(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂
(51)【国際特許分類】
C08J 3/24 20060101AFI20240517BHJP
C08F 220/02 20060101ALI20240517BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240517BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C08J3/24 Z CER
C08F220/02
B01J20/30
B01J20/26 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572206
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 KR2022008709
(87)【国際公開番号】W WO2022265472
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079644
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080336
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074722
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サンウォン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヨル・パク
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユン・キム
【テーマコード(参考)】
4F070
4G066
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA29
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4J100JA19
4J100JA60
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂に関するものである。より具体的には、乾燥ステップの工程条件を制御して相対的に高い含水率のベース樹脂粉末を製造することにより、製造工程中での微粉発生を抑制し、かつ優れた吸収速度を具現可能な高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)と、
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を細粒化し、細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を製造するステップ(ステップ2)と、
前記混合物を100℃乃至250℃で、流動式(moving type)で乾燥して含水率が10重量%乃至30重量%であるベース樹脂粉末を形成するステップ(ステップ3)と、
表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を製造するステップ(ステップ4)と、を含む、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、
前記混合物を30rpm乃至300rpmの速度で回転する流動式乾燥機に投入して行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、
横形ミキサー(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)またはスチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)の流動式乾燥機を用いて行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、
30分乃至120分間行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)は、
内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して重合体を形成するステップ(ステップ1-1)と、
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1-2)と、を含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)は、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和するステップ(ステップ1-1’)と、
内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、前記少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1-2’)と、を含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記含水ゲル重合体を細粒化するステップ(ステップ2)は、
前記含水ゲル重合体を多数のホール(hole)が形成されている多孔板で押し出す方式で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記多孔板に形成されたホール大きさは0.1mm乃至30mmである、
請求項7に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記界面活性剤の少なくとも一部は、前記含水ゲル重合体の表面に存在する、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記界面活性剤は、下記の化学式1で表される化合物及びその塩で構成される群より選択される1種以上である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【化1】
前記化学式1において、
A
1、A
2及びA
3は、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化2】
であり、但し、これらのうち一つ以上は、カルボニルまたは
【化3】
であり、ここで、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して、1乃至8の整数であり、
【化4】
は、それぞれ隣接した酸素原子と連結され、
【化5】
は、隣接したR
1、R
2及びR
3とそれぞれ連結され、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素、炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1乃至9の整数である。
【請求項11】
前記表面架橋ステップ(ステップ4)は、
80℃乃至120℃で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記表面架橋ステップ(ステップ4)は、
30分乃至120分間行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記高吸水性樹脂粒子の含水率は3.0wt%乃至10.0wt%である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の製造方法によって製造される、
高吸水性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(等)との相互引用
本出願は、2021年6月18日付の韓国特許出願第10-2021-0079644号、2021年6月21日付の韓国特許出願第10-2021-0080336号及び2022年6月20日付の韓国特許出願第10-2022-0074722号に基づいた優先権の利益を主張して、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂に関するものである。より具体的には、乾燥ステップの工程条件を制御して相対的に高い含水率のベース樹脂粉末を製造することにより、製造工程中での微粉発生を抑制し、かつ優れた吸収速度を具現可能な高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自らの重量の5百乃至1千倍程度の水分を吸収可能な機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名称で命名されている。前記のような高吸水性樹脂は生理用品として実用化し始め、現在は園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における鮮度保持剤、及びしっぷ用などの材料に広く用いられている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は、主におむつや生理用ナプキンなど衛生材分野において広く用いられている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に広がった状態で含まれることが一般的である。しかし、最近では、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環としてパルプの含有量が減少するか、ひいてはパルプが全く用いられない所謂パルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に行われている。
【0005】
このように、パルプの含有量が減少するか、パルプが用いられない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、高吸水性樹脂粒子が衛生材内に不可避に多層に含まれる。このように多層に含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に多量の小便などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸収性能だけでなく、速い吸収速度を示す必要がある。
【0006】
このような高吸水性樹脂は一般的に、単量体を重合して多量の水分を含有する含水ゲル重合体を製造するステップ、およびこのような含水ゲル重合体の乾燥後に所望の粒径を有する樹脂粒子に粉砕するステップを経て製造される。しかし、前記のように含水ゲル重合体乾燥後に粉砕する工程を経る場合に多量の微粉が発生し、最終製造される高吸水性樹脂の物性を低下させるという問題がある。
【0007】
一方、高吸水性樹脂の含水率を向上させる場合、製品の破砕による微粉が減少し、製品の原価を下げることができ、吸収速度を向上させることができる。
【0008】
このような高含水率のメリットを得るために、従来は、表面架橋設備に追加の加水工程設備を設け、ここで水を投入していたが、追加設備であるため経済性が低く、水のみを単独で用いる時に、屑の生成によって物性が低下し、屑の生成の防止のために添加剤を用いる場合、この物質によって最終目的とする物性が低下するという問題があった。
【0009】
これを解決するために、追加の加水設備なしに含水率の高い製品を製造できる技術が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、重合された含水ゲル重合体を特定の条件下で、流動乾燥して相対的に高い含水率のベース樹脂粉末を製造することにより、多量の微粉発生なしに目的とする含水率範囲で制御が容易で、かつ優れた吸収速度を具現可能な高吸水性樹脂の製造方法及び高吸水性樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の一具現例によると、
内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)と、
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を細粒化し、細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を製造するステップ(ステップ2)と、
前記混合物を100℃乃至250℃で、流動式(moving type)で乾燥して含水率が10重量%乃至30重量%であるベース樹脂粉末を形成するステップ(ステップ3)と、
表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を製造するステップ(ステップ4)と、を含む、
高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明の一具現例によると、前述の高吸水性樹脂の製造方法によって製造される高吸水性樹脂を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法によると、含水ゲル重合体を乾燥するステップで、相対的に低い温度下で、流動式(moving type)で乾燥することによって、相対的に高い含水率のベース樹脂を製造し、工程中での微粉発生を抑制し、かつ優れた吸収速度を具現可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。
【0015】
単数の表現は、文脈上明らかに異に意味しない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴やステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0016】
第1、第2、第3などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用され、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0017】
本発明は、多様な変更を加えてもよく、様々な形態を有してもよいので、特定の実施例を例示し、下記で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0018】
(高吸水性樹脂の製造方法)
本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂の製造方法は、内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)と、界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を細粒化し、細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を製造するステップ(ステップ2)と、前記混合物を100℃乃至250℃で、流動式(moving type)で乾燥して含水率が10重量%乃至30重量%であるベース樹脂粉末を形成するステップ(ステップ3)と、表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を製造するステップ(ステップ4)と、を含む。
【0019】
本明細書に使用される用語「重合体」または「高分子」は水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、すべての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。
【0020】
また、用語「高吸水性樹脂粉末」は酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体が重合され、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含む、粒子状の物質を称する。
【0021】
また、用語「高吸水性樹脂」は文脈により酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された架橋重合体、または、前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)状のベース樹脂を意味するか、または、前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたことを全て包括するものと使用される。
【0022】
また、用語「架橋重合体」とは、前記水溶性エチレン系不飽和単量体と内部架橋剤との存在下で架橋重合されたことを意味し、前記「ベース樹脂粉末」とは、このような架橋重合体を含む物質を意味する。
【0023】
また、用語「微粉」は高吸水性樹脂粒子のうち150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法によって測定することができる。
【0024】
また、用語「チョッピング(chopping)」は乾燥効率を上げるために含水ゲル重合体をミリメートル単位の小さい片に切断することであり、マイクロメータまたは正常粒子水準まで粉砕することとは区別して使用される。
【0025】
また、用語「細粒化(micronizing、micronization)」は含水ゲル重合体を数十乃至数百マイクロメータの粒径に粉砕することであり、「チョッピング」とは区別して使用される。
【0026】
高吸水性樹脂は一般的に、単量体を重合して多量の水分を含有する含水ゲル重合体を製造するステップ、およびこのような含水ゲル重合体の乾燥後に所望の粒径を有する樹脂粒子に粉砕するステップを経て製造される。しかし、前記のように含水ゲル重合体乾燥後に粉砕する工程を経る場合に多量の微粉が発生し、最終製造される高吸水性樹脂の物性を低下させるという問題がある。
【0027】
そこで、高吸水性樹脂の含水率を向上させて微粉発生を減少させようとした。高含水率を具現するために、従来では表面架橋設備に追加の加水工程設備を設け、ここで水を投入していたが、追加設備であるため経済性が低く、水のみを単独で用いるとき、屑(くず)の生成によって物性が低下し、屑の生成の防止のために添加剤を用いる場合、この物質によって最終目的とする物性が低下するという問題があった。
【0028】
そこで、本発明者等は含水ゲル重合体を乾燥するステップで、相対的に低い温度下で、流動式(moving type)で乾燥して相対的に高い含水率のベース樹脂粉末を製造することにより、工程中での微粉発生を抑制し、かつ優れた吸収速度を具現可能なことを発見し、本発明を完成した。
【0029】
以下、各ステップ別に前記製造方法を詳しく説明する。
【0030】
(ステップ1:重合ステップ)
本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂の製造方法は、内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)を含む。
【0031】
前記ステップは、内部架橋剤、重合開始剤及び酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体混合物を含む単量体組成物を、熱重合または光重合して含水ゲル重合体を形成するステップである。
【0032】
前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常用いられる任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記の化学式2で表される化合物であってもよい。
【0033】
[化学式2]
R1-COOM1
【0034】
前記化学式2において、
R1は、不飽和結合を含む炭素数2乃至5のアルキル基であり、
M1は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0035】
好ましくは、前記単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。このように水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸またはその塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができるため、有利である。その他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体及びその塩と、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体と、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体及びその4級化物とからなる群より選択された1種以上を用いてもよい。
【0036】
本発明の一具現例によると、中和されていない酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を用いる場合、重合された重合体が酸性基を有し、これにより、重合ステップの後に中和ステップを含んでもよい。
【0037】
つまり、前記含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)は、内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して重合体を形成するステップ(ステップ1-1)と、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1-2)と、を含んで行われてもよい。
【0038】
酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)との混和性(miscibility)が高いため、単量体組成物で混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体は、常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度によって他の溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0039】
このように酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和された単量体より溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高いため、低い温度でも析出されず、よって低温で長時間重合を行うのに有利である。これにより前記酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体を用いて長時間重合を行い、より高分子量を有して分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0040】
また、より長い鎖の重合体形成が可能であり、重合や架橋化が不完全で架橋化していない状態で存在する水可溶成分の含有量が減るという効果を達成することができる。
【0041】
また、このように単量体の酸性基が中和されていない状態でまず重合を行って重合体を形成し、中和後に界面活性剤の存在下で微粒化して、微粒化と共に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、界面活性剤が前記重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を下げる役割を十分果たすことができる。
【0042】
前記内部架橋剤、重合開始剤及び酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体組成物のうち前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間及び反応条件などを考慮して適切に調節されてもよく、約20乃至約60重量%、または約20乃至約40重量%であってもよい。
【0043】
本発明の他の一具現例によると、重合ステップの前に酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和するステップを含んでもよい。
【0044】
つまり、前記含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和するステップ(ステップ1-1’)、及び内部架橋剤及び重合開始剤の存在下で、前記少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1-2’)を含んで行われてもよい。
【0045】
前記酸性基の中和ステップは、酸性基を中和させることができる中和剤と混合して行われ、中和剤の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が用いられてもよい。
【0046】
このとき、前記酸性基の中和度は、40乃至95モル%、または40乃至90モル%、または45乃至80モル%であってもよい。前記中和度の範囲は最終物性により異なることがあるが、中和度が過度に高いと表面架橋反応が十分に発生せず、加圧下吸収能(AUP)が減少するという問題が発生することがあり、逆に中和度が過度に低いと高分子の吸水性が大きく劣るだけでなく、取り扱い難い弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0047】
一方、本発明の一具現例によると、前記含水ゲル重合体を形成するステップ(ステップ1)が、重合後(ステップ1-1)に中和するステップ(ステップ1-2)で行われる場合には、前記中和ステップは、後述する含水ゲル重合体の細粒化ステップと順次に、同時または交差して行われてもよい。
【0048】
つまり、重合体に中和剤を噴射して重合体の酸性基をまず中和させた後、中和された重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された混合物を細粒化するか、重合体に界面活性剤を混合した混合物を細粒化した後、中和剤を投入して中和するか、または重合体に中和剤と界面活性剤とを同時に投入して重合体に対して中和及び細粒化を行ってもよい。
【0049】
一方、重合体全体に対する均一な中和のために中和剤の投入と細粒化工程の間には一定の時間差をつけることが好ましい。
【0050】
このような方法で得られた含水ゲル重合体は、含水率が40重量%乃至80重量%であってもよい。好ましくは、45重量%以上、50重量%以上で、かつ75重量%以下、または70重量%以下であってもよい。前記含水ゲル重合体の含水率が過度に低い場合、以降の細粒化ステップで適切な表面積を確保することが難しく、効果的に細粒化しないことがあり、前記含水ゲル重合体の含水率が過度に高い場合、以降の細粒化ステップで受ける圧力が増加して所望の粒度まで粉砕させ難いことがある。
【0051】
一方、本明細書全体において、「含水率」は全体含水ゲル重合体重量に対して占める水分の含有量であって、含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じてクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で、重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値として定義する。このとき、乾燥条件は、常温で約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式であり、総乾燥時間は、温度上昇ステップ5分を含めて40分に設定して含水率を測定する。
【0052】
本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語であって、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合間に架橋結合を導入して、架橋構造を含む重合体を形成する役割を果たす。
【0053】
前記ステップでの架橋は、表面または内部に問わず行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂粒子の表面は表面架橋剤によって新しく架橋された構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造をそのまま維持することもできる。
【0054】
前記内部架橋剤としては、i)多官能アクリレート系化合物、ii))多官能アリル系化合物、またはiii)多官能ビニル系化合物のうち1種以上を含んでもよい。
【0055】
多官能アクリレート系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メト)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メト)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(タ)アクリレート、及びグリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、本発明では、これらを単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0056】
多官能アリル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールジアリルエーテル、ジペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、及びグリセリントリアリルエーテルなどが挙げられ、本発明では、これらを単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0057】
多官能ビニル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールジビニルエーテル、ジペンタエリトリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、及びグリセリントリビニルエーテルなどが挙げられ、本発明では、これらを単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0058】
前述の多官能アクリレート系化合物は、分子内に含まれる2以上のアクリレート基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合し、重合過程で架橋構造を形成することができる。
【0059】
また、前述の多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合し、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、前述の重合反応後の中和過程でも架橋結合を安定的に維持することができる。
【0060】
これにより、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高くなり、重合後の吐出過程で工程安定性が高くなり得る。
【0061】
前記内部架橋剤の総含有量は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01乃至5重量部で用いられてもよい。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部、または0.45重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.7重量部以下で用いられてもよい。上記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず、適正水準以上の強度の具現が難しいことがあり、上記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなり所望の保水能の具現が難しいこともある。
【0062】
このような内部架橋剤を用いて形成された重合体は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合され形成された主鎖が、前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網状構造を有する。このように、重合体が3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されていない2次元線状構造を有する場合に比べて、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸収能を顕著に向上させることができる。
【0063】
また、前記単量体組成物には、高吸水性樹脂の製造に一般的に用いられる重合開始剤が含まれてもよい。非制限的な例として、前記重合開始剤としては、重合方法によって熱重合開始剤または光重合開始剤などが用いられてもよい。ただし、光重合方法によっても紫外線照射などによって一定量の熱が発生し、また発熱反応である重合反応の進行によって、ある程度の熱が発生するので、熱重合開始剤がさらに含まれてもよい。
【0064】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)及びアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択された一つ以上の化合物が用いられてもよい。そのうちの一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートなどが挙げられる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著書の「UV Coatings:Basics、Recent Developments and New Application(Elsevier、2007)」の115ページに詳しく開示されており、前述の例に限定されない。
【0065】
そして、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、及びアスコルビン酸からなる群より選択された一つ以上の化合物が用いられてもよい。具体的に、過硫酸塩系開始剤としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などが挙げられる。また、アゾ(Azo)系統開始剤としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などが挙げられる。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書の「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」の203ページに開示されており、これを参照することができる。参考までに、後述するように、重合ステップがバッチ式反応器で行われる場合、熱重合方法を用いることによって前記重合開始剤は、前述の熱重合開始剤が用いられてもよい。
【0066】
このような重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.001乃至1重量部の濃度で添加されてもよい。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品には残存モノマーが多量に抽出されることがあって、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が過度に高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸収能が低くなるなど樹脂の物性が低下することがあって、好ましくない。
【0067】
一方、本発明の一具現例では、前記重合開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤と共に投入して重合を開始することができる。
【0068】
具体的には、前記重合開始剤と還元剤とは、重合体溶液に投入されたとき、互いに反応してラジカルを形成する。
【0069】
形成されたラジカルは単量体と反応することになり、前記重合開始剤と還元剤間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の重合開始剤および還元剤だけが投入されても重合が開始され、工程温度を高める必要がないため低温重合が可能であり、重合体溶液の物性変化を最小化させることができる。
【0070】
前記酸化-還元反応を用いた重合反応は、常温(25℃)付近またはその以下の温度でも円滑に起きることができる。一例として、前記重合反応は5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われてもよい。
【0071】
本発明の一具現例で、前記重合開始剤として過硫酸塩系開始剤を用いる場合、還元剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)(FeSO4);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO4/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群より選択された1種以上が用いられてもよい。
【0072】
一例として、重合開始剤として過硫酸カリウムを用い、還元剤としてジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートを用いるか;開始剤として過硫酸アンモニウムを用い、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを用いるか;開始剤として過硫酸ナトリウムを用い、還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを用いてもよい。
【0073】
本発明の他の一具現例で、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を用いる場合、還元剤は、アスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(Na2SO3);メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO4/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);ジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルホアセテート(Disodium 2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0074】
その他にも、前記単量体組成物には、必要に応じて増粘剤、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤がさらに含まれてもよい。
【0075】
そして、このような単量体組成物は、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体、重合開始剤、内部架橋剤などの原料物質が溶媒に溶解した溶液の形態で準備されてもよい。
【0076】
このとき、使用可能な溶媒としては、前述の原料物質を溶解可能なものであればその構成の限定なく用いられてもよい。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミドまたはこれらの混合物などが用いられてもよい。
【0077】
本発明の一具現例によると、前記単量体組成物に対して重合を行って重合体を形成するステップは、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われてもよい。
【0078】
通常の高吸水性樹脂の製造方法で重合方法は、重合エネルギー源によって大きく熱重合および光重合に分かれ、通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われてもよく、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われるか、底が平たい容器で行われてもよい。
【0079】
一方、前記のような重合方法は、概して短い重合反応時間(例えば、約1時間以下)により重合体の分子量が大きくなく広い分子量分布を有する重合体が形成される。一方、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器または底が平たい容器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状の重合体が得られ、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量によって異なるが、通常、約0.5乃至約5cmの厚さで得られる。
【0080】
ところで、シート上の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低いため好ましくなく、生産性のためにシート上の重合体の厚さを厚くする場合には、重合反応が全体厚さにかけて均等に起こらず、高品質の重合体を形成することが難しくなる。
【0081】
また、前記コンベヤーベルトを備えた、撹拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しつつ新たな単量体組成物が反応器に供給され、連続式で重合が行われるので重合率が互いに異なる重合体が混ざることになり、これにより単量体組成物全体で均一な重合が行われ難く、全体的な物性低下が起きることがある。
【0082】
しかし、前述のように、本発明の一具現例に係るバッチ式反応器で、静置式(fixed-bed type)で重合を行うことにより、重合率が異なる重合体が混ざる恐れが少なく、これにより均一な品質を有する重合体が得られる。
【0083】
また、前記重合ステップは、所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤーベルトを備えた反応器で、連続式で重合を行う場合より長時間、例えば3時間以上の間重合反応を行う。このような長時間の重合反応時間にもかかわらず、バッチ式反応器の容量を調節してコンベヤーベルトを備えた反応器より多い容量の単量体組成物を受容できるので、全体的な生産性も維持することができる。
【0084】
一方、前記のようにバッチ式反応器での重合は、熱重合方法を用いることによって前記重合開始剤は、前述の熱重合開始剤が用いられてもよい。
【0085】
(ステップ2:細粒化ステップ)
次に、界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を細粒化し、細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を製造するステップ(ステップ2)を含む。
【0086】
前記ステップは、界面活性剤の存在下で、前記重合体を微粒化するステップであって、前記重合体をミリメートルの大きさでチョッピングすることではなく、数十乃至数百マイクロメータの大きさでの微粒化と凝集が同時に行なわれるステップである。つまり重合体に適切な粘着性を付与することによって数十乃至数百マイクロメータの大きさに微粒化された1次粒子が凝集された形状の2次凝集粒子を製造するステップである。このようなステップで製造された2次凝集粒子である含水高吸水性樹脂粒子は正常粒度分布を有すると共に表面積が大きく増加して吸収速度を顕著に改善させることができる。
【0087】
本発明の一具現例によると、前記界面活性剤は、前記化学式1で表される化合物及びその塩で構成される群より選択される1種以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0088】
【0089】
前記化学式1において、
A1、A2及びA3は、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0090】
【0091】
であり、但し、これらのうち一つ以上は、カルボニルまたは
【0092】
【0093】
であり、ここで、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して、1乃至8の整数であり、
【0094】
【0095】
は、それぞれ隣接した酸素原子と連結され、
【0096】
【0097】
は、隣接したR1、R2及びR3とそれぞれ連結され、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1乃至9の整数である。
【0098】
前記界面活性剤は、重合体と混合され、細粒化(チョッピング)ステップが凝集現象なしに容易に行われるように添加される。
【0099】
前記化学式1で表される界面活性剤は非イオン性の界面活性剤であって、未中和の重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れており、これにより目的とする凝集制御効果を具現するのに適している。これに対し、非イオン性界面活性剤ではなく、陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、Na2SO4などの中和剤で中和された重合体と混合される場合、重合体のカルボキシ基の置換基にイオン化しているNa+イオンを媒介として吸着され、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシ基の置換基の陰イオンとの競争により重合体に対する吸着効率が相対的に低下するという問題がある。
【0100】
具体的には、前記化学式1で表される界面活性剤で疎水性作用基は、末端作用基であるR1、R2、R3部分(水素ではない場合)であり、親水性作用基は、鎖内のグリセロール由来の部分と、末端の水酸基(Anが単結合であり、同時にRnが水素である場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来の部分と末端の水酸基とは親水性作用基であって、重合体表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これにより、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0101】
前記化学式1において、疎水性作用基であるR1、R2、R3部分(水素ではない場合)は、それぞれ独立して、炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルキルまたは炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルケニルである。このとき、R1、R2、R3部分(水素ではない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖長さが短いため、粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R1、R2、R3部分(水素ではない場合)が炭素数18超過のアルキルまたはアルケニルの場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少して重合体と効果的に混合されないことがあり、界面活性剤の費用上昇によって組成物の単価が高くなるという問題があり得る。
【0102】
好ましくは、R1、R2、R3は、水素であるか、または炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルキルの場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドテカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであってもよく、または炭素数6乃至18の直鎖または分枝鎖のアルケニルの場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであってもよい。
【0103】
前記界面活性剤は、下記の化学式1-1乃至化学式1-14で表される化合物から選択されてもよい。
【0104】
【0105】
一方、前記界面活性剤は、前記重合体100重量部に対して0.01乃至10重量部で用いられてもよい。前記界面活性剤が過度に少なく用いられる場合、前記重合体表面に均等に吸着されないため、粉砕後に粒子の再凝集現象が生じることがあり、前記界面活性剤が過度に多く用いられる場合、最終製造された高吸水性樹脂の諸物性が低下することがある。例えば、前記界面活性剤は、前記重合体100重量部に対して0.01重量部以上、0.015重量部以上、または0.1重量部以上で、かつ5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で用いられてもよい。
【0106】
このような界面活性剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均等に混合できる方法であれば、特に限定されず、適切に採択して用いてもよい。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解された後に溶液状態で混合するか、または、前記界面活性剤を溶融させた後に混合してもよい。
【0107】
このうち、例えば、前記界面活性剤は、溶媒に溶解された溶液状態で混合されてもよい。このとき、溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒に制限されることなく、すべての種類を用いてもよいが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考慮すると、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記界面活性剤と重合体を反応槽に入れて混合するか、ミキサーに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに重合体と溶液とを連続的に供給して混合する方法などを用いてもよい。
【0108】
一方、本発明の一具現例によると、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させるステップ(ステップ2)と、界面活性剤の存在下で、前記重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造すするステップ(ステップ3)は、順次にまたは交互に、または同時に行なわれてもよい。
【0109】
つまり、重合体に中和剤を投入して、まず酸性基を中和させた後、中和した重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された重合体を微粒化するか、重合体に中和剤と界面活性剤とを同時に投入して重合体に対して中和および微粒化を行ってもよい。または、界面活性剤を先に投入し、中和剤を以降に投入してもよい。または、中和剤と界面活性剤とを交差して交互に投入してもよい。または、界面活性剤を先に投入して微粒化した後、中和剤を投入して中和し、中和した含水ゲル重合体に追加的に界面活性剤をさらに投入して微粒化工程をさらに行ってもよい。
【0110】
一方、重合体全体に対する均一な中和のために中和剤の投入と微粒化工程の間には一定の時間差をつけることが好ましい。
【0111】
前記界面活性剤の少なくとも一部乃至相当量は、前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在することがある。
【0112】
ここで、前記界面活性剤が含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在するという意味は、前記界面活性剤の少なくとも一部または相当量が前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合されていることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は、前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着されていてもよい。より具体的には、前記界面活性剤の親水性作用基は、前記高吸水性樹脂の表面の親水性の部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)などの分子間の力によって物理的に吸着されていてもよい。このように、前記界面活性剤の親水性部分は、前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着されて表面を囲み、界面活性剤の疎水性の部分は樹脂粒子の表面に吸着されないので、樹脂粒子は一種のミセル(micelle)構造の形態として界面活性剤がコーティングされていてもよい。これは、前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されることではなく、重合体形成以降の微粒化ステップで投入されるためであり、前記界面活性剤が重合工程中に投入され、重合体内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて、界面活性剤としての役割を忠実に果たすことができ、粉砕と凝集とが同時に起こり、微細粒子が凝集された形態で表面積の大きい粒子を得ることができる。
【0113】
一方、本発明の一具現例によると、前記含水ゲル重合体を細粒化するステップ(ステップ2)は、多数のホールが形成された多孔板で押し出す方式で行われてもよい。
【0114】
具体的には、前記細粒化ステップは、多数のホール(hole)が形成された多孔板が備えられた細粒化装置を用い、界面活性剤と混合された含水ゲル重合体を前記多孔板で押し出す方式で行われてもよい。
【0115】
好ましくは、前記微粒化装置は、内部に含水ゲル重合体が移送される移送空間を含むボディー部と、前記移送空間の内部に回転可能に設けられ、含水ゲル重合体を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、前記ボディー部に設けられ、前記含水ゲル重合体を粉砕するカッター部材と、前記カッター部材によって粉砕された前記含水ゲル重合体を前記ボディー部の外部に排出して、多数のホール(hole)が形成された多孔板と、を含んでもよい。
【0116】
好ましくは、前記カッター部材は、多孔板及び多孔板と隣接してボディー部の出口側に配置されるカッティングナイフを含んでもよく、前記混合物が多孔板を通過した後に、カッティングナイフによって粉砕されて細粒化してもよい。
【0117】
前記カッター部材は、複数個の多孔板及び複数個のカッティングナイフを含んでもよい。
【0118】
前記多孔板に形成されたホールの大きさは0.1mm乃至30mmであってもよく、好ましくは、0.5mm乃至25mm、1mm乃至20mm、1mm乃至10mmであってもよい。前記ホールの大きさを有する多孔板を用いることにより、目的とする程度の粒径を有する細粒化した含水ゲル重合体粒子を製造することができる。一方、前記カッター部材が複数個の場合、それぞれのカッター部材の多孔板に形成されたホールの大きさはそれぞれ独立して前述の範囲を満足することができる。
【0119】
一方、本発明の一具現例によると、前記含水ゲル重合体を細粒化するステップ(ステップ2)は、複数回行われてもよく、好ましくは1回乃至6回または1回乃至4回で行われてもよい。
【0120】
前記複数回で行われる細粒化ステップは、複数個のカッター部材を含む単一の細粒化装置を用いるか、複数個の細粒化装置を用いて行うか、または複数個の細粒化装置のうち一つ以上が複数個のカッター部材を含む細粒化装置を用いて行われてもよい。前記複数回の細粒化ステップで用いられるそれぞれの多孔板のホールの大きさは互いに同一であるか異なってもよい。
【0121】
好ましくは、前記細粒化するステップが2回行われる場合、1次細粒化ステップ及び2次細粒化ステップは、1次細粒化した含水ゲル重合体の粒子がよりさらに小さい平均粒径を有するように2次細粒化してもよい。
【0122】
一方、本発明の一具現例によると、前述の重合ステップで単量体の酸性基が中和されていない状態で重合をまず行い、含水ゲル状態でない重合体を形成し中和して含水ゲル重合体を形成する場合、細粒化するステップで、界面活性剤が重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を下げ、含水ゲル重合体の凝集を効果的に制御することができる。また、単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を行うと、より長い鎖の重合体形成が可能であり、重合や架橋化が不完全で架橋化されない状態で存在する水可溶成分の含有量が減るという効果を達成することができる。
【0123】
この場合、中和されていない酸性基を含む重合体に中和剤を噴射して重合体の酸性基をまず中和させた後、中和された重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された混合物を細粒化するか、重合体に界面活性剤を混合した混合物を細粒化した後、中和剤を投入して中和するか、または重合体に中和剤と界面活性剤とを同時に投入して重合体に対して中和及び細粒化を行ってもよい。
【0124】
(ステップ3:流動式(moving type)乾燥ステップ)
次に、前記細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を100℃乃至250℃で、流動式(moving type)で乾燥して含水率が10重量%乃至30重量%であるベース樹脂粉末を形成するステップ(ステップ3)を含む。
【0125】
通常の高吸水性樹脂の製造方法で、前記乾燥ステップは、ベース樹脂粉末の含水率が10重量%未満になるまで行うことが一般的である。しかし、本発明は、界面活性剤の存在下で、細粒化ステップを行うことによって、細粒化した含水高吸水性樹脂の凝集が制御され、乾燥される高吸水性樹脂粒子の含水率が10重量%乃至30重量%を満足するように乾燥して行われる。本発明は、界面活性剤の存在下で、細粒化ステップを行うことによって、ベース樹脂粉末が前述の範囲で相対的に高含水率を有するように乾燥されても、ベース樹脂粉末間の凝集が最小化されないことがあり、これにより、後行する工程中での微粉発生を根本的に防止することができ、最終製造される高吸水性樹脂の吸収速度を向上させることができるので、好ましい。
【0126】
前記ベース樹脂粉末の含水率が10重量%未満の場合、微粉発生を効果的に制御し難く、最終製造される高吸水性樹脂の含水率を高めるために後行する表面架橋工程などで加水工程が必須的に必要となるという問題がある。また、含水率が30重量%を超える場合、一部凝集が発生する恐れがあり、これにより追加的な粉砕工程が必要となることがある。
【0127】
前記乾燥ステップは、100℃乃至250℃の比較的に低温で、流動式(moving type)で乾燥する方式で行われる。このような流動式(moving type)乾燥は、静置式(fixed-bedtype)乾燥とは乾燥される間の物質の流動の有/無によって区分し、乾燥させようとする粉砕物内の細粒化した含水ゲル重合体樹脂粒子間の凝集現象を防止し、短時間内で乾燥を完了することができるため、好ましい。
【0128】
前記流動式(moving type)乾燥は、乾燥体を機械的に撹拌しながら乾燥させる方式を称する。このとき、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同一であってもよく、異なっていてもよい。または、物質は、乾燥機の内部で循環し、乾燥機の外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて物質を乾燥させてもよい。これに対し、静置式(fixed-bedtype)乾燥は、空気が通過できる多孔鉄板のような底に乾燥させようとする物質を停止した状態で、下から上に熱風が物質を通過して乾燥させる方式を称する。
【0129】
前記流動式乾燥ステップの乾燥温度が100℃未満の場合、乾燥時間が過度に長くなることがあり、乾燥されない重合体による粒度上向、粉砕及び分級工程ができなくなる恐れがあり、前記乾燥温度が250℃を超える場合、重合体表面だけ乾燥され、目的とする程度の含水率を具現し難く、目的とする含水率を具現するために乾燥時間を短くする場合、内部が円滑に乾燥されないことがある。前記乾燥温度は、好ましくは、100℃乃至150℃、100℃乃至140℃、100℃乃至130℃、または110℃乃至130℃で行われてもよい。前記範囲内で前述の問題なく最終高吸水性樹脂の含水率を目的とする範囲で制御することができ、最終製造される高吸水性樹脂の吸収速度を向上させることができるので、好ましい。
【0130】
一方、前記乾燥温度は、用いられる流動式乾燥装置の乾燥物が投入される内部駆動温度であってもよく、これは、乾燥機の外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて調節されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0131】
一方、前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、前記混合物を30rpm乃至300rpmの速度で回転する流動式乾燥機に投入して行われてもよい。例えば、前記の速度範囲で回転する流動式乾燥機の内部に細粒化した含水ゲル重合体を含む混合物を投入し、乾燥機の外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させ、前述の温度範囲で混合物を乾燥する方式で行われてもよい。
【0132】
前記回転速度が30rpm未満の場合、乾燥時間が過度に長くなることがあり、円滑な流動が発生せず、均一な乾燥が難しい恐れがあり、前記回転速度が300rpmを超える場合、重合体と乾燥機の内部との摩擦増加による粒子破砕の問題が発生し得る。好ましくは、50rpm乃至250rpm、55rpm乃至200rpmまたは60rpm乃至100rpmの回転速度で行われてもよい。前記範囲内で前述の問題なく最終高吸水性樹脂の含水率を目的とする範囲で制御することができ、最終製造される高吸水性樹脂の吸収速度を向上させることができる。
【0133】
前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、一般的に用いられる流動式乾燥機が特別な制限なく用いられてもよく、例えば、横形ミキサー(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)またはスチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)の流動式乾燥機を用いて行われてもよい。
【0134】
一方、前記流動式で乾燥するステップ(ステップ3)は、30分乃至120分間行われてもよく、乾燥させようとする粉砕物内の細粒化した含水ゲル重合体樹脂粒子間の凝集現象が少ないため、相対的に低い温度で短時間の間乾燥ステップが行われる。
【0135】
前記乾燥ステップは、好ましくは30分乃至90分または40分乃至60分間行われてもよく、前述の低温条件で、このように短時間の間乾燥工程が行われても、粒子間の含水率の不均一性の問題なく高含水率及び優れた吸収速度を有する高吸水性樹脂を製造することができる。
【0136】
本発明の一具現例において、前述の条件で、流動式乾燥工程を経て製造されるベース樹脂粉末の平均粒径は、50μm乃至600μmであってもよく、好ましくは、100μm乃至500μm、200μm乃至500μm、150μm乃至450μm、または200μm乃至400μmであってもよい。前記粒径範囲を満足することによって、重合体を1次粒子が凝集された形態の2次粒子として製造し、以降、よりマイルドな条件で粉砕及び乾燥工程が行われることによって工程中で発生する微粉発生量を顕著に減らすことができる。
【0137】
本発明において、平均粒径「Dn」は、粒子の大きさによる粒子個数累積分布のn%地点での粒子の大きさまたは粒子直径を意味する。つまりD50は、粒子の大きさによる粒子個数累積分布の50%地点での粒子の大きさを示し、D90は、粒子の大きさによる粒子個数累積分布の90%地点での粒子の大きさを示し、D10は、粒子の大きさによる粒子個数累積分布の10%地点での粒子の大きさを示す。前記Dnは、レーザ回折法(laser diffraction method)などを用いて測定することができる。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザ回折粒子大きさ測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して、粒子がレーザビームを通過するときに粒子の大きさによる回折パターン差を測定して粒子の大きさ分布を算出する。測定装置における粒子の大きさによる粒子個数累積分布の10%、50%及び90%となる地点での粒子の大きさを算出することによって、D10、D50及びD90を測定することができる。
【0138】
(ステップ4:表面架橋ステップ)
次に、本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂の製造方法は、表面架橋存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を製造するステップ(ステップ4)を含む。
【0139】
前記表面架橋ステップは、表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面に架橋反応を誘導することで、架橋されずに表面に残っていた水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合が前記表面架橋剤によって架橋されることになり、表面架橋密度が高くなった高吸水性樹脂が形成される。
【0140】
具体的には、表面架橋剤の存在下で、熱処理工程で表面架橋層が形成されてもよく、前記熱処理工程は、表面架橋密度、つまり外部架橋密度は増加することになるのに対し、内部架橋密度は変化がなく、製造された表面架橋層が形成された高吸水性樹脂は内部より外部の架橋密度が高い構造を有することになる。
【0141】
一方、本発明の一具現例によると、前記表面架橋ステップは、比較的低い温度である80℃乃至120℃で行われ、前記温度で熱架橋され、目的とする高含水率と優れた吸収速度を有するように適正な表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子の製造が可能である。好ましくは、前記表面架橋温度は90℃乃至110℃、または95℃乃至105℃であってもよい。
【0142】
より具体的には、前記表面架橋は、前述の温度を最高反応温度にして、このような最高反応温度で30分乃至80分、あるいは40分乃至70分間熱処理して、表面架橋反応を行うことができる。前記のように相対的に低い温度で短時間の間表面架橋反応を行っても、最終製造される高吸水性樹脂の物性低下なく、微粉発生を効果的に制御することができるので、好ましい。
【0143】
このような表面架橋工程条件(特に、昇温条件及び反応最高温度での反応条件)を充足することで、より優れた吸収速度などの物性を適切に充足する高吸水性樹脂を製造することができる。
【0144】
表面架橋反応のための昇温手段は、特に限定されない。熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱してもよい。このとき、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを用いてもよいが、これに限定されるものではなく、また供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択してもよい。一方、直接供給される熱源としては、電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、前述した例に限定されるものではない。
【0145】
一方、前記表面架橋剤組成物に含まれる表面架橋剤としては、従来から高吸水性樹脂の製造に用いられた表面架橋剤を特に制限なくいずれも用いてもよい。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含んでもよい。好ましくは、前述の内部架橋剤と同一なものが用いられてもよく、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのアルキレングリコールのジグリシジルエーテル系化合物が用いられてもよい。
【0146】
前記表面架橋ステップで、表面架橋剤の他にアルコール系溶媒及び水を含む表面架橋剤組成物を用いてもよい。
【0147】
このような表面架橋剤は、ベース樹脂粉末100重量部に対して0.001乃至2重量部で用いられてもよい。好ましくは、0.005重量部以上、0.01重量部以上、または0.02重量部以上であり、0.5重量部以下、0.3重量部以下の含有量で用いられてもよい。表面架橋剤の含有量範囲を、前述の範囲に調節して優れた吸収性能及び通液性など諸物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0148】
一方、前記表面架橋剤は、これを含む表面架橋剤組成物状態でベース樹脂粉末に添加されるが、このような表面架橋剤組成物の添加方法については、その構成の特別な限定はない。例えば、表面架橋剤組成物と、ベース樹脂粉末とを反応槽に入れて混合するか、ベース樹脂粉末に表面架橋剤組成物を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーにベース樹脂粉末と表面架橋剤組成物とを連続的に供給して混合する方法などを用いてもよい。
【0149】
そして、前記表面架橋剤組成物は、媒質として水及び/または親水性有機溶媒をさらに含んでもよい。したがって、表面架橋剤などがベース樹脂粉末上に均等に分散できるというメリットがある。このとき、水及び親水性有機溶媒の含有量は表面架橋剤の均一な溶解/分散を誘導し、ベース樹脂粉末の凝集現象を防止すると共に、表面架橋剤の表面浸透深さを最適化するための目的で、ベース樹脂粉末100重量部に対する添加比率を調節して適用してもよい。
【0150】
一方、本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂の製造方法は、通液性などの追加的な向上のために、表面架橋時に硫酸アルミニウム塩などのアルミニウム塩、その他の多様な多価金属塩をさらに用いてもよい。このような多価金属塩は、最終製造された高吸水性樹脂の表面架橋層上に含まれてもよい。
【0151】
一方、本発明の一具現例により製造された高吸水性粒子は、3.0wt%乃至10.0wt%の含水率を有することができ、好ましくは、2.5wt%乃至8.5wt%または2.5wt%乃至7.5wt%の含水率を有することができる。このように、高含水率を有するように製造され、追加の加水工程や添加剤混合工程なく、追加的に粉砕及び分級工程を行っても微粉発生が顕著に減少し、優れた吸収物性、特に吸収速度を向上させることができるので、好ましい。
【0152】
一方、本発明の一具現例により製造された高吸水性樹脂は150乃至850μmの粒径を有することができる。より具体的には、前記ベース樹脂粉末及びこれを含む高吸水性樹脂の少なくとも95重量%以上が150乃至850μmの粒径を有し、300乃至600μmの粒径を有する粒子を50重量%以上含んでもよく、150μm未満の粒径を有する微粉が3重量%未満であってもよい。
【0153】
(追加ステップ)
本発明の一具現例に係る高吸水性樹脂の製造方法は、必要に応じて表面架橋ステップ前に乾燥されたベース樹脂粉末を粉砕及び分級するステップをさらに含んでもよい。
【0154】
具体的には、前記粉砕ステップは、ベース樹脂粉末を粉砕して正常粒子水準の粒度、つまり150μm乃至850μmの粒径を有するように行われてもよい。
【0155】
このために用いられる粉砕機は、具体的には縦型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、微粒化機(chopper)または円板式切断機(Disc cutter)などであってもよく、前述した例に限定されない。
【0156】
または、粉砕機として、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョッグミル(jog mill)などを用いてもよいが、前述した例に限定されるものではない。
【0157】
また、本発明の一具現例によると、必要に応じてベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成するステップの前または後に、前記高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却ステップ、前記高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水ステップ、及び前記高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理ステップのいずれか一つのステップ以上をさらに含んで行われてもよい。このとき、前記冷却ステップ、加水ステップ、及び後処理ステップは、順次に行われるか、または同時に行われてもよい。
【0158】
前記後処理ステップで投入する添加剤は、通液性向上剤、アンチケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤、および酸化防止剤などが挙げられるが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0159】
前記冷却ステップ、加水ステップ、および後処理ステップを選択的に行うことによって最終高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【0160】
(高吸水性樹脂)
本発明の他の一具現例によると、前記製造方法で製造された高吸水性樹脂を提供する。
【0161】
前記製造方法で製造された高吸水性樹脂は、別途の追加の加水工程や添加剤投入工程がなくても高含水率を具現することによって、微粉含有量が低く、従来の方法で製造した高吸水性樹脂に対する諸吸収物性である保水能(CRC)と加圧吸収能(AUP)とが同等水準以上で、かつ水可溶成分(EC)含有量が低くなることによって、通液性、リウェット(rewet)特性、及び吸収速度などがいずれも優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0162】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用及び効果をより詳述することにする。ただし、このような実施例は、発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決められるものではない。
【0163】
[実施例及び比較例]
実施例1
(ステップ1)
撹拌機、温度計を取り付けた2Lガラス容器にアクリル酸329.94g、内部架橋剤として、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル0.35g、水725gを撹拌・混合して、5℃で維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれたガラス容器に窒素1000cc/minを1時間流入して窒素条件に置き換えた。次に、重合開始剤として、0.3%の過酸化水素水溶液4.42g、1%のアスコルビン酸水溶液4.94g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液9.90gを投入し、同時に還元剤として、0.01%の硫酸鉄水溶液4.90gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。
【0164】
(ステップ2)
得られた重合体1,000gを、ホールサイズ(hole size)が6mmである多数のホールを含む多孔板が備えられた細粒化装置に4回通過させて細粒化した。
【0165】
1次細粒化ステップでは別途の添加剤を投入していない。2次細粒化ステップでは、32%のNaOH水溶液を400g投入して重合体の酸性基の一部を中和しながら細粒化した。3次細粒化ステップでは、15%のNa2SO4水溶液を37.5g投入して重合体の酸性基の一部を中和しながら細粒化した。4次細粒化ステップでは、Glycerol Monolaurateの4gを水溶液形態で投入した。
【0166】
(ステップ3)
次に、前記細粒化混合物1,000gを120rpmで回転するロータリーキルン(Rotary kiln)流動式乾燥機に投入した。前記乾燥機の内部温度は、105℃で維持しながら60分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill(GRAN-U-LIZERTM、MPE))を用いて、150μm乃至850μmの粒径を有する粒子となるように粉砕した。前記粉砕物を、分級体を用いて150μm乃至850μmの粒径を有するベース樹脂粒子だけ選択的に回収した。
【0167】
前記ベース樹脂粉末の含水率は13.6wt%であった。
【0168】
(ステップ4)
次に、得られたベース樹脂粉末100gに水8g、メタノール5g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ-1030S)0.08g、GK(ポリカルボキシレート)0.1g、Als(アルミニウムスルフェート)0.4g、及びA200(親水性シリカ)0.04gを投入して表面架橋液を製造してこれを混合し、これを100℃で50分間表面架橋反応を行って、表面架橋された高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂を製造した。
【0169】
実施例2
実施例1で、ステップ3の流動式乾燥条件を150℃で30分間行い、ベース樹脂粉末の含水率が12.8wt%となったことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0170】
実施例3
実施例1で、ステップ3の流動式乾燥条件を180℃で30分間行い、ベース樹脂粉末の含水率が11.2wt%となったことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0171】
比較例1
(ステップ1)
撹拌機、温度計を取り付けた2Lガラス容器にアクリル酸329.94g、内部架橋剤として、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル0.35g、水725gを撹拌・混合して、5℃で維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれたガラス容器に窒素1000cc/minを1時間流入して窒素条件に置き換えた。次に、重合開始剤として、0.3%の過酸化水素水溶液4.42g、1%のアスコルビン酸水溶液4.94g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液9.90gを投入し、同時に還元剤として、0.01%の硫酸鉄水溶液4.90gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。
【0172】
(ステップ2)
得られた重合体1,000gを、ホールサイズ(hole size)が6mmである多数のホールを含む多孔板が備えられた細粒化装置に4回通過させて細粒化した。1次細粒化ステップでは別途の添加剤を投入していない。2次細粒化ステップでは32%のNaOH水溶液を400g投入して重合体の酸性基の一部を中和しながら細粒化した。3次細粒化ステップでは、15%のNa2SO4水溶液を37.5g投入して重合体の酸性基の一部を中和しながら細粒化した。4次細粒化ステップでは、別途の添加剤を投入していない。
【0173】
(ステップ3)
次に、前記細粒化混合物1,000gを上下に気流伝達が可能なAir flow oven静置式乾燥機に投入した。前記乾燥機に190℃の熱風を上下に投入しながら、40分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill、(GRAN-U-LIZERTM、MPE))を用いて、150μm乃至850μmの粒径を有する粒子となるように粉砕した。前記粉砕物を、分級体を用いて150μm乃至850μmの粒径を有するベース樹脂粒子だけ選択的に回収した。
【0174】
前記ベース樹脂粉末の含水率は2.3wt%であった。
【0175】
(ステップ4)
次に、得られたベース樹脂粉末100gに水8g、メタノール5g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ-1030S)0.08g、GK(ポリカルボキシレート)0.1g、Als(アルミニウムスルフェート)0.4g、及びA200(親水性シリカ)0.04gを投入して表面架橋液を製造してこれを混合し、これを100℃で50分間表面架橋反応を行って、表面架橋された高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂を製造した。
【0176】
比較例2
比較例1で、ステップ3の乾燥ステップ後、高吸水性樹脂粒子100gに対して、水3gを投入して均一に混合して加水工程を行った後、比較例1と同様の方法で表面架橋して最終高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂を製造した。
【0177】
比較例3
比較例1で、ステップ3の乾燥ステップ後、高吸水性樹脂粒子100gに対して、水4g、PEG(ポリエチレングリコール分子量:6000)0.05g、Als(アルミニウムスルフェート)0.05gを投入して均一に混合して加水工程を行った後、比較例1と同様の方法で表面架橋して最終高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂を製造した。
【0178】
比較例4
実施例1で、ステップ3の流動式乾燥条件を120℃で10分間行い、ベース樹脂粉末の含水率が31.7wt%となったことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0179】
[実験例]
前記実施例及び比較例で製造した高吸水性樹脂に対して、次のような方法で物性を評価し、その結果を表1に示した。
【0180】
異に表記しない限り、下記の物性評価はいずれも恒温恒湿(23±1℃、相対湿度50±10%)で行っており、生理食塩水または塩水は0.9重量%の塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0181】
(1)含水率評価
含水率は、高吸水性樹脂総重量に対して占める水分の含有量であって、下記の数学式1によって計算した。
【0182】
具体的には、赤外線加熱を通じて高吸水性樹脂の温度を上げて乾燥する過程で、高吸水性樹脂中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算した。このとき、乾燥条件は、常温で180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式であり、総乾燥時間は、温度上昇ステップ5分を含めて40分に設定した。乾燥前/後の高吸水性樹脂の重量をそれぞれ測定し、下記の数学式1によって計算した。
【0183】
[数学式1]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0184】
上記の式でAtは、乾燥後の高吸水性樹脂の重量であり、Aoは、乾燥前の高吸水性樹脂の重量である。
【0185】
(2)粒子分布
実施例及び比較例で製造された高吸水性樹脂に対して、ASTM規格の850μm(20メッシュ)、600μm(30メッシュ)、300μm(50メッシュ)、及び150μm(100メッシュ)の大きさの目盛りを有する標準篩(sieve)を用いて分級し、850μm超の大きさを有する粗粒子(coarse particle)の重量を測定した後、前記粗粒子の含有量を、高吸水性樹脂粒子サンプルの総重量を基準にした百分率で示した(重量%)。
【0186】
また、百分率に平均粒子の大きさを乗算して平均粒径を計算した。
【0187】
(3)遠心分離保水能(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
実施例及び比較例で製造された高吸水性樹脂に対して、各高吸水性樹脂のうち150乃至850μmの粒径を有するサンプルを取って、ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 241.3により無荷重下吸収倍率による遠心分離保水能(CRC)を測定した。
【0188】
具体的には、実施例及び比較例を通じてそれぞれ得られた樹脂から、#30~50の篩で分級した樹脂を得た。このような樹脂W0(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過した後、遠心分離機を用いて250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を抜いて、封筒の質量W2(g)を測定した。また、樹脂を用いずに同一な操作を行った後、そのときの質量W1(g)を測定した。得られた各質量を用いて次のような式によってCRC(g/g)を算出した。
【0189】
[数学式2]
CRC(g/g)={[W2(g)-W1(g)]/W0(g)}-1
【0190】
(4)加圧吸収能(AUP、Absorbency Under Pressure)
実施例及び比較例で製造された高吸水性樹脂に対して、各高吸水性樹脂の0.3psiの加圧吸収能を、EDANA法NWSP 242.3によって測定した。加圧吸収能の測定時には、前記CRC測定時の樹脂分級分を用いた。
【0191】
具体的には、内径25mmのプラスチックの円筒底にステンレス製の400mesh鉄網を取り付けた。常温及び湿度50%の条件下で鉄網上に吸水性樹脂W0(g)(0.16g)を均一に散布し、さらにその上に0.3psiの荷重を均一に付与できるピストンを載せた。ピストンは、外径25mmより若干小さく円筒の内壁との隙間がなく、上下動きが邪魔されないようにした。このとき、前記装置の重量W3(g)を測定した。
【0192】
直径150mmのペトリディッシュの内側に直径90mm及び厚さ5mmのガラスフィルターを置き、0.9重量%の塩化ナトリウムで構成された生理食塩水をガラスフィルターの上面と同一のレベルになるようにした。その上に直径90mmのろ過紙1枚を載せた。ろ過紙の上に前記測定装置を載せ、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げ、その重量W4(g)を測定した。
【0193】
得られた各質量を用いて、下記の式によって加圧吸収能(g/g)を算出した。
【0194】
[数学式3]
AUP(g/g)=[W4(g)-W3(g)]/W0(g)
【0195】
前記測定を5回繰り返し、その平均値及び標準偏差を求めた。
【0196】
(5)ボルテックス吸収速度(Vortex)
吸収速度(vortex time)は、国際公開第1987/003208号に記載の方法に準じて秒単位で測定した。吸収速度の測定時には、前記表面架橋後に得られた樹脂を分級せずに用いた。
【0197】
具体的には、23℃の50mLの生理食塩水に2gの各樹脂を入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで撹拌し、渦流(vortex)が無くなるまでの時間を秒単位で測定して算出された。
【0198】
【0199】
前記表1のデータから確認できるように、本発明は、乾燥ステップの工程条件を制御することによって、最終製造される高吸水性樹脂が高い含水率で製造工程中での微粉発生を抑制し、かつ優れた吸収速度を具現することを確認することができた。
【国際調査報告】