意の適した手法、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥、熱又は向心力によって行うことができる。
【0092】
方法において使用されるとき、開示及び特許請求される対象の溶液は、上記のエッチングの選択性を示す。
【0093】
特徴及び利点が、以下で議論される例示的な例によって、より十分に示される。
【実施例】
【0094】
例
ここでは、このような実施態様についてのサポートを提供する本開示及び実験結果のより具体的な実施態様を参照する。例は、開示される対象をより十分に例示するために以下に与えられるものであり、いかようにも開示される対象を限定するようには解釈されない。
【0095】
開示される対象の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書において提供される開示される対象及び具体的な例において、種々の変更及び変形をすることができることは、当業者にとって明らかである。したがって、以下の例によって提供される詳細を含む開示される対象は、任意の請求項の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある開示される対象の変更及び変形をカバーすることが意図される。
【0096】
材料及び方法
本特許出願において使用される全ての材料はSigma Aldrichから購入したものであるか、及び/又は入手可能なものであり、受け取ったままの配合物で使用した。
【0097】
エッチング試験を、250mLビーカー中で、1/2インチの周のTeflon(登録商標)撹拌バーセットを用いて、400rpmで行った。エッチング組成物を、ホットプレート上で、約45℃の温度に加熱した。試験クーポンを、撹拌しながら、約20分間、組成物中に浸漬した。
【0098】
次いで、セグメントを、3分間、DI水浴又は噴霧ですすぎ、続いてフィルタリングした窒素を使用して乾燥した。エッチングの前後に、ケイ素、酸化ケイ素及びケイ素-ゲルマニウムのエッチング速度(Å/分)を厚さの変化から推定し、分光エリプソメトリ(SCI FilmTek SE2000)によって測定した。典型的な開始層厚さは、Si及び酸化ケイ素について1000Åであり、SiGeについて1000Åであった。
【0099】
洗浄溶液を調製するための一般的な手順
この例の対象である全ての溶液を、250mLビーカー中で、1インチのTeflon(登録商標)コーティングした撹拌バーを用いて、構成成分を混合することによって調製した。典型的には、ビーカーに加える第一の材料は脱イオン(DI)水であり、続いて特定の順序によらない他の構成成分であった。典型的には、酸化剤(例えば過酸化水素)を使用の直前に添加する。
【0100】
溶液
表3は、SiGe及びSiOのエッチング速度に対する、種々のSi含有分子の効果を示している。表3において、例1は、Siに対するSiGeの高い選択性を有していた。しかしながら、例1は、高いSiO
2のエッチング速度を有していて、結果としてSiO
2に対するSiGeの低い選択性となる。ケイ酸及びSi化合物1等のSi含有分子の添加は、SiO
2のエッチング速度を有意に減少させた。しかしながら、SiGeエッチング速度も有意に減少した。メチルトリメトキシシランの添加は、特にSiO
2のエッチング速度を減少させ、一方でわずかにのみSiGeのエッチング速度を減少させた。
表3
【表3】
【0101】
多官能性酸としてクエン酸を使用したとき、メチルトリメトキシシランの添加もまた、SiGeのエッチング速度をほとんど明らかには変化させずに、SiO
2のエッチング速度を減少させた。Siのエッチング速度もまた、明らかには変化させず、非常に低かった。表4は、SiO
2に対するSiGeの選択性のための多官能性酸としてのクエン酸の使用を例示している。
表4
【表4】
【0102】
表5は、開示及び特許請求される対象によるエッチング溶液の1つの別の実施態様を示している。
表5
【表5】
【0103】
表6は、例8の配合物の使用に対する温度の効果を示している。示されているとおり、処理温度は酸化ケイ素及びケイ素のエッチング速度に対して有意な効果を有していなかったが、一方で、SiGeのエッチング速度は処理温度の上昇に伴って増加し、したがって、ケイ素及び酸化ケイ素に対するSiGeの選択性は増加した。
表6
【表6】
【0104】
表7は、50℃における例8の配合物の使用に対するH
2O
2濃度の効果を示している。示されているように、H
2O
2過酸化物濃度は、酸化ケイ素及びケイ素のエッチング速度に対して有意な効果を有していなかったが、一方で、SiGeのエッチング速度はH
2O
2濃度の増加に伴って増加し、したがって、ケイ素及び酸化ケイ素に対するSiGeの選択性は増加した。
表7
【表7】
【0105】
表8は、例8の配合物の使用に対する、SiGe合金中のGe濃度の効果を示している。結果は、SiGe合金中のGe濃度の増加に伴って、SiGeエッチング速度が明らかに増加し、したがって、ケイ素又は酸化ケイ素に対するSiGeの選択性は増加することを示している。
表8
【表8】
【0106】
表9は、開示及び特許請求される対象によるエッチング溶液の1つの他の実施態様を示している。
表9
【表9】
【0107】
結論
開示及び特許請求されるエッチング溶液は効果的な酸化ケイ素腐食抑制剤を用い、したがって、より高いHF濃度においてSiGeのエッチング速度を増加させることができ、ケイ素及び酸化ケイ素のエッチング速度は影響を受けない。Si0.75Ge0.25/Si複数層スタックを使用してナノシート分離を示すために、配合した配合物を使用し、160nm超の幅を有する場合に最小のSi損失で分離することができた。合理的な処理時間の範囲内で、犠牲層(5nm~25nmSiGe)は完全に除去され、Si、酸化ケイ素及び窒化ケイ素に対する明らかな損傷は見られない。配合物は、非常に低いSiO2のエッチング速度に起因する、SiO2に対するSiGeについての強い選択性を示す。
【0108】
開示及び特許請求される対象がある程度の具体性で説明されたが、開示は例示のためにのみされたものであり、開示及び特許請求される対象の趣旨及び範囲から逸脱することなく、条件及び工程の順序における多くの変更が当業者に想起され得ると理解される。したがって、開示及び特許請求される対象の範囲から逸脱することなく、種々の変更をすることができ、その要素を均等物で置換することができる。加えて、開示及び特許請求される対象の必須の範囲から逸脱することなく、開示及び特許請求される対象の教示に多くの変更をして、特定の条件又は材料に適合させることができる。加えて、詳細な説明において特定される全ての数値は、その正確な値及びそのおおよその値の両方が明示的に特定されているのと同様に解釈されるべきである。
【国際調査報告】